• この表をプリントする
  • ポートフォリオ機能


追加

関連審決 不服2004-13939
関連ワード 発明者 /  インターネット /  アクセス /  周知技術 /  29条の2(拡大された先願の地位) /  先願発明との同一性 /  技術常識 /  発明の詳細な説明 /  技術的特徴 /  優先権 /  国内優先権 /  実質的に同一 /  参酌 /  実施 /  交換 /  混同 /  拒絶査定 /  請求の範囲 /  変更 / 
元本PDF 裁判所収録の全文PDFを見る pdf
事件 平成 17年 (行ケ) 10420号 審決取消請求事件
原告 株式会社アイペックス
訴訟代理人弁理士中野佳直
同 清水英雄
同 櫻井義宏
被告 特許庁長官中嶋 誠
指定代理人 大日方 和幸
同立川功
同 大場義則
同 羽鳥賢一
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2006/05/30
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
主文 原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
請求
特許庁が不服2004-13939号事件について平成17年3月1日にした審決を取り消す。
当事者間に争いのない事実
1 特許庁における手続の経緯原告は,平成12年5月31日に出願した特願2001-542109号(優先権主張同年1月26日・日本,優先基礎出願特願2000-17279号)の一部を分割して,平成15年8月22日,発明の名称を「通信回線を用いた情報供給システム」とする新たな特許出願(特願2003-208464号)をしたが,平成16年5月28日付けで拒絶査定を受けたので,同年7月5日,これに対する不服の審判を請求した。
特許庁は,同請求を,不服2004-13939号事件として審理した結果,平成17年3月1日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決をし,その謄本は,同月18日に原告に送達された。
2 平成16年12月24日付け手続補正書により補正された明細書(甲2の2,以下,願書に添付した明細書〔甲2の1〕と併せ,「本件明細書」という。)の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明(以下「本願発明」という。)の要旨インターネットや電話網からなる通信回線網の中に設置された管理コンピュータに於ける通信回線を用いた情報供給システムであって,中継側である管理コンピュータ側に,利用者IDと,この利用者IDに対応付けられて登録された該利用者が監視したい場所に設置されている監視端末に付与されている電話番号もしくはアドレスデータと,が登録されている利用者データベースを備え,インターネットや電話網からなる通信回線網を利用してアクセスしてくる利用者の電話番号,ID番号,アドレスデータ,パスワードなどの認証データの内少なくとも一つの特定情報を入手する手段と,この入手した特定情報が,前記利用者データベースに予め登録された登録情報と一致するか否か検索する手段と,前記特定情報と登録情報とが一致したとき,前記アクセスした利用者側と予め契約されて利用者IDに対応付けられて登録されている電話番号もしくはアドレスデータを用いて,前記管理コンピュータがインターネットや電話網からなる通信回線網を利用して監視端末に働きかける手段と,前記監視端末には,中継側である前記管理コンピュータを認証可能な認証データが登録されており,この認証データにより前記管理コンピュータを認定した前記監視端末から,監視手段で捕捉したデータとして送信される情報を入手する手段と,前記監視端末から入手した情報を,前記管理コンピュータが,インターネットや電話網からなる通信回線網を用いて,予め契約し登録されている前記アクセスした利用者に供給する手段と,前記管理コンピュータから前記監視端末の通信端末に接続不能な状態,若しくは監視手段からの情報が前記管理コンピュータに送信されてこない状態が,前記管理コンピュータで確認された時に,所定の異常通知をアクセスした利用者に送信する手段と,からなる通信回線を用いた情報供給システム。
3 審決の理由( ) 審決は,別添審決謄本写し記載のとおり,本願発明は,国内優先権主張の 1基礎となった特願2000-17279号(以下「基礎出願」という。)の願書に最初に添付した明細書又は図面(甲4,以下,同明細書及び図面を併せ「基礎出願明細書」という。)に開示されていないから,優先権主張の利益を享受できないとした上で,本願発明は,本願発明の出願の日前の他の出願であって,その出願後に公開された特願2000-120465号の願書に添付した明細書及び図面(甲5,以下,同明細書及び図面を併せ「先願明細書」という。)に記載された発明(以下「先願発明」という。)と実質的に同一であり,本願発明の発明者が先願発明の発明者と同一であるとも,また,本願発明の出願の時にその出願人と先願発明の出願人とが同一であるとも認められないから,特許法29条の2の規定により,特許を受けることができないとした。
( ) 審決が認定した,本願発明と先願発明との一致点及び相違点はそれぞれ次 2のとおりである。
ア一致点インターネットや電話網からなる通信回線網の中に設置された管理コンピュータに於ける通信回線を用いた情報供給システムであって,中継側である管理コンピュータ側に,利用者IDと,この利用者IDに対応付けられて登録された該利用者が監視したい場所に設置されている監視端末に付与されている電話番号もしくはアドレスデータと,が登録されている利用者データベースを備え,インターネットや電話網からなる通信回線網を利用してアクセスしてくる利用者のID番号,パスワードなどの認証データの内少なくとも一つの特定情報を入手する手段と,この入手した特定情報が,前記利用者データベースに予め登録された登録情報と一致するか否か検索する手段と,前記特定情報と登録情報とが一致したとき,前記アクセスした利用者側と予め契約されて利用者IDに対応付けられて登録されている電話番号もしくはアドレスデータを用いて,前記管理コンピュータがインターネットや電話網からなる通信回線網を利用して監視端末に働きかける手段と,前記監視端末から,監視手段で捕捉したデータとして送信される情報を入手する手段と,前記監視端末から入手した情報を,前記管理コンピュータが,インターネットや電話網からなる通信回線網を用いて,予め契約し登録されている前記アクセスした利用者に供給する手段と,からなる通信回線を用いた情報供給システム。
イ相違点(ア) 相違点1本願発明の監視端末には,中継側である管理コンピュータを認証可能な認証データが登録されており,この認証データにより前記管理コンピュータを認定するのに対して,先願明細書には,そのようなことの明示の記載がない点。
(イ) 相違点2本願発明には,管理コンピュータから監視端末の通信端末に接続不能な状態,若しくは監視手段からの情報が前記管理コンピュータに送信されてこない状態が,前記管理コンピュータで確認された時に,所定の異常通知をアクセスした利用者に送信する手段を備えているのに対して,先願明細書には,そのような手段について明示の記載がない点。
原告主張の審決取消事由
審決は,本願発明の優先権主張の効果の判断を誤り(取消事由1),その結果,本願発明の出願日より前に出願され優先権主張日より後に出願された先願発明が「当該特許出願の日前の他の特許出願」に該当するとして,特許法29条の2の規定を適用した誤りがあり,また,先願発明の認定を誤り(取消事由2),本願発明と先願発明の相違点についての判断を誤り(取消事由3,4),本願発明の優れた効果を看過し(取消事由5),その結果,本願発明と先願発明とが同一であると誤って判断したものであるから,違法として取り消されるべきである。
1 取消事由1(優先権主張の効果の判断の誤り)( ) 審決は,「請求項1に係る発明(以下,『本願発明』という。)は,上記 1国内優先の基礎となった出願の明細書又は図面(注,基礎出願明細書)に開示がない『インターネット』,『中継側である管理コンピュータ側に,利用者IDと,この利用者IDに対応付けられて登録された該利用者が監視したい場所に設置されている監視端末に付与されている・・・アドレスデータと,が登録されている利用者データベース』,『前記アクセスした利用者側と予め契約されて利用者IDに対応付けられて登録されている・・・アドレスデータを用いて,前記管理コンピュータがインターネットや電話網からなる通信回線網を利用して監視端末に働きかける手段』等の事項を発明の構成要素とするものであって,・・・国内優先の基礎となった出願の願書に添付された明細書又は図面に記載された発明とは認められない。」(審決謄本2頁第2段落)として,本願発明は,少なくとも国内優先の利益を享受できないと判断したが,誤りである。
( ) 本願発明の要旨の規定する上記「インターネット」についての技術的事項 2は,基礎出願明細書(甲4)に開示されている。
ア 本件明細書の発明の詳細な説明では,「インターネット」の用語の意義を定義していないので,「インターネット」の意味は,本願発明の分割前の原出願の出願時(平成12年5月31日)及び優先権主張の基礎となった基礎出願の出願時(同年1月26日)である平成12年当時の技術水準に照らして解釈されるところ,株式会社産業調査会事典出版センター平成12年6月1日発行の「情報通信活用事典」(甲6の1,以下「甲6文献」という。)等の記載によれば,平成12年の時点では,「インターネット」という用語は,広狭多様な意味で用いられており,必ずしも明確な定義は存在していなかったが,ダイヤルアップ接続及び加入電話UUPC等のように閉鎖された異なる無数のネットワークをつなぐということが,やや広い意味でのインターネットであり,一方,異なるネットワークをつなごうとしても,通信プロトコルが異なるとコミュニケーションがとれないため,共通のTCP/IPという通信プロトコルを決め,それぞれのネットワーク間の通信を可能にしたのが,狭義のインターネットであり,異なるネットワーク同士の接続であるやや広い意味でのインターネットが,インターネットと呼ばれることも多かった。
そして,基礎出願明細書には,「インターネット」という用語は用いられていないが,同明細書においては,利用者(呼出側である携帯電話11,公衆電話13,パーソナルコンピュータ14又はモバイルコンピュータ15等)と仲介コンピュータとで構成されるネットワークである第1のネットワークとパソコンの機能を備える制御端末5と仲介コンピュータとで構成されるネットワークである第2のネットワークという,二つの異なるネットワークが,仲介コンピュータを介して通信を可能とするシステムが開示されているから,基礎出願明細書には,「異なるネットワーク同士の接続」すなわち「やや広い意味でのインターネット」が記載されている。
被告は,第1のネットワークと第2のネットワークは,ともに電話の公衆回線網を通信の経路として利用するので,両ネットワークが異なるネットワークに分離されることはないと主張するが,「物理的な回線接続」と「通信機能としての回線接続」とを混同しており,利用する通信プロトコルが相違する第1のネットワークと第2のネットワークは,異なるネットワークである。
イ 基礎出願明細書(図4,段落【0018】等)に示されている呼出側の携帯電話11,パーソナルコンピュータ14,又は,モバイルコンピュータ15等と仲介コンピュータ(中継局17)との通信経路である公衆回線9は,以下のとおり,インターネットを利用しているものである。
(ア) パーソナルコンピュータ14やモバイルコンピュータ15が仲介コンピュータである中継局17にアクセスする場合,公衆回線9のネットワークを越えて接続しなければならず,これらのコンピュータが,TCP/IPプロトコルを利用したインターネット接続をしていることは明らかである。また,当時,インターネット人口が爆発的に増加し,コンピュータとパソコンをつなぐ古い「パソコン通信」は,インターネットに置き換わっていて,コンピュータとパソコンをインターネット接続サービスでつなぐことが大勢であり,モバイルコンピュータ15に通信カード(PHSカードなど)を挿入してインターネットに接続することは技術常識であったから,外出先でモバイルコンピュータ15を基地局10を介して利用する場合,インターネットを利用する以外の接続形態があるとは考えられない。
したがって,基礎出願明細書には,インターネットを利用することが記載されているということができる。
(イ) 呼出側のモバイル端末である携帯電話11は,公衆回線9を通信の経路として,通信中継部である基地局10を経由して,仲介コンピュータである中継局17と接続している。基地局10は,携帯電話の販売・管理・接続などを行う,一般にキャリアと呼ばれる株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ(以下「NTTドコモ」という。)等により運営,管理されるものであるところ,NTTドコモは,普通の電話サービスの他に,平成11年,インターネット接続サービスであるiモードサービスを開始し,基礎出願の出願時である平成12年1月26日には,iモード加入者が約400万人に及んでおり,iモードに代表されるインターネット時代である。そして,基礎出願明細書の段落【0032】には,画像表示付きの携帯電話を使用することが記載され,同明細書の図3には画像表示機能付きの携帯電話11が記載されているが,同図には,大きな画像表示部が上方に示されていて,このような携帯電話は,iモードの携帯電話以外に存在せず,これを模写したものである。また,画像情報を携帯電話が受け取り,それを携帯電話の画面に映像として再生できる携帯電話は,デジタルデータである画像データを再生できるインターネットに接続可能なiモードしかない。したがって,基礎出願明細書には,iモードサービスによる携帯電話11,すなわち,インターネットの利用が記載されている。
被告は,特開平2000-13860号公報(乙6,以下「乙6公報」という。)を示し,iモードによらなくても携帯電話で画像を受け取りそれを画面に再生できると主張するが,そこに示されている携帯電話PS1110aが備える画像表示部は,画像データといってもキャラクター画像といった小さな画像を表示できるにすぎない。
ウ 基礎出願明細書(図4等)に示されている制御端末5と仲介コンピュータ(中継局17)との通信経路である公衆回線9は,以下のとおり,インターネットを利用している。
(ア) 基礎出願明細書の段落【0034】には,「図4のものは,その制御端末5が公衆回線9に接続され,通信端末として機能する点が相違している。すなわち,制御端末5はその一部がターミナルアダプタとして機能するものであり,ISDNの回線から送られてくる呼び出し信号な付ママ加された特別な信号を受けて,電話機8に着呼信号を与える前に直接,この制御端末5と交信できるようになっている。」との記載があり,公衆回線9に接続された制御端末が,ISDN回線から送られてくる「呼び出し信号」を受けることが記載されている。ところが,電話交換機から受信側装置に電話番号は送られないという電話の原則に基づけば,受信側装置には,受信側装置の電話番号は到達しないのであるから,上記「呼び出し信号」は,電話番号ではない。一方,「ISDNの回線から送られてくる呼び出し信号な付加された特別な信号」は「制御端末を起ママ動しろ」という命令信号であり,当該「特別な信号」は,「呼び出し信号」に付加され,すなわち,パケット状態で直接制御端末5に送信されるものであるから,制御端末5が「呼び出し信号」と「特別な信号」を同時に受信しているものである。そうすると,電話番号ではないところの「呼び出し信号」は,送信元IPアドレスと宛先IPアドレスを利用してインターネットによってパケット通信するためのインターネット上の「IPヘッダー」であるとしか考えられず,ここで示された送信が,インターネットを利用しているものであることは明らかである。
(イ) 基礎出願明細書の段落【0011】,【0012】,【0031】及び【0032】によれば,制御端末5と仲介コンピュータ(中継局17)との間では,画像情報の送受信が行われる。一方,文字に加え,画像データも扱えることからインターネット人口が爆発的に増加したのであって,平成10年には日本のインターネット人口が1000万人を突破し,基礎出願時,コンピュータとパソコンをインターネット接続サービスでつなぐことが大勢であった。
(ウ) 基礎出願明細書の図1,図4には,利用者側(携帯電話11等)と仲介コンピュータ(中継局17)との通信経路として公衆回線9を利用していることが示され,かつ,仲介コンピュータ(中継局17)と制御端末5との通信経路としても公衆回線9を利用している点が示されているところ,同明細書では,相互の通信経路として,「公衆回線9」という回線が開示されているのみで,他の回線の表現や開示はない。そして,利用者側の携帯電話11等と仲介コンピュータ(中継局17)との通信経路である公衆回線9は,電話回線としてもインターネットとしても利用できる物理的回線網であることに照らせば,制御端末5と仲介コンピュータ(中継局17)との通信経路である公衆回線9も,電話回線としてもインターネットとしても利用できる物理的回線網であると判断するのが自然である。
( ) 本願発明の要旨の規定する「中継側である管理コンピュータ」について, 3本件明細書の段落【0015】,【0036】,【符号の説明】の符号17,103の説明及び図面によれば,本件明細書において,データを処理してサービスする仲介コンピュータ等で構築されたシステムである「中継局17」と中継側である「管理コンピュータ103」とは,技術的に同一の機能を持つものとして記載しており,中継側である管理コンピュータ103について,中継局17の構成を越える新たな実施例等を追加する記載はない。また,本願発明の要旨の規定する「アドレスデータ」の意味は,平成12年当時の技術水準に照らして解釈されるところ,株式会社毎日コミュニケーションズ平成11年5月1日発行の「移動体データ通信がわかる本」(甲10)の記載によれば,平成12年の時点では,「アドレスデータ」とは,コンピュータ間の通信において用いるものであって,コンピュータの住所に相当する送り手アドレスと及び受け手アドレスを意味するものと解される。
そして,基礎出願明細書の段落【0019】には,中継局17が記載されているので,「中継側である管理コンピュータ」についての技術的事項が記載されているといえ,段落【0014】ないし【0017】及び【0034】には,「利用者IDに対応付けられて登録された該利用者が監視したい場所に設置されている監視端末」の実施例である実施例1及びその変更例の制御端末5についての技術的事項が記載されている。また,基礎出願明細書の実施例の変形例(段落【0034】)には,電話番号でない「呼び出し信号」が記載されているところ,これは上記()ウ(ア)のとおり,送信元IPア 2ドレスと宛先IPアドレスを利用してインターネットによってパケット通信するためのインターネット上の「IPヘッダー」であり,本願発明の構成「アドレスデータ」である。
したがって,基礎出願明細書には,「中継側である管理コンピュータ側に,利用者IDと,この利用者IDに対応付けられて登録された該利用者が監視したい場所に設置されている監視端末に付与されている・・・アドレスデータと,が登録されている利用者データベース」及び「前記アクセスした利用者側と予め契約されて利用者IDに対応付けられて登録されている・・・アドレスデータを用いて,前記管理コンピュータがインターネットや電話網からなる通信回線網を利用して監視端末に働きかける手段」についての技術的事項が記載されている。
2 取消事由2(先願発明の認定の誤り)( ) 審決は,先願発明について,「Webサーバ2がWeb端末機3に回線接 1続要求するために必要なデータは,電話番号もしくはインターネットのアドレスデータであるといえる。」(審決謄本7頁第1段落)と認定したが,誤りである。上記認定の際に審決が引用する先願明細書(甲5)の段落【0016】には,インターネット網に回線接続されていないWebサーバ2とWeb端末機3との通信が記載され,Webサーバ2から公衆電話回線を介してWeb端末機3に通信する場合は,ISDN回線を利用する場合も含めて,Webサーバ2がWeb端末機3の電話番号で呼び出すのであり,Webサーバ2には,Web端末機3の電話番号が呼び出し用に記録されているにすぎない。したがって,Webサーバ2がWeb端末機3に回線接続要求するために必要なデータが,アドレスデータであるはずがない。
そして,上記認定を前提とする,審決の,「中継側であるWebサーバには,ユーザIDと,このユーザIDに対応付けられて登録されたユーザが監視したい場所に設置されているWeb端末機に付与されている電話番号もしくはアドレスデータが登録されている」(審決謄本7頁第2段落)との認定,及び,電話番号,アドレスデータが登録された「本願発明でいうところの『利用者データベース』を備えているといえる。」(同8頁第1段落)との認定もいずれも誤りである。
( ) 審決は,さらに,「iモード等のサービスを受けるためには,アクセスす 2る利用者とサービスを提供する側と予め契約をすると考えられることから,先願明細書に記載された『モバイル制御・計測システム』は,アクセスしたユーザ側と予め契約されてユーザIDに対応されて登録されている電話番号もしくはアドレスデータを用いているものといえる。」(審決謄本8頁第3段落)と認定したが,誤りである。
審決は,先願明細書でいうモバイル制御・計測システムの運営会社と,iモード等のサービスをしているNTTドコモとを混同しているか同一視している。iモードのサービスにおいて,携帯端末を買っても,NTTドコモを利用して,電話やインターネットアクセスが可能になるだけであり,例えば,自宅に設置されているWeb端末機3に関する電話番号,アドレスデータが登録されることはないし,ましてや,ユーザIDの登録もされない。
3 取消事由3(相違点1についての判断の誤り)( ) 審決は,相違点1について,「先願発明のWeb端末(監視端末)には, 1中継側であるWebサーバ(管理コンピュータ)を認証可能な認証データが登録され,この認証データにより前記Webサーバ(管理コンピュータ)を認定するものを当然備えているとみるのが自然であり技術常識である。したがって,上記相違点(1)の『監視端末には,中継側である管理コンピュータを認証可能な認証データが登録されており,この認証データにより前記管理コンピュータ認定する』ことは,技術常識参酌すれば課題解決するための具体的手段における微差であるといえる。」(審決謄本11頁最終段落〜12頁第1段落)と判断したが,誤りである。
( ) 先願発明は,Web端末機3がWebサーバ2を認証する必要のない独特 2の接続方式を採用していて(先願明細書の段落【0016】),Webサーバ2から公衆電話回線を介してWeb端末機3に呼び出しをかけると,Web端末機3は,どのWebサーバから回線接続要求がされたかの認証をすることなく,反射的に回線接続要求をしたWebサーバにインタネット網を介して接続するというものである。これに対し,本願発明は,監視端末には,中継側である管理コンピュータを認証可能な認証データが登録され,この認証データにより前記管理コンピュータを認定するものであり,各監視端末が,中継側の管理コンピュータを認証することに格別の意味を有するのである。
したがって,先願発明と本願発明とは,発明の対象が異なり,解決すべき課題も異なっているから,相違点1は,「課題解決するための具体的手段における微差」とはいえない。
( ) 審決において参酌した技術常識の根拠として引用されている特開平6-1 332954号公報(甲12),特開平5-227162号公報(甲13),特開平7-170256号公報(甲14),特開平10-79732号公報(甲15),特開平6-53956号公報(甲16),特開平6-268710号公報(甲17,以下,上記六つの公報を「甲12公報等」ということがある。)には,二者間の認証は記載されているが,中継側である管理コンピュータを各監視端末が認証する点の記載はないから,上記技術常識についての審決の認定は誤りである。
( ) 審決は,相違点1についての判断において,「先願発明はセキュリティに 4関する発明を対象としている」(審決謄本11頁最終段落)と認定しているが,先願明細書の記載から,先願発明が屋内の状態を監視等するホームセキュリティを対象としていることは理解できるが,情報の漏洩に関する対策等の情報通信に関するセキュリティは記載されていない。そして,情報通信のセキュリティを目的としない先願発明において,「Web端末(監視端末)には,中継側であるWebサーバ(管理コンピュータ)を認証可能な認証データが登録され,この認証データにより前記Webサーバ(管理コンピュータ)を認定するものを当然備えている」(同)とみるのは,不自然であり,当業者の技術常識に反する。
4 取消事由4(相違点2についての判断の誤り)( ) 審決は,相違点2について,「相違点(2)の『管理コンピュータから監 1視端末の通信端末に接続不能な状態,若しくは監視手段からの情報が前記管理コンピュータに送信されてこない状態が,前記管理コンピュータで確認された時に,所定の異常通知をアクセスした利用者に送信する手段』は,技術常識参酌すれば課題解決するための具体的手段における微差であるといえる。」(審決謄本12頁第2段落)と判断しているが,誤りである。
( ) 先願明細書には,iモードの携帯電話機を利用するもののみが開示されて 2いるところ,iモードにおいては,携帯電話等の端末が,アクセスしたサーバから所定の時間内に所定のデータが取得できない場合には,「タイムアップ」という機能により,自動的に通信が遮断されるようになっているから,先願発明は,相違点2に係る本願発明の構成を備える必要はない。すなわち,何らかの異常がある場合,利用者が管理コンピュータにアクセスしても,自動的にタイムアウト処理がされるので,先願発明においては,相違点2に係る本願発明の構成を備えなくとも,利用者は異常があることを判別できる。
( ) 被告が,通信分野において,接続不能な状態が確認されたときに,同事実 3を監視センター等(アクセスした利用者)に伝えることが技術常識であることの根拠として引用する特開平8-273067号公報(甲21,以下「甲21公報」という。),特開平8-172490号公報(甲22,以下「甲22公報」という。)及び特開昭63-173436号公報(甲24,以下「甲24公報」という。)は,通信不能状態を常時監視しているシステムのものであるのに対し,本願発明は常時監視システムではないのであり,通信分野のあらゆる発明において,接続不能状態が確認されたときにそれを監視センター等に伝えることが技術常識であるとはいえない。また,被告が,中継器と端末間の異常を検出したとき,これを第三者に知らせることが技術常識であることの根拠として引用する甲18公報,特開平5-197870号公報(乙9,以下「乙9公報」という。)及び実用新案登録第3061430号公報(乙10,以下「乙10公報」という。)に記載されている装置等の機能及び役割は,本願発明の管理コンピュータの機能及び役割と全く異なったものである。
被告は,管理コンピュータが異常を発見した場合,それをアクセスした利用者に通知することは,サービス業者が遵守すべきサービス等の範疇であるとも主張するが,サービスの内容は利用者の要求度等,種々の事情で定められるものであり,直ちに,サービス等の範疇であると片付けられるものでない。
( ) 先願発明は,そもそも,管理コンピュータから監視手段の通信端末に接続 4不能な状態,若しくは,監視手段からの情報が管理コンピュータに送信されてこない状態を管理コンピュータで確認する確認手段を備えていない。
5 取消事由5(優れた効果の看過)本願発明は,先願発明にない優れた効果を奏するものであるのに,審決は,これを看過した結果,先願発明との同一性の判断を誤ったものである。
すなわち,@ 本願発明の監視端末には,中継側である管理コンピュータを認証可能な認証データが登録されており,監視端末により認証された管理コンピュータしか情報を得ることができないため,情報の秘匿性が格段に向上し,また,A 本願発明では,通信不能な状態の時は,電話が何者かに切断又は使用不能にされた可能性があるので,その旨利用者に送信され,また,監視端末からの情報が管理コンピュータに送信されてこない時も,監視端末に何らかの損傷を与えられた可能性があるのでその旨利用者に送信されるから,利用者はリアルタイムに異常の内容を知ることができて安心することができるばかりか,その対策を的確にとることができるという効果を奏するものである。
被告の反論
審決の認定及び判断には誤りはなく,原告主張の審決取消事由はいずれも理由がない。
1 取消事由1(優先権主張の効果の判断の誤り)について( ) 原告は,基礎出願明細書に,「インターネット」,「中継側である管理コ 1ンピュータ側に,利用者IDと,この利用者IDに対応付けられて登録された該利用者が監視したい場所に設置されている監視端末に付与されている・・・アドレスデータと,が登録されている利用者データベース」及び「前記アクセスした利用者側と予め契約されて利用者IDに対応付けられて登録されている・・・アドレスデータを用いて,前記管理コンピュータがインターネットや電話網からなる通信回線網を利用して監視端末に働きかける手段」との事項が記載されている旨主張するが,以下のとおり,理由がない。
( )ア 一般にインターネットという場合には,狭い意味でのインターネットで 2ある「TCP/IPプロトコルで常時接続されているネットワークの集合体」と,やや広い意味でのインターネットである「ダイヤルアップ接続などによる一時的なネットワーク接続や,パソコン通信サービス,UUCPなど,TCP/ IP以外のプロトコルによる接続を含んだもの」を指す。
基礎出願明細書には,図1又は図4に公衆回線9の開示は認められるものの,公衆回線9は,インターネット網を経由せずに電話番号で電話できる公衆回線であるから,「インターネット」でないことは明らかであるし,同明細書には,公衆回線9を通じて,上記意味のインターネットや社内LANに接続するとの記載や,インターネットプロバイダと呼ばれる業者に公衆回線を通じてダイヤルアップして,業者の保有する専用線を使ってインターネットに接続することの記載も示唆もないし,インターネットを特徴づける技術的特徴である「TCP/IP」,「プロバイダ」,「DNSサーバ」,「IPアドレス」,「Web」などの記載も一切ない。基礎出願明細書に開示された「電話回線を用いた情報供給システム」は,呼出側の携帯電話11等と特定電話側の電話機8等とを公衆回線9,中継局17を介して接続するのであり,インターネット以外の通信手段によって,十分実現できるから,公衆回線9を通じてさらにインターネットやLANに接続する必要性は全くない。
イ 原告は,基礎出願明細書において,利用者側と仲介コンピュータとで構成されるネットワークと,制御端末5と仲介コンピュータとで構成されるネットワークとが異なったネットワークであると主張するが,利用者側,制御端末及び仲介コンピュータが同一のネットワークである電話の公衆回線網に接続されているのであるから,原告の主張は失当である。
ウ(ア) 基礎出願明細書には,パーソナルコンピュータ14,モバイルコンピュータ15の使用が記載されているが,それらのコンピュータと制御端末5との間に中継局17の仲介コンピュータが接続されたとしても,電話の公衆回線網が異なるネットワークに分離されることはなく,異なるネットワーク間の接続に必要なTCP/IPプロトコルの必然性はないから,パーソナルコンピュータ等は,電話の公衆回線9のみに接続され,インターネットに接続する必要はない。
そして,モバイルコンピュータを外出先で基地局を介して利用する場合にも,インターネット以外の接続形態は可能であり,特開平11-55743号公報(乙5,以下「乙5公報」という。)の段落【0003】及び【0037】には,モバイルコンピュータ(PC1又はPC2)が,基地局(基地局装置CS2等)を介して利用される場合に,インターネット接続以外の形態をとることが示されている。
(イ) 基礎出願明細書には,携帯電話11が示されているが,同明細書には,同携帯電話が,インターネット接続サービス(iモード)に関するものであるとの記載も示唆もないほか,乙5公報に記載された技術に照らせば,同明細書の基地局10は,インターネット接続とは関係なく,無線通信(携帯電話との通信)と有線通信の間をつなぐための単なる基地局として普通に説明できる。基礎出願明細書に記載された携帯電話の図(図3)が,iモード用の携帯電話を模写したものであるとする原告の主張は,現実のiモード用の携帯電話との操作ボタンの配備の違い等からもその根拠がきわめて希薄であるし,乙6公報には,携帯電話(着信側PS)が,iモードやインターネット接続を使用することなく,画像情報を受け取ってそれを画面に再生できることが示されている。
エ(ア) 原告は,基礎出願明細書の変形例に記載されている「呼び出し信号」(段落【0034】)が,インターネット上の「IPヘッダー」であると主張するが,同明細書には,同信号が,IPアドレスを示唆する記載はないし,それらの信号は,特公平6-12912号公報(乙7,以下「乙7公報」という。)や株式会社オーム社平成4年5月30日発行「ISDN絵とき読本」(乙8,以下「乙8文献」という。)に照らせば,インターネットを利用しないISDN回線を用いたデータ通信の手順で十分説明ができる。したがって,ISDN回線から送られてくる「呼び出し信号」が電話番号に当てはまらなければ,「IPヘッダー」であるという原告の主張には論理の飛躍があり,同記載はインターネット使用の根拠とはならない。
(イ) 画像データも扱えることからインターネット人口が爆発的に増加し,基礎出願時,コンピュータとパソコンをインターネット接続サービスでつなぐことが大勢であったという,原告主張の一般的な世の中の出来事と,基礎出願明細書にインターネットを利用することが記載されていることとは,全く別のことである。
( ) 基礎出願明細書には,「中継側である管理コンピュータ側に,利用者ID 3と,この利用者IDに対応付けられて登録された該利用者が監視したい場所に設置されている監視端末に付与されている・・・アドレスデータと,が登録されている利用者データベース」のような「利用者データベース」は,開示されておらず,また,これが自明な事項であるということもできない。もっとも,同明細書には,「利用者が監視したい場所に設置されている監視端末」は記載されているが,この監視端末が,「利用者IDに対応付けられて登録され」ていることは,記載も示唆もない。さらに,基礎出願明細書には,「アクセスした利用者側と予め契約されて利用者IDに対応付けられて登録されている電話番号」については開示されていると認められるものの,「アクセスした利用者側と予め契約されて利用者IDに対応付けられて登録」されている「アドレスデータ」を用いて,「管理コンピュータ」が「インターネット」を「利用して監視端末に働きかける手段」については,開示がないことは明らかである。
2 取消事由2(先願発明の認定の誤り)について( ) 原告は,審決が,「Webサーバ2がWeb端末機3に回線接続要求する 1ために必要なデータは,電話番号もしくはインターネットのアドレスデータであるといえる。」(審決謄本7頁第1段落)と認定したことを論難し,審決が引用した先願明細書の段落【0016】には,インターネット網に回線接続されていないWebサーバ2とWeb端末機3の間の通信が記載されているにすぎない旨主張する。
しかし,先願明細書の段落【0016】に続く段落【0017】には,Web端末機3が専用線でインターネット網に常時接続されている状態が記載され,その場合に,Webサーバ2がWeb端末機3に回線接続要求するために必要なデータは,インターネットのアドレスデータであることは技術常識であるから,中継側のWebサーバ2には,ユーザIDと,ユーザIDに対応付けられて登録されたユーザが監視したい場所に設置されているWeb端末機3に付与されている電話番号もしくはアドレスデータが登録された,本願発明でいうところの「利用者データベース」が備えられているといえるから,審決の認定に誤りはない。
( ) 原告は,審決が,先願明細書でいうモバイル制御・計測システムの運営会 2社と,iモード等のサービスをしているNTTドコモとを混同しているか同一視しているとして,審決の,「iモード等のサービスを受けるためには,アクセスする利用者とサービスを提供する側と予め契約をすると考えられることから,先願明細書に記載された『モバイル制御・計測システム』は,アクセスしたユーザ側と予め契約されてユーザIDに対応されて登録されている電話番号もしくはアドレスデータを用いているものといえる。」(審決謄本8頁第3段落)との認定を争う。
しかし,審決の同記載は,「iモード等のサービス」を例に挙げて「サービスを受けるためには,アクセスする利用者とサービスを提供する側と予め契約をすると考えられる」としたものであって,審決は,NTTドコモと契約することについては何ら触れておらず,そもそも,先願明細書に記載された「モバイル制御・計測システム」について,その運営をどこで行うかは先願発明の認定に関係のないことである。
3 取消事由3(相違点1についての判断の誤り)について( ) 原告は,相違点1についての審決の判断を争い,先願明細書の段落【00 116】の記載を根拠に,先願発明は,Web端末機3がWebサーバ2を認証する必要のない独特の接続方式を採用しているとする。
しかし,先願明細書の段落【0017】には,Web端末機3が,専用線でインターネット網に常時接続されている状態が開示されていて,この場合,先願発明がWeb端末機3がWebサーバ2を認証する必要のない独特の方式であると決めつけることは,誤りである。
( ) 原告は,審決が技術常識であるとして引用する甲12公報等には,二者間 2の認証は記載されているが,中継側である管理コンピュータを各監視端末が認証する点の記載はないし,また,先願発明は情報通信のセキュリティを目的とするものではないと主張する。
しかし,審決は,ネットワークを通じて通信を行う場合には,他の装置から通信要求を受けたときに,その装置(発信者装置)と通信をしてよいか判断するために認証を行うことが技術常識であることの根拠として甲12公報等を挙げたもので,原告の主張は当を得ていない。インターネットの技術分野において,セキュリティのために通信相手の認証を行うことは,日経BP社平成9年4月25日発行「新・情報通信早わかり講座A」(102頁〜103頁)(乙2,以下「乙2文献」という。),株式会社オーム社平成7年5月25日発行「マスタリングTCP/IP インターネットワーク編」151頁〜167頁(乙1,以下「乙1文献」という。),株式会社エクシードプレス平成12年11月15日発行「10のポイントで学ぶインターネット基礎技術」143頁〜182頁,235頁〜250頁(乙3,以下「乙3文献」という。)に記載のとおり,技術常識である。したがって,先願明細書に記載がなくとも,監視端末に,中継側である管理コンピュータを認証可能な認証データが登録され,この認証データにより管理コンピュータを認定するという相違点1に係る本願発明の構成は,課題の解決をするための具体的手段における微差である。
4 取消事由4(相違点2についての判断の誤り)について( ) 原告は,相違点2についての審決の判断を争い,先願発明は,「タイムア 1ップ」という機能があるiモード携帯電話機を利用するものであるから,相違点2に係る本願発明の構成を備える必要がない旨主張する。
しかし,先願発明は「iモード」を要件とするものではないから,先願発明が「iモード携帯電話機」を利用することを前提とする原告の主張は失当である。相違点2は,管理コンピュータと監視端末の通信端末との間において,接続不能な状態,若しくは,監視手段からの情報が前記管理コンピュータに送信されてこない状態が,管理コンピュータで確認された時に,所定の異常通知を,アクセスした利用者に送信する点に係るものであり,iモード携帯端末と管理コンピュータとの間における異常通知に関することは,相違点2の検討において関係のないことである。
( ) 甲21公報,甲22公報及び甲24公報によれば,通信分野において,接 2続不能な状態が確認された時に,監視センター等(アクセスした利用者)に伝えることは技術常識であるのみならず,そもそも,防犯等のセキュリティを目的とする先願発明において,管理コンピュータがその異常を感知した場合に,利用者本人に通知する仕組みになっていることは,当然であり,サービス業者が遵守すべき商慣行として当然期待されるものであって,先願発明は,所定の異常通知をアクセスしたユーザ(利用者)に送信する手段を当然備えているとみるのが,自然であり常識である。
また,原告は,先願発明は,管理コンピュータから監視手段の通信端末に接続不能な状態等を管理コンピュータで確認する確認手段を備えていないと主張するが,甲18公報,乙9公報及び乙10公報によれば,中継器と端末間の異常を検出したとき,これを第三者に知らせることは,技術常識であり,防犯等のセキュリティを目的とする先願発明において,接続不能な状態が発生した場合に,管理コンピュータが接続不能な状態を確認する仕組みになっていることは当然に予想されるところである。
そうすると,相違点2に係る本願発明の構成は,先願明細書に記載された発明に,本願出願前に周知のものを単に付加したものにすぎないことに帰する。
5 取消事由5(優れた効果の看過)について本願発明の効果は,周知の技術から予測できるものであって,格別なものではない。すなわち,先願発明において,セキュリティに関する情報を監視端末により認証されたコンピュータしか得ることができないようにすることは,当然考慮すべき事項であるといえるから,監視端末により認証された管理コンピュータしか情報を得ることができないことにより,情報の秘匿性が格段に向上することは予想される効果であって,格別なものではない。先願発明において,管理コンピュータから監視端末の通信端末に接続不能な状態,若しくは,監視端末からの情報が管理コンピュータに送信されてこない状態をアクセスした利用者に何も知らせないということは考えられないから,原告が主張する,利用者がリアルタイムに異常の内容を知ることができて安心でき,その対策を的確に取ることができるという効果は,予想される効果であって,格別なものではない。
当裁判所の判断
1 取消事由1(優先権主張の効果の判断の誤り)について( ) 審決は,「請求項1に係る発明(以下,『本願発明』という。)は,上記 1国内優先の基礎となった出願の明細書又は図面(注,基礎出願明細書)に開示がない『インターネット』,『中継側である管理コンピュータ側に,利用者IDと,この利用者IDに対応付けられて登録された該利用者が監視したい場所に設置されている監視端末に付与されている・・・アドレスデータと,が登録されている利用者データベース』,『前記アクセスした利用者側と予め契約されて利用者IDに対応付けられて登録されている・・・アドレスデータを用いて,前記管理コンピュータがインターネットや電話網からなる通信回線網を利用して監視端末に働きかける手段』等の事項を発明の構成要素とする」(審決謄本2頁第2段落)としたのに対し,原告は,上記「インターネット」等の事項は,基礎出願明細書に開示されていると主張する。
( ) そこで,まず,本願発明の要旨の規定する「インターネット」の意義につ 2いて検討する。
ア 本件明細書の特許請求の範囲の記載によれば,本願発明において,管理コンピュータは,「インターネットや電話網からなる通信回線網の中に設置され」ていること,利用者は,「インターネットや電話網からなる通信回線網を利用してアクセスしてくる」こと,管理コンピュータは,監視端末に「インターネットや電話網からなる通信回線網を利用して働きかける」こと,管理コンピュータは,監視端末から入手した情報を「インターネットや電話網からなる通信回線網を用いて」利用者に供給することが,それぞれ認められる。そうすると,本願発明の要旨の規定する「インターネット」は,管理コンピュータと監視端末との間及び管理コンピュータと利用者との間において,通信の経路として,電話網からなる通信回線網と選択的に利用されるというものであり,明らかに,「インターネットや電話網」からなる通信回線網を利用する情報供給システムである。
イ 一般に,「インターネット」という用語についてみると,甲6文献には,以下の記載がある。
(ア) 「インターネットには,接続の方法などにより,いくつかの定義がある。もっとも狭い意味でのインターネットは,『TCP/IPプロトコルで常時相互接続されているネットワークの集合体』である。TCP/IPは,別名インターネット・プロトコル・スイートとも呼ばれており,インターネットとは切っても切れない関係である。詳しくは,次節で解説する。やや広い意味でのインターネットでは,ダイアルアップ接続などによる一時的なネットワーク接続や,パソコン通信サービス,UUCPなどTCP/IP以外のプロトコルによる接続を含んだものであるthe (図表1)。このふたつの定義のインターネットは,英語ではと固有名詞として表現されている。もっとも広い意味のインタ Internetーネットは,単にネットワーク同士の接続を意味しており,英語ではと表記される。本項では,とくに断らない限り『インターネッ internetト』は,広い意味での を示すものとする。コンピュータ・ the Internetネットワークの研究対象自体として,あるいは学術研究者の情報交換の場として生まれ,発展を遂げてきたインターネットは,今日では一般市民を含む,百数十カ国以上,数千万人以上のひとが使い,情報交換を行う巨大な通信インフラとして成長してきた。電話網に次ぐ規模の通信インフラとなっただけでなく,近い将来電話網や放送網をも飲み込む存在になるとの予測も生まれてきている。」(585頁左欄第1段落〜右欄最終段落)(イ) 「続いて,通信方式の面からインターネットの特徴をみてみよう。インターネットは,従来からの電話技術によって接続されていることが多い。しかし,インターネットは,パケット交換による通信が行なわれている。パケット交換では,通信が行なわれていないときでも,回線自体は常に接続されていることが前提となる。・・・一方,インターネットで使われるIP( :詳しくは後述)接続は,パケット交 Internet Protocol換が使われている。データに,宛先などの情報を含むヘッダを付けてパケット(ひとかたまりのデータ)として送り出す。」(590頁右欄第3段落〜最終段落)(ウ) 上記(ア)の記載に引き続く,「どこまでがインターネットか(図表1)」と題する図表1(586頁上欄)には,狭義のインターネット及び広義のインターネットが図示されている。狭義のインターネットには,ネットワーク相互が専用線で結ばれ,その接続には「IP」と表記されている。広義のインターネットとして,上記狭義のインターネットに含まれるネットワークに対し,端末が携帯電話,ISDNによって結ばれていたり,ネットワークが「加入電話UUCP」によって接続されている図が示されている。
ウ 上記アのとおり,本願発明の要旨の規定する「インターネット」は,管理コンピュータと監視端末との間及び管理コンピュータと利用者との間において,通信の経路として,電話網からなる通信回線網と選択的に利用されるという技術内容のものであるから,そのような技術内容を一切捨象した,単にネットワーク同士の接続を意味する「もっとも広い意味のインターネット」が,これに当たらないことは明らかであり,TCP/IPプロトコルで常時接続されているネットワークの集合体を意味する「もっとも狭い意味でのインターネット」か,あるいは,ダイヤルアップ接続等による一時的なネットワーク接続や,パソコン通信サービス,UUCPなどによる接続も含んだ「やや広い意味でのインターネット」を意味すると解するのが相当である。
( ) 他方,基礎出願明細書(甲4)には,情報供給システムの接続に関し,以 3下の記載がある。
ア 「【発明の属する技術分野】本発明は,電話回線システムを用いた特定領域の監視システムに係り,特に外出先から電話やパソコンを用いて監視情報を得られるようにした特定領域の情報供給システムに関する。」(段落【0001】)イ 「【発明が解決しようとする課題】そこで,本発明にあっては,電話回線(有線,無線を含む。)を利用して,必要な時,また心配な時に限らず,頻繁に断続的にでも特定領域である例えば自宅内の様子を監視できるようにした電話回線システムを用いた特定領域の監視システムを提供することによって泥棒の侵入の抑止力はもとより,早急な警察絵の通報が可能となママり,また異常の有無をリアルタイムに知れることにより,発呼者に安心を与えられる。また寝たきりの老人や子供を残して外出する場合にも外出先から安価にモニターできるようにする電話回線を用いた情報供給システムを提供することを目的としている。」(段落【0005】)ウ 「本発明の電話回線を用いた情報供給システムは,前記情報供給システムが,少なくとも呼出側,中継側そして特定電話側で構成され,特定電話側の制御部には中継側と取り決められた特定のアクセスコードが記憶されており,中継側から同一のアクセスコードを受けた時のみ監視手段によって得られた情報を中継側に送信するようになっていることを特徴としている。この特徴によれば,中継側のみからしか情報を得られないため,情報の秘匿性が向上する。」(段落【0007】)エ 「家屋の部屋100内には,通信端末の1例としての電話機8が設置されており,この電話機8には制御部として機能する制御端末5が連絡されている。制御端末5には,アンテナ6が設けられており,前記した制御装置4に対して所定の制御信号を送れるようになっている。」(段落【0014】)オ 「また,公衆回線9が,電話機8等の通信端末と接続されているのは当然であるが,特別な異常事態が生じた時等に,公衆回線9からこの電話機8を通過させずに,直接制御端末5もしくは制御装置4に回線接続して,監視手段の情報を外部に取り出すシステム構造としてもよい。」(段落【0016】)カ 「9は,公衆回線網であり,各種公衆電話機13,一般電話機に,パーソナルコンピュータ14,さらにモバイル端末である携帯電話11やモバイルコンピュータ15との通信中断部(注,「通信中継部」の誤記と認める。)である基地局10に連絡されている。」(段落【0018】)キ 「公衆回線網9間には,中継局17が位置し,この中継局17は,データを処理してサービスする仲介コンピュータ等で構築されたシステムである。」(段落【0019】)ク 「図2に基づいて本システムの利用概要を説明すると,図1で示した電話機8を主とするシステムが特定電話側,そして,外部のアクセス手段としての携帯電話11,モバイルコンピュータ15等が呼出側であり,前述の中継局17が中継側として定義されている。」(段落【0020】)ケ 「外出した前述の登録者は,部屋100内に特別な状態(異常)があるのかどうか必要になった時,図2に示すように中継側へ携帯電話11等を用いて電話する。すると,中継側は自動応呼機能が働き,応呼する。」(段落【0023】)コ 「この応呼によって通信ラインが接続され,中継側は呼出側の電話番号,ID番号等を確認するとともに,この電話番号やID番号が登録されているかどうかを自己のデータベースの登録番号と比較して検索する。」(段落【0024】)サ 「図4には,図1の変更例が示されており,図4のものは,その制御端末5が公衆回線9に接続され,通信端末として機能する点が相違している。
すなわち,制御端末5はその一部がターミナルアダプタとして機能するものであり,ISDNの回線から送られてくる呼び出し信号な付加された特ママ別な信号を受けて,電話機8に着呼信号を与える前に直接,この制御端末5と交信できるようになっている。この場合,中継側から特別な信号によってのみ制御端末5が起動するようになっているため,図2に示されるような暗号モードの送信は省略することも可能である。」(段落【0034】)( ) 上記( )アないしウのとおり,基礎出願明細書には,「本発明は,電話回 43線システムを用いた特定領域の監視システムに係り」(段落【0001】),「本発明にあっては,電話回線(有線,無線を含む)を利用して」(段落【0005】),「本発明の電話回線を用いた情報供給システムは・・・を特徴としている」(段落【0007】)等と,本願発明が「電話回線」のシステムを利用する情報供給システムであることが繰り返し記述されているところ,上記( )イ(ア)に,広い意味でのインターネットが,「電話網に次ぐ規 2模の通信インフラとなっただけでなく,近い将来電話網や放送網をも飲み込む存在になるとの予測も生まれてきている」と記載されていることからも明らかなとおり,元来,インターネットは,電話網(電話回線)と異なる概念を有するものであって,「電話回線」というとき,インターネットの接続を含まないのが通例である。
そして,基礎出願明細書に示されている上記( )の技術内容をみると,そ 3こに開示されているネットワークというのは,@ 中継局17が公衆回線9に接続され,A 中継局17は,それが接続された一方の公衆回線9を介して,部屋100内に置かれた電話機(通信端末)8を経由して,又は直接に,制御端末(制御部)5に接続され(図1は,電話機8を経由して制御端末5に接続される構成,図4は,制御端末5に直接接続する構成),B 制御端末5は,部屋100内に設置された監視手段1,2,3に接続された制御装置4と通信可能とされ,C 中継局17は,それが接続された他方の公衆回線を介して,公衆電話機13,パーソナルコンピュータ14に接続され,Dさらに,中継局17は,基地局10を経由して携帯電話11,モバイルコンピュータ15に接続された構成となっていることが認められる。
したがって,基礎出願明細書に示されている発明において,中継局と制御端末(部屋内に置かれた電話機〔通信端末〕を経由する場合は,同電話機)との間の情報伝送は,公衆回線を通じてされるものであり,また,中継局と呼出側の登録者との間の情報伝送も,公衆回線を通じてされるものであると認められる。そして,ここでいう「公衆回線」として,「電話回線(有線,無線を含む)」が想定されていることは明らかであり,他方,基礎出願明細書には,上記( )ウの本願発明における「インターネット」を通信の経路とし 2て使用することを明示した記載はないし,基礎出願明細書の上記技術的事項を実現するために,技術的にインターネットの使用が不可欠であるとは認められない。
その他,基礎出願明細書を精査しても,通信の経路として「インターネット」を用いるという技術的事項に関する記載を見いだすことも,何らかの示唆をうかがうこともできない。
したがって,本願発明の要旨の規定する,通信の経路として「インターネット」(「もっとも狭い意味でのインターネット」ないし「やや広い意味でのインターネット」)を用いるという技術的事項は,基礎出願明細書には記載されているということはできない。
( ) 原告は,以下のとおり,種々の理由を挙げて,基礎出願明細書に「インタ 5ーネット」についての記載がある旨主張するが,いずれも失当である。
ア 原告は,基礎出願明細書には,「インターネット」という用語は用いられていないが,利用者と仲介コンピュータとで構成される第1のネットワークと制御端末5と仲介コンピュータとで構成される第2のネットワークという,二つの異なるネットワークが,仲介コンピュータを介して,通信を可能とするシステムが開示されているから,基礎出願明細書には,「異なるネットワーク同士の接続」,すなわち,「やや広い意味でのインターネット」が記載されていると主張する。
しかし,原告の上記主張は,単に異なるネットワーク同士の接続があれば,それをすべて,インターネットであるということを前提とする主張というほかなく,本願発明の「インターネット」をそのように「もっとも広い意味でのインターネット」と解することができないことは,上記( )ウ2のとおりであるから,原告の主張は,採用できない。
イ 原告は,基礎出願明細書に,呼出側として,パーソナルコンピュータ,モバイルコンピュータ等が記載されていることを指摘し,パーソナルコンピュータ,モバイルコンピュータ等を呼出側に利用する以上,インターネットに接続していることが明らかであるから,基礎出願明細書には,インターネットの利用が記載されている旨主張する。
しかし,パーソナルコンピュータ,モバイルコンピュータ等のコンピュータ端末が他のコンピュータと通信する場合に,インターネットを利用して情報伝送をしなければならない必然性は全くない。上記端末と中継局のコンピュータとの双方が電話回線によって接続されているのであれば,あえて,インターネットを利用するまでもなく,双方を接続する電話回線のみを利用した状態のままで,両者間の情報を伝送できることは明らかであり,例えば,乙5公報にも,ISDN等の電話の公衆回線を介してパーソナルコンピュータ,基地局装置CS1A〜CSnA,PHS端末PS1〜PSm,情報携帯端末PCa,PCbが接続されたシステムが記載されている。また,原告は,基礎出願時のインターネットの利用状況等も述べるが,そのような一般的状況によって,明細書に記載されていない事項を自明であるとすることは,到底できない。したがって,原告の上記主張は,採用できない。
ウ 原告は,基礎出願明細書に,呼出側として携帯電話が記載されていることを指摘し,同携帯電話について,それがNTTドコモが採用する,インターネットに接続可能なiモードと呼ばれる携帯端末であると主張し,その根拠として,@ 基礎出願の出願時にiモード加入者が約400万人に及んでいること,A 基礎出願明細書の図3の携帯電話11は,代表的なiモードの携帯電話を模写したものであること,B 携帯電話端末が,画像情報を受け取りそれを画面に再生するには,デジタルデータである画像データを再生できるインターネットに接続可能なiモードしかないことを挙げる。
しかし,上記イと同様,携帯電話端末と中継局のコンピュータの双方が電話回線によって接続されているのであれば,あえて,インターネットを利用するまでもないのであり,基礎出願明細書に図示されている携帯電話がiモードと呼ばれる携帯端末であるとしても,それがインターネットの利用に結び付くものでない。
また,携帯端末で画像情報を受け取り,それを画面で再生することと,インターネットを情報伝送経路として使用することとの技術的必然性は何ら認められず,現に,乙6公報には,画像を受け取り,それを画面に再生できる携帯電話(PHS)が記載され,その通信は,画像の受信,表示,終了までの一連の手順をインターネット接続を使用することなく完結している(段落【0056】〜【0059】,【0063】,【0065】,図11)。原告は,上記公報の画像が小さなものであるとの指摘もするが,受信画像の大きさとインターネットの使用との間に,技術的関連はない。
以上のとおり,基礎出願明細書に,インターネット接続も可能なパーソナルコンピュータ,モバイルコンピュータ等が記載され,また,インターネット接続にも利用できるiモードと呼ばれる携帯端末が図示されていたとしても,それをインターネット接続に係る技術事項の開示に結びつけるような記載が基礎出願明細書にはないのであるから,原告の主張は,失当というほかない。
エ(ア) 原告は,制御端末が,ISDN回線から送られてくる「呼び出し信号」を受けるとの基礎出願明細書の段落【0034】の記載について,ISDNの回線では,電話交換機から受信端末装置に電話番号は送られないという電話の原則,及び,当該「呼び出し信号」が制御端末の起動を命令する「特別な信号」を付加し,パケット状態で送信されることからすると,当該「呼び出し信号」は,インターネット上の「IPヘッダー」であるとしか考えられないとして,基礎出願明細書には,インターネットの利用が記載されていると主張するので,まず,段落【0034】について検討する。
(イ) 基礎出願明細書の段落【0034】には,次のような記載がある。
「図4には,図1の変更例が示されており,図4のものは,その制御端末5が公衆回線9に接続され,通信端末として機能する点が相違している。すなわち,制御端末5はその一部がターミナルアダプタとして機能するものであり,ISDNの回線から送られてくる呼び出し信号な付ママ加された特別な信号を受けて,電話機8に着呼信号を与える前に直接,この制御端末5と交信できるようになっている。この場合,中継側から特別な信号によってのみ制御端末5が起動するようになっているため,図2に示されるような暗号モードの送信は省略することも可能である。」上記記載は,電話回線であるISDNの回線に接続された通信端末の起動手続を説明しているものである。
(ウ) そこで,ISDN回線における受信端末の起動手順についてみると,乙8文献には,「図4.33に,呼設定の起動を行うSETUPメッセージの構成例を示します。この例では,共通部につづいて4つの情報要素が入れられています。まず, として,設定される呼 Bearer Capabilityに必要な交換モード,転送速度などのベアラ(通信路)の属性を示します。次に, ( などのチャネルの指定)として, Channel Identification B /B12呼で使用を希望するチャネルを指定します。 (呼の Called Party Number着信先番号)として,通信相手先の電話(ISDN)番号を入れます。
最後に, (ユーザー間でのレイヤ4以上の機 High Layer Compatibility能)として通信サービスの種類が入れられ,これは後で述べるように,着信側に複数端末がある場合の選択に用いられます。」(109頁5行目〜110頁3行目),「呼設定は,まず発信者からのSETUP(呼設定の要求)メッセージの送出により起動されます。」(110頁末行〜111頁1行目)との記載がある。そして,乙8文献の109頁の「表4.11 レイヤ3のメッセージとその機能概要」において,「呼設定メッセージ」の1行目に,英語の「SETUP」について,日本語では「呼設定」,機能概要は「呼設定の要求」と解説されている。また,同110頁の図4.33には,(呼の着信先番号) Called Party Numberの情報要素に対し, の情報要素が付加されてい High Layer Compatibilityる様子が記載され,また, の内容として,サー High Layer Compatibilityビス種別(電話,ファクシミリ,テレテックスなど)の指定と記載されている。
これらの記載によれば,ISDN回線においては,まず,呼設定メッセージが受信端末に向かって送信されること,その呼設定メッセージの内容として一つには, (呼の着信先番号)があり, Called Party Numberそこには,通信相手先の電話(ISDN)番号が入れられること,また一つには, (呼の着信先番号)に付加して,通信サ Called Party Numberービスの種別を指定する (ユーザー間でのレイ High Layer Compatibilityヤ4以上の機能)の情報要素があることが認められる。
そうすると,段落【0034】の「ISDNの回線から送られてくる呼び出し信号」は,電話番号である を含む「呼設定 Called Party Numberメッセージ」に,「特別な信号」は,電話番号等にそれぞれ付加されてHigh Layer 送られる,サービス種別などを指定する信号()に相当すると認められ,インターネットとは何らの関係 Compatibilityもないものである。
(エ) 原告は,基礎出願明細書の段落【0034】の「呼び出し信号」が,インターネット上の「IPヘッダー」であることの根拠として,電話交換機から受信側装置には電話番号は送られないと主張する。しかし,ISDN回線における上記送信方法に照らすと,ISDN回線においては,受信端末に電話番号等の信号が送られることが明らかであり,このことは,特開平11-136387号公報(甲33)の6頁の図2及び図3において,電話番号が,デジタル回線網1(ISDN回線)から宅内の終端装置まで伝送されていることからも明らかである。
したがって,原告の上記主張も理由がない。
(オ) 以上のとおり,基礎出願の出願前におけるISDNに関する技術常識に基づいて段落【0034】をみると,原告主張のように,同段落の「呼び出し信号」がインターネット上の「IPヘッダー」であるというのであれば,基礎出願明細書中に,それを裏付ける何らかの記載がなければならないはずである。ところが,上記のとおり,基礎出願明細書を精査しても,何らインターネットに係る記載を見いだすことはできないのである。
原告は,基礎出願明細書にインターネットに係る記載がないことを自認しつつ,インターネットとかかわりがなくはない語句を手掛かりに,基礎出願明細書には存在しない技術を本願発明に取り込もうとしているのであって,これが許されないことは,いうまでもないところである。
オ 原告は,インターネット人口の爆発的な増加やコンピュータとパソコンをインターネット接続サービスでつなぐことが大勢となっていたことを挙げて,基礎出願明細書にはインターネットの利用が記載されている旨主張する。
しかしながら,基礎出願の出願時の技術水準が原告主張のような状態であったとしても,基礎出願明細書に記載されていない以上,そのような技術を取り込むことは許されない。むろん,必ず明細書に明記されていなければならないものではないが,優先権制度の趣旨は,基礎出願明細書に開示した事項について,先の出願日の利益を享受できるとするものであるから,記載されているに等しい事項と,記載に基づいて容易に認識できる事項とは区別すべきであり,インターネットが広く知られており,基礎出願明細書に接した当業者が,基礎出願の発明を実施するのにインターネットを使ってもよいと認識したとしても,それだけでは,記載されていたに等しいと評価するには足りない。記載されているに等しい事項というためには,当業者において,明細書に当然に記載があると認識できる程度に自明となっていなければならないところ,基礎出願明細書がそのようなものとなっていないことは,明らかである。
( ) したがって,基礎出願明細書に,通信の経路としてインターネットを利用 6することが記載されていることを前提とする原告の取消事由1の主張は,その余について判断するまでもなく,理由がない。
2 取消事由2(先願発明の認定の誤り)について( ) 原告は,先願発明について,審決の,「Webサーバ2がWeb端末機3 1に回線接続要求するために必要なデータは,電話番号もしくはインターネットのアドレスデータであるといえる。」(審決謄本7頁第1段落)との認定を争い,同認定の際に審決が引用した先願明細書(甲5)の段落【0016】は,インターネット網に回線接続されていないWeb端末機3とWebサーバ2との間における通信が記載されたものであるから,Webサーバ2には,Web端末機3の電話番号が呼び出し用に記録されているにすぎず,Webサーバ2がWeb端末機3に回線接続要求するために必要なデータが,アドレスデータであるはずがない旨主張するので,以下,検討する。
( ) 先願明細書には,以下の記載がある。 2ア 「ところで,通常の家庭でのインターネット網への接続環境は,ダイアルアップ接続が一般的である。したがって,Web端末機3は,通常はインターネット網に回線接続されていない。Webサーバ2から接続する場合は,Webサーバ2から公衆電話回線を介してWeb端末機3に通信し,Web端末機3からダイアルアップ接続するように指令を出す。Web端末機3は,Webサーバ2からの回線接続要求に応じて,インターネット網を介してWebサーバ2に接続する。ISDN回線を利用する場合は,Webサーバ2からDチャンネルを利用してWeb端末機3を起動してもよい。」(段落【0016】)イ 「しかし,Web端末機3が,専用線でインターネット網に常時接続されている場合は,Webサーバ2からWeb端末機3を起動する処理は必要ない。Webサーバ2からWeb端末機3に接続要求をかけ,Webサーバ2に接続させる。Web端末機3が常にWebサーバ2に接続されている場合は,接続要求も必要ない。」(段落【0017】)( ) これらの記載によれば,先願明細書の段落【0016】は,Web端末機 33がインターネットに接続されていない状態を記載したものであるが,段落【0017】には,Web端末機3が専用線でインターネット網に常時接続されている状態が記載され,この場合,Webサーバ2がWeb端末機3に回線接続要求するために必要なデータは,「インターネットのアドレスデ一タ」であり,中継側であるWebサーバ2には,ユーザIDと,このユーザIDに対応付けられて登録されたユーザが監視したい場所に設置されているWeb端末機に付与されているアドレスデータが登録され,Webサーバ2は,同アドレスデータが登録されている利用者データベースを備えているといえる。そして,段落【0016】に記載の状態では,上記アドレスデータに相当するものが電話番号であることを併せると,先願発明についての審決の上記( )の認定に誤りはない。 1もっとも,審決が上記のとおり「Webサーバ2がWeb端末機3に回線接続要求するために必要なデータは,電話番号もしくはインターネットのアドレスデータであるといえる。」と認定した際,先願明細書の段落【0016】のみを引用し,【0017】を引用しなかった点は,十全さに欠けるといわざるを得ない。しかし,段落【0016】には,「Web端末機3は,通常はインターネット網に回線接続されていない。・・・」という記載になっているのに対し,段落【0017】において,「しかし,Web端末機3が,専用線でインターネット網に常時接続されている場合は・・・」という記載になっているのであるから,段落【0016】及び【0017】は,併せて一つのまとまった文章となり,Web端末機3の機能を説明しているのであって,先願明細書の段落【0016】に接した当業者であれば,当然に,段落【0017】にまで目を通すのが通常である。しかも,端末機がインターネット網に接続されていなければ,起動処理が必要であるのに対し,すでに端末機がインターネット網に回線接続されていれば,起動処理が不要なことは,極めて平易な理屈であり,当業者でなくとも理解し得る事柄である。
したがって,上記の点は,形式的かつ軽微なものというべきであり,原告は,殊更,段落【0017】の記載を無視し,審決を論難するものにすぎず,失当というほかない。
( ) 原告は,さらに,審決の「iモード等のサービスを受けるためには,アク 4セスする利用者とサービスを提供する側と予め契約をすると考えられることから,先願明細書に記載された『モバイル制御・計測システム』は,アクセスしたユーザ側と予め契約されてユーザIDに対応されて登録されている電話番号もしくはアドレスデータを用いているものといえる。」(審決謄本8頁第3段落)との認定を争い,審決は,先願明細書でいうモバイル制御・計測システムの運営会社と,iモード等のサービスをしているNTTドコモとを混同しているか同一視しているとか,iモードのサービスにおいて,携帯端末を買えば,NTTドコモを利用して,電話やインターネットアクセスが可能になるだけであるなどと主張する。
しかし,そもそも,審決は,上記のとおり,「iモード等のサービスを受けるためには,アクセスする利用者とサービスを提供する側と予め契約をすると考えられる」と説示しているように,「iモード等のサービス」を例に挙げて,利用者とサービス提供業者間の契約がどういうものかを説明しようとしているのであって,モバイル制御・計測システムの運営会社やiモードのサービスをしているNTTドコモの議論をしているのではない。原告は,iモード等のサービスは携帯端末を買えば,NTTドコモのキャリアを利用して,電話やインターネットアクセスが可能になるだけだというが,携帯端末を買って所定の設定及び手続を経て,電話番号もしくはアドレスデータを取得することにより,初めてiモード等のサービスを受けることができるのであり,これが「契約」というものであって,携帯端末の機器を買ったからといって,直ちに,iモード等のサービスを受けることができるわけではない。
原告は,審決の上記記載の意味を正解せずに論難するものであって,失当というほかない。
( ) 以上のとおり,原告の取消事由2の主張は採用の限りではない。 53 取消事由3(相違点1についての判断の誤り)について( ) 審決は,相違点1について,「先願発明のWeb端末(監視端末)には, 1中継側であるWebサーバ(管理コンピュータ)を認証可能な認証データが登録され,この認証データにより前記Webサーバ(管理コンピュータ)を認定するものを当然備えているとみるのが自然であり技術常識である。したがって,上記相違点(1)の『監視端末には,中継側である管理コンピュータを認証可能な認証データが登録されており,この認証データにより前記管理コンピュータ認定する』ことは,技術常識参酌すれば課題解決するための具体的手段における微差であるといえる。」(審決謄本11頁最終段落〜12頁第1段落)と判断したのに対し,原告は,先願発明は,Web端末機3がWebサーバ2を認証する必要のない独特の接続方式を採用しており,本願発明と大きく異なっている旨主張する。
しかし,上記2( )判示のとおり,先願明細書の段落【0017】には, 3Web端末機3が,専用線でインターネット網に常時接続されている場合が開示されているのに,原告は,殊更,この記載を無視し,先願発明が独特の接続方式であるかのような誤った主張をしているものであり,先願発明が,Web端末機3がWebサーバ2を認証する必要のない独特の方式であるとする原告の主張は前提において既に失当である。
( ) 原告は,審決において技術常識の根拠として引用された甲12公報等には, 2二者間で認証することは記載されているが,中継側である管理コンピュータを各監視端末が認証する点の記載はないから,上記技術常識についての審決の認定は誤りであると主張する。
しかしながら,甲12公報等によれば,先願発明の出願当時,「ネットワークを通じて通信を行う場合には,他の装置から通信の要求を受けたときに,その装置(発信者装置)と通信をしてよいか判断するために認証を行うのが技術常識である」(審決謄本11頁最終段落)と認めることができるし,乙1文献,乙2文献及び乙3文献によれば,インターネットの技術分野において,セキュリティのために通信相手の認証を行うことも技術常識であると認められる。
先願発明は,「【発明の属する技術分野】本発明は,モバイル制御・計測システムに関し,特に,携帯端末機からインターネット網を介して遠隔地にある各種装置の状態を監視し操作するモバイル制御・計測システムに関するものである。」(先願明細書の段落【0001】),「本発明は,上記従来の問題を解決して,一般家庭に広く普及しているパソコンや携帯電話を利用して,ユーザが家庭内機器等の遠隔操作などの管理ができる安価で簡易やモバイル制御・計測システムを実現することを目的とする。」(同段落【0007】)との記載のとおり,パソコンや携帯電話を利用して,家庭内機器等の遠隔操作を可能とするシステムである。そのようなシステムにおいて,システムを構成する各機器が,通信に際し,正当な相手からの通信要求であるかを確認することは,上記技術常識に照らしても,当然であるといえるのであるから,先願発明においても,Webサーバ(管理コンピュータ)から通信の要求を受けたWeb端末機(監視端末)において,同認証を行うことは,当然であるといえる。そして,同認証を行うためには,先願発明において,Web端末機(監視端末)に,Webサーバ(管理コンピュータ)を認証可能な認証データが登録され,この認証データにより,Webサーバ(管理コンピュータ)を認定するものを当然備えていると当業者は理解するものというべきである。したがって,審決の上記認定に誤りはない。
なお,原告は,先願発明が,情報通信のセキュリティを目的としていないなどと主張するが,原告独自の理解に基づく誤った主張であって,採用の限りでない。
( ) したがって,相違点1についての審決の判断に誤りはなく,原告主張の取 3消事由3は理由がない。
4 取消事由4(相違点2についての判断の誤り)について( ) 審決は,相違点2について,「相違点(2)の『管理コンピュータから監 1視端末の通信端末に接続不能な状態,若しくは監視手段からの情報が前記管理コンピュータに送信されてこない状態が,前記管理コンピュータで確認された時に,所定の異常通知をアクセスした利用者に送信する手段』は,技術常識参酌すれば課題解決するための具体的手段における微差であるといえる。」(審決謄本12頁第2段落)と判断したところ,原告は,この判断を争うので,以下,検討する。
( ) 甲21公報,甲22公報及び甲24公報によれば,通信分野において,接 2続不能な状態が確認された場合,アクセスした利用者にそれを伝えることは技術常識であることが認められるし,また,甲18公報,乙9公報及び乙10公報によれば,中継器と端末間の異常を検出したとき,これを第三者に知らせることも,技術常識であることが認められる。
先願発明は,上記3( )のとおり,「モバイル制御・計測システムに関し, 2特に,携帯端末機からインターネット網を介して遠隔地にある各種装置の状態を監視し操作するモバイル制御・計測システムに関するものであ」(先願明細書の段落【0001】)り,遠隔地の装置の監視をも目的とするものであるところ,管理コンピュータから監視の対象である端末に対して接続不能な状態,若しくは,監視手段からの情報が管理コンピュータに送信されてこない状態が,管理コンピュータで確認された場合,監視を行うという目的の達成のためにも,異常通知を利用者に送信する手段を備えることは,合理的であるといえる。
そうすると,前記技術常識が存在する状況下において,先願発明のような目的を有するシステムにおいて,先願明細書に,管理コンピュータから監視端末の通信端末に接続不能な状態,若しくは,監視手段からの情報が前記管理コンピュータに送信されてこない状態が,前記管理コンピュータで確認された場合,所定の異常通知をアクセスした利用者に送信する手段を備えていることが明示されていなかったとしても,同システムに,上記のような異常通知をアクセスした利用者に送信する手段を付加することは,当業者が適宜に配慮することであって,周知技術を付加した設計上の微差にすぎないということができるのであり,先願発明と本願発明は,実質的に同一であると認められる。
( ) 原告は,先願明細書に記載されたiモードの携帯電話を利用する場合,i 3モードに「タイムアップ」という機能があるため,先願発明では,アクセスした利用者に所定の異常通知を送信する手段を持つ必要がないことを指摘する。
しかし,本件において,本願発明と対比されているのは,先願明細書の記載から認定された抽象的な先願発明であり,先願明細書において先願発明として認定された以外の技術的事項が記載されていたとしても,同事項は,対比において無関係であるところ,本件では,先願発明はiモードの携帯電話を利用する発明として認定されているものではない(審決謄本8頁第4段落〜9頁第1段落)のであるから,原告の上記主張は,その余を判断するまでもなく採用できない。
( ) 原告は,甲21公報,甲22公報及び甲24公報は,通信不能状態を常時 4監視しているシステムのものであるのに対し,本願発明は常時監視システムではないのであり,通信分野のあらゆる発明において,接続不能状態が確認されたときにそれを監視センター等に伝えることが技術常識であるとはいえない旨主張する。しかし,先願発明のように,携帯端末機から管理コンピュータを介して端末を監視するシステムにおいて,管理コンピュータと監視端末間の通信異常は,システムの目的からして,利用者にとって極めて重要な意味を持つものであることは明らかであり,二者間での通信異常がある場合に,アクセスした利用者にそれを伝えることは上記のとおり技術常識であるから,先願発明において,管理コンピュータと監視端末との二者間の通信異常をアクセスした利用者に知らせることは合理的というべきである。したがって,原告の上記主張は,前記( )の判断を左右しない。 2また,原告は,甲18公報,乙9公報及び乙10公報に記載されている装置等の機能及び役割は,本願発明の管理コンピュータの機能及び役割と全く異なったものである旨主張するが,ここで問題とされるのは,上記公報によりどのような技術常識が認められるかであって,上記各公報記載の発明と本願発明との相違ではないから,原告の上記主張は,失当である。
( ) 原告は,先願発明は,そもそも,管理コンピュータから監視手段の通信端 5末に接続不能な状態,若しくは,監視手段からの情報が管理コンピュータに送信されてこない状態を管理コンピュータで確認する確認手段を備えていないとも主張する。しかし,二者間で通信をする場合,一方の端末が相手方との通信ができないことを確認することは,当業者にとって,当然のことであるばかりでなく,同確認手段を設けることは設計事項ともいうべきものであるから,原告の上記主張も,前記( )の判断を左右するものではない。 2( ) したがって,原告の取消事由4の主張も採用できない。 65 取消事由5(優れた効果の看過)について原告は,本願発明の効果として,@ 監視端末により認証された管理コンピュータしか情報を得ることができないため,情報の秘匿性が格段に向上する点,及び,A 通信異常がある場合,利用者はリアルタイムに異常の内容を知ることができ,安心することができるばかりか,その対策を的確にとることができる点があることを挙げ,これらの効果は先願発明にはない優れたものであるから,審決の同一性の判断は誤りであると主張する。
しかし,原告主張の本願発明の効果は,先願発明が奏する効果と,審決が技術常識と認定した技術(ネットワークを通じて通信を行う場合には,他の装置からの通信の要求を受けたときに,その装置と通信してよいか判断するために認証を行う技術,及び,接続不能な状態が確認されたとき,アクセスした利用者に伝える技術)がもたらす効果との総和にすぎず,また,相違点1,2が設計上の微細にすぎないとする審決の判断に誤りはないことは上記判示のとおりであるから,原告の取消事由5の主張は理由がない。
6 以上によれば,原告主張の取消事由はいずれも理由がなく,他に審決を取り消すべき瑕疵は見当たらない。
よって,原告の請求は理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 篠原勝美
裁判官 宍戸充
裁判官 柴田義明
  • この表をプリントする