審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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平成16ワ20636特許権侵害差止等請求事件 | 判例 | 特許 |
平成19ワ11981特許権侵害差止等請求事件 | 判例 | 特許 |
平成16ワ25576特許権侵害差止等請求事件 | 判例 | 特許 |
平成19ワ12631特許権侵害差止等請求事件 | 判例 | 特許 |
平成19ワ12940特許権侵害差止等請求事件 | 判例 | 特許 |
関連ワード | 発明者 / 技術的思想 / 進歩性(29条2項) / 公知技術 / 技術的範囲 / 発明の詳細な説明 / 警告 / クレーム / 対象製品 / 出願経過 / 参酌 / 均等 / 均等論 / 均等侵害 / 置き換え / 同一の作用効果 / 容易に想到(容易想到性) / 意識的除外(意識的に除外) / 不存在 / 特許発明 / 実施 / 構成要件 / 構成要件充足性 / 業として / 差止請求(差止) / 侵害 / 拒絶理由通知 / 請求の範囲 / 拡張 / |
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元本PDF | 裁判所収録の全文PDFを見る |
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事件 |
平成
17年
(ワ)
11037号
特許権侵害差止請求権不存在確認請求事件
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原告 株式会社タミヤ 訴訟代理人弁護士 松本好史 猿木秀和 竹田千穂 被告P1 |
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裁判所 | 大阪地方裁判所 |
判決言渡日 | 2006/06/13 |
権利種別 | 特許権 |
訴訟類型 | 民事訴訟 |
主文 |
1 被告が,特許登録第3615881号の特許権に基づいて,原告に対し別紙物件目録記載の製品の製造,販売をする行為を差し止める権利を有しないことを確認する。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 |
事実及び理由 | |
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請求
主文と同旨 |
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事案の概要
本件は,別紙物件目録記載の各ラジオコントロールカー用タイヤ内装材(以下,併せて「原告製品」という )を製造販売している原告が,原告製品の製 。 造販売が被告の有する後記特許権を侵害すると主張する被告に対し,原告製品の製造販売につき被告が同特許権に基づく差止請求権を有しないことの確認を求めている事案である。 これに対し,被告は,原告製品は同特許権に係る後記特許発明の技術的範囲に属し,その製造販売は同特許権を侵害するものであると主張して,原告の請求を争っている。 1 当事者間に争いのない事実等(末尾に証拠の掲記のない事実は当事者間に争いがない )。 ( ) 被告の有する特許権 1被告は,次の特許権(以下「本件特許権」といい,その請求項1の発明を「本件発明」という )を有している(甲1,2 。 。)登録番号 第3615881号出願日 平成8年10月29日(特願平8-286843号)登録日 平成16年11月12日発明の名称 自動車タイヤ用内装材及び自動車タイヤ特許請求の範囲 別紙特許公報写し(甲2)の【特許請求の範囲】欄記載のとおり( ) 本件発明の構成要件 2本件発明を構成要件に分説すると次のとおりである。 A 見掛比重が0.20〜0.50,25%歪み時の圧縮応力が20〜1000g/ ,破断伸びが150〜400%の特性を有するゴム発泡体から aなる帯状環状体B 前記帯状環状体の表面に,ゴムからなる非発泡表面層が一体化されてなることを特徴とするC 自動車タイヤ用内装材。 ( ) 原告の行為3原告は,原告製品を業として製造し,販売している。 ( ) 原告製品の本件発明等の構成要件充足性等 4ア 原告製品は,本件特許権の請求項2ないし4の技術的範囲に属しない。 イ 原告製品は,本件発明の構成要件Cを充足する。 ( ) 本件訴訟提起前の事情(確認の利益を基礎付ける事実) 5被告は,原告製品を含む原告が製造販売する低反発系インナーやモールドインナーが本件特許権を侵害する旨の警告状を原告の取引先に対して送付し,さらに平成17年11月5日付けで,原告製品が本件特許権を侵害する旨の書面を原告の取引先に送付するなどし,原告製品の製造販売が本件特許権を侵害する旨主張している(甲3の1及び2,弁論の全趣旨 。)2争点( ) 原告製品は,本件発明の構成要件Aを充足するか。 1( ) 原告製品は,本件発明の構成要件Bを充足するか。 2( ) 原告製品は,本件発明の特許請求の範囲と均等なものであるか。 3 |
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争点に関する当事者の主張
1 争点( )(構成要件Aの充足性)について 1【被告の主張】( ) 被告は,大阪市立工業研究所に原告製品の破断伸び,圧縮応力に関する 1JIS規格に基づく試験測定を,共和ゴム工業株式会社に見掛比重の測定をそれぞれ依頼したところ,その測定結果の数値は以下のとおりであった。 破断伸び(%) 圧縮応力(g/ ) 見掛比重aOP-434 450 372.6 0.39OP-435 200 1294.4 0.49OP-582 290 1019.8 0.46( ) 原告は,大阪市立工業研究所の試験結果がJIS規格に適合しているか 2疑問があると主張するが,上記試験で用いた試験片は被告自ら作成したものであり,試験片には多少のばらつきはあるものの,試験結果はJIS規格に適合している。 【原告の主張】( ) 破断伸び及び圧縮応力に関して被告が提出した大阪市立工業研究所の試 1験結果報告書(乙3,4)は,いずれもその試験方法がJIS規格(JISK6251又はJISK6254)で定める範囲外の寸法の試験片を使用するなど,JIS規格に適合しておらず,その試験結果には疑問がある。 ( ) また,見掛比重に関する証拠として被告が提出した乙第7号証(共和ゴ 2ム株式会社作成の見掛け比重測定試験報告書)は,製品名の記載があるもの,。 のそれのみではいかなる試料を計測したのか不明確であり 証拠たり得ない( ) ( )のとおり,大阪市立工業研究所の試験方法には問題があり,その試験 31結果を基礎にして原告製品の物性を認定することはできないものの,仮にこの点を措くとしても,同研究所の試験結果に基づく原告製品の物性が本件発明の技術的範囲に含まれないことは明らかである。 2 争点( )(構成要件Bの充足性)について 2【被告の主張】( ) 構成要件Bの「ゴムからなる非発泡表面層」とは,押出金型成形,若し 1くは金型発泡成形の製造上できる金型壁面にてそれ以上発泡しないよう形成される表面層(ゴム業界ではスキン層という )と,発泡スポンジの周囲に 。 薄くゴム素材を塗布した場合にできる表面層のことである。成形金型で発泡成形すると金型の壁面に発泡ゴムが当たり,壁面でそれ以上発泡しないよう成形され,発泡が抑えつぶされるために,必ず非発泡(泡の状態でない)の一体化した表皮ができる。その製造過程で非発泡表面層や未発泡スキン層ができることは発泡成形では当たり前の技術であり,原告製品も,ゴムに発泡剤を混ぜて一体化された表皮(非発泡表面層)を持つゴムのみからなる発泡体である。また,この表面層があるので,タイヤの内周面との摩擦による発泡体の摩耗を防ぐことができるのである。 ( ) 本件発明の効果において重要なことは,タイヤが回り出すと内装材も同 2じく回り出し遠心力で内装材が拡張しタイヤの内周面に積層一体化(密着), , し タイヤの内側から路面に対しタイヤを押さえつけて接地圧を高めるからグリップ力が向上し,またグリップ力が向上することによってタイヤが滑りにくくなるからタイヤの摩耗も減少できることである。原告製品は,非発泡表面層を有していることによって,タイヤ内周面との摩擦による発泡体の摩耗を防止することができるのであって,本件発明と同様の効果を達成している。 ( ) 原告は,原告製品はいずれも一層のゴム発泡体からなる帯状環状体のラ 3ジオコントロールカータイヤ用内装材であると主張するが,ただのゴム発泡体というのは大小,たくさんの泡が表面に存在してでこぼこになっているものをいう。原告製品に非発泡表面層(スキン層)があることは上記( )のと1おりである。 ( ) 以上のとおり,原告製品は,本件発明の構成要件Bを充足する。 4【原告の主張】( ) 構成要件Bの「ゴムからなる非発泡表面層」には,ゴム発泡体は含まれ 1ない。ゴム発泡体とゴムからなる非発泡表面層が異なる素材であることは,次のことから明らかである。 ア 本件発明の特徴は,構成要件A記載の物性を有するゴム発泡体からなる帯状環状体(以下「帯状環状体」という )の表面に,ゴムからなる非発 。 泡表面層が一体化されている点にある。 イ 「ゴムからなる非発泡表面層」については,本件明細書(平成16年8月24日付け手続補正書による補正後の明細書。以下同じ )中に実施例。 の記載以外に具体的な説明はないが,本件明細書には「実施例1」として「ポリクロロプレンゴムを発泡成形して,表1に示す特性を有するポリクロロプレンゴム発泡体からなる帯状環状体(幅22o,厚さ5o,外径60o)を得,この表面に厚さ0.3oの非発泡クロロプレンゴムを一体化して,内装材を得た ( 0030 )とあるように,物性が開示されて 。」【 】いない非発泡クロロプレンゴムが帯状環状体と一体化されて用いられている。 ウ 「ゴム発泡体」なる語は 「発泡ゴム」と同義であると解せられるが, ,これは「固形ゴム配合物から作られた独立気泡の発泡ゴム」とされ,ここで「配合物」とは「単一又は複数のゴムと,最終製品として必要なすべての配合剤をよく混ぜた混合物」をいい 「独立気泡」とは「他の気泡とつ ,,」。, ながらず 全体をそれ自体の壁で囲まれている気泡 をいう したがってゴム発泡体は,独立気泡を有する,配合剤を混合したゴムということになる。原告製品は,ゴムを発泡成形して製造するため,その表面及び内部に多数の独立気泡を有している。これに対して「非発泡」については技術用語としての定義はないが,上記の用語からすると独立気泡を有しないという意味であって 「非発泡表面層」は独立気泡を有しない表面層というこ ,とになる。これは,独立気泡の有無によってゴム発泡体と明らかに区別される素材である。 エ 「一体化」については,本件明細書によれば 「その一体化の方法とし ,ては,特に限定されるものではないが,ポリウレタンゴム系接着剤,ブチルゴム系接着剤,シリコーンゴム系接着剤,クロロプレンゴム系接着剤等の合成ゴム系接着剤等による接着が挙げられる 」とされている( 00 。【27 。】)また 「一体」とは 「@一つのからだ。同一体。A一つになって分け ,,られない関係にあること。同類。B(以下省略 」の意味を持ち,本件明 )細書中の意味はAと考えられる 「化」とは 「@形や性質がかわること。 。,かえること。A(以下略 」の意味を持ち,本件明細書中の意味は@と考 )えられるので,本件明細書中の「一体化」とは 「一つになって分けられ ,ない状態にかえること」を意味することになるが,それは,帯状環状体と「ゴムからなる非発泡表面層」がもともとは別々のものであることが前提であり,本件明細書中の記載から接着などの方法によって一体化されることが開示されている。 オ さらに,本件明細書中の「前記帯状環状体の表面に,ゴムからなる非発泡表面層が一体化されていることによりタイヤ内周面(2a)との摩擦による発泡体の摩耗を防止することができる ( 0020 )との記載, 。」【 】及び 「更に,帯状環状体の表面に,ゴムからなる非発泡表面層が一体化 ,されているから,タイヤ内周面との摩擦による発泡体の摩耗を防止することができる ( 0043 )との記載から明らかなように 「ゴムからな 。」【 】 ,る非発泡表面層」は,帯状環状体の表面に接着するなどによって帯状環状体と一体化し帯状環状体の摩耗を防止するためのものである。 カ したがって 「ゴムからなる非発泡表面層」は,帯状環状体(ゴム発泡 ,体)と異なる独立気泡を有しないゴムからなる表面層であって,帯状環状体の表面に接着するなどの方法によって帯状環状体と一体にしたものであることが明らかである。 ( ) また,以下の出願経過からもゴム発泡体とゴムからなる非発泡表面層が 2異なる素材であることが明らかである。 ア 本件発明の特許願書添付の明細書(以下「当初明細書」という )によ。 れば,被告は,出願当初の特許請求の範囲の請求項1及び2に,ゴム発泡体のみから構成される帯状環状体の自動車タイヤ用内装材をクレームしていた。 ,, イ 被告は 上記請求項1及び2には進歩性がないとの拒絶理由通知に対し平成16年8月24日付け意見書において,同請求項1で開示したゴム発泡体のみからなる自動車タイヤ用内装材が公知技術であることを認め,ゴムからなる非発泡表面層を帯状環状体の表面に一体化する構成と,同請求項2の破断伸び率の物性の構成を追加して限定した。 ウ 以上の出願経過によれば 「ゴム発泡体が帯状環状体に形成されてなる ,自動車タイヤ用内装材」は公知技術であって,本件発明の技術的範囲に含まれないことは明らかであり,さらに,自動車タイヤ用内装材の素材となるゴム発泡体が一定の比重,圧縮応力及び伸び率で表される物性を有する,。 ことも進歩性がない技術であってそれのみでは特許の対象にはならない本件発明は,ゴム発泡体からなる帯状環状体の表面に「ゴムからなる非発泡表面層」を一体化する構成を採用することによって特許性を付与されたものである。 ( ) 原告製品は,いずれも「一層のゴム発泡体からなる帯状環状体」のみか 3ら構成されており,構成要件Bを充足せず,本件発明の技術的範囲に属しない。 3 争点( )(均等侵害の成否)について 3【被告の主張】( ) 原告製品には構成要件A記載の数値を超えているものもあるが,それら 1は決定的数値ではなくばらつきの中の平均値である。また,原告製品は,本件発明の特許出願後公開されてから,僅かながら構成要件A記載の数値の範囲を意識的に外して製造されている。本件発明は,タイヤのグリップ力を上げるために製造された商品であり,上記数値の範囲を超えるとしても,その数値は本件発明の本質的部分ではなく,特許発明の目的を達成する一定の要件を十分満たしているから,均等侵害が成立する。 ( ) 仮に,構成要件Bの「ゴムからなる非発泡表面層」にスキン層が含まれ 2ないとしても,原告製品は本件発明と同一の作用効果を奏するものであり,スキン層を非発泡表面層と解するか否かは言葉の問題であって,本件発明の本質的部分ではなく,原告製品のような構成にすることは,当該発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という )が。 容易に推考することが可能であった。したがって,原告製品は,本件発明の構成要件Bと均等である。 【原告の主張】( ) 被告の主張は争う。 1( ) 被告の均等論の主張は独自の理論によるものであり,本件特許権の出願 2経過から明らかなように 「非発泡表面層」の存在は本件発明の本質的部分 ,であるから 「非発泡表面層」を有しない原告製品が本件発明の構成要件B ,と均等となることはない。 |
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争点に対する判断
1 争点( )(構成要件Aの充足性)について 1原告は,被告が提出した各試験報告書(乙3,4,7)がJIS規格に適合するものではないと主張する。しかし,その点をひとまず措くとしても,被告の主張自体からも明らかなとおり,OP-434は,破断伸びの点において本件発明の構成要件Aを充足せず,OP-435及びOP-582は,圧縮応力の点で同様に構成要件Aを充足しないことは明らかである。そして,他に,原告製品が本件発明の構成要件Aを充足すると認めるに足りる証拠はない。 2 争点(2)(構成要件Bの充足性)について以上のとおり,原告製品は構成要件Aを充足しないが,被告が均等による侵害をも主張していることにかんがみ,原告製品が本件発明の構成要件Bを充足するか否かについても判断しておく。 ( ) 構成要件Bにいう「ゴムからなる非発泡表面層」については,発泡スポ 1ンジの周囲に薄く非発泡体であるゴム素材を塗布した場合にできる表面層がそれに当たることは明らかであるが,被告は,さらに,ゴム発泡体を成形する際に金型の壁面において気泡が押しつぶされるためにゴム発泡体内部と比較して,ゴム発泡体表面の気泡が目立たなくなっている表面層(以下,被告の用例に従って「スキン層」ともいう )も 「ゴムからなる非発泡表面層」 。,に含まれると主張し,原告はこれを争っている。 特許発明の技術的範囲は,願書に添付した明細書の特許請求の範囲の記載に基づいて定めなければならない(平成14年法律第24号による改正前の特許法70条1項)ところ,本件発明の構成要件Bは 「 ゴム発泡体から ,(), 」 なる 帯状環状体の表面に ゴムからなる非発泡表面層が一体化されてなる,「」「 」 であり そこでいう 一体 が 一つになって分けられない関係にあること(甲7。広辞苑第4版 「化」が「形や性質がかわること。かえること 」 ),。 (同)を意味することによれば,上記にいう「一体化」とは,2つの異なる素材が合わさって1つになったことを意味し,そうすると「ゴム発泡体からなる帯状環状体」と「ゴムからなる非発泡表面層」とはもともと別のものであると理解することが自然であるといえる。しかし 「ゴムからなる非発泡 ,表面層」が,被告のいうところのスキン層を含むか否かは,上記文言自体からは必ずしも明確ではない。 そこで,以下,本件明細書の記載を参酌して,構成要件Bの意義を解釈する。 ( ) 構成要件Bの意義について 2ア 本件明細書の記載本件明細書の「発明の詳細な説明」には 「 0030】<実施例1> ,【ポリクロロプレンゴムを発泡成形して,表1に示す特性を有するポリクロロプレンゴム発泡体からなる帯状環状体(幅22o,厚さ5o,外径60o)を得,この表面に厚さ0.3oの非発泡クロロプレンゴムを一体化して,内装材を得た 「 0032】<実施例2>ポリウレタン樹脂を発 。」,【泡成形して,表1に示す特性を有するポリウレタン樹脂発泡体からなる帯状環状体(幅22o,厚さ5o,外径60o)を得,この表面に厚さ0.3oの非発泡クロロプレンゴムを一体化して,内装材を得た 「 00。」,【33】<比較例1>ポリウレタン樹脂を発泡形成して,表1に示す特性を有するポリウレタン樹脂発泡体からなる内装材(幅22o,厚さ5o,外径60o を得た 従来より一般に使用されている内装材である 0 )( 。)。」,「【029】<比較例4,比較例2〜3>天然ゴムを発泡成形して,表1に表す特性を有する天然ゴム発泡体からなる内装材(幅22o,厚さ5o,外径60oの帯状環状体)を得た」との記載がある。。 このように,本件明細書には,本件発明の実施例としては,ポリクロロプレンゴム又はポリウレタン樹脂の各発泡体からなる帯状環状体の表面に,厚さ0.3oの非発泡のクロロプレンゴムを一体化したもののみが開示されているのに対し,比較例としては,ポリウレタン樹脂又は天然ゴムの各発泡体からなる内装材が開示されているにすぎないことが明らかである。 イ 出願経過証拠(甲1,2,8の1ないし7,9の1ないし5)によれば,以下の事実が認められる。 (ア) 当初明細書の記載被告は,平成8年10月29日,本件発明につき特許出願をした(以下「本件特許出願」という 。その願書に添付した当初明細書(甲8 。)の2 )の特許請求の範囲は,以下のとおりであった。 。 「 請求項1】見掛比重が0.20〜0.50,25%歪み時の圧縮 【応力が20〜1000g/ の特性を有するゴム発泡体からなり,帯 a。」 状環状体に形成されてなることを特徴とする自動車タイヤ用内装材「 請求項2】ゴム発泡体の破断伸びが150〜400%である請求 【項1に記載の自動車タイヤ用内装材 」。 「 請求項3】ゴム発泡体が天然ゴム発泡体である請求項1または2 【に記載の自動車タイヤ用内装材 」。 「 請求項4】見掛比重が0.20〜0.50,25%歪み時の圧縮 【応力が20〜1000g/ の特性を有する合成樹脂発泡体からな aり,帯状環状体に形成されてなることを特徴とする自動車タイヤ用内装材 」。 「 請求項5】合成樹脂発泡体の破断伸びが150〜400%である 【請求項4に記載の自動車タイヤ用内装材 」。 「 請求項6】前記帯状環状体の表面に,ゴムからなる非発泡表面層 【が一体化されてなる請求項1〜5のいずれか1項に記載の自動車タイヤ用内装材 」。 「 請求項7】請求項1〜5のいずれか1項に記載の自動車タイヤ用 【内装材がタイヤ内周面に積層一体化されていることを特徴とする自動車タイヤ 」。 さらに,当初明細書の「発明の詳細な説明」の欄には,以下の各記載がある。 a 請求項1の「ゴム発泡体」についての記載「 0016】上記ゴム発泡体としては,特に限定されるものではな 【いが,天然ゴム,ブタジエンスチレンゴム,ブタジエンアクリロニトリルゴム,ポリクロロプレンゴム,イソブチレンイソプレンゴム等が挙げられ,中でも天然ゴムが好適に用いられる 」。 「 0022】この発明の自動車タイヤ用内装材(1)は,上記特性 【を有する発泡体が帯状環状体に形成されてなるものである。前記環状形状は,円形であることが好ましいが,特に円形形状に限定されるものではなく,例えば,楕円形状であっても良い 」。 「 0023】前記帯状環状体の表面には,ゴムからなる非発泡表面 【層が一体化されていることが好ましく,これによりタイヤ内周面(2a)との摩擦による発泡体の摩耗を防ぐことができる 」。 b 請求項6についての記載「 0014】請求項6の発明は,上記請求項1〜5のいずれかの自 【動車タイヤ用内装材において,帯状環状体の表面に,ゴムからなる非発泡表面層が一体化されてなる構成を採用したものである 」。 c 実施例1,3,4及び6についての記載「 0032】<実施例1,2,比較例2〜3>天然ゴムを発泡成形 【して,表1に表す特性を有する天然ゴム発泡体からなる内装材(幅22o,厚さ5o,外径60oの帯状環状体)を得た 」。 「 0033】<実施例3>ポリクロロプレンゴムを発泡成形して, 【表1に示す特性を有するポリクロロプレンゴム発泡体からなる,実施例1と同形状の帯状環状体を得,この表面に厚さ0.3oの非発泡クロロプレンゴムを一体化して,内装材を得た 」。 「 0034】<実施例4,5>ポリスチレン樹脂を発泡成形して, 【表1に示す特性を有するポリスチレン樹脂発泡体からなる,実施例1と同形状の内装材を得た 」。 「 0035】<実施例6>ポリウレタン樹脂を発泡成形して,表1 【に示す特性を有するポリウレタン樹脂発泡体からなる,実施例1と同形状の帯状環状体を得,この表面に厚さ0.3oの非発泡クロロプレンゴムを一体化して,内装材を得た 」。 (イ) 拒絶理由通知,, ( ) , 特許庁審査官は 被告に対し 平成16年7月13日 通知書発送日本件特許出願について,拒絶理由を通知した。 拒絶理由は,当初明細書の請求項1ないし4及び7の各発明は,各引用文献に記載された発明に基づいて,当業者が容易になし得た発明であるから,特許法29条2項に該当するというものであった。このうち請求項1,2について,その備考も含めた理由の記載は概ね以下のとおりである。 a請求項1(a) 引用文献後記cの@ないしC(以下「引用文献1」ないし「引用文献4」という )。 (b) 備考引用文献1ないし3のそれぞれには,ゴム発泡体を帯状環状体に,, 形成した自動車タイヤ用内装材が開示されており 引用文献1には所定の比重とすることが,引用文献3には,所定の圧縮応力にすることが,それぞれ開示されている。また,弾性を付与するために内,, , 装されるゴム発泡体として 所定の比重 圧縮応力を有するものは引用文献4(特に 【0013】参照 )にも開示されている。 ,。 b請求項2(a) 引用文献引用文献1ないし引用文献4(b) 備考また,引用文献4には,ゴム発泡体の伸び率を所定の値とすることも開示されている。 c 引用文献の記載内容@ 特開平08-132817号公報(引用文献1)独立気泡を有する発泡弾性体からなるパンクレスチューブの構成が記載されている。 A 特開平06-127207号公報(引用文献2)独立気泡を有する棒状又はドーナツ状体からなる発泡弾性体をトロイド状タイヤと使用リムとの組立体の内腔に圧縮裏に封入して成る構成を備えたタイヤ・リム組立体の構成が記載されている。 B 特開昭61-001504号公報(引用文献3)チューブレスタイヤのタイヤ空洞を充満する安全支持体に天然ゴム及びそれらの結合物等を硬化したものを用いることが記載されている。 C 特開平07-124458号公報(引用文献4)肥料などの粉粒体を造粒するために用いる回転造粒装置の内側にゴムシートを固設する構成が記載されており,そのゴムシートの物性値については,伸び率180%以上,25%圧縮応力400〜800gf/ ,比重0.2〜0.5のものが好ましく,発泡ゴムは a望ましいものの1つであり,例えば,通常パッキング材として市販されているクロロプレンゴム発泡体が利用できることが記載されている。 さらに,その他の引用文献として,次の文献が他の請求項との関係で指摘されている。 D 特開昭58-093602号公報(引用文献5)ポリウレタン弾性体(好ましくは発泡体)からなるトロイド状支持部材と,ゴム組成物からなる外皮部とからなる軽車両用安全タイヤ,特に自動二輪車,全路走行車用安全タイヤに好適な安全タイヤについて,トロイド状支持部材の発泡体も含むポリウレタン弾性体を金型を用いて成形する技術が開示されている。 (ウ) 拒絶理由通知に対する意見書の記載及び当初明細書の補正内容被告は,上記拒絶理由通知を受け,平成16年8月24日,手続補正書及び意見書を特許庁審査官に提出した。 被告は,上記手続補正書によって,本件明細書記載のとおりに明細書を補正し,当初明細書における実施例1を比較例4に,同じく当初明細書における実施例4を比較例5に補正するとともに,実施例3を実施例1に,実施例6を実施例2とし,他の実施例2,5,7,8についての記載を削除する補正をした。 被告の上記意見書の「( )補正事項について」に,特許請求の範囲の 2補正は,原請求項1に原請求項2及び原請求項6の構成を追加限定して新請求項1とし,また原請求項2を削除し,これに伴い原請求項3を新,, 請求項2に繰り上げたものであるとし 発明の詳細な説明の欄の補正は特許請求の範囲の記載と整合せしめるべく行ったものであり,実施例については,出願当初の「実施例1」を「比較例4」に,出願当初の「実」「 」, 「 」「 」, 施例3 を 実施例1 に 出願当初の 実施例4 を 比較例5 に出願当初の「実施例6」を「実施例2」にそれぞれ補正するとともに,出願当初の「実施例2 「実施例5 「実施例7 「実施例8」を削除し 」」」たとの記載がある。また 「( )引用文献との対比」に,引用文献1な ,4いし3にゴム発泡体が帯状環状体に形成されてなる自動車タイヤ用内装材が記載されていることは認める,しかし,引用文献1ないし5のいずれにも「ゴム発泡体からなる帯状環状体の表面にゴムからなる非発泡表面層を一体化した構成」は記載されていないし,このような構成を採用することによって「タイヤ内周面との摩擦による発泡体の摩耗を防止できる」という格別な効果が得られることは何ら記載も示唆もない,したがって,上記各引用文献を組み合わせても,補正後の請求項1項の発明(本件発明)を容易に想到することはできない旨の記載がある。 (エ) 特許査定及び登録本件発明は,平成16年10月1日に特許査定され,平成16年11月12日に登録された。 ( ) 本件明細書に上記( )アの記載があること及び同イ認定の出願経過によれ 32ば,被告は,上記意見書において,ゴム発泡体のみが帯状環状体に形成されてなる自動車タイヤ用内装材は,引用文献1ないし3に記載されていることは認めながら,引用文献1ないし5記載の公知技術のいずれとも技術思想を異にする当初明細書の請求項6の発明の構成,すなわち 「請求項6の発明,は,上記請求項1〜5のいずれかの自動車タイヤ用内装材において,帯状環状体の表面に,ゴムからなる非発泡表面層が一体化されてなる構成 (当初」明細書【0014 )を当初明細書の請求項1に追加限定して,本件発明と 】したものである(ただし,当初明細書の請求項2の構成も請求項1に追加限定している 。また,被告は,補正後の請求項に整合させるために,当初 。)明細書では実施例1としていた単一素材である天然ゴム発泡体からなる内装材,同じく実施例4としていた単一素材であるポリスチレン樹脂を発泡形成した発泡体からなる内装材を,いずれも本件発明の実施例から除外してこれ,,, らを比較例とし 補正後の本件発明の実施例としては 上記( )アのとおり2ポリクロロプレンゴム発泡体ないしポリウレタン樹脂発泡体からなる帯状環状体の表面に厚さ0.3oの非発泡クロロプレンゴムを一体化した内装材のみとしたものである(本件明細書【0030】の実施例1,同【0032】の実施例2 。)これらによれば,被告が,当初明細書の請求項1について,当初明細書の請求項6(その内容は,本件発明の構成要件Bと同じである )による限定。 を加えたのは,ゴム発泡体のみを形成してなる帯状環状体から構成される内装材は引用文献1ないし4記載の各公知技術から容易に想到し得るとの拒絶理由を回避するために,このような構成を除外することを目的としていたことが明らかである。そして,この補正及び意見書の記載により,本件発明が特許として成立したことが認められる。 そして,被告が当初明細書で実施例1としていた内装材を比較例4に補正したことは,そのような構成の内装材(天然ゴムを発泡成形した天然ゴム発泡体からなる内装材)を本件発明の技術的範囲から除外したものにほかならないところ,本件明細書上,その除外された内装材が「スキン層」と称する表面層を有しないものに限定されたものであり,いわゆる「スキン層」を有する天然ゴム発泡体を本件発明の技術的範囲から除外しなかったことを認めるべき記載ないし示唆はない。したがって,ゴム発泡体のみからなる内装材は,それが「スキン層」と称する表面層を有するか否かにかかわらず,すべて本件発明の技術的範囲から除外されたものというほかない。 ちなみに,引用文献5には,金型内でポリウレタンの発泡体を製造することが記載されているところ(第2頁右上欄から左下欄 ,ゴムを金型内で発)泡させ,結果として被告のいうスキン層ができることが本件発明の出願前に公知の発泡成形技術であったことは被告自身の主張するところである(原告第一準備書面に対する被告提出書面2頁 。そうすると,被告が,上記補正 )により除外したゴム発泡体のみからなる内装材から,被告のいうスキン層ができるものをことさら除外しなかったと解することはできない。 以上の出願経過によれば,被告は,本件発明のゴム発泡体のみからなる帯状環状体からなる内装材を,スキン層に該当する表面層のあるものも含め,。, 意識的に本件発明の技術的範囲から除外したものと認められる したがって少なくとも構成要件Bの「ゴムからなる非発泡表面層」には,帯状環状体をなすゴム発泡体を成形する際に,金型の壁面において気泡が押しつぶされるためにゴム発泡体内部と比較して,ゴム発泡体表面の気泡が目立たなくなる状態にある表面部分(スキン層)を含まないものというべきである。 (4) 以上の認定判断に基づき,原告製品の構成を本件発明と対比すると,証拠(甲5の1ないし3)によれば,原告製品はいずれも一層のゴム発泡体からなる帯状環状体のみで構成された自動車タイヤ用内装材であり,その表面部分は,気泡が成形時に金型に接触することによって押しつぶされたために気泡が目立たない状態にあることが認められる。 したがって,原告製品は,いずれも本件発明の構成要件Bを充足しない。 3 争点( )(均等侵害の成否)について 3( ) 以上のとおり,原告製品は,本件発明の構成要件A及びBを充足しない 1ところ,被告は,原告製品について均等侵害を主張する。特許請求の範囲に記載された構成中に他人が製造等をする製品と異なる部分が存する場合であっても,@上記部分が特許発明の本質的部分ではなく,A上記部分を対象製品等におけるものと置き換えても,特許発明の目的を達することができ,同一の作用効果を奏するものであって,Bこのように置き換えることに,当業者が,対象製品等の製造時の時点において容易に想到することができたものであり,C対象製品等が,特許発明の特許出願時における公知技術と同一又は当業者がこれから上記出願時に容易に推考できたものではなく,かつ,D対象製品等が特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に,, 除外されたものに当たるなどの特段の事情もないときは 上記対象製品等は特許請求の範囲に記載された構成と均等なものとして,特許発明の技術的範囲に属すると解すべきである(最高裁平成10年2月24日第三小法廷判決・民集52巻1号113頁 。)( ) 上記均等の第1要件における特許発明の本質的部分とは,特許請求の範 2囲に記載された特許発明の構成のうち,特許発明特有の課題解決のための手段を基礎付ける技術的思想の中核的,特徴的部分をいうものと解される。 ア そこで,本件発明における特許発明の本質的部分がどこにあるのかを検討するに,本件明細書には 「この発明は,…自動車タイヤのグリップ力 ,及び直進安定性を向上させうる内装材およびグリップ力及び直進安定性に優れた自動車タイヤを提供することを目的とする ( 0007 「 課 。」【 】),【題を解決するための手段】上記目的を達成するために,本発明者は鋭意研究の結果,帯状環状体に形成された,特定の物性を有するゴム発泡体または合成樹脂発泡体を自動車タイヤに内装することにより,グリップ力及び直進安定性を向上しうることを見出すに至り,本発明を完成したものである ( 0008 )との記載があり,本件発明の解決しようとする課題 。」【 】の解決手段として,ゴム発泡体が特定の物性を持つことに特徴があること,,「, を明記した上で その物性に関しては本件明細書に この発明において前記発泡体は,見掛比重が0.20〜0.50,25%歪み時の圧縮応力が20〜1000g/ の特性を有する必要がある。上記2特性の内,1 aつでも上記範囲を逸脱すると,この発明の効果が達成されない ( 00。」【15 「前記発泡体の破断伸びは150〜400%である必要がある。 】),150%未満あるいは400%を超えるとグリップ力向上の効果が十分に得られない ( 0017 )と記載されている。 。」【 】また,本件明細書には 「前記帯状環状体の表面に,ゴムからなる非発 ,泡表面層が一体化されていることによりタイヤ内周面(2a)との摩擦による発泡体の摩耗を防止することができる ( 0020 )との記載が 。」【 】ある上,出願経過を参酌しても,前記2( )( )において認定説示したとお 23り,原告は,当初明細書の請求項1ないし4にゴム発泡体のみを帯状環状体に形成されてなる自動車タイヤ用内装材を記載していたところ,かかる構成が引用文献1ないし3に記載されていること等を理由に拒絶理由通知を受けたため,平成16年8月24日付けの意見書において「引用文献1〜5のいずれにも 『ゴム発泡体からなる帯状環状体の表面にゴムからな ,る非発泡表面層を一体化した構成』は記載されていないし,このような構成を採用することによって『タイヤ内周面との摩擦による発泡体の摩耗を防止できる』という格別な効果が得られることは何ら記載も示唆すらもない」と主張し,これに沿った補正をし,それが容れられて本件特許の特許。, ( ),「, 査定がなされたものである また 当初明細書 甲8の2 には また帯状環状体の表面に,ゴムからなる非発泡表面層が一体化されてなる場合には,タイヤ内周面との摩擦による発泡体の摩耗を防止することができる (当初明細書【0050 )と,ゴムからなる非発泡表面層を帯状環 。」】状体の表面に一体化したことにより特有の効果を奏する旨の記載がある。 イ 上記のとおり,本件明細書には,本件発明は,自動車タイヤに内装するゴム発泡体に,特許請求の範囲に記載された範囲内の数値に限定された特定の物性を有するものを使用することにより,グリップ力及び直進安定性を向上させる効果を奏することが強調されており,この数値範囲を逸脱するとグリップ向上の効果等の発明の効果が十分に得られないとの記載がある。また,帯状環状体の表面にゴムからなる非発泡表面層が一体化されてなるという点に関しても,本件明細書に上記記載があるほか,本件発明の上記出願経過を総合すると,被告は,当初明細書においてはゴム発泡体のみを帯状環状体に形成されてなる自動車タイヤ用内装材を記載していたところ,引用文献1ないし5を示されて拒絶理由通知を受けたため,上記各引用文献には帯状環状体の表面にゴムからなる非発泡表面層が一体化した構成は記載されておらず,そのような構成を採用することによってタイヤ内周面との摩擦による発泡体の摩耗を防止できるという格別な効果が得られるなどと主張し,その旨補正した上で特許査定を受けたものである。 ウ そうすると,自動車タイヤ用内装材について,特許請求の範囲に記載された範囲内の数値に限定された特定の物性を有するゴム発泡体を使用するとともに,帯状環状体の表面にゴムからなる非発泡表面層を一体化させる構成を採用したことは,いずれも本件発明特有の課題解決の手段を基礎付ける技術的思想の中核的,特徴的な部分すなわち本件発明の本質的部分であると認めるのが相当である。 ( ) これに対し,原告製品は,@OP-434については破断伸び,OP- 3435,OP-582については圧縮応力においてそれぞれ本件発明と相違するとともに,Aいずれも一層のゴム発泡体からなる帯状環状体のみで構成された自動車タイヤ用内装材であって,別途,非発泡表面層を一体化したものではない点において本件発明と相違するところ,上記のとおり,各相違部分は,いずれも本件発明の本質的部分であって,上記均等の第1要件を欠くことが明らかである(ちなみに,前記出願経過にかんがみると,被告は,本件発明の構成からゴム発泡体のみからなる内装材からなる構成を それが ス,「キン層」と称する表面層を有するか否かにかかわらず,意識的に除外したものというべきであるから,上記均等の第5要件をも欠くとも解される 。。)( ) 以上の説示によれば,原告製品は,本件発明の特許請求の範囲と均等な 4ものとしてその技術的範囲に属するものということはできず,被告のこの点に関する主張は採用できない。 4 以上の次第であって,原告製品は,いずれも本件発明の技術的範囲に属しないから,原告の請求は理由がある。 よって,原告の請求を認容することとして,主文のとおり判決する。 |
裁判長裁判官 | 田中俊次 |
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裁判官 | 西理香 |
裁判官 | 西森みゆき |