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事件 平成 6年 (ネ) 3375号
裁判所のデータが存在しません。
裁判所 東京高等裁判所
判決言渡日 1995/05/18
権利種別 特許権
訴訟類型 民事訴訟
主文 本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
事実及び理由
当事者の求めた裁判
一 控訴人1 原判決中控訴人敗訴部分を取り消す。
2 被控訴人の請求をいずれも棄却する。
3 訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。
との判決。
二 被控訴人主文同旨の判決。
事実
当事者の主張及び証拠関係は、次のとおり訂正、附加するほか、原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する。
一 原判決一八頁六行の「一分搗精している」を「一〇分搗精している」に訂正する。
二 原判決三四頁六行の次に、行を改めて、次のとおり附加する。
「本発明の実施例を図示した第1図には、給水管の一方が給水口5に給水されるように記載されているが、本発明の構成要件bの記載との整合性からすると、この構成は本発明の実施例ではなく、他の目的のために利用される付加的構成というべきである。」三 原判決三五頁九行の次に、行を改めて、次のとおり附加する。
「被告製品は、平成二年特許出願公告第二二七〇四号公報(乙第八一号証)記載の発明を基礎とした、平成二年特許出願公告第四八三〇二号公報(乙第二号証)記載の発明の実施品である。本発明の精米方式は、米粒に直接水分添加後(間接的添加を含まないことは、特許請求の範囲中の「その白米中に(中略)水溶液を添加し」との記載及び発明の詳細な説明中の「本発明は最終仕上げの過程直前の高白度白米に直接加水して」(本件公報二頁右欄一六行、一七行)との記載から明らかである。)直ちに精米を行い、米粒表面に付着した水分を含水糠にして排除させ、米粒内質に吸収浸透させない除糠方式(本件公報二頁左欄九行ないし一八行)であるのに対し、被告製品の精米方式は、送穀室の内周面に堆積される糠玉に加水して粘土糠を形成し、この粘土糠と精白米とを一緒にして精白室に送り込んで混ぜる潤糠方式であって、精米の原理を異にしている。
しかも、本発明では、水を精白米がベタ付く程度に添加する(本件公報二頁左欄三八行ないし四三行)ため、精白米のひび割れ、食味の低下等の弊害を生じるが、
被告製品では前記方式により水分を米粒に直接付着させないで粘土糠によって米肌の糠粉を吸着し低温精米を行うから、本発明のような弊害を生じない。」四 原判決三九頁三行の「と解すべきである。」の次に、「右要件の「直ちに」「急速に」が二〇秒よりはるかに短いものであること自明である。」と附加する。
五 原判決四四頁八行の次に、行を改めて、次のとおり附加する。
「九 本発明は、昭和三二年特許出願公告第六七六四号公報(乙第八七号証)記載の発明(以下、「乙第八七号証発明」という。)により本出願前全部公知であり、
無効であることが明白である。すなわち、
1 本件明細書の発明の詳細な説明には「本発明は最終仕上げの過程の直前の高白度白米に直接加水して表面処理を行なうのが原則」(本件公報二頁右欄一六行、一七行)と記載されているところ、ここに「最終仕上げ」とは同じく発明の詳細な説明に「本発明は(中略)精白作用により精米すると糠を発生して含水糠となるので糠と水が同時に多孔壁部を通して精白室外に排除され(中略)米粒面を粒と粒の相互摩擦作用により滑面に仕上げ白米粒面に強度の光沢を帯びさせる」(本件公報二頁左欄九行ないし二〇行)と記載されていることからみて、更に米粒を研磨し、米肌に残っている糠を除去してきれいにし、米粒光沢を出させることを意味する、と解される。
したがって、本発明の構成要件aにいう「六分搗きもしくはそれ以上の精白度の白米」とは精米機で精白されただけで、最終仕上げたる「研磨」(精白)が未だ行われていない高白度白米を指していることは明白である。
これに対し、乙第八七号証には、「次に供給口1から精米機によって精白された米粒を供給すれば」(同一頁右欄二一行、二二行)と記載されているから、乙第八七号証発明は、別の精米機によって精白された精白米を供給口1に供給するのであり、その精白米はその後「米粒の表面を研磨し糠を分離する」(同頁右欄二九行、
三〇行)と記載されているから、供給される米粒の精白度は、精米機で精白されただけの白米で、未だ、最終仕上げたる研磨(精白)が行われていない高白度白米であると理解される。そして、乙第八七号証には、「回転する研磨ロール20の作用によってその移送螺条23に送り出され金網研摩筒12に至り(中略)攪拌移動作用を与え、米粒の表面を研磨し糠を分離する」(同頁右欄二六行ないし三〇行)と記載され、ここにいう「金網研磨筒」は本発明の多孔壁除糠精白室に該当し、「米粒の表面を研磨し糠を分離する」とは、高白度白米の米粒表面を研磨し、糠を分離すること、すなわち「精白する」を意味する。
したがって、乙第八七号証発明は、本発明の構成要件a「六分搗きもしくはそれ以上の精白度の白米を多孔壁除糠精白室によりさらに精白して精白度を進行させる」との要件を具備する。
2 また、乙第八七号証には、「20は研磨ロールで、一方に軸21を突出し端面に開口22を設け、表面には移送螺条23と周面に噴出小孔を設けた噴気管25を多数樹立させる、26は送風機で吸風機7と一体にして軸27によって内部の翼車を回転し、側方の開口28から吸入し送風管29によって送風する、送風管29は研磨胴16の後部に設けた送風室18に各開口させる、30は送風管29の送風室18に開口する連絡管で、その中間にポンプ等によって水または薬液等を圧送して噴出する噴霧嘴31を設ける」(同一頁左欄三五行ないし右欄八行)と記載されているから、乙第八七号証発明は、水溶液を精白室内の米粒に直接添加させる構成のものである。また、その水量については、「必要量の噴霧を圧させ送風力によって研磨胴内に供給し」(同二頁左欄二行、三行)と記載されているところ、本発明の添加水量の下限である「〇・一%」についてみると、その程度の加水量では米粒は無添加と変わらぬ程に乾燥したままであるから、〇・一%の加水量とは、加水の影響が全く生じない微々たる水量であってゼロと変わりなく、一方、その上限である「二%」についてみると、多孔壁除糠精白筒内に加水しても余剰水量は多孔より漏出してしまい、その限度は約二%であるから、二%の加水量とは、無限大に加水するのと同意であり、いずれにしても乙第八七号証発明における必要量の加水は本発明の添加水量の範囲内である。
したがって、乙第八七号証発明は、本発明の構成要件b「右進行過程において、
その白米中に米量に対し〇・一〜二%の水または塩水その他水溶液を添加する」との要件を具備する。
3 さらに、乙第八七号証発明は、水分が精白室内で回動中の米粒に直接添加されるから、本発明と同様「水分添加後直ちに粒と粒との相互摩擦作用による精米が行われる」のは当然であり、かつ、この際噴気管25から不断に空気の噴出をなし外胴16内には吸引作用を圧しているので糠は全部排出され米肌は美しく研磨され」(同一頁右欄三〇行ないし三二行)、また構造的にも金網研磨筒12は「目板または金網のような通気性の研磨筒」(同頁左欄三〇行、三一行)であり、しかも前記のとおり研磨ロール20の「噴気管25から不断に空気の噴出をなし」ているから、「精米を行うと同時に前記多孔壁部を通じて急速に除糠除水を行い前記精白室から排出する」ものである。
したがって、乙第八七号証発明は、本発明の構成要件c「そして、直ちに粒と粒との相互摩擦作用による精米が行なうと同時に前記多孔壁部を通じて急速に除糠除水を行ない前記精白室から排出する」との要件を具備する。
4 乙第八九号証発明も本発明構成要件d「以上を特徴とする混水精米法」を採用している。
したがって、本発明はその出願前頒布された乙第八七号証に記載された発明と同一であって本件特許権は無効であり、かかる形骸化した特許権に基づいて被告製品の差し止めを求めることは許されない。
控訴人の主張に対する被控訴人の反論
第三の九は争う。
乙第八七号証には、「供給口1から精米機によって精白された米粒を供給」(同一頁右欄二一行、二二行)する旨の記載はあるが、本発明の構成要件aの「六分搗きもしくはそれ以上の精白度の白米を精白する」との要件は全く記載されていない。
また、乙第八七号証には、「必要量の噴霧を圧させ送風力によって研磨胴内に供給し」(同二頁左欄二行、三行)と記載されているが、本発明の構成要件bの「米量に対し〇・一〜二%の水または塩水その他水溶液を添加する」との要件は全く記載されていない。
本発明は、本出願前公知でなかった「六分搗きもしくはそれ以上の精白度の白米に〇・一〜二%の水または塩水その他水溶液を添加する」という点を構成要件の一部とし、これによって所期の作用効果を奏するものであるから、乙第八七号証発明により無効となるものではない。」六 原判決四四頁九行の「第四 証拠関係」を「第五 証拠関係」に訂正する。
理 由一 当裁判所の判断は、次のとおり訂正、附加するほか、原判決の理由と同一であるから、これを引用する。
1 原判決四九頁三行の「以下の白米即ち、六分搗き」を「以下の白米すなわち六分搗き」に、原判決五八頁一行の「米糠」を「米粒」に訂正する。
2 原判決五四頁三行の「その余の事実は当事者間に争いがない。」を削除し、
「その余の事実は前記請求の原因七7の事実に照らし、被控訴人主張のとおりと認められる。」と附加する。
3 原判決五七頁四行の次に、行を改めて、次のとおり附加する。
「控訴人は、前記実施例に示された構成は、本発明の構成要件bの記載との整合性からすると、本発明の実施例には当たらない、他の目的のために利用される付加的構成である旨主張するが、右構成が本発明の構成要件bの記載と整合することは前述のとおりであり、その記載内容に照らしても本発明の最良の結果をもたらすものとして示されていることは明白であるから、控訴人の右主張は理由がない。」4 原判決五八頁六行の次に、行を改めて、次のとおり附加する。
「控訴人は、被告製品は、平成二年特許出願公告第二二七〇四号公報記載の発明を基礎とした、平成二年特許出願公告第四八三〇二号公報記載の発明の実施品であって、本発明の精米方式は、米粒に直接水分添加後直ちに精米を行い、米粒表面に付着した水分を含水糠にして排除させ、米粒内質に吸収浸透させない除糠方式であるのに対し、被告製品の精米方式は、送穀室の内周面に堆積される糠玉に加水して粘土糠を形成し、この粘土糠と精白米とを一緒にして精白室に送り込んで混ぜる潤糠方式であって、精米の原理を異にし、それによってもたらされる作用効果も相違する旨主張する。
しかしながら、成立に争いのない乙第九二号証によれば、控訴人の主張するいわゆる潤糠方式は、送穀室内に米粒群が存在する状態において加水ノズルにより米粒群に向けて加水し、加水された水は米粒群にかかって後遠心力によって飛散し、送穀筒内壁に付着し、糠と混じり合い粘性の高い粘土状の糠となり米粒群とともに精白室内に送り込まれる方式と認められるから、これをもって間接的に米粒に加水する、といえるか疑問なしとしない。しかも、本件発明の構成要件bは「白米中に(中略)水溶液を添加する」ものであって、本件公報を詳細に検討しても、本発明における水溶液の添加を米粒に対する直接添加に限定すべきことを根拠付ける記載はなく、控訴人主張の前記潤糠方式は構成要件bに含まれないものとはいえない。
本件公報の記載内容に照らし、本発明は、この構成により、糊粉層を完全に除去し、米粒全体が均一な高白度の白米となり、粒面が高密度の光沢平滑面に仕上がるという作用効果を奏するものと認められる。被告製品が控訴人主張に係る特許発明実施品であるとしても、当該特許発明の出願前に出願され登録された本件特許権の技術的範囲に属するものであるときは、これを実施することは本件特許権に抵触することになり、許されないといわなければならない。したがって、控訴人の前記主張は理由がない。」5 原判決六四頁一〇行の次に、行を改めて、次のとおり附加する。
「控訴人は、本発明は、乙第八七号証発明により本出願前全部公知であり、無効であることが明白である旨主張する。
特許権は、特許庁が出願人に対し特許権を付与すべきものとする行政処分である特許査定に基づき設定登録されることにより効力を生じるものであり、行政処分はそれが当該行政庁によって取消、撤回されない限り適法として扱われるという意味でいわゆる公定力を有するものであること、違法な行政処分によって侵害された国民の権利ないし法的利益を救済するための制度として抗告訴訟制度が設けられており、抗告訴訟を管轄する裁判所により当該行政処分の適否が審査されること、特許権に無効原因があるときは、特許法123条により特許庁に対しその特許を無効にすることについて審判を請求することができ、特許庁が右請求についてした審決に対しては同法178条に基づき東京高等裁判所に取消訴訟を提起することができ、
これにより特許権の得喪については専門技術官庁である特許庁に第一次的判断を委ねるとともに、抗告訴訟により裁判所の判断を受けることを保障し、もって特許庁と裁判所との権限配分を図っていること等に照らすと、このような手続とは別個に特許権侵害訴訟において特許権無効を主張立証することを許容し、特許権無効を理由に直ちにその請求を棄却することは許されない、といわざるを得ない。もっとも、当該特許権に係る技術的思想がその出願前全部公知であって、特許すべきものでないことが明白であるにも拘らず、かかる特許権に基づいて対象物件について特許権侵害を理由に差し止めあるいは損害賠償を請求することは、権利の濫用として許されない場合があると考えられるから、本件の場合、まず本発明が控訴人主張の乙第八七号証発明によりその出願前全部公知であったかについて検討する。
成立に争いのない乙第八七号証によれば、乙第八七号証発明は、名称を「精米研磨機」とし、特許請求の範囲を「下部に糠排出口を設けた外胴内に間隙をおいて、
目板または金網のような通気性の研磨筒を設け、前端に調整装置を有する排出口を、後端に送気室を備えた研磨胴に、中空体にして基部に送気口を有し、移送螺条と多数の噴気管を設けた研磨ロールを装置した研磨機を、上下二段に連成し、上部研磨機に一方に空気流入口を有し他方吸風管に連る開口を設けた除塵樋を有する供給漏斗を設け、下部研磨機に上部研磨機と供給樋によって連らならせ、下部に設けた吸風機の吸入口に、除塵樋の開口と、外胴の糠排出口とに連る吸気管を連ね、また送風機の送風管を研磨胴の送気室に連らならせ、送気室内に噴霧嘴を開口させて成る精米研磨機」(二頁左欄八行ないし右欄一〇行)とする発明であることが認められる。
そこで、本発明と乙第八七号証発明とを対比すると、前掲乙第八七号証によれば、その発明の詳細な説明には、「供給口1から精米機によって精白された米粒を供給すれば、除塵樋2中を落下するとき吸風機の作用によって空気流入口3から流入吸引される空気のため分離した糠や塵は米粒より分離吸引されて除去され、研磨胴の開口部に至り、胴内に回転する研磨ロール20の作用によってその移送螺条23に送り出され金網研磨筒12に至り(中略)攪拌移動作用を与え、米粒の表面を研磨し糠を分離する」(一頁右欄二一行ないし三〇行)と記載されているから、乙第八七号証発明は、別の精米機によって精白された精白米を供給口1に供給し精白するものであるから、供給される米粒は未だ最終仕上げ工程を経ていない白米であると認められるが、乙第八七号証を精査しても、その精白度については、何らの記載も示唆も存しないから、本発明の構成要件a「六分搗きもしくはそれ以上の精白度の白米を多孔壁除糠精白室によりさらに精白して精白度を進行させる」との要件を具備するものとは認められない。
また、前掲乙第八七号証によれば、その発明の詳細な説明には「20は研磨ロールで、一方に軸21を突出し端面に開口22を設け、表面には移送螺条23と周面に噴出小孔を設けた噴気管25を多数樹立させる、26は送風機で吸風機7と一体にして軸27によって内部の翼車を回転し、側方の開口28から吸入し送風管29によって送風する、送風管29は研磨胴16の後部に設けた送風室18に各開口させる、30は送風管29の送風室18に開口する連結管で、その中間にポンプ等によって水または薬液等を圧送して噴出する噴霧嘴31を設ける」(同一頁左欄三五行ないし右欄八行)と記載されているから、乙第八七号証発明は、水溶液を精白室内の米粒に添加させる構成のものであると認められるが、乙第八七号証を精査しても、添加される水量については何らの記載も示唆も存しないから、本発明の構成要件b「右進行過程において、その白米中に米量に対し〇・一〜二%の水または塩水その他水溶液を添加する」との要件を具備するものとは認められない。
本発明は、「通常米量に対し〇・一〜二%の範囲で適量の加水を行ない白米粒の表面だけを湿潤して軟化し直ちに精白作用により精米する(中略)添加水分は米粒内質に吸収浸透されないので米粒内質は保護される」(本件公報二頁左欄一一行ないし一八行)、「六分搗き以下の低白度精白米ではたん白質層を露出しているので粒面に一〇〇%飽和水分率のような状態に加水を行なって精米すると糠が粘性を帯び米粒面にも膠着して却って汚損される結果になり、本発明の目的には絶対沿えない」(同頁右欄一〇行ないし一五行)、「米粒総量に対する水分添加率こそ〇・一〜二%であるが、せいぜい二〇秒内外の短時間処理なので、米粒面は水でベタ付き換言すれば米粒表面の細胞に対しては一〇〇%飽和に近い水分添加と見てよい(中略)これによって米粒表面に固着している糊粉層も難なく剥離され米粒全面が均一な高白度の白米となり粒面が高密度の光沢平滑面に仕上がる」(同頁左欄三六行ないし右欄二行)との知見に基づき、特許請求の範囲記載の構成を採用し、この構成により糊粉層を完全に除去し、米粒全体が均一な高白度の白米となり、粒面が高密度の光沢平滑面に仕上がるという作用効果を奏するものと認められる。
したがって、本件発明は、構成要件aにおいて、対象を「六分搗きもしくはそれ以上の精白度の白米」と限定し、構成要件bにおいて、水添加量を「その白米中に米量に対し〇・一〜二%」と限定したことにその技術的意義が存するから、このような限定のなされていない乙第八七号証発明により本発明が本出願前全部公知であったとすることはできない。
以上のとおり、本発明が本出願前全部公知であったことを前提とする控訴人の主張はその前提を欠き、採用することができない。」二 よって、被控訴人の請求を原判決主文第1項ないし第3項の限度で理由があるとして認容した原判決の判断は、正当であるから、本件控訴を棄却することとし、
控訴費用の負担につき民事訴訟法95条89条を各適用して、主文のとおり判決する。
裁判官 竹田稔
裁判官 関野杜滋子
裁判官 持本健司