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審判番号(事件番号) データベース 権利
平成12ネ1016特許権侵害差止請求控訴事件 判例 特許
平成14ネ711特許権侵害差止請求控訴事件 判例 特許
平成17ネ10005損害賠償等請求控訴事件 判例 特許
平成12ネ3891特許権侵害差止等請求控訴事件 判例 特許
平成18ネ10051特許権侵害差止等請求控訴事件 判例 特許
関連ワード 協議 /  公知技術 /  援用権(援用) /  権利の濫用(権利濫用) /  特許発明 /  実施 /  権原 /  属地主義 /  間接侵害 /  業として /  差止請求(差止) /  侵害 /  損害額 /  実施権 /  専用実施権 /  拡張 / 
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事件 平成 13年 (ネ) 240号 特許権侵害差止等請求控訴事件

控訴人(一審原告) ミリケン・リサーチ・コーポレーシ ョン
控訴人(一審原告) ミリケン・アンド・カンパニー
両名訴訟代理人弁護士 品川澄雄
同 吉利靖雄
同補佐人弁理士 青山葆
同 柴田康夫
同 北原康廣
被控訴人(一審被告) 新日本理化株式会社
同訴訟代理人弁護士 村林隆一
同 松本司
同 岩坪哲
同補佐人弁理士 岩田弘
同 三枝英二
同 小原健志
同 藤井淳
裁判所 大阪高等裁判所
判決言渡日 2001/08/30
権利種別 特許権
訴訟類型 民事訴訟
主文 1 本件控訴をいずれも棄却する。
2 控訴費用は,控訴人らの負担とする。
事実及び理由
当事者の求めた裁判
1 控訴人ら (1) 原判決を取り消す。
(2) 被控訴人は,原判決別紙物件目録記載の物件を製造,販売してはならない。
(3) 被控訴人は,被控訴人の所有する前項記載の物件を廃棄せよ。
(4) 被控訴人は,控訴人ミリケン・リサーチ・コーポレーションに対し,2700万円及びこれに対する平成11年7月2日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。
(5) 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。
(6) 仮執行宣言 2 被控訴人 主文と同旨 (以下,控訴人を「原告」,被控訴人を「被告」という。)
事案の概要
1 基礎となる事実(証拠等の引用のない事実は当事者間に争いがない。) (1) 原告ミリケン・リサーチ・コーポレーションの特許権 原告ミリケン・リサーチ・コーポレーションは,原判決別紙特許権目録記載の特許権(以下「本件特許権」といい,請求項1,14及び20に係る発明を「本件発明」という。)を有している。
(2) 原告ミリケン・アンド・カンパニーの専用実施権 原告ミリケン・アンド・カンパニーは,本件特許権について,原判決別紙専用実施権目録記載の専用実施権を有している(甲10)。
(3) 被告の行為 被告は,遅くとも平成10年3月以降,ビス(3,4ジメチルベンジリデン)ソルビトールからなる「Gel All DX」という名称の商品(以下「被告製品」という。)を日本国内で製造し,外国向けにのみ販売,輸出し,日本国内向けには販売していない。
2 原告らの請求及び原判決 本件は,被告製品は本件発明の方法の実施にのみ使用する物(請求項1関係)又は本件発明に係る物の生産にのみ使用する物(請求項14及び20関係)であるから,それらの製造,販売は本件特許権を侵害するとみなされる(間接侵害)として,被告に対し,原告らが,@ 被告製品の製造,販売等の差止め,A 被告製品の廃棄を求めるとともに,原告ミリケン・リサーチ・コーポレーションが,B 平成10年3月から同年12月24日までの被告製品の販売に係る損害賠償請求をした事案である。
原判決は,被告が,被告製品を外国向けにのみ販売,輸出し,今後も日本国内向けにおいて販売するおそれは認められないことを理由に,間接侵害の成立を否定し,原告らの請求を棄却した。
3 争 点 (1) 被告製品の特定 (2) 被告製品は,本件発明の方法の実施又は本件発明に係る物の生産にのみ使用する物か。
(3) 先願優位の抗弁の成否 (4) 権利濫用の抗弁の成否 (5) 公知技術実施の抗弁の成否 (6) 損害額
争点に関する当事者の主張
1 争点に関する当事者の主張は,次のとおり付加,訂正するほか,原判決「事実及び理由」中の「第三 争点に関する当事者の主張」に記載のとおりであるから,これを引用する。
2 原判決の訂正等 (1) 原判決9頁9行目の「物理特性改善」を「物理的特性」と改める。
(2) 同11頁4行目の「余地はない。」を「余地はなく,特許法101条1号の『その物の生産にのみ』における,第三者による『生産』は,日本国内ばかりでなく海外における『生産』をも含み,特許法101条2号の『その発明の実施にのみ』における,第三者による『実施』も,日本国内ばかりでなく海外における『実施』をも含むものである。」と改める。
(3) 同12頁7〜9行目を次のとおり改める。
「被告製品の粒径が小さくなることがなければ,本件発明のd97 及び平均粒径の要件を充足しないことになり,被告製品は,本件発明の方法の実施又は本件発明に係る物の生産にのみ使用する物とはいえない。」 (4) 同14頁3行目の「成否)」の次に「について」を加える。
(5) 同15頁1行目の「後願発明」を「発明」と改める。
3 当審において補足された原告らの主張 (1) 日本国内における被告製品販売のおそれについて 次に述べる理由からも,被告は,被告製品を日本国内で販売するおそれがあるというべきである(間接侵害性)。
被告製品を構成する化合物であるビス(3,4ジメチルベンジリデン)ソルビトールは,化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律2条4項の「指定化学物質」に指定され,「製造,輸入,使用等について必要な規制」を受けるが,その規制の内容は,「毎年度,前年度の製造数量又は輸入数量等を経済産業大臣に届ける」(同法23条1項)というものであって,第三者がビス(3,4ジメチルベンジリデン)ソルビトールを輸入して,日本国内で使用する障害とはならない。
一方,ポリオレフィン樹脂は,耐薬品性,耐水性に優れ,また高周波絶縁性にも優れているので,食品容器包装ばかりではなく電気電子部品,建築部品,各種工具部品等の多くの用途を有している。
しかも,ポリオレフィン等衛生協議会は,平成12年11月までに,ビス(3,4ジメチルベンジリデン)ソルビトールを「ポリオレフィン等合成樹脂製食品容器包装等に関する自主基準」(以下「自主基準」という。)に登載することを決定し,追補に掲載した。これにより,ビス(3,4ジメチルベンジリデン)ソルビトールは,食品容器包装及び器具に用いられる熱可塑性合成樹脂の安全衛生面で適切な材料としての認定を受けたことになり,被告が,日本国内で被告製品を「食品容器包装等に用いられるポリプロピレン」用に販売することさえ全く支障はなくなった。
そのため,平成12年から,被告が,被告製品を日本国内向けに製造,販売するおそれが生じている。
原告ミリケン・アンド・カンパニーは,かねてから本件特許発明実施品である「ミラード3988」を製造し,世界各国に輸出しており,アジアにおいて複数の化学会社が,平成12年から,ポリオレフィン系樹脂,とりわけポリプロピレン樹脂に原告ミリケン・アンド・カンパニー製の「ミラード3988」を混合した透明化学樹脂を日本の化学樹脂会社に対して輸出している。
したがって,被告が自ら製造したビス(3,4ジメチルベンジリデン)ソルビトールを日本国内において販売するおそれは十分にあり,間接侵害性を否定することはできない。
(2) 特許法101条の解釈について 特許法101条の「その物の生産にのみ使用する物」における「生産」,「その発明の実施のみに使用する物」における「実施」を,日本国内におけるものに限られると解することは,特許法101条1号の行為が終了した後に,侵害者以外の第三者による海外での「生産」物が日本国内に輸入されれば特許権侵害を構成し,他方,特許権者・侵害者以外の第三者による海外での「生産」物が海外で譲渡,使用されれば特許権の非侵害にとどまるという結果を招く。しかし,このように解することは,事後的に発生する侵害者以外の第三者による海外での行為如何で,既に終了した特許法101条1号の特許権の侵害とみなされる行為が,後ほど遡って特許権侵害を構成したり,反対に特許権非侵害と認められたり,区々に法的評価を受けることになり,法的安定性,法的公平性を欠く。
(3) 被告製品の粒径について ア 甲38について 原告は,原審において,甲33により,被告製品のd97 がポリプロピレンに乾式混合した後には30μm以下となることを証明した。甲33の実験は,被告製品を唯一の添加剤として行われたが,甲38により,実際のポリプロピレン樹脂製造工程と同様に,他の添加剤の存在下に被告製品をポリプロピレンに乾式混合した場合にも,他の添加剤の影響を受けずに,被告製品のd97 は30μm以下,平均粒径は15μm以下となることが分かる。
イ 甲39について(乙36に対する反証) 被告は,乙36により,被告製品をポリプロピレンに乾式混合した後のd97 は30μmより大きいと主張する。
しかし,乙36の実験においては,ポリプロピレン粉末として SOLVAY POLYFINS EUROPE(ソルベイ社)製「ELTEX P HV 001 PF」が用いられているが,この製品は旧世代のポリプロピレン製造法により製造されたものであって,重合開始剤等の不純物を比較的多量に含んでいる。また,製造設備も年代を経たものであるから,配管等からの不純物もポリプロピレンに含まれている可能性がある。それ故,そのようなポリプロピレンに被告製品を乾式混合した後に被告製品を分離した場合,それら不純物が被告製品と共に分離され,不純物が被告製品の粒径測定値に大きな影響を与えている(甲39)。
したがって,乙36の実験をもって,被告製品をポリプロピレンに乾式混合してもd97 は30μm以上であるということはできない。
ウ 甲40について(乙30に対する反証) 被告は,被告製品試料をポリプロピレンに乾式混合する前の粒径測定に用いる試料分散体を調整するために,試験管ミキサーにて1分間攪拌することにより,粉体を水に分散させるに必要なエネルギーを付与したと述べ,乙30の実験ではこの方式を採用している。
しかし,試験管ミキサーによる攪拌では,分散体中には緩く会合した粒子も存在し,測定された粒径は,そのような粒子の粒径をも含めた値となり,十分に分散された粒子の粒径とはいえない。
レーザー光散乱による粉末の粒径分析には,試験管ミキサーよりも大きいエネルギーを粉体試料に付与して,粉体を水に分散させる必要があり,乙30の実験をもって,被告製品の平均粒径が15μmを上回るということはできない。
4 当審における被告の主張 (1) 被告が被告製品を日本国内で販売したことはなく,また,今後もその販売の意図はない。
(2) 原告らの主張する特許法101条の解釈は,属地主義の見地からみて,相当ではない。
(3) 被告製品の粒径について ア 甲38について 甲38は,レーザー光散乱法による添加剤混合物中の被告製品の粒度分布を差し引き法で求めているが,差し引き法は添加剤3成分の粒子間に相互作用がない場合,すなわち被告製品の粒度分布に影響がない場合のみでなく,他の添加剤の粒度分布にも影響を与えない場合に成立する。
しかし,甲38の方法では,混合物中の被告製品の粒度分布を求めることはできない。
また,甲38は,湿式超音波篩法により,篩上の30μmを超える被告製品の重量は3重量%以下であるとしているが,湿式篩法では,正しい補正なしには正しい粒径を得ることはできず,いずれにしても,甲38の証拠力はない。
イ 甲39について ソルベイ社の「ELTEX P HV 001 PF」は,その濃度は99.00%以上であり,原告が主張するような汚染樹脂ではない。
むしろ,甲39の実験によっても,被告製品のd97 が39.77μm,平均粒径が8.855μmであったことから,乙36の実験結果の正しいことが判明した。
ウ 甲40について 乙30の実験は,試験管ミキサーとして大洋科学工業株式会社製「AUTOMATIC MIXER S-10」を用いて行ったが,1分間攪拌することにより界面活性剤水溶液中の被告製品は粒度分布を測定するに十分な程度に分散されている。
甲40の実験は,乙30の試験管ミキサーと異なるものを使用しており,乙30の実験結果を左右しない。
争点に対する当裁判所の判断
1 被告製品は,本件発明の方法の実施又は本件発明に係る物の生産にのみ使用する物か(争点(2))。-被告が,今後,被告製品を日本国内向けに製造,販売するおそれ (1) 被告が被告製品を,これまで外国向けにのみ販売,輸出し,日本国内向けに販売していないことは当事者間に争いがない。原告は,外国向けに製造した被告製品を,日本国内向けに販売するおそれがあると主張するが,これまで日本国内向けに販売してこなかったにもかかわらず,被告がこれを販売するおそれがあると直ちに認めることはできない。
なお,証拠(乙41,42,48ないし51)及び弁論の全趣旨によると,被告が,これまで被告製品を日本国内向けに販売してこなかった理由のひとつとして,次のような事情を認めることができる。
すなわち,@ 被告は,被告製品を構成する化合物であるビス(3,4ジメチルベンジリデン)ソルビトールを製造するに先立ち,化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律3条1項に基づく届出をしたところ,同物質は同法4条1項の規定に基づき,同項2号の指定化学物質(同法2条3項各号のいずれかに該当する疑いのあるもの)に該当するとして,平成8年1月23日厚生省生衛第45号により,厚生大臣及び通商産業大臣から,同法2条4項の「指定化学物質」に指定され,同年12月17日に厚生省通商産業省告示第2号によって告示された。A 日本では,食品用容器包装及び器具に用いられるポリオレフィン等の熱可塑性合成樹脂について,安全衛生面で適切な材料の選定,使用及び普及を目的として,ポリオレフィン等の製造やその取扱いを業として営む者等から構成される「ポリオレフィン等衛生協議会」(平成8年12月の時点で正会員として約800社が入会し,被告もその一員である。)が組織されており,同協議会では,樹脂製食品容器包装等に用いられる樹脂原料について衛生的見地から自主的に基準を定め,会員は同自主基準のリストに掲載された物質を使用して樹脂性包装容器等を製造するよう努めるものとされているところ,ビス(3,4ジメチルベンジリデン)ソルビトールは,平成9年3月以降の自主基準のリストに掲載されていなかった。
このため,平成11年11月発行の被告の日本国内向け総合製品カタログにも被告製品が掲載されていないことが認められる(乙28,弁論の全趣旨)。
(2) ところで,原告らは,ポリオレフィン等衛生協議会が,平成12年11月までに,ビス(3,4ジメチルベンジリデン)ソルビトールを自主基準に登載することを決定し,追補に掲載したから,食品容器包装及び器具に用いられる熱可塑性合成樹脂の安全衛生面で適切な材料としての認定を受けたことになり,被告が,被告製品を日本国内で販売するおそれがあると主張する。
確かに,証拠(甲36,37,48ないし51)及び弁論の全趣旨によると,平成12年11月までにポリオレフィン等衛生協議会において,ビス(3,4ジメチルベンジリデン)ソルビトールが自主基準のリストに追加されたことが認められ,また,ポリオレフィン樹脂は,耐薬品性,耐水性に優れ,高周波絶縁性にも優れているので,電気電子部品,建築部品,各種工具部品等,多くの用途を有すること,原告ミリケン・アンド・カンパニーが本件特許発明実施品である「ミラード3988」を製造し,日本国内において販売促進活動をしていることも認められる。
しかし,本件証拠上,被告が被告製品を日本国内で販売する準備をしたなどという形跡は窺えず,前記の事実が認められたからといって,被告が被告製品を日本国内で販売する具体的な可能性が高まったとまではいえず,他に,被告が,今後,被告製品を日本国内向けに製造,販売するおそれがあることを認めるに足りる証拠はない。
2 同上-日本国外における実施,生産のみに使用される被告製品と特許法101条該当性 (1) 当裁判所も,被告製品が日本国外にのみ輸出されるものである場合,特許法101条所定の「その物の生産のみに使用する物」(1号)及び「その発明の実施のみに使用する物」(2号)に当たるとはいえないと判断する。
その理由は,後記(2)ないし(4)のとおり補足するほか,原判決「事実及び理由」中の「第四 争点に対する当裁判所の判断」一2に記載のとおりであるから,これを引用する(ただし,原判決26頁1行目の「そうすると」を「そうでないと」と改め,同27頁7行目の「101条」の前に「特許法」を加える。また,同27頁2行目の「1で認定した事実」は,「本判決『事実及び理由』中,第4の1に認定した事実」と読み替える。)。
(2) 被告製品の輸出の侵害行為該当性について 原告は,被告が,被告製品を輸出するに際し,その前提として,被告製品を製造,販売しており,それだけでなく,被告の輸出行為自体が日本国内における譲渡に該当するから,被告製品の輸出は,侵害行為に該当しうると主張する。
しかし,被告製品の輸出に当たり,日本国内で輸出の前提として譲渡が行われたとしても,そのことのみによって,間接侵害の成否が左右されるとは考えられない。
前記第2の1(3)のとおり,被告は,被告製品を日本国内で製造した上,全て日本国外に輸出しているのであるから,被告製品の製造,販売が本件特許権の間接侵害に該当するか否かは,被告製品が「本件発明の方法の実施にのみ使用する物」又は「本件発明に係る物の生産にのみ使用する物」といえるか否かという問題に帰着する。
(3) 他国の立法例について 原告は,間接侵害の成立のためには直接侵害の成立は不要であるとする理論(独立説)が,ドイツやアメリカ合衆国の特許法において明文規定として採用されており,日本の特許法においても同様の解釈をとるべきである旨主張する。
しかし,他国において,その国の立法政策により,明示的に独立説がとられるに至ったとしても,特許法101条の解釈に当然に影響を与えるものとはいえない。
日本の特許法では,日本の特許権は日本国内においてのみ効力を有するという属地主義がとられていること,間接侵害の成否の判断にあたっては,特許権の効力の不当な拡張とならないようにする必要があることを考えると,本件のように,被告製品の全てが輸出されている場合において,間接侵害の成立を認め,被告製品の製造を差し止め,これを輸出できなくすることは,法の許容するところではないと考える。
(4) 法的安定性について 原告は,特許法101条の「その物の生産にのみ使用する物」における「生産」,「その発明の実施のみに使用する物」における「実施」を,日本国内におけるものに限られると解することは,特許法101条1号の行為が終了した後に,侵害者以外の第三者による海外での「生産」物が日本国内に輸入されれば特許権侵害を構成し,他方,海外での「生産」物が海外で譲渡,使用されれば特許権の非侵害にとどまるという結果を招き,第三者による海外での行為如何で,間接侵害の成否が分かれることになり,法的安定性,法的公平性を欠くと主張する。
しかし,第三者による海外での「生産」物が日本国内に輸入される場合は,被告製品の製造が間接侵害を構成するのではなく,輸入行為により直接侵害が新たに発生すると考えるべきである。そして,前述したとおり,被告製品が外国向けにのみ販売,輸出される限り,間接侵害は成立しないというべきであるから,法的安定性や法的公平性を欠くことにはならないと考える。
3 その他,原審及び当審における控訴人提出の各準備書面記載の主張に照らして,原審及び当審で提出,援用された全証拠を改めて精査しても,当審の認定判断を覆すほどのものはない。
4 結 論 以上によると,その余の点を判断するまでもなく,原告らの請求は,いずれも理由がないから,これを棄却すべきところ,これと同旨の原判決は相当である。
よって,本件控訴をいずれも棄却し,主文のとおり判決する。
(当審口頭弁論終結日 平成13年6月28日)
裁判長裁判官 竹原俊一
裁判官 小野洋一
裁判官 山田陽三