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関連審決 不服2003-17417
関連ワード アクセス /  進歩性(29条2項) /  容易に発明 /  一致点の認定 /  周知技術 /  慣用技術 /  公知技術 /  発明の詳細な説明 /  翻訳文 /  優先権 /  参酌 /  技術的意義 /  置き換え /  容易に想到(容易想到性) /  実施 /  侵害 /  拒絶査定 /  前置審査 /  拒絶理由通知 /  請求の範囲 /  減縮 /  変更 /  独立特許要件 /  除斥 /  忌避 /  国際出願 / 
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事件 平成 17年 (行ケ) 10622号 審決取消請求事件
原告イーエムシーコーポレイション
訴訟代理人弁護士熊倉禎男,飯田圭,外村玲子
訴訟代理人弁理士西島孝喜,越柴絵里
被告特許庁長官中嶋誠
指定代理 人大日方和幸,大野克人,山崎慎一,小池正彦,田中敬規
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2006/11/29
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
主文 原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
この判決に対する上告及び上告受理申立てのための付加期間を30日と定める。
事実及び理由
全容
第1原告の求めた裁判「特許庁が不服2003-17417号事件について平成17年3月30日にした審決を取り消す 」との判決。。
第2事案の概要本件は,原告が,名称を「共通データセットに対する独立及び同時のアクセスに関する方法及び装置」とする発明につき特許出願(国際出願)をして拒絶査定を受け,これを不服として審判請求をしたところ,審判請求は成り立たないとの審決がなされたため,同審決の取消しを求めた事案である。
1特許庁における手続の経緯( )本件出願(甲第3号証)1出願人:イーエムシーコーポレイション(原告)発明の名称: 共通データセットに対する独立及び同時のアクセスに関する方法 「及び装置」出願番号:特願平9-543030出願日:平成9年5月29日優先権主張日:平成8年5月31日(米国 ,平成9年4月25日(米国) )( )本件手続2(。「」。) 手続補正日:平成15年4月15日 甲第19号証 以下 第1次補正 という拒絶査定日:平成15年6月2日(甲第20号証)審判請求日:平成15年9月8日(不服2003-17417号)手続補正日:平成15年10月8日(甲第2号証。以下「本件補正」という )。
審決日:平成17年3月30日審決の結論: 本件審判の請求は,成り立たない 」 「 。
審決謄本送達日:平成17年4月11日2発明の要旨( )審決は,本件補正を却下し,第1次補正後の請求項1に記載された発明を1審決の対象としたところ,この発明の要旨は,下記のとおりである(以下,この発明を「第1次補正発明」という。なお,第1次補正後の特許請求の範囲の請求項の数は10個である。。)「データが,第1のアプリケーションによってアドレス可能な第1のデータストレ(,,,),(, ージファシリティ 207 210 211 212 にストアされ 第1OLTP200)及び第2(,201)のアプリケーションによってデータセットへの DSSアクセスを制御するための方法であって,)前記第1のデータストレージファシリティに対応するように第2のデータス Aトレージファシリティ(213,214,215,216)を構成し,)第2のデータストレージファシリティを第1のデータストレージファシリテBィと並列に接続することにより,第1の()コマンドに応答して第1 ESTABLISHのデータストレージファシリティに関するミラーとして第2のデータストレージファシリティにデータセットのコピーを確立させ,前記確立が,第1のアプリケーションと,第1のデータストレージファシリティとの間で独立したオペレーションであり,)第2の()コマンドに応答して,CSPLIT)第1のアプリケーションに応答して,独立のオペレーションとして,第2の iデータストレージファシリティを第1のデータストレージファシリティから切断し(256〜258 ,第2のデータストレージファシリティのメモリミラーファン )クションを終了させ,) その後,第1及び第2のアプリケーションがそれぞれ,並行に第1及び第2iiのデータストレージファシリティのデータセットにアクセスすることができるように,第2のアプリケーションによってアドレスされるように第2のストレージファシリティを再接続させ(260,261,262 ,)DESTABLISH REESTABLISH RESTORE INCREMENTAL RESTORE )第3の(,,,,(276))コマンドに応答して,第2のコマンドに応答するオペレーションを終了させる,ステップを有することを特徴とするアクセスを制御するための方法 」。
( )本件補正後の請求項1に記載された発明は,下記のとおりである(下線部2が補正箇所であり,以下,この発明を「本件補正発明」という。なお,本件補正後の特許請求の範囲の請求項の数は10個である。。)「データが,第1のアプリケーションによってアドレス可能な第1のデータストレ(,,,),(, ージファシリティ 207 210 211 212 にストアされ 第1 OLTP200)及び第2(,201)のアプリケーションによってデータセットへの DSSアクセスを制御するための方法であって,)前記第1のデータストレージファシリティに対応するように第2のデータスAトレージファシリティ(213,214,215,216)を構成し,)第2のデータストレージファシリティを第1のデータストレージファシリテBィと並列に接続することにより,第1のアプリケーションと第1のデータストレージファシリティのデータとの間のオペレーションと同時で並列に第1のデータストレージファシリティからデータを受け,第1の()コマンドに応答し ESTABLISHて第1のデータストレージファシリティに関するミラーとして第2のデータストレージファシリティにデータセットのコピーを確立させ,)第2の()コマンドに応答して,CSPLIT)第1のアプリケーションに応答して,独立のオペレーションとして,第2の iデータストレージファシリティを第1のデータストレージファシリティから切断し(256〜258 ,第2のデータストレージファシリティのメモリミラーファン )クションを終了させ,)その後,第1及び第2のアプリケーションがそれぞれ,並行に第1及び第2iiのデータストレージファシリティのデータセットにアクセスすることができるように,第2のデータストレージファシリティをアドレスする第2のアプリケーションを利用可能とするために第2のストレージファシリティを再接続させ(260,261,262 ,)DESTABLISH REESTABLISH RESTORE INCREMENTAL RESTORE )第3の(,,,,(276))コマンドに応答して,第2のコマンドに応答するオペレーションを終了させ,前記確立させ,切断させ,終了させる各オペレーションのアクセスが,第1のアプリケーションと第1のデータストレージファシリティのデータとの間のオペレーションと同時且つ独立して生じる,ステップを有することを特徴とするアクセスを制御するための方法 」。
3審決の理由の要点審決の理由は,以下のとおりであり,要するに,本件補正発明は,第1次補正発IBM Storage Subsystem Library "IBM 3990 明の減縮に該当するものであるが 「,(甲第9号証。以下「引用例Strage Control Reference Fifth Edition", September 1991 」1」という )及び特開平5-233162号公報(甲第11号証。以下「引用例 。
3 というにそれぞれ記載された発明並びに特開平7-281933号公報 甲 」。) (第10号証。以下「引用例2」という )に開示された周知技術に基づいて,当業 。
者が容易に発明をすることができたものであるから,本件補正は,特許法17条の2第5項が準用する126条4項(平成15年法律第47号による改正前のもの。
以下同じ )に違反するものであり,特許法159条1項が準用する53条1項に 。
より却下すべきであるとし,第1次補正発明を対象として審理した上,引用例1に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,同法29条2項により特許を受けることができない,としたものである。
「2.補正却下の決定(中略)( )手続補正の内容1(中略)本件補正についてその内容をみると,ア)請求項1の「 )第2のデータストレージファシリティを第1のデータストレージファシリティと並列にB接続することにより,第1の()コマンドに応答して第1のデータストレージフ ESTABLISHァシリティに関するミラーとして第2のデータストレージファシリティにデータセットのコピーを確立させ,前記確立が第1のアプリケーションと,第1のデータストレージファシリティとの間で独立したオペレーションであり 」との特定事項を, ,「 )第2のデータストレージファシリティを第1のデータストレージファシリティと並列にB接続することにより,第1のアプリケーションと第1のデータストレージファシリティのデータとの間のオペレーションと同時で並列に第1のデータストレージファシリティからデータを受け,第1の()コマンドに応答して第1のデータストレージファシリティに関 ESTABLISH,」 するミラーとして第2のデータストレージファシリティにデータセットのコピーを確立させとするものであって,補正前の「独立したオペレーション」について 「独立した」を「同時で並列」とし,さら ,に 「データセットのコピー」について 「第1のデータストレージファシリティからデータを , ,受け 」との事項を付加するものである。 ,イ)また,請求項1の「 )その後,第1及び第2のアプリケーションがそれぞれ,並行に第1及び第2のデータスiiトレージファシリティのデータセットにアクセスすることができるように,第2のアプリケーションによってアドレスされるように第2のストレージファシリティを再接続させ(260,261,262」との特定事項を, ),「 )その後,第1及び第2のアプリケーションがそれぞれ,並行に第1及び第2のデータスiiトレージファシリティのデータセットにアクセスすることができるように,第2のデータストレージファシリティをアドレスする第2のアプリケーションを利用可能とするために第2のストレージファシリティを再接続させ(260,261,262」とするものであって, ),「第2のストレージファシリティを再接続させ」ることに対して 「第2のデータストレー ,ジファシリティをアドレスする第2のアプリケーションを利用可能とするために」との事項を付加するものである。
ウ)そして,請求項1の「ステップを有することを特徴とするアクセスを制御するための方法 」との特定事項を, 。
「前記確立させ,切断させ,終了させる各オペレーションのアクセスが,第1のアプリケーションと第1のデータストレージファシリティのデータとの間のオペレーションと同時且つ独立して生じる,ステップを有することを特徴とするアクセスを制御するための方法 」とする。
ものであって,「前記確立させ,切断させ,終了させる各オペレーションのアクセスが,第1のアプリケーションと第1のデータストレージファシリティのデータとの間のオペレーションと同時且つ独立して生じる 」との事項を付加するものである。 ,上記(ア)〜(ウ)は,それぞれ,特許請求の範囲に記載された特定事項について限定するものであるから,特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲減縮を目的とするものに該当する。
そこで,本件補正後の前記請求項1に記載された発明(本件補正発明)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか否か)について,以下に検討する。
( )引用刊行物2IBM Storage Subsystem Library "IBM 3990 Strage Control原査定の拒絶の理由に引用された「(引用例1)には,Reference Fifth Edition", September 1991 」Dual Copy Operations 「The 3990 Model 3 can have dual copy volumes. Dual copy allows the user to have two identical setsof data on two different DASD volumes within the same subsystem.When a host program establishes dual copy and identifies two DASD volumes as a duplex pair, the3990 model 3 maintains two identical copies of a volume, independent of application-level hostprogramming. See establish Duplex Pair X'12' on page 159 for information on how to specify a( デュアルコピー・オペレーション primary and a secondary device. 」「モデルは,デュアルコピー領域を持つことができる。デュアルコピーは,同じサブシ39903ステム内の2つの異なる領域上に,ユーザーが二つの同一のデータセットを保持できる DASDようにする。
ホスト・プログラムがデュアルコピーを確立し,2つのをデュプレックス・ペアであDASDると認識する場合,のモデルはアプリケーション・レベルのホスト・プログラミングと 39903無関係に,領域上の2つの同一のコピーを維持する。頁の,デュプレックス・ペアの開始 159には,プライマリとセカンダリの装置を指定する方法についての情報が記載されてい X'12'る(第14頁第32行〜第40行) 。」)「 ・・・略・・・Dual copy has four device states:Duplex: Has two devices, the primary and the secondary. These devices make up the duplex pair. Onlythe primary device is functional to the host system.All commands that address the secondary device are rejected, except for the following:・・・略・・・Suspended Duplex: A state caused by one of two events: 1 a host program requests the state of the ( )duplex pair be changed to suspended, or 2 the 3990 Model 3 is unable to synchronize the contents of ( )( デュアルコピーは,4つのデバイス状態をthe two devices, and has stopped duplicate writes. 」「有する:・・・略・・・デュプレックス:プライマリとセカンダリとの二つのデバイスを有する。これら二つのデバイスがデュプレックス・ペアを形成する。プライマリデバイスだけがホストシステムに機能的である。セカンダリデバイスをアドレスする命令は次の例外を除きすべて拒絶される。
・・・略・・・サスペンディドデュプレックス:二つのイベントのどちらかによって起こされる状態:( )ホ1ストプログラムがデュプレックス・ペアの状態をサスペンディッドに変更するよう要求する,または( ),モデルは,2つの装置の内容を同期させることができなくなる,ことによ239903って二重書き込みが中断される(第15頁第10行〜第33行) 。」)」Establish Duplex Pair X'12'The order makes a duplex pair from the devices that the 「parameters specify as the primary and secondary devices. It can also restore a duplex pair from asuspended duplex pair or replace a failed duplex device with another device.When possible it also」(「デュプレックス・ペアの開始こ returns the device to the original channel address. X'12'の命令はパラメーターがプライマリ・セカンダリのデバイスとして指定するデバイスからデュプレックス・ペアを作る。さらに,それはサスペンディドデュプレックス・ペアからデュプレックス・ペアを回復するか,あるいは故障したデュプレックスデバイスを別のデバイスに取り替えることができる。さらに可能な場合,それは,デバイスをオリジナルのチャンネルアドレスに戻す(第159頁第1行〜第8行) 。」)6-7 Determine if a copy is required to establish the duplex pair. The values are: 「00 Device are syncronized the data is identical , do not copy to establish the deplex pair. ()01 Copy from the primary to the secondary device to establish the duplex pair. The entire volume will(デュプレクスペアを確立すためにコピーが be copied to syncronize the two DASD devices.6-7 」: 要求されるかどうか決定する。値は次のとおりデバイスが同期化され(データは同一),デュプレックスペアを確立するためのコピーを行00わない。

01 デュプレックスペアを確立するためにプライマリからセカンダリデバイスにコピーを行う2つの装置の全領域はコピーされ同期化される(第159頁第32表第7行〜第11DASD 。)行)と記載されている。
したがって,引用例1には,「 )プライマリデバイスに対応するようにセカンダリデバイスを構成し,A)セカンダリデバイスをプライマリデバイスと並列に接続することにより,アプリケーション B・レベルのホスト・プログラミングと無関係に,領域上の2つの同一のコピーを維持し,デュプレックス・ペアの開始命令に応答して,ホストシステムによって機能するプライマリデバイスに関するミラーとしてセカンダリデバイスにデータセットのコピーを確立させ,)C)ホストプログラムの命令に応答して,セカンダリデバイスをプライマリデバイスから切断 iし,セカンダリデバイスの二重書き込みを終了させ)サスペンディドデュプレックス状態としii)サスペンディドデュプレックス・ペアからデュプレックス・ペアを回復する命令に応答し Dて,デュプレックス・ペアを回復する 」。
発明が記載されている。
また,周知技術を示す公知文献として,特開平7-281933号公報(引用例2)には,「】一方,オンラインシステムのような24時間連続運用するシステムにおいては,フ 【0004,, 。 ァイル保護の信頼性向上を目的としてディスク装置を多重化 例えば 二重化して運用されるこのように,ディスク装置が二重化された計算機システムに関して,バックアップ処理中は図, , , 5に示すように 片系のディスク装置を業務処理から切離し 一方の系で運用することにより切り離されたディスク装置のバックアップを行なう方法がある。
【】図5において,バックアップ処理を行うときは,運用管理プロセス101は,副系デ0005ィスク装置92を業務処理から切り離すために,業務プロセス102に業務処理を一時中断させる。そのために,業務プロセス102に中断要求を出す。業務プロセス102は,業務処理の適当な区切りにおいて処理を中断し,中断したことを運用管理プロセス101に中断要求に対する応答として返す。該応答を運用管理プロセス101が受け取ると,運用管理プロセス101は,片系閉塞指示を2重化ディスクドライバ105に送り,副系ディスク装置92を業務。 , 。 処理から切り離す 運用管理プロセス101は その後業務プロセス102に再開を指示する以後は,2重化ディスクドライバ105とディスクドライバ107との間の,点線の矢印で示すやり取りは行われない。次に運用管理プロセス101はバックアッププロセス104にバックアップ処理の起動を指示する。バックアッププロセス104は,ディスクドライバ107と(磁気テープ装置)ドライバ8とを介して副系ディスク装置92の内容を94に転送 MT MTする。バックアップ処理が終了後,運用管理プロセス101は,業務プロセス102を一時中断させて,副系ディスク装置を2重化ディスクドライバ105の管理下に戻させる(段落番。」号[]〜[,図5)と記載されている。
00040005 ], (), そして 原査定の拒絶の理由に引用された特開平5-233162号公報 引用例3 には「】【00182重化ディスク装置3は,ディスクA12およびB13を2重化ディスク装置として制御する2重化ディスク制御部11,ディスクA12,B13の現在の動作モードを保持するディスクモードテーブル10を具備している。
【】0019本計算機システムはこのように構成されているので,業務タスク5によって処理データを2重化ディスクとして使用しているディスクA,Bに格納するオンライン業務中に,データ退避の保守タスク6が起動されると,業務タスク5と保守タスク6は1基ずつディスクを専用することにより,業務処理を継続したままディスクAまたはBから磁気テープ4へのデータ退避を並列処理することができる。
・・・途中略・・・2重化ディスク制御部11は,業務属性のタスク5からのアクセス要求を業務モードの設定されているディスクAに,保守属性のタスク6からのアクセス要求を保守モードのディスクBに対処させる。つまり,タスクの属性とディスクの動作モードのパターンマッチングにより,各タスクがアクセスできるディスクが限定される。各ディスクの動作モードを動的に変更すれば,各タスクがアクセスできるディスクも動的に変更される。したがって各タスクは,アクセス対象のディスクがどれなのかをプログラム上で意識する必要はない (段落番号[]〜 。
0018[)と記載されている。0021 ]( )対比・判断3本件補正発明と引用例1に記載された発明とを比較すると,引用例1に記載された「プライマリデバイス「セカンダリデバイス」は,2つの冗長データストレージであるから,本件補 」,正発明の「第1のデータストレージファシリティ「第2のデータストレージファシリティ」 」,に相当する。
また,引用例1に記載された「デュプレックス・ペアの開始の命令「サスペンディドデュ 」,プレックスに変更する要求」はそれぞれ,ミラーリング機能の開始,停止を行うものであるから,本件補正発明の「第1の()コマンド「第2の()コマンド」に相当ESTABLISH SPLIT 」,する。
そして,引用例1に記載された「デュプレックス・ペアの開始の命令」は,ミラーリング機能の再開を行うものであるから,本件補正発明の「第3の(,,ESTABLISHREESTABLISH,,(276))コマンド」に相当する。 RESTOREINCREMENTALRESTORE加えて,引用例1に記載された「ホストシステム」は,第1のデータストレージファシリティをアドレス可能であるから,本件補正発明の「第1のアプリケーション」に相当する。
したがって,両者は,「データが,第1のアプリケーションによってアドレス可能な第1のデータストレージファシリティにストアされ,第1のアプリケーションによってデータセットへのアクセスを制御するための方法であって,)前記第1のデータストレージファシリティに対応するように第2のデータストレージファAシリティを構成し,)第2のデータストレージファシリティを第1のデータストレージファシリティと並列に接B続することにより,第1のアプリケーションと第1のデータストレージファシリティのデータとの間のオペレーションと同時で並列にデータを受け,第1のコマンドに応答して第1のデータストレージファシリティに関するミラーとして第2のデータストレージファシリティにデータセットのコピーを確立させ,)第2のコマンドに応答して,Ci)第2のデータストレージファシリティを第1のデータストレージファシリティから切断し,第2のデータストレージファシリティのメモリミラーファンクションを終了させ,)第3のコマンドに応答して,第2のコマンドに応答するオペレーションを終了させる,スDテップを有するアクセスを制御する方法」である点で一致し, 次の3点で相違している。
(相違点1)本件補正発明は,第2のデータストレージファシリティを第1のデータストレージファシリティと並列に接続することにより,第1のアプリケーションと第1のデータストレージファシリティのデータとの間のオペレーションと同時で並列に第1のデータストレージファシリティからデータを受けるものであるのに対し,引用例1に記載のものは,第1のデータストレージファシリティからデータを受けるか否かが不明である点。
(相違点2)本件補正発明は,第2の()コマンドに応答して,SPLITi)第1のアプリケーションに応答して,独立のオペレーションとして,第2のデータストレージファシリティを第1のデータストレージファシリティから切断し(256〜258 ,第)2のデータストレージファシリティのメモリミラーファンクションを終了させ,)その後,第1及び第2のアプリケーションがそれぞれ,並行に第1及び第2のデータストiiレージファシリティのデータセットにアクセスすることができるように,第2のデータストレージファシリティをアドレスする第2のアプリケーションを利用可能とするために第2のストレージファシリティを再接続させるものであるのに対し,引用例1に記載された発明においては,ミラーファンクションを終了させるコマンドが,第1のアプリケーションに応答して,独立のオペレーションとして与えられることは示されておらず,また,二つのデバイスが切り離されている状態においては,セカンダリデバイスは直接アドレス可能であることが明らかであるものの,第2のアプリケーションを利用するために,デバイスを接続することは示されていない点。
(相違点3)本件補正発明は,前記確立させ,切断させ,終了させる各オペレーションのアクセスが,第1のアプリケーションと第1のデータストレージファシリティのデータとの間のオペレーションと同時且つ独立して生じるものであるのに対して,引用例1に記載された発明においてはこの点について明らかでない点。
次に,これらの相違点について検討する。
(相違点1について)複数のデータストレージに同一のデータを保持するものにおいて,第2のデータストレージファシリティがアプリケーションが書き込み対象とする第1のデータストレージファシリティからアプリケーションの動作と同時で並列にデータを受けるよう構成することは,慣用の技術(, , 。) にすぎない 例えば 特開平7-244597号公報 特開平7-262070号公報を参照第1のアプリケーションと第1のデータストレージファシリティのデータとの間のオペレーションと同時で並列に,第1のデータストレージファシリティと第2のデータストレージファシリティとに同一の内容を保持するものである引用例1において,本件補正発明のごとく,第2のデータストレージファシリティが第1のデータストレージファシリティからデータをアプリケーションの動作と同時で並列に受けるよう構成することは当業者が適宜なし得るものと認められる。
(相違点2について)ディスク装置が二重化された計算機システムにおいて,通常二重化されているディスク装置を切り離した状態にして,バックアッププロセス等の処理動作を行うことは,例えば引用例2に記載されているように周知技術と認められる。
ここで,引用例2の前記記載および図5には 「片系閉塞指示」として,業務プロセスに応 ,答して,運用管理プロセスがメモリミラーファンクションを終了させ,その後,業務プロセスが正系ディスクに対して業務処理を行うのと平行して,切り離された予備系ディスク装置に対して,バックアッププロセス104がアクセスを行うことが記載されている。
引用例2の 「片系閉塞指示」は,本件補正発明の 「第2の()コマンド」に相当す , ,SPLITるものであり,引用例2の「業務プロセス「運用管理プロセス」は,それぞれ,本件補正発 」,明の「第1のアプリケーション 「独立のオペレーション」に対応させることができ,二重化 」されているディスク装置を切り離すことはバックアッププロセスを利用するために行われるから,相違点1における第2のデータストレージファシリティをアドレスする第2のアプリケーションを利用可能とするために第2のストレージファシリティを再接続させることに相当する。
したがって,前記相違点2に相当する事項は,引用例2に記載されるような周知技術のバックアッププロセスと比較して異なるものと認めることはできず,引用例1に記載されたものにおいて,本件補正発明のごとく,第2のコマンドに応答して,i)第1のアプリケーションに応答して,独立のオペレーションとして,第2のデータストレージファシリティを第1のデータストレージファシリティから切断し,第2のデータストレージファシリティのメモリミラーファンクションを終了させ,)その後,第1及び第2のアプリケーションがそれぞれ,並行に第1及び第2のデータストiiレージファシリティのデータセットにアクセスすることができるように,第2のデータストレージファシリティをアドレスする第2のアプリケーションを利用可能とするために第2のストレージファシリティを再接続させるよう構成することは当業者が適宜なし得たものと認められる。
(相違点3について)引用例3には 「業務タスク5によって処理データを2重化ディスクとして使用しているデ ,ィスクA,Bに格納するオンライン業務中に,データ退避の保守タスク6が起動されると,業務タスク5と保守タスク6は1基ずつディスクを専用することにより,業務処理を継続したま」,, まディスクAまたはBから磁気テープ4へのデータ退避を並列処理することができるまた「各タスクは,アクセス対象のディスクがどれなのかをプログラム上で意識する必要はない」と記載されている。
ここで,引用例3の「業務タスク5によって処理データを2重化ディスクとして使用してい, 」,「 , るディスクA Bに格納するオンライン業務中データ退避の保守タスク6が起動されると業務タスク5と保守タスク6は1基ずつディスクを専用する「業務処理を継続したままディ 」,」,「, スクAまたはBから磁気テープ4へのデータ退避を並列処理することができる各タスクはアクセス対象のディスクがどれなのかをプログラム上で意識する必要はない ,との記載は,」それぞれ,本件補正発明の「確立「切断「オペレーションと同時「オペレーションと独 」,」, 」,立」に対応させることができ,前記相違点3に係る 「確立させ,切断させ,終了させる各オ ,ペレーションのアクセスが,第1のアプリケーションと第1のデータストレージファシリティのデータとの間のオペレーションと同時且つ独立して生じる」ことは,引用例3に記載された技術と認められる。
したがって,引用例1において,本件補正発明のごとく,確立させ,切断させ,終了させる各オペレーションのアクセスが,第1のアプリケーションと第1のデータストレージファシリティのデータとの間のオペレーションと同時且つ独立して生じるようにすることは,引用例3に記載された技術を付加するものであって当業者が適宜なし得たものと認められる。
なお,多重書き込みは障害の発生に備えることを主要な目的としたものであるから,障害等の発生時においても,通常のアプリケーションの動作に影響を与えることなく,多重書き込みの状態が独立して変更されることはごく普通の技術である。例えば,原査定の拒絶の理由において周知技術として引用された特開平7-121315号には,復旧作業中に通常のアクセス動作が行われることが記載されており,前記相違点3に係る「確立させ,切断させ,終了させる各オペレーションのアクセスが,第1のアプリケーションと第1のデータストレージファシリティのデータとの間のオペレーションと同時且つ独立して生じる」ことは,多重化ディスク装置における障害予備,障害復旧における周知の技術と認めることもできる。
また,相違点1〜3に係る技術を組み合わせることによる格別の効果を認めることもできない( )むすび4以上のとおり,本件補正発明は,引用例1,3に記載された発明および周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので,特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであり,同法第159条第1項で準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
3.本願発明について( )本願発明1平成15年10月8日付手続補正は上記のとおり却下されたので,本願の請求項1に係る発明(本願発明)は平成15年4月15日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される,以下のとおりのものである。
「 請求項1】データが,第1のアプリケーションによってアドレス可能な第1のデータスト 【レージファシリティ(207,210,211,212)にストアされ,第1(,20OLTP0)及び第2(,201)のアプリケーションによってデータセットへのアクセスを制御 DSSするための方法であって,)前記第1のデータストレージファシリティに対応するように第2のデータストレージファAシリティ(213,214,215,216)を構成し,)第2のデータストレージファシリティを第1のデータストレージファシリティと並列に接B続することにより,第1の()コマンドに応答して第1のデータストレージファ ESTABLISHシリティに関するミラーとして第2のデータストレージファシリティにデータセットのコピーを確立させ,前記確立が,第1のアプリケーションと,第1のデータストレージファシリティとの間で独立したオペレーションであり,)第2の()コマンドに応答して,CSPLITi)第1のアプリケーションに応答して,独立のオペレーションとして,第2のデータストレージファシリティを第1のデータストレージファシリティから切断し(256〜258 ,第)2のデータストレージファシリティのメモリミラーファンクションを終了させ,)その後,第1及び第2のアプリケーションがそれぞれ,並行に第1及び第2のデータストiiレージファシリティのデータセットにアクセスすることができるように,第2のアプリケーションによってアドレスされるように第2のストレージファシリティを再接続させ(260,261,262 ,)(,,,,)DESTABLISH REESTABLISH RESTORE INCREMENTAL RESTORE )第3の (276)コマンドに応答して,第2のコマンドに応答するオペレーションを終了させる,ステップを有することを特徴とするアクセスを制御するための方法。 」( )引用刊行物2IBM Storage Subsystem Library "IBM 3990 Strage Control原査定の拒絶の理由に引用された「(引用例1 ,及び,周知技術を示す参考文献である,Reference Fifth Edition", September 1991 」)特開平7-281933号公報(引用例2)には,前記2.( )に記載したとおりの技術的事2項が開示されている。
( )対比・判断3本件発明は,前記2.( )で検討した本件補正発明における, 1「第1のアプリケーションと第1のデータストレージファシリティのデータとの間のオペレーションと同時で並列に第1のデータストレージファシリティからデータを受け,第1の()コマンドに応答して第1のデータストレージファシリティに関するミラーと ESTABLISHして第2のデータストレージファシリティにデータセットのコピーを確立させ 」を「第1の,()コマンドに応答して第1のデータストレージファシリティに関するミラーとESTABLISHして第2のデータストレージファシリティにデータセットのコピーを確立させ,前記確立が第1のアプリケーションと,第1のデータストレージファシリティとの間で独立したオペレーションであり 」としたものであり,また 「第2のデータストレージファシリティをアドレスす , ,る第2のアプリケーションを利用可能とする」点を削除し,さらに 「前記確立させ,切断さ ,せ,終了させる各オペレーションのアクセスが,第1のアプリケーションと第1のデータストレージファシリティのデータとの間のオペレーションと同時且つ独立して生じる 」ことを削,除したものである。
したがって,本件発明においては,前記2.( )で検討した「相違点1」が削除され 「相違3 ,点2」に対する限定がはずれ 「相違点3」が削除されたものであるから,本件補正発明にお ,ける「相違点2」が前記2.( )に記載した理由によって,引用例1に記載された発明および3周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められる以上,本願発明は,引用例1に記載された発明および周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められる。
4.むすび以上のとおりであって,本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は,前記引用例1に記載された発明および周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
,, , 。」 したがって 本願は その余の請求項について論及するまでもなく 拒絶すべきものである第3原告の主張(審決取消事由)の要点審決は,本件補正発明につき,特許法17条の2第5項が準用する126条4項所定の要件(独立特許要件)の有無を判断するに当たり,引用例1(本訴甲第9号証)に記載された発明(以下「引用発明1」という )の認定を誤るなどして,本 。
件補正発明と引用発明1との一致点の認定を誤り(取消事由1 ,審決の認定した)相違点1〜3についての判断を誤り(取消事由2〜4 ,さらに,必要な拒絶理由 )通知を怠り,また,忌避事由を有する審判官が審決の構成に加わるという,手続的瑕疵がある(取消事由5,6)から,取り消されるべきである。
1取消事由1(一致点の認定の誤り)( )引用発明1の認定の誤り1審決は,引用発明1が「 )プライマリデバイスに対応するようにセカンダリデ Aバイスを構成し, )セカンダリデバイスをプライマリデバイスと並列に接続する Bことにより,アプリケーション・レベルのホスト・プログラミングと無関係に,領」,「」 域上の2つの同一のコピーを維持(する) ものと認定したところ この 無関係にとの文言は,本件補正発明の要件)に係る「同時で並列に」と同義のものとしてB用いられている。
しかしながら,下記( )のとおり,本件補正発明の要件である上記「同時で並列2に」とは,各オペレーションが 「互いに干渉しないように「単独で「完全に , 」,」,独立して同時 かつ 並行 に行われることを意味し 各オペレーションが 多 」,「」「」,「重」化されたものであったり 「関連し合っている」ものは排除されているものと ,解すべきである。しかるに,引用発明1においては,ホスト・プログラムとプライマリデバイスとの間のオペレーションは,プライマリデバイスからセカンダリデバイスへのコピー処理がなされている間は中断されるものであるから,各オペレーションが 「互いに干渉しないように「単独で「完全に独立して「同時」かつ , 」,」,」,「並行」に行われるものではない。
したがって,引用発明1においては,本件補正発明の「同時で並列に」と同一の意味で,ホスト・プログラムと「無関係に」コピー処理が行われるものではなく,審決の上記引用発明1の認定は誤りである。
( )本件補正発明の「同時で並列に「同時且つ独立して」等の意義2 」,ア本件特許出願に係る優先権主張日(平成8年5月31日)前である平成4年11月25日に発刊された,本件補正発明の技術分野と同一又は近接する技術分野における一般的な辞典である「情報処理用語大事典 (甲第29号証の1〜6)に 」掲載された,複数の情報処理に係る「並列 () 「同時 ()「独 」,」,parallelconcurrent立 () 及び「並行 ()の各語の意義及びこれらの語を含む熟 」 」 independentconcurrent語の技術的,一般的な意味を参酌すれば,本件補正発明において,@第1のアプリケーションと第1のデータストレージファシリティのデータとの間のオペレーションと,第1のデータストレージファシリティから第2のデータストレージファシリティへのデータセットのミラーリングコピーを確立させるオペレーションとに関する「同時で並列に (要件))との規定,A第2のデータストレージファシリティ 」Bを第1のデータストレージファシリティから切断し,第2のデータストレージファシリティのメモリミラーファンクションを終了させるオペレーションに関する「独立のオペレーションとして (要件 )の ))との規定,B第1及び第2のアプリケ 」Ciーションによる第1及び第2のデータストレージファシリティのデータセットへの各アクセスに関する「並行に (要件)の))との規定,C第1のアプリケーシ 」Ciiョンと第1のデータストレージファシリティのデータとの間のオペレーションと,第2のコマンドに応答するオペレーションを終了させるオペレーションとに関する「同時且つ独立して (要件))との規定は,いずれも,同各オペレーション(ア 」Dクセス)が 「互いに干渉しないように「単独で「完全に独立して「同時」 , 」,」,」,かつ「並行」に行われることを意味するものというべきである。
上記情報処理用語大事典には 「並列処理「並行処理」について 「ひと続き ,」,,の処理を分割し・・・多重化なども含み「多重処理を含めていうこともある」と 」,しているが,各オペレーションが「多重」化されたものであったり 「関連し合っ,て」いるものは,本件補正発明にはいずれも適合せず,排除されていることが明らかである。
イ本件特許出願に係る明細書(甲第3号証。ただし,第1次補正(甲第19号証)により一部訂正がなされている。以下,この訂正後のものを「本願明細書」という )には,以下の記載がある。これらの記載を参酌すれば,本件補正発明にお 。
ける上記「同時で並列に「独立のオペレーションとして「並行に「同時且 」, 」,」,つ独立して」との各規定の意義が上記アのとおりであることは,十分開示されているといえる。
(ア)「同時で並列に (要件 ))に関し」Ba「通常のミラーリングモード」に関し「通常のミラーリングオペレーションモードでは,ローカルシステム10はアクティブシステムであり,リモートシステム11はもっぱらミラーとして機能する。例えば,図1のシステムがデータベースを構成するとき,ローカルシステム10は,データベースへの変更を有効にすることができるそれらを含むアプリケーションを全て処理する(20頁20〜24OLTP 。」行)「, , , 従って 通常のオペレーティングモード中 ホストシステム13のあらゆる変化によって記憶装置セット15及び16のデータが記憶装置セット42及び43の対応する変化を自動的に生成するようにさせる。更に,通常のオペレーションにおいて,記憶装置セット42及び43又はその論理ボリュームは,記憶装置セット15及び16の対応するもの,又は,システムマネージャ23及びシステムマネージャ50からの構成情報によってその論理ボリュームを正確にミラーリングする ・・・通常のオペレーティングモード及びデータベースシステムのコ 。
ンテキストにおいて,ローカルシステム10は,データベースに関するプライマリ・リポジトリを構成する記憶装置15及び16を変更することによってアプリケーションを処理するオンライントランザクションを全て処理する。リモートシステム11はそのデータベースのミラーとしてのみ作動する(22頁1〜14行) 。」b「変形実施形態」に関し「ローカル及びリモートシステム10及び11のサイトのような複数のサイトで,本発明と関連する共通のデータベース又はデータセットに対する並行アクセスを達成するために,図1のトラックステータスブロック26及び53の情報のようなトラックステータス情報を使用することが可能であることが分かった。更に,この並行アクセスが,所定の記憶装置内にストレージスペースを割り当てることによって,若しくは,1つ又は他のサイトで記憶装置を追加することによって達成されることを見いだした(30頁7〜13行) 。」「更に明らかなように,BCVデバイスの使用は並行なアクセスをホスト200及び201によって単一のデータセットに対して可能にするが,ホスト200が,又は,ボリュー OLTPム210乃至212にいかなる衝撃又は負荷なしに,又は同様なプロセスを継続するこ OLTPとができる(31頁21〜24行) 。」c「コマンド」に関し ESTABLISH「同時発生の通常鏡映記憶装置を維持するコピープログラムはM1及びM2鏡映記憶装置224及び225の一方からM3ミラーとしてオペレートする装置226にデータをコピBCVーする(34頁15〜18行) 。」(イ)「独立のオペレーションとして (要件 )の ))に関し 」 Ci「本発明によれば,図1のホストシステム40は,情報を記憶装置セット42及び43に書き込む能力で独立して処理することができる。データベースシステムのコンテキストでは,ホストシステム40は,データベース・コンテンツに基づいたレポートを生成するために判断支援システムアプリケーションを処理するための独立機構となる(22頁16〜20行) 。」「図14に示したようにこの手続は。コマンドがステップ251のホストアダプターSPLITによって受け入れられたとき開始する ・・・ステップ254はリクエストを装置コン 。 SPLITトローラ21に発行し,更なる伝達を他のホストから装置コントローラにブロックする。ステップ255において,BCV装置226のための装置コントローラはコマンド又はリクSPLITエストを受け入れる ・・・ミラーオペレーションの内容における装置226の状態は装 。 BCV置をボリュームAアプリケーション221に応答するシステムに関して動作不可能()状 NR態に置く事により切断される(35頁26行〜36頁14行) 。」「これが起きると,ボリュームBアプリケーション222は今度,コマンドの瞬間にSPLITあるときデータセットにアクセスする。このデータの処理は次いで,データセットの複写したコピー上の,ボリュームAアプリケーションと並行して又は同時に起きる(37頁22〜2。」5行)(ウ)「同時且つ独立して (要件))に関し」 D「判断支援システムの処理又はそれと等しいアプリケーションが終わるとき,システムマネージャ50は,通信リンク12を介して接続を再設定し,リモートシステム11を通常のオペレーティングモードに戻す(24頁21〜23行) 。」「ステップ116がコントロールをステップ117にシフトするとき,図6の再同期プロセスは,各トラックに関するビットパターンをテストし,データを再同期させる必要があるそれらのみをコピーする。このオペレーションは,通常のオペレーションで同時に発生し,この場合,プロセス中に,ホストシステム13のいかなる変化も,データがまたリモートシステム11の変化を生成するようにさせる(28頁15〜20行) 。」( )一致点の認定の誤り13審決は,本件補正発明と引用発明1とが 「 )第2のデータストレージファシリ , Bティを第1のデータストレージファシリティと並列に接続することにより,第1のアプリケーションと第1のデータストレージファシリティのデータとの間のオペレーションと同時で並列にデータを受け,第1のコマンドに応答して第1のデータストレージファシリティに関するミラーとして第2のデータストレージファシリティにデータセットのコピーを確立させ」る点で一致すると認定したが,上記( )のと1おり,引用発明1においては,第1のコマンド(デュプレックス・ペアの開始の命令)に応答してなされる,第1のデータストレージファシリティ(プライマリデバイス)から第2のデータストレージファシリティ(セカンダリデバイス)へのデータセットのコピーの確立は,第1のアプリケーション(ホスト・プログラミング)と第1のデータストレージファシリティのデータとの間のオペレーションと「同時で並列に」なされるものではないから,審決の上記認定は誤りである。
( )一致点の認定の誤り24審決は,引用発明1の「サスペンディドデュプレックスに変更する要求」が本件補正発明の「第2の()コマンド」に相当するとした上,本件補正発明と引SPLIT用発明1とが 「 )第2のコマンドに応答して,i)第2のデータストレージファ , Cシリティを第1のデータストレージファシリティから切断し,第2のデータストレージファシリティのメモリミラーファンクションを終了させ」る点で一致すると認定したが,以下のとおり,誤りである。
すなわち,本件補正発明においては,第2のコマンド()に応答して,メSPLITモリミラーファンクションを終了させた後 「第1及び第2のアプリケーションが ,それぞれ,並行に第1及び第2のデータストレージファシリティのデータセットにアクセスすることができるように,第2のデータストレージファシリティをアドレスする第2のアプリケーションを利用可能とするために第2のストレージファシリティを再接続させ」ること(要件) ))が規定されており,このことにより,第C ii2のデータストレージファシリティは,デュプレックス状態を終了させて,第2の。,, アプリケーション用に使用できるものである これに対し 引用発明1においてはデュプレックス・ペアを構成する第1及び第2のデータストレージファシリティのいずれか一方が故障した場合にのみ,かつ,第2のデータストレージファシリティのメモリミラーファンクションとは無関係に(すなわち,デュプレックスペンディング状態にある場合にも ,第2のコマンド(サスペンディドデュプレックスに変 )更する要求)が発行され,これに応答して,故障したデータストレージファシリティと正常なデータストレージファシリティとをデュプレックス・サスペンディド状態にするものである。したがって,引用発明1の第2のコマンド(サスペンディドデュプレックスに変更する要求)は本件補正発明の第2のコマンド()に相SPLIT当するものではなく,審決の上記一致点の認定は誤りである。
( )一致点の認定の誤り35審決は,引用発明1の「デュプレックス・ペアの開始の命令」が,本件補正発明「(,,,,) の 第3のESTABLISH REESTABLISH RESTORE INCREMENTAL RESTOREコマンド」に相当するとした上,本件補正発明と引用発明1とが 「第3のコマン,ドに応答して,第2のコマンドに応答するオペレーションを終了させる,ステップを有するアクセスを制御する方法」である点で一致すると認定したが,以下のとおり,誤りである。
すなわち,本件補正発明においては,第3の(,,ESTABLISHREESTABLISH,,)コマンドに応答して 「第2のコマンド RESTOREINCREMENTALRESTORE ,に応答するオペレーション」を終了させるところ,その終了のオペレーションのアクセスが第1のアプリケーションと第1のデータストレージファシリティのデータとの間のオペレーションと 同時かつ独立してすなわち 上記( )のとおり互 「」,,,「2いに干渉しないように「単独で「完全に独立して「同時」かつ「並行」に, 」,」,」,生じるものである。これに対し,引用発明1においては,第3のコマンド(デュプレックス・ペアの開始の命令。第1のコマンドと同じ )は,第1のデータストレ 。
ージファシリティと第2のデータストレージファシリティとの間のミラーリングコピーを実行するものにすぎず 「第2のコマンドに応答するオペレーション」を終 ,了させるものではないから,引用発明1の「デュプレックス・ペアの開始の命令」は , 本 件 補 正 発 明 の 「 第 3 の (,,,ESTABLISHREESTABLISHRESTORE,)コマンド」に相当するものではない。のみならず, INCREMENTALRESTORE上記( ),( )のとおり,引用発明1において,ホスト・プログラム(第1のアプリ13ケーション)とプライマリデバイス(第1のデータストレージファシリティ)との間のオペレーションは,プライマリデバイスからセカンダリデバイス(第2のデータストレージファシリティ)へのコピー処理がなされている間は,中断されるものであるから,各オペレーションが「同時かつ独立して ,行われるものではない。 」したがって,審決の上記一致点の認定は誤りである。
2取消事由2(相違点1についての判断の誤り)審決は,本件補正発明と引用発明1との相違点1として認定した 「本件補正発,明は,第2のデータストレージファシリティを第1のデータストレージファシリティと並列に接続することにより,第1のアプリケーションと第1のデータストレージファシリティのデータとの間のオペレーションと同時で並列に第1のデータストレージファシリティからデータを受けるものであるのに対し,引用例1に記載のものは,第1のデータストレージファシリティからデータを受けるか否かが不明である点」につき,特開平7-244597号公報(本訴甲第12号証)及び特開平7-262070号公報(本訴甲第13号証)を挙げて 「複数のデータストレージ ,に同一のデータを保持するものにおいて,第2のデータストレージファシリティがアプリケーションが書き込み対象とする第1のデータストレージファシリティからアプリケーションの動作と同時で並列にデータを受けるよう構成することは,慣用の技術にすぎない」とした上 「第1のアプリケーションと第1のデータストレー ,ジファシリティのデータとの間のオペレーションと同時で並列に,第1のデータストレージファシリティと第2のデータストレージファシリティとに同一の内容を保持するものである」引用発明1において,第2のデータストレージファシリティが第1のデータストレージファシリティからデータをアプリケーションの動作と同時で並列に受けるよう構成することは当業者が適宜なし得るものと判断したが,以下のとおり,誤りである。
すなわち,上記1の( )のとおり,本件補正発明において 「第2のデータストレ2 ,ージファシリティを第1のデータストレージファシリティと並列に接続することにより,第1のアプリケーションと第1のデータストレージファシリティのデータとの間のオペレーションと同時で並列に第1のデータストレージファシリティからデータを受け (要件))との規定に係る「同時で並列に」とは,第1のデータスト 」Bレージファシリティから第2のデータストレージファシリティへのデータセットのミラーリングコピーを確立させるオペレーションと,第1のアプリケーションと第1のデータストレージファシリティのデータとの間のオペレーションとが 「互い,に干渉しないように「単独で「完全に独立して「同時」かつ「並行」に行 」,」,」,われることを意味するものである。しかるに,審決が挙示する特開平7-244597号公報及び特開平7-262070号公報には,第1のアプリケーションと第1のデータストレージファシリティのデータとの間のオペレーションと「同時で並列に」第2データストレージファシリティが第1のデータストレージファシリティからデータを受けることは記載されていない。このことは,本訴において被告が挙示する特開昭55-34756号公報(乙第1号証)及び特表平8-509565号公報(乙第2号証)においても同様である。
したがって,審決が「第2のデータストレージファシリティがアプリケーションが書き込み対象とする第1のデータストレージファシリティからアプリケーションの動作と同時で並列にデータを受けるよう構成することは,慣用の技術」であるとした審決の認定は誤りであり,この認定を前提として 「引用発明1において,第 ,2のデータストレージファシリティが第1のデータストレージファシリティからデータをアプリケーションの動作と同時で並列に受けるよう構成することは当業者が適宜なし得るものと」した判断も誤りである。
3取消事由3(相違点2についての判断の誤り)( )審決は 「本件補正発明は,第2の()コマンドに応答して, )第11 SPLIT i ,のアプリケーションに応答して,独立のオペレーションとして,第2のデータストレージファシリティを第1のデータストレージファシリティから切断し,第2のデータストレージファシリティのメモリミラーファンクションを終了させ,)そのii後,第1及び第2のアプリケーションがそれぞれ,並行に第1及び第2のデータストレージファシリティのデータセットにアクセスすることができるように,第2のデータストレージファシリティをアドレスする第2のアプリケーションを利用可能とするために第2のストレージファシリティを再接続させるものであるのに対し,引用例発明1においては,ミラーファンクションを終了させるコマンドが,第1のアプリケーションに応答して,独立のオペレーションとして与えられることは示されておらず,また,二つのデバイスが切り離されている状態においては,セカンダリデバイスは直接アドレス可能であることが明らかであるものの,第2のアプリケーションを利用するために,デバイスを接続することは示されていない点」を,本件補正発明と引用発明1との相違点2として認定した。
しかしながら,上記1の( )のとおり,引用発明1では,デュプレックス・ペア4を構成するプライマリデバイス及びセカンダリデバイス(第1のデータストレージファシリティ及び第2のデータストレージファシリティ)のいずれか一方が故障した場合にのみ,第2のコマンド(サスペンディドデュプレックスに変更する要求)が発行され,これに応答して,故障したデバイスと正常なデバイスとをデュプレックス・サスペンディド状態にするものである。そして,故障したデバイスはもはや使用できないので,例えば,セカンダリデバイスが故障した場合には,その使用は停止される。したがって,上記相違点2の認定のうち 「二つのデバイスが切り離 ,されている状態においては,セカンダリデバイスは直接アドレス可能である」とする部分は誤りである。
,,( 。 ( )審決は 上記相違点2につき 引用例2 特開平7-281933号公報2本訴甲第10号証)を挙げて 「ディスク装置が二重化された計算機システムにお ,いて,通常二重化されているディスク装置を切り離した状態にして,バックアッププロセス等の処理動作を行う」ことが周知技術であるとした上 「引用例2・・・,には 『片系閉塞指示』として,業務プロセスに応答して,運用管理プロセスがメ ,モリミラーファンクションを終了させ,その後,業務プロセスが正系ディスクに対して業務処理を行うのと平行して,切り離された予備系ディスク装置に対して,バックアッププロセス104がアクセスを行うことが記載されている。引用例2の,『片系閉塞指示』は,本件補正発明の 『第2の()コマンド』に相当する ,SPLITものであり,引用例2の『業務プロセス『運用管理プロセス』は,それぞれ,本 』,件補正発明の『第1のアプリケーション 『独立のオペレーション』に対応させる 』ことができ,二重化されているディスク装置を切り離すことはバックアッププロセスを利用するために行われるから,相違点1における第2のデータストレージファシリティをアドレスする第2のアプリケーションを利用可能とするために第2のストレージファシリティを再接続させることに相当する 」とし 「したがって,前記 。,相違点2に相当する事項は,引用例2に記載されるような周知技術のバックアッププロセスと比較して異なるものと認めることはできず ,引用発明1において,相 」違点2に係る本件補正発明のように構成することは,当業者が適宜なし得たものと判断した。しかしながら,以下のとおり,審決の上記認定判断は誤りである。
すなわち,審決の上記認定判断において 「引用発明1において,相違点2に係 ,る本件補正発明のように構成することは,当業者が適宜なし得た」ことの理由とされているのは 「ディスク装置が二重化された計算機システムにおいて,通常二重 ,化されているディスク装置を切り離した状態にして,バックアッププロセス等の処理動作を行う」ことという抽象的な技術事項ではなく,引用例2に基づいて認定したより具体的なバックアッププロセスである。そして,引用例2は,本件特許出願に係る優先権主張日(平成8年5月31日)の7か月程前である平成7年10月27日に頒布された公開特許公報であって,このような刊行物に記載された具体的なバックアッププロセスが,上記優先権主張日において周知技術であったと認定することはできない。したがって,審決の上記認定判断は,誤って周知技術と認定した技術事項に基づく点において誤りである。
のみならず,本件補正発明において 「第1のアプリケーションに応答して,独 ,立のオペレーションとして,第2のデータストレージファシリティを第1のデータストレージファシリティから切断し,第2のデータストレージファシリティのメモリミラーファンクションを終了させ(る) (要件) ))との規定における「独立の 」C iオペレーションとして」とは,上記1の( )のとおり,第2のデータストレージフ 2ァシリティを第1のデータストレージファシリティから切断し,第2のデータストレージファシリティのメモリミラーファンクションを終了させるオペレーションが,第1のアプリケーションと「互いに干渉しないように「単独で「完全に」,」,独立して「同時」かつ「並行」に,実行されることを意味するものである。しか 」,るに,引用例2記載の発明においては 「独立のオペレーションとして ,運用管理 , 」プロセスからの片系閉塞指示が出され,正系ディスクと予備系ディスクとが切り離されるものではないから,審決の「引用例2の 『片系閉塞指示』は,本件補正発 ,明の 『第2の()コマンド』に相当するものであり,引用例2の・・・ 運 , 『SPLIT用管理プロセス』は ・・・本件補正発明の・・・ 独立のオペレーション』に対応 , 『させることができ(る)」との認定も誤りである。
さらに,上記( )のとおり,引用発明1では,デュプレックス・ペアを構成する1プライマリデバイス及びセカンダリデバイスがデュプレックス・サスペンディド状態となった後は,セカンダリデバイスの使用は停止され,これに格納されているデータを使用しようとする第2のアプリケーションは想定されていないのであるから,このような引用発明1に,第2のアプリケーション(バックアッププロセス)によるセカンダリデバイス(予備系ディスク)へのアクセスが示された引用例2の技術を組み合わせようとすることも,その動機付けがない。
4取消事由4(相違点3についての判断の誤り)審決は,本件補正発明と引用発明1との相違点3として認定した 「本件補正発,明は,前記確立させ,切断させ,終了させる各オペレーションのアクセスが,第1のアプリケーションと第1のデータストレージファシリティのデータとの間のオペレーションと同時且つ独立して生じるものであるのに対して,引用例1に記載された発明においてはこの点について明らかでない点」につき,引用例3(特開平5-233162号公報。本訴甲第11号証)の「業務タスク5によって処理データを, 」, 2重化ディスクとして使用しているディスクA Bに格納するオンライン業務中「データ退避の保守タスク6が起動されると,業務タスク5と保守タスク6は1基ずつディスクを専用する「業務処理を継続したままディスクAまたはBから磁気 」,テープ4へのデータ退避を並列処理することができる「各タスクは,アクセス対 」,象のディスクがどれなのかをプログラム上で意識する必要はない」との各記載を,それぞれ,本件補正発明の「確立「切断「オペレーションと同時「オペレ 」,」,」,ーションと独立 に対応させることができ 本件補正発明の相違点3に係る構成 確 」, (立させ,切断させ,終了させる各オペレーションのアクセスが,第1のアプリケーションと第1のデータストレージファシリティのデータとの間のオペレーションと同時且つ独立して生じること)は,引用例3に記載された技術であるとし,引用例1において,上記本件補正発明の相違点3に係る構成とすることは,引用例3に記載された技術を付加するものであって当業者が適宜なし得たものと判断した上,さらに,特開平7-121315号公報(甲第14号証)を挙げて,多重書き込みは障害の発生に備えることを主要な目的としたものであるから,障害等の発生時においても,通常のアプリケーションの動作に影響を与えることなく,多重書き込みの状態が独立して変更されることはごく普通の技術であるとし,本件補正発明の相違点3に係る構成が,多重化ディスク装置における障害予備,障害復旧における周知の技術と認めることもできる旨付加した。しかしながら,以下のとおり,審決の上記認定判断は,いずれも誤りである。
すなわち,まず,引用例3記載の「業務タスク5によって処理データを2重化デ, 」, ィスクとして使用しているディスクA Bに格納するオンライン業務 においては第1のデータストレージファシリティに関するミラーとして第2のデータストレージファシリティにデータセットのコピーを「確立」させるための,業務タスク5によるアプリケーションアクセスが 「第1のアプリケーションと第1のデータスト ,レージファシリティのデータとの間のオペレーション」にもなっているから(段落【,両者が 「同時で並列に ,すなわち 「互いに干渉しないように「単0019 】),」, 」,独で「完全に独立して「同時」かつ「並行」に行われるものではなく,本件 」,」,補正発明の構成(要件))とは異なるものであり,したがって,本件補正発明のB意味における「同時且つ独立に」生じるものではない。
また,引用例3記載の「各タスクは,アクセス対象のディスクがどれなのかをプログラム上で意識する必要はない」とは,プログラムにおいて,業務モードと保守モードとに対応するディスクのディスク名を直接コーディングせず,各ディスクを識別し得る識別子をテーブル上に記述し,2重化ディスク制御部によって,業務タスク又は保守タスクからのアクセス要求を,識別子に従って,当該業務に対応するディスクに対処させることを意味しており(段落【,したがって,このこと0021 】)と,本件補正発明の「確立させ,切断させ,終了させる各オペレーションのアクセス」が,第1のアプリケーションと第1のデータストレージファシリティのデータとの間のオペレーションと「独立して ,両者が 「同時で並列に ,すなわち 「互 」,」,いに干渉しないように「単独で「完全に独立して「同時」かつ「並行」に 」,」,」,行われることとは,全く異なる内容である。
さらに,上記特開平7-121315号公報に記載された発明も,本件補正発明「,, 」 の相違点3に係る 確立させ 切断させ 終了させる各オペレーションのアクセスが 「第1のアプリケーションと第1のデータストレージファシリティのデータと ,の間のオペレーション」と「同時且つ独立して ,すなわち 「互いに干渉しないよ 」,うに「単独で「完全に独立して「同時」かつ「並行」に生ずることを開示 」,」,」,するものではない。
5取消事由5(拒絶理由通知の懈怠)本件特許出願に対する拒絶査定(甲第20号証)は,拒絶の理由として,平成14年10月4日付け拒絶理由通知(甲第16号証)に係る理由( )を引用するもの2であり,同拒絶理由通知の理由( )は,請求項1の発明につき,引用例1,引用例 23,特開平7-244597号公報(甲第12号証)及び特開平3-256146号公報にそれぞれ記載された発明に基づいて容易に発明し得るとしたものである。
本件審判の請求後,本件補正がなされたため,審判請求は前置審査に付され,審査官から特許庁長官に対し,平成16年5月21日付け前置報告書(甲第22号証)が提出されたが,同報告書は,本件補正発明が,引用例1及び引用例2に基づいて容易に発明し得るとするものである。そして,審決が,相違点2についての判断に当たって,形式上,引用例2を周知技術が記載されたいわゆる周知例として用いているものの,実質上,審決が引用例2によって認定した技術事項が周知技術といえるようなものではないことは,上記3の( )のとおりである。
2上記のとおり,前置審査においても,本件審判においても,引用例2は,本件補正発明に対する,拒絶査定と異なる拒絶の理由を構成するものであるから,前置審査に当たった審査官は特許法163条2項で準用する50条により,審判長は同法159条2項で準用する50条により,原告に対し,引用例2を含む拒絶の理由を通知すべきところ,このような拒絶理由通知はなされなかった。
したがって,審決には,上記各条項に違背した違法があり,この違法が審決の結論に影響を及ぼすことは明らかである。
6取消事由6(忌避事由を有する審判官の審決関与)株式会社L(以下「L」という )は,平成14年8月12日,特許庁長官に対 。
し,引用例1,引用例3,特開平3-256146号公報ほか1点の各文献を提出して,本件特許出願に係る発明が特許法29条1項又は2項に該当する発明であるとする情報提供を行った(甲第15号証 。このうち,引用例1,引用例3,特開 )平3-256146号公報が,拒絶査定において,拒絶の理由とされたことは上記5のとおりであり,審決が引用例1,引用例3を拒絶の理由としたことは,上記第2の3のとおりである。また,原告とLとの間には,平成14年ないし平成15年当時,米国における特許侵害紛争が生じており(甲第5〜7号証 ,重大な利害対)立関係があった。そして,N特許事務所は,Lの特許出願等の代理人として極めて多くの案件を手がけている弁理士が所属し,Lと密接な関係がある弁理士事務所である(甲第25〜第28号証 。)しかるところ,審決の構成審判官の1人であるM審判官(以下「M審判官」という )は,本件審決の作成日付の翌日である平成17年3月31日に特許庁を退官 。
し,同年4月初旬頃,弁理士として,N特許事務所に入所している。そして,このような事実経過から見て,M審判官は,遅くとも同事務所に入所する1〜2か月前までに同事務所の弁理士と面接し,同事務所が上記情報提供者であるLと,上記のような密接な関係を有することを知った上で,同事務所への入所を決定したはずである。
そうであれば,M審判官には 「審判官について審判の構成を妨げるべき事情」 ,があったことは明らかであり,それにもかかわらず,上記情報提供に係る文献を主たる引用例とする審決に関与したのであるから,審決には結論に影響を及ぼすべき違法がある。
第4被告の反論の要点1取消事由1(一致点の認定の誤り)に対し( )「引用発明1の認定の誤り」に対し1原告は,引用発明1においては,本件補正発明の「同時で並列に」と同一の意味で,ホスト・プログラムと「無関係に」コピー処理が行われるものではなく,審決の引用発明1の認定は誤りである旨主張する。
しかしながら,引用発明1において,ホスト・プログラムとプライマリデバイスとの間のオペレーションが,プライマリデバイスからセカンダリデバイスへのコピー処理がなされている間は中断されるとしても,このコピー処理が終われば,中断の状態は解消し,ホスト・プログラムからプライマリデバイスへの書込みが可能となるものである。そして,引用発明1は,ホスト・プログラムからプライマリデバイスへの書込みと,プライマリデバイスからセカンダリデバイスへのコピー処理を繰り返すものであるから,ホスト・プログラムがどのような書込み要求をしても,つまりホスト・プログラミングとは無関係に,プライマリデバイスとセカンダリデバイスとの間のミラーリングコピーが維持されていることは,明らかである。
原告の上記主張は,本件補正発明に係る,第1のアプリケーションと第1のデータストレージファシリティのデータとの間のオペレーションと,第1のデータストレージファシリティから第2のデータストレージファシリティへのデータセットのミラーリングコピーを確立させるオペレーションとに関する「同時で並列に (要」件))との規定が,上記各オペレーションが「互いに干渉しないように「単独B 」,で「完全に独立して「同時」かつ「並行」に行われることを意味するという 」,」,前提に拠るものであるところ,後記( )のとおり,そのような前提に理由がないか 2ら,原告の上記主張は失当である。
( )本件補正発明の「同時で並列に「同時且つ独立して」等の意義2 」,原告は,本件補正発明における 「同時で並列に (要件))との規定 「独立の ,」,Bオペレーションとして (要件)の ))との規定 「並行に (要件)の ))との 」 ,」 Ci Cii規定及び「同時且つ独立して」との規定が,いずれも,同各オペレーション(アクセス)が 「互いに干渉しないように「単独で「完全に独立して「同時」か , 」,」,」,つ「並行」に行われることを意味するものと主張する。
しかしながら,これらの規定に係る用語が,それぞれ表現を異にし,また,それぞれ異なる場面で使われていることにかんがみれば,それぞれの意味は記載されているとおりに区別して解釈されるべきものである。本願明細書の発明の詳細な説明にも,これらの用語について 「互いに干渉しないように「単独で「完全に独 , 」,」,立して「同時」かつ「並行」に行われることを意味するとの記載はないから,原 」,告の主張に係る解釈は,発明の詳細な説明に根拠があるものでもない。さらに,こ,「 ()」 れらの用語に含まれるひと続きの処理を分割し・・・多重化なども含 むこと及び「多重処理を含めていうこと」という意味を排除する理由も明らかでない。したがって,上記の各規定を,原告主張のように解釈する理由はない。
( )「一致点の認定の誤り1」に対し3原告は,本件補正発明と引用発明1とが 「 )第2のデータストレージファシリ , Bティを第1のデータストレージファシリティと並列に接続することにより,第1のアプリケーションと第1のデータストレージファシリティのデータとの間のオペレーションと同時で並列にデータを受け,第1のコマンドに応答して第1のデータストレージファシリティに関するミラーとして第2のデータストレージファシリティにデータセットのコピーを確立させ」る点で一致するとした審決の認定が誤りであると主張するが,当該主張は,審決の引用発明1の認定が誤りであることを理由とするものであり,本件補正発明の「同時で並列に」との規定が 「互いに干渉しな,いように「単独で「完全に独立して「同時」かつ「並行」に行われること 」,」,」,を意味するという主張を前提とするものであるが,これらの前提に理由がないことは上記( ),( )のとおりであるから,上記一致点の認定に誤りがあるとの主張も失12当である。
( )「一致点の認定の誤り2」に対し4原告は,本件補正発明では,第2のコマンド()により,第2のデータス SPLITトレージファシリティは,デュプレックス状態を終了させて,第2のアプリケーション用に使用できるものであるのに対し,引用発明1の第2のコマンド(サスペンディドデュプレックスに変更する要求)は,第1及び第2のデータストレージファシリティのいずれか一方が故障した場合にのみ発行され,故障したデータストレージファシリティと正常なデータストレージファシリティとをデュプレックス・サスペンディド状態にするものであるから,引用発明1の第2のコマンドは本件補正発明の第2のコマンドに相当するものではなく 本件補正発明と引用発明1とが) , ,「C第2のコマンドに応答して,i)第2のデータストレージファシリティを第1のデータストレージファシリティから切断し,第2のデータストレージファシリティのメモリミラーファンクションを終了させ」る点で一致するとした審決の認定は誤りであると主張する。
しかしながら,本件補正発明において,第2のコマンド()がどのようなSPLIT場合に発行されるかについては,限定されていないから,本件補正発明は,第1又は第2のデータストレージファシリティのいずれかが故障した場合に第2のコマンドを発行することを排除するものでなく,そのような場合を含むものということができる。のみならず,審決は,相違点2に関し,第1又は第2のデータストレージファシリティ(ディスク装置)のいずれもが故障していない場合でも,両者を切り離した状態にして処理動作を行うことが周知である旨認定しているから(審決書10頁16〜24行 ,仮に,引用発明1の第2のコマンドと本件補正発明の第2の )コマンドとが,原告主張の点で相違するとしても,当該相違点については,実質的に判断しているということができ,この一致点の認定の誤りは審決の結論に影響を及ぼすものではない。
したがって,原告の上記主張は失当である。
( )「一致点の認定の誤り3」に対し5原告は,本件補正発明においては,第3の(,, ESTABLISHREESTABLISH,,)コマンドに応答して 「第2のコマンド RESTOREINCREMENTALRESTORE ,に応答するオペレーション」を終了させるものであるのに対し,引用発明1では,( 。。) , 第3のコマンド デュプレックス・ペアの開始の命令 第1のコマンド同じは第1のデータストレージファシリティと第2のデータストレージファシリティとの間のミラーリングコピーを実行するものにすぎず 「第2のコマンドに応答するオ ,ペレーション」を終了させるものではないから,引用発明1の「デュプレックス・ペアの開始の命令」は,本件補正発明の第3のコマンドに相当するものではなく,本件補正発明と引用発明1とが 「第3のコマンドに応答して,第2のコマンドに ,, 」 応答するオペレーションを終了させる ステップを有するアクセスを制御する方法である点で一致するとした審決の認定は誤りであると主張する。
しかしながら,本件補正発明においても第3のコマンドは,第1のコマンドである「」を含むものである。そして,引用発明1の「デュプレックス・ESTABLISHペアの開始の命令」は,サスペンディドデュプレックス・ペアの状態から,ミラーリングコピーを再開させ,デュプレックス・ペアを回復するものであるから,本件補正発明の「」コマンドに相当するものであり 「サスペンディドデュESTABLISH ,プレックスに変更する要求 (第2のコマンド)に応答するオペレーションである 」「サスペンディドデュプレックス・ペア」を終了させるものであることは明らかである。したがって,原告の上記主張は失当である。
2取消事由2(相違点1についての判断の誤り)に対し原告は,審決が「複数のデータストレージに同一のデータを保持するものにおいて,第2のデータストレージファシリティがアプリケーションが書き込み対象とする第1のデータストレージファシリティからアプリケーションの動作と同時で並列にデータを受けるよう構成すること」が慣用技術であることを示すために挙示した特開平7-244597号公報(甲第12号証)及び特開平7-262070号公報(甲第13号証)に,第1のアプリケーションと第1のデータストレージファシリティのデータとの間のオペレーションと「同時で並列に」第2データストレージファシリティが第1のデータストレージファシリティからデータを受けることは記載されていないとして,相違点1に対する審決の判断が誤りであると主張する。
しかしながら,甲第12号証には,直接アクセス記憶装置()データのリDASDアルタイム遠隔コピーのためのシステムにおいて,1次側で実行されデータ又は更新を生成するアプリケーション・プログラムを考慮せずに,2次側で1次側のデータをバックアップすることが,甲第13号証には,1次側の書込みオペレDASDーションが,そのデータのコピーが2次位置で確認されるまで実行されない(言い換えれば,たとえ,データのコピーが2次位置で確認されるまで1次側において書込みができないものであっても,1次側の書込みオペレーションが行われDASDている間に,2次位置が1次側のデータのコピーを受けるように構成した)同期システムが記載されており,これらは 「複数のデータストレージに同一のデータを ,保持するものにおいて,第2のデータストレージファシリティがアプリケーションが書き込み対象とする第1のデータストレージファシリティからアプリケーションの動作と同時で並列にデータを受けるよう構成すること」が慣用技術であることを示しているものである。さらに,特開昭55-34756号公報(乙第1号証)に, , は 1組のデータ・バッファを用いて2台のディスクに同一のデータを記録するが2台のディスクは同期することなく,非同期で発生する書込み終了事象を書込終了判定回路6で書込み終了信号に置き換え,上位装置(コンピュータ本体)から見ると 書込みの間に2重書きしているシステムが 特表平8-509565号公報 乙 , , (第2号証)には,1次ホストの影響を受けずに,1次側データ記憶システムから2次側データ記憶システムにデータをコピーすることが記載されていて,これらも上記慣用技術を開示するものである。
なお,第1のアプリケーションと第1のデータストレージファシリティのデータとの間のオペレーションと,第1のデータストレージファシリティから第2のデータストレージファシリティへのデータセットのミラーリングコピーを確立させるオペレーションに関する相違点1において,本件補正発明の相違点3に係る「同時且つ独立して」という構成を考慮したとしても,甲第12号証及び乙第2号証は,第1のデータストレージファシリティから第2のデータストレージファシリティへのデータセットのミラーリングコピーを確立させるオペレーションが,第1のアプリケーションと第1のデータストレージファシリティのデータとの間のオペレーションから影響を受けずに,すなわち 「独立して」行われることが慣用技術であるこ ,とを示している。
したがって,本件補正発明の相違点1に係る構成は,当業者が容易に想到し得るものである。
3取消事由3(相違点2についての判断の誤り)に対し原告は,審決が相違点2についての認定判断において「引用発明1において,相違点2に係る本件補正発明のように構成することは,当業者が適宜なし得た」ことの理由としているのは 「ディスク装置が二重化された計算機システムにおいて, ,通常二重化されているディスク装置を切り離した状態にして,バックアッププロセス等の処理動作を行う」ことという抽象的な技術事項ではなく,引用例2に基づいて認定したより具体的なバックアッププロセスであって,これは周知技術といえないから,審決の認定判断は,誤って周知技術と認定した技術事項に基づく点において誤りであると主張する。
しかしながら,審決は,相違点2についての認定判断において 「ディスク装置,が二重化された計算機システムにおいて,通常二重化されているディスク装置を切り離した状態にして,バックアッププロセス等の処理動作を行う」という周知技術を示すために,引用例2を挙示したものであって,引用例2に基づき,原告の主張する「具体的なバックアッププロセス」を認定したものではない。そして,上記周知技術は,引用例2のほか,1995年(平成7年)8月1日発行の渡辺榮一他著「システム-オンライントランザクション処理- (乙第4号証)のようなOLTP 」一般的な解説書や,一般的な雑誌である「日経エレクトロニクス」609号(平成6年6月6日発行)所収の中村正弘による「複製ファイルの非同期更新が分散データベースの中心技術に-2相コミットの代替手段として浮上-」と題する解説記事(乙第5号証)にも記載されており,本件特許出願に係る優先権主張日(平成8年5月31日)当時,周知であったことは明らかである。
,, ,「 」, また 原告は 引用例2記載の発明においては独立のオペレーションとして運用管理プロセスからの片系閉塞指示が出され,正系ディスクと予備系ディスクとが切り離されるものではないと主張するが 「独立のオペレーション」というよう ,な場合の「独立」との用語が,アプリケーション・レベルから独立してという意味で用いられることは周知であり,したがって,本件補正発明の相違点2に係る構成が「独立のオペレーションとして」としたことに格別の意義はなく,上記主張は失当である。
4取消事由4(相違点3についての判断の誤り)に対し原告は,引用例3記載の「業務タスク5によって処理データを2重化ディスクとして使用しているディスクA,Bに格納するオンライン業務」において,第1のデータストレージファシリティに関するミラーとして第2のデータストレージファシリティにデータセットのコピーを「確立」させるための,業務タスク5によるアプリケーションアクセスが 「第1のアプリケーションと第1のデータストレージフ ,ァシリティのデータとの間のオペレーション」と「同時且つ独立して」行われるものではなく,また,引用例3記載の「各タスクは,アクセス対象のディスクがどれなのかをプログラム上で意識する必要はない」ことが,第1のアプリケーションと第1のデータストレージファシリティのデータとの間のオペレーション」と「独立して」行われるものでもないと主張する。
しかしながら,本件補正発明の相違点3に係る「オペレーションと独立」との規定に格別の意義がないことは上記3の場合と同様であるから,上記主張は理由がない。
5取消事由5(拒絶理由通知の懈怠)に対し原告は,審決が引用例2によって認定した技術事項が周知技術といえるようなものではないことを前提として,引用例2を含む拒絶の理由につき,拒絶理由通知を,, , 懈怠した違法があると主張するが 審決が 相違点2についての認定判断において「ディスク装置が二重化された計算機システムにおいて,通常二重化されているディスク装置を切り離した状態にして,バックアッププロセス等の処理動作を行う」という周知技術を示すために,引用例2を挙示したものであることは,上記3のとおりであるから,原告の主張は前提を欠くものであって,失当である。
6取消事由6(忌避事由を有する審判官の審決関与)に対し原告は,審決の構成審判官の1人であるM審判官が,本件特許出願に係る情報提供者の案件を多く手がけている弁理士が所属する弁理士事務所に入所予定であったとして,M審判官につき忌避事由が存在すると主張するが,原告主張の上記事実のみでは忌避の原因となるべき,審判官と具体的事件との間に客観的に公正な審判を期待し得ないような,人的,物的に特殊な関係がある場合には当たらない。
したがって,原告の上記主張は失当である。
第5当裁判所の判断1取消事由1(一致点の認定の誤り)について( )本件補正発明の「同時で並列に「同時且つ独立して」等の意義 1 」,原告の「引用発明1の認定の誤り」の主張は,本件補正発明における「同時で並列に「同時且つ独立して」等の意義が,原告主張のとおりであることを前提とす 」,るので,まず,この点から判断する。
本件補正発明における「同時で並列に (要件)「独立のオペレーションとし 」),Bて (要件)の )「並行に (要件)の )「同時且つ独立して (要件)) 」),」),」 CiCii Dの各用語の意義について直接定義ないし説明した箇所は,本願明細書に見当たらない。
そうであれば,これらの用語は,通常の技術用語としての意義を有するものとした場合に,特許請求の範囲及び発明の詳細な説明の記述と矛盾しなければ,そのような意義を有するものとして理解すべきものであるから,以下,この点について検討する。
ア「同時で並列に (要件 ))について 」B(ア)原告が引用する「情報処理用語大事典」には,複数の情報処理に係る「並列」に関連する用語として 「並列操作()」につき「複数個の作業 ,parallel operationおよび操作を同時に行うこと 」との,また 「並列処理()」につ 。, parallel processing「 。 き 演算や処理の高速化のためひと続きの処理を分割し同時に並列に処理すること計算機の高速処理技術の一つであり,これには命令やデータの並列処理,プログラムや演算の多重化なども含み,パイプライン方式,アレイプロセッサ,多重演算などの実際的手法がある 」との説明が付されている(甲第29号証の6 。そうする 。 )と 「並列」の意義中には,すでに「同時」の概念が含まれており,また 「並列」 , ,,「」 「」 。, 処理には多重化 や 多重演算 も含まれているということができる さらに「情報処理用語大事典」の「同時処理()」の項目は 「並行処concurrent processing ,理」と同義としており(同号証の4「並行処理()」について ),concurrent processingは「複数の処理を同時に行う形態。特定の計算機では複数のレジスタをもつアーキテクチャによって同時に二つ以上の命令を実行できる。多重処理を含めていうこともある 」との説明が付されているから(同号証の6「同時」処理も多重化処理 。 ),を含むものということができる。したがって 「並列」や「同時」という用語は, ,通常の技術用語としては,多重化処理のように,複数の処理を時間区分に分割して行い,ある時点ではいずれか一つの処理実体のみが処理されているが,一定の時間間隔をとれば複数の処理実体が同時に処理されている場合を含むものと認められる。
(イ)他方,本件補正発明の要旨の要件)は 「第1のアプリケーションと第1B ,のデータストレージファシリティのデータとの間のオペレーション」と,第2のデータストレージファシリティが「第1のデータストレージファシリティからデータを受け」る処理とが 「同時で並列に」なされていることを規定するものであると ,ころ,この「同時で並列に」との規定が,複数の処理を時間区分に分割して行い,ある時点ではいずれか一つの処理実体のみが処理されているが,一定の時間間隔をとれば複数の処理実体が同時に処理されているような場合を含むと理解しても,矛盾なく理解し得るものである。
(ウ)原告は,上記「同時で並列に」との規定が,原告主張のとおりの意義を有するとする根拠として 本願明細書の発明の詳細な説明の記載 上記第3の1の( ) , (2),,() のイの(ア)のa〜c を挙げるが 原告挙示の各記載は 各オペレーション 処理が「同時で並列に」なされるための具体的な技術手段の記載を含むものではなく,複数の処理を時間区分に分割して行い,ある時点ではいずれか一つの処理実体のみが処理されているが,一定の時間間隔をとれば複数の処理実体が同時に処理されているような場合を含むと理解しても,矛盾なく理解し得ることに変わりはない。
(エ)そうすると 「同時で並列に (要件))の意義については,複数の処理 ,」Bを時間区分に分割して行い,ある時点ではいずれか一つの処理実体のみが処理されているが,一定の時間間隔をとれば複数の処理実体が同時に処理されているという意義を含むものとして理解するのが相当である。原告は,多重化処理を排斥すると主張するが,そのように解さなければならない根拠はない。
イ「同時且つ独立して (要件))について」 D(ア)「情報処理用語大事典」の「同時処理(並行処理 」の項目が,多重化処 ), 。,, 理を含むものとしていることは 上記アの(ア)のとおりである また 同事典には複数の情報処理に係る「独立」に関連する用語として 「独立ユーティリティプロ ,グラム」につき「主に直接アクセスボリュームの初期設定や,オペレーティングシステム運用の準備に使われるプログラム。オペレーティングシステム()とはOS完全に独立して動作し,各種のサービスプログラムによって構成される 」との説。
明が付され(甲第29号証の5 ,この場合には,各種のサービスプログラム(ア )プリケーションプログラムの一種ということができる )がオペレーションシステ 。
「」。, ムとは独立して動作するという意味合いで 独立 の語が用いられている そして多重化処理のように,複数の処理を時間区分に分割して行い,ある時点ではいずれか一つの処理実体のみが処理されているが,一定の時間間隔をとれば複数の処理実体が同時に処理されているような場合は,アプリケーションプログラムからみれば複数の処理が同時に行われているといえるから,他の処理とは「独立に」実行されているということができる。したがって 「独立」や「同時」という用語は,通常 ,,, , の技術用語としては 多重化処理のように 複数の処理を時間区分に分割して行いある時点ではいずれか一つの処理実体のみが処理されているが,一定の時間間隔をとれば複数の処理実体が同時に処理されている場合を含むものと認められる。
(イ)他方,本件補正発明の要旨の要件)は 「前記確立させ,切断させ,終了D ,させる各オペレーションのアクセスが,第1のアプリケーションと第1のデータストレージファシリティのデータとの間のオペレーションと同時且つ独立して生じる」と規定するところ,この「確立させ」は,要件)の「第1の()BESTABLISHコマンドに応答して第1のデータストレージファシリティに関するミラーとして第」, 2のデータストレージファシリティにデータセットのコピーを確立させ ることを「切断させ」は,要件) )の「第1のアプリケーションに応答して,独立のオペC iレーションとして,第2のデータストレージファシリティを第1のデータストレージファシリティから切断 することを終了させ は 要件 )に含まれている 第 」,「」 ,「 D3の(,,,,(2ESTABLISHREESTABLISHRESTOREINCREMENTALRESTORE76))コマンドに応答して,第2のコマンドに応答するオペレーションを終了させ ることを それぞれ指しており これらの各オペレーションのアクセスが第 」,, ,「1のアプリケーションと第1のデータストレージファシリティのデータとの間のオペレーションと同時且つ独立して生じる」という趣旨であると解される。そうであれば,この「同時且つ独立して」との規定は,複数の処理を時間区分に分割して行い,ある時点ではいずれか一つの処理実体のみが処理されているが,一定の時間間隔をとれば複数の処理実体が同時に処理されているような場合を含むと理解しても,上記「前記確立させ,切断させ,終了させる各オペレーションのアクセスが,第1のアプリケーションと第1のデータストレージファシリティのデータとの間のオペレーションと同時且つ独立して生じる」との規定は,矛盾なく理解し得るものである。
(ウ)原告は,上記「同時且つ独立して」との規定が,原告主張のとおりの意義を有するとする根拠として,本願明細書の発明の詳細な説明の記載(上記第3の1の( )のイの(ウ))を挙げるが,原告挙示の記載は,各オペレーション(処理)が2「」 , 同時且つ独立して なされるための具体的な技術手段の記載を含むものではなく複数の処理を時間区分に分割して行い,ある時点ではいずれか一つの処理実体のみが処理されているが,一定の時間間隔をとれば複数の処理実体が同時に処理されているような場合を含むと理解しても,矛盾なく理解し得ることに変わりはない。
なお,少なくとも「切断させ (要件) )る処理の際には,本件補正発明におい 」C iて,複数の処理を時間区分に分割して行い,ある時点ではいずれか一つの処理実体のみが処理されているが,一定の時間間隔をとれば複数の処理実体が同時に処理されているような態様の処理がなされているものと認められることは,後記ウの(ウ)のとおりである。
(エ)そうすると 「同時且つ独立して (要件))の意義については,複数の ,」D処理を時間区分に分割して行い,ある時点ではいずれか一つの処理実体のみが処理されているが,一定の時間間隔をとれば複数の処理実体が同時に処理されているという意義を含むものとして理解するのが相当である。原告は,多重化処理を排斥すると主張するが,そのように解さなければならない根拠はない。
ウ「独立のオペレーションとして (要件 )の ))について 」Ci(ア)「独立」という用語が,通常の技術用語としては,多重化処理のように,複数の処理を時間区分に分割して行い,ある時点ではいずれか一つの処理実体のみが処理されているが,一定の時間間隔をとれば複数の処理実体が同時に処理されている場合を含むものと認めることができることは,上記イの(ア)のとおりである。
,「 , (イ)本件補正発明の要旨の要件 ) )は第1のアプリケーションに応答してC i独立のオペレーションとして,第2のデータストレージファシリティを第1のデータストレージファシリティから切断し」とするが,この規定は 「第1のアプリケ,ーションと第1のデータストレージファシリティのデータとの間のオペレーション」から「独立のオペレーションとして」なされるとの趣旨であると解されることは,上記イの(イ)のとおりであり(もっとも 「第1のアプリケーションに応答し ,て」の部分の技術的意義が明確ではなく,容易想到性の判断は,この部分を除外して行わざるを得ないことは,後記3の( )のとおりである,そうであれば 「独2 。),立のオペレーションとして」との規定は,複数の処理を時間区分に分割して行い,ある時点ではいずれか一つの処理実体のみが処理されているが,一定の時間間隔をとれば複数の処理実体が同時に処理されているような場合を含むと理解しても,矛盾なく理解し得るものであることも,上記イの(イ)と同様である。
(ウ)原告は,上記「独立のオペレーションとして」との規定が,原告主張のとおりの意義を有するとする根拠として,本願明細書の発明の詳細な説明の記載(上記第3の1の( )のイの(イ))を挙げるが,原告挙示の記載は,各オペレーション2が「独立のオペレーションとして」なされるための具体的な技術手段の記載を含むものではなく,複数の処理を時間区分に分割して行い,ある時点ではいずれか一つの処理実体のみが処理されているが,一定の時間間隔をとれば複数の処理実体が同時に処理されているような場合を含むと理解しても,矛盾なく理解し得ることに変わりはない。
のみならず,本願明細書には,原告が引用する「図14に示したようにこの手続は・・・動作不可能()状態に置く事により切断される(35頁26行〜3NR 。」6頁14行)との記載中に 「ステップ255において,装置226のための ,BCV装置コントローラはコマンド又はリクエストを受け入れる。M1及びM2 SPLITミラー装置224及び225はコマンドへの応答中,いかなるアクティビ SPLITティーをも阻止する。これは,コマンドへの応答の処理中,他のホストから SPLIT。」(), 装置へ転記される新たな書き込みを阻止する36頁5〜9行 との記載があり図11を参照すると,この記載は,コマンド(第2のコマンド)が発行されSPLITた場合には,これに応答した処理が終了するまで,M1及びM2ミラー装置224及び225(第1のデータストレージファシリティ)に対するすべての書込み(したがって,第1のアプリケーションからの書込みも)中断されるということであるから,要件) )の「切断」の際に,ある時点ではいずれか一つの処理実体のみがC i処理されているが,一定の時間間隔をとれば複数の処理実体が同時に処理されているという態様の処理がなされていることを示唆するものというべきである。
(エ)そうすると 「独立のオペレーションとして (要件) ))の意義につい , 」C iては,複数の処理を時間区分に分割して行い,ある時点ではいずれか一つの処理実体のみが処理されているが,一定の時間間隔をとれば複数の処理実体が同時に処理されているという意義を含むものとして理解するのが相当である。原告は,多重化処理を排斥すると主張するが,そのように解さなければならない根拠はない。
エ上記ア〜ウのとおり,少なくとも 「同時で並列に (要件)「独立のオ ,」),Bペレーションとして (要件 )の )「同時且つ独立して (要件))の各用語の 」),」 Ci D意義は,複数の処理を時間区分に分割して行い,ある時点ではいずれか一つの処理実体のみが処理されているが,一定の時間間隔をとれば複数の処理実体が同時に処理されているという意義を含むものとして理解することができるものである。
( )引用発明1の認定について2原告は,審決の引用発明1についての「 )プライマリデバイスに対応するよう Aにセカンダリデバイスを構成し, )セカンダリデバイスをプライマリデバイスと B並列に接続することにより,アプリケーション・レベルのホスト・プログラミング, 」,「」 と無関係に 領域上の2つの同一のコピーを維持(する) との認定中無関係にとの文言は,本件補正発明の要件)に係る「同時で並列に」と同義のものとしてB用いられているが,引用発明1においては,ホスト・プログラムとプライマリデバイスとの間のオペレーションは,プライマリデバイスからセカンダリデバイスへのコピー処理がなされている間は中断されるものであるから,各オペレーションが,「互いに干渉しないように「単独で「完全に独立して「同時」かつ「並行」 」,」,」,に行われるという意味である,本件補正発明の「同時で並列に」と同一の意味で,ホスト・プログラムと「無関係に」コピー処理が行われるものではなく,上記審決の認定は誤りであると主張する。
,,「 , しかしながら 引用例1にはホスト・プログラムがデュアルコピーを設定し2つのを『デュプレックス・ペア』として認識した場合,モデルはDASD 39903アプリケーション・レベルのホスト・プログラミングと無関係に,あるボリュームの2組の全く同一のコピーを保持します(翻訳文1頁9〜12行,なお,審決5 。」頁6〜9行は,多少訳文の字句を異にするものの,この記載を引用例1の記載事項として認定している )との記載があり,審決の引用発明1に係る「無関係に」と 。
の部分の認定は,この記載によるものと認められる。そして,たとえ,この「無関係に」との文言が,本件補正発明の要件)に係る「同時で並列に」と同義のものBとして用いられており,かつ,引用発明1においては,ホスト・プログラムとプライマリデバイスとの間のオペレーションは,プライマリデバイスからセカンダリデバイスへのコピー処理がなされている間は中断されるものであるとしても,本件補正発明の要件)に係る「同時で並列に」の要件が,複数の処理を時間区分に分割Bして行い,ある時点ではいずれか一つの処理実体のみが処理されているが,一定の時間間隔をとれば複数の処理実体が同時に処理されているという意義を含むものと解されることは,上記( )のとおりであるから,引用発明1において,本件補正発1明の「同時で並列に」と同一の意味で,ホスト・プログラムと「無関係に」コピー,, 処理が行われるものではないとする原告主張を採用することはできず したがって審決の引用発明1の認定に原告主張の誤りはない。
( )「一致点の認定の誤り1」について3原告の「一致点の認定の誤り1」に関する主張は,審決の引用発明1の認定に原告主張の誤りがあることを前提とするものであるところ,その前提を欠くことは,上記( )のとおりであるから,原告の主張を採用することはできない。
2( )「一致点の認定の誤り2」について 4本件補正発明と引用発明1とが「 )第2のコマンドに応答して,i)第2のデー Cタストレージファシリティを第1のデータストレージファシリティから切断し,第2のデータストレージファシリティのメモリミラーファンクションを終了させ」る点で一致するとした審決の認定に関し,原告は,本件補正発明においては,第2のコマンド()に応答して,メモリミラーファンクションを終了させた後,第SPLIT2のデータストレージファシリティは,デュプレックス状態を終了させて,第2のアプリケーション用に使用できるものであるのに対し,引用発明1は,デュプレックス・ペアを構成する第1及び第2のデータストレージファシリティのいずれか一方が故障した場合にのみ,かつ,第2のデータストレージファシリティのメモリミラーファンクションとは無関係に(すなわち,デュプレックスペンディング状態にある場合にも)第2のコマンド(サスペンディドデュプレックスに変更する要求)が発行され,これに応答して,故障したデータストレージファシリティと正常なデータストレージファシリティとをデュプレックス・サスペンディド状態にするものであるから,引用発明1の第2のコマンド(サスペンディドデュプレックスに変更する要求)は本件補正発明の第2のコマンド()に相当するものではなく,SPLIT審決の上記一致点の認定は誤りであると主張する。
しかしながら,本願明細書には,第2のコマンド()に応答するオペレーSPLITションを終了させる第3のコマンドの一つである「」コマンドに関し, RESTORE「コマンドはミラーデバイス224及び225に対するデバイス RESTORE BCV226のデータを全て復元する。障害がM1及びM2ミラーデバイス224及び225で発生するならば,このプロシージャは有用であり,デバイス226はBCV有効なコピーを有する。例えば,ボリュームBアプリケーション222がバックアップオペレーションであるならば,データはデバイスにおいて変化しない。
BCVM1及びM2ミラーデバイス224及び225の両方におけるデータセットが無効RESTORE であるように ディスク障害又はファイル破損イベントが生じるならば , ,コマンドが,デバイス226からの以前のコマンドの当時存在していBCV SPLITたバージョンのM1及びM2ミラーデバイス224及び225におけるデータを復元する(42頁9〜18行)との記載があり,図11を参照すると 「M1及び 。」 ,M2ミラーデバイス224及び225」は 「第1のデータストレージファシリテ ,ィ」に相当するから,上記記載により,本件補正発明において,第3のコマンドの前提となる第2のコマンド()が,第1のデータストレージファシリティがSPLIT故障した場合にも発行されることが認められる。また,引用発明1の第2のコマンド(サスペンディドデュプレックスに変更する要求)が,デュプレックス状態において発行されることがあることも明らかである。そうすると,引用発明1の第2のコマンド(サスペンディドデュプレックスに変更する要求)は本件補正発明の第2のコマンド()に相当するものではないとする原告の主張を採用することはSPLITできず,したがって,審決の上記一致点の認定に原告主張の誤りはない。
( )「一致点の認定の誤り3」について5本件補正発明と引用発明1とが 「第3のコマンドに応答して,第2のコマンド ,に応答するオペレーションを終了させる,ステップを有するアクセスを制御する方法」である点で一致するとした審決の認定に関し,原告は,本件補正発明において,(,,,,) は 第3の ESTABLISH REESTABLISH RESTORE INCREMENTAL RESTOREコマンドに応答して 「第2のコマンドに応答するオペレーション」を終了させ, ,その終了のオペレーションのアクセスが第1のアプリケーションと第1のデータストレージファシリティのデータとの間のオペレーションと「同時かつ独立して ,」すなわち 「互いに干渉しないように「単独で「完全に独立して「同時」か , 」,」,」,つ「並行」に,生じるものであるのに対し,引用発明1の第3のコマンド(デュプレックス・ペアの開始の命令。第1のコマンドと同じ )は,第1のデータストレ 。
ージファシリティと第2のデータストレージファシリティとの間のミラーリングコピーを実行するもので 「第2のコマンドに応答するオペレーション」を終了させ ,るものではなく,かつ,ホスト・プログラム(第1のアプリケーション)とプライ( ) , マリデバイス 第1のデータストレージファシリティ との間のオペレーションとプライマリデバイスからセカンダリデバイス(第2のデータストレージファシリティ)へのコピー処理とは 「同時かつ独立して ,行われるものではないから,審決 ,」の上記一致点の認定は誤りであると主張する。
しかしながら,本件補正発明においても,第1のコマンドと同一である「」コマンドが第3のコマンドの一つでもあるから 「」ESTABLISH ESTABLISH ,コマンドに応答してなされる,第1のデータストレージファシリティと第2のデータストレージファシリティとの間のミラーリングコピーの確立は 「第2のコマン,」 , ドに応答するオペレーション を終了させるものとされていることが明らかでありかつ,引用発明1の「デュプレックス・ペアの開始の命令」に応答して行われるホスト・プログラムとプライマリデバイスとの間のオペレーションと,プライマリデバイスからセカンダリデバイスへのコピー処理とが 「同時かつ独立して ,行われ ,」るものではないとの原告主張が失当であることは,上記( ),( )のとおりであるか23ら,引用発明1の「デュプレックス・ペアの開始の命令」は本件補正発明の第3の, 。 コマンドに相当するものであり 審決の上記一致点の認定に原告主張の誤りはない2取消事由2(相違点1についての判断の誤り)について原告は,審決が,相違点1についての判断において 「複数のデータストレージ ,に同一のデータを保持するものにおいて,第2のデータストレージファシリティがアプリケーションが書き込み対象とする第1のデータストレージファシリティからアプリケーションの動作と同時で並列にデータを受けるよう構成することは,慣用の技術にすぎない」と認定した点に関し,本件補正発明の要件)に係る「同時でB並列に」とは,第1のデータストレージファシリティから第2のデータストレージファシリティへのデータセットのミラーリングコピーを確立させるオペレーションと,第1のアプリケーションと第1のデータストレージファシリティのデータとの間のオペレーションとが 「互いに干渉しないように「単独で「完全に独立し , 」,」,て「同時」かつ「並行」に行われることを意味するものであるところ,周知例と 」,して審決が挙示した特開平7-244597号公報及び特開平7-262070号公報にも,本訴において被告が挙示する特開昭55-34756号公報(乙第1号証)及び特表平8-509565号公報(乙第2号証)にも,第1のアプリケーションと第1のデータストレージファシリティのデータとの間のオペレーションと「同時で並列に」第2データストレージファシリティが第1のデータストレージファシリティからデータを受けることは記載されていないから,審決の上記慣用技術の認定は誤りであり,これを前提とする相違点1についての判断も誤りであると主張する。
しかしながら,本件補正発明の要件)に係る「同時で並列に」との規定が,複B数の処理を時間区分に分割して行い,ある時点ではいずれか一つの処理実体のみが処理されているが,一定の時間間隔をとれば複数の処理実体が同時に処理されているという意義を含むものと解されることは,上記1の( )のとおりである。
1そして,特開平7-244597号公報(甲第12号証)には,直接アクセス記憶装置()データのリアルタイム遠隔コピーのためのシステムに関し 「遠DASD ,隔データの二重化は,同期と非同期の2つの一般的なカテゴリに分けられる。同期遠隔コピーでは,一次データを二次側に送り,一次の入出力操作を終了す DASDる(一次ホストにチャネル終了()と装置終了()を出力する)前にこのよ CEDEうなデータの受取りを確認する必要がある。このため,同期コピーでは,二次側の, 。」(【】, 確認を待っている間に 一次の入出力応答時間が遅くなる段落DASD 0017なお,この部分は,従来技術の指摘という趣旨で記載されている )との記載があ。
,, (),, り また 特開平7-262070号公報 甲第13号証 には 従来技術に関し「実時間遠隔データ2重化システムは,更新シーケンスの保全性を2次または遠隔データ・コピーとして保証する特定の手段を必要とする。これを達成する1DASDつの方法では,サブシステムを制御する同期システムを提供する。こうした DASDシステムでは,1次書込みオペレーションは,そのデータのコピーが2次 DASD位置において確認されるまで,実行されない。こうした同期システムの問題は,2。」(【】) 重化システムの全体的なオペレーションを低速化することである段落0003との記載がある。そうすると,これらの発明は,1次側(第1のデータストレージファシリティ)から2次側(第2のデータストレージファシリティ)へのデータのコピーが終了(確認)されるまで,1次側データへの書込み等のオペレーションが中断されるというものではあっても,データのコピーが終了すれば,1次側データへのオペレーションは再開される(したがって,全体としての1次側データへのオペレーションの間に,2次側が1次側のデータのコピーを受ける)構成といえるのであるから,複数の処理を時間区分に分割して行い,ある時点ではいずれか一つの処理実体のみが処理されているが,一定の時間間隔をとれば複数の処理実体が同時に処理されているということができるものである。そして,これらの発明が,上記各刊行物において従来技術として記載されていることにかんがみれば,このような技術が,本件特許出願に係る優先権主張日(平成8年5月31日)において,慣用技術であったものと認めることができる。
そうすると,本訴において被告が挙示する特開昭55-34756号公報(乙第1号証)及び特表平8-509565号公報(乙第2号証)について検討するまでもなく,審決が 「複数のデータストレージに同一のデータを保持するものにおい ,て,第2のデータストレージファシリティがアプリケーションが書き込み対象とする第1のデータストレージファシリティからアプリケーションの動作と同時で並列にデータを受けるよう構成することは,慣用の技術にすぎない」と認定したことに原告主張の誤りはなく,したがって,この認定を前提とする相違点1についての判断にも誤りはない。
3取消事由3(相違点2についての判断の誤り)について( )引用例1には,引用発明において,第2のコマンド(サスペンディドデュ1プレックスに変更する要求)が発行される場合として,デュプレックス・ペアを構成するプライマリデバイス及びセカンダリデバイスのいずれか一方が故障した場合のみが記載されているところ(翻訳文3頁14行〜4頁2行 ,原告は,セカンダ)リデバイスが故障した場合には,その使用は停止されるから,審決の相違点2の認定のうち 「二つのデバイスが切り離されている状態においては,セカンダリデバ ,イスは直接アドレス可能である」とする部分は誤りであると主張する。
しかしながら,引用例1の上記記載によれば,引用発明1において,第2のコマンドが発行される場合として,プライマリデバイスが故障した場合を含むことが認められ,この場合には,セカンダリデバイスは直接アドレス可能であることは明らかであり(引用例1には,故障したデバイスは,必ずセカンダリデバイスになるとか,故障したのがプライマリデバイスである場合,プライマリデバイスとセカンダリデバイスとが交代するという趣旨の記載があるが(翻訳文4頁3〜5行,5頁23〜24行 ,これは,ホスト・システムが機能するデバイスをプライマリデバイ ), , スとするということを前提にして 故障しなかったデバイスをプライマリデバイス故障したデバイスをセカンダリデバイスと認識し,ホスト・システムが故障しなか( ), ったデバイスとの間で機能するという趣旨であるから 翻訳文4頁12〜15行プライマリデバイスが故障した場合には,ホスト・システムは,従前のセカンダリデバイスに対しアクセスすることを意味するものである。なお,審決は 「第2の,アプリケーションを利用するために,デバイス(セカンダリデバイス)を接続すること」は相違点として認定している,上記主張を採用することはできない。 。)( )原告は,相違点2についての判断において審決がした「ディスク装置が二2重化された計算機システムにおいて,通常二重化されているディスク装置を切り離した状態にして,バックアッププロセス等の処理動作を行うことは,例えば引用例2に記載されているように周知技術と認められる」との認定に関し,審決が,相違点2について「引用発明1において,相違点2に係る本件補正発明のように構成することは,当業者が適宜なし得た」と判断したことの理由とされているのは,上記のような抽象的な技術事項ではなく,引用例2に基づいて認定したより具体的なバックアッププロセスであり,この具体的なバックアッププロセスが,上記優先権主張日において周知技術であったと認定することはできないから,審決の上記認定判断は,誤って周知技術と認定した技術事項に基づく点において誤りであると主張する。そして,原告が,審決の相違点2についての判断において理由とされたのが,上記「ディスク装置が二重化された計算機システムにおいて,通常二重化されているディスク装置を切り離した状態にして,バックアッププロセス等の処理動作を行うこと」ではなく,より具体的なバックアッププロセスであるとするのは,審決の「引用例2・・・には 『片系閉塞指示』として,業務プロセスに応答して,運用 ,管理プロセスがメモリミラーファンクションを終了させ,その後,業務プロセスが正系ディスクに対して業務処理を行うのと平行して,切り離された予備系ディスク装置に対して,バックアッププロセス104がアクセスを行うことが記載されている。引用例2の 『片系閉塞指示』は,本件補正発明の 『第2の()コマ , ,SPLITンド』に相当するものであり,引用例2の『業務プロセス『運用管理プロセス』 』,は,それぞれ,本件補正発明の『第1のアプリケーション 『独立のオペレーショ 』ン』に対応させることができ,二重化されているディスク装置を切り離すことはバックアッププロセスを利用するために行われるから,相違点1における第2のデータストレージファシリティをアドレスする第2のアプリケーションを利用可能とするために第2のストレージファシリティを再接続させることに相当する。したがって,前記相違点2に相当する事項は,引用例2に記載されるような周知技術のバックアッププロセスと比較して異なるものと認めることはできず」との説示を根拠とするものであると解される。
しかしながら,引用発明1に係る相違点2に関する事項は 「ミラーファンクシ,ョンを終了させるコマンドが,第1のアプリケーションに応答して,独立のオペレーションとして与えられること」が示されていないことと 「二つのデバイスが切 ,り離されている状態において,第2のアプリケーションを利用するために,デバイス(セカンダリデバイスを指す )を接続すること」が示されていないことの2点 。
である。そして 「ディスク装置が二重化された計算機システムにおいて,通常二 ,重化されているディスク装置を切り離した状態にして,バックアッププロセス等の処理動作を行うこと」が周知技術であるとすれば,この技術は,通常業務プロセスを第1のアプリケーションとした場合に,第2のアプリケーションに相当する「バックアッププロセス等」が,2次側の記憶装置を対象として処理を行うという趣旨であるから(そうでなければ,通常二重化されているディスク装置を切り離した状態にする意味がなくなる。このような意味で 「ディスク装置が二重化された計算 ,, , 機システムにおいて 通常二重化されているディスク装置を切り離した状態にしてバックアッププロセス等の処理動作を行うこと」が周知技術であると認められることは後記のとおりである引用発明1に上記周知技術を適用することにより二 。), ,「つのデバイスが切り離されている状態において,第2のアプリケーションを利用するために,デバイス(セカンダリデバイス)を接続する」構成を,容易に得られることが認められる。
これに対し 「ミラーファンクションを終了させるコマンドが,第1のアプリケ ,ーションに応答して,独立のオペレーションとして与えられることが示されていること」は,上記周知技術と直接関係する技術事項ではない。しかしながら 「ミラ,ーファンクションを終了させるコマンドが,第1のアプリケーションに応答して,独立のオペレーションとして与えられる」ということのうちの(すなわち,本件補正発明の要旨の「 )第2の()コマンドに応答して, )第1のアプリケーCSPLIT iションに応答して,独立のオペレーションとして,第2のデータストレージファシリティを第1のデータストレージファシリティから切断し」との規定のうちの ,)「 ,」,, 第1のアプリケーションに応答しての技術的意義は そもそも明確ではなく相違点2に関する容易想到性の判断は,この部分を除外して行わざるを得ない(ちなみに,本件補正発明に対応する発明が記載された米国特許公報(甲第4号証)のC in response to a second command: i detaching the second data storage 当該箇所は 「 ) ) ,facility from the first data storage facility independently of operations in response to the・・・ (31欄15〜19行)とされており,これは「 )第2の first application C 」コマンドに応答して: )第1のアプリケーションに応答するオペレーションから独i立して,第2のデータストレージファシリティを第1のデータストレージファシリティから切断し」ということであるから,その趣旨は明確である。そうすると,。)残るのは「独立のオペレーションとして」という部分であるが,上記1の( )のと1おり,本件補正発明のこの規定は 「第1のアプリケーションと第1のデータスト ,レージファシリティのデータとの間のオペレーション」から「独立のオペレーションとして」なされるとの趣旨であって 「独立のオペレーションとして」なされる ,とは,複数の処理を時間区分に分割して行い,ある時点ではいずれか一つの処理実体のみが処理されているが,一定の時間間隔をとれば複数の処理実体が同時に処理されているという意義を含むものとして理解されるのであり,結局 「第1のアプ,リケーションと第1のデータストレージファシリティのデータとの間のオペレーション」と「第2のデータストレージファシリティを第1のデータストレージファシリティから切断するオペレーション」とが,これら複数の処理を時間区分に分割して行い,ある時点ではいずれか一つの処理実体のみが処理されているが,一定の時間間隔をとれば複数の処理実体が同時に処理されているという場合を含んでいるということであるところ,上記の「独立のオペレーションとして」の意義は 「情報,処理用語大事典 (甲第29号証の1〜6。同書が,本件特許出願に係る優先権主 」張日(平成8年5月31日)前である平成4年11月25日に発刊された,本件補正発明の技術分野と同一又は近接する技術分野における一般的な辞典であることは,原告が自認するところである )に掲記された説明に基づくものであるから, 。
「ミラーファンクションを終了させるコマンド」が,このような意味で「独立のオ」, , ペレーションとして 与えられる技術も 本件特許出願に係る優先権主張日の当時周知技術であったというべきである。
したがって,本件補正発明の相違点2に係る構成は,引用発明1に上記各周知技術を適用して,当業者が適宜なし得たものというべきであり,審決の認定判断は,「ディスク装置が二重化された計算機システムにおいて,通常二重化されているディスク装置を切り離した状態にして,バックアッププロセス等の処理動作を行うこと」という周知技術による部分が,相違点2のうちの「二つのデバイスが切り離されている状態において,第2のアプリケーションを利用するために,デバイスを接続すること」のみである点を看過したもので,正確性を欠くものではあるが,審決の結論に影響を及ぼす誤りがあるということはできない。なお,審決が,相違点2についての判断において 「引用例2・・・には 『片系閉塞指示』として,業務プ ,,ロセスに応答して,運用管理プロセスがメモリミラーファンクションを終了させ,その後,業務プロセスが正系ディスクに対して業務処理を行うのと平行して,切り離された予備系ディスク装置に対して,バックアッププロセス104がアクセスを。,『』 ,, 行うことが記載されている引用例2の片系閉塞指示 は 本件補正発明の『()』,『』, 第2のコマンド に相当するものであり 引用例2の 業務プロセスSPLIT『運用管理プロセス』は,それぞれ,本件補正発明の『第1のアプリケーション』『独立のオペレーション』に対応させることができ,二重化されているディスク装置を切り離すことはバックアッププロセスを利用するために行われるから,相違点1における第2のデータストレージファシリティをアドレスする第2のアプリケーションを利用可能とするために第2のストレージファシリティを再接続させることに相当する 」との説示を行ったのは,周知例として挙げた引用例2記載の技術を 。
例にとり,本件補正発明の相違点2に係る構成が,引用発明1に周知技術を適用して得られるとの論理過程を説明しようとする意図によるものであると認められ,上記の説示がなされたからといって,審決が,引用例2に基づいて認定したより具体的なバックアッププロセスに基づいて 「引用発明1において,相違点2に係る本 ,件補正発明のように構成することは,当業者が適宜なし得た」ものと判断したということはできない。
そこで,翻って 「ディスク装置が二重化された計算機システムにおいて,通常 ,二重化されているディスク装置を切り離した状態にして,バックアッププロセス等の処理動作を行うこと (通常業務プロセスを第1のアプリケーションとした場合 」に,第2のアプリケーションに相当する「バックアッププロセス等」が,2次側の記憶装置を対象として処理を行うという趣旨を含む )が,周知技術といえるかど 。
うかについて,検討する。
まず,引用例2には,従来技術として 「オンラインシステムのような24時間 ,連続運用するシステムにおいては,ファイル保護の信頼性向上を目的としてディスク装置を多重化,例えば,二重化して運用される。このように,ディスク装置が二重化された計算機システムに関して,バックアップ処理中は図5に示すように,片系のディスク装置を業務処理から切離し,一方の系で運用することにより,切り離されたディスク装置のバックアップを行なう方法がある(段落【「図5 。」】),0004において,バックアップ処理を行うときは,運用管理プロセス101は,副系ディスク装置92を業務処理から切り離すために,業務プロセス102に業務処理を一時中断させる。そのために,業務プロセス102に中断要求を出す。業務プロセス102は,業務処理の適当な区切りにおいて処理を中断し,中断したことを運用管理プロセス101に中断要求に対する応答として返す。該応答を運用管理プロセス101が受け取ると,運用管理プロセス101は,片系閉塞指示を2重化ディスクドライバ105に送り,副系ディスク装置92を業務処理から切り離す。運用管理プロセス101は,その後業務プロセス102に再開を指示する。以後は,2重化ディスクドライバ105とディスクドライバ107との間の,点線の矢印で示すやり取りは行われない。次に運用管理プロセス101はバックアッププロセス104にバックアップ処理の起動を指示する。バックアッププロセス104は,ディスクドライバ107と(磁気テープ装置)ドライバ8とを介して副系ディスク装置MT92の内容を94に転送する。バックアップ処理が終了後,運用管理プロセス MT101は,業務プロセス102を一時中断させて,副系ディスク装置を2重化ディスクドライバ105の管理下に戻させる(段落【)との各記載がある。ま 。」】0005た,1995年(平成7年)8月1日発行の渡辺榮一他著「システム-オン OLTPライントランザクション処理- (乙第4号証)には 「オペレータは,が予 」, RDF備データベースを凍結するように要求できる。は,データベースに更新を適 RDF,( )。 用することを止め 一貫性のある 部分的なトランザクションがない 状態にする, 。, そのようにした後で 予備データベースを使って報告書を作成すればよい この間トランザクションは,主データベースに基づいて実行されるが,予備データベースは静止したままである。報告書の作成が完了すると,オペレータは,が予備RDFデータベースの更新を再開するように指示できる。予備データベースが凍結されていた間も,災害予防策は依然として機能している。ジャーナルレコードが主システム上でつくられるとともに,はそれを予備システムヘコピーし続けるが,RDF更新の適用を遅らせる(88頁12〜20行)との記載があり 「日経エレクト 。」 ,ロニクス」609号(平成6年6月6日発行)所収の中村正弘による「複製ファイルの非同期更新が分散データベースの中心技術に-2相コミットの代替手段として浮上-」と題する解説記事(乙第5号証)中には 「複製という言葉からわかるよ ,うに,レプリケーション手法は複数のコンピュータに同じ内容のデータベースを重複してもつ環境で利用する。マスタのデータベースが更新されたときに,ネットワークを介してレプリカも同じように書き換える(101頁右欄1〜7行「レ 。」),プリカの更新は非同期で実行する。ここが重要である。つまりマスタの更新と,レプリカの書き換えには時間的なズレが生じる。システム全体でみると,データ内容。 , の整合性が一時的にとれていない状況になる これは理屈で言えば重大な欠陥だが現実の業務では多少のタイムラグは問題にならないことが多い。だれもが常に最新のデータを必要としているわけではないからである。1分遅れ,30分遅れ,場合によっては1日あるいは1ヵ月遅れで十分という業務も少なくない(102頁左。」欄2〜15行「図6レプリケーション機能を2相コミット機能の代替手段とし ),て利用する例更新処理をする「主」ファイルと参照処理だけの「副」ファイルを。」()。 明確に分けたシステム形態を採る必要がある108頁の図6 との記載があるこれらの記載には,ディスク装置が二重化された計算機システムにおいて,通常二重化されているディスク装置を切り離した状態にして 通常業務プロセス以外の バ ,「ックアッププロセス等 (引用例2の「バックアッププロセス ,乙第4号証の「報 」 」告書の作成 ,乙第5号証の「参照処理 )が,2次側のディスク装置(引用例2の 」 」「副系ディスク装置92 ,乙第4号証の「予備データベース (正確には,予備デ 」 」),「」), ータベースが格納されている記憶装置乙第5号証の レプリカを対象としてアクセスすることが開示されており,引用例2の上記記載が従来技術についてのものであること,乙第4,第5号証が一般的な解説書,雑誌であることを併せ考えると 「ディスク装置が二重化された計算機システムにおいて,通常二重化されてい ,るディスク装置を切り離した状態にして,バックアッププロセス等の処理動作を行うこと (通常業務プロセスを第1のアプリケーションとした場合に,第2のアプ 」リケーションに相当する「バックアッププロセス等」が,2次側の記憶装置を対象として処理を行うという趣旨を含む )が,周知技術といい得るものであることが 。
認められる。
なお,原告は,本件補正発明の要件) )の規定における「独立のオペレーショC iンとして」の意義が「互いに干渉しないように「単独で「完全に独立して , 」,」,」「同時」かつ「並行」に,実行されることを意味するものであると主張し,あるいは,引用発明1では,デュプレックス・ペアを構成するプライマリデバイス及びセカンダリデバイスがデュプレックス・サスペンディド状態となった後は,セカンダリデバイスの使用は停止されるとして,審決の相違点2についての認定判断が誤りであるとも主張するが,これらの主張を採用し得ないことは,すでに述べたとおりである。
4取消事由4(相違点3についての判断の誤り)について原告は,相違点3について,引用例3(特開平5-233162号公報。甲第11号証)の「業務タスク5によって処理データを2重化ディスクとして使用しているディスクA,Bに格納するオンライン業務中「データ退避の保守タスク6が起 」,動されると,業務タスク5と保守タスク6は1基ずつディスクを専用する「業務」,処理を継続したままディスクAまたはBから磁気テープ4へのデータ退避を並列処理することができる「各タスクは,アクセス対象のディスクがどれなのかをプロ 」,」,,「」, グラム上で意識する必要はない との各記載を それぞれ 本件補正発明の 確立「切断「オペレーションと同時「オペレーションと独立」に対応させること 」,」,ができ,本件補正発明の相違点3に係る構成(確立させ,切断させ,終了させる各オペレーションのアクセスが,第1のアプリケーションと第1のデータストレージ) , ファシリティのデータとの間のオペレーションと同時且つ独立して生じること は引用例3に記載された技術であって,引用例1において,上記本件補正発明の相違点3に係る構成とすることは,引用例3に記載された技術を付加するもので,当業者が適宜なし得たものとした審決の判断が誤りであると主張する。
しかるところ,引用例3には 「本発明は,多重化された補助記憶装置を備える ,無停止型計算機システムに係り (段落【「2重化ディスク装置3は,ディ 」】),0001スクA12およびB13を2重化ディスク装置として制御する2重化ディスク制御部11,ディスクA12,B13の現在の動作モードを保持するディスクモードテーブル10を具備している(段落【「本計算機システムはこのように構 。」】),0018成されているので,業務タスク5によって処理データを2重化ディスクとして使用しているディスクA,Bに格納するオンライン業務中に,データ退避の保守タスク6が起動されると,業務タスク5と保守タスク6は1基ずつディスクを専用することにより,業務処理を継続したままディスクAまたはBから磁気テープ4へのデータ退避を並列処理することができる(段落【「このように本実施例にお 。」】),0019けるシステムは,中央処理装置1が業務タスク5と保守タスク6を並列処理するマルチタスク機能を具備している。マルチタスク機能は中央処理装置1がひとつの計算機システムでは,複数のタスクの時分割処理によって実行される,一方,中央処理装置1が複数のマルチプロセッサシステムにおいては各タスクのディスクへのアクセスは,各プロッセッサ共通のによってシリアライズされる。このようにマOSルチタスク機能によれば,プロッセッサが1でも複数でもアクセスされるディスクはそれを意識する必要はない(段落【「業務タスク5と保守タスク6に 。」】),0020は各々がアクセス可能なディスク装置の動作モードを示す業務属性あるいは保守属性を異なるデータパターンで,たとえば図2のように00と11のパターンのようにテーブル7上で付与する。また,2重化ディスク装置3の各ディスクにもそれぞれ独立して設定し,変更可能な動作モード(業務モードまたは保守モード)を図3のようにテーブル10上に設定する。2重化ディスク制御部11は,業務属性のタスク5からのアクセス要求を業務モードの設定されているディスクAに,保守属性のタスク6からのアクセス要求を保守モードのディスクBに対処させる。つまり,タスクの属性とディスクの動作モードのパターンマッチングにより,各タスクがア。 , クセスできるディスクが限定される 各ディスクの動作モードを動的に変更すれば各タスクがアクセスできるディスクも動的に変更される。したがって各タスクは,アクセス対象のディスクがどれなのかをプログラム上で意識する必要はない(段。」落【「図4は,本システムにおける各タスクのアクセスと,2基のディス0021 】),クの動作遷移を示すフローチャートである。2重化ディスク装置3は,通常,両系とも業務モードに設定されている。これによって,2重化ディスク制御部11は業務タスク5からのアクセス要求があると,両系のディスク12,13に対して同様にアクセスし 両系の記憶内容を同一に保っている 区間a段落区 , ()。」(【】),「0022間aの状態で,コンソール2などからデータ退避の割込みコマンドが投入されると保守タスク6が起動され,本システムは業務タスク5と保守タスク6の並列処理を開始する。まず,保守タスク6は保守モード設定要求を出し,この要求を受けた2重化ディスク制御部11は2重系の片系,本例ではディスクBを保守モードに設定変更する。この結果,ディスクBは業務タスク5からはアクセス不可能になり,データ更新を停止される。この間も,ディスクAは業務モードを保持しているので,業務タスク5は業務モードのディスクAを用いて業務処理を継続する。ついで,保守タスク6は2重化ディスク制御部11にデータ読出し要求を出す。データ退避タスク6は保守属性を持っているので,当タスクからの読出し要求は2重化ディスク制御部12により,保守モードのディスクBにアクセスされる。ディスクBから読出されたデータは磁気テープ装置4に書込まれる。全てのデータが読出されたところで,保守タスク5は保守モード解除要求を制御部11に出力してデータ退避処理を終了する(区間b(段落【「データ退避作業が終了すると,制御部1 )。」】),00231は保守モードのディスクBを業務モードに再設定する。業務モードに復帰したディスクBは,退避処理の間,記憶内容が更新されていないので,ディスクAからハードウェア的にコピーが行われ,両ディスクの内容の一致化が行われる(オンラインコピー 。このオンラインコピーは,2重化ディスクの障害回復時等に従来から )行われているもので,オンラインコピーのタスクは業務タスク5の処理と並行して行うことができる(区間c 。両系ディスクの一致化が終了すると,両ディスクは )本来の2重化ディスクに復帰し,業務タスク5はディスク12,13に対して同様にアクセスする(区間d(段落【)との各記載がある。 )。」】0024そして,これらの記載によれば,引用例3記載の計算機システムは,業務タスク5によって処理データを2重化ディスクとして使用しているディスクA,Bに格納(【】),,, するオンライン業務を行うもので 段落2重化ディスク装置3は 通常0019両系とも業務モードに設定され,2重化ディスク制御部11は業務タスク5からのアクセス要求があると,両系のディスク12,13に対して同様にアクセスし,両系の記憶内容を同一に保っている(段落【)ことが認められるところ,この0022 】ことは,本件補正発明の「確立させるオペレーション」が,第1のアプリケーション(業務タスク)と第1のデータストレージファシリティ(ディスクA又はディスクB,あるいはディスク12又はディスク13)のデータとの間のオペレーションと同時且つ独立して生じることに相当するものである。原告は 「確立」させるた,めの,業務タスク5によるアプリケーションアクセスが 「第1のアプリケーショ ,ンと第1のデータストレージファシリティのデータとの間のオペレーション」にも,,「」,,「 」, なっているから 両者が同時で並列にすなわち互いに干渉しないように「単独で「完全に独立して「同時」かつ「並行」に行われるものではなく, 」,」,本件補正発明の構成(要件))とは異なるものであると主張するが,本件補正発B明の 同時で並列に との規定 要件 )又は 同時且つ独立して との規定 要 「」(),「」( B件))が,複数の処理を時間区分に分割して行い,ある時点ではいずれか一つの D処理実体のみが処理されているが,一定の時間間隔をとれば複数の処理実体が同時に処理されているという意義を含むものと解されることは,上記1の( )のとおり1であり,これを「互いに干渉しないように「単独で「完全に独立して「同 」,」,」,時」かつ「並行」に行われるものに限定する理由はないから,上記主張を採用することはできない。
また,引用例3記載の計算機システムは,データ退避の保守タスク6が起動されると,業務タスク5と保守タスク6は1基ずつディスクを専用することにより,業務処理を継続したままディスクAまたはBから磁気テープ4へのデータ退避を並列処理することができる(段落【【)ことが認められるところ,このこ00190023 】,】とは,本件補正発明の「切断させるオペレーション」が,第1のアプリケーション(業務タスク)と第1のデータストレージファシリティ(ディスクA又はディスクB)のデータとの間のオペレーションと同時且つ独立して生じることに相当するものである。
さらに,引用例3記載の計算機システムでは,データ退避処理が終了すると,業務タスク5の処理と並行して行うことができるオンラインコピーによって,両ディスクの内容の一致化が行われ,その終了後,両ディスクは本来の2重化ディスクに復帰するものであることが認められるところ,このことは,本件補正発明の「終了させるオペレーション」が,第1のアプリケーション(業務タスク)と第1のデータストレージファシリティ(コピー元のディスク)のデータとの間のオペレーションと同時且つ独立して生じることに相当するものである。この場合も 「同時且つ,独立して」との規定(要件))が,複数の処理を時間区分に分割して行い,あるD時点ではいずれか一つの処理実体のみが処理されているが,一定の時間間隔をとれば複数の処理実体が同時に処理されているという意義を含むものと解され,これを「互いに干渉しないように「単独で「完全に独立して「同時」かつ「並行」 」,」,」,に行われるものに限定する理由がないことは,上記1の( )のとおりである。
1したがって,審決の相違点3についての判断は,不正確な点もあるが,本件補正発明の相違点3に係る構成(確立させ,切断させ,終了させる各オペレーションのアクセスが,第1のアプリケーションと第1のデータストレージファシリティのデータとの間のオペレーションと同時且つ独立して生じること)が,引用例3に記載された技術であり,引用例1において,上記本件補正発明の相違点3に係る構成とすることは,引用例3に記載された技術を付加するものであって当業者が適宜なし得たものと判断した限りにおいて,誤りはない。
そうすると,その余の点(特開平7-121315号公報に記載された発明に関する部分)について判断するまでもなく,原告の取消事由4(相違点3についての判断の誤り)は失当である。
5取消事由5(拒絶理由通知の懈怠)について原告の主張は,審決が引用例2によって認定した技術事項が,実質上,周知技術といえるようなものではないことを前提とするものであるが,この前提自体が誤りであることは,上記3の( )のとおりであるから,上記原告の主張を採用すること2もできない。
もっとも,平成16年5月21日付け前置報告書(甲第22号証)によれば,前置審査に当たった審査官は,引用例2を,公知技術が記載された刊行物として把握したことが認められるから,同審査官は,特許法163条2項で準用する50条により,原告に対し,引用例2を含む拒絶の理由を通知すべきところ,このような拒絶理由通知がなされたとの主張立証はない。そうすると,同審査官による前置審査手続には,上記条項に違背した違法があるといわざるを得ないが,審決は,引用例2に記載された具体的な技術自体を公知技術としたものではないから,上記審査官の違法は,審決の結論に影響を及ぼすものとはいえない。
6取消事由6(忌避事由を有する審判官の審決関与)原告は,本件特許出願に対し,Lが,引用例1,引用例3等の提出をすることにより情報提供を行い,また,審決の構成審判官の1人であるM審判官が,審決後にLの特許出願等の代理人として極めて多くの案件を手がけている弁理士が所属する弁理士事務所に入所したところ,その入所時期からみて,M審判官は,審決前に,同事務所が上記情報提供者であるLと,上記のような密接な関係を有することを知った上で,同事務所への入所を決定したはずであるとし,このような事実は,M審判官についての忌避事由に当たり,審決は,忌避事由を有する審判官が関与した違法があると主張する。
しかしながら 「審判官について審判の構成を妨げるべき事情があるとき (特許 , 」法141条1項)とは,審判官と審判事件との関係から見て,不公正な審判がなされるであろうとの予測が,通常人を判断基準として,客観的に存する場合をいうものである。そして,仮に,Lが主張の情報提供を行い,かつ,M審判官が,審決当時,上記弁理士事務所にLの特許出願等の代理人として極めて多くの案件を手がけている弁理士が所属することを知った上で,入所することを決めていたとしても,情報提供は,特許法施行規則13条の2に根拠を有し,何人においてもすることのできる手続であること,M審判官が上記弁理士事務所に入所することを決めたからといって,同審判官とLとの間に,直接,何らかの関係が生ずるものではないことを併せ考えると,同審判官と本件審判事件との関係から見て,不公正な審判がなされるであろうとの予測が,通常人を判断基準として,客観的に存する場合に当たるということはできない。
のみならず,審判官が忌避事由を有していたとしても,除斥事由を有する場合と異なり,当事者等の申立てに基づく忌避の決定(特許法143条)を経なければ,当該審判官が当該審判事件から排斥されるわけではない。そして,忌避の申立てがないまま,審決がなされた場合には,たとえ,それが,忌避事由が存することを当事者等において知らなかったためであったとしても,もはや当事者等は忌避申立てをすることができなくなったと解すべきであり,したがって,忌避の決定がなされる可能性はなくなったのであるから,当該審判官が審決に関与したことについて,忌避の制度との関係で違法の問題が生ずる余地はない。なお,忌避事由を有する審判官が審決に関与したことは,再審事由に当たるものともされていない(特許法171条2項,民事訴訟法338条1項 。)そうすると,原告の上記主張は,いずれにしても失当である。
7結論以上によれば,原告の主張はすべて理由がなく,原告の請求は棄却されるべきである。
裁判長裁判官 塚原朋一
裁判官 石原直樹
裁判官 高野輝久