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関連ワード 物の発明 /  技術常識 /  先行技術 /  存続期間 /  実施 /  設定登録 /  新たな無効理由 /  審決確定(審決が確定) /  確定審決の登録 /  一事不再理 /  同一事実(同一の事実) /  同一証拠(同一の証拠) / 
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事件 平成 17年 (行ケ) 10467号 審決取消請求事件
原告 原告X
被告 オスカーメイヤーアンドカンパニー インコーポレーテッド
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2006/04/11
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
主文 1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
請求
特許庁が無効2004-80180号事件について平成17年4月13日にした審決を取り消す。
事案の概要
1 以下に摘示する証拠及び弁論の全趣旨によれば,本件の前提となる事実は次のとおりであると認められる。
(1) 特許庁における手続の経緯被告は,発明の名称を「包装」とし,昭和40年8月13日に出願され,昭和51年5月14日に設定登録がされた特許第813512号の特許(以下「被告特許」という。)の特許権者であったが,同特許権は,昭和60年8月13日に存続期間が満了している(甲第1ないし第3号証)。
原告は,平成16年1月13日付けで被告特許についての特許無効審判請求をし(以下「先の審判請求」という。),特許庁はこれを無効2004-35015号事件として審理し,その結果,同年7月2日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決(以下「先の審決」という。)をし,これに対する審決取消訴訟が提起されることなく,先の審決は確定し,確定審決の登録がされた(甲第1,第2及び第4号証)。
原告は,平成16年10月9日,再び被告特許についての特許無効審判請求をし(以下「本件審判請求」という。),特許庁はこれを無効2004-80180号事件として審理し,その結果,平成17年4月13日,「本件審判の請求を却下する。」との審決(以下「本件審決」という。)をし,その謄本は,同年5月1日,原告に送達された(甲第1及び第5号証)。
(2) 本件審決の理由別紙審決書の写しのとおりである。要するに,本件審判請求は,確定した先の審決と同一の事実及び同一の証拠に基づくものであるから,特許法167条の規定に反してされた不適法なものであるとするものである。
2 被告は,公示送達による適式の呼出を受けたが,本件口頭弁論期日に出頭しないし,答弁書その他の準備書面も提出しない。
原告主張の取消事由の要点
本件審決は,次のとおり事実の認定及び法律の適用を誤った違法なものであるから,取り消されるべきである。
被告特許は,物の発明であるところ,その物を作成する(実施する)方法が全く記載されていないから,希望的事項の羅列であって未完成の発明であるし,昭和60年法律第41号による改正前の特許法36条4項にも反し,無効である。また,被告特許における「包装」を技術常識で作成し得るものではない。
原告が本件審判請求において主張した上記無効理由は,先の審判請求において主張した無効理由と同一の理由である。本件審決は,先の審決に誤りがあったのに,議論をすり替えて特許法167条(一事不再理)の問題にし,本件審判請求が成り立たないとしたものである。
甲第8ないし第10号証(本件審判請求時の甲第7ないし第9号証。以下,審判における証拠番号を「審判甲7」などと略する。)は全く新しい証拠であり,一事不再理の問題はない。これらの証拠は,先の審決の判断の誤りを指摘し,立証するために提出するものであり,被告特許の明細書に物を作る方法が記載されていないことを立証するためではない。作る方法が記載されていないことは,明細書から明らかであり,この事実を証明するために証拠は必要でない。したがって,特許法167条の「同一の証拠」であるか否かを検討する必要もない。
当裁判所の判断
1 当裁判所は,原告の本件審判請求は,確定した先の審決との関係で特許法167条に反するものであると判断する。その理由は,以下のとおりである。
(1) 特許法167条は,特許無効審判の確定審決の登録があったときは,「同一の事実及び同一の証拠に基づいて」無効審判を請求することはできない旨規定しており,確定審決の判断について,いわゆる蒸し返しをすることはできないこととされている。したがって,同一の特許について確定審決があってもなお特許の無効を主張し得るのは,@同一の事実に基づくものでない,即ち新たな無効理由に基づくとき(同一の証拠に基づいて新たな無効理由を主張するとき及び新たな証拠に基づいて新たな無効理由を主張するときの両方を含む。)又はA同一の証拠に基づくものでない,即ち新たな証拠に基づくとき(新たな証拠に基づいて同一の無効理由を主張するとき及び新たな証拠に基づいて新たな無効理由を主張するときの両方を含む。)のいずれかである。
(2) 原告が本件審判請求において主張した被告特許の無効理由は,先の審判請求において主張した無効理由と同一の理由であることは,原告の自認するところであり,甲第4号証と甲第5号証を対比しても,本件審判請求において被告特許の新たな無効理由が主張されたとは認められない。したがって,原告が本件審判請求で主張した事由は,確定した先の審決と「同一の事実」に基づくものである。
(3) 本件審判請求において,原告が確定した先の審決と「同一の事実」に基づく主張をしている以上,特許法167条に反しないのは,それが新たな証拠に基づくときに限られる。ここにいう新たな証拠とは,被告特許の無効理由を立証するための証拠であって,先の審判請求におけるものとは実質的に異なるものをいう。
原告は,甲第8ないし第10号証(審判甲7ないし9)は,全く新しい証拠であり,一事不再理の問題はないと主張する。
甲第1及び第2号証によれば,甲第3号証(審判甲1),甲第14号証(審判甲2),甲第6号証(審判甲3)及び甲第11ないし第13号証(審判甲4ないし6)は,形式的にも先の審判請求と同じ証拠が本件審判請求において提出されたものであるが,甲第8ないし第10号証(審判甲7ないし9)は,先の審判請求時には提出されておらず,本件審判請求時に初めて提出された証拠であることが認められる。
しかし,甲第8ないし第10号証(審判甲7ないし9)は,先の審決の判断の誤りを指摘し,立証するために提出するものであり,被告特許の明細書に物を作る方法が記載されていないことを立証するためではないと,原告自身が主張している。また,甲第8号証(審判甲7)は,原告を当事者とする別件の審決取消訴訟の判決の一部であり,その立証趣旨は,先行技術として把握可能な発明の判断の一例を立証するものであるから,本件審判請求において原告が主張する無効理由を立証するための証拠ではない。甲第9及び第10号証(審判甲8及び9)も,先の審決が付加的に説示した技術水準についての判断を争うためのものであって,本件審判請求において原告が主張する無効理由を立証するための証拠ではない。これらの証拠は,いずれも先の審決の取消事由を立証するものとはなり得ても,被告特許の無効理由を立証するための証拠とはならないものである。そもそも,審決の取消事由を立証するための証拠は,当該審決に対する取消訴訟を提起して,その訴訟において提出すべきであって,審決が確定した後に,先の審判請求の請求人(原告)が同じ特許について再度の無効審判請求をして,既に確定した審決の取消事由を立証するための証拠を提出することは,特許法167条の趣旨に照らして許されないと解される。
(4) 以上によれば,本件審判請求が特許法167条の規定に違反してされた不適法な審判請求であると判断した本件審決の判断に誤りはないというべきである。
2結論以上に検討したところによれば,原告の主張する取消事由には理由がなく,本件審決を取り消すべきその他の誤りは認められない。
よって,原告の請求は理由がないから棄却し,訴訟費用の負担について,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 佐藤久夫
裁判官 三村量一
裁判官 古閑裕二
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