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事件 昭和 37年 (ワ) 796号
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裁判所 東京地方裁判所
判決言渡日 1965/06/22
権利種別 特許権
訴訟類型 民事訴訟
主文 原告らの請求は、いずれも棄却する。
訴訟費用のうち、差止及び廃棄請求に関する分は原告ら全員の連帯負担とし、損害賠償請求に関する分は原告【A】及び同【B】の連帯負担とする。
事実及び理由
当事者の求めた裁判
一 原告ら訴訟代理人は、当初、「一 被告は別紙(一)記載の絞り作動装置を有する一眠レフレツクス写真機及び右装置を有する一眠レフレツクス写真機用交換レンズを製作販売してはならない。二 被告は前記記載の各物件を廃棄せよ。三 訴訟費用は、被告の負担とする。」との判決を求めたが、後に訴を追加的に変更して、「被告は、原告【A】及び同【B】に対し、それぞれ、金四千三百六万二千九百円及びこれに対する昭和三十八年十月二十一日から支払いずみに至るまで年五分の割合による金員を支払え。」との判決をも求めた。
二 被告訴訟代理人は、訴の変更前の原告らの請求に対し、「一 原告らの請求は、いずれも棄却する。二 訴訟費用は、原告らの負担とする。」との判決を求め、「原告【A】及び同【B】がした訴の変更は、著しく訴訟手続を遅滞させるものであるから、民事訴訟法第二百三十2条第1項但書及び第二百五十5条第1項本文の各規定により、許されない。」と述べ、右原告両名の追加的請求に対し、「原告両名の請求は、いずれも棄却する。」との判決を求めた。
原告らの主張
原告ら訴訟代理人は、請求の原因等として、次のとおり述べた。
一 原告【A】及び【B】(以下「原告【A】及び同【B】」という。)は、昭和二十四年三月十八日、設定の登録により次の特許権につき各二分の一の持分を取得した。
特許番号 第一七八、一六七号発明の名称 一眠レフレツクス用絞り作動装置出願 昭和二十一年十月二十四日出願公告 昭和二十三年十月二十日登録 昭和二十四年三月十八日二 原告マミヤ光機株式会社は、昭和二十五年十二月、原告【A】及び同【B】から、本件特許権について次のような内容の独占的実施権の許諾を受けた。
範囲 全部期間 本件特許権の残存期間中三 本件特許出願の願書に添付した明細書の特許請求の範囲の記載は、別紙(二)の該当欄記載のとおりである。
四 本件特許発明構成要件及び作用効果(一) 本件特許発明の構成に欠くことのできない事項は、次のとおりである。
(1) 絞度調整環に止子を設けること、
(2) 絞羽根開閉板を止子に衝合するようにすること、
(3) 絞羽根開閉板にシヤツターの起動杆と関連する作動環を係合し、常時絞りを全開状態に保たせること、
(4) シヤツターの作動に際し、シヤツターが開き始めないうちに作動環を押進し、絞羽根開閉板が止子に衝合するまでこれを回動して、予め定めた絞度に絞ること。
なお、この点に関する被告の主張は争う。本件特許権は、すでに無効審判請求期間の経過により確定した権利となつているものであり、かつ、その特許請求の範囲の記載は極めて明瞭であるから、その技術的範囲には、発明の詳細なる説明等の記載を参酌するまでもなく、特許請求の範囲の記載に基づいて定めるべきであり、明細書記載の実施例に限定されないことはいうまでもない。被告主張の(5)から(7)の要件は、いずれも単に一実施例の具体的構造にすぎず、本件特許発明の構成に欠くことのできない事項ではない。また、特許請求の範囲の記載中、絞羽根開閉板と作動環との「係合」にはなんら限定が附されていないから、それが「摩擦的係合」に限定されるいわれもない。
(二) 本件特許発明は、右(一)記載の構造により、次の作用効果を生ずる。
(1) 常時、絞りを全開状態に保ち、映像を明瞭ならしめること、
(2) シヤツターの作動に際し、又は焦点深度を観察する等の必要時のみ、自動的に予め定めた絞度に絞られること。
五 被告製品 被告の製作販売にかかる一眠レフレツクス写真機及びその交換レンズは、別紙(一)記載の絞り作動装置を有する。
六 被告製品の特徴(一) 構造上の特徴 本件特許発明との比較における被告製品の構造上の特徴は、次のとおりである。
(1) 絞度調整環10に、鏡胴Aの中心よりの距離が漸変するカム面11’を形成するカム板11を設けたこと、
(2) 絞羽根群16に結合環14を介して連なる連結ピン13を溝25’によつて動かす中介レバー25に制限ピン8を植設し、この制限ピン8をカム板11のカム面11’に衝合するようにしたこと、
(3) 中介レバー25に植設した制限ピン8を、弓状レバー3と一体的に動くように結合した重合レバー5の溝5’に嵌め、弓状レバー3に固定したピン2をシヤツターの作動に際して移動する進退レバー1に当接し、常時絞羽根群16を全開状態に保つように弓状レバー3の位置を設定したこと、
(4) シヤツターの作動に際し、シヤツターが開き始めないうちに弓状レバー3を発条4によつて回動し、弓状レバー3に重合レバー5、制限ピン8を介して連動する中介レバー25に植設した制限ピン8がカム板11のカム面11’に衝合するまで、これを中介レバー25とともに回動するようにしたこと。
(二) 作用効果上の特徴 被告製品は、右(一)記載の構造により、本件特許発明のそれと同一の作用効果を生ずる。
七 本件特許発明と被告製品との比較(一) 本件特許発明では、絞度調整環に止子を設けているのに対し、被告製品では、絞度調整環10にカム板11を設けており、その具体的構造には差異が認められる。しかし、本件特許発明における止子は、絞度調整環を回動して、絞羽根開閉板に設けられた切欠との衝合位置を調整することにより、絞りの開閉度を制御するためのものであり、被告製品におけるカム板11も、絞度調整環10を回動して、
中介レバー25及び結合環14を介して絞羽根群16と連動する制限ピン8との衝合位置を調整することにより、絞りの開閉度を規制するためのものであり、両者の機能は全く同一である。したがつて、被告製品におけるカム板11は本件特許発明の止子と均等物である。
(二)本件特許発明では、止子に絞羽根開閉板を衝合させるのに対し、被告製品では、カム板11に中介レバー25に植設した制限ピン8を衝合させる点において、
両者間に構造上の差異が認められるが、右各構造はいずれも絞羽根開閉板又は中介レバー25の移動距離を規制することにより絞羽根群の絞度を制御する機能において全く同一であるから、被告製品における中介レバー25は本件特許発明の絞羽根開閉板と均等物である。
(三) 本件特許発明では、シヤツターの起動杆と関連する作動環を絞羽根開閉板に係合して、常時絞りを全開状態に保たせるのに対し、被告製品では、シヤツターの作動に際して移動する進展レバー1に関連する弓状レバー3と中介レバー25とを重合レバー5を介して連動させて、常時絞りを全開状態に保たせる点において、
両者間に構造上の差異が認められるが、本件特許発明における作動環及び被告製品における弓状レバー3は、いずれもシヤツターの起動を絞羽根開閉板又は中介レバー25に伝導する中間機構にすぎない点において、同一であるから、後者は前者の均等物である。
(四) 本件特許発明では、シヤツターの作動に際し、シヤツターが開き始めないうちに作動環を押進し、絞羽根開閉板が止子に衝合するまでこれを回動して、予め定めた絞度に絞るように構成されているのに対し、被告製品では、シヤツターの作動に際し、シヤツターが開き始めないうちに弓状レバー3を回動し、中介レバー25に植設した制御ピン8がカム板11に衝合するまでこれを回動し、予め定めた絞度に絞るように構成されている点において、両者は全く同一であり、同一の作用効果を生ずる。
(五) 以上のとおり、被告製品は、本件特許発明構成要件をすべて具備し、本件特許発明のそれと同一の作用効果を生ずるものであるから、本件特許発明技術的範囲に属するものというべきである。
なお、被告がした昭和三十五年第三六五二一号特許出願に対し昭和三十九年六月二十九日出願公告をすべき旨の決定がされたことは認めるが、このことと被告製品が本件特許発明技術的範囲に属するか否かとは全く関係がない。
差止及び廃棄請求 被告は、現在業として、本件特許発明技術的範囲に属する別紙(一) 記載の絞り作動装置を取り付けた一眠レフレツクス写真機及びその交換レンズを製作販売して、原告【A】及び同【B】の本件特許権並びに原告マミヤ光機株式会社の本件特許権に対する独占的実施権侵害し、この侵害行為を組成する右物件を所有している。
よつて、原告らは、被告に対し、請求の趣旨第一、第二項のとおり、右侵害行為の差止及び侵害組成物件の廃棄を求める。
九 損害賠償請求(一) 被告は、昭和三十六年四月一日から昭和三十八年十月二十日までの間、故意又は過失により、本件特許発明技術的範囲に属する別紙(一)記載の絞り作動装置を取り付けた一眠レフレツクス写真機及び交換レンズを十四万三千五百四十三個製作販売して原告【A】及び同【B】の本件特許権を侵害した。
(二) 本件特許発明実施に対し通常受けるべき金銭の額は、原告両名と被告を含む数人のカメラ製造業者との間で締結された実施許諾契約における実施料の額その他の実施条件からみて、被告製品一個につき、少なくとも金六百円が相当である。この点に関する被告の主張事実は否認する。
(三) よつて、原告【A】及び同【B】は、それぞれ、右金六百円に十四万三千五百四十三個を乗じて得られる金八千六百十二万五千八百円の二分の一すなわち金四千三百六万二千八百円を、被告の前記侵害行為により受けた損害としてその賠償を求め、右金員に対する前記侵害行為の最終日の翌日である昭和三十八年十月二十一日から支払いずみに至るまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める。
十 本件特許権の消滅について被告の主張十の事実は、認める。
被告の主張
被告訴訟代理人は、答弁等として、次のとおり述べた。
一 原告らの主張一の事実は、認める。
二 同二の事実は、知らない。
三 同三の事実は、認める。
四 同四の事実は、否認する。
(一) 原告ら主張の四つの要件に次の各要件を加えて、はじめて、本件特許発明の所期の目的を達成することができ、その実施が可能となるのであるから、次の各要件もまた本件特許発明の構成に欠くことのできない事項といわなければならない。
(5) 環状の作動環と絞羽根開閉板との間に環状摩擦板を介在させて両者を摩擦的に係合し、鏡胴を中心として円運動をさせること、
(6) 作動環の回動範囲が絞羽根開閉板の回動範囲より大きいこと、
(7) シヤツターの起動杆が復位するとき、作動環はバネに引かれて復動し、これと摩擦的に係合する絞羽根開閉板を絞羽根が開く方向に回動させること。
しかして、原告ら主張の(1)及び(2)記載の各構造並びに常時絞りを全開状態に保ち、シヤツターの作動に際しシヤツターが開き始めないうちに作動環を押進し、絞羽根開閉板が止子に衝合するまでこれを回動して、予め定めた絞度に絞る構造は、本件特許出願当事すでに公知であつたから、本件特許発明の要部は次の点にある。
(イ) 絞羽根開閉板に作動環を重ね、その間に環状摩擦板を介装し、絞羽根開閉板と作動環とを摩擦的に係合して、摩擦伝導力を利用したこと、
(ロ) 予定絞りをするため、絞度調整環に設けられた串を装定環外周面の凹窩に係合して、止子を固定し、絞羽根開閉板の切欠を止子に衝合するようにしたこと。
(二) 原告らが本件特許発明の作用効果として主張する点は、本件特許発明が解決しようとした技術的課題それ自体であり、本件特許発明の作用効果ということはできず、また、右課題は本件特許出願当時すでに公知であつた。
本件特許発明は、右(一)記載の構造により、次の作用効果を生ずる。
(1) 作動環は常時バネに引かれ、絞り作動をするときはバネに抗して鏡胴を中心に回動すること、
(2) 作動環と絞羽根開閉板とは同一方向に摩擦的に回動し、シヤツターの作動に際して、シヤツターが開き始めないうちに作動環が押進されると、絞羽根開閉板が止子に衝合するまではこれをともに回動して予め定めた絞度に絞り、その後は作動環のみがその行程端まで回動すること、
(3) 作動環が復動するときは、バネに引かれ、絞羽根開閉板とともに回動して絞りが全開状態になること。
五 同五の事実は、認める。
六 同六の事実は、否認する。
(一) 本件特許発明との比較における被告製品の構造上の特徴は、原告ら主張の四点のみでなく、次の諸点もこれに加えるべきである。
(5) 弓状レバー3、
重合レバー5及び中介レバー25は、押動ピン7、制限ピン8及び戻り発条6等によつて連動し、右各レバーは鏡胴Aの中心を離れた偏心位置を支点として振子運動をすること、
(6) 弓状レバー3の作動行程は中介レバー25のそれと等しいこと、
(7) 進退レバー1が復位するとき、進退レバー1自体が弓状レバー3を復動させ、これと連動する結合環13を絞羽根が開く方向に回動すること。
(ニ) 被告製品の作用効果上の特徴は、次のとおりである。
(1) 弓状レバー3は、進退レバー1の退避により発条4に引かれて鏡胴Aの中心を離れた軸3を支点として外方向に振られるが、弓状レバー3、重合レバー5及び中介レバー25の運動半径が大きいため、運動に要する力は小さくてすみ、また、右各レバーの支持装置は直径の小さい軸3’、26であるからその間に生ずる摩擦は小さく、かつ、レバー伝導力が利用されるので、迅速軽快に予定絞りに絞ることができること、
(2) 右各レバーの振子運動は、制限ピン8がカム板11のカム面11’に衝合すると、全部停止するので、予定絞りに絞つたのち、進退レバー1の復帰進出により、前記各レバーは迅速に復動し、絞りを全開にすることができること、
(3) 制限ピン8の運動方向がカム板11の位置調節方向と交叉するため、制限ピン8と衝合する際カム板11が受ける衝撃は小さい。したがつて、ポール18が凹孔17以外の位置にあつてもカム板11は動かず、任意の中間絞りが得られるので、適正露出を得るための精密な絞り操作が可能であること。
七 同七の点は、否認する。
(一) 本件特許発明における止子と被告製品におけるカム板11とは、その構造が異なるばかりでなく、作用効果も相違する。すなわち、本件特許発明においては、絞羽根開閉板の運動方向が止子の位置調節方向と一致するため、止子は絞羽根開閉板の運動方向に動かされやすく、絞度調整環に設けられた串を装定環外周面の凹窩に係合して固定しなければ、絞度調整環の調節位置が狂う。これに対して、被告製品においては、制限ピン8の運動方向はカム板11の位置調節方向と交叉するから、ポール18が凹孔17以外の位置にあつても、カム板11は動かず、任意の中間絞りが得られる。したがつて、カム板11を止子の均等物ということはできない。
(二) 被告製品における中介レバー25は本件特許発明における絞羽根開閉板とその構造及び作用効果を異にする。すなわち、本件特許発明においては環状の絞羽根開閉板の回動によりその切欠が止子に衝合するのに対し、被告製品においては環状でない中介レバー25の振子運動によりそれに植設された制限ピン8がカム板11に衝合するように構成されている。その結果、本件特許発明における止子と被告製品におけるカム板11との間のちがいと相俟つて、右(一) 記載のとおり、異なつた作用効果を生ずる。したがつて、前者を後者の均等物ということはできない。
(三) 本件特許発明では、絞羽根開閉板と作動環との間に環状摩擦板を介装して両者を摩擦的に係合するのに対して、被告製品では、中介レバー25と弓状レバー3とは押動ピン7、制限ピン8及び戻り発条6等により連動するに止まり、摩擦的に係合してはいない。したがつて、弓状レバー3を作動環の均等物ということはできない。
(四) 本件特許発明では、シヤツターの作動に際し、鏡胴を中心にバネに抗して作動環を押進し、絞羽根開閉板が止子に衝合するまではこれとともに回動し、その後は作動環のみをその行程端まで回動するのに対して被告製品では、進退レバー1の退避により弓状レバー3が発条4に引かれて、鏡胴Aの中心を離れた偏心位置を支点として外方向に振られ、制限ピン8がカム板11に衝合すると弓状レバー3、
重合レバー5及び中介レバー25は同時に運動を停止する。その結果、被告製品は本件特許発明に比し絞り作動に要する力が小さく、所要時間が短くてすむとともに、シヤツター釦の押圧を継続する必要がないという利点を有する。
(五) 本件特許発明では、作動環はバネにより常時絞羽根が開く方向に引かれており、シヤツターの作動に際してはバネに抗して押進され、シヤツターの起動杆が復位するときはバネにより復動するに対し、被告製品では、弓状レバー3は常時バネにより絞羽根が閉じる方向に引かれており、シヤツターの作動に際しては進退レバーの退避によりバネに引かれて外方向に振られ、進退レバー1が復位するときは進退レバー1自体によりバネに抗して復動する点においても、両者は相違する。
(六) 以上のとおり、被告製品は、本件特許発明構成要件を全く具備せず、その作用効果も異なるから、本件特許発明技術的範囲に属しない。
なお、このことは、本件被告製品と同一構成の「一眼レフレツクスカメラ用絞装置」について被告がした昭和三十五年第三六五二一号特許出願に対し、昭和三十九年六月二十九日出願公告をすべき旨の決定がされたことからも、明らかである。
八 同八の事実について 被告が現在業として別紙(一)記載の絞り作動装置を有する一眼レフレツクス写真機及びその交換レンズを製作販売し、これらを所有していることは認めるが、その余は争う。
九 同九の事実について(一) 同九の(一)の事実のうち、被告が原告ら主張の期間に原告ら主張の数量の製品を製作販売したことは認めるが、その余の事実は否認する。
(二) 同九の(二)の事実は否認する。本件特許発明の相当実施料額は、次の事実から判断して、被告製品一個につき高くとも金百五十円と見るべきである。すなわち、
(1) 原告【A】及び同【B】は、昭和二十四年三月十八日、本件特許権を取得しながらその実施をせず、昭和三十三年三月十日に至つて初めて実施契約を締結したこと、
(2) 右原告両名が同業者に本件特許発明及び特許第一七六、四八ニ号の特許発明実施を許諾するに際し、該二つの特許発明実施料は、毎月、五百個までは一個につき金三百円、五百個をこえ千個までは金二百円、千個をこえる分は金百五十円と定められたこと、
(3) カメラの重要部分はレンズにあり、絞り装置の価値は小さいこと、
(4) 特許権の価値は存続期間の進行とともに逓減するものであるところ、被告が本件製品を製作販売したのは本件特許権の存続期間終了前二年間であること。
(三) 同九の(三)点は争う。
十 本件特許権の消滅について本件特許権は、昭和三十年十月二十日、存続期間の終了により消滅した。
証拠関係(省略)
理 由
差止及び廃棄請求について
本件特許権が昭和三十八年十月二十日存続期間の終了により消滅したことは、当事者間に争いがないところであるから、原告らの差止及び廃棄請求は、その余の点について判断するまでもなく、理由がないものといわざるをえない。
損害賠償請求について
一 訴の変更の許否被告訴訟代理人は、原告【A】及び同【B】がした訴の追加的変更は、著しく訴訟手続を遅滞させるから、民事訴訟法第二百三十ニ条第一項但書及び第二百五十5条第1項本文の各規定により、許されないと主張する。しかして、本件一件記録に徴すれば、原告らは、昭和三十七年二月六日、訴提起以来、被告の現に製作販売する別紙(一)記載の絞り作動装置が原告らの本件特許発明技術的範囲に属することを主張立証してきたが、昭和三十八年十月三十日、右主張に加えて、被告の製作販売行為による特許権の侵害を理由にその損害の賠償を請求するに至つたものであること明らかである。しかして、右訴の追加当時、すでに従来の請求についての主張立証が尽されていたと仮定しても、この技術的範囲に属する物件を製作販売することによる特許権の侵害を理由とする損害賠償請求権の審理判断することは、これがため、多少の日時は要するにしても、特に著しい訴訟手続の遅滞を来たすものということは当をえない(現に、記録によれば、結果的にではあるが前記訴の追加的変更以後弁論終結まで四回の口頭弁論期日が開かれたにすぎない。)したがつて、本件における訴訟手続の経過に徴すれば、原告らがした前記訴の追加的変更は適法なものというべく、被告訴訟代理人の前記主張は実質的理由を見出しがたく、もとより採用しうべき限りではない。
二 原告両名の権利 原告【A】及び【B】が昭和二十四年三月十八日設定の登録により本件特許権につき各二分の一の持分を取得したこと及び本件特許権が昭和三十八年十月二十日に存続期間の終了により消滅したことは、当事者間に争いがない。
三 被告製品は本件特許発明技術的範囲に属するか。
(一) 争いのない事実 本件特許出願の願書に添付した明細書の特許請求の範囲の記載が別紙(二)該当欄記載のとおりであること並びに被告の製作販売にかかる一眼レフレツクス写真機及び交換レンズが別紙(一)記載の絞り作動装置を有することは、当事者間に争いがない。
(二) 本件特許発明構成要件 前記当事者間に争いのない特許請求の範囲の記載、とくに、「開閉板にシヤツターの起動杆に関連せる作動環を係合し、(中略)シヤツターの作動に際しシヤツターが開き始めざる期間中に作動環を押進し、開閉板が止子に衝合する迄之を共に回動せしめて予め定めたる絞度に絞る」との記載、成立に争いのない甲第三号証(本件特許発明明細書)の発明の詳細なる説明中、「開閉板7に作動環12を重ね、其の間に環状摩擦板13を介装し、作動環12と開閉板7とを摩擦的に係合し、切欠11が止子6に衝合せる以後は作動環12のみが回動する如くなさしむ。作動環12には突腕14を設け該突腕14に牽引バネ15を連結し、作動環12をして絞羽根8群を開く方向に回動せんとする傾向を附付し、突腕14にシヤツターの起動杆を関連し、シヤツターを作動すべく起動杆を作動する場合に作動環12をバネ15に抗して回動せしむべくす。」「作動環12は、バネ15にて牽引せられ、開閉板7は摩擦によつて作動環12と共に絞りが全開の状態を保たしむ。常時は以上の状態を保つも、撮影に際しシヤツターを作動すべく起動杆を押動する時は、シヤツターが開き始めざる期間中に作動環12をバネ15に抗して第一図に於て矢符の方向に回動し、開閉板7を切欠11の左端が止子6に衝合する迄共に回動して、絞羽根8群を予め定めたる絞度に絞り、爾後は開閉板7を其の位置に残し作動環12のみは其の行程端迄回動し、次でシヤツターが開放し始むるものにして、起動杆が復位するときは絞りは全開す」との記載及びその図面、証人【C】の証言並びに弁論の全趣旨を総合すれば、
(1) 絞羽根開閉板に作動環を「係合」することは本件特許発明の構成に欠くことができない事項の一つであること(このことは当事者間において争いがない)。
(2) 本件特許発明において、作動環を絞羽根開閉板に固定することなく、「係合」するに止めるのは、撮影に際し、シヤツターを作動すべく起動杆を押動して、
これと関連する作動環を押進するとき、絞羽根開閉板が止子に衝合するまではこれをともに回動して絞羽根群を予め定めた絞度に絞るが、その後は絞羽根開閉板をその位置に残し、作動環のみがその行程端まで回動し(起動杆がその行程端まで回動することはいうまでもない。)、次いで起動杆がその行程端に達することによりシヤツターが開き始めるように構成すること、換言すれば絞羽根開閉板に止子との衝合による抵抗が働かないときは絞絞羽根開閉板と作動環とは一体的に回動するが、
右抵抗が働くときは絞羽根開閉板は停止し作動環のみが回動しうるようにすることにより、シヤツターが開き始めないうちに予定絞りに絞るという作用効果を得るためであること。本件特許発明において、作動環を絞羽根開閉板に固定すれば、あるときは両者が一体的に回動し、あるときはその一方のみが回動するということは不可能になり、その結果、シヤツターが開きはじめないうちに予定絞りに絞るという作用効果も得られないことになること。
(3) したがつて、前記(1)にいう「係合」とは作動環と絞羽根開閉板とが「引っ掛かり合い」の関係にある場合をすべて包摂するものではなく、絞羽根開閉板が止子に衝合するまでは両者が一体的に回動し、その後は作動環だけが回動しうるような特殊の結合関係(かかる関係が摩擦的係合に限定されるかどうかは別として)のみを意味するものといわなければならないこと。
特許請求の範囲の記載中においては、「係合」という文字自体にこれを限定すべき字句は附されていないが、このことは「係合」を以上のように限定的に解釈するになんらの妨げともなりえないこと。
を認定しうべく、証人【D】の証言(第二回)中右認定に反する部分は措信しがたく、甲第三号証(弁理士【E】の鑑定書)、
甲第四号証(弁理士【F】の鑑定書)及び鑑定人【G】の鑑定の結果中の右認定に反する見解は、いずれも、なんら実質的根拠を示すことなく、前記「係合」即「引つ掛かり合い」の関係一般であるとの前提に立つものであり、到底当裁判所の賛同しえないところであり、また、鑑定人【H】の鑑定の結果は、
(1) 一旦、「作動子と開閉板とは或る時点まで共に回動し開閉板の回動が停止しても作動子は予め決められている行程の端迄回動し、その行程の戻りにおいては又又開閉子を常態に復する作用をなし、作動子と開閉板とはそのような作用をするような『係合』が即ち固着とか一体的に設けたのとは異り言わば引かかり合つているようなものであることの必要なことがわかる。」(鑑定書十頁)と正当に指摘しながら、被告製品と比較する際には、絞羽根開閉板が止子に衝合するまで絞羽根開閉板と作動環とがともに回動することのみを取り上げ、その後作動環のみが行程端まで回動することの必要性を看過又は無視していること。
(2) シヤツター作動の際における絞羽根開閉板の回動運動が作動環の押進により行われることは、特許請求の範囲の記載中に明示されているにもかかわらず、その効果が不明であるとの理由で、これを本件特許発明構成要件ではないとすることの二点において、論理的妥当性を欠き当裁判所のにわかに賛同しがたいところであり、他に前記認定を覆すに足る証拠はない。
(三) 被告製品の特徴 当事者間に争いのない被告製品の構造と前記(ニ)記載の事実とを対比すれば、
被告製品における「弓状レバー3に軸3´を共通にする重合レバー5を重ね、戻り発条6及び押進ピン7により両者が一体的に動くようにし、重合レバー5に設けた溝5´に中介レバー25の制限ピンを係合する構造」が、本件特許発明における前記(ニ)の(1)記載の要件に対応するものであることは、おのずから明らかである。
(四) 被告製品と本件特許発明との比較 前記(一)から(三)において明らかにされた事実に、本件被告製品のボデー、
絞り装置及びそれを分解したものであることに争いのない検乙第三号証の一から三並びに弁論の全趣旨を参酌して、本件特許発明における前記要件と被告製品における右構造とを比較考量すると、両者は、その構造及び作用効果において相違するものといわざるをえない。すなわち、
(1) 本件特許発明においては、作動環と絞羽根開閉板とは、絞羽根開閉板が止子に衝合するまでは両者一体的に回動するが、その後は、作動環のみがその行程端まで回動するような特殊の結合関係にあることを要するに対し、被告製品においては、制限ピン8がカム板11に衝合して中介レバー25が停止すれば、重合レバー5及び押動ピン12により弓状レバー3も同時に停止し、弓状レバー3のみが中介レバー25をその位置に残して動くということはありえないから、弓状レバー3と中介レバー25とが前記のような特殊の結合関係にあるものということはできない。
(2) 被告製品において、弓状レバー3と中介レバー25とを固定せずに、前記(三)記載の方法により関連させるのは、これによりシヤツターが開き始めないうちに予定絞りに絞るという作用効果を得るためではなく、(a)鏡胴の前後進を可能にすること、(b)重合レバー5に観察用レバー12を係合することにより随時予め定めた絞度における観察を行ないうるようにすること、(c)製作を容易にすること等のためである。
被告製品において、シヤツターが開き始めないうちに予定絞りに絞ることができるのは、シヤツター釦を押圧することにより進退レバー1が退避し始めると、弓状レバー3、重合レバー5及び中介レバー25は、発条4に引かれて、制限ピン8がカム板11に衝合するまで、一体的に外方向に振られ、絞羽根群を予定絞りに絞るが、これと同時に右各レバーはすべて停止し、その後は進退レバー1のみが退避運動を継続し、それが行程端に達したときシヤツターが開き始めるように構成されていることによるのであるから、弓状レバー3、重合レバー5及び中介レバー25が一体的に固定されていても、シヤツターが開き始めないうちに予定絞りに絞るという作用効果は得られる。
したがつて、被告製品において弓状レバー3と中介レバー25とを固定せず前記(三)記載の方法により関連させることによる作用効果は、本件特許発明において作動環と絞羽根開閉板とを「係合」することによる作用効果と全く相違するものといわなければならない。
前掲甲第三、第四号証並びに鑑定人【G】及び同【H】の各鑑定の結果中右に反する見解は、いずれも本件特許発明技術的範囲を不当に広く定めるものであり、
当裁判所の賛同しがたいところである。
(五)したがつて、被告製品はこの点において本件特許発明の構成に欠くことのできない事項の一つを欠くものであるから、他の点を比較するまでもなく、本件特許発明技術的範囲に属しないものというべく、他にこれを覆すに足る証拠はない。
四 むすび 以上説示のとおりであるから、被告製品が本件特許発明技術的範囲に属することを前提とする原告【A】及び同【B】の損害賠償請求は、進んで他の点について判断するまでもなく、理由がないものといわざるをえない。
よつて、原告らの本訴請求は、いずれもこれを棄却することとし、訴訟費用
の負担につき民事訴訟法第八十9条、第九十3条第1項但書及び第九十5条本文(ただし、第九十5条本文の規定は、損害賠償請求に関する分についてのみ)を適用して、主文のとおり判決する。
別紙(一)説明書 図面はマミヤ光機株式会社製ミノルタSR型写真機の絞り作動装置を示すもので、第一図は縦断側面図、第二図は第一図U-U線に於ける縦断正面図、第三図は弓状レバー3の部分の正面図、第四図は重合レバー5の部分の正面図、第五図は中介レバー25の部分の正面図、第六図は要部を離して略示した斜面図である。
Aは外周面に各種絞度に応ずる凹孔17を列設した鏡胴で、これに嵌合する絞度調整環10に設けた螺子19で圧縮される圧縮ばね20で弾圧されたボール18を絞度調整環10を回わして上記凹孔17の何れかに係合させることにより絞度が整定される。すなわち絞度調整環10に固着したカム板11には、鏡胴Aの中心よりの距離が漸変するカム面11´が形成され、
絞羽根群16に結合環14を介して連なる連結ピン13を溝25´によつて動かす中介レバー25に植設した制限ピン8をこのカム面11´に対応させて上記絞度調整環10を回わすことによるカム面11´の変位により、カム板11に対し制限ピン8が衝合するに至る間隔を変化させて、その結果中介レバー25の軸26を中心としてカム面11´に交叉する方向に作動する範囲を限定し、従つて絞羽根群16の開閉度すなわち絞度が制禦される。
一方写真機のボデー側にシヤツターを作動するとき往復運動する進展レバー1が設けられ、これに連動するピン2を固定した弓状レバー3が軸3´を中心として作動するように設けられ、その一端に設けた発条4の張力で外方に作動するようになつていると共に、弓状レバー3に重ねて軸3´を共通にする重合レバー5が設けられ、それが弓状レバー3と一体的に動くようになつている。かつ重合レバー5に設けた溝5´には、前記絞羽根群開閉用中介レバー25の制限ピン8が受けられて係合している。絞度調整環10によつて上記のように或る絞度に整定した時、進退レバー1が第二図に示す復動した状態において、弓状レバー3及び重合レバー5は軸3´を中心として内方に回動した状態となり、従つて制限ピン8を介して絞羽根群16は常時全開状態を保つが、シヤツターの作動に連動して進退レバー1が第二図の状態から同図に於て左方に退避すると、発条4によつて弓状レバー3及び重合レバー5は軸3´を中心として外方へ作動し、制限ピン8はカム板11のカム面11の予め整定された絞度に応ずると衝合して止まり、従つて絞羽根群16はその絞度に閉じられた状態でシヤツターによる露光作用が行われ、引きつづき進退レバー1が第二図の状態への復動することにより、再び絞羽根群16は全開状態となる。
なお、第二図の12はその内端部によつてピン27を介し重合レバー5に従つて絞羽根開閉中介レバー25の制限ピン8を外方へ動かすための観察用レバーで、これによつて上記自動絞り制禦装置とは関係なく、絞羽根群16を作動して予め整定した絞度における観察を随時行い得るもので、9は発条である。
又6は弓状レバー3の掛軸22と重合レバー5の掛軸24との間に掛合した戻り発条で弓状レバー3に設けた押動ピン7と相待つて重合レバー5を弓状レバー3と一体的に動くようにする。15は絞羽根の支持環で21はそれに設けた誘導溝、23は鏡胴Aを写真機のボデーに結合する係合部、28は絞り孔である。
<88403-001><88403-002><88403-003><88403-004>別紙(二)特許発明明細書 登録第一七八一六七号公告 昭ニ三・一〇・二〇(特公昭ニ三-ニ三八九)一眼レフレツクスカメラ絞り作動装置発明の性質及目的の要領 本発明は絞度調整環に止子を設け絞羽根開閉板を該止子に衝合すべくし開閉板にシヤツターの起動杆に関連せる作動環を係合うし常時絞りを全開状態に保たしめシヤツターの作動に際しシヤツターが開き始めざる期間中に作動環を押進し開閉板が止子に衝合する迄之を共に回動せしめて豫め定めたる絞度に絞ることを特徴とする一眠レフレツクスカメラ用絞り作動装置に係り其の目的とする所は常時絞りを全開せしめて像を明瞭ならしめシツツターの作動に際し又は焦点深度観察をなさんとす等の必要時のみ自働的に豫め定めたる絞度に絞らんとするにあり図面の略解 図面は本発明の一例を示す第一図は一部を截缺せる正面図第二図は縦断側面図第三図は開閉板と止子との関係を示す正面図第四図は第ニ図A-A’線に於ける横断正面図なり発明の詳細なる説明 本発明を図面に就き説明せんに装定環1に絞度調整環2を緩嵌し装定環1の外周囲に各種絞度に応ぜる凹窩3を設け調整環2に押圧バネ4を作用せしめたる串5を出入自在に設けて之を凹窩3に係合せしむべく調整環2の内部に止子6を固定し調整環2の内側に環状の開閉板7を回動自在に設け絞羽根8群を結合せる結合環9を連結杆10にて開閉板7に連結し開閉板7を回動することにより絞羽根8群を開閉すべくし開閉板7の外周部に切缺11を設け第一図第三図に於て其の左端を止子6に衝合せしむべくし開閉板7に作動環12を重ねその間に環状摩擦板13を介装し作動環12と開閉板7とを摩擦的に係合し切缺11が止子6に衝合する以後は作動環12のみが回動する如くなさしむ作動環12には突腕14を設け該突腕14に牽引バネ15を連結し作動環12をして絞羽根8群を開く方向に回動せんとする傾向を附興し突腕14にシヤツターの起動杆(図示せず)を関連しシヤツターを作動すべく起動杆を作動する場合に作動環12をバネ15に抗して回動せしむべくす 本発明は調整環2を回し所望の絞度に合す此の場合串5は凹窩3に嵌入して濫りに調整環2が回動することなからしむ而して作動環12はバネ15にて牽引せられ開閉板7は摩擦により作動環12と共に絞りが全開の状態を保たしむ常時は以上の状態を保つも撮影に際しシヤツターを作動すべく起動杆を押動する時はシヤツターが開き始めざるを期間中に作動環12をバネ15に抗して第一図に於て矢符の方向に回動し開閉板7を切缺11の左端が止子6に衝合する迄共に回動して第一図参照絞羽根8群を予め定めたる絞度に絞り爾後は開閉板7を其の位置に残し作動環12のみは其の行程端迄回動して次でシヤツターが開放し始むるものにして起動杆が復位する時はバネ15により作動環12及開閉子7は前記常態に復し絞りは全開す尚絞り度に応ずる焦点深度を観察する等の必要時に際しては手を以て直接に又は特設せる釦又は●にて開閉板7を回動することを得 要するに本発明は常時絞度を全開状態に保ちて焦点調整時には像を明瞭ならしめ撮影時シヤツターを作動すべく起動することによりて自働的に予め定めたる絞度となすものにして一眠レフレツクスカメラに於て使用上極めて便利なるものとなりとす特許請求の範囲 目的を達せんため本文に詳記し且図面絞度調整環に止子を設け絞羽根開閉板で衝合すべくし開閉板にシヤツターの起せる作動環を係合し常時絞りを全開状態は保たしめシヤツターの作動に際しシヤツターが開き始めざる期間中に作動環を押進し開閉板が止子に衝合する迄之を共に回動せしめて豫め定めたる絞度に絞ることを特徴とする一眠レフレツクスカメラ用絞り作動装置<88403-005>