関連審決 | 無効2005-80224 |
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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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平成16ワ20636特許権侵害差止等請求事件 | 判例 | 特許 |
平成16ワ17304特許権侵害差止請求事件 | 判例 | 特許 |
平成16ワ26092特許権侵害差止請求事件 | 判例 | 特許 |
平成17ワ5058特許権侵害差止等請求事件 | 判例 | 特許 |
平成17ワ 785特許権侵害差止等請求事件 | 判例 | 特許 |
関連ワード | 産業上利用(29条1項柱書) / 新規性 / 29条1項3号 / 頒布された刊行物 / 進歩性(29条2項) / 容易に発明 / 上位概念 / 実施可能要件 / 技術常識 / 明確性 / 発明の詳細な説明 / 発明が明確 / 遡及 / 補正要件 / 当業者に自明な事項 / 分割出願 / クレーム / ライセンス / 参酌 / 置換 / 容易に想到(容易想到性) / 特許発明 / 実施 / 加工 / 構成要件 / 構成要件充足性 / 業として / 差止請求(差止) / 侵害 / 実施料 / 設定登録 / 訂正の目的 / 請求の範囲 / 減縮 / 変更 / 要旨変更 / 国際公開 / |
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元本PDF | 裁判所収録の別紙1PDFを見る |
事件 |
平成
17年
(ワ)
10907号
特許権侵害差止等請求事件
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埼玉県上尾市<以下略> 原告株式会社ワコー 同訴訟代理人弁護士内田公志 同 鮫島正洋 同 後藤正邦 同訴訟復代理人弁護士玉井真理子 同 中原敏雄 同補佐人弁理士志村浩 東京都港区<以下略> 被告アナログ・デバイセズ株式会社 同訴訟代理人弁護士吉利靖雄 同訴訟代理人弁理士山本秀策 同補佐人弁理士大塩竹志 |
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裁判所 | 東京地方裁判所 |
判決言渡日 | 2006/09/08 |
権利種別 | 特許権 |
訴訟類型 | 民事訴訟 |
主文 |
1原告の請求をいずれも棄却する。 2訴訟費用は原告の負担とする。 |
事実及び理由 | |
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全容
第1請求1被告は,別紙物件目録記載の物件を製造し,輸入し,販売し,又は販売の申出をしてはならない。 2被告は,原告に対し,金5000万円及びこれに対する平成17年6月14日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2事案の概要本件は,被告による被告製品の輸入,販売等が原告の特許権を侵害するとして,原告が,被告に対し,当該特許権に基づく被告製品の輸入,製造等の差止め並びに当該侵害により発生した損害の一部についての損害賠償及び民法所定の遅延損害金の支払を求めたのに対し,被告が,構成要件の非充足及び新規性欠如等による特許権の無効を主張して争った事案である。 1前提事実( )原特許権1原告は,以下の特許権を有する(以下,この特許権を「原特許権」といい,その出願を「原出願」という。また,別紙特許公報1掲載の明細書及び図面を「原出願明細書」という。)。 特許番号特許第2841240号発明の名称力・加速度・磁気の検出装置出願日平成2年10月12日出願番号特願平2-274299号公開日平成4年5月21日公開番号特開平4-148833号登録日平成10年10月23日特許請求の範囲原出願明細書の特許請求の範囲記載のとおり(争いのない事実)( )本件特許権2ア原告は,以下の特許権を有する(以下,この特許権のうち請求項1に係る特許権を「本件特許権1」,請求項5に係る特許権を「本件特許権2」,請求項6に係る特許権を「本件特許権3」といい,本件特許権1ないし3を併せて「本件特許権」という。その出願を「本件出願」という。本件特許権1ないし3の発明を「本件特許発明1」のようにいう。また,別紙特許公報2掲載の明細書及び図面を「本件明細書」という。)。 特許番号特許第3145979号発明の名称力・加速度・磁気の検出装置分割の表示特願平2-274299号(原出願)の分割出願日平成2年10月12日(ただし,分割による特許出願の提出日は平成10年7月9日)登録日平成13年1月5日特許請求の範囲本件明細書の特許請求の範囲請求項1,同5及び同6記載のとおり(争いのない事実)イ構成要件の分説(ア)本件特許発明1。 本件特許発明1を構成要件に分説すると,以下のとおりである(Iは欠番とする以下,各構成要件を「構成要件」のように表記する。)。 A互いに直交する第1の軸および第2の軸を定義し,前記第1の軸方向に作用 Aした力および前記第2の軸方向に作用した力をそれぞれ独立して検出する機能をもった力検出装置であって,装置筐体に対して変位が生じないように固定された固定要素と,B前記固定要素に可撓性部分を介して接続され,外部から作用した前記第1の C軸方向の力もしくは前記第2の軸方向の力に基いて,前記可撓性部分が撓みを生じることにより,前記固定要素に対して前記第1の軸方向もしくは前記第2の軸方向に変位を生じる変位要素と,前記変位要素の変位にかかわらず固定状態を維持するように前記固定要素上Dに形成された第1の固定電極,第2の固定電極,第3の固定電極,第4の固定電極と,前記変位要素の変位とともに変位するように前記変位要素上に形成された第E1の変位電極,第2の変位電極,第3の変位電極,第4の変位電極と,を備え,前記第1の固定電極と前記第1の変位電極とは互いに対向する位置に配置 F-1され,前記第1の固定電極と前記第1の変位電極とによって第1の容量素子が形成され,前記第2の固定電極と前記第2の変位電極とは互いに対向する位置に配置F-2され,前記第2の固定電極と前記第2の変位電極とによって第2の容量素子が形成され,前記第3の固定電極と前記第3の変位電極とは互いに対向する位置に配置F-3され,前記第3の固定電極と前記第3の変位電極とによって第3の容量素子が形成され,前記第4の固定電極と前記第4の変位電極とは互いに対向する位置に配置F-4され,前記第4の固定電極と前記第4の変位電極とによって第4の容量素子が形成され,かつ,前記変位要素が前記第1の軸の正方向に変位した場合,前記第1のG-1容量素子の電極間距離が減少するとともに前記第2の容量素子の電極間距離が増加し,前記変位要素が前記第1の軸の負方向に変位した場合,前記第1の容量素子の電極間距離が増加するとともに前記第2の容量素子の電極間距離が減少し,前記変位要素が前記第2の軸の正方向に変位した場合,前記第3の容量素G-2子の電極間距離が減少するとともに前記第4の容量素子の電極間距離が増加し,前記変位要素が前記第2の軸の負方向に変位した場合,前記第3の容量素子の電極間距離が増加するとともに前記第4の容量素子の電極間距離が減少するように,前記各固定電極および前記各変位電極が配置されており,前記第1の容量素子の容量値と前記第2の容量素子の容量値との差によって,H前記第1の軸方向に作用した力を検出し,前記第3の容量素子の容量値と前記第4の容量素子の容量値との差によって,前記第2の軸方向に作用した力を検出するように構成したことを特徴とする力検出装置。 J(イ)本件特許発明2請求項1〜4のいずれかに記載の力検出装置において,複数の変位電極またKは複数の固定電極のいずれか一方を,物理的に単一の共通電極によって形成したことを特徴とする力検出装置。 (ウ)本件特許発明3請求項1〜5のいずれかに記載の検出装置において,変位要素に作用する加L速度に基いて発生する力を検出することにより,加速度の検出を行い得るようにしたことを特徴とする加速度検出装置。 (争いのない事実)( )訂正請求3原告は,無効2005-80224号特許無効審判事件において,平成17年10月20日,本件特許発明1の構成要件につき,以下のとおり訂正する旨の訂H正請求を行った(以下,この訂正請求を「本件訂正請求」という。また,訂正後の構成要件を「構成要件」及び「構成要件」と分説する。)。 H'-1H'-2前記第1の容量素子の容量値と前記第2の容量素子の容量値との差を,前 H'-1記第1の軸方向に作用した力方向成分を示す検出信号として出力し,前記第3の容量素子の容量値と前記第4の容量素子の容量値との差を,前記第2の軸方向に作用した力方向成分を示す検出信号として出力する検出回路を更に備え,前記固定要素および前記変位要素がシリコンにより構成されていることH'-2(争いのない事実)( )被告製品4ア被告は,業として,別紙物件目録記載の商品(以下「被告製品」という。)を輸入し,日本国内において販売している。 (争いのない事実)イ本件特許発明1の構成要件充足性被告製品は,本件特許発明1の構成要件及びを充足する。 BC(争いのない事実)2争点( )被告製品の構成要件, , ,ないし,,,及び の充足1ADEF-1F-4G-1G-2HJの有無( )被告製品の構成要件の充足の有無2K( )被告製品の構成要件の充足の有無 3L( )無効の抗弁1の成否-分割出願の要件違反 4( )無効の抗弁2の成否-補正要件違反 5( )無効の抗弁3の成否-未完成発明 6( )無効の抗弁4の成否-実施可能要件違反 7( )無効の抗弁5の成否-発明の詳細な説明への記載の欠如 8( )無効の抗弁6の成否-請求項の記載の明確性の欠如 9() 無効の抗弁7の成否-新規性の欠如1 10() 無効の抗弁8の成否-新規性の欠如2 11() 無効の抗弁9の成否-新規性の欠如3 12() 無効の抗弁10の成否-新規性の欠如4 13() 無効の抗弁11の成否-進歩性の欠如1 14() 無効の抗弁12の成否-進歩性の欠如2 15() 訂正請求について16ア訂正の可否イ被告製品の構成要件及びの充足の有無H'-1H'-2ウ無効の抗弁1ないし6についてエ無効の抗弁7ないし12について()損害(特許法102条3項)173争点に関する当事者の主張( )被告製品の構成要件, , ,ないし,,,及び の充足1ADEF-1F-4G-1G-2HJの有無ア原告の主張(ア)構成要件及びJA被告製品の動作原理に関する別紙模式図(以下「模式図」という。)の軸,軸 XYが,それぞれ「第1の軸」,「第2の軸」に相当する。したがって,被告製品は,「第1の軸方向に作用した力」,「第2の軸方向に作用した力」を「それぞれ独立して検出する機能をもった力検出装置」であり,構成要件及びJを充足する。 AD(イ)構成要件a本件特許発明1の「第1の固定電極」,「第2の固定電極」,「第3の固定電極」,「第4の固定電極」は,単一の固定電極のものも,複数の固定電極のものも含む。 b被告製品において,棒状固定電極(模式図の,,,)は基板にE2E3E5E6接続されているから,「固定要素上に形成され」ており,このため「変位要素の変位にかかわらず固定状態を維持する」から,それぞれ「第1の固定電極,第2の固定電極,第3の固定電極,第4の固定電極」に該当する。したがって,被告製品は構成要件を充足する。 DE(ウ)構成要件a本件特許発明1は,変位電極の変位方向について特段の限定はしていないから,その変位がいずれの方向に起こるものも含む。 b被告製品において棒状変位電極(模式図の,)は「変位要素」であるE1E4重錘体(模式図の20)と一体を成していることから,「前記変位要素の変位とともに変位する」ものである。また,これらの棒状変位電極,は,その両側の側E1E4面部分が帯電する形態となっており,2つの棒状変位電極,は4つの電極を E1E4構成することから,「変位要素上に形成された第1の変位電極,第2の変位電極,第3の変位電極,第4の変位電極」に該当する。したがって,被告製品は,構成要件を充足する。 EF-1F-4(エ)構成要件ないし「第1の固定電極」を被告製品の電極の電極対向部分,「第1の変位電極」E2E1を電極の電極対向部分とすると,「第1の固定電極と前記第1の変位電極とE1E2は互いに対向する位置に配置され」ており,これらによって「第1の容量素子」(模式図の)が形成されている。したがって,被告製品は構成要件を充足する。 C1 F-1構成要件ないしについても同様であり,「第2の容量素子」,「第3の容 F-2F-4量素子」,「第4の容量素子」はそれぞれ,,である。したがって,被告製 C2C3C4品は,構成要件ないしを充足する。 F-2F-4G-1G-2(オ)構成要件及び被告製品の重錘体20が軸の正方向に移動すると,電極と電極から構X E1E2成される第1の容量素子の電極間間隔が減少し,同時に,電極と電極から E1E3構成される第2の容量素子の電極間間隔が増加するから,「前記変位要素が前記第1の軸の正方向に変位した場合,前記第1の容量素子の電極間距離が減少するとともに前記第2の容量素子の電極間距離が増加し」に該当する。重錘体20が軸のX負方向に移動すると,第1の容量素子の電極間間隔が増加し,同時に,第2の容量素子の電極間間隔が減少するから,「前記変位要素が前記第1の軸の負方向に変位した場合,前記第1の容量素子の電極間距離が増加するとともに前記第2の容量素子の電極間距離が減少し」に該当する。したがって,被告製品は構成要件を充G-1足する。 構成要件についても同様であり,被告製品は,構成要件を充足する。 G-2 G-2H(カ)構成要件被告製品は,軸方向に力が加わった場合には,「前記第1の容量素子の容量値Xと前記第2の容量素子の容量値との差によって,前記第1の軸方向に作用した力を検出」するものである。軸方向に力が加わった場合も同様である。 Yしたがって,被告製品は,構成要件を充足する。 Hイ被告の主張(ア)a原告の主張(ア)(構成要件及びJ)は否認する。 Ab被告製品は,加速度センサーであり,力を検出しない。 (イ)a同(イ)(構成要件)は否認する。 Db本件特許発明1の「第1の固定電極」,「第2の固定電極」,「第3の固定電極」,「第4の固定電極」は,単一の固定電極である。 (ウ)a同(ウ)(構成要件 )は否認する。 Eb本件特許発明1の「第1の変位電極」,「第2の変位電極」,「第3の変位電極」,「第4の変位電極」とは,すべてが同一であるか,すべてが互いに異なるものをいうと解釈すべきである。これに対し,被告製品では,「第1の変位電極」と「第2の変位電極」とが同一の電極であり,「第3の変位電極」と「第4の変位電極」とが同一の電極である。 c本件特許発明1の「第1の変位電極」,「第2の変位電極」,「第3の変位電極」,「第4の変位電極」は,第1の軸方向及び第2の軸方向に垂直な軸方向に変位すると解釈すべきである。これに対し,被告製品では,変位電極は第1の軸方向及び第2の軸方向に垂直な軸方向に変位しない。 d本件特許発明1の「第1の変位電極」,「第2の変位電極」,「第3の変位電極」,「第4の変位電極」は,「前記変位要素上に形成され」ることを必要とするのに対し,被告製品では,変位電極は,変位要素に対応するプルーフ・マス(別紙「被告製品の構造と作動原理」の20)の側面からプルーフ・マス20の外側に向かって延びており,プルーフ・マスの上には形成されていない。 e本件特許発明1の「第1の変位電極」,「第2の変位電極」,「第3の変位電極」,「第4の変位電極」は「前記変位要素上に形成され」ることから,「第1の変位電極」,「第2の変位電極」,「第3の変位電極」,「第4の変位電極」が「前記変位要素」とは別々に形成されることを必要とする。これに対し,被告製品では,変位電極は変位要素に対応するプルーフ・マスと一体的に形成されている。 (エ)a同(エ)(構成要件ないし)は否認する。 F-1F-4b( )前記(イ)bのとおり,「前記第1の固定電極」と「前記第2の固定電極」 aとは同一であると解釈されるべきところ,被告製品では,「前記第1の固定電極」に対応する固定電極(「被告製品の構造と作動原理」の11)と「前記第2の固定電極」に対応する固定電極(同12)とは互いに異なっている。 ( )前記(ウ)bのとおり,本件特許発明1の構成要件ないしにおけb F-1F-4る「第1の変位電極」,「第2の変位電極」,「第3の変位電極」,「第4の変位電極」は,すべてが同一であるか,すべてが互いに異なるものをいうと解釈すべきところ,被告製品では,「第1の変位電極」と「第2の変位電極」とが同一の電極である変位電極(「被告製品の構造と作動原理」の20)として構成されており,「第3の変位電極」,a「第4の変位電極」とが同一の電極である変位電極(同20)として構成されており, b変位電極20 と変位電極20とは異なっている。 ab(オ)同(オ)(構成要件及び)は否認する。 G-1G-2(カ)a同(カ)(構成要件)は否認する。 Hb被告製品は,第1の軸方向に作用した加速度を検出し,また,第2の軸方向に作用した加速度を検出するように構成されており,このような加速度を検出するに当たり,力を検出することを必要としない。 ( )被告製品の構成要件の充足の有無2Kア原告の主張(ア)a被告製品は,第1及び第2の変位電極が同一であり,第3及び第4の変位電極が同一の電極である。 bしたがって,被告製品は,構成要件の「複数の変位電極…を,物理的Kに単一の共通電極によって形成した」に該当する。 (イ)したがって,被告製品は構成要件を充足する。 Kイ被告の主張(ア)原告の主張(ア)aは認め,(ア)b及び(イ)は否認する。 (イ)構成要件は,すべての変位電極を物理的に単一の共通電極によって形K成したことを必要とする。 「第1の変位電極」と「第2の変位電極」とが物理的に単一の第1の共通電極として形成されており,「第3の変位電極」と「第4の変位電極」とが物理的に単一の第2の共通電極として形成されている被告製品は,構成要件を充足しない。 K( )被告製品の構成要件の充足の有無 3Lア原告の主張(ア)被告製品は加速度センサー(加速度検出装置)であり,変位要素である重錘体20に付加された力を検出することで,という式によって加速度のFF=ma a検出ができる(mは重錘体の質量)。したがって,被告製品は,「変位要素に作用する加速度に基いて発生する力を検出することにより,加速度の検出を行い得る」ことになる。 (イ)したがって,被告製品は構成要件を充足する。 Lイ被告の主張(ア)原告の主張は否認する。 (イ)構成要件は,変位要素に作用する加速度に基づいて発生する「力」をL検出することを必要とするのに対し,被告製品は力を検出することを必要としない。 ( )無効の抗弁1の成否(特許法104条の3)-分割出願の要件違反4ア被告の主張(ア)分割出願の要件違反a( )本件特許発明1に係る請求項記載の「変位要素」という用語は,原出a願の出願当初の明細書(乙2。以下「原出願当初明細書」という。)には記載されておらず,以下のとおり,本件出願時に追加されたものである(以下,本件出願時の明細書及び図面(乙11)を「本件出願当初明細書」という。)。 @原出願当初明細書の「を生じる基板となっている。」(17頁4行)の後に,「結局,固定基板10は装置筐体40に固定された固定要素として機能するのに対し,変位基板20はこの固定要素に対して可撓性部分を介して接続されており,変位基板20の中央部分は作用体30とともに変位要素(固定要素に対して相対的な変位を生じる要素)として機能することになる。」という記載が追加されている(本件出願当初明細書【0017】参照。以下この記載を「記載@」という。)。 ,, A原出願当初明細書の「をそれぞれ定義する。」(17頁9行)の後に 「すると変位要素は, , ,の各軸方向に変位可能な状態で,固定要素に対して接続さXYZれていることになる。」という記載が追加されている(本件出願当初明細書【0017】参照。以下この記載を「記載A」という。)。 ( )原出願当初明細書の全体にわたって使用されている「可撓基板」というb用語が,分割出願時に,「変位基板」という用語に置換されている。 ( )さらに,原出願当初明細書の「(3)可撓基板は可撓性をもった材質かcらなること。」(24頁15 16行)が,分割出願時に,「(3)変位基板が作用体 ~に作用した外力に基づいて変位しうること。」(本件出願当初明細書【0025】)に置換されている。 b「可撓」とは,「撓むことができる」ことを意味し,「撓み」とは,「たわむこと。外力によって板・棒などの軸方向が曲がる変形。」(乙17)をいう。これに対し,「変位」とは,「物体がある位置から別の位置に動(くこと)」をいい,「方向と大きさをもつベクトル量」として表されるものをいう(乙18)。 このように,「可撓」とは特定の軸方向に曲がることによって変形することができることをいうのに対し,「変位」とは任意の方向に任意の大きさだけ移動することをいう。基板が「撓む」ことによって基板が「変位」することになるが,逆に,基板が「変位」したからといって必ずしも基板が「撓む」ことになるとは限らない。したがって,「変位」という用語は,「可撓」という用語を上位概念化したものである。 cまた,記載@中の「変位基板20はこの固定要素に対して可撓性部分を介して接続されており」という記載の意味は,変位基板20と固定要素との間に「可, 撓性部分」という部分が存在することを意味する。すなわち,この「可撓性部分」は変位基板20とは別物であると理解される。 一方,「可撓性部分」とは,「可撓性という性質を有する構成要素の一部」を意味するところ,原出願当初明細書に記載の構成要素のうち可撓性を有するものは,「可, 撓基板20」のみであり,その他に可撓性を有する構成要素は存在しないことからこの「可撓性部分」は「可撓基板20」の一部であるというべきである。 dこのように,「可撓」が記載されている原出願当初明細書から,「変位」なる上位概念を導出することは,原出願当初明細書の記載及び自明な事項を超え,明細書及び図面の要旨を変更するものである。 よって,本件出願は,特許法44条1項所定の分割出願の要件を満たしていないことから,同条2項に規定される出願日の遡及の利益を受けることはできず,本件出願の出願日は,現実の出願日である平成10年7月9日とされるべきである。 (イ)新規性の欠如a特開平4-148833号公報(乙3。原出願の公開特許公報である。)に記載の発明(以下「引用例1に記載された発明」という。)は,以下のとおりの構成を有する。 互いに直行する軸及び軸を定義し,前記軸方向に作用した力及び前a1XYX記軸方向に作用した力をそれぞれ独立して検出する機能を持った力検出装置で Yあって,装置筐体40に対して変位が生じないように固定された固定要素10と,b1前記固定要素10に可撓基板20を介して接続され,外部から作用した前記 c1軸方向の力又は前記軸方向の力に基づいて,前記可撓基板20が撓みを生じ XYることにより,前記固定要素10に対して前記軸方向又は前記軸方向に変位 XYを生じる可撓基板20及び作用体30と,前記可撓基板20及び作用体30の変位にかかわらず固定状態を維持するよd1うに前記固定要素10上に形成された固定電極11と,前記可撓基板20及び作用体30の変位とともに変位するように前記可撓基e1板20上に形成された変位電極21〜24と,を備え,前記固定電極11と前記変位電極21とは互いに対向する位置に配置され, f1-1前記固定電極11と前記変位電極21とによって,第1の容量素子が形成され,前記固定電極11と前記変位電極23とは互いに対向する位置に配置され,f1-2前記固定電極11と前記変位電極23とによって,第2の容量素子が形成され,前記固定電極11と前記変位電極22とは互いに対向する位置に配置され,f1-3前記固定電極11と前記変位電極22とによって,第3の容量素子が形成され,前記固定電極11と前記変位電極24とは互いに対向する位置に配置され,f1-4前記固定電極11と前記変位電極24とによって,第4の容量素子が形成され,かつ,前記可撓基板20及び作用体30が前記軸の正方向に変位した場g1-1 X合,前記第1の容量素子の電極間距離が減少するとともに前記第2の容量素子の電極間距離が増加し,前記可撓基板20及び作用体30が前記軸の負方向に変位Xした場合,前記第1の容量素子の電極間距離が増加するとともに前記第2の容量素子の電極間距離が減少し,前記可撓基板20及び作用体30が前記軸の正方向に変位した場合,前g1-2 Y記第3の容量素子の電極間距離が減少するとともに前記第4の容量素子の電極間距離が増加し,前記可撓基板20及び作用体30が前記軸の負方向に変位した場Y合,前記第3の容量素子の電極間距離が増加するとともに前記第4の容量素子の電極間距離が減少するように,前記固定電極11及び前記変位電極21〜24のそれぞれが配置されており,前記第1の容量素子の静電容量と前記第2の容量素子の静電容量の差によっh1て,前記軸方向に作用した力を検出し,前記第3の容量素子の静電容量と前記 X第4の容量素子の静電容量との差によって,前記軸方向に作用した力を検出す Yるように構成したことを特徴とする力検出装置。 j1検出装置において,可撓基板20及び作用体30に作用する加速度に基づい l1て発生する力を検出することにより,加速度の検出を行いうるようにした加速度検出装置。 b本件特許発明1と引用例1に記載された発明との対比( )本件特許発明1の構成要素と引用例1に記載された発明の構成要素とaの対応関係は,以下のとおりである。 本件特許発明1の構成要素引用例1に記載された発明の構成要素力検出装置(構成要件, )力検出装置(構成,) AJ a1j1装置筐体(構成要件)装置筐体40(構成) B b1固定要素(同上)固定要素10(同上)可撓性部分(構成要件)可撓基板20(構成) C c1変位要素(同上)可撓基板20及び作用体3 0 ( 同上 )第1の固定電極(構成要件)固定電極11(構成) D d1第2の固定電極(同上)固定電極11(同上)第3の固定電極(同上)固定電極11(同上)第4の固定電極(同上)固定電極11(同上)第1の変位電極(構成要件)変位電極21(構成) E e1第2の変位電極(同上)変位電極23(同上)第3の変位電極(同上)変位電極22(同上)第4の変位電極(同上)変位電極24(同上)第1の容量素子(構成要件)固定電極11と変位電極21とに F-1よって形成された第1の容量素子(構成)f1-1第2の容量素子(構成要件)固定電極11と変位電極23とに F-2よって形成された第2の容量素子(構成)f1-2第3の容量素子(構成要件)固定電極11と変位電極22とに F-3よって形成された第3の容量素子(構成)f1-3第4の容量素子(構成要件)固定電極11と変位電極24とに F-4よって形成された第4の容量素子(構成)f1-4変位要素が第1の軸の正方向に変位 可撓基板20及び作用体30が軸 Xした場合,第1の容量素子の電極間 の正方向に変位した場合,第1の容量距離が減少するとともに第2の容量 素子の電極間距離が減少するとともに素子の電極間距離が増加し,変位要 第2の容量素子の電極間距離が増加X 素が第1の軸の負方向に変位した場 し,可撓基板20及び作用体30が合,第1の容量素子の電極間距離が 軸の負方向に変位した場合,第1の容増加するとともに第2の容量素子の 量素子の電極間距離が増加するととも電極間距離が減少するように,各固 に第2の容量素子の電極間距離が減少定電極及び各変位電極を配置(構成 するように,固定電極11及び変位電要件) 極21,23を配置(構成)G-1 g1-1変位要素が第2の軸の正方向に変位した 可撓基板20及び作用体30が軸の正方 Y場合,第3の容量素子の電極間距離が減 向に変位した場合,第3の容量素子の電極少するとともに第4の容量素子の電極間 間距離が減少するとともに第4の容量素子距離が増加し,変位要素が第2の軸の負 の電極間距離が増加し,可撓基板20及び方向に変位した場合,第3の容量素子の 作用体30が軸の負方向に変位した場Y電極間距離が増加するとともに第4の容 合,第3の容量素子の電極間距離が増加す量素子の電極間距離が減少するように, るとともに第4の容量素子の電極間距離が各固定電極及び各変位電極を配置(構成要 減少するように,固定電極11及び変位電件) 極22,24を配置(構成) G-2 g1-2第1の容量素子の容量値と第2の容 第1の容量素子の静電容量と第2の容量素子の容量値との差によって,第 量素子の静電容量の差によって,軸X1の軸方向に作用した力を検出し, 方向に作用した力を検出し,第3の容第3の容量素子の容量値と第4の容 量素子の静電容量と第4の容量素子の量素子の容量値との差によって,第 静電容量との差によって,軸方向にY2の軸方向に作用した力を検出する 作用した力を検出するように構成(構ように構成(構成要件)成)Hh1( )引用例1に記載された発明の構成ないしは,それぞれ本件特許 b a1j1発明1の構成要件ないしに相当し,両者は,すべての構成において一致し, AJ相違点は存しない。したがって,本件特許発明1は,引用例1に記載された発明に対して新規性がない。 c本件特許発明2と引用例1に記載された発明との対比引用例1に記載された発明は,固定電極を物理的に単一の固定電極11によってk1k1 K 形成した力検出装置である(構成) この構成は 本件特許発明2の構成要件 。,に相当し,両者の構成は一致し,相違点は存しない。したがって,本件特許発明2は,引用例1に記載された発明に対して新規性がない。 d本件特許発明3と引用例1に記載された発明との対比, 引用例1に記載された発明の構成は,本件特許発明3の構成要件に相当しl1 L両者の構成は一致し,相違点は存在しない。したがって,本件特許発明3は,引用例1に記載された発明に対して新規性がない。 (ウ)まとめしたがって,本件特許権は,特許法123条1項2号所定の無効理由を有し,特許無効審判により無効にされるべきものであるから,原告は,被告に対し,本件特許権を行使することができない。 イ原告の主張(ア)a被告の主張(ア)(分割出願の要件違反)のうち,aは認め,その余は否認する。 b原出願当初明細書の記載には,「可撓基板20は可撓性をもち,力が加わると撓みを生じる基板」であることが示されており,また,その第4図にも,可撓基板20が撓みを生じた状態が示されている。したがって,外部からの力がFx作用すると,少なくとも可撓基板20の周囲部分は撓みを生じることは明らかであり,この撓みを生じる部分を「可撓性部分」と呼ぶことに何ら不都合・不自然はないから,「可撓性部分」は原出願当初明細書から当業者には自明な事項に該当する。 また,原出願当初明細書の記載によれば,「作用体30は…可撓基板20の下面に,同軸接合されている」のであるから,「作用体30」と「作用体30が接合されている可撓基板20の中央部分」とは,物理的には一塊の物体として機能することになる。そして,「可撓性部分」が撓むことにより,この一塊の物体は変位を生じることになるのであるから,この一塊の物体のことを「変位要素」と呼ぶことに何ら不都合・不自然はなく,「変位要素」も原出願当初明細書から当業者に自明な事項に該当する。 結局,「固定要素」,「変位要素」,「可撓性部分」という文言自体は,原出願当初明細書には記載されていないが,固定基板10が「装置筐体に対して変位が生じないように固定された固定要素」であること,並びに,可撓基板20の中央部分及び作用体30から成る一塊の物体が「固定要素に可撓性部分(可撓基板20の周囲部分)を介して接続され,外部から作用した力に基づいて,可撓性部分が撓みを生じることにより,固定要素に対して変位を生じる変位要素」であることは,原出願当初明細書から自明な事項である。したがって,「固定要素」,「変位要素」,「可撓性部分」, という文言は「当初の明細書及び図面に記載されている事項」に該当するのでありこれを追加することは要旨変更ではない。 (イ)同(イ)(新規性の欠如)aないしdは,いずれも明らかに争わない。 (ウ)a同(ウ)(まとめ)は否認する。 b本件出願は適法な分割出願であるから,出願日の遡及の利益を受ける。 ( )無効の抗弁2の成否-補正要件違反5ア被告の主張(ア)a原告は,平成12年11月17日付け手続補正書(乙15)により,本件出願の請求項1の補正を行った(以下「本件補正」という。)。 b本件補正は,記載@(前記( )ア(ア)a( ))に基づいてされた。 4acしかし,記載@は,本件出願時に初めて加えられ,原出願当初明細書には記載されていない。 dしたがって,本件補正は,原出願当初明細書に記載した事項及び自明の範囲を超えている。 eそうすると,本件特許権は,その特許が特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願に対してされたものであるから,特許法123条1項1号所定の無効理由を有し,特許無効審判により無効にされるべきものであり,原告は,被告に対し,本件特許権を行使することができない。 (イ)仮に本件出願が分割出願の要件を満たしていたとしても,本件補正は,原出願当初明細書に記載した事項の範囲外のものであり,無効理由を有する。 イ原告の主張(ア)被告の主張(ア)のうち,a及びbは認め,その余は否認し,(イ)は否認する。 (イ)特許法17条の2第3項における補正の制限にいう「記載した事項の範囲, 内」とは,一字一句同じ文言が記載されていることを要求するものではないところ原出願当初明細書には「変位要素」や「変位基板」という用語自体は存在しないが,本件補正で加えた事項が記載されている。 また,平成5年法律第26号による改正前の特許法の補正要件は,現行法よりも極めて制限が緩かったから,その要件に反することもない。 ( )無効の抗弁3の成否-未完成発明 6ア被告の主張(ア)本件明細書の図3には,作用点に軸方向の力が作用した場合に,変PX位基板20にZ軸方向の変位が生じる様子が示され,作用点に軸方向の力が PX作用した場合に,変位基板20を軸方向に変位させることが固定電極11と変 Z位電極21〜24との電極間距離を増減させる原理であることが明示されている。 したがって,作用点に軸方向の力が作用した場合に,変位基板20を軸方PX Z向に変位させることが固定電極11と変位電極21〜24との電極間距離を増減させるために必須である。 これに対し,本件特許権1に係る請求項には,変位要素が軸方向に変位するZことが規定されていない。 よって,本件特許発明1は,動作不能な未完成発明であるというべきである。 同様の理由から,本件特許発明2及び3も,動作不能な未完成発明であるということができる。 (イ)そうすると,本件特許権は,特許法29条1項柱書の規定に違反して特許されたものである。 したがって,本件特許権は,特許法123条1項2号所定の無効理由を有し,特許無効審判により無効にされるべきものであるから,原告は,被告に対し,本件特許権を行使することができない。 イ原告の主張(ア)被告の主張はいずれも否認する。 (イ)本件特許権1の請求項に変位要素の軸方向の変位に関する記述がないZのは,本件特許発明1が,変位要素が軸方向に変位することを必須要件として Zいないからである。本件特許発明1は,作用した力の軸方向成分及び軸方向 XY成分を検出することが目的であり,変位要素が軸方向及び軸方向に変位する XYことは必須であるが,この軸方向及び軸方向への変位が軸方向への変位を XYZ伴っているか否かは問わない。 ( )無効の抗弁4の成否-実施可能要件違反7ア被告の主張(ア)本件明細書において,作用点に軸方向の力が作用した場合に変位基PX板20に軸方向の変位が生じることは,図3には示されているものの,発明の Z詳細な説明には明示されていない。 よって,本件明細書の発明の詳細な説明は,その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をできる程度に明確かつ十分に記載したものであるとはいえない。 (イ)そうすると,本件特許権1並びにこれに従属する本件特許権2及び3に係る特許は,特許法36条4項1号の規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 したがって,本件特許権は,特許法123条1項4号所定の無効理由を有し,特許無効審判により無効にされるべきものであるから,原告は,被告に対し,本件特許権を行使することができない。 イ原告の主張(ア)被告の主張はいずれも否認する。 X Z (イ)本件特許発明1において,軸方向の力を検出する際に,変位要素に軸方向の変位が生じることは必須ではなく,この点を発明の詳細な説明中で詳細に述べる必要はない。本件明細書の発明の詳細な説明には,当業者が本件特許発明1の実施をすることができる程度に明確かつ十分な記載がされている。 ( )無効の抗弁5の成否-発明の詳細な説明への記載の欠如8ア被告の主張(ア)本件特許発明1においては,作用点に軸方向の力が作用した場合に,PXZ「第1の変位電極」,「第2の変位電極」,「第3の変位電極」,「第4の変位電極」を軸方向に変位させること,すなわち,変位要素を軸方向に変位させることが,Z固定電極と変位電極とによって形成される容量素子の電極間距離を増減させるために必須である。 これに対し,本件特許権1に係る請求項には,「第1の変位電極」,「第2の変位電極」,「第3の変位電極」,「第4の変位電極」が軸方向に変位することも,「変Z位要素」が軸方向に変位することも規定されていない。 Zよって,本件特許発明1は,発明の詳細な説明に記載されたものではないというべきである。 同様の理由から,本件特許発明2及び3も,発明の詳細な説明に記載されたものではないというべきである。 (イ)そうすると,本件特許権に係る特許は,特許法36条6項1号の規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものというべきである。 したがって,本件特許権は,特許法123条1項4号所定の無効理由を有し,特許無効審判により無効にされるべきものであるから,原告は,被告に対し,本件特許権を行使することができない。 イ原告の主張被告の主張はいずれも否認する。 ( )無効の抗弁6の成否-請求項の記載の明確性の欠如9ア被告の主張(ア)本件特許発明1においては,「第1の変位電極」,「第2の変位電極 ,」「第3の変位電極」,「第4の変位電極」を軸方向に変位させること,すなわち,Z変位要素を軸方向に変位させることが,固定電極と変位電極とによって形成さ Zれる容量素子の電極間距離を増減させるために必須である。 これに対し,本件特許権1に係る請求項には,「第1の変位電極」,「第2の変位電極」,「第3の変位電極」,「第4の変位電極」が軸方向に変位することも,「変Z位要素」が軸方向に変位することも規定されていない。 Zよって,本件特許権1に係る請求項の記載は,発明を特定するために必要な事項を欠くから,発明が明確であるとはいえない。 同様の理由から,本件特許権2及び3に係る請求項の記載も,発明を特定するために必要な事項を欠くから,発明が明確でないというべきである。 (イ)また,本件特許発明1は,以下の記載不備があるため,明確であるとはいえない。 @構成要件について,「第1の固定電極」,「第2の固定電極」,「第3の固定D電極」,「第4の固定電極」とは,同一のものを指すのか,異なるものを指すのか不明確である。 A構成要件について,「第1の変位電極」,「第2の変位電極」,「第3の変位E電極」,「第4の変位電極」とは,同一のものを指すのか,異なるものを指すのか不明確である。 , B構成要件について,「前記変位要素の変位とともに変位するように」とはE「第1の変位電極」,「第2の変位電極」,「第3の変位電極」,「第4の変位電極」がどちらの方向に変位するのか不明確である。仮に,本件特許発明1が動作可能としても,本件明細書を参酌すると,「第1の変位電極」,「第2の変位電極」,「第3の変位電極」,「第4の変位電極」は,第1の軸方向(X軸方向)及び第2の軸方向(軸方Y向)に垂直な軸方向(Z軸方向)に変位することが必須である。したがって,構成要件は,「第1の変位電極」,「第2の変位電極」,「第3の変位電極」,「第4の変位E電極」が第1の軸方向及び第2の軸方向に垂直な軸方向に変位するという発明を特定するために必要な事項を欠いている。 (ウ)そうすると,本件特許権に係る特許は,特許法36条6項2号の規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものというべきである。 したがって,本件特許権は,特許法123条1項4号所定の無効理由を有し,特許無効審判により無効にされるべきものであるから,原告は,被告に対し,本件特許権を行使することができない。 イ原告の主張(ア)被告の主張はいずれも否認する。 X Z (イ)a本件特許発明1において軸方向の力を検出する際に 変位要素に , ,軸方向の変位が生じることは必須ではない。 b構成要件において,「第1の固定電極」,「第2の固定電極」,「第3のD固定電極」,「第4の固定電極」は,物理的に単一のものに限定されない。 c構成要件は,「第1の変位電極」,「第2の変位電極」,「第3の変位電E極」,「第4の変位電極」が物理的に同一のものも,異なったものも含む。 ()無効の抗弁7の成否-新規性の欠如110ア被告の主張(ア)引用例2a米国特許第号公報(1990年(平成2年)7月17日登録。乙4,941,35419。以下「引用例2」という。)は,以下の事項を記載している。 ( )本発明によれば,3軸の加速度計が提供される。この加速度計は,ハaウジングと,加えられた力に応答して3つの測定軸に対して変位可能なようにそのハウジング内に取り付けられたマグネットと,マグネットの変位を検知し,3つの測定軸のそれぞれに沿って加えられた力の成分に比例する出力信号を提供する検知手段とを含む(第1欄32行〜40行)。 ( )図1を参照して,図示される加速度計1は,導電性のハウジング2をb含む。ハウジング2は,下部ハウジング部分3と上部ハウジング部分4とから構成されており,ハウジング2とは電気的に絶縁されているケーシング5によって囲まれている。ケーシング5は,磁気的なスクリーニングを提供するために,ラジオメタルのような軟磁性アロイから作成されている。 サマリウムコバルトの永久マグネット6は,導電性の支持部材7内の円柱状のボア50の中に受容されることによってハウジング2内に取り付けられている。支持部材7は,中央孔8を介して下部ハウジング部分3の中を延びている。支持部材7は,ネジ51によって導電性の円形の支持ダイヤフラム9の中央に接続されている。 ネジ51は,ダイヤフラム9を介して支持部材7の中をネジがきられたボア52に延びている。支持部材7の軸方向のマグネット6の移動は,測定軸に沿っており,Zダイヤフラム9の平面と垂直な方向にダイヤフラム9が変形することによって許容される。さらに,支持部材7の軸に対して横方向のマグネット6の移動は,ダイヤフラム9に平行な平面内で直交する及び測定軸に沿っており,ダイヤフラムXY9の中心を軸として支持部材7を回転させるようにダイヤフラム9が撓むことによって許容される(第2欄14行〜39行)。 ( )支持部材7の上部分には,ピックオフキャパシタ14の可動プレートc13を構成する環状のフランジが設けられている。キャパシタ14は,従来のプリント回路プロセスによって回路板15の下側に形成された固定された円状のプレートをさらに含み,ネジ16によってハウジング固定されている。ネジ16はまた,下部ハウジング部分3と上部ハウジング部分4とを接続する。図3に示されるように,固定プレート17は,4つのプレート部分18,19,20,21を含む。これらのプレート部分は,互いに電気的に絶縁されており,中央点22の周りにある共通のプレートに配置されている(第2欄47行〜57行)。 ( )図3を再び参照して,ピックオフキャパシタ14の4つのプレート部d分18〜21を,,,と表記し,これらのプレート部分のそれぞれ YAXAYBXBCCCCX Y Zと可動プレート13との間の静電容量をと表記すると YAXAYBXB,,,, , ,軸に沿ってそれぞれΔ,Δ,Δ移動することにより,その変形に比例してXYZ静電容量が変化する。 XAXB Δ∝-XCCYAYB Δ∝-YCCXAXBYAYB Δ∝+++ZCCCCこのような軸方向のマグネット6の移動は,可動プレート13と固定プレート17との間の静電容量を変化させる。横方向のマグネット6の移動は,可動プレート13とそれに対向するプレート部分19及び21(若しくは,18及び20)との間の差動静電容量に変化を生じさせる(第3欄15行〜33行)。 ( )マグネット6が,可動プレート13とプレート部分19との間の間隔eが増加するように中立位置から移動すると,はより小さくなり,は励 CCVXAREF XA起電圧Φに対して180°位相がずれることになる。逆に,マグネット6が,そのXAREF XA 間隔が減少するように中立位置から移動すると,はより大きくなり, CCVはΦと同位相になる。出力電圧,,は,プレート部分21,18,2 VVVXBYAYB0にそれぞれ関連する同様のピックオフ増幅回路によって供給される(第3欄54行〜63行)。 ( )増幅器49は,矩形波電圧ととの差に応じた直流出力を発生f VV XAXBさせ,この直流出力は,軸フォースコイル30,32及び電流検出抵抗58を流 Xれる復帰電流を生じさせる。フォースコイル30,32を流れる電流の方向は,マグネット6を中立位置に戻す方向であり,ピックオフキャパシタ14の可動プレート13がプレート部分19,21に関して左右対称に配置されるようにする方向である(第4欄30行〜38行)。 ( )軸方向に作用した加速度は,図5の回路によって,電圧値としgX V Xて出力される(図5)。 b引用例2に記載された発明の構成上記記載によれば,引用例2に記載された発明は,以下の構成を有する。 互いに直交する軸及び軸を定義し,前記軸方向に作用した力及び前a2XYX記軸方向に作用した力をそれぞれ独立して検出する機能をもった加速度計1で Yあって,ハウジング2に対して変位が生じないように固定された回路板15と,b2前記回路板15にダイヤフラム9を介して接続され,外部から作用した前記 c2軸方向の力又は前記軸方向の力に基づいて,前記ダイヤフラム9が撓みを生 XYじることにより,前記回路板15に対して前記軸方向又は前記軸方向に変位 XYを生じるマグネット6と,前記マグネット6の変位にかかわらず固定状態を維持するように前記回路板 d215上に形成された固定プレート17のプレート部18〜21と,前記マグネット6の変位とともに変位するように前記マグネット6を収容すe2る支持部材7上に形成された可動プレート13と,を備え,前記プレート部19と前記可動プレート13とは互いに対向する位置に配f2-1置され,前記プレート部19と前記可動プレート13とによって,静電容量を CXA有する第1の容量素子が形成され,前記プレート部21と前記可動プレート13とは互いに対向する位置に配f2-2置され,前記プレート部21と前記可動プレート13とによって,静電容量を CXB有する第2の容量素子が形成され,前記プレート部18と前記可動プレート13とは互いに対向する位置に配f2-3置され,前記プレート部18と前記可動プレート13とによって,静電容量を CYA有する第3の容量素子が形成され,前記プレート部20と前記可動プレート13とは互いに対向する位置に配f2-4置され,前記プレート部20と前記可動プレート13とによって,静電容量を CYB有する第4の容量素子が形成され,かつ,前記マグネット6が前記軸の正方向に変位した場合,前記第1のg2-1 X容量素子の電極間距離が減少するとともに前記第2の容量素子の電極間距離が増加し,前記マグネット6が前記軸の負方向に変位した場合,前記第1の容量素子Xの電極間距離が増加するとともに前記第2の容量素子の電極間距離が減少し,前記マグネット6が前記軸の正方向に変位した場合,前記第3の容量素g2-2 Y子の電極間距離が減少するとともに前記第4の容量素子の電極間距離が増加し,前記マグネット6が前記軸の負方向に変位した場合,前記第3の容量素子の電極Y間距離が増加するとともに前記第4の容量素子の電極間距離が減少するように,前記プレート部18〜21のそれぞれ及び前記可動プレート13が配置されており,前記第1の容量素子の静電容量と前記第2の容量素子の静電容量とh2 C C XA XBの差によって,前記軸方向の作用した力を検出し,前記第3の容量素子の静電 X容量と前記第4の容量素子の静電容量との差によって,前記軸方向のC C Y YA YB作用した力を検出するように構成したことを特徴とする加速度計1。 j2検出装置において,マグネット6に作用する加速度に基づいて発生する力を l2検出することにより,加速度の検出を行い得るようにした加速度検出装置。 (イ)本件特許発明1ないし3と引用例2に記載された発明との対比a本件特許発明1と引用例2に記載された発明との対比( )本件特許発明1の構成要素と引用例2に記載された発明の構成要素とaの対応関係は,以下のとおりである。 本件特許発明の構成要素引用例2に記載された発明の構成要素力検出装置(構成要件, )加速度計1(構成,) AJ a2j2装置筐体(構成要件)ハウジング2(構成) B b2固定要素(同上)回路板15(同上)可撓性部分(構成要件)ダイヤフラム9(構成) C c2変位要素(同上)マグネット6(同上)第1の固定電極(構成要件)プレート部19(構成) D d2第2の固定電極(同上)プレート部21(同上)第3の固定電極(同上)プレート部18(同上)第4の固定電極(同上)プレート部20(同上)第1の変位電極(構成要件)可動プレート13(構成) E e2第2の変位電極(同上)可動プレート13(同上)第3の変位電極(同上)可動プレート13(同上)第4の変位電極(同上)可動プレート13(同上)第 1 の 容 量 素 子 ( 構 成 要 件 プレート部19と可動プレート) 13とによって形成された第1F-1の容量素子(構成) f2-1第 2 の 容 量 素 子 ( 構 成 要 件 プレート部21と可動プレート) 13とによって形成された第2F-2の容量素子(構成) f2-2第 3 の 容 量 素 子 ( 構 成 要 件 プレート部18と可動プレート) 13とによって形成された第3F-3の容量素子(構成) f2-3第 4 の 容 量 素 子 ( 構 成 要 件 プレート部20と可動プレート) 13とによって形成された第4F-4の容量素子(構成) f2-4変位要素が第1の軸の正方向に変 マグネット6が軸の正方向に変 X位した場合,第1の容量素子の電 位した場合,第1の容量素子の電極極間距離が減少するとともに第2 間距離が減少するとともに第2の容の容量素子の電極間距離が増加し量素子の電極間距離が増加し,マグ ,変位要素が第1の軸の負方向に変 ネット6が軸の負方向に変位しX位した場合,第1の容量素子の電 た場合,第1の容量素子の電極間距極間距離が増加するとともに第2 離が増加するとともに第2の容量素の容量素子の電極間距離が減少す 子の電極間距離が減少するように,るように,各固定電極及び各変位 プレート部19,21及び可動プレ電極を配置(構成要件)ート13を配置(構成)G-1 g2-1変位要素が第2の軸の正方向に変 マグネット6が軸の正方向に変 Y位した場合,第3の容量素子の電 位した場合,第3の容量素子の電極極間距離が減少するとともに第4 間距離が減少するとともに第4の容の容量素子の電極間距離が増加し量素子の電極間距離が増加し,マグ ,変位要素が第2の軸の負方向に変 ネット6が軸の負方向に変位しY位した場合,第3の容量素子の電 た場合,第3の容量素子の電極間距極間距離が増加するとともに第4 離が増加するとともに第4の容量素の容量素子の電極間距離が減少す 子の電極間距離が減少するように,るように,各固定電極及び各変位 プレート部18,20及び可動プレ電極を配置(構成要件)ート13を配置(構成)G-2 g2-2第1の容量素子の容量値と第2の 第1の容量素子の静電容量と CXA容量素子の容量値との差によって第2の容量素子の静電容量との , CXB第1の軸方向に作用した力を検出 差によって,軸方向の作用した力 Xし,第3の容量素子の容量値と第 を検出し,第3の容量素子の静電容4の容量素子の容量値との差によ 量と第4の容量素子の静電容CYAって,第2の軸方向に作用した力 量との差によって,軸方向の CYYBを検出するように構成(構成要件 作用した力を検出するように構成) (構成)H h2( )引用例2に記載された発明の構成ないしは,本件特許発明1の b a2j2構成要件ないしに相当し,両者は,すべての構成において一致し,相違点は AJ存しない。したがって,本件特許発明1は,引用例2に記載された発明に対して新規性がない。 b本件特許発明2と引用例2に記載された発明との対比引用例2に記載された発明は,変位電極を物理的に単一の共通電極である可動プレート13によって形成した力検出装置である。この構成は,本件特許発明2の構成要件に相当し,両者の構成は一致し,相違点は存しない。したがって,本件K特許発明2は,引用例2に記載された発明に対して新規性がない。 c本件特許発明3と引用例2に記載された発明との対比, 引用例2に記載された発明の構成は,本件特許発明3の構成要件に相当しl2 L両者の構成は一致し,相違点は存在しない。したがって,本件特許発明3は,引用例2に記載された発明に対して新規性がない。 (ウ)まとめしたがって,本件特許権は,特許法123条1項2号所定の無効理由を有し,特許無効審判により無効にされるべきものであるから,原告は,被告に対し,本件特許権を行使することができない。 イ原告の主張(ア)a被告の主張(ア)(引用例2)aは明らかに争わない。 b同bのうち,引用例2に記載された発明がの構成を有するとする点h2は否認し,その余は明らかに争わない。 (イ)a同(イ)(対比)aのうち,( )は,引用例2に記載された発明がの構成a h2を有するとする点は否認し,その余は明らかに争わない。 b( )同a( )は否認する。 ab( )本件特許発明1と引用例2に記載された発明とは,いずれも電極間距 b離が可変となる容量素子を備えているものの,検出原理を全く異にするものである。 引用例2に記載された発明は,マグネット6を中立位置に戻すための制御に必要になった電力を所定軸方向に作用した力として検出しており,本件特許発明1のように,静電容量の差を所定軸方向に作用した力として検出しているわけではない。 したがって,引用例2に記載された発明は,本件特許発明1の構成要件を具H備しない。 c同b(本件特許発明2)及びc(本件特許発明3)は否認する。 (ウ)同(ウ)(まとめ)は否認する。 () 無効の抗弁8の成否-新規性の欠如211ア被告の主張(ア)引用例3a米国特許第号公報(1966年(昭和41)年8月30日登録。 3,270,260乙20。以下「引用例3」という。)は,以下の事項を記載している。 ( )本発明の更なる局面では,ブリッジ回路のためのピックアッププレーaトの複数の軸のいずれかに沿ったスティック上の力がそれらをアンバランスにし,スティック上の力に比例した振幅を有し,かつ,その力の方向に応じて位相0°又は位相180°を有する信号を生成する。2つの組のピックアッププレートの互いに直交する軸の方向が,軸及び軸を表す場合には,方向の力は,ブリ"x""y""x""x"ッジのアンバランスを生成し,方向の力は,ブリッジのアンバランスを生成 "y""x"し,方向の力は,ブリッジのアンバランスを生成する。"y""y"F"x"本発明の更に他の局面では,制御がベクトル的に作用する。力が角度θで軸方向にスティックにかかる場合には,軸及び軸に沿ったアンバランス信号"x""y"は,前者に対してθであり,後者に対してθである(第2欄7行〜24 Fcos Fsin行)。 ( )図面を参照して,本発明の原理が,ハウジング10を含む手制御に適b用されるものとして示されている。実施の形態では,ハウジング10は,1つの開放端を有する中空のシリンダ11として示されている。4つのピックアッププレート13,14,15,16が適切な態様でハウジング10内の単一のプレートに取り付けられている。これらのプレートは,導電性の材料から構成されていてもよい。 プレート13,15は,軸と表記され得る1つの軸に沿って配列されており,"x"プレート14,16は,軸と表記され得る軸に直交するもう1つの軸に沿っ "y""x"て配列されている。 プレート13,15は,キャパシタンス又はインダクタンス(磁気)タイプのような1つのインピーダンスブリッジ回路のブランチを形成することができ,プレート14,16は,磁気ブリッジ回路上にもう1つの別のキャパシタンスのブランチを形成する。その両方が,ハウジング10内に配置され,空気を遮断するようにシールされ得る(第2欄40行〜56行)。 ( )比較的剛性で,薄い,金属電極ダイヤフラム17は,ハウジング10cの開放端12を覆うことができ,ネジ18によってハウジング10の上面に剛性的に固定され得る。ハンドル19が移動されると,ダイヤフラムは,破線19Aに示されるように変形し,そのハンドルの動きが強調される(第2欄67行〜72行)。 ( )スティック又はハンドル19は,その中心においてダイヤフラムに一d体的に結合されていてもよい。軸方向の力がスティック19及びダイヤフラム "x"17を図1に示される破線の位置に変形させると,ダイヤフラムは,ピックアッププレート13に近い位置に移動し,プレート15から離れた位置に移動する。これにより,プレート13,15を含むブリッジにおいてアンバランスな状態が発生する。逆に,軸に沿ってスティック19にかかる力は,プレート14,16を含"y"むブリッジにおいてアンバランスを生成する(第3欄1行〜10行)。 b引用例3に記載された発明の構成上記記載によれば,引用例3に記載された発明は,以下の構成を有する。 互いに直交するx軸及びy軸を定義し,前記x軸方向に作用した力及び前記a3y軸方向に作用した力をそれぞれ独立して検出する機能をもった力検出装置であって,ハウジング10に対して変位が生じないように固定されたハウジング10内b3の単一のプレートと,前記ハウジング10内の単一のプレートにダイヤフラム17を介して接続さc3れ,外部から作用した前記x軸方向の力又は前記y軸方向の力に基づいて,前記ダイヤフラム17が撓みを生じることにより,前記ハウジング10内の単一のプレートに対して前記x軸方向又は前記y軸方向に変位を生じるダイヤフラム17及びハンドル19と,前記ダイヤフラム17及びハンドル19の変位にかかわらず固定状態を維持d3するように前記ハウジング10内の単一のプレート上に形成されたプレート13〜16と,前記ダイヤフラム17及びハンドル19の変位とともに変位するように形成e3されたダイヤフラム17と,を備え,前記プレート13と前記ダイヤフラム17とは互いに対向する位置に配置f3-1され,前記プレート13と前記ダイヤフラム17とによって,第1の容量素子が形成され,前記プレート15と前記ダイヤフラム17とは互いに対向する位置に配置f3-2され,前記プレート15と前記ダイヤフラム17とによって,第2の容量素子が形成され,前記プレート14と前記ダイヤフラム17とは互いに対向する位置に配置f3-3され,前記プレート14と前記ダイヤフラム17とによって,第3の容量素子が形成され,前記プレート16と前記ダイヤフラム17とは互いに対向する位置に配置f3-4され,前記プレート16と前記ダイヤフラム17とによって,第4の容量素子が形成され,かつ,前記ダイヤフラム17及びハンドル19が前記x軸の正方向に変位g3-1した場合,前記第1の容量素子の電極間距離が減少するとともに前記第2の容量素子の電極間距離が増加し,前記ダイヤフラム17及びハンドル19が前記x軸の負方向に変位した場合,前記第1の容量素子の電極間距離が増加するとともに前記第2の容量素子の電極間距離が減少し,前記ダイヤフラム17及びハンドル19が前記y軸の正方向に変位した場g3-2合,前記第3の容量素子の電極間距離が減少するとともに前記第4の容量素子の電極間距離が増加し,前記ダイヤフラム17及びハンドル19が前記y軸の負方向に変位した場合,前記第3の容量素子の電極間距離が増加するとともに前記第4の容量素子の電極間距離が減少するように,前記プレート13〜16のそれぞれ及びダイヤフラム17が配置されており,前記第1の容量素子の容量値と前記第2の容量素子の容量値との差によって,h3前記軸方向の作用した力を検出し,前記第3の容量素子の容量値と前記第4の容x量素子の容量値との差によって,前記軸方向の作用した力を検出するように構成 yしたことを特徴とする力検出装置。 j3(イ)本件特許発明1ないし3と引用例3に記載された発明との対比a本件特許発明1と引用例3に記載された発明との対比( )本件特許発明1の構成要素と引用例3に記載された発明の構成要素とaの対応関係は,以下のとおりである。 本件特許発明の構成要素引用例3に記載された発明の構成要素力検出装置(構成要件, )力検出装置(構成, ) AJ a3j3装置筐体(構成要件)ハウジング10(構成) B b3固定要素(同上)ハウジング10内の単一のプレート(同上)可撓性部分(構成要件)ダイヤフラム17(構成) C c3変位要素(同上)ダイヤフラム17及びハンドル19(同上)第1の固定電極(構成要件)プレート13(構成) D d3第2の固定電極(同上)プレート15(同上)第3の固定電極(同上)プレート14(同上)第4の固定電極(同上)プレート16(同上)第1の変位電極(構成要件)ダイヤフラ ム 1 7 ( 構 成) E e 3第2の変位電極(同上)ダイヤフラム17(同上)第3の変位電極(同上)ダイヤフラム17(同上)第4の変位電極(同上)ダイヤフラム17(同上)第1の容量素子(構成要件)プレート13とダイヤフラム17 F-1とによって形成された第1の容量素子(構成)f3-1第2の容量素子(構成要件)プレート15とダイヤフラム17 F-2とによって形成された第2の容量素子(構成)f3-2第3の容量素子(構成要件)プレート14とダイヤフラム17 F-3とによって形成された第3の容量素子(構成)f3-3第4の容量素子(構成要件)プレート16とダイヤフラム17 F-4とによって形成された第4の容量素子(構成)f3-4変位要素が第1の軸の正方向に変位 ダイヤフラム17及びハンドル19がx軸した場合,第1の容量素子の電極間 の正方向に変位した場合,第1の容量素子距離が減少するとともに第2の容量 の電極間距離が減少するとともに第2の容素子の電極間距離が増加し,変位要 量素子の電極間距離が増加し,ダイヤフラ素が第1の軸の負方向に変位した場 ム17及びハンドル19がx軸の負方向に合,第1の容量素子の電極間距離が 変位した場合,第1の容量素子の電極間距増加するとともに第2の容量素子の 離が増加するとともに第2の容量素子の電,, 電極間距離が減少するように,各固 極間距離が減少するように プレート13定電極及び各変位電極を配置(構成 15及びダイヤフラム17を配置()g3-1要件) G-1変位要素が第2の軸の正方向に変位した ダイヤフラム17及びハンドル19がy軸場合,第3の容量素子の電極間距離が減 の正方向に変位した場合,第3の容量素子少するとともに第4の容量素子の電極間 の電極間距離が減少するとともに第4の容距離が増加し,変位要素が第2の軸の負 量素子の電極間距離が増加し,ダイヤフラ方向に変位した場合,第3の容量素子の ム17及びハンドル19がy軸の負方向に電極間距離が増加するとともに第4の容 変位した場合,第3の容量素子の電極間距量素子の電極間距離が減少するように, 離が増加するとともに第4の容量素子の電,, 各固定電極及び各変位電極を配置(構成要 極間距離が減少するように プレート14件) 16及びダイヤフラム17を配置()G-2 g3-2第1の容量素子の容量値と第2の容 第1の容量素子の容量値と第2の容量素子量素子の容量値との差によって,第 の容量値との差によって, 軸方向の作用x1の軸方向に作用した力を検出し, した力を検出し,第3の容量素子の容量値, 第3の容量素子の容量値と第4の容 と第4の容量素子の容量値との差によって量素子の容量値との差によって,第軸方向の作用した力を検出するように構y2の軸方向に作用した力を検出する 成( ) h3ように構成(構成要件) H( )引用例3に記載された発明の構成ないしは,本件特許発明1の b a3j3構成要件ないしに相当し,両者は,すべての構成において一致し,相違点は AJ存しない。したがって,本件特許発明1は,引用例3に記載された発明に対して新規性がない。 b本件特許発明2と引用例3との対比引用例3に記載された発明は,変位電極を物理的に単一の共通電極であるダイヤフラム17によって形成した力検出装置である。この構成は,本件特許発明2の構成要件に相当し,両者の構成は一致し,相違点は存しない。したがって,本件K特許発明2は,引用例3に記載された発明に対して新規性がない。 c本件特許発明3と引用例3との対比( )本件特許発明3が「加速度検出装置」であるのに対し,引用例3が加速a度検出装置を明示していない点で,両者は一応相違する。 ( )しかし,加速度に基づいて発生する力を検出することにより,加速度bの検出を行いうるようにすることは周知である。 ( )したがって,引用例3は,本件特許発明3の構成要件を実質的に記c L載しているというべきである。 ( )よって,本件特許発明3は,引用例3に記載された発明に対して新規d性がない。 (ウ)まとめしたがって,本件特許権は,特許法123条1項2号所定の無効理由を有し,特許無効審判により無効にされるべきものであるから,原告は,被告に対し,本件特許権を行使することができない。 イ原告の主張(ア)a被告の主張(ア)(引用例3)aは明らかに争わない。 b同bのうち,引用例3に記載された発明がの構成を有するとする点h3は否認し,その余は明らかに争わない。 (イ)a同(イ)(対比)aのうち,( )は,引用例3に記載された発明がの構成a h3を有するとする点は否認し,その余は明らかに争わない。 b( )同a( )は否認する。 ab( )引用例3に記載された発明は,ラック20やラック37を駆動するた bめの操作入力を行うものであり,静電容量の差を所定軸方向に作用した力として検出するという本件特許発明1の構成要件に相当する検出動作を行うものではなHい。 c同b(本件特許発明2)及びc(本件特許発明3)は否認する。 (ウ)同(ウ)(まとめ)は否認する。 () 無効の抗弁9の成否-新規性の欠如312ア被告の主張(ア)引用例4a国際公開公報号公報(1989年(平成元年)10月19日WO89/09927国際公開。乙21。以下「引用例4」という。)は,以下の事項を記載している。 ( )本発明の第2の局面は,次のような装置を提供することにある。すなaわち,少なくとも2軸の変位に感応し,2軸にそれぞれ容量形変位トランスジューサを有し,各トランスジューサは少なくとも2つの向かい合うコンデンサ電極を有し,個々のトランスジューサの一つの電極は,他のトランスジューサ又は互いのトランスジューサの電極と共通である(2頁31行〜37行)。 ( )好ましくは,共通でないトランスジューサのコンデンサ電極は,共通bのプリント配線板上に設けられる。好ましくは,このようなプリント配線板は共通電極と対向するように設け,共通の中央電極をプリント配線板の2つの外側電極の間で相対的に移動させて,各トランスジューサを差動させ得る(3頁1行〜7行)。 ( )図1ないし図4を参照して,ジョイスティックはハウジング10を有cし,該ハウジング10からコントロールレバー12が突出している。コントロールレバー12はスプリングダイヤフラム14により支持され,手動で軸及び軸XY方向に傾けられ, 軸に沿って移動させることができる(3頁30行〜34行)。 Z( )ハウジング10内には,金属製の円板22が絶縁部材24を介してコ dントロールレバー12の底部に固定されている。円板22をコントロールレバー12により, ,方向に傾けることができ, 軸に沿って移動させることができる。 XY Z本装置は,プリント配線板26,28が一つずつ円板22の両側にあり,通常は円板22に対して平行になっている。プリント配線板26,28はスペーサリング20により間隔が設けられ,スペーサリング20に固定されている(4頁10行〜19行)。 ( )図に示すように,プリント配線板26,28は環状であるが,上側の eプリント配線板26のみはコントロールレバー12を収納するため環状にする必要がある。 プリント配線板26,28上には電極パターンがプリントしてあり,電極パターンは円板22とともに可変コンデンサを構成している。簡単なパターンを図2及び図3に示す。電極パターンの配置を図4に示す(4頁20行〜28行)。 ( )下側のプリント配線基板28は,電極の内側に,4つの四分円形のf E電極, , ,を有する。同様に,上側のプリント配線基板26は,4つの四ABCD分円形の電極, , , を有する。電極, , , は電極, , ,と A'B'C'D'A'B'C'D'ABCD正反対である。2つのプリント配線基板26,28は,電極とが電気的に接 AA'B C D続されるように 図示しない手段により相互に接続されている 同様に 電極 , 。,, ,が電極, , にそれぞれ接続されている。接続された電極対, と,接続さB'C'D' AA'れた電極対, は円板と円板22と協働して差動コンデンサを構成している。こ BB'。 の差動コンデンサは,コントロールレバー12が軸方向に傾くときに変化する X同様に,電極対, と電極対, は,円板22とともに差動コンデンサを構成 CC'DD'している。この差動コンデンサは,コントロールレバー12がY軸方向に傾くときに変化する(5頁6行〜21行)。 ( )装置は,ジョイスティックとしてよりも,むしろ測定プローブとしてg組み立てても良い(4頁5行〜6行)。 b引用例4に記載された発明の構成上記記載によれば,引用例4に記載された発明は,以下の構成を有する。 互いに直交する軸及び軸を定義し,前記軸方向に作用した力及び前a4XYX記軸方向に作用した力をそれぞれ独立して検出する機能を持ったジョイスティ Yックであって,リング16,18及びスペーサリング20に対して変位が生じないように固b4定された基板26,28と,前記リング16,18にダイアフラム14を介して接続され,外部から作用 c4した前記軸方向の力又は前記軸方向の力に基づいて,前記ダイヤフラム14 XYが撓みを生じることにより,前記リング16,18に対して前記軸方向又は前 X記軸方向に変位を生じる円板22及びコントロールレバー12と, Y前記円板22及びコントロールレバー12の変位にかかわらず固定状態を維 d4持するように前記基板26,28上に形成された電極, , ,と, ABCD前記円板22及びコントロールレバー12の変位とともに変位するように前 e4記円板22上に形成された第1の変位電極,第2の変位電極,第3の変位電極,第4の変位電極と,を備え,前記電極と前記第1の変位電極とは互いに対向する位置に配置され,前f4-1A記電極と前記第1の変位電極とによって,第1の容量素子が形成され,A前記電極と前記第2の変位電極とは互いに対向する位置に配置され,前 f4-2B記電極と前記第2の変位電極とによって,第2の容量素子が形成され,B前記電極と前記第3の変位電極とは互いに対向する位置に配置され,前 f4-3C記電極と前記第3の変位電極とによって,第3の容量素子が形成され,C前記電極と前記第4の変位電極とは互いに対向する位置に配置され,前 f4-4D記電極と前記第4の変位電極とによって,第4の容量素子が形成され,Dかつ,前記円板22及びコントロールレバー12が前記軸の正方向に変 g4-1 X位した場合,前記第1の容量素子の電極間距離が減少するとともに前記第2の容量X 素子の電極間距離が増加し,前記円板22及びコントロールレバー12が前記軸の負方向に変位した場合,前記第1の容量素子の電極間距離が増加するとともに前記第2の容量素子の電極間距離が減少し,前記円板22及びコントロールレバー12が前記軸の正方向に変位したg4-2 Y場合,前記第3の容量素子の電極間距離が減少するとともに前記第4の容量素子の電極間距離が増加し,前記円板22及びコントロールレバー12が前記軸の負Y方向に変位した場合,前記第3の容量素子の電極間距離が増加するとともに前記第4の容量素子の電極間距離が減少するように,前記各電極〜及び前記各変位 AD電極が配置されており,前記第1の容量素子の容量値と前記第2の容量素子の容量値との差によって,h4前記軸方向の作用した力を検出し,前記第3の容量素子の容量値と前記第4のX容量素子の容量値との差によって,前記軸方向の作用した力を検出するように Y構成したことを特徴とするジョイスティック。 j4(イ)本件特許発明1ないし3と引用例4との対比a本件特許発明1と引用例4との対比( )本件特許発明1の構成要素と引用例4に記載された発明の構成要素とaの対応関係は,以下のとおりである。 本件特許発明の構成要素引用例4に記載された発明の構成要素力検出装置(構成要件, )ジョイスティック(構成,) AJ a4j4装置筐体(構成要件)リング16,18及びスペーサリ Bング20(構成) b4固定要素(同上)基板26,28(同上)可撓性部分(構成要件)ダイヤフラム14(構成) C c4変位要素(同上)円板22及びコントロールレバー12(同上)第1の固定電極(構成要 件)電極(構成) DAd4第2の固定電極(同上)電極(同上) C第3の固定電極(同上)電極(同上) B第4の固定電極(同上)電極(同上) D第1の変位電極(構成要件)円板22(構成) E e4第2の変位電極(同上)円板22(同上)第3の変位電極(同上)円板22(同上)第4の変位電極(同上)円板22(同上)第1の容量素子(構成要件)電極と円板22とによって形成 F-1Aされた第1の容量素子(構成) f4-1第2の容量素子(構成要件)電極と円板22とによって形成 F-2Cさ れ た 第 2 の 容 量 素 子 ( 構 成)f 4 - 2第3の容量素子(構成要件)電極と円板22とによって形成 F-3Bされた第3の容量素子(構成) f4-3第4の容量素子(構成要件)電極と円板22とによって形成 F-4Dされた第4の容量素子(構成) f4-4X 変位要素が第1の軸の正方向に変位し 円板22及びコントロールレバー12がた場合,第1の容量素子の電極間距離 軸の正方向に変位した場合,第1の容量素子が減少するとともに第2の容量素子の の電極間距離が減少するとともに第2の容量電極間距離が増加し,変位要素が第1 素子の電極間距離が増加し,円板22及びコの軸の負方向に変位した場合,第1の ントロールレバー12が軸の負方向に変X容量素子の電極間距離が増加するとと 位した場合,第1の容量素子の電極間距離がもに第2の容量素子の電極間距離が減 増加するとともに第2の容量素子の電極間距少するように,各固定電極及び各変位 離が減少するように,電極 , 及び第1,A C電極を配置(構成要件)第2変位電極を配置() G-1 g4-1Y 変位要素が第2の軸の正方向に変位した場 円板22及びコントロールレバー12が合,第3の容量素子の電極間距離が減少す 軸の正方向に変位した場合,第3の容量素子るとともに第4の容量素子の電極間距離が の電極間距離が減少するとともに第4の容量増加し,変位要素が第2の軸の負方向に変 素子の電極間距離が増加し,円板22及びコ位した場合,第3の容量素子の電極間距離 ントロールレバー12が軸の負方向に変 Yが増加するとともに第4の容量素子の電極 位した場合,第3の容量素子の電極間距離が間距離が減少するように,各固定電極及び 増加するとともに第4の容量素子の電極間距各変位電極を配置(構成要件)離が減少するように,電極 , 及び第3,G-2 B D第4変位電極を配置() g4-2第1の容量素子の容量値と第2の容量 第1の容量素子の容量値と第2の容量素子の素子の容量値との差によって,第1の 容量値との差によって,軸方向の作用しX軸方向に作用した力を検出し,第3の た力を検出し,第3の容量素子の容量値と第Y 容量素子の容量値と第4の容量素子の 4の容量素子の容量値との差によって,容量値との差によって,第2の軸方向 軸方向の作用した力を検出するように構成に作用した力を検出するように構成 ( )h4(構成要件) H( )引用例4に記載された発明の構成ないしは,本件特許発明1の b a4j4構成要件ないしに相当し,両者は,すべての構成において一致し,相違点は AJ存しない。したがって,本件特許発明1は,引用例4に記載された発明に対して新規性がない。 b本件特許発明2と引用例4に記載された発明との対比引用例4に記載された発明は,変位電極を物理的に単一の共通電極である円板2K 2によって形成した力検出装置である。この構成は,本件特許発明2の構成要件に相当し,両者の構成は一致し,相違点は存しない。したがって,本件特許発明2は,引用例4に記載された発明に対して新規性がない。 c本件特許発明3と引用例4に記載された発明との対比( )本件特許発明が「加速度検出装置」であるのに対し,引用例4に記載さaれた発明が加速度検出装置を明示していない点で,両者は一応相違する。 ( )しかし,加速度に基づいて発生する力を検出することにより,加速度 bの検出を行いうるようにすることは周知である。 ( )したがって,引用例4は,本件特許発明3の構成要件を実質的に記c L載しているというべきであるから,上記相違点は実質的には相違点に当たらない。 ( )よって,本件特許発明3は,引用例4に記載された発明に対して新規d性がない。 (ウ)まとめしたがって,本件特許権は,特許法123条1項2号所定の無効理由を有し,特許無効審判により無効にされるべきものであるから,原告は,被告に対し,本件特許権を行使することができない。 イ原告の主張(ア)a被告の主張(ア)(引用例4)aは明らかに争わない。 b同bのうち,引用例4に記載された発明がの構成を有するとする点h4は否認し,その余は明らかに争わない。 (イ)a同(イ)(対比)aのうち,( )は,引用例4に記載された発明がの構成a h4を有するとする点は否認し,その余は明らかに争わない。 b( )同a( )は否認する。 ab( )引用例4に係る装置のデジタル出力64は,差動キャパシタ30のア bンバランスをゼロへと減少させるためのフィードバック電圧である。結局,引 V F用例4に記載された発明では,差動キャパシタ30のアンバランスをゼロへ減少させるための制御に必要なフィードバック電圧を所定軸方向に作用した力としてV F検出しているのであり,本件特許発明1のように,静電容量の差を所定軸方向に作用した力として検出しているわけではない。 c同b(本件特許発明2)及びc(本件特許発明3)は否認する。 (ウ)同(ウ)(まとめ)は否認する。 () 無効の抗弁10の成否-新規性の欠如4 13ア被告の主張(ア)引用例5a米国特許第号公報(1983年(昭和58年)2月8日登録。乙4,372,16222。以下「引用例5」という。)は,以下の事項を記載している。 ( )本発明は加速度計に関する(第1欄25行〜26行)。 a( )本発明の他の目的は,温度変動によるバイアスの不確実さが非常に低 b減された加速度計を提供することにある。さらに他の目的は,温度制御を必要とすることなく広範囲の周囲温度変動に対して使用され得る加速度計を提供することにある(第1欄60行〜68行)。 ( )さらなる目的は,カーティシアン座標系の3つの直交軸に沿った加速c度を同時に計測することが可能な加速度計を提供することにある。本発明のさらに他の目的は,高い精度を有する加速度計を提供することにある。その他の目的は,製造することが安価な加速度計を提供することにある(第2欄1行〜7行)。 ( )プルーフマス10は,プルーフマス10の長手方向軸38に実質的にd垂直な平面に配置されるフィラメント14のアレイによってハウジング12から懸架されている。各フィラメント14の外側部分は,クランピングリング40の内側表面とハウジングキャップ42との間にクランプされている。クランピングリング40の他の表面は,ハウジング部材43に固定されている(第6欄35行〜41行)。 ( )プルーフマス10のディスク部分36は,軸,軸周りの回転の変e XY形を検知し,プルーフマス10の長手軸(すなわち,軸)に沿った変形を検知する Z複数のキャパシタピックオフのための可動プレート又は電極として機能する(第7欄58行〜62行)。 ( )センサキャパシタの固定のプレート,(すなわち,非移動のプレート)fを形成するピックオフ電極は,好ましくはめっきによって,クランピングリング40の表面及びプルーフマスディスク36に隣接するハウジング部材43上に配置される。これらは,図3よりも図4に明示されている(第7欄65行〜第8欄2行)。 ( )もう1対の電極50は,直径方向に互いに対向して,クランピングリgYング40上に配置される。電極50は,図面の平面に垂直な軸(この場合では,軸)周りの回転の変形を検知するキャパシタピックオフ要素の2つの固定電極である(第8欄7行〜12行)。 ( )軸周りの回転の変形を検知する一対のセクタ形状の電極50は,追hY加の一対のセクタ形状の電極52の間に示されている。電極52は,軸周りの回 X転の変形を検知するためのものである。電極48,50,52のそれぞれは,互いに間隔をあけて配置されており,それ故に,互いに絶縁されている。電極48,50,52の各対は,それぞれの変形に比例する信号を生成するブリッジ回路に接続されている(第8欄17行〜26行)。 b引用例5に記載された発明の構成上記記載によれば,引用例5に記載された発明は,以下の構成を有する。 互いに直交する軸及び軸を定義し,前記軸方向に作用した力及び前a5XYX記軸方向に作用した力をそれぞれ独立して検出する機能をもった加速度計であ Yって,ハウジング42に対して変位が生じないように固定されたリング40と,b5前記リング40にフィラメント14を介して接続され,外部から作用した前 c5記軸方向の力又は前記軸方向の力に基づいて,前記フィラメント14が撓み XYを生じることにより,前記リング40に対して前記軸方向又は前記軸方向に XY変位を生じるフィラメント14及びプルーフマス10と,前記フィラメント14及びプルーフマス10の変位にかかわらず固定状態をd5維持するように前記リング40上に形成された電極50,52と,前記フィラメント14及びプルーフマス10の変位とともに変位するようにe5前記フィラメント14上に形成された第1〜第4の変位電極と,を備え,前記電極50と前記第1の変位電極とは互いに対向する位置に配置され,f5-1前記電極50と前記第1の変位電極とによって,第1の容量素子が形成され,前記電極52と前記第2の変位電極とは互いに対向する位置に配置され,f5-2前記電極52と前記第2の変位電極とによって,第2の容量素子が形成され,前記電極50と前記第3の変位電極とは互いに対向する位置に配置され,f5-3前記電極50と前記第3の変位電極とによって,第3の容量素子が形成され,前記電極52と前記第4の変位電極とは互いに対向する位置に配置され,f5-4前記電極52と前記第4の変位電極とによって,第4の容量素子が形成され,かつ,前記フィラメント14及びプルーフマス10が前記軸の正方向にg5-1 X変位した場合,前記第1の容量素子の電極間距離が減少するとともに前記第2の容量素子の電極間距離が増加し,前記フィラメント14及びプルーフマス10が前記軸の負方向に変位した場合,前記第1の容量素子の電極間距離が増加するとともXに前記第2の容量素子の電極間距離が減少し,前記フィラメント14及びプルーフマス10が前記軸の正方向に変位しg5-2 Yた場合,前記第3の容量素子の電極間距離が減少するとともに前記第4の容量素子の電極間距離が増加し,前記フィラメント14及びプルーフマス10が前記軸Yの負方向に変位した場合,前記第3の容量素子の電極間距離が増加するとともに前記第4の容量素子の電極間距離が減少するように,前記各固定電極及び前記各変位電極が配置され,前記第1の容量素子の容量値と前記第2の容量素子の容量値との差によって,h5前記軸方向の作用した力を検出し,前記第3の容量素子の容量値と前記第4のX容量素子の容量値との差によって,前記軸方向の作用した力を検出するように Y構成したことを特徴とする加速度計。 j5検出装置において,フィラメント14及びプルーフマス10に作用する加速 l5度に基づいて発生する力を検出することにより,加速度の検出を行い得るようにした加速度検出装置。 (イ)本件特許発明1ないし3と引用例5に記載された発明との対比a本件特許発明1と引用例5に記載された発明との対比( )本件特許発明1の構成要素と引用例5に記載された発明の構成要素とaの対応関係は,以下のとおりである。 本件特許発明の構成要素引用例5に記載された発明の構成要素力検出装置(構成要件, )加速度計(構成,) AJ a5j5装置筐体(構成要件)ハウジング42(構成) B b5固定要素(同上)リング40(同上)可撓性部分(構成 要 件)フィラメント14(構成) C c5変位要素(同上)フィラメント14及びプルーフマス10(同上)第1の固定電極(構成要件)電極50(構成) D d5第2の固定電極(同上)電極52(同上)第3の固定電極(同上)電極50(同上)第4の固定電極(同上)電極52(同上)第1の変位電極(構成要件)フィラメント14(構成) E e5第2の変位電極(同上)フィラメント14(同上)第3の変位電極(同上)フィラメント14(同上)第4の変位電極(同上)フィラメント14(同上)第1の容量素子(構成要件)電極50とフィラメント14とに F-1よって形成された第1の容量素子(構成)f5-1第2の容量素子(構成要件)電極52とフィラメント14とに F-2よって形成された第2の容量素子(構成) f5-2第3の容量素子(構成要件)電極50とフィラメント14とに F-3よって形成された第3の容量素子(構成)f5-3第4の容量素子(構成要件)電極52とフィラメント14とに F-4よって形成された第4の容量素子(構成)f5-4変位要素が第1の軸の正方向に変位し フィラメント14及びプルーフマス10がた場合,第1の容量素子の電極間距離軸の正方向に変位した場合,第1の容量Xが減少するとともに第2の容量素子の 素子の電極間距離が減少するとともに第2電極間距離が増加し,変位要素が第1 の容量素子の電極間距離が増加し,フィラの軸の負方向に変位した場合,第1の メント14及びプルーフマス10が軸のX容量素子の電極間距離が増加するとと 負方向に変位した場合,第1の容量素子のもに第2の容量素子の電極間距離が減 電極間距離が増加するとともに第2の容量少するように,各固定電極及び各変位 素子の電極間距離が減少するように,各固電極を配置(構成要件)定電極及び各変位電極を配置()G-1 g5-1変位要素が第2の軸の正方向に変位した場 フィラメント14及びプルーフマス10が合,第3の容量素子の電極間距離が減少す軸の正方向に変位した場合,第3の容量Yるとともに第4の容量素子の電極間距離が 素子の電極間距離が減少するとともに第4増加し,変位要素が第2の軸の負方向に変 の容量素子の電極間距離が増加し,フィラ位した場合,第3の容量素子の電極間距離 メント14及びプルーフマス10が軸のYが増加するとともに第4の容量素子の電極 負方向に変位した場合,第3の容量素子の間距離が減少するように,各固定電極及び 電極間距離が増加するとともに第4の容量各変位電極を配置(構成要件)素子の電極間距離が減少するように,各固G-2定電極及び各変位電極を配置() g5-2第1の容量素子の容量値と第2の容量素子 第1の容量素子の容量値と第2の容量素子の容量値との差によって,第1の軸方 の容量値との差によって,軸方向の作用 X向に作用した力を検出し,第3の容量 した力を検出し,第3の容量素子の容量値, 素子の容量値と第4の容量素子の容量 と第4の容量素子の容量値との差によって値との差によって,第2の軸方向に作軸方向の作用した力を検出するように構Y用した力を検出するように構成(構成 成( ) h5要件) H( )引用例5に記載された発明の構成ないしは,本件特許発明1の b a5j5構成要件ないしに相当し,両者は,すべての構成において一致し,相違点は AJ存しない。したがって,本件特許発明1は,引用例5に記載された発明に対して新規性がない。 b本件特許発明2と引用例5に記載された発明との対比引用例5に記載された発明は,変位電極を物理的に単一の共通電極であるフィラメント14によって形成した加速度計である。この構成は,本件特許発明2の構成要件に相当し,両者の構成は一致し,相違点は存しない。したがって,本件特K許発明2は,引用例5に記載された発明に対して新規性がない。 l5 L c引用例5に記載された発明の構成は,本件特許発明3の構成要件に相当し,両者は,すべての構成要件において一致し,相違点は存しない。したがって,本件特許発明3は,引用例5に記載された発明に対して新規性がない。 (ウ)まとめしたがって,本件特許権は,特許法123条1項2号所定の無効理由を有し,特許無効審判により無効にされるべきものであるから,原告は,被告に対し,本件特許権を行使することができない。 イ原告の主張(ア)a被告の主張(ア)(引用例5)aは明らかに争わない。 b同bのうち,引用例5に記載された発明がの構成を有するとする点 h5は否認し,その余は明らかに争わない。 (イ)a同(イ)(対比)aのうち,( )は,引用例5に記載された発明がの構成a h5を有するとする点は否認し,その余は明らかに争わない。 b( )同a( )は否認する。 ab( )引用例5に記載された発明においては,コイル118,120による b電磁気力によって,プルーフマス10に対する変位を元に戻す方向への制御が行われており,回路128からの出力信号130は,コイル118,120に供給される電流信号である。結局,引用例5に記載された発明では,プルーフマス10に対する変位を元に戻す方向への制御を行うために,コイル118,120に供給した電流信号を所定軸方向に作用した力として検出しているのであり,本件特許発明1のように,静電容量の差を所定軸方向に作用した力として検出しているわけではない。 c同b(本件特許発明2)及びc(本件特許発明3)は否認する。 (ウ)同(ウ)(まとめ)は否認する。 () 無効の抗弁11の成否-進歩性の欠如114ア被告の主張(ア)引用例6a米国特許第号公報(1988年(昭和63年)1月12日登録。 4,719,538乙23。以下「引用例6」という。)は,以下の事項を記載している。 ( )本発明は力-感応トランスジューサに関する(第1欄6行〜7行)。 a( )例えば,電極19a及び19cは,軸に沿って作用する力成分を測 b XY定するために使用されるコンデンサの一部を形成し,電極19b及び19dは,軸に沿って作用する力成分を測定するために使用されるコンデンサの一部を形成する(第5欄38行〜43行)。 ( )図4aは本発明の他の実施形態の断面図である。この実施形態では, cトランスジューサ40は,第2の電極層41を有する。電極層41は,複数の電極41a〜41dを有し,それぞれは,独立して可撓性リード42を介して関連する測定回路と独立した接続を有する(第5欄50行〜55行)。 ( )第1の電極43a,43bは,ダイヤフラム11の可撓性領域を超えdて延び,第2の電極41a及び41dもダイヤフラム11の可撓性領域を超えて延び,対応する種々のコンデンサのための大きい面積を提供し,トランスジューサのインピーダンスを減少させる。ダイヤフラムの可撓性面積に関するこれらの特徴の増大した寸法は,さらに,第2電極の周辺領域の傾きを増加させ,その結果与えられた適用モーメントの大きい容量変化となる。さらに,この実施形態では,第1の電極層43は,複数の電極よりもむしろ,単一の電極領域を有することができる(第5欄59行〜第6欄3行)。 。 ( )図4bは,図4aのトランスジューサの下面からの要部分解図であるe第2の電極41a〜41d及びプレート14の配置が詳細に示されている。図4bは,電極層に関連する固いプレート14の平面図を示し,電極19a,19d及びトランスジューサ回路の電気的な接続は,ダイヤフラム11に固定され得る。そのような接続回路は,図4bから省略している(第6欄7行〜15行)。 ( )ダイヤフラム11の周囲部分がサポート16によって支持され,このfダイヤフラム11の中心部分にシャフト13が取り付けられ,このシャフトの延長部分であるボルト18にプレート14が取り付けられる(図4,第3欄40行〜55行)。 b引用例6に記載された発明の構成上記記載によれば,引用例6に記載された発明は,以下の構成を有する。 互いに直交する軸及び軸を定義し,前記軸方向に作用した力及び前a6XYX記軸方向に作用した力をそれぞれ独立して検出する機能をもった力-感応トラ Yンスジューサであって,リング16に対して固定されたダイヤフラム11と, b6前記リング16にダイヤフラム11を介して接続され,外部から作用した前 c6記軸方向の力又は前記軸方向の力に基づいて,前記ダイヤフラム11が撓み XYを生じることにより,前記リング16に対して前記軸方向又は前記軸方向に XY変位を生じるプレート14と,前記プレート14の変位にかかわらず固定状態を維持するように前記ダイヤd6フラム11上に形成された電極43a〜43dと,前記プレート14の変位とともに変位するように前記プレート14上に形成e6された電極41a〜41dと,を備え,前記電極43aと前記電極41aとは互いに対向する位置に配置され,前f6-1記電極43aと前記電極41aとによって,第1の容量素子が形成され,前記電極43cと前記電極41cとは互いに対向する位置に配置され,前f6-2記電極43cと前記電極41cとによって,第2の容量素子が形成され,前記電極43bと前記電極41bとは互いに対向する位置に配置され,前f6-3記電極43bと前記電極41bとによって,第3の容量素子が形成され,前記電極43dと前記電極41dとは互いに対向する位置に配置され,前f6-4記電極43dと前記電極41dとによって,第4の容量素子が形成され,かつ,前記プレート14が前記軸の正方向に変位した場合,前記第1のg6-1 X容量素子の電極間距離が減少するとともに前記第2の容量素子の電極間距離が増加し,前記プレート14が前記軸の負方向に変位した場合,前記第1の容量素子Xの電極間距離が増加するとともに前記第2の容量素子の電極間距離が減少し,前記プレート14が前記軸の正方向に変位した場合,前記第3の容量素g6-2 Y子の電極間距離が減少するとともに前記第4の容量素子の電極間距離が増加し,前記プレート14が前記軸の負方向に変位した場合,前記第3の容量素子の電極Y間距離が増加するとともに前記第4の容量素子間の電極間距離が減少するように,前記各固定電極及び前記各変位電極が配置され,前記第1の容量素子の容量値と前記第2の容量素子の容量値との差によって, h6前記軸方向の作用した力を検出し,前記第3の容量素子の容量値と前記第4のX容量素子の容量値との差によって,前記軸方向の作用した力を検出するように Y構成したことを特徴とする力-感応トランスジューサ。 j6(イ)本件特許発明1と引用例6に記載された発明との対比a本件特許発明1の構成要素と引用例6に記載された発明の構成要素との対応関係は,以下のとおりである。 本件特許発明の構成要素引用例6に記載された発明の構成要素力検出装置(構成要件, )力-感応トランスジューサ(構成) AJ a6j6 ,装置筐体(構成要件)リング16(構成) B b6固定要素(同上)ダイヤフラム11(同上)可撓性部分(構成要件)ダイヤフラム11(構成) C c6変位要素(同上)プレート14(同上)第1の固定電極(構成要件)電極43a(構成) D d6第2の固定電極(同上)電極43c(同上)第3の固定電極(同上)電極43b(同上)第4の固定電極(同上)電極43d(同上)第1の変位電極(構成要件)電極41a(構成) E e6第2の変位電極(同上)電極41c(同上)第3の変位電極(同上)電極41b(同上)第4の変位電極(同上)電極41d(同上)第1の容量素子(構成要件)電極43aと電極41aとによって形成され F-1た第1の容量素子(構成) f6-1第2の容量素子(構成要件)電極43cと電極41cとによって形成され F-2た第2の容量素子(構成) f6-2第3の容量素子(構成要件)電極43bと電極41bとによって形成され F-3た第3の容量素子(構成) f6-3第4の容量素子(構成要件)電極43dと電極41dとによって形成され F-4た第4の容量素子(構成) f6-4変位要素が第1の軸の正方向に変位した場 プレート14が軸の正方向に変位した場 X合,第1の容量素子の電極間距離が減少す 合,第1の容量素子の電極間距離が減少するるとともに第2の容量素子の電極間距離が とともに第2の容量素子の電極間距離が増加増加し,変位要素が第1の軸の負方向に変 し,プレート14が軸の負方向に変位しX位した場合,第1の容量素子の電極間距離 た場合,第1の容量素子の電極間距離が増加が増加するとともに第2の容量素子の電極 するとともに第2の容量素子の電極間距離が間距離が減少するように,各固定電極及び 減少するように,電極43a,43c及び電各変位電極を配置(構成要件)極41a,41cを配置()G-1 g6-1変位要素が第2の軸の正方向に変位した場 プレート14が軸の正方向に変位した場 Y合,第3の容量素子の電極間距離が減少す 合,第3の容量素子の電極間距離が減少するるとともに第4の容量素子の電極間距離が とともに第4の容量素子の電極間距離が増加増加し,変位要素が第2の軸の負方向に変 し,プレート14が軸の負方向に変位しY位した場合,第3の容量素子の電極間距離 た場合,第3の容量素子の電極間距離が増加が増加するとともに第4の容量素子の電極 するとともに第4の容量素子間の電極間距離間距離が減少するように,各固定電極及び が減少するように,電極43b,43d及び各変位電極を配置(構成要件)電極41b,41dを配置()G-2 g6-2第1の容量素子の容量値と第2の容量素子 第1の容量素子の容量値と第2の容量素子のの容量値との差によって,第1の軸方向に 容量値との差によって,軸方向の作用しX作用した力を検出し,第3の容量素子の容 た力を検出し,第3の容量素子の容量値と第Y 量値と第4の容量素子の容量値との差によ 4の容量素子の容量値との差によって,って,第2の軸方向に作用した力を検出す 軸方向の作用した力を検出するように構成るように構成(構成要件 )( ) Hh6b引用例6に記載された発明の構成,ないしは,本件特許発明1 a6c6j6の構成要件, ないし に相当し,両者は,構成要件を除くすべての構成にお ACJ Bいて一致し,構成要件において相違する。 Bc相違点について( )本件特許発明1は,構成要件として,「装置筐体に対して変位が生a Bじないように固定された固定要素」を有するのに対し,引用例6に記載された発明においては,加えられる力に応じてダイヤフラム11が撓む点において,両者は相違する。 ( )引用例6に記載された発明は,「周囲が固定された可撓性部分と周囲がb自由端の変位部材との中心部を接続し,この中心部に力を作用させ,可撓性部材側に形成した第1の電極と変位部材側に形成した第2の電極との静電容量の変化に基づいて作用した力を検出する」という第1の技術思想と,「4組の容量素子を配置し,このうちの一対の容量素子の静電容量値の変化に基づいて第1の軸方向の力検出を行い,別な一対の容量素子の静電容量値の変化に基づいて第2の軸方向の力検出を行う」という第2の技術思想とを組み合わせることにより到達できた発明ということができる。 ( )これに対して,本件特許発明1の技術思想は,「装置本体に対して固定cされた固定要素と,可撓性部分の撓みによって固定要素に対して変位する変位要素と,を用意し,固定要素側に形成した固定電極と変位要素側に形成した変位電極との静電容量の変化に基づいて力を検出する」という第1の技術思想と,「4組の容量素子を配置し,このうちの一対の容量素子の静電容量値の変化に基づいて第1の軸方向の力検出を行い,別な一対の容量素子の静電容量値の変化に基づいて第2の軸方向の力検出を行う」という第2の技術思想とを組み合わせることにより到達できた発明ということができる。 ( )したがって,第2の技術思想は,本件特許発明1と引用例6とに共通dする技術思想ということができる。 ( )第1の技術思想については,例えば,引用例2に,「キャパシタ14は,e従来のプリント回路プロセスによって回路板15の下側に形成された固定された円状のプレートをさらに含み,ネジ16によってハウジングに固定されている。」(乙19第2欄49行〜52行)との記載があり,また引用例4に,「本装置は,プリント配線板26,28が一つずつ円板22の両側にあり,通常は円板22に対して平行になっている。プリント配線板26,28はスペーサリング20により間隔が設けられ,スペーサリング20に固定されている。」(第4頁16行〜19行)との記載があるように,技術的に採用し得るものであり,この第1の技術思想の採用を阻害する阻害要因は存在しない。 ( )以上のことから,当該相違点は単なる設計上の微差といえ,当業者でfあれば,引用例2又は引用例4を考慮すれば,引用例6に記載された発明に基づいて本件特許発明1に容易に想到することができたというべきである。 , ( )したがって,本件特許発明1は,引用例2又は引用例4を考慮するとg引用例6に記載された発明に対して進歩性がない。 (ウ)本件特許発明2と引用例6に記載された発明との対比a引用例6は,その図3において,ダイヤフラム11上の第1の電極層19(19aないし19dより成る。)とプレート14上に第2の電極層110とを有する装置を開示しているところ,そこでは,プレート14上の第2の電極層110は物理的に一体のものとして形成されている。この構成は,本件特許発明2の構成要件に相当する。 Kbしたがって,本件特許発明2は,引用例6に記載された発明に対して進歩性がない。 (エ)本件特許発明3と引用例6に記載された発明との対比a本件特許発明3と引用例6に記載された発明とは,本件特許発明3が「加速度検出装置」であるのに対し,引用例6に記載された発明が加速度検出装置を明示していない点で相違する。 bしかし,加速度に基づいて発生する力を検出することにより,加速度の検出を行いうるようにすることは周知である。 L cしたがって 引用例6に記載された発明は 本件特許発明3の構成要件 , ,を実質的に記載しているというべきである。 (オ)まとめしたがって,本件特許権は,特許法123条1項2号所定の無効理由を有し,特許無効審判により無効にされるべきものであるから,原告は,被告に対し,本件特許権を行使することができない。 イ原告の主張(ア)a被告の主張(ア)(引用例6)aは明らかに争わない。 b同bのうち,引用例6に記載された発明がの構成を有するとする点h6は否認し,その余は明らかに争わない。 (イ)a同(イ)(対比)aは,引用例6に記載された発明がの構成を有するとh6する点は否認し,その余は明らかに争わない。 b( )同bのうち,本件特許発明1と引用例6に記載された発明とが構成a要件において一致するとする点は否認し,その余は明らかに争わない。H( )引用例6に記載された発明では,一対のキャパシタに接続された発振 b器の周波数を示すデジタル信号の排他的論理和信号を,所定軸方向に作用した力を示す信号として出力しているのであり,本件特許発明1のように,静電容量の差を所定軸方向に作用した力として検出しているわけではない。 c同c( )ないし( )は明らかに争わない。同( )は否認する。 af g(ウ)同(ウ)ないし(オ)はいずれも否認する。 () 無効の抗弁12の成否-進歩性の欠如215ア被告の主張(ア)引用例7a特開昭62-123361号公報(乙24。以下「引用例7」という。)は,以下の事項を記載している。 ( )本発明は,…加速度センサを用いた加速度計に関する(2頁右上欄8行a〜11行)。 , ( )本発明の目的は,特に上記と類似した態様の加速度センサよりなるがb組立の簡素化に対してより好ましい態様のモータ化とサーボコントロール方法を使用した加速度計を提案することであり,該加速度計はより省スペースで,より廉価であり,それによりより高度な小型化が可能である(2頁右下欄4行〜9行)。 ( )この目的のために,本発明の加速度計は,少なくとも1つの可動コンcデンサ板を有する可動部と,該可動部の両側面に配置された2つの固定コンデンサ板を有する振子要素の固定部とにより構成される上記態様の加速度センサを含む(2頁右下欄11行〜15行)。 ( )そして該可動コンデンサ板は電位に維持され,一方該固定コンデンd V 0サ板は各々電位,に維持され,この電位によって前記可動コンデンサ板…の VV12形で表される静電復帰力を発生せしめる。…したがって,永久作動条件下では皮相加速度に比例する電位差-を測定するのである(2頁右下欄15行〜3頁左VV21上欄14行)。 ( )第1図に示す様に,該加速度センサは…ウエーハ基板1により形成さeれ,ウエーハ1内には切抜部2が設けられ,切抜部2は支持梁3により形成される可動部を規定する形状を有し,支持梁3はウエーハ1の固定部から2つの薄条片4,5により弾性力を持って懸垂せしめられ,薄条片4,5はウエーハ1と同じ厚さを有し比較的幅狭である(3頁左上欄下から2行〜右上欄6行)。 ( )したがって,支持梁3は薄条片4,5に直角な感応軸に沿って並f X'X進運動をすることができる。更に支持梁3は,その長手方向エッジ7,8から感応軸に直角に延在する一連の可動櫛歯5aないし5f及び6aないし6d(注:X'X引用例7のこの部分の記載は「6aないし6f」とあるが,明白な誤記と認める。)を有する。該可動櫛歯は基板の固定部に設けられたほぼ相補形形状の凹部と係合し,該凹部は支持梁3に設けられた可動櫛歯5aないし5f及び6aないし6dの間に挿通せしめられた一連の固定櫛歯9aないし9g及び10aないし10eを形成する(3頁右上欄7行〜16行)。 ( )金属で被覆した可動櫛歯5aないし5f及び6aないし6dのエッジgは,同様に金属で被覆した固定櫛歯9aないし9g及び10aないし10eのエッジと共にコンデンサーを形成し,該コンデンサーの空隙は支持梁3の相対的動作に直接応じて変化する(一方は増大しこれに対し他方は減少する)(3頁右上欄17行〜左下欄3行)。 ( )第2の電位と第1の電位との差及び第3の電位と第1の電位との差がh加速度に比例する(請求項2)。 ( )同一基板37内に同時に2つの検知部35,36を加工することは,iコストと能率と省スペースの理由で有利である。そして基板面に2つの感応軸を角度を付けて配置することは,特に温度に対して安定する。αクオーツのカットZの場合,2つの感応軸,’が互いに120°の角度をなす配置(第4図)が XXYY ’使われる。そして各々の検知部の出力の加重値は,基板面に含まれる2つの直交軸に沿った皮相速度を与える(4頁左下欄15行〜右下欄3行)。 ( )更にαクオーツを使用する特別な場合として,同一基板上に互いに1j20°の角度をなす感応軸とととを有する3つの検知部38,39, XX'YY'ZZ'40より成る典型的な構造(図5)において,各々単独の場合より多少コストは増加するが,信頼性と検知機能を増すことができる(4頁右下欄4行〜9行)。 b引用例7に記載された発明の構成上記記載によれば,引用例7に記載された発明は,以下の構成を有する。 互いに120°の角度を成す第1の軸及び第2の軸を定義し,前記第1の軸a7方向に作用した力及び前記第2の軸方向に作用した力をそれぞれ独立して検出する機能をもった加速度計であって,加速度計本体に対して変位が生じないように固定された基板1又は41と,b7前記基板1に薄条片4,5を介して接続され,外部から作用した前記第1の c7軸方向の力又は前記第2の軸方向の力に基づいて,前記薄条片4,5が撓みを生じることにより,前記基板1,41に対して前記第1の軸方向又は前記第2の軸方向に変位を生じる可動部3と,前記可動部3の変位にかかわらず固定状態を維持するように前記基板1,4d71上に形成された第1の固定電極,第2の固定電極,第3の固定電極,第4の固定電極(電極9a-9g,10a-10e)と,前記可動部3の変位とともに変位するように前記可動部3上に形成された第e71の変位電極,第2の変位電極,第3の変位電極,第4の変位電極(電極5a-5f,6a-6d)と,前記第1の固定電極と前記第1の変位電極とは互いに対向する位置に配置f7-1され,前記第1の固定電極と前記第1の変位電極とによって,第1の容量素子が形成され,前記第2の固定電極と前記第2の変位電極とは互いに対向する位置に配置f7-2され,前記第2の固定電極と前記第2の変位電極とによって,第2の容量素子が形成され,前記第3の固定電極と前記第3の変位電極とは互いに対向する位置に配置f7-3され,前記第3の固定電極と前記第3の変位電極とによって,第3の容量素子が形成され,前記第4の固定電極と前記第4の変位電極とは互いに対向する位置に配置f7-4され,前記第4の固定電極と前記第4の変位電極とによって,第4の容量素子が形成され,かつ,前記可動部3が前記第1の軸の正方向に変位した場合,前記第1のg7-1容量素子の電極間距離が減少するとともに前記第2の容量素子の電極間距離が増加し,前記可動部3が前記第1の軸の負方向に変位した場合,前記第1の容量素子の電極間距離が増加するとともに前記第2の容量素子の電極間距離が減少し,前記可動部3が前記第2の軸の正方向に変位した場合,前記第3の容量素g7-2子の電極間距離が減少するとともに前記第4の容量素子の電極間距離が増加し,前記可動部3が前記第2の軸の負方向に変位した場合,前記第3の容量素子の電極間距離が増加するとともに前記第4の容量素子の電極間距離が減少するように,前記各固定電極及び前記各変位電極が配置され,前記第1の容量素子の容量値と前記第2の容量素子の容量値との差によって,h7前記第1の軸方向の作用した力を検出し,前記第3の容量素子の容量値と前記第4の容量素子の容量値との差によって,前記第2の軸方向の作用した力を検出するように構成したことを特徴とする加速度計。 j7検出装置において,可動部3に作用する加速度に基づいて発生する力を検出 l7することにより,加速度の検出を行い得るようにした加速度検出装置。 (イ)本件特許発明1と引用例7に記載された発明との対比a本件特許発明1の構成要素と引用例7に記載された発明の構成要素との対応関係は,以下のとおりである。 本件特許発明の構成要素引用例7に記載された発明の構成要素力検出装置(構成要件, )加速度計(構成,) AJ a7j7装置筐体(構成要件)加速度計本体(構成) B b7固定要素(同上)基板1,41(同上)可撓性部分(構成要件)薄条片4,5(構成) C c7変位要素(同上)可動部3(同上)第1の固定電極(構成要件)電極9a-9g,10a-10e( 構 D成) d7第2の固定電極(同上)電極9a-9g,10a-10e( 同上)第3の固定電極(同上)電極9a-9g,10a-10e( 同上)第4の固定電極(同上)電極9a-9g,10a-10e( 同上)第1の変位電極(構成要件)電極5a-5f 6a-6d(構成) E e7 ,第2の変位電極(同上)電極5a-5f,6a-6d(同上)第3の変位電極(同上)電極5a-5f,6a-6d(同上)第4の変位電極(同上)電極5a-5f,6a-6d(同上)第1の容量素子(構成要件)電極9a-9g,10a-10eと電 F-1極5a-5f,6a-6dによって形成された第1の容量素子(構成)f7-1第2の容量素子(構成要件)電極9a-9g,10a-10eと電 F-2極5a-5f,6a-6dによって形成された第2の容量素子(構成)f7-2第3の容量素子(構成要件)電極9a-9g,10a-10eと電 F-3極5a-5f,6a-6dによって形成された第3の容量素子(構成)f7-3第4の容量素子(構成要件)電極9a-9g,10a-10eと電 F-4極5a-5f,6a-6dによって形成された第4の容量素子(構成)f7-4変位要素が第1の軸の正方向に変位 可動部3が第1の軸の正方向に変位しした場合,第1の容量素子の電極間 た場合,第1の容量素子の電極間距離距離が減少するとともに第2の容量 が減少するとともに第2の容量素子の素子の電極間距離が増加し,変位要 電極間距離が増加し,可動部3が第1素が第1の軸の負方向に変位した場 の軸の負方向に変位した場合,第1の合,第1の容量素子の電極間距離が 容量素子の電極間距離が増加するとと増加するとともに第2の容量素子の もに第2の容量素子の電極間距離が減電極間距離が減少するように,各固 少するように,各固定電極及び各変位定電極及び各変位電極を配置(構成要 電極を配置()g7-1件) G-1変位要素が第2の軸の正方向に変位 可動部3が第2の軸の正方向に変位しした場合,第3の容量素子の電極間 た場合,第3の容量素子の電極間距離距離が減少するとともに第4の容量 が減少するとともに第4の容量素子の素子の電極間距離が増加し,変位要 電極間距離が増加し,可動部3が第2素が第2の軸の負方向に変位した場 の軸の負方向に変位した場合,第3の合,第3の容量素子の電極間距離が 容量素子の電極間距離が増加するとと増加するとともに第4の容量素子の もに第4の容量素子の電極間距離が減電極間距離が減少するように,各固 少するように,各固定電極及び各変位定電極及び各変位電極を配置(構成要 電極を配置()g7-2件) G-2第1の容量素子の容量値と第2の容 第1の容量素子の容量値と第2の容量量素子の容量値との差によって,第 素子の容量値との差によって,第1の1の軸方向に作用した力を検出し, 軸方向の作用した力を検出し,第3の第3の容量素子の容量値と第4の容 容量素子の容量値と第4の容量素子の量素子の容量値との差によって,第 容量値との差によって,第2の軸方向2の軸方向に作用した力を検出する の作用した力を検出するように構成ように構成(構成要件)() Hh7b引用例7に記載された発明の構成ないしは,本件特許発明1の構 b7j7成要件ないしに相当し,両者は,構成要件を除くすべての構成において一BJ A致し,構成要件において相違する。 Ac相違点について( )本件特許発明1においては,構成要件として,「互いに直交する第a A1の軸および第2の軸を定義し,前記第1の軸方向に作用した力および前記第2の軸方向に作用した力をそれぞれ独立して検出する機能をもった力検出装置であ(る)」とされているのに対し,引用例7に記載された発明においては,互いに120°の角度をなす第1の軸及び第2の軸を定義し,前記第1の軸方向に作用した力及び前記第2の軸方向に作用した力をそれぞれ独立して検出する機能をもった加速度計( )である点で,両者は相違する。 a7( )しかし,「互いに120°の角度をなす第1の軸及び第2の軸」を「互い bに直交する第1の軸および第2の軸」にすることに格別の困難性はなく,設計事項の範囲というべきである。 ( )したがって,本件特許発明1は,引用例7に記載された発明に対してc進歩性がない。 (ウ)本件特許発明2と引用例7に記載された発明との対比a前記( )(被告製品の構成要件の充足の有無)ア(原告の主張)に示され2Kた原告の解釈によれば,引用例7に記載された発明は,第1及び第2の変位電極が物理的に同一であり,第3及び第4の変位電極が物理的に同一であるから,それぞれ物理的に単一の共通電極によって形成されているということができる。 bしたがって,引用例7に記載された発明は,本件特許発明2の構成要件Kを充足する。 (エ)本件特許発明3と引用例7に記載された発明との対比l7 L a引用例7に記載された発明の構成は,本件特許発明3の構成要件に相当する。 bしたがって,引用例7に記載された発明は,本件特許発明3の構成要件Lを充足する。 (オ)まとめしたがって,本件特許権は,特許法123条1項2号所定の無効理由を有し,特許無効審判により無効にされるべきものであるから,原告は,被告に対し,本件特許権を行使することができない。 イ原告の主張(ア)a被告の主張(ア)(引用例7)aは明らかに争わない。 b同bのうち,引用例7に記載された発明がの構成を有するとする点h7は否認し,その余は明らかに争わない。 (イ)a同(イ)(対比)aは,引用例7に記載された発明がの構成を有するとh7する点は否認し,その余は明らかに争わない。 b( )同bのうち,本件特許発明1と引用例7に記載された発明とが構成a要件において一致するとする点は否認し,その余は明らかに争わない。H( )引用例7に記載された発明では,加速度に起因して可動部に変位が生 bじようとした場合に,この変位を制御するためのサーボコントロールが行われる。 このため,引用例7に記載された発明では,本件特許発明1のように静電容量の差を所定軸方向に作用した力として検出しているわけではなく,各電極が所定の電位となるようにサーボコントロールし,このサーボコントロールの動作態様に基づいて加速度を検出していることになる。 c同cのうち,( )及び( )は明らかに争わず,( )は否認する。 abc(ウ)同(ウ)ないし(オ)はいずれも否認する。 ()本件訂正請求について16ア訂正の可否(ア)原告の主張a訂正の目的構成要件は,「容量値の差によって…力を検出する」という技術事項を,「容H'-1量値の差を検出信号として出力する検出回路を備える」という技術事項に限定し,構成要件は,「固定要素」及び「変位基板」の材質を「シリコン」に限定するものH'-2であり,いずれも特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 b( )後記被告の主張bはいずれも争う。 a( )訂正請求書(甲20)において,原告が段落【0022】及び図6を示 bしたのは,変更の意図の第1点「『容量値の差によって…力を検出する』という技術事項を『容量値の差を検出信号として出力する検出回路を備える』という技術事項に限定する。」ことが願書に添付した明細書から可能であることを示すことにあり,軸方向に関して請求項に記載するという意図は全くない。そもそも明細書にZ記載した事項のどれを請求項に記載して出願するかは出願人の自由であって,明細書に記載されている事項のすべてが特許請求の範囲に含まれるわけではない。それにもかかわらず,本件明細書に,ある方法による軸方向成分を示す信号を生成Zする態様が記載され,かつ訂正後の請求項1に何ら軸方向成分を示す信号を生 Z成する対応が記載されていないからといって,本件特許権1に係る訂正後の請求項1に黙示的に他のすべての方法による態様が包含されているという被告の主張は,論理になっていない。 ( )本件特許権に係る検出装置において,「ある軸方向に作用した力」と「あcる軸方向に作用した力方向成分」とは全く同義であり,両者間に実質上特許請求の範囲の変更に当たる差はない。 ( )原告は,本件明細書の段落【0029】の記載から,「固定要素」及びd「変位要素」の材質を「シリコン」に減縮しただけである。このような材質限定は,特許庁の実務において従来から,「特許請求の範囲の減縮」として適法な訂正と認められてきたものである。 (イ)被告の主張a原告の主張a(訂正の目的)は否認する。 b構成要件についてH'-1( )原告は,訂正の根拠として本件明細書の段落【0022】及び図6を a挙げているが,そこに記載されているのは,作用点に作用した力の軸方向成 PX分を示す信号を出力し,かつ,作用点に作用した力の軸方向成分を示す信号 PYを出力し,かつ,作用点に作用した力の軸方向成分を示す信号を出力する回 PZV1V4路であるさらに本件明細書の段落0022及び図6には電圧値〜 。,【】,, の和をとることによって(すなわち,静電容量〜の和をとることによって)C1C4作用点に作用した力の軸方向成分を示す信号を生成することが記載されていPZる。 しかし,これ以外の方法に従って作用点に作用した力の軸方向成分を示すPZ信号を生成することは記載されていない。 仮に本件訂正請求が認められたとすると,訂正後の請求項1は,作用点に作PZ P用した力の軸方向成分を示す信号を出力することも,どのようにして作用点, に作用した力の軸方向成分を示す信号を生成するかも規定していないことからZ訂正後の請求項1の範囲は,本件明細書の段落【0022】及び図6に記載の方法以外の方法に従って作用点に作用した力の軸方向成分を示す信号を生成し,PZその信号を出力するという態様をも包含することとなる。このように,本件特許権1に係る訂正後の請求項1の範囲が,願書に添付した明細書又は図面に記載されていない態様をも包含することになることが不合理であることはいうまでもない。 したがって,このような訂正は,願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲を超えるものであり,特許法134条の2第5項及び126条3項に違反するものとして認められないというべきである。 ( )T訂正前の記載では,「前記第1の容量素子の容量値と前記第2の容量 b素子の容量値との差」は,前記第1の軸方向に作用した「力」を検出するために用いられているのに対し,訂正後の記載では,「前記第1の容量素子の容量値と前記第2の容量素子の容量値との差」は,前記第1の軸方向に作用した「力方向成分」を示す検出信号として出力されるものとされている。 しかし,「力」と「力方向成分」とは別物であり,「力方向成分」を検出することが「力」を検出することになるとは限らない。逆に,「力」を検出することが「力方向成分」を検出することになるとは限らない。 したがって,検出の対象を「力」から「力方向成分」に変更する訂正が実質上特許請求の範囲を変更するものであることは明らかである。 U構成要件には「前記第1の軸方向に作用した力を…検出する機能をAもった力検出装置」と記載されている。このように,構成要件では,検出の対象 Aが前記第1の軸方向に作用した「力」であるのに対し,訂正後の記載では,検出の対象が前記第1の軸方向に作用した「力方向成分」となっている。 したがって,構成要件と訂正後の記載とは,検出の対象において矛盾していAる。このような矛盾を生じることとなる訂正が実質上特許請求の範囲を変更するものであることは明らかである。 V訂正後の記載は,装置が「力」を検出するのか否かを問わない記載になっているのに加えて,装置が「力方向成分」をも検出することなく「力方向成分」を示す検出信号を単に装置の外部に出力する態様をも包含する記載となっている。このように,「力検出装置」なる装置自身が「力」又は「力方向成分」を検出するのか否かをあいまいなものとする訂正が実質上特許請求の範囲を変更するものであることは明らかである。 W「前記第3の容量素子の容量値と前記第4の容量素子の容量値との差」によって第2の軸方向に作用した「力」の検出(訂正前の記載)又は「力方向成分」を示す検出信号としての出力(訂正後の記載)についても,上記TないしVと同様である。 X以上より,本件訂正請求は,実質上特許請求の範囲を変更するものであるから,特許法134条の2第5項及び126条4項に違反するものとして認められないというべきである。 c構成要件についてH'-2( )原告が訂正の根拠とする記載@は,原出願当初明細書には存在しなか aった記載であり,本来,原出願当初明細書を補正することによっても導入することができなかった記載である。このような記載@を訂正の根拠とすることができないことは当然のことである。 ( )原告が訂正の根拠とする本件明細書の段落【0029】には,「図9にb示す実施形態は,固定基板10c,変位基板20c,作用体30c,のすべてにシリコンなどの半導体を使用した例である。」と記載されている。このことは,固定基板10c,変位基板20c,作用体30cの全部がシリコンにより構成されることを意味する。さらに,本件明細書の段落【0017】には「変位基板20の中央部分は作用体30とともに変位要素として機能する」と記載されている。このことは,「変位基板20の中央部分」と「作用体30」とが「変位要素」として機能することを意味する。 仮に本件訂正請求が認められたとすると,本件特許権1に係る訂正後の請求項1は,「変位要素がシリコンにより構成されている」ことを規定していることから,本件明細書の段落【0017】の記載から「変位基板20の中央部分」と「作用体30」とが「シリコンにより構成されている」ことになる。しかし,本件特許権1に係る訂正後の請求項1は,「変位要素」の定義から外れる部分(すなわち,変位基板20のうち「変位基板20の中央部分」以外の部分)の材料を規定していないことから,同訂正後の請求項1の範囲は,変位基板20のうち「変位基板20の中央部分」以外の部分がシリコン以外の材料により構成されている態様をも包含することとなる。このことは,変位基板20cの全部がシリコンにより構成されることを記載する本件明細書の段落【0029】に矛盾する。 このように,訂正後の請求項1の範囲が,願書に添付した明細書又は図面に記載されていない態様をも包含することになることが不合理であることはいうまでもない。 ( )したがって,本件訂正請求は,願書に添付した明細書又は図面に記載cした事項の範囲を超えるものであり,特許法134条の2第5項及び126条3項に違反するものとして認められないというべきである。 イ被告製品の構成要件及びの充足の有無H'-1H'-2(ア)原告の主張a構成要件についてH'-1被告従業員作成に係る「マイクロマシン技術のすべて」(「トランジスタ技術」2002年5月号(甲8)。以下「甲8論稿」という。)には,「外部からセンサに力が働くと,それに応じてプルーフ・マスが移動し,」(204頁左欄),「…固定電極とくし状電極の電極間距離が変動します。」(同),「との静電容量が変化すると,CCS1S2働いた加速度の大きさに比例した電圧が出力されます」(同)との記載があり,被告製品の動作原理が解説されている。 S1 これによれば 被告製品の固定電極とくし状電極との間には 静電容量である , , Cとという2つの容量素子が存在する。この容量素子が,プルーフ・マスの変動 CS2とともに変化し,その変化に応じた電圧が出力される。すなわち,被告製品は,固定電極とくし状電極の電極間距離が変動し,電極間距離の変化により静電容量も変化し,静電容量の変化に応じて加速度の大きさに比例した電圧が出力するというものであり,これは構成要件の「前記第の容量素子の容量値と前記第の容量H'-11 2素子の容量値との差を,…検出信号として出力し,」を満たす。 また,被告製品は,外部からセンサに力が加わると,静電容量の変化に応じて加H'-1 速度の大きさに比例した電圧が出力するものであるところ,これは構成要件の「前記第1の軸方向に作用した力方向成分を示す検出信号として出力する」を満たす。 さらに,被告製品における軸及び軸方向の検出原理はいずれも同じである XYから,軸方向に係る構成要件の「前記第3の容量素子の容量値と前記第4のYH'-1容量素子の容量値との差を,前記第2の軸方向に作用した力方向成分を示す検出信号として出力する」を具備する。 したがって,被告製品は,構成要件を充足する。 H'-1b構成要件について H'-2甲8論稿には,「…表面マイクロマシニングによってポリシリコンのプルーフ・マスが構築されています。…プルーフ・マスはポリシリコンのスプリングを通じて空中に支えられており,軸や軸方向に自由に動けるようになっています。さXYらに,プルーフ・マスの各辺には,くし状の電極が配置されており,シリコン基板上の2枚の固定電極とともに,差動コンデンサを構成しています。」(204頁左欄)と記載されている。 したがって,被告製品は,固定電極とくし状電極がシリコンにより構成されているといえ,これは構成要件を満たす。 H'-2(イ)被告の主張a( )原告の主張(ア)a(構成要件について)は否認する。 a H'-1( )被告製品は,第1の軸方向に作用した「加速度」を検出し,「検出された b加速度に比例する信号を出力」し,第2の軸方向に作用した「加速度」を検出し,「検出された加速度に比例する信号を出力」するよう構成されており,プルーフ・マス20に作用する力を検出しておらず,力方向成分を示す検出信号を検出することもない。したがって,被告製品は構成要件を充足しない。 H'-1b同b(構成要件について)は明らかに争わない。 H'-2ウ無効の抗弁1ないし6について(ア)被告の主張a被告は,本件訂正請求後の本件特許権に対しても,無効の抗弁1ないし6の成否を主張する。 bこれを無効の抗弁1についてふえんすると,以下のとおりである。 ( )引用例1に記載された発明は,「第1の容量素子の容量値と第2の容量a素子の容量値との差を,第1の軸方向に作用した力方向成分を示す検出信号として出力し,第3の容量素子の容量値と第4の容量素子の容量値との差を,第2の軸方向に作用した力方向成分を示す検出信号として出力する検出回路を更に備え」という構成(構成),及び「固定要素及び変位要素がシリコンにより構成されているh1'-1こと」という構成(構成)を有する。 h1'-2( )引用例1に記載された発明の上記構成及びは,それぞれ訂 b h1'-1h1'-2正後の本件特許発明1の構成要件及びに相当し,引用例1に記載された H'-1H'-2発明の他の構成が訂正後の本件特許発明1の他の構成要件に相当することは前記のとおりであるから,両者は,すべての構成において一致し,相違点は存しない。したがって,訂正後の本件特許発明1は,引用例1に記載された発明に対して新規性がない。 , ( )したがって,仮に本件訂正請求が認められたとしても,本件特許権はc特許法123条1項2号所定の無効理由を有し,特許無効審判により無効にされるべきものであるから,原告は,被告に対し,本件特許権を行使することができない。 (イ)原告の主張原告の主張は,無効の抗弁1ないし6の成否に対する主張のとおりである。 エ無効の抗弁7ないし12について(ア)被告の主張a引用例8( )特開昭60-207066号公報(乙25。以下「引用例8」という。)aは,以下の事項を記載している。 T本発明は,振子構造が,例えば,シリコン又は石英からなる結晶性ウエハを微細機械加工して形成され,かつ平形試験体の面内の2つの可撓性平行ブレードにより懸架された前記試験体より成る加速度計用センサに関する(3頁左上欄下から1行〜右上欄4行)。 U横方向()へ移動可能な試験体6が,一対の可撓性ブレード4,5間tXに配置されている。試験体6の金属化されたエッジとブレード4,5の金属化されたエッジとはそれぞれコンデンサ板を形成する(4頁左下欄下から2行〜5頁左上欄16行,請求項7及び8)。 V加速度計用センサは,加速度を決定するために,試験体6の運動を検出する(3頁左下欄9行〜11行)。 W試験体6がその測定軸線()に沿って移動すると,その試験体6の運tX動に対応するコンデンサ板の容量が変化する。この容量変化を測定することによって,試験体6の運動の大きさが決定される。つまり,測定軸線に沿う加速度成tX分の大きさが決定される(5頁左上欄11行から16行)。 X一方のコンデンサの容量増加と他方のコンデンサの容量減少が生じるので,コンデンサ板の容量変化の測定は,これらのコンデンサ板を差信号検出/増幅回路に接続することにより,実施される(6頁左下欄5行〜同頁右下欄16行)。 Y試験体6の運動を検出する装置のほかに,センサは試験体に加えられる外部作用を相殺する復帰用モータを備える。復帰用モータは試験体用センサをサーボ制御する(3頁右下欄18行〜20行,7頁左下欄11行〜13行)。 ( )T引用例8の上記記載内容から,本件特許発明1ないし3の当時,@b力検出装置に力が作用すると,力検出装置の変位要素が変位1から変位2へ変 F位する,A変位1における変位要素の容量素子の静電容量値と,変位2におけ C1る変位要素の容量素子の静電容量値とは異なるので,これらの静電容量値の差 C2()を検出回路によって検出し,力を示す検出信号として出力する,Bこれ C2-C1 Fにより,静電容量値の差()から力を検出できる,C次の力を検出するため, C2-C1F力検出装置を復帰させる必要があるので,検出した静電容量値の差からの信号を変位容量の復帰のために利用する,という静電容量の変化を利用した力検出装置の力検出原理は,公知であったといえる。 Uさらに,引用例8は,以下の点をも開示する。 ・静電容量の差を,所定軸方向に作用した力方向成分を示す検出信号として出力する検出回路を備えること(6頁左下欄5行〜同頁右下欄13行)・力検出装置がシリコンにより構成されていること(3頁左上欄下から1行〜右上欄4行)b引用例2ないし7との関係( )引用例2ないし7に記載の装置は,いずれも,引用例8の装置と同様aに,以下のとおり,静電容量の変化を利用した力検出装置であり,公知の力検出装置の力検出原理を採用している。これらの装置では,静電容量の差を所定軸方向に作用した力として検出し,同時に,力検出装置を復原することにも利用している。 したがって,引用例2ないし7に記載の装置は,引用例8を考慮すれば,いずれも,訂正後の構成要件及びを備えており,本件特許権1に係る訂正後の請求H'-1H'-2項1は,これらに対して新規性ないし進歩性がなく,特許法29条1項3号ないし同法29条2項に規定する発明に該当するものというべきである。また,本件特許発明1に従属する本件特許発明2及び3についても同様である。 よって,仮に訂正が認められたとしても,本件特許権は,特許法123条1項2号所定の無効理由を有し,特許無効審判により無効にされるべきものであるから,原告は,被告に対し,本件特許権を行使することができない。 ( )引用例2bT引用例2(乙19)は,以下の事項を記載している。 (T)本発明は3軸の加速度計に関する。 3つの相互に直交する加速度又は加えられた力の成分(例えば,地球の重力場gの成分)の測定として,3軸加速度計パッケージの使用が知られている。その3軸加速度計パッケージは,3つの1軸加速度計の検出軸が相互に直交するように配置された3つの1軸加速度計を備えたものである。各加速度計は,その検出軸に沿った中立位置に関して変位し得る永久磁石と,そのような変位を検知し,検出軸に沿って加えられた力の成分を示す出力信号を提供するための検出手段とを有する。 (U)()(無効の抗弁の成否7-新規性の欠如1)ア(被告の主張)(ア)a10( )に同じ。a(V)外力によってマグネット6が移動すると,可動プレート13と固定プレート17との間の静電容量が変化する(第3欄15行〜33行)。 (W)クレーム1.ハウジングと,加えられた力に応答して,3つの相互に直交する測定軸に関して変位し得るように,該ハウジング内に取り付けられたマグネットと,を有する3軸移動マグネットの加速度計において,該マグネットは支持部材上に取り付けられ,その支持部材は平面のダイヤフラムによってハウジングに連結され,ダイヤフラムの撓みによって該測定軸の2つの方向に該支持部材の回動を許容し,かつダイヤフラムの平面に対して直交するダイヤフラムの変形によって該測定軸の第3の方向へ支持部材の直線的変位を許容するようになっており,並びに該マグネットの変位を検出し,及び該3つの測定軸のそれぞれに沿って加えられた力の成分に比例した各出力信号を提供するための検出手段,を有する加速度計(第5欄27行〜43行)。 (X)クレーム2.クレーム1に記載の加速度計において,前記検出手段が,マグネットに連結された移動可能なプレートと,前記ハウジングに固定された固定プレートと,を備えた可変コンデンサーを有し,該プレートを横切る静電容量は,該3つの測定軸に関して,マグネットの変位に依存して変わる,加速度計(第5欄44行〜50行)。 (Y)()(無効の抗弁7の成否-新規性の欠如1)ア(被告の主張)(ア)a10( )及び( )に同じ。deU以上の記載から,引用例2に記載された発明は,以下の構成を有している。これらの構成は,訂正後の構成要件に相当する。 H'-1・マグネットの変位を検出し,及び3つの測定軸のそれぞれに沿って加えられた力の成分に比例した各出力信号を提供するための検出手段を有すること。 ・マグネットに連結された移動可能なプレートと,前記ハウジングに固定された固定プレートと,を備えた可変コンデンサーを有し,該プレートを横切る静電容量は,該3つの測定軸に関して,マグネットの変位に依存して変わること。 ・可変コンデンサーで生じた静電容量の差を,検出手段により3つの測定軸に加えられた力として検出すること。 Vまた,力検出装置がシリコンにより構成されていることは,引用例8を考慮すると,本件特許発明1ないし3の出願時に当業者によって知られていたことであり,設計事項である。 Wしたがって,本件特許権1に係る訂正後の請求項1は,引用例2に記載された発明に対して新規性及び進歩性を有しない。 ( )引用例3cT引用例3(乙20)は,以下の事項を記載している。 (T)ピックアッププレートからダイヤフラムへの間隔は,該プレートからグラウンドへの静電容量を規定する(第1欄73行〜第2欄2行)。 (U)()(無効の抗弁8の成否-新規性の欠如2)ア(被告の主張)(ア)a11( )及び( )に同じ。ad(V)クレーム1.複数の変量を制御する手制御において,ハウジングは取付面を有し,該取付面上の比較的硬質のダイヤフラムは実質的に平面の形状を有し,信号生成の配置は,間隔をおいて対向する一対のピックアップ手段を有し,ピックアップ手段は該ダイヤフラムに近接し,そしてスティックは,ピックアップ手段が沿って配置される軸の交差に近接してダイヤフラムに一点で固定されかつダイヤフラムによって単独で支持され,スティックをその休止位置から移動すると,トルクをダイヤフラムの一部に適用し移動し,ピックアップ手段の一方を近づけ,ピックアップ手段の他方を離し,それらの間にアンバランスな信号を生成する(第3欄58行〜第4欄10行)。 U以上の記載から,引用例3に記載された発明は,以下の構成を有している。これらの構成は,訂正後の構成要件に相当する。原告が原出願の審査H'-1過程において「前記変位電極と前記固定電極との間に生じる静電容量の変化に基づいて,前記作用体に作用した力を検出することを特徴とする力検出装置。」を規定した請求項1を削除した(乙8)のはこのためである。 ・第1軸又は方向の力は,電極ダイヤフラム17(第1容量素子)に接続さXれたピックアッププレート13の静電容量値と,電極ダイヤフラム17(第2容量素子)に接続されたピックアッププレート15の静電容量値との差によって検出される。 ・第2軸又は方向の力は,電極ダイヤフラム17(第3容量素子)に接続さYれたピックアッププレート14の静電容量値と,電極ダイヤフラム17(第4容量素子)に接続されたピックアッププレート16の静電容量値との差によって検出される。 Vまた,力検出装置がシリコンにより構成されていることは,引用例8を考慮すると,本件特許発明1ないし3の出願時に当業者によって知られていたことであり,設計事項である。 Wしたがって,本件特許権1に係る訂正後の請求項1は,引用例3に記載された発明に対して新規性及び進歩性を有しない。 ( )引用例4dT引用例4(乙21)は,以下の事項を記載している。 (T)本発明は,容量形トランスデューサ,例えば,変位感応装置に用いられる容量形トランスデューサに関する(1頁4行〜5行)。 (U)背景技術容量形変位トランスデューサは,変位感応に用いられることが知られている。変位感応装置としては測定プローブ及びジョイスティックがあり,スタイラス又はレバーが直交装置の2以上の軸方向に移動可能である。通常は,各々の軸に関して1以上の容量形トランスデューサを有する。このような容量形トランスデューサは,相対的に移動する少なくとも対のコンデンサプレートを有する(1頁7行〜141行)。 (V)請求項7請求項1ないし請求項6のいずれかの項において,少なくとも2軸の変位に感応し,2軸のそれぞれの軸の変位に感応する容量形トランスデューサを有し,各軸の変位を示す信号を出力するためにトランスデューサに接続されていることを特徴とする回路(19頁10行〜16行)。 (W)()(無効の抗弁9の成否-新規性の欠如3)ア(被告の主張)(ア)a12( ),( )及び( )に同じ。abfH'-1U以上の記載から 引用例4に記載された発明は 訂正後の構成要件 , ,に相当する構成を有している。 Vまた,力検出装置がシリコンにより構成されていることは,引用例8を考慮すると,本件特許発明1ないし3の出願時に当業者によって知られていたことであり,設計事項である。 Wしたがって,本件特許権1に係る訂正後の請求項1は,引用例4に記載された発明に対して新規性及び進歩性を有しない。 ( )引用例5eT引用例5(乙22)は,以下の事項を記載している。 (T)()(無効の抗弁10の成否-新規性の欠如4)ア(被告の主張)(ア)13a( )に同じ。c(U)本発明によれば,上記及び他の目的が,3軸の交差する方向のそれぞれに電磁気的に生成する力によって,加速度計ケース又はハウジングに関して支持されかつ束縛されるプルーフマスを有する加速度計において達成される(第2欄16行〜21行)。 (V)()(無効の抗弁10の成否-新規性の欠如4)ア(被告の主張)(ア)13a( ),( )及び( )に同じ。eghU以上の記載と,引用例8には「静電容量の差を,所定軸方向に作用した力方向成分を示す検出信号として出力する検出回路を備えること」及び「力検出装置がシリコンにより構成されていること」が開示されており,これらの事項は本件特許発明1ないし3の出願時に当業者によって知られていたことを考慮すると,引用例5に記載された発明は,訂正後の構成要件及びに相当する構成を有H'-1H'-2している。 Vしたがって,本件特許権1に係る訂正後の請求項1は,引用例5に記載された発明に対して新規性及び進歩性を有しない。 ( )引用例6fT引用例6(乙23)は,以下の事項を記載している。 (T)()(無効の抗弁11の成否-進歩性の欠如1)ア(被告の主張)(ア)14a( )に同じ。b(U)このようにして,本発明は,対向して配置されたコンデンサの静電容量での差動変化によって表示される,プレート14の角度的変形を測定することにより,シャフト13に加えられた力を測定する(第4欄58行〜61行)。 (V)図1bに示すように,プレート14が傾斜するので,第1電極と第2電極の間隔は,コンデンサを差動的に変化する(このコンデンサは所定の測定軸に対応しており,かつダイヤフラムの中心の対向する側に配置されている 。例え)ば,図1bでは,間隔d1及びd2は,ほぼ等しい最初の値から,それぞれ減少及び増加する。所定の測定軸に対応する,対向して配置されたコンデンサ間の間隔の大きさにおけるこの差動的な変化は,そのようなコンデンサのそれぞれの静電容量に差動変化を生じさせる(第4欄34行〜44行)。 (W)クレーム1.力-感応容量性トランスジューサであって,複数の電極領域を有する第1の電極手段,該第1の電極手段から離れており,加えられたモーメントに応答して角度的に変形可能である第2の電極手段であって,第1の電極手段とともに間隔に応じて静電容量が可変な複数のコンデンサを規定し,そのような間隔は,該第2の電極手段の角度の変化によって差動的に可変である第2の電極手段,該第2の電極手段に接続され,外から加えられた力に応答するアクチュエータ手段であって,該第2の電極手段にモーメントを適用し,第1の電極手段と第2の電極手段との間隔を変え,それによって,静電容量を変えるアクチュエータ手段,及び該第2の電極手段に接続されたダイヤフラム手段であって,第2の電極手段に加えられたモーメントに応答して弾性的に変形するダイヤフラム手段,を有する,力-感応容量性トランスジューサ(第8欄32行〜52行)。 (X)クレーム3.クレーム1において,力の変化を表示する信号を生成するために,コンデンサトランスデューサ手段に,力の可変な静電容量に対応する信号生成手段をさらに有する(第8欄57行〜62行)。 U以上の記載から,引用例6の装置においては,シャフト13に加えられた力を測定することを目的として,第1静電容量素子(19a,110,図3)と第2静電容量素子(19c,110,図3)との間の静電容量値の差は,第1の軸に沿った力を検出するために使用されている。また第3静電容量素子(19b,11, 0,図3)と第4静電容量素子(19d,110,図3)との間の静電容量値の差は第2の軸に沿った力を検出するために使用され,そのための検出回路を備えている。 よって,引用例6は,原告が意見書(乙14)において述べたように,「4組の容量素子を配置し,このうちの一対の容量素子の静電容量値の変化に基づいて第1の軸方向の力検出を行い,別な一対の容量素子の静電容量値の変化に基づいて第2の軸方向の力検出を行うという検出原理」を開示している。これは,訂正後の構成要件に相当する。 H'-1さらに,力検出装置がシリコンにより構成されていることは,引用例8から本件特許発明1ないし3の出願時に当業者によって知られていたことであり,設計事項である。 したがって,本件特許権1に係る訂正後の請求項1は,引用例6に対して新規性及び進歩性を有しない。 ( )引用例7gT引用例7(乙24)は,以下の事項を記載している。 (T)本発明は,引用例8に示したタイプのフラット型振子構造を有する加速度センサを用いた加速度計に関する(2頁右上欄8行〜11行)。 (U)()(無効の抗弁12の成否-進歩性の欠如2)ア(被告の主張)a15( )に同じ。i(V)加速度センサは水晶のごときモノクリスタル等からなるウエーハ基板1により形成される(3頁左上欄下から2行〜右上欄2行)。 Uこれらの記載は,訂正された構成要件及びに相当する。 H'-1H'-2したがって,本件特許権1に係る訂正後の請求項1は,引用例7に対して新規性及び進歩性を有しない。 (イ)原告の主張a( )被告の主張a(引用例8)のうち,( )は明らかに争わない。 a a( )T同( )はいずれも否認する。bbU引用例8も,引用例2ないし7と同様に,変位要素を中立位置にとどめておくために必要な「制御力」を発生させるために要したエネルギーに基づいて,作用した力の検出を行うサーボ制御方式の検出装置を開示する資料にすぎない。 Vまた,引用例8の開示事項は,加速度センサにおける「振子構造」(本件特許発明1における「作用体30」に対応する部分)をシリコンによって構成するという事項にすぎず,構成要件「固定要素および変位要素がシリコンにより構H'-2成されていること」という技術思想は開示されていない。 b( )同b(引用例2ないし7との関係)はいずれも否認する。 a( )被告主張に係る従来装置の検出原理にいう「静電容量値の差()」 b C2-C1とは,同一の容量素子の時間的な差であるのに対し,構成要件に示された検 H'-1出回路は,2つの異なる容量素子の同一時刻における容量値の差を検出するものである。 ( )引用例2ないし7には,構成要件「固定要素および変位要素がシc H'-2リコンにより構成されていること」という技術思想は開示されていない。 ( )原告が原出願の審査過程において請求項1を削除する補正を行ったのdは,単に請求項2以下の早期権利化という目的を遂行するための方便であり,削除した請求項1の内容が引用例3に開示されていると判断したためではない。 ( )原告は,意見書(乙14)において,引用例6との関係について,「容量e素子を用いて,その容量値の変化に基づいて検出を行う」という部分に関しては共通の原理を用いている旨主張しているだけであり,「一対の容量素子の容量値の差を,特定の軸方向に作用した力方向成分を示す検出信号として出力する」という検出原理の部分まで両者で共通する旨主張しているわけではない。 ()損害(特許法102条3項)17ア原告の主張(ア)損害原告は,研究開発投資の成果に関して取得した特許権のライセンス収入を主要な収入源として事業展開をしているところ,被告製品の販売(前提事実( )ア)によっ4て損害を受けた。 (イ)被告製品の売上高被告は,日本国内において,本件特許権の設定登録後,被告製品を少なくとも1年当たり50万個,販売単価1000円で販売している。したがって,被告の過去3年間の売上高は,15億円を下らない。 (ウ)実施料率本件のロイヤリティとしては,売上高の10 が相当である。 %(エ)特許発明の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額したがって,被告による本件特許発明1ないし3の実施に対し原告が受けるべき金銭の額は,1億5000万円を下らない。 原告は,本訴において,その一部請求として5000万円の支払を求める。 イ被告の主張(ア)損害原告の主張(ア)のうち,原告が研究開発投資の成果に関して取得した特許権のライセンス収入を主要な収入源としていることは不知,その余は否認する。 (イ)売上高等同(イ)ないし(エ)は,いずれも否認する。 第3当裁判所の判断1無効の抗弁1の成否(分割出願の要件違反)について( )分割出願の要件違反の有無1ア原出願当初明細書(乙2)には,本件特許権に係る各請求項及び本件明細書に見られる「変位要素」及び「変位基板」という用語は記載されていないこと,このうち,「変位要素」という用語に関しては,本件出願当初明細書において,記載@及びAを追加することにより追加されたこと,原出願当初明細書の全体にわたって使用されている「可撓基板」という用語が,本件出願当初明細書において「変位基板」という用語に置換されたこと,原出願当初明細書の「(3)可撓基板は可撓性をもった材質からなること。」との記載が,本件出願当初明細書において,「(3)変位基板が作用体に作用した外力に基づいて変位しうること 」との記載に置換された 。 ことについては,いずれも当事者間に争いがない。 イ(ア)「可撓」とは,撓むことが可能なことを意味するところ,「撓み」とは,「たわむこと。外力によって板・棒などの軸方向が曲がる変形。」を意味し,また,「撓む」とは,「おされてまがる。しなう。ゆがむ。」こと(乙17),「固い棒状・板状のものが,加えられた強い力によってそり曲がった形になる。しなう。」こと(大辞林第二版)を意味する。したがって,「可撓基板」とは,このような意味において撓むことが可能な性質(可撓性)を有する基板を意味する。 (イ)「変位」とは,「物体がある位置から別の位置に動(くこと)」(乙18),「質点が運動することによって位置を変えること。また,位置の変化を表す量で,所要時間や経路を考慮せずに,ある時刻における位置から他の時刻における位置に向かうベクトル。」(大辞林第二版)を意味し,方向と大きさをもつベクトル量として表されるものである。 (ウ)以上によれば,「変位」は,撓むことに限定されるものではなく,物体が撓むことなくある位置から別の位置に動くことをも意味する概念であり,撓むこととの関係で,その上位概念である。したがって,「変位要素」又は「変位基板」という概念は,可撓性を持たない要素又は基板をその範囲内に含むことになる。 ウ証拠(乙2)及び弁論の全趣旨によれば,原出願当初明細書には,可撓性を有する構成要素である「可撓基板20」についての説明はあるが,それ以外の可撓性を有しない「変位要素」及び「変位基板」に該当し得るものについての記載はないことが認められる。 上記のような「可撓」及び「変位」の語義によれば,原出願当初明細書に記載された「可撓基板」は,撓むことによって変位を生じるものであるということはできるが,これは可撓基板が変位を生じることを意味するにとどまり,可撓基板以外の変位を生じる要素を用いることを意味するものではない。 また 「一般に,ゲージ抵抗やピエゾ抵抗係数には温度依存性があるため,上述 ,した検出装置では,使用する環境の温度に変動が生じると検出値が誤差を含むようになる。したがって,正確な温度補償を行う必要がある ・・・そこで本発明は, 。 温度補償を行うことなく,力,加速度,磁気などの物理量を検出することができ,しかも安価に供給しうる検出装置を提供することを目的とする 」(原出願明細書。 (乙2)7頁4行〜末行)ところ,そのような温度補償を要せず,安価な検出装置の提供という目的を達成するためには,原出願当初明細書が明示的に開示する可撓基板だけでなく,それ自体は可撓性を有しない「変位要素」及び「変位基板」であってもよいことが,原出願当初明細書に接する当業者にとって明らかであることを認めるに足りる技術常識等の主張立証はない。 よって,このような「変位要素」及び「変位基板」は,原出願当初明細書に記載がなく,原出願当初明細書の記載から当業者に自明な事項でもないから,本件特許発明1ないし3は原出願当初明細書に記載されていなかったものと認められる。 エしたがって,本件出願は,明細書又は図面の要旨を変更するものとして,不適法な分割出願であり,出願日の遡及は認められず,その出願日は現実の出願日である平成10年7月9日となる。 オこれに対し,原告は,「固定要素」,「変位要素」,「可撓性部分」という文言自体の記載はなくとも,固定基板10が「装置筐体に対して変位が生じないように固定された固定要素」であること,並びに,可撓基板20の中央部分及び作用体30から成る一塊の物体が「固定要素に可撓性部分を介して接続され,外部から作用した力に基づいて,可撓性部分が撓みを生じることにより,固定要素に対して変位を生じる変位要素」であることは,原出願当初明細書から自明な事項である旨主張するけれども,上記のとおり,この点に関する原告の主張は採用し得ない。 ( )新規性の欠如について2ア本件特許発明1平成4年に公開された引用例1に記載された発明は,ないしの構成を有すa1l1ること,及び本件特許発明1と引用例1に記載された発明の各構成要素とを対比すると,以下のような対応関係にあることは,原告において明らかに争わないから,これを自白したものとみなす。 本件特許発明1の構成要素引用例1に記載された発明の構成要素力検出装置(構成要件, )力検出装置(構成,) AJ a1j1装置筐体(構成要件)装置筐体40(構成) B b1固定要素(同上)固定要素10(同上)可撓性部分(構成要件)可撓基板20(構成) C c1変位要素(同上)可撓基板20及び作用体3 0 ( 同上 )第1の固定電極(構成要件)固定電極11(構成) D d1第2の固定電極(同上)固定電極11(同上)第3の固定電極(同上)固定電極11(同上)第4の固定電極(同上)固定電極11(同上)第1の変位電極(構成要件)変位電極21(構成) E e1第2の変位電極(同上)変位電極23(同上)第3の変位電極(同上)変位電極22(同上)第4の変位電極(同上)変位電極24(同上)第1の容量素子(構成要件)固定電極11と変位電極21とに F-1よって形成された第1の容量素子(構成)f1-1第2の容量素子(構成要件)固定電極11と変位電極23とに F-2よって形成された第2の容量素子(構成)f1-2第3の容量素子(構成要件)固定電極11と変位電極22とに F-3よって形成された第3の容量素子(構成) f1-3第4の容量素子(構成要件)固定電極11と変位電極24とに F-4よって形成された第4の容量素子(構成)f1-4変位要素が第1の軸の正方向に変位 可撓基板20及び作用体30が軸 Xした場合,第1の容量素子の電極間 の正方向に変位した場合,第1の容量距離が減少するとともに第2の容量 素子の電極間距離が減少するとともに素子の電極間距離が増加し,変位要 第2の容量素子の電極間距離が増加X 素が第1の軸の負方向に変位した場 し,可撓基板20及び作用体30が合,第1の容量素子の電極間距離が 軸の負方向に変位した場合,第1の容増加するとともに第2の容量素子の 量素子の電極間距離が増加するととも電極間距離が減少するように,各固 に第2の容量素子の電極間距離が減少定電極及び各変位電極を配置(構成 するように,固定電極11及び変位電要件) 極21,23を配置(構成)G-1 g1-1変位要素が第2の軸の正方向に変位した 可撓基板20及び作用体30が軸の正方 Y場合,第3の容量素子の電極間距離が減 向に変位した場合,第3の容量素子の電極少するとともに第4の容量素子の電極間 間距離が減少するとともに第4の容量素子距離が増加し,変位要素が第2の軸の負 の電極間距離が増加し,可撓基板20及び方向に変位した場合,第3の容量素子の 作用体30が軸の負方向に変位した場Y電極間距離が増加するとともに第4の容 合,第3の容量素子の電極間距離が増加す量素子の電極間距離が減少するように, るとともに第4の容量素子の電極間距離が各固定電極及び各変位電極を配置(構成要 減少するように,固定電極11及び変位電件) 極22,24を配置(構成)G-2 g1-2第1の容量素子の容量値と第2の容 第1の容量素子の静電容量と第2の容量素子の容量値との差によって,第1の 量素子の静電容量との差によって,軸方X軸方向に作用した力を検出し,第3 向に作用した力を検出し,第3の容量の容量素子の容量値と第4の容量素 素子の静電容量と第4の容量素子の静子の容量値との差によって,第2の 電容量との差によって,軸方向に作Y軸方向に作用した力を検出するよう 用した力を検出するように構成(構成に構成(構成要件))Hh1したがって,本件特許発明1と引用例1に記載された発明とは,すべての構成において一致し,相違点は存しないから,本件特許発明1は,引用例1との関係において新規性がない。 イ本件特許発明2引用例1に記載された発明は,固定電極を物理的に単一の固定電極11によってk1k1 K 形成した力検出装置であり(構成) この構成は 本件特許発明2の構成要件 ,,に相当し,両者の構成は一致し,相違点は存しないことは,原告において明らかに争わないから,これを自白したものとみなす。 したがって,本件特許発明2は,引用例1に記載された発明に対して新規性がない。 ウ本件特許発明3, 引用例1に記載された発明の構成は,本件特許発明3の構成要件に相当しl1 L両者の構成は一致し,相違点は存在しないことは,原告において明らかに争わないから,これを自白したものとみなす。 したがって,本件特許発明3は,引用例1に記載された発明に対して新規性がない。 エまとめ以上より,本件特許発明1ないし3は,いずれも引用例1に記載されており,特許出願前に日本国内において頒布された刊行物に記載された発明であるということができるから,特許法29条1項3号に規定する発明に該当する。 したがって,本件特許権は,特許法123条1項2号所定の無効理由を有し,特許無効審判により無効とされるべきものであるから,原告は,被告に対し,本件特許権を行使することができない。 ( )本件訂正請求について3次に,本件訂正請求が認められた場合に,本件特許権の上記無効理由が解消するかについて,検討する。 ア分割出願の要件違反の点について本件訂正請求は,本件特許発明1の構成要件を構成要件及びのようHH'-1H'-2に訂正するというものであるが,「変位要素」及び「変位基板」という用語をその構成要件に用いていることについては,訂正の前後を通じて変更はないから,前記( )1で述べたことは依然として妥当し,訂正後の本件特許発明1ないし3は原出願当初明細書に記載されていなかったものということができる。 したがって,仮に本件訂正請求が認められたとしても,なお本件出願は不適法な分割出願であり,出願日の遡及の効果は認められない。 イ新規性欠如の点について(ア)引用例1に記載された発明が及びの構成を有することは,原h1'-1h1'-2告において明らかに争わないから,これを自白したものとみなす。 これによれば,引用例1に記載された発明には,訂正後の本件特許発明1の構成要件及びが開示されているということができる。 H'-1H'-2また,本件特許発明1ないし3の他の構成要件については,訂正の前後を通じて変更はないから,引用例1に記載された発明の他の構成がこれらの構成要件に相当することは前記( )のとおりである。 2(イ)したがって,仮に本件訂正請求が認められたとしても,訂正後の本件特許発明1ないし3は,いずれも特許法29条1項3号に規定する発明に該当し,本件特許権は特許無効審判により無効とされるべきものであることに変わりはない。 (ウ)仮に原告が引用例1に記載された発明が及びの構成を有するh1'-1h1'-2ことを争ったとしても,証拠(乙3)によれば,引用例1には以下の記載があることが認められ,これらの記載によっても,引用例1には,訂正後の本件特許発明1の構成要件及びが開示されているということができる。 H'-1H'-2。 a「第7図に,作用した力を各軸方向成分ごとに検出する基本回路を示す変換器51〜54は,各容量素子のもつ静電容量〜を,電圧値〜にC1C4V1V4変換する回路で構成される。…差動増幅器55は電圧値ととの差をとり, V1V3これを検出すべき力の軸方向成分±として出力する回路である。…軸方向 XFx X成分±は,ととの差をとることによって求まる。また,差動増幅器56FxC1C3は電圧値ととの差をとり,これを検出すべき力の軸方向成分±とし V2V4 YFyて出力する回路である。…軸方向成分±は,ととの差をとることによ YFyC2C4って求まる。更に,加算器57は電圧値〜の和をとり,これを検出すべき V1V4ZFz ZFzC1力の軸方向成分±として出力する回路である。…軸方向成分±は,〜の和をとることによって求まる。」(6頁右下欄3行〜7頁左上欄7行)C4b「第10図に示す実施例は,固定基板10c,可撓基板20c,作用体30c,のすべてにシリコンなどの半導体を使用した例である。」(7頁右下欄14行〜16行)2無効の抗弁7の成否(新規性の欠如1)について( )本件特許発明11ア引用例2に第2,3()ア(ア)a( )ないし( )の記載があることは,原告 10agにおいて明らかに争わないから,これを自白したものとみなす。 また,引用例2に記載された発明が,構成を除き,被告の主張に係る構成をh2有すること,及び引用例2に記載された発明の構成が,構成要件を除く本件特 H許発明1の構成要件と一致することは,原告において明らかに争わないから,これを自白したものとみなす。 イ(ア)上記各記載によれば,引用例2に記載された発明においては,増幅器49は矩形波電圧ととの差に応じた直流出力を発生させ,この直流出力VVXAXBが,軸フォースコイル30,32及び電流検出抵抗58を流れる復帰電流を生じ XX させ,これにより軸方向に作用した加速度の検出値として出力される電圧値 X VXA が検出されるものといえる。ここで,引用例2の図4によれば,矩形波電圧 Vととは,それぞれ静電容量とに対応していることから,上記矩形波電 V CC XB XAXBXAXB X XAXB圧ととの差に応じた直流出力 すなわち電圧値は 静電容量と VV VCC ,,との差に応じた出力であるということができる。また,軸方向に作用した加速度Yの検出値として出力される電圧値についても同様のことがいえるものと当業者には理解されるものと認められる。そうすると,引用例2に記載された発明は,静電容量の差を所定軸方向に作用した力として検出しているから,構成を備えているh2ということができる。 この構成は,本件特許発明1の構成要件に相当するものであり,引用例2にH記載された発明の構成は構成要件と一致する。 h2H(イ)この点につき,原告は,引用例2に記載された発明は,マグネット6を中立位置に戻すための制御に必要になった電力を所定軸方向に作用した力として検出しており,本件特許発明1のように,静電容量の差を所定軸方向に作用した力として検出しているわけではないから,引用例2に記載された発明は,本件特許発明1の構成要件を具備しない旨主張する。 H確かに,引用例2に記載された発明は,矩形波電圧ととの差に応じて VVXAXB発生した直流出力により,フォースコイル30,32及び電流検出抵抗58を流れXAXB る復帰電流を生じさせるものであるが この直流出力は 上記のとおりと ,,, CCとの差に応じた出力であって,軸方向に作用した加速度の検出値としても出力さ Xれるものである。したがって,引用例2に記載された発明は,静電容量の差を所定軸方向に作用した力として検出しているということができるものであるから,この点に関する原告の主張は採用し得ない。 ウ以上より,引用例2に記載された発明と本件特許発明1とは,すべての構成において一致し,相違点は存しない。 したがって,本件特許発明1は,引用例2に記載された発明に対して新規性がない。 ( )本件特許発明22ア引用例2に記載された発明の構成によれば,引用例2に記載された発 e2明は,変位電極を物理的に単一の共通電極である可動プレート13によって形成した力検出装置である。 イこの構成は,本件特許発明2の構成要件に相当し,両者の構成は一致Kし,相違点は存しない。 したがって,本件特許発明2は,引用例2に記載された発明に対して新規性がない。 ( )本件特許発明33ア引用例2に記載された発明は構成を有する(前記( )ア)。 l21イこの構成は,本件特許発明3の構成要件に相当し,両者の構成は一致 Lし,相違点は存在しない。 したがって,本件特許発明3は,引用例2に記載された発明に対して新規性がない。 ( )まとめ4よって,本件特許権は,特許法123条1項2号所定の無効理由を有し,特許無効審判により無効にされるべきものであるから,原告は,被告に対し,本件特許権を行使することができない。 ( )本件訂正請求について5次に,本件訂正請求が認められた場合に,本件特許権の上記無効理由が解消するかについて,検討する。 ア構成要件についてH'-1(ア)前記( )イ(ア)のとおり,引用例2には,矩形波電圧ととの差に 1 VV XAXB応じた直流出力を発生して復帰電流を生じさせ,電圧を得る回路が図5等に示 V Xされているところ,この矩形波電圧等は,静電容量等に対応するもので VCXA XAある。 したがって,この回路は,訂正後の本件特許発明1の構成要件「前記第1のH'-1容量素子の容量値と前記第2の容量素子の容量値との差を,前記第1の軸方向に作用した力方向成分を示す検出信号として出力し,前記第3の容量素子の容量値と前記第4の容量素子の容量値との差を,前記第2の軸方向に作用した力方向成分を示す検出信号として出力する検出回路を更に備え」に相当するということができる。 (イ)この点について,原告は,被告主張に係る従来装置の検出原理にいう「静電容量値の差()」とは,同一の容量素子の時間的な差であるのに対し,構成C2-C1要件に示された検出回路は,2つの異なる容量素子の同一時刻における容量H'-1値の差を検出するものである旨主張するけれども,引用例2に記載された発明は,マグネット6の移動により生じる可動プレート13とそれに対向するプレート部分X 19及び21(若しくは,18及び20)との間の差動静電容量の変化をもとに,軸方向又は軸方向に作用した力の成分に比例する出力信号を提供する検知手段Yを含むものであり,同一の容量素子の時間的な差を検出するものではなく,2つの異なる容量素子の同一時刻における容量値の差を検出するものであるから,原告のこの点の主張は採用し得ない。 イ構成要件についてH'-2(ア)訂正後の本件特許発明1では,「前記固定要素および前記変位要素がシリコンにより構成されている」(構成要件)のに対し,引用例2に記載された発明H'-2は,このような構成を備えていないことから,両者はこの点において相違する。 (イ)引用例8(特開昭60-207066号公報)に「本発明は,振子構造が,例えば,シリコン或いは石英からなる結晶性ウエハを微細機械加工して形成され,かつ平形試験体の面内の2つの可撓性平行ブレードにより懸架された前記試験体より成る加速度計用センサに関する」(3頁左上欄下から1行〜右上欄4行)旨の記載があることは,原告において明らかに争わないから,これを自白したものとみなす。 また,証拠(乙25)によれば,引用例8には更に「第1図は本発明による振子構造の基本的配置を示すものである。…この構造は平面状であり,結晶性シリコン或いは石英ウエハの微細機械加工により単一片に形成され,これは更に集積電子回路の基板として用いられる。」(4頁右上欄12行〜16行)との記載があることが認められる。 引用例8の発行年及び上記記載によれば,センサにおいて基板にシリコンを用いることは,周知の技術手段であると認められる。 そうすると,引用例2に記載された発明にこのような周知の技術手段を適用し,回路板15等の固定された部分及び可動プレート13を構成する環状のフランジ等の変位する部分にシリコンを用い,訂正後の本件特許発明1の構成要件のよH'-2うに構成することは,当業者が容易に行うことができたことと認められる。 ウまとめしたがって,仮に本件訂正請求が認められたとしても,訂正後の本件特許発明1ないし3は,当業者が引用例2及び周知の技術手段に基づいて容易に発明をすることができたものであり,特許法29条2項の規定に違反して特許されたものであり,本件特許権は無効とされるべきものである。 3結論以上によれば,原告の請求は,その余の点について判断するまでもなくいずれも理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。 |
裁判長裁判官 | 市川正巳 |
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裁判官 | 杉浦正樹 |
裁判官 | 頼晋一 |