関連審決 | 訂正2005-39078 異議2003-71596 |
---|
関連ワード | 29条1項3号 / 特許出願日 / 設定登録 / 訂正審判 / 請求の範囲 / 減縮 / 変更 / 審決確定(審決が確定) / 取消決定 / |
---|
元本PDF | 裁判所収録の全文PDFを見る |
---|
事件 |
平成
17年
(行ケ)
10409号
特許取消決定取消請求事件
|
---|---|
原告 帝人株式会社 訴訟代理人弁理士 三原秀子 被告 特許庁長官中嶋誠 指定代理人 澤村茂 実,石井淑 久,唐木 以知良,青木博文 |
|
裁判所 | 知的財産高等裁判所 |
判決言渡日 | 2006/02/13 |
権利種別 | 特許権 |
訴訟類型 | 行政訴訟 |
主文 |
特許庁が異議2003−71596号事件について平成17年2月24日にした決定のうち「特許第3359813号の請求項1ないし4,6,9ないし12に係る特許(ただし,訂正審決によって,請求項1,2は訂正の上(訂正された他項を引用する場合も含む。)番号は変更されず,請求項3は削除され,請求項4,6,9ないし12は訂正の上(訂正された他項を引用する場合も含む。)番号も変更されてそれぞれ1番ずつ繰り上げられた。)を取り消す。」との部分を取り消す。 訴訟費用は原告の負担とする。 |
事実及び理由 | |
---|---|
原告の求めた裁判
主文第1項と同旨の判決。 |
|
事案の概要
本件は,後記本件発明の特許権者である原告が,特許異議の申立てを受けた特許庁により請求項1ないし4,6,9ないし12に係る特許を取り消す旨の決定がされたため(なお,請求項5,7,8に係る特許は維持された。),同決定のうち上記特許を取り消した部分の取消しを求めた事案である。 1 前提となる事実等 (1) 特許庁における手続の経緯 (1-1) 本件特許 特許権者:帝人株式会社(原告) 発明の名称:「積層二軸配向ポリエステルフィルム」 特許出願日:平成8年4月16日(特願平8-94226号) 設定登録日:平成14年10月11日 特許番号:第3359813号 (1-2) 本件手続 特許異議事件番号:異議2003-71596号 異議の決定日:平成17年2月24日 決定の結論:「特許第3359813号の請求項1ないし4,6,9ないし12に係る特許を取り消す。同請求項5,7,8に係る特許を維持する。」 決定謄本送達日:平成17年3月14日(原告に対し) (2) 決定の理由の要旨は,請求項1ないし4,6,9ないし12に係る発明は,特許法29条1項3号の規定に違反して特許がされたものであるから,上記各発明についての特許は取り消されるべきである,というものである(なお,請求項5,7,8に係る特許については,特許を取り消すべき理由はないとされた。)。 (3) 決定が対象とした発明の要旨は,別紙「@ 決定が対象とした発明の要旨」のとおりである。 (4) 原告は,本訴係属中の平成17年5月11日,本件特許につき,特許請求の範囲の減縮等を目的として,訂正審判の請求をしたところ(訂正2005-39078号),同年12月20日,当該訂正を認める旨の審決があり,その謄本が原告に送達され,訂正審決は確定した。 (5) 上記訂正審決による訂正後の発明の要旨は,別紙「A 訂正審決による訂正後の発明の要旨」のとおりである。 2 原告主張の決定取消事由 決定は,請求項1ないし4,6,9ないし12に係る発明の要旨を別紙「@ 決定が対象とした発明の要旨」のとおり認定し,これに基づき,特許を取り消すべきものと判断したが,特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正を認める審決が確定し,本件発明の要旨が別紙「A 訂正審決による訂正後の発明の要旨」のとおり訂正されたことにより,決定のうち「特許第3359813号の請求項1ないし4,6,9ないし12に係る特許を取り消す。」との部分は,取り消されるべきである。なお,上記訂正審決の結果,請求項3が削除され,請求項4以下の請求項番号がそれぞれ1番ずつ繰り上げられた。 |
|
当裁判所の判断
本件証拠(甲5ないし7,10ないし13)及び弁論の全趣旨によれば,第2の1に記載の事実関係を認めることができる。 そして,被告は,原告主張の訂正審決が確定したことを認め,これを理由として,決定のうち特許を取り消した部分が取り消されることについては,争わない。 当裁判所は,本件事案にかんがみ,決定のうち「特許第3359813号の請求項1ないし4,6,9ないし12に係る特許(ただし,訂正審決によって,請求項1,2は訂正の上(訂正された他項を引用する場合も含む。)番号は変更されず,請求項3は削除され,請求項4,6,9ないし12は訂正の上(訂正された他項を引用する場合も含む。)番号も変更されてそれぞれ1番ずつ繰り上げられた。)を取り消す。」との部分を取り消すのが相当であると判断し,原告の請求が理由があるものとしてこれを認容し,訴訟費用の負担につき行訴法7条,民訴法62条を適用して,主文のとおり判決する。 |
|
追加 | |
【別紙】@決定が対象とした発明の要旨【請求項1】ポリエステルB層の片面に,滑剤を含有するポリエステルA層を積層してなる積層二軸配向ポリエステルフィルムであって,(イ)フィルム全体の厚みが2〜10μmであり,(ロ)フィルムの縦方向および横方向のヤング率がそれぞれ450〜2000kg/mm2で,両者の比(横/縦)が1.0〜3.0であり,(ハ)フィルムを60℃×55%RHで72時間,無加重下に保持したときの縦方向の熱収縮率が0.5%以下であり,(ニ)ポリエステルA層の表面での総突起数が1.4×104個/mm2以上で,突起数が30個/mm2以上の領域で求めた突起数(YA:個/mm2)と突起高さ(HA:nm)との関係を表す突起分布曲線が下記式(1)の直線と交差し,下記式(2)の直線と交差せず,そして(ホ)ポリエステルB層の表面での総突起数が1.4×102個/mm2以上で,突起数が30個/mm2以上の領域で求めた突起数(YB:個/mm2)と突起高さ(HB:nm)との関係を表す突起分布曲線が下記式(3)の直線と交差しないことを特徴とする高密度磁気記録媒体用積層二軸配向ポリエステルフィルム。 【数1】log10YA=-0.15×HA+5……(1)log10YA=-0.05×HA+5……(2)log10YB=-0.15×HB+5……(3)【請求項2】ポリエステルA層の厚みが0.2〜2μmである請求項1に記載の高密度磁気記録媒体用積層二軸配向ポリエステルフィルム。 【請求項3】ポリエステルA層が含有する滑剤が,平均粒径の異なる少なくとも2種以上の不活性粒子からなる請求項1に記載の高密度磁気記録媒体用積層二軸配向ポリエステルフィルム。 【請求項4】ポリエステルA層が含有する滑剤が,耐熱性高分子粒子および/又は球状シリカ粒子を少なくとも含んでいる請求項1または3に記載の高密度磁気記録媒体用積層二軸配向ポリエステルフィルム。 【請求項5】ポリエステルB層が外部添加の不活性粒子を含まない請求項1に記載の高密度磁気記録媒体用積層二軸配向ポリエステルフィルム。 【請求項6】ポリエステルB層が耐熱性高分子粒子および/又は球状シリカ粒子の滑剤を含んでいる請求項1に記載の高密度磁気記録媒体用積層二軸配向ポリエステルフィルム。 【請求項7】ポリエステルフィルムをロール状に巻いたとき,ロール表面の1円周上での2mmφ以上の大きさのブツが10個/m以下であり,かつ縦シワの総幅がフィルム幅に対し30%以下である請求項1に記載の磁気記録媒体用積層二軸配向ポリエステルフィルム。 【請求項8】ポリエステルA層および/又はポリエステルB層がポリエチレンテレフタレートからなる請求項1に記載の高密度磁気記録媒体用積層二軸配向ポリエステルフィルム。 【請求項9】ポリエステA層および/又はポリエステルB層がポリエチレン-2,6-ナフタレートからなる請求項1に記載の磁気記録媒体用積層二軸配向ポリエステルフィルム。 【請求項10】フィルムがデジタル記録型磁気記録媒体用である請求項1に記載の磁気記録媒体用積層二軸配向ポリエステルフィルム。 【請求項11】請求項1に記載の積層二軸配向ポリエステルフィルムをベースとする高密度磁気記録媒体。 【請求項12】請求項10に記載の積層二軸配向ポリエステルフィルムをベースとするデジタル記録型磁気記録媒体。 A訂正審決による訂正後の発明の要旨(請求項3が削除され,請求項4以下の請求項番号がそれぞれ1番ずつ繰り上げられた。)【請求項1】ポリエステルB層の片面に,滑剤を含有するポリエステルA層を積層してなる積層二軸配向ポリエステルフィルムであって,(イ)フィルム全体の厚みが2〜10μmであり,(ロ)フィルムの縦方向および横方向のヤング率がそれぞれ450〜2000kg/mm2で,両者の比(横/縦)が1.0〜3.0であり,(ハ)フィルムを60℃×55%RHで72時間,無加重下に保持したときの縦方向の熱収縮率が0.5%以下であり,(ニ)ポリエステルA層の表面での総突起数が1.4×104個/mm2以上で,突起数が30個/mm2以上の領域で求めた突起数(YA:個/mm2)と突起高さ(HA:nm)との関係を表す突起分布曲線が下記式(1)の直線と交差し,下記式(2)の直線と交差せず,そして(ホ)ポリエステルB層の表面での総突起数が1.4×102個/mm2以上で,突起数が30個/mm2以上の領域で求めた突起数(YB:個/mm2)と突起高さ(HB:nm)との関係を表す突起分布曲線が下記式(3)の直線と交差しないこと,そして(ヘ)ポリエステルA層が含有する滑剤が,平均粒径0.2〜0.6μmの粒子Iと,粒子Iよりも平均粒径の小さい平均粒径が0.05〜0.3μmの粒子IIからなることを特徴とする高密度磁気記録媒体用積層二軸配向ポリエステルフィルム。 【数1】log10YA=-0.15×HA+5……(1)log10YA=-0.05×HA+5……(2)log10YB=-0.15×HB+5……(3)【請求項2】ポリエステルA層の厚みが0.2〜2μmである請求項1に記載の高密度磁気記録媒体用積層二軸配向ポリエステルフィルム。 【請求項3】ポリエステルA層が含有する滑剤が,耐熱性高分子粒子および/又は球状シリカ粒子を少なくとも含んでいる請求項1に記載の高密度磁気記録媒体用積層二軸配向ポリエステルフィルム。 【請求項4】ポリエステルB層が外部添加の不活性粒子を含まない請求項1に記載の高密度磁気記録媒体用積層二軸配向ポリエステルフィルム。 【請求項5】ポリエステルB層が耐熱性高分子粒子および/又は球状シリカ粒子の滑剤を含んでいる請求項1に記載の高密度磁気記録媒体用積層二軸配向ポリエステルフィルム。 【請求項6】ポリエステルフィルムをロール状に巻いたとき,ロール表面の1円周上での2mmφ以上の大きさのブツが10個/m以下であり,かつ縦シワの総幅がフィルム幅に対し30%以下である請求項1に記載の磁気記録媒体用積層二軸配向ポリエステルフィルム。 【請求項7】ポリエステルA層および/又はポリエステルB層がポリエチレンテレフタレートからなる請求項1に記載の高密度磁気記録媒体用積層二軸配向ポリエステルフィルム。 【請求項8】ポリエステルA層および/又はポリエステルB層がポリエチレン―2,6―ナフタレートからなる請求項1に記載の磁気記録媒体用積層二軸配向ポリエステルフィルム。 【請求項9】フィルムがデジタル記録型磁気記録媒体用である請求項1に記載の磁気記録媒体用積層二軸配向ポリエステルフィルム。 【請求項10】請求項1に記載の積層二軸配向ポリエステルフィルムをベースとする高密度磁気記録媒体。 【請求項11】請求項9に記載の積層二軸配向ポリエステルフィルムをベースとするデジタル記録型磁気記録媒体。 |
裁判長裁判官 | 田中昌利 |
---|---|
裁判官 | 佐藤達文 |
裁判官 | 清水知恵子 |