関連審決 | 異議2003-73205 訂正2005-39003 |
---|
関連ワード | 発明者 / 29条の2(拡大された先願の地位) / 技術常識 / 技術的意義 / 実施 / 加工 / 設定登録 / 訂正審判 / 請求の範囲 / 訂正明細書 / |
---|
元本PDF | 裁判所収録の全文PDFを見る |
---|
事件 |
平成
18年
(行ケ)
10110号
審決取消請求事件
|
---|---|
原告松下電器産業株式会社 訴訟代理人弁理士森下賢樹,村田雄祐 被告特許庁長官中嶋誠 指定代理人杉山務,岡本俊威,田口英雄,立川功,田中敬規 |
|
裁判所 | 知的財産高等裁判所 |
判決言渡日 | 2006/11/15 |
権利種別 | 特許権 |
訴訟類型 | 行政訴訟 |
主文 |
原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 |
事実及び理由 | |
---|---|
全容
第1原告の求めた裁判「特許庁が訂正2005-39003号事件について,平成18年2月8日にした審決を取り消す。」との判決。 第2事案の概要本件は,特許権者である原告が,訂正審判の請求をしたところ,請求は成り立たないとの審決がされたため,同審決の取消しを求めた事案である。 1特許庁等における手続の経緯(1)原告は,発明の名称を「画像形成装置」とする特許(特許番号第3429744号。請求項の数2。以下「本件特許」という。)の特許権者である。本件特許は,平成4年8月6日に出願した特願平4-209355号の一部を平成12年12月22日に新たな特許出願(特願2000-389649号)として,平成15年5月16日に設定登録を受けたものである。 (2)本件特許について特許異議の申立てがされ(異議2003-73205号事件として係属),原告は,平成16年7月30日,上記手続において,明細書の訂正を請求したところ,特許庁は,同年8月16日,「訂正を認める。特許第3429744号の請求項1,2に係る特許を取り消す。」との決定をした。 (3)原告は,平成16年12月27日,上記決定に対する取消訴訟(東京高等裁判所平成16年(行ケ)第434号として係属し,知的財産高等裁判所の発足に伴って同裁判所平成17年(行ケ)第10333号となった。)を提起し,その係属中に,明細書の特許請求の範囲について,請求項1を後記2の(2)記載のとおり訂正し,かつ,請求項2を削除する旨の訂正審判の請求をした(訂正2005-39003号事件として係属)ところ,特許庁は,平成17年3月29日,「訂正明細書の特許請求の範囲の記載は明確でない」と説示して,審判請求不成立の審決をした。 (4)原告は,知的財産高等裁判所に上記審決の取消しを求める訴えを提起した(平成17年(行ケ)第10451号事件として係属)ところ,同裁判所は,平成17年12月20日,「訂正明細書の特許請求の範囲の記載は明確であり,特許法29条の2と29条1,2項について判断がされるべきである。」と判示して,上記審決を取り消す旨の判決を言い渡し,同判決は,そのころ確定した。 (5)特許庁は,上記審判請求事件について更に審理し,平成18年2月8日,後掲のとおり特許法29条の2に基づく判断をして,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決をし,同月20日,その謄本を原告に送達した。 2特許請求の範囲の記載(1)訂正審判請求前のもの(請求項2の記載は省略)【請求項1】画像形成に用いた画像形成装置を特定するために,少なくとも画像形成装置ごとに割り当てられた情報を含んだ2次元ビットマップ情報を該装置内で発生する手段と,前記2次元ビットマップ情報と入力画像信号とを重畳する重畳手段と,前記重畳手段からの信号に基づき記録媒体上に画像を形成する手段とを有する画像形成装置。 (2)訂正審判請求書添付の訂正明細書のもの(下線部分が訂正箇所)【請求項1】画像形成に用いた画像形成装置を特定するために,少なくとも画像形成装置ごとに割り当てられた情報を含んだ符号化パターンである2次元ビットマップ情報を該装置内で発生する手段と,選択的に,入力画像信号に前記2次元ビットマップ情報を付加する付加手段と,前記付加手段からの信号に基づき記録媒体上に画像を形成する手段とを有し,前記付加手段は,a)前記入力画像信号に前記2次元ビットマップ情報を付加する場合,前記入力画像信号に前記符号化パターンの一部を付加した信号と付加しない信号とを局所的に切り替えて出力することによって前記2次元ビットマップ情報を示す前記符号化パターンを前記入力画像信号に付加し,b)前記入力画像信号に前記2次元ビットマップ情報を付加しない場合,前記入力画像信号をそのまま出力する,ことを特徴とする画像形成装置。 3審決の理由の要旨審決の理由は,以下のとおりであるが,要するに,本件訂正審判請求後の請求項1に係る発明(以下「訂正発明」という。)は,特許法(平成6年法律第116号による改正前のもの)29条の2の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができないから,本件審判の請求は,特許法126条3項の規定に適合しない,というものである。 ( ) 特願平3-272227号(特開平5-110815号,以下「先願」といい,その発明を 1「先願発明」という。本訴甲1)に記載された発明は,画像形成する画像処理装置に関する発明であり,願書に最初に添付された明細書の段落【0145】ないし【0148】及び【従来の技術】の記載から,次のことがいえる。 ア 入力画像中に特定原稿画像が,存在しないと判断されたときは,通常の複写出力がなされる。 イ 入力画像中に特定原稿画像が,存在すると判断されたときは,以下の実施態様に示される処理がなされ,複写出力される。 (ア) 全面白又は黒の画像が複写出力される。(段落【0145】)(イ) 入力画像データを加工し,原稿画像とは色味の異なる画像を,複写出力する。(段落【0146】)(ウ) 入力画像データを加工し,複写出力の全面に「INVALID」(無効)の文字を重ね,複写出力とする。(段落【0147】)(エ) 人間の目には識別し難いイエローで,記号又は番号123など,装置固有の番号,若しくは装置の製造ロツト番号を重ねて複写出力全面に,周期的に繰返し出力する。(段落【0148】)(オ) 人間の目に見え難いドツトパターンなどを,出力画像に付加する。(段落【0002】)( ) 上記(エ)の実施態様についてみるに,この部分を説明している明細書の段落【0148】に2は,「同様に,例えば,図47に一例を示すような,複写出力1903の全面に,人間の目には識別し難い色(例えばイエロー)で,記号または番号など(図47の場合は,例えば「123」)を重ねて複写出力する。具体的には,装置固有の番号,もしくは装置の製造ロツト番号などを複写出力全面に,周期的に繰返し出力する。」ことが記載されているから,訂正発明の「画像形成に用いた画像形成装置を特定するために,少なくとも画像形成装置ごとに割り当てられた情報を該装置内で発生する手段」を備えていることが認められる。 さらに,この実施態様(エ)に対応する説明箇所には,「同様に,例えば,」とあることから,実施態様(イ)と同様,「特定原稿画像が存在すると判定された場合に,CPU1170が,画像メモリ1116内の入力画像データを加工」しているとみることができ,記録媒体上に画像を形成する手段を備えていることも認められる。 ( ) 訂正発明で使用されている「2次元ビットマップ情報」については,上記知的財産高等裁判3所平成17年(行ケ)第10451号事件の判決において,次の判示がなされている。 ア 「訂正明細書の記載によれば,「付加情報発生回路58は図3のようなビットマップデータを繰り返し読みだすことにより再生画像全面に図3の付加情報をパルス幅変調特性の変化として付加することができ」,「たとえば図3の矩形1ますはN(整数)画素に相当するようにする」というのであるから,本件発明の「2次元ビットマップ情報」は,「符号化パターン」に対応した画素データであると理解することができる。」(判決書13頁16〜21行)イ 「本件発明は,「前記入力画像信号に前記符号化パターンの一部を付加した信号と付加しない信号とを局所的に切り替えて出力する」というものであり,また,上記のとおり,「2次元ビットマップ情報」は,「符号化パターン」に対応した画素データであるから,「2次元ビットマップ情報」の個々の画素が「符号化パターンの一部」に対応するものであることは明らかである。」(同13頁末行〜14頁5行)ウ 「そうすると,本件発明の「前記付加手段は,a)前記入力画像信号に前記2次元ビットマップ情報を付加する場合,前記入力画像信号に前記符号化パターンの一部を付加した信号と付加しない信号とを局所的に切り替えて出力することによって前記2次元ビットマップ情報を示す前記符号化パターンを前記入力画像信号に付加し」という処理は,最終的に,「符号化パターン」に対応する「2次元ビットマップ情報」のすべての部分を付加するものであるが,局所的にみれば,処理時点での付加手段の処理対象となる「2次元ビットマップ情報」の個々の画素について,「符号化パターンの一部」に該当するか否か(すなわち,黒画素であるか否か)により,「符号化パターン」(の一部であるという情報)を,「入力画像信号」に付加するものであるということができる。 したがって,「符号化パターン」がバーコードである場合においては,上記a)の処理により,最終的に,バーコードが表す情報の全部が付加され,「画像形成装置ごとに割り当てられた情報」が付加される。そして,「符号化パターンの一部」は,「2次元ビットマップ情報」の黒画素であるということができる」(同14頁6〜19行)( ) 上記判示事項に従えば,「2次元ビットマップ情報」は,「符号化パターン」に対応した画4素データであるから,先願明細書における「記号または番号など(図47の場合は,例えば「123」)を重ねて複写出力する。」ことは,「画像メモリ1116内の入力画像データを加工」したものであるから,2次元ビットマップ情報であり,符号化パターンに対応したデータということができる。 そして,訂正発明の「符号化パターンの一部を付加した信号と付加しない信号とを局所的に切り替えて出力すること」は,「符号化パターンの一部」は,「2次元ビットマップ情報」の黒画素であるということができる」ことから,先願明細書における記号又は番号などは,黒画素の部分では符号化パターンの一部を付加した信号とし,白画素の部分では切り替えて付加しない信号として記号又は番号などが表す情報の全部が付加されて,出力することが示されていると理解できる。 なお,記号や番号が符号化パターンと同一の意味を持つか否かは,枝葉末節な事柄であり,出力された装置を特定できる画像装置ごとに割り当てられた情報であればいかなる態様も許容されることは,先願明細書全体の記載から自明であり,訂正発明についても同様である。 ( ) 以上のとおり,訂正発明は,先願の願書に最初に添付された明細書又は図面に記載された発5明と同一であり,しかも,この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の先願の発明をした者と同一ではなく,またこの出願の時において,その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので,特許法29条の2の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができない。 第3当事者の主張の要点1原告主張の審決取消事由(1)取消事由1(訂正発明の「前記付加手段からの信号に基づき記録媒体上に画像を形成する手段」について)審決は,先願発明が,「「特定原稿画像が存在すると判定された場合に,CPU1170が,画像メモリ1116内の入力画像データを加工」しているとみることができ,記録媒体上に画像を形成する手段を備えていることも認められる。」と認定した。 ア訂正明細書には,「パルス幅変調回路34およびレーザドライバ36を含む回路37は本実施例の画像形成装置に属する。」(段落【0008】)との記載があり,これと図1の記載を参照すると,レーザドライバ36及びそれ以降の構成が訂正発明の「前記付加手段からの信号に基づき記録媒体上に画像を形成する手段」に当たる。そうすると,画像を形成する記録媒体は,図1の回路37の先に存在するのであり,プリンタ(コピー機の中にあるものを含む。)を考えた場合,一例として,最終転写先である印刷用紙を想定することができる。 イこれに対し,先願明細書の段落【0003】,【0145】ないし【0148】等の記載によれば,先願発明において,画像を加工,生成するのは画像メモリ1116であり,審決の上記説示によれば,この画像メモリ1116が訂正発明の「記録媒体」に当たるのであるが,画像メモリがDRAM又はSRAMという半導体メモリであることは動作速度,容量,コストの面からみて技術常識であり,しかも,着脱の必要性などないから,画像メモリがオンボードで固定的に実装されることも自明である。そして,先願明細書の「以上説明したように本実施例によれば,入力画像を一旦メモリに蓄えた後に出力する画像処理装置において,・・・メモリ内に蓄えられた画像データを加工することにより,特定原稿の偽造を防ぐことができる。」(段落【0149】)との記載から明らかなように,画像メモリは,レーザドライバよりも前に存在しなければならない。 ウこのように,先願発明の画像メモリは,オンボードで固定的に実装される半導体メモリであって,レーザドライバよりも前に存在しなければならないものであるから,訂正発明における印刷用紙等の記録媒体とは,技術的意義も,具体的構成も,また,配置の面でも全く異なるのであって,先願発明には,訂正発明の「前記付加手段からの信号に基づき記録媒体上に画像を形成する手段」がない。 エしたがって,先願発明が「記録媒体上に画像を形成する手段を備えていることも認められる。」とした審決の認定は,誤りである。 (2)取消事由2(訂正発明の「2次元ビットマップ情報を該装置内で発生する手段」について)審決は,「先願明細書における「記号または番号など(図47の場合は,例えば「123」)を重ねて複写出力する。」ことは,「画像メモリ1116内の入力画像データを加工」したものであるから,2次元ビットマップ情報であり,符号化パターンに対応したデータということができる。」と認定した。 ア訂正発明において,入力画像信号に付加するのは「符号化パターンである2次元ビットマップ情報」であるところ,訂正明細書の段落【0017】は,「符号化パターン」が,記号又は番号といった「もとの情報をそのままの状態で表したもの」ではないことを明示している。 イこれに対し,先願発明においては,先願明細書の「記号または番号など(図47の場合は,例えば「123」)を重ねて複写出力する。」(段落【0148】)との記載にあるように,記号又は番号がそのまま重ねられる。 ウ符号化とは,「ある情報を別の表現体系へ対応づける」ことであり,処理の実態は変換であって,このことは,「符号化」が,「情報がある一定の規則に基づいて符号に変換されること」(goo辞書による検索結果(甲7),「各種の情報を符号に変換すること。この逆は復号化と呼ばれる。」(オーム社発行の「情報技術用語大辞典」(甲8)),「あらかじめ約束された規則に従って通報を符号語に変換すること」(電子通信用語辞典(甲9)),「元の形に再変換できるように,コードを使って,データを変換すること」(JIS工業用語大辞典(甲10))と定義されることからも明らかである。符号化パターンは,記号等とは異なる次元の情報である。 そして,符号化パターンと記号等とが異なることにより,作用効果も異なる。先願発明においては,例えば「ABC123」という記号等を重ねて複写出力するから,この「ABC123」という情報さえ操作すれば,出力した複写装置の出所が分からなくなるが,訂正発明においては,符号化パターン(例えば,バーコードその他の図形や模様)を付加するから,復号化という処理(符号化の逆変換)を経なければ,このパターンの意味を判読することができないのであって,符号化パターンを検出してもその意味は容易に分からないし,意味が容易に分からないものはその検出すら困難である(反対に,取り締まる側からすれば,符号化パターンを付加するルールが分かっているので,機械的な読取り及び復号化により,判読が容易である。)。 このように,先願発明の記号等は,訂正発明の符号化パターンとは本質的に異なるから,先願発明には,訂正発明の「2次元ビットマップ情報を該装置内で発生する手段」がない。 エしたがって,先願発明の記号又は番号が,「2次元ビットマップ情報であり,符号化パターンに対応したデータということができる。」として,先願発明が「2次元ビットマップ情報を該装置内で発生する手段」を備えているとした審決の認定は,誤りである。 (3)取消事由3(訂正発明の「選択的に,入力画像信号に前記2次元ビットマップ情報を付加する付加手段」について)審決は,「訂正発明の「符号化パターンの一部を付加した信号と付加しない信号とを局所的に切り替えて出力すること」は,「符号化パターンの一部」は,「2次元ビットマップ情報」の黒画素であるということができる」ことから,先願明細書における記号又は番号などは,黒画素の部分では符号化パターンの一部を付加した信号とし,白画素の部分では切り替えて付加しない信号として記号又は番号などが表す情報の全部が付加されて,出力することが示されていると理解できる。」と判断した。 ア訂正発明は,「選択的に,入力画像信号に前記2次元ビットマップ情報を付加する」ものであり,上記第2の2(2)のa),b)のような具体的処理をし,かつ,実施例にも記載したように,変調パターンを変えるなど,付加と呼ぶしかない処理を行っていて,この付加という処理により,同時に画質低下をも防止するのであり,単純に重ねるといった処理は採用していない。これに対し,先願明細書には,「記号または番号など(図47の場合は,例えば「123」)を重ねて複写出力する。」(段落【0148】)との記載しかないのであって,これが,訂正発明の「選択的に,入力画像信号に前記2次元ビットマップ情報を付加する付加手段」の構成を開示しているということはできない。 イしかも,先願発明においては,例えば,すべての位置(座標)にある画素データを一様に加算するだけで,入力画像データと記号等が繰り返し入った画像データとを重ねる,すなわち,「入力画像データに記号等を重ねて複写出力する」ことができるが,訂正発明の「局所的に切り替えて出力する」は,画素データを一様に加算するという先願発明にはない処理をするであるから,先願発明が,訂正発明の「選択的に,入力画像信号に前記2次元ビットマップ情報を付加する付加手段」の構成を開示しているということはできない。 ウしたがって,先願発明が「選択的に,入力画像信号に前記2次元ビットマップ情報を付加する付加手段」を備えているとした審決の認定は,誤りである。 なお,先願発明のように,画像メモリ内でデータを加工するのであれば,画像メモリは特定文書等を全部格納できるほどの大きな容量をもっているから,「局所的に切り替えて出力する」などという処理は必要がないが,訂正発明は,すでに2次元ビットマップ情報が付加された状態で記録媒体上に画像を形成するのであり,記録媒体の中で画像を加工するわけではないから,付加手段は,「局所的に切り替えて出力する」のである。このように,訂正発明においては,画像を形成するのが記録媒体であることと付加手段が「局所的に切り替えて出力する」こととが不可分の関係にあるところ,審決は,こうした点も無視しているのであって,その意味においても誤りである。 2被告の反論(1)取消事由1(訂正発明の「前記付加手段からの信号に基づき記録媒体上に画像を形成する手段」について)に対してア審決は,先願明細書の「図47に一例を示すような,複写出力1903の全面に,・・・複写出力する。具体的には,装置固有の番号,もしくは装置の製造ロツト番号などを複写出力全面に,周期的に繰返し出力する」(段落【0148】)との記載により,複写出力1903が用紙への印刷であると普通に理解し,画像出力装置から記録媒体である用紙の上に複写出力されることからみて,「記録媒体上に画像を形成する手段を備えていることも認められる」と判断したのであって,記録媒体と画像メモリとを対応付けているわけではない。 イ先願明細書の「記号または番号など(図47の場合は,例えば「123」)を重ねて複写出力する。」(段落【0148】)との記載によれば,先願発明において,複写出力の際に画像を形成する手段を備えていることということができるのであって,このことは,図1に,プリンタなどの画像出力装置112が示されていることからみても明らかである。 ウしたがって,先願発明が「記録媒体上に画像を形成する手段を備えていることも認められる。」とした審決の認定に誤りはない。 (2)取消事由2(訂正発明の「2次元ビットマップ情報を該装置内で発生する手段」について)に対して記号や番号が,符号化パターンと別の意味を持つことを前提としても,符号化パターンが,その性質を含め,一般によく知られたものであるから,出力された装置を特定できる,画像装置ごとに割り当てられた情報として採用することは,当業者が任意に選択できる事項であって,相違点といえるものではない。 したがって,先願発明の記号又は番号が,「2次元ビットマップ情報であり,符号化パターンに対応したデータということができる。」として,先願発明が「2次元ビットマップ情報を該装置内で発生する手段」を備えているとした審決の認定に,誤りはない。 (3)取消事由3(訂正発明の「選択的に,入力画像信号に前記2次元ビットマップ情報を付加する付加手段」について)に対してア具体的な付加の態様として変調パターンを変えることは,特許請求の範囲に記載がなく,先願発明の「単純に何かを重ねて複写出力する」ことも,訂正発明の特許請求の範囲の「付加する」に該当することは,明らかである。 イ審決は,黒画素の部分と白画素の部分を有する情報が複写出力されるということは,「符号化パターンの一部」が黒画素の部分を表すものであるから,白画素の部分では「符号化パターンの一部」を付加しないで複写出力し,これにより,切り替えて出力することになると判断しているのであって,この点は,本質的な相違点ではない。 ウしたがって,先願発明が「選択的に,入力画像信号に前記2次元ビットマップ情報を付加する付加手段」を備えているとした審決の認定に,誤りはない。 なお,審決も,画像を形成するのが記録媒体である印刷用紙であることを前提に,付加手段が「局所的に切り替えて出力する」について,黒画素と白画素とを切り替えて,記録媒体である印刷用紙に複写出力すると判断しているのであって,この点に審決の誤りはない。 第4当裁判所の判断1取消事由1(訂正発明の「前記付加手段からの信号に基づき記録媒体上に画像を形成する手段」について)について(1)先願明細書(甲1)には,次の記載がある。 「【請求項1】入力画像データを保持する記憶手段と,前記入力画像データを処理する画像処理手段と,前記入力画像データによつて表される画像と所定の特定画像との類似度に応じて前記記憶手段に保持された画像データを加工する制御手段とを有することを特徴とする画像処理装置。」「【請求項9】 請求項1記載の画像処理装置において,原稿を光学的に読取り色分解されたフルカラー入力画像信号を得る画像読取手段と,処理された画像信号をプリント出力する画像出力手段とを有することを特徴とする画像処理装置。 【請求項10】 請求項9記載の画像処理装置において,前記画像出力手段は複数の感光体に同時に像形成し転写媒体に転写され出力されるものであることを特徴とする画像処理装置。」「【第6実施例】さらに,本発明に係る第6実施例として,読込まれた画像を符号化してメモリに蓄え,出力するカラー複写機について説明する。[装置概要説明]図25に第6実施例における装置外観図の一例を示す。・・・1212は画像処理部で,読取つた画像を電気信号として処理し,印刷信号として出力する部分である。1213〜1216は半導体レーザで,画像処理部1212より出力された印刷信号により駆動され,それぞれの半導体レーザによつて発光されたレーザ光は,ポリゴンミラー1217〜1220によつて,感光ドラム1225〜1228上に潜像を形成する。1221〜1224は,K,Y,C,Mのトナーによつて,それぞれ潜像を現像するための現像器で,現像された各色のトナーは,用紙に転写され,フルカラーの印刷出力がなされる。用紙カセツト1229〜1231,および手差しトレイ1232の何れかから給紙された用紙は,レジストローラ1233を経て,転写ベルト1234上に,吸着され,搬送される。給紙のタイミングと同期して,予め感光ドラム1228〜1225には,各色のトナーが現像されており,用紙の搬送とともに,トナーが用紙に転写される。各色のトナーが転写された用紙は,転写ベルト1234から分離搬送され,定着器1235によつて,用紙にトナーが定着され,排紙トレイ1236に排紙される。」(段落【0085】ないし【0089】)「【第7実施例】以下,本発明に係る第7実施例を説明する。第7実施例においては,第6実施例と同様な構成については同一符号を付し詳細説明を省略する。 [装置概要説明]本実施例における装置外観図の一例は,図25に示す第6実施例の装置外観図の一例と同様であり,詳細説明を省略する。」(段落【0101】)「[画像信号の流れ]図31,図32は画像処理部1212の信号の流れの一例を示すブロツク図である。1171は特定原稿画像の判定回路で,入力画像中の特定原稿画像の有無を,第4実施例と同様の方法で判定する。1170は本実施例を制御するCPUで,判定回路1171からの判定結果信号Hが入力される。・・・画像メモリ1116から読出された符号は,それぞれM,C,Y,K用の濃度信号生成部1141〜1144で,濃度画像信号に復号(伸張)され,トライステイトゲート1156を経て,それぞれM,C,Y,Kのレーザドライバへ送られる。・・・」(段落【0104】〜【0107】)「画像メモリ1116から読出された符号は,それぞれM,C,Y,K用の濃度信号生成部1141〜1144で,濃度画像信号に復号(伸張)され,トライステイトゲート1155を経て,変倍回路1157〜1160で縮小処理される。縮小処理された画像信号は,トライステイトゲート1154を経て,それぞれM,C,Y,Kのレーザドライバへ送られる。」(段落【0109】)(2)これらの記載によれば,先願明細書には,第7実施例(第6実施例と同様な構成についての第6実施例の説明を含む。)において,画像処理部1212から出力された印刷信号により,半導体レーザ1213〜1216を駆動し,フルカラーの印刷出力を行うこと,画像処理部1212の画像メモリ1116から読出された符号が,レーザドライバへ送られることが開示されている。そして,後記3のとり,先願発明のCPU1170と画像メモリ1116からなる構成が,訂正発明の「付加手段」に相当するものである。 そうであれば,先願発明は,画像メモリからの出力信号が,レーザドライバに送られて半導体レーザを駆動し,印刷出力を行うというものであるから,先願発明は,訂正発明の「付加手段からの信号に基づき記憶媒体上に画像を形成する手段」を備えているということができる。 (3)原告は,先願発明の画像メモリは,オンボードで固定的に実装される半導体メモリであって,レーザドライバよりも前に存在しなければならないものであるから,訂正発明における印刷用紙等の記録媒体とは,技術的意義も,具体的構成も,また,配置の面でも全く異なるのであって,先願発明には,訂正発明の「前記付加手段からの信号に基づき記録媒体上に画像を形成する手段」がないと主張する。 しかしながら,上記(2)のとおり,先願発明の画像メモリは,CPU1170と共に,訂正発明の「付加手段」に相当するものであって,先願発明において,訂正発明の「記録媒体」に相当するものは,訂正発明と同様に,プリンタ(コピー機の中にあるものを含む。)を考えた場合,最終転写先である印刷用紙である。原告の上記主張は,審決の「「特定原稿画像が存在すると判定された場合に,CPU1170が,画像メモリ1116内の入力画像データを加工」しているとみることができ,記録媒体上に画像を形成する手段を備えていることも認められる。」との説示から,「画像メモリ1116内の入力画像データを加工するCPU1170」が「記録媒体上に画像を形成する手段」に相当すると理解したものと推測されるが,審決の上記説示に照らすと,審決は,「「特定原稿画像が存在すると判定された場合に,CPU1170が,画像メモリ1116内の入力画像データを加工」しているとみることができ(る)」として,先願発明が訂正発明の「入力画像信号に前記2次元ビットマップ情報を付加する付加手段」を備えていると認定し,「記録媒体上に画像を形成する手段を備えていることも認められる。」として,先願発明が訂正発明の「前記付加手段からの信号に基づき記録媒体上に画像を形成する手段」を備えていると認定したものであるから,原告の上記主張は,審決を正解しないものであるといわざるを得ない。 (4)したがって,先願発明が「記録媒体上に画像を形成する手段を備えていることも認められる。」とした審決の認定に誤りはなく,原告主張の取消事由1は,理由がない。 2取消事由2(訂正発明の「2次元ビットマップ情報を該装置内で発生する手段」について)について(1)先願明細書には,次の記載がある。 「【従来の技術】近年の複写機の高画質化,カラー化に伴い,特に商品券や有価証券などの特定原稿についての偽造の危惧が生じている。一方,複写機において特定原稿を認識する方法として,入力画像の色データの分布を検出し,入力画像と特定原稿画像の色データの両分布を比較する方法や,入力画像と特定原稿画像の両方を共通色空間に変換し,共通色空間において,画素単位で入力画像と特定原稿画像の比較を行う方法などがある。上記の方法などにより特定原稿であると判定された場合,一般に,人間の目に見え難いドツトパターンなどを,出力画像に付加する技術が本出願人により提案されている。」(段落【0002】)「同様に,例えば,図47に一例を示すような,複写出力1903の全面に,人間の目には識別し難い色(例えばイエロー)で,記号または番号など(図47の場合は,例えば「123」)を重ねて複写出力する。具体的には,装置固有の番号,もしくは装置の製造ロツト番号などを複写出力全面に,周期的に繰返し出力する。 これにより,もしこの複写出力が悪用された場合に,重ねた記号または番号などを鑑定することで,捜査の手掛かりとなる,該複写出力を出力した複写装置の情報が得られる。また,重ねた記号または番号などの,繰返し出力の周期LxおよびLyを,対象とする特定原稿の縦および横の何れの幅より小することにより,複写出力から特定原稿の該当部分を切取つて悪用された場合でも,複写出力の切取り部分に,重ねた記号または番号などを確実に付加することができる。以上説明したように本実施例によれば,入力画像を一旦メモリに蓄えた後に出力する画像処理装置において,入力画像中の特定原稿画像の有無を判定し,特定原稿画像が存在すると判定された場合には,メモリ内に蓄えられた画像データを加工することにより,特定原稿の偽造を防ぐことができる。」(段落【0148】,【0149】)(2)これらの記載によれば,先願明細書には,記号を重ねて複写出力する場合には,メモリ内に蓄えられた画像データを加工すること,装置固有の番号や装置の製造ロット番号などを出力することにより,複写出力を出力した複写装置の情報が得られることが開示されている。そして,メモリ内に蓄えられた画像データは,通常2次元ビットマップ情報であるから,先願発明において,重ねることで画像データを加工するために用いられる記号も,当然に,ドットパターン,すなわち2次元ビットマップ情報である。 そうすると,先願発明は,訂正発明の「2次元ビットマップ情報を該装置内で発生する手段」を備えているということができる。 (3)原告は,符号化とは,「ある情報を別の表現体系へ対応づける」ことであり,処理の実態は変換であって,符号化パターンは,記号等とは異なる次元の情報であり,これにより,その作用効果にも差が生じるものであって,先願発明には,訂正発明の「2次元ビットマップ情報を該装置内で発生する手段」がないと主張する。 しかしながら,符号とは,一般に,記号の一形態を意味するものと理解されるものであって,このことは,「符号」が,「〔1〕・・・〔2〕情報を表現するための記号の配列。コードという。一般に0と1の記号が使われる。・・・」(オーム社発行の「情報技術用語大辞典」(甲8)),「情報を表現する通報の集合に対し,あらかじめ約束された規則に従って対応付けられた記号列(符号語)の集合。 各記号列は1次元的に記号を連ねて構成される。符号を構成する個々の記号列を符号語という。・・・」(電子通信用語辞典(甲9))と定義されていることからも明らかである。そして,原告の主張する作用効果の差は,符号として記号を用いる際に,予め約束された規則によって,符号として用いる記号にどの程度の秘匿性や暗号性を持たせるかということに帰するのであって,当業者が必要に応じて適宜決めればよい技術的な設計事項にすぎない。そうであれば,先願発明の「記号」も,訂正発明の「符号化パターン」に相当するということができるのであるから,これと異なる原告の上記主張は,採用の限りでない。 (4)したがって,「先願明細書における「記号または番号など(図47の場合は,例えば「123」)を重ねて複写出力する。」ことは,「画像メモリ1116内の入力画像データを加工」したものであるから,2次元ビットマップ情報であり,符号化パターンに対応したデータということができる。」とした審決の認定に誤りはなく,原告主張の取消事由2は,理由がない。 3取消事由3(訂正発明の「選択的に,入力画像信号に前記2次元ビットマップ情報を付加する付加手段」について)について(1)先願明細書には,次の記載がある。 「【請求項1】入力画像データを保持する記憶手段と,前記入力画像データを処理する画像処理手段と,前記入力画像データによつて表される画像と所定の特定画像との類似度に応じて前記記憶手段に保持された画像データを加工する制御手段とを有することを特徴とする画像処理装置。」「【請求項3】請求項1記載の画像処理装置において,前記制御手段は前記記憶手段に保持された画像データによつて表される画像に特定のパターンを付加することを特徴とする画像処理装置。」,「【請求項5】請求項3記載の画像処理装置において,前記付加パターンは装置固有の番号もしくは記号であることを特徴とする画像処理装置。」「【従来の技術】近年の複写機の高画質化,カラー化に伴い,特に商品券や有価証券などの特定原稿についての偽造の危惧が生じている。一方,複写機において特定原稿を認識する方法として,入力画像の色データの分布を検出し,入力画像と特定原稿画像の色データの両分布を比較する方法や,入力画像と特定原稿画像の両方を共通色空間に変換し,共通色空間において,画素単位で入力画像と特定原稿画像の比較を行う方法などがある。上記の方法などにより特定原稿であると判定された場合,一般に,人間の目に見え難いドツトパターンなどを,出力画像に付加する技術が本出願人により提案されている。」(段落【0002】)「また,重ねた記号または番号などの,繰返し出力の周期LxおよびLyを,対象とする特定原稿の縦および横の何れの幅より小することにより,複写出力から特定原稿の該当部分を切取つて悪用された場合でも,複写出力の切取り部分に,重ねた記号または番号などを確実に付加することができる。以上説明したように本実施例によれば,入力画像を一旦メモリに蓄えた後に出力する画像処理装置において,入力画像中の特定原稿画像の有無を判定し,特定原稿画像が存在すると判定された場合には,メモリ内に蓄えられた画像データを加工することにより,特定原稿の偽造を防ぐことができる。」(段落【0149】)(2)これらの記載によれば,先願明細書には,記憶手段に保持された画像データに,記号からなる特定のパターンを選択的に付加することが開示されている。そして,画像データを加工するために用いられる記号が,当然に,2次元ビットマップ情報であることは,上記2(2)のとおりである。 そうであれば,先願発明は,訂正発明の「選択的に,入力画像信号に前記2次元ビットマップ情報を付加する付加手段」を備えているということができる。 (3)原告は,先願明細書には,「記号または番号など(図47の場合は,例えば「123」)を重ねて複写出力する。」(段落【0148】)との記載しかないし,訂正発明の「局所的に切り替えて出力する」は,画素データを一様に加算するという先願発明にない処理をするのであるから,先願発明は,訂正発明の「選択的に,入力画像信号に前記2次元ビットマップ情報を付加する付加手段」の構成を開示しているとはいえないと主張する。 しかしながら,上記(2)のとおり,先願明細書には,記憶手段に保持された画像データに,記号からなる特定のパターンを選択的に付加することが開示されているのである。そしてまた,先願明細書には,重ねる記号の繰返し出力の周期を,特定原稿の縦及び横の幅により変えることが開示されているところ,画像データを加工するために用いられる記号が,当然に,2次元ビットマップ情報であることは,上記2(2)のとおりであるから,先願発明においても,繰返し出力の周期に対応して,記号を重ねる位置を特定し,記号を重ねる場合には,記号の2次元ビットマップ情報に基づき,局所的に切り替えて,記号を重ねるための信号を出力していると理解することができるのであって,原告の主張するような,画素データを一様に加算するだけというようなものではない。原告の上記主張は,採用の限りでない。 (4)なお,原告は,先願発明のように,画像メモリ内でデータを加工するのであれば,画像メモリは特定文書等を全部格納できるほど大きな容量をもっているから,「局所的に切り替えて出力する」などという処理は必要がないが,訂正発明は,すでに2次元ビットマップ情報が付加された状態で記録媒体上に画像を形成するのであって,記録媒体の中で画像を加工するわけではないから,付加手段は,「局所的に切り替えて出力する」のであると主張する。 先願明細書には,「さらに,図47に示す特定原稿1901を複写しようとした場合,入力画像中に特定原稿画像が存在すると判定されたならば,CPU1170が,画像メモリ1116内の入力画像データを加工し,例えば,図47に一例を示すような,複写出力1902の全面に「INVALID」(無効)の文字を重ねた,複写出力とすることでも同様の効果が得られる。同様に,例えば,図47に一例を示すような,複写出力1903の全面に,人間の目には識別し難い色(例えばイエロー)で,記号または番号など(図47の場合は,例えば「123」)を重ねて複写出力する。具体的には,装置固有の番号,もしくは装置の製造ロツト番号などを複写出力全面に,周期的に繰返し出力する。・・・」(段落【0147】〜段落【0148】)との記載があるから,この記載によれば,先願発明は,CPUが画像メモリ内の画像データを加工しているということができる。 しかしながら,先願発明でも,上記(3)のとおり,繰返し出力の周期に対応して,記号を重ねる位置を特定し,記号を重ねる場合には,記号の2次元ビットマップ情報に基づき,局所的に切り替えて,記号を重ねるための信号を出力しているのであり,また,上記1(2)のとおり,画像メモリの出力信号が,レーザドライバに送られて半導体レーザを駆動し,印刷出力を行っているのである。 このように,先願発明は,局所的に切り替えて加工した画像データを最終的に印刷出力しているのであるから,CPU1170と画像メモリ1116からなる構成により,訂正発明の「a)前記入力画像信号に前記2次元ビットマップ情報を付加する場合,前記入力画像信号に前記符号化パターンの一部を付加した信号と付加しない信号とを局所的に切り替えて出力することによって前記2次元ビットマップ情報を示す前記符号化パターンを前記入力画像信号に付加し,b)前記入力画像信号に前記2次元ビットマップ情報を付加しない場合,前記入力画像信号をそのまま出力する」との処理を行っていると解される。そして,訂正発明の付加手段が,まず,局所的に切り替えて画像メモリ内で加工を行い,その局所的に切り替えて加工された画像データを記録媒体に出力するという先願発明の構成を,排除することまでは特定していない。 そうであれば,先願発明においても,CPU1170と画像メモリ1116からなる構成が訂正発明の「付加手段」に相当し,これが,「局所的に切り替えて出力する」との処理をしているということができる。 (5)したがって,先願発明が「選択的に,入力画像信号に前記2次元ビットマップ情報を付加する付加手段」を備えているとした審決の認定に誤りはなく,原告主張の取消事由3は,理由がない。 第5結論以上のとおりであって,原告の主張する審決取消事由は,すべて理由がないから,原告の請求は棄却されるべきである。 |
裁判長裁判官 | 塚原朋一 |
---|---|
裁判官 | 高野輝久 |
裁判官 | 佐藤達文 |