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関連審決 無効2004-80181 訂正2005-39148
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審判番号(事件番号) データベース 権利
平成18ワ8811特許権侵害差止等請求事件 判例 特許
平成16ワ9540特許権侵害差止等請求事件 判例 特許
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平成18ワ15809損害賠償請求事件 判例 特許
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関連ワード 発明者 /  創作性(創作) /  物の発明 /  方法の発明 /  使用方法 /  新規性 /  頒布された刊行物 /  進歩性(29条2項) /  容易に発明 /  周知技術 /  公知技術 /  上位概念 /  技術的範囲 /  先行技術 /  発明の詳細な説明 /  明細書の記載要件 /  優先権 /  実質的に同一 /  クレーム /  ライセンス /  優先日 /  参酌 /  技術的意義 /  置き換え /  容易に想到(容易想到性) /  信義則 /  特許発明 /  実施 /  加工 /  交換 /  属地主義 /  間接侵害 /  構成要件 /  のみ用いる /  業として /  差止請求(差止) /  侵害 /  実施料 /  実施権 /  専用実施権 /  拒絶理由通知 /  訂正審判 /  新規事項追加(新規事項の追加) /  請求の範囲 /  減縮 /  拡張 /  変更 /  独立特許要件 /  訂正要件 / 
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事件 平成 15年 (ワ) 16924号 損害賠償等請求事件
東京都練馬区<以下略>
原告株式会社ハイテック・プロダクト
原告訴訟代理人弁護士吉澤敬夫
同 牧野知彦
同訴訟代理人弁理士岡本啓三 広島県福山市<以下略>
被告ローツェ株式会社
被告訴訟代理人弁護士山下英樹
同 遠山信一郎
同 梶原則子
同 仲卓也
同 補佐人弁理 士忰熊弘稔
同 木村高久
同 小幡義之
裁判所 東京地方裁判所
判決言渡日 2007/02/27
権利種別 特許権
訴訟類型 民事訴訟
主文 1被告は,別紙物件目録記載の各製品を製造し,譲渡し,輸入し,又は譲渡の申出をしてはならない。
2被告は,その占有する前項の製品を廃棄せよ。
3被告は,原告に対し,3004万2871円及びこれに対する平成15年8月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
4原告のその余の請求を棄却する。
5訴訟費用は,これを10分し,その7を被告の負担とし,その余を原告の負担- 2 -とする。
6この判決は第3項に限り仮に執行することができる。
事実及び理由
全容
第1原告の請求1主文第1項と同旨2主文第2項と同旨3被告は,原告に対し,1億2000万円及びこれに対する平成15年8月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
4仮執行宣言第2事案の概要本件は 「多関節搬送装置,その制御方法及び半導体製造装置」について特 ,許権を有する原告が,被告が製造販売する基板搬送装置が上記特許発明技術的範囲に属するとして,その製造等の差止め,損害賠償金の支払等を求めた事案である。
( ) 1前提となる事実 争いのない事実及び末尾掲記の証拠により認められる事実( ) 原告は,精密機械の開発及び設計,半導体製造装置の製図及び製造,販売1等を業とする株式会社である。
被告は,電子機器の製造,販売,輸出入等を業とする株式会社である。
( ) 原告は,次の特許(以下「本件特許」という )につき特許権(以下「本2 。
件特許権 といい 本件特許の願書に添付した明細書及び図面をまとめて 本 」, 「件明細書」という )を有する(甲1,2 。 。)ア発明の名称多関節搬送装置,その制御方法及び半導体製造装置イ特許番号第2580489号ウ出願日平成6年5月13日エ出願番号特願平6-100065オ公開日平成7年7月11日カ公開番号特開平7-171778キ優先日平成5年11月4日ク優先権主張国日本ケ登録日平成8年11月21日( ) 本件明細書の特許請求の範囲の請求項1及び請求項6の記載は次のとおり3である(甲2。以下,請求項1に記載された発明を「本件特許発明1 ,請」求項6に記載された発明を「本件特許発明2」といい,両者を併せて「本件各特許発明」という。本判決添付の特許公報(以下「本件公報」という )。
参照 。)ア請求項1「第1の搬送部(15)と,前記第1の搬送部(15)の回転面に対して上又は下側に位置するように高さを規定した第2の搬送部(16)と,前記第1の搬送部(15)を一方向に伸縮する第1の多関節駆動部(11)と,前記第2の搬送部(16)を一方向に伸縮する第2の多関節駆動部(12)と,前記第1の多関節駆動部(11)の回動中心となる第1の固定軸(13A)と,前記第2の多関節駆動部(12)の回動中心となる第2の固定軸(13B)とを有し,かつ,前記第1の多関節駆動部(11)に回転力を与える第1の駆動軸(13C)と前記第2の多関節駆動部(12)に回転力を与える第2の駆動軸(13D)とを有する共通駆動部(13)と,前記第1の多関節駆動部(11 ,第2の多)関節駆動部(12)及び共通駆動部(13)を回動制御する駆動制御手段(14)とを備え,前記第1の搬送部(15)及び第2の搬送部(16)を前記共通駆動部(13)の上部に縮めたとき,前記第1の搬送部(15)と第2の搬送部(16)とを高低差をもって重なるようにしたことを特徴とする多関節搬送装置 」。
イ請求項6「前記共通駆動部(13)の回転軸を概略垂線とする平面において,該共通駆動部(13)が『く』の字型に屈曲されたアーム状を構成することを特徴とする請求項1記載の多関節搬送装置 」。
( ) 本件各特許発明構成要件を分説すると,次のとおりである(以下「構成4要件A」などという )。
ア本件特許発明1A第1の搬送部(15)と,B前記第1の搬送部(15)の回転面に対して上又は下側に位置するように高さを規定した第2の搬送部(16)と,C前記第1の搬送部(15)を一方向に伸縮する第1の多関節駆動部(11)と,D前記第2の搬送部(16)を一方向に伸縮する第2の多関節駆動部(12)と,E前記第1の多関節駆動部 11 の回動中心となる第1の固定軸1 () (3A)と,前記第2の多関節駆動部(12)の回動中心となる第2の固定軸(13B)とを有し,かつ,前記第1の多関節駆動部(11)に回転力を与える第1の駆動軸(13C)と前記第2の多関節駆動部(12)に回転力を与える第2の駆動軸(13D)とを有する共通駆動部(13)と,F前記第1の多関節駆動部(11 ,第2の多関節駆動部(12)及び )共通駆動部(13)を回動制御する駆動制御手段(14)とを備え,G前記第1の搬送部(15)及び第2の搬送部(16)を前記共通駆動部(13)の上部に縮めたとき,前記第1の搬送部(15)と第2の搬送部(16)とを高低差をもって重なるようにしたHことを特徴とする多関節搬送装置イ本件特許発明2AないしH前記アのAないしHと同様I前記共通駆動部(13)の回転軸を概略垂線とする平面において,該共通駆動部(13)が「く」の字型に屈曲されたアーム状を構成する( ) 被告の各製品について5, (,「」 被告は 別紙物件目録記載の基板搬送装置 以下 まとめて 被告各製品という )を製造ないし販売している(甲4,6,9,11,12,13, 。
14,乙3,弁論の全趣旨 。)ア別紙物件目録記載1及び2の製品(以下「イ号物件」という )の構成。
被告各製品のうちイ号物件の構成を構成要件に則して分説すると次のとおりである。
a第3アーム(3a)と,b前記第3アーム(3a)の回転面に対して,第3アーム(3a)との間に被搬送物である基板を位置させることができる程度下側に位置するように,高さを規定した第3アーム(3b)と,() (), c前記第3アーム3aを一方向に伸縮する第2アーム6aと() (), d前記第3アーム3bを一方向に伸縮する第2アーム6bとe前記第2アーム(6a)の回動中心となる支持筒(10a)と前記第2アーム(6b)の回動中心となる支持筒(10b)とを有し,かつ,前記第2アーム(6a)に回転力を与える第2の支軸(16)と前記第2アーム(6b)に回転力を与える第3の支軸(17)とを有する第1アーム(11)と該第1アーム(11)と一体の第1の支軸(15)と,f前記第2アーム 6a第2アーム 6b 及び前記第1アーム 1 (),()(1)と一体の第1の支軸(15)を回動制御するモータ部(23 ,モ)ータ部(30 ,及びモータ部(33)とを備え, )g前記第3アーム(3a)及び第3アーム(3b)を前記第1アーム(11)と前記第1アーム(11)と一体の第1の支軸(15)の上部に縮めたとき,前記第3アーム(3a)と第3アーム(3b)とを高低差をもって重なるようにした,h基板搬送装置i前記第1アーム(11)は,回転軸である第1の支軸(15)を概略垂線とする平面上において 「く」の字型に屈曲されている。 ,(),()() j前記第1の支軸 15第2の支軸 16 及び第3の支軸 17は,同心軸であって,第1の支軸(15)は,同心軸の最内軸であって回動制御されるモータ部(33)に直結され,他の第2の支軸(16)を回動制御するモータ部(23)及び第3の支軸(17)を回動制御するモータ部(30)は,第1の支軸(15)と一体の棚板(24)に固定されているイ別紙物件目録記載3及び4の製品(以下「ロ号物件」という )の構成。
被告各製品のうちロ号物件の構成を構成要件に則して分説すると次のとおりである。
a第3アーム(3a)と,b前記第3アーム(3a)の回転面に対して下側に位置するように高さを規定した第3アーム(3b)と,() (), c前記第3アーム3aを一方向に伸縮する第2アーム6aと() (), d前記第3アーム3bを一方向に伸縮する第2アーム6bとe前記第2アーム(6a)の回動中心となる支持筒(10a)と,前記第2アーム(6b)の回動中心となる支持筒(10b)とを有し,かつ,前記第2アーム(6a)に回転力を与える第2の支軸(16)と前記第2アーム(6b)に回転力を与える第3の支軸(17)とを有する第1アーム(11)と該第1アーム(11)と一体の第1の支軸(15)と,f前記第2アーム 6a第2アーム 6b 及び前記第1アーム 1 (),()(1)を回動制御するモータ部(23 ,モータ部(30 ,及びモータ ))部(33)とを備え,g前記第3アーム(3a)及び第3アーム(3b)を前記第1アーム(11)の上部に縮めたとき,前記第3アーム(3a)と第3アーム(3b)とを高低差をもって重なるようにした,i前記第1アーム(11)は,回転軸である第1の支軸(15)を概略垂線とする平面上において,別紙ロ号物件斜視図のような形状をしている,h基板搬送装置( ) イ号物件の構成aないしd,g及びhは本件特許発明1の構成要件Aな6いしD,G及びHをそれぞれ充足し,イ号物件の構成aないしd,gないしiは本件特許発明2の構成要件AないしD,GないしIをそれぞれ充足する(弁論の全趣旨 。)ロ号物件の構成a,b,g及びhは本件特許発明1の構成要件A,B,G及びHを充足し,ロ号物件の構成a,b及びgないしiは本件特許発明, ()。 2の構成要件A B及びGないしIをそれぞれ充足する 弁論の全趣旨( ) 本件特許の出願,無効審判及び訂正審判の経緯等7ア原告は,平成6年5月13日,本件特許を出願した。特許庁は,本件特許出願に対し,本件特許発明1を含む請求項1,2,4,10について特開平2-83182号公報(乙2)に基づいて容易に発明することができたものであるとして 平成8年4月11日起案日の拒絶理由通知をした 乙 , (8 。原告は,これに対し,本件特許発明1について,上記公報には記載 )されていない構成要件B及びGの特徴を備えている旨の意見書(乙9)を提出し,同年11月21日に特許登録された。
イ被告は,平成8年11月27日,被告代表者を発明者として,くの字型の共通駆動アームを有する基板搬送装置について特許出願した(特開平10-163296号。甲5。以下,同特許に係る公報を「甲5公報」という。。)ウ被告代表者は,平成13年ころ,原告代表者と面会し,原告及び被告との間で,被告が本件特許権を買い取るか,又は,被告が専用実施権の設定を受けるという内容の契約締結に向けて交渉を行った。しかし,原告が被告以外の第三者に対して本件特許権をライセンスしないという条件を承諾せず,通常実施料の価格でも折り合いがつかないなどの事情により,上記交渉は決裂した(弁論の全趣旨 。)エ原告は,特許庁に対し,イ号物件が本件特許発明1の技術的範囲に属する旨の判定を求め,特許庁は,平成15年5月2日付けで,イ号物件は本件特許発明1の技術的範囲に属する旨の判定を行った(甲3 。)オ被告は,平成16年10月8日付け審判請求書において本件各特許発明について無効審判を請求し(乙10 ,特許庁の審判官は,平成17年6 )月28日付けで本件各特許発明に係る特許を無効とする旨の審決をした(無効2004-80181。乙16。以下「乙16審決」という。。)原告は,平成17年8月1日,知的財産高等裁判所に上記審決の取消を求める訴えを提起した。
カ原告は,同月22日付け審判請求書において,本件明細書の特許請求の範囲の請求項1を次のように訂正する旨の審決を求めた(甲19。訂正2005-39148号。以下,同訂正に係る特許請求の範囲の請求項1及び同6を「本件訂正特許発明1「本件訂正特許発明2」という。訂正 」,によって追加された部分(以下「本件訂正部分」という )に下線を付し。
た。。)「第1の搬送部(15)と,前記第1の搬送部(15)の回転面に対して上又は下側に位置するように高さを規定した第2の搬送部(16)と,() () 前記第1の搬送部 15 を一方向に伸縮する第1の多関節駆動部 11と 前記第2の搬送部 16 を一方向に伸縮する第2の多関節駆動部 1 ,() (2)と,前記第1の多関節駆動部(11)の回動中心となる第1の固定軸(13A)と,前記第2の多関節駆動部(12)の回動中心となる第2の固定軸(13B)とを有し,かつ,前記第1の多関節駆動部(11)に回転力を与える第1の駆動軸(13C)と前記第2の多関節駆動部(12)に回転力を与える第2の駆動軸(13D)とを有する共通駆動部(13)と,前記第1の多関節駆動部(11 ,第2の多関節駆動部(12)及び )共通駆動部(13)を回動制御する駆動制御手段(14)とを備え,前記駆動制御手段(14)が行う制御には,第1の搬送部(15)又は第2の() (), 搬送部 16 を伸縮するために共通駆動部 13 を回動させる制御とこの共通駆動部(13)を回動させる制御中,第2の搬送部(16)又は第1の搬送部(15)が共通駆動部(13)上に取り込まれた状態であるようにする制御とが含まれるものであって,前記第1の搬送部(15)及び第2の搬送部(16)を前記共通駆動部(13)の上部に縮めたとき,前記第1の搬送部(15)と第2の搬送部(16)とを高低差をもって重なるようにしたことを特徴とする多関節搬送装置」キ知的財産高等裁判所は,原告の上記訂正審判請求を受けて,同年11月8日,上記審決を取り消す旨の決定を行い,事件を特許庁に差し戻した。
原告は,取消後の無効審判において,上記訂正審判請求と同じ内容の訂正請求をした(以下「本件訂正請求」という。。)ク特許庁は,平成18年8月15日付けで,本件訂正請求を認め,本件訂正特許発明1及び2に係る特許を無効とする旨の審決をした(無効2004-80181。乙17。以下「乙17審決」という。原告は,平成。)18年9月19日付けで,知的財産高等裁判所に上記審決の取消を求める訴えを提起した(平成18年(行ケ)第10421号事件。甲22の1・2 。)2争点( ) イ号物件が本件特許発明1及び2の技術的範囲を充足するか(争点1 。
1 )アイ号物件の構成eが本件特許発明1及び2の各構成要件Eを充足するか(争点1-1 。)イイ号物件の構成fが本件特許発明1及び2の各構成要件Fを充足するか(争点1-2 。)( ) イ号物件の未完成品の製造ないし販売について直接侵害ないし間接侵害が2成立するか(争点2 。)( ) ロ号物件が本件特許発明1及び2の技術的範囲を充足するか(争点3 。
3 )アロ号物件の構成eが本件特許発明1及び2の各構成要件Eを充足するか(争点3-1 。)イロ号物件の構成fが本件特許発明1及び2の各構成要件Fを充足するか(争点3-2 。)( ) ロ号物件の未完成品の製造ないし販売について直接侵害ないし間接侵害が4成立するか(争点4 。)( ) 本件特許発明1に係る特許が特許無効審判により無効とされるべきものと5いえるか(争点5 。)ア本件特許発明1が特開平4-30447号公報(乙1)に記載された発明と同一又は当該発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものといえるか(争点5-1 。)イ本件特許発明1が特開平2-83182号公報(乙2)に記載された発明と同一又は当該発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものといえるか(争点5-2 。)ウ本件特許発明1が特開平5-109866号公報(乙7)に記載された発明と同一又は当該発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものといえるか(争点5-3 。)エ本件特許発明1が昭和60年9月1日発行の雑誌「自動化技術 (乙1」1の1)に記載された「Wアーム式ローディン装置」に基づいて当業者が容易に発明することができたものといえるか(争点5-4 。)オ本件特許発明1が合衆国特許4678393(乙12の1)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものといえるか(争点5-5 。)カ本件特許発明1が雑誌「自動化技術」1993年3月号(乙14)に掲載された装置に基づいて当業者が容易に発明することができたものといえるか(争点5-6 。)( ) 本件特許発明1の無効理由が本件訂正により解消されるか(争点6 。
6 )ア本件特許発明1の無効理由が本件訂正によって解消されるか(争点6-1 。)イ本件訂正請求が訂正要件を満たすといえるか(争点6-2 。)ウ被告各製品が本件訂正部分の構成を充足するか(争点6-3 。)( ) 本件特許発明2に係る特許が特許無効審判により無効とされるべきものと7いえるか(争点7 。)ア本件特許発明2が特開平4-30447号公報(乙1)に記載された発明と同一又は当該発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものといえるか(争点7-1 。)イ本件特許発明2が特開平5-109866号公報(乙7)に記載された発明と同一又は当該発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものといえるか(争点7-2 。)ウ本件特許発明2が昭和60年9月1日発行の雑誌「自動化技術 (乙1」1の1)に記載された「Wアーム式ローディン装置」及び特開平4-30447号公報(乙1 ,特開昭63-288677号公報(乙4)ないし )特開平5-109866号公報(乙7)のいずれかに基づいて当業者が容易に発明することができたものといえるか(争点7-3 。)エ本件特許発明2が合衆国特許4678393(乙12の1)及び特開平(), () 4-30447号公報 乙1特開昭63-288677号公報 乙4ないし特開平5-109866号公報(乙7)のいずれかに記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものといえるか(争点7-4 。)オ本件特許発明2が雑誌「自動化技術」1993年3月号(乙14)に掲載された装置に基づいて当業者が容易に発明することができたものといえるか(争点7-5 。)( ) 本件特許発明2の無効理由が本件訂正により解消されるか(争点8 。
8 )ア本件特許発明2の無効理由が本件訂正によって解消されるか(争点8-1 。)イ本件訂正請求が訂正要件を満たすといえるか(争点8-2 。)ウ被告各製品が本件訂正特許発明2の技術的範囲に属するか(争点8-3 。)( ) 本件明細書の発明の詳細な説明が平成6年法律第26号による改正前の特9許法36条(以下「改正前36条」という )4項及び5項2号の規定する 。
要件を満たしているか(争点9 。)() 損害の額(争点10)10第3当事者の主張1 イ号物件が本件特許発明1及び2の技術的範囲を充足するか( ) 争点1-1(イ号物件の構成eが本件特許発明1及び2の各構成要件Eを1充足するか)についてア原告)イ号物件の構成eの「支持筒(10a 」及び「支持筒(10b 」は a ))「()」「()」 構成要件Eの 第1の固定軸 13A及び 第2の固定軸 13Bに,イ号物件の構成eの「第2の支軸(16 」及び「第3の支軸(1 )7 」は構成要件Eの「第1の駆動軸(13C 」及び「第2の駆動軸 ) )(13D 」に,イ号物件の構成eの「第1アーム(11)と該第1ア )ーム(11)と一体の第1の支軸(15 」は,構成要件Eの「共通駆 )動部(13 」にそれぞれ該当する。したがって,イ号物件は構成要件 )Eを充足する。
)構成要件Eの「共通駆動部(13)は,第1の駆動軸(13C)と第b2の駆動軸(13D)を有する」の意味について被告は,構成要件Eの「共通駆動部」が駆動軸を「有する」ことの意味について,共通駆動部が駆動軸を組み込んで,これらが同一回転軸を有する構成であるとして,イ号物件は上記構成を有しない旨主張する。
しかし,構成要件Eの「有する」の意味を被告主張のように解釈する理由はない。上記文言の意味は 「共通駆動部」に各駆動軸が「存在す ,る」という程度の意味である(第1の駆動軸及び第2の駆動軸が共通駆動部の外側にあるか内側にあるかを問わない。。)本件明細書の【図1】には,第1の駆動軸と第2の駆動軸と共通駆動部の軸を同心軸として構成されている例が記載されている。これは,半導体ウエハ等の搬送装置のうち真空用ロボット(半導体ウエハ等の搬送装置には真空用ロボットと大気用ロボットがある)において,支軸に磁性流体シールを配置して搬送に関与する部分(アーム部分)を容易に真空状態に保つことを目的として用いられる構成である(被告出願に係る特開平10-163296(甲5)の【0032】及び図8参照 。本)件特許明細書においては,一例として上記のような構成を有する装置の図を記載したが,本件各特許発明技術的範囲をかかる構成に限定するような記載はしていない。被告の主張は特許請求の範囲の記載に基づかない主張である。
)なお,特許請求の範囲に記載がない場合であってもそのように解釈しcなければ発明の作用効果を奏しないような場合には特許請求の範囲の記載にはない要件を付加して限定解釈するような場合がないとまではいえない。そこで,本件各特許発明の作用効果について検討する。本件各特許発明に共通の作用効果は,次の@及びAであり,本件特許発明2に特有の作用効果は次のBであり,いずれの作用効果を実現するにおいても被告が主張するように,第1の駆動軸と第2の駆動軸と共通駆動部の軸部分が同一の回転中心を有していることは必要ない。
@本件各特許発明によれば,第1の搬送部の回転面に対して上又は下側に第2の搬送部の高さを規定しているので,第1及び第2の搬送部を共通駆動部の上部に縮めたときに,第1の搬送部と第2の搬送部との間に,非搬送物が入り込めるような高低差を生じさせることができる。このため,ホームポジションで非搬送物を載置した下側の第1の搬送部とその上側の第2の搬送部とを重ね合わせることができる。したがって,ホームポジションで大きな被搬送物を載置して回転するときも被搬送物の旋回半径を小さくすることができる(本件公報【0108】参照 。)また,本件各特許発明によれば,共通駆動部の回転中心がロボット全体の旋回運動の中心点であると同時に各搬送部の伸縮運動の原点にもなっているために,旋回運動の中心点と伸縮運動の原点との差が0となる このため 被搬送物の旋回半径を小さくすることができる 甲 。, (7 。被告は,原告代表者の陳述書(甲7)に記載された従来技術( ) )1( )においても両アームの付け根にある胴体部分を共通駆動部に見立 2てて伸縮運動の際においても回転させれば,本件各特許発明における搬送距離と従来技術における搬送距離は等しくなる旨主張する。しかし,上記従来技術( )( )に代表されるような本件特許出願前の先行技12術においては,アームの付け根の胴体部分を旋回させてしまうと,その構造上,アームの向きが変わってしまうため搬送することができなくなってしまう。仮に上記胴体部分を旋回させた上で,アームの向き, ,, を搬送方向に修正する場合には 新たな駆動装置が必要となり また搬送のために要する時間もその分長くなる。
A本件各特許発明においては,一方の搬送部が共通駆動部上に取り込まれた状態で他方の搬送部が一方向に伸縮されたり,二つの搬送部や,。 二つの多関節駆動部が静止している状態で 共通駆動部が旋回されるこのため,従来技術のような三つの基本動作(@搬送部1を上部関節駆動部2及び下部関節駆動部3を介して搬送元と搬送先との間で往復させること,A搬送部1に載置された被搬送物を搬送先に移動して,それを受渡し搬送先に帰還すること,B搬送先に搬送部1を移動し,搬送先から被搬送物を受取り搬送元に帰還すること。本件公報【0007 )に加え,搬送先の受渡し条件を代えることなく,同一方向に 】おいて一方の搬送部に載置された被搬送物を搬送先に移動してそれを他方の搬送部を用いて搬送先の被搬送物と交換することができる(本件公報【0008】及び【0109】参照 。)B本件特許発明2においては,共通駆動部をくの字型に屈曲することで両搬送部を共通駆動部上に取り込んだ状態において両搬送部を揃えることが可能となる。また,共通駆動部をくの字型に屈曲することにより,一方の搬送部が搬送先からホームポジションに戻ってくる動作が完了した時点ですでに,他方の搬送部が搬送先の方向を向くことになる(ホームポジションに戻る 。これにより,第1の搬送部がホー )ムポジションに戻った後に第2の搬送部の方向を搬送先の方向に向けるために旋回させる必要がなくなるため,両搬送部の切り替え旋回時間が無用となり,被搬送物の入れ換え時間の短縮化を計ることが可能となる(本件公報【0109】参照 。)なお,本件明細書には 【作用】との項目の下に,本件各特許発明に ,かかる装置の動作方法【0019】が記載されている。しかし,一読すれば明らかなようにその内容は実施例の動作を説明した記載であり,作用効果と直接結びつくものではない。このことは【0019】において「本発明の第1の多関節搬送装置の動作を説明する。例えば・・・」との記載があることから明らかである。本件各特許発明の作用効果は【0108】以下の【発明の効果】の欄に記載されている。
イ被告)構成要件Eの「共通駆動部(13)は,第1の駆動軸(13C)と第a2の駆動軸(13D)を有する」の意味について@クレーム解釈構成要件Eの「共通駆動部(13)は,第1の駆動軸(13C)と第2の駆動軸(13D)を有する」というためには,共通駆動部の近くに各駆動軸があるというだけでは足りず,各駆動軸が,共通駆動部に「備わっている」ことが必要である。そして,上記駆動軸は回転するものであるから,共通駆動部に「固定」されているものではない。
,「」「」, このように固定 されない形で 備わっている というためには各駆動軸が共通駆動部の中に組み込まれていること,すなわち,これらが同一の回転軸中心を有する構成であると解する必要がある。本件明細書においても 「駆動」という用語は「回転」と同義に使用され ,ているから 「共通駆動部」とは「共通回転部 ,すなわち,第1の , 」回転軸の回転と,第2の回転軸の回転と,共通回転軸の回転の三つの回転が中心を共通にするという意味である。
この点,原告は,共通駆動部(13)が第1の駆動軸(13C)及び第2の駆動軸(13D)を「有する」とは,共通駆動部(13)に第1の駆動軸(13C)及び第2の駆動軸(13D)が「存在する」の意味であると主張する。しかし,共通駆動部に「固定されている」ものではないのに,共通駆動部に「存在する」というのは意味不明である。
Aイ号物件への当てはめイ号物件においては,第2の支軸(16)と第3の支軸(17)は代1アームと一体の代1の支軸(11及び15)の外側に存在し,かつ,三者は異なる回転軸中心を有している。したがって,イ号物件の構成eの「第1アーム(11)と該第1アーム(11)と一体の第1の支軸(15 」は,構成要件Eの「共通駆動部」に該当しない。 ))原告は,本件特許発明1の作用効果として,共通駆動部の回転中心がbロボット全体の旋回運動の中心点であると同時に各搬送部の伸縮運動の原点にもなっているために,旋回運動の中心点と伸縮運動の原点との差が0となり,被搬送物の旋回半径を小さくすることができる旨主張する(前記ア )@ 。
c )しかし,上記事項は本件明細書に作用効果として記載されていないものである。また,上記各事項は,本件特許出願前から既に公知技術によって実現されていた作用効果にすぎない。すなわち,アームの付け根の位置を装置全体の中心に近づけるほど同一の旋回半径で搬送距離を長くすることができるということは,複雑な計算をするまでもなく当然の事項であり,当業者はアームの付け根を装置全体の中心に近づける努力をしてきた(乙2,4,7参照 。)原告は,原告代表者の陳述書(甲7)において,コの字型を有するロ() () ボット 従来技術( ) 及び収納角度γを有するロボット 従来技術( )1 2と本件各特許発明とを対比して,本件各特許発明の搬送距離が最も長いと述べる。しかし,上記従来技術( )及び( )においても,両アームの付12け根に存在する胴体部分をさらに回転させて胴体部分の長手方向とアームの伸縮方向を揃えることによって本件各特許発明と同様の搬送距離を得られるものである。上記陳述書に記載されている上記搬送距離の違いは,各装置の構造の違いに由来するものではなく各装置の回転方法に由来するものである。
( ) 争点1-2(イ号物件の構成fが本件特許発明1及び2の各構成要件Fを2充足するか)についてア原告)イ号物件の構成fの「前記第2アーム(6a ,第2アーム(6b)a )及び前記第1アーム(11)と一体の第1の支軸(15)を回動制御するモータ部(23 ,モータ部(30 ,およびモータ部(33 」は, )))本件各特許発明構成要件Fの「駆動制御手段(14 」に該当する。)したがって,イ号物件は本件各特許発明構成要件Fを充足する。
)「駆動制御手段(14 」の位置関係についてb )被告は,構成要件Fの駆動制御手段(14)は,第1の駆動軸(13C)を駆動するモータと第2の駆動軸(13D)を駆動するモータを一つの胴体(棚板,旋回台,支持台等)に搭載する構成の駆動手段を含まない旨主張する。しかし,被告主張のような限定解釈をすべき根拠はない。また,上記のような限定解釈をしなければ,前記1( )ア )@ない1cしBの作用効果を奏することができないということもない。
)「駆動制御手段(14 」の解釈についてc )被告は,本件特許発明構成要件Fにおける「駆動制御手段」は,3個の部分を駆動制御する一つの機構でなければならない旨主張する。しかし,本件明細書には駆動制御手段をそのように限定すべき理由は記載されていない。3個の部分を一つの機構で制御するのか3個の部分を三つの機構で制御するのかは,当業者が適宜選択し得る事項にすぎない。
イ被告)「駆動制御手段(14 」の位置関係についてa )@構成要件Fの駆動制御手段(14)は,第1の駆動軸(13C)を駆動するモータと第2の駆動軸(13D)を駆動するモータを一つの胴体(棚板,旋回台,支持台等)に搭載する構成の駆動手段を含まな。,,(), い 構成要件Eによれば 本件各特許発明は 第1の駆動軸 13C第2の駆動軸(13D)及び共通駆動部(13)のうちの二つあるい() 。 は三つを駆動制御手段 14 により同期して回動させるものであるこのような構成は,第1の駆動軸(13C)を駆動するモータと第2の駆動軸(13D)を駆動するモータを一つの胴体(棚板,旋回台,支持台等)に搭載する構成では実現できないものである。
Aイ号物件は,第2の支軸(16)と第3の支軸(17)を駆動する2台のモータ(23,30)を棚板(24)に搭載しており,第1アーム(11)は,棚板及び駆動制御手段と一体である。したがって,構成要件Fを充足しない。
)「駆動制御手段(14 」の解釈についてb )@構成要件Fの駆動制御手段(14)は,文言上,2個の多関節駆動部(11及び12)と共通駆動部(13)の3個の部分を回動制御するものでなければならない。また,本件明細書の実施例においてもそのような構成が記載されている(図4,9 。),()(), Aイ号物件においては 第2アーム 6a を駆動するモータ 23()()() 第2アーム 6b を駆動するモータ 30 及び第1アーム 11とこれと一体の第1の支軸(15)を駆動するモータ(33)は存在するものの,第2アーム(6a ,第2アーム(6b)及び第1アー )ム(11)とこれと一体の第1の支軸(15)の三つを共通に駆動する制御手段は存在しない。したがって,イ号物件は本件各特許発明構成要件Fを充足しない。
2イ号物件の未完成品の製造ないし販売について直接侵害ないし間接侵害が成立するか(争点2 。)( ) 原告1ア被告は,イ号物件の一部については,第3アーム(3a)及び第3アーム(3b)を欠いた製品(以下「未完成イ号物件」という )を製造し,。
これを国内又は海外に輸出しているから,未完成イ号物件は本件特許発明構成要件AないしD,G及びHを充足しておらず,未完成イ号物件の製造,譲渡,輸出行為は,本件特許権の侵害に当たらない旨主張する。
イ直接侵害の主張仮に,被告の主張どおりであったとしても,本件のようないわゆるメカトロ製品である搬送装置では,製品の搬送の都合等の理由で一部の部品を国内出荷時には取り付けていない状態とされることがあるが,その出荷前に機械系の完成度の確認のために,電気系制御部(制御ソフトを含む)と接続した上で動作確認を行う必要がある。そのため,出荷前には必ず第3アーム(3a)及び第3アーム(3b)を付加した完成品の状態で出荷のチェックがなされる。実際,未完成ロ号物件が,広島県において第3アーム(3a)及び第3アーム(3b)が接続された状態の写真が新聞に掲載されている(甲14 。)このように,被告が,未完成イ号物件について,本件特許発明1のすべての構成要件を充足する形でチェックをしている以上,この段階で本件特許発明1の直接侵害行為が成立しているというべきである。その後,その一部品をはずしたとしても直接侵害を否定する理由にはならない。
間接侵害(特許法101条1号)の主張仮に,未完成イ号物件について直接侵害が成立しないとしても,未完成イ号物件は第3アーム(3a)及び第3アーム(3b)以外のイ号物件の構成を備えているのであるから,他用途があり得るはずがなく,イ号物件の生産にのみ用いられることは明らかであり,間接侵害(特許法101条1号)が成立する。
なお,未完成イ号物件の一部は,海外に輸出されていることから,間接侵害に関する従属説の立場からはこのような場合に間接侵害が成立するのか問題になり得る。しかし,間接侵害における従属説や独立説の対立はあるとしても,実際の解釈としては,その折衷的な立場が採られているところであり,従属説に立つからといって輸出の場合には間接侵害が成立しないという結論が必然的に導かれるものではない。
本件における未完成イ号物件については,第3アーム(3a)及び第3アーム(3b)を欠くとしても,本件特許発明1の特徴である共通駆動部等その主要な構成を備え,かつ,第3アーム(3a)及び第3アーム(3b)を備え付けられるような構造として輸出しているのであるから,いわば完成品として必要な部品をすべて日本で生産し,部品として輸出してその組み立てを海外で行っているというにすぎないのであり,実質的に日本で発明が実施されているのと同視でき,単に形式的に直接侵害が外国で行われているというにすぎない。したがって,未完成イ号物件については間接侵害が成立する。
( ) 被告2ア未完成イ号物件は,第3アーム(3a)及び第3アーム(3b)を欠く状態で輸出される。
,, , したがって 未完成イ号物件は 本件特許発明1の構成要件AないしDG及びHを欠いている。
イ直接侵害の主張について原告は,未完成イ号物件においても,日本において欠けている部品を組み合わせた上での駆動検査等を行っているはずであるから,日本における直接侵害が成立する旨主張する。
確かに,被告は,未完成イ号物件について出荷前に部品を取り付けた上で検査を行っているが,この際に取り付ける部品は完成品に取り付ける部品ではなく,あくまで検査用の部品である。甲14において撮影されている部品は,第3アーム(3a)及び第3アーム(3b)ではなくエンドエフェクターと呼ばれる搬送部に相当する部品である。そもそも,仮に完成品に取り付けるのと同様の部品を取り付けて検査していたとしても,そのような一時的な取り付け行為をもって完成品の「生産」をしたということはできない。
間接侵害(特許法101条1号)の主張について特許法101条1号の「その物の生産にのみ用いる物」にいう「生産」とは,日本国内におけるものに限られると解すべきである。間接侵害規定は特許権の効力を拡張するものではなく,その効力の実効性を実質的に確保するための制度であるとされている。ところが,外国で生産される物についてまで「その物の生産にのみ用いる物」であるとして特許権の効力を及ぼすと,日本の特許権者が本来当該特許権によって及ぼし得ないはずの外国における実施行為(生産)にまで効力を及ぼすのと同等の結果を招来することになってしまい妥当でない。
そして,未完成イ号物件のうち海外に輸出されているものについては,イ号物件の構成を完成させる「生産」行為は外国で行われているのであるから,かかる未完成イ号物件の製造,譲渡行為は,本件特許権の侵害には当たらない。
この点について,原告は,未完成イ号物件のうち輸出されているものについて,完成品として必要な部品をすべて日本で生産し,部品として輸出してその組み立てを海外で行っているにすぎず,実質的にみて直接侵害と同視し得るのであるから間接侵害が成立する旨主張する。しかし,未完成イ号物件において欠けている部品等は,外国で製造されているものであって,日本ですべての部品を生産しているという事実はない。
3ロ号物件が本件特許発明1及び2の技術的範囲を充足するか( ) ロ号物件の構成eが本件特許発明1及び2の各構成要件Eを充足するか1(争点3-1)ア原告)ロ号物件の構成eの「支持筒(10a 」及び「支持筒(10b 」はa ))「()」「()」 構成要件Eの 第1の固定軸 13A及び 第2の固定軸 13Bに,ロ号物件の構成eの「第2の支軸(16 」及び「第3の支軸(1 )7 」は構成要件Eの「第1の駆動軸(13C 」及び「第2の駆動軸 ) )(13D 」に,ロ号物件の構成eの「第1アーム(11)と該第1ア )ーム(11)と一体の第1の支軸(15 」は,構成要件E「共通駆動 )部(13 」にそれぞれ該当する。したがって,ロ号物件は構成要件E )を充足する。
)被告は,構成要件Eの「共通駆動部(13)は,第1の駆動軸(13bC)と第2の駆動軸(13D)を有する」の意味について,イ号物件におけると同様に限定解釈をすべきであると主張する。これに対する原告の反論は,前記1( )ア )及び )記載のとおりである。
1bc「()」「()」 c)ロ号物件が 第1の駆動軸 13C及び 第2の駆動軸 13Dを有するかについて被告は,ロ号物件において原告が駆動軸であると主張する第2の支軸(16)と第3の支軸(17)はモータの回転シャフトであって駆動軸ではないと主張する。
しかし,ロ号物件説明書の図3を一見して明らかなとおり,第2の支軸(16)と第3の支軸(17)は,それぞれ第2アーム(6a (6)b)に回転力を与える駆動軸である。被告自身が出願し,本件特許出願と内容をほぼ等しくする発明にかかる甲5公報においては,ロ号物件の第2の支軸(16)と第3の支軸(17)に対応する部材を第2アーム支軸(9a ,第2アーム支軸9bとしており,また,同請求項5の記 )載においては「・・・く字状に形成した第1アームを取付け,該第1アームの両端部に対し第2アームを回動させる支軸及びモーターを取付けた・・・」と記載しており,モータの軸のことを「第2アームを回動させる支軸」として 「モーター」の一部としてではなく 「支軸」とし , ,て扱っていることからも被告の主張の不当性は明らかである。
イ被告)ロ号物件は 構成要件Eの 共通駆動部 13 は 第1の駆動軸 1a ,「() ,(3C)と第2の駆動軸(13D)を有する」という構成を有さない点で構成要件Eを充足しないことについては,前記1( )イ記載のとおりで1ある。
ロ号物件においては,モータ部(23,30,33)は,第1アーム(11)の下側に設置されている。このような構成においては,本件明細書【0019】以下に記載されているような動作をすることは不可能である。
「()」「()」b)ロ号物件が 第1の駆動軸 13C及び 第2の駆動軸 13Dを有するかについて@構成要件Eの記載によれば 「第1の駆動軸(13C 」及び「第 , )()」 ,「」, 2の駆動軸 13Dは 多関節駆動部に回転力を 与える ものすなわち,多関節駆動部に回転力を「伝える」ものである。回転力を伝える機構と動力そのものを発動する機構とは区別されるべきであるから,動力を発動するモータの一部を構成するモータの軸等は,上記各「駆動軸」には当たらないと解釈すべきである。
Aロ号物件において,原告が本件各特許発明の「駆動軸」に相当するものと主張する「第2の支軸(16 」及び「第3の支軸(17 」 ) )は,モータの回転シャフトであって,モータの一部であるから,本件各特許発明構成要件Eの「駆動軸」に当たらない。
( ) ロ号物件の構成fが本件特許発明1及び2の各構成要件Fを充足するか2(争点3-2)ア原告)ロ号物件の構成fの「前記第2アーム(6a ,第2アーム(6b)a )及び前記第1アーム(11)と一体の第1の支軸(15)を回動制御するモータ部(23 ,モータ部(30 ,およびモータ部(33 」は, )))本件各特許発明構成要件Fの「駆動制御手段(14 」に該当する。)したがって,ロ号物件は,本件各特許発明構成要件Fを充足する。
)被告は,構成要件Fの駆動制御手段(14)と共通駆動部(13)のb関係について,イ号物件におけると同様に限定解釈をすべきであると主張する。これに対する原告の反論は,前記1( )ア )及び )記載のとお2bcりである。
,,,() なお ロ号物件においては イ号物件と異なり 駆動制御手段 14に相当するモータ部(23,30,33)は,共通駆動部に相当する第1アーム(11)の下側に設置されている。しかし,この点についてイ号物件のような構成を採用するかロ号物件のような構成を採用するかで作用効果に差がないことは,甲5公報にモータを共通駆動部の下に設けた場合(上記公報の図9及び図10)と共通駆動部とは別に設けた場合(上記公報の図2及び図8)とで何ら作用効果に差異がないと記載されていることからも明らかである。
イ被告, 。 構成要件Fの解釈についての被告の主張は 前記1( )イと同様である 2ロ号物件においては,両アームを作動させるモータはブーメランアームの下面に取付けられており,共通駆動部に相当するブーメランアームを作動させるモータは基台の中に設置されている。したがって,ロ号物件は,両アーム及び共通駆動部の三つを駆動制御する手段がないから構成要件Fを充足しない。
4ロ号物件の未完成品の製造ないし販売について直接侵害ないし間接侵害が成立するか(争点4 。)( ) 原告1ア被告は,ロ号物件の一部については,第3アーム(3a)及び第3アーム(3b)を欠き,かつ,構成要件Fに記載された各部の回動を個別に制御するコンピュータ,コントローラ,ドライバ,ソフトウェア等を欠いた製品(以下「未完成ロ号物件」という )を製造し,これを海外に輸出し 。
ていると主張し,したがって,未完成ロ号物件は本件各特許発明のすべての構成要件を充足しておらず,未完成ロ号物件の製造,輸出行為は,本件各特許権の侵害に当たらない旨主張する。
イ直接侵害の主張仮に,被告の主張どおりであったとしても,本件のようないわゆるメカトロ製品である搬送装置では,製品の搬送の都合等の理由で一部の部品を国内出荷時には取り付けていない状態とされることがある。しかし,その出荷前に機械系の完成度の確認のために,電気系制御部(制御ソフトを含む)と接続した上で動作確認を行う必要があり,そのため,出荷前には必ず第3アーム(3a)及び第3アーム(3b)を付加した完成品の状態で出荷のチェックがなされる。実際,未完成ロ号物件が,広島県において第3アーム(3a)及び第3アーム(3b)が接続された状態の写真が新聞に掲載されている(甲14 。)このように,被告が,未完成ロ号物件について,出荷前にすべての構成要件を充足する形でチェックしている以上,この段階で本件各特許発明の直接侵害行為が成立しているというべきである。その後,その一部品をはずしたからといって直接侵害を否定する理由はない。
間接侵害(特許法101条1号)の主張仮に,未完成ロ号物件について直接侵害が成立しないとしても,未完成ロ号物件は第3アーム(3a)及び第3アーム(3b)並びにモータを制御するコンピュータ以外のロ号物件の構成を備えているのであるから,他用途があり得るはずがなく,ロ号物件の生産にのみ用いられることは明らかであり,間接侵害(特許法101条1号)が成立する。
未完成ロ号物件は,海外に輸出されていることから,間接侵害に関する従属説の立場からはこのような場合に間接侵害が成立するのか問題になり得る。しかし,間接侵害における従属説や独立説の対立はあるとしても,実際の解釈としては,その折衷的な立場が採られているところであり,従属説に立つからといって輸出の場合には間接侵害が成立しないという結論が必然的に導かれるものではない。
,()() 未完成ロ号物件については 第3アーム 3a 及び第3アーム 3bやコンピュータ等を欠くとしても,本件各特許発明の特徴である共通駆動部等その主要な構成を備え かつ 第3アーム 3a 及び第3アーム 3 ,,()(b)やコンピュータ等を備え付けられるような構造として輸出しており,しかもコンピュータ,ソフトウエア等の制御関係については被告が設計しているのであるから,いわば完成品として必要な部品をすべて日本で生産し,部品として輸出してその組み立てを海外で行っているというにすぎないのであるから,実質的に日本で発明が実施されているのと同視できる。
単に形式的に直接侵害が外国で行われているというにすぎない。したがって,未完成ロ号物件については間接侵害が成立する。
( )被告2ア未完成ロ号物件は,第3アーム(3a)及び第3アーム(3b)を欠く状態で輸出される。また,本件各特許発明における「多関節駆動部」は,第1の駆動軸(13C ,第2の駆動軸(13D)及び共通駆動部の回動 )を個別に制御するものであるところ(本件明細書【0013,未完成】)ロ号物件は,モータそのものを備えているものの,上記のような制御を行うコンピュータコントローラ,ドライバ,ソフトウェアを有していない状態で輸出される。
したがって,未完成ロ号物件は,本件各特許発明構成要件のすべてを欠いている。
イ直接侵害の主張について原告は,未完成ロ号物件においても,日本において欠けている部品を組み合わせた上での駆動検査等を行っているはずであるから,日本における直接侵害が成立する旨主張する。
確かに,被告は,未完成ロ号物件について日本において部品を取り付けた上で検査を行っているが,この際に取り付ける部品は完成品に取り付ける部品ではなく,あくまで検査用の部品である。甲14において撮影されている部品は,第3アーム(3a)及び第3アーム(3b)ではなくエンドエフェクターと呼ばれる搬送部に相当する部品である。特にコンピュータやこれに搭載するソフトウェアの内容は完成品に取り付けるものとは異なっている。そもそも,仮に完成品に取り付けるのと同様の部品を取り付けて検査していたとしても,そのような一時的な取り付け行為をもって完成品の「生産」をしたということはできない。
間接侵害(特許法101条1号)の主張について特許法101条1号の「その物の生産にのみ用いる物」にいう「生産」は日本国内におけるものに限られると解すべきである。間接侵害規定は特許権の効力を拡張するものではなく,その効力の実効性を実質的に確保するための制度であるとされている。ところが,外国で生産される物についてまで「その物の生産にのみ用いる物」であるとして特許権の効力を及ぼすと,日本の特許権者が本来当該特許権によって及ぼし得ないはずの外国における実施行為(生産)にまで効力を及ぼすのと同等の結果を招来することになってしまい妥当でない。
そして,未完成ロ号物件においては,ロ号物件の構成を完成させる「生産」行為は外国で行われているのであるから,かかる未完成ロ号物件の製造,譲渡行為は,本件特許権の侵害には当たらない。
この点について,原告は,未完成ロ号物件について,完成品として必要な部品をすべて日本で生産し,部品として輸出してその組み立てを海外で行っているにすぎず,実質的にみて直接侵害と同視し得るのであるから間接侵害が成立する旨主張する。しかし,未完成ロ号物件において欠けている部品等は,外国で製造されているものであって,日本ですべての部品を生産しているという事実はない。また,本件特許発明1は訂正の前後を問わず各部材の動きを構成要件中にとりこむものである。逆にいえば,各部材の形状が同じであっても,制御内容が異なれば本件特許発明1の実施品にはならない。そうすると,そのような制御を実現する「駆動制御装置」を欠いている未完成ロ号物件は,本件特許発明1以外の用途に使用されることもあり得るというべきである。
5本件特許発明1に係る特許が特許無効審判により無効とされるべきものといえるか(争点5 。)( ) 本件特許発明1が特開平4-30447号公報(乙1)に記載された発明1と同一又は当該発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものといえるか(争点5-1 。)ア被告(。「」。), 特開平4-30447号公報 乙1 以下 乙1公報 というには次のような構成を有する発明(以下「乙1発明」という )が記載されて。
いる(乙1公報3頁右下欄下から8行ないし最終行,第1図,第3図 。)本件特許発明1は,乙1発明と同一か,又は進歩性がない。なお,下記の() 「」, 構成のうち内に記載した構成を除く主張部分を 被告主張1 といい()内に記載した構成に係る主張部分を「被告主張2」という。
「基板保持部60bと,基板保持部60bの回転面に対して上側に位置するように高さを規定した基板保持部60aと,基板保持部60bを一方向に伸縮する移し換えアーム30(又は左平行リンク機構50)と,基板保持部60aを一方向に伸縮する移し換えアーム20(又は右平行リンク機構50)と,移し換えアーム30の回動中心となる左リンク41の根元のピン(又は左リンク52の根元のピン)と,移し換えアーム20の回動中心となる右リンク41の根元のピン(右リンク52の根元のピン)とを有し,かつ,前記移し換えアーム30に回転力を与える左駆動軸43と前記移し換えアーム20に回転力を与える右駆動軸43とを有する旋回台10(又は旋回台10及び左右リンク機構40)と,前記移し換えアーム30,移し換えアーム20及び旋回台10を回動制御する左右の駆動モータ44,旋回台用駆動モータ11及び歯車機構12とを備え,前記基板保持部60b及び前記基板保持部60aを前記旋回台10の上部に縮めたとき,前記基板保持部60bと前記基板保持部60aとを高低差をもって重なるようにした基板の移し換え装置」イ原告)本件特許発明1と上記乙1発明の共通点a被告主張1に対しては,本件特許発明1が乙1発明と,構成要件A,B,G及びHの構成で一致することは認める(乙1発明の「基板保持部60bと,基板保持部60bの回転面に対して上側に位置するように高さを規定した基板保持部60aとを有する」構成が構成要件A及びBに相当し,乙1発明の「前記基板保持部60b及び前記基板保持部60aを前記旋回台10の上部に縮めたとき,前記基板保持部60bと前記基板保持部60aとを高低差をもって重なるようにした基板の移し換え装置」の構成が構成要件G及びHに相当する。。)被告主張2に対しては,本件特許発明1が乙1発明と,構成要件AないしD,G及びHの構成で一致することは認める(乙1発明の「基板保持部60bを一方向に伸縮する左平行リンク機構50と,基板保持部60aを一方向に伸縮する右平行リンク機構50」の構成が構成要件C及びDに相当する。。))本件特許発明1と乙1発明の相違点b被告主張1に対しては,乙1発明は構成要件C,D,E及びFの構成を有しない。また,被告主張2に対しては,乙1発明は構成要件E及びFの構成を有しない。なお,このことは,被告自身の出願に係る甲5公報の【0003】ないし【0008】にも記載されていることである。
@構成要件Cについて被告は,乙1発明の「基板保持部60bを一方向に伸縮する移し換えアーム30(又は左平行リンク機構50 」が構成要件Cの「第1 )の搬送部(15)を一方向に伸縮する第1の多関節駆動部(11 」)に相当する旨主張する。
しかし 乙1発明の 移し換えアーム 30と 基板保持部 6 ,「()」 「(0bとの連結関係は 本件特許発明1における 第1の搬送部 1 )」,「(5 」と「第1の多関節駆動部(11 」との連結関係と異なること ) )は本件明細書の図1と乙1公報の第1図とを比較すれば明らかである。
仮に,乙1発明において,本件特許発明の「第1の多関節駆動部」に相当する部材をいうのであれば 「平行リンク機構50」であるこ ,とは明らかである。
A構成要件Dについて被告は,乙1発明の「基板保持部60aを一方向に伸縮する移し換えアーム20(又は右平行リンク機構50 」が構成要件Dの「第2 )の搬送部(16)を一方向に伸縮する第2の多関節駆動部(12 」)に相当する旨主張する。
しかし 乙1発明の 移し換えアーム 20と 基板保持部 6 ,「()」 「(0aとの連結関係は 本件特許発明1における 第2の搬送部 1 )」,「(6 」と「第2の多関節駆動部(12 」との連結関係と異なること ) )は本件明細書の図1と乙1公報の第1図とを比較すれば明らかである。
仮に,乙1発明において,本件特許発明の「第2の多関節駆動部」に相当する部材をいうのであれば 「平行リンク機構50」であるこ ,とは明らかである。
B構成要件Eについて乙1発明の 左駆動軸 43が構成要件Eの 第1の駆動軸 1 「()」「(3C 」に,乙1発明の「右駆動軸(43 」が構成要件Eの「第2 ) )の駆動軸(13D 」に,それぞれ当たることは認める。 )しかし,被告主張1に対しては,乙1発明の「リンク(41)の根元ピン」が構成要件Eの「第1の固定軸(13A 」及び「第2の固)定軸(13B 」に当たることは否認する。また,被告主張2に対し )ても,乙1発明の「左リンク52の根元のピン」及び「右リンク52の根元のピン」が構成要件Eの「第1の固定軸(13A 」及び「第)2の固定軸(13B 」に当たることは否認する。 ),,「()」 仮に 乙1発明において 構成要件Eの 第1の固定軸 13A及び 第2の固定軸 13B に相当する部材をいうのであれば左 「() ,「リンク52」及び「右リンク52」であることは明らかである。
また,乙1発明の「旋回台(10 」が本件特許発明の「共通駆動 )部(13 」に当たることは否認する。本件特許発明の「共通駆動部 )(13 」は,第1の固定軸(13A ,第2の固定軸(13B ,第 ) ))1の駆動軸(13C)及び第2の駆動軸(13D)を有するところ,乙1発明の「旋回台(10 」は,第1の固定軸(13A)に相当す )る左リンク52と,第2の固定軸(13B)に相当する右リンク(52)とを有していない。また,構成要件Eの「共通駆動部(13 」)は,装置の旋回運動のみならず,アームの伸縮運動においても駆動するものであるところ,乙1発明の「旋回台(10 」は装置の旋回運)動においてのみ駆動するものであって,アームの伸縮運動に全く使用されないものである。
被告は,被告主張1において「旋回台10及び左右のリンク機構40」が構成要件Eの「共通駆動部(13 」である旨主張する。しか )し,構成要件Eの「共通駆動部(13 」は単一部材からなるもので )あるところ,乙1発明の「左リンク(52 」を有する「左平行リン )ク機構(40 」と「右リンク(52 」を有する「右平行リンク機 ))構(40 」は 「旋回台(10 」とは全く別部材として構成されて ),)いるから,この点において構成要件Eの「共通駆動部(13 」に当)たるとはいえない。
C構成要件Fについて乙1発明の 左右の駆動モータ 44旋回台用駆動モータ 1 「()」,「(1 」及び「歯車機構(12 」が,本件特許発明の「駆動制御手段 ) )(14 」に当たることは否認する。上記のとおり,乙1発明は 「共 ) ,通駆動部」を有していないから,これを駆動制御する手段である「駆動制御装置」を有していない。
( ) 本件特許発明1が特開平2-83182号公報(乙2)に記載された発明2と同一又は当該発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものといえるか(争点5-2 。)ア被告)特開平2-83182号公報(乙2。以下「乙2公報」という )にa 。
は,次のような構成を有する発明(以下「乙2発明」という )が記載。
されている。
「試料を保持するハンドを備えた第1及び第2のアームからなるハンドリングユニットにおいて,前記第1のアームは第1の回転軸5によって伸縮動せしめられ,第2のアームは第2の回転軸6によって伸縮動せしめられ,また第1および第2のアームは第3の回転軸7によって同時に回転動せしめられ,更に前記第1,第2および第3の回転軸は同軸的に配設されていることを特徴とするハンドリングユニット」)本件特許発明1と上記乙2発明の共通点は,次のとおりである。
b@乙2発明の「第1のアーム」に備わるハンド42は,本件特許発明1の「第1の搬送部(15 」に相当する。)A乙2発明の「第2のアーム」に備わるハンド62は,本件特許発明1の「第2の搬送部(16 」に相当する。)B乙2発明の「第1のアーム」のうち「第1の回転軸によって伸縮動せしめられ」るアーム(例えば,乙2公報の第2図の中空状カバー37)は,本件特許発明1の「第1の搬送部(15)を一方向に伸縮する第1の多関節駆動部(11 」に相当する。)C乙2発明の「第2のアーム」のうち「第2の回転軸によって伸縮動せしめられ」るアーム(例えば,乙2公報の第2図の中空状カバー57)は,本件特許発明1の「第2の搬送部(16)を一方向に伸縮する第2の多関節駆動部(12 」に相当する。)D乙2発明の 筒体35 及び 筒体55 は 本件特許発明1の 第 「」「」 ,「() ()」 1の多関節駆動部 11 の回動中心となる第1の固定軸 13A及び 第2の多関節駆動部 12 の回動中心となる第2の固定軸 1 「() (3B 」に相当する(乙2公報535頁左上欄1ないし2行目,同2 )0行目,第6図,第7図 。)E乙2発明の「第1の回転軸5」及び「第2の回転軸6」は,本件特「()」「()」 許発明1の 第1の駆動軸 13C及び 第2の駆動軸 13Dに相当する。
F乙2発明の第1,第2,第3の回転軸が「同軸的に配設され」た部材全体(例えば,乙2公報の第2図,第6図における中空状カバー30,同50及び筒体35,55を含む)は,本件特許発明1の「共通駆動部(13 」に相当する。)この点について,原告は 「共通駆動部(13 」は単一部材でな ,)ければならないと主張する。しかし,本件特許発明1のクレームにはそのような限定はない。仮にそのような限定があったとしても,別部材を単一部材にすることは当業者が容易に想到し得ることである。共通駆動部を単一部材で構成する発明は本件特許出願前に頒布された刊行物である特開昭63-288677公報(乙4。以下「乙4公報」。)( , というにおいて開示されている 乙4公報3頁右上欄13行以下第4図,第5図 。)G乙2発明の第1のモーター8,第2のモーター9及び第3のモーター10は,本件特許発明1の「第1の多関節駆動部(11 ,第2の)多関節駆動部(12)及び共通駆動部(13)を回動制御する駆動制御手段(14 」に相当する(乙2公報の534頁左下欄8ないし1 )1行目 。)H乙2発明の「ハンドリングユニット」は,本件特許発明1の「多関節搬送装置」に相当する。
)本件特許発明1と乙2発明の相違点は,次の2点である。
c@本件特許発明1においては,第1の搬送部(15)の回転面に対して上又は下側に位置するように第2の搬送部(16)の高さが規定されているのに対し,乙2発明においては第1の搬送部と第2の搬送部の回転面の高さが同一である点A本件特許発明1においては,第1の多関節駆動部と第2の多関節駆動部は,共通駆動部と同時又は別々に回動されるのに対し,乙2発明においては第1のアーム及び第2のアームは,第3の回転軸によって常に同時に回動させられる点)相違点についての評価d@上記相違点@の構成は,本件特許出願当時,既に公知であった。
例えば,乙4公報に記載されている。
A上記相違点Aは,本件特許発明1と被告各製品との相違点でもあるが,原告は,かかる相違点は本件特許発明の特徴的部分ではないと主張している。
そうすると,本件特許発明1は,乙2発明と同一又は当該発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものといえるから,特許無効審判により無効とされるべきものと認められる(特許法29条2項,1項3号,123条1項2号 。したがって,原告は,被告に対 )して本件特許権を行使することができない(特許法104条の3 。)イ原告)本件特許発明1が乙2発明と構成要件ACHの構成前記ア )a b ,,,(@,B及びH)において共通することは認める。
)しかし,本件特許発明1と乙2発明は,次の3点において相違する。
b@乙2発明は 「第1の搬送部の回転面に対して上又は下側に位置す ,」。, るように高さを規定した第2の搬送部 を有していない したがって乙2発明は,構成要件B,Gのみならず,構成要件D,Fの構成を有しない点で本件特許発明1と異なる。
A乙2発明は 「共通駆動部」を有していない。したがって,乙2発 ,明は,構成要件E(前記ア)F)の構成を有しない点で本件特許発b明1と異なる。
被告は,乙2発明の中空状カバー(30,50)及び筒体(35,55)を含むいくつかの部材を併せたものが本件特許発明1の共通駆動部(13)に当たると主張する。
しかし,本件特許発明1の共通駆動部(13)は単一部材として構成されており,その全体が一体として駆動するものである。乙2発明においては伸縮運動において,中空状カバー30,同37及びハンド42からなる第1アームは第1の回転軸5により駆動され,中空状カバー50,同57及びハンド62からなる第2アームは第2の回転軸6により駆動される。このように別部材で構成され,別個に駆動される複数の部材が本件特許発明の共通駆動部に当たらないことは明らかである。
乙2発明の第1のアームと第2のアームは,第3の回転軸7によって同時に回動せしめられるが,第3の回転軸7による回動は,伸縮運動においてなされるものではなく,伸縮運動と伸縮運動の合間にロボット全体を旋回させるものにすぎない。本件特許発明1における「共通駆動部」の軸部分は伸縮運動にも旋回運動にも関与するものであるから,乙2発明における第3の回転軸とはその機能を異にする。
B乙2発明に共通駆動部が存在しない以上,共通駆動部を駆動させるモータ14に相当する構成も存在しない。
Cなお,被告は,乙2発明においては「第1のアーム及び第2のアームは,第3の回転軸によって常に同時に回動させられる点」が被告各製品と共通しており,かつ本件特許発明との相違点であるなどと主張する。しかし,被告の主張する上記構成は本件特許発明の特許請求の範囲に記載された要件ではなく,上記被告主張の趣旨は不明である。
)相違点についての評価c被告は,上記相違点@の構成について,各ウエハ搬送部の位置を上下にずらして相互に干渉を回避する構成は乙4公報に開示された周知手段であり,乙2発明に乙4公報に開示された周知技術を組み合せることは極めて容易であると主張する。
しかし,乙2発明は,アームの位置を反対向きにすることにより各アームが他方のアームに干渉されることなく独立に動作できるという効果を奏する発明である(乙2の4頁右欄1ないし7行,第4図 。乙2公)報には,乙4公報に開示された発明と組み合せる動機付けがないばかりか,組み合わせを阻害する理由が明確に記載されているといえる。乙4公報に記載されたロボットは,左右それぞれ二つの駆動部しか有しないものであり,その共通アームは,本件特許発明1の「共通駆動部」とは異なる。仮に,共通駆動部が乙4公報により公知であったとしても発明の一部が個別に公知であることが進歩性を否定する理由にならないことは明らかである。
( ) 本件特許発明1が特開平5-109866号公報(乙7)に記載された発3明と同一又は当該発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものといえるか(争点5-3 。)ア被告)特開平5-109866号公報(乙7。以下「乙7公報」という )a 。
には,次のような構成を有する発明(以下「乙7発明」という )が記。
載されている。
「a第1ウォンド(17)と,b第1ウォンドの回転面に対して上ま() (), たは下に位置するように高さを規定した第2ウォンド 32 と 図2() ,() ,() c第2アーム 11 と d第5アーム 26 と e第5シャフト 8の軸受けと第7シャフト(23)の軸受けを有し,かつ,第2中空シャ(),() (), フト 3第3中空シャフト 4 とを有する第1中空シャフト 2第1アーム(7 ,第4アーム(22)と,f第1モータ(35)から )第4モータ(44)までを有し,g第1ウォンド(17)と,第2ウォンドを第1中空シャフト(2 ,第1アーム(7 ,第4アーム(22) ))の上に縮めたとき,前記第1第1ウォンドと第2ウォンドとを高低差をもって重なるようにした,hウエハ移載ロボット」)本件特許発明1と上記乙7発明は,同一の構成を有している。乙7発b明の「第1中空シャフト(2「第1アーム(7 」及び「第4アー )」,)ム(22 」の三つを併せた構成が,本件特許発明の「共通駆動部」に )当たる。
この点について,原告は 「共通駆動部(13 」は単一部材でなけ ,)ればならないと主張する。しかし,本件特許発明1の特許請求の範囲にはそのような限定はない。
)仮に,原告の主張するように,本件特許発明1の「共通駆動部」が単c一部材からなるものでなければならないと解釈し,単一部材からなる共通駆動部を有しない点で乙7発明と本件特許発明1が相違すると仮定したとしても,別部材を単一部材にすることは当業者が容易に想到し得ることである。共通駆動部を単一部材で構成する発明は本件特許出願前に頒布された刊行物である乙4公報において開示されている(乙4公報3頁右上欄13行以下,第4図,第5図 。)原告は,本件特許発明1においては,単一部材からなる共通駆動部を設け,これをアームの伸縮運動においても駆動させるとともに,伸縮運動のための回転中心と旋回運動のための回転中心を同一にすることによって,搬送距離を伸ばし,被搬送物がアームと衝突することを避けるという作用効果を初めて奏し得る旨主張する。
しかし,上記のような衝突回避は,必ずしも単一部材からなる共通駆動部を有しない本件特許出願前の従来技術においても達成し得る。すなわち,乙7発明においては,一方のアームが一定の運動をする間,他方のアームに退避運動をさせることにより上記の効果は容易に達成できる。また,本件特許出願前の公知技術である乙2発明においては,左右のアームの一部が共通であるため,当該共通部分を運動させることによって,一方のアームが一定の運動をする間,他方のアームが退避運動を行う。このように,乙2発明及び乙7発明において,原告主張のようにアームの一部が共通に構成された場合と同じ動きをさせることは可能である。
また,伸縮運動の為の回転中心と旋回運動のための回転中心を同一にすることも本件特許出願前から公知であった。アームの付け根の位置を装置全体の中心に近づけるほど同一の旋回半径で搬送距離を長くすることができるということは当然の事項であり,当業者はアームの付け根を装置全体の中心に近づける努力をしてきた。実際,乙7発明のほか,乙2発明及び乙4発明においても,アームの付け根を装置全体の中心と一致させている。
イ原告)本件特許発明1が乙7発明と,構成要件AないしD,G及びHの点でa共通することは認める。
)しかし,本件特許発明1と乙7発明は,次の2点において相違する。
b@乙7発明は本件特許発明1の「共通駆動部」を有しない点で相違する。
,「()」,「()」 被告は 乙7発明の 第1中空シャフト 2第1アーム 7「()」「()」 及び 第4アーム 22が本件特許発明1の 共通駆動部 13に当たる旨主張する。
しかし,本件特許発明1の共通駆動部(13)は単一部材として構成されており,その全体が一体として回動するものである。乙7発明においては第1中空シャフト 2第1アーム 7及び 第 ,「()」,「()」「4アーム(22 」はそれぞれ別部材で構成され,個別に駆動される )ものである。
A乙7発明は本件特許発明1の「駆動制御手段」を有しない点で相違する。
,「()() 被告は 乙7発明の 第1モータ 35 ないし第4モータ 44及び第1歯車(33)ないし第8歯車(43 」などが,本件特許発 )明の「駆動制御手段」に当たる旨主張する。
しかし,上記のとおり,乙7発明は「共通駆動部」を有していないから,この「共通駆動部」を回動制御する「駆動制御手段」も有していない。また,本件特許発明1の「駆動制御手段」はアームの伸縮運動に寄与するものであるところ,乙7発明の「第1モータ(35,)」「第3モータ(41 」及びこれらとの関係で必要とされる歯車は, )アームの伸縮運動には寄与しないから,本件特許発明1の「駆動制御手段」とは言い難い。そもそも,乙7公報に記載されたロボットは,アームの伸縮運動のために左右二つのモータが必要であり(第4モータ44及び第2モータ38 ,さらに旋回運動のためにも左右二つの )モータが必要である(第1モータ35及び第3モータ41 。このよ)うに,乙7公報に記載されたロボットは合計四つのモータが必要であるが,本件特許発明1に係る搬送装置においては,モータは合計三つで済む。本件特許発明1においては,左右のアームは同一のウエハカセットに向かって動くのに対し,乙7発明は左右のウォンドが別々のウエハカセットに向かって動く。また,乙7発明においては,それぞれのアームは連動することなく動作するのに対し,本件特許発明1においては,共通駆動部を設けることにより左右のアームを連動させ,一体的に制御することを可能にしたものである。このように,根本的に異なる動きをする各装置の駆動制御手段は明らかに相違するものである。
)相違点についての評価c@被告は,単一部材からなる共通駆動部を有しない点で乙7発明と本件特許発明1が相違すると仮定したとしても,別部材を単一部材にすることは当業者が容易に想到し得る旨主張する。
しかし,乙7発明は,左右のウォンドが別々のウエハカセットに向かって動く装置であるから,左右ウォンドが相互に自由に運動できる構成を確保する必要がある。被告が併せて共通駆動部に相当すると主張する各部材を共通駆動部として使用するという動機付けはなく,むしろ単一部材からなる共通駆動部を設けることを阻害する事由が存在する。
被告は,乙4公報に左右アームの一部が共通であるロボットが記載されていることをもって,上記別部材を単一部材にすることは当業者が容易になし得ることである旨主張する。しかし,乙4公報に記載さ, , れたロボットは 左右それぞれ二つの駆動部しか有しないものでありその共通アームは,本件特許発明1の「共通駆動部」とは異なる。仮に,共通駆動部が乙4公報により公知であったとしても発明の一部が個別に公知であることが進歩性を否定する理由にならないことは明らかである。
なお,被告は,原告が共通駆動部を設けることによって被搬送物がアームと衝突することを避けることができる旨主張したことを前提に, 。 これに対する反論をしているが 原告はそのような主張はしていない原告が主張しているのは,本件特許発明においては,共通駆動部により左右のアームを一体的に制御するため,第2の搬送部が衝突退避位置からホームポジションに復帰するまでの動作と第1の搬送部が搬送先からホームポジションに復帰するまでの動作が同時に行なわれ,第1の搬送部がホームポジションに戻ってきたときにはもはや何らの旋回を行うことなく第2の搬送部による搬送が可能な状態になっているということである。
A乙7発明に係る装置は,左右に三つのアームを別々に備える搬送装置であって共通駆動部がなく,それぞれのアームは連動することなく動作する。これに対し,本件特許発明1に係る搬送装置は,共通駆動部を設けることにより,左右のアームを連動させ,一体的に制御することが可能であり,技術思想を異にしている。乙7発明においては,アームの伸縮運動のために左右二つのモータが必要であり(第4モータ44及び第2モータ38 ,さらに旋回運動のためにも左右二つの )モータが必要であるため(第1モータ35及び第3モータ41 ,合)計四つのモータが必要であるが,本件特許発明1にかかる搬送装置においては,モータは合計三つで済む。乙7発明の駆動装置として本件,, 特許発明1の駆動制御部分を採用するという動機付けはなく むしろこれを阻害する事由が存在するといえる。
( ) 本件特許発明1が昭和60年9月1日発行の雑誌「自動化技術 (乙114 」の1)に記載された「Wアーム式ローディン装置」に基づいて当業者が容易に発明することができたものといえるか(争点5-4 。)ア被告)雑誌「自動化技術 (1985年9月号,乙11の1。以下「乙11 a 」雑誌」という )には,次の構成の装置(以下「乙11装置」という ) 。 。
が掲載されている。なお,乙11の2の図(以下「乙11模式図」という )は,被告が作成した乙11装置の模式図である。 。
「ハンド付左パイプアーム(15)と,ハンド付右パイプアーム(16)と,ハンド付左パイプアーム(15)を一方向に伸縮する左コンロッド(11)と,ハンド付右パイプアーム(16)を一方向に伸縮させる右コンロッド(12)と,前記左コンロッド(11)の回動中心となる固定軸(13A)と,前記右コンロッド(12)の回動中心となる固定軸(13B)とを有し,かつ,左コンロッド(11)の回転の中心となる左パイプアーム(15)の根元の第1駆動軸(13C)と,右コンロッド(12)の回転の中心となる右パイプアーム(16)の根元の第1駆動軸 13D とを有する揺動アーム 13 と 左コンロッド 1 ()() ,(1 ,右コンロッド(12)及び揺動アーム(13)を回動制御する加 )減速ロータリーアクチュエータ(14)とを備えたダブルアーム式ローディン装置」)相違点及び共通点b乙11装置のうち第2の搬送部(16)に相当する「ハンド付右パイプアーム(16 」は第1の搬送部(15)に相当する「ハンド付パイ )プアーム(15 」の回転面の上又は下側に位置するように高さを規定 )したものではない(構成要件Bの一部及び構成要件Gに当たる構成の開示がない)点で乙11装置と本件特許発明1は異なる。
また,乙11装置の揺動アーム(13)の回転軸は水平であり,この点においても乙11装置は本件特許発明1と異なる。
乙11装置と本件特許発明1は,以上の2点を除くほか,すべて一致する。
)相違点に対する評価 c各搬送部の上下の位置をずらす構成が本件特許出願当時既に周知慣行技術であったことは,本件特許出願前に乙1発明,乙4発明及び乙7発明が存在していたことから明らかである。
また,水平の回転軸を垂直に変更することは本件特許出願当時の当業者にとって容易である。
したがって,本件特許発明1は,乙11装置に乙1発明,乙4発明及び乙7発明のいずれかを組み合せることによって当業者が本件特許出願当時,容易に想到することができた発明である。
イ原告乙11装置は,揺動アームを左右に動かすことによって左右のパイプアームが前後に伸縮するという装置であり,半導体ウエハなどの搬送装置に係る本件特許発明とは,そもそも,技術分野や装置の目的が異なる。
乙11装置は,本件特許発明1の基本的な構造やそれに伴う作用効果について何らの開示も示唆もするものではない。したがって,乙11装置と乙1発明,乙4発明及び乙7発明とを組み合せることは阻害されているといえる。また,仮に阻害要因を無視してこれらを組み合せたとしても組み合わせによって導かれる構成は本件特許発明1とは異なる構成である。そもそも,被告主張の各構成要件の対比は,公知文献における全く異なった部材をもって本件特許発明の各構成要件と対比するものであって明らかに理由がない。
( ) 本件特許発明1が合衆国特許4678393(乙12の1)に記載された5発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものといえるか(争点5-5 。)ア被告)米国特許第4678393号公報(乙12の1。以下「乙12公報」aという )には,次のような構成の発明(以下「乙12発明」という ) 。 。
が記載されている。なお,乙12の2の図(以下「乙12模式図」という )は,被告が作成した乙12発明の模式図である。 。
「左ガイドロッド(19)及び左顎部材(23)と,右ガイドロッド(21)及び右顎部材(26)と,左ガイドロッド(19)を一方向に伸縮する左ブロック(28)と,右ガイドロッド(21)を一方向に伸縮させる右ブロック(31)と,左ブロック(28)の回動中心となる()(()() 左ピン 33又は左把持具 22 内にあるクランク部材 221の回動中心となる固定軸(222 )と,右ブロック(31)の回動中 )心となる右ピン(34 (又は右把持具(25)内にあるクランク部材 )(251)の回動中心となる固定軸(252 )とを有し,かつ,左把 )持具(22)内にあるクランク部材(221)を回動させる左シリンダ(24)のロッド(241)と,右把持具(25)内にあるクランク部材(251)を回動させる右シリンダ(27)のロッド(271)とを有するドライブメンバ(32 (又はドライブメンバ(32「両ブロ ) ),ック(28,31)及びガイドロッド(19,21 )と,Fig.6)ないし9に図示された駆動機構とを備える工作物搬入搬出移送機構」)相違点及び共通点b乙12発明は,本件特許発明1の「第2の搬送部(16 」に相当す)る 右ガイドロッド 21が 本件特許発明1の 第1の搬送部 1 「()」 ,「(5 」に相当する「左ガイドロッド(19 」の回転面の上又は下側に ) )位置するように高さを規定したものではない(構成要件Bの一部及び構成要件Gに当たる構成の開示がない)点で,本件特許発明1と異なる。
乙12発明と本件特許発明1は,以上の点を除くほか,すべて一致する。
)相違点に対する評価c各搬送部の上下の位置をずらす構成が本件特許出願当時既に周知慣行技術であったことは,本件特許出願前に乙1発明,乙4発明及び乙7発明が存在していたことから明らかである。
したがって,本件特許発明1は,乙12発明に乙1発明,乙4発明及び乙7発明のいずれかを組み合せることによって当業者が本件特許出願当時,容易に想到することができた発明である。
イ原告乙12発明は,本件特許発明1の基本的な構造やそれに伴う作用効果について何らの開示も示唆もするものではない。したがって,乙12発明と乙1発明,乙4発明及び乙7発明とを組み合せることは阻害されているといえる。また,仮に阻害要因を無視してこれらを組み合せたとしても組み合わせによって導かれる構成は本件特許発明1とは異なる構成である。そもそも,被告主張の各構成要件の対比は,公知文献における全く異なった部材をもって本件特許発明の各構成要件と対比するものであって明らかに理由がない。
( ) 本件特許発明1が雑誌「自動化技術」1993年3月号(乙14)に掲載6された装置に基づいて当業者が容易に発明することができたものといえるか(争点5-6 。)ア被告)雑誌「自動化技術」1993年3月号(乙14。以下「乙14雑誌」aといい,乙14雑誌に掲載された装置を「乙14装置」という )の7。
7頁には 「2本の腕が同一のベースの上に乗ってましてね,回しなが ,らワークに接近する側の腕を伸ばすわけです.こうすると,動作時間が短くなるわけで ・・・ローディング・アンローディングなどには,な ,かなか有効なんですな 」との記載がある。また,同頁の図1の下部に .「全体が回転しながら,ワーク位置に向かっているほうの腕が伸びる.・・・作業時間は大幅に短縮できる 」と記載され,同頁の写真1の説 .明にも「回転させながら伸縮させることで高速化を図ったもの」と記載されている。
)相違点及び共通点b乙14装置はエアシリンダによるピストン運動によって直線運動しているものであり,本件特許発明1はスカラ型機構で伸縮運動を行なっている点で相違する。
また,本件特許発明1においては,左右両アームの搬送部が高低差をもって配置されているのに対し,乙14装置においては左右のアームに高低差があるか否かは明確ではない点で相違する。
)相違点に対する評価c本件特許発明1で採用されているスカラ型機構は,本件明細書に記載された先行技術において用いられていたものであって本件特許発明出願当時の公知技術である。乙14雑誌には,直線運動をエアシリンダ機構に限定するような記載はない。本件特許発明1はこのエアシリンダ機構をスカラ型機構に置き換えたものにすぎず,両者の置き換えは容易である。
左右のアームに高低差を設ける構成は,本件明細書に記載された先行技術において採用された技術であり,乙14装置にそのような構成を採用することは容易である。
イ原告被告の提出する乙14雑誌は,極めて不鮮明な写真と雑ぱくな説明がなされているのみであって,これによって乙14装置の具体的な構成を導くことは無理である。被告は,乙14雑誌から乙14装置の構成を推測した上で主張しているようであるが,そのような推測に基づく主張は成り立つ余地がない。
6本件特許発明1の無効理由が本件訂正により解消されるか(争点6)() ( ) 本件特許発明1の無効理由が本件訂正によって解消されるか 争点6-11ア被告)乙7発明に乙4発明を組み合わせることによって当業者が本件特許発a明1を発明することは容易であるという乙17審決の判断を本件訴訟における被告の主張として引用する。
)乙7発明を主引例とする無効理由を除くその余の進歩性を理由とするb無効理由も,本件訂正により解消されない。
イ原告)乙17審決についてa@被告は,乙17審決の判断を本件訴訟における被告の主張として引用しており,乙17審決は,乙7発明を主引例として本件特許発明進歩性を否定している。しかし,乙17審決は,乙7発明の旋回運動及び伸縮運動の駆動制御と本件特許発明との相違点の理解を誤っている。
乙7発明においては,第1アームから第3アームを備えたアーム部52は第1歯車に支持され,第4アームから第6アームを備えたアーム部51が第5歯車に支持されており,第1歯車(第1モータによって回転させられ,この回転が第1中空シャフトを駆動する)によってアーム部52全体が回転し,第5歯車(第3モータによって回転させられ,この回転が第3中空シャフトを駆動する)によってアーム部51全体が回転することによって,搬送方向を変更することができる構成になっている。これに対し,第2モータ及び第4モータがアーム部52及びアーム部51を伸縮させるためのモータである。
したがって,第1中空シャフトが回転すると第1アームが駆動され第2アームは第1アームとの位置関係を保ったまま全体が回動し,第3中空シャフトが回転すると第4アームが駆動され第5アームが第4アームとの位置関係を保ったまま全体が回動するというにすぎないか, , ら 第1中空シャフトが第2アームに回転力を与える駆動軸に当たり第3中空シャフトが第5アームに回転力を与える駆動軸に当たるとす( )。, る乙17審決の認定 15頁29ないし32行 は誤っている また第1中空シャフトを回転させることによる上記第1アームの回転及び第3中空シャフトを回転させることによる上記第4アームの回転について,当業者は「第1中空シャフトと第1アームとを同期させて回動する」と認識したり 「第3中空シャフトと第4アームを同期させて ,回動する と認識することはないから 乙17審決のその旨の認定 1 」 , (3頁37行ないし14頁1行)も誤っている。
被告が引用する乙17審決は,本件特許発明1と乙7発明の一致点として「制御手段が行う制御には,第1の搬送部又は第2の搬送部を伸縮するために駆動部を回動させる制御と,第1の搬送部又は第2の搬送部を伸縮するために取り込まれた状態であるようにする制御と,第1の搬送部又は第2の搬送部が駆動部上に取り込まれた状態である」。 ようにする制御とが含まれるものであって という点を認定しているしかし,本件訂正特許発明1の本件訂正部分は,一方の搬送部が搬送動作(伸縮)を行っているときの他方の搬送部の動作(取り込まれた状態)を特定したものである。このことは,本件訂正部分の「この共通駆動部(13)を回動させる制御中」との文言から明らかである。
乙7発明においては,両アームは個別に動作し得るのであって,一方のアームが伸縮運動を行っているときには他方のアームは取り込まれ,。 た状態になっているという関係にはないから 上記認定は誤っているA乙4発明に関する認定の誤り被告が引用する乙17審決は,乙4公報には「左右のウエハ保持部を用いて,同一方向において,一方のウエハ保持部に載置されたウエハを搬送先に移動して,それを他方のウエハ保持部を用いて搬送先のウエハと交換する運動を行う(これは 『左右のウエハ保持部材を用 ,いて,一方のウエハ保持部材が未処理基板を処理室に搬入し,その間他方のウエハ保持部材は,処理済みの基板を保持して待機し,他方のウエハ保持部材が処理済み基板を搬出し,その間一方のウエハ保持手段は,未処理基板を保持して待機する運動を行う』を意味する )搬。
送装置において,第2のアーム部材とその回転軸及び第3のアーム部材とその回転軸とを共通の第1アーム部材に設けること」が記載されているとして,上記を本件特許発明1と乙4発明との一致点として認定する。
しかし,乙4公報には@「左右のウエハ保持部を用いて,同一方向において,一方のウエハ保持部に載置されたウエハを搬送先に移動して,それを他方のウエハ保持部を用いて搬送先のウエハと交換する運動を行う」技術と,A「第2のアーム部材とその回転軸及び第3のアーム部材とその回転軸とを共通の第1アーム部材に設ける」技術のそれぞれの技術が別個に記載されているのであって,両者を組み合わせた発明が記載されているものではない。すなわち,上記@については乙4公報の第1図ないし第3図,乙4公報の1頁右上欄15行ないし2頁左上欄9行,2頁右上欄7行ないし3頁右上欄12行に記載されており,これらの技術は,真空処理室とローダー・アンローダー室を隔離するシャッター(39)と,大気圧下のウエハキャリアのある部屋とローダー・アンローダー室を隔離するシャッター(38)とが,同時に開くことはない状態で使用することを前提としている。これに対して,上記Aの技術は,第4図及び第5図,乙4公報3頁右上欄1, , 3行ないし14行に記載されており これらの技術を用いる場合には左右両アームを全く同期させて動かすため,第3図における真空処理室とローダー・アンローダー室を隔離するシャッター(39)と大気圧下のウエハキャリアのある部屋とローダー・アンローダー室を隔離するシャッター(38)とを同時に開かなければならない。
B組み合わせの容易性についての判断の誤り被告の引用する乙17審決は,乙7発明に乙4発明を組み合わせることによって当業者が本件特許発明1を発明することは容易である旨主張する。しかし,そもそも,乙7発明と乙4発明の認定について誤りがあることは前記のとおりである。
また,乙7発明は 「上述した従来のウエハ移載ロボットは,アー ,ムが1本しかなかったので,第1ウエハカセットから第2ウエハカセットにウエハを移載する場合には,ウエハ移載ロボットは例えば25スロットのウエハカセットでは25往復ハンドリングする必要があり,ウエハの移載に時間がかかる欠点がある(乙7公報2頁右欄。」13行ないし18行「ウエハカセット移載ロボット50の片方の ),アーム部51と他方のアーム部52は個々に,半径(R)方向と回転(θ)方向に動作可能である。よって,図4に示すように,第1ウエハカセット60から第2ウエハカセット61にウエハを移載する場合には,ウエハカセット移載ロボット50は例えば25スロットのウエハカセットでは12.5往復分でハンドリングすることができる 」。
( ) , 乙7公報4頁左欄14行ないし21行 の記載から明らかなように二つのアーム部51と52がそれぞれ独立して動作することができなければならないものである。乙7発明に乙4公報の第4図及び第5図に記載された発明を組み合わせて乙7発明のアーム部51とアーム部52が独立して動作することができない構成にした場合には乙7発明の上記目的を達することができなくなるのであるから,乙7発明に乙4発明を組み合わせることには阻害要因があるというべきであり,少なくとも,何らの動機付けもなく組み合わせられるようなものではない。
乙17審決は,乙7発明の両搬送部の制御について 「・・・独立,して別個に行うことができるが,左右の搬送部を用いて同一方向において,一方の搬送部に載置された被搬送物を搬送先に移動して,それを他方の搬送部を用いて搬送先の被搬送物と交換する運動を行う場, , 合 一方の搬送部を伸縮するために一方の駆動部を回動させている間他方の搬送部を駆動部上に取り込まれた状態としておくことは,乙7発明の使用法として,当業者が容易に選択し得るものである 」旨判。
断している。しかし,乙7発明は,乙7公報【0012】に記載されているように,アーム部51とアーム部52とを別々のウエハカセットにより交互に動かすことで,一つのアーム部からなる装置と比較して半分の往復分でハンドリングすることができるようにするための装置であるから,本件特許発明1のように,一方のアーム部が稼働している間に,他方のアーム部を使用しないという使用方法をするはずがないものである。
また 乙7発明は 第1 第2 ウォンドが設けられている第3 第 ,,() (6)アームは,第1(第4)アームが回転すると第2(第5)アームが連動して回動・・・することによって直線上を移動するものである。したがって,被告が引用する乙17審決がいうように「左右の搬送部を用いて同一方向において,一方の搬送部に載置された被搬送物を搬送先に移動して,それを他方の搬送部を用いて搬送先の被搬送物と交換する運動を行う場合,一方の搬送部を伸縮するために一方の駆動部を回動させている間,他方の搬送部を駆動部上に取り込まれた状態としておく」ためには,第1アームと第4アームが相互に独立して回転できる構成である左右の搬送部を用いて同一方向において,一方の搬送部に載置された被搬送物を搬送先に移動して,それを他方の搬送部を用いて搬送先の被搬送物と交換する運動を行うことが必要である。そうしないと,第1ウォンドを搬送先に移動するために第1アームを駆動すると,第4アームも駆動してしまい,これにともなって第2ウォンドが第1ウォンドとは別の方向に伸縮運動をしてしまうことになり,他方の搬送部が駆動部上に取り込まれた状態にならない。一方,乙4公報の第4図及び第5図に記載されている装置は,二つのウエハ保持部を全く同期させて直線軌道に沿って動かすもの(二つのウエハ保持部を使って反対方向に同時に搬送を行うもの)である。これを乙7発明に組み合わせて乙7発明の第1アームと第4アームを一体化させた場合には,第1ウォンドが搬送動作を行っている間,第2ウォンドも同期して搬送運動を行うことになり,乙17審決のいうよう「 , に 一方の搬送部を伸縮するために一方の駆動部を回動させている間他方の搬送部を駆動部上に取り込まれた状態としておく」ことにはならない。
このように,乙7発明は,一方の搬送部でのみ搬送を行うのであれば両搬送部を別々に駆動できるようにする必要がある。逆に,二つの駆動部(第1アーム及び第2アーム)を一体化して同期させることも可能であるが,この場合には,両搬送部が同時に反対方向に伸縮運動をすることになり(第2(第5)アームを第1(第4)アームに対して回転させるための駆動手段が存在しないため,第1アームと第4アームを同期して回転させると,これと連動して第2アーム及び第5アームが回転する構成になっているため )一方の搬送部のみで搬送を 。
行うような構成にはならない。
被告が引用する乙17審決は,乙7発明は両アーム(アーム部51及びアーム部52)を個別に駆動させることのできる装置であるが,第1アームと第4アームを同期させて回動させることも可能であると認定し,そのように同期させて回動させた場合には,第1アームと第4アームが本件特許発明1の「共通駆動部」と同じ動きをすることが可能であると認定しているようである(乙17審決13頁37行ないし14頁1行,16頁20行ないし23行 。)しかし,前記のとおり,第1アーム及び第4アームは,第2アーム及び第5アームに回転力を与える駆動軸を有していないから「第1の多関節駆動部(11)に回転力を与える第1の駆動軸(13C)と前記第2の多関節駆動部(12)に回転力を与える第2の駆動軸(13D)とを有する共通駆動部」とはいえない。また,本件特許発明1の「共通駆動部」は単一部材から構成されている必要があるところ,第1アームと第4アームは別部材から構成され,個別の動きをする部材であるから,仮に,制御方法の仕方によっては単一部材であるかのように駆動させることが可能であったとしても,本件特許発明1の「共通駆動部」には当たらない。
)本件訂正により,乙1発明,乙2発明を主引例とする無効理由及び被b告が主張するその余の進歩性を理由とする無効理由はすべて解消されている。
( ) 本件訂正請求が訂正要件を満たすといえるか(争点6-2 。
2 )ア被告)新規事項の追加a本件訂正は,駆動制御手段(14)の行う制御に関するものである。
本件訂正前の本件明細書(以下「本件訂正前明細書」ということがある )には,駆動制御手段(14)について 「前記第1の多関節駆動 。 ,部(11 ,第2の多関節駆動部(12)及び共通駆動部(13)を回 )動制御する駆動制御手段(14 」との記載がある。また,本件訂正前 )明細書の発明の詳細な説明には「第1の駆動軸13Cが固定され,第2の駆動軸13D及び共通駆動部13が同期して回動される ( 001」【9 )という回動制御の方法(第1の制御方法)と 「第2の駆動軸1 】 ,3Dが固定され,第1の駆動軸13C及び共通駆動部13が同期して回動される ( 0020 )という回動制御の方法(第2の制御方法)が 」【】記載されている。さらに,本件訂正前明細書の図1は,その構造からして,第1の多関節駆動部11を共通駆動部13の回転方向と反対方向に回動させるためには,共通駆動部13を回動させるとともに,第1の駆動軸13Cと第1の多関節駆動部11の軸との間に架け渡された駆動ベルトによって「連れ回り」をさせないために第1の駆動軸13Cを固定する制御(回動制御)を行わなければならない。一方,第1の多関節駆動部11を共通駆動部13の回転方向と同じ方向に回動させるためには,共通駆動部13を回動させるとともに,駆動ベルトによる「連れ回り」を打ち消すために,第1の駆動軸13Cを同期させて回動させる回動制御を行わなければならない。このように,本件訂正前明細書においては,駆動制御手段(14)の制御内容は固定や同期を伴った回動制御であることが記載されている。
ところが,本件訂正は,駆動制御手段の制御として固定や同期を伴った回動制御以外の制御を含むものである。また,本件訂正のうち「伸縮するために・・・回動させる制御」及び「回動させる制御中 ・・・取,り込まれた状態であるようにする制御」は,本件訂正前明細書に直接的に記載されていた事項ではない。すなわち,本件訂正前明細書には固定や同期を伴う回動制御によって搬送部が伸縮したり,共通駆動部上に取り込まれた状態になるという制御結果が得られるという記載は存在するが( 0021【0023「伸縮するために・・・回動させる制 【】,】),御」や「回動させる制御中 ・・・取り込まれた状態であるようにする ,制御」については直接的に記載されていない。本件訂正前明細書の記載を読んだ当業者が本件訂正によって取り込まれた構成が記載されているものと理解するとはいえない。このように,本件訂正は,固定や同期を伴った回動制御以外の制御を含んだ,いわば上位概念ともいえる事項を請求項1に付加するものであり,新規事項の追加に当たる。
)本件訂正特許発明1が特許法29条2項に当たることによる独立特許b要件違反について本件訂正特許発明1は,請求項7,8の制御方法の発明の制御結果にすぎず,進歩性がないから,本件訂正は独立特許要件を欠く。本件訂正によって付加された「伸縮」や「取り込まれた状態」という概念は,請求項7,8の「一方の駆動軸を固定し他方の駆動軸を共通駆動部の回動に同期させる」という回動制御の制御結果を表現したにすぎない。そして,請求項7,8に係る発明は,乙16審決(乙16の22頁ないし23頁)において,乙7発明(審決の甲2)と乙4発明(審決の甲3)との組み合わせから進歩性がないと認定されている。すなわち,本件訂正後の一方の駆動軸を固定し,他方の駆動軸を共通駆動部の回動に同期させて回動させるという回動制御を行い,その結果ないしその効果として一方の搬送部を伸縮させ,他方の搬送部を共通駆動部上に取り込まれた状態にさせるという制御結果にすることは,乙7発明及び乙4発明から当然に予測可能な効果である。したがって,本件訂正特許発明1は進歩性を有しておらず,独立特許要件を欠く。
イ原告)新規事項の追加についてa被告は,本件訂正前明細書においては,駆動制御手段(14)の制御内容は固定や同期を伴った回動制御であることが記載されているのみであるのに対し,本件訂正は駆動制御手段(14)の制御として固定や同期を伴った回動制御以外の制御を含むものであるから新規事項の追加に当たる旨主張する。
, ,【】 しかし 本件訂正前明細書についての被告の上記解釈は0019以下の第1の制御方法から第3の制御方法の記載を基に本件訂正前明細書の解釈を限定解釈する主張である。
本件特許発明においては,図1からも明らかなとおり,モータなどの駆動手段の位置を特定しておらず 【0019】における「固定」も駆 ,動手段であるモータを回転させないことを意味するのではなく,軸を一「」 ,「」 方向に向けて 固定 することを意味するにすぎないから 軸を 固定するために,モータを回転させることを当然に含む。このことは 【0,019】に「駆動制御手段14により第1の駆動軸13Cが固定され」と記載されていることからも明らかである。
本件訂正前明細書の【0019】ないし【0021】には,駆動制御手段(14)の回動制御によって,一方の搬送部を共通駆動部(13)上に取り込まれた状態とし,他方の搬送部を伸縮させる動作が駆動制御手段(14)の「回動制御」によって行われることが記載されている。
したがって,本件訂正の内容は,本件訂正前明細書に記載された内容の範囲内である。
確かに,本件訂正前明細書の上記記載部分には,一方の駆動軸が固定され,他方の駆動軸が共通駆動部と同期して回動制御されることも記載されている。しかし,発明の詳細な説明に記載された実施例は,発明の内容を説明するために発明の具体的な態様を記載したものであって,明細書には実施例に限定された発明しか記載されていないというものではない。特許請求の範囲には,通常,実施例の構成要件上位概念構成要件とする発明が記載されているのであって,特許請求の範囲の記載が実施例に表されていない形態を含んではならないというものではない。
)本件訂正特許発明が特許法29条2項に当たることによる独立特許要b件違反について被告は,本件訂正後の本件特許発明1及び2は本件特許の請求項7,8と同内容であり,請求項7,8の発明は,乙16審決(乙16の22頁ないし23頁)において,乙7発明(審決の甲2)及び乙4発明(審決の甲3)の組み合わせから進歩性がないと認定されているとして,本件訂正特許発明独立特許要件を欠く旨主張する。
しかし,乙16審決の上記認定は,乙4発明(審決の甲3)に関して事実認定を誤まった結果導き出された結論である。すなわち,乙16審決は,乙4発明について,次の@ないしBの認定をしている。
@「他の実施例として上記ウエハ保持部(28(33)を全く同),期させて直線軌道に沿って動かす場合には第4図および第5図に示すような構造にしてもよい。つまり (40)は駆動モータで,この回 ,()(), 転駆動は駆動モータ 40 に連結された駆動軸 41 に伝達されこの駆動軸(41)の先端には第1のアーム部材(42)が取付けら,() 。, れ 駆動軸 41 の回転に応じて旋回するようにされている また駆動軸(41)に同軸に固定プーリ(43)が支持板(44)に固定されている。また上記第1のアーム部材(42)の両端には回転プーリ(45(46)が回転自在に支持されており,上記固定プーリ ),(43)とワイヤベルト(47(48)によって回転を伝達する ),ように連結されている。上記回転プーリ(45(46)の回転軸),(49(50)には第2及び第3のアーム部材(51(52) ), ),の一端が取付けられ,この第2および第3のアーム部(51(5),) (),()。」 2 の他端にはウエハ保持部材 5354 が形成されている(3頁右上欄13行ないし左下欄9行)A「他の実施例として,上記ウエハ保持部(28(33)はどち),らか一方だけを動かすことも可能である(3頁左下欄12行ない 。」し13行)B「 左右のウエハ保持部を用いて,同一方向において,一方のウエ 『ハ保持部に載置されたウエハを搬送先に移動して,それを他方のウエハ保持部を用いて搬送先のウエハと交換する運動を行うこと 及び 第』『2のアーム部材とその回転軸及び第3のアーム部材とその回転軸とを共通の第1のアーム部材に設けること ・・・が記載されていると認 』められる 」と認定している。審決はかかる認定を前提として,乙4 。
と乙7の組み合わせから進歩性がないと判断している。
乙16審決は,上記認定を基に,本件各特許発明は,乙4発明と乙7発明を組み合わることによって容易に想到し得たと判断している。しかし,上記審決の認定は,上記@及びAを同一の実施例に関する記載であると認定した点で誤っている。すなわち,上記Aは,ウエハ保持部(28(33)を別々に動かすための実施例について記載した図2の実 ),施例について記載したものであるのに対し,上記@はこれとまったく別の実施例である図4及び図5についての説明である 上記Aの実施例 乙。(4の図1及び図2)では,二つのウエハ搬送部をそれぞれ別個に動かす構造として,第1アーム(14)及び第2アーム(21)を別の部材として構成しているのに対し,上記@の実施例(乙4の図4及び図5)では,この目的とは異なり 「上記ウエハ保持部(28(33)を全く , ),同期させて直線軌道に沿って動かす場合」について記載しているのであるから,このような実施例を乙7発明に組み合せた場合には,乙7発明における片方のアーム部51と他方のアーム部52は,独立して移動することができなくなるために,所望の目的効果を達成することが出来なくなってしまう。このように,乙4発明には乙7発明との組み合わせを阻害する事由が記載されているのである。
このように乙16審決には事実誤認があり,本件訂正後の本件各特許発明はいずれも独立特許要件を欠くとはいえない。
( ) 被告各製品が本件訂正部分の構成を充足するか(争点6-3)3ア原告)原告の主張a被告各製品において,第3アーム(3a)が伸縮するための制御は,第3アーム(3a)を伸縮させるために第1アーム(11)及びこれと一体の第1の支軸(15)を回動させ,この際,第3アーム(3b)は() 。 第1アーム 11 上に取り込まれた状態となるように制御されている,() ,() また 第3アーム 3b が伸縮するための制御は 第3アーム 3bを伸縮させるために第1アーム 11 及びこれと一体の第1の支軸 1 () (5)を回動させ,この際,第3アーム(3a)は第1アーム(11)上に取り込まれた状態となるよう制御されている。
したがって,被告各製品は本件訂正部分の構成を充足する。
)被告の主張に対する反論b被告は,本件訂正部分の意味について「共通駆動部の回動によって一方の搬送部の伸縮が実現されることを要件とし,かつ,同時に他方の搬,, 送部が取り込まれた状態であるようにすることは 共通駆動部とは別の共通駆動部の回転と逆の回転力によって実現されることを要する」というように限定して解釈すべきであると主張する。
しかし,このような限定的な解釈を本件訂正後の特許請求の範囲から読むことは困難である。被告は,本件明細書の【0020】の実施例の動作についての記載を根拠としているようである。しかし,特許請求の範囲を明細書の実施例の構成に限定して解釈しなければならない理由はない。むしろ,本件明細書【0108】に記載された本件特許発明1の作用効果との関係においても被告が主張するような構成でなければならない理由はない。
本件訂正は,乙16審決において,乙1発明の「旋回台10」が本件特許発明1の「共通駆動部」に当たると認定されたために,本件特許発明1の制御装置の特定として,本件訂正部分のような構成であることを明確にし,もって,乙1発明との差異を明確にする趣旨で行ったもので。,「()」 ある 本件訂正部分はこの共通駆動部 13 を回動させる制御中とあるとおり,伸縮動作中の二つの搬送部の制御を規定することに意義がある要件であり,当該構成要件は,本件明細書の図6,図7あるいは図13等に示されたような一方の搬送部を伸縮させるために共通駆動部を回動させている際に,他方の搬送部は共通駆動部上に取り込まれた状態であるようにする制御を規定しているものである。
イ被告被告各製品においては,第3アーム(3a)を伸縮させるために第1ア()() 。 ーム 11 及び第1の支軸 15 を回動させているということはない本件訂正部分の「第1の搬送部(15)又は第2の搬送部(16)を伸縮するために共通駆動部(13)を回動させる」とは,共通駆動部を回動することが,第1の搬送部又は第2の搬送部を伸縮するための手段になっているという意味に解釈すべきである。本件訂正部分の記載及び本件明細書【0019】及び【0020】の記載によれば,搬送部の「伸縮」は,駆動制御手段により共通駆動部が回動することによって実現され,他方の「搬送部が共通駆動部上に取り込まれた状態であるようにする制御」については,共通駆動部の動きとは切り離された別系統の動きであると解釈される。すなわち,共通駆動部の回転は一方の搬送部を伸縮するための手段であり,他方の搬送部が共通駆動部上に取り込まれる状態であるようにする制御(共通駆動部とは逆の回転力を与える制御)は,共通駆動部を駆動する駆動制御手段や共通駆動部によってもたらされるものではない。
被告各製品においては,各多関節駆動部を制御するモータは共通駆動部に固定されている棚板上に設置されている(ロ号物件においては共通駆動部上に設置されている。このため,共通駆動部の駆動制御手段と多関 。)節駆動部の駆動制御手段とはまったく別々の制御系に属している。駆動制御手段が共通駆動部を回動させることにより多関節駆動部あるいは搬送部を制御しようとしてもそれは不可能である。すなわち,被告各製品におい, 「」。 ては 共通駆動部を回転させても一方の搬送部が 伸縮 することはない一方の搬送部を伸縮するためには,共通駆動部を動かすためのモータではなく搬送部を動かすためのモータを使用する。さらに,他方の搬送部を共通駆動部上に取り込まれた状態であるようにするために,共通駆動部とは別の駆動系を用いることはない。共通駆動部が回転すれば,それに伴って他方の搬送部が連れ回るため,共通駆動部上に取り込まれた状態が維持されるにすぎない。したがって,被告各製品は,本件訂正後の構成要件Gを充足しない。
7本件特許発明2に係る特許が特許無効審判により無効とされるべきものといえるか(争点7)本件特許発明2は,共通駆動部をくの字型にした(構成要件I)点においてのみ本件特許発明1と構成を異にする。構成要件Iを採用することの新規性,進歩性を除く主張は,争点5における被告及び原告の主張と同様である。そこで,以下,構成要件Iを採用することの新規性及び進歩性についての主張を追記する。
( ) 本件特許発明2が特開平4-30447号公報(乙1)に記載された発明1と同一又は当該発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものといえるか(争点7-1 。)ア被告本件特許発明2の構成要件Iは,乙1公報の第3図に開示されている。
, , 乙1公報の第3図には 旋回台10の回転中心点と図中左右の駆動軸4343とを結ぶ線分が,くの字型に屈曲されていることが示されている。また,同図には,旋回台10と図中右側の平行リンク機構40のうちホームポジションにある状態の図(実線で示される図)と図中左側の平行リンク機構40のホームポジションにある図(破線で示される図)からなる各部材がくの字型に屈曲されていることが示されている。
, 。 乙1発明は 構成要件Iを採用することによる作用効果も実現しているすなわち,乙1公報の第3図において,平行リンク機構がホームポジションにある状態では,両基板保持部60a,60bの姿勢が完全に一致しており,この状態から各基板保持部60a,60bを図中上下方向にいう同一方向に伸縮できる様子が示されている。また,乙1発明においては各基板保持部60aと60bを切り換えるに当たって旋回は不要である。
イ原告乙1発明においては,連続する動作の一時点において旋回台10と両アーム部がくの字型に見える位置関係になることもあり得る。しかし,乙1, 。 発明においては アームがくの字型を維持して運動しているわけではないこのため,乙1発明においては,ホームポジションから右側のアームを屈伸させようとすると,左側のアームに搭載されている被搬送物と右側のアームが衝突してしまう。このような衝突を回避するために,乙1発明においては,アームにコの字型の部材を取付けている(乙1公報の3頁右下欄10行ないし20行,第3図 。本件特許発明2においては,共通駆動部 )を設け,これをくの字型にすることで,コの字型の部材を取付けることなく搬送装置全体のコンパクト化と搬送時間の短縮を同時に実現できるものである。
( ) 本件特許発明2が特開平5-109866号公報(乙7)に記載された発2明と同一又は当該発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものといえるか(争点7-2 。)ア被告本件特許発明2の構成要件Iは,乙7公報の第4図及び第3図に開示されている。乙7公報の第4図には,片方のアーム(51)を構成する第4アーム(22)と他方のアーム(52)を構成する第1アーム(7)からなる両アームの形状が全体としてくの字型に屈曲されていることが示されている。また,同第3図には,片方のアーム(51)を構成する第2ウォ() ,() ンド 32 を直線L上に沿って半径R方向に縮め 他方のアーム 52を構成する第1ウォンド(17)を直線L上に沿って半径R方向に縮めると,第1ウォンド(17)及び第2ウォンド(32)の姿勢が完全に一致しており,この状態から第1ウォンド(17)及び第2ウォンド(32)を図中上下方向(直線L上に沿った半径R方向)という同一方向に伸縮できる様子が示されている。乙7発明においては第1ウォンド(17)と第2ウォンド(32)を切り換えるに当たって旋回は不要であって,本件特許発明2と同じ作用効果を奏する。
イ原告, () 乙7発明においては 連続した動作の一時点において第4アーム 22と第1アーム(7)についてその形状がくの字型になる位置関係になることもあり得る。また,意識的にその形状がくの字型を崩さないように制御することも不可能ではないかもしれない。
しかし,仮にそうだとしても,乙7発明をそのように制御することはかなり複雑な制御となるし,乙7発明においては,アームをそれぞれ別部材で構成しているのであって,本件特許発明2との比較では制御の簡便さ,部品点数の最小化の点で大きく異なることになる。
そもそも,乙7発明は,両方のアームでそれぞれ異なるウエハカセット(搬送先)にウエハ(被搬送物)を搬送するための装置であって,両アームで同一の搬送先に搬送物を搬送する本件特許発明2に係る装置とは目的を異にしている。そのため,乙7発明においては,本件特許発明2における課題さえ認識されておらず,実際の構成も異にしている。
( ) 本件特許発明2が昭和60年9月1日発行の雑誌「自動化技術 (乙113 」の1)に記載された「Wアーム式ローディン装置」及び特開平4-30447号公報(乙1 ,特開昭63-288677号公報(乙4)ないし特開平 )5-109866号公報(乙7)のいずれかに基づいて当業者が容易に発明することができたものといえるか(争点7-3 。)ア被告乙11模式図の「 く』の字型に屈曲された揺動アーム(13 」は, 『 )構成要件Iの「共通駆動部(13)の回転軸を概略垂線とする平面において,該共通駆動部(13)が『く』の字型に屈曲されたアーム状を構成する」に相当する。
イ原告乙11雑誌に掲載された装置は,揺動アームを左右に動かすことによって左右のパイプアームが前後に伸縮するという装置であり,半導体ウエハなどの搬送装置に係る本件特許発明とは,そもそも,技術分野や装置の目的が異なる。
また,共通駆動部がくの字型に屈曲された構成は,被搬送物を載せる左右の第1の搬送部がホームポジションにおいて重なった状態で揃えることができ,これによって被搬送物30を同一方向に伸縮させ得る構成である(本件明細書【0056 「第2の実施例では図10の共通駆動屈曲アー 】ム33が『く』の字型に屈曲されたアーム状を構成する ・・・このよう。
にすることで,当該多関節搬送部の旋回半径を小さくすることができ,また,両フォーク35及び36を揃えることができる【0074 「本。」,】発明の第2の実施例によれば,図9に示すように 『く』の字型に屈曲さ ,れた共通駆動屈曲アーム33が採用される。このため,共通駆動屈曲アーム33上に両フォーク35及び36を取り込んだ状態において,従来例のような収納角度γを設けることなく,両フォーク35及び36を重なった状態に揃えることが可能となる。このことで,被搬送物30を同一方向に伸縮させることが可能となる。これに対し,乙11装置は,確かに揺 。」)動アームがわずかに屈曲しているものの,当該構成により左右のパイプアームを同一方向に伸縮させるものではなく,このような構成を採用したとしても何ら装置のコンパクト化や搬送時間の短縮化という作用効果を奏するものではない。
このように,乙11装置は,本件特許発明2の基本的な構造やそれに伴う作用効果について何らの開示も示唆もするものではない。したがって,乙11装置と乙1発明,乙4発明及び乙7発明の装置とを組み合せることは阻害されているといえる。また,仮に阻害要因を無視してこれらを組み合せたとしても組み合わせによって導かれる構成は本件特許発明2とは異なる構成である。
( ) 本件特許発明2が合衆国特許4678393(乙12の1)及び特開平44-30447号公報(乙1 ,特開昭63-288677号公報(乙4)な )いし特開平5-109866号公報(乙7)のいずれかに記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものといえるか(争点7-4 。)ア被告乙12模式図の「 く』の字型に屈曲された「ドライブメンバ(32 」 『 )は,構成要件Iの「共通駆動部(13)の回転軸を概略垂線とする平面において,該共通駆動部(13)が『く』の字型に屈曲されたアーム状を構成する」に相当する。
イ原告乙12発明は,半導体ウエハなどの搬送装置に係る本件特許発明とは,そもそも,技術分野や装置の目的が異なる。
乙12発明は,本件特許発明2の基本的な構造やそれに伴う作用効果について何らの開示も示唆もするものではない。したがって,乙12発明に乙1発明,乙4発明及び乙7発明の装置とを組み合せることは阻害されているといえる。また,仮に阻害要因を無視してこれらを組み合せたとしても組み合わせによって導かれる構成は本件特許発明2とは異なる構成である。
( ) 本件特許発明2が雑誌「自動化技術」1993年3月号(乙14)に掲載5された装置に基づいて当業者が容易に発明することができたものといえるか(争点7-5 。)ア被告,(), 乙14雑誌に掲載された 昭和58年 1983年 撮影の写真1から乙14装置のアームが「く」の字型に屈曲された構成であったことがわかる。
乙14雑誌77頁には,乙14装置が,2本の腕が同一のベースの上に乗っていること,このベースを回しながらワークに接近する側の腕を伸ばすことによって動作時間を短縮できることが記載されている。
以上によれば,旋回運動をする「く」の字型アームの両端に直線運動をする別のアームを設けてスループットを向上させるという本件特許発明の技術思想に関わる構成,動作,作用効果は出願前にすでに公知であったといえる。
乙14装置はエアシリンダによるピストン運動によって直線運動しているものであり,本件特許発明2はスカラ型機構で伸縮運動を行なっている点で相違する。しかし,スカラ型機構は,本件明細書に記載された先行技術において用いられていたものであって本件特許出願当時の公知技術であり,乙14装置においても直線運動をエアシリンダ機構に限定するような記載はない。本件特許発明2はこのエアシリンダ機構をスカラ型機構に置き換えたものにすぎない。
イ原告被告の提出する乙14は,極めて不鮮明な写真と雑ぱくな説明がなされているのみであって,これによって乙14装置の具体的な構成を導くことは無理である。被告は,乙14から乙14装置の構成を推測した上で主張しているようであるが,そのような推測に基づく主張は成り立つ余地がない。
8本件特許発明2の無効理由が本件訂正により解消されるか(争点8 。)() ( ) 本件特許発明2の無効理由が本件訂正によって解消されるか 争点8-11ア被告)「く」の字型に屈曲したアーム状とした点に技術的な意義を認めるこaとができないから,共通駆動部を直線状のものから「く」の字型に屈曲されたアーム状のものに変更することは,当業者が適宜採用し得る設計上の事項に過ぎない旨の乙17審決の判断を本件訴訟における被告の主張として引用する。
)乙7発明を主引例とする無効理由以外のその余の無効理由も,本件訂b正により解消されない。
イ原告)乙17審決の判断についてa@前記6( )イのほか,共通駆動部をくの字型にする構成に関して次 1の主張を追加する。
A被告の引用する乙17審決は 「本願の発明の詳細な説明には,共 ,通駆動部が直線状である場合に『収納角度』が必要である理由が,実質的に説明されていないため,両搬送部を同じ方向に伸縮させるために共通駆動部を回転させねばならない理由が不明である。このため共通駆動部を直線状とした場合と『く』の字型に屈曲したアーム状とした場合との作用上の差異が認められないので 『く』の字型に屈曲し ,たアーム状とした点に技術的な意義を認めることができない(乙。」17審決20頁6行ないし11行「共通駆動部を,直線状のもの ),から 『く』の字型に屈曲されたアーム状のものに変更することは, ,当業者が適宜に採用し得る設計上の事項に過ぎないというべきである(乙17審決20頁3行ないし5行)とする。 。」しかし,そもそも,発明の構成要素の技術的意義は,明細書に記載された発明の構成及び動作から必然的に導き出されるものであって,対比される発明の問題点が明細書に明確に記載されていないということのみで発明の技術的意義が存在しなくなるというものではない。また,本件特許発明2の共通駆動部をくの字型にする構成の技術的意義は,本件明細書【0074【0075】及び【0109】に記載 】,されている。さらに,共通駆動部が直線状である場合,多関節搬送装置が旋回するときの専有面積を最小に抑えるために「収納角度」が必要である理由については,訂正審判請求書(甲19の16頁26行ないし19頁13行)に記載したとおりであり,当業者であれば本件明細書から容易に理解することができる。すなわち,本件特許発明2のような搬送装置において,搬送部を直線上に移動させることは当業者にとってまったくの常識に属する事項である。とりわけ,プロセスチャンバに被加工基板を出し入れする装置においては,プロセスチャンバ内部は真空にされるなど,通常は外部と雰囲気を異にしている。そのため,プロセスチャンバの開口部はできる限り小さく設計されており,当該開口部を出入りする搬送部は,開口部に対して垂直な直線上を移動するように設計される。搬送部を開口部に対して垂直な直線上を移動させるためには,搬送装置の基台側のアームと搬送部側のアームを同じ長さにし,それら二つのアームが搬送方向を底辺とする二等辺三角形となるようにアームを回転させる必要がある。このような構成においては,搬送ストロークを大きくしようとすれば,アームの長さを長くするか,アームの揺動角度を大きくしなければならない。ところが,直線状の共通駆動部を用いた上で,搬送部であるフォークを(「」 同じ向きにそろえてしまうと 甲19添付参考図 交差角無しの場合参照 ,揺動角度は90度に定まってしまうことになり,アームの長 )さを大きくしない限り,搬送ストロークを大きくすることはできないが,そうすると,アームの長さが長くなった分だけ専有面積が大きくなってしまう。このため,アームの長さを抑えつつ,大きなストロークを確保するためには,本件明細書図5のように「収納角度」を設けざるを得ないのである。
B被告が引用する乙17審決は 「搬送部が向きを変えずに一直線上 ,を移動するためには,共通駆動部の回動中心軸から第1又は第2の固定軸までの距離と,多関節駆動部の第1又は第2固定軸から第1又は第2搬送部までの距離との関係,並びに共通駆動部の旋回角度と共通駆動部に対する多関節駆動部の旋回角度の比率を特定することが必要であるところ,本願の明細書にも図面にもこれらの距離の関係や比率については記載されていないため,本件発明6(判決中:本件特許発明2)が上記課題を満たすことを目的としていると理解することはできない。したがって,本願の発明の詳細な説明に『収納角度』が必要である理由が実質的に記載されているということはできず,被請求人が主張する,共通駆動部を『く』の字型に屈曲したアーム状とすることの効果も認めることができない(乙17審決20頁17行ない 。」し27行)とする。
しかし 「共通駆動部の回動中心軸から第1又は第2の固定軸まで ,の距離と,多関節駆動部の第1又は第2の固定軸から第1又は第2の搬送部までの距離との関係」については,本件明細書の図5(共通駆動部が直線状の場合)及び図12(共通駆動部が「く」の字型に屈曲したアーム状の場合)に示されている。図5では,共通駆動部の固定軸の間隔が2A,多関節駆動部の固定軸と搬送部までの距離がAとされている。
また「共通駆動部の旋回角度と共通駆動部に対する多関節駆動部の旋回角度の比率」についても,本件明細書の図6及び図7並びに図13及び図14の図に記載されており,共通駆動部と多関節駆動部は,共通駆動部の回動中心と,搬送部を結ぶ直線を底辺とする二等辺三角形の各辺をなしていることがわかる。
このように,乙17審決が「記載されていない」とする事項は,本件明細書に記載されているから,上記乙17審決の判断が事実誤認であることは明らかである。
C被告の引用する乙17審決は 「共通駆動部が『く』の字型に屈曲 ,されたアーム状を構成することの技術的意義は ・・・当業者が理解,し得る程度に記載されているということはできない。よって,本件発明6(判決注:本件特許発明2)は,改正前特許法第36条4項に規定する要件を満たさない(乙17審決23頁28行ないし32行) 。」として,記載不備事項として,@)共通駆動部が直線状である場合に『収納角度』が必要である理由が記載されていない,A)搬送部が向きを変えずに一直線上を移動するためには,共通駆動部の回動中心軸から第1又は第2の固定軸までの距離と,多関節駆動部の第1又は第2の固定軸から第1又は第2の搬送部までの距離との関係,並びに共通駆動部の旋回角度と共通駆動部に対する多関節駆動部の旋回角度の比率を特定することが必要であるところ,本願の明細書にも図面にもこれらの距離の関係や比率については記載されていないという2点を指摘する。
しかし,平成6年法律第26号による改正前の特許法36条4項は「前項第3号の発明の詳細な説明には,その発明の属する技術分野における通常の知識を有するものが容易にその発明を実施することができる程度に,その発明の目的及び効果を記載しなければならない 」。
というものである。そして,上記@)については前記Aのとおり,上記A)については前記Bのとおり,本件明細書の記載に基づいて当業者が容易に理解できる程度に記載されているから,乙17審決の判断は誤りである。
)本件訂正により,乙1発明,乙2発明を主引例とする無効理由及び被b告が主張するその余の進歩性を理由とする無効理由はすべて解消されている。
( ) 本件訂正請求が訂正要件を満たすといえるか(争点8-2 。
2 )ア被告次の事項を追加して主張するほか,前記6( )アと同様である。
2本件訂正特許発明2の技術的意義は本件訂正前明細書に記載されておらず改正前特許法36条4項の要件を満たさないから独立特許要件を欠く。
)原告は,本件特許発明2の技術的意義について,共通駆動部が直線状aである場合には収納角度が必要であるのに対し,共通駆動部をくの字型にすれば収納角度が不要となり,かつ,機械自体の旋回半径(したがって旋回のための専有面積)を最小化することができる旨主張する。
しかし,本件訂正前明細書には,本件訂正特許発明2の上記技術的意義について記載されていない。当業者が本件明細書に接した場合直線状の共通駆動部を用いても,各回動部の軸間距離や旋回角度の組み合わせによっては収納角度を設けることなく,専有面積を最小化し得る可能性を排除することができない(乙16 。原告は,本件訂正特許発明2は )搬送部の向きを変えずに一直線上に移動させることを前提とした発明である旨主張するが,本件訂正前明細書にはそのような記載はなされていない。
)原告は,搬送部の向きを変えずに一直線上に移動させるための条件とbして搬送アームの関節間距離がAであり,共通駆動アームの関節間距離, , が2Aであり 各回動軸中心を結んだ形状が二等辺三角形をなしており搬送アームを共通駆動アームの2倍の早さで旋回させる旨主張する。
しかし,本件明細書には,本件訂正特許発明2の上記のような技術事項は記載されていない。
)原告は,交差角がない場合には交差角がある場合に比べて同じ搬送距c離を確保しようとすれば搬送アームの関節間距離を大きくとらなければならず,そのために共通駆動アームの旋回半径R1が大きくなってしまう旨主張する。
しかし,本件明細書にはそのような記載はない。原告が特許庁に提出した訂正請求書(甲19)には参考図が記載されているが,本件明細書には当該図面も記載されていない。
)さらに,共通駆動部をくの字型にすることについては,上記のとおりd技術的意義の記載がないが故に,当業者が容易になし得る事項であり,本件訂正特許発明2は進歩性がない。この点からも本件訂正特許発明2は独立特許要件に欠ける。
このように,本件明細書には共通駆動部がくの字型に屈曲していることの技術的意義は,当業者が理解し得る程度には記載されているとはいえないから,本件訂正特許発明2は改正前特許法36条4項の要件を満たしておらず,独立特許要件に欠ける。
イ原告次の事項を追加して主張するほか,前記6( )イと同様である。
2被告は,本件訂正前明細書には,@搬送部の向きを変えずに一直線上に移動させることを前提とした発明であること,A搬送部の向きを変えずに一直線上に移動させるための条件として搬送アームの関節間距離がAであり,共通駆動アームの関節間距離が2Aであり,回動軸中心を結んだものが二等辺三角形をなしており,搬送アームを共通駆動アームの2倍の早さで旋回させること,B交差角がない場合には交差角がある場合に比べて同じ搬送距離を確保しようとすれば搬送アームの関節間距離を大きくとらなければならず,そのために共通駆動アームの旋回半径R1が大きくなってしまうことが記載されていないから,上記@ないしBを前提とする本件特許発明2は改正前特許法36条4項の要件を満たさない発明であり,したがって,本件訂正後の本件特許発明2は独立特許要件を欠く旨主張する。
しかし,上記@については,本件訂正前明細書の図6,7,13及び14に搬送部の向きを変えずに一直線上に移動させる様子が記載されている。また,本件特許発明は半導体製造装置の処理チャンバへの半導体ウエハ搬送のための装置に関するものであるところ,当該処理チャンバ内においてはチャンバ内の雰囲気を外部の雰囲気と異なる状態にして処理が行われるため,チャンバの開口部はできるだけ小さくすることが求められている。このため,当該開口部を通過する搬送部はチャンバの開口部に対して垂直な直線上を向きを変えずに移動することが求められている。本件特許発明2が半導体ウエハの処理チャンバへの搬送に用いられるものを前提としている以上,当業者であれば本件特許発明が搬送部が向きを変えずに一直線上に移動することを前提としていることは当然に認識することである。
上記Aのうち搬送アームを共通駆動アームの2倍の早さで旋回させることについては,乙7公報にも記載されているとおり,周知の技術である。
原告が,上記@ないしBのような説明を行ったのは,乙16審決において「共通駆動部が直線状である場合に『収納角度』が必要である理由が,実質的に説明されていないため,両搬送部を同じ方向に伸縮させるために共通駆動部を回転させなければならない理由が不明である 」と。
記載されたため,この点に関する説明を行ったというにすぎない。
なお,乙17審決は「直線状の共通駆動部を用いても,各回動部の軸間距離や旋回角度の組み合わせによっては収納角度を設けることなく占有面積を最小化し得る可能性を排除することができない 」と記載し,。
被告は,当該記載をさらに具体化して搬送アームの関節間距離をAと2Aの中間に設定すれば搬送部の向きを変えずにほぼ一直線上に移動させることができると主張する。しかし,搬送部の交差角がない場合には,搬送部の先にある軸点は,同点と共通駆動部と第1の多関節駆動部の接合部分に当たる第1の固定軸点を結ぶ直線上を当該第1の固定軸点を通過して移動させる必要がある(したがって,移動過程において搬送部と第1の多関節駆動部が,搬送部の先にある軸点と第1の固定軸を一致させて重なることになる。ところが,搬送アームの関節間距離(すな 。)わち,搬送部の先にある軸点と搬送部と第1の多関節駆動部の接合点である軸点との距離)を第1の多関節駆動部の長さより長くし,又は短くした場合には,移動過程において搬送部と第1の多関節駆動部が,搬送部の先にある軸点と第1の固定軸を一致させて重なることができないから,搬送部の先にある軸点は,同点と共通駆動部と第1の多関節駆動部の接合部分に当たる第の固定軸点を結ぶ直線上を当該第1の固定軸点1を通過して移動することができない(甲21 。)( ) 被告各製品が本件訂正部分の構成を充足するか(争点6-3)3ア原告前記6( )アと同様である。
3イ被告前記6( )イと同様である。
39 本件明細書の発明の詳細な説明が改正前特許法36条4項及び5項2号の規定する要件を満たしているか(争点9 。)( ) 被告1ア共通駆動部を単一部材で構成する旨の記載の欠如と改正前特許法36条4項及び5項2号違反について原告が本件訴訟において主張するところの,本件各特許発明の「共通駆動部」の左右のアームを単一部材で構成したとの本件特許発明の特徴的部分が,本件明細書の請求項1及び6並びに発明の詳細な説明に記載されていないことは,改正前特許法36条4項及び5項2号に違反する。
イ旋回運動の回転中心と伸縮運動の原点を一致させる構成及びこれによる作用効果(搬送距離が長くなること)の記載の欠如と改正前特許法36条4項及び5項2号違反について原告が本件訴訟において主張するところの,旋回運動の回転中心と伸縮運動の原点が一致するとの本件特許発明1の特徴が,本件明細書の請求項1及び6並びに発明の詳細な説明には記載されていないことは,改正前特許法36条4項及び5項2号に反する。本件明細書の【0039】にそのように読めなくもない記載があるが,同心軸を使用しモータ3台を筒体に固定してしまえばリード線の引き回しが簡単になるということを説明しているだけであり,原告が本件訴訟で主張する長い搬送距離などは記載されていない。
原告は,本件訴訟において,旋回運動の回転中心と伸縮運動の原点を一致させることによって,搬送距離を長くすることができることが本件特許発明1の特徴である旨主張する。しかし,本件明細書にはそのような記載はない 旋回半径を小さくすることができるとの記述は 本件明細書の 0 。 ,【012【0023【0051【0064【0085【008 】,】,】,】,】,8】等に存在する。しかし,当該記載はいずれもホームポジションにおける旋回半径についての記載である。ホームポジションから離れた搬送距離。,【】【】 についての記載はない また 本件明細書の 0108 及び 0109の記載は,収納角度γを有する先行技術に比して本件特許発明の方が旋回角度が小さくて済むという効果と,本件各特許発明の中でも本件特許発明2は本件特許発明1よりさらに旋回半径が小さいことを記載しているにすぎず,本件明細書に記載されていないコの字形ダブルアームロボットとの比較において搬送距離が長いことは,本件訴訟に至ってはじめて主張されたものであり,本件明細書には記載されていない。
ウ収納角度γを要しない構成とすることの作用効果(切り替え旋回時間が不要であるという作用効果)の記載の欠如と改正前特許法36条4項違反について原告は,本件特許発明1において収納角度を要しない構成とすることにより,各アームの切り替え旋回時間が不要となるという作用効果が生じる旨主張する。しかし,本件明細書の発明の詳細な説明には,そのような作用効果についての記載がない。
,【】 , 各アームの切り替え旋回時間については 本件明細書の 0012 に収納角度γを有するロボットにおいては切り替え時間が増加する旨記載されているが,これはシングルアームロボットを2台併用する場合との比較か,仮にこの角度γをゼロにした場合との比較である。本件特許発明1においては切り替え時間がゼロであるなどとは記載されていない。本件明細書の【0030】及び【0075】においては本件特許発明1と本件特許発明2との対比において,本件特許発明1において必要とされていた旋回,, 時間が本件特許発明2においては不要であると記載されているが これは収納角度γを有する先行技術との比較ではなく本件特許発明1と同2の比較である。なお,本件明細書の【0109】の記載は,その全体が本件特許発明1と本件特許発明2の比較についての記載であるし 【0030】,及び【0075】から読み進んだ当業者には収納角度γを有する先行技術からの進歩性の説明であるとは理解できない。
, , , むしろ 本件明細書の記載によれば 収納角度γを有する先行技術では180度未満の切り替え旋回が必要であるのに対し,本件特許発明1においては180度の切り替え旋回が必要となり,本件特許発明2においては。,, 180度超の切り替え旋回時間が必要となる 当業者は 本件明細書から先行技術に比べて切り替え旋回時間がなくて済むという進歩性を理解することができない。
エ衝突防止の作用効果の記載の欠如と改正前特許法36条4項違反について原告は,本件特許発明1の作用効果として,両アームの衝突防止を主張する。しかし,衝突防止については,わずかに本件明細書の【0011】に記載があるのみである。そして,当該記載は,衝突防止のために収納角度γを設けた先行技術について 「もしも」この角度をゼロにすると両ア ,ームが衝突するという従来技術についての説明にすぎず,本件特許発明1における衝突防止効果についての記載はない。
( ) 原告2ア共通駆動部を単一部材で構成する旨の記載の欠如について被告は,本件明細書に共通駆動部を単一部材で構成することが記載されていない旨主張する。しかし,本件明細書の発明の詳細な説明及びこれに添付した図面に共通駆動部が単一部材であることが明確に記載されている。
イ旋回運動の回転中心と伸縮運動の原点を一致させる構成及びこれによる作用効果の記載の欠如について被告は,旋回運動の回転中心と伸縮運動の原点が一致する構成が本件明細書には記載されていない旨主張する。しかし,本件明細書に添付した図面には旋回運動の中心点と伸縮運動のための回転の中心点とが一致した構成が明確に記載されている。
被告は,旋回運動の回転中心と伸縮運動の原点を一致させる構成を採用することの効果として,本件明細書には,旋回半径を小さくできることは記載されているが搬送距離を長くすることは記載されていない旨主張する。しかし,旋回半径の大きさと搬送距離の長さは表裏の関係にあり,当業者であれば旋回半径についての記載から搬送距離に関する事項を容易に読み取ることができる。
ウ収納角度γを要しない構成とすることの作用効果の記載の欠如について被告は,本件明細書には,収納角度γを要しない構成とすることによって旋回時間を省略できるという作用効果は記載されておらず,むしろ,本件明細書の記載によれば,収納角度γを有する先行技術におけるγは180度未満であるのに対し,本件特許発明1においては180度の切り替え旋回時間が必要となり,本件特許発明2においては180度超の切り替え旋回時間が必要となるなどと主張する。
しかし,本件特許発明1は,搬送のための伸縮運動における旋回を不要とする発明ではなく,被搬送物の搬送が行なわれていないときの両アームの切り替えのための旋回を不要とする発明である。すなわち,第1の搬送部が搬送先からホームポジションに戻りつつある間に切り替えのための旋回も同時に行うため,第1の搬送物がホームポジションに到達してからロボット自体を旋回させる時間を節約することができるというものである。
上記のような本件特許発明1の特徴は,本件明細書を読んだ当業者は容易に理解し得ることである。
エ衝突防止の作用効果の記載の欠如について被告は,本件明細書に,左右両アームの衝突防止効果について記載がない旨主張する。しかし,本件特許発明1における共通駆動部が衝突防止という効果を有することは説明するまでもなく明らかである。
10 損害の額(争点10)( ) 原告1ア原告は,被告の本件特許権侵害行為により,次のとおり,少なくとも1億2000万円の損害を被った。
イイ号物件の売上げについて被告は,イ号物件について遅くとも平成9年夏ごろまでには製造販売を開始しており,平成15年夏までの6年間のイ号物件の売り上げは12億円を下らない。
なお,被告は,現在,イ号物件を製造販売していない旨主張する。しかし,自らのホームページにおいて,被告の海外(韓国及び米国)法人のホームページに対するリンクを張っており,海外法人のホームページにおいてイ号物件の譲渡の申出を行なっている(甲10,11,12。甲11におけるS300及びS340がイ号物件のうちRR468に当たる。。)したがって,被告は,現在においてもイ号物件の輸入,製造,販売を行なっているといえる。被告はイ号物件に対応する大気用のロボットであるロ号物件について自らのホームページにおいて優れた製品であるとして宣伝広告しているのであるから,これに対応する真空用ロボットであるイ号物件を今後一切製造販売しないということはあり得ない。仮に,被告が現在イ号物件の製造販売を行なっていないとしても,将来に亘って製造,販売を行うおそれが極めて高いといえる。
ウロ号物件の売上げについて被告は,ロ号物件を現在においても「新型ロボット・・・RR421を搭載し,小さな旋回半径でロングリーチを実現しました 」と宣伝広告し。
て製造販売している(甲9,6 。そして,ロ号物件は,いわゆる第5世 )代に当たるところ,平成16年9月16日付け日刊工業新聞の記事(甲17)によれば,被告は,このころまでに,三星電子株式会社(以下「サムスン」という )に対して第5世代を販売したことが認められる。ロ号物 。
件の販売時期は平成13年から平成16年であるところ,平成16年2月期決算短信の添付書類(甲18)によれば,平成14年3月1日から平成15年2月28日までにサムスンから10億5836万6000円,平成15年3月1日から平成16年2月29日までに9億8844万7000円,合計20億4681万3000円を売上げている。この大部分がロ号物件の売上であることは明らかである。
実施料率について。,, 本件各特許発明実施料率は10%を下らない そして 前記のとおりイ号物件及びロ号物件の売上げは,12億円を下らないことは明らかである。したがって,原告が受けた損害の額は,1億2000万円(12億円×10%)を下らない(特許法102条3項 。)社団法人発明協会が発行している「実施料率〔第5版 」によれば,本〕件特許発明が属する技術分野である「半導体製造装置」は「特殊産業用機械」に分類されているが,当該分野における平成4年度から平成10年度.。,, のイニシャル無しの実施料率の平均値は6 5%である また 同書には半導体製造装置に関してはイニシャル有りの実施料率が30%の契約例,イニシャル無しで実施料率50%の契約例2件が存在することが記載されている(甲20 。このように,半導体製造装置の発明に対する実施料率 )は上記技術分野の中でも特に高率なことが通常である。さらに,本件においては,当事者間の話合いで契約が成立せず,特許庁の判定まで得ているのであって,被告は,本件特許発明侵害することを認識しながら被告製品の製造販売を継続している。したがって,本件においては,実施料率が6.5%を下回ることは有り得ない。
( ) 被告2ア被告各製品の製造販売については,同心軸調達コストが過剰であることが主な原因で,損失を計上している。
イイ号物件の売上げについて平成9年1月31日から平成16年2月16日までのRR468の売上げは29台1億7639万1000円,RR469の売上は57台3億8204万1200円である。
被告は,RR468,469については,採算がとれないため,積極的な営業活動は行っていない。過去にこれらのロボットを購入した既存の顧, , 客が購入を希望する場合 顧客の仕様に合ったロボットが他にない場合で, , 営業戦略上 採算を度外視して受注すべきと判断したときのみRR468469を製造販売することにしている。
ウロ号物件の売上げについて平成9年1月31日から平成16年2月16日までのRR421の売上げは18台1億1344万0199円である。
RR421について,原告は,平成14年3月1日から平成16年2月29日までの期間におけるサムスンに対する売上金20億4681万3000円の大部分がRR421の売上であると主張する。しかし,上記売上は,RR421に限らずシングルアームRR420,それらのカセットステーション,通常のダブルアームロボットを組み込んだEFEMの売上などを合計した額であって,大部分がRR421の売上であるとの主張は大げさである。
実施料率について原告の主張する実施料率については否認ないし争う。
第4当裁判所の判断1イ号物件が本件特許発明1及び2の技術的範囲を充足するか(争点1 。)( ) イ号物件の構成eが本件特許発明1及び2の各構成要件Eを充足するか1(争点1-1 。)アイ号物件の構成eの「支持筒(10a 」及び「支持筒(10b 」は ) )構成要件Eの「第1の固定軸(13A 」及び「第2の固定軸(13B 」 ) ),「()」「()」 に イ号物件の構成eの 第2の支軸 16及び 第3の支軸 17「()」「()」 は構成要件Eの 第1の駆動軸 13C及び 第2の駆動軸 13Dに,イ号物件の構成eの「第1アーム(11)と該第1アーム(11)と一体の第1の支軸(15 」は,構成要件Eの「共通駆動部(13 」に ) )それぞれ該当する。
したがって,イ号物件は構成要件Eを充足する。
,「() ,() イ被告は 構成要件Eの 共通駆動部 13 は 第1の駆動軸 13Cと第2の駆動軸(13D)を有する」というためには,各駆動軸が共通駆動部の中に組み込まれ,これらが同一の回転軸中心を有する構成であると解する必要があり,イ号物件は,第1の駆動軸(13C)及び第2の駆動軸(13D)に相当する第2の支軸(16)及び第3の支軸(17)が,共通駆動部の軸部分に相当する第1の支軸(15)の外側を取り囲むように位置しているから構成要件Eを充足しない旨主張する。
, 。 しかし 構成要件Eを被告主張のように限定して解釈すべき理由はない被告は,特許請求の範囲が「駆動軸を有する共通駆動部」と記載されて, , 「」 おり 駆動軸のように回転する物を 別の物である共通駆動部が 有する又は「備わっている」というためには,被告主張のように解釈せざるを得ない旨主張する。しかし,共通駆動部は,平面部分と軸部分から構成されているところ,イ号物件のように,共通駆動部の軸部分を「第1の駆動軸(13C 」と「第2の駆動軸(13D 」に相当する駆動軸が取り囲む ) )ように構成され,当該軸が共通駆動部の平面部分の上部にも顔を出す構成であれば 「共通駆動部(13)は,第1の駆動軸(13C)と第2の駆 ,動軸(13D)を有する」といえるから,被告の主張は採用することができない。
なお,本件明細書の【0036】及び【0039】には,実施例である図4の説明として,次のような記載がある 「共通駆動アーム23は・・ 。
・その中心部分には搬送アーム21に回転力を与える第1の駆動軸13C。, と搬送アーム22に回転力を与える第2の駆動軸13Dとを有する なお共通駆動アーム23の回転中心は,第1,第2の駆動軸13C,13Dの回転中心と同じである「本発明の実施例では共通駆動アーム23の回 。」,転中心が第1,第2の駆動軸13C,13Dの回転中心とが同じであることから,それらに対してサーボモータ24A〜24Cを装置本体内に固定, 。」 することができ メンテナンス面及びモータ配線等において有利であるまた,本件各特許発明の原理図である図1,本件特許発明1の実施例である図4においても,左右の多関節駆動部に回転力を与える駆動軸は,共通駆動部の軸部分と同一の回転中心を有する例が記載されている。しかしながら,本件明細書の【0036】及び【0039】の記載は 「実施例で,は」共通駆動部(13)と第1,第2の駆動軸13C,13Dの回転中心が同じであると明記しているにすぎず,本件各特許発明の特許請求の範囲(請求項1及び6)においては,左右の多関節駆動部に回転力を与える駆動軸と共通駆動部の軸部分との位置関係を限定していない以上,両者の回転中心が同じであると限定して解することはできない。両者の回転中心を同じ位置関係にすることによって,サーボモータ24A〜24Cを装置本体内に固定することができ,メンテナンス面及びモータ配線等において有利であるという作用効果を生じることは上記【0039】記載のとおりであるものの,この作用効果は本件明細書の【0108】及び【0109】に記載されている本件各特許発明の作用効果とは異なる作用効果であるから,本件明細書の実施例についての上記各記載によって,本件特許発明1の構成要件を限定解釈すべきではない。本件各特許発明の作用効果は,@「 0108 ・・・本発明の多関節搬送装置によれば,第1の搬送部の 【】回転面に対して上又は下側に位置するように第2の搬送部の高さを規定しているので,第1及び第2の搬送部を共通駆動部の上部に縮めたとき,第1の搬送部と第2の搬送部との間に,被搬送物が入り込めるような高低差を生じさせることができる。このため,ホームポジションで,被搬送物を載置した下側の第1の搬送部と,その上側の第2の搬送部とを重ね合わせることができる。従って,ホームポジションで大きな被搬送物を載置して回転するときも,被搬送物の旋回半径を小さくすることができる,A。」「 0109 ・・・一方の搬送部が共通駆動部上に取り込まれた状態で, 【】他方の搬送部が一方向に伸縮されたり,2つの搬送部や2つの多関節駆動部が静止している状態で,共通駆動部が旋回されるので,従来技術のような3つの基本動作に加え,同一方向において,一方の搬送部に載置された被搬送物を搬送先に移動して,それを他方の搬送部を用いて搬送先の被搬送物と交換することが可能となる,B「また,本発明の他の装置によ 。」れば,共通駆動部が『く』の字型に屈曲されたアーム状に構成される。このため,共通駆動部上に第1,第2の搬送部を取り込んだ状態において,両搬送部を揃えることが可能となる 」というものであり,これらの作用 。
効果と第1,第2の駆動軸と共通駆動部の回転中心を同一にするということとは,無関係である。
( ) イ号物件の構成fが本件特許発明1及び2の各構成要件Fを充足するか2(争点1-2 。)アイ号物件の構成fの「前記第2アーム(6a ,第2アーム(6b)及 )び前記第1アーム(11)とこれと一体の第1の支軸(15)を回動制御するモータ部(23 ,モータ部(30 ,およびモータ部(33 」は, )))本件各特許発明構成要件Fの「駆動制御手段(14 」に該当する。)したがって,イ号物件は本件各特許発明構成要件Fを充足する。
イ「駆動制御手段(14 」の位置関係について ), () ,() 被告は 構成要件Fの駆動制御手段 14 は 第1の駆動軸 13Cを駆動するモータと第2の駆動軸(13D)を駆動するモータを一つの胴体(棚板,旋回台,支持台等)に搭載する構成の駆動手段を含まず,イ号物件は 第1の駆動軸 13C を駆動するモータに相当するモータ部 2 ,() (3)及び第2の駆動軸を駆動するモータに相当するモータ部(30)が一つの棚板(24)に搭載されているから構成要件Fを充足しない旨主張する。
しかし,構成要件Fにおいては,駆動制御手段(14)を構成する複数のモータ部の配置すなわち装置本体に配置されるか,一つの胴体(棚板,旋回台,支持台等)に配置されるか否かについては規定していないのであるから,被告主張のような限定解釈をすべき理由はない。
被告は,被告主張の根拠として,被告主張のように解釈しなければ,第1の駆動軸(13C ,第2の駆動軸(13D)及び共通駆動部(13) )のうちの二つあるいは三つを駆動制御手段により同期させて回動することができない旨主張する。しかし,第1の駆動軸(13C)を駆動するモータと第2の駆動軸(13D)を駆動するモータを一つの胴体(棚板,旋回台,支持台等)に搭載する構成であっても,駆動制御手段の駆動方法次第で 第1の駆動軸 13C第2の駆動軸 13D 及び共通駆動部 1 ,(),()(3)のうちの二つあるいは三つを駆動制御手段により同期させて回動することは可能であるし,本件各特許発明が想定している本件訂正部分に記載された動作状態を実現することは可能である。駆動制御手段を装置本体内に固定する構成を採用した場合には,メンテナンス面及びモータ配線等において有利であるという作用効果を生じることはあっても 本件明細書 0(【039,かかる構成でなければ本件各特許発明が想定する作用効果を 】)奏し得ないということはない。被告の主張は採用することができない。
ウ「駆動制御手段(14 」の解釈について)被告は,本件各特許発明構成要件Fにおける「駆動制御手段」は,三つの部分を駆動制御する一つの機構でなければならないところ,イ号物件においては,第2アーム(6a)を回動制御するモータ部(23 ,第2)アーム(6b)を回動制御するモータ部(30 ,第1アーム(11)と )一体の第1の支軸(15)を回動制御するモータ部(33)の三つのモータ部が存在するから,構成要件Fを充足しない旨主張する。
しかし,本件明細書において本件特許発明1の実施例として記載されている図4には,第1の多関節駆動部を駆動するモータ(24A ,第2の)多関節駆動部を駆動するモータ(24B ,共通駆動部を駆動するモータ )(24C)が存在しており,これらを総称して駆動制御装置(24)としていることが認められる(甲2 。また,本件明細書の図4の実施例につ )いて,本件明細書においては 「駆動制御装置24は多回転アブソリュー ,トエンコーダ付きのサーボモータ24A〜24C及びら成り,モータ24Aはエンコーダから出力される回転検出信号に基づいて第1の駆動軸13Cに回転力を供給する。モータ24Bも回転検出信号に基づいて同様に第2の駆動軸13Dに回転力を供給する。モータ24Cも同様に共通駆動アーム23に回転力を供給する。これにより,駆動制御装置24は次の制御を行うことができる ・・・」と記載されている。そして,特許請求の範 。
囲の「前記第1の多関節駆動部(11 ,第2の多関節駆動部(12)及 )び共通駆動部(13)を回動制御する駆動制御手段(14)とを備え」との文言は,第1の多関節駆動部(11 ,第2の多関節駆動部(12)及 )び共通駆動部(13)をそれぞれ個別に駆動する三つの装置が存在し,これらの装置を総称して「駆動制御手段(14 」とする構成を含むもので )あることは当然である。
そうすると,構成要件Fの「駆動制御手段(14 」は,第1の多関節)駆動部(11)を回動制御するモータ,第2の多関節駆動部(12)を回動制御するモータ,共通駆動部(13)を回動制御するモータ全体の総称であると解釈すべきである。したがって,被告の主張は採用できない。
( ) 小括3イ号物件は,本件特許発明1及び2の技術的範囲を充足する。
2イ号物件の未完成品の製造ないし販売について直接侵害ないし間接侵害が成立するか(争点2 。)( ) 直接侵害の成否1ア証拠(甲14)及び弁論の全趣旨によれば次の事実が認められる。
被告は,第3アーム(3a)及び第3アーム(3b)を備えないイ号物件(未完成イ号物件)を製造し,これにエンドエフェクターと呼ばれる検査用の部品を設置して駆動検査を行った上,これを輸出している。未完成イ号物件を韓国に輸出する場合には,被告の子会社である韓国法人ローツェ・システムが,外国において製造した第3アーム(3a)及び第3アー() , 。 ム 3b を 未完成イ号物件を購入した者に対してこれを譲渡している以上の認定事実によれば,被告が未完成イ号物件を生産し,海外に輸出する行為については,これをもって国内においてイ号物件の完成品を製造し,譲渡する行為と評価することはできない。
イ原告は,未完成イ号物件にエンドエフェクターを設置した物は本件各特許発明技術的範囲に属するから,未完成イ号物件にエンドエフェクター()。 を設置する行為は本件各特許発明実施行為 生産 に当たると主張するしかし,エンドエフェクターは性能検査のために一時的に設置されるものにすぎず,製品の一部を構成しておらず,また,未完成イ号物件とともに販売される部品でもないから,未完成イ号物件にエンドエフェクターを設置する行為をもって本件各特許発明実施品を生産する行為ということはできない。また,原告は,本件においては,未完成イ号物件について,必要な部品をすべて日本で生産し,その組み立てを海外で行っている場合と同視できるとも主張する。しかしながら,本件においては,被告が未完成イ号物件について必要なすべての部品を日本で生産しているとの事実を認めるに足りる証拠はないから,原告の主張は採用し得ない。
したがって,被告による未完成イ号物件の製造,販売(輸出)行為について本件特許権の直接侵害は成立しない。
( ) 間接侵害の成否2ア特許法101条柱書き及び同1号は「特許が物の発明についてされている場合において,業として,その物の生産にのみ用いる物の生産,譲渡若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為」について「当該特許権又は専用実施権侵害するものとみなす 」旨規定する。。
イ未完成イ号物件のうち国内販売分について未完成イ号物件は,イ号物件のうち第3アーム(3a)及び第3アーム(3b)のみを有しないものであり,その余の構成はイ号物件と全く同一であるから,イ号物件の生産にのみ用いる物に当たり,前記のとおり,イ号物件は本件各特許発明技術的範囲を充足する。
, ,, したがって 未完成イ号物件のうち国内販売分を製造 譲渡する行為は特許法101条1号の規定する行為に当たる。
ウ未完成イ号物件のうち海外輸出分について特許法101条は,特許権の効力の不当な拡張とならない範囲でその実効性を確保するという観点から,特許権侵害とする対象を,それが生産,譲渡される等の場合には当該特許発明侵害行為(実施行為)を誘発する蓋然性が極めて高い物の生産,譲渡等に限定して拡張する趣旨の規定であると解される。そうすると 「その物の生産にのみ使用する物 (1号) , 」という要件が予定する「生産」は,日本国内における生産を意味するものと解釈すべきである。外国におけるイ号物件の生産に使用される物を日本国内で生産する行為についてまで特許権の効力を拡張する場合には,日本の特許権者が,属地主義の原則から,本来当該特許権によっておよそ享受し得ないはずの,外国での実施による市場機会の獲得という利益まで享受し得ることになり,不当に当該特許権の効力を拡張することになるというべきである。
本件についてみると,前記( )アの認定事実によれば,未完成イ号物件1は外国におけるイ号物件の生産に使用されるものであって,日本国内におけるイ号物件の生産に使用されるものではないから,特許法101条1号の「その物の生産にのみ用いる物」に当たるということはできない。
( )小括3被告による未完成イ号物件の製造ないし販売については,国内販売分については特許法101条1号により本件特許権の侵害に当たるものの,海外輸出分については直接侵害間接侵害も成立しない。
3ロ号物件が本件特許発明1及び2の技術的範囲を充足するか(争点3)( ) ロ号物件の構成eが本件特許発明1及び2の各構成要件Eを充足するか1(争点3-1 。)アロ号物件の構成eの「支持筒(10a 」及び「支持筒(10b 」は ) )構成要件Eの「第1の固定軸(13A 」及び「第2の固定軸(13B 」 ) ),「()」「()」 に ロ号物件の構成eの 第2の支軸 16及び 第3の支軸 17「()」「()」 は構成要件Eの 第1の駆動軸 13C及び 第2の駆動軸 13Dに,ロ号物件の構成eの「第1アーム(11)と該第1アーム(11)と一体の第1の支軸(15 」は,構成要件E「共通駆動部(13 」にそ ) )れぞれ該当する。したがって,ロ号物件は構成要件Eを充足する。
,「() ,() イ被告は 構成要件Eの 共通駆動部 13 は 第1の駆動軸 13Cと第2の駆動軸(13D)を有する」の意味について,イ号物件におけると同様の限定解釈を主張する。
この点についての判断は,前記1( )イに記載したとおりであり,被告1の主張は採用することができない。
なお,ロ号物件は,イ号物件と異なり,第1の駆動軸(13C)及び第2の駆動軸(13D)に相当する第2の支軸(16)及び第3の支軸(17)が,共通駆動部(13)の軸部分を取り囲む状態で配置されているのではなく,共通駆動部の平面部分(11)に設けられている点で差異がある。しかし,第1の駆動軸及び第2の駆動軸が共通駆動部の平面部分に設けられている場合であっても,構成要件Eの「第1の駆動軸(13C)と・・・第2の駆動軸(13D)とを有する共通駆動部(13 」との構成)を充足することに変わりはない。
ウ被告は ロ号物件において原告が駆動軸であると主張する第2の支軸 1 , (6)と第3の支軸(17)はモータの回転シャフトであって駆動軸ではなないと主張する。
しかしながら,構成要件Eにおける「駆動軸」とは,本件各特許発明の特許請求の範囲の記載によれば 「多関節駆動部に回転力を与える軸」で ,あるから,モータの回転シャフトであっても,多関節駆動部に回転力を与える軸である以上,構成要件Eにおける「駆動軸」に当たる。被告は,回転力を「与える」との文言に着目すれば,回転の動力となるモータの構成部品は「駆動軸」になり得ない旨主張するが,かかる被告の主張は採用することができない。
( ) ロ号物件の構成fが本件特許発明1及び2の各構成要件Fを充足するか 2(争点3-2 。)アロ号物件の構成fの「前記第2アーム(6a ,第2アーム(6b)及 )び前記第1アーム(11 (第1アーム(11)と一体の第1の支軸(1 ))。) (),(), 5 も同様であるを回動制御するモータ部 23モータ部 30およびモータ部(33 」は,本件各特許発明構成要件Fの「駆動制御 )手段(14 」に該当する。したがって,ロ号物件は,本件各特許発明の )構成要件Fを充足する。
イ被告は,駆動制御装置の位置,駆動制御装置と被駆動物との対応関係についてイ号物件におけると同様の主張をする。しかし,これに対する判断は前記1( )イ及びウ記載のとおりであり,被告の主張は採用することが2できない。
なお,ロ号物件は,イ号物件と異なり,モータ部(23)及びモータ部(30)が,本件各特許発明の共通駆動部の平面部に相当する第1アーム(11)の下側に設置されているという点で差異がある。しかし,かかる位置関係であったとしても 駆動制御手段の操作次第で 第1の駆動軸 1 , ,(3C ,第2の駆動軸(13D)及び共通駆動部(13)のうちの二つあ )るいは三つを駆動制御手段により同期させて回動し,本件各特許発明が想定している動作状態を実現することは可能である。また,モータが上記のような位置関係にあったとしても,第1の多関節駆動部(11 ,第2の)多関節駆動部(12)及び共通駆動部(13)をそれぞれ個別に駆動する三つの装置が存在し,これらの装置を総称する「駆動制御手段(14 」)を備えていることに変わりはない。
( ) 小括3ロ号物件は,本件特許発明1及び2の技術的範囲を充足する。
なお,被告は,原告が,当初 「ロ号物件であるRR421については本 ,件各特許発明技術的範囲に属しないから取り下げる」旨述べていたにもかかわらず前言を撤回して侵害の主張を維持することは信義則に反して許されない旨主張する。しかし,本件記録によれば,本件において,原告が上記のように述べたにもかかわらず,RR421についての請求を維持した経緯は次のとおりであり,被告の主張は採用することができない。すなわち,被告は,当初,RR421の構造を開示することに難色を示し,自らが作成した簡易な略式図のみを開示した(乙5 。原告は,ロ号物件の構成が当該略式 )図のとおりであれば取り下げることも検討する旨述べた。しかしながら,その後,被告が,RR421のより正確な図面を開示したところ,原告は,先に被告が示した略式図は不正確であり誤導されたとして,後に示された,より正確な図面に基づいて侵害の主張を維持するに至ったものである。かかる経緯に鑑みれば,原告がロ号物件に対する侵害の主張を維持することは何ら信義則に反するものではない。
4ロ号物件の未完成品の製造ないし販売について直接侵害ないし間接侵害が成立するか(争点4 。)( ) 直接侵害の成否1ア証拠(甲14)及び弁論の全趣旨によれば次の事実が認められる。
被告は,ロ号物件を外国に輸出する際には,第3アーム(3a)及び第3アーム(3b)を備えず,かつ,アーム部各部の回動を個別に制御するコンピュータ,コントローラ,ドライバ,ソフトウエア等を欠いたロ号物件(未完成ロ号物件)を製造し,これにエンドエフェクターと呼ばれる検査用の部品を設置して駆動検査を行った上,これを輸出している。未完成ロ号物件を韓国に輸出する場合には,被告の子会社である韓国法人ローツェ・システムが,外国において製造した第3アーム(3a)及び第3アーム(3b)及びアーム各部の回動を個別に制御するコンピュータ等を未完成ロ号物件を購入した者に譲渡している。
以上の認定事実によれば,被告は,未完成ロ号物件を生産し,これを海外へ輸出しているのであり,その行為をもって国内においてロ号物件の完成品を製造し,譲渡しているものと評価することはできない。
イ原告は,未完成ロ号物件にエンドエフェクターを設置し,何らかのアーム部各部の回動をロ号物件と同様に制御するためのシステムを備えた物は本件各特許発明技術的範囲に属するから,未完成ロ号物件にエンドエフェクター及びそのような駆動制御システムを設置する行為は本件各特許発明実施行為(生産)に当たると主張する。しかし,エンドエフェクター及び上記駆動制御システムは性能検査のために一時的に設置されるものにすぎず,製品の一部を構成しておらず,また,エンドエフェクター及び上記駆動制御システムが未完成ロ号物件とともに販売される部品とは認められないから,未完成ロ号物件にエンドエフェクター及び上記駆動制御システムを設置する行為をもって本件各特許発明実施品を生産する行為ということはできない。
なお 被告は 未完成ロ号物件が第3アーム 3a 及び第3アーム 3 ,, ()(b)並びに駆動制御部を有していないことを証明する証拠として,被告代表者作成の報告書(乙18。以下 「乙18報告書」という )を提出す , 。
るものの,同報告書は,相当な範囲にわたってブランクとなっているだけでなく,充分に整理されていないところもあることから,現段階においては,これを認定証拠としては採用しないこととする。ただし,未完成ロ号物件の存在については,原告も積極的にはこれを争っていないことから,前記のとおり,認定する。
( ) 間接侵害の成否2特許法101条柱書き及び同1号は「特許が物の発明についてされている場合において,業として,その物の生産にのみ用いる物の生産,譲渡若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為」について「当該特許権又は専用実施権侵害するものとみなす 」旨規定する。。
特許法101条は,特許権の効力の不当な拡張とならない範囲でその実効性を確保するという観点から,特許権侵害とする対象を,それが生産,譲渡される等の場合には当該特許発明侵害行為(実施行為)を誘発する蓋然性が極めて高い物の生産,譲渡等に限定して拡張する趣旨の規定と解される。
そうすると 「その物の生産にのみ使用する物 (1号)という要件が予定 , 」「」 , 。 する 生産 は 日本国内における生産を意味するものと解釈すべきである外国におけるロ号物件の生産に使用される物を日本国内で生産する行為についてまで特許権の効力を拡張する場合には,日本の特許権者が,属地主義の原則から,本来当該特許権によっておよそ享受し得ないはずの,外国での実施による市場機会の獲得という利益まで享受し得ることになり,不当に当該特許権の効力を拡張することになるというべきである。
本件についてみると,前記( )アの認定事実によれば,未完成ロ号物件は1外国におけるロ号物件の生産に使用されるものであって,日本国内におけるロ号物件の生産に使用されるものではないから,特許法101条1号の「その物の生産にのみ用いる物」に当たるということはできない。
( ) 小括3未完成ロ号物件の製造及び海外への輸出については,本件特許権の直接侵害間接侵害も成立しない。
5本件特許発明1に係る特許が特許無効審判により無効とされるべきものといえるか(争点5 。),, 。 まず 乙1発明 乙2発明及び乙7発明に基づく無効理由について判断する( ) 本件特許発明1が特開平4-30447号公報(乙1)に記載された発明1と同一又は当該発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものといえるか(争点5-1 。)ア乙1公報には次のような記載がある(乙1 。))〔発明が解決しようとする課題 (2頁左上欄14行ないし右上欄3 a 〕行)「1本の移し換えアームでは,例えば,最終の処理室から半導体ウエハを取り出した後,移し換えアームを1段階前の処理室まで戻し,この処理室から半導体ウエハを取り出して最終の処理室に移し換え,さらに前の段階の処理室に移し換えアームを戻すという動作を繰り返す必要があり,移し換えアームを各処理室に何度も往復移動させながら,ひとつづつの半導体ウエハを移し換えるという,非常に面倒で手間のかかる作業を行っていた 」。
)〔課題を解決するための手段 (2頁右上欄9行ないし19行)b 〕「上記課題を解決するこの発明にかかる基板の移し換え装置は,それぞれの先端に基板保持部を備えた一対の移し換えアームが支持台上に並設され,各移し換えアームは,2組の平行リンク機構が屈伸自在に連結されてなり,前記基板保持部は,各移し換えアームの伸長により前記支持台から外方に向けて移動し,各移し換えアームの屈曲により前記支持台内に戻るようになっているとともに,左右の各移し換えアームの屈曲は互いに外側に向けてなされるようになっている 」。
)〔作用 (2頁左下欄5行ないし15行)c 〕「・・・一方の移し換えアームに次ぎに装入する基板を保持させた状態で,他方の移し換えアームで処理を終えた基板を取り出し,移し換えアーム全体すなわち支持台を移動させることなく,ただちに前記一方の移し換えアームに保持された基板を処理位置に装入すればよいのである。他方の移し換えアームで取り出された基板は,この移し換えアームで保持したまま,支持台を旋回させるなどして,つぎの処理位置に移動させる。そして,前記した一連の作業を再び繰り返せばよい 」。
)実施例(2頁右下欄16行ないし3頁右上欄7行)d「移し換えアームを支持する支持台として,歯車機構12を介して駆動モータ11で旋回する旋回台10を備えている。駆動モータ11としては,旋回台10を所定の角度だけ正確に回転できるパルスモータが好ましい。旋回台10には,一対の移し換えアーム20,30が並べて設けられている。各移し換えアーム20,30は,2組の平行リンク機構40,50が連結されており,先端に半導体ウエハの保持部,すなわち基板保持部60a,60bを備えている。移し換えアーム20と30とでは,保持部60aと60bの高さ位置に差がある 」。
「平行リンク機構40は,一対の長いリンク41,42が旋回台10に旋回可能に支持され,一方のリンク42の旋回中心となる駆動軸43は,支持台部10の下方に取り付けられた駆動モータ44に連結されており,駆動モータ44の回転でリンク42が旋回する。この駆動モータ, , 44も 前記旋回台10用の駆動モータ11と同様にパルスモータ等の旋回角度を正確に設定できるものが好ましい。リンク41,42の先端は,もうひとつの平行クランク機構50の一対のリンク51,52とそれぞれ旋回可能に連結されている。リンク51,52の先端は,C字形の基板保持部60a,60bに旋回可能に連結されている。前記リンク41,42とリンク51,52の連結個所には,それぞれ歯車70,72が取り付けられており,互いにギヤ比1:1で噛み合っている。歯車, 。 70はリンク42に固定され 歯車72はリンク52に固定されているリンク51,52は,歯車70,72よりも先に延長され,短いリンク54で旋回可能に連結されている 」。
)3頁右上欄15行ないし左下欄2行e「平行リンク機構40が旋回すると,歯車70,72の噛み合いにより,平行リンク機構50は平行リンク機構40と反対方向に同じ角度だけ旋回する。その結果,左右の移し換えアーム20,30が互いに外側に向けて屈曲するとともに,保持部60a,60bは平行リンク機構の短節に沿う方向に直線的に平行移動することになる 」。
)4頁左上欄17行ないし右上欄7行f「まず,移し換えアーム20,30が予備室84を向くように旋回台10を旋回させ,一方の移し換えアーム20(または30)で,予備室82の半導体ウエハを受け取る。つぎに,旋回台10を一定角度旋回させて,最初の処理室,例えば処理室86に向ける。空の移し換えアーム30(または20)で処理室86の処理済み半導体ウエハを受け取った後,残りの移し換えアーム20(または30)に保持された半導体ウエハを空になった処理室86に移す 」。
)4頁右下欄8行ないし14行g「旋回台10の内部にはリンク42,42を旋回させる駆動軸43,43が通っている ・・・駆動軸43は旋回台10の下部に固定された 。
駆動モータ44に連結されている 」。
イ前記ア及び乙1公報の第1図,第3図及び第4図によれば,乙1公報には,次の構成を有する乙1発明が記載されていると認められる(以下「乙1発明の構成A 」などという。’。)A’基板保持部60bと,B’基板保持部60bの回転面に対して上側に位置するように高さを規定した基板保持部60aと,C’基板保持部60bを一方向に伸縮する移し換えアーム30(2組の平行リンク機構(40,50)が屈伸自在に連結されてなる)と,D’基板保持部60aを一方向に伸縮する移し換えアーム20(2組の平行リンク機構(40,50)が屈伸自在に連結されてなる)と,E’左リンク42の回動中心となる左駆動軸43の先端部と,右リンク42の回動中心となる右駆動軸43の先端部とを有し,かつ,左リンク42(移し換えアーム30)に回転力を与える左駆動軸43と,右リンク42(移し換えアーム20)に回転力を与える右駆動軸43とを有する旋回台10と,F’移し換えアーム30及び移し換えアーム20を回動制御する左右の駆動モータ44,旋回台10を回動制御する旋回台用駆動モータ11及び歯車機構12とを備え,G’前記基板保持部60b及び前記基板保持部60aを前記旋回台10の上部に縮めたとき,前記基板保持部60bと前記基板保持部60aとを高低差をもって重なるようにしたH’基板の移し換え装置ウ乙1発明と本件特許発明1の一致点及び相違点)乙1発明の構成A ,B ,G’及びH’が,本件特許発明1の構成要a ’’件A,B,G及びHの構成と一致することは当事者間に争いがない。
また,乙1発明の構成E’のうち「左駆動軸(43 」及び「右駆動)軸(43 」が,構成要件Eの「第1の駆動軸(13C 」及び「第2 ) )()」 , 。 の駆動軸 13Dに それぞれ当たることは当事者間に争いがない)乙1発明の構成C’及びD’の構成が本件特許発明1の構成要件C及bびDの構成と一致するといえるか。
本件特許発明1の特許請求の範囲の記載によれば,本件特許発明1の構成要件Eにおける「第1の多関節駆動部(11 」及び「第2の多関)()」 ,()(,) 節駆動部 12は 共通駆動部 13に固定軸13A13Bを介して設けられ,回動することによって第1の搬送部15及び第2の搬送部16をそれぞれ一方向に伸縮するものであると認められる。
そして,前記ア,イ,乙1公報の第1図及び第3図によれば,乙1発明の「移し換えアーム30(2組の平行リンク機構(40,50)が屈伸自在に連結されてなる 」及び「移し換えアーム20(2組の平行リ )ンク機構(40,50)が屈伸自在に連結されてなる 」は,旋回台1)0に固定軸を介して設けられ,回動することによって基板保持部60b及び基板保持部60aをそれぞれ一方向に伸縮するものである。
そうすると,乙1発明の「移し換えアーム30(2組の平行リンク機構(40,50)が屈伸自在に連結されてなる 」及び「移し換えアー )ム20(2組の平行リンク機構(40,50)が屈伸自在に連結されてなる 」は,本件特許発明1の構成要件Eにおける「第1の多関節駆動 )部(11 」及び「第2の多関節駆動部(12 」に相当し,乙1発明 ) )の構成C’及びD’の構成は本件特許発明1の構成要件C及びDの構成と一致する(なお,乙1発明は,アームの駆動機構が平行リンク機構で構成されているが,本件特許発明1は,アームの駆動機構の内容について限定するものではない。。),,「(,)」 この点について 原告は 乙1発明の 移し換えアーム 30 20と「基板保持部(60b,60a 」との連結関係が,本件特許発明1 )における「第1の搬送部(15,16 」と「第1の多関節駆動部(1 )1,12 」との連結関係と異なることを指摘して,乙1発明の「移し )換えアーム30」及び「移し換えアーム20」は,本件特許発明1の構成要件C及びDにおける「第1の多関節駆動部(11 」及び「第2の)多関節駆動部(12 」に当たらない旨主張する。しかし,本件特許発 )明1において,搬送部(15,16)と多関節駆動部(11,12)の連結関係についての限定がなされているとはいえないから,この点に関する原告の主張は採用できない。
)乙1発明の構成E’の構成が本件特許発明1の構成要件Eの構成と一c致するといえるか。
@構成要件E( 前記第1の多関節駆動部(11)の回動中心となる 「第1の固定軸(13A)と,前記第2の多関節駆動部(12)の回動中心となる第2の固定軸(13B)とを有し,かつ,前記第1の多関節駆動部(11)に回転力を与える第1の駆動軸(13C)と前記第2の多関節駆動部(12)に回転力を与える第2の駆動軸(13D)とを有する共通駆動部(13)と )及び構成要件F( 前記第1の 」「多関節駆動部(11 ,第2の多関節駆動部(12)及び共通駆動部 )() ()」), 13 を回動制御する駆動制御手段 14 とを備えによれば構成要件Eにおける「共通駆動部(13 」とは,多関節駆動部(1 )1,12)の回動中心となる固定軸(13A,13B)及び多関節駆動部に回転力を与える駆動軸(13C,13D)を有し,駆動制御手段により回動制御されるものである。
また 「第1の固定軸(13A 」及び「第2の固定軸(13B 」 ,) )とは,多関節駆動部(11,12)を共通駆動部(13)に固定し,かつ,多関節駆動部(11,12)の回動中心軸となるものである。
さらに 「第1の駆動軸(13C 」及び「第2の駆動軸(13D 」 ,) )とは,多関節駆動部(11,12)に回転を与える軸である。
Aそして,前記ア,イ,乙1公報の第1図,第3図及び第4図によれば,乙1発明の「旋回台10」は,構成要件Eの「多関節駆動部(11,12)に相当する「移し換えアーム(30,20 」の一部を構)成するリンク42の回動中心軸となり,同時に,構成要件Eの「駆動軸(13C,13D 」にも相当する「左駆動軸43」及び「右駆動 )軸43」を有し,それ自体歯車機構12を介して駆動モータ11で旋回制御されるものである。
同様に,乙1発明の「右リンク42の根元にある右駆動軸43の先端部」及び「左リンク42の根元にある左駆動軸の先端部」は,構成要件Eの「多関節駆動部(11,12 」に相当する「移し換えアー )ム(20,30 」を旋回台10に固定し,かつ 「移し換えアーム ) ,(20,30 」の一部を構成するリンク42を回動する軸となるも )のである。
Bそうすると,乙1発明の「右リンク42の根元にある右駆動軸43の先端部「左リンク42の根元にある左駆動軸43の先端部」及 」,び「旋回台10」は,本件特許発明1の構成要件Eにおける「第1の固定軸(13A「第2の固定軸(13B 」及び「共通駆動部(1 )」,)3 」に相当し,また 「左駆動軸43」及び「右駆動軸43」は構 ),成要件Eにおける 第1の駆動軸 13C及び 第2の駆動軸 1 「()」「(3D 」に相当し,この限りで,乙1発明の構成E’は本件特許発明 )1の構成要件Eと一致する。
ただし,構成要件Eの「第1の固定軸(13A 」と「第1の駆動)軸(13C 」とは別軸であるのに対し,これらに対応する乙1発明 )の「左駆動軸43」は1個の軸が固定軸と駆動軸の双方の機能を果たしていること,構成要件Eの「第2の固定軸(13B 」と「第2の)駆動軸(13D 」も別軸であるのに対し,これらに対応する乙1発 )明の「右駆動軸43」が1個の軸であり,同様に双方の機能を果たしているものであり,この点が相違する(以下,本争点における「相違点1」という。。)また,構成要件Eにおいては,第1及び第2の固定軸(13A,13B)が第1及び第2の多関節駆動部の回動中心であるのに対し,乙1発明においては 「多関節駆動部」に当たる平行四辺形のリンク機 ,構である移し換えアーム30及び20の回動中心は,左右の駆動軸43の先端部ではない。すなわち,駆動軸43は,移し換えアーム30及び20の一部であるリンク42の回動中心にすぎない点でも相違する(以下,本争点における「相違点2」という。。),, 「()」 なお 原告は 本件特許発明1の構成要件Eの 共通駆動部 13は,装置の旋回運動のみならず,アームの伸縮運動においても回動するものであるところ,乙1発明の「旋回台(10 」は装置の旋回運)動においてのみ回動するものであって,アームの伸縮運動に全く使用されないものであるから,両者は相違する旨主張する。確かに,本件明細書においては,本件特許発明1の実施例として,アームの伸縮運動において,共通駆動部が回動するとの構成が開示されている(本件明細書の【図6【図7】等参照 。しかし,前記@のとおり,本件 】,),「()」 特許発明1の特許請求の範囲の記載においては共通駆動部 13とは 「第1の固定軸(13A「第2の固定軸(13B「第1 ,)」,)」,の駆動軸(13C 」及び「第2の駆動軸(13D 」を有し 「駆動 ) ),()」 , 制御手段 14により回動するものと規定されているだけでありアームを伸縮させるために回動するものであるとは規定されていないのであるから,本件特許発明1の「共通駆動部(13 」をアームを)伸縮させるために回動するものと限定して解することはできない。この点に関する原告の主張は採用することができない。
)乙1発明の構成F’の構成が本件特許発明1の構成要件Fの構成と一d致するといえるか。
乙1発明の構成F’の「移し換えアーム20,30」及び「旋回台10」は,本件特許発明1の構成要件Fの多関節駆動部(11,12)及び共通駆動部(13)に相当し,前者が左右の駆動モータ44により,後者が旋回台用駆動モータ11により回動制御されるものであるから,乙1発明の構成要件F’は本件特許発明1の構成要件Fと一致する。
原告は,乙1発明が「共通駆動部」を有していないことを理由に,これを駆動制御する手段である「駆動制御装置」を有していない旨主張する。しかし,乙1発明が「共通駆動部」に相当する「旋回台10」を有することは前記)において述べたとおりであるから,原告の上記主張cは理由がない。
エ相違点1の容易想到性について本件特許発明1の実施例においては,第1の固定軸13Aと第1の駆動軸13C,及び,第2の固定軸13Bと第2の駆動軸13Dは別軸である本件特許発明の原理図である 図1第1の実施例の構成図である 図 ( 【】, 【4 ,第2の実施例の構成図である【図9】等参照 。ただし,前記認定 】 )のとおり,本件特許発明1の第1及び第2の固定軸は,多関節駆動部を共通駆動部に固定し,これを回動する軸となるものであれば足り,また,本件特許発明1の第1及び第2の駆動軸は,多関節駆動部を駆動する軸であり,共通駆動部に取り付けられていれば足りるものであるから,一つの軸をもって,多関節駆動部の固定軸と駆動軸を兼ねるものであっても,それ,,, が共通駆動軸に取り付けられていれば 当該軸は 本件特許発明1にいう多関節駆動部の固定軸であり,駆動軸でもあるということができるものである。このように,本件特許発明1においては,1個の軸をもって固定軸と駆動軸とを兼ねていたとしても,多関節駆動部の固定と駆動の機能を果たすものであれば,これを多関節駆動部の固定軸と駆動軸ということができるものである。したがって,乙1発明の駆動軸43は,1個の軸ではあるが,本件特許発明1の駆動軸であると同時に固定軸であり,いずれも共通駆動部に取り付けられているものと解することができ,相違点1は,一応の相違点ではあるものの,設計的事項の範囲内のものであり,実質的な相違点であるということはできない。
オ相違点2の容易想到性について)乙7によれば,乙7公報には次のような記載がある。
a@【0007】「上下方向に移動可能なZ軸可動ベース1に回転保持される第1中空シャフト2には,その中で回転可能な第2中空シャフト3が内蔵される。第2中空シャフト3の中には同じく回転可能な第3中空シャフト4が,また,第3中空シャフト4の中には同じく回転可能な第4シャフト5が内蔵される。第1中空シャフト2には第1プーリ6が固定される。第2中空シャフト3には第1アーム7が固定される。第1アーム7には第5シャフト8が回転保持される。第5シャフト8には同軸で第1タイミングベルト9により第1プーリ6と連結され第1プーリ6の半分の歯数の第2プーリ10が固定される。また,第5シャフト8には第2アーム11と第2プーリ10と同歯数の第3プーリ12が固定される。第2アーム11内には,第5シャフト8に対し,第1中空シャフト2との軸間距離を等しくして,第6シャフト14が回転保持される。また,第6シャフト14には同軸で第3プーリ12と第2タイミングベルト13で連結され第1プーリ6と同歯数の第4プーリ15が固定される。第6シャフト14には第3アーム16が固定され,また,第3アーム16には第1ウォンド17が固定される 」。
A【0008】「第3中空シャフト4には第5プーリ21が固定される。第4シャフト5には第4アーム22が固定される。第4アーム22には第7シャフト23が回転保持される。第7シャフト23には同軸で第3タイミングベルト24により第5プーリ21と連結され第5プーリ21の半分の歯数の第6プーリ25が固定される。また,第7シャフト23には第5アーム26と第6プーリ25と同歯数の第7プーリ27が固定される。第5アーム26内には,第7シャフト23に対し,第3中空シャフト4との軸間距離を等しくして,第8シャフト28が回転保持される。また,第8シャフト28には同軸で第7プーリ27と第4タイミングベルト29で連結され第5プーリ21と同歯数の第8プーリ30が固定される。第8シャフト28には第6アーム31が固定され,また,第6アーム31には第2ウォンド32が固定される 」。
B【0009】「第1中空シャフト2の下部には第1歯車33が固定され,第1歯車33とかみ合う第2歯車34は,Z軸可動ベース1に固定される第1モータ35に固定される。第2中空シャフト3の下部には第3歯車36が固定され,第3歯車36とかみ合う第4歯車37は第1歯車33に固定される第2モータ38に固定される。第3中空シャフト4の下部には第5歯車39が固定され,第5歯車39とかみ合う第6歯車, 。 40は Z軸可動ベース1に固定される第3モータ41に固定される第4シャフト5の下部には第7歯車42が固定され,第7歯車42とかみ合う第8歯車43は第5歯車39に固定される第4モータ44に固定される。Z軸可動ベース1は固定ベース45を摺動可能であり,Z軸可動ベース1を駆動するボールねじ46と第5モータ47は固定ベース45に固定される 」。
C【0010 (4欄36行ないし49行) 】「第5プーリ21の中心と第8プーリ30の中心を結んだ直線をLとする。第4モータ44が回転し,第8歯車43及び第7歯車42により,第4アーム22が直線Lよりα度回転したとき,第5プーリ21と第6プーリ25の歯数比は2:1なので第5アーム26は第4アーム22に対し-2α度回転する。また,第6アーム31は第7プーリ27と第8プーリ30の歯数比が1:2なのでα度回転する。よって,第6アーム31は,第4モータ44の回転により,直線L上を動き,ウエハカセット移載ロボット50の片方のアーム部51の半径(R)方向の動作となる。同様に,他方のアーム部52(第1アーム7と第2アーム11と第3アーム16)も,第2モータ38の回転により,半径(R)方向の動作を行う 」。
D【0011】「回転(θ)方向の動作について説明する。第1モータ35が回転, ,, すると 第1歯車33と第2歯車34により 第1アーム7が回転しこれが,ウエハカセット移載ロボット50の他方のアーム部52の回転(θ)方向の動作となる。なお,第2モータ38は第1歯車33に固定されているので第1モータ35が回転しても,半径(R)方向に他方のアーム部52は動作しない。第3モータ41が回転すると,第5歯車39と第6歯車40により,第4アーム22が回転し,これがウエハカセット移載ロボット50の片方のアーム部51の回転(θ)方向の動作となる。なお,第4モータ44は第5歯車39に固定されているので第3モータ41が回転しても,半径(R)方向に片方のアーム部51は動作しない 」。
E【0012】「以上によりウエハカセット移載ロボット50の片方のアーム部51と他方のアーム部52は個々に,半径(R)方向と回転(θ)方向に動作可能である 」。
)前記)及び乙7公報の【図1】ないし【図3】によれば,乙7公報baには,次のような構成を有する乙7発明が記載されていると認められる(以下「乙7発明の構成A 」などという。’。)A’第1ウォンド17と,B’第1ウォンド17の回転面に対して下側に位置するように高さを規定した第2ウォンド32と,C’前記第1ウォンド17を一方向に伸縮する第2アーム11と,D’前記第2ウォンド32を一方向に伸縮する第5アーム26と,E’前記第2アーム11の回転中心となる第5シャフト8の軸受けと,前記第5アーム26の回転中心となる第7シャフト23の軸受けとを有し,かつ,前記第2アーム11に回転力を与える第1中空シャフト2と,前記第5アーム26に回転力を与える第3中空シャフト4とを有する第1アーム7,第4アーム22及び第1中空シャフト2(具体的には,第5シャフト8の軸受けを有する第1アーム7,第7シャフト23の軸受けを有する第4アーム22,第1中空シャフト2及び第) (,, 3中空シャフト4とを有する第1中空シャフト2 と なお 被告は第2アーム11に回転力を与えるもの(すなわち,第1の駆動軸(1)) 「」, 3A に相当するもの を 第2中空シャフト3 と記載しているが第1プーリが設けられているのは第2中空シャフト3ではなく第1中空シャフト2なので 「第1中空シャフト2」が第1の駆動軸(13 ,A)に相当するものである,。)F’前記第2アーム11,第5アーム26並びに第1アーム7,第4アーム22及び第1中空シャフト2を回動制御する第1モータ35,第2モータ38,第3モータ41及び第4モータ44とを備え,G’第1ウォンド17及び第2ウォンド32を前記第1アーム7,第4アーム22及び第1中空シャフト2の上部に納めたとき,前記第1ウォンド17と第2ウォンド32とを高低差をもって重なるようにした,H’ウエハ移載ロボット)乙1発明における多関節駆動部すなわち平行リンク機構(移し換えアcーム(30,20 )と,乙7発明における第1アーム7及び第2アー )ム11並びに第4アーム22及び第5アーム26の構成は,同じ多関節搬送装置という技術分野に属するものであり,いずれも搬送部を伸縮させるためのアーム機構である。そして,乙1発明における多関節駆動部は,アーム機構として伸縮するものであれば,必ずしも平行リンク機構である必然性はないのであるから 乙1発明における平行リンク機構 移 , (し換えアーム(30,20 )に代えて,乙7発明における第1アーム )7及び第2アーム11並びに第4アーム22及び第5アーム26を採用し,よりシンプルな構成とすることは,当業者が適宜選択し得る設計的事項であるということができる。そして,乙1発明の平行リンク機構に代えて乙7発明における上記アーム機構を採用すると,本件特許発明1の「多関節駆動部」に当たる,乙7発明の第1アーム7及び第2アーム11並びに第4アーム22及び第5アーム26の回動中心は,第1アーム7及び第4アーム22を固定し,駆動する軸となるのであり,これが多関節駆動部の固定軸に当たるものであることは明らかであるから,乙1発明に乙7発明の上記技術を適用すれば,相違点2が解消され,本件特許発明1にかかる構成が容易に想到されるものということができる。
)以上によれば,本件特許発明1は,当業者が乙1発明と乙7発明からd容易に想到し得るものであるから,無効理由を有しており,特許無効審判により無効にされるべきものと認められる(特許法29条2項,123条1項2号 。)( ) 本件特許発明1が特開平2-83182号公報(乙2)に記載された発明2と同一又は当該発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものといえるか(争点5-2 。)ア乙2によれば,乙2公報には次のような記載がある。
)(課題を解決するための手段)a「本発明に係るハンドリングユニットは,第1及び第2の多関節アームの先端に試料を保持するハンドを設け,これら第1のアームを伸縮動せしめる第1の回転軸,第2のアームを伸縮動せしめる第2の回転軸,更には,第1及び第2のアームを同時に回転せしめる第3の回転軸を同軸的に配置した 」。
(作用)「モータによって第1及び第2の回転軸を回転させることで第1及び第2のアームを伸長し,一方のアームの先端のハンドを例えばカセット内に,他方のアーム先端のハンドを処理チャンバー内に臨ませ,処理終了後は第1及び第2の回転軸を逆転させて第1及び第2のアームを収縮し更に第3の回転軸を回転させて第1及び第2のアームを方向転換し,再び第1及び第2のアームを伸長して処理済みのウエハーを所定のカセットに,未処理のウエハーを処理チャンバー内にそれぞれ投入する 」。
)2頁右上欄9行ないし左下欄11行b「ハンドリングユニットは上半部を操作部,下半部を駆動部とし,操作部には第1及び第2の2本の多関節アーム1,2を設け,駆動部には上記多関節アーム1,2に回転と伸縮動をなさしめる軸及びモータ等を配設している。
具体的には枠状フレーム3の上板に軸受4を固設し,この軸受4内方に第1のアーム1を動作させる第1の回転軸5,第2のアーム2を動作させる第2の回転軸6及び第1及び第2のアーム1,2を同時に回転動させる第3の回転軸7を同軸的に且つ独立して回転し得るように支承し,且つ各軸間には磁石・・・からなる磁性流体シールを介在せしめている。尚,実施例にあっては第3の回転軸7を最も外側に,第2の回転軸6をその内側に,第1の回転軸5を最も内側に配置しているが,この配置の順は任意である。また,磁性流体を利用した磁気シールを用いたことで操作部を真空室内に,駆動部を真空室の外に配置することができる。
また,駆動部には第1の回転軸5を回転せしめる第1のモータ8,第2の回転軸6を回転せしめる第2のモータ9及び第3の回転軸7を回転せしめる第3のモータ10を設けている 」。
)2頁右下欄9行ないし3頁右上欄8行c「次に第1及び第2のアーム1,2の構造を第6図及び第7図等を参。, , 照して説明する 先ず 前記第3の回転軸7の上面にケース23を設けこのケース23の上端部及び内部に筒体24,25を固着し,これら筒体24,25の外周にギヤ26,27を刻設している。そして,第1の回転軸5の上端は筒体24よりも突出せしめ,この第1の回転軸5の上端に第1のアーム1を構成する中空状カバー30の基端部を取付け,このカバー30の先端部に軸31をベアリング32を介して回転自在に支持し,この軸31に嵌着したギヤ33と前記ギヤ26間にタイミングベルト34を張設し,またカバー30の先端上面に筒体35を固着し,この筒体35の外周にギヤ36を刻設するとともに,前記軸31の上端は筒体35よりも突出せしめ,この軸31の上端に別の中空状カバー37を取付け,このカバー37の先端部にベアリング38を介して軸39を回転自在に支持し,この軸39に嵌着したギヤ40と前記ギヤ36間にタイミングベルト41を張設し,更に軸39の上端にハンド42の基端部を取付けている。そして,ハンド42には・・・円環の一部を切欠いた形状の保持部43を設けている。
一方,第2のアーム2の構造も第1のアーム1と略同様に,筒体25から突出する第2の回転軸6の上端に第2のアーム2を構成する中空状カバー50の基端部を取付け,このカバー50の先端部に軸51をベアリング52を介して回転自在に支持し,この軸51に嵌着したギヤ53と前記ギヤ27間にタイミングベルト54を張設し,またカバー50の先端上面に筒体55を固着し,この筒体55の外周にギヤ56を刻設するとともに,筒体55から前記軸51を突出せしめ,この軸51の上端に別の中空状カバー57を取付け,このカバー57の先端部にベアリング58を介して軸59を回転自在に支持し,この軸59に嵌着したギヤ60と前記ギヤ56間にタイミングベルト61を張設し,更に軸59の上端に保持部63を有するハンド62の基端部を取付けている 」。
)3頁右上欄9行ないし左下欄9行d「次に前記各モータ8,9,10の回転とアーム1,2の動作について説明する。
先ずモータ8を回転させ第1の回転軸5を第3図において反時計廻りに回転せしめられる。すると第1の回転軸5に取付けられたカバー30が矢印a方向(反時計廻り)に回動する。そしてカバー30が回動すると,ギヤ26がサンギヤとして,ギヤ33がプラネタリーギヤとして作用することとなり,カバー30の回動量に応じてタイミングベルト34が走行し,これにつれてギヤ33が一定角度だけ時計回りに回転する。
()。 ギヤ33が回転するとカバー37が矢印b方向 時計廻り に回動するまたカバー37が回動すると今度はギヤ36がサンギヤとして,ギヤ40がプラネタリーギヤとして作用し,ハンド42が矢印c方向(反時計廻り)に回動する。一方,モータ9を駆動することで第2のアーム2についても同様に,カバー50を矢印d方向(反時計廻り)に回動せしめると,カバー57が矢印e方向に回動し,更にハンド62が矢印f方向に回動する 」。
)3頁左下欄10行ないし14行e「その結果,第1及び第2のアーム1,2が一直線状に伸長した第3図の状態から第4図に示すような第1及び第2のアーム1,2が収縮した状態となる。またモータ8,9を逆転せしめることで再び伸長状態となる 」。
)3頁左下欄15行ないし18行f「モータ10を駆動することで,第1及び第2のアーム1,2が同時に水平面内で例えば180°回転して位置を変える。そして上記の各動作を組合わせることで試料の授受を行う 」。
イ前記ア並びに乙2公報の第1図,第2図,第6図及び第7図によれば,乙2公報には,次のような構成を有する乙2発明が記載されていると認められる(以下「乙2発明の構成A 」などという。’。)A’試料を保持する一方のハンド42と,B’試料を保持する他方のハンド62と,C’前記一方のハンド42を一方向に伸縮する中空状カバー37と,D’前記他方のハンド62を一方向に伸縮する中空状カバー57と,E’前記中空状カバー37の回動中心となる軸31ないし筒体35が中空状カバー30に存在し,前記中空状カバー57の回動中心となる軸51ないし筒体55が中空状カバー50に存在し,かつ,中空状カバー37に回転力を与える回転軸5と(回転軸5によって中空状カバー30が回転することによりギヤを介して前記中空状カバー37が回転する ,中)空状カバー57に回転力を与える回転軸6(回転軸6によって中空状カバー50が回転することによりギヤを介して前記中空状カバー57が回) ,, (,) 転する と 第1及び第2のアーム1 2 中空状カバー30 同50を同時に回転動させる第3の回転軸7が,同軸的にかつ独立して回転し得るように軸受4内方に支承されている(回転軸5はケース23のみならず,中空状カバー30及び同50の内部にも亘っている。また,回転軸6はケース23のみならず中空状カバー50の内部にも亘っている,。)F’前記中空状カバー37,同カバー57並びにケース23,中空状カバー30,筒体35,中空状カバー50及び筒体55を回動制御するモータ8,9,10とを備えた,G’ハンド42及びハンド62を,前記中空状カバー30及び前記中空状カバー50の上部に縮めたとき,前記ハンド42と前記ハンド62が重ならず,かつ,高低差を有しないようにした,H’ことを特徴とするハンドリングユニットウ乙2発明と本件特許発明1の一致点及び相違点’, ’, ’ , , ,a)乙2発明の構成ACH が 本件特許発明1の構成要件A C及びHの構成と一致することは当事者間に争いがない。
また,乙2発明の構成G’が本件特許発明1の構成要件Gと相違していること(したがって,乙2発明の構成B’及びD’が本件特許発明1の構成要件B及びDと相違することになる )については当事者間に争 。
いがない。
)乙2発明の構成E’の構成と本件特許発明1の構成要件Eの構成につbいて被告は,乙2発明において三つの回転軸が同軸的に配置されたケース23,中空状カバー30,筒体35,中空状カバー50及び筒体55を「()」 含む全体が本件特許発明1の構成要件Eにおける 共通駆動部 13に該当し,上記各部材のいずれかに,本件特許発明1の多関節駆動部の回動中心となる固定軸(13A,13B)に相当する軸31,51,多(,), 関節駆動部に回転力を与える駆動軸 13C 13D に相当する軸56が設けられているから,乙2発明の構成E’は本件特許発明1の構成要件Eと一致する旨主張し,原告は,共通駆動部は左右のアームが単一部材でなければならないと主張するので,この点について判断する。
本件特許発明1の「共通駆動部(13 」は,多関節駆動部の回動中 )心となる固定軸(13A,13B ,多関節駆動部に回転力を与える第 )1,第2の駆動軸(13C,13D)を有し 「駆動制御手段(14 」 ,)により回動制御されるものであることは前記のとおりである。したがって,本件特許発明1の「共通駆動部(13 」は,その回動中心の左右 )にのびるアーム状部分が一体として回動制御される必要はあるものの,単一の部材として一体的に形成されたものである必要はない(甲2 。)乙2発明においては,本件特許発明1の多関節駆動部の回動中心となる固定軸(13A,13B)に相当する軸31,51,多関節駆動部に回転力を与える駆動軸(13C,13D)に相当する軸5,6が設けられているものの,左右のアームのうち,中空状カバー30はモータ8を駆動することで回転軸5により,中空状カバー50はモータ9を駆動することで回転軸6により,それぞれ個別に回転制御されるものである。
なお,乙2発明においては,中空状カバー30及び同50は,モータ10を駆動することで回転軸7により同時に一体的に回動し,水平面内で回転して位置を変えるものであるものの,乙2公報においては,アームの伸縮時に中空状カバー30及び50が一体的に回動するかどうかについての記載はない。したがって,乙2発明の中空状カバー30及び50は,その伸縮動作において一体的に回動制御されるものとはいえないから,駆動制御手段により常に一体的に回動制御されるものである構成要件Eの「共通駆動部(13 」とはこの点において相違する。 ))乙2発明の構成F’が本件特許発明1の構成要件Fと一致するといえcるか。
前記 )で記載したとおり 乙2発明においては本件特許発明1の 共b , 「()」 ,, 通駆動部 13に相当するものが存在するとはいえず したがって「() ()」 構成要件Fの 共通駆動部 13 を回動制御する駆動制御手段 14とはこの点において相違する。
)小括d以上によれば,本件特許発明1と乙2発明との相違点は,次のとおりであり,その余の構成は一致する。
@本件特許発明1においては,第2の搬送部(16)が第1の搬送部(15)の回転面に対して上又は下側に位置するように高さを規定されているのに対し,乙2発明においては,他方のハンドが一方のハンドの回転面と同じ高さに規定されている点(構成要件B,G関係。以下,本争点における「相違点1」という )。
A本件特許発明1には,左右のアーム全体が常に一体的に回動制御される「共通駆動部(13 」が存在する(構成要件E)のに対し,乙 )2発明にはそのような部材が存在せず,別部材で構成され,個別に回動制御される中空状カバー30 中空状カバー50が存在している 以 , (下,本争点における「相違点2」という。なお,前記c)の相違点は相違点2において評価されている。。)エ容易想到性について)相違点1についてa相違点1に関して,本件特許出願前に公開されたウエハ搬送装置に関,「() する乙4公報2頁右下欄9行ないし13行にはウエハ保持部 28と(33 ,回転プーリ(24)と(29 ,第1のアーム部材(14) ) )と第2のアーム部材(21 ・・・は互いに取付け位置を上下方向にず )らせて取付けてあり,互いの干渉をなくしている 」との記載がある。。
そして,乙2発明と乙4発明は,いずれもダブルアーム型のウエハ搬送装置に関する発明である。ウエハ搬送装置においては製造コストを下げるために専有面積を小さくすることが一般的な課題とされており,ダブルアーム型のウエハ搬送装置においては専有面積を小さく抑えつつ両アームが互いに干渉しないよう動作させることも一般的な課題であるといえる。実際,乙2公報の4頁右欄1行ないし5行には「本発明に係るハンドリングユニットは互いに独立した動きを2本のアームに干渉することなく行わせることができる・・・」と記載されている。
, , そうすると ダブルアーム型ウエハ搬送装置である乙2発明において専有面積を小さく抑えつつ二つのアームが干渉し合わないように乙4公報に記載された両アームの高さを上下方向にずらした上で重ねて取り付けるという構成を組み合わせることは,本件特許出願当時,当業者が容易になし得たことというべきである。
原告は,乙2発明はアームの位置を反対向きにすることによって各アームが他方のアームに干渉されることなく独立に動作できるという効果を奏する発明であるから乙4発明と組み合わせる動機付けがないのみならず,その組合せについて阻害要因が存在する旨主張する。しかし,乙2発明がアームの向きを反対向きにした発明であったとしても,二つのアームが収縮したホームポジションの状態においては各アームのハンド部分やハンド部分に載置されたウエハ等が干渉し合う設計になり得る。
実際,左右の搬送部の高さを上下方向にずらす構成を採用した乙4発明も乙2発明と同様,アームの向きを反対向きにした装置である。アームの向きを反対向きにしたからといって,搬送部同士の干渉を防ぐために搬送部の高さを上下方向にずらすことが不要になるとはいえないから,この点に関する原告の主張は採用できない。
)相違点2についてb乙2発明との相違点2の構成について,容易に想到し得ると認めるに足りる証拠はない。
なお,本件特許出願前に公開されたウエハ搬送装置に関する乙4公報3頁右上欄13行ないし左下欄9行には,次のような記載があり,第4図及び第5図には根元のアームが一つの部材で形成されたウエハ搬送装置の図が記載されている。
「他の実施例として,上記ウエハ保持部(28(33)を全く同),期させて直線軌道に沿って動かす場合には,第4図および第5図に示すような構造にしてもよい。つまり (40)は駆動モータで,この回転 ,駆動は駆動モータ(40)に連結された駆動軸(41)に伝達され,この駆動軸(41)の先端には第1アーム部材(42)が取付けられ,駆動軸(41)の回転に応じて旋回するようにされている。また,駆動軸(41)に同軸に固定プーリ(43)が支持板(44)に固定されてい。,()(), る また 上記第1のアーム部材 42 の両端には回転プーリ 45(46)が回転自在に支持されており,上記固定プーリ(43)とワイヤベルト(47(48)によって回転を伝達するように連結されて ),いる。上記回転プーリ(45(46)の回転軸(49(50)に ), ),は第2および第3のアーム部材(51(52)の一端が取付けられ, ),この第2および第3のアーム部材(51(52)の他端にはウエハ ),保持部(53(54)が形成されている 」 ), 。
そこで,乙2発明に,乙4公報に記載された上記発明を組み合わせることが,本件特許出願当時,当業者にとって容易であったか否かについて検討する。
乙2発明と乙4公報に記載された上記発明は,いずれもダブルアーム型のウエハ搬送装置に関する発明である。乙4公報に記載された上記発明は,二つのウエハ保持部を全く同期させて第1のアーム部材(42)と同一の直線方向に伸ばすようなウエハ搬送装置において装置の構造を単純化する技術である(乙4公報3頁右下欄11行ないし14行 。こ)れに対し,乙2発明は,前記のとおり,左右二つのアームを個々に伸縮。,, 動作することを前提とした装置である そうすると 乙2発明において二つのアームの伸縮運動において,これを常に一体的に回動制御する構造とすること,すなわち,中空状カバー30及び同50を構造状一体の,, ものとするとの発想は取り入れ難いものであるから 本件特許出願当時当業者が,乙2発明に乙4公報に記載された根元の両アームを単一部材で構成する技術を組み合わせることが容易であったとはいえない。
( ) 本件特許発明1が特開平5-109866号公報(乙7)に記載された発3明と同一又は当該発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものといえるか(争点5-3 。)ア乙7公報には,上記( )オ認定の記載があり,同認定の乙7発明の構成1A’ないしH’が開示されている。
イ乙7発明と本件特許発明1の一致点及び相違点)本件特許発明1と乙7発明とが,構成要件AないしD,G及びHの点aで一致することは当事者間に争いがない。
)乙7発明の構成E’が本件特許発明1の構成要件Eと一致するといえbるか。
@前記認定のとおり,本件特許発明1の構成要件Eにおける「共通駆動部(13 」とは,多関節駆動部(11,12)の回動中心となる )固定軸(13A,13B)及び多関節駆動部に回転力を与える駆動軸(13C,13D)を有し,駆動制御手段(14)により回動制御されるものである。
そして,本件特許発明1においては 「共通駆動部」の回転中心の ,左右のアームは,一体として回動制御されるものであり,共通駆動部の左右のアームを別々に回動制御することを予定していないことは,構成要件E及びF並びに本件明細書の発明の詳細な説明からも明らかである(甲2 。)A乙7公報の前記( )オの記載及び乙7公報の【図1】によれば,乙17発明における第1アーム7と第4アーム22は別部材として構成され,それぞれが個別に駆動されることを予定しており,乙7発明の駆動制御機構も第1アーム7と第4アーム22を個別に駆動することを前提とした機構になっていることが認められる。
,,「()」 そうすると 乙7発明は 本件特許発明1の 共通駆動部 13に相当する構成を有していない。
したがって,乙7発明の構成E’は本件特許発明1の構成要件Eと相違する。
)乙7発明の構成F’が本件特許発明1の構成要件Fと一致するといえcるか。
前記 )で記載したとおり 乙7発明においては本件特許発明1の 共b , 「()」 ,, 通駆動部 13に相当するものが存在するとはいえず したがって構成要件Fの「共通駆動部(13)を回動制御する駆動手段(14 」)をも有しない。すなわち,被告が共通駆動部に相当すると主張する第1アーム7,第4アーム22及び第1中空シャフト2全体を一体的に回動する駆動制御手段が存在しない。
)小括d以上によれば,本件特許発明1と乙7発明とは,次の2点において相違する。
@本件特許発明1には,左右のアーム全体が一体的に回動制御される「共通駆動部(13 」が存在する(構成要件E)のに対し,乙7発 )明にはそのような部材が存在せず,別部材で構成され,個別に回動制御される第1アーム7,第4アーム22,第1中空シャフト2が存在している(以下,本争点において「相違点1」という。。)A本件特許発明1には「共通駆動部(13 」の全体を一体として回 )動制御する駆動制御手段が存在する(構成要件F)のに対し,乙7発明にはそのような駆動制御手段が存在せず,第1アーム7,第4アーム22,第1中空シャフト2を個別に回動制御する駆動制御手段が存在している(以下,本争点において「相違点2」という。。)ウ容易想到性について)相違点1についてa本件特許出願前に公開されたウエハ搬送装置に関する乙4公報3頁右上欄13行ないし左下欄9行には,次のような記載があり,第4図及び第5図には根元のアームが一つの部材で形成されたウエハ搬送装置の図が記載されている。
「他の実施例として,上記ウエハ保持部(28(33)を全く同),期させて直線軌道に沿って動かす場合には,第4図および第5図に示すような構造にしてもよい。つまり (40)は駆動モータで,この回転 ,駆動は駆動モータ(40)に連結された駆動軸(41)に伝達され,この駆動軸(41)の先端には第1アーム部材(42)が取付けられ,駆動軸(41)の回転に応じて旋回するようにされている。また,駆動軸(41)に同軸に固定プーリ(43)が支持板(44)に固定されてい。,()(), る また 上記第1のアーム部材 42 の両端には回転プーリ 45(46)が回転自在に支持されており,上記固定プーリ(43)とワイヤベルト(47(48)によって回転を伝達するように連結されて ),いる。上記回転プーリ(45(46)の回転軸(49(50)に ), ),は第2および第3のアーム部材(51(52)の一端が取付けられ, ),この第2および第3のアーム部材(51(52)の他端にはウエハ ),保持部(53(54)が形成されている 」 ), 。
そこで,乙7発明に,乙4公報に記載された上記発明を組み合わせることが,本件特許出願当時,当業者にとって容易であったか否かについて検討する。
乙7発明と乙4公報に記載された上記発明は,いずれもダブルアーム型のウエハ搬送装置に関する発明である。乙4公報に記載された上記発明は,二つのウエハ保持部を全く同期させて同一の直線方向に伸ばすようなウエハ搬送装置において装置の構造を単純化する技術である(乙4公報3頁右下欄11行ないし14行 。これに対し,乙7発明は,二つ )のウエハ保持部を半径方向(伸縮方向)及び回転方向(旋回方向)において個々に動作できるようにすることによって迅速にウエハ移載を行うという発明である(乙7公報【0012】及び【0013。そうす】)ると,両発明が同じダブルアーム型のウエハ搬送装置に関するものであっても,乙7発明においては,ウエハ保持部を全く同期させて同一の直線方向に伸ばすという発想は取り入れ難いから,本件特許出願当時,当業者が,乙7発明に乙4公報に記載された根元の両アームを単一部材で構成する技術を組み合わせることが容易であったとはいえない。
なお,乙7発明においては,第2中空シャフト及び第4シャフトの回動方向及び速度を所定の方向及び速度に調整することによって第1アーム7と第4アーム22があたかも単一部材であるかのように同期させて一体的に回転方向(旋回方向)に回動させることが可能である。また,第1中空シャフト及び第3中空シャフトの回動方向及び速度を所定の方向及び速度に調整することによって第1アーム7と第4アーム22があたかも単一部材であるかのように同期させて一体的に半径方向(伸縮方向)に回動させることも可能である。そして,回転方向(旋回方向)及び半径方向(伸縮方向)において,それぞれ上記の所定の制御を行った場合には,本件特許発明1と実質的に同一の装置として用いることも可能である。しかしながら,前記のとおり,乙7発明は,左右両アームを個別に駆動させることを目的とした発明であり,その目的を実現するために多数のシャフト及びモータを設けたものである。そうすると,乙7発明に係る装置を上記のように左右両アームが個別の動作をしないように意図的に調整して動作させるということは乙7発明からは発想しにくいことであり,かつ,乙7発明に係る装置を上記のように意図的に調整して動作させることによって生ずる作用効果を示唆するものが本件特許出願当時存在した事実も認められない。また,仮に,そのような用法が想到されるとしても,本件特許発明1に係る装置は,乙7発明に係る装置と比較してより単純な構造で同一の用法を実現する装置なのであるから,さらにこのような構造の単純化を行うことが本件特許出願当時,当業者にとって容易であったことを示す証拠が存在しない限り,乙7発明を理由に本件特許発明1の進歩性を否定することはできない。
)相違点2についてb相違点2は,相違点1が解消されて初めて解消し得る事項である。前記)のとおり,乙7発明及び乙4公報に記載された発明から相違点1aにかかる構成を想到することが容易とはいえない以上,相違点2にかかる構成を容易に想到し得るものということはできない。
エ以上によれば,本件特許出願当時,当業者が,乙7発明及び乙4公報に記載された発明から本件特許発明1を想到することが容易であったとは認められない。
6本件特許発明1の無効理由が本件訂正により解消されるか(争点6 。)前記5に認定したところによれば,本件特許発明1は乙1発明及び乙7発明から容易に想到し得た発明である,との無効理由を有する。
しかし,本件特許については,その無効審判事件において,本件訂正の請求がなされており,特許庁は,その審決において,本件訂正を認め,本件訂正特許1を無効と判断したものの,原告が同審決に対し審決取消訴訟を提起したために,未だ本件訂正が確定していない状況にある。
特許法104条の3第1項における「当該特許が無効審判により無効とされるべきものと認められるとき」とは,当該特許について訂正審判請求あるいは訂正請求がなされたときは,将来その訂正が認められ,訂正の効力が確定したときにおいても,当該特許が無効審判により無効とされるべきものと認められるかどうかにより判断すべきである。したがって,原告は,訂正前の特許請求の範囲の請求項について容易想到性の無効理由がある場合においては,@当該請求項について訂正審判請求ないし訂正請求をしたこと,A当該訂正が特許法126条訂正要件を充たすこと,B当該訂正により,当該請求項について無効の抗弁で主張された無効理由が解消すること(特許法29条新規性,容易想到性,同36条明細書の記載要件等の無効理由が典型例として考えられる,C被告製品が訂正後の請求項の技術的範囲に属することを,主張立証 。)すべきである。
本件においても,原告は,同趣旨の主張をするので,以下,この点について判断する。
( ) 本件訂正請求が特許法126条1項,3項及び4項の訂正要件を満たすと1いえるか(争点6-2 。)ア本件訂正が特許法126条1項における「特許請求の範囲減縮」に当たることは明らかである。
新規事項の追加について)特許法126条3項は 「第1項の明細書,特許請求の範囲又は図面a ,の訂正は,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面・・・に記載した事項の範囲内においてしなければならない 」と規定する。。
被告は,本件訂正は,上記要件を満たさない訂正であると主張する。
本件訂正は,本件各特許発明の駆動制御手段(14)の回動制御につ, 「(), いて 本件訂正前特許請求の範囲には 前記第1の多関節駆動部 11第2の多関節駆動部(12)及び共通駆動部(13)を回動制御する駆動制御手段(14)とを備え」とのみ記載されていたものを 「前記駆,動制御手段(14)が行う制御には,第1の搬送部(15)又は第2の搬送部(16)を伸縮するために共通駆動部(13)を回動させる制御,(),() と この共通駆動部 13 を回動させる制御中 第2の搬送部 16又は第1の搬送部(15)が共通駆動部(13)上に取り込まれた状態であるようにする制御とが含まれるものであって」という構成を追加したものである。
)本件訂正前明細書には,次のような記載がある(甲2 。
b )@【0019】【】 。, 作用 本発明の第1の多関節搬送装置の動作を説明する 例えば駆動制御手段14により第1の駆動軸13Cが固定され,第2の駆動() 軸13D及び共通駆動部13が同期して回動される 第1の制御方法と,第2の駆動軸13Dから第2の多関節駆動部12に回転力が与えられ,第2の多関節駆動部12が第2の固定軸13Bを中心として回動する。
【0020】この際に,共通駆動部13の回転方向を打ち消す方向に第2の多関節駆動部12が回動する。これにより,第2の多関節駆動部12は静止状態を保持し,第2の搬送部16は共通駆動部13上(ホームポジション)に取り込まれる状態となる。また,第1の搬送部15が第1の多関節駆動部11により一方向に伸縮される。次に,駆動制御手段14により第2の駆動軸13Dが固定され,第1の駆動() 軸13C及び共通駆動部13が同期して回動される 第2の制御方法と,第1の駆動軸13Cから第1の多関節駆動部11に回転力が与えられ,第1の多関節駆動部11が第1の固定軸13Aを中心として回動する。
【0021】この際に,共通駆動部13の回転方向を打ち消す方向に第1の多関節駆動部11が回動する。これにより,第1の多関節駆動部11は静止状態を保持し,第1の搬送部15は共通駆動部13上に取り込まれる状態となる。また,第1の搬送部15と独立した第2の搬送部16が第2の多関節駆動部12により一方向に伸縮される。
A【0032】ないし【0037 (10欄23行ないし24行,3 】3行ないし34行,11欄12行ないし17行)(1)第1の実施例の説明搬送アーム21は第1の多関節駆動部11の一例であり ・・・搬,送アーム22は第2の多関節駆動部12の一例であり・・・,搬送アーム21は第1の駆動軸13Cと動力伝達ベルト23Aにより接続され,同様に,搬送アーム22と第2の駆動軸13Dとが動力伝達ベルト23Bにより接続される。駆動制御装置24は駆動制御手段14の一例であり,第1の駆動軸13C,第2の駆動軸13D及び共通駆動アーム23を個別に回動制御するものである。
B【0042】ないし【0044】本発明の第1の実施例に係る多関節搬送ロボットの動作について説明をする。例えば,図6(A)に示すようなホームポジションにあるフォーク25を水平方向に移動させる場合,まず,駆動制御装置24により第1の駆動軸13Cが固定され,第2の駆動軸13D及び共通駆動アーム23が同期して回動される(第1の制御方法」)。
「これにより,第2の駆動軸13Dから搬送アーム22に回転力が与えられ,搬送アーム22が第2の固定軸13Bを中心として回動する。この際に,図6(B)に示すように共通駆動アーム23が時計方向に回転し,この回転方向を打ち消す方向に搬送アーム22が回動する。これにより,見かけ上搬送アーム22は静止状態を保持し,フォーク26が共通駆動アーム23上に取り込まれた状態で共通駆動アーム23と同様に旋回する。
また,共通駆動アーム23が時計方向に回転し,その最大回動時には,図6(C)に示すようにフォーク25,搬送アーム21及び共通駆動アーム23が一直線上に並んだ状態になる。
C【図6【図7【図13】及び【図14】 】,】,一方のアームの伸縮運動において,共通駆動部が回動し,その間,他方のアームは共通駆動部上に取り込まれた状態にある様子が記載されている。
)前記)B及びCによれば,本件訂正前明細書には,搬送部(15, cb16)を伸縮する際に共通駆動部(13)を回動させる構成及び当該共通駆動部の回動の際,他方の搬送部(16,15)が駆動制御手段における制御により見かけ上静止状態を保持し,共通駆動部(13)上に取り込まれた状態で共通駆動アームと同様に旋回する構成が記載されていることが認められる。
そうすると,本件訂正にかかる本件訂正特許発明1は,本件訂正前明細書に記載されていたといえるから,本件訂正は,願書に添付した明細書及び図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
, , 被告は 前記 )@の記載を根拠に本件各特許発明の駆動制御手段はb前記)@に記載された構成に限定して解釈すべきであると主張し,かbかる限定解釈を前提とすれば,本件訂正は本件各特許発明における駆動制御手段に含まれない構成を含むことになるから特許法126条3項に違反する旨主張する。
しかし,本件訂正前の本件各特許発明の特許請求の範囲の記載及び本件明細書の記載から被告が主張するような限定解釈をすべき理由はない。したがって,被告の主張は,その前提において誤っており,採用することができない。
ウ本件訂正特許発明が特許法29条2項に当たることによる独立特許要件違反について被告は,本件訂正特許発明1は,本件特許の請求項7及び8に記載された制御方法に関する発明の制御方法の結果にすぎず,請求項7及び8に記載された発明は乙7発明と乙4発明を組み合わせることで当業者が本件特許出願当時容易に想到し得た発明であるから,本件特許の無効審判においてなされている本件訂正請求について,独立特許要件違反があると主張す。,, , る しかし 独立特許要件訂正審判請求については必要であるものの無効審判における訂正請求については必要な要件ではないから,この被告の主張は,主張自体失当である(なお,被告のこの主張は,無効理由の主,, 。)。 張とも解し得るので その点についても 後に簡単に触れることとするエ本件訂正についてはその余の訂正要件違反も認められないから,本件訂正は適法な訂正であると認められる。
( ) 本件特許発明1の無効理由が本件訂正によって解消されるか(争点6-21 。)ア本件訂正は,本件訂正部分,すなわち「前記駆動制御手段(14)が行う制御には,第1の搬送部(15)又は第2の搬送部(16)を伸縮するために共通駆動部(13)を回動させる制御と,この共通駆動部(13)を回動させる制御中,第2の搬送部(16)又は第1の搬送部(15)が共通駆動部(13)上に取り込まれた状態であるようにする制御とが含まれる」という構成を本件特許発明1の特許請求の範囲に追加するものである。
イ原告は,本件訂正により,本件特許発明1の無効理由が解消されると主張する。そこで,乙1発明及び乙7発明,あるいは,乙2発明及び乙4発明から,本件訂正特許発明1を容易に想到し得るものであるかどうかを判断する。
, , 前記5( )においては 本件特許発明1の特許請求の範囲の記載からは1「共通駆動部(13 」がアームを伸縮させるために回動するものである ),「」 と限定して解釈することはできないとした上で 乙1発明の 旋回台10が本件特許発明1の「共通駆動部(13 」と一致する旨判断し,乙1発 )明と乙7発明から本件特許発明1の構成について,当業者が容易に想到しうるものであると判断した。
,,「()」 しかし 本件訂正により 本件訂正特許発明1の 共通駆動部 13は,搬送部(15又は16)を伸縮するためにも回動するものであることが,駆動制御手段が行う制御として,特許請求の範囲に追加されたのであ,「」「」 るから 乙1発明の 旋回台10 が本件訂正特許発明1の 共通駆動部と同様にこのように制御されるものかどうかを検討する必要がある。
,「 () ただし 本件訂正の 搬送部・・・を伸縮するために共通駆動部 13を回動させる制御」との構成は 「ために」との用語が多義的な用語であ ,るため,@搬送部を伸縮するために,その準備行為として,共通駆動部を回動させるとの制御であるのか,A共通駆動部の回動により,搬送部を伸縮するとの制御であるのか,特許請求範囲の記載自体からは一義的に明らかであるとはいえないので,本件明細書の発明の詳細な説明参酌する。
)本件明細書には次のような記載がある(甲2 。
a )@【0019】【作用】本発明の第1の多関節搬送装置の動作を説明する。例えば,駆動制御手段14により第1の駆動軸13Cが固定され,第2の駆動() 軸13D及び共通駆動部13が同期して回動される 第1の制御方法と,第2の駆動軸13Dから第2の多関節駆動部12に回転力が与えられ,第2の多関節駆動部12が第2の固定軸13Bを中心として回動する。
【0020】この際に,共通駆動部13の回転方向を打ち消す方向に第2の多関節駆動部12が回動する。これにより,第2の多関節駆動部12は静止状態を保持し 第2の搬送部16は共通駆動部13上 ホ , (ームポジション)に取り込まれる状態となる。また,第1の搬送部15が第1の多関節駆動部11により一方向に伸縮される。次に,駆動制御手段14により第2の駆動軸13Dが固定され,第1の駆動軸1() , 3C及び共通駆動部13が同期して回動される 第2の制御方法 と第1の駆動軸13Cから第1の多関節駆動部11に回転力が与えられ,第1の多関節駆動部11が第1の固定軸13Aを中心として回動する。
【0021】この際に,共通駆動部13の回転方向を打ち消す方向に第1の多関節駆動部11が回動する。これにより,第1の多関節駆動部11は静止状態を保持し,第1の搬送部15は共通駆動部13上に取り込まれる状態となる。また,第1の搬送部15と独立した第2の搬送部16が第2の多関節駆動部12により一方向に伸縮される。
A【0042】次に,本発明の第1の実施例に係る多関節搬送ロボットの動作について説明をする。例えば,図6(A)に示すようなホー,, ムポジションにあるフォーク25を水平方向に移動させる場合 まず駆動制御装置24により第1の駆動軸13Cが固定され,第2の駆動軸13D及び共通駆動アーム23が同期して回動される(第1の制御方法 。)【0043】これにより,第2の駆動軸13Dから搬送アーム22に回転力が与えられ,搬送アーム22が第2の固定軸13Bを中心として回動する。この際に,図6(B)に示すように共通駆動アーム23が時計方向に回転し,この回転方向を打ち消す方向に搬送アーム22は回動する。これにより,見かけ上搬送アーム静止状態を保持し,フォーク26が共通駆動アーム23上に取り込まれた状態で共通駆動アーム23と同様に旋回する。
【0044】また,共通駆動アーム23が時計方向に回転し,その最大回動時には,図6(C)に示すようにフォーク25,搬送アーム21及び共通駆動アーム23が一直線上に並んだ状態になる。
B本件明細書の【図6】及び【図7】には,共通駆動部が時計回りに回転するのにともない,一方の搬送部及び多関節駆動部が徐々に搬送方向に伸び,他方の搬送部及び多関節駆動部は常時共通駆動部上に取り込まれた状態を保持する動作が図示されている。
C【0108】【発明の効果】以上説明したように,本発明の多関節搬送装置によれば,第1の搬送部の回転面に対して上又は下側に位置するように第2の搬送部の高さを規定しているので,第1及び第2の搬送部を共通駆動部の上部に縮めたとき,第1の搬送部と第2の搬送部との間に,被搬送物が入り込めるような高低差を生じさせることができる。このた,, , め ホームポジションで 被搬送物を載置した下側の第1の搬送部とその上側の第2の搬送部とを重ね合わせることができる。従って,ホームポジションで大きな被搬送物を載置して回転するときも,被搬送物の旋回半径を小さくすることができる。
【0109】本発明の多関節搬送装置によれば,一方の搬送部が共通駆動部上に取り込まれた状態で,他方の搬送部が一方向に伸縮されたり,2つの搬送部や2つの多関節駆動部が静止している状態で,共通駆動部が旋回されるので,従来技術のような3つの基本動作に加え,同一方向において,一方の搬送部に載置された被搬送物を搬送先に移動して,それを他方の搬送部を用いて搬送先の被搬送物と交換することが可能となる。
)以上の本件明細書の記載によれば,本件訂正部分は,共通駆動部(1b3)を回動させることにより,一方の搬送部(15又は16)を伸縮させるものであり,また,この共通駆動部(13)の回動制御の際,他方の搬送部(16又は15)が共通駆動部上に取り込まれた状態であるように,駆動制御手段(14)がその制御を行う構成を記載したものであると解すべきである。これに対し,前記5( )ア,イ並びに乙1公報の1第1図及び第3図によれば,乙1発明の「旋回台10」は 「移し換え,アーム20,30」ないし「基板保持部60a,60b」の伸縮運動の前に旋回するものであるものの,その旋回により,移し換えアームを伸縮させるものではない。すなわち,乙1公報の前記記載及びその第3図によれば,乙1発明においては,旋回台10の正面方向(第3図の1点鎖線の方向)に基板保持部が伸縮するように設計されており,このような装置において,移し換えアーム(20,30)の伸縮運動の際に旋回台10を回動させると,基板保持部の伸縮する方向が変わってしまうため,乙1発明からは,伸縮運動の際に旋回台10を回動させることは発想しにくいことである。したがって,乙1発明においては,本件訂正特許発明1の「駆動制御手段が行う「共通駆動部」及び「第1及び第 」,2の搬送部」に対する上記制御を行うものではないことは明らかである(以下,この相違点を「乙1発明との相違点3」という。。)以上によれば,本件訂正特許発明1と乙1発明とは,前記認定の相違点に加え,乙1発明との相違点3においても異なるものである。
)乙1発明との相違点3については,この相違点に係る構成を容易に想c到し得る公知技術が存在することを認めるに足りる証拠はない。仮に,乙1発明において,旋回台10をアームの伸縮運動の際にも回動させた上で,基板保持部の伸縮方向を維持しようとすると,装置全体の構造を変更する必要があり,乙1発明については,このような発想をすることは容易ではない。したがって,本件特許出願当時,当業者が,乙1発明から本件訂正後特許発明1を想到することが容易であったとは認められない。
したがって,本件訂正によって,前記5( )において認定した無効理1由は解消されるものと認められる。
ウ乙2発明と本件訂正特許発明1について本件訂正部分は,共通駆動部(13)を回動させることにより,一方の搬送部(15又は16)を伸縮させるものであり,また,この共通駆動部(13)の回動の際,他方の搬送部(16又は15)が共通駆動部上に取り込まれた状態であるように,駆動制御手段(14)がその制御を行う構成を記載したものであると解すべきであることは,上記イ)認定のとおbりである。
これに対し,前記5( )によれば,乙2発明の第1及び第2アームにつ2いては,本件訂正部分のような制御が行われるものではないことは,乙2公報から明らかである(以下,この相違点を「乙2発明との相違点3」という。。)そして,乙2発明との相違点3については,この相違点に係る構成を容易に想到し得るとの公知技術が存在することを認めるに足りる証拠はない。
したがって,仮に,本件特許発明1について,何らかの理由により乙2発明を主引例とする無効理由が認められるとしても,本件訂正により,当該無効理由は解消されるものと認められる。
エ乙7発明と本件訂正特許発明1について被告は,本件訂正後の本件訂正特許発明1は,乙7発明と乙4発明から容易に想到し得るものであると主張し,同趣旨の審決もなされている(乙17 。)しかし,乙7発明においては,そもそも本件特許発明1の共通駆動部が存在せず(相違点1 ,乙4発明によっても,相違点1に係る構成を容易 )に想到し得ないことは,前記認定判断のとおりである。したがって,本件訂正後の本件訂正特許発明1についても,この相違点が存在する以上,本件訂正特許発明1を乙7発明及び乙4発明から容易に想到し得ないことにおいて変わりはなく,被告の主張は採用し得ない。
オ本件訂正特許発明が特許法29条2項に当たることによる独立特許要件違反について被告は,本件訂正特許発明1は,本件特許の請求項7及び8に記載された制御方法に関する発明の制御方法の結果にすぎず,請求項7及び8に記載された発明は乙7発明と乙4発明を組み合わせることで当業者が本件特許出願当時容易に想到し得た発明であるから,本件訂正特許発明1も容易に想到し得た発明である,と主張する。
しかし,特許に無効理由があるかどうかは,各請求項毎に独立に判断されるべきことであるから,本件訂正特許発明1に無効理由があるかどうか, 。 については 本件訂正後の請求項1の記載に基づき判断されるべきである被告の上記主張については,端的に,請求項1に係る本件訂正特許発明1が乙7発明と乙4発明を組み合わせることにより容易に想到し得たかどうかで判断すれば足りるのである。そして,本件訂正特許発明1が乙7発明及び乙4発明から容易に想到し得るものということができないことは前記説示のとおりである。よって,被告の上記主張は理由がないことが明らかである。
なお,本件明細書の特許請求の範囲請求項7及び8の記載は次のとおりであり,本件訂正特許発明1は,請求項7及び8に記載された制御方法に関する発明の制御方法の結果以外の構成を含み得るものであるから,被告の上記主張は,被告独自の限定解釈を前提とした主張であって,この点からも失当である。
@請求項7「前記第1の駆動軸(13C)を固定し,前記第2の駆動軸(13D)及び共通駆動部(13)を同期させて回動することを特徴とする請求項1〜6記載の多関節搬送装置の制御方法 」。
A請求項8「前記第2の駆動軸(13D)を固定し,前記第1の駆動軸(13C)及び共通駆動部(13)を同期させて回動することを特徴とする請求項1〜6記載の多関節搬送装置の制御方法 」。
()。 ( ) 被告各製品が本件訂正特許発明1の技術的範囲に属するか 争点6-3 3ア本件訂正部分の解釈につき争いがあるので,この点について判断する。
)本件訂正部分の記載は次のとおりである。
a「前記駆動制御手段(14)が行う制御には,第1の搬送部(15)又は第2の搬送部(16)を伸縮するために共通駆動部(13)を回動させる制御と,この共通駆動部(13)を回動させる制御中,第2の搬送部(16)又は第1の搬送部(15)が共通駆動部(13)上に取り込まれた状態であるようにする制御とが含まれるものであって」)前記( )イの本件明細書の記載によれば,前記認定のとおり,本件訂b2正部分は,共通駆動部(13)を回動させることにより,一方の搬送部(15又は16)を伸縮させるものであり,また,この共通駆動部(13)の回動の際,他方の搬送部(16又は15)が共通駆動部上に取り込まれた状態にあるように,駆動制御手段(14)がその制御を行う構成を記載したものであると解すべきである。
被告は 本件訂正部分の 第1の搬送部 15 又は第2の搬送部 1 ,「()(6 を伸縮するために共通駆動部 13 を回動させる とは 前記( ) ) ()」,2イ)@の具体的駆動機構について記載したものであると主張する。す aなわち,第1の駆動軸(13C)を固定した上で共通駆動部(13)を回動すると,第1の搬送部(15)が第1の多関節駆動部(11)により一方向に伸縮されるという前記( )イ )@に記載された部分を 「第2a ,() ()」 1の搬送部 15 を伸縮するために共通駆動部 13 を回動させると言い換えたものであると主張する。また,本件訂正部分のうち 「こ,の共通駆動部(13)を回動させる制御中,第2の搬送部(16)又は第1の搬送部(15)が共通駆動部(13)上に取り込まれた状態であるようにする制御」については,前記( )イ )@の共通駆動部と同期し2aて第2の駆動軸13Dに回転力を与えることにより,同駆動軸から第2の多関節駆動部12に回転力が与えられ,第2の多関節駆動部12が第2の固定軸13Bを中心として共通駆動部13の回転方向を打ち消す方向に回動し,これにより第2の多関節駆動部12は静止状態を保持するという部分を言い換えたものであると主張する。
しかしながら 本件訂正部分は・・・制御には 第1の搬送部 1 ,,「,(5)又は第2の搬送部(16)を伸縮するために共通駆動部(13)を回動させる制御と,この・・・制御中,第2の搬送部(16)又は第1の搬送部(15)が共通駆動部(13)上に取り込まれた状態であるようにする制御とが含まれるものであって」と規定するだけであることからすれば,被告が主張するような構成のもの,例えば,共通駆動部13の回転を打ち消す方向に第2の多関節駆動部12が回動し,これにより多関節駆動部が静止状態を保持するという制御のものにまで限定する趣旨ではないと解すべきである。
また,請求項7及び8は,被告が主張する構成を請求項として記載したものであるから,請求項7及び8を被告主張のように解することは当, , 然としても 本件訂正部分を含む請求項1記載の本件訂正特許発明1を被告主張のように限定して解することはできない。
さらに,前記( )イ )Cに記載した本件各特許発明に共通の作用効果2aを奏するためには,被告主張のような具体的駆動機構すなわち実施例として記載された具体的な機構が必要となるわけではなく,本件訂正部分を前記のように解したとしても,本件各特許発明に共通の作用効果を奏することが可能であるから,この点からも本件訂正部分を被告主張のように限定して解すべき理由はない。
特許請求の範囲の記載は,明細書に記載された実施例等により具現されている発明の構成に欠くことができない事項のみを記載することになること(平成6年改正前の特許法36条5項2号)からすれば,明細書に開示された実施例に限定して解釈することは相当ではない。
以上によれば,本件訂正部分は,特許請求の範囲の文言どおり,共通() (), 駆動部 13 を回動させて一方の搬送部 15又は16 を伸縮させこの共通駆動部(13)の回動の際,他方の搬送部(16又は15)が共通駆動部上に取り込まれた状態であるように,駆動制御手段(14)が制御を行うという意味に解すべきである。
イ被告各製品が本件訂正部分の構成を充足するか。
弁論の全趣旨によれば,被告各製品において第3アーム(3a)が伸縮するための制御は 第3アーム 3a を伸縮させるために第1アーム 1 ,() (1)及びこれと一体の第1の支軸(15)を回動させ,この際,第3アーム(3b)は第1アーム(11)上に取り込まれた状態となるように制御されている。また,第3アーム(3b)が伸縮するための制御は,第3アーム(3b)を伸縮させるために第1アーム(11)及びこれと一体の第1の支軸(15)を回動させ,この際,第3アーム(3a)は第1アーム(11)上に取り込まれた状態となるよう制御されていると認められる。
,「()」,「() そうすると 被告各製品の 第3アーム 3a第1アーム 11及びこれと一体の第1の支軸(15 」及び「第3アーム(3b 」は, ) )本件訂正部分の「第1の搬送部(15「共通駆動部(13 」及び「第 )」,)2の搬送部(16 」にそれぞれ当たるから,被告各製品は,本件訂正部 )分の構成を充足する。
なお,イ号物件のモータ部(33,23,30)は,第1アームと一体の第1の支軸(15)と一体の棚板(24)に固定されていることから,イ号物件の第2アーム(6a,6b)が第1アーム(11)の回動に伴い連れ回りする点が,本件各特許発明の第1及び第2の制御方法ないし実施例とは異なるものである。また,ロ号製品も,モータ部(30,23)が() ,, 第1アーム 11 に固定されていることから 第1アームの回動に伴い第2アーム(6a,6b)が連れ回りするものである。しかし,本件明細書の実施例のように,各モータを装置本体に固定するとの構成を採用する, ,, ことにより 多関節駆動部が共通駆動部と連れ回りしないとしても また「メンテナンス面及びモータ配線等において有利である ( 0039 )」【】としても,本件各特許発明は,モータ部の配置に関する特許発明ではないから,本件明細書の開示を受けた当業者であれば,本件各特許発明の基本となる構成を採用しながら,モータの配置に関してのみ,イ号物件のように各モータを第1アームと一体に回動する一枚の棚板に固定するとの構成を採用したとしても,本件各特許発明技術的範囲に属しないとする理由はない。
( ) 小括4以上によれば,本件訂正は未だ確定していないものの,訂正要件を満たすものであり,本件訂正特許発明1について被告が主張する無効理由は認められず,かつ,被告各製品は,本件訂正特許発明1の技術的範囲に属するものである。
そうすると,本件特許発明1に係る特許が特許無効審判により無効とされるべきものとは認められないから,特許法104条の3第1項に基づく被告の無効の抗弁は認められない。
7本件特許発明1に係る特許が特許無効審判により無効とされるべきものとい( ) えるか・・・その他の公知技術による無効理由 争点5-4ないし争点5-6( ) 本件特許発明1が昭和60年9月1日発行の雑誌「自動化技術 (乙111 」の1)に記載された「Wアーム式ローディン装置」に基づいて当業者が容易に発明することができたものといえるか(争点5-4 。)ア乙11の1・2によれば,乙11雑誌には次のような記載がある。
)本文a「 。 揺動アーム端とハンド開閉シリンダ側面とをコンロッドで連結する・・・パイプアームは中空とし,中にハンド開閉シリンダのロッドを貫通させる 」。
)図1,図2及び図3b「一方のハンドと,他方のハンドと,一方のハンドを一方向に伸縮するハンド開閉シリンダ及びパイプアームと,他方のハンドを一方向に伸縮するハンド開閉シリンダ,パイプアーム及びコンロッドと,上記各ハンド開閉シリンダとコンロッドを介して固定され,動力源である加減速ロータリアクチュエータが設置された揺動アームとを有することを特徴とするWアーム式ローディン装置」イ前記アによれば,乙11雑誌には,次のような構成を有する乙11装置が記載されていると認められる(以下「乙11装置の構成A 」などとい’う。。)A’一方のハンドと,B’他方のハンドと,C’一方のハンドを一方向に伸縮するコンロッドと,D’他方のハンドを一方向に伸縮するコンロッドと,E’上記一方のコンロッドを回動自在に支持する固定軸と,他方のコンロッドを回動自在に支持する固定軸と,揺動アームに回転力を与える動力源である(揺動アームを揺動することによって,これに接合されたコンロッド,コンロッドに接合されたハンド開閉シリンダ,パイプアームを動作させる)加減速ロータリアクチュエータと揺動アームの接合部分とを有する揺動アームと,F’揺動アームを揺動する加減速ロータリアクチュエータとを備えた,G’一方のハンドと他方のハンドが高低差をもたず,かつ重ならないH’ことを特徴とするWアーム式ローディン装置なお,被告は,乙11装置のコンロッドとパイプアームの接合部分が本件特許発明1の駆動軸(13C,13D)に相当する旨主張する。しかし,乙11の1からは,上記のとおり,揺動アームを介して伝わる動力のほか,コンロッドとパイプアームの接合部分に何らかの回転力が与えられていることを認めることはできない。
ウ乙11発明と本件特許発明1の一致点及び相違点)前記ア及びイによれば,乙11装置の構成A’C’及びD’は本件特a許発明1の構成要件A,C及びDと一致する。
乙11装置の構成B’及びG’が本件特許発明1のB及びGと相違することについては当事者間に争いがない。
)乙11装置の構成E’と本件特許発明1の構成要件Eについてb本件特許発明1の構成要件Eにおける駆動軸(13C,13D)は,多関節駆動部(11,12)に回転力を与えるものである。ところが,前記ア及びイによれば,乙11装置の構成E’においては,加減速ロータリアクチュエータと揺動アームの接合部分が動力を与えている対象は,揺動アームである。確かに,乙11装置においては,加減速ロータリアクチュエータと揺動アームの接合部分に回転力が与えられることによって,揺動アームを介して被告が多関節駆動部の一つであると主張するコンロッドに駆動力が与えられる。しかし,コンロッドが揺動アームの固定軸から受ける力は回転力ではない。そうすると,乙11装置の構成要件E’は,多関節駆動部に回転力を与える駆動軸を備えるものではない。
したがって,乙11装置の構成E’は本件特許発明1の構成要件Eと相違する。
)乙11装置の構成F’と本件特許発明1の構成要件Fについてc本件特許発明1の構成要件Fは,その特許請求の範囲の文言から,共通駆動部に回転力を与える駆動制御装置のみならず,多関節駆動部(11,12)に回転力を与える駆動装置をも有するものである。
前記ア及びイによれば,乙11装置においては,揺動アームに動力を与える駆動制御装置(加減速ロータリアクチュエータ)は存在するが,被告が多関節駆動部(11,12)に相当すると主張するコンロッドに回転力を与える駆動制御装置が存在するとは認められない。
したがって,乙11装置の構成F’は本件特許発明1の構成要件Fと相違する。
)小括d以上によれば,本件特許発明1と乙11装置との相違点は,次の3点である。
@本件特許発明1においては,第2の搬送部(16)が第1の搬送部(15)の回転面に対して上又は下側に位置するように高さを規定されているのに対し,乙11装置においては,他方のハンドが一方のハンドの回転面と同じ高さに規定されている点(構成要件B,G関係。
以下,本争点において「相違点1」という )。
A本件特許発明1においては,駆動軸(13C,13D)によって回(,), 転力を与えられる対象が多関節駆動部 11 12 であるのに対し乙11装置においては,加減速ロータリアクチュエータと揺動アームの接合部分によって回転力を与えられる対象が被告が共通駆動部の一(。, 部に相当すると主張する揺動アームである点 構成要件E関係 以下本争点において「相違点2」という )。
B本件特許発明1においては,共通駆動部に回転力を与える駆動制御装置のみならず,多関節駆動部(11,12)に回転力を与える駆動装置をも有するのに対し,乙11装置においては,揺動アームに動力を与える駆動制御装置(加減速ロータリアクチュエータ)は存在するものの,被告が多関節駆動部(11,12)に相当すると主張するコンロッドに回転力を与える駆動制御装置が存在するとは認められない点(構成要件F関係。以下,本争点において「相違点3」という )。
エ相違点の評価)相違点1についてa相違点1に関して,本件特許出願前に公開されたウエハ搬送装置に関,「() する乙4公報2頁右下欄9行ないし13行にはウエハ保持部 28と(33 ,回転プーリ(24)と(29 ,第1のアーム部材(14) ) )と第2のアーム部材(21 ・・・は互いに取付け位置を上下方向にず )らせて取付けてあり,互いの干渉をなくしている 」との記載がある。。
しかしながら,乙11装置はローディング装置であるのに対し,乙4発明は,ダブルアーム型のウエハ搬送装置に関する発明であり,技術分野を異にする。そして,乙4発明における両アームの高低差は,次のような乙4発明の属するウエハ搬送装置の分野における要請に基づいて用いられる構成である。すなわち,乙4発明の属するウエハ搬送装置の分野においては,1台の搬送装置でウエハ処理工程に応じた複数の処理室等にウエハを移載する必要があるから,アームの伸縮運動のほか装置全体の旋回運動も必要である。その際,装置の専有面積を小さくするためにアームを小さく畳む必要がある。さらに,ウエハを出し入れする複数の処理室が異なる雰囲気下におかれている(例えば真空状態)ため,各処理室のウエハの受渡し用開口部が狭くなっており,そのような狭い空間からアームを処理室に挿入する必要があるためアームの形状が複雑になる。このようにアームの形状が複雑であり,かつ,旋回運動の際,アームを畳む必要があるため,一方のアームが他方のアームの動きに干渉しないよう工夫を施す必要がある。乙4発明の両アームの高低差は,こ, , のように両アームを小さく畳む際や 両アームが異なる動きをする際に一方のアームが他方のアームの動きを干渉しないために設けられたものである(乙4公報の第1図,第4図,乙4公報2頁右下欄9行ないし13行 。これに対し,乙11の1によれば,乙11装置においては,一 )方のハンドが他方のハンドの動きを干渉する関係にはないのである。したがって,乙11装置において乙4発明における両アームに高低差を設ける構成を組み合わせることは本件特許出願当時,当業者が容易に想到し得たとは到底いえない。
)相違点2についてb乙11装置の相違点2に係る構成を本件特許発明1の構成に変更する場合には,装置全体の構成を変更する必要がある。また,乙11装置の構成を本件特許発明1の構成に変更する動機付けがあることも,これを認めるに足りる証拠はない。
)相違点3についてc乙11装置においては,揺動アームに動力を与えることによってコンロッドが駆動する構成になっているから,コンロッドに回転力を与える駆動制御装置を設ける必要がない。したがって,乙11装置に本件特許発明1の構成要件Fを組み合わせることには何らの動機付けも存在しない。
オ以上によれば,本件特許出願当時,当業者が,乙11装置から本件特許発明1を想到することが容易であったとは到底認められない。
( ) 本件特許発明1が合衆国特許4678393(乙12の1)に記載された2発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものといえるか(争点5-5 。)ア乙12の1によれば,乙12公報には次のような記載がある。
)乙12の1の訳文6頁及び7頁(原文の3欄4行ないし29行)a「搬入搬出機構11は,説明する機構で連続的に昇降するのに適する支持部15を備える。支持部15は,それぞれ部分17,18で終端する対の外側に張り出した腕を有する。部分17,18はそれぞれ対のガイドロッド19,21を支持する。ガイドロッド19はその前端で第1の把持装置22に固定しており,第1の把持装置22はエアシリンダ2, 。, 4など適切な方法で 順次開閉する対の顎状部材23を備える 同様に第2の把持装置25はガイドロッド21の外端で支持され,エアシリンダ27で操作する対の把持用の顎状部材26を備える 内部に溝29 図。(5)が設けられているブロック28がガイドロッド19に固定されている。同様のブロック31も同様の溝をもち,ガイドロッド19(判決注:19は21の誤りである )に固定する 」。。
「説明するように,支持部15に対して垂直に動くドライブメンバ32が備えられていて,支持部15が回転しないように保持されながら,ドライブメンバ32は回転もする。ドライブメンバ32は対の外側に張り出した腕をもち,腕がそれぞれブロック28,31の溝に収受される各ピン33,34を支えるので,説明するようにロッド19,21と把持具22,25が往復移動できる 」。
)乙12の1の訳文10頁及び11頁(原文5欄5行ないし18行,4b2行ないし55行)「モータ47の電源を入れて操作サイクルを開始すると,球状カム56は図1に図示するようにドライブメンバ32を左回転させる。このときドライブメンバ32と支持部15はともにまだその上昇位置にある。
このドライブメンバ32の回転は,ピン33がブロック28とロッド19を移動させて,第1の把持具22をコンベア12と並ぶ第1位置まで。, , 後退するまで続く 同時に ピン34を担持する腕が移動しているのでブロック31,ロッド21,第2の把持具25はワークステーション13と並ぶその第1外側位置まで移動する。これらの相対位置は図2に図示するとおりである 」。
「工作物が把持されると,表面カム57が第2のドライブメンバ21と支持部15を再び上昇させる。この上昇が完了したら,表面カム57が休止期に入り,ローラ型球状カム56が活動期に入る。このローラ型球状カム56の活動期は,ドライブメンバ32を左回りに枢動させる。
この回転により,ブロック28,ロッド19,第1の把持具22は,コンベア12と並ぶ第1位置から,工作物がワークステーション13に位置する第2位置まで移動する。同時に,第2の把持具25がワークステーション13と並ぶその第1位置から,コンベア14と並ぶその第2位置まで移動する 」。
)乙12の1の訳文12頁(原文6欄1行ないし6行)c「2つの把持機構はそれぞれ互いに同調して操作しながらも,同時にその間が全く妨げられないということを鑑みれば,この構成により最大数の工作物を高速に処理できるのは容易に明らかであろう 」。
イ )前記ア並びに乙12公報の第1図,第2図,第3図及び第5図によaれば,乙12公報には,次のような構成を有する乙12発明が記載されていると認められる(以下「乙12発明の構成A 」などという。’。)A’左ガイドロッド(19)及び左顎部材(23)と,B’右ガイドロッド(21)及び右顎部材(26)と,’() () , C 左ガイドロッド 19 を一方向に伸縮する左ブロック 28 とD’右ガイドロッド(21)を一方向に伸縮させる右ブロック(31)と,E’左ブロック(28)の回動中心となる左ピン(33)と,右ブロック(31)の回動中心となる右ピン(34)とを有し,かつ,モータ47からの動力をドライブメンバ(32)に伝える部材とを有するドライブメンバ(32)と,F’第6図ないし第9図に図示された駆動機構とを備えるG’左ガイドロッド(19)及び左顎部材(23)と,右ガイドロッド(21)及び右顎部材(26)とが高低差を有さず,かつ,重ならないH’工作物搬入搬出移送機構)被告は,被告作成の乙12の2に基づいて 「左把持具(22)内にb ,あるクランク部材(221 」及び「右把持具(25)内にあるクラン )ク部材(251 」が本件特許発明1の多関節駆動部に相当し 「固定 ) ,軸(222 」及び「固定軸(252 」が本件特許発明1の固定軸(1 ))3A,13B)に相当し 「左シリンダ(24)のロッド(241 」 , )及び「右シリンダ(27)のロッド(271 」が本件特許発明1の駆 )動軸(13C,13D)に相当するとも主張する。
しかしながら,乙12の2の「クランク部材(221「クランク)」,部材 251固定軸 222固定軸 252ロッド 2 ()」,「()」,「()」,「(41 」及び「ロッド(271 」が乙12公報に記載されていること ) )を認めるに足りる証拠はない。また,被告の上記主張によれば 「固定,軸(222「固定軸(252「ロッド(241 」及び「ロッド )」,)」,)(271 」がドライブメンバ(32)上に存在しないため,ドライブ )メンバ(32)のみならず,両ブロック(28,31)及びガイドロッ(,),「()」 ド 19 21 をも含めて 本件特許発明1の 共通駆動部 13に相当する旨の主張にならざるを得ないが,かかる主張が認められないことは,前記5( )ウ ),同エ )のとおりである。
2bbウ乙12発明と本件特許発明1の一致点及び相違点)乙12発明の構成B’及びG’が,本件特許発明1の構成要件B及びaGと相違することは当事者間に争いがない(以下,本争点において「相違点1」という。。))乙12発明の構成E’及び本件特許発明1の構成要件Eについてb本件特許発明1の特許請求の範囲の記載によれば,本件特許発明1における駆動軸(13C,13D)が,多関節駆動部に回転力を与えるものであることは明らかである。
ところが,前記イによれば,乙12発明には,被告が多関節駆動部に相当すると主張する左右ブロック(28,31)に回転力を与える部材が,被告が共通駆動部に相当すると主張するドライブメンバ(32)上に存在しないことは明らかである。
したがって,乙12発明は,少なくとも,構成E’において本件特許発明1の構成要件Eと相違する(以下,本争点において「相違点2」という。。)エ容易想到性について)相違点1a乙12発明に,乙4発明,乙1発明,乙7発明のウエハ搬送装置に係る発明と組み合わせて本件特許発明1の構成とすることが本件特許出願当時,当業者にとって容易想到とはいえないことは,前記( )エ )に記1a載したと同様である。
)相違点2b乙12発明の上記相違点に係る構成を本件特許発明1の構成に変更する場合には,装置全体の構成を変更する必要がある。また,乙12発明の構成を本件特許発明1の構成に変更する動機付けがあることを認めるに足りる証拠もない。
オ以上によれば,本件特許出願当時,当業者が,乙12発明から本件特許発明1を想到することが容易であったとは認められない。
( ) 本件特許発明1が雑誌「自動化技術」1993年3月号(乙14)に掲載3された装置に基づいて当業者が容易に発明することができたものといえるか(争点5-6)ア乙14によれば,乙14雑誌には次のような記載がある。
)77頁本文a「写真1はね,ちょっと変わった仕組みになってましてね,写真ではわからないんで,実際の構造とは若干違うけど,原理を図1に書いときました.2本の腕が同一のベースの上に乗ってましてね,回しながらワークに接近する腕を伸ばすわけです.こうすると,動作時間が短くなるわけで,ロータリクランクプレス機械へのローディング・アンローディングなどには,なかなか有効なんですな 」.)77頁図1の説明文b「, . 全体が回転しながら ワーク位置に向かっているほうの腕が伸びる・・・単にエアシリンダだけのものに比べ,作業時間は大幅に短縮できる 」.イ前記ア及び乙14雑誌の図1によれば,乙14雑誌には,次のような構成を有する乙14装置が記載されていると認められる(以下「乙14装置の構成A 」などという。’。)A’一方のアームと,B’他方のアームと,C’一方のアームを一方向に伸縮させる筒状アームと,D’他方のアームを一方向に伸縮させる筒状アームと,E’前記一方の筒状アームとの接合部と,他方の筒状アームの接合部とを有するコの字型共通駆動部と,F’コの字型共通駆動部を駆動する駆動制御手段とを備え,G’一方のアーム及び他方のアームはコの字型共通駆動部の上部に縮めることができない構成になっているH’産業用ロボットウ乙14装置と本件特許発明1の一致点及び相違点)乙14装置の構成B’及びG’が本件特許発明1の構成要件B及びG aと相違することは当事者間に争いがない(以下,本争点において「相違点1」という。。))乙14装置の構成E’と本件特許発明1の構成要件Eについてb乙14装置の構成E’には,本件特許発明1の多関節駆動部(11,12)に回転力を与える駆動軸(13C,13D)に相当する部材が存在しない点で本件特許発明1の構成要件Eと相違する(以下,本争点において「相違点2」という。。))乙14装置の構成F’と本件特許発明1の構成要件Fについてc乙14装置の構成F’には,本件特許発明1の多関節駆動部(11,12)を回動制御する駆動制御手段が存在しない点で本件特許発明1の構成要件Fと相違する(以下,本争点において「相違点3」という。。)エ容易想到性について)相違点1a乙14装置に,乙4発明,乙1発明,乙7発明のウエハ搬送装置に係る発明と組み合わせて本件特許発明1の構成とすることが本件特許出願当時,当業者にとって容易想到とはいえないことは,前記( )エ )に記1a載したと同様である。
)相違点2b乙14装置における,本件特許発明1の多関節駆動部に相当する筒状アームは,コの字型共通駆動部と独立して回動するものではないから,筒状アームに回転力を与える軸を設けるという発想は生じない。
そうすると,本件特許出願当時,当業者が,乙14装置から多関節駆動部に回転力を与える駆動軸を共通駆動部に設けるという本件特許発明1を想到することが容易であったとはいえない。
)相違点3c乙14装置は,本件特許発明1の多関節駆動部に相当する筒状アームは,コの字型共通駆動部と独立して回動するものではないから,筒状アームを回動制御する駆動制御手段を設けるという発想は生じない。
そうすると,本件特許出願当時,当業者が,乙14装置から多関節駆動部を回動制御する駆動制御手段を設けるという本件特許発明1を想到することが容易であったとはいえない。
オ以上によれば,本件特許出願当時,当業者が,乙14装置から本件特許発明1を想到することが容易であったとは認められない。
8本件特許発明2に係る特許が特許無効審判により無効とされるべきものといえるか(争点7 。)( ) 本件特許発明2が特開平4-30447号公報(乙1)に記載された発明1と同一又は当該発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものといえるか(争点7-1 。)ア乙1発明と本件特許発明2との対比は,本件特許発明2の構成要件Iについての対比を除いて,前記5( )に認定したとおりである。
1イ乙1発明と本件特許発明2の構成要件Iについて)本件特許発明2の構成要件Iは 「前記共通駆動部(13)の回転軸a ,を概略垂線とする平面において,該共通駆動部(13)が『く』の字型」,「『』 に屈曲されたアーム状を構成することを特徴とすること でありくの字型に屈曲されたアーム状」といっても,どのようなものを「く」の字型の範囲に含めるのか,特許請求の範囲からは一義的に明らかではないので,本件明細書の詳細な説明を参酌する。本件明細書には,構成要件Iについて次のような記載がある。
@【0052 (2)第2の実施例の説明 】【0056 (15欄6行ないし15行) 】「第2の実施例では図10の共通駆動屈曲アーム33が『く』の字型に屈曲されたアーム状を構成する。例えば,共通駆動屈曲アーム33が角度β°を有する。角度β°は第1の固定軸23Aと第2の固定軸23Bと第1,第2の駆動軸23C,23Dの中心とを結ぶ二辺の成す角度である。このようにすることで,当該多関節駆動部の旋回半径を小さくすることができ,また,両フォーク35及び36を揃えることができる。このことから被搬送物を同一方向に伸縮させることができる 」。
A【0069 (17欄42行ないし44行) 】「その最大回動時には,図14(C)に示すようにフォーク36,搬送アーム32及び共通駆動屈曲アーム33が並んだ状態になる 」。
B図14(C)第2の固定軸23Bと第1,第2の駆動軸23C,23Dの中心とフラットフォーク36がほぼ一直線上に並んだ図が記載されている。
C【0074】「, ,、『』 さらに 本発明の第2の実施例によれば 図9に示すようにく。, の字型に屈曲された共通駆動屈曲アーム33が採用される このため共通駆動屈曲アーム33上に両フォーク35及び36を取り込んだ状態において・・・両フォーク35及び36を重なった状態に揃えることが可能となる。このことで,被搬送物30を同一方向に伸縮させることが可能となる 」。
D【0109 (25欄18行ないし26行) 】「・・・また,本発明の他の装置によれば,共通駆動部が『く』の字型に屈曲されたアーム状に構成される。このため,共通駆動部上に第1,第2の搬送部を取り込んだ状態において,両搬送部を揃えることが可能となる。このことで,従来例に比べて装置の旋回半径を小さくすること,及び,被搬送物を同一方向に伸縮させることが可能となる。また,両搬送部の切り替え旋回時間が無用となり,被搬送物の入れ替え時間の短縮化を図ることが可能となる。
)前記)の各記載によれば,本件特許発明2の構成要件Iの「共通駆ba動部(13)が『く』の字型に屈曲されたアーム状を構成する」という意味は,第1の固定軸13Aと第2の固定軸13Bと第1,第2の駆動軸13C,13Dの中心(共通駆動部の回動中心)とを結んだ直線がくの字型に屈曲されているアーム状の構成を意味すると解することができる。
)乙1公報の第1図及び第3図によれば,乙1発明の共通駆動部に当たcる旋回台10は 「く」の字型に屈曲されたアーム状のものではなく, ,円盤状の構成であり,この点で構成要件Iと相違することは明らかである。すなわち,乙1発明の旋回台10においては,移し換えアーム30の回動中心となる左リンク41,42の根元のピン(駆動軸43の先端部)と,移し換えアーム20の回動中心となる右リンク41,42の根元のピン(駆動軸43の先端部)が,回動中心の左右に2か所ずつ,回動中心とを結んだ直線が略「X」字状になるように合計4か所設けられていることからすれば,この円盤状の旋回台10を「く」の字型に屈曲されたアーム状の構成に変更することは困難であるといわざるを得ない。
したがって,乙1発明から本件特許発明2の構成要件Iの構成を想到することが容易であるとは認められない。
)被告は,乙1公報の第3図には,旋回台10の回転中心点と図中左右dの駆動軸43,43とを結ぶ線分が,くの字型に屈曲されていることが示されていると主張する。しかし,乙1発明の左右のアームは,平行リンク機構であり,旋回台10の回動中心と左右の駆動軸43の4点を結ぶ線分が略「X」字状となるものであることからすれば,この乙1発明から「く」の字状のアーム状の構成を想到することは困難であることは上記のとおりであり,被告の主張は採用することができない。
( ) 本件特許発明2が特開平5-109866号公報(乙7)に記載された発2明と同一又は当該発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものといえるか(争点7-2 。)前記5( )に認定したとおり,本件特許出願当時,当業者が,乙7発明か3ら本件特許発明1を想到することが容易であったとは認められないから,本件特許発明1にさらに構成要件Iを付け加えた本件特許発明2についても同様である。
( ) 本件特許発明2が昭和60年9月1日発行の雑誌「自動化技術9 (乙13 」1の1)に記載された「Wアーム式ローディン装置」及び特開平4-30447号公報(乙1 ,特開昭63-288677号公報(乙4)ないし特開 )平5-109866号公報(乙7)のいずれかに基づいて当業者が容易に発明することができたものといえるか(争点7-3 。)前記7( )に認定したとおり,本件特許出願当時,当業者が,乙11装置1から本件特許発明1を想到することが容易であったとは認められないから,本件特許発明1にさらに構成要件Iを付け加えた本件特許発明2についても同様である。
( ) 本件特許発明2が合衆国特許4678393(乙12の1)及び特開平44-30447号公報(乙1 ,特開昭63-288677号公報(乙4)な )いし特開平5-109866号公報(乙7)のいずれかに記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものといえるか(争点7-4 。)前記7( )に認定したとおり,本件特許出願当時,当業者が,乙12発明2から本件特許発明1を想到することが容易であったとは認められないから,本件特許発明1にさらに構成要件Iを付け加えた本件特許発明2についても同様である。
( ) 本件特許発明2が雑誌「自動化技術」1993年3月号(乙14)に掲載5された装置に基づいて当業者が容易に発明することができたものといえるか(争点7-5 。)前記7( )に認定したとおり,本件特許出願当時,当業者が,乙14装置3から本件特許発明1を想到することが容易であったとは認められないから,本件特許発明1にさらに構成要件Iを付け加えた本件特許発明2についても同様である。
9本件特許発明2の無効理由が本件訂正により解消されるか(争点8 。)( ) 本件特許発明2の無効理由が本件訂正によって解消されるか(争点8-11 。)本件特許発明2が進歩性を有しない発明とはいえないことは前記認定のとおりであるものの,仮に何らかの理由により乙1発明等から容易に想到し得ると判断されるとしても,本件訂正特許発明1について述べたのと同様の理由により,本件訂正特許発明2の無効理由も解消されるべきことは,前記6に認定判断したとおりである。
( ) 本件訂正請求が訂正要件を満たすといえるか等のその余の争点(争点8-22及び争点8-3)についても,本件訂正特許発明1について述べたのと同様であり,本件訂正は訂正要件を満たす適法なものである。また,被告各製品が本件訂正特許発明2の技術的範囲に属することも前記に認定したところから明らかである。
10本件明細書の発明の詳細な説明の記載が改正前特許法36条4項及び5項2号の規定する要件を満たしているか(争点9 。)本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1の記載は,本件訂正後の請求項1の記載と比べ,本件各特許発明の特徴的部分である,搬送部の伸縮のための制御についての記載がないことから 「発明の構成に欠くことができない事項のみ ,を記載した項」とはいえず,改正前特許法36条5項2号に違反にしているとみることも可能であるとしても,その無効理由は本件訂正により解消されているものというべきである。また,被告が主張する改正前特許法36条違反の無効理由がいずれも理由がないことは,次に述べるとおりである。
( ) 共通駆動部の左右のアームを単一部材で構成する旨の記載の欠如と改正前1特許法36条4項及び5項2号違反について前記5( )ウ)認定のとおり,本件各特許発明の特許請求の範囲の請求項2b1及び6の記載及び本件明細書から,本件各特許発明の共通駆動部は,回動中心の左右のアーム全体が一体的に回動される部材であると解される。
そして,本件明細書の実施例において開示されている「共通駆動部」は,いずれも回動中心の左右のアームが単一の部材であり,全体が一体的に回動される部材であるから,本件明細書について改正前特許法36条4項の規定違反がないことは明らかである。
, ,「」, また 本件明細書の請求項1及び6においては共通駆動部 について左右のアームが一体的に回動されるとの記載はないものの 「共通駆動部」,の技術的意義が一義的に明らかではないことから,その発明の詳細な説明参酌してこれを解すべきことは前記のとおりであり,その「共通駆動部」の技術的意義として,左右のアームが一体的に回動制御される部材であると解すべきことも前記のとおりである。したがって,本件明細書の特許請求の範囲の請求項1及び6における「共通駆動部」についての記載が,被告主張の理由により,改正前特許法36条5項2号に違反するものとまでいうことはできない。
( ) 旋回運動の回転中心と伸縮運動の原点を一致させる構成の記載の欠如と改2正前特許法36条4項及び5項2号違反について前記5( )ウ )B認定のとおり,本件各特許発明に係る搬送装置が,旋回1c運動の回動中心と伸縮運動の原点を一致させた装置であると解することはできない。したがって,本件明細書の特許請求の範囲の請求項1及び6の記載について,改正前特許法36条5項2号違反があるということはできない。
また,本件明細書の実施例においては,旋回運動の回動中心と伸縮運動の原点を一致させた例が示されているのであるから(図6ないし図8,図13ないし図15 【0069】等 ,本件明細書において,この点について, ,)改正前特許法36条4項違反がないことは明らかである。
( ) 収納角度γを要しない構成とすることの作用効果(切り替え旋回時間が不3要であるという作用効果)の記載の欠如と改正前特許法36条4項違反について)本件明細書には,次のような記載がある。
a@【0012 「このため第2の多関節搬送ロボットでは収納角度γを 】。, , 設けなくてはならない しかし ・・・被搬送物50の入れ替え時間や第1,第2の搬送部1A,1Bの切り換え時間が増加するという問題がある。本発明は,かかる従来例の問題点に鑑み創作されたものであり,, , ・・・その構造を工夫し 被搬送物の入れ替え時間の短縮化を図ること及び搬送先の装置のスループットの向上を図ることが可能となる・・・」A【0029 「このため,本発明の第1の多関節搬送装置に比べて, 】旋回半径は多少増加するが,共通駆動部13上に第1の搬送部15及び第2の搬送部16を取り込んだ状態において,従来例のような収納角度, 。 γを生じることなく 両搬送部15及び16を揃えることが可能となるこのことで,被搬送物を同一方向に伸縮させることが可能となる 」。
【】「, , 0030これにより 本発明の第1の多関節搬送装置に比べて第1,第2の搬送部15,16の切り換え旋回時間が無用となり,被搬送物の入れ替え時間の短縮化を図ることが可能となる 」。
)前記)によれば,本件明細書には収納角度γを要しない構成とするこbaとの作用効果(切り替え旋回時間が不要であるという作用効果)が記載されていると認められ,この点に関する被告の主張は採用することができない。
( ) 衝突防止の作用効果の記載の欠如と改正前特許法36条4項違反について4衝突防止の作用効果が明記されていなければ当業者が本件各特許発明実施できないとはいえないから,当該記載がなければ改正前特許法36条4項に違反する旨の被告の主張は失当である。
( ) 小括5以上によれば,本件明細書の特許請求の範囲の請求項1及び6並びに発明の詳細な説明の記載が改正前特許法36条4項及び5項2号の規定する要件を満たしていない旨の被告の主張は理由がない。
11損害の額(争点10)について( ) 被告各製品の売上額について1ア被告の平成15年3月1日から平成16年2月29日までの販売実績は,次のとおりである(甲18 。))ウエハ搬送機46億4999万7000円a)ガラス基板搬送機18億7032万4000円 b)モータ制御機器1億0172万5000円 c)部品・修理他6億7921万2000円 d)商品1730万6000円 eイ弁論の全趣旨によれば,被告は,平成9年1月31日から平成16年2月16日までの間に,被告各製品について,少なくとも次のとおり製造ないし販売し,売上げを得ていることが認められる。
なお,原告は,被告各製品の売上げが上記範囲にとどまることについて争っているものの,同売上げが上記範囲を超えることを認めるに足りる証拠はない。
)イ号物件及びロ号物件(合計5億3086万9435円) a@RR468(イ号物件)15台,売上金合計1億0046万3000円ARR469(イ号物件)54台,売上金合計3億6271万6200円BRR421(ロ号物件)9台,売上金合計6769万0235円)未完成イ号物件及び未完成ロ号物件のうち国内販売分(合計6998b万8000円)@未完成イ号物件(RR468のみ)13台,売上金合計6998万8000円A未完成ロ号物件(RR421,RR431)なし)未完成イ号物件及び未完成ロ号物件のうち海外輸出分(合計2億55c68万9964円)@未完成イ号物件(RR468のみ)1台,売上金合計594万円A未完成ロ号物件49台,売上金合計2億4974万9964円(うち9台4574万9964円がRR421,うち40台2億0400万円がRR431)( ) 実施料率について2ア被告は,本件各特許発明の共通駆動部(13)に相当する第1アーム(11)を備えた製品を「ブーメランアームロボット」と称し 「独自,のアーム構造(ブーメラン構造)により小さな旋回径で,ロングリーチを実現「独自のアーム機構によりアーム関節を減らし,高剛性を実 。」,現「ダブルアームでありながら,上下同じシンプルなリスト形状の 。」,ため,リスト部の高剛性化とコストダウンを実現 」と宣伝広告し(甲。
15 ,他の製品との比較でスループットが高く,専有面積が小さい旨 )宣伝広告を行っている(甲6 。)イ平成16年8月28日付けの日本経済新聞に,次のような記事が掲載された(甲14 。)「ローツェ・・・はウエハー・ガラス基板の製造工程に不可欠な搬送装置最大手。半導体や液晶パネルの需要増に伴う電機・半導体メーカーの設備投資拡大で,フル操業体制に入っている。二〇〇五年二月期は売上高は前期比三四%増の九十八億八百万円,経常利益も同二・五倍の十億千九百万円にそれぞれ増加する見通しだ ・・・液晶パネル向けの主 。
力製品となるのは第七世代と呼ばれる・・・ RR430シリーズ 。 「」三月下旬に韓国サムスン電子から総額百七十五億ウォン(約十七億円)で同ロボットの搭載装置を受注した。韓国子会社のローツェシステムズ・・・を通じて順次納入を始めており,本社工場では生産や最終調整作業に追われている 」。
ウ平成16年9月16日付け日刊工業新聞には,次のような記事が掲載された(甲17 。)「液晶パネルの大型化に伴い 『第7世代』といわれる一辺が2メー ,トルを超す大型ガラス基板対応の搬送機を開発。この搬送機で韓国サムスン電子から大量受注を獲得し,勢いに拍車がかかっている ・・・同。
社の搬送ロボットはアーム部分に回転機構を備える独自の技術を採用,,。 第7世代を超える大型ガラス基板でも高精度 高速搬送できるのが特徴これがサムスン電子から高く評価された。かつてサムスンからは『第5世代 」の搬送機の受注実績がある。だが,過去の取引関係に頼れるほ 』ど甘くはない 『当社の技術力が認められた証拠 ・・・と手放しで喜 。 』ぶ 」。
なお,RR430シリーズは,ロ号物件であるRR431とシングルアームロボットのRR430の2種類である(甲16 。)エ社団法人発明協会発行,発明協会研究センター編「実施料率 〔第5」版 (甲20)113頁以下には,半導体製造装置技術を含む特殊産業 〕用機械の分野に関して次のような記載がある。
実施料率の平均値については,平成4年度〜平成10年度は,イニシャル有りが5.2%,イニシャル無しが6.5%であり,昭和63年度〜平成3年度と比較すると,イニシャル有りが5.1↑5.2%,イニシャル無しが4.7%↑6.5%と,いずれも上昇しており,特にイニシャル無しの伸びが大きい。平成4年度〜平成10年度は,実施料率8%以上の契約が,イニシャル有りについては5件(0.7件/年 ,)イニシャル無しについては7件(1.0件/年)あった 」。
「なお,イニシャル有りの実施料率が30%の契約1件の技術内容は半導体製造装置に関するものであり,イニシャル無しの実施料率が50%の契約2件の技術内容は半導体製造装置に関するものと薄膜形成技術に関するものであった 」。
また,図2-12-2として,特殊産業用機械(イニシャル無)の実施料率別契約件数が棒グラフで示されており,これによると実施料率5%台の契約が最も多いことが認められる。
オ以上の認定事実によれば,被告は,本件各特許発明における特徴を積極的に宣伝して被告各製品を販売しているといえる。また,本件各特許発明は,ウエハ搬送装置全体についての発明であり,被告各製品全体がその技術的範囲に属するものである。さらに,本件の技術分野における実施料率としては,上記のイニシャルなしの平均実施料率6.5%が実施料率50%の契約2件を含んだ平均値であるのに対し,実施料率5%が最頻値であることからすれば,本件各特許発明のウエハ搬送装置の実施料率は,少なくとも5%を下らないものと認めるのが相当である。
( ) 原告が本件各特許発明実施に対し受けるべき金銭の額3被告各製品のうち未完成イ号物件及び未完成ロ号物件の海外輸出分は本件特許権を侵害しないから,原告が実施に対し受けるべき金銭の額の算定の基礎になるのは,被告各製品の売上げのうち完成品の売上げと,未完成イ号物件のうち国内販売分の売上げの合計である6億0085万7435円である。
そうすると,原告が,本件各特許発明実施に対し受けるべき金銭の額は3004万2871円(6億0085万7435円×5%,ただし小数点以下切り捨て)を下らないものと認められる。
第5結論以上によれば,原告の請求は,別紙物件目録記載の各製品の製造,譲渡等の差止め,廃棄並びに損害賠償金3004万2871円及びこれに対する平成15年8月19日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し,その余の請求は理由がないからこれを棄却する。仮執行宣言については,主文第3項についてこれを認め,その余については相当ではないのでこれを却下する。
よって,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 設樂隆一
裁判官 古河謙一
裁判官 吉川泉
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