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関連審決 異議2003-73828
関連ワード 遡及 /  パリ条約 /  優先権 /  実施 /  設定登録 /  訂正審判 /  請求の範囲 /  変更 /  取消決定 / 
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事件 平成 18年 (行ケ) 10142号 特許取消決定取消請求事件
原告 ポール・コーポレーション
訴訟代理人弁護士 尾関孝彰
訴訟代理人弁理士 城戸博兒
同黒木義樹
被告 特許庁長官中嶋 誠
指定代理人 阿部寛
同北川清伸
同岡田孝博
同小林和男
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2006/07/31
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
主文 1 特許庁が異議2003−73828号事件について平成17年12月12日にした決定を取り消す。
2 訴訟費用は各自の負担とする。
事実及び理由
全容
原告は,「1 主文第1項と同旨。2訴訟費用は被告の負担とする。」との判決を求め,請求の原因として別紙のとおり述べた。
被告は,請求棄却の判決を求め,請求原因事実は争わない,と述べた。
上記争いのない事実によれば,原告の本訴請求は理由があるから認容し,訴訟費用については,本件訴訟の経緯にかんがみ,これを各自に負担させるのを相当と認めて,主文のとおり判決する。
追加
(別紙)請求の原因1特許庁等における手続の経緯(1)原告は,発明の名称を「通気システム」とする特許第3463297号(平成3年5月24日出願,パリ条約による優先権主張1990年(平成2年)5月24日米国,平成15年8月22日設定登録。請求項(以下「旧請求項」という。)1〜16。以下「本件特許」という。)の特許権者である。
(2)ところが,平成15年12月26日,本件特許につきテルモ株式会社から特許異議の申立てがされ,この申立ては,異議2003-73828号事件として特許庁に係属した。これに対し原告は,旧請求項1,5,10,11,15,16項を削除し,その余の内容を訂正の上,請求項を繰り上げる訂正請求をしたが,特許庁は,同事件につき審理の上,平成17年12月12日,別添「異議の決定」のとおり,「訂正を認める。特許第3463297号の請求項1ないし10に係る特許を取り消す。」との決定(以下「本件決定」という。)をし,その決定謄本は平成17年12月27日原告に送達された。
(3)原告は,平成18年4月3日,本件決定の取消しを求める本件訴訟を提起するとともに,同日,特許庁に対し,本件特許の特許請求の範囲等について訂正審判請求をした。その内容は,旧請求項1,2,5,10〜16を削除した上,旧請求項3等を訂正の上新しい請求項とするものであるが,特許庁は,この請求を訂正2006-39045号事件として審理した上,平成18年6月30日,訂正を認める旨の審決(以下「本件訂正審決」という。)をし,その審決謄本は平成18年7月12日原告に送達された。
2発明の内容本件特許の設定登録時の特許請求の範囲は別紙1のとおりである。
一方,本件訂正審決に係る特許請求の範囲は,別紙2のとおりである。
3本件決定の取消事由本件訂正審決により本件特許の特許請求の範囲遡及的に変更されたことになり,本件決定が前提とする発明の要旨の認定は結果として誤りに帰したことになる。
4よって,原告は被告に対し,本件決定の取消しを求める。
(別紙1)特許請求の範囲(設定登録時のもの)【請求項1】下記要素を含んでいることを特徴とする,血液または血液成分を処理するアッセンブリー:入口と出口を備え,その入口と出口の間に流体流路が形成されているハウジングと,該流体流路を横断する白血球除去媒体,とを含んでいる白血球除去フィルター装置,およびバクテリアの通過を妨害する孔径を持った,気体を通過させるための膜を備えている,前記白血球除去媒体より上流側に,この白血球除去媒体と流体連通させて設けた気体入口。
【請求項2】前記気体入口と前記白血球除去フィルター装置との間に配置され,これら気体入口および白血球除去フィルター装置と流体連通している導管,をさらに備えている,請求項1記載のアッセンブリー。
【請求項3】前記白血球除去フィルター装置より下流側に設けた,バクテリアの通過を妨害する孔径を持った気体を通過させるための膜を備えた気体出口,をさらに備えている,請求項1または2記載のアッセンブリー。
【請求項4】前記気体出口と前記白血球除去フィルター装置との間に配置され,これら気体出口および白血球除去フィルター装置と流体連通している第2の導管,をさらに備えている,請求項3記載のアッセンブリー。
【請求項5】前記白血球除去フィルター装置が気体出口を備え,この気体出口がバクテリアの通過を妨害する孔径を持った,気体を通過させるための膜を備えている,請求項1または2記載のアッセンブリー。
【請求項6】バクテリアの通過を妨害する孔径を持った,気体を通過させるための膜を備えている,前記白血球除去フィルター装置と流体連通している第2の気体入口をさらに含んでいる,請求項1〜5のいずれかに記載のアッセンブリー。
【請求項7】前記気体入口が備える膜が疎液性(リクオフォービック)である,請求項1〜6のいずれかに記載のアッセンブリー。
【請求項8】前記気体出口が備える膜が疎液性である,請求項3〜7のいずれかに記載のアッセンブリー。
【請求項9】前記気体出口がさらに親液性(リクオフィリック)の膜を備える,請求項8記載のアッセンブリー。
【請求項10】閉鎖系内で使用するための,請求項1〜9のいずれかに記載のアッセンブリー。
【請求項11】血液または血液成分を,入口と出口を備え,その入口と出口の間に流体流路が形成されているハウジングと,該流体流路を横断する白血球除去媒体,とを含んでいる白血球除去フィルター装置に通し,そしてその後に気体を,前記白血球除去媒体より上流側に設けた気体入口に流してフィルター装置内の血液または血液成分を回収することからなり,ここで該気体入口は,バクテリアの通過を妨害する孔径を持った,気体を通過させるための膜を備えていることを特徴とする,血液または血液成分の処理方法。
【請求項12】前記気体入口が前記白血球除去媒体と流体連通している,請求項11記載の処理方法。
【請求項13】血液または血液成分を,白血球除去フィルター装置の入口に接続された導管を通して白血球除去フィルター装置に通すことを含み,前記ガス入口がこの導管とフィルター装置とに連通している,請求項11または12記載の処理方法。
【請求項14】気体を,前記白血球除去フィルター装置より下流側に設けた気体出口を通過させる工程をさらに含み,この気体出口が,バクテリアの通過を妨害する孔径を持った,気体を通過させるための膜を備えている,請求項11〜13のいずれかに記載の処理方法。
【請求項15】前記白血球除去フィルター装置が,バクテリアの通過を妨害する孔径を持った,気体を通過させるための膜を含んでいる気体出口を備え,該方法が気体をこの気体出口に通す工程をさらに含んでいる,請求項11〜13のいずれかに記載の処理方法。
【請求項16】閉鎖系内で実施される,請求項11〜15のいずれかに記載の処理方法。
(別紙2)特許請求の範囲(本件訂正審決後のもの。訂正部分を下線で示す。)【請求項1】供血された血液またはそれに由来する血液成分を処理するアッセンブリーであって:入口と出口を備え,その入口と出口の間に流体流路が形成されているハウジングと,該流体流路を横断する白血球除去媒体,とを含んでいる白血球除去フィルター装置,バクテリアの通過を妨害する孔径を持った,気体を通過させるための膜を備えている,前記白血球除去媒体より上流側に,この白血球除去媒体と流体連通させて設けた気体入口,前記白血球除去フィルター装置の前記出口に通じる第1の下流の導管,および前記第1の下流の導管を適合する第1の脚部と,受容コンテナーに通じる第2の下流の導管を適合する第2の脚部とを有する枝分かれ要素,を備え,前記枝分かれ要素には,前記白血球除去フィルター装置より下流側に,バクテリアの通過を妨害する孔径を持った気体を通過させるための膜を備えた,通気用気体出口が,設けられている,ことを特徴とするアッセンブリー。
【請求項2】前記気体入口と前記白血球除去フィルター装置との間に配置され,これら気体入口および白血球除去フィルター装置と流体連通している導管,をさらに備えている,請求項1記載のアッセンブリー。
【請求項3】前記気体出口と前記白血球除去フィルター装置との間に配置され,これら気体出口および白血球除去フィルター装置と流体連通している前記第1の下流の導管,を備えている,請求項1または2記載のアッセンブリー。
【請求項4】バクテリアの通過を妨害する孔径を持った,気体を通過させるための膜を備えている,前記白血球除去フィルター装置と流体連通している第2の気体入口をさらに含んでいる,請求項1〜3のいずれかに記載のアッセンブリー。
【請求項5】前記気体入口が備える膜が疎液性(リクオフォービック)である,請求項1〜4のいずれかに記載のアッセンブリー。
【請求項6】前記気体出口が備える膜が疎液性である,請求項1〜5のいずれかに記載のアッセンブリー。
【請求項7】前記気体出口がさらに親液性(リクオフィリック)の膜を備える,請求項6記載のアッセンブリー。
裁判長裁判官 中野哲弘
裁判官 岡本岳
裁判官 上田卓哉