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関連ワード 29条の2(拡大された先願の地位) /  設定登録 /  請求の範囲 /  減縮 /  変更 /  審決確定(審決が確定) /  取消決定 / 
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事件 平成 13年 (行ケ) 261号 特許取消決定取消請求事件
原告 富士機械製造株式会社
訴訟代理人弁理士 神戸典和
被告 特許庁長官及川耕造
指定代理人 箕輪安夫
同 鈴木久雄
同 大橋良三
同 大野克人
裁判所 東京高等裁判所
判決言渡日 2001/11/13
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
主文 特許庁が平成11年異議第73384号事件について平成13年5月8日にした決定を取り消す。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
全容
1 原告の請求 特許庁が平成11年異議第73384号事件について平成13年5月8日にした決定を取り消す。
訴訟費用は被告の負担とする。
2 原告の主張 (1) 特許庁における手続の経緯 原告は,発明の名称を「電子部品装着システム」とする特許第2866627号の発明(平成8年12月4日出願,平成10年12月18日設定登録)の特許権者である。
特許庁は,平成10年9月7日,上記発明のうち特許請求の範囲請求項1の発明に係る特許(以下,この特許を「本件特許」といい,その発明を「本件発明」という。)について特許異議の申立てを受け,平成11年異議第73384号事件として審理した結果,平成13年5月8日,「特許第2866627号「電子部品装着システム」の特許請求の範囲の第1番目に記載された発明に係る特許を取り消す。」との決定(以下「本件決定」という。)をし,平成13年5月26日,その謄本を原告に送達した。
(2) 本件決定の理由の要旨 本件決定の理由は,要するに,本件発明は,特許法29条の2に該当するので,特許を受けることができない,とするものである。
(3) 原告は,本訴係属中の平成13年8月9日,本件特許等の出願の願書に添付された明細書の訂正をすることについて審判を請求し,特許庁は,これを訂正2001-39131号事件として審理した結果,平成13年10月1日,上記訂正をすることを認める旨の審決(以下「本件訂正審決」という。)をし,これが確定した。
(4) 本件訂正審決による訂正の内容 (ア) 本件訂正審決による訂正前の特許請求の範囲(請求項1)は,次のとおりである。
垂直軸線まわりに間欠回転する間欠回転体を含む支持手段と, その支持手段により,前記垂直軸線を中心とする一円周上に前記間欠回転体の間欠回転角度と等しい角度間隔でかつ垂直な自身の中心線のまわりに回転可能に支持され,それぞれ下端部に電子部品を保持する部品保持部を備えた複数の部品保持ヘッドと, 前記間欠回転体の停止時における複数の部品保持ヘッドの停止位置の一つである部品供給位置に設けられて,各部品保持ヘッドに電子部品を供給する部品供給装置と, 前記複数の停止位置の別の一つである部品装着位置に設けられ,部品保持ヘッドにより電子部品を装着されるプリント基板を支持し,そのプリント基板の複数の電子部品装着予定箇所が前記部品装着位置に停止した部品保持ヘッドに対向する位置へプリント基板を移動させる基板位置決め装置と, 前記複数の停止位置のうちの,前記部品供給位置と部品装着位置との間の停止位置の一つである部品撮像位置に設けられて電子部品の像を撮像する撮像システムを備え,その撮像システムにより撮像された電子部品の像に基づいて部品保持ヘッドに保持された電子部品の保持位置誤差および保持方位誤差を検出する誤差検出手段と, 前記部品撮像位置と前記部品装着位置との間において前記部品保持ヘッドを回転させて前記誤差検出手段により検出された保持方位誤差を補正するヘッド回転装置と, 前記基板位置決め装置に,プリント基板を,予定の位置から,前記誤差検出手段により検出された保持位置誤差を打ち消すに必要な距離だけ必要な方向にずらして位置決めさせる保持位置誤差補正手段とを含むことを特徴とする電子部品装着システム。
(イ) 本件訂正審決による訂正後の特許請求の範囲請求項1は,次のとおりである(下線部が訂正された箇所である。)。
垂直軸線まわりに間欠回転する間欠回転体を含む支持手段と, その支持手段により,前記垂直軸線を中心とする一円周上に前記間欠回転体の間欠回転角度と等しい角度間隔でかつ垂直な自身の中心線のまわりに回転可能に支持され,それぞれ下端部に電子部品を保持する部品保持部を備えた複数の部品保持ヘッドと, 前記間欠回転体の停止時における複数の部品保持ヘッドの停止位置の一つである部品供給位置に設けられて,各部品保持ヘッドに電子部品を供給する部品供給装置と, 前記複数の停止位置の別の一つである部品装着位置に設けられ,部品保持ヘッドにより電子部品を装着されるプリント基板を支持し,そのプリント基板の複数の電子部品装着予定箇所が前記部品装着位置に停止した部品保持ヘッドに対向する位置へプリント基板を移動させる基板位置決め装置と, 前記複数の停止位置のうちの,前記部品供給位置と部品装着位置との間に位置 し,かつ ,部品装置位置 との 間に別の停止位置 を挾んだ 停止位置である部品撮像位置に設けられて電子部品の像を撮像する撮像システムを備え,その撮像システムにより撮像された電子部品の像に基づいて部品保持ヘッドに保持された電子部品の保持位置誤差および保持方位誤差を検出する誤差検出手段と, 前記間欠回転体の外周側 に設けられ ,前記部品撮像位置と前記部品装着位置との間において前記部品保持ヘッドを一つずつ 個別 に,連続的 に変更可能 な角度回転させて前記誤差検出手段により検出された保持方位誤差を補正するヘッド回転装置と, 前記基板位置決め装置に,プリント基板を,予定の位置から,前記誤差検出手段により検出された保持位置誤差を打ち消すに必要な距離だけ必要な方向にずらして位置決めさせる保持位置誤差補正手段と を含むことを特徴とする電子部品装着システム。
(5) 上記のとおり,本件特許については,特許法29条の2の規定に違反してなされた特許であることを理由に特許を取り消した決定の取消しを求める訴訟の係属中に,その目的に本件特許に係る特許請求の範囲減縮を含む訂正の審決が確定したので,決定は,結果として,判断の対象となるべき発明の要旨の認定を誤ったものとなり,この誤りが決定の結論に影響を及ぼすことは明らかである。したがって,決定は,取消しを免れない。
3 原告の主張に対する被告の認否 (1)ないし(4)は認める。
4 理由 原告の主張(1)ないし(4)は当事者間に争いがなく,同争いのない事実によれば,本訴請求は理由がある。そこで,これを認容し,訴訟費用の負担については,原告に負担させるのを相当と認め,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法62条を適用して,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 山下和明
裁判官 設樂隆一
裁判官 宍戸充