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関連ワード 製造方法 /  設定登録 /  請求の範囲 /  減縮 /  審決確定(審決が確定) /  取消決定 / 
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事件 平成 14年 (行ケ) 244号 特許取消決定取消請求事件
原告 日本電池株式会社
訴訟代理人弁理士 後呂和男
同 高木芳之
被告 特許庁長官太田 信一郎
指定代理人 三浦悟
同 綿谷晶廣
同 森田 ひとみ
同 大橋良三
同 涌井幸一
同 一色 由美子
裁判所 東京高等裁判所
判決言渡日 2002/12/12
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
主文 1 特許庁が異議2001−72559号事件について平成14年3月29日にした決定を取り消す。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
全容
1 原告の請求 (1) 主文1項と同旨。
(2) 訴訟費用は被告の負担とする。
2 当事者間に争いのない事実 (1) 特許庁における手続の経緯 原告は,発明の名称を「電池用電極の製造方法」とする特許第3146439号の特許(平成3年8月12日出願,平成13年1月12日設定登録,以下「本件特許」といい,その発明を「本件発明」という。)の特許権者である。
本件特許につき,請求項1に対し,特許異議の申立てがなされた。
特許庁は,これを異議2001-72559号事件として審理し,審理の結果,平成14年3月29日,「特許第3146439号の請求項1に係る特許を取り消す。」との決定をし,同年4月17日に,その謄本を原告に送達した。
(2) 決定の理由 決定の理由は,要するに,本件特許(請求項1に係る発明の特許)は,特許法29条1項の規定に違反して登録されたものである,とするものである。
(3) 原告は,本訴係属中の平成14年9月10日,本件特許の出願の願書に添付された明細書の訂正をすることについて審判を請求した。特許庁は,これを訂正2002-39187号事件として審理し,その結果,平成14年10月31日に上記訂正をすることを認める旨の審決(以下「訂正審決」という。)をし,これが確定した。
(4) 訂正審決による訂正の内容のうち,特許請求の範囲に係る部分は,次のとおりである。
(ア) 訂正審決による訂正前の本件特許の特許請求の範囲 「【請求項1】活物質を担持する部分と,活物質を実質的に担持しない帯状の部分とを備える導電性芯体を,加圧用ロールによって加圧する電池用電極の製造方法において,活物質を実質的に担持しない該帯状の部分の長手の方向を,加圧用ロールの回転軸に垂直な方向に配置することなく,加圧用ロールの回転軸に平行な方向に配置することを特徴とする電池用電極の製造方法。」 (イ) 訂正審決による訂正後の特許請求の範囲(下線部が訂正された箇所である。) 「【請求項1】活物質を担持する部分と,活物質を実質的に担持しない帯状の部分とを備える単一の導電性芯体( ニッケル 繊維 の焼結体除 く)を,加圧用ロールによって加圧する電池用電極の製造方法において,活物質を実質的に担持しない該帯状の部分の長手の方向を,加圧用ロールの回転軸に垂直な方向に配置することなく,加圧用ロールの回転軸に平行な方向に配置することを特徴とする電池用電極の製造方法。」3 当裁判所の判断 上記当事者間に争いのない事実によれば,本件特許については,特許法29条1項の規定に違反して登録された特許であることを理由に特許を取り消した決定の取消しを求める訴訟の係属中に,当該特許に係る特許請求の範囲減縮を含む訂正の審決が確定したということになり,決定は,結果として,判断の対象となるべき発明の要旨の認定を誤ったものとなる。この誤りが決定の結論に影響を及ぼすことは明らかである。したがって,決定は取消しを免れない。
4 以上によれば,本訴請求は理由がある。そこで,これを認容し,訴訟費用の負担については,原告に負担させるのを相当と認め,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法62条を適用して,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 山下和明
裁判官 設樂隆一
裁判官 高瀬順久