審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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平成14受1100損害賠償,商標権侵害差止等請求事件 | 判例 | 商標 |
昭和42行ツ28審決取消請求 | 判例 | 特許 |
平成10行ツ19審決取消請求事件 | 判例 | 特許 |
昭和47オ395特許権の通常実施権設定登録等請求 | 判例 | 特許 |
平成15行ヒ265 | 判例 | 商標 |
関連ワード | 援用権(援用) / 特許発明 / 請求の範囲 / |
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元本PDF | 裁判所収録の全文PDFを見る |
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事件 |
昭和
36年
(オ)
464号
特許庁審決取消請求
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裁判所のデータが存在しません。 | |
裁判所 | 最高裁判所第二小法廷 |
判決言渡日 | 1962/12/07 |
権利種別 | 特許権 |
訴訟類型 | 行政訴訟 |
主文 |
本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 |
事実及び理由 | |
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全容
上告代理人弁護士清瀬一郎、同菅原裕、同山田直大、同弁理士木戸伝一郎、同山田勝三の上告理由は別紙のとおりである。 上告理由第一点について。 論旨は、原判決が、本件第一二四五一四号特許の要旨について、車軸と車体との関係的移動について前後動を除外し、さらに、両弧状面の半径の差異と遊動関係との間に因果関係がある旨を判示したのは、物理学上の法則を無視した違法があるというのである。 しかし原判決は、上告人特許の脱線防止装置について、車軸と車体とが前後に移動しないとしているのではなく、本件特許の明細書の記載等からいつて、右特許の発明が、特に前後動を許容することを目途として考案されたものではなく、この点を本件特許発明の要旨として取り上げるべきでない旨を判示しているに止まるものと解され、そして右判示は十分に首肯することができる。また、車体支持台の遊動孔と車軸の弧面の関係については、原判決も説明するように、本件特許明細書の「発明の詳細なる説明」にも「……遊動孔(5)の上部の大径弧状面を、車軸側に於ける小径の弧状座面に圧接せしむることにより車軸の左右両側より下部に亘り、車軸(2)と支持台との関係的移動間隙を充分に存置し……」と記載してあり、原判決が、両者は因果の関係を有するものと解したのをもつて、所論のように違法とすべき理由はない。論旨は理由がない。 同第二点について。 論旨は、本件発明と再訂正(イ)号図面の差異は、異径弧面接触の大小と両側の間隙が充分であるかないかの二点につきるのであつて、技術思想又は作用効果の問題ではなく、ただ設計上の問題に過ぎないというのである。しかし、原判決の説明によれば、本件特許は車軸と車体支持台の遊動孔との間に十分なる間隙を設けることにより脱線を防止しようとするのに対し、再訂正(イ)号図面は、左右の間隙は車軸の上下動をゆるす限度に止め、上下動をゆるすことによつて、脱線を防止しようとするのであつて、右再訂正(イ)号図面は、本件特許発明とは、別の考案を基礎とするものと解することができる。原判決の趣旨は十分に首肯することができるのであつて、原判決に所論のような違法はない。 同第三点について。 論旨は、原判決が、本件特許明細書の「充分なる遊動間隙」を「相当の大きさの遊動間隙」の趣旨と解したのを非難するのであるが、所論のように、右の間隙を、車体と車軸との関係的移動を円滑且つ容易ならしめる程度の「相当の大きさ」の趣旨と解しても支障はないのであつて、原判決も、特に所論の点について上告人の主張を否定する趣旨とは解することができない。原判決の趣旨は、再訂正(イ)号図面との対比において述べているのであつて、再訂正(イ)号図面における左右の間隙は、本件特許の場合に比して狭く、従つて、再訂正(イ)号図面の場合は、左右移動を容易円滑ならしめることによつて脱線を防止しようとしているものではないとしているのである。 論旨は、再訂正(イ)号図面のような左右の間隙では、脱線を防止することができないと論じるようであるが、このことから逆に再訂正(イ)号図面の左右の間隙を脱線防止に必要な間隙と解することはできない。 論旨はまた、大審院の判例を援用して、特許請求の範囲に属する事項が公知にかかるものであるかどうかは、特許無効審判において決すべき問題であつて、権利範囲に属する事項が公知に属するかどうかは、本件で定める必要はない旨を主張し、原判決が昭和四年当時の公知事項によつて、本件特許の権利範囲を確定したのを非難するのである。 もとより、特許無効審判と違つて、権利範囲確認審判においては、特許権が有効に成立していることを前提としているのであるから、その審決に関する訴訟においても、特許の内容が公知であるかどうかを論ずることはできない。しかし、いかなる発明に対して特許権が与えられたかを勘案するに際して、は、その当時の技術水準を考えざるを得ないのである。けだし、特許権が新規な工業的発明に対して与えられるものである以上、その当時において公知であつた部分は新規な発明とはいえないからである。本件の場合も、原判決の認定するところによれば本件特許の出願当時、炭車等の脱線防止装置として、車軸を車体の遊動孔に差し入れ、車体と車軸を固定せしめず、よつて脱線を防止することは公知であつたというのである。しからば、 本件特許は、原判決のいうように、その特殊な構造に対して与えられたものと解するよりほかはなく、再訂正(イ)号図面が原判示のような点において本件特許と異る以上、原判決が、右再訂正(イ)号図面は本件特許権の範囲に属しないとしたのは相当であつて、原判決に所論のような違法はない。 よつて、民訴401条、95条、89条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。 |
裁判長裁判官 | 池田克 |
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裁判官 | 河村大助 |
裁判官 | 奥野健一 |
裁判官 | 山田作之助 |
裁判官 | 草鹿浅之介 |