運営:アスタミューゼ株式会社
  • ポートフォリオ機能


追加

関連審決 異議2001-70718
関連ワード 設定登録 /  訂正審判 /  請求の範囲 /  減縮 /  取消決定 / 
元本PDF 裁判所収録の全文PDFを見る pdf
事件 平成 17年 (行ケ) 10053号 特許取消決定取消請求事件

原告 株式会社セガ(旧商号株式会社セ ガ・エンタープライゼス)
訴訟代理人弁護士 吉武賢次
同 弁理士 北野好人
被告 特許庁長官小川洋
指定代理人 佐藤昭喜
同 山口由木
同 高木 進
同 岡田孝博
同 二宮千久
同 中村和夫
同 塩ア 進
同 宮川久成
同 伊藤三男
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2005/08/30
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
主文 1 特許庁が異議2001−70718号事件について平成13年11月19日にした決定を取り消す。
2 訴訟費用は各自の負担とする。
事実及び理由
全容
1 原告は,主文第1項と同旨の判決を求め,請求の原因として別紙のとおり述べた。
2 被告は,請求棄却の判決を求め,請求原因事実は争わないと述べた。
上記争いのない事実によれば,原告の本訴請求は理由があるからこれを認容し,訴訟費用については,本訴の経緯にかんがみ,これを各自に負担させるのを相当と認め,主文のとおり判決する。
追加
(別紙)請求原因1原告は,発明の名称を「競争ゲーム装置及びその制御方法」とする特許第3084412号発明(昭和63年4月9日に出願された特願昭63-86289号の出願の一部を分割した特願平8-322027号の,その出願の一部を分割した特願平10-243033号の,さらにその出願の一部を平成11年6月7日に分割した特願平11-159218号の特許出願に係るもの。平成12年7月7日設定登録。以下「本件特許」という。)に係る特許権者であり,その設定登録時の特許請求の範囲は,別紙1のとおりである(甲2の1)。
2その後,本件特許につき特許異議の申立てがされ,異議2001-70718号事件として特許庁に係属したところ,原告は,平成13年9月25日,本件特許の特許請求の範囲等の訂正を請求した(以下「第1次訂正」という。)。第1次訂正に係る特許請求の範囲は,別紙2のとおりである(甲2の5)。特許庁は,同事件につき審理した上,平成13年11月19日,「訂正を認める。特許第3084412号の請求項1ないし12に係る特許を取り消す。」との決定(以下「本件決定」という。)をし,その決定謄本は同年12月15日原告に送達された。
3原告は,平成14年1月11日,本件決定の取消しを求める本訴を提起し,その係属中の平成17年3月28日,特許庁に対し,本件特許の特許請求の範囲等につき更に訂正審判の請求をした(以下「第2次訂正」という。)。第2次訂正に係る特許請求の範囲の範囲は,別紙3のとおりである(甲10)。特許庁は,同請求を訂正2005-39053号事件として審理した上,同年6月16日,訂正を認める旨の審決(以下「本件訂正審決」という。)をし,その審決謄本は同年6月28日原告に送達された。
4第2次訂正によって特許請求の範囲減縮されたことは明らかであり,本件訂正審決の確定により,本件決定が前提とする発明の要旨の認定は誤りに帰したこと になるので,本件決定の取消しを求める。
(別紙1)特許請求の範囲(設定登録時のもの)「【請求項1】フィールドと,前記フィールド上を走行する複数の模型体と,前記フィールドを挟んで反対側に位置し,前記複数の模型体とそれぞれ磁気的に結合して,対応する模型体を牽引するように配置された複数の自走体と,前記複数の自走体の位置を検出する位置検出手段と,レースの度毎に,時間と共に変化する前記複数の自走体それぞれの目標位置を所定のアルゴリズムに従って演算する演算手段と,前記位置検出手段による検出位置と前記目標位置とに基づいて,それぞれの自走体の位置をそれぞれの目標位置に近づけるように前記複数の自走体を制御する走行制御手段とを有することを特徴とする競争ゲーム装置。
【請求項2】フィールドと,前記フィールド上を走行する複数の模型体と,前記フィールドを挟んで反対側に位置し,前記複数の模型体とそれぞれ磁気的に結合して,対応する模型体を牽引するように配置された複数の自走体と,前記複数の自走体のそれぞれについて,各自走体上の少なくとも2点の位置を検出する位置検出手段と,レースの度毎に,時間と共に変化する前記複数の自走体それぞれの目標位置を所定のアルゴリズムに従って演算する演算手段と,前記位置検出手段により検出された各自走体上の前記少なくとも2点の位置の座標値と前記目標位置の座標値とに基づいて,それぞれの自走体の進むべき方向と速度を演算し,それぞれの目標位置に近づけるように前記複数の自走体を制御する走行制御手段とを有することを特徴とする競争ゲーム装置。
【請求項3】複数の模型体がフィールド上を順位を競って走行する競争ゲーム装置であって,前記複数の模型体のそれぞれを自由走行可能に配置するフィールド面と,前記フィールド面の下方に配置された走行面と,前記フィールド面を挟んで対応する模型体のそれぞれと磁力を介して結合するように前記走行面上に配置され,それぞれに搭載された駆動手段によって自走可能に構成された複数の走行体と,前記複数の走行体のそれぞれについて,各走行体上の少なくとも2点の位置の座標値を順次検出する手段と,前記複数の走行体のそれぞれについて,時間とともに変化する間隔をおいて設定された一連の走行目標位置の座標値を含む走行ラインをレースの度毎に設定する手段とを有し,前記複数の走行体のそれぞれについて,検出された前記少なくとも2点の現在位置の座標値と対応する走行目標位置の座標値とに基づき各走行体の進むべき走行方向を演算し,これに基づき前記駆動手段を制御することにより,前記走行体のそれぞれが設定された走行ラインに沿って走行するように構成されてなることを特徴とする競争ゲーム装置。
【請求項4】複数の模型体がフィールド上を順位を競って走行する競争ゲーム装置であって,前記複数の模型体のそれぞれを自由走行可能に配置するフィールド面と,前記フィールド面の下方に配置された走行面と,前記フィールド面を挟んで対応する模型体のそれぞれと磁力を介して結合するように前記走行面上に配置され,それぞれに搭載された駆動手段によって自走可能に構成された複数の走行体と,前記複数の走行体のそれぞれについて,所定の制御周期で各走行体の現在位置の座標値を順次検出する手段と,前記複数の走行体のそれぞれについて,所定時間間隔で設定された一連の走行目標位置の座標値を含む走行ラインをレースの度毎に設定する手段とを有し,前記複数の走行体のそれぞれについて,検出された現在位置の座標値と対応する走行目標位置の座標値とに基づき各走行体の進むべき走行方向,速度を含む前記駆動手段を制御するための駆動量を順次演算し,これに基づき前記駆動手段を制御することにより,前記走行体のそれぞれが設定された走行ラインに沿って走行するように構成されてなることを特徴とする競争ゲーム装置。
【請求項5】複数の模型体がフィールド上を順位を競って走行する競争ゲーム装置であって,前記複数の模型体が自由走行可能に配置されたフィールド面と,前記フィールド面の下方に配置された走行面と,前記フィールド面を挟んで対応する模型体のそれぞれと磁力を介して結合するように前記走行面上に配置され,それぞれに搭載された駆動手段によって自走可能に構成された複数の走行体と,前記複数の走行体のそれぞれについて,所定の制御周期で各走行体の現在位置の座標値を順次検出する手段と,前記複数の走行体のそれぞれに対し,所定時間間隔で設定された一連の走行目標位置の座標値を含む走行テーブルを設定する手段とを有し,前記複数の走行体のそれぞれについて,検出された現在位置の座標値と対応する走行目標位置の座標値とに基づき各走行体の進むべき走行方向,速度を含む前記駆動手段を制御するための駆動量を順次演算し,これに基づき前記駆動手段を制御することにより,前記走行体のそれぞれが設定された走行テーブルに沿って走行するように構成されてなることを特徴とする競争ゲーム装置。
【請求項6】前記走行テーブルは所定のアルゴリズムに従ってレースの度毎に作成されることを特徴とする請求項5記載の競争ゲーム装置。
【請求項7】複数の模型体がフィールド上の走行する競争ゲーム装置の制御方法であって,前記フィールドを挟んで反対側に位置し,前記複数の模型体とそれぞれ磁気的に結合して,対応する模型体を牽引するように複数の自走体を配置し,レースの度毎に,時間と共に変化する前記複数の自走体それぞれの目標位置を所定のアルゴリズムに従って演算し,前記複数の自走体の位置を検出し,前記自走体の検出位置と前記目標位置とに基づいて,それぞれの自走体の位置をそれぞれの目標位置に近づけるように前記複数の自走体を制御することを特徴とする競争ゲーム装置の制御方法。
【請求項8】複数の模型体がフィールド上の走行する競争ゲーム装置の制御方法であって,前記フィールドを挟んで反対側に位置し,前記複数の模型体とそれぞれ磁気的に結合して,対応する模型体を牽引するように複数の自走体を配置し,レースの度毎に,時間と共に変化する前記複数の自走体それぞれの目標位置を所定のアルゴリズムに従って演算し,前記複数の自走体のそれぞれについて,各自走体上の少なくとも2点の位置を検出し,検出された各自走体上の前記少なくとも2点の位置の座標値と前記目標位置の座標値とに基づいて,それぞれの自走体の進むべき方向と速度を演算し,それぞれの目標位置に近づけるように前記複数の自走体を制御することを特徴とする競争ゲーム装置の制御方法。
【請求項9】複数の模型体がフィールド上を順位を競って走行する競争ゲーム装置の制御方法であって,前記複数の模型体をフィールド面上に自由走行可能に配置し,前記フィールド面の下方に配置された走行面上に,前記フィールド面を挟んで対応する模型体のそれぞれと磁力を介して結合するように複数の走行体を配置し,前記複数の走行体は,それぞれに搭載された駆動手段によって自走可能であり,前記複数の走行体のそれぞれについて,時間とともに変化する間隔をおいて設定された一連の走行目標位置の座標値を含む走行ラインをレースの度毎に設定し,前記複数の走行体のそれぞれについて,各走行体上の少なくとも2点の位置の座標値を順次検出し,前記複数の走行体のそれぞれについて,検出された前記少なくとも2点の現在位置の座標値と対応する走行目標位置の座標値とに基づき各走行体の進むべき走行方向を演算し,これに基づき前記駆動手段を制御することにより,前記走行体のそれぞれが設定された走行ラインに沿って走行することを特徴とする競争ゲーム装置の制御方法。
【請求項10】複数の模型体がフィールド上を順位を競って走行する競争ゲーム装置の制御方法であって,前記複数の模型体をフィールド面上に自由走行可能に配置し,前記フィールド面の下方に配置された走行面上に,前記フィールド面を挟んで対応する模型体のそれぞれと磁力を介して結合するように複数の走行体を配置し,前記複数の走行体は,それぞれに搭載された駆動手段によって自走可能であり,前記複数の走行体のそれぞれについて,所定時間間隔で設定された一連の走行目標位置の座標値を含む走行ラインをレースの度毎に設定し,前記複数の走行体のそれぞれについて,所定の制御周期で各走行体の現在位置の座標値を順次検し,前記複数の走行体のそれぞれについて,検出された現在位置の座標値と対応する走行目標位置の座標値とに基づき各走行体の進むべき走行方向,速度を含む前記駆動手段を制御するための駆動量を順次演算し,これに基づき前記駆動手段を制御することにより,前記走行体のそれぞれが設定された走行ラインに沿って走行することを特徴とする競争ゲーム装置の制御方法。
【請求項11】複数の模型体がフィールド上を順位を競って走行する競争ゲーム装置の制御方法であって,前記複数の模型体をフィールド面上に自由走行可能に配置し,前記フィールド面の下方に配置された走行面上に,前記フィールド面を挟んで対応する模型体のそれぞれと磁力を介して結合するように複数の走行体を配置し,前記複数の走行体は,それぞれに搭載された駆動手段によって自走可能であり,前記複数の走行体のそれぞれに対し,所定時間間隔で設定された一連の走行目標位置の座標値を含む走行テーブルを設定し,前記複数の走行体のそれぞれについて,所定の制御周期で各走行体の現在位置の座標値を順次検出し,前記複数の走行体のそれぞれについて,検出された現在位置の座標値と対応する走行目標位置の座標値とに基づき各走行体の進むべき走行方向,速度を含む前記駆動手段を制御するための駆動量を順次演算し,これに基づき前記駆動手段を制御することにより,前記走行体のそれぞれが設定された走行テーブルに沿って走行することを特徴とする競争ゲーム装置の制御方法。
【請求項12】前記走行テーブルは所定のアルゴリズムに従ってレースの度毎に作成されることを特徴とする請求項11記載の競争ゲーム装置の制御方法。」(別紙2)特許請求の範囲(第1次訂正後のもの)【請求項1】ないし【請求項9】,【請求項11】,【請求項12】は,別紙1と同じである。【請求項10】につき,訂正部分を下線で示す。
「【請求項10】複数の模型体がフィールド上を順位を競って走行する競争ゲーム装置の制御方法であって,前記複数の模型体をフィールド面上に自由走行可能に配置し,前記フィールド面の下方に配置された走行面上に,前記フィールド面を挟んで対応する模型体のそれぞれと磁力を介して結合するように複数の走行体を配置し,前記複数の走行体は,それぞれに搭載された駆動手段によって自走可能であり,前記複数の走行体のそれぞれについて,所定時間間隔で設定された一連の走行目標位置の座標値を含む走行ラインをレースの度毎に設定し,前記複数の走行体のそれぞれについて,所定の制御周期で各走行体の現在位置の座標値を順次検出し,前記複数の走行体のそれぞれについて,検出された現在位置の座標値と対応する走行目標位置の座標値とに基づき各走行体の進むべき走行方向,速度を含む前記駆動手段を制御するための駆動量を順次演算し,これに基づき前記駆動手段を制御することにより,前記走行体のそれぞれが設定された走行ラインに沿って走行することを特徴とする競争ゲーム装置の制御方法。」(別紙3)特許請求の範囲(第2次訂正後のもの)第2次訂正前の【請求項1】ないし【請求項5】,【請求項7】ないし【請求項11】を削除し,訂正前の【請求項6】,【請求項12】をそれぞれ【請求項1】,【請求項2】とした上,下線を付した部分に訂正を加えたものである。なお,訂正前の【請求項6】,【請求項12】は,それぞれ【請求項5】,【請求項11】を引用しているので,新【請求項1】,【請求項2】は,被引用部分も加えた表現になっている。
「【請求項1】複数の模型体がフィールド上を順位を競って走行する競争ゲーム装置であって,前記複数の模型体が自由走行可能に配置されたフィールド面と,前記フィールド面の下方に配置された走行面と,前記フィールド面を挟んで対応する模型体のそれぞれと磁力を介して結合するように前記走行面上に配置され,それぞれに搭載された駆動手段によって自走可能に構成された複数の走行体と,前記複数の走行体のそれぞれについて,所定の制御周期で各走行体の現在時刻における位置の座標値を順次検出する手段と,前記複数の走行体のそれぞれに対し,前記所定の制御周期に対応して所定時間間隔で設定された,曲線を含む自由な走行ラインに沿った一連の走行目標位置の座標値を含む走行テーブルを設定する手段とを有し,前記複数の走行体のそれぞれについて,検出された現在時刻における位置の座標値と対応する次の時刻における走行目標位置の座標値とに基づき次の時刻までの間に各走行体の進むべき走行方向および速度を含む前記駆動手段を制御するための駆動量を前記制御周期毎に順次演算し,これに基づき前記駆動手段を制御することにより,前記走行体のそれぞれが設定された走行テーブルに格納された制御周期毎の前記位置座標値によって規定される前記走行ラインに沿って走行し,走行体に牽引される各模型体が順位を競って前記自由な走行ラインに沿って走行するように構成されてなり,前記走行テーブルは,少なくとも観客がベットした状況を要素として所定のアルゴリズムに従ってレースの度毎に作成されることを特徴とする競争ゲーム装置。
【請求項2】複数の模型体がフィールド上を順位を競って走行する競争ゲーム装置の制御方法であって,前記複数の模型体をフィールド面上に自由走行可能に配置し,前記フィールド面の下方に配置された走行面上に,前記フィールド面を挟んで対応する模型体のそれぞれと磁力を介して結合するように複数の走行体を配置し,前記複数の走行体は,それぞれに搭載された駆動手段によって自走可能であり,前記複数の走行体のそれぞれに対し,所定の制御周期に対応して所定時間間隔で設定された,曲線を含む自由な走行ラインに沿った一連の走行目標位置の座標値を含む走行テーブルを設定し,前記複数の走行体のそれぞれについて,前記所定の制御周期で各走行体の現在時刻における位置の座標値を順次検出し,前記複数の走行体のそれぞれについて,検出された現在時刻における位置の座標値と対応する次の時刻における走行目標位置の座標値とに基づき次の時刻までの間に各走行体の進むべき走行方向および速度を含む前記駆動手段を制御するための駆動量を前記制御周期毎に順次演算し,これに基づき前記駆動手段を制御することにより,前記走行体のそれぞれが設定された走行テーブルに格納された制御周期毎の前記位置座標値によって規定される前記走行ラインに沿って走行し,走行体に牽引される各模型体が順位を競って前記自由な走行ラインに沿って走行し,前記走行テーブルは,少なくとも観客がベットした状況を要素として所定のアルゴリズムに従ってレースの度毎に作成されることを特徴とする競争ゲーム装置の制御方法。」
裁判長裁判官 中野哲弘
裁判官 大鷹一郎
裁判官 長谷川浩二