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関連ワード 新規性 /  進歩性(29条2項) /  特許の有効性 /  優先権 /  援用権(援用) /  信義則 /  設定登録 /  移転登録 /  訂正審判 /  請求の範囲 /  減縮 /  審決確定(審決が確定) /  原告適格 / 
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事件 平成 17年 (行ケ) 10642号 審決取消請求事件
X 原告原告
同訴訟代理人弁護士 松本好史
同猿木秀和
同竹田千穂
同訴訟代理人弁理士 清原義博
同坂戸敦
被告 ライオン株式会社
同訴訟代理人弁護士 中村稔
同 田中 伸一郎
同外村玲子
同訴訟代理人弁理士 箱田篤
同平山孝二
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2006/04/11
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
主文 1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
請求
特許庁が再審2004-95006号事件について平成17年7月13日にした審決を取り消す。
争いのない事実
1 特許庁における手続の経緯等( ) 原告は,平成4年7月23日,発明の名称を「アイシング材」とする特 1許出願をし(優先権主張,同年4月28日 ,平成10年6月26日,特許 )第2795782号の特許権の設定登録を受けた(以下,この特許を「本件特許」といい,その特許権を「本件特許権」という 。。)( ) 本件特許について,特許異議の申立てがされ,原告は,平成11年8月 26日,訂正請求をしたところ,特許庁は,同年9月1日,上記訂正を認めた上 「特許第2795782号の請求項1ないし13に係る特許を維持す ,る 」との決定をし,これが同月16日に確定した。 。
( ) 本件特許権については,平成12年3月22日, (以下「 」とい 3BBう )に対し移転登録(以下「本件移転登録」という )がされた。原告が, 。。
この移転登録の抹消を求めて訴えを提起したところ(大阪地方裁判所平成12年(ワ)第11763号特許権登録抹消手続請求事件 ,平成14年3月4)日,本件移転登録の抹消を命ずる判決が言い渡され,同月20日,確定した。
この判決に基づき,同年5月9日,本件移転登録の抹消登録がされた。
( ) 被告は,平成12年7月27日,を被請求人として,本件特許につい 4Bて無効審判請求をした(無効2000-35412号,以下「原審判事件」という 。原告は,同年11月2日,原審判事件において,被請求人を補 。)助するため参加の申請をし,特許庁は,平成13年4月23日,上記参加の申請を許可する旨の決定をした。
特許庁は,原審判事件について,平成14年1月22日 「特許第279,5782号の請求項1,請求項3,請求項6〜9に係る発明についての特許を無効とする。特許第2795782号の請求項2,請求項4,請求項5,請求項10〜13に係る発明についての審判請求は,成り立たない 」との。
B 審決(以下「原審決」という )をし,その謄本は,同月29日,被告, 。
及び原告に送達され,原審決は,取消訴訟が提起されることなく,同年2月28日確定した。
( ) 原告は,平成14年4月19日,確定した原審決に対し,再審を請求し 5たが(再審2002-95004号 ,特許庁は,平成15年2月17日, )「本件再審の請求は,成り立たない 」との審決をした。。
そこで,原告は,同年3月17日,上記審決の取消訴訟を提起したが(東京高等裁判所平成15年(行ケ)第116号 ,平成16年1月30日, )「原告の請求を棄却する 」との判決がされ,同年6月24日,上告不受理 。
決定により確定した。
( ) 原告は,平成16年5月28日,再び,確定した原審決に対し,再審を 6請求したが(再審2004-95006号 ,特許庁は,平成17年7月1 )3日 「本件再審の請求は,成り立たない」との審決(以下「本件審決」 ,。
という )をし,その謄本は,同月23日,原告に送達された。 。
2 特許請求の範囲(上記平成11年8月6日付け訂正請求に係るもの)【請求項1】基材とこの基材中に充填されるゲル剤とからなり,前記ゲル剤には少なくともポリビニルアルコール,ゲル化剤,水とが含有され,前記ゲル化剤の含有量が0.1〜1.2重量%であることを特徴とするアイシング材。
【請求項2】前記ゲル剤が5〜15重量%のポリビニルアルコール,0.2〜1.2重量%のプロピルパラベン,0.2〜1.2重量%のメチルパラベン,0.1〜1.2重量%のゲル化剤,82〜94重量%の水から構成されてなることを特徴とする請求項1に記載のアイシング材。
【請求項3】基材とこの基材に充填されるゲル剤とからなり,前記ゲル剤には少なくともポリビニルアルコール,ゲル化剤,グリコール,水とが含有されて,前記ゲル化剤の含有量は0.1〜1.2重量%であることを特徴とするアイシング材。
【請求項4】前記ゲル剤が4〜15重量%のポリビニルアルコール,0.2〜1.2重量%のプロピルパラベン,0.2〜1.2重量%のメチルパラベン,0.1〜1.2重量%のゲル化剤,2〜10重量%のグリコール,80〜90重量%の水から構成されてなることを特徴とする請求項3に記載のアイシング材。
【請求項5】前記基材が複数の細孔部を有する伸縮性発泡合成樹脂からなることを特徴とする請求項1乃至4に記載のアイシング材。
【請求項6】前記基材が不織布からなることを特徴とする請求項1乃至4に記載のアイシング材。
【請求項7】前記アイシング材が開閉自在な密閉容器内に収納されてなることを特徴とする請求項1乃至6に記載のアイシング材。
【請求項8】前記アイシング材がシート状に形成されてなることを特徴とする請求項1乃至6に記載のアイシング材。
【請求項9】前記アイシング材がテープ状に形成されてなることを特徴とする請求項1乃至6に記載のアイシング材。
【請求項10】前記アイシング材が靴内底に配設されてなることを特徴とする請求項1乃至6に記載のアイシング材。
【請求項11】前記アイシング材がベスト状に形成されてなることを特徴とする請求項1乃至6に記載のアイシング材。
【請求項12】前記アイシング材がフェイスマスク状に形成されてなることを特徴とする請求項1乃至6に記載のアイシング材。
【請求項13】前記ゲル剤にL-メントールとdL-カンフルが混合されてなることを特徴とする請求項1乃至12に記載のアイシング材。
3 本件審決の理由別紙審決書写しのとおりである。要するに,原告(請求人)が 「刑事上罰,すべき他人( (以下「 」という )の行為に基づいてされた本件移転登録 AA。)により,原審決に影響を及ぼすべき攻撃若しくは防御の方法を提出することを妨げられたが, の上記行為については起訴猶予になったため,証拠がないと Aいう理由以外の理由により有罪の確定判決若しくは過料の確定判決を得ることができない場合に当たるから,特許法171条2項で準用する民事訴訟法338条1項5号,2項の事由がある」旨主張したのに対し,本件移転登録が刑事上罰すべき他人の行為によるものであっても,それにより原告(請求人)が原審決に影響を及ぼすべき攻撃若しくは防御の方法を提出することを妨げられたということはできないから,再審の請求には理由がない,というものである。
原告主張に係る本件審決の取消事由
本件審決は,本件移転登録により原告が原審決に影響を及ぼすべき攻撃若しくは防御の方法を提出することを妨げられたにもかかわらず,そうでないと誤って判断したものであり,この誤りが本件審決の結論に影響を及ぼすことは明らかであるから,取り消されるべきである。
1 原告の原審判事件への参加について原告は,原審判事件において,参加人として参加しているが,本来,無権利者である を被請求人とする原審判事件における審決は,再審により取り消 Bされるべきものであるから,原告は,原審判事件の結果により不利な影響を受ける立場になく 「審判の結果について利害関係を有する者 (特許法148 ,」条3項)に該当しないため,原審判事件への原告の参加は不適法なものである。
したがって,原告が原審判事件において行った攻撃防御は被請求人の援用がない限り無効であり,また,原告が原審決の取消訴訟を提起することも不適法であるから,原告は,原審決に影響を及ぼすべき攻撃若しくは防御の方法を提出することを妨げられたものである。
2 原告の訂正請求等の機会について原告は, の行為による本件移転登録により,特許権者にのみ認められる訂 A正請求及び訂正審判請求を妨げられたのであるから,原審決に影響を及ぼすべき攻撃若しくは防御の方法を提出することを妨げられたものである。
( ) 本件審決は,原告が原審判事件に参加して, の平成12年11月1日 1 B付け訂正請求を否定し,平成11年8月6日付け訂正請求に係る特許請求の範囲の記載を前提として攻撃防御を行ったから,原告が原審判事件において攻撃防御方法提出を妨げられなかったと認定するが(審決書9〜10頁 ,)誤りである。
すなわち,原告が の平成12年11月1日付け訂正請求を否定する主張 Bを行ったのは,本件特許に係る発明の技術内容を理解していないBが安易に必要以上に特許請求の範囲減縮しようとしたからであり,訂正請求権が与えられていない原告にはBの訂正請求を否定するしか方法はなかった。また,原告が平成11年8月6日付け訂正請求に係る特許請求の範囲の記載を前提として攻撃防御を行ったのは,自ら訂正請求を行うことができないため,上記特許請求の範囲の記載を前提として攻撃防御を行うしかなかったからである。したがって,原告は攻撃防御の提出を妨げられたといわざるを得ない。
( ) 本件審決は,原告が原審判事件において特許請求の範囲の訂正を準備し 2ていたと解する余地はないし,仮に,訂正の準備をし訂正を望んでいたなら,訂正審判を請求する機会があったとして,原告の攻撃防御の提出が妨げられたことを否定するが(審決書10〜11頁 ,誤りである。)すなわち,原告は,不適法な参加人であり,審決取消訴訟の原告適格もないのであるから,原告には,原審決確定までの間に,訂正請求及び訂正審判請求のいずれの手続も行う機会が与えられていなかったのであり,原告が訂正の準備をしていたかどうか,訂正を望んでいたかどうかに関わりなく,攻撃防御の提出が妨げられたというべきである。また,実体上の権利者であっても特許権者として登録されていない者が訂正審判請求を行えば却下されるのであり,特許庁の手続上行使が認められない訂正審判請求権が理論的に特許権者に存することをもって訂正審判請求権が妨げられないかのようにいうことは,誤りである。
被告の反論
本件審決の認定判断に誤りはなく,原告の主張する取消事由には理由がない。
1 原告の原審判事件への参加について原審判事件の結果は原告に影響するから,原告は「審判の結果について利害関係を有する者」に当たる。また,原告は,参加人として十分に意見を述べ証拠を提出したものである以上,自ら行った行為を無効であると主張することは信義則上も許されない。さらに,無効審判手続においては,民事訴訟のような口頭主義が妥当するものではなく,原告(参加人)による原審判事件での主張及び立証については,被告(請求人)に不意打ちとならない限り,その効力を否定する理由はない。
2 原告の訂正請求等の機会について原告は,原審判事件の平成13年8月16日付け答弁書において,Bによる平成12年11月1日付け訂正請求がなくても各請求項に記載された発明が特許性を有する旨を主張しているから,原告が原審判事件で訂正を必要と考えていなかったことは明らかである。
また,原告が本件特許権の実体上の権利者として訂正審判を請求することは妨げられていなかったし,参加人として手続への参加が認められた以上,審決取消の訴えを提起できるにもかかわらず,原告は上記訴えを提起せず,原審決を確定させたのである。
したがって,原告は,特許権者に認められる訂正請求権及び訂正審判請求権の行使を妨げられていない。
当裁判所の判断
1 原告の原審判事件への参加について原告は,本来,無権利者であるBを被請求人とする原審判事件においてされた審決は,再審により取り消されるべきものであるから,原告は原審判事件の「審判の結果について利害関係を有する者」に該当しないため,原審判事件への原告の参加は不適法である,したがって,原告が原審判事件において行った攻撃防御は被請求人の援用がない限り無効であり,また,原告が原審決の取消訴訟を提起することも不適法であるから,原告は,原審決に影響を及ぼすべき攻撃若しくは防御の方法を提出することを妨げられた旨主張する。
しかしながら,仮に,本件特許権の真実の特許権者でないBを被請求人とする原審判事件においてされた審決が再審により取り消されるべきものであったとしても,その審決において,本件特許を無効とする判断がされ,これが確定することにより,本件特許権がいったん消滅することになるとすれば,本件特許権の真実の特許権者である原告に不利に影響することは明らかであるから(原告も,確定した審決そのものによって原告の特許権自体が消滅すると主張している。原告第2準備書面3頁11行〜12行 ,原告は,原審判事件の )「審判の結果について利害関係を有する者」に当たるというべきである。したがって,原告の上記主張は,その前提を欠き,採用することができない。
また,前記争いのない事実及び証拠(甲3,甲9の6〜甲9の9,乙1)によれば,原告は,平成12年11月2日,自らが本件特許権の正当な権利者であることを主張して,原審判事件の被請求人を補助するため特許法148条3項による参加の申請をし,特許庁は,平成13年4月23日,上記参加の申請を許可する旨の決定をしたこと,原審判事件において,参加人(原告)は,同年8月16日付け審判事件答弁書をもって,本件特許に係る発明につきBのした平成12年11月1日付け訂正請求を否定し,平成11年8月6日付け訂正請求に係る特許請求の範囲の記載を前提とした上,請求人(被告)の主張に係る本件特許の無効理由に逐一反論して,請求項1に係る発明が新規性及び進歩性を有し,請求項3,6〜9に係る発明が進歩性を有する旨主張し,口頭審理においても同旨の陳述をしたこと,原審決は,参加人(原告)の主張を引用して,それに対する判断も示した上で,請求項1,3,6〜9に係る発明についての特許を無効とすべきであるとしたことが認められる。
上記事実によれば,原告は,原審判事件において,自ら参加の申請をした上,特許庁の参加決定を受けて参加人となり,本件特許の有効性に関する攻撃防御方法を提出しているのであるから,そうである以上,原審決が確定した後になって,原告の参加が不適法なものであり上記攻撃防御が無効であるなどと主張することは,自らの先行行為と矛盾する主張であって,信義則に照らして到底許されることではないというべきである。したがって,この観点からも,原告の上記主張は採用することができない。
2 原告の訂正請求等の機会について原告は,Aの行為による本件移転登録により,特許権者にのみ認められる訂正請求及び訂正審判請求を妨げられたから,原審決に影響を及ぼすべき攻撃若しくは防御の方法を提出することを妨げられたものである旨主張する。
しかしながら,前記1認定のとおり,原告は,原審判事件において,本件特許に係る発明につきBのした平成12年11月1日付け訂正請求を否定し,平成11年8月6日付け訂正請求に係る特許請求の範囲の記載を前提とした上,請求人(被告)の主張に係る本件特許の無効理由に逐一反論しているのであり,原告が原審判事件係属中に特許請求の範囲の訂正を準備していたことを認めるに足りる証拠はないから,原告が訂正請求及び訂正審判請求を現実に妨げられたということもできない。
原告は,不適法な参加人であり,審決取消訴訟の原告適格もないから,原告が訂正の準備をしていたかどうか,訂正を望んでいたかどうかに関わりなく,攻撃防御の提出が妨げられたというべきである旨主張するが,前記のとおり,原告は,特許法148条3項により適法に原審判事件に参加した者であり,原審決に対する取消訴訟を提起することができることは明らかであるし(特許法178条2項 ,そもそも実際に特許請求の範囲を訂正しようとしていなかっ )たとすれば,本件移転登録により訂正請求及び訂正審判請求が妨げられたことにはならないのであって,訂正の準備等に関わりなく攻撃防御の提出が妨げられたとする原告の主張は採用できない。なお,仮に原告が特許請求の範囲の訂正を望んでいたのであるなら,参加人として原審決に対する取消訴訟を提起した上,真実の特許権者として訂正審判を請求することができたのであり(特許法126条1項 ,このことは,本件移転登録が抹消されたか否かには関わり )がない(特許法126条1項によれば,訂正審判の請求人は「特許権者」であるから,原告からの特許権の移転がないのに移転登録がされている場合,原告において,真実の特許権者であることを立証すれば,訂正審判を請求することは妨げられない 。。)したがって,訂正請求及び訂正審判請求を妨げられたことを理由に,原審決に影響を及ぼすべき攻撃若しくは防御の方法を提出することを妨げられたとする原告の上記主張も採用することができない。
3結論以上のとおり,原告主張の取消事由には理由がなく,他に本件審決を取り消すべき瑕疵は見当たらない。
よって,原告の本件請求は理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 佐藤久夫
裁判官 嶋末和秀
裁判官 沖中康人
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