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関連審決 審判1998-39060
審判1992-21465
関連ワード 製造方法 /  進歩性(29条2項) /  容易に発明 /  一致点の認定 /  周知技術 /  慣用技術 /  参酌 /  置換 /  容易に想到(容易想到性) /  実施 /  交換 /  設定登録 /  請求の範囲 / 
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事件 平成 11年 (行ケ) 379号 審決取消請求事件
原告 株式会社石津製作所代表者代表取締役 【A】
訴訟代理人弁理士 大浜博
被告 株式会社大昌鉄工所代表者代表取締役 【B】
訴訟代理人弁護士 中嶋邦明
同 平尾宏紀
同 弁理士 鎌田文二
同 東尾正博
同 鳥居和久
同 田川孝由
裁判所 東京高等裁判所
判決言渡日 2001/01/31
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
主文 原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
当事者の求めた裁判
1 原告 特許庁が、平成4年審判第21465号事件について、平成11年9月29日にした審決を取り消す。
訴訟費用は被告の負担とする。
2 被告 主文と同旨
当事者間に争いのない事実
1 特許庁における手続の経緯 原告は、名称を「ミシン目つき無芯ロール製造装置」とする特許第1592863号発明(昭和56年8月31日出願、平成2年4月12日出願公告、平成2年12月14日設定登録)の特許権者である。
被告は、平成4年11月11日、原告を被請求人として、上記特許につき無効審判の請求(以下「本件審判請求」という。)をした。
特許庁は、本件審判請求につき平成4年審判第21465号事件として審理し、平成6年4月28日、「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決をしたが、当庁平成6年(行ケ)第156号審決取消請求事件の判決(平成9年4月8日判決言渡、同年12月12日最高裁判所の上告棄却判決により確定)により、同審決は取り消された。
原告は、平成10年8月21日、本件特許に係る明細書(以下「本件明細書」という。)の記載を訂正する旨の審判請求をし、特許庁は同請求を平成10年審判第39060号事件として審理した上、平成11年1月19日、上記訂正を認める旨の審決をした(同年2月1日確定、以下、この訂正を「本件訂正」という。)。
特許庁は、本件審判請求につき更に審理した上、平成11年9月29日、
「特許第1592863号発明の特許を無効とする。」との審決(以下「本件審決」という。)をし、その謄本は、同年11月1日、原告に送達された。
2 本件訂正後の本件明細書に記載された発明(以下「本件発明」という。)の要旨 容器詰めウエットティシュとして使用されるミシン目つき無芯ロールを製造するためのミシン目つき無芯ロール製造装置であって、
ウエブWの原反ロール1をウエブ巻戻し方向に回転自在に支持するための原反ロール支持装置Aと、
前記原反ロール1から巻戻されるウエブWを一定速度で送給するためのウエブ送り装置Bと、
一定速度で送給中の前記ウエブWに連続して1シート幅ごとにミシン目34を入れるための回転刃100と該回転刃100を回転させる回転刃ロール軸66とをそなえ且つ該回転刃ロール軸66をもって前記ミシン目34の形成数を計数するカウンター装置97に対するミシン目形成数信号の取出し軸とした回転刃ロール6を有するパーフオレーション装置Cと、
前記ウエブWを規定位置に位置決めしたミシン目34のところで切断するためのウエブ切断装置Eと、
切断されたままの自由状態にあるウエブWの端Waをウエブ巻上げ動作開始前にウエブ巻付け用芯棒12側にエアで吹き返して直接該芯棒12の表面上に巻付けるためのウエブ巻付け装置Fと、
芯棒12に巻付けられたウエブWを該芯棒12の周りで所定シート数をもつ小ロール13に巻上げるためのウエブ巻上げ装置Gと、
前記ウエブ送り装置Bとパーフオレーション装置Cとウエブ巻上げ装置Gを駆動するための適宜の駆動装置Hとを有し、
さらに該駆動装置Hに、前記カウンター装置97をそなえ該カウンター装置97によって計数されたミシン目形成数が所定数に達したところで該駆動装置Hへの動力供給を停止ししかも前記ウエブ切断装置Eにおいて前記ウエブWのミシン目34が前記規定位置に位置決めされるべき位相において前記ウエブ送り装置Bによるウエブ送り作用とパーフオレーション装置Cによるミシン目形成作用とウエブ巻上げ装置Gによるウエブ巻上げ作用とを同時に停止させるための定位置停止装置Iを付設したことを特徴とするミシン目つき無芯ロール製造装置。
3 本件審決の理由 本件審決は、別添審決書写し記載のとおり、本件発明が、特公昭54-1859号公報(審判甲第3号証、本訴甲第13号証、以下「引用例1」といい、そこに記載された発明を「引用例発明」という。)、特公昭42-6007号公報(審判甲第4号証、本訴甲第14号証、以下「引用例2」という。)及び1972年(昭和47年)12月5日発行の米国特許第3704835号明細書(審判甲第5号証、本訴甲第15号証、以下「引用例3」という。)にそれぞれ記載された発明並びに従来周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定に違反して特許されたものであり、本件発明に係る特許は同法123条1項1号(注、「平成5年法律第26号による改正前の特許法123条1項1号」の趣旨であると解される。)によって無効とすべきものであるとした。
原告主張の本件審決取消事由
本件審決の理由中、本件発明の要旨の認定、引用例1及び同3並びに実願昭46-38956号(実開昭47-33578号)のマイクロフィルム(審判甲第12号証、本訴甲第18号証)の各記載事項の認定(審決書8頁9行目〜14頁7行目、18頁4行目〜20頁4行目)、本件発明と引用例発明との対比のうち、引用例発明の「シート11′」、「原反ロール11」及び「原反ロール支持装置」が、それぞれ本件発明の「ウエブW」、「原反ロール1」及び「原反ロール支持装置A」に対応すること、本件発明と引用例発明との相違点1、4、5の各認定並びに相違点5についての判断は認める。
本件審決は、本件発明と引用例発明との一致点の認定を誤り(取消事由1)、また、相違点1〜4、6についての判断を誤った(取消事由2〜6)結果、
本件発明が特許法29条2項の規定に違反して特許されたとの誤った結論に至ったものであるから、違法として取り消されるべきである。
1 取消事由1(一致点の認定の誤り) 審決は、本件発明と引用例発明とが「ロール製造装置であって、ウエブWの原反ロール1をウエブ巻戻し方向に回転自在に支持するための原反ロール支持装置Aと、前記原反ロール1から巻戻されるウエブWを一定速度で送給するためのウエブ送り装置Bと、パーフオレーション装置Cと、前記ウエブWを規定位置に位置決めしたミシン目34のところで切断するためのウエブ切断装置Eと、切断されたままの自由状態にあるウエブWの端Waを該芯棒12の表面上に巻付けるためのウエブ巻付け装置Fと、芯棒12に巻付けられたウエブWを該芯棒12の周りで小ロール13に巻上げるためのウエブ巻上げ装置Gと、前記ウエブ送り装置Bとパーフオレーション装置Cとウエブ巻上げ装置Gを駆動するための適宜の駆動装置Hとを有したロール製造装置。」(審決書20頁19行目〜21頁15行目)である点で一致すると認定したが、以下のとおり、この一致点の認定は誤りである。
(1) 本件発明の「パーフオレーション装置C」は、「一定速度で送給中の前記ウエブWに連続して1シート幅ごとにミシン目34を入れるため」のもの、すなわち、ウエブWに連続的に多数のミシン目34を形成するものであるのに対し、引用例発明の「パーフオレーション装置10」は、シート11′に切断用のミシン目を1本だけ形成するものであり、板22aとともに切断装置を構成する1部材であるにすぎず、引用例発明には、本件発明のパーフオレーション装置Cと同等の機能を有する部材は存在しない。したがって、本件発明と引用例発明とが「パーフオレーション装置C」を有したロール製造装置である点で一致するとの認定は誤りであり、引用例発明には、巻取り装置(ウエブ送り装置B、パーフオレーション装置C、ウエブ巻上げ装置G等の集合体)の発・停制御をミシン目形成数の計数に基づいて行うことにより、ロールの巻始め部及び巻終り部がミシン目の箇所で切断されており、小ロール側に巻取られるシート数が常に正確であって、特に内容シート数を表示したものにおいてはその表示数量と内容数量が常に一致するようにするとの本件発明の技術課題が存在しない。
(2) 本件発明における「規定位置」とは、ウエブ切断装置Eに達する前段階において、ウエブW上に多数形成され、ウエブWとともに走行しているミシン目34の一つが停止して位置決めされるべき位置である。これに対し、引用例発明1においては、上記(1)のとおりシート11′に1本だけ形成されたミシン目が板22aの位置まで押し出されるものであって、その停止位置は本件発明の「規定位置」と概念が全く異なるものである。したがって、本件発明と引用例発明とが「ウエブWを規定位置に位置決めしたミシン目34のところで切断するためのウエブ切断装置E」を有したロール製造装置である点で一致するとの認定は誤りである。
(3) 本件発明では、パーフオレーション装置Cが、ウエブ送り装置B及びウエブ巻上げ装置Gと同時に発・停駆動されるのに対し、引用例発明では、パーフオレーション装置10が、ウエブ送り装置及びウエブ巻上げ装置等の停止状態において単独で駆動されるものであるから、本件発明の駆動方式と引用例発明の駆動方式とは異なっている。したがって、本件発明と引用例発明とが「前記ウエブ送り装置Bとパーフオレーション装置Cとウエブ巻上げ装置Gを駆動するための適宜の駆動装置H」を有したロール製造装置である点で一致するとの認定は誤りである。
2 取消事由2(相違点1についての判断の誤り) 本件審決は、本件発明と引用例発明との相違点1として認定した「ロール製造装置について、本件発明が『容器詰めウエットティシュとして使用されるミシン目つき無芯ロールを製造するためのミシン目つき無芯ロール製造装置』であるのに対して、甲第3号証刊行物に記載のもの(注、引用例発明)が『紙、合成樹脂フィルム等のシートを芯13nに巻取らせて小巻のシートロールを製造するロール製造装置』である点」(審決書21頁18行目〜22頁4行目)につき、本件発明の技術を「小ロールに巻き上げてロールを製造する技術」(同26頁7行目〜8行目)とした上で、それが「紙、合成樹脂フィルムやトイレットペーパー等のシートを原反ロールの状態のシートから小ロールに巻き上げてロールを製造してゆく技術と同様な技術分野の範ちゅうに属し、これらは互いに適宜応用可能な技術事項であるものと認められる。したがって、ロール製造装置について、甲第3号証刊行物に記載のものを本件発明の上記相違点1のように構成するようなことは、格別なことではない」(同頁8行目〜17行目)と認定判断した。
しかしながら、上記のとおり、ロールの巻始め部及び巻終り部がミシン目の箇所で切断され、小ロール側に巻取られるシート数が常に正確であるようにするとの技術課題を有し、ロールの巻始め部(中心部)の品質管理を特別に重要視する本件発明と、引用例発明のように、単に外側から巻きほどかれて使用されるロールを製造する装置とは、必ずしも同じ技術分野に属するとも、各々の技術事項が互いに適宜応用可能であるともいえないから、本件審決の相違点1についての判断は誤りである。
3 取消事由3(相違点2についての判断の誤り) 本件審決は、本件発明と引用例発明との相違点2として認定した「パーフォレーション装置について、本件発明が『一定速度で送給中の前記ウエブWに連続して1シート幅ごとにミシン目34を入れるための回転刃100と該回転刃100を回転させる回転刃ロール軸66とをそなえた回転刃ロール6を有するパーフオレーション装置C』であるのに対して、甲第3号証刊行物に記載のもの(注、引用例発明)は『下部ローラ7と平行な方向に移動させられて前記シート11′に切断用に一本だけミシン目10′を入れるためのパーフオレーション装置10』である点」(審決書22頁6行目〜15行目)につき、「甲第4号証刊行物(注、引用例2)に、原紙に連続して一定長さ毎にミシン目を刻む駆動ドラム2によって切断ロール4,4′、シート巻上げロール6とともに駆動されるミシンロール22の構成を備えたトイレットペーパーロールの製造装置が記載されており、また、前記ミシンロール22は、回転するミシンロール22の外周にミシン目を形成する刃が示されていると解することができるものが示されている。・・・甲第3号証刊行物のロール製造装置において、シートにミシン目を刻むようにし、その際に甲第4号証刊行物に記載のようなものを応用して本件発明の上記相違点2のように構成するようなことは当業者が必要に応じて容易に想到できたものであり、この点は格別なことではない」(審決書26頁19行目〜27頁18行目)と判断した。
しかしながら、上記「甲第3号証刊行物のロール製造装置において・・・甲第4号証刊行物に記載のようなものを応用して」との説示は、引用例発明(ロール製造装置)の「パーフオレーション装置10」を、引用例2記載の「ミシンロール22」によって置換するとの趣旨であるのか、引用例発明に引用例2記載の「ミシンロール22」を付加するとの趣旨であるのか明らかではない。
仮に、被告主張のとおり、置換するとの趣旨であるとすれば、引用例発明において、置換された「ミシンロール22」によりシートに多数のミシン目が形成されることになるが、これらのミシン目はシートの走行状態において形成されるものであるから、上記置換前の引用例1に示されたミシン目が静止状態で形成され、そこから一定距離だけ送り込まれるのと異なり、常に一定位置で停止するとは限らず、同じ数番のミシン目のところで切断されるものではない結果、常に正しい巻き付け長さが得られるとはいえない。したがって、引用例発明の「パーフオレーション装置10」を、引用例2記載の「ミシンロール22」によって置換したとしても、本件発明の目的を達成し、同様の効果を奏することはできないから、本件審決の相違点2についての判断は誤りである。
4 取消事由4(相違点3についての判断の誤り) 本件審決は、本件発明と引用例発明との相違点3として認定した「本件発明が『該回転刃ロール軸66をもって前記ミシン目34の形成数を計数するカウンター装置97に対するミシン目形成数信号の取出し軸とした』のに対して、甲第3号証刊行物に記載のもの(注、引用例発明)は、巻き上げたシート長に対応する信号ではあるけれども、上下部ローラのどちらかの回転軸をもってそのような何らかのカウンター装置に対する信号の取出し軸としたものである点」(審決書22頁17行目〜23頁4行目)につき、「甲第5号証刊行物(注、引用例3)に記載されたものが、送給中の前記ウエブWに連続して1シート幅ごとにミシン目34を入れるためのパーフォレーターロール18を備えたパーフオレーション装置を有しており、前記カウンター19がそのパーフォレーターロール18の回転数を数えることによりウエブ20のシートの数を数えるものであることから、そのパーフォレーターロール18の回転数をそのロールの回転軸から取るようにするようなこと、すなわち、パーフォレーターロール18の回転軸をミシン目形成数信号の取り出し軸とするようなことは格別なことではなく、結局、甲第3号証刊行物に記載のロール製造装置に1シート幅ごとにミシン目を入れるためのパーフォレーターロールを備えたパーフオレーション装置を採用する際に、本件発明の上記相違点3のように構成するようなことは当業者が必要に応じて容易に想到できたものであり、この点は格別なことではない」(同28頁4行目〜29頁2行目)と判断した。
しかしながら、引用例3に記載された発明が「送給中の前記ウエブWに連続して1シート幅ごとにミシン目34を入れるためのパーフォレーターロール18を備えたパーフオレーション装置を有しており、前記カウンター19がそのパーフォレーターロール18の回転数を数えることによりウエブ20のシートの数を数えるものであること」は認めるが、本件審決が「甲第3号証刊行物に記載のロール製造装置に1シート幅ごとにミシン目を入れるためのパーフォレーターロールを備えたパーフオレーション装置を採用する際に」として、引用例1と引用例3とを直接関連させた説示をしている点が、引用例発明に引用例3記載の「パーフオレーション装置」それ自体を応用することが容易であるという趣旨であるとすれば、上記3のとおり、引用例発明に引用例2記載の発明を応用することが容易であるとした相違点2についての判断との間に食違いがあることになり、上記相違点3についての判断は誤りである。
5 取消事由5(相違点4についての判断の誤り) 本件審決は、本件発明と引用例発明との相違点4として認定した「切断されたままの自由状態にあるウエブWの端Waを該芯棒12の表面上に巻付けるためのウエブ巻付け装置Fについて、本件発明が『ウエブ巻上げ動作開始前にウエブ巻付け用芯棒12側にエアで吹き返して直接該芯棒12の表面上に巻付ける』構成を有しているのに対して、甲第3号証刊行物に記載のものは『板22aによりロール3′と芯13nの間に押し込み、これによりローラ3群の回転再開によって芯13nの回りに巻取り方向に引き入れて芯13nに巻付くようにされ、さらにその芯13nへの巻付きを強制させるためにノズル21から空気を噴射する』構成を有している点」(審決書23頁6行目〜17行目)につき、「切断されたシートの端末をエアで吹き返して巻付け部分の表面上に巻付けるようなことは、上記甲第12号証刊行物(注、実願昭46-38956号(実開昭47-33578号)のマイクロフィルム、本訴甲第18号証)に記載されており、このように切断されたシートの端末をエアで吹き返して巻付け部分の表面上に巻付けるようなことは、さらに甲第9号証(注、特開昭56-99152号公報、本訴甲第16号証)、甲第11号証(注、特公昭47-47521号公報、本訴甲第17号証),甲第13号証(注、
実願昭46-38957号(実開昭47-33579号)のマイクロフィルム、本訴甲第19号証),甲第14号証(注、特開昭56-28148号公報、本訴甲第20号証)の各刊行物にも示されているように従来周知の技術事項である。そして、このような技術事項は甲第3号証刊行物(注、引用例1)に記載のウエブ巻付け装置の切断されたシートの端末の巻付け手段として応用可能なものであり、結局、甲第3号証刊行物に記載のロール製造装置に上記従来周知の技術事項を応用して本件発明の上記相違点4のように構成するようなことは、格別なことではない」(同29頁11行目〜30頁5行目)と判断した。
しかしながら、本件発明は、@一定速度で走行中のミシン目つきウエブのミシン目を同じ規定位置で停止させる、Aウエブを規定位置に位置決めされているミシン目の箇所で切断する、B毎回同じ長さで切断されて自由状態にあるウエブをエアで吹き返して直接心棒の表面上に巻き付ける、という一連の工程を経ることにより、容器詰めウエットティッシュとして使用されるミシン目つき無心ロールの中心部に折りじわや引きちぎり部分等の不良部分のないシート片を形成するものである。
これに対し、審判甲第9号証(本訴甲第16号証)記載の「芯無しシートロールの製造方法およびその装置」にはミシン目形成用のパーフオレーション装置がないから、一定速度で走行中のミシン目を毎回規定位置で停止させ、その規定位置のミシン目で切断することの開示がなく、審判甲第11号証(本訴甲第17号証)記載の「トイレットペーパー用マシーン」は有芯のトイレットペーパーを製造するものである点で本件発明と技術分野が異なる上、ミシン目形成手段を設けること及び一定の位置でウエブの切断を行うことの開示もない。また、審判甲第12号証(本訴甲第18号証)及び審判甲第13号証(本訴甲第19号証)は、いずれも「シート帯の巻取装置」に関するもので、ノズルからエアを吹き出して紙の切断端をリールに設けられた最寄りの棧に巻き付かせる実施例が記載されているが、最寄りの棧とノズルで吹き返した紙の切断端との距離が毎回一定でないから、本件発明の、毎回一定長さに切断されたウエブ端をエアで吹き返して、折りじわ等の不良部分が生じないように芯棒の表面上に直接巻き付けるという技術思想の開示、示唆がない。さらに、審判甲第14号証(本訴甲第20号証)記載の「紙の巻取り装置」には、本件発明のパーフオレーション装置に相当するものがないから、ミシン目を規定位置に位置決めし、そのミシン目の箇所で切断することの開示がなく、かつ、
水付けして弱くなった箇所にエアを吹き付けて切断するものであるから、ウエブの長さもその切断端の形状も不定となり、シート片に折りじわやひきちぎり部等の不良部分を発生させないという本件発明の効果を期待することができないものである。
したがって、本件審決の挙げる周知例は、ウエブ切断端をエアで吹き返すという技術思想を開示するものの、本件発明とは技術分野、技術課題が異なるものであって、これらの周知例の示す技術を引用例発明と組み合わせて、相違点4に係る本件発明の構成とすることが格別なことではないとした本件審決の判断は誤りである。
6 取消事由6(相違点6についての判断の誤り) (1) 本件審決は、本件発明と引用例発明との相違点6として認定した「本件発明が『該駆動装置Hに、前記カウンター装置97をそなえ該カウンター装置97によって計数されたミシン目形成数が所定数に達したところで該駆動装置Hへの動力供給を停止ししかも前記ウエブ切断装置Eにおいて前記ウエブWのミシン目34が前記規定位置に位置決めされるべき位相において前記ウエブ送り装置Bによるウエブ送り作用とパーフオレーション装置Cによるミシン目形成作用とウエブ巻上げ装置Gによるウエブ巻上げ作用とを同時に停止させるための定位置停止装置Iを付設した』のに対して、甲第3号証刊行物に記載のもの(注、引用例発明)は『巻き上げたシートが所定長に達したところで巻上げを停止し、その位置にミシン目10′を刻ませてから、主軸1を回転させて前記シート11′を繰り出して、そのミシン目10′が前記規定位置に位置するように停止させるための主軸1に固定したラチェットホイルを有した』点」(審決書24頁4行目〜25頁1行目)につき、「甲第3号証刊行物記載のものは、所定長さに達したときではあるがシート送り作用、
シート巻き上げ作用を停止するものであり、しかも規定位置でミシン目に沿って切断させるようなことが前記甲第4号証刊行物(注、引用例2)に記載され、また、
停止されることなくロール交換機構が連続して作動するものではあるけれども、ウエブ20のシートの数を数え、所定の数に達するとその所定の数のミシン目のラインに位置合わせしてそのミシン目に沿って切断してロール交換をするようなことが前記甲第5号証刊行物(注、引用例3)に記載されている」(同30頁12行目〜31頁2行目)と認定した上、「甲第3号証刊行物記載のロール製造装置において、シートにミシン目を刻むようにし、その際に甲第4号証刊行物及び前記甲第5号証刊行物に記載されたものを応用して本件発明の相違点6のように構成するようなことは当業者が必要に応じて容易に想到し得たものである」(同31頁2行目〜8行目)と判断した。
(2) しかしながら、引用例2(甲第14号証)には「規定位置でミシン目に沿って切断させるようなこと」は全く記載されていないから、本件審決の上記引用例2の記載に関する認定は誤りであり、この認定に基づく上記判断も誤りである。
この点につき、被告は、本件審決の上記「規定位置でミシン目に沿って切断させるようなことが前記甲第4号証刊行物に記載され」との記載の「甲第4号証刊行物」が「甲第3号証刊行物」(引用例1)の誤記であると主張するが、上記本件審決の相違点6についての判断全体の文脈からみて、そのような誤記であると考えることはできない。
(3) 仮に、本件審決の上記記載に被告主張の誤記があることを前提としても、
引用例発明においてミシン目が一定位置で停止するのは、シートの静的(停止)状態で形成されたミシン目が一定距離dだけ前方に送り込まれるからであるのに対し、本件発明におけるミシン目は、一定速度で走行中の動的状態にあるシートに対して連続的に形成されるものであるから、シートが停止した状態でミシン目を形成し、それを更に一定距離だけ前方に繰り出す引用例発明のミシン目停止方法を採用しても本件発明の構成とすることはできない。
(4) それのみならず、本件発明の「カウンター装置97によって計数されたミシン目形成数が所定数に達したところで該駆動装置Hへの動力供給を停止し」との構成及び「ウエブ切断装置Eにおいて前記ウエブWのミシン目34が前記規定位置に位置決めされるべき位相において前記ウエブ送り装置Bによるウエブ送り作用とパーフオレーション装置Cによるミシン目形成作用とウエブ巻上げ装置Gによるウエブ巻上げ作用とを同時に停止させる」との構成は、引用例3に開示されておらず、また、引用例1、2記載の発明をどのように組み合せても上記構成に到達することはできないから、結局、本件審決の相違点6についての判断は誤りである。
被告の反論
審決の認定及び判断は正当であり、原告主張の取消事由は理由がない。
1 取消事由1(一致点の認定の誤り)について (1) 原告は、本件発明の「パーフオレーション装置C」がウエブWに連続的に多数のミシン目34を形成するものであるのに対して、引用例発明の「パーフオレーション装置10」がシート11′に切断用のミシン目を1本だけ形成するものであるから、引用例発明には、本件発明のパーフオレーション装置Cと同等の機能を有する部材は存在しないと主張するが、本件発明の「パーフオレーション装置C」と引用例発明の「パーフオレーション装置10」とは、いずれもウエブWにミシン目を刻む装置であることで一致するものであって、本件審決は、この点を一致点として認定したものであり、原告主張の点は別途相違点2として認定している。
(2) また、原告は、本件発明における「規定位置」がウエブW上に多数形成され、ウエブWとともに走行しているミシン目34の一つが停止して位置決めされるべき位置であるのに対し、引用例発明1においては、シート11′に1本だけ形成されたミシン目が板22aの位置まで押し出されるものであって、その停止位置は本件発明の「規定位置」と概念が全く異なると主張する。
しかしながら、本件発明の「規定位置」とは、巻き上げた小ロールを最終ミシン目34で切断して原反ロールのウエブWから切り離すべく、最終ミシン目34を切断装置Eで切断するために配する位置であり、他方、引用例発明においては、巻き上げた小巻のシートロールを最終ミシン目34に相当する唯一のミシン目で切断してウエブWに相当する原反ロールのシートから切り離すべく、このミシン目を切断装置22で切断するために配する位置が規定位置である。したがって、本件発明1と引用例発明とは、最終ミシン目で停止させて切断する点及びウエブを規定位置に位置決めしたミシン目のところで切断するためのウエブ切断装置を有することで一致するものである。
(3) さらに、原告は、本件発明のパーフオレーション装置Cが、ウエブ送り装置B及びウエブ巻上げ装置Gと同時に発・停駆動されるのに対し、引用例発明では、パーフオレーション装置10が、ウエブ送り装置及びウエブ巻上げ装置等の停止状態において単独で駆動されるものであるから、本件発明の駆動方式と引用例発明の駆動方式とが異なっていると主張するが、本件審決は、その点を別途相違点6として認定している。
(4) したがって、本件審決のした一致点の認定に原告主張の誤りはない。
2 取消事由2(相違点1についての判断の誤り)について 原告は、本件発明と引用例発明とが、同じ技術分野に属するとも、各々の技術事項が互いに適宜応用可能であるともいえないから、本件審決の相違点1についての判断が誤りであると主張するが、本件発明と引用例発明は、ともに紙等のシート状のウエブを小ロールに巻き上げることを主たる目的とし、その主要な構成も共通するものであって、同様な技術分野の範ちゅうに属するものであるから、引用例発明につき、本件発明の相違点1に係る構成を採用することは、当業者にとって格別困難なことではない。
3 取消事由3(相違点2についての判断の誤り)について 本件審決の「甲第3号証刊行物のロール製造装置において・・・甲第4号証刊行物に記載のようなものを応用して」(審決書27頁13行目〜15行目)との説示に係る「応用」は、置換の趣旨であることが明らかである。
原告は、引用例発明の「パーフオレーション装置10」を、引用例2記載の「ミシンロール22」によって置換した場合に、常に一定位置で停止するとは限らず、同じ数番のミシン目のところで切断されるものではないから、正しい巻き付け長さが得られない旨主張するが、上記置換をした場合であっても、シートに刻まれた最終ミシン目はミシンロールの回転軸の位置から所定の送込み長さだけ送られて常に切断装置の位置に配され、シートは最終ミシン目に沿って切断されるものである。
4 取消事由4(相違点3についての判断の誤り)について 原告は、本件審決が相違点3について判断するに当たって、引用例3の記載を引用している点が、相違点2についての判断と食い違う旨主張するが、本件審決は、本件発明が「該回転刃ロール軸66をもって前記ミシン目34の形成数を計数するカウンター装置97に対するミシン目形成数信号の取出し軸とした」(審決書22頁17行目〜20行目)点を相違点3として認定したものであり、当該相違点についての判断に当たって、引用例3のパーフオレーション装置全体ではなく、
「カウンター19がそのパーフォレーターロール18の回転数を数えることによりウエブ20のシートの数を数える」構成を採用したものである。したがって、相違点2についての判断に原告主張のような誤りはない。
5 取消事由5(相違点4についての判断の誤り)について 原告は、本件審決の挙げる周知例(甲第16〜第20号証)が、ウエブ切断端をエアで吹き返すという技術思想を開示するものの、本件発明とは技術分野、技術課題が異なるものであって、これらの周知例の示す技術を引用例発明と組み合わせても、本件発明の作用効果を奏することはできない旨主張するが、上記各周知例を、引用例1記載のウエブ巻付け装置の切断されたシートの端末の巻付け手段として応用することが可能であり、その応用によって本件発明の作用効果を期待できるから、原告の主張は失当である。
6 取消事由6(相違点6についての判断の誤り)について 本件審決の「規定位置でミシン目に沿って切断させるようなことが前記甲第4号証刊行物に記載され」(審決書30頁14行目〜16行目)との記載の「甲第4号証刊行物」は、「甲第3号証刊行物」(引用例1)の誤記であることが明白であり、また、この瑕疵は本件審決の結論に影響を及ぼすものではない。
引用例1に、所定長さに達したときにシート送り作用とシート巻上げ作用を停止すること及び規定位置でミシン目に沿って切断させることが記載され、引用例3に、ウエブ20のシートの数を数え、所定の数に達するとその所定の数のミシン目のラインに位置合わせして、そのミシン目に沿って切断してロール交換をすることが記載されており、当業者であれば、これらを組み合せるときに、必要に応じ、
本件発明の相違点6に係る構成とすることは容易である。
当裁判所の判断
1 取消事由1(一致点の認定の誤り)について (1) 原告は、本件発明の「パーフオレーション装置C」がウエブWに連続的に多数のミシン目34を形成するものであるのに対して、引用例発明の「パーフオレーション装置10」がシート11′に切断用のミシン目を1本だけ形成するものであるから、本件発明と引用例発明とが「パーフオレーション装置C」を有したロール製造装置である点で一致するとした本件審決の認定が誤りであると主張する。
しかしながら、引用例発明の「シート11′」が本件発明の「ウエブW」に対応することは当事者間に争いがなく、引用例発明のパーフオレーション装置10がシート11′に、切断用の1本だけであれ、ミシン目を形成することは原告の自認するところであるから、引用例発明のパーフオレーション装置10もウエブにミシン目を形成するためのものであり、その点で本件発明のパーフオレーション装置Cと一致することは明らかである。そして、本件審決は、本件発明と引用例発明との一致点としては「パーフオレーション装置Cと・・・を有した」(審決書21頁3行目〜14行目)点を認定し、相違点2として「パーフォレーション装置について、本件発明が『一定速度で送給中の前記ウエブWに連続して1シート幅ごとにミシン目34を入れるための回転刃100と該回転刃100を回転させる回転刃ロール軸66とをそなえた回転刃ロール6を有するパーフオレーション装置C』であるのに対して、甲第3号証刊行物に記載のもの(注、引用例発明)は『下部ローラ7と平行な方向に移動させられて前記シート11′に切断用に一本だけミシン目10′を入れるためのパーフオレーション装置10』である点」(同22頁6行目〜15行目)を認定しているのであって、パーフオレーション装置Cが、「一定速度で送給中の前記ウエブWに連続して1シート幅ごとにミシン目34を入れるため」のものであることや、ウエブWに連続的に多数のミシン目34を形成するものであることまで含めて一致点として認定したものでないことは明白であるから、本件審決の一致点の認定に原告主張の誤りはない。
なお、原告は、引用例発明に本件発明のパーフオレーション装置Cと同等の機能を有する部材は存在しないとか、巻取り装置の発・停制御をミシン目形成数の計数に基づいて行うことにより、小ロール側に巻取られるシート数が常に正確であるようにするとの本件発明の技術課題が存在しない等とも主張するが、本件審決はそのような認定判断をしているものではなく、また、そうであるからといって、
上記一致点の認定が誤りとなるものではない。
(2) 原告は、本件発明における「規定位置」がウエブW上に多数形成され、ウエブWとともに走行しているミシン目34の一つが停止して位置決めされるべき位置であるのに対し、引用例発明1においては、シート11′に1本だけ形成されたミシン目が板22aの位置まで押し出されるものであって、その停止位置は本件発明の「規定位置」と概念が全く異なるものであるから、本件発明と引用例発明とが「ウエブWを規定位置に位置決めしたミシン目34のところで切断するためのウエブ切断装置E」を有したロール製造装置である点で一致するとした本件審決の認定が誤りであると主張する。
しかしながら、引用例1に、「芯13aに巻取られたシートの長さが所定のセット値になったらローラ3群の回転は停止させ、パフォレーション装置10のカッタ10aを下部ローラ7の周側面に受けさせてシートの下部ローラ7にかゝっている部分シートの幅方向のミシン目10′を刻ませる。」、「そして、その状態でローラ6,7を回転させると同時に、主軸1も角回転させて谷aを端末巻付装置につかせ又、芯が支給されている谷nを巻取位置につかせ、下部ローラ7に谷nの芯を仰えさせる(注、「抑えさせる」の誤記と認められる。)とともにミシン目10′を下部ロ-ラ7と谷nの芯13nとの外接点よりも前方に移動させる。上記ローラ6,7はシート巻取位置と端末巻付位置との間で幅方向に切断するためにパーフォレーション装置10で刻んだミシン目をそこに移動させ、」、「上下ロ-ラ6,7を駆動回転させ、主軸1の角回転にともないミシン目が巻取位置と端末巻付位置との間の切断位置に移動したら谷nの芯13nにシートを巻取らせるため、上記両位置の間に切断装置22を降下させてシート11′を加庄させ、シートをミシン目に沿って切断する。」(審決書10頁9行目〜11頁10行目)との各記載があることは当事者間に争いがなく、これらの記載によれば、引用例発明は、パーフオレーション装置10でシートに刻んだミシン目を、シート巻取位置と端末巻付位置との間の、当該ミシン目に沿ってシートを幅方向に切断する位置に移動させて停止させるものであることが認められるところ、当該位置はシート(ウエブ)をミシン目の箇所で切断するために位置決めして停止させる位置であるから、本件発明の「規定位置」に当たるものというべきである。
なお、前示本件発明の要旨の「前記ウエブWを規定位置に位置決めしたミシン目34のところで切断するためのウエブ切断装置E」との規定に照らして、本件発明においてミシン目がウエブ上に多数形成されることが、本件発明の「規定位置」の構成を直接規定するものということはできない。
したがって、本件審決の一致点の認定に原告主張の誤りはない。
(3) 原告は、本件発明のパーフオレーション装置Cが、ウエブ送り装置B及びウエブ巻上げ装置Gと同時に発・停駆動されるのに対し、引用例発明では、パーフオレーション装置10が、ウエブ送り装置及びウエブ巻上げ装置等の停止状態において単独で駆動されるものであるから、本件発明の駆動方式と引用例発明の駆動方式とは異なっており、本件発明と引用例発明とが「前記ウエブ送り装置Bとパーフオレーション装置Cとウエブ巻上げ装置Gを駆動するための適宜の駆動装置H」を有したロール製造装置である点で一致するとした本件審決の認定が誤りであると主張する。
しかしながら、引用例発明のパーフオレーション装置が、ウエブ送り装置及びウエブ巻上げ装置等の停止状態において単独で駆動されるものであり、ウエブ送り装置及びウエブ巻上げ装置と同時に発・停駆動される本件発明のパーフオレーション装置とその点で異なるものであったとしても、引用例発明の駆動装置が、本件発明と同様、「ウエブ送り装置とパーフオレーション装置とウエブ巻上げ装置を駆動するための適宜の駆動装置」といえるものであって、その限りで一致していることは明らかである。そして、本件審決は、本件発明と引用例発明との一致点としては「前記ウエブ送り装置Bとパーフオレーション装置Cとウエブ巻上げ装置Gを駆動するための適宜の駆動装置Hとを有した」(審決書21頁12行目〜14行目)点を認定し、相違点6として「本件発明が『該駆動装置Hに・・・該駆動装置Hへの動力供給を停止し・・・前記ウエブ送り装置Bによるウエブ送り作用とパーフオレーション装置Cによるミシン目形成作用とウエブ巻上げ装置Gによるウエブ巻上げ作用とを同時に停止させるための定位置停止装置Iを付設した』のに対して、甲第3号証刊行物に記載のもの(注、引用例発明)は『巻き上げたシートが所定長に達したところで巻上げを停止し、その位置にミシン目10′を刻ませ・・・た』点」(同24頁4行目〜25頁1行目)を認定している(すなわち、引用例発明については、シート(ウエブ)巻上げ装置の停止状態においてミシン目を刻むパーフオレーション装置が駆動されることを認定している)のであって、パーフオレーション装置が、ウエブ送り装置及びウエブ巻上げ装置等と同時に発・停駆動されることまで含めて一致点として認定したものでないことは明白であるから、本件審決の一致点の認定に原告主張の誤りはない。
(4) したがって、本件審決の一致点の認定に原告主張の誤りがあるということはできない。
2 取消事由2(相違点1についての判断の誤り)について 本件審決が認定するとおり、本件発明のように「シートを一定間隔でミシン目を刻ませてから巻き上げて小巻のロールを形成し、これを無芯ロールとして容器に収納して容器詰めウエットティシュとして使用するようなこと」(審決書25頁4行目〜7行目)は周知慣用技術というべきであり、また、本件発明の要旨の「切断されたままの自由状態にあるウエブWの端Waをウエブ巻上げ動作開始前にウエブ巻付け用芯棒12側にエアで吹き返して直接該芯棒12の表面上に巻付けるためのウエブ巻付け装置Fと、芯棒12に巻付けられたウエブWを該芯棒12の周りで所定シート数をもつ小ロール13に巻上げるためのウエブ巻上げ装置Gと・・・を有し」との規定並びに本件訂正後の本件明細書(甲第4号証添付)の「ウエブの巻付け作業が完了すると・・・芯棒12の周りに小幅ミシン目付ウエブW2を巻上げてゆく・・・製品取出し台125側に取り出された小ロール13,13…は、・・・その軸心部から芯棒12を取り外して無芯の小ロール13とされる。」(46頁左欄36行目〜46行目)との記載に照らして、本件発明は、芯棒12にウエブを巻き付けて小ロールとした後、この小ロールから芯棒12を取り外して無芯ロールとするものであることが認められるところ、このように「芯棒に巻き上げた小ロールからこの芯棒を取り外して無芯ロールとするようなこと」(審決書26頁3行目〜4行目)も、本件審決が認定するとおり、周知の技術事項である。
他方、引用例発明が「紙、合成樹脂フィルム等のシートをロール巻されている原反から繰り出して所定の長さづゝ芯に巻取らせ、小巻のシートロールを製造する装置」(審決書8頁10行目〜13行目)であることは当事者間に争いがないから、引用例発明は、紙等のシート(ウエブ)を芯の周りに巻き上げて小巻のロールを形成する装置である点で上記各周知慣用技術と共通し、これらと同様の技術分野に属するものであって、互いの技術事項を適宜応用することが容易であることは明白である。
したがって、上記各周知慣用技術を適用し、引用例発明のロール製造装置を「容器詰めウエットティシュとして使用されるミシン目つき無芯ロールを製造するためのミシン目つき無芯ロール製造装置」の構成とすることは当業者にとって容易であるというべきであり、これが「格別なことではない」とした本件審決の判断に誤りはない。
原告は、本件発明が、ロールの巻始め部及び巻終り部がミシン目の箇所で切断され、小ロール側に巻取られるシート数が常に正確であるようにする等の技術課題を有するゆえに、引用例発明と、同じ技術分野に属するとも、各々の技術事項が互いに適宜応用可能であるともいえない旨主張するが、本件発明が特定の技術課題を有すること自体は、引用例発明が前示の各周知慣用技術と同様の技術分野に属し、互いの技術事項を適宜応用することが容易であるか否かと直接関係するものではない。
3 取消事由3(相違点2についての判断の誤り)について 原告は、本件審決の「甲第3号証刊行物のロール製造装置において・・・甲第4号証刊行物に記載のようなものを応用して」(審決書27頁13行目〜15行目)との説示が、引用例発明の「パーフオレーション装置10」を、引用例2記載の「ミシンロール22」によって置換するとの趣旨であるのか、引用例発明に引用例2記載の「ミシンロール22」を付加するとの趣旨であるのか明らかではないと主張するが、本件審決の説示(審決書26頁19行目〜27頁18行目)に照らして、引用例2記載の「ミシンロール22」によって置換する趣旨であることは明白である。
また、原告は、それが置換するとの趣旨であるとすれば、引用例発明において、置換された「ミシンロール22」により、シートの走行状態において多数のミシン目が形成されることになるが、置換前の引用例1に示されたミシン目が静止状態で形成され、そこから一定距離だけ送り込まれるのと異なり、常に一定位置で停止するとは限らず、同じ数番のミシン目のところで切断されるものではない旨主張する。
しかしながら、前示1の(2)の争いのない引用例1の各記載並びにそのうちの「幅方向のミシン目10′を刻ませる。」との記載に続く引用例1(甲第13号証)の「次にアクチユエータ9で上部ローラ6を押し下げて下部ローラ7に外接させ、シートをローラ間に挾圧する。」(3欄36行目〜38行目)との記載及び「上記ローラ6,7はシート巻取位置と端末巻付位置との間で幅方向に切断するためにパーフォレーション装置10で刻んだミシン目をそこに移動させ、」との記載に続く引用例1の「ミシン目がその位置に来るまで主軸1が角回転してシートロールを端末巻付位置につかせる場合にシートを引張ってミシン目から千切れるのを防ぐ役目を行うのである。したがってローラ6,7の回転は周速を谷aのなかで芯13aに巻かれているシートロールが主軸の角回転で端末巻付位置に移動させられる速度に対応させることと、回転量をシートロールの移動量に対応させることが必要である。」(4欄3行目〜11行目)との記載によれば、引用例発明のパーフオレーション装置を引用例2記載のミシンロール22により置換したものにあっては、
芯に巻き取られたシートの長さが所定のセット値になったことにより、ローラ3群の回転を停止し、アクチュエータ9で上部ローラ6を押し下げ、下部ローラ7に外接させてシートをローラ間に挾圧し、その状態でローラ6、7を回転させると同時に、主軸1を角回転させて谷aを端末巻付装置につかせるとともに、谷aのなかで芯13aに巻かれているシートロールの最終ミシン目を下部ローラ7と谷nの芯13nとの外接点よりも前方に移動させることになり、かつ、その場合に当該ミシン目をシート巻取位置と端末巻付位置との間の幅方向に切断する位置に来るまで主軸1が角回転するものと認められ、そうすると、ミシンロールが形成する最終ミシン目が引用例発明のパーフオレーション装置で刻まれるミシン目に相当し、その刻まれた位置から一定距離だけ巻き取り側に進行した規定位置で停止する点では引用例発明と変わりがなく、したがって、毎回同じ数番のミシン目のところで切断されることになるものと認めることができる。
なお、この場合に、ミシンロールが形成する最終ミシン目が正確に規定位置で停止するかどうかは、ローラ3群の回転を停止するための信号(引用例発明のパーフオレーション装置を引用例2記載のミシンロール22により置換しただけのものにあっては、芯に巻き取られたシートの長さが所定のセット値になったことを検出して発出される信号)の精度にもかかることになるが、そのこと自体は、相違点2についての判断に直接関わる問題ではない。
したがって、本件審決の相違点2についての判断に原告主張の誤りはない。
4 取消事由4(相違点3についての判断の誤り)について 原告は、本件審決の相違点3についての判断にかかる説示(審決書27頁20行目〜29頁2行目)が、引用例発明に引用例3記載の「パーフオレーション装置」それ自体を応用することが容易であるという趣旨であるとすれば、引用例発明に引用例2記載の発明を応用することが容易であるとした相違点2についての判断との間に食違いがあると主張する。
しかしながら、本件審決は、「甲第5号証刊行物(注、引用例3)に記載されたものが、送給中の前記ウエブWに連続して1シート幅ごとにミシン目34を入れるためのパーフォレーターロール18を備えたパーフオレーション装置を有しており、前記カウンター19がそのパーフォレーターロール18の回転数を数えることによりウエブ20のシートの数を数えるものであること」(同28頁4行目〜11行目、このことについては当事者間に争いがない。)を認定した上で、「パーフォレーターロール18の回転数をそのロールの回転軸から取るようにするようなこと、すなわち、パーフォレーターロール18の回転軸をミシン目形成数信号の取り出し軸とするようなことは格別なことではなく、結局、甲第3号証刊行物に記載のロール製造装置(注、引用例発明)に1シート幅ごとにミシン目を入れるためのパーフォレーターロールを備えたパーフオレーション装置を採用する際に、本件発明の上記相違点3のように構成するようなことは当業者が必要に応じて容易に想到できたものであり、この点は格別なことではない」(同28頁11行目〜29頁2行目)と判断したものであって、その説示に照らし、前示3のとおり、引用例発明のパーフオレーション装置を引用例2記載のミシンロールにより置換する際に、引用例3記載の上記の技術事項を参酌して、引用例発明の巻き上げたシート長に対応する信号につき、相違点3に係る本件発明の「回転刃ロール軸66をもって前記ミシン目34の形成数を計数するカウンター装置97に対するミシン目形成数信号の取出し軸」との構成を採ることが、当業者にとって容易に想到できたものである旨判断したものであって、引用例発明に引用例3記載の「パーフオレーション装置」それ自体を応用することが容易であるというような判断をしたものでないことは明白である したがって、原告の上記主張はその前提を誤ったものであり、本件審決の相違点3についての判断に原告主張の誤りはない。
5 取消事由5(相違点4についての判断の誤り)について 本件審決が認定するとおり、切断されたシートの端末をエアで吹き返して巻付け部分の表面上に巻き付けることは、本件審決の引用する各周知例(特開昭56-99152号公報、特公昭47-47521号公報、実願昭46-38956号(実開昭47-33578号)のマイクロフィルム、実願昭46-38957号(実開昭47-33579号)のマイクロフィルム、特開昭56-28148号公報)に開示された周知の技術事項であるというべきところ、原告は、上記各周知例が、本件発明と技術分野、技術課題が異なるものであることを理由として、当該周知技術を引用例発明と組み合わせて、相違点4に係る本件発明の構成とすることが格別なことではないとした本件審決の判断が誤りであると主張する。
しかしながら、上記各周知例のうち、例えば、特開昭56-99152号公報(甲第16号証)には「シート上に位置させた芯材にシート先端部を巻回し・・・駆動ローラを回転させて芯材にシートを巻回し、その後シートを巻回した芯材から、巻回シートのみを抜き取ることを特徴とする芯無しシートロールの製造方法」(特許請求の範囲請求項1)、「駆動ローラにより芯材に巻回したシートロールを芯材から取外す取外し部材とから構成したことを特徴とする芯無しシートロール製造装置」(同請求項2)との記載があり、また、「ついで、糊噴霧機35が移動してシートロールRaの後端に糊を噴霧したのちカツター33が駆動して後続シートSと切離す。ところで、前記二又部材18が移動したとき、後続の二又部材18が前記同様切離されたシートS上に載置されている。この状態でエアシリンダ40からエアーが噴出し、切断シート先端部は芯材15上に位置する」(3頁左上欄3行目〜9行目)との記載がある。そして、上記特許請求の範囲の各記載に照らして、同公報には、芯材(芯棒)にシートを巻回した後、芯材から取り外して無芯ロールとする芯無しシートロールの製造方法及び製造装置が記載されていると認められるところ、このような発明と引用例発明とが、紙等のシート(ウエブ)を芯の周りに巻き上げて小巻のロールを形成する装置である点で共通し、同様の技術分野に属するものであって、互いの技術事項を適宜応用することが容易であることは、
前示2で述べたと同様である。
したがって、前示のとおり同公報に開示された「切断されたシートの端末をエアで吹き返して巻付け部分の表面上に巻き付ける」周知の技術事項を引用例発明に適用して、「ウエブ巻上げ動作開始前にウエブ巻付け用芯棒側にエアで吹き返して直接該芯棒の表面上に巻付ける」構成とすることは、同公報自体に本件発明の技術課題が開示されていなくとも、当業者にとって容易なことというべきであり、これが「格別なことではない」とした本件審決の判断に誤りはない。
6 取消事由6(相違点6についての判断の誤り)について (1) 引用例2(甲第14号証)には「規定位置でミシン目に沿って切断させるようなこと」が記載されていないから、本件審決の「規定位置でミシン目に沿って切断させるようなことが前記甲第4号証刊行物(注、引用例2)に記載され」(審決書30頁14行目〜16行目)との認定が誤りであることは明らかである。
しかしながら、引用例発明が規定位置でシート(ウエブ)を停止させるものであることは前示1の(2)のとおりであり、また、前示1の(2)の争いのない引用例1の各記載によれば、当該規定位置でシートをミシン目に沿って切断するものであることが認められるから、「規定位置でミシン目に沿って切断させるようなこと」は、引用例1に引用例発明の構成として記載されているところであって、このことにかんがみれば、本件審決の上記認定に係る「前記甲第4号証刊行物」は、
「前記甲第3号証刊行物」(引用例1)の誤記であるものと認められる。そして、
本件審決が相違点6につき「甲第3号証刊行物記載のロール製造装置において、シートにミシン目を刻むようにし、その際に甲第4号証刊行物及び前記甲第5号証刊行物に記載されたものを応用して本件発明の相違点6のように構成するようなことは当業者が必要に応じて容易に想到し得たものである」(同31頁2行目〜8行目)と判断していることにかんがみれば、上記誤記は審決の結論に影響を及ぼさないものと解することが相当である。
(2) 原告は、上記「前記甲第4号証刊行物」が「前記甲第3号証刊行物」(引用例1)の誤記であることを前提としても、引用例発明においてミシン目が一定位置で停止するのは、シートの静的(停止)状態で形成されたミシン目が一定距離dだけ前方に送り込まれるからであるのに対し、本件発明におけるミシン目は、一定速度で走行中の動的状態にあるシートに対して連続的に形成されるものであるから、引用例発明のミシン目停止方法を採用しても本件発明の構成とすることはできない旨主張する。しかし、本件発明と引用例発明との相違点6の認定(審決書24頁4行目〜25頁1行目)及び当該相違点についての判断に係る説示(審決書30頁12行目〜31頁8行目、ただし、30頁16行目の「甲第4号証刊行物」を「甲第3号証刊行物」と訂正した後のもの)に照らして、本件審決が、引用例発明の「巻上げを停止し、その位置にミシン目10′を刻ませてから、主軸1を回転させて前記シート11′を繰り出して、そのミシン目10′が前記規定位置に位置するように停止させる」構成のままで、本件発明の構成に想到できるとするものではなく、その点も含めて本件発明と引用例発明との相違点6として認定判断していることは明白であり、この点を看過している原告の上記主張は採用の限りではない。
(3) さらに、原告は、本件発明の「カウンター装置97によって計数されたミシン目形成数が所定数に達したところで該駆動装置Hへの動力供給を停止し」との構成及び「ウエブ切断装置Eにおいて前記ウエブWのミシン目34が前記規定位置に位置決めされるべき位相において前記ウエブ送り装置Bによるウエブ送り作用とパーフオレーション装置Cによるミシン目形成作用とウエブ巻上げ装置Gによるウエブ巻上げ作用とを同時に停止させる」との構成が、引用例3に開示されておらず、引用例1、2記載の発明を組み合せても上記構成に到達することはできないと主張する。
しかしながら、引用例3に「パーフォレーターロール18によってウエブ20には連続的にミシン目があけられ、これによってウエブは連続した複数のシートに区画される。カウンター19でロール17に巻き取られたウエブ20のシートの数を数え、ロール17に所定の量が巻き取られると信号を出す。パーフォレーターロール18が1回転するごとにウエブ20には所定の数のミシン目があけられるので、カウンター19はパーフォレーターロール18の回転数を教えることによって、所定の数のミシン目が形成されたと判断し上記信号を送る。カウント値が所定の数に達するとカウンター19から電気信号が送られ、ロール交換機構が作動する。その後カウンター19はリセットされ次のロールに巻き取られるシートの数を数える。」(審決書18頁5行目〜19行目)、「カウンター19がミシン目の数を数えて、ミシン目ラインに合致するようにロール交換信号を出すので、ロール交換のためのウエブ切断工程全体を自動的に所定のミシン目ラインに合わせることができる。」(同19頁1行目〜5行目)との各記載があることは当事者間に争いがない。これらの記載によれば、引用例3には、駆動装置への動力供給を停止し、シート(ウエブ)を停止させるものではないが、パーフォレーターロールによってシートに連続的に形成されるミシン目の数をカウンター装置によって計数し、ミシン目形成数が所定数に達したところで、その最終ミシン目のラインに位置合わせをして、シートを最終ミシン目に沿って切断することが記載されているものと認められる。
他方、前示1の(2)の争いのない引用例1の各記載によれば、引用例発明は、芯13aに巻取られたシートの長さが所定のセット値になると、ローラ3群の回転を停止させるものであるから、ウエブ送り装置と巻上げ装置の駆動装置が同時に停止することになることは明らかである。また、引用例2(甲第14号証)には「22は駆動ドラム2上で原紙に一定長さ毎にミシン目を刻むミシンロールであり・・・切断ロール4,4′とともに駆動ドラム2から回転を伝達されるものである」(1頁右欄37行目〜40行目)との記載があるから、そのミシンロール22は、駆動ドラム2の回転が停止した時には同時に停止するものであり、そうすると、前示3のとおり、引用例発明においてパーフオレーション装置を引用例2記載のミシンロールにより置換した場合には、当該ミシンロールは、ウエブ送り装置と巻上げ装置の駆動装置から回転を伝達され、ウエブ送り装置と巻上げ装置が停止すれば連動して同時に停止することになるものと認められる。
以上のほか、前示(1)のとおり、引用例発明が「規定位置でミシン目に沿って切断させる」構成であることを併せ考えると、引用例発明のパーフオレーション装置を引用例2記載のミシンロールにより置換する際に、引用例3に記載された、
パーフォレーターロールによってシートに連続的に形成されるミシン目の数をカウンター装置によって計数し、ミシン目形成数が所定数に達したところで、その所定数の最後のミシン目のラインに位置合わせをして、シートを当該ミシン目に沿って切断する技術をも適用することにより、本件発明の「カウンター装置97によって計数されたミシン目形成数が所定数に達したところで該駆動装置Hへの動力供給を停止ししかも前記ウエブ切断装置Eにおいて前記ウエブWのミシン目34が前記規定位置に位置決めされるべき位相において前記ウエブ送り装置Bによるウエブ送り作用とパーフオレーション装置Cによるミシン目形成作用とウエブ巻上げ装置Gによるウエブ巻上げ作用とを同時に停止させる」構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものであると認められる。
(4) したがって、本件審決の相違点6についての判断に原告主張の誤りはない。
7 以上のとおりであるから、原告主張の審決取消事由は理由がなく、他に審決を取り消すべき瑕疵は見当たらない。
よって、原告の請求を棄却することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条、民事訴訟法61条を適用して、主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 篠原勝美
裁判官 石原直樹
裁判官 宮坂昌利