関連審決 | 訂正2004-39277 異議2001-73253 |
---|
関連ワード | 進歩性(29条2項) / 容易に発明 / 周知技術 / 公知技術 / 設定登録 / 訂正審判 / 請求の範囲 / 減縮 / 取消決定 / |
---|
元本PDF | 裁判所収録の全文PDFを見る |
---|
事件 |
平成
17年
(行ケ)
10218号
特許取消決定取消請求事件
|
---|---|
原告 アルゼ株式会社 同訴訟代理人弁理士 松尾憲一郎 同訴訟復代理人弁理士 和智滋明 同 堀田誠 被告 特許庁長官 小川洋 同指定代理人 渡部葉子 同 藤井俊二 同 高橋泰史 同 宮下正之 同 高木彰 |
|
裁判所 | 知的財産高等裁判所 |
判決言渡日 | 2005/04/13 |
権利種別 | 特許権 |
訴訟類型 | 行政訴訟 |
主文 |
1 特許庁が異議2001―73253号事件について平成16年7月26日にした決定のうち,「特許第3172641号の請求項1,2,4ないし6に係る特許を取り消す。」との部分を取り消す。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 |
事実及び理由 | |
---|---|
全容
1 原告の請求 主文1項と同旨 2 当事者間に争いのない事実 (1) 特許庁における手続の経緯 原告は,発明の名称を「遊技機」とする特許第3172641号(平成6年10月28日出願,平成13年3月23日設定登録。以下「本件特許」という。 登録時の請求項の数は7である。)の特許権者である。 本件特許に対し,請求項1ないし7のすべてにつき,特許異議の申立てがあり,特許庁は,この申立てを,異議2001-73253号事件として審理した。原告は,この審理の過程で,平成14年10月4日,本件特許の出願に係る願書に添付した明細書の訂正の請求をした。特許庁は,上記事件につき審理し,その結果,平成16年7月26日,この訂正を認めた上で(以下「本件第1訂正」という。請求項の数を6とするものである。),「特許第3172641号の請求項1ないし6に係る特許を取り消す。」(取り消された請求項に係る発明をまとめて「本件発明」という。)との決定をし,同年8月16日にその謄本を原告に送達した。 (2) 決定の理由 要するに,本件発明は,いずれも公知技術及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定に該当する,したがって,本件特許は,請求項1ないし6のいずれについても,この規定に違反して登録されたものである,ということである。 (3) 訂正審判の確定 原告は,本訴係属中に,本件特許の出願に係る願書に添付した明細書の訂正をすることについて審判を請求した。特許庁は,これを訂正2004-39277号事件として審理し,その結果,平成17年2月16日に訂正(以下「本件第2訂正」という。)をすることを認める旨の審決(以下「本件訂正審決」という。)をし,これが確定した。 本件第2訂正は,請求項の数を5とするものである。 本件第2訂正後の請求項1ないし5は,本件第1訂正後の請求項1,2,4ないし6に順次対応するものである。 (4) 本件第1訂正後の本件特許の特許請求の範囲 「【請求項1】 複数の図柄を可変表示する可変表示部と,ゲーム毎にサンプリングされる乱数値を予め設定された入賞確率テーブル中のデータと照合することにより内部的当選役を判定し,その内部的当選役に対応する図柄組合せが出現するように前記可変表示部の可変表示動作を停止制御する制御部と,遊技者の停止操作に応じて前記制御部に前記可変表示動作の停止制御を実行させる信号を発生する可変表示停止手段とを備えた遊技機において, 前記入賞確率テーブルは,内部的当選が発生したゲームにおいて入賞しないとき,その後のゲームで入賞するまで当該内部的当選が発生した状態にする一の入賞役に対して設定された複数の入賞図柄組合せと一対一対応して設定された内部的当選役を示すデータを含み, 前記制御部は,前記入賞確率テーブルを格納する記憶手段を有し,前記乱数値がサンプリングされた時,その乱数値を前記入賞確率テーブル中のデータと照合して前記内部的当選役のいずれかに該当するか否かを判断し,その判断結果が前記内部的当選役のいずれかに該当する場合には,前記可変表示停止手段での前記信号の発生タイミングに応じて当該内部的当選役を示す図柄組合せを表示するように前記可変表示部の動作を停止制御することを特徴とする遊技機。 【請求項2】 請求項1の遊技機において,前記制御部は,前記乱数値が前記内部的当選役のいずれかに該当するか否かの判断を,遊技者に付与する利益の大きい内部的当選役から始めて該利益の小さい内部的当選役まで順次行うことを特徴とする遊技機。 【請求項3】 請求項1の遊技機において,前記乱数値が前記内部的当選役のいずれかに該当するとき,その内部的当選を遊技者に知らせる報知手段を備えたことを特徴とする遊技機。 【請求項4】 請求項3の遊技機において,前記可変表示部は外周に複数の図柄を配列した複数の回転リールで構成され,前記報知手段は前記回転リールの内側に設置された発光体で構成されていることを特徴とする遊技機。 【請求項5】 請求項3の遊技機において,前記報知手段は前記制御部からの制御信号に応じて動作する効果音発生手段で構成されていることを特徴とする遊技機。 【請求項6】 請求項1の遊技機において,前記制御部は,前記乱数値が前記内部的当選役のいずれかに該当するとき,前記可変表示動作の停止により前記可変表示部に出現し得る図柄の組合せが特定の入賞図柄でない場合は,予め設定された所定の図柄を出現させるように前記可変表示部を制御することを特徴とする遊技機。」 (5) 本件第2訂正後の本件特許の特許請求の範囲(下線部が本件第1訂正後のものと比較した場合の訂正箇所である。) 「【請求項1】 複数の図柄を可変表示する可変表示部と, ゲーム毎にサンプリングされる一の乱数値が 遊技機 が揃えようとする 一の入賞図柄組合 せにのみ 対応 するように 予め設定された入賞確率テーブル中のデータと前記乱数値とを 照合することにより内部的当選役を判定する 判定手段 と, 前記判定手段の判定結果 に従い内部的当選役 の発生 を記憶 する 内部的当選役記憶手段 と, 前記内部的当選役記憶手段 に記憶 された 内部的当選役に対応する図柄の 組合せが出現するように前記可変表示部の可変表示動作を停止制御する制御部と, 遊技者の停止操作に応じて前記制御部に前記可変表示動作の停止制御を実行させる信号を発生する可変表示停止手段と, 遊技者 に内部的当選 をした 入賞役 を報知 する 報知手段 と, を備えた遊技機において, 前記入賞確率テーブルは,入賞役と, 当該一の入賞役 を構成 し,当選確率 を同じくする 複数 の内部的当選役 と, 当該内部的当選役 とそれぞれ 一対一 に対応 する 入賞図柄組合 せを 示すデータとを含み, 前記制御部は,前記入賞確率テーブルを格納する記憶手段を有し,前記乱数値がサンプリングされた時,その乱数値を前記入賞確率テーブル中のデータと照合して前記複数の内部的当選役のいずれかに該当する場合には,前記可変表示停止手段での前記信号の発生タイミングに応じて当該内部的当選役を示す入賞図柄組合せを表示するように前記可変表示部の動作を制御し, 前記内部的当選役記憶手段は,前記判定手段 で判定 された 内部的当選役 が特定 の内部的当選役 である 場合 について ,前記可変表示停止手段 に基づく 可変表示結果 が前記内部的当選役 に対応 する 図柄 の組合 せとは 異なる 場合 には 当該内部的当選役 に対応 する 図柄 の組合 せが 揃うまで 当該内部的当選役 の発生 した 状態 を保持し, 前記報知手段 は,前記内部的当選役記憶手段 で内部的当選役 の発生 した 状態が保持 される 場合 に,その 内部的当選 をした 入賞役 を報知 することを特徴とする遊技機。 【請求項2】 請求項1の遊技機において,前記制御部は,前記乱数値が前記内部的当選役のいずれかに該当するか否かの判断を,遊技者に付与する利益の大きい内部的当選役から始めて該利益の小さい内部的当選役まで順次行うことを特徴とする遊技機。 【請求項3】 請求項1の遊技機において,前記可変表示部は外周に複数の図柄を配列した複数の回転リールで構成され,前記報知手段は前記回転リールの内側に設置された発光体で構成されていることを特徴とする遊技機。 【請求項4】 請求項1の遊技機において,前記報知手段は前記制御部からの制御信号に応じて動作する効果音発生手段で構成されていることを特徴とする遊技機。 【請求項5】 請求項1の遊技機において,前記制御部は,前記乱数値が前記内部的当選役のいずれかに該当するとき,前記可変表示動作の停止により前記可変表示部に出現し得る図柄の組合せが特定の入賞図柄でない場合は,予め設定された所定の図柄を出現させるように前記可変表示部を制御することを特徴とする遊技機。」 3 当裁判所の判断 上記当事者間に争いのない事実によれば,本件第2訂正前の特許の請求の範囲(本件第1訂正後の特許請求の範囲)請求項1、2,4ないし6の記載に基づき,その発明を認定し,これを前提に,特許法29条2項の規定に違反して登録された特許であることを理由に,上記各請求項につき本件特許を取り消した決定の取消しを求める訴訟の係属中に,当該特許に係る特許請求の範囲の減縮を含む訂正の審判が請求され,特許庁は,これを認める審決(本件訂正審決)をし,これが確定したということができる。 決定は,これにより,結果として,本件第2訂正前の請求項1,2,4ないし6について判断の対象となるべき発明の要旨の認定を誤ったことになり,この誤りが上記各請求項について決定の結論に影響を及ぼすことは明らかである。したがって,決定は,上記各請求項につき,取消しを免れない。 以上によれば,原告の本件請求は理由があるから,これを認容することとし,訴訟費用については,本件訴訟の経過にかんがみ,これを原告に負担させるのを相当と認め,主文のとおり判決する。 |
裁判長裁判官 | 三村量一 |
---|---|
裁判官 | 若林辰繁 |
裁判官 | 沖中康人 |