運営:アスタミューゼ株式会社
  • ポートフォリオ機能
  • 要点(法的判断を中心に)自動抽出結果


追加

誤ったとした部分にとどまるき更にされた本件審決は、右取消判決の拘束力に従い訂正後の本件明細書の特許請求の範囲第一項に記載された発明を審判の対象とした上で、右発明につき無効原因はないと判断しているが、右判断は右取消判決の拘束力に従ってされたものではないというべきであり、これが右取消判決の拘束力に従ってされたものであることを前提とする原判決の説示部分には、
審決取消判決の拘束力に関する法令の解釈適用を誤った違法
該当部分へ
この判例には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
平成3行ツ98 判例 特許
平成17行ヒ106審決取消請求事件 判例 特許
平成10行ツ19審決取消請求事件 判例 特許
昭和62行ツ109審決取消 判例 特許
平成4オ364 判例 特許
関連ワード 請求の範囲 /  減縮 /  審決確定(審決が確定) /  取消判決 /  判決の拘束力 / 
元本PDF 裁判所収録の全文PDFを見る pdf
事件 平成 2年 (行ツ) 181号
裁判所のデータが存在しません。
裁判所 最高裁判所第二小法廷
判決言渡日 1992/07/17
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
主文 本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
事実及び理由
全容
上告代理人水田耕一、同萼優美、同萼経夫、同成田敬一、同中村寿夫の上告理由について原審の適法に確定した事実関係によれば、本件無効審判請求につき前にされた審決の取消訴訟における判決は、右訴訟の係属中に特許請求の範囲減縮をも目的とした訂正審決が確定したことにより、訂正前の本件明細書の特許請求の範囲第一項に記載された発明を対象とした右審決は結果的に審判の対象を誤った違法があることになるとし、更に進んで、訂正後の本件明細書の特許請求の範囲第一項に記載された発明につき無効原因はないとの判断も加えて、審決を取り消したというのであり、そうであるならば、右取消判決の拘束力の生じるのである。本件無効審判請求につ 範囲は、審決が審判の対象を誤ったとした部分にとどまるき更にされた本件審決は、右取消判決の拘束力に従い訂正後の本件明細書の特許請求の範囲第一項に記載された発明を審判の対象とした上で、右発明につき無効原因はないと判断しているが、右判断は右取消判決の拘束力に従ってされたものではないというべきであり、これが右取消判決の拘束力に従ってされたものであることを前提とする原判決の説示部分には、
審決取消判決の拘束力に関する法令の解釈適用を誤った違法
があるといわなければならない。
しかしながら、原判決は、訂正後の本件明細書の記載は特許法36条4項及び五項(昭和六〇年法律第四一号による改正前のもの)の要件を満たしている旨の認定判断、すなわち、
訂正後の本件明細書の特許請求の範囲第一項に記載された発明につき無効原因はないとした本件審決の判断が是認できる旨の認定判断をもしており、右認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができるから、原判決の前記説示部分の違法はその結論に影響しないものというべきである。
以上によれば、特許無効審判事件についての審決取消判決には拘束力はないとして原判決の前記説示を論難する所論は、結局、理由がないことに帰する。論旨は、採用することができない。
よって、行政事件訴訟法7条、民訴法401条95条89条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 木崎良平
裁判官 藤島昭
裁判官 中島敏次郎
裁判官 大西勝也