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審判番号(事件番号) データベース 権利
平成17ワ15552特許権侵害差止等請求事件 判例 特許
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関連ワード 創作性(創作) /  公然実施(29条1項2号) /  頒布された刊行物 /  進歩性(29条2項) /  同一技術分野(同一の技術分野) /  容易に発明 /  一致点の認定 /  寄せ集め /  公知技術 /  技術的範囲 /  悪意 /  善意 /  置換 /  容易に想到(容易想到性) /  非容易 /  特許発明 /  実施 /  間接侵害 /  構成要件 /  構成要件充足性 /  課題解決に不可欠(課題の解決に不可欠) /  業として /  差止請求(差止) /  侵害 /  侵害するおそれ /  損害額 /  販売数量(販売数) /  不法行為(民法709条) /  請求の範囲 /  拡張 /  変更 / 
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事件 平成 18年 (ワ) 1538号 特許権侵害差止等請求事件
原告株 式会社キーエンス
訴訟代理人弁護 士岩坪哲田上洋平
被告オプテックス・エフエー株式会社
訴訟代理人弁護 士本渡諒一仲元紹 黒田厚志
補佐人弁理士野田修司 杉本修司
裁判所 大阪地方裁判所
判決言渡日 2007/01/16
権利種別 特許権
訴訟類型 民事訴訟
主文 1原告の請求をいずれも棄却する。
2訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
全容
第1請求1被告は,別紙物件目録1ないし3記載の光電センサを製造し,販売し,又は販売の申出をしてはならない。
2被告は,前項の光電センサを廃棄せよ。
3被告は,原告に対し,4500万円及びこれに対する平成18年2月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2事案の概要本件は,発明の名称を「電子機器ユニット,電子機器及および結線構造」とする後記特許権を有する原告が,別紙物件目録1ないし3記載の光電センサを製造販売する被告に対して,同特許権に基づきそれら被告物件の製造販売等の差止め,廃棄及び損害賠償(不法行為後の日である平成18年2月1日から支払済みまでの民法所定の年5分の割合による遅延損害金を含む )を請求した。
事案である。
1当事者間に争いのない事実等( )原告の特許権1,(「」。)。 原告は下記の特許権以下本件特許権というの特許権者であるア登録番号第3457107号イ出願日平成7年9月29日ウ登録日平成15年8月1日エ発明の名称電子機器ユニット,電子機器および結線構造( )本件特許発明2本件特許権に係る明細書(本判決末尾添付の特許公報参照。以下「本件明細書」という。甲2)の特許請求の範囲の請求項1の記載は,次のとおりである(以下,請求項1記載の発明を「本件特許発明」という。。)「 請求項1】配線基板の表面および裏面に取り付けられた一対の第1コ 【ネクタと,該一対の第1コネクタ付の前記配線基板が挿入される基板挿入用の開口を有すると共に前記配線基板に略平行な一対の壁面を有する箱状のケース本体と,該ケース本体の基板挿入用の開口を閉塞するカバーと,前記ケース本体における前記壁面に形成され前記一対の第1コネクタが近接して臨む一対の接続用の開口と,該接続用の開口の1つを貫通して,前記第1コネクタのうちの一方に接続されていると共に他の電子機器ユニットに接続される第2コネクタとを備えた電子機器ユニット 」。
( )本件特許発明構成要件に分説すると,次のとおりである(以下,それ3ぞれ「構成要件A」などという。。)A配線基板の表面及び裏面に取り付けられた一対の第1コネクタと,B@該一対の第1コネクタ付の前記配線基板が挿入される基板挿入用の開口を有すると共にA前記配線基板に略平行な一対の壁面を有するB箱状のケース本体と,C該ケース本体の基板挿入用の開口を閉塞するカバーと,D前記ケース本体における前記壁面に形成され前記一対の第1コネクタが近接して臨む一対の接続用の開口と,E該接続用の開口の1つを貫通して,前記第1コネクタのうちの一方に接続されていると共に他の電子機器ユニットに接続される第2コネクタとを備えたF電子機器ユニット。
( )被告の行為4被告は,業として,別紙物件目録1ないし3記載の光電センサ(以下,同目録1記載の光電センサを「イ号物件 ,同2記載の光電センサを「ロ号物 」件 ,同3記載の光電センサを「ハ号物件」といい,併せて「被告物件」と 」総称する )を製造販売している。 。
なお,イ号物件のうち,型式名に「WLL190」が付されたものは,被告がOEM製造してジック株式会社に供給し,同社が販売を行っているものであるが,その他のイ号物件(型式名に「DGF」あるいは「DRF」が付されたもの)と同一物件である。
( )構成要件充足性5ア被告物件は,いずれも構成要件A,C,D,Fを充足する。
イイ号物件及びロ号物件は,構成要件Bを充足する。
ウハ号物件のうち,型式名がDSA-SN,DSA-SN1,DSA-MN-M8,DSA-SP,DSA-SP1及びDSA-MP-M8であるもの(以下,以上を併せて「ハ号物件@」という )は,構成要件Eを充 。
足する(なお,以下,ハ号物件@以外のハ号物件,すなわち型式名がDSA-MN,DSA-MN3,DSA-MP及びDSA-MP3のものを併せて「ハ号物件A」という。。)2争点( )被告物件の構成(争点1)1( )構成要件充足性2ア構成要件Bの 箱状のケース本体 なる構成をハ号物件が備えるか争 「」 。(点2)イ構成要件Eの増設用コネクタをイ号物件,ロ号物件,ハ号物件Aが備えるか (争点3)。
( )イ号物件,ロ号物件,ハ号物件Aの製造等は,本件特許権の間接侵害に3該当するか (争点4)。
( )本件特許は特許無効審判により無効にされるべきものであり,同特許権4に基づく権利行使は許されないか (争点5)。
( )原告の損害額(争点6)5第3争点に関する当事者の主張1争点1(被告物件の構成)について【原告の主張】( )イ号物件の構成は,別紙イ号物件説明書に記載のとおりであり,これを1本件特許発明構成要件に即して分説すると,以下のとおりである。
a配線基板2の表面及び裏面に取り付けられた一対の増設用コネクタ接続部6a,6bと,b@該一対の増設用コネクタ接続部6a,6b付の配線基板2が挿入される基板挿入用開口部4を有すると共にA配線基板2に略平行な一対の壁面1a,1bを有するB箱状のケース1と,cケース1の前記開口部4を閉塞するデジタルモニタ9及び設定ボタン10を備えたパネル体3と,dケース1における前記壁面1a,1bに形成され一対の増設用コネクタ, , 接続部6a 6bが近接して臨む一対の増設用コネクタ接続用の開口5a5bと,e該増設用コネクタ接続用の開口5a,5bのうち1つを貫通して,増設用コネクタ接続部6a,6bのうちの一方に接続されていると共に他の光電センサに接続される増設用コネクタ7とを備えたf光電センサ。
( )ロ号物件の構成は,別紙ロ号物件説明書に記載のとおりであり,これを2本件特許発明構成要件に即して分説すると,以下のとおりである。
a’配線基板102の表面及び裏面に取り付けられた一対の増設用コネクタ接続部106a,106bと,b@’該一対の増設用コネクタ接続部106a,106b付の配線基板102が挿入される基板挿入用開口部104を有すると共にA’配線基板102に略平行な一対の壁面101a,101bを有するB’箱状のケース101と,c’ケース101の前記開口部104を閉塞する10回転感度ボリウム109及び表示灯110を備えたパネル体103と,d’ケース101における前記壁面101a,101bに形成され一対の増設用コネクタ接続部106a,106bが近接して臨む一対の増設用コネクタ接続用の開口105a,105bと,e’該増設用コネクタ接続用の開口105a,105bのうち1つを貫通して,増設用コネクタ接続部106a,106bのうちの一方に接続されていると共に他の光電センサに接続される増設用コネクタ107とを備えたf’光電センサ。
( )ハ号物件の構成は,別紙ハ号物件説明書に記載のとおりであり,これを3本件特許発明構成要件に即して分説すると,以下のとおりである。
a”配線基板202の表面及び裏面に取り付けられた一対の増設用コネクタ接続部206a,206bと,b@”該一対の増設用コネクタ接続部206a,206b付の配線基板202が挿入される基板挿入用開口部204を有すると共にA”配線基板202に略平行な一対の壁面201a,201bを有するB”箱状のケース201と,c”ケース201の前記開口部204を閉塞するデジタルモニタ210及び設定ボタン209を備えたパネル体203と,d”ケース201における前記壁面201a,201bに形成され一対の増設用コネクタ接続部206a,206bが近接して臨む一対のスライドカ,, バーにより開閉可能な増設用コネクタ接続用の開口205a 205bとe”該増設用コネクタ接続用の開口205a,205bのうち1つを貫通して,増設用コネクタ接続部206a,206bのうちの一方に接続されていると共に他の光電センサに接続される増設用コネクタ207とを備えたf”光電センサ。
( )なお,被告は,原告主張の被告物件の構成には増設用コネクタ接続用開4口部を塞ぐカバー(以下「増設用コネクタ保護カバー」という )について。
の説明がないと主張するが,同カバーは着脱可能なのであるから,その構成は本件特許発明技術的範囲との関係では単なる付加である。実際,ロ号物件においては増設用コネクタ保護カバーは同梱すらされていない。
( )また,ハ号物件@について,増設用コネクタ207が組合せ商品として5販売されていることは被告も認めている。
一方,ハ号物件Aでは,増設用コネクタが包装箱に同梱されていないようであるが,そのことがハ号物件Aの構成要件E充足性に影響を与えないことは後述のとおりである。
【被告の主張】( )イ号物件1, , 原告主張のイ号物件の構成については 増設用コネクタ接続用の開口5a5bを塞ぐカバーの構成の説明を追加すべきである。また,増設用コネクタ7は組合せ商品として販売しておらず,具備しないから説明から削除すべきである。その余は認める。
( )ロ号物件2原告主張のロ号物件の構成については,増設用コネクタ接続用の開口105a,105bを塞ぐカバーの構成の説明を追加すべきである。また,増設用コネクタ107は組合せ商品として販売しておらず,具備しないから説明から削除すべきである。その余は認める。
( )ハ号物件3原告主張のハ号物件の構成については,増設用コネクタ接続用の開口205a,205bを塞ぐカバーの構成の説明を追加すべきである。また,ハ号物件Aでは,増設用コネクタ207は組合せ商品として販売しておらず,具備していないから説明から削除すべきである。その余は認める。
(「」 。) 2争点2 構成要件Bの 箱状のケース本体 なる構成をハ号物件が備えるかについて【原告の主張】被告は,本件特許発明の「箱状のケース本体 (構成要件BB)とは,底面 」及び4つの壁を有するものを指すものであるとし,本件明細書の図2には4つの壁の存在が記載されているからハ号物件のケース本体は箱状のものでなければならないと主張する。
しかし,そもそも一般用語としての「箱」とは 「物を納めておく器」を意 ,味するにすぎないのであるから,底面及び4つの壁を有するものでなければ「箱」と呼ばないとする被告の解釈は 「箱」の一般的語義よりも狭く解釈す ,るもので,当を得ないものである。
本件特許発明は,複数の電子機器が接続された電子機器ユニットにおいて,電子機器ユニット同士の連結部分に本体の切欠部とカバーの舌片との嵌合構造,あるいはケース本体とカバーとの横分割構造を採用することなく,連結可能な構成を採りながら配線基板収容ケースに強度と気密性を付与することを目的とする発明である。この目的が達成される限り 「ケース本体」が底面及び ,4つの壁を有する直方体形状である必要は全くない。
本件特許発明の上記目的及び「箱」の通常の語義からするならば,構成要件BBの「箱状のケース本体」とは,構成要件B@,同BAの各構成を備えることを前提として,構成要件Cにおける「該ケース本体の基板挿入用の開口を閉塞するカバー」により閉塞されることによって,電子機器ユニット同士の連結部分の構造を「本体の切欠き」などによって行う必要がなく,配線基板収納の気密性向上という目的を達成できるケースであれば十分である。本件特許発明の本質的特徴は,ケース本体に略平行な一対の壁面を設け,該壁面に第1コネクタが近接して臨む一対の接続用の開口を設けたことである。ハ号物件も,イ号物件及びロ号物件と同様この特徴を備えており,当該壁面以外の部分に開口あるいは切欠きがあるとしても設計上の微差にすぎない。
【被告の主張】( )本件特許発明の構成は,ケース本体について「箱状のケース本体」と特1定しているところ,箱状とは底面及び4つの壁を有するものを指すことが明らかである。そして,本件明細書の図2には4つの壁の存在が記載されている。
しかし,ハ号物件のケース本体は,底面と両側壁からなる細幅のコ字体の形状であり,信号ケーブル側の前壁と電源側の後壁が存在しない。したがって,ハ号物件は,構成要件BBの「箱状のケース本体」を充足しない。
( )原告は,構成要件BBの「箱状のケース本体」は底面と4つの壁を有す2る直方体である必要はないと主張する。
しかし,本件特許発明は,本件明細書の図7,図8に記載される底面と4つの壁からなる箱状ケースにカバーを加えた構成により気密性を保とうとす, , るものであり そのことが図2に記載されていると理解されることによれば本件特許発明の「箱状のケース本体」とは,一対の略平行な壁,この壁を塞ぐ一対の壁(対向壁)及び底面からなるものである。
ハ号物件にはケースの一方の対向壁はそもそも存在せず,他方の対向壁は配線基板により構成されるもので,ケース本体とは別異なものである。したがって,ハ号物件には対向壁がなく,構成要件BBの「箱状のケース本体」,, 。 を具備しないから ハ号物件は 本件特許発明構成要件BBを充足しない3争点3(構成要件Eの増設用コネクタをイ号物件,ロ号物件,ハ号物件Aが備えるか )について。
【原告の主張】( )被告は,イ号物件,ロ号物件,ハ号物件Aの特定に関し,増設用コネク1タの存在を否定している。
しかし,上記各被告物件の光電センサは連結使用が可能であり,それゆえに増設用コネクタ接続用の開口部(5a,5b,105a,105b,205a,205b)及び増設用コネクタ接続部(6a,6b,106a,106b,206a,206b)が備わっている。
しかも,被告は,上記各被告物件のカタログにおいて,被告物件の連結使用を推奨している。
仮に,上記各被告物件において接続用コネクタのみオプションないしアクセサリの販売形態を採っている機種が存在するとしても,増設用コネクタが光電センサ本体の包装箱に同梱されているか,別の箱に入っているかの違いでしかなく,実質的に増設用コネクタと共に光電センサ本体を販売していることに変わりはない。一人の者が各部品を製造販売するときは,各部品の間接侵害というより「侵害するおそれがある」として,直接侵害を論ずることが妥当である。
( )被告は,上記各被告物件においては増設用コネクタ接続用開口5,1025,205を塞ぐ「カバー」が設置可能になっており,これによって第1コネクタと第2コネクタによる接続機能を不要とする構成を有するので,被告による被告物件の製造販売行為は本件特許権の直接侵害とはならないと主張する。
しかし,被告物件の取扱説明書に上記カバーが「増設用コネクタ保護カバー」と明確に称されているように,該「カバー」は,増設用コネクタに塵芥などが入り込むのを防ぐ防御材であって,増設用コネクタの機能を保全,維持するためのものであるから,該「カバー」は,被告物件の単体としての使用を目的として設けられたもの(増設用コネクタを不要とするためのもの)とは到底認め難い。
なお,ロ号物件に増設用コネクタ保護カバーは同梱されていない。
【被告の主張】被告物件を単体で使用する構成は,接続用開口部を塞ぐカバーを装着し,増設用コネクタを不要とするものであって,本件特許発明構成要件のすべてを充足するものでないことは明らかである。
被告は,従来から単体で使用するセンサを開発して販売してきたが,単体での使用の外に単体同士を接続しても使用できるセンサを開発した。このようにして開発されたのが被告物件である。
上記開発目的から,被告物件は,あくまでも単体での使用が可能なものでなくてはならず,単体で使用する場合には単体同士を接続するための開口部は不要なものとなり,この開口部を放置することは気密性の点から好ましくない。
そのため,単体での使用時に開口部を塞ぐ増設用コネクタ保護カバーが必要となるので,被告はセンサと増設用コネクタ保護カバーを一対のものとして箱詰めして販売している(ただし,ロ号物件では,増設用コネクタ保護カバーを別売りとしている。被告がイ号物件,ロ号物件,ハ号物件Aについて増設用 。)コネクタを別売りとしているのは,ユーザーが被告物件を単体として使用するのが圧倒的であるからである。被告は,増設用コネクタも別売りしているが,その量は被告物件の1割にも満たない。原告の製品は,半導体製造装置に主として連結型で使用されるのに対し,被告物件は食品製造装置に主として単体型で使用されているからである。
4争点4(イ号物件,ロ号物件,ハ号物件Aの製造等は,本件特許権の間接侵害に該当するか )について。
【原告の主張】( )特許法101条1号1仮に,イ号物件及びロ号物件並びにハ号物件Aが本件特許発明構成要件Eを充足しないとしても,これらの各被告物件は,省結線の連結用光電ユニットとして用いることを本質的特徴とするもので,増設用コネクタ用開口を殺しての単独使用は実質的な商業的経済的他用途とはいい難い。
上記各被告物件における増設用コネクタ保護カバーの構成は,上記各被告物件の本体が本件特許発明に係る物の生産にのみ使用する物であることを前提に,試験的に単体としても用い得ることを意味する構成(機能)の付加にすぎない。
したがって,上記各被告物件の構成から第2コネクタを除いたとしても,該製品は,本件特許発明に係る物(連結型センサ)の生産にのみ用いられている物であることは明らかであり,特許法101条1号によって上記各被告物件の製造販売行為は本件特許権を侵害するものとみなされる。
( )特許法101条2号2本件特許発明が解決した課題は,電子機器ユニットにおけるケース本体の薄型化と強度及び気密性の向上である。
そして,上記課題を解決するために,本件特許発明は,ケース本体に配線基板に略平行な一対の壁面を設けるという構成要件BAの構成と,同壁面に第1コネクタが近接して臨む一対の接続用の開口を設けるという構成要件Dの構成を採用するとともに,第1コネクタに接続される第2コネクタを備えるという構成要件Eの構成を採用したものである。したがって,ケース本体における構成要件Dの構成(及びその前提となるBAの構成)と構成要件Eの構成が,それぞれ本件特許発明課題の解決に不可欠な構成である。
イ号物件,ロ号物件,ハ号物件Aが構成要件BA及び構成要件Dを充足することについては当事者間に争いがない。
したがって,イ号物件,ロ号物件,ハ号物件Aは,いずれも本件特許発明実施品の生産に用いる物のうち,本件特許発明課題の解決に不可欠な物であり,特許法101条2号間接侵害品にも該当する。
また,遅くとも原告の平成17年11月25日付け通知書を被告が受領した同月28日以降,本件特許発明特許発明であることにつき,被告が悪意であったことは明らかである。
もっとも,原告は,上記通知書の到達前の被告の善意を認めるものではない。被告物件の形状及び省配線連結構造は,あまりにも本件明細書の実施例の構造と酷似しているからである。
【被告の主張】( )特許法101条1号1イ号物件,ロ号物件,ハ号物件Aは単体のセンサとして使用する目的と,連結用センサとして使用する目的の両方の目的を持つ多機能の商品であり,「にのみ」要件を充足しないから,これらの各被告製品は特許法101条1号間接侵害品に該当しない。
( )特許法101条2号2本件特許発明が課題としている薄型化,強度の確保及び気密性の確保に,構成要件D(構成要件BAの構成を前提とする )及び構成要件Eは不可欠 。
とはいえない。特開平2-285698号公報(乙2。以下「乙2公報」という )に開示されているような構成を採用することでもこれらの課題の解 。
決は可能である。
また,イ号物件及びハ号物件Aは,すべて壁面開口部にカバーを設置しており,このカバーを外さない限り,原告の主張する本件特許発明課題の解決に不可欠な物であるとはいえない。
また,被告は本件特許権の存在を平成17年11月27日以前には知らなかったので,仮に原告の本訴請求が認められるとしても,同日以前の行為には本件特許権の効力は及ばない。
5争点5(本件特許は特許無効審判により無効にされるべきものであり,同特許権に基づく権利行使は許されないか )。
【被告の主張】( )本件特許発明と特開平7-36585号公報(乙1。以下「引用例1」1という )に開示された発明(以下「引用発明」という。同公報段落【00 。
34】ないし【0036 ,図14,図15参照)とは,以下の点で相違す 】。, () る すなわち 引用発明には本件特許発明構成要件B@ 基板挿入用開口が存在しない点(相違点1 ,引用発明には構成要件C(基板挿入用開口カ )バー)が存在しない点(相違点2 ,及び本件特許発明のEの構成(該接続 )用の開口の1つを貫通して,前記第1コネクタのうちの一方に接続されていると共に他の電子機器ユニットに接続される第2コネクタとを備えた)が,引用発明では@接続用の開口部を貫通して配線基板の外部コネクタと他の配線基板に接続されるジョイントコネクタ44が接続される,A接続用開口部を貫通して配線基板の増設コネクタ45とオプション装置の接続コネクタ21が接続される点(相違点3)で相違する。
しかし,相違点1については,箱体のケース内に基板を挿入するために基,(「」 板挿入用開口を設けることは一般常識であるし 乙2公報 以下 引用例2ともいう )には2個のコネクタ付きの配線基板を挿入する開口部と配線基 。
板に略平行な一対の壁面を有する箱状のケースが開示されている。
乙第4号証の2は,平成6年4月に発行されたオプテックス株式会社(以下「オプテックス」という )作製の「Jファイバ型小型光電センサ」カタ 。
ログであり,同カタログに示されるJファイバ型小型光電センサ(品番「JRF-N )は,平成5年3月に販売された(以下,同カタログを「引用例 」4」といい,販売された品番「JRF-N」の光電センサを「オプテックスケース」という。乙第5号証(平成5年4月1日発行のオプテックスの 。)社内報。以下「本件社内報」という )には,平成5年3月からオプテック 。
スケースが販売されたとの記事が掲載されている。乙第6号証は,オプテックスケースの構造図である。したがって,引用例4(オプテックスケース), 。,, の構成は 本件特許出願前に公知公用となっていた なお オプテックスは被告の親会社であり,平成14年1月以降,被告がJファイバ型小型光電センサの製造販売をするようになった。
そして,引用例4(オプテックスケース)には,配線基板を挿入する開口部と配線基板に略平行な一対の壁面を有する箱状のケースが開示されており,挿入基板用開口を設けることは,これらの公知技術により容易に創作できる。
相違点2については,箱体のケース内の収納物の気密性を保つために収納物の挿入用の開口部を塞ぐことは技術分野を問わない一般的常識であるから,基板挿入用開口カバーを配設することには何らの工夫も要しないし,引用例2にはケース上面を閉塞するカバーが示され,また引用例4及び本件社内報にもケース上面を閉塞するカバーが示されており,基板挿入用開口カバーを設けることも,これらの公知技術により容易に創作することができる。
相違点3については,引用発明にはケース内に収納されている配線基板と他のケース内に収納されている配線基板とを接続する方法としてジョイントコネクタを用いる方法が開示されている。ジョイントコネクタを用いる場合には,当該ジョイントコネクタがケースの接続用開口を貫通して配線基板の,「」 コネクタと接続するものであるから 構成要件Eの 開口の1つを貫通しての構成となる。
なお,引用発明に用いられているジョイントコネクタは,当時既に公知の技術であった(特開平4-259773号公報。乙7 。)本件特許発明の構成は,上記のとおり,引用発明の構成中の一部の構成を他の公知技術の構成に置換したものであり,置換あるいは寄せ集めによる発明については,各置換構成の持つ効果以上の予期できない効果を生ずるのでなければ進歩性は認められない。しかし,本件特許発明の薄型化並びに強度及び気密性の向上という効果は,いずれも引用発明の構成によってもたらされる効果と同一であり,それ以上のものではない。
上記のとおり,本件特許発明の構成は上記公知資料にみられる構成を少しずつ借用したものにすぎず,借用による特別な効果は発生せず,借用に困難さはない。したがって,本件特許発明は電子機器技術の分野における通常の知識を有する者が上記の公知発明から容易に発明することができたものであり,特許法29条2項に基づき特許を受けることができないものであり無効とされるべきものであるから,本件特許権に基づく権利行使はできない(特許法104条の3第1項 。)( )また,引用発明のケースに引用例4のケースを置換させることは容易に2想到でき,その効果も想到できるから,やはり本件特許発明には進歩性はない。
( )原告は,引用例1,2及び4並びに特開平6-230809号公報(乙 33。以下「引用例3」という )には,本件特許発明の本質的部分である構 。
成要件A,B@,D,Eは開示されていない旨主張する。
しかし,構成要件Aについては,引用例1に配線基板の両面にコネクタが配設される技術が開示されている(引用例1図5,図14参照 。また,引)用例2には,配線基板の上面縁に2個のコネクタが配設される技術が開示されている(引用例2第1図参照 。引用例3には,配線基板の両面に一対の )コネクタが配設される技術が開示されている(引用例3図1参照 。)また,構成要件B@については,引用例2に2個のコネクタ付きの配線基板を挿入する開口部と配線基板に略平行な一対の壁面を有する箱状のケースが開示されている。引用例1にも,両面にコネクタ付きの配線基板に略平行な一対の壁面を有する箱状のケースが開示されている。引用例4及びオプテックスケースには,配線基板を挿入する開口部と配線基板に略平行な一対の壁面を有する箱状のケースが開示されている。
, , 構成要件Dについては 引用例1の図14にケース本体の壁面に形成され。, コネクタ43が近接して臨む接続用の開口が開示されている 引用例2には配線基板20と外部とを結線するための開口31,32が開示されている。
また,本件明細書の図7及び図8には,外部とを結線するための開口部が従来技術として開示されている。
構成要件Eについては,引用例1の図14のコネクタ43に接続されるジョイントコネクタ44により,接続用の開口の一つを貫通して,コネクタに接続されると共に他の電子機器ユニットに接続される第2コネクタの存在が開示されている。なお,引用例1の増設コネクタ45はオプション装置の接続コネクタ21と接続するものであり,そこにはジョイントコネクタは示されていないが,一方においてジョイントコネクタを介して他の配線基板のコネクタを接続することが示されているのであるから,この方法を用いて,当該ケースの他方においても他のケースの配線基板のコネクタとの接続をなすことを想起することは極めて容易であり,それは設計上の問題である。
そして,上記各公知技術を組み合わせれば,本件特許発明の構成は容易に創作されるものである。
【原告の主張】( )引用例1について1被告は,引用例1記載の接続ユニットを引用発明としているが,引用発明と本件特許発明との一致点の認定を誤っている。
構成要件A本件特許発明は,構成要件Aの表裏に「一対の第1コネクタ ,すなわ」ち,2個で1組となるコネクタを有する配線基板を備えることを特定事項とする しかし 引用発明の接続ユニットのオプション接続基板41の ハ 。, 「ンダ面」には外部コネクタ43が4つ設けられているが,実装面に設けられた増設コネクタ45の数は1つであり,対をなすとはいえない。また,外部コネクタと増設コネクタは異種のコネクタであり,他種の増設オプション装置における各コネクタと直接接続されるものであるから,これらのコネクタは,本件特許発明の「一対の第1コネクタ」ではない。
そもそも,引用発明の「ジョイントコネクタ44」は「4か所に設けた外部コネクタ43が全て同一高さでは増設するオプション装置のハウジングと干渉するためにジョイントコネクタ44を用いてコネクタ高さを高くし,……ユーザが必要とするオプション装置のみ増設する」という役割を担うものである(引用例1段落【0035。そうすると,仮に4個の 】)外部コネクタを1個に改変すれば,高さの調節の必要はなくなり「ジョイントコネクタ44」自体が不要(予め特定されたオプション装置のみをユーザーがジョイントコネクタ44など用いずに接続する )となるのであ。
って,被告主張の「第2コネクタ(ジョイントコネクタ44 」を設ける)動機付けそのものが存在しなくなるのである。したがって,引用発明の4つの外部コネクタは「余分なコネクタ」などではなく,これを1個に減らすことが設計事項に当たるはずもない。
構成要件B@引用例1には「一対の第1コネクタ付の前記配線基板」が開示されていない。また 「前記配線基板が挿入される基板挿入用の開口」も存在しな ,い。
よって,引用例1には,B@に相当する構成も開示されていない。
構成要件BA構成要件BAにおける「前記配線基板」が「一対の第1コネクタ付の配線基板」を掛かり受けている以上,引用例1には構成要件BAに相当する構成の開示はない。
構成要件BB構成要件BBにおける「箱状のケース本体」とは,構成要件B@,構成要件BAの各構成を備えることを前提に,構成要件Cにおける「該ケース」 , 本体の基板挿入用の開口を閉塞するカバー により閉塞することによって電子機器ユニット同士の連結構造を行い,配線基板収納の気密性向上といす目的を達成できる「ケース」である。しかるに,引用例1に開示の「ウエケース」及び「シタケース」の2つの部材からなるケースは,むしろ本件明細書の図8の比較例に相当するから 「箱状のケース本体」が開示さ ,れていない。
構成要件C存在しないことに争いはない。
構成要件D本件特許発明構成要件Dの「近接して臨む」とは,第1コネクタの端面がケース内壁の内側にあって開口に近接していることを必須とするものであるが,引用発明には「一対の第1コネクタ」が存在しないから,同コネクタが「近接して臨む一対の接続用の開口」も存在しない。また接続ユニットの防塵性を考えると 同引用例の図14の接続ユニットの4つの 外 , 「部コネクタ43」は別紙乙1【図14】一部破断透視図のような構成であると考えるのが相当であるから,同コネクタは接続用開口に「近接して臨む」とは認められないし,1つの「増設用コネクタ45」がどのような構成で外部に露出しているかは不明である。したがって,構成要件Dの「近接して臨む」構成は引用例1には開示されていない。
構成要件E引用例1の図14には,配線基板のコネクタとは別部材である「ジョイントコネクタ44」が開示されているが 「ジョイントコネクタ44」は ,ハンダ面に設けられた 外部コネクタ43 に接続されるものであって 引 「」 (用例1段落【0035】参照 ,増設コネクタ45に接続されるものでは )なく 「一対の第1コネクタのうちの一方」に接続するものではない。す ,なわち,第1コネクタの1つが第2コネクタに接続され他方が別の第2コネクタに接続される構成(本件明細書【特許請求の範囲 【請求項2】参】照)を引用例1の図14の接続ユニットは備えていないのである。また,上記カのとおり,接続ユニットの防塵性を考えると,各コネクタは,別紙乙1【図14】一部破断透視図のような構成であると考えるのが相当である。したがって,引用例1に「接続用の開口の1つを貫通」する「ジョイントコネクタ (構成要件E)が開示されているとは解釈できない。 」( )引用例2について2引用例2の「信号接続用のコネクタ21,22」は,配線基板の辺縁端部に設けられたものであって,基板の表裏面に一対のコネクタを設置する構成は存在しない。したがって,本件特許発明構成要件A,B@及びBAを開示していない。
引用例2に「基板挿入用の開口」を有する電子機器用筐体が開示されてい, , ることは争わないが 当該基板自体が構成要件Aの限定要素を備えない以上上記のとおり構成要件B@を開示していないとの結論は左右されない。
また,引用例2には,本件特許発明における「一対の第1コネクタ」に相当する構成が存在しない以上,これらの一対のコネクタが近接して臨む「一対の接続用の開口 に相当する構成も開示されていないし 構成要件Eの 第 」 ,「2コネクタ」も開示されていない。
( )引用例3について3引用例3のプログラマブルコントローラの雄型コネクタ5と雌型コネクタ7は,増設用第2コネクタとの嵌合を予定されたものではないから,本件特許発明の一対の「第1コネクタ」に該当しない。
( )引用例4(オプテックスケース)について4ア引用例4,本件社内報及び乙第6号証のオプテックスケースの構造図が本件特許発明の登録出願前に頒布された刊行物であること,及びオプテックスケースが本件出願前に譲渡されたとの主張は争う。
イ引用例4には「配線基板の表面及び裏面に取り付けられた一対の第1コ」, 。, ネクタ が存在せず 構成要件Aに相当する構成は存しない したがって構成要件B@「配線基板」の挿入用開口及び構成要件BAの「前記配線基板に略平行な一対の壁面」を備えるとは認められない。また,引用例4には,本件特許発明における「一対の第1コネクタ」に相当する構成が存在しないから,これに近接して臨む「一対の接続用の開口」が備わっていないことも明らかである。
引用例4は,本件特許発明の「第2コネクタ」も備えておらず,該「第2コネクタ」が一対の「接続用の開口の1つを貫通して,前記第1コネクタのうちの一方に接続されていると共に他の電子機器ユニットに接続される」こともない。
( )本件特許発明の想到非容易性5, , 本件特許発明は 複数の電子機器が連結された電子機器ユニットにおいて電子ユニット同士の連結部に本体の切欠部とカバーの舌片との嵌合といった複雑な嵌合構造,あるいはケース本体とカバーとの横分割構造に起因する気密性の低下を防止すると共に,ケース本体の構造を簡素化することを目的とする発明である。
上記目的を達成するために,本件特許発明においては,従来技術に用いられてきた連結用コネクタを,基板の表裏に取り付けられた一対の第1コネクタと,第1コネクタのうちの一方及び他の電子機器ユニットに接続される第2コネクタに分割するとともに,ケース本体の側面に上記一対の第1コネクタに近接して臨む一対の開口を設けたことを特徴とするものである。この構成によって,本件特許発明は,ケースの簡素化(薄型化)並びに強度及び気密性の向上という顕著な効果を奏する。したがって,本件特許発明の本質的特徴は,構成要件A,B@,D,Eに係る構成にある。
これに対し,引用発明及び引用例2ないし引用例4には,上記構成を開示するものがない。
引用発明の「ジョイントコネクタ44」は 「4か所に設けた外部コネク ,タ43が全て同一高さでは増設するオプション装置のハウジングと干渉するためにジョイントコネクタ44を用いてコネクタ高さを高くし,増設コネクタ45とオプション装置に設けた接続コネクタ21とを接続する」ために設けられたものであって(引用例1段落【0035】参照 ,本件の第2コネ)クタに相当するものではない。
したがって,引用発明及び引用例2ないし引用例4をどのように組み合わせても,本件特許発明の構成にたどりつくことはできず,容易に想到し得たとはいえない。
また,被告は,引用発明のケースを引用例4のケース(オプテックスケース)と置換することに困難はないと主張するが,オプテックスケースは他のオプテックスケースとの接続は全く考えられていない。
さらに,被告は,引用発明のケースを引用例2のケースに変更することに困難はないとも主張するが,引用例2は電子機器ユニットの連結のための一対の第1コネクタとこれに近接して臨むケース本体壁面の開口を有しないから,容易に想到することはできない。
( )効果の特別顕著性6被告は,複数の電子機器を接続するに当たり第1コネクタを雌雄のコネクタとするか第2コネクタに分けるかは設計事項であるかのごとく主張するが,一対の第1コネクタに第2コネクタを接続することで相当数の同種電子機器が連結可能となることは,ファクトリーオートメーションの観点から画期的であり,その作用効果は顕著なものである。
( )以上のとおり本件特許発明進歩性が引用例1ないし引用例4により否7定されるとの被告の主張は失当である。
6争点6(損害)【原告の主張】被告は,遅くとも平成15年8月から平成18年1月末日までの間に被告物件を少なくとも3億円売り上げ,少なくとも4500万円の利益を得ており,同利益は原告の損害と推定される(特許法102条2項 。),,,,,, よって 原告は 被告に対し 本件特許権に基づき 被告物件の製造 販売販売の申出の禁止並びに廃棄を,不法行為に基づく損害賠償として4500万円並びにこれに対する不法行為の後の日である平成18年2月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。
【被告の主張】争う。平成17年11月28日から平成18年4月30日までの間の被告物件の販売数量は,イ号物件が324台,ロ号物件が97台,ハ号物件が198台である。
第4本件特許の無効理由の存否に関する当裁判所の判断被告は,本件特許は特許無効審判により無効とされるべきものであるから,本件特許権に基づく権利行使はできないと主張し(特許法104条の3第1項 ,その無効理由として,本件特許発明がその出願前に頒布された刊行物で )ある引用例1ないし引用例4に記載された発明ないし公然実施された発明に基づいて容易に発明することができたものであって(同法29条2項 ,同法1)23条1項2号の無効理由があると主張する(争点5)ので,まず,この点について判断する。
1本件特許出願前に頒布された刊行物( )引用発明の内容1(。 ア本件特許出願前の刊行物である特開平7-36585号公報 引用例1乙1)には,次のとおりの記載がある。
(ア)「本発明は情報処理装置に設けたオプション増設用のオプションコネクタに,複数のオプション装置を増設可能とする情報処理装置とオプション装置を提供することにある(段落【0008 ) 。」】(イ)「 課題を解決するための手段】問題点を解決する手段としてオプ 【ション基板のハンダ面側にストレートタイプのコネクタを2か所実装し,このオプション基板の実装面側の左右端部近傍に外部装置接続用のコネクタと所定の位置に,外部に接続するストレートタイプのコネクタを設ける。それぞれの面には互いに接続可能なコネクタを実装する。また各オプション装置についても基板端に設けた外部装置接続コネクタ以外のコネクタ位置については,ハンダ面側の制御基板と対応するコネクタ位置は同一箇所とし,機能が異なるオプション装置毎に別に1か所のコネクタ位置を設ける(段落【0009 ) 。」】(ウ)「それらのオプションコネクタは制御基板から順番に情報処理装置後部に連続して重ねられるように各コネクタを配置しておく(段落。」【0010 )】(エ)「本発明によるオプション構造は単品ではオプション装置を接続できるものの複数のオプション装置を接続する場合は,制御基板18と重ね併せる順番が発生してしまう。もちろん特定のオプション装置をユーザが必要としない場合が考えられ,この場合はコネクタの位置関係でオプション装置が接続できない。……例えば4種類目のオプション装置を書体増設基板54を内蔵する書体増設オプション40とする場合,4種類全てのオプション装置,書体増設オプション40,LP-IF装置64,IS-IF装置65,パソコン通信装置66を増設するときは問題が無いが,その中から2種類のオプション装置を接続することができない組合せがある(段落【0033 ) 。」】(オ)「それは前後のオプション装置を増設しない場合であることから,増設するためにオプション装置に接続できるようコネクタを4箇所設けたオプション接続基板41を内蔵する接続ユニット42を設けることによりオプション装置の増設が可能となる(段落【0034 ) 。」】(カ)「図14はこのオプション接続基板41を内蔵する接続ユニット42である。4か所に設けた外部コネクタ43が全て同一高さでは増設するオプション装置のハウジングと干渉するためにジョイントコネクタ44を用いてコネクタ高さを高くし,増設コネクタ45とオプション装置に設けた接続コネクタ21とを接続することで,特定のオプション装置を増設しなくともユーザが必要とするオプション装置のみ増設することができる(段落【0035 ) 。」】(キ)「その一例として図15に示すLP-IF装置64とIS-IF装置65との組合せでは接続ユニット42を用いることで情報処理装置に増設することができる(段落【0036 ) 。」】イこれらの記載及び図14及び15によれば,引用例1には次の構成を備える発明(引用発明)が記載されているということができる。
aオプション接続基板41の表面及び裏面の一方の面に取り付けられた増設コネクタ45,他方の面に取り付けられた外部コネクタ43と,b@増設コネクタ45及び外部コネクタ43付きの前記オプション接続基板41が挿入されるオプション接続基板挿入用の開口を有すると共にA前記オプション接続基板41に略平行な一つの壁面を有するB箱状のウエケースと,c前記オプション接続基板41に略平行な一つの壁面を有し,該ウエケースのオプション接続基板挿入用の開口を閉塞するシタケースと,d@前記ウエケースにおける前記壁面に形成され前記増設コネクタ45が近接して臨む1つの接続用の開口と,A前記シタケースにおける前記壁面に形成され前記外部コネクタ43が近接して臨む4つの接続用の開口と,e前記シタケースの該接続用の開口の一つを貫通して外部コネクタ43に接続されると共に他のオプション装置(図15のLP-IF装置,またはIS-IF装置)のコネクタに接続されるジョイントコネクタ44とを備えたf接続ユニット42。
( )引用例2に係る発明の内容2ア本件特許出願前の刊行物である特開平2-285698号公報(引用例2。乙2)には,次のとおりの記載がある。
(ア)「プリント基板を挿入する開口部を有するケースと,この開口部に取付けられて当該開口部を塞ぐフロントカバーを有する電子機器用筐体 (1頁左欄5ないし7行) 」(イ)「第1図は本発明の一実施例を示す組立て斜視図である。図において,ケース10はプラスチック等の構造用材料からなるもので,大略箱型の……形状になっており,空冷用の通気孔11を上下の面に有している。矩形の開口係合部12,13を左右側面に,矩形の開口係合部14を上側面に,凹部係合部15を下側面に有し,いずれの係合部12〜15も開口部に近い部位に設けられている。……プリント基板20はケース10の内部に一枚収容されるもので,開口部側の端部には信号接続用のコネクタ21,22が位置を隔てて設けられている。フロントカバー30はケース10の開口部を塞ぐように取り付けられるもので,ケース10とほぼ同じ材料よりなり,大略蓋型形状であるがここでは凸室も上側に設けられている。矩形の開口部31,32はコネクタ21,22に対応して設けられたもので,コネクタ21,22よりも僅かに大きな形状をしており,ケーブル付きコネクタ……の接続に使用される。……このように構成された装置の組立てを次に説明する。プリント基板20をケース10に取付けると共に,フロントカバー30をケース10に固定する。その際に爪形係合部33を開口係合部14と,爪形係合部34を凹部係合部15と,爪形係合部35,36をそれぞれ開口係合部12,13と係合させる。このようにして,シングル幅のケース10に一個のフロントカバー30を装着する(2頁左下欄20行ないし3頁右上 。」欄2行),「, イこれらの記載及び第1図によれば 引用例2には 2個のコネクタ2122を配設したプリント基板20と,その2個のコネクタ付きのプリント基板が挿入される基板挿入用の開口を有すると共に,前記プリント基板に略平行な一対の左右側面を有する箱状のケース10と,該ケース10の基板挿入用の開口を閉塞するフロントカバー30と,前記フロントカバー30に形成されコネクタ21,22が近接して臨むケーブル付きコネクタ接続用の矩形の開口部31,32から成る電子機器用筐体 」という構成の。
発明が開示されていると認められる。
( )引用例3に係る発明の内容3ア本件特許出願前の刊行物である特開平6-230809号公報(引用例3。乙3)には,次のとおりの記載がある。
(ア)「 産業上の利用分野】本発明はビルディングブロック構造のブロ 【グラマブルコントローラ用ユニットに関するものである(段落【0。」001 )】(イ)「ユニット本体1は箱状をなしており,ユニット本体1内にはプリント電気回線基板3が固定装着されている(段落【0013 ) 。」】(ウ)「プリント電気回路基板3を隔てて,ユニット本体1の一方の側には電源ラインおよびデータバス,アドレスバス,コントロールバスの各バスライン接続用の雄型電気コネクタ5が,ユニット本体1の他方の側には雄型電気コネクタ5と同種類の電源ラインおよび各バスライン接続用の雌型電気コネクタ7が各々設けられている(段落【0014 ) 。」】(エ)「雄型電気コネクタ5はプリント電気回路基板3の一方の面部に装着されたコネクタボディ9とコネクタボディ9内に配置された複数個の針状の雄型コネクタ端子11とを有し,雌型電気コネクタ7はプリント電気回路基板3の他方の面部に装着され雄型電気コネクタ5のコネクタボディ9と嵌合するコネクタボディ13とコネクタボディ13内に配置され雄型コネクタ端子11を受け入れる複数のばねクリップ状の雌型コネクタ端子15とを有している(段落【0015 ) 。」】(オ)「雄型電気コネクタ5のコネクタボディ9と雌型電気コネクタ7のコネクタボディ13とは,コネクタボディ13に設けられプリント電気回路基板3を貫通してコネクタボディ9に形成されている係合孔17に嵌合した結合ピン19によってプリント電気回路基板3を挟んで互いに結合され,各々プリント電気回路基板3に固定されている(段落【0。」016 )】イ以上の記載によれば,引用例3には 「プリント電気配線基板3を挟ん ,で固定された雄型電気コネクタ5及び雌型電気コネクタ7と,該コネクタ付きプリント電気配線基板3が固定装着されるユニット本体1からなるプログラマブルコントローラ用ユニット 」という構成が開示されていると 。
認められる。
2本件特許発明と引用発明との対比そこで,本件特許発明と引用発明(引用例1に係る発明)とを比較すると,引用発明の「オプション接続基板41 「増設コネクタ45及び外部コネクタ 」43 「ウエケース 「シタケース 「他のオプション装置(図15のLP-I 」」」F装置,またはIS-IF装置「ジョイントコネクタ44」及び「接続ユ )」ニット42」は,その機能,作用からみて,それぞれ本件特許発明の「配線基板 「第1コネクタ 「ケース本体 「カバー 「他の電子機器ユニット 「第2 」」」」 」コネクタ」及び「電子機器ユニット」に相当すると認められる。
そうすると,本件特許発明と引用発明は,後記( )の点で一致し,後記( )12ないし( )の点で相違することになる。 4( )一致点1配線基板の表面及び裏面に取り付けられた第1コネクタと,該第1コネクタ付きの前記配線基板が挿入される基板挿入用の開口を有すると共に前記配線基板に略平行な壁面を有する箱状のケース本体と,該ケース本体の基板挿入用の開口を閉塞するカバーと,前記ケース本体における前記壁面に形成され前記第1コネクタが近接して臨む接続用の開口と,該接続用の開口の1つを貫通して,前記第1コネクタに接続されると共に他の電子機器ユニットに接続される第2コネクタとを備えた電子機器ユニットである点。
( )相違点@2「」,「」(), 一対とは2個で1組となることをいう広辞苑第5版ところ本件特許発明の第1コネクタは「一対の ,すなわち2個で1組となるコネ 」クタであるのに対して,引用発明には1個の増設コネクタ45に対応する外, 。 部コネクタ43が4個設けられており 2個で1組という構成を有しない点( )相違点A3ケース本体及びカバーの構成は,本件特許発明が一対の壁面を有するケース本体であるのに対し,引用発明においては,ケース本体(ウエケース)及びカバー(シタケース)のそれぞれが一つの壁面を有する点。
( )相違点B4接続用の開口の構成は,本件特許発明がケース本体における壁面に形成され一対の第1コネクタが近接して臨む一対の接続用の開口であるのに対し,引用発明では,ケース本体(ウエケース)における壁面に増設コネクタが近接して臨む一つの接続用の開口が形成され,カバー(シタケース)における壁面に外部コネクタが近接して臨む4つの接続用の開口が形成されている点。
3本件特許発明容易想到性そこで,上記相違点を当業者が容易に想到できたものであるかを検討する。
( )相違点@についての検討1引用発明の外部コネクタは,前記1( )ア(エ),(オ)によれば,多種多様 1なオプション装置に設けられた様々な高さの増設用コネクタと接続できるようにするために4か所に設けられたものである。しかし,引用発明のような接続ユニットの現実の使用態様を考えるに,ユーザーは,既に購入済みのオプション装置のコネクタの位置が相互に合わない場合においては,そのオプション装置のコネクタの位置に合わせて外部コネクタを設けた接続ユニットを買い求める場合が多いと容易に想定し得るから,そのような需要に対応するためには,その特定の箇所1か所に外部コネクタが設けられていれば十分であることが当業者に自明である。したがって,上記のような場合を想定して,4か所に外部コネクタを設けた引用発明の構成を1か所にのみ外部コネクタを設ける構成に変更することは,当業者が適宜選択し得る設計事項であるというべきである。そして,このようにした場合,増設コネクタと外部コネクタは,併せて一対の,すなわち2個で1組のコネクタとなり,本件特許発明の「一対の第1コネクタ (構成要件A)と同一の構成となることが明 」らかである。
また,引用例3に記載されている「プリント電気回路基板3 「ユニット」本体1 「雄型電気コネクタ5,雌型電気コネクタ7」及び「プログラマブ 」ルコントローラ用ユニット」は,その機能,作用からみてそれぞれ本件特許発明の「配線基板 「ケース本体 「一対の第1コネクタ」及び「電子機器 」」ユニット」に相当するというべきであるから,引用例3には,本件特許発明と引用発明との相違点@である配線基板の表面及び裏面に取り付けられた一対の第1コネクタ(本件特許発明構成要件A)が開示されているというべきである。そして,引用発明と引用例3に記載された発明は,いずれもケーブルの配線を要することなく,コネクタにより他のユニットと直接接続することを可能とするため,コネクタが表面及び裏面に取り付けられた電気回路基板を収容する電子機器ユニットという同一の技術分野に属するものである。また,引用例1(乙1)には 「情報処理装置の制御基板の小形化によ ,り,また情報処理装置の操作性デザイン構造等の関係からコネクタ数が増設するオプション装置よりも少ない場合があり,そのため増設するオプション数が限定されるという問題があった。その理由としてオプション装置の構造が情報処理装置接続側の反対側に外部の接続コネクタを設けていたため,オプション装置に次のオプション装置を取り付けることは考慮されておらず,オプション装置の拡張性に制限があった (段落【0006 )との記載が 」】あり,引用例3(乙3)には「従来のビルディングブロック構造のプログラマブルコントローラにおいては,ベースユニットの仕様により連結できるプログラマブルコントローラ用ユニットの個数が制限される (段落【000」5 )との記載がある。このように,引用例1及び引用例3には,電子機器 】ユニットにおいて機能の拡張性を向上させるという共通の課題が記載されており,そのための構成として1つの電気回路基板の表面と裏面にコネクタが取り付けられ,さらに他のユニットと接続する構成が採用されているものである。さらに引用例1(乙1)には「特定のオプション装置をユーザが必要としない場合が考えられ,この場合はコネクタの位置関係でオプション装置が接続できない(段落【0033 )との解決すべき課題が記載されてい 。」】ることにもよれば,すべての電気回路基板の対向する位置にコネクタを結合する構成を採用した引用例3に記載された発明を引用発明に適用する動機付けも見出し得る。他方,引用発明に引用例3に記載された発明を適用するに当たって,その適用を妨げるような記載や示唆はない。よって,引用発明に引用例3に記載された発明を組み合わせて,本件特許発明における構成要件Aの「配線基板の表面及び裏面に取り付けられた一対の第1コネクタと」と, 。 いう構成を想到することは 当業者が容易になし得たことというべきである( )相違点Aについての検討2「」「」「」「」 ア引用例2に記載された プリント基板開口部左右側面ケース「フロントカバー」及び「電子機器用筐体」は,その機能,作用からみて,それぞれ本件特許発明の「配線基板 「基板挿入用の開口 「一対の 」」壁面 「ケース本体 「カバー」及び「電子機器ユニット」に相当すると 」」いうべきである。
したがって,引用例2には,引用発明との相違点Aである本件特許発明構成要件Bの@ないしBの構成( @該一対の第1コネクタ付の前記配 「線基板が挿入される基板挿入用の開口を有すると共にA前記配線基板に略平行な一対の壁面を有するB箱状のケース本体と )を備える発明が記載 」されていることが認められる。
イそして,引用発明と引用例2に記載された発明は,いずれもケーブルの配線を要することなくコネクタにより他のユニットと直接接続することを可能とするように,コネクタが取り付けられた電気回路基板を収容する電子機器ユニットに関するもので,同一の技術分野に属し,また引用発明に引用例2に記載された発明を適用するに当たって,その適用を妨げるような記載や示唆はないから,引用発明に引用例2に記載された発明を適用して,本件特許発明のような構成要件Bの@ないしBに係る構成を想到することに格別の困難性はない。
また,本件明細書には「図8のように,ケース本体111とカバー11, 。, 2を横に分割して ケースの構造を単純化することも考えられる しかしこうすると,アンプ部102の幅が8o程度と薄いことから,ケース本体111とカバー112との嵌合部分の設計が困難なうえ,平たい形状のカバー112が大型になるので,樹脂製のカバー112が反って,気密性が得にくいという問題が生じる(段落【0007 )との記載があり,引 。」】用発明のように横に分割したケースの問題点が記載され,ケースの強度及び気密性が得られる電子機器ユニットを提供するという目的(段落【0008 )のために,本件特許発明構成要件Bの@ないしBの構成を採用 】したことが記載されていることによれば,引用発明に引用例2のケースの構成を組み合わせた場合に予想される作用効果と比較して,本件特許発明が異質の,あるいは顕著な作用効果を生じるとは認められない。
( )相違点Bについての検討3前記1( )のとおり,引用例2には「フロントカバー30(本件特許発明2の「カバー )に形成されコネクタ21,22が近接して臨むケーブル付き 」コネクタ接続用の矩形の開口部31,32から成る」という相違点Bに係る構成が開示されているところ,引用発明と引用例2に記載された発明は同一の技術分野に属するものであって,その組合せが容易であることは前記( ) 2説示のとおりである。したがって,引用発明のウエケース(本件特許発明の「ケース本体 )及びシタケース(本件特許発明の「カバー )に引用例2 」 」に記載された電子機器用筐体におけるケースの構造を適用すれば,ケース本体における壁面に接続用の開口が形成されることになることは自明である。
また,構成要件Dの「一対の第1コネクタが近接して臨む一対の接続用の開口 の 第1コネクタが近接して臨む接続用の開口 の意義については近 」 「 」,「接」は「@近くにあること。A近づくこと。接近 」を 「臨む」は「目の 。,前にする。面する」を意味する(いずれも広辞苑第5版)から,第1コネクタの端面がケース内壁の内側に設けられていて,上記第1コネクタに対応する接続用の開口がその端面に近接していることを意味すると解するのが相当である。そして,引用例1の図15によれば,同図面上,引用発明の増設コネクタ45の端面がケースの外側に突出しているとは認められず,かつ,引用例1に「増設コネクタ45とオプション装置に設けた接続コネクタ21とを接続する (段落【0035 )と記載されているように,増設コネクタ 」】45は接続コネクタ21と接続することが予定されているところ,接続コネクタ21は,引用例1の図4,図5,図6,図8,図12のいずれをとってもケースの外側に突出して凹部に入り込むように記載されている(引用例1段落【0027】に「接続コネクタ21は先付けしてあるオプション装置のウエケース11に設けたコネクタ用凹み19に入り込むので増設コネクタ24と外部コネクタ22が接続できる 」との記載がある )ことによれば, 。。
当業者であれば,引用例1の他の箇所の記載から,図14,図15の増設コネクタ45の端面がケース内壁の内側にあって開口に近接しているとの技術内容が開示されていることを十分に把握することが可能であるというべきである。したがって,引用例1には,構成要件Dの「第1コネクタが近接して臨む接続用の開口」に関する構成が開示されており,引用発明はかかる構成を備えているということができる。さらに,引用例1の図14によれば,外部コネクタ43の端面が,開口部の内側の開口部に近接した位置に配置されていることが認められるから,当業者であれば,外部コネクタ43も増設コネクタ45と同様の構成を備えるものと把握することが十分可能である。
そして,引用発明において,外部コネクタの数を1個にすることが当業者が適宜選択し得る設計事項であることは,前記( )説示のとおりであり,増1設コネクタと外部コネクタを2個で1組のコネクタとした場合に,これらが近接して臨む接続用の開口も2個で1組,すなわち一対となることは自明である。
以上によれば,相違点Bは,当業者が容易に推考し得る程度のものというべきである。
( )原告の主張について4ア以上に対し,原告は,以下の主張をする。
(ア)本件特許発明は,構成要件Aの表裏に「一対の第1コネクタ ,す」なわち,2個で1組となるコネクタを有する配線基板を備えることを特定事項とする。しかし,引用発明のオプション接続基板41には外部コネクタ43が4個,増設コネクタ45が1個設けられており,対をなすとはいえないし,異種のコネクタが他種の増設オプション装置における各コネクタと直接接続されるものであるから,これらのコネクタは,本件特許発明の「一対の第1コネクタ」ではない。
そもそも,引用発明の4個の外部コネクタを「1個」に改変すれば,高さの調節の必要がなくなり「ジョイントコネクタ44」自体が不要となる(予め特定されたオプション装置のみをユーザーがジョイントコネクタ44など用いずに接続する )のであって,被告主張の「第2コネ 。
クタ(ジョイントコネクタ44 」を設ける動機付けそのものが存在し )なくなる。したがって,引用発明の4つの外部コネクタを1個に減らすことは設計事項に当たらない。
(イ)引用例3には「雄型コネクタ5」と「雌型コネクタ7」が記載されているが,これらの「コネクタ」は,増設用の第2コネクタとの嵌合を予定されたものでないから本件特許発明の「第1コネクタ」に該当しない。
(ウ)引用発明には 「ジョイントコネクタ44」が開示されているが, ,該コネクタが一対の「接続用の開口の1つを貫通」するものとの記載は一切存在せず,むしろ接続ユニットの防塵性を考えると,別紙乙1【図14】一部破断透視図のような「外部コネクタ」及び「増設コネクタ」の端面が接続ユニットの内壁面よりも外側にある構成が採用されていると考えるのが相当である。したがって,引用発明が「接続用の開口の1」「」 。 つを貫通 する ジョイントコネクタ を備えているとは解釈できない(エ)一対の第1コネクタに第2コネクタを接続することで相当数の同種電子機器が連結可能となることは,ファクトリーオートメーションの観点から画期的であり,その作用効果は顕著なものである。
イしかし,上記アの原告の主張はいずれも理由がない。
(ア)上記ア(ア)について原告の主張は,本件特許発明構成要件Aの「一対の第1コネクタ」は,2個1組の同種のコネクタであって,一方の第1コネクタが設けられた配線基板の表面と対向する裏面に他方の第1コネクタを設けるという構成を意味するとの解釈を前提とするものであるが,本件特許の請求項1には第1コネクタに関しては「一対の」と記載されているのみであって,原告が主張するように上記「一対の第1コネクタ」が2個1組の同種のコネクタに限定されることや,その位置を限定するような特定はなされていない。本件明細書にも 「第1コネクタ5A,5Bは,たと ,,, 」 えば雌型コネクタであり 一部を除き 互いに同一の形状・構造であるとの記載があるものの(本件明細書段落【0015,同記載は実施】)例に関するものであるし,同記載によっても本件特許発明にいう「一対の第1コネクタ」が2個1組の同種のコネクタに限定されると解することはできない。
引用例1の段落【0035】の記載によれば,引用発明の「外部コネクタ43」は 「ジョイントコネクタ44」を装着することで他のオプ ,ション装置と接続することができ,また 「増設コネクタ45」はオプ ,ション装置に設けた「接続コネクタ21」と接続することができるものと認められるから,外部コネクタ及び増設コネクタは本件特許発明の第1コネクタと,ジョイントコネクタは第2コネクタと,それぞれ同様の機能,作用を奏するものである。
原告は,引用発明の外部コネクタの数を1個に減らすことは,設計事項ではないと主張するが,前記( )のとおり,特定のオプション装置に1接続することを前提とすれば,引用発明の外部コネクタ数を減らすことは当業者が適宜選択可能な設計事項であるというべきであるから,原告の主張は理由がない。また,原告は,仮に4個の外部コネクタを1個に改変すれば,高さの調節の必要がなくなり「ジョイントコネクタ44」を設ける動機付けそのものが存在しなくなると主張するが,引用発明の外部コネクタの端部がシタケースに形成された開口部の内側に設けられていることは引用例1の図14から明らかに読みとれるところであり,かかる構成においてオプション装置を外部コネクタと接続するためにはなおジョイントコネクタが必要であると認められるから,ジョイントコネクタを設ける動機付けが存在しなくなるということもできない。
さらに,引用例3には,配線基板の表面と裏面に取り付けられた一対のコネクタを配設した構成が開示されており,同引用例を引用発明に適用し得ることに格別の困難性がないことは前記( )のとおりである。
1したがって,原告の上記ア(ア)の主張は理由がない。
(イ)上記ア(イ)について引用例3には「一つのプログラマブルコントローラ用ユニットの前記雄型電気コネクタと他の一つのプログラマブルコントローラ用ユニットの前記雌型電気コネクタとの相互結合により各プログラマブルコントローラ用ユニット間の電源ラインおよびバスラインの接続が行われるよう構成されていることを特徴とするビルディングブロック構造のプログラマブルコントローラ用ユニット(引用例3【特許請求の範囲 )との 。」 】構成が開示されているところ,この記載のとおり,雄型電気コネクタと雌型電気コネクタは,相互に結合して他のプログラマブルコントローラ用ユニットを接続し得るものであるから,それが本件特許発明の「第2コネクタ」や引用発明の「ジョイントコネクタ」というような他のユニットに接続するための構成が開示されていないとしても,本件特許発明の「一対の第1コネクタ」に相当するということを妨げないというべきである。
したがって,原告の上記ア(イ)の主張は理由がない。
(ウ)上記ア(ウ)について引用発明の外部コネクタの端面がケース内壁の内側にあって開口に近接していると認識可能であることは,前記( )のとおりであるから,こ3のような構成を備える外部コネクタと嵌合する「ジョイントコネクタ」が「接続用の開口の1つを貫通」するものであることは自明である。さ, ,,, らに 引用例1の図7ないし9によれば 接続コネクタ 増設コネクタ外部コネクタは,いずれもコネクタケースの中にコネクタ端子を備えるものであると認められるところ,該コネクタケースが接続ユニットの開口を貫通しなければ接続することはできないし,またコネクタケースを安定させるためにもコネクタを一定の幅をもって開口に挿入する必要があることは自明であるから,引用発明のジョイントコネクタも同様の構成をとるものと把握することができ(原告が主張するようにジョイントコネクタが開口の壁面すら貫通できなければ,ジョイントコネクタは容易に接続ユニットから脱落してしまう,引用発明にはジョイントコ 。)ネクタ44が開口を貫通する構成が採用されていると認められる。
よって,原告の主張は理由がない。
(エ)上記ア(エ)について一対の第1コネクタに第2コネクタを接続することで同種電子機器が連結可能となるとの構成は,引用発明に備えられているから,その作用効果も本件特許発明と同一である。よって,本件特許発明が作用効果において顕著なものであるということはできない。なお,本件特許発明は引用発明に引用例2及び引用例3の発明を組み合わせたものであり,組み合わせたことによる異質の,あるいは予測できないような顕著な作用効果を奏するに至ったとはいうことはできないことは既に判示したところから明らかである。
( )小括5以上によれば,本件特許発明は,引用発明,引用例2及び引用例3に記載された各発明から当業者が容易に想到できたものであって,進歩性に欠け,特許法29条2項により特許を受けることができないものというべきである。
3結論したがって,本件特許発明は,同法123条1項2号の無効理由を有することになるから,同法104条の3により,特許権者である原告は,被告に対し本件特許権の請求項1に基づく権利を行使することができない。よって,原告の本訴請求は,その余の点について判断するまでもなくいずれも理由がない。
なお,原告は,口頭弁論終結後の平成18年12月18日に本件特許の無効,。 審判手続において訂正請求を行ったことを理由として 弁論再開を申し立てたしかし,当裁判所は,同訂正請求の内容を検討しても,上記結論を左右しない蓋然性が高いと考えるため,口頭弁論を再開しないこととする。
よって,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 田中俊次
裁判官 西理香
裁判官 西森みゆき
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