関連審決 | 異議2000-72544 訂正2002-39083 |
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関連ワード | 29条1項3号 / 29条の2(拡大された先願の地位) / 設定登録 / 請求の範囲 / 減縮 / 審決確定(審決が確定) / 取消決定 / |
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事件 |
平成
13年
(行ケ)
490号
特許取消決定取消請求事件
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原告 河野製紙株式会社 訴訟代理人弁理士 森田雄一 被告 特許庁長官太田信一郎 指定代理人 高梨操 同 涌井幸一 同 一色 由美子 同 森田 ひとみ 同 大橋良三 |
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裁判所 | 東京高等裁判所 |
判決言渡日 | 2002/10/17 |
権利種別 | 特許権 |
訴訟類型 | 行政訴訟 |
主文 |
1 特許庁が異議2000−72544号事件について平成13年9月14日にした決定中,特許第2996319号の請求項1に係る部分を取り消す。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 |
事実及び理由 | |
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全容
1 原告の請求 (1) 主文1項と同旨。 (2) 訴訟費用は被告の負担とする。 2 当事者間に争いのない事実 (1) 特許庁における手続の経緯 原告は,発明の名称を「高水分含有性を有するティシュペーパー」とする特許2996319号の特許(平成3年12月3日出願,平成11年10月29日設定登録,以下「本件特許」といい,その発明を「本件発明」という。)の特許権者である。 本件特許につき,請求項1ないし3に対し,特許異議の申立てがなされた。 特許庁は,これを異議2000-72544号事件として審理し,その結果,平成13年9月14日,「特許第2996319号の請求項1ないし3に係る特許を取り消す。」との決定をし,同年10月3日に,その謄本を原告に送達した。 (2) 決定の理由 決定の理由は,要するに,本件発明は,請求項1ないし3のいずれも,特許法29条1項3号,同条2項及び29条の2の各規定にいずれも違反して登録されたものであるから,すべて取り消されるべきである,とするものである。 (3) 原告は,本訴係属中の平成14年4月1日,本件特許の出願の願書に添付された明細書の訂正をすることについて審判を請求した。特許庁は,これを訂正2002-39083号事件として審理し,その結果,平成14年9月10日に上記訂正をすることを認める旨の審決(以下「訂正審決」という。)をし,これが確定した。 (4) 訂正審決による訂正の内容は,次のとおりである。 (ア) 訂正審決による訂正前の本件特許の特許請求の範囲 「【請求項1】 吸湿性を有する多価アルコール及び糖類のうち少なくとも一種,または,吸湿性を有する多価アルコール及び糖類のうち少なくとも一種並びに保水性を有する糊料を,吸湿・柔軟性等付与剤として,家庭紙用の繊維ウェブに対し1.0〜100重量%含んでなることを特徴とする高水分含有性を有するティシュペーパー。 【請求項2】 吸湿性を有する多価アルコール及び糖類が,グリセリン,D-ソルビット,マルチトール,還元麦芽糖水飴または還元澱粉加水分解物であることを特徴とする請求項1記載の高水分含有性を有するティシュペーパー。 【請求項3】 吸湿性を有する多価アルコール及び糖類または保水性を有する糊料が,食品または食品添加物であることを特徴とする請求項1または2記載の高水分含有性を有するティシュペーパー。」 (イ) 訂正審決による訂正後の特許請求の範囲(下線部が訂正された箇所である。) 「【請求項1】 吸湿性を有する多価アルコール及び糖類としてのグリセリン及びD- ソルビット ,または,吸湿性を有する多価アルコール及び糖類としてのグリセリン 及びD- ソルビット 並びに保水性を有する糊料を,吸湿・柔軟性等付与剤として,家庭紙用の繊維ウェブに対し1.0〜100重量%含み,更に,油類物質を前記繊維 ウェブ に対し0.1〜30 重量 %含んでなる ティシュペーパー であって,前記油類物質 が,流動 パラフィン ,スクワラン 等の炭化水素類 ,オリーブ 油,ツバキ 油,ヒマシ 油,大豆油等 の植物油 ,ミツロウ ,カルナウバロウ ,ラノリン 等のロウ 類,及びセタノール ,ステアリルアルコール ,オレイルアルコール 等の高級アルコール 類のいずれかである ことを特徴とする高水分含有性を有するティシュペーパー。」(請求項2及び3は削除された。)3 当裁判所の判断 上記当事者間に争いのない事実によれば,本件特許の訂正前の請求項1については,特許法29条1項3号,同条2項及び29条の2の各規定にいずれも違反して登録された特許であることを理由に特許を取り消した決定の取消しを求める訴訟の係属中に,当該特許に係る特許請求の範囲の減縮を含む訂正の審決が確定したということになり,決定は,結果として,判断の対象となるべき発明の要旨の認定を誤ったものとなる。この誤りが決定の結論に影響を及ぼすことは明らかである。したがって,決定は取消しを免れない。 4 以上によれば,本訴請求は理由がある。そこで,これを認容し,訴訟費用の負担については,原告に負担させるのを相当と認め,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法62条を適用して,主文のとおり判決する。 |
裁判長裁判官 | 山下和明 |
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裁判官 | 設樂隆一 |
裁判官 | 高瀬順久 |