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関連ワード 進歩性(29条2項) /  容易に発明 /  発明特定事項 /  特許出願日 /  設定登録 /  訂正審判 /  請求の範囲 /  減縮 /  訂正認容審決 /  審決確定(審決が確定) /  取消決定 / 
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事件 平成 17年 (行ケ) 10387号 特許取消決定取消請求事件
原告 東芝ライテック株式会社
訴訟代理人弁理士 和泉順一
被告 特許庁長官小川洋
指定代理人 佐々木芳枝,安池一貴,小曳満昭,井出英一郎,田良島潔
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2005/07/19
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
主文 特許庁が異議2003−72988号事件について平成17年1月19日にした決定を取り消す。
訴訟費用は各自の負担とする。
事実及び理由
原告の求めた裁判
主文第1項と同旨の判決。
事案の概要
本件は,後記本件発明の特許権者である原告が,特許異議の申立てを受けた特許庁により本件特許を取り消す旨の決定がされたため,同決定の取消しを求めた事案である。
1 前提となる事実等 (1) 特許庁における手続の経緯 (1-1) 本件特許 特許権者:東芝ライテック株式会社(原告) 発明の名称:「電源装置,蛍光ランプ装置および照明装置」 特許出願日:平成9年5月23日(特願平9-133899号) 設定登録日:平成15年4月4日 特許番号:第3413754号 (1-2) 本件手続 特許異議事件番号:異議2003-72988号 異議の決定日:平成17年1月19日 決定の結論:「特許第3413754号の請求項1ないし10に係る特許を取り消す。」 決定謄本送達日:平成17年2月5日(原告に対し) (2) 決定の理由の要旨は,請求項1ないし10に係る各発明は,引用発明1(特開昭63-310597号公報の記載に係る発明)及び引用発明2(特開昭63-73884号公報の記載に係る発明)とに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,これらの発明についての特許は,特許法29条2項の規定に違反してなされたものである,というものである。
(3) 決定が対象とした発明の要旨は,別紙「@ 決定が対象とした発明の要旨」(甲1,2)のとおりである。
(4) 原告は,本訴係属中の平成17年5月30日,本件特許につき,特許請求の範囲減縮等を目的として,訂正審判の請求をしたところ(訂正2005-39085号。「本件訂正審判」,甲5,6),同年6月23日,当該訂正を認める旨の審決があり(甲6),その謄本は同年7月5日に原告に送達され(甲7),訂正審決は確定した。
(5) 上記訂正審決による訂正後の発明の要旨は,別紙「A 本件訂正審判後の発明の要旨」のとおりである。
2 原告主張の決定取消事由 本件は,前記のとおり,決定の取消しを求める本訴の係属中に,当該特許権について特許請求の範囲減縮を目的とする訂正認容審決が確定したのであるから,決定は,取り消されるべきである。
当裁判所の判断
本件証拠及び弁論の全趣旨によれば,第2の1に記載の事実関係を認めることができ,決定の取消しを求める本訴の係属中に,当該特許権について特許請求の範囲減縮等を目的とする訂正を認める審決が確定したものといえる。そして,被告の主張は,原告主張の事由により決定を取り消すことを争う趣旨ではない(本訴において,訂正を認める審決の確定後においても本件特許が特許の要件を欠くなどという主張をするものではない。)。
当裁判所は,本件事案にかんがみ,決定を取り消すのが相当であると判断し,原告の請求が理由があるものとしてこれを認容し,訴訟費用の負担につき行訴法7条,民訴法62条を適用して,主文のとおり判決する。
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【別紙】@決定が対象とした発明の要旨(全10項)【請求項1】NチャネルのトランジスタおよびPチャネルのトランジスタを主スイッチング素子としたハーフブリッジ型のインバータ回路と;直列に接続されたインダクタおよびコンデンサの共振回路を有し、この共振回路の共振によりNチャネルのトランジスタのゲートおよびPチャネルのトランジスタのゲートに交互に電圧を印加してこのインバータ回路のNチャネルのトランジスタおよびPチャネルのトランジスタを制御する制御手段と;を具備したことを特徴とする電源装置。
【請求項2】Nチャネルのトランジスタは、高電位側に位置することを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【請求項3】インバータ回路に接続されたバラストチョークを備え、
制御手段は、このバラストチョークに磁気的に接続された二次巻線を有し、
この二次巻線に誘起された電圧で共振回路のインダクタおよびコンデンサが共振してNチャネルのトランジスタおよびPチャネルのトランジスタを駆動することを特徴とする請求項1または2記載の電源装置。
【請求項4】トランジスタは、MOS型電界効果トランジスタおよびIGBTのいずれかであることを特徴とする請求項1ないし3いずれか一記載の電源装置。
【請求項5】全波整流器と、この全波整流器の出力を平滑するとともにインバータ回路のNチャネルのトランジスタおよびPチャネルのトランジスタの直列回路が並列に接続された平滑コンデンサと、この平滑コンデンサの一端に接続された起動用の抵抗を有しインバータ回路のNチャネルのトランジスタおよびPチャネルのトランジスタに電圧を印加する起動回路とを具備したことを特徴とする請求項1ないし4いずれか一記載の電源装置。
【請求項6】起動回路は、共振回路のコンデンサに直列に接続されNチャネルのトランジスタのゲートおよびPチャネルのトランジスタのゲートに電圧を印加するコンデンサを有することを特徴とする請求項1ないし5いずれか一記載の電源装置。
【請求項7】請求項1ないし6いずれか一記載の電源装置と;この電源装置により点灯される蛍光ランプと;を具備したことを特徴とする蛍光ランプ装置。
【請求項8】口金を有する基体と;この基体に収容される請求項1ないし6いずれか一記載の電源装置と;基体に取り付けられインバータにより点灯される蛍光ランプと;を具備したことを特徴とする蛍光ランプ装置。
【請求項9】基体に取り付けられこの基体とともにほぼ電球型となるグローブを具備したことを特徴とする請求項8記載の蛍光ランプ装置。
【請求項10】請求項7ないし9いずれか一記載の蛍光ランプ装置と;蛍光ランプ装置が取り付けられる器具本体と;を具備したことを特徴とする照明装置。
A本件訂正審判後の発明の要旨(全9項。なお,@の請求項1に@の請求項5を追加し,さらに発明特定事項に限定を付加して,訂正後の請求項1とされたものであり,@の請求項6ないし10は訂正後の請求項5ないし9に請求項番号が繰り上げられた。下線部分が@と対比した訂正箇所。)【請求項1】全波整流器と;この全波整流器の出力を平滑する平滑コンデンサと;平滑コンデンサに対して並列に接続されたNチャネルのトランジスタおよびPチャネルのトランジスタの直列回路を主スイッチング素子としたハーフブリッジ型のインバータ回路と;直列に接続されたインダクタおよびコンデンサの共振回路を有し、この共振回路の共振によりNチャネルのトランジスタのゲートおよびPチャネルのトランジスタのゲートに交互に電圧を印加してこのインバータ回路のNチャネルのトランジスタおよびPチャネルのトランジスタを制御する制御手段と;平滑コンデンサの一端とNチャネルのトランジスタのゲートおよびPチャネルのトランジスタのゲートとの間に接続された抵抗およびPチャネルのトランジスタのドレイン、ソース間に接続された抵抗を有し、これらの抵抗を介してNチャネルのトランジスタのゲートおよびPチャネルのトランジスタのゲートに電圧を印加する起動回路と;を具備したことを特徴とする電源装置。
【請求項2】Nチャネルのトランジスタは、高電位側に位置することを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【請求項3】インバータ回路に接続されたバラストチョークを備え、制御手段は、
このバラストチョークに磁気的に接続された二次巻線を有し、この二次巻線に誘起された電圧で共振回路のインダクタおよびコンデンサが共振してNチャネルのトランジスタおよびPチャネルのトランジスタを駆動することを特徴とする請求項1または2記載の電源装置。
【請求項4】トランジスタは、MOS型電界効果トランジスタおよびIGBTのいずれかであることを特徴とする請求項1ないし3いずれか一記載の電源装置。
【請求項5】起動回路は、共振回路のコンデンサに直列に接続されNチャネルのトランジスタのゲートおよびPチャネルのトランジスタのゲートに電圧を印加するコンデンサを有することを特徴とする請求項1ないし4いずれか一記載の電源装置。
【請求項6】請求項1ないし5いずれか一記載の電源装置と;この電源装置により点灯される蛍光ランプと;を具備したことを特徴とする蛍光ランプ装置。
【請求項7】口金を有する基体と;この基体に収容される請求項1ないし5いずれか一記載の電源装置と;基体に取り付けられインバータにより点灯される蛍光ランプと;を具備したことを特徴とする蛍光ランプ装置。
【請求項8】基体に取り付けられこの基体とともにほぼ電球型となるグローブを具備したことを特徴とする請求項7記載の蛍光ランプ装置。
【請求項9】請求項6ないし8いずれか一記載の蛍光ランプ装置と;蛍光ランプ装置が取り付けられる器具本体と;を具備したことを特徴とする照明装置。
裁判長裁判官 塚原朋一
裁判官 田中昌利
裁判官 佐藤達文