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関連審決 無効2003-35348
関連ワード 協議 /  技術的思想 /  頒布された刊行物 /  進歩性(29条2項) /  容易に発明 /  周知技術 /  技術常識 /  実質的に同一 /  技術的意義 /  置き換え /  容易に想到(容易想到性) /  特許発明 /  加工 /  構成要件 /  混同 /  拒絶査定 /  請求の範囲 /  変更 / 
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事件 平成 17年 (行ケ) 10201号 審決取消請求事件
原告 天龍化学工業株式会社
訴訟代理人弁護士 中本勝
同 藤本卓司
同 緒方賢史
訴訟代理人弁理士 石井暁夫
同東野正
同西博幸 Y 被告
訴訟代理人弁理士 平山洲光
同 菊池武胤
同 中野圭二
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2006/05/30
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
主文 1 特許庁が無効2003−35348号事件について平成16年4月20日にした審決を取り消す。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
事実及び理由
当事者の求めた裁判
1原告主文と同旨2被告原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
当事者間に争いのない事実
1 特許庁における手続の経緯被告は,発明の名称を「 」とプラスチック製インジェクション容器の製法する特許第1870421号の特許(昭和58年10月31日に出願された実願昭58-169132号(以下「原出願」という )の一部を平成2年9月 。
18日に新たな実用新案出願(実願平2-97844号)とし,これを更に同以下「本 日付けで特許出願に変更した特許出願(特願平2-247929号。
)に係り,平成6年9月6日に特許登録(以下「本件特許」件出願」という。
という )されたもの )の特許権者である。 。。
原告は,平成15年8月26日,本件特許を無効にすることについて審判を請求した。
特許庁は,この請求を無効2003-35348号事件として審理し,その結果,平成16年4月20日 「本件審判の請求は,成り立たない 」との審 ,。
決をし,その謄本は,同年5月6日に原告に送達された。
2 特許請求の範囲本件特許に係る明細書の特許請求の範囲の記載は,次のとおりである。
小径のインジェクション口部3の外周に設けたネジ部4と,該インジェク 「ション口部3に絞り板部2を介して連なる直径に対して肉厚の薄い大径の容器筒体1の外周に設けた把持用凹部5とを有する容器筒体1の前記ネジ部4と把持用凹部5とを型決めする外型材と,容器筒体1内に設けた抜き勾配のない中子との間に溶融プラスチックを射出し,溶融プラスチックの固化後,容器筒体1の前記ネジ部4と把持用凹部5とを外型材で支持した状態で容器筒体1内に設けた抜き勾配のない中子を抜き取ることを特徴とするプラスチック製インジェクション容器の製法 (以下,この発明を「本件発明」とい 。」う)。
3 審決の概要( ) 別紙審決書写しのとおりである。要するに,審判手続において,原告(請 1求人)が,本件発明は,@その特許出願と同日にされた実用新案登録出願に係る実用新案登録第1975468号の考案(以下 「引用考案」という ) ,。
と同一であって,実質的に協議をすることができないから,本件特許は特許法39条4項に違反して特許されたものである(以下「無効理由A」という ,A本件発明は,いずれも本件出願の出願日(昭和58年10月31 。)日)前に頒布された刊行物である特公昭54-22354号公報(甲12。
審決における甲3 以下 刊行物1 という に記載された発明 以下 引 。「 」 。)(「用発明」という )と実公昭57-13259号公報(甲13。審決におけ 。
る甲4。以下「刊行物2」という )に記載された発明に基づいて当業者が 。
容易に発明をすることができたものであり,特許法29条2項に違反して特許されたものである(以下「無効理由B」という ,B本件発明は,引用 。)発明と本件出願の出願日(昭和58年10月31日)前に頒布された刊行物である米国特許明細書第4323177号(甲14の1。審決における甲7の1)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法29条2項に違反して特許されたものである(以下「無効理由C」という )として,無効とすべきものである旨を主張したのに対 。
して,審決は,@本件発明は,引用考案と後記相違点aないしcにおいて実,,,, 質的に相違しているから 引用考案と同一とはいえず また A本件発明は引用発明と刊行物2記載の発明から,あるいは引用発明と甲14の1記載の発明から当業者が容易に発明できたものでもないから,本件特許を無効とすることはできない,というものである。
,, ( ) 審決が 本件発明は引用考案と同一とはいえないとの判断をするに当たり 2本件発明と引用考案との相違点として認定した点は,次のとおりである。
@ 引用考案が,そのプラスチック製インジェクション容器につき,その容器筒体が同一外径であることを考案の要旨としているのに対し,本件発明は,その製法によって生産されるプラスチック製インジェクション容器について 容器筒体1が同一外径であることを要旨としていない点 以下 相 ,(「違点a」という )。
A 引用考案が,そのプラスチック製インジェクション容器につき,把持用凹部は容器筒体のインジェクション口部側に設けられることを考案の要旨としているのに対し,本件発明は,その製法によって生産されるプラスチック製インジェクション容器について,把持用凹部5は容器筒体1のインジェクション口部側に設けられることを要旨としていない点(以下「相違点b」という )。
B 本件発明は 「インジェクション口部3の外周に設けたネジ部4と容器 ,筒体1の外周に設けた把持用凹部5とを型決めする外型材と,容器筒体1内に設けた抜き勾配のない中子との間に溶融プラスチックを射出し,溶融プラスチックの固化後,容器筒体1の前記ネジ部4と把持用凹部5とを外型材で支持した状態で容器筒体1内に設けた抜き勾配のない中子を抜き取る」ことを,発明の要旨としているのに対し,引用考案はこのことを要旨としていない点(以下「相違点c」という )。
( ) 審決が,本件発明は,引用発明と刊行物2記載の発明から,あるいは引用 3発明と甲14の1記載の発明から当業者が容易に発明できたものでもないとの判断をするに当たり,引用発明の内容及び本件発明と引用発明との相違点として認定したのは,次のとおりである。
(引用発明の内容)「小径の口部1bの外周に設けたねじと,該口部1bに連なる直径に対して肉厚の薄い大径の胴部1aの,最も口部1b寄り部分の外周に設けた突出部とを,型決めする成形キャビティ11及び12を設け,該成形キャビティ11及び12と胴部1a及び口部1b内に設けたコアー14との間に溶融合成樹脂を射出し,溶融合成樹脂の固化後,前記ねじと前記突出部とを成形キャビティ11及び12で支持した状態でコアー14を抜き取り,その後,前記固化後の合成樹脂を成形キャビティ11及び12内に維持し,, た状態で 胴部1aにおける開放底部3にインサート部材5を嵌合着するマスカラやアイカラー等の細長筒状容器の製法に関する発明」(本件発明と引用発明の相違点)本件発明は,インジェクション口部3の外周に設けたネジ部4と,該インジェクション口部3に連なる容器筒体1の外周に設けた把持用凹部5とを有し,ネジ部4と把持用凹部5とを外型材で支持した状態で容器筒体1内に設けた中子を抜き取るのに対し,引用発明は,口部1b(本件発明の「インジェクション口部3」に対応)の外周に設けたねじと,該口部1bに連なる胴部1aの最も口部1b寄り部分の外周に設けた突出部とを有,(「」 し ねじと突出部とを成形キャビティ11及び12 本件発明の 外型材に対応 で支持した状態で胴部1a内に設けたコアー14 本件発明の 中 )(「子」に対応)を抜き取る点(以下「相違点d」という )。
原告主張の審決取消事由の概要
原告は,概要,次のとおり,審決は,無効理由Aに関して本件発明と引用考案との同一性の判断を誤り,無効理由B,Cに関して本件発明と引用発明との相違点(相違点d)に関する判断を誤ったものであるとし,これらの誤りはいずれも審決の結論に影響するものであるから審決は違法として取消を免れないと主張している。
取消事由1(無効理由Aについて) 1相違点a,bについての判断の誤り ()1相違点aについて検討するに,本件発明のインジェクション容器の構成要件である「直径に対して肉厚の薄い」は,インジェクション容器が従来から有している構成であって特別の技術的意義はなく,また,引用考案の特有の構成である「同一内径及び同一外径」なる構成要件も,従来からインジェクション容器が備えている構成であって特段の技術的意味はない。
すなわち,相違点aは本件発明のインジェクション容器と引用考案のインジェクション容器とを技術的に相違させるほどの違いとはいえない。
把持用凹部の位置の限定の有無に関する相違点bについては,引用考案の把持用凹部も本件発明の把持用凹部もいずれも中子抜き取り用のもので,, あり 位置の違いによって格別の効果の違いがあるとも考えられないから把持用凹部の位置の限定の有無(相違点b)は,特段の技術的意味を有しない。本件発明においては,確かに,本件明細書の特許の請求の範囲では把持用凹部の位置について限定はしていないが,中子を抜くに際しての絞り板部の破損や変形を防止するという課題を達成するためには,把持用凹部は容器筒体の外周面のうち絞り板部(インジェクション口部)に近い端部に位置していなければならないと解される。仮に,把持用凹部が容器筒体の開口部に近い部分に位置していると,中子を抜くに際して絞り板部が強く引っ張られることになり,把持用凹部を設けた意味をなさないからである。したがって,相違点bはそもそも存在しないというべきである。
そうすると,本件発明の製造対象品と引用考案との相違点はaのみであるが,相違点aが実質的な相違点でない単なる表現上の違いに過ぎないことは既に述べたとおりである。
上記のとおり,相違点a,bの存在を理由として本件発明と引用考案との同一性を否定した審決の判断は,誤りである。
相違点cについての判断の誤り()2相違点cについて,審決は,相違点a,bが実質的な相違点であるから相違点cも実質的な相違点であるとしているが,相違点a,bが実質的な。 相違点でなく単なる表現上の相違に過ぎないこといは上述した通りであるよって,相違点a,bの実質的相違を根拠にした相違点cの認定はその前提において誤っている また 相違点cについて 審決は 要すれば 外 。, , ,「,『型材と中子とを用い,これらの間に溶融プラスチックを射出し,溶融プラスチックの固化後,容器内に設けた中子を抜き取るのを,外枠材で支持した状態で行う』ことを,発明の要旨としている点で引用考案とは相違しているのであって,‥‥‥相違点cが実質的な相違点ではないということはできない」としているが,これでは相違点cの具体的な技術内容を検討して実質同一性を判断しているとはいえず,審決には判断の遺漏又は誤りがあるというべきである。
本件発明と引用考案を比較すると,本件発明も引用考案も「抜き勾配のない中子抜き取り用の把持用凹部」を特徴とするものであるが,引用考案は「中子抜き取り用の把持用凹部」を形態面からとらえて表現したのに対して,本件発明は中子抜き取り用の把持用凹部を用途の面から表現したにすぎず,発明及び考案の本質は同一である。確かに,引用考案に相違点cの構成は明文で記載されていない。しかし,相違点cのうち 「把持用凹部,を外型材で支持した状態で容器筒体1内に設けた抜き勾配のない」を除いた「インジェクション口部3の外周に設けたネジ部4と容器筒体1の外周に設けた把持用凹部とを型決めする外枠材と,容器筒体1内に設けた抜き勾配のない中子との間に溶融プラスチックを射出し,溶融プラスチックの固化後,容器筒体1の前記ネジ部を外型材で支持した状態で中子を抜き取る」という構成は射出成形法の常法であって本件発明の特徴とはいえず,本件発明の構成の特徴は 「把持用凹部を外型材で支持した状態で抜き勾配 ,のない中子を抜き取る」という点にある。他方,引用考案は 「射出成形加,工されたプラスチック製インジェクション容器」であって,射出成形法によって製造されることを前提にした考案であり,把持用凹部は射出成形加工に際して「中子抜き取り用」として機能するものであるが,射出成形加工において中子を抜き取るためにはインジェクション容器は外型材で支持されてなければならない。したがって,引用考案が「把持用凹部を外型材で支持した状態で中子を抜き取る」という射出成形法で製造されることを前提としていることは,明らかである。また,引用考案では「抜き勾配のない中子」の文言はないが 「同一内径」の容器筒体を得るには必然的に中 ,子は抜き勾配のないものになるから,引用考案の「中子」が「抜き勾配のない中子」であることは明らかである。
()小括3上記のとおり,本件発明と引用考案との相違点a乃至cは単なる表現上の相違であって実質的な相違点とはいえず,両者は技術的思想において共通しているから,本件発明と引用考案とは実質的に同一である。しかるに両者を同一でないと判断した審決には,結論に影響する重大な判断の誤りがあり,違法として取り消されるべきである。
取消事由2(無効理由Bについて-相違点dについての判断の誤り)2審決は,本件発明と引用発明を対比し,引用発明の「口部1b 「成形キ ()1 」ャビティ11及び12 「コアー14」がそれぞれ本件発明の「インジェク 」ション口部3 「外型材 「中子」に相当することを認めつつ,相違点dと 」」して 「本件発明は,インジェクション口部3の外周に設けたネジ部4と, ,該インジェクション口部3に連なる容器筒体1の外周に設けた把持用凹部5とを有し,ネジ部4と把持用凹部5とを外型材で支持した状態で容器筒体内に設けた中子を抜き取るのに対し,引用発明は,口部1bの外周に設けたねじと,該口部に連なる胴部1aの最も口部1b寄り部分の外周に設けた突出部とを有し,ねじと突出部とをキャビティ11及び12で支持した状態で胴部1a内に設けたコアー14を抜き取る点」を挙げている。そして,審決は,引用発明における胴部1aのうち口部1b寄りの端部に形成されている突出部について,突出部の技術的意味を具体的に述べた記載は見当たらないが,第6図等を根拠に,キャップ9を支持するためのものと理解するのが当然と認定している。
また,刊行物2については,審決は,環溝13がステンシル印刷機用インキタンクを射出成形工具から引き出す際に使用されるものであることを認定しつつ,引用発明における突出部はキャップ9を支持するためのものであるのに対し,刊行物2に記載された環溝13は上記したように使用さ,, れるものであって 上記突出部を環溝13に置き換える理由は見当たらずしかも,置き換えた場合,突出部が有していたキャップ9を支持するという機能を果たせなくなるから,この置き換え容易に想到できるとはいえ,, 。 ず 結局 相違点dが容易に想到し得るとはいえない旨の判断をしている審決の上記判断について検討するに,刊行物1の容器において,胴部1aの外径と口部1bの最大外径(ねじの外径)とには大きな寸法差が存在していて,胴部1aと口部1bとの間には段差(本件発明の絞り板部に相), , 当する があり キャップ9はこの段差面に当たることも可能であるから突出部がキャップ9を支持するためのものであるとの審決の認定は認め難い。マスカラ容器のような化粧品用容器では,胴部1aとキャップ9とは同一外径とするのが美観の面から一般的であると解されるから,刊行物1の突出部は,キャップ9の支持のためではなく,成形の便宜のために設けていると解するのが妥当である。
(() 原出願 に対する拒絶査定謄本 甲15実願昭58-169132号),( ), の備考欄に記載された審査官の認定や 本件明細書 3欄4行〜7行 に刊行物1について「容器本体の外周にフランジを突設することによって,射出成形加工時に,外型材で容器筒体の外周を支持し,抜き勾配のない中子を抜き取る手段が示されている」と明記されていることが,このことを裏付けている。いずれにしても,刊行物1の「突出部」がキャップ9の支持のためのものであるとする審決の認定は不自然である。
また,突出部がキャップ9を支持する機能を備えていたとしても,胴部1aのうち口部に近い端部に突出部が存在することにより,コア14を抜くに際して突出部がキャビティ(外型材)12の端部で支持されて口部1bに抵抗が作用することを防止していることは明らかである。すなわち,仮に審決が認定するように突出部がキャップ9を支持する役割を備えていたとしても,成形方法の観点から見ると,刊行物1の突出部が中子を抜くに際して容器筒体を支持する機能を備えており,この突出部の存在の故コア14を抜き勾配のないものとすることが可能になることは間違いないのである。
他方,刊行物2(4欄14行〜20行)には 「インキタンク1の端の環 ,溝13内にインキタンクの製造の際にインキタンク1を射出成形工具から引出すためのクランプジョウが係入する。驚くべきことに,この種の公知の射出成形法によってインキタンク1の内壁のテーパーを,追従ピストン5の完璧な機能が保証される程度に小さく保持できる 」の記載があるが,。
刊行物2記載の「この種の公知の射出成形法」とは,刊行物1記載の射出成形法にほかならなず,刊行物2記載のクランプジョウが本件発明の「外型材」に相当することは当業者にとって明らかである。
したがって,刊行物2には 「外型材で環溝13及び口部11を支持した ,状態で,抜き勾配が非常に小さい中子を抜く」という方法が記載されているといえる。
そして,刊行物1の突出部は必ずしもキャップ9を支持するためのものとはいえないか,仮にキャップ9の支持機能を持っていたとしても,原出願( 担当審査官が認定し,かつ,出願人実願昭58-169132号)のが自認するように,突出部(フランジ)は外型材が支持することによって抜き勾配のない中子を抜き取ることを可能ならしめる機能を備えていることに間違いはないのであるから,当業者が,刊行物1の「突出部(フランジ 」を刊行物2の「環溝13」に置き換えることには,何らの困難もない )のである。
よって,本件発明は引用発明と刊行物2とに記載された発明に基づいて当業者が容易に想到できたものであり,この判断を誤った審決は法の適用を誤った違法がある。
引用発明と刊行物2記載の発明との組合わせを別の観点から検討( ) 次に,2する。
刊行物2には,@「外型材」と「中子」とを使用したインキタンクの射出成型方法,A製品の外周に形成した環溝13を外型材で支持した状態で,,, 中子を抜き取ること が実質的に記載されているということができ またB環溝13が本件発明の「把持用凹部」に相当すること,C刊行物2のインキタンクの胴部(容器筒体)が「直径に対して肉厚の薄い」ものであることも明らかである。
,「」 さらに 刊行物2のインキタンクが口部と容器筒体とを繋ぐ 絞り板部を備えていることも明らかである。刊行物2のインキタンクは追従ピストンによってインキを口部から吐出させるものであり,本件発明の対象品と同様のインジェクション容器の範疇に入ることも明らかである。
したがって,刊行物2と本件発明とを比較すると,刊行物2には 「口部,に関するネジ部の限定 「中子に関する『抜き勾配のない』との限定」を除 」。 いた本件発明の全ての構成が実質的に記載されているということができる他方 「口部にネジ部を設けること」は,刊行物1に記載されているのみな ,らず甲14からも明らかなように,この種のインジェクション容器において周知技術であり,また 「抜き勾配のない中子」が刊行物1に実質的に記 ,載されていることは,既に述べたとおりである。
してみると,刊行物1には,ネジ部付きの口部を備えた容器を射出成形法によって製造する基本的方法が開示されていて,一方,刊行物2には,把持用凹部を外型材で支持した状態で抜き勾配が非常に小さい中子を抜き取るという構成が開示されているが,環溝13を設けることによって中子の抜き勾配を無くせることは当業者が容易に予測できる事項であるから,本件発明は,インジェクション容器の製法として刊行物1に記載されている基本的構成に,刊行物2に記載又は示唆されている構成を付加することによって容易に想到できたものでもある。
,, いずれにしても 引用発明と刊行物2記載の発明の組合わせについては刊行物1の突出部の機能を特に考慮しなくても,本件発明に容易に想到し得たものであり,この点からも,本件発明が引用発明と刊行物2に記載された発明から容易に想到できたものであることが理解できる。
取消事由3(無効理由Cについて-相違点dについての判断の誤り)3審決は,刊行物1に図示されている突出部がキャップ9を支持するためのものであると認定しているが,そもそもこの認定に根拠はなく,技術的に不自然であることは,既に述べたとおりである。
確かに,甲14の1には,凹部がどのような意味を有しているか明記されていないが,審決も認定するように,甲14の1に記載されている容器は本件発明の製造対象品であるインジェクション容器と同一品であり,また,容器が射出成形法によって製造されることも明記されているから,甲14の1のインジェクション容器が,外型材と中子との間に溶融プラスチックを注入して固化後,口部と凹部とを外型材で支持した状態で中子を抜き取られることによって製造されるものであることは,射出成形技術の常識に照らして明らかである。
そして,基本的には容器筒体は外型材の内面と同じ形状になるものであるから,容器筒体に凹部があるということに照らせば,外型材に凹部に嵌まってこれを支持する部分があることは技術常識に照らして明らかであり,甲14の1に図示されている凹部が中子を抜き取るに際しての支持機能を備えていることも明らかである。
したがって,凹部を設けたことの意味が甲14の1に具体的に記載されて,, , いなくても 甲14の1に接した当業者は射出成形技術の常識に照らして凹部が中子を抜き取るに際して容器筒体を支持する機能を発揮することを当然に推測できるのである そうすると甲14の1には 本件発明のうち 抜 。, , 「き勾配のない中子」を除いた全ての構成が実質的に記載されているということができる。また,本件発明の製造対象品であるインジェクション容器のすべての構成が甲14の1に開示されていることも,明らかである。
そして,刊行物1に「抜き勾配のない中子」が実質的に記載されていることは出願人が自認するとともに,原出願( )の実願昭58-169132号担当審査官も認定するように,当業者にとって自明の事項であるから,本件発明は,引用発明と甲14の1に記載された発明から何らの困難もなしに想到できるものである。
審決は,刊行物1及び甲14の1に記載又は示唆・教示されている技術の認定を誤り,この誤った事実認定の結果,違法な結論を導いたものである。
被告の反論の概要
審決の認定判断に誤りはなく,審決を取り消すべき理由はない。
取消事由1(無効理由A)について 1原告は 「直径に対して肉厚の薄い」と「同一内径及び同一外径」とはいず ,れも従来のインジェクション容器が備えている構成であって,引用考案が容器筒体を同一内径及び同一外径と限定したことによって特段の効果が発揮されるものではなく,相違点aは技術的意味での相違点とはいえない旨を主張する。
しかし,従来の射出成形によらないインジェクション容器が「直径に対して肉厚の薄い」と「同一内径及び同一外径」を備えている構成である点は認められるとしても,引用考案は,射出成形されたインジェクション容器である。そして,従来の射出成形されたインジェクション容器は,刊行物2の図面をみれば明らかなように環溝13の部分において容器筒体は同一内径でもないし,同一外径でもない。このように,射出成形されたインジェクション容器については 「同一内径及び同一外径」の容器は従来から存在しないので ,あるから,両者を混同して,引用考案が容器筒体を同一内径及び同一外径と限定したことによって特段の効果が発揮されるものではない旨を主張する原告の主張は,明白な誤りである。
上記のとおり 「同一内径及び同一外径」の射出成形されたインジェクショ ,ン容器に係る引用考案は,容器筒体を同一内径及び同一外径と限定したことによって特段の効果が発揮されるのであるから,相違点aは技術的意味での相違点とはいえない旨の原告の主張は,失当である。
審決は,本件発明と引用考案を,その特許請求の範囲の記載と実用新案登録請求の範囲の記載とを比較して,文言が一致していないから,相違点aないしcを認めたのであり,審決の判断に誤りはない。
取消事由2(無効理由B)について2相違点dが容易に想到し得るかについて審決は,刊行物1には 「引用発 ()1 ,明における突出部について,これを設ける技術的意味について具体的に述べた記載は見当たらないものの,‥‥‥細長筒状容器にその口部1bを覆うようにキャップ9を装着した際に,該突出部は,該キャップ9と当接するように設けられていることがうかがえるから,キャップ9を支持するためのものであると理解するのが自然のことといえる 」として,引用発明の 。
突出部につき,本件発明の把持用凹部と同様な機能を有するものとして当業者は容易に理解できないことを,明白に指摘している。
すなわち,引用発明に記載のマスカラやアイカラー等の細長い筒状容器は,中子抜き取り時に引っ張り力が集中して割れを生じるような「絞り板部」が存在しないとともに,容器筒体の直径に対して肉厚を厚くして筒部の割れや変形を防止するから,本来的に,容器筒体の外周に突出部を突設して口部1bと胴部1aとの連結部を脆弱な絞り板部と同様に保護する必要のない構造である。
刊行物1の図4の突出部は,本来,中子を抜き取るときの容器筒体支持部ではなく,図8及び図9を見れば明らかなように,キャップ9の受け部としてのみならず,外筒20を嵌合したときの「受け部」としても,胴部1aから外周に突出すべく最初から設計された突出部である。
一方,刊行物2に記載されたステンシル印刷機用インキタンクについては,審決は,その端に嵌溝13が形成されており,環溝13ステンシル印刷機用インキタンクを射出成形工具から引出す際に使用される為のものといえるとしている。その上で,審決は,引用発明における突出部はキャップ9を支持するためのものであるのに対し,刊行物2に記載された環溝13は上記したように使用されるものであって,上記突出部を環溝13に置き換える理由は見当たらず,しかも,置き換えた場合,突出部が有していたキャップ9を支持するという機能を果たせなくなるから,この置き換えることが容易に想到できるとはいえず,結局,相違点dが容易に想到し得るとはいえない旨を判断しているものであり,審決の判断に誤りはない。
刊行物2の環溝13は,乙1(被告が刊行物2の図2を基に作成した図 ()2面)に示したとおり,容器筒体を伴って板厚を維持した状態で陥没した溝からなり,溝の深さは筒体の板厚を超えている。したがって,先端まで抜き勾配のない中子を対応させた場合には,環溝13部分で容器筒体はちぎれてしまう。ちぎれないようにするためには,乙1のように環溝13部分で中子に抜き勾配を設けて容器筒体に肉厚を設ける必要がある。
これに対して,本件発明は,小径のインジェクション口部3の外周のネジ部4と共に,大径の容器筒体1の外周に,外周から突出せず,また逆に筒体1の内径を変えることなく,肉厚を薄くする把持用凹部5を,外型材で成形し,内型材として抜き勾配のない中子を対応させて 「同一外径及び,同一内径」と言える射出成形されたインジェクション容器を成形可能にしたものであって,刊行物2の環溝13が,容器筒体を伴って板厚を維持した状態で陥没した「同一外径ではないと共に同一内径でない」従来容器を整形するのとは異なる。
ここで,本件発明に係る容器において 「同一外径」とは,刊行物1に記 ,載のような「外径にフランジのような突出部」がないこと,及び刊行物2に記載の環溝13のような 外径に陥没した溝部 がないことを意味し 同 「」,「一内径」とは,刊行物2に記載の環溝13の内側のような「中蓋が円滑に移動し得ない内径を小径にする小径部分」がないことを意味する。なお,本件発明の「抜き勾配のない中子」は,この種インジェクション容器のプラスチック射出成形の内型材として,インジェクション容器が備えている一般的構成として「中蓋が円滑に移動することができる同一内径」を得られる程度の精度を有する中子であれば十分といえる。
取消事由3(無効理由C)について3審決は 「引用発明における突出部はキャップ9を支持するためのものであ ,るのに対し,甲14の1に記載された凹部については,その技術的意味は不明であるし,更に,引用発明における突出部を上記凹部に置き換えた場合,, 突出部が持っていたキャップ9を支持するという機能を果たせなくなるからこの置き換えることが容易に想到できるとはいえず,結局,相違点dが容易に想到し得るとはいえない 」と正しく判断している。甲14の1について原 。
告は,縷々述べているが,甲14の1は証拠として無効理由Bの刊行物2を超えるものではない。
無効理由Bについて述べたように,甲14の1の凹部のような容器筒体を伴って板厚を維持した状態で陥没した「同一外径ではないと共に同一内径でない」従来容器と異なり,本件発明は,小径のインジェクション口部3の外周のネジ部4と共に,大径の容器筒体1の外周に,外周から突出せず,また逆に筒体1の内径を変えることなく,肉厚を薄くする把持用凹部5を外型材で成形し,内型材として抜き勾配のない中子を対応させて 「同一外径及び同,一内径」といえる射出成形されたインジェクション容器を成形可能にしたものであり、この点からしても,本件発明を甲14の1の記載から当業者が容易に発明をすることができたとは,到底いえないものである。
当裁判所の判断
取消事由2(無効理由B)について1本件事案にかんがみ,まず,無効理由Bに係る取消事由2について検討する。
刊行物1に引用発明が記載されていること及び本件発明と引用発明との()1比較において相違点dがあることは,いずれも当事者間に争いがない(第2,3( )参照 。3)審決は,刊行物1(特公昭54-22354号公報)の第4,5図にお「」 ,「( 。 ), ける 突出部 について 甲第3号証 判決注:刊行物1を指す には引用発明における突出部について,これを設ける技術的意味について具体的に述べた記載は見当たらないものの,記載エ及び記載オにおける第6図からは,細長筒状容器にその口部1bを覆うようにキャップ9を装着した際に,該突出部は,該キャップ9と当接するように設けられていることがうかがえるから,キャップ9を支持するためのものであると理解するのが自然のことといえる (審決書8頁31行〜9頁1行)と認定している。 。」,特許公告公報である刊行物1の公開公報に相当する特開しかしながら昭53-8248号公報の記載内容に関して 本件明細書 甲2 には 特 ,(),「開昭53-8248号公報には,マスカラやアイカラー等の細長筒状容器を,容器筒体の肉厚を厚くして筒部の割れや変形を防止すると共に,容器本体の外周にフランジを突設することによって,射出成形加工時に,外型材で容器筒体の外周を支持し,抜き勾配のない中子を抜き取る手段が示されているが,肉厚を厚くすることによりそれだけ容量に対して容器全体の重さと容積,及び材料費が増大する問題があるのみならず,容器外周に突出して邪魔なフランジを,固化後に除去するのに多大な労力を要し,材料を無駄にし,且つ,美観を損ない,一体成形加工の利点が失われる問題があった (3欄2行〜14行)との記載がある。 。」また,原出願(実願昭58-169132号)に対する拒絶査定の謄本(甲15)の備考欄には 「第1引用例(判決注:刊行物1を指す )のも ,。
のも容器筒部の外周にフランジ(本願考案のものは把持用凹部)を設けることによって,射出成形加工時に,外型枠と抜き勾配のないコア(中子)との間に射出された溶融プラスチックが固化して成形された容器筒部の外周を,外型枠で直接支持して,変形もなくコア(中子)を抜き取ることができるものと認められる 」と記載されている。 。
これら2つの記載に照らせば 刊行物1の各図面に記載された突出部 フ ,(),, , ランジ を見た当業者は それだけで 細長筒状容器の射出成形加工時に抜き勾配のない中子を抜き取るに際して,該突出部(フランジ)は成形固化した容器筒体を外型材内に支持するためのものであると理解するものと認められる。
一方,ステンシル印刷機用インキタンクに係る発明が記載された刊行物2には 「インキタンク1の端の環溝13中にインキタンク1の製造の際に ,インキタンク1を射出成形工具から引出すためのクランプジョウが係入する。驚くべきことに,この種の公知の射出成形法によってインキタンク1の内壁のテーパーを,追従ピストン5の完璧な機能が保証される程度に小。」()。 さく保持することが達成される 4欄14行〜20行 との記載がある審決は,刊行物2に関して「甲第4号証(判決注:刊行物2を指す ) ,。
には,ステンシル印刷機用インキタンクが記載され,記載キ及びクによると,ステンシル印刷機用インキタンクには,その端に環溝13が形成されており,環溝13には,ステンシル印刷機用インキタンクを射出成形工具から引出すためのクランプジョウが係入することがうかがえるから,環溝13はステンシル印刷機用インキタンクを射出成形工具から引出す際に使用されるためのものといえる (審決書9頁2行〜7行)と認定し,さら 。」に 「そこで,検討すると,引用発明における突出部はキャップ9を支持す ,るためのものであるのに対し,甲第4号証(判決注:刊行物2を指す)に記載された環溝13は上記したように使用されるものであって,上記突出部を環溝13に置き換える理由は見当たらず,しかも,置き換えた場合,突出部が持っていたキャップ9を支持するという機能を果たせなくなるから,この置き換えることが容易に想到できるとはいえず,結局,相違点dが容易に想到し得るとはいえない (審決書9頁8行〜13行)と判断し 。」ている。
,, () しかしながら 既に述べたように 刊行物1における突出部 フランジが 「キャップ9を支持するためのものである」とすることは不自然であっ ,て,当業者であれば,該突出部(フランジ)を,成形固化した容器筒体を外型材内に支持するためのものと理解するものと認められるから,審決の上記判断は誤りといわざるを得ない。
そして,刊行物1に記載された突出部(フランジ)と,刊行物2に記載された環溝13とは,ともに,容器の中空部を形成するための中子の抜き方向,すなわち中子の中心軸に対して直交する方向の凹凸部を,製品である容器の外周面に形成することで,外型材に対して容器を支持するものである点で一致しており,具体的には,前記中子の中心軸とも一致する容器の中心軸に関して,容器外周に直径の異なる部分を形成することで,外型材に対して製品容器を支持し,抜き勾配のない中子,あるいは抜き勾配に相当する製品インキタンクの内壁のテーパーを追従ピストンの完璧な機能が保証される程度に小さく保持した中子を採用できる点でも一致しているのであるから,刊行物1に記載された突出部に換えて,同じく中子の抜き,, 取りの際に 容器を外型材に支持するための凹凸嵌合構造であるところの刊行物2に記載された環溝13を適用することは,当業者であれば容易に想到し得たものというべきである。
( ) なお,刊行物2の中子は,それが形成する内壁のテーパーが「追従ピスト 2ンの完璧な機能が保証される程度に小さ」いことが記載されている(4欄18行〜19行)ことに照らせば,一応小さいながらも抜き勾配があると推測されるが,本件発明における「抜き勾配のない中子」は,中蓋が円滑に移動することができる同一内径を得られる程度の精度を有する中子であれば足りるものと解されるから(被告も 「本件特許発明の『抜き勾配のない中子』 ,は,この種インジェクション容器のプラスチック射出成形の内型材として,インジェクション容器が備えている一般的構成として『中蓋が円滑に移動することができる同一内径』を得られる程度の精度を有する中子であれば十分であると言える (被告準備書面( )〔平成16年8月31日付け〕11頁 」120行〜24行)と述べており,このことを自認している ,刊行物2の。)中子は,相違点dの容易想到性の検討に際して本件発明と対比する上で,支障はないということができる。
( ) また,被告は,乙1 を示 3(被告が刊行物2の図2を基に作成した図面)して 刊行物2の図2における環溝13に相当する部分の中子の傾斜面を 抜 ,「本件発明は,小径のインジェクション口部3の き勾配」と主張した上で,外周のネジ部4と共に,大径の容器筒体1の外周に,外周から突出せず,,, また逆に筒体1の内径を変えることなく肉厚を薄くする把持用凹部5を外型材で成形し,内型材として抜き勾配のない中子を対応させて 「同一外,径及び同一内径」と言える射出成形されたインジェクション容器を成形可能にしたものであって,刊行物2の環溝13が,容器筒体を伴って板厚を維持した状態で陥没した「同一外径ではないと共に同一内径でない」従来容器を整形するのとは異なるという。
しかし 「同一外径」なる構成は,本件明細書の特許請求の範囲に規定さ ,れていないから,同構成に関する被告の主張は特許請求の範囲の記載に基づかないものであり,採用できない。次に 「同一内径」に関しては,本件明 ,細書の特許請求の範囲に直接これを示す記載はないが 「抜き勾配のない中,子」で形成されることから,一応その根拠は認められる。しかし,乙1において,被告が「抜き勾配」と主張する部分は,本来「面取り」部分というべきものである。けだし,同部分は,抜き勾配のための傾斜面と考えるには,全長に対してあまりにその長さが小さく,中子の抜き取りに際して容器と中子との接触面の減少による付着力の軽減には寄与し得ない(中子の抜き取り動作により被告の言う抜き勾配部分が容器内面から離脱しても,同部分に連なる同一内径部分においては容器と中子表面との接触が維持されるから接触面積はほとんど変化しない)ことが明らかだからである。被告は 「同一内,径」とは,刊行物2に記載の環溝13の内側のような「中蓋が円滑に移動し得ない内径を小径にする小径部分」がないことを意味する旨主張するが,刊行物2の容器内部先端に形成された「面取り」部分については,中蓋先端部に該面取り部分に対応する面取り部分を形成することにより,中蓋が容器先端まで円滑に移動し得ることは明白である。いずれにしても,刊行物2の容器内部先端に被告が「抜き勾配」と主張する部分が存在することは,引用発明に刊行物2に記載された内容を適用して相違点dを想到するに当たって,支障となるものとは認められないものであり,被告の主張は採用することができない。
2結論以上によれば,相違点dに係る本件発明の構成は,引用発明の突出部に換えて,同じく中子の抜き取りの際に容器を外型材に支持するための凹凸嵌合,, 構造であるところの 刊行物2に記載された環溝13を適用することにより当業者が容易に想到し得るものであるから,審決は,相違点dに係る本件発明の構成についての容易想到性の判断を誤ったものであり,この誤りが審決の結論に影響を及ぼすことは明らかである。したがって,他の取消事由について検討するまでもなく,審決は取消を免れない。
よって,原告の本訴請求は,理由があるからこれを認容することとし,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 三村量一
裁判官 古閑裕二
裁判官 嶋末和秀