関連審決 | 無効2001-35267 無効2001-35278 |
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関連ワード | 進歩性(29条2項) / 容易に発明 / 一致点の認定 / 発明の詳細な説明 / 遡及 / 設定登録 / 請求の範囲 / 独立特許要件 / 審決確定(審決が確定) / |
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事件 |
平成
17年
(行ケ)
10040号
審決取消請求事件
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原告 アルゼ株式会社 訴訟代理人弁護士 松本司 同岩坪 哲 同 美勢克 彦 被告 サミー株式会社 訴訟代理人弁護士牧野利 秋 同 飯田秀 郷 同 栗宇一 樹 同 早稲本和徳 同 七字賢 彦 同 鈴木英 之 同 隈部泰 正 同 大友良 浩 同 戸谷由布子 同 弁理士黒田博 道 |
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裁判所 | 知的財産高等裁判所 |
判決言渡日 | 2005/10/12 |
権利種別 | 特許権 |
訴訟類型 | 行政訴訟 |
主文 |
本件訴えを却下する。 訴訟費用は原告の負担とする。 |
事実及び理由 | |
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請求
特許庁が無効2001-35278号事件について平成16年11月19日にした審決を取り消す。 |
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当事者間に争いのない事実
1 特許庁における手続の経緯 原告は,発明の名称を「スロットマシン」とする特許第1855980号発明(昭和63年3月18日出願〔特願昭63-65543号〕,平成6年7月7日設定登録,以下「本件特許」といい,その特許権を「本件特許権」という。)の特許権者である。 請求項1の発明に係る本件特許に関し,平成13年6月27日,被告より無効審判の請求(以下「本件無効審判請求」という。)がされ,無効2001-35278号事件として特許庁に係属したところ,原告は,平成15年9月1日,明細書の全文について訂正請求(以下「本件訂正請求」という。)をした。特許庁は,本件無効審判請求について審理した結果,平成16年11月19日,本件訂正請求に係る訂正は認められないとした上,「特許第1855980号の請求項1に係る発明についての特許を無効とする。」との審決(以下「本件審決」という。)をし,そのころ,その謄本を原告に送達した。 2 特許請求の範囲の記載 (1) 本件訂正請求に係る特許請求の範囲 (請求項1) 表示窓内にそれぞれ所定の図柄を表示する複数のリール, これら各リールの回転を停止させるためのストップボタンスイッチ, 予め定めた範囲で乱数を発生する手段, 前記乱数の範囲を区分し,入賞及び外れを判定するための確率テーブル, 前記乱数をサンプリングする手段, サンプリングした乱数値が前記確率テーブルのどの区分に属するかを判定する手段, 前記各ストップボタンスイッチをオンしたときの表示位置から4コマ以内の範囲内で,前記判定した乱数値に応じた図柄が表示されるように前記各リールの回転を停止させる停止制御を行う制御装置を備えたスロットマシンにおいて, 前記制御装置は遊技中特定の条件が達成された時には予め定めたゲーム回数分, 前記乱数値に応じた停止制御を中止して,この停止制御の中止にかかるリールの回転を前記ストップボタンスイッチの操作タイミングで停止させるように構成したことを特徴とする スロットマシン。 (請求項2) 表示窓内にそれぞれ所定の図柄を表示する複数のリール, これら各リールの回転を停止させるためのストップボタンスイッチ, 予め定めた範囲で乱数を発生する手段, 前記乱数の範囲を区分し,入賞及び外れを判定するための確率テーブル, 前記乱数をサンプリングする手段, サンプリングした乱数値が前記確率テーブルのどの区分に属するかを判定する手段, 前記各ストップボタンスイッチをオンしたときの表示位置から4コマ以内の範囲内で,前記判定した乱数値に応じた図柄が表示されるように前記各リールの回転を停止させる停止制御を行う制御装置を備えたスロットマシンにおいて, 前記制御装置は遊技中特定の条件が達成された時には予め定めたゲーム回数分, 複数のリールの一部についてのみ前記乱数値に応じた停止制御を中止して,この停止制御の中止にかかるリールの回転を前記ストップボタンスイッチの操作タイミングで停止させ, 他のリールに対しては,前記乱数値に応じた停止制御に代えて,前記ストップボタンスイッチをオンしたときの表示位置から4コマ以内の範囲内で,特定の図柄が表示されるように一定の停止制御を行うように構成したことを特徴とする スロットマシン。 (2) 本件訂正請求前の特許請求の範囲 (請求項1) 表示窓内にそれぞれ所定の図柄を表示する複数のリールを乱数値に応じて停止するように制御する制御装置を備えたスロットマシンにおいて,前記制御装置は遊技中特定の条件が達成された時には予め定めたゲーム回数分,前記乱数値に応じた停止制御を中止するように構成したことを特徴とするスロットマシン。 (請求項2) 前記制御装置が複数のリールの一部についてのみ前記停止制御を中止し,他のリールに対しては一定の停止制御を行うように構成したことを特徴とする請求項1記載のスロットマシン。 (以下,本件訂正請求に係る特許請求の範囲の請求項1の発明を「訂正発明1」,請求項2の発明を「訂正発明2」といい,本件訂正請求前の特許請求の範囲の請求項1の発明を「本件発明」という。) 3 本件審決の理由 本件審決は,別添審決謄本写し記載のとおり,@訂正発明2が,特開昭59-186580号公報(以下「引用例1」という。),実願昭58-128413号(実開昭60-37380号)のマイクロフィルム(以下「引用例2」という。),特開昭57-86373号公報(以下「引用例3」という。)及び実願昭60-74971号(実開昭61-191081号)のマイクロフィルム(以下「引用例4」という。)に記載の発明(以下,引用例1〜4記載の各発明を,順に「引用発明1」〜「引用発明4」という。)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法29条2項の規定に該当するから,本件訂正請求に係る訂正は,特許法134条5項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法126条3項に規定する独立特許要件に適合しない,A本件発明が,引用発明1〜4に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり,本件発明に係る本件特許は,特許法29条2項の規定に違反してされたものであるから,同法123条1項2号の規定により無効とすべきである,B本件訂正請求前の明細書(以下「本件明細書」という。)の発明の詳細な説明が,特許法36条3項(注,平成2年法律第30号による改正前のもの)の記載要件を満たしていないから,本件発明に係る本件特許は,同法123条1項4号の規定により無効とすべきである,C本件明細書の特許請求の範囲が,特許法36条4項1号及び2号(注,平成2年法律第30号による改正前のもの)の記載要件を満たしていないから,本件発明に係る本件特許は,同法123条1項4号の規定により無効とすべきであるとし,D補足的に,訂正発明1についても,引用発明1〜4に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定に違反してされたものである,とした。 なお,審決は,特許法123条の上記A〜Cの適用法条について,同条1項2号,同4号を適用するものとしているが,平成2年法律第30号による改正特許法附則9条は,「この法律の施行の日前において電子情報処理組織を整備する場合の手続その他この法律の施行に関し必要な経過措置は,政令で定める。」と規定し,これを受けて,工業所有権に関する手続等の特例に関する法律施行令(平成2年政令第258号)附則1条は,「この政令は,法の施行の日(平成2年12月1日)から施行する。」,同2条は,「施行日前にした特許出願については,法附則第4条の規定による改正前の特許法の規定は,法の施行後も,なおその効力を有する。」と規定しているところ,本件特許は,上記1のとおり,昭和63年3月18日に出願されたものであるから,上記A〜Cの適用法条は,平成2年法律第30号による改正前の特許法123条1項1号,3号となるべきものである。 |
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本案前の当事者の主張
1 被告の主張 (1) 本件特許に対し,本件無効審判請求に先立ち,平成13年6月25日,本件被告より第1次の無効審判請求がされ,無効2001-35267号事件として特許庁に係属していたところ,特許庁は,平成14年12月25日,特許第1855980号発明(注,請求項1及び2に係る発明)についての本件特許を無効とする旨の審決(以下「別件審決」という。)をした。本件原告は,東京高等裁判所に対し,別件審決に対する審決取消請求の訴えを提起し,同庁は,これを平成15年(行ケ)第36号事件として審理した結果,平成17年2月21日,本件原告の請求を棄却する旨の判決をした。本件原告は,これを不服として,上告(平成17年(行ツ)第165号)及び上告受理(平成17年(行ヒ)第177号)の申立てをしたが,最高裁判所は,同年7月14日,「本件上告を棄却する。本件を上告審として受理しない。」との決定をし,これにより,本件特許を無効にすべき旨の別件審決が確定した。 (2) したがって,本件審決に対する審決取消訴訟は,訴えの利益を欠くことに帰したから,本件訴えは,不適法なものとして却下されるべきである。 2 原告の反論 被告の上記主張(1)の事実は認め,同(2)は争う。 |
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本案についての当事者の主張
1 原告主張の審決取消事由の要旨 本件審決は,@訂正発明2と引用発明1との一致点の認定を誤り(取消事由1),引用発明2の認定を誤り(取消事由2),訂正発明2と引用発明1との相違点についての判断を誤り(取消事由3,4),その結果,訂正発明2が,引用発明1〜4に基づいて当業者が容易に発明をすることができたから,本件訂正請求に係る訂正が独立特許要件に適合しないとの誤った結論を導き出し,A本件発明と引用発明1との相違点についての判断を誤り(取消事由5),その結果,本件発明が,引用発明1〜4に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとの誤った結論を導き出し,B本件明細書の発明の詳細な説明が特許法36条3項(注,平成2年法律第30号による改正前のもの)の記載要件を満たしていないとの誤った判断をし(取消事由6),その結果,本件発明に係る本件特許は無効であるとの誤った結論を導き出したものであって,違法であるから,取り消されるべきである。 2 被告の反論 本件審決の認定判断に誤りはなく,原告主張の取消事由はいずれも理由がない。 |
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当裁判所の判断
1 被告の本案前の主張(1)の事実は,当事者間に争いがない。 2 そうすると,特許第1855980号発明についての本件特許を無効にすべき旨の別件審決が確定したことに伴い,本件特許権は,特許法125条本文により,初めから存在しなかったものとみなされるから,特許第1855980号の請求項1に係る発明についての本件特許を無効とする旨の本件審決の取消しを求める本件訴えは,当該無効審決の前提となる権利が遡及的に消滅した結果,本件審決の取消しを求める利益を欠くに至ったことが明らかである。 よって,本件訴えは,不適法なものとして却下することとし,主文のとおり判決する。 |
裁判長裁判官 | 篠原勝美 |
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裁判官 | 青柳馨 |
裁判官 | 宍戸充 |