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関連審決 無効2001-35082
訂正2002-39024
関連ワード 進歩性(29条2項) /  容易に発明 /  発明の詳細な説明 /  加工 /  設定登録 /  訂正審判 /  請求の範囲 /  減縮 /  変更 / 
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事件 平成 14年 (行ケ) 53号 審決取消請求事件
原告 三菱電機株式会社
訴訟代理人弁理士 樋口武尚
同 稲葉忠彦
被告 株式会社ソディック
訴訟代理人弁護士 小坂 志磨夫
同 安田有三
同 櫻井彰人
同 弁理士 高野昌俊
裁判所 東京高等裁判所
判決言渡日 2002/05/27
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
主文 特許庁が無効2001−35082号事件について平成14年1月7日にした審決を取り消す。
訴訟費用は被告の負担とする。
事実及び理由
当事者の求めた裁判
1 原告 主文と同旨 2 被告 原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
当事者間に争いのない事実
1 特許庁における手続の経緯 (1) 原告は、名称を「放電加工装置」とする特許第1120049号発明(昭和48年3月22日特許出願、昭和57年10月28日設定登録、以下「本件発明」といい、その特許を「本件特許」という。)の特許権者である。
被告は、平成13年2月26日、本件特許につき無効審判の請求をした。
特許庁は、同請求を、無効2001-35082号事件として審理した上、平成14年1月7日、「特許第1120049号の特許請求の範囲の第1項及び第2項に記載された発明についての特許を無効とする。」との審決(以下「本件無効審決」という。)をし、その謄本は同月18日原告に送達された。
(2) 原告は、本件無効審決の取消しを求める本訴提起後の平成14年1月29日、本件明細書の特許請求の範囲及び発明の詳細な説明の各記載を訂正する旨の訂正審判の請求をしたところ、特許庁は、同請求を訂正2002-39024号事件として審理した上、同年4月5日、上記訂正を認める旨の審決(以下「本件訂正審決」といい、本件訂正審決に係る訂正を「本件訂正」という。)をし、その謄本は同月17日原告に送達された。
2 特許請求の範囲の記載 (1) 本件訂正前の特許請求の範囲の記載 1 トランジスタ等のスイッチング素子を複数個用いて、制御された放電電流波形パルスを発生させることにより放電加工を行なう装置において、複数個の出力を順次時間的にずらして時間とともに変化させる制御回路、夫々電極に直列に接続されると共に互いに並列接続され上記制御回路からの夫々対応した出力によって開閉が制御される複数個のスイッチング素子を用いた抵抗要素のみからなるスイッチング回路、このスイッチング回路によって発生した電流が直接流れる上記電極間に形成された加工間隙、及び上記複数個のスイッチング素子に直列接続された、該複数個のスイッチング素子に共通の電源を設けたことを特徴とする放電加工装置。
2 制御回路は複数個のスイッチング素子の開閉制御条件を変更設定できる装置を有し、この装置によって放電電流波形パルスを矩形波以外に任意に設定できるようにしたことを特徴とする特許請求の範囲第1項に記載の放電加工装置。
(2) 本件訂正によって訂正された特許請求の範囲の記載(注、訂正部分を下線で示す。) 1 トランジスタ等のスイッチング素子を複数個用いて、制御された放電電流波形パルスを発生させることにより放電加工を行なう装置において、複数個の出力を順次時間的にずらして時間とともに変化させ、
時間的 にずらした 時点 の出力 の数を設定変更 することで 、同時 に導通 させる スイッチング 素子 の数を変化 させる 制御回路、夫々電極に直列に接続されると共に互いに並列接続され上記制御回路からの夫々対応した出力によって開閉が制御される複数個のスイッチング素子を用いた抵抗要素のみからなるスイッチング回路、このスイッチング回路によって発生した電流が直接流れる上記電極間に形成された加工間隙、及び上記複数個のスイッチング素子に直列接続された、該複数個のスイッチング素子に共通の電源を設けたことを特徴とする放電加工装置。
2 制御回路は複数個のスイッチング素子の開閉制御条件を変更設定できる装置を有し、この装置によって放電電流波形パルスを矩形波以外に任意に設定できるようにしたことを特徴とする特許請求の範囲第1項に記載の放電加工装置。
3 本件無効審決の理由 本件無効審決は、本件発明の要旨を本件訂正前の特許請求の範囲の記載のとおり認定した上、本件発明は、ドイツ特許公開第2028489号明細書(昭和46年7月1日特許庁資料館受入れ)及び昭和47年11月15日株式会社養賢堂発行の「放電加工の理論と技術」記載の各発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定に違反して特許されたものであり、無効とされるべきものとした。
当事者の主張
1 原告 本件無効審決が、本件発明の要旨を本件訂正前の特許請求の範囲の記載のとおり認定した点は、本件訂正審決の確定により特許請求の範囲の記載が上記のとおり訂正されたため、誤りに帰したことになる。そして、この瑕疵は本件無効審決の結論に影響を及ぼすものであるから、本件無効審決は違法として取り消されるべきである。
2 被告 本件訂正審決の確定により特許請求の範囲の記載が上記のとおり訂正されたことは認める。
当裁判所の判断
本件訂正審決の確定により、特許請求の範囲の記載が上記のとおり訂正されたことは当事者間に争いがなく、この訂正によって特許請求の範囲減縮されたことは明らかである。
そうすると、本件無効審決が、本件発明の要旨を本件訂正前の特許請求の範囲のとおりであると認定したことは、結果的に誤りであったことに帰する。そして、これが本件無効審決の結論に影響を及ぼすことは明らかであるから、本件無効審決は、瑕疵があるものとして取消しを免れない。
よって、原告の請求は理由があるから認容し、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条、民事訴訟法61条を適用して、主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 篠原勝美
裁判官 長沢幸男
裁判官 宮坂昌利