関連審決 |
審判1995-22123
審判1997-20804 |
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関連ワード | 進歩性(29条2項) / 分割出願 / 特許発明 / 加工 / 設定登録 / 請求の範囲 / 減縮 / 審決確定(審決が確定) / |
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事件 |
平成
11年
(行ケ)
129号
審決取消請求事件
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原告A 訴訟代理人弁護士 宇井正一 同 弁理士 B 被告 明星産商株式会社代表者代表取締役 C 訴訟代理人弁護士 田浦清 同 弁理士 D |
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裁判所 | 東京高等裁判所 |
判決言渡日 | 1999/09/07 |
権利種別 | 特許権 |
訴訟類型 | 行政訴訟 |
主文 |
特許庁が平成7年審判第22123号事件について平成8年4月30日にした審決を取り消す。 差戻し前及び差戻し後の第一審並びに上告審の訴訟費用はすべて被告の負担とする。 |
事実及び理由 | |
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当事者の求めた裁判
1 原告 主文と同旨2 被告 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 |
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当事者間に争いのない事実
1 特許庁における手続の経緯等(1) 原告は、発明の名称を「化粧料封入袋」とする特許第1805837号発明(昭和54年12月3日原出願、昭和57年12月27日分割出願、平成2年7月10日出願公告、平成5年11月26日設定登録。以下「本件特許」といい、その発明を「本件発明」という。)の特許権者である。被告は、平成7年10月6日、 本件特許を無効とすることについて審判を請求し、特許庁は、この請求を同年審判第22123号事件として審理した結果、平成8年4月30日に「特許第1805837号発明の特許を無効とする。」との審決(以下「本件審決」という。)をし、同年5月18日、原告にその謄本を送達した。 (2) 審決の理由 審決の理由は、要するに、本件発明は進歩性がなく、本件特許は特許法29条2項、123条1項2号に該当するというものである。 (3) 原告は、平成8年6月14日、本件審決を不服としてその取消しを求め、訴訟を提起したが(当庁平成8年(行ケ)第109号)、平成9年10月28日に請求棄却の判決を受けたので、これを不服として、平成9年11月8日に上告した(最高裁判所平成10年(行ツ)第61号)。 原告は、上記上告事件係属中の平成9年12月11日、明細書の訂正をすることについて審判を請求し、特許庁は、これを平成9年審判第20804号事件として審理したうえ、平成10年3月4日に上記訂正をすべき旨の審決(以下「本件訂正審決」という。)をし、これが確定した。 最高裁判所は、平成11年4月22日、本件訂正審決が確定したことにより、原判決につき判決に影響を及ぼすことの明らかな法令違反があったとして、事件を当庁に差し戻す旨の判決をした。 2 本件訂正審決による訂正の内容(1) 本件訂正審決による訂正前の本件発明の特許請求の範囲は、次のとおりである。 「本件特許発明の要旨気密性を有する1枚のシート材で形成されたほぼ四角形の封入袋であって、該封入袋はその内部に湿潤したシート状繊維素材が入った状態でセンターシール部および両端シール部によって密封されており、前記センターシール部と対向する封入袋の他面のほぼ中央部に、取り出し口を形成するための切離し用切込み部があり、該切込み部を覆って気密性フィルムよりなる開閉蓋が設けられ、 該開閉蓋の封入袋側の面にはほぼ全面的に感圧接着剤層が形成されており、開閉蓋が感圧接着剤によって封入袋に貼着しており、開閉蓋の一端が固定部となっていることを特徴とするピロータイプ製袋加工法により製造された軟質の化粧料封入袋。」(2) 本件訂正審決による訂正後の特許請求の範囲は、次のとおりである(下線部が訂正により追加された箇所である。)。 「気密性を有する1枚のシート材で形成されたほぼ四角形の封入袋であって、該封入袋はその内部に湿潤したシート状繊維素材が入った状態で合掌貼りのセンターシール部および両端シール部によって密封されており、前記センターシール部と対向する封入袋の他面のほぼ中央部に、取り出し口を形成するための切離し用切込み部があり、該切込み部を覆って気密性フィルムよりなる開閉蓋が設けられ、該開閉蓋の封入袋側の面にはほぼ全面的に感圧接着剤層が形成されており、開閉蓋が感圧接着剤によって封入袋に貼着しており、開閉蓋の一端が固定部となっていることを特徴とするピロータイプ製袋加工法により製造された軟質の化粧料封入袋。」 |
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当裁判所の判断
1 本件訂正審決による訂正が特許請求の範囲の減縮を目的とするものであることは明らかである。 特許法29条の規定に違反してなされた特許であることを理由に特許を無効とした審決の取消しを求める訴訟の係属中に、当該特許に係る特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正審決が確定したときは、審決は、判断の対象となるべき発明の要旨の認定を誤ったものとして違法となると解すべきであるから、本件審決は、取消しを免れない。 2 よって、原告の請求を理由があるものとして認容し、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条、民事訴訟法61条を適用して、主文のとおり判決する。 |
裁判長裁判官 | 山下和明 |
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裁判官 | 山田知司 |
裁判官 | 宍戸充 |