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関連ワード 製造方法 /  容易に発明 /  発明の詳細な説明 /  分割出願 /  設定登録 /  訂正審判 /  請求の範囲 /  減縮 /  取消決定 / 
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事件 平成 12年 (行ケ) 125号 特許取消決定取消請求事件
原告 松下電器産業株式会社
訴訟代理人弁理士 池内寛幸
同 佐藤公博
同 鎌田耕一
同 乕丘圭司
同 辻丸光一郎
同 黒田茂
被告 特許庁長官及川耕造
指定代理人 橋本武
同 内野春喜
同 小林信雄
同 内山進
裁判所 東京高等裁判所
判決言渡日 2001/04/09
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
主文 特許庁が平成10年異議第71457号事件について平成12年2月10日にした決定を取り消す。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
当事者の求めた裁判
1 原告 主文と同旨 2 被告 原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
当事者間に争いのない事実
1 特許庁における手続の経緯 (1) 原告は、名称を「トランジスタの製造方法」(訂正審決により「薄膜トランジスタの製造方法」と訂正)とする特許第2659000号発明(昭和62年2月6日原出願、平成7年12月18日分割出願、平成9年6月6日設定登録)の特許権者である。
Aは、平成10年3月26日、セイコーエプソン株式会社は、同月27日、富士通株式会社は、同月30日、それぞれ本件特許につき特許異議の申立てをし、これらの申立ては、平成10年異議第71457号事件として特許庁に係属した。原告は、平成10年9月29日、本件特許出願の願書に添付された明細書(以下「本件明細書」という。)の特許請求の範囲及び発明の詳細な説明の記載の訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)をした。特許庁は、上記事件につき審理した結果、平成12年2月10日、「特許第2659000号の特許を取り消す。」との決定(以下「本件決定」という。)をし、その謄本は、同年3月21日、原告に送達された。
(2) 原告は、平成12年4月18日、本件決定の取消しを求める本件訴えを提起した後、同年12月22日、本件明細書の特許請求の範囲及び発明の詳細な説明の記載の訂正(以下「本件訂正」という。)をする訂正審判の請求をし、特許庁は、同請求を訂正2000-39163号事件として審理した結果、平成13年2月14日、本件訂正を認める旨の審決(以下「訂正審決」という。)をし、その謄本は、同年3月3日、原告に送達された。
2 本件明細書の特許請求の範囲の請求項1の記載 (1) 本件訂正請求前のもの 【請求項1】絶縁基板上に、チャンネル部とソース、ドレイン部となる多結晶あるいは非晶質シリコン膜を形成した後、前記シリコン膜上に形成したマスクを用いて前記シリコン膜のソース、ドレイン部に、プラズマ空間中で形成された周期律表V又はX族元素イオンを含む不純物イオン及び水素イオンを前記プラズマ空間中から引出して同時に照射してソース、ドレイン領域を形成することを特徴とするトランジスタの製造方法
【請求項2】絶縁基板上に、ゲート電極、ゲート絶縁膜を形成したのち、シリコン膜を形成することを特徴とする特許請求の範囲第1項記載のトランジスタの製造方法
【請求項3】シリコン膜上にゲート絶縁膜、ゲート電極を形成したのち、イオンを照射することを特徴とする特許請求の範囲第1項記載のトランジスタの製造方法
(2) 本件訂正に係るもの(訂正部分には下線を付す。) 【請求項1】プラズマを発生 させる 放電室 と、前記放電室 で励起 した プラズマ中のイオン をガラス からなる 絶縁基板上 の多結晶 あるいは 非晶質 シリコン 膜に照射する 処理室 と、前記放電室 と前記処理室 との 間に設けられた 電極 と、前記電極 と前記放電室 を挟んで 反対側 に設けられた 別の電極 とを 備えた イオンシャワードーピング のための 装置 を用い、
ガラス からなる 絶縁基板上に、チャンネル部とソース、ドレイン部となる多結晶あるいは非晶質シリコン膜を形成した後、前記シリコン膜上に形成したマスクを用いて前記シリコン膜のソース、ドレイン部に、前記ガラス からなる 絶縁基板から 離れた 位置 にある 前記放電室 のプラズマ空間中で形成された周期律表V又はX族元素イオンを含む不純物イオン及び水素イオンを前記放電室のプラズマ空間中から前記別の電極 の反対側 へ引出し加速 し前記処理室内 のシリコン 膜に同時に照射して、
不純物 イオン の注入 によって 発生 した 前記 シリコン 膜の欠陥 を水素 イオン で補償しながら 、ソース、ドレイン領域を形成することを特徴とする薄膜 トランジスタの製造方法
【請求項2】ガラスからなる 絶縁基板上に、ゲート電極、ゲート絶縁膜を形成したのち、シリコン膜を形成することを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の薄膜トランジスタの製造方法
【請求項3】シリコン膜上にゲート絶縁膜、ゲート電極を形成したのち、イオンを照射することを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の薄膜トランジスタの製造方法
3 本件決定の理由の要旨 本件決定は、本件明細書の特許請求の範囲【請求項1】の発明(以下「本件発明」という。)の要旨を、本件訂正請求前の本件明細書の特許請求の範囲記載のとおりと認定した上、本件発明は、特開昭61-48979号公報及び特開昭56-138921号公報に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は、拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものであり、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)4条1項及び2項の規定により取り消されるべきものであるとした。
原告主張の決定取消事由
本件決定が、本件発明の要旨を本件訂正請求前の本件明細書の特許請求の範囲記載のとおりと認定した点は、訂正審決の確定により特許請求の範囲が上記のとおり訂正されたため、誤りに帰したことになる。本件決定は本件発明の要旨の認定を誤った違法があり、取り消されなければならない。
被告の主張
訂正審決により本件明細書の特許請求の範囲が上記のとおり訂正されたことは認める。
当裁判所の判断
訂正審決により本件明細書の特許請求の範囲が上記のとおり訂正されたことは当事者間に争いがなく、本件訂正によって、本件明細書の特許請求の範囲減縮されたことが明らかである。
そうすると、本件決定が本件発明の要旨を本件訂正請求前の本件明細書の特許請求の範囲記載のとおりと認定したことは、結果的に本件発明の要旨の認定を誤ったこととなり、この誤りが本件決定の結論に影響を及ぼすことは明らかであるから、本件決定は取消しを免れない。
よって、原告の請求は理由があるからこれを認容し、訴訟費用は、原告の申立て等本件訴訟の経過にかんがみ、原告に負担させることとして、主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 篠原勝美
裁判官 石原直樹
裁判官 長沢幸男