関連審決 | 審判1999-39003 |
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関連ワード | 物の発明 / 製造方法 / 技術的範囲 / 技術常識 / 発明の詳細な説明 / 出願経過 / 参酌 / 特許発明 / 実施 / 構成要件 / 差止請求(差止) / 侵害 / 拒絶理由通知 / 請求の範囲 / 変更 / 訂正明細書 / |
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事件 |
平成
13年
(ワ)
4063号
特許権侵害差止請求事件
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原告A 訴訟代理人弁護士 伊神喜弘 同 柳瀬陽子 補佐人弁理士 樋口武尚 被告 サンク株式会社 訴訟代理人弁護士 秋吉稔弘 補佐人弁理士 瀧野秀雄 同 松村貞男 |
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裁判所 | 大阪地方裁判所 |
判決言渡日 | 2002/06/20 |
権利種別 | 特許権 |
訴訟類型 | 民事訴訟 |
主文 |
1 被告は、別紙イ号物件目録記載の物件を製造し、譲渡し、譲渡のために展示してはならない。 2 原告のその余の請求を棄却する。 3 訴訟費用は被告の負担とする。 4 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。 |
事実及び理由 | |
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請求
被告は、別紙イ号物件目録記載の物件を製造し、使用し、譲渡し、貸し渡し、譲渡又は貸渡しのために展示してはならない。 |
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事案の概要
本件は、「ズボン等のウエスト伸縮構造」の特許発明の特許権者である原告が、被告が製造、販売しているズボンが上記特許発明の技術的範囲に属すると主張して、被告に対し、特許権に基づく製造等の差止めを請求した事件である。 1 争いのない事実等(末尾に証拠の掲記のない事実は当事者間に争いがない。) (1) 本件特許権 ア 原告は、次の特許権(以下「本件特許権」といい、その特許請求の範囲請求項1記載の発明を「本件発明」という。)を有している。 特許番号 第2578079号 発明の名称 ズボン等のウエスト伸縮構造 出 願 日 平成6年10月12日(特願平6-246201号) 公 開 日 平成8年5月7日(特開平8-113805号) 登 録 日 平成8年11月7日 イ 本件発明の特許登録時の特許請求の範囲請求項1は次のとおりであった(特許登録時の特許請求の範囲が記載された別紙特許公報(甲3)を以下「本件公報」という。)。 「【請求項1】 ウエスト部分にポケットを備えたズボン等のウエスト伸縮構造であって、 一端が前記ポケットの上側の布地におけるポケットの入口部分から延出する部位に連結され、他端がポケットの下側の布地に連結された弾性材を備え、 この弾性材と前記上側の布地におけるポケットの入口部分から延出する部位との少なくとも表側を、前記下側の布地によって被覆したことを特徴とするズボン等のウエスト伸縮構造。」 ウ 原告は、平成11年1月12日、本件特許出願の願書に添付した明細書の特許請求の範囲及び発明の詳細な説明を別紙訂正明細書(乙8、以下「訂正明細書」という。)のとおり訂正するよう求める審判(平成11年審判第39003号)を請求したところ、特許庁は、平成11年8月19日付けで、「本件審判の請求は、成り立たない。」とする審決をした。原告は、上記審決を不服として、同年10月30日、東京高等裁判所に審決取消訴訟(東京高等裁判所平成11年(行ケ)第349号)を提起したところ、東京高等裁判所は、平成12年11月20日、上記審決を取り消す旨の判決をし、特許庁は、同年12月27日、「特許第2578079号に係る明細書及び図面を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び図面のとおり訂正することを認める。」とする審決をし、この審決は、平成13年2月22日確定した(甲4〜6、弁論の全趣旨、以下、この訂正を「本件訂正」という。)。 本件訂正により訂正された特許請求の範囲請求項1の記載は、下記のとおりである(下線部分が訂正箇所)。 「【請求項1】 ウエスト部分にポケットを備えたズボン等のウエスト伸縮構造であって、 一端が前記ポケットの上側の布地におけるポケットの入口部分から延出する部位に連結され、他端がポケットの下側の布地に連結された弾性材及び前記弾性材の最大伸びを抑制する伸び止め材 を備え、 前記弾性材及び前記伸び止め材 と前記上側の布地におけるポケットの入口部分から延出する部位との少なくとも表側を、前記下側の布地によって被覆したことを特徴とするズボン等のウエスト伸縮構造。」 (2) 本件発明は、次の構成要件に分説することができる。 A ウエスト部分にポケットを備えたズボン等のウエスト伸縮構造であって、 B 一端が前記ポケットの上側の布地におけるポケットの入口部分から延出する部位に連結され、他端がポケットの下側の布地に連結された弾性材及び前記弾性材の最大伸びを抑制する伸び止め材を備え、 C 前記弾性材及び前記伸び止め材と前記上側の布地におけるポケットの入口部分から延出部位との少なくとも表側を、前記下側の布地によって被覆した D ことを特徴とするズボン等のウエスト伸縮構造。 (3) 被告は、別紙イ号物件目録記載のズボン(以下「イ号物件」という。)を製造販売し、その所有にかかるイ号物件を占有している。 イ号物件は、本件発明の構成要件A及びDを充足する。 2 争点-イ号物件は、本件発明の技術的範囲に属するか。 (1) 構成要件B及びCにいう「ポケットの上側の布地」「ポケットの下側の布地」の意義 (2) 構成要件B、C充足性 |
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争点に関する当事者の主張
1 争点(1)(構成要件B及びCにいう「ポケットの上側の布地」「ポケットの下側の布地」の意義)について 【原告の主張】 訂正明細書の発明の詳細な説明【0033】には、各実施例のまとめとして、@「上側の布地12の上端部にウエスト部20を構成する上側のウエスト布地12aを縫い着けて、全体として『ポケット10の上側の布地』を構成する上側の布地12とし」、A「下側の布地11の上端部にウエスト部20を構成する下側のウエスト布地11aを縫い着けて、全体として『ポケット10の下側の布地』を構成した」との記載がある。すなわち、訂正明細書には、本件発明の「ポケット10の上側の布地」は、上側の布地自体、及び上側の布地にウエスト部を構成する上側のウエスト布地12aを縫い着けたものを含むことが記載され、同様に、「ポケット10の下側の布地」は、下側の布地11自体、及び下側の布地11にウエスト部20を構成する下側のウエスト布地11aを縫い着けたものを含むことが記載されている。このように、本件発明においては、ポケットを構成する布地の位置関係によって、ポケットの「上側」及び「下側」が定義されている。 【被告の主張】 ア 本件特許出願当時、ポケット部分でウエストが伸縮する構造のズボンは公知であり、本件特許出願に対しては、特許庁審査官から、@実公昭45-13064号公報(乙2)、A実願昭50-87170号(実開昭52-3820号)のマイクロフィルム(乙3)、B実願昭47-74276号(実開昭49-32819号)のマイクロフィルム(乙4)を引用例として、拒絶理由通知が発せられた。これに対し、原告は、平成8年4月9日付け意見書(乙6)により、請求項1の発明の特筆すべき点は、ポケットの上側の布地の入口部分から延出する部位に弾性材が連結されている点にあり、これにより、弾性材や連結部分を下側の布地により簡単かつ確実に被覆し、ウエスト部の伸びによって上側の布地に連結された弾性材や連結部分が露呈して美感を損なうことを防止するという顕著な効果が得られると主張するとともに、同日付け手続補正書(乙7)において、伸縮するウエスト部の弾性材を被覆する構造について、本件公報(甲3、乙1)の2頁左欄45行〜右欄29行のとおり補正を行い、特許登録後に審判により明細書及び図面の訂正をした(本件訂正)。このような出願経過からすると、本件発明の特徴は、伸縮するウエスト部分の弾性材を露呈しないように被覆する構造そのものにあることが明らかである。 イ そこで、本件発明における弾性材の被覆構造について検討する。構成要件C及び訂正明細書6頁27行〜7頁21行の記載によれば、本件発明において弾性材を被覆する部材は、「下側の布地」又は「下側のウエスト布地」であって、それ以外の部材を被覆部材とすることは開示されていない。「下側の布地」とは、図面符号によれば、「下側の布地11」のことであり、一般的には、ズボンの後身頃と称する布地であり、この「下側の布地11」で被覆するためには、本件公報の図2に示すように、下側の布地の上端の長さを弾性材を被覆する長さにしなければ、 「少なくとも表側」だけでも被覆することができない。また、「下側のウエスト布地」とは、図面符号によれば、「下側のウエスト布地11a」のことであり、ズボンの後身頃の上方延長の「折り返し部分」のことである。 上記実施例の記載をも参酌すると、「請求項1」における弾性材を被覆する部分は、「下側の布地」又は「下側のウエスト布地」であり、該布地とは、一般的にいうズボン本体の後身頃、又は後身頃の上方延長の折り返し部分であるから、 「本件発明における弾性材の被覆技術は、ズボン本体の後身頃によって行うという技術思想」であると認められる。 そうすると、「上側の布地」とは、一般的にはズボンの前身頃と称する布地であり、「下側の布地」とは、一般的にはズボンの後身頃又はポケットの向う布と称する布地を意味することが明らかである。 2 争点(2)(構成要件B、C充足性)について 【原告の主張】 (1) 構成要件B充足性 イ号物件の構成b)(別紙イ号物件目録の「3.構造の説明」記載のものをいう。以下同様。)にいう「一端が…可動ウエストベルト10の後端に縫着され、他端が…固定ウエストベルト20に縫着された弾性材9及び伸び止め材11」は、本件発明の構成要件Bに相当し、両者間に差異は存在しない。 ア イ号物件の「左前身頃1及び右前身頃1’」は、後端部がポケット入口6の上側を形成しているから、本件発明の構成要件Bにいう「ポケットの上側の布地」に当たる。また、イ号物件の「可動ウエストベルト10」は、ポケット入口6の上側を構成する左前身頃1及び右前身頃1’の上端を構成する前身頃の上端部12aに縫着され、ポケットの上側に位置する部分を形成するから、本件発明の構成要件Bにいう「ポケットの上側の布地」に当たる。 イ イ号物件の「左後身頃2及び右後身頃2’」は、前身頃との縫着部分16のポケット下端18よりも上部がポケットの向う布17に縫着され、ポケットの下側を形成しているから、本件発明の構成要件Bにいう「ポケットの下側の布地」に当たる。また、イ号物件の「固定ウエストベルト20」は、ポケット下端18よりも上部でポケットの向う布17に縫着された後身頃の上端部12bに縫着され、 ポケットの下側を形成しているから、本件発明の構成要件Bにいう「ポケットの下側の布地」に当たる。 ウ イ号物件の「可動ウエストベルト10の後端部分4」は、別紙イ号物件目録第12図に示すように、無縫着部分にすることにより、ポケットの上側の布地であるポケット入口6側から延出させる部位であり、本件発明の構成要件Bにいう「ポケットの入口部分から延出する部位」に相当する。 エ イ号物件の「弾性材9及び伸び止め材11(伸縮部材A)」は、弾性材9がゴム材からなり、また、弾性材9の最大伸びを制限する伸び止め材11が伸縮しない布テープからなり、その布テープからなる伸び止め材11が、第10図及び第11図に示すように、所望のゆとりをもって前記弾性材9に並設されているから、本件発明の構成要件Bにいう「弾性材及び前記弾性材の最大伸びを抑制する伸び止め材」に相当する。 オ そうすると、イ号物件の構成b)は、一端がポケットの上側の布地(左前身頃1及び右前身頃1’)のポケット入口6部分から延出する延出部(可動ウエストベルトの後端部分4)に連結され、他端が下側の布地(左後身頃2及び右後身頃2’)に連結された弾性材9及び伸び止め材11を備えていることになる。 (2) 構成要件C充足性 イ号物件の構成c)は、本件発明の構成要件Cに相当し、両者間に差異は存在しない。 ア イ号物件の構成c)の「伸縮部材A」は、「弾性材9及び伸び止め材11」であるから構成要件Cの「弾性材及び伸び止め材」に相当し、「可動ウエストベルト10の端末」は、「可動ウエストベルトの後端部分4」であり、構成要件Cの「ポケットの入口部分から延出する部位」に相当する。 イ イ号物件の構成c)の「伸縮部材A、及び可動ウエストベルト10の端末を、固定ウエストベルト20とインサイドベルト30、及び布片7とによって形成したトンネル部8内に予め位置させた左半身用ウエストベルトB」(及び同様に構成された右半身用ウエストベルトC)は、意匠面から見た左半身用ウエストベルトB(右半身用ウエストベルトC)の固定ウエストベルト20が、後身頃(左後身頃2及び右後身頃2’)の上端部12bに縫着されているから、「左後身頃2及び右後身頃2’」と共に構成要件Cの「ポケットの下側の布地」である。 ウ したがって、イ号物件の構成c)の「伸縮部材A、及び可動ウエストベルト10の端末を、固定ウエストベルト20とインサイドベルト30によって形成したトンネル部8内に位置させた左半身用ウエストベルトB」(及び同様に構成された右半身用ウエストベルトC)は、少なくとも、固定ウエストベルト20が構成要件Cの「ポケットの下側の布地」となり、構成要件Cの「下側の布地によって被覆したこと」に相当する。 エ してみれば、イ号物件の構成c)は、弾性材9及び伸び止め材11(伸縮部材A)と上側の布地(ウエストベルト10)におけるポケットの入口部分から延出する部位(可動ウエストベルト10の後端部分4)との少なくとも表側を下側の布地(固定ウエストベルト20)によって被覆したものである。本件発明の構成要件Cとの間に差異はない。 (3) 被告は、イ号物件の製造工程を挙げ、イ号物件にあっては、「本件発明の構成要件である弾性材を後身頃又は後身頃の上方延長折り返し部分で被覆するという構造を具備していない。」と主張する。しかし、仮に被告製品の製造方法が被告の主張どおりであったとしても、本件発明は「物の発明」であり、製造方法の違いは権利侵害に対する抗弁とはならない。 【被告の主張】 (1) イ号物件の製造工程は、次のとおりである。 @ まず、ウエストベルトを構成する部品であるインサイドベルト30、弾性材9を縫着した可動ウエストベルト10、固定ウエストベルト20の三部品と、 ズボン本体Dとを用意する(別紙被告製造工程図第1図)。 A インサイドベルト30、可動ウエストベルト10と固定ウエストベルト20の三部品を別紙被告製造工程図第2図のとおり縫着してウエストベルト部分を製造する。 B このようにして製造されたウエストベルトをズボン本体Dの身頃上端に縫着して、ズボン本体とウエストベルトとを一体化してウエスト伸縮構造を備えたズボンを製造する。 以上のとおり、イ号物件は、本件発明の構成要件である弾性材を後身頃又は後身頃の上方延長折り返し部分で被覆する構造を具備していない。 (2) イ号物件のポケット部上部にある伸縮部分は、前身頃及び後身頃とから構成されるズボン本体Dとは別体に構成された「一端を可動ウエストベルト10の後端に縫着し、他端を固定ウエストベルト20に縫着した弾性材9、及び伸び止め材11から成る伸縮部材Aを、固定ウエストベルト20とインサイドベルト30、及び布片7とによって形成したトンネル部8内に位置させた」ものであり、伸縮部材である弾性材9は、トンネル部8内にあり、弾性材9が伸長してもトンネル部8から弾性材9が突出しないように伸び止め材11も弾性材9と一緒にトンネル部8内に位置しているので、弾性材9がトンネル部8から突出することがない。このように、イ号物件においては、弾性材は、前身頃と後身頃から構成されるズボンとは別体に構成された「固定ウエストベルト20とインサイドベルト30、及び布片7とによって形成されたトンネル部8」によって被覆されており、弾性材を被覆する布地は、ポケットの「下側の布地」(ズボンの後身頃又はポケットの向う布)又は上側の布地(ズボンの前身頃)とは全く異なるものである。 よって、イ号物件は、本件発明の構成要件B及びCを欠如している。 |
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争点に対する判断
1 争点(1)(構成要件B及びCにいう「ポケットの上側の布地」「ポケットの下側の布地」の意義)について (1) 訂正明細書の特許請求の範囲及び発明の詳細な説明の記載に基づき、本件発明の構成要件B及びCにいう「ポケットの上側の布地」及び「ポケットの下側の布地」の意義について検討する。 ア 訂正明細書の特許請求の範囲【請求項1】には、「一端が前記ポケットの上側の布地におけるポケットの入口部分から延出する部位に連結され、他端がポケットの下側の布地に連結された弾性材及び前記弾性材の最大伸びを抑制する伸び止め材を備え、」「前記弾性材及び前記伸び止め材と前記上側の布地におけるポケットの入口部分から延出する部位との少なくとも表側を、前記下側の布地によって被覆したことを特徴とするズボン等のウエスト伸縮構造。」との記載があるが、 「ポケットの上側の布地」、「ポケットの下側の布地」の意味を明らかにした記載はない。 「ポケット」とは、一般に「洋服につけた小さな物入れの袋」(広辞苑〔第5版〕)、「衣服における物入れ」(JISハンドブック繊維L0112 1401)を意味する語であるが、「ポケットの上側の布地」及び「ポケットの下側の布地」という語は、ズボン等を構成する部品の名称としても、洋服の製造工程を表す語としても、当業者間における技術常識として一般的に使用される語ではなく(弁論の全趣旨)、その意義については、明細書の発明の詳細な説明の記載及び図面を参酌して解釈せざるを得ない。 イ 上記「ポケットの上側の布地」、「ポケットの下側の布地」に関連して、訂正明細書の発明の詳細な説明の項には、次の記載がある。 (ア) 【従来の技術】の項に、「従来より、…ズボン等のウエスト部の横側、或は後ろ側やウエスト部全周を、ゴム等の弾性材により形成し、この弾性材によってウエスト部を伸縮させることができるようにしたウエスト伸縮構造があった。」(【0004】)との記載がある。 (イ) 【発明が解決しようとする課題】の項に、「従来のズボン等のウエスト伸縮構造にあっては、着用者のウエストの寸法に応じてズボン等のウエスト部を伸縮させることができ、着用に際して快適性を十分に確保することができるものの、ウエスト部の横側等に備えられた弾性材が露呈して見栄えが悪く、また、弾性材が縮んだ状態では、弾性材の下側の布地にシワが生じて美感を損ね、デザイン的に良好なものではなかった。」(【0005】)、「本各発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、着用者のウエストの寸法に応じてウエスト部を伸縮させることができるばかりでなく、デザイン的にも良好なズボン等のウエスト伸縮構造を、簡単な構造によって提供することである。」(【0006】)との各記載がある。 (ウ) 【発明の作用】の項に、「ウエスト部20の伸縮は、ポケット10部分においてなされるため、ウエスト部20が伸縮しても、ポケット10の深さが変更されるだけであり、布地自体にシワが生じることはなく、美感を何等損なうことがない。」(【0012】)、「ウエスト部20の伸縮がポケット10部分においてなされることから、例えば腹部が突出した体形の者等が着用した場合、この腹部の形状に倣ったウエスト部20の伸縮によってポケット10の深さが変化することになるため、ズボン等の前側や後ろ側のデザインが崩れることはなく、この理由からも美感に優れることになる。」(【0013】)、「請求項1の発明に係るズボン等のウエスト伸縮構造においては、例えば図3(a)、(b)に示すように、 弾性材32とこの弾性材32の一端が連結された上側の布地12におけるポケット10の入口部分10bから延出する部位12bとの少なくとも表側が、下側の布地11によって被覆されているため、弾性材32等が露呈することはなく、見栄えが良くなる。」(【0016】)との各記載がある。 (エ) 【実施例】の項に、 a 「図2に示すように、ポケット10の下側の布地を構成する下側の布地11とポケット10の上側の布地を構成する上側の布地12とには、袋状のポケット布地10aが縫い着けられている。」(【0024】)、 b 「下側の布地11の上端部には、ポケット10部分より後ろ側のウエスト部20を構成する下側のウエスト布地11aが縫い着けられており、上側の布地12の上端部には、ポケット10部分より前側のウエスト部20を構成する上側のウエスト布地12aが縫い着けられている。ここで、上側のウエスト布地12aは、ポケット10の入口部分10bから延出する部位12bを有するものとなっている。そして、上側のウエスト布地12aにおける前述した延出する部位12bには、ゴムにより形成された弾性材32の一端が連結されており、下側のウエスト布地11aには、弾性材32の他端が連結されている。」(【0025】)、 c 「本実施例においては、下側のウエスト布地11aが、弾性材32と上側のウエスト布地12aにおけるポケット10の入口部分10bから延出する部位12bとの表裏を被覆するように折曲られており、弾性材32と上側のウエスト布地12aにおけるポケット10の入口部分10bから延出する部位12bとの各々の表面が露呈せず、美感に優れたものとなっている。」(【0026】)、 d 「このように構成されたウエスト伸縮構造は、図3(a)、(b)に示すように、上側のウエスト布地12aの延出する部位12bにおける弾性材32の一端が連結された部位と、下側のウエスト布地11aにおける弾性材32の他端が連結された部位との間のウエスト部20が伸縮する。」(【0027】)、 e 「本各実施例においては、上側の布地12の上端部にウエスト部20を構成する上側のウエスト布地12aを縫い着けて、全体としてポケット10の上側の布地を構成する上側の布地12とし、下側の布地11の上端部にウエスト部20を構成する下側のウエスト布地11aを縫い着けて、全体としてポケット10の下側の布地を構成する下側の布地11とした例を示したが、ウエスト部20を含む上側の布地12または下側の布地11を、適宜一枚の布地から形成してもよい。」(【0033】) との各記載がある。 (オ) 【発明の効果】の項に、「以上説明したように、まず、請求項1の発明に係るズボン等のウエスト伸縮構造は、ポケットの入口部分より後ろ側に弾性材を備え、この弾性材の少なくとも表側を下側の布地によって被覆したものであり、ウエスト部の伸縮が弾性材によってポケット部分においてなされるようにし、 しかも、弾性材が露呈しないようにしたものである。」(【0042】)との記載がある。 (カ) 本件公報の【図2】には、本件発明に係るズボン等のウエスト伸縮構造の一実施例を示す分解斜視図として、ポケットの脇布(向う布)に相当する部分(11の符号が付された部分)をズボンの後身頃と縫い合わせた布地の全体を前身頃及び後身頃の上端部よりも更に上側に延伸させた部分(11aの符号が付された部分)が、ウエスト布地(12aの符号が付された部分)のうちポケット入口(10b)の上端部と接する箇所よりも後方の部分(12bの符号が付された部分)及びその後方に縫着された弾性材(32)の表側を被覆している図が示されており、訂正明細書の【符号の説明】には、「10 ポケット」、「10a ポケット布地」、「10b 入口部分」、「11 下側の布地」、「11a 下側のウエスト布地」「12 上側の布地」、「12a 上側のウエスト布地」、「12b 延出する部位」「32 弾性材(第二の弾性材)」との記載がある。 ウ 上記ア、イによれば、本件発明は、従来の弾性材を用いたズボン等のウエスト伸縮構造については、弾性材がウエスト部から露呈したり、弾性材が縮んだ状態において、弾性材の下側に位置するズボン本体(身頃)の布地にシワが生じたりして美感を損ねるという問題点があることから、その課題を解決する手段として、 @ 弾性材と共に弾性材の最大伸びを抑制する伸び止め材を設ける(構成要件B)ことにより、弾性材がウエスト部の伸縮可能範囲以上に延伸することを防止し、 A 弾性材及び伸び止め材の一端を「ポケットの上側の布地」のうちポケットの入口部分から延出する部位(以下「延出部」という。)に連結し、他端を「ポケットの下側の布地」に連結する(構成要件B)ことにより、ズボンのウエスト部が延伸するに従ってウエスト部分のポケット(脇ポケット)の深さを変える、 すなわち、ポケット入口部分の位置、傾斜を変えることによって「ポケットの上側の布地」と「ポケットの下側の布地」が重なり合う範囲を次第に狭める(ポケット入口後ろの「ポケットの下側の布地」の部分が広く現われる)こととし、もって、 ポケット部のみにおいてウエスト部の変化を調整し、ズボン等の本体の布地に影響を及ぼさないこととし、 B 弾性材、伸び止め材及び延出部の少なくとも表側を「ポケットの下側の布地」によって被覆する(構成要件C)ことにより、弾性材、伸び止め材及び延出部がズボン表面に露呈することを防止する ことを目的とした発明といえる。 そうすると、ズボン等を構成する布地のうち、いかなる部分が本件発明にいう「ポケットの上側の布地」であり、いかなる部分が「ポケットの下側の布地」であるかは、ウエスト部の延伸をポケットの深さを変えることにより調整するという目的を達成するためには、弾性材及び伸び止め材の一端をどの部分に連結し、他端をどの部分に連結すればよいかという見地から決せられるべきである。 エ そして、「ポケット」は、一般に、一枚のポケット布地を中央で折り曲げて二枚にし袋状に縫い合わせて製作されるから、結局、構成要件Bのうち、弾性材及び伸び止め材の一端を「ポケットの上側の布地」の延出部に連結し、他端を「ポケットの下側の布地」に連結するとの構成は、弾性材の伸びに従って、ポケットを構成する中央で折り曲げられた外側(表側)と内側(肌側)の二枚のポケット布地が互いに重なり合う範囲を変えるための手段ということができる。訂正明細書において、本件発明にいう「ポケットの上側の布地」「ポケットの下側の布地」が、ポケットを構成する二枚のポケット布地との関係でいかなる意味を持つか示されているのは、本件公報・図2に示された実施例及びその説明に係る次の記載のみであり、この語の解釈に当たっては、これらの記載を参酌するのが相当である。 (ア) 本件公報・図2に示された実施例では、袋状のポケット布地10aを構成する二枚のポケット布地のうち、完成したズボン等の表側(外側)に位置するポケット布地(以下「外側のポケット布地」という。)が、ポケット入口において「ポケット10の上側の布地を構成する上側の布地12」に縫着され、内側(肌側)に位置するポケット布地(以下「内側のポケット布地」という。)が、「ポケット10の下側の布地を構成する下側の布地11」に縫着されている(訂正明細書【0024】)。そうすると、本件発明において、袋状のポケット布地を構成する二枚のポケット布地のどちらが「ポケットの上側」であり、どちらが「ポケットの下側」であるかについては、専ら完成品のズボンにおいて外側と内側のどちらに位置するかという位置関係を基準として決せられ、完成品のズボンにおいて外側に来るものを「ポケットの上側」、内側に来るものを「ポケットの下側」と称しているものと解される。 (イ) また、本件公報・図2に示された実施例では、前身頃に当たる「上側の布地12」の上端部にウエストベルトに当たる「上側のウエスト布地12a」を縫着したものも、「ポケットの上側の布地」に含まれるとされており、ポケットの脇布(向う布)に当たる「下側の布地11」の後方に後身頃を縫着した布地全体の上端部にウエストベルトに当たる「下側のウエスト布地11a」を縫着したものも「ポケットの下側の布地」に含まれるとされている(訂正明細書【0025】【0033】)。加えて、訂正明細書には、ズボン等の衣服を構成する部材の一般的な名称である「前身頃」「後身頃」等の用語が全く記載されていないことを考慮すると、本件発明にいう「ポケットの上側の布地」、「ポケットの下側の布地」とは、「前身頃」、「後身頃」のような衣服の構成部材を表す名称とは異なる概念であり、衣服の構成部材を基準とすると、複数の部材にまたがるものでも、ある部材の一部でもよいと解するのが相当である。 オ 以上によれば、本件発明にいう「ポケットの上側の布地」、「ポケットの下側の布地」は、完成したズボン等を基準とした場合におけるポケット布地の位置関係を基準として決せられる概念であり、具体的には、次のものをいうと解すべきである。 (ア) 「ポケットの上側の布地」は、「外側のポケット布地」そのもののほか、外側のポケット布地とポケット入口で縫着された前身頃布地及びこれらの布地の上端に縫着されたウエストベルトのように、ポケット下端よりも上側(頭側)で「外側のポケット布地」と一体化され、かつ、「内側のポケット布地」と直接連結されていない布地をいう。 (イ) 「ポケットの下側の布地」は、「内側のポケット布地」そのもののほか、内側のポケット布地の表面に縫製された脇布、内側のポケット布地に脇布を重ねたものの後側に連結された後身頃及び、内側のポケット布地(脇布を含む)と前記後身頃を合わせた布地の上端に縫着されたウエストベルトのように、ポケット下端よりも上側(頭側)において「内側のポケット布地」と一体化され、かつ、 「外側のポケット布地」とは直接連結されていない布地をいう。 (ウ) 「ポケットの上側の布地」と「ポケットの下側の布地」の外延は、 前記(ア)、(イ)で規定した部分のうち、弾性材及び伸び止め材の一端を前者に連結し、他端を後者に連結することによって、弾性材の延伸に従って二枚のポケット布地が重なり合う範囲を狭め、もってポケット入口の傾斜を拡大することを可能とすることに寄与する範囲に限定される。 (2) 被告は、「上側の布地」とは、一般的にはズボンの前身頃と称する布地をいい、「下側の布地」とは、一般的にはズボンの後身頃又はポケットの向う布と称する布地を意味すると主張する。 しかしながら、前記(1)のとおり、訂正明細書には、ズボン等の衣服を構成する各部材の名称である「前身頃」「後身頃」等の用語が全く使用されていないこと、訂正明細書中の記載の中で「ポケットの上側の布地」「ポケットの下側の布地」とされた布地は、ズボン等を構成する部材としては複数の部材にまたがっており、しかも、特定の部材の全体を含むものとしては表現されていないことを考慮すると、本件発明にいう「ポケットの上側の布地」「ポケットの下側の布地」とは、 ズボン等を構成する各部材の名称である「前身頃」「後身頃」等の用語とは異なる概念であると解するのが相当であり、「上側」「下側」がズボン等を構成する部材により決せられるという被告の上記主張は、採用することができない。 2 争点(2)(構成要件B、C充足性)について (1) イ号物件の構成b)によれば、イ号物件の弾性材9及び伸び止め材11は、一端が可動ウエストベルト10の後端部分4に縫着され、他端が固定ウエストベルト20に縫着されていることが認められる(イ号物件目録第10図)。また、 イ号物件の構成c)によれば、イ号物件の伸縮部材A(弾性材9・伸び止め材11)、及び可動ウエストベルト10の端末は、固定ウエストベルト20とインサイドベルト30、及び布片7とによって形成したトンネル部8の中に予め位置している。ズボンの表面から見ると、伸縮部材A及び可動ウエストベルト10の端末は、 その表側が固定ウエストベルト20によって被覆されているといえる(第11図〜第13図)。 そこで、可動ウエストベルト10が本件発明の構成要件B、Cにいう「ポケットの上側の布地」に含まれるか、また、固定ウエストベルト20が本件発明の構成要件B、Cにいう「ポケットの下側の布地」に含まれるかについて以下検討する。 ア 可動ウエストベルト10について、ポケットを構成する二枚のポケット布地である「外側のポケット布地」及び「内側のポケット布地」を基準とした位置関係を検討すると、次のとおりである。 (ア) 可動ウエストベルト10は、ポケット入口6よりも前方に位置する部分が左前身頃1及び右前身頃1’の上端部12aに縫着されているのに対し、ポケット入口6よりも後方に位置する部分は、無縫着部分19となっていて、ズボン本体と連結されていない(第5図、第7図)。 (イ) 左前身頃1及び右前身頃1’は、いずれも後端部がポケット入口6を構成し(イ号物件の構成b))、ポケット入口6において、外側のポケット布地のみに縫着されてこれと一体化した布地であるから、本件発明にいう「ポケットの上側の布地」に当たるということができる。 (ウ) そうすると、可動ウエストベルト10は、外側のポケット布地のみに連結されることによって「ポケットの上側の布地」となった左前身頃1及び右前身頃1’の上端部12aに連結されており、内側のポケット布地とは連結された部分がない。イ号物件においては、外側のポケット布地、前身頃及び可動ウエストベルトが一体化した布地全体を「ポケットの上側の布地」ということができる。 また、可動ウエストベルト10の後端部分4は、完成されたズボン等において、ポケット入口6よりも後方に位置する無縫着部分19の一部であるから、「ポケットの上側の布地におけるポケットの入口から延出する部位」といえる。 イ 固定ウエストベルト20について、ポケットを構成する二枚のポケット布地である「外側のポケット布地」及び「内側のポケット布地」を基準とした位置関係を検討すると、次のとおりとなる。 (ア) 固定ウエストベルト20は、左後身頃2及び右後身頃2’の上端部12bに縫着されている(第5図、第7図)。 (イ) 左後身頃2及び右後身頃2’は、ポケットの下端18の上方において、ポケットの向う布17と縫着され(イ号物件の構成b))、ポケットの下端の下方において、左前身頃1及び右前身頃1’と縫着されている。 そうすると、ポケットの向う布17は、「内側のポケット布地」の表面に重ねて縫着されることによりこれと一体化した布地であるから、「ポケットの下側の布地」に当たり、左後身頃2及び右後身頃2’のうち、ポケットの向う布17に縫着された部分は、ポケットの下端18よりも上方の部分において、「内側のポケット布地」にのみ連結され、「外側のポケット布地」には全く連結されていないのであるから、内側のポケット布地と一体化された「ポケットの下側の布地」に当たるということができる。 (ウ) そうすると、固定ウエストベルト20は、「ポケットの下側の布地」である左後身頃2及び右後身頃2’の上端に連結され、「外側のポケット布地」には全く連結されていない布地であるから、「内側のポケット布地」と一体化したものとして、「ポケットの下側の布地」に当たるといえる。 ウ 以上によれば、イ号物件は、一端が「ポケットの上側の布地におけるポケットの入口部分から延出する部位」である可動ウエストベルト10の後端部分4に縫着され、他端が「ポケットの下側の布地」である固定ウエストベルト20に連結された弾性材及び伸び止め材を備えているから、本件発明の構成要件Bを充足し、弾性材と伸び止め材と「ポケットの上側の布地のうちポケットの入口部分から延出する部位」である可動ウエストベルト10の後端部分4の少なくとも表側を、 「ポケットの下側の布地」である固定ウエストベルト20により被覆したものであるから、本件発明の構成要件Cを充足する。 (2) 被告は、イ号物件の伸縮部材は、前身頃及び後身頃とから構成されるズボン本体Dとは別体に構成された左・右半身用ウエストベルトにより構成されており、イ号物件において、弾性材及び伸び止め材は、「ポケットの下側の布地」である後身頃又はポケットの向う布とも「ポケットの上側の布地」である前身頃とも異なる「固定ウエストベルト20とインサイドベルト30及び布片7によって形成されたトンネル部8」により被覆されているのであるから本件発明の構成要件Cを充足しないと主張する。 しかしながら、本件発明にいう「ポケットの上側の布地」「ポケットの下側の布地」の語が、洋服を構成する各部材の名称とは全く異なる概念として用いられており、専らポケットを構成する二枚のポケット布地を基準とした位置関係により決せられることは、前記1、(1)のとおりである。弾性材及び伸び止め材の表側を被覆する「ポケットの下側の布地」には、後身頃又はポケットの向う布に限られず、これと一体化されたウエストベルトも含まれることは前記(1)のとおりである。 また、本件発明は、「ズボン等のウエスト伸縮構造」という物の発明であるから、ズボン等のウエスト伸縮構造がいかなる工程又は方法により製造されるかには関係なく、製造されたズボン等の完成品自体が、弾性材及び伸び止め材の少なくとも表側を「ポケットの下側の布地」により被覆するとの構成を備えているかどうかにより、本件発明の構成要件Cの充足性が決せられるべきである。そうすると、イ号物件のウエストベルトがズボン本体Dとは別体に製造されるとの製造工程により製作されることを理由とする被告の上記主張は失当である。 (3) 以上によれば、イ号物件は、本件発明の構成要件をすべて充足し、その技術的範囲に属するものというべきである。 3 以上によれば、被告がイ号物件のズボンを製造し、譲渡(販売)する行為は本件特許権を侵害するものというべきであり、また、被告がイ号物件を譲渡のために展示し、又はこれをするおそれがあることも弁論の全趣旨により認められるから、原告は、被告のこれらの行為の差止めを求めることができる。しかし、被告がイ号物件を使用し、貸し渡し、又は貸渡しのために展示すること、ないしはそのおそれがあることについては、立証がない。 よって、原告の請求は主文第1項の限度で理由があるが、その余は理由がない(訴訟費用の負担につき民事訴訟法64条ただし書を適用)。 |
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追加 | |
イ号物件目録1.図面の説明第1図は、ウエスト伸縮構造を備えたイ号物件(ズボン)の側面図である。 第2図は、第1図のウエスト部分の要部斜視図である。 第3図は、第1図のウエスト部分の伸縮自在な構造を左側面の外側から見た要部外側面の正面図である。 第4図は、第3図のウエスト部分の伸縮自在な構造を左側面の内側から見た要部内側図の正面図である。 第5図は、第1図のウエスト部分のみの構造の斜視図である。 第6図は、第5図の切断線X-Xによる断面図である。 第7図は、第1図の左前見頃と左後身頃の要部構造の斜視図である。 第8図は、第1図の反対正面側のウエスト部分のみの構造の斜視図である。 第9図は、第1図の反対正面側(右前見頃と右後見頃)の要部構造の斜視図である。 第10図は、第1図のウエスト部分の伸縮自在な構造を展開し、それを内側から見た要部展開斜視図である。 第11図は、第1図のウエスト部分の伸縮自在な構造を展開し、各部品と縫合との関係を内側から示した説明図である。 第12図は、第1図のウエスト部分の伸縮自在な構造を側面外側から見た、弾性材が収縮した状態の要部側面の拡大正面図である。 第13図は、第1図のウエスト部分の伸縮自在な構造を側面外側から見た、弾性材が伸びた状態の要部側面の拡大正面図である。 2.図面符号の説明1左前身頃1’右前身頃2左後身頃2’左後身頃3境界線4延出部5ベルト通し6ポケット入口7布片8トンネル部9弾性体11伸び止め材A伸縮部材10可動ウエストベルト20固定ウエストベルト30インサイドベルトB左半身用ウエストベルトC右半身用ウエストベルトDズボン本体12a前身頃の上端12b後身頃の上端13縫着部分(固定ウエストベルトとインサイドベルト)15a縫着部分(可動ウエストベルトと前身頃)15b縫着部分(固定ウエストベルトと後身頃)16縫着部分(前身頃と後身頃)17ポケットの向う布18ポケットの下端19無縫着部分3.構造の説明a)ウエスト部分にポケットを備えたズボンのウエスト伸縮構造であって、 b)一端が前身頃1(後端部がポケット入口6を構成する。)の上端部12aに縫着した可動ウエストベルト10の後端に縫着され、他端が後身頃9(前身頃との縫着部分16のうち、ポケット下端18よりも上部はポケットの向う布17に縫着される。)の上端部12bに縫着した固定ウエストベルト20に縫着された弾性材9及び伸び止め材11から成る伸縮部材Aを備え、 c)前記伸縮部材A及び可動ウエストベルト10の端末を、固定ウエストベルト20とインサイドベルト30、及び布片7とによって形成したトンネル部8内に予め位置させた左半身用ウエストベルトBと、同様に構成された右半身用ウエストベルトCとを、左前身頃1と左後身頃2、及び右前見頃1’と右後身頃2’とから成るズボン本体Dの上側12a及び12bに無縫着部分19を残して縫着し、ウエストが最も収縮した状態ではトンネル部内に収納されている無縫着部分19が、ウエスト部の拡大に従ってトンネル部8から延出するd)ことを特徴とするウエスト伸縮構造を備えたズボン。 第1図第2図第3図第4図第5、6、7図第8、9図第10図第11図第12図第13図被告製造工程図別紙〔訂正明細書〕 |
裁判長裁判官 | 小松一雄 |
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裁判官 | 阿多麻子 |
裁判官 | 前田郁勝 |