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事件 |
昭和
26年
(オ)
466号
特許庁審決取消請求
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裁判所 | 最高裁判所第二小法廷 |
判決言渡日 | 1953/07/24 |
権利種別 | 特許権 |
訴訟類型 | 行政訴訟 |
主文 |
原判決を破棄する。 本件を東京高等裁判所に差戻す。 |
事実及び理由 | |
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全容
上告代理人弁護士三好千三、同福田市太郎の上告理由は添付の別紙記載のとおりである。 原判決は、特許庁が本件抗告審判事件の審理に際し、被上告人Aの申し出た唯一の証拠方法を拒否しその不利益に審決したのを違法とし特許庁のした本件審決を取り消したのである。 民事訴訟では、裁判所は原則として当事者の申し出た証拠のみを斟酌すべきものであるから、係争事実に対する判断は当事者の申し出た証拠のみによつて決せられるものというべく、従つて当事者がその主張事実を立証するため申し出た唯一の証拠調は排斥することをゆるさないのであるが、特許法100条1項は「審判ニ於テハ申立ニ依リ又ハ職権ヲ以テ証拠調ヲ為スコトヲ得」と規定し、事実に関する判断については当事者の申し出た証拠に限らず、審判官が必要と認めた場合は、当事者の申出をまたず進んで証拠調をなし得ることにしている。右のように審判においては証拠調について職権主義を採用している以上、審判官が合理的に判断して十分の心証を得た場合は、当事者の申し出た唯一の証拠方法を却けても違法ではないと解するを相当とする。もとより審判官の審理がその恣意に基くものであつてはならないけれども、原判決が当事者の唯一の証拠を取り調べないでその当事者に不利な審決をしたことのみを違法として審決を取り消したのは、法律の解釈を誤つた違法があるものというべく、論旨は理由があり、原判決は破棄を免れない。 以上の理由により原判決を破棄することとし民訴407条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。 |
裁判長裁判官 | 霜山精一 |
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裁判官 | 小谷勝重 |
裁判官 | 藤田八郎 |
裁判官 | 谷村唯一郎 |