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関連審決 無効2003-35520
関連ワード 技術的思想 /  製造方法 /  進歩性(29条2項) /  容易に発明 /  寄せ集め /  公知技術 /  技術常識 /  共有 /  着想 /  容易に想到(容易想到性) /  実施 /  耐用期間 /  加工 /  設定登録 /  請求の範囲 / 
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事件 平成 17年 (行ケ) 10667号 審決取消請求事件
当事者の表示 別紙当事者目録記載のとおり
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2006/06/28
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
主文 1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
請求
特許庁が無効2003-35520号事件について平成17年7月21日にした審決のうち 「特許第3100954号の請求項1,3に係る発明につい ,ての特許を無効とする 」とした部分を取り消す。 。
事案の概要
本件は,被告らから,原告が有する請求項1〜3に係る発明についての特許の無効審判請求がされたところ,特許庁が,請求項1,3に係る発明についての特許を無効とするとの審決をしたことから,原告が,審決のうち上記の部分の取消しを求めた事案である。
当事者の主張
1 請求の原因(1) 特許庁における手続の経緯ア 有限会社エヌデーシーは,平成11年1月28日,名称を「薄肉アルミニウム系ダイカスト成形品の製造方法」とする発明につき特許出願をし,平成12年8月18日,特許権の設定登録(特許第3100954号)を受けた(以下「本件特許」という 。。)その後,特許異議の申立てがされ,その審理手続において,明細書の訂正請求がされた(以下「本件訂正」という )ので,特許庁は,平成14 。
年9月17日,本件訂正を認めるとともに本件特許を維持する旨の決定をした。
なお,有限会社エヌデーシーは,本件特許の10分の3の共有持分権を,有限会社トライに譲渡し,平成13年4月25日,その旨の登録がされた。
また,有限会社エヌデーシーは,本件特許の10分の7の共有持分権を,Aに譲渡し,平成14年1月30日,その旨の登録がされた。原告は,有限会社トライ及びAから本件特許の各共有持分権を譲り受け,平成15年9月12日,その旨の登録がされた。
イ 被告らは,平成15年12月19日付けで,請求項1〜3に係る発明についての本件特許の無効審判請求を行い,特許庁は,上記審判請求を無効2003-35520号事件として審理した上,平成17年7月21日,「特許第3100954号の請求項1,3に係る発明についての特許を無効とする。特許第3100954号の請求項2に係る発明についての審判請求は成り立たない 」との審決をし,その謄本は平成17年8月2日原 。
告に送達された。
(2) 発明の内容本件訂正後の請求項1〜3に係る発明(以下「本件発明1」〜「本件発明3」という )は,本件訂正後の明細書(以下「本件明細書」という )の 。。
特許請求の範囲の請求項1〜3に記載された次の発明である。
記「 請求項1】金型のキャビティ内に,アルミニウム系材料の溶湯を圧 【入充填して,厚さ0.4〜1.2oの薄肉部を有するアルミニウム系ダイカスト成形品を製造するに当たり,金型として,ゲートの厚さが0.2o以上で,かつ成形品のゲート部から切り離す部分の厚さ以下であって,ゲートを構成する部材表面に窒化処理を施したものを用いることを特徴とする外観の良好なアルミニウム系ダイカスト成形品の製造方法
【請求項2】金型として,キャビティを囲繞する部材の一部に,アルミニウム系材料の溶湯は通過しないが,ガスは通過し,かつ外部に開口したガス通路に接する鉄製多孔質部材を1つ以上設けたものを用いる請求項1記載の外観の良好な薄肉アルミニウム系ダイカスト成形品の製造方法
【請求項3】金型として,キャビティを構成する部材表面に窒化処理を施したものを用いる請求項1又は2記載の外観の良好な薄肉アルミニウム系ダイカスト成形品の製造方法 」。
(3) 審決の内容ア 審決の内容は,別添審決写しのとおりである。
その要点は,本件発明1,3は,本件特許出願前に頒布された下記の刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたから,特許法29条2項により特許を受けることができないというものである。
記刊行物1:特開平11-10305号公報(乙3,以下,刊行物1に記載された発明を「刊行物1発明」という )。
刊行物2:H.H.DOEHLER著,祝田謙一ら訳「ダイカスティング」日刊工業新聞社(昭和38年11月25日発行)66〜69頁(乙4)刊行物3:新持喜一郎ら「最近のダイカスト用型鋼の動向」熱処理4巻4号(昭和39年8月)265〜271頁(乙9)刊行物4:日原政彦著「ダイカスト金型の寿命向上と対策」(株)軽金属通信ある社(平成6年9月21日発行)90頁(乙13)イ なお,審決は,上記判断に当たり,刊行物1の記載内容並びに本件発明1と刊行物1発明との一致点及び相違点を次のとおり認定した。
<刊行物1の記載内容>アルミダイカスト法において,金型内のキャビティの間隙量を1o以下に設定し,そのキャビティに溶融金属を圧入すること,厚さが1o以下に設定されているダイカスト製品であることが記載され,併せて,製品厚さが1oないしそれ以下,及び0.5oの場合について具体的に説明され,単に薄もののダイカスト製品のみならず,薄肉と厚肉が入り混ざった製品を作る場合にも適用可能であることが記載されている。また,金型1にゲート5aを設けることとともに,当該ゲート5aの厚さが,金型1の“キャビティ2の間隙量”よりも小さいことが図示されている。
<一致点>金型のキャビティ内に,アルミニウム系材料の溶湯を圧入充填して,厚さ0.4〜1.2oの薄肉部を有するアルミニウム系ダイカスト成形品を製造する,薄肉アルミニウム系ダイカスト成形品の製造方法である点。
<相違点(イ)>本件発明1では,ゲートの厚さについて 「0.2o以上で,かつ成形 ,品のゲート部から切り離す部分の厚さ以下」のとおり,その厚さの上限値及び下限値を特定しているのに対して,刊行物1には,図1にゲート5a及びキャビティ2等が図示されているものの,ゲートの厚さにつき,上記のような文言上特定した記載が見あたらない点。
<相違点(ロ)>本件発明1では,ゲートを構成する部材について「ゲートを構成する部材表面に窒化処理を施したもの」を用いるのに対して,刊行物1には,ゲートを構成する部材について,かかる処理の記載が見あたらない点。
<相違点(ハ)>本件発明1では,成形品について「外観の良好な」と特定しているのに対して,刊行物1には,成形品の外観についてかかる文言上の記載が見あたらない点。
(4) 審決の取消事由審決は,本件発明1について,進歩性の判断手法を誤り(取消事由1(1) ,相違点(イ)〜(ハ)についての判断を誤り(取消事由1(2)〜1(4) , ))本件発明3について進歩性の判断を誤った(取消事由2)ものであるから,取り消されるべきである。
ア 取消事由1(1)(本件発明1の進歩性の判断手法の誤り)(ア) 審決は,各相違点(イ)〜(ハ)につき個別独立に検討を行い,本件発明1の進歩性について判断を下した。しかし,本件発明1は,各技術が一体となって,従来得られなかった画期的な効果を得ることに成功したものであるから,審決の判断手法は,本件発明1の進歩性を判断するに適したものでなく,誤りである。
(イ) 本件発明1は,相互に全く関連性を有しない刊行物1,刊行物2,刊行物3,刊行物4という従来技術を単に寄せ集めることにより容易に想到できるものではないから,これらの従来技術を結びつけて本件発明1の進歩性を否定した審決は誤りである。
イ 取消事由1(2)(相違点(イ)についての判断の誤り),, (ア) 審決は,刊行物1及び刊行物2に基づき 「ゲートの厚さについて上記相違点(イ)のとおり 『0 2o以上で,かつ成形品のゲート部から ,.切り離す部分の厚さ以下』と特定することに格別の困難性があるとすることはできない」と判断している(22頁10行〜34行 。)(イ) 本件発明1は,外観が良好で品質のよい薄肉アルミニウム系ダイカスト成形品を得るため,ゲートの厚さを薄くしながら,湯流れ性を良好なものとするという相反する要請を同時に満たすものである。
これに対し,刊行物1には,ゲートの厚さに関する記載がない(審決22頁11行 。刊行物1に,ゲートの厚さが成形品のゲート部から切 )り離す部分の厚さよりも狭小であるように見える図があるのは,単なる偶然によるとしか言いようがなく,その旨の図示がされているとはいえない。
また,刊行物2は,その発行(昭和38年)当時,加工が容易であった亜鉛等,アルミニウム以外の素材を念頭に置いて発表された文献であり,アルミダイカストについて述べたものではない。亜鉛は,融点がアルミニウムよりも低く,異なる性質を有するから,当業者は,亜鉛に関する技術をアルミニウムに転用するような発想をしない。したがって,刊行物2を本件発明1と対比することは見当はずれである。
さらに,刊行物2には,ゲートの厚さに関して一般的な分類が述べられているに過ぎず,しかも 「薄い」湯口に分類されているのは 「0. ,,025インチ(0.635o)位のもの」であって,本件発明1の下限値である「0.2o」を上回るものである。本件発明1は,従来技術において,ゲート厚の下限値を約0.6o以下にすることができなかったところ,0.2oまで大幅に薄くすることに成功したものであるが,刊行物2には,そのような記載はない。刊行物2には 「非常に肉薄の鋳,物は推められる最小値より薄くてもよいわけである」という記載があるが,このような抽象的かつ大雑把な記載から,刊行物2の記載が「相違点(イ)で特定されたゲート厚の下限値に係る『0.2o以上』と重複・一致する」と認定することはできない。その上,刊行物2には 「薄い,湯口の使用に関連して起こる不利益の1つは,鋳込金属が,ダイスの表面に焼付きまたは溶着を起し易くなることである」と記載されており,ゲート厚を薄くした場合において弊害が生じることを示している。刊行物2には,いかなる方法をとれば「肉薄の鋳物」が得られるのかにつ ,いても,何らの記載がない。
このような刊行物2を,ゲートの厚さについて何ら考慮していない刊行物1と組み合わせる動機付けがない。また,アルミニウム系材料のダイカスト製品の薄肉化が,他の金属材料を用いる場合に比して非常に困難なものであったことに鑑みても,刊行物1と刊行物2の組み合わせによって,本件発明1を容易に想到することはあり得ない。
(ウ) したがって,審決の上記(ア)の判断は,誤りである。
ウ 取消事由1(3)(相違点(ロ)についての判断の誤り)(ア) 審決は,刊行物1,刊行物3及び刊行物4に基づき 「上記相違点,(ロ)のとおり 『ゲートを構成する部材表面に窒化処理を施したもの』 ,を用いるとした点は,当業者が容易に想到できたことと認める」と判断している(22頁下から3行〜23頁20行 。)(イ) しかし,刊行物1には,押出用シリンダのチップの移動速度を上げた場合,溶融金属がゲートの先端部を通過する速度が速まることが一般論として記載されているに過ぎない。その上,刊行物1発明は,チップ速度を高めるという安易な発想により,かえって,金型内のガス等を巻き込み,気泡が生じ易くなるなど,薄肉製品の製造を目的とする技術として致命的な欠陥を抱えている。そして,刊行物3及び刊行物4は,薄肉製品の製造に係る文献ではない上,刊行物3及び刊行物4には,溶融金属がゲート部分と激しく接触した場合に,当該接触部分を浸食(エロージョン)することを防止するために窒化処理を施すことが述べられているのみである。従来技術においては,薄肉アルミダイカスト成型品の製造に際し,ゲート厚を薄くする場合において,湯流れ性を良好なものとする目的でゲートに窒化処理が施されている例は認められない。
これに対して,本件発明1は,湯流れ性の向上のために,ゲートを構成する部材に窒化処理を施す発明であり,刊行物3及び刊行物4の記載とは,全くその着想を異にする。
また,本件特許の出願当時において,薄肉アルミニウム系ダイカスト成形品の製造に際して,ゲートを構成する部材に窒化処理を施すことは,割れが発生するなどの理由から,有効なものとは考えられていなかったのであり(甲12の1ないし4 ,薄肉製品の製造においては窒化処理 )を避けることが技術常識となっていた(甲13 。)以上のようなことからすると,刊行物1と刊行物3及び刊行物4との組み合わせによって,本件発明1の相違点(ロ)について容易に想到することはあり得ない。
(ウ) したがって,審決の上記(ア)の判断は誤っている。
エ 取消事由1(4)(相違点(ハ)についての判断の誤り)(ア) 審決は,@刊行物1に,品質の安定した製品を得ることが可能となったと記載されていること,刊行物2に,薄い湯口は肉の薄い鋳物に対しては優れた鋳肌を得るのに役立つことが記載されていることから,相違点(ハ)は容易に想到できるものであり,A相違点(ハ)は,容易想到である相違点(イ),(ロ)に係る構成を具備したことにより得られる発明の効果に過ぎず,刊行物1発明に相違点(イ)及び(ロ)に係る構成を付加して構成される発明においても同様の効果を得られるから 「 外観の良好,『な』と特定した上記相違点(ハ)については,実質的な相違点を構成するものとはいえず,また,当業者にとって格別に困難なものとすることはできない 」と判断している(23頁21行〜24頁28行 。 。)(イ) しかし,本件発明1は,ゲートの厚さを薄くしながら,これによる湯流れ性の悪化を防ぐために,ゲートを構成する部材に窒化処理を施して湯流れ性を良好にすることにより,従来困難であった薄肉化を実現しつつ,外観が良好で品質のよい製品を得ることに成功したものである。
それゆえ,その効果については,本件発明1のような手段をとったことと独立に論じても意味はない。
また,上記のとおり,相違点(イ),(ロ)とも,容易想到とは認められない以上,上記Aのようにいうこともできない。
従来の技術では,薄肉化を実現しながら外観の良好で品質のよい製品を量産することは困難であったところ,本件発明1は,初めてこれを容易にしたのであって,相違点(ハ)は,実質的な相違点を構成するものである。
刊行物1及び刊行物2において用いられている文言のうち,単に 「外,観の良好な」という表現に近いものを取り出し,これをもって,本件発明1を容易に想到できるなどと決めつけることはできない。
(ウ) したがって,審決の上記(ア)の判断は,誤っている。
オ 取消事由2(本件発明3の進歩性の判断の誤り)(ア) 審決は 「金型のキャビティを構成する部材表面に,刊行物3及び刊 ,行物4に記載された窒化処理を施すこと,及びそれにより外観の良好な成形品が得られることは当業者が容易に想到し得たことである」と判断している(25頁27行〜26頁17行 。)(イ) しかし,上記ウ(イ)で述べたとおり,本件発明3と刊行物3及び刊行物4の記載とは,金型のキャビティを構成する部材表面に窒化処理を施す目的が全く異なっているから,刊行物1と刊行物3及び刊行物4との組み合わせによって,本件発明3を容易に想到することはあり得ない。
(ウ) したがって,審決の上記(ア)の判断は,誤っている。
2 請求原因に対する認否請求原因(1),(2)及び(3)の各事実は認めるが,(4)は争う。
3 被告らの反論原告が主張する取消事由にはいずれも理由がない。審決は正当である。
(1) 取消事由1(1)に対し進歩性の有無が問題となる場合,単一の公知技術に当該発明の全部が開示されてはいないから,何らかの形で基本の公知技術の不足を補って進歩性があるか否かを判断しなければならず,そのために複数の公知技術から構成要素を部分的に抜き出して組み合わせることの困難性の有無が争点となるのである。審決も,このような進歩性の有無の判断手法を採用したものであり,その判断手法に問題はない。
(2) 取消事由1(2)に対しア ゲートの厚さを薄くすると,充填時間を短くするためにゲート通過速度を速くすることが行われるのであるから,ゲート厚さを薄くしながら,湯流れ性を良好なものにするということが,相反するものであるということはできない。
刊行物1発明に実施上不都合な点が存したり,実施が困難であったとしても,刊行物1に示されている技術的思想進歩性判断のための対比の対象とすることは妨げられない。また,逃げ場のない空気や放出ガスに逃げ路を与えるためのガス抜き(vent)を設けることは技術常識であるから,当業者が刊行物1発明を実施することに何ら支障はない。
イ 審決が本件発明1と刊行物1発明との相違点と認定したのは 「0.2,o以上で,かつ成形品のゲート部から切り離す部分の厚さ以下」という文言上で特定した記載が見あたらない点であり,刊行物1の図1に,ゲートの厚さが成形品のゲート部から切り離す部分の厚さ(金型1の“キャビティ2の間隙量”と同じ )よりも狭小であることが図示されていることは 。
認定している。
ウ 刊行物2は 「最初に商業的なアルミニウム基合金ダイカストは191 ,5年にドーラーダイカスト社で造られた…今日,アルミニウム・ダイカスト法は,金属加工技術には必要欠くべからざるものである (乙36・2」頁下から5行〜1行)との記載 「現在アメリカの全ダイカスト生産量の ,30%を占めている (乙36・315頁11行〜12行)との記載及び 」「ダイカスト用アルミニウム合金」の項(乙36・334〜357頁)における記載からすると,アルミダイカスト技術について論じた文献であることに疑いはない。
エ 刊行物1には,上記のとおり,金型1にゲート5aを設けることとともに,当該ゲート5aの厚さが,金型1の“キャビティ2の間隙量”よりも狭小であることが図示されている。これに対し,刊行物2には,ダイカスト用の湯口について,薄肉の鋳物の場合に薄い湯口を用いること,薄い湯口は0.635o位のものであること,非常に薄肉の鋳物は推められる最小値よりも薄くてもよいこと,湯口を切る範囲は鋳物の肉厚によって決まり,湯口は鋳物の最大肉厚より厚くするべきではないことが記載されており,しかも,これらの記載事項は当業者の技術常識となっていた。これらの事実及び刊行物1と刊行物2の技術分野が同じであることからすれば,刊行物1発明と刊行物2とを組み合わせることに何ら困難性はない。
オ 刊行物2における「肉薄の鋳物」の製造方法に関する記載の有無は本件発明1の進歩性有無の判断に影響しない。
(3) 取消事由1(3)に対しア ゲート部に窒化処理をする構成が同じであれば,刊行物1発明においてゲート部を窒化処理した場合には本件発明1と同じ効果が得られることは当然であり,ゲート部に窒化処理をする目的の相違が,本件発明1が進歩性を欠如しないことの根拠にはならない。
したがって,刊行物3及び刊行物4に記載されている窒化処理を,刊行物1発明の溶融金属が高速で通過するゲートに対して適用することは,当業者にとって格別に困難なことではなく,相違点(ロ)は,当業者が容易に想到できたことである。
イ 甲12の1ないし4及び甲13に基づく,本件特許の出願当時において,薄肉アルミニウム系ダイカスト成形品の製造に関して,ゲートを構成する部材に窒化処理を施すことは有効なものと考えられていなかった旨の原告の主張は,事実に反するものである。
(4) 取消事由1(4)に対し上記のとおり,刊行物1発明と刊行物2を組み合わせることは,当業者にとって容易に想到できたものである。そうすると,刊行物1と刊行物2を組み合わせた「薄肉アルミニウム系ダイカスト成形品の製造方法」を採用すれば,刊行物1や刊行物2の記載から,良好な外観の成形品が得られることは,当業者が容易に想到できたことであるから,相違点(ハ)は,刊行物1発明との実質的な相違点とはならず,格別の困難性があるとすることはできない。
(5) 取消事由2に対し刊行物1,刊行物3及び刊行物4を組み合わせることが,当業者にとって,格別困難でなく,容易に想到できたことは,取消事由1(1)〜(4)について述べたとおりである。
本件発明1が,刊行物1,刊行物3及び刊行物4との組み合わせによって,進歩性を欠如すると認められる以上,本件発明3もまた進歩性を欠如するものとなることは明らかである。
当裁判所の判断
1 請求原因(1)(特許庁における手続の経緯 ,(2)(発明の内容 ,(3)(審決 ))の内容)の各事実は,いずれも当事者間に争いがない。
そこで,以下,原告が主張する取消事由について判断する。
2 取消事由1(1)(本件発明1の進歩性の判断手法の誤り)について(1) 原告は,審決は相違点(イ)〜(ハ)を個別独立に検討し,進歩性を判断しているが,本件発明1は,各相違点の技術が一体となって画期的な効果を奏するものであるから,審決が用いた進歩性の判断手法は誤りである旨主張する。
しかし,進歩性については,本件発明1と引用発明とを対比し,一致点及び相違点を特定した上で,相違点について容易想到性を検討するのが通常の判断手法である。
本件発明1と刊行物1発明との相違点(イ)〜(ハ)をみると,いずれも,本件発明1の目的を達成し,効果を奏するために必要な事項ではあるものの,それぞれ独立して設計可能な事項であって,一体不可分の関係にあるとまでは解されないから,別個独立に検討することが可能であって,相違点(イ)〜(ハ)を別個独立に検討し,進歩性を判断した審決の判断手法に誤りがあるということはできない。
(2) また,原告は,本件発明1は,相互に全く関連性を有しない刊行物1,刊行物2,刊行物3,刊行物4という従来技術を単に寄せ集めることにより容易に想到できるものではないから,これらの従来技術を結びつけて本件発明1の進歩性を否定した審決は誤りである旨主張するが,この主張が採用できないことは,次の3〜5で述べるとおりである。
3 取消事由1(2)(相違点(イ)についての判断の誤り)について(1) 原告は,刊行物1と刊行物2の組み合わせによって,本件発明1に容易に想到することはあり得ないから,審決が,刊行物1及び刊行物2に基づき,「ゲートの厚さについて,上記相違点(イ)のとおり 『0 2o以上で,かつ ,.成形品のゲート部から切り離す部分の厚さ以下』と特定することに格別の困難性があるとすることはできない」と判断したのは誤りである旨主張するので,以下,検討する。
(2) 刊行物1には,以下のア〜エの記載があり,以下のオの内容が示された図面が記載されていると認められる。
ア 特許請求の範囲「 請求項1】【金型内に溶融金属を,押出用シリンダのチップ速度を2.2m/s以上に設定して圧入することを特徴とするアルミダイカスト法。
【請求項2】金型内のキャビティの間隙量を1oの以下に設定し,そのキャビティに溶融金属を圧入することを特徴とする請求項1記載のダイカスト法。
【請求項3】前記キャビティへの溶融金属圧入後,0.1秒〜3.5秒経過した時点で,金型の型開きを行うことを特徴とする請求項1または2記載のダイカスト法。
【請求項4】溶融金属がアルミニウムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のダイカスト法。
【請求項5】厚さが1o以下に設定されていることを特徴とするダイカスト製品」。
イ 発明が解決しようとする課題「…製品厚さが1o程度の場合…溶融金属を金型のキャビティ内に充填するに際し,充填が完了する前にキャビティ内で溶融金属の固化が始まる現象が見られる。以上の理由により従来のダイカスト法では1o以下の厚さの製品を作ることはできなかった… (段落【0004 ) 」】ウ 発明の実施の形態「…図1は本発明方法を実施するためのダイカスト機の模式図である。図中符号1は固定金型1A及び可動金型1Bからなる金型,2は金型1内に形成されるキャビティ,3は溶融金属Mを圧入するための押出用シリンダ,4は押出用シリンダ3内に組み込まれて,実際に溶融金属Mを押し出してキャビティ2内に圧入するチップ,5はシリンダ3とキャビティを連通させる溶融金属通路である (段落【0008 ) 。」】「本発明方法の特徴は,…押出用シリンダ3のチップ4の押出方向の移動速度…を…製品Zの厚さが薄くなればなるほど速くし,例えば,製品厚さが1oの場合には,チップの最終移動速度が2.2m/s程度,製品厚さが0.5oの場合には3.75m/s〜6.0m/s程度に設定するのが望ましい。このようにチップ4の移動速度を製品Zの厚さが薄くなればなるほど速くすることにより,溶融金属Mをキャビティ2内へ充填する時間を短縮することができる。つまり,キャビティ2の間隙量が小さくなればなるほど,その中に充填される溶融金属Mの冷却が進み固化開始時間は短くなるが,この固化開始時間前に,全ての溶融金属Mをキャビティ2内に充填することができる… (段落【0009 ) 」】「…チップ4の移動速度を上げることにより,溶融金属通路5の先端のゲート5aを通過する溶融金属Mの速度は,…従来に比べて数倍速くなっている (段落【0011 ) 。」】「図5(b)は,…キャビティ2内に圧入される溶融金属Mの挙動を示すものである。なお,図5(a)には,比較のため,従来のダイカスト法による…場合の溶融金属の挙動を示してある。… (段落【0012 ) 」】「図6は,本発明方法により得られたダイカスト製品Zの例を表したものである。本発明方法では,厚さt=1(o)以下のダイカスト製品を自由に作ることが可能となった。…また,本発明は,単に薄もののダイカスト製品のみならず,薄肉と厚肉とが入り混ざった製品を作る場合にも適用可能であり… (段落【001」7)】エ 発明の効果「…請求項1,2記載の発明によれば,金型内に溶融金属を,押出用シリンダのチップ移動速度を従来の速度よりはるかに速い値である,2.2m/s以上に設定して圧入するから,金型キャビティ内への溶融金属の充填時間が短くなり,この結果,従来のダイカスト法では不可能であった,1o以下の厚さをダイカスト製品を得ることが可能となった。請求項3記載の発明では,溶融金属圧入後,0.1秒〜3.5秒後に型開きを行うから,ダイカスト製品が薄い場合でも,該ダイカスト製品にクラック等が生じることなく,品質の安定した製品を得ることが可能となった。請求項4記載の発明では,溶融金属がアルミニウムであって,厚さ1o以下のアルミダイカスト製品を得ることが可能となった。請求項5記載の発明では,厚さが1o以下のダイカスト製品であることから,軽量のダイカスト製品が得られることとなった。また,鋳造後の切削,研削等の機械加工も自由に行えることから,薄型で高精度の製品を得ることが可能となった。… (段」落【0018 )】オ 図1においては,金型1のキャビティ2に対して,ゲート5a,溶融金属通路5及び押出用シリンダ3が順次接続されることが示され,併せて,図1,図5においては,ゲート5aの厚さが金型1のキャビティ2の間隙量よりも狭小であることが示されている。
以上のア〜オによれば,刊行物1には,溶融金属をアルミニウムとするダイカスト法として,金型内のキャビティの間隙量を1o以下に設定し,そのキャビティに溶融金属を圧入して,厚さが1o以下のダイカスト製品を得ることを可能とする方法が記載されており,その方法は,単に薄もののダイカスト製品のみならず,薄肉と厚肉とが入り混ざった製品を作る場合にも適用可能であること,金型1にゲート5aを設け,当該ゲート5aの厚さは金型1のキャビティ2の間隙量よりも狭小であることが記載されているというべきである。
この点について,原告は,刊行物1にはゲートの厚さに関する記載がないと主張する。しかし,刊行物1には,ゲートの厚さの具体的な数値が文章中において記載されているわけではないが,上記エのとおり,ゲートの厚さが金型のキャビティの間隙量よりも狭小であることが図示されているから,ゲートの厚さに関する記載がないとはいえない。審決が,刊行物1には,ゲートの厚さを明示する記載は見あたらない(22頁11行)が,ゲートの厚さが金型のキャビティの間隙量よりも狭小であることが図示されている(22頁下から12行〜10行)旨の認定をしているのも,以上と同旨の認定であるということができる。また,原告は,ゲート厚さが成形品のゲート部から切り離す部分の厚さよりも狭小であるように見える図があるのは,単なる偶然によるものと主張する。しかし,刊行物1においては,上記ウのとおり,図1,図5に基づいてゲートを含むダイカスト装置に関する説明や溶融金属の挙動に関する説明がされていることからすると,図1,図5に示された金型の形状は,単なる偶然ではなく,具体的な実施形態に裏付けられたものといわなければならない。したがって,原告の上記主張はいずれも採用できない。
(3) 刊行物2には,ダイカスト製品を作る技術について,以下のア〜ウの記載があると認められる。
ア 「湯口を切る範囲は,鋳物の肉厚によって決まる。明らかに湯口は鋳物の最大肉厚より厚くするべきでない。…(68頁17行〜18行) 」イ 「…薄い湯口は0.025インチ(0.635o)位のものと分類されている。…非常に肉薄の鋳物は推められる最小値より薄くてもよいわけである (68頁28行〜69頁3行) 。」ウ 「…薄い湯口は,特に肉の薄い鋳物に対しては…優れた鋳肌を得るのに役立つ (69頁10行〜11行) 。」上記ア〜ウによれば,刊行物2には,ダイカスト用の湯口について,薄肉の鋳物の場合には薄い湯口を用いること,薄い湯口は0.635o位のものとし,また,非常に肉薄の鋳物は推められる最小値より薄くてもよいこと,湯口を切る範囲は鋳物の肉厚によって決まり,湯口は鋳物の最大肉厚より厚くすべきでないことが記載されているということができる。
そして,刊行物2に記載されている上記ア〜ウの記載内容のような技術的事項を,上記(2)に記載した刊行物1発明(アルミニウムダイカスト技術)に対して適用できないとする理由はないものというべきである。
この点について,原告は,刊行物2は,亜鉛等,アルミニウム以外の素材を念頭に置いて発表された文献であり,アルミダイカストについて述べたものではないから,刊行物2を本件発明1と対比することは見当はずれである旨の主張をする。しかし,刊行物2には,アルミニウムがダイカスト用材料である場合には,その記載は適用されない旨の記載はない上,乙36によれば,刊行物2と同一書籍中の334頁〜357頁には 「第7章 ダイカス ,ト用合金 「ダイカスト用アルミニウム合金」という項目において,ダイ 」,カスト用材料としてのアルミニウムについて詳しく記載されていることからすると,刊行物2の記載が,アルミニウムがダイカスト用材料である場合を排除するものであるとは認められない。そして,刊行物2において,このようにアルミニウムがダイカスト用材料である場合を排除しない記載がされている以上,当業者(その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者)が,その記載されている技術的事項を刊行物1発明(アルミダイカスト技術)に対して適用できるとみることは,自然かつ合理的であるから,刊行物2の上記ア〜ウの記載内容のような技術的事項を,上記(2)に記載した刊行物1発明(アルミニウムダイカスト技術)に対して適用できないとする理由はない。
(4) 刊行物1発明に刊行物2を組み合わせることについてア ゲートの厚さの下限について(ア) 上記(3)で認定したとおり,刊行物2には,薄い湯口は0.635o位のものとし,また,非常に肉薄の鋳物は推められる最小値より薄くてもよい旨記載されている。したがって,刊行物2に開示されている薄い湯口は,0.635o位のもの及びそれより薄いものを含んでいるから,本件発明1と刊行物1発明との相違点(イ)で特定されたゲートの厚さの下限値に係る「0.2o以上」と重複・一致するといわなければならない。
(イ) この点について,原告は,@刊行物2には,ゲートの厚さに関して一般的な分類が述べられているに過ぎず,しかも 「薄い」湯口に分類,されているのは 「0.025インチ(0.635o)位のもの」であ ,って,本件発明1の下限値である「0.2o」を上回るものである,A本件発明1は,従来技術において,ゲート厚の下限値を「約0.6o」以下にすることができなかったところ,0.2oまで大幅に薄くすることに成功したものであるが,刊行物2には,そのような記載はない,B刊行物2には 「非常に肉薄の鋳物は推められる最小値より薄くてもよ ,いわけである」という記載があるが,このような抽象的かつ大雑把な記載から,刊行物2の記載が「相違点(イ)で特定されたゲート厚の下限値に係る『0.2o以上』と重複・一致する」と認定することはできない,C刊行物2には 「薄い湯口の使用に関連して起こる不利益の1つは, ,鋳込金属が,ダイスの表面に焼付きまたは溶着を起し易くなることである」と記載されており,ゲート厚を薄くした場合において弊害が生じることを示している,D刊行物2には,いかなる方法をとれば 「肉薄の,鋳物」が得られるのかについても,何らの記載がない,と主張する。
しかし,刊行物2における,薄い湯口は0.635o位のものとし,また,非常に肉薄の鋳物は推められる最小値より薄くてもよい旨の記載は,薄い湯口に関する具体的な数値及び肉薄の鋳物を得るための具体的な条件が記載されたものとして,十分に具体的な技術的事項が開示されているということができる。刊行物2には,本件発明1の下限値である「0.2o」という数値の開示はないが,本件発明1は,ゲートの厚さが「0.2o以上」というものであるから,上記(ア)のとおり,刊行物2には,その数値範囲と重複・一致する数値の開示があるということができる。従来技術において,ゲート厚の下限値を「約0.6o」以下にすることができなかったという事情があるとしても,本件特許の「特許請求の範囲」請求項1には,ゲートの厚さが「約0.6o」以下というような限定はないから,本件発明1をそのように限定されたものと理解することはできない。刊行物2には 「薄い湯口の使用に関連して起こ ,る不利益の1つは,鋳込金属が,ダイスの表面に焼付きまたは溶着を起し易くなることである (69頁11行〜13行)との記載があるが, 」薄い湯口の使用に当たって一般的に考慮すべき不利益について述べたものに過ぎず,上記(ア)の認定を妨げるものではない。さらに,刊行物2には,上記(3)ア〜ウの記載内容のような技術的事項が開示されていることからすると,いかなる方法をとれば「肉薄の鋳物」が得られるかについての説明がないとはいえず,それ以上の説明がないとしても,上記(ア)の認定を妨げるものではない。
イ ゲートの厚さの上限について上記(3)に認定したとおり,刊行物2には,湯口は鋳物の最大肉厚より厚くするべきではない旨の内容が開示されている。しかるに,上記(2)エに認定したとおり,刊行物1の図1,図5には,ゲート5a及びそれに接続するキャビティ2において,当該ゲートが当該キャビティの間隙量に比して狭小であるものが示されている。これらに照らせば,当業者が,本件発明1と刊行物1発明との相違点(イ)で特定されたゲートの厚さの上限を,「成形品のゲート部から切り離す部分の厚さ以下」と特定することは,格別に困難であるとは認められない。
(5) 小括以上によれば,審決が,ゲートの厚さについて 「0.2o以上で,かつ ,成形品のゲート部から切り離す部分の厚さ以下」と特定することに格別の困難性があるとすることはできないと判断したことに誤りはない。
なお,原告は,アルミニウム系材料のダイカスト製品の薄肉化が,他の金属材料を用いる場合に比して非常に困難なものであったことを考慮すべきであると主張するが,本件特許出願当時,すでに刊行物1が公開されていたことなどからしても,アルミニウム系材料のダイカスト製品の薄肉化が,他の金属材料を用いる場合に比して非常に困難なものであったとまでは認められず,アルミニウム系材料のダイカスト製品の薄肉化が,他の金属材料を用いる場合に比して困難な点があったとしても,(2)〜(4)で述べたように,刊行物2に記載された技術的事項を刊行物1発明に適用することにより,本件発明1と刊行物1発明との相違点(イ)で特定されたゲートの厚さの下限値が重複・一致し,同上限を当業者が「成形品のゲート部から切り離す部分の厚さ以下」と特定することが格別に困難であるとは認められないことに照らせば,審決の上記判断に誤りがあるということはできない。
したがって,原告が主張する取消事由1(2)は理由がない。
4 取消事由1(3)(相違点(ロ)についての判断の誤り)について(1) 原告は,刊行物1と刊行物3及び刊行物4との組み合わせによって,本件発明1の相違点(ロ)について容易に想到することはあり得ないから,審決,, が,刊行物1,刊行物3及び刊行物4に基づき「上記相違点(ロ)のとおり『ゲートを構成する部材表面に窒化処理を施したもの』を用いるとした点は,当業者が容易に想到できたことと認める」と判断したことは,誤りであると主張するので,以下,検討する。
(2) 前記3(2)の刊行物1の記載によれば,刊行物1発明は,金型内に充填される溶融金属の流速を上げて,湯流れ性を良くすることにより,厚さ1o以下の薄肉アルミニウム系ダイカスト成形品を製造することを可能にしたものと認められる。
なお,原告は,刊行物1発明について,溶融金属の流速を上げるとガス巻き込みなどの不都合が生じると主張する。しかし,そのような問題は,ガス抜きなどの除去手段により解決できるもの(乙40。なお,乙40の記載も,アルミニウムがダイカスト用材料である場合を排除するものであるとは認められないことは,乙40と同一書籍である刊行物2の記載について上記で判断したのと同様である )であるから,当業者が刊行物1発明を実施するこ 。
との妨げとなるほどの事項とは解されない。
(3) また,刊行物3には,ダイカスト金型の型彫り面の欠陥につき,以下のア,イの記載があり,刊行物4には,KANUC処理というガス窒化処理につき,以下のウの記載があると認められる。
ア 「ダイカスト金型の型彫り面は,圧力と速度をもった溶融金属の接触が繰返えされるためにいろいろの欠陥を生ずる。
…ハンダ作用 金型に溶融金属が密着し,金型の地鉄と作用して金属間化合物…をつくる。これは非常に脆く,かつ高温において弱いので容易に剥離し,金型面を漸次浸食していく。
…エロージョン 前者と類似しているが,溶融金属の温度が高く,ノズル,ゲートあるいは中子のごとく激しく溶融金属と接触するところでは,あたかも金型の一部が溶かし去られたような外観を呈する (266頁右欄。」9行〜25行)イ 「…エロージョン金型の耐摩耗性および高温強度の大きいほどエロージョンに対して有利である。…窒化,軟窒化…などの処理は金型に耐摩耗性,耐焼付き性を与え,溶融金属との密着性を悪くするので,エロージョンのみならずハンダ作用に対しても効果がある (268頁左欄36行〜44行) 。」ウ 「…表面に窒化物が形成されていることから,ゲート及び湯口近傍の溶融アルミニウムの流速の激しい部分でも溶損が少なく,耐溶損性にも効果のあることが認められた。なお,クラックの進展の遅延は拡散層の存在が大きく影響していることが明らかであり評価試験結果ともよく対応している (90頁左欄35行〜右欄3行) 。」以上のア〜ウによれば,刊行物3,刊行物4には,金型のゲート部に窒化処理を施すことが,金型の溶損,摩耗に対して有効であることが記載されていると認められる。
, (4) そうすると,金型のゲート部に対して窒化処理を施すことは,刊行物3刊行物4に記載されているように,ダイカスト用金型にとって有用な処理であって,ダイカスト製品の製造方法を改良する手段であることが知られていたものと認められる。刊行物3,刊行物4に記載されている窒化処理は,薄肉アルミダイカスト製品の製造においても,有用な処理であると考えられる(これに反する原告の主張が採用できないことは,後記(5)のとおりである )から,刊行物1発明の製造方法を改良するために,金型のゲート部に 。
対して窒化処理を適用することは,当業者が適宜なし得たものというべきであって,上記(2)の刊行物1発明の内容からしても,それを妨げるような事情は認められない。
そして,刊行物1発明の金型のゲート部に対して窒化処理を施したものは,結果的に,湯流れ性の向上という本件発明1の作用効果において,本件発明1とは差異がないものと認められる。
この点について,原告は,本件発明1は,湯流れ性の向上のために,ゲートを構成する部材に窒化処理を施す発明であり,刊行物3及び刊行物4とは,全くその着想を異にすると主張する。確かに,刊行物3,刊行物4に記載されている窒化処理は,湯流れ性の向上のためのものではないが,本件特許の「特許請求の範囲」請求項1の記載からすると,本件発明1は 「ゲートを,構成する部材表面に窒化処理を施したもの」という特定しかないから,刊行物3,刊行物4に記載されている窒化処理が,湯流れ性の向上のためのものではないとしても,刊行物1発明にその窒化処理が行われ,結果的に湯流れ性が向上すれば,それは,本件発明1とは,窒化処理の点において差異がないものというべきである。
また,原告は,従来技術においては,薄肉アルミダイカスト成形品の製造に際し,ゲート厚を薄くする場合において,湯流れ性を良好なものとする目的でゲートに窒化処理が施されている例は認められないと主張するが,そうであるとしても,上記のとおり,窒化処理の目的は,上記判断を左右するものではない。
(5) なお,原告は,本件特許の出願当時において,薄肉アルミニウム系ダイカスト成形品の製造に際して,ゲートを構成する部材に窒化処理を施すことは,割れが発生するなどの理由から,有効なものとは考えられていなかったのであり(甲12の1ないし4 ,薄肉製品の製造においては窒化処理を避 )けることが技術常識となっていた(甲13)と主張するが,この主張は,次のとおり採用できない。
ア 甲12の1(日原政彦ら「ダイカスト金型鋼の窒化処理」(平成7年 )について)甲12の1には 「金型の品質安定化や寿命向上対策の一手法として仕 ,上げ放電加工した金型表面に窒化処理を行うと,熱疲労特性の改善が得られた事例も報告されているが,窒化処理においても過酷な鋳造条件(スクイズキャスト,薄肉高速充填等)や高温溶湯の使用(高Si系)の場合には窒化物の分解に伴う熱疲労特性の低下,クラックの早期発生・進展および溶損性の低下等に起因して,すべての金型に対し必ずしも有効な処理にならないこともある (51頁22〜27行)と記載されているところ, 」原告は,この記載は,薄肉製品を高速充填で鋳造する際には,窒化処理が有害となり得ることが明確に示されており,その有効性が否定されていると主張する。
しかし,甲12の1には,概要抜粋として 「この研究の目的は,放電 ,機械加工後のピーニング,窒化やレーザー照射のような多様な表面加工使用によるダイカスト金型の耐用期間を安定させ延長させる為である。…ガス窒化及びピーニングに続く放電機械加工後の金型鋼は非処理金型鋼よりも温度疲労に対して更に高い抵抗を示した 」と記載されていることをも 。
総合すると,上記の51頁の記載部分は,金型の品質安定化等の一手法として金型表面に窒化処理を行った場合に,熱疲労特性の改善が得られた事例が報告されるとして,窒化処理の有効性を肯定する一方で,このような窒化処理においても過酷な鋳造条件や高温溶湯の使用の場合には,全ての金型に対し必ずしも有効な処理にならないこともあるとの留保を付した部分であると解することができ,この記載から直ちに,薄肉アルミニウム系ダイカスト成形品の製造に際して,ゲートを構成する部材に窒化処理を施すことは,有害であって,避けるべきであると考えられていたとまで認めることはできない。
イ 甲12の2( 型技術」Vol.12 No.1(平成9年1月1日発行 )に 「)ついて甲12の2の図5「ダイカスト金型と鋳抜きピンなどの表面処理の状況」には,ダイカスト金型への窒化処理の実施状況が記載されており,52.8%の業者が窒化処理を実施し,47.2%の業者が窒化処理を実施していなかったことが認められる。
原告は,上記図5は,薄肉以外の製品の製造に際して窒化処理が実施されている状況を示したものであるところ,窒化処理が実施されているのは半数程度にとどまること,甲12の1の記載などからすると,薄肉製品の製造の際に窒化処理が行われている可能性はほとんどないと主張する。
しかし,図5からは,それが薄肉以外の製品の製造に際して窒化処理が実施されている状況を示したものかどうかは明らかでなく,図5から,薄肉アルミニウム系ダイカスト成形品の製造に際して,ゲートを構成する部材に窒化処理を施すことは,有害であって,避けるべきであると考えられていたと認めることはできない。かえって,本件特許出願前において,ダイカスト金型への窒化処理は,半数以上の業者が実施しているかなり一般的な技術であったことが認められる。
ウ 甲12の3(型技術協会熱間金型の寿命改善委員会編「熱間用金型の寿命対策 (平成13年7月26日発行 )について 」)(ア) 甲12の3には 「 B 塩溶浸硫窒化…断面の最表部には厚さ10 ,()〜15μmの化合物層が見られ,その内部に厚さ約100μmのカモメマークを内在した拡散層が見られる。また,表面は粗い凹凸面で,一部に細かい気孔(φ0.5〜1μm)が分散している (261頁下か。」ら2行〜262頁2行)との記載があるところ,原告は,この記載は,窒化処理を施した場合に,金型表面に粗い凹凸ができることを示したものであり,金型表面に粗い凹凸ができれば,常識的に見て当然のごとく湯流れ性が悪化してしまうから,薄肉製品に窒化処理を施すことは,非常識なものとされていたことが容易に推察できると主張する。
(イ) しかし,甲12の3より以前に発行された特許公報(特開昭63-256251号公報,乙37)には,以下の記載がある。
a 特許請求の範囲「金型入子のキャビティ面に微細な凹凸表面を設けておくことを特徴とするダイカストにおける鋳造欠陥の防止方法 」。
b 産業上の利用分野「本発明はダイカストにおける鋳造欠陥の防止方法,すなわち鋳物製品の表面への湯じわ,湯境い,かじり等の発生を防止する方法に関するものである 」。
c 発明の効果「本発明方法によれば,ダイカスト金型入子のキャビティ面に微細な凹凸加工を施しておくという簡単な方法によって鋳造欠陥の発生をほぼ皆無にすることができる。…」以上のa〜cに照らせば,キャビティ面に凹凸加工を施すことにより鋳造欠陥を防止する技術思想が存在するというのであるから,甲12の3に記載された凹凸面の形成を理由にして,当然のごとく湯流れ性が悪化してしまうということはできないし,薄肉製品に窒化処理を施すことは非常識なものとされていたことが容易に推察できると結論付けることもできない。
この点につき,原告は,上記公報(乙37)には,凹凸表面を設ける方法として窒化処理を挙げていないと主張する。しかし,上記公報(乙37)が窒化処理を挙げていないとしても,鋳造欠陥の発生という技術的課題を解決する手段として,凹凸加工が肯定的に捉えられていることは明らかである以上,凹凸面の形成のみをもって,当然に湯流れ性が悪化してしまうということができないことには,変わりはない。
(ウ) したがって,甲12の3から,薄肉アルミニウム系ダイカスト成形品の製造に際して,ゲートを構成する部材に窒化処理を施すことは,有害であって,避けるべきであると考えられていたと認めることはできない。
エ 甲12の4(日原政彦著「ダイカスト用金型の寿命対策 (平成15年」2月28日発行 )について)(ア) 甲12の4には 「軟窒化処理および浸硫窒化処理をダイカスト金 ,型…に適用した場合,表面に形成する高い硬さ( 〜 )の各 1,000 1,400HV窒化物等(ε-Fe Nおよびγ-Fe N)はダイカスト鋳造時の加熱―冷却2-3 4の熱サイクルによる熱衝撃から,初期のショットサイクル段階で割れが発生し,ダイカスト金型等に適用してもあまり効果が発揮できないと考えられていた (97頁4〜8行)との記載がある。 。」原告は,この記載からすると,被告社団法人日本ダイカスト協会に所属する者が自らゲートを構成する部材に窒化処理を施すことの有効性を否定しており,薄肉アルミニウム系ダイカスト成形品の製造に当たって窒化処理を実施しないことは,常識というべきものであったと主張する。
(イ) しかし,甲12の4によって引用された箇所は 「軟窒化および浸,硫窒化処理金型鋼の寿命評価」の章の「4.1 緒言」における記載であるところ,同じ章の「4.11ダイカスト金型への適用性 (乙3」9)には,以下の記載があることが認められる。
10,000 a 「金型鋼の従来材の場合,…外観品質が厳しいことから,…〜 ショットで補修が必要となる状態を示した (130頁14 15,000 。」行〜17行 。)b 「軟窒化処理の場合,…無補修製品としての限界ショット数は約〜 ショットとなり,寿命向上の効果が明らかに認められ 30,000 35,000た (130頁18行〜24行) 。」40,000 c 「…浸硫窒化処理…について,…品質管理上の限界寿命は約〜 ショット程度となった (130頁25行〜131頁2行) 45,000。」以上のa〜cによれば,甲12の4は,その全体の趣旨として,窒化処理を施すことの有効性を否定しているとまではいえず,上記(ア)の記載を根拠に,薄肉アルミニウム系ダイカスト成形品の製造に当たって窒化処理を実施しないことは,常識というべきものであったと認めることはできない。
この点について,原告は,上記a〜cの記載は,甲12の4が平成15年に発行される際に,改めて行った試験の結果を踏まえての記載であり,これが,本件出願がされた平成11年当時の実態を反映する反証とはなり得ないと主張する。しかし,上記a〜cの記載が平成15年に行われた試験の結果を踏まえての記載であったとしても,上記(ア)の記載は,その試験の結果と共に理解すべきであって,その旨の上記判断が,その試験の時期によって左右されることはない。
(ウ) したがって,甲12の4から,薄肉アルミニウム系ダイカスト成形品の製造に際して,ゲートを構成する部材に窒化処理を施すことは,有害であって,避けるべきであると考えられていたと認めることはできない。
オ 甲13について甲13は,ダイカスト製造の技術者による見解が述べられている陳述書であり,そこには,薄肉製品の製造に際して,窒化処理を施すことは,ためらわれることであり,薄肉であるか否かを問わず,窒化処理が実施されている例は無い旨の記載(6頁14頁〜7頁15行)がある。しかし,この記載は,窒化処理の有効性についての上記刊行物3や刊行物4の記載や窒化処理の実施状況に関する上記甲12の2の記載とも食い違うものであって,直ちに採用できるものではない。
(6) 小括以上によれば,本件発明1の「ゲートを構成する部材表面に窒化処理を施したもの」を用いるとの点は,刊行物1,刊行物3及び刊行物4に基づき,当業者が容易に想到できたものと認められ,その旨の審決の判断には誤りがない。したがって,取消事由1(3)は理由がない。
5 取消事由1(4)(相違点(ハ)についての判断の誤り)(1) 原告は,審決が,@刊行物1に,品質の安定した製品を得ることが可能となったと記載されていること,刊行物2に,薄い湯口は肉の薄い鋳物に対しては優れた鋳肌を得るのに役立つことが記載されていることから,相違点(ハ)は容易に想到できるものであり,A相違点(ハ)は,容易想到である相違, 点(イ),(ロ)に係る構成を具備したことにより得られる発明の効果に過ぎず刊行物1発明に相違点(イ)及び(ロ)に係る構成を付加して構成される発明においても同様の効果を得られるから「 外観の良好な』と特定した上記相違 ,『点(ハ)については,実質的な相違点を構成するものとはいえず,また,当業者にとって格別に困難なものとすることはできない 」と判断したのは誤りで 。
あると主張する。
(2) しかし,本件発明1において,相違点(ハ)に係る事項である「外観の良好な」製品を得ることができるのは,本件発明1の構成を採ったことによるものである。そうすると,刊行物1発明に,これらの相違点(イ)及び(ロ)に係る構成を付加して構成される発明においても,相違点(ハ)に係る事項である「外観の良好な」製品を得ることができると解されるところ,相違点(イ)及び(ロ)については,前記3,4で認定判断したとおり,当業者が容易に想到できたのであるから,相違点(ハ)に係る事項についても,当業者が容易に想到できる範囲のものであるということができる。
したがって,相違点(ハ)に係る事項について,当業者が容易に想到できる旨の審決の判断に誤りはない。
(3) 以上によれば,原告が主張する取消事由1(4)は,理由がない。
6 取消事由2(本件発明3の進歩性の判断の誤り)について(1) 原告は,審決が「金型のキャビティを構成する部材表面に,刊行物3及び刊行物4に記載された窒化処理を施すこと,及びそれにより外観の良好な成形品が得られることは当業者が容易に想到し得たことである」と判断したのは誤りであると主張する。
(2) そこで検討するに,本件発明3は,本件発明1を引用して構成されており,窒化処理を施した箇所として,本件発明1の「ゲートを構成する部材表面」に加えて 「キャビティを構成する部材表面」を特定した点で本件発明 ,1と相違するのみである。
本件明細書(甲2)に 「…さらに湯流れ性を良好にするために,所望に ,より,キャビティを構成する部材の表面に,前記のゲートの場合と同様に窒化処理を施すことができる (段落【0008 )と記載されているように, 。」】キャビティを構成する部材の表面に窒化処理を施す目的は,ゲート部に窒化処理を施す本件発明1の場合と同じである。そして,ゲート部に窒化処理を施した点は,相違点(ロ)に係る前記4で説示したように,刊行物1発明に刊行物3及び刊行物4の記載を適用して,当業者が容易になし得ることであるから,窒化処理を「キャビティを構成する部材表面」に対して行うことも,同様に,格別困難なものとはいえないというべきである。
また,本件発明3において「外観の良好な」製品を得ることができるのは,本件発明3の構成を採ったことによるものであるから,刊行物1発明に,相違点(イ)に係る事項及び「キャビティを構成する部材表面に窒化処理を施したものを用いる」ことを付加して構成される発明においても 「外観の良好,な」製品を得ることができると解されるところ,相違点(イ)に係る事項及び「キャビティを構成する部材表面に窒化処理を施したものを用いる」ことは,前記3,4及び上記で認定判断したとおり,当業者が容易に想到できたのであるから 「外観の良好な」製品を得ることについても,当業者が容易に想 ,到できる範囲のものであるということができる。
(3) したがって,審決の上記判断に誤りはないから,原告の主張する取消事由2は理由がない。
7 その他,本件全証拠をもっても,上記1〜6の認定判断を左右するに足りるものはない。
なお,原告は,本件特許は,多くの新聞や雑誌の記事において紹介され,国内大手企業などからも高く評価され,アルミダイカスト業界に大きな影響を与えたもので,米国においても特許を取得しているところ,被告社団法人日本ダイカスト協会らが本件特許を無力化する行動の一環として無効審判請求をしたもので,不当な請求であるなどと主張する。しかし,これらの事実は,本件特許の有効無効とは直接関係しないものであり,上記1〜6の認定判断を左右するに足りるものでない。
8結語以上のとおり,原告主張の取消事由1(1)〜(4)及び同2はすべて理由がなく,審決には違法はない。
よって,原告の請求を棄却することとして,主文のとおり判決する。
追加
(別紙)当事者目録原告プレアテック株式会社訴訟代理人弁護士鮫島正洋同玉井真理子同中原敏雄同吉原政幸訴訟代理人弁理士龍華明裕同東山忠義被告株式会社アーレスティ被告アイシン軽金属株式会社被告株式会社秋葉ダイカスト工業所被告朝日アルミニウム株式会社被告アツタ起業株式会社被告尼崎製罐株式会社被告有限会社伊豆合金被告株式会社イズミ被告株式会社エーケーダイカスト工業所被告株式会社菊和ダイカスト工業被告京三電機株式会社被告株式会社協和被告共和ダイカスト株式会社被告クリエイティブダイカスト株式会社被告寿ダイカスト工業株式会社被告三協ダイカスト株式会社被告株式会社聖心製作所被告株式会社双立被告有限会社高崎ダイカスト工業社被告筑波ダイカスト工業株式会社被告蔦機械金属株式会社被告株式会社東京軽合金製作所被告株式会社東京理化工業所被告株式会社外川ダイカスト工業所被告株式会社豊田ダイカスト被告中津工業株式会社被告社団法人日本ダイカスト協会被告株式会社練馬工業被告東日本ダイカスト工業株式会社被告光軽金属工業株式会社被告日立金属株式会社被告広島アルミニウム工業株式会社被告株式会社プログレス被告ホクダイ工業株式会社被告三井金属鉱業株式会社被告美濃工業株式会社被告山武コントロールプロダクト株式会社被告リョービ株式会社上記38名訴訟代理人弁護士平野和宏
裁判長裁判官 森義之
裁判官 上田卓哉
裁判官 田中孝一
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