運営:アスタミューゼ株式会社
  • ポートフォリオ機能
  • 要点(法的判断を中心に)自動抽出結果


追加

したがつて、補正却下の決定に対する不服の審判請求は成り立たない旨の審決があり、その審決に対する取消訴訟の係属中に特許出願の放棄がされると、特許出願人は、
右取消訴訟において右審決を取り消す旨の勝訴判決を得たとしても、補正却下の決定に対する不服の審判請求を認容する審決を得ることはできないから、補正却下の決定に対する不服の審判請求は成り立たない旨の審決の取消を求めるにつき法律上の利益を失つたものというべきである
該当部分へ
この判例には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
昭和55行ツ30審決取消 判例 商標
平成15行ヒ265 判例 商標
平成10行ツ19審決取消請求事件 判例 特許
平成14受1100損害賠償,商標権侵害差止等請求事件 判例 商標
昭和53行ツ140 判例 特許
関連ワード 審判の係属中 / 
元本PDF 裁判所収録の全文PDFを見る pdf
事件 昭和 58年 (行ツ) 101号
裁判所のデータが存在しません。
裁判所 最高裁判所第一小法廷
判決言渡日 1985/03/28
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
主文 原判決を破棄する。
上告人の本件訴えを却下する。
訴訟の総費用は上告人の負担とする。
事実及び理由
全容
職権をもつて、上告人に本件審決の取消を求める法律上の利益があるか否かについて判断する。
一上告人は、本件特許出願の願書に添附した明細書の補正をしたところ、補正却下の決定を受け、右決定に対する不服の審判を請求したが、審判の請求は成り立たない旨の本件審決を受けたので、本訴により本件審決の取消を求めているものである。
二記録によれば、上告人は、昭和五九年八月一三日、特許庁長官あてに同日付「出願放棄書」と題する書面を提出して本件特許出願の放棄をしたことが認められる。
補正却下の決定に対する不服の審判の係属中に特許出願の放棄がされると、そ ところで、
の後は特許出願が係属しないことになるので、右審判は審理の対象を失うものといわなければならない。したがつて、補正却下の決定に対する不服の審判請求は成り立たない旨の審決があり、その審決に対する取消訴訟の係属中に特許出願の放棄がされると、特許出願人は、
右取消訴訟において右審決を取り消す旨の勝訴判決を得たとしても、補正却下の決定に対する不服の審判請求を認容する審決を得ることはできないから、補正却下の決定に対する不服の審判請求は成り立たない旨の審決の取消を求めるにつき法律上の利益を失つたものというべきである

三そうすると、上告人は、本件特許出願の放棄をしたことによつて、本件審決の取消を求めるにつき法律上の利益を失うに至つたものというべきであるから、本件訴えは、不適法として却下すべきであり、これを適法として本案につき判断をした原判決は、破棄を免れない。
よつて、行政事件訴訟法7条、民訴法408条96条89条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 和田誠一
裁判官 谷口正孝
裁判官 角田禮次郎
裁判官 矢口洪一
裁判官 高島益郎