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関連審決 異議1999-74108
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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服20061739 審決 特許
関連ワード 特許を受ける権利 /  進歩性(29条2項) /  容易に発明 /  分割出願 /  共有 /  存続期間 /  延長登録 /  設定登録 /  合一確定(合一に確定) /  拒絶査定 /  請求の範囲 /  変更 /  訂正明細書 /  取消決定 /  異議申立 /  原告適格 /  必要的共同訴訟 /  期間の延長 / 
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事件 平成 12年 (行ケ) 470号 特許取消決定取消請求事件
原告 株式会社日商代表者代表取締役 A
訴訟代理人弁護士 小坂 志磨夫
同 小池豊
同 弁理士 永井義久
被告 特許庁長官B
指定代理人 C
同 D
同 E
同 F
裁判所 東京高等裁判所
判決言渡日 2001/03/12
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
主文 本件訴えを却下する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
当事者の求めた裁判
1 原告 特許庁が平成11年異議第74108号事件について平成12年10月25日にした決定を取り消す。
訴訟費用は被告の負担とする。
2 被告 原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
当事者間に争いのない事実
1 特許庁における手続の経緯 原告及び池上通信機株式会社(以下「池上通信機」という。)は、名称を「パチンコ装置」とする特許第2888528号発明(昭和63年8月9日出願、
同年12月10日分割出願、平成11年2月19日設定登録)に係る特許権(以下、この発明を「本件発明」といい、この特許権を「本件特許権」という。)の共有者である。
Gは平成11年11月5日、Hは同月10日、それぞれ本件特許につき特許異議の申立てをし、同各申立ては、平成11年異議第74108号事件として特許庁に係属したところ、原告及び池上通信機は、平成12年7月18日に訂正請求をし、さらに、同年10月10日、その補正をした。
特許庁は、上記異議申立事件につき審理した上、同年10月25日に「特許第2888528号の請求項1に係る特許を取り消す。」との決定(以下「本件決定」という。)をし、その謄本は同年11月13日、原告及び池上通信機に送達された。
2 本件決定の理由 本件決定は、別添決定書謄本写し記載のとおり、@原告及び池上通信機による訂正請求に係る補正の適否につき、訂正事項aの補正が訂正請求書の要旨を変更するものであるので、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則6条1項の規定によりなお従前の例によるとされる、平成11年法律第41号による改正前の特許法120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法131条2項の規定(注、「平成11年法律第41号による改正前の特許法120条の4第3項において準用する平成10年法律第51号による改正前の特許法131条2項の規定」の趣旨であると解される。)に反し、
採用しないとし、A上記訂正請求につき、訂正明細書の請求項1に記載された発明(訂正発明)が特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、上記訂正請求は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則6条1項の規定によりなお従前の例によるとされる、平成11年法律第41号による改正前の特許法120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法126条3項の規定(注、「特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則6条1項の規定が『この法律の施行前にした特許出願に係る特許の願書に添付した明細書又は図面についての訂正・・・については、なお従前の例による』とするために上記訂正請求に適用される、平成11年法律第41号による改正前の特許法120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法126条3項の規定」の趣旨であると解される。)に適合せず、認めないとし、B本件発明の要旨を特許明細書の特許請求の範囲の請求項1の記載のとおり認定した上、本件発明は、特開昭56-158672号公報及び特開昭55-86485号公報にそれぞれ記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができず、本件発明に係る特許は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)4条2項の規定により取り消すべきものであるとした。
本件訴えの適否に関する原告の主張
本件特許権の共有者である池上通信機は本件決定の取消しの訴えを提起せず、その出訴期間が経過したが、以下のとおり、本件特許権の共有者の一人である原告のした本件決定の取消しの訴えは適法と解すべきである。
1 特許権の共有の法的性質は民法上のいわゆる合有ではなく、単なる共有であって、同法251条252条が適用されるものである。そして、特許異議の申立てに基づいてされた取消決定の取消しを求める訴えの提起は、確立した特許権の存立に対する妨害である取消決定の排除を求める点で保存行為(同法252条ただし書)に属するものであるから、各共有者が単独ですることができると解すべきである。
2 最高裁平成7年3月7日判決・民集49巻3号944頁は、実用新案登録を受ける権利の共有者が、共同で拒絶査定不服の審判を請求し、不成立審決を受けた場合に提起する審決取消訴訟につき、審決を取り消すか否かは共有者全員につき合一に確定する必要があるから、固有必要的共同訴訟である旨判示するが、上記合一確定の必要があるからといって、当然に固有必要的共同訴訟でなければならないと解する必要はない。
すなわち、上記のような実用新案登録を受ける権利の共有者が、共同して又は各別に審決の取消しの訴えを提起したときは、類似必要的共同訴訟の関係にある関連請求(行政事件訴訟法13条)として併合審理することにより、上記合一確定の要請に応えることが可能である。また、共有者の一部の者のみが審決の取消しの訴えを提起したときは、他の共有者との関係でも審決の確定が遮断されるとともに、当該訴えに対し審決を取り消す旨の判決が確定すれば、その判決の効果は他の共有者にも及び(同法32条1項)、請求棄却の判決が確定すれば、審決の結論には瑕疵がないことが確定するのであり、このことを否定すべき根拠はない。
そして、以上の理は、共有に係る特許権について特許の無効の審決がされた場合にも、本件のように、特許異議の申立てに基づく特許取消しの決定がされた場合にも妥当するものである。
3 取消決定又は審決に対する取消しの訴え等について原告適格を有する者の範囲を定めた特許法178条2項は、行政事件訴訟法9条により一般の処分の取消しの訴えにつき定められた原告適格を有する者の範囲を、更に限定した例外規定であるから、原告適格を有する者であるかどうかを判断するに当たって、特許法178条2項所定の範囲を更に限定して解釈することは許されない。そして、そうであれば、同項が参加人について原告適格を認めたにもかかわらず、当事者である共有者の一部の者の原告適格を排除するものと解することはできない。
4 共有者の一部の者の不在、異論などによって、共有に係る特許権について、
特許の取消し又は無効という不慮の処分に対し、これを阻止して権利を維持保存する方途を失わせることは不合理である。
当裁判所の判断
1 共有に係る特許権につき特許異議の申立てに基づいてされた特許取消決定の取消しを求める訴えにおいて、その取消決定を取り消すか否かは、間接的にではあれ、共有者全員の有する一個の権利の存否を決めるものとして、共有者全員につき合一に確定する必要があり、共有者それぞれについて異なった内容で確定され得ると解する余地はないから、上記訴えは、共有者が全員で提起することを要する固有必要的共同訴訟と解すべきである。
2 原告の主張について (1) 原告は、これに反して、まず、特許権の共有の法的性質が民法上の共有であり、特許異議の申立てに基づく取消決定の取消しを求める訴えの提起は保存行為に属するものであるから、各共有者が単独ですることができるとした上、上記合一確定の必要があるからといって、当然に固有必要的共同訴訟でなければならないと解する必要はない旨主張する。
しかしながら、本件のように共有者の一部の者のみが取消決定の取消しの訴えを提起した場合に、原告主張のように、審決を取り消す旨の確定判決の効力が、行政事件訴訟法32条1項により、訴えを提起しなかった他の共有者にも及ぶと解することは、同一特許権の共有者のように利害関係を共通にする者が同項にいう「第三者」に当たるとする点で必ずしも正当とは解されない。それのみならず、
原告の主張によれば、当該訴えについて請求棄却の判決が確定したときには、審決の結論には瑕疵がないことが確定するというが、それだけでは、当該判決の効力が訴えを提起しなかった他の共有者にも及び、当該他の共有者が改めて提起する取消決定の取消しの訴えにおいて、異なった内容の判決がされることはあり得ないとする論拠が明らかではない。この場合に、請求棄却の判決が確定する時点では、当該他の共有者は、出訴期間が経過していることにより、取消決定の取消しの訴えを改めて提起することはできないことが通常ではあるが、そのこと自体は当該判決の効力が及ぶゆえの効果であるということはできない。また、原告主張のように、共有者の一部の者の訴えの提起により他の共有者との関係でも審決の確定が遮断されると解するのであれば、この点も明確であるとはいえない。
したがって、合一確定の必要があるからといって、当然に固有必要的共同訴訟でなければならないと解する必要はない旨の原告の主張は採用することができない。また、仮に、特許権の共有の法的性質が民法上の通常の共有と解されるとしても、そのことから、共有者のうちの一部の者のみが、保存行為として上記取消決定の取消しの訴えを適法に提起できるものと解することはできない。
(2) 原告は、次に、特許法178条2項が、行政事件訴訟法9条所定の原告適格を有する者の範囲を更に限定した例外規定であるから、原告適格を有する者であるかどうかを判断するに当たって、特許法178条2項所定の範囲を更に限定して解釈することは許されず、同項が参加人について原告適格を認めたにもかかわらず、当事者である共有者の一部の者の原告適格を排除するものと解することはできない旨主張する。
しかしながら、共有に係る特許権についてされた特許取消決定の取消しを求める訴えを固有必要的共同訴訟と解することが、共有者全員が共同してのみ原告適格が認められるという意味で原告適格の制限に当たるとしても、そのように解することは、上記のとおり、取消決定を取り消すか否かを、共有者全員の有する一個の権利の存否を決めるものとして、共有者全員につき合一に確定する必要があることに基づくものであって、特許法178条2項が、それを許容しない旨定めたものとは到底解し得ない。また、同項が「参加人又は当該特許異議の申立てについての審理・・・に参加を申請してその申請を拒否された者」につき、取消決定取消しの訴えを提起することができるものに含めたのは、特許異議の申立てについての審理におけるそれらの者の地位にかんがみ、当事者とは別に当該訴えを提起する権能を付与することを適当と認めたことによるものと解され、存否が争われている特許権の権利者に当該訴えの原告適格を認めたこととは異なる配慮に基づくものであるから、上記参加人等が提起することができるからといって、共有に係る特許権の共有者が単独で当該訴えを提起することができるということにはならない。
(3) 原告は、さらに、共有者の一部の者の不在、異論などによって、共有に係る特許権について、特許の取消処分を阻止して権利を維持保存する方途を失わせることは不合理である旨主張する。
しかしながら、特許法は、特許を受ける権利共有者が、その共有に係る権利につき特許出願を拒絶した査定に対し不服の審判(同法121条)を請求する場合や、特許権の共有者が、当該特許権につき存続期間の延長登録の出願を拒絶した査定に対し不服の審判(同条)を請求する場合などに、共有者の全員が共同して請求しなければならないとしている(同法132条3項)。このことにかんがみると、特許法は、特許を受ける権利又は特許権の共有者中に権利の取得又は存続の意欲を失った者がいる場合には、一個の特許権全体について、その取得又は存続ができなくともやむを得ないとしていることがうかがえるのであるから、特許異議の申立てに基づく特許取消決定に対する取消しの訴えの提起の場合に同様の扱いをすることが、格別不合理であるとすることはできない。
3 したがって、本件決定取消しの訴えは、本件特許権の共有者である原告及び池上通信機の両名で提起すべきものであって、原告のみの提起に係る本件訴えは、
不適法であるといわなければならない。そして、池上通信機につき本件決定の取消しの訴えの出訴期間が経過したことは原告が自認するところであるから、不適法である本件訴えは、その不備を補正する余地はない。
4 よって、本件訴えを却下することとし、訴訟費用の負担につき、行政事件訴訟法7条、民事訴訟法61条を適用して、主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 篠原勝美
裁判官 石原直樹
裁判官 宮坂昌利
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