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関連審決 訂正2000-39157
関連ワード 反復(反復可能性) /  進歩性(29条2項) /  一致点の認定 /  相違点の認定 /  相違点の判断 /  技術常識 /  先行技術 /  発明の詳細な説明 /  容易に想到(容易想到性) /  実施 /  構成要件 /  設定登録 /  訂正審判 /  請求の範囲 /  独立特許要件 / 
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事件 平成 14年 (行ケ) 296号 審決取消請求事件
原告 株式会社ワイビーエム
訴訟代理人弁理士 富崎元成
同 円城寺 貞夫
同 山田勉
被告 特許庁長官今井康夫
指定代理人 石井良夫
同 西村和美
同 大野克人
同 宮川久成
同 伊藤三男
裁判所 東京高等裁判所
判決言渡日 2003/07/16
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
主文 原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
請求
特許庁が訂正2000―39157号事件について平成14年5月1日にした審決を取り消す。
当事者間に争いのない事実
1 特許庁における手続の経緯 原告は,名称を「地盤穿孔装置」とする特許第2527674号発明(平成4年12月8日特許出願,平成8年6月14日設定登録,以下,その特許を「本件特許」という。)の特許権者である。原告は,平成12年12月20日,本件特許出願の願書に添付した明細書(以下「本件明細書」という。)の特許請求の範囲及び発明の詳細な説明の記載の訂正(以下「本件訂正」という。)をする訂正審判の請求をし,特許庁は,同請求を訂正2000―39157号事件として審理した上,平成14年5月1日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決をし,その謄本は,同月13日,原告に送達された。
2 本件明細書の特許請求の範囲の記載 (1) 本件訂正前のもの 【請求項1】フレーム(4,65)と,このフレーム(4,65)に設けられ,先端に穿孔工具(11)が接続される主軸(21,81)を回転自在かつその軸線方向に移動自在に支持する主軸ハウジング(15,73)を有し,前記主軸(21,81)に回転力を付与するための回転駆動装置(2,62)と,前記主軸(21,81)を前記軸線方向に移動させて,地盤に送り及びこの地盤から引抜くための送り装置(10,90)と,前記主軸(21,81)の前記主軸ハウジング(15,73)から突出する部分に設けられ,前記主軸(21,81)に前記軸線方向の起振力を往復振動力として付与するための起振装置(3,63)とを備えてなる地盤穿孔装置。
【請求項2】請求項1において,前記起振装置(3)が,前記フレーム(4)に前記軸線方向に変位自在に設けられたロータハウジング(33)と,このロータハウジング(33)内に収容され,所定の周波数で回転して前記起振力を発生する複数枚の偏心ロータ(43,44)と,前記主軸ハウジング(15)から突出する前記主軸(21)の後端部を前記ロータハウジング(33)に回転自在に結合するための連結手段(48)とからなる地盤穿孔装置。
(2) 本件訂正に係るもの(訂正部分には下線を付す。) 【請求項1】フレーム(4)と,このフレーム( 4)に設けられ,先端に穿孔工具(11)が接続される主軸(21)を回転自在かつその軸線方向に移動自在に支持する主軸ハウジング(15 )を有し,前記主軸( 21 )に回転力を付与するための回転駆動装置(2)と,前記主軸( 21 )を前記軸線方向に移動させて,地盤に送り及びこの地盤から引抜くための送り装置(10 )と,前記主軸( 21)の前記主軸ハウジング( 15 )から突出する部分に設けられ,前記主軸( 21)に前記軸線方向の起振力を往復振動力として付与するための起振装置( 3)と,前記起振装置( 3)が,前記フレーム(4)に前記軸線方向に変位自在に設けられたロータハウジング(33)と,このロータハウジング(33)内に収容され,所定の周波数で回転して前記起振力を発生する複数枚の偏心ロータ(43,44)と,前記主軸ハウジング(15)から突出する前記主軸(21)の後端部を前記ロータハウジング(33)に,軸受(55 ,56 )を介して 回転自在に直接結合するための連結手段(48)とを備えてなる地盤穿孔装置。 【請求項2】請求項1において,前記連結手段(48 )は,カップリング 本体 (50 )に回転自在 な連結 ロッド (47 ), この 連結 ロッド (47 )に形成された フランジ (54 )および 前記軸受 (55 ,56 )を介して 前記起振装置(3)に連結 されていることを 特徴 とす る地盤穿孔装置。
(以下,本件訂正に係る【請求項1】,【請求項2】の発明を「本件発明1」,「本件発明2」という。) 3 審決の理由 審決は,別添審決謄本写し記載のとおり,本件発明1及び2は,特公昭55-7514号公報(甲4,以下「引用例」という。)に基づいて当業者が容易に想到することができたものであり,本件特許出願の際独立して特許を受けること(以下「独立特許要件」という。)ができないものであるから,本件審判の請求は,特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則6条1項の規定によりなお従前の例によるとされる,同法による改正前の特許法126条3項の規定に適合しないとした。
原告主張の審決取消事由
審決は,本件発明1と引用例記載の発明(以下「引用例発明」という。)との一致点の認定を誤り(取消事由1,2),相違点の判断を誤った(取消事由3)結果,本件発明1の進歩性を否定して独立特許要件を欠くとの誤った判断をし,また,本件発明2についても同様の誤った判断をした(取消事由4)ものであるから,違法として取り消されるべきである。
1 取消事由1(軸受に係る一致点の認定の誤り) 審決は,「訂正後の特許請求の範囲に記載されている事項により構成されている発明(注,本件発明1)と上記引用例に記載されている発明(注,引用例発明)とを対比すると,・・・『ベアリング39』がその機能に照らし本件発明1における・・・『軸受』に・・・相当する」(審決謄本3頁最終段落〜4頁第1段落)と認定したが,誤りである。
(1) 本件発明1の「軸受」は,起振装置3で発生した往復振動力を主軸21に伝達するのに対して,引用例(甲4)記載の「ベアリング39」は,「ハンマ部材60」の衝撃力又は往復振動力を伝達するものではなく,「穴あけ機によって生ずる振動力と反復衝撃を緩衝する」(4欄下から第2段落)という,本件発明1の「軸受」とは逆の作用をするものであるから,両者は機能を異にする。引用例発明においては,バイブレータ50の振動は,回転テーブル25,チェイン21にも同時に伝達されるため,バイブレータ50で発生された振動は,スピンドル33への伝達と同時に回転テーブル25,チェイン21にも伝達される。引用例の発明の詳細な説明には,「かりに,バイブレータ50が棒46に錠止され,ヘッド64とパッド67との間または縁部66と金属部69との間のいずれかで接触が生じないようにバイブレータ50の振動の振幅がなるように凹所65内にヘッド64が位置決めされていれば,バイブレータのすべての振動は,棒46,フランジ38およびベアリング39を介してスピンドル33へ伝達されることになる」(7欄第2段落)との記載(以下「記載ケ」という。)があるが,この記載を考慮しても,被告主張のように,「バイブレータのすべての振動がベアリング39を介してスピンドル33に伝達される」ことはない。
(2) また,本件発明1の「軸受(55,56)」は,「主軸(21)の後端部」と「ロータハウジング(33)」との間に迂回することなく直結して配置されているのに対して,引用例発明の「ベアリング39」は,穴あけ機を上下に送るための機能とチェイン21との間にゴムワッシャ45により弾性的に支える支持機能を備えた「ボディ37」と「スピンドル33」との間に配置されている。すなわち,本件発明1は,上記「ボディ37」及びこれと一体の「フランジ38」に相当する部材や,少なくとも引用例発明の「ボディ37」に相当する機能を奏する構成は備えておらず,本件発明1の「軸受(55,56)」と引用例発明の「ベアリング39」とでは,配置されている位置を異にする。引用例に記載された「ボディ37」は,回転テーブル25とゴムワッシャ45を介して連結されており,バイブレータ50の振動を回転テーブル25,チェイン21にも同時に伝達する機能があるから,本件発明1の「取付板52」及び「カップリング本体50」のように,単純に振動を伝達するための連結機能を有するものではない。
2 取消事由2(連結手段に係る一致点の認定の誤り) 審決は,本件発明1と引用例発明は,「・・・前記主軸ハウジングから突出する前記主軸の後端部を前記ロータハウジングに,軸受を介して回転自在に結合するための連結手段とを備えてなる地盤穿孔装置」(審決謄本4頁第3段落)である点で一致すると認定したが,誤りである。
(1) 引用例発明は,特許請求の範囲において特定された「ハンマ部材」で打撃をすることを必須の構成とするものであって,上記のとおり,引用例発明の「ベアリング」が本件発明1の「軸受」に相当しない以上,引用例発明は,少なくとも「軸受」を必須の構成とする本件発明1の「軸受を介して回転自在に結合するための連結手段」に相当するものを備えていない。また,引用例発明は,本件発明1の構成要件中の「前記主軸ハウジング(15)から突出する前記主軸(21)の後端部を前記ロータハウジング(33)に,軸受(55,56)を介して回転自在に直接結合するための連結手段(48)」を備えていない点で構成が異なり,加えて,横振れが少なく,往復振動を効率的に伝えることができるなど,作用効果も相違する。
(2) 引用例(甲4)の「この種の穴あけ機の1つは振動部分を備えており,この振動部分の振動は機械的または電磁的に発生せしめられるようになっている。・・・上述のような通常型式の穴あけ機は,あらゆる種類の材料に対する穴あけには容易に適用できない」(2欄第2〜第3段落)との記載から明らかなとおり,引用例発明は,従来の振動式の穴あけ機の性能の欠点を指摘し,これを克服することを発明の課題としているから,引用例に接した当業者が,バイブレータ50の振動のみを利用する「穴あけ機」やスピンドルの回転のみを利用する「穴あけ機」として認識,把握することはない。
(3) 被告は,本件発明1における「連結手段」には,振動を確実かつ均一に伝達するためにロータハウジングと一体的に接合された部材やこのような部材と固着される部材も含まれ,引用例の記載ケに基づき,ケーシングと棒との錠止や棒の構成を,バイブレータからの振動を確実かつ均一に伝達するような構成とした場合に,これらの構成は,本件発明1の「連結手段」ということができ,本件発明1と実質的に差異はないと主張する。しかしながら,引用例の記載ケには,ケーシング52,棒46,フランジ38とそれに連なるボディ37は一体的な構造物となり,これがバイブレータ50の振動を伝達するための「連結手段」(継手)の一種を構成することが記載されている。本件発明1の「連結手段(48)」は,「前記主軸(21)の後端部を前記ロータハウジング(33)に,軸受(55,56)を介して回転自在に直接結合するための」ものであるのに対して,引用例の記載ケの棒46,フランジ38等から成る「連結手段」は,中空スピンドル33とバイブレータ50とを「直接連結」するものではないから,本件発明1の「連結手段(48)」に相当しない。
3 取消事由3(相違点の判断の誤り) 審決は,相違点として認定した「引用例記載の発明(注,引用例発明)と本件発明1・・・とを対比すると,主軸の後端部を前記ロータハウジングに,軸受を介して回転自在に結合するための連結手段が,本件発明1・・・では,ロータハウジングと主軸の後端部を前記軸受を介して直接連結する構成であるのに対し,引用例記載の装置では,ボディ37,フランジ38,および棒46を介して連結する構成である点」(審決謄本4頁第4段落)について,「記載ケのように,バイブレータ50のすべての振動をスピンドル33(注,「38」とあるのは誤記と認める。以下同じ)へ伝達しようとする場合,バイブレータ50の振動をスピンドル33に確実に伝えるため,バイブレータとスピンドルを直接連結するよう構成することは当業者であれば当然想到し得るものであって,格別なものではない」(同頁最終段落),「引用例に記載された構成・・・と本件発明(注,本件発明1)の構成とには実質的な差異がない」(同5頁第1段落),「本件発明1・・・は,引用例の記載に基づいて,当業者が容易に想到することができたもの」(同頁第2段落)と判断したが,誤りである。
(1) 引用例発明は,「ハンマ部材(60)」により打撃をして穴あけを促進するものと,往復振動による穴あけの二つの機能を同一の機構で両立させることを前提とする発明であり,引用例には,審決でいう「バイブレータ50の振動をスピンドル33に確実に伝えるため,バイブレータとスピンドルを直接連結するよう構成する」との技術課題を当業者に想起させる記載はなく,示唆もないし,また,「バイブレータの振動をスピンドルへ確実に伝えるため,バイブレータとスピンドルを直接連結する構成」が,被告主張のように技術常識であるとはいえない。
(2) 審決でいう「当業者であれば当然想到し得るもの」とする機構にすると,引用例発明は,バイブレータ50の振動をハンマ部材60の打撃に変えて掘削する機能と,バイブレータ50の往復振動力を棒46,フランジ38に伝達して掘削する機能の両方の機能を同時に実現することはできないから,引用例発明を本件発明1のように改造することは,技術的に可能ではない。バイブレータによりスピンドルを振動させるという技術課題が存在する場合,「バイブレータの振動をスピンドルへ確実に伝えるため,バイブレータとスピンドルを直接連結する構成」は,上記のとおり,引用例に記載も示唆もなく,技術常識でもない。
(3) 審決は,引用例発明の「ボディ37およびフランジ38はケーシングの一部とみなせる」ことを前提に,引用例発明の構成と本件発明1の構成とには実質的な差異がないとしたが(審決謄本5頁第1段落),その前提となる判断に誤りがある。すなわち,審決の立論は,引用例の機構の一部を機構学的に抽象化したものとも推定されるが,引用例発明において,「ボディ37およびフランジ38」は,これを挟んで配置された2個のゴムワッシャ45を介して,回転テーブル25に連結され,さらに,回転テーブル25は,チェイン21に連結されているのであるから,上記の前提判断は,引用例発明の都合の良い部分のみの機構を取り上げて一体的な構造物であるとしたものであって,実際の機械の構造や作動は考慮していない。引用例に記載された「ボディ37」は,「穴あけ機」を上下に送るための機能と,チェイン21との間にゴムワッシャ45により,弾性的に支える支持機能を備えたものであるから,これを「ケーシング52」の一部とみなすことはできないし,ケーシング52,棒46,フランジ38とそれに連なるボディ37を一体的な構造物とすると,引用例発明の「穴あけ機」は可動しない。したがって,上記のように引用例発明の一体的な構造物が本件発明1と実質的に差異がないとする根拠はない。
(4) 審決は,「本件発明(注,本件発明1)における『軸受』は,特許請求の範囲に記載されるとおり,『主軸(21)の後端部』と『ロータハウジング(33)』との間に配置された軸受(56)だけでなく,ロータハウジングと一体的に接続されたカップリング本体(50)に設けられた軸受(55)も含むものであるから,本件発明における『軸受』を介して連結される『ロータハウジング』には,カップリング本体のような該ロータハウジングと一体的に連結された部材も含まれると解するのが相当であり,ケーシング52が直接ボディ37と連結された場合はもちろんのこと,ケーシング52とボディ37が棒46,フランジ38を介して一体的に連結された場合も,ボディ37はケーシング52の一部とみなすことができ,引用例における『ベアリング39』もそれを介してケーシング(ロータハウジングに相当)とスピンドル(主軸に相当)を連結するものといえるから,本件発明の『軸受』に相当する」(審決謄本5頁第4段落)と判断したが,「ボディ37はケーシング52の一部とみなすことができ」との部分及びこれを前提とする「引用例における『ベアリング39』もそれを介してケーシング(ロータハウジングに相当)とスピンドル(主軸に相当)を連結するものといえるから,本件発明の『軸受』に相当する」との判断は,誤りである。
4 取消事由4(本件発明2の進歩性の判断の誤り) 本件発明2は,本件発明1の従属請求項であり,以上のとおり本件発明1に進歩性が認められる以上,本件発明2の進歩性を否定した審決の判断は,誤りである。
被告の反論
審決の認定判断に誤りはなく,原告主張の取消事由はいずれも理由がない。
1 取消事由1(軸受に係る一致点の認定の誤り)について (1) 原告は,引用例発明の「ベアリング39」と本件発明1の「軸受」とは機能を異にする旨主張するが,引用例発明においては,「ベアリング39」として,本件発明1における軸受部と同じ「スラストベアリング」が用いられるのであるから,「ベアリング39」が,本件発明1の「軸受」と同じ機能,すなわち,往復振動力の伝達という機能を果たしていることは明らかである。このことは,引用例の記載ケにも,「バイブレータのすべての振動は,棒46,フランジ38およびベアリング39を介してスピンドル33へ伝達されることになる」と明確に開示されている。
(2) 原告は,引用例発明の「ベアリング39」は,「ボディ37」と「スピンドル33」との間に配置されている点で,本件発明1における「軸受(55,56)」とは配置位置が異なり,しかも,引用例に記載された「ボディ37」に相当する機能を奏する構成を本件発明1は備えていないとして,引用例発明の「ベアリング39」が本件発明1の「軸受」には相当しないとも主張する。しかしながら,記載ケに開示されるように,バイブレータ50が棒46に錠止された場合,ケーシング52,棒46,フランジ38とそれに連なるボディ37は,後記のとおり一体的な構造物であって,引用例発明の「ベアリング39」は,ケーシング52,棒46,フランジ38とそれに連なるボディ37とスピンドル33の間に配置されており,審決が相違点として摘示した,ケーシング52とベアリング39との間の連結手段の構成に差異はあるものの,本件発明1の「軸受」の配置に本質的な差異はないというべきである。また,本件発明1における「取付板52」及び「カップリング本体50」が,ベアリング及びその軸受55,56を所定位置に配置する点で,引用例に記載された「ボディ37」と同じ機能を果たすことは明らかである。
したがって,審決の軸受に係る一致点の認定に誤りはない。
2 取消事由2(連結手段に係る一致点の認定の誤り)について (1) 原告は,引用例発明は「ハンマ部材60」で打撃をすることを必須の構成とするものであり,記載ケを考慮しても,引用例発明は,少なくとも「軸受」を必須の構成とする本件発明1の「連結手段」に相当するものは,引用例には記載されていない旨主張する。しかしながら,特許公報を先行技術文献として引用した場合に,当該発明に係る明細書の記載事項をすべて特許請求の範囲の記載のみに限定して解釈しなければならない理由はない。引用例(甲4)には,発明の詳細な説明として,審決の引用に係る記載ケの部分に続けて,「多くの場合,上記の振動によって,穴あけされる材料例えば土層と接触する穴あけ工具を土層に十分に貫挿させることができる。同様に,スピンドルの回転のみでまたは,この回転とハンマ部材60の振動を兼用させて土層に穴あけすることも可能である」(7欄第2〜第3段落)と記載されているのであるから,これに接した当業者は,特許請求の範囲の記載にとらわれず,使用条件に応じて,バイブレータ50の振動のみを利用する「穴あけ機」やスピンドルの回転のみを利用する「穴あけ機」として認識,把握するものというべきである。
(2) 引用例の記載ケには,バイブレータ50が棒46に錠止することが記載され,その場合,スピンドル33の後端部は,ベアリング39,ボディ37及びそれに連なるフランジ38,棒46を介してバイブレータ50のケーシング52に連結されるのであり,「バイブレータのすべての振動は,棒46,フランジ38およびベアリング39を介してスピンドル33へ伝達されることになる」のであるから,これらの構成が,スピンドルの後端部をバイブレータのケーシングに,ベアリングを介して回転自在に結合する手段,すなわち,本件発明1における連結手段に相当することは明らかである。したがって,審決の連結手段に係る一致点の認定に誤りはない。
3 取消事由3(相違点の判断の誤り)について (1) 原告は,引用例に記載される「穴あけ機」は「ハンマ部材」により打撃をして穴あけを促進するものと,往復振動による穴あけの二つの機能を同一の機構で両立させることが前提の発明であるから,引用例には,審決でいう「バイブレータ50の振動を確実に伝えるため,バイブレータとスピンドルを直接連結するよう構成する」との技術課題を当業者に想起させる記載も示唆もない旨主張する。しかしながら,上記のとおり,引用例を先行技術文献として見た場合には,記載ケの部分に続く上記2(1)の記載から,当業者は,バイブレータ50の振動のみを利用する「穴あけ機」を認識,把握することができる。また,バイブレータによりスピンドルを振動させるという技術課題が存在する場合に,バイブレータの振動をスピンドルへ確実に伝えるため,バイブレータとスピンドルを直接連結する構成とすることは,技術常識に属する。
(2) 原告は,審決の「ボディ37およびフランジ38はケーシングの一部とみなせる」及びこれを前提とした「前述したような構成と本件発明の構成とには実質的な差異がないというべきである」との判断は誤りである旨主張する。しかしながら,本件発明1の実施例においても,第7図に示されるように「ロータハウジング33」の振動が主軸に確実に伝達されるよう,ハウジング側壁に補強板を介して取付板52を接合し,当該取付板52にボルト53により固着されるカップリング本体50により,連結ロッド47が軸受(55,56)を介して連結される構成となっていることからして,単純に連結ロッドを軸受を介してロータハウジングに直接連結しても,振動は効率よく均一に伝達されないことは明らかである。そうすると,本件発明1における「連結手段」には,振動を確実かつ均一に伝達するためにロータハウジングと一体的に接合された部材やこのような部材と固着される部材も含まれると解するのが相当であり,引用例の記載ケに基づき,ケーシングと棒との錠止や棒の構成を,バイブレータからの振動を確実かつ均一に伝達するような構成とした場合,これらの構成は,本件発明1の「連結手段」ということができるから,本件発明1と実質的に差異はない。
4 取消事由4(本件発明2の進歩性の判断の誤り)について 本件発明1の容易想到性の判断に誤りがない以上,これを前提とする審決の本件発明2の容易想到性の判断にも誤りはない。
当裁判所の判断
1 取消事由1(軸受に係る一致点の認定の誤り)について (1) 原告は,引用例発明の「ベアリング39」は,本件発明1の軸受とその機能及び配置において異にするから,本件発明1の「軸受」に相当しない旨主張するので,まず,機能の点について検討すると,本件発明1の特許請求の範囲【請求項1】の「前記主軸(21)に前記軸線方向の起振力を往復振動力として付与するための起振装置(3)と,前記起振装置(3)が,前記フレーム(4)に前記軸線方向に変位自在に設けられたロータハウジング(33)と,このロータハウジング(33)内に収容され,・・・前記主軸(21)の後端部を前記ロータハウジング(33)に,軸受(55,56)を介して回転自在に直接結合するための連結手段(48)」との構成及び本件明細書(甲2)の発明の詳細な説明の「起振装置3が発生した起振力は,フランジ54,スラスト軸受55および連結ロッド47を介してシャンクロッド21に伝達される」(段落【0033】)との記載からすれば,本件発明1の軸受が起振装置からの往復振動力を伝達する機能を有することは明らかである。
(2) これに対し,引用例(甲4)には,「スピンドル33はローラベアリング39,たとえば,ローラ・スラストベアリングによって,中実の環状フランジ38から延長する支持部材すなわちボディ37に接続されている」(4欄下から第2段落),「衝撃装置すなわちハンマ部材60はスピンドルの上方部に設けた凹所65内に収容されたヘッド64を有している。このヘッド64は環状さねはぎ継ぎ縁66を有している。・・・ヘッド64の端面64aと凹所65の隣接面との間の距離を即座に調節することができる。この隣接面は少なくとも部分的に金属パッド67で被覆されている」(6欄第2段落),「凹所65の部分68はハンマ部材60のヘッド64の上側で閉じており,ヘッド64に隣接する面上に金属部分69を有している」(同欄下から第3段落),「かりに,バイブレータ50が棒46に錠止され,ヘッド64とパッド67との間または縁部66と金属部69との間のいずれかで接触が生じないようにバイブレータ50の振動の振幅がなるように凹所65内にヘッド64が位置決めされていれば,バイブレータのすべての振動は,棒46,フランジ38およびベアリング39を介してスピンドル33へ伝達されることになる」(7欄第2段落,記載ケ),「多くの場合,上記の振動によって,穴あけされる材料例えば土層と接触する穴あけ工具を土層に十分に貫挿させることができる」(同欄同段落)との記載がある。
これら記載及び引用例の第2図の図示によれば,引用例には,スピンドル33がベアリング39を介してボディ37に接続されている穴あけ機において,記載ケによる位置決め,すなわち,「バイブレータ50が棒46に錠止され,ハンマ部材60のヘッド64とスピンドルの上方部に設けた凹所65内のパッド67との間,又はハンマ部材60の縁部66と凹所65内の金属部69との間のいずれかで接触が生じないようにバイブレータ50の振動の振幅がなるように凹所65内にヘッド64が位置決め」されていれば,バイブレータ50の振動は,棒46,フランジ38及びベアリング39を介してスピンドル33へ伝達され,その往復振動によって,穴あけ工具を土層に十分に貫挿させることができる穴あけ機として当業者が認識,把握し得る構成が開示されているものと認められる。したがって,引用例発明において,バイブレータ50の往復振動はベアリング39を介してスピンドル33に伝達されることは明らかである。
(3) この点について,原告は,引用例(甲4)の「ベアリング39は,穴あけ機によって生ずる振動力と反復衝撃を緩衝することができる」(4欄下から第2段落)との記載を根拠に,「ベアリング39」は,「ハンマ部材60」の衝撃力又は往復振動力を伝達するものではなく,「振動力と反復衝撃を緩衝」するという,本件発明1の「軸受」とは逆の作用をするものであると主張する。しかしながら,記載ケのとおり,「バイブレータ50が棒46に錠止され,ヘッド64とパッド67との間または縁部66と金属部69との間のいずれかで接触が生じないようにハンマ部材60が位置決めされ」た場合,バイブレータ50で発生した振動をスピンドル33へ伝達するための伝達経路としては,引用例発明の構成上,ベアリング39が相当であると認められ,そのように条件を特定した場合には,ベアリング39が,バイブレータ50からの振動をスピンドル33へ伝達し,本件発明1の「軸受」と同様,往復振動力の伝達機能を果たしていることは明らかである。原告主張に係る引用例の上記記載は,ハンマ部材により打撃をして穴あけを促進する場合に,ベアリング39が奏する緩衝機能をいうものと解されるから,上記判断を左右するものではない。
(4) 原告は,また,引用例発明においては,バイブレータ50で発生された振動が,スピンドル33への伝達と同時に回転テーブル25,チェイン21にも伝達されることを根拠に,「バイブレータのすべての振動がベアリング39を介してスピンドル33に伝達される」ことはないと主張するが,バイブレータ50の振動がベアリング39を介してスピンドル33に伝達される際に,すべての振動が伝達されるかどうかは,ベアリング39を介してスピンドル33へ振動が伝達されること自体の認定を左右するものではない。したがって,原告が主張するように,バイブレータ50で発生された振動は,スピンドル33への伝達と同時に回転テーブル25,チェイン21にも伝達されたとしても,バイブレータ50の振動がベアリング39を介してスピンドル33に伝達されることに変わりはなく,原告の上記主張は,採用することができない。
(5) 原告は,さらに,引用例発明の「ベアリング39」と本件発明1の軸受の配置位置について,本件発明1の「軸受け(55,56)」が,「主軸(21)の後端部」と「ロータハウジング(33)」との間に迂回することなく直結して配置されているのに対して,引用例発明の「ベアリング39」は「ボディ37」と「スピンドル33」との間に配置されている点で相違する旨主張する。しかしながら,上記の点は,審決において,「引用例記載の発明と本件発明1・・・とを対比すると,主軸の後端部を前記ロータハウジングに,軸受を介して回転自在に結合するための連結手段が,本件発明1・・・では,ロータハウジングと主軸の後端部を前記軸受を介して直接連結する構成であるのに対し,引用例記載の装置では,ボディ37,フランジ38,および棒46を介して連結する構成である点でのみ相違する」(審決謄本4頁下から第2段落)として,別途,相違点として認定され,この点について判断がされているのであるから,原告の上記主張は,審決を正解しないものというほかはなく,失当である。
(6) 以上によれば,引用例発明のベアリング39は,起振装置からの往復振動力を伝達する機能を有するという点で本件発明1の軸受と共通しているということができるから,これを一致点と認定した審決に誤りはなく,原告の取消事由1の主張は,採用することができない。
2 取消事由2(連結手段に係る一致点の認定の誤り)について (1) 原告は,引用例発明は本件発明1の「軸受」に相当するものを備えていないので,「軸受」を必須の構成とする本件発明1の「軸受を介して回転自在に結合するための連結手段」に相当するものを備えていない旨主張するが,引用例発明の「ベアリング39」が本件発明1の「軸受」に相当することは,前示のとおりである。また,上記1で検討したような記載ケを考慮した引用例発明の要旨によれば,本件発明1の軸受に相当するベアリング39を介して回転自在にスピンドル33とケーシング52とがボディ37,フランジ38及び棒46により結合されているから,後に相違点として検討する,直接連結するか否かの点は別として,引用例発明は本件発明1の「連結手段(48)」に相当するものを備えていることは明らかである。
なお,原告は,引用例発明は,本件発明1の構成要件中の「前記主軸ハウジング(15)から突出する前記主軸(21)の後端部を前記ロータハウジング(33)に,軸受(55,56)を介して回転自在に直接結合するための連結手段(48)」を備えていない点で構成が異なり,加えて,横振れが少なく,往復振動を効率的に伝えることができるなど,作用効果も相違するとして,審決の相違点の認定の誤りないし相違点の看過の主張もするが,上記1(5)のとおり審決のした相違点の認定に誤りはなく,また,作用効果の相違の点は,後記3(5)において判断するとおりであるから,独立した取消事由としては扱わない。
(2) 原告は,引用例発明が,本件発明1の「軸受を介して回転自在に結合するための連結手段」に相当するものを備えていないことの根拠として,引用例発明は「ハンマ部材60」でスピンドル33を打撃することを必須の構成とするものである旨主張するが,引用例発明において,ハンマ部材60でスピンドル33を打撃することと,本件発明1の軸受に相当するベアリング39を介して回転自在にスピンドル33とケーシング52とをボディ37,フランジ38及び棒46により結合することとは,何ら矛盾するものではないから,上記の点は,引用例発明が本件発明1の「連結手段(48)」に相当するものを備えていないとする原告の主張を基礎付けるものではない。
(3) 原告は,また,引用例発明は,「ハンマ部材」で打撃をする機構と機能を有し,同時に,従来の振動式の穴あけ機と同様に記載ケで説明された使用法を実現できるものであることを要する旨主張するが,記載ケに明記されているように,バイブレータ50を棒46に錠止し,ヘッド64とパッド67との間又はヘッドの縁部66と金属部69との間で接触が生じないようにハンマ部材60を位置決めした場合,ハンマ部材60はスピンドル33のパッド67,金属部69と接触しないので,ハンマ部材60でスピンドル33を打撃することはない。そして,記載ケのように条件を特定した場合に,記載ケから理解されるところに反してまで,特許請求の範囲に記載の「ハンマ部材」で打撃をする機構と機能を実現するべきものと読み取るべき根拠は見いだし難い。原告が指摘する引用例(甲4)の「この種の穴あけ機の1つは振動部分を備えており,この振動部分の振動は機械的または電磁的に発生せしめられるようになっている。・・・上述のような通常型式の穴あけ機は,あらゆる種類の材料に対する穴あけには容易に適用できない」(2欄第2〜第3段落)との記載も,従来の穴あけ機の欠点を示しているにすぎず,記載ケについての上記理解を左右するほどの根拠となるものではない。したがって,引用例発明が,「ハンマ部材」で打撃をする機構と機能を有し,同時に,記載ケで説明された使用法を実現できるものであることを要すると解すべきものではないから,原告の上記主張は,採用することができない。
(4) 以上のとおり,原告の取消事由2の主張は理由がない。
3 取消事由3(相違点の判断の誤り)について (1) 原告は,引用例発明は,「ハンマ部材(60)」により打撃をして穴あけを促進するものと,往復振動による穴あけの二つの機能を同一の機構で両立させることを前提とする発明であり,引用例には,審決でいう「バイブレータ50の振動をスピンドル33に確実に伝えるため,バイブレータとスピンドルを直接連結するよう構成する」との技術課題を当業者に想起させる記載はなく,示唆もないし,また,「バイブレータの振動をスピンドルへ確実に伝えるため,バイブレータとスピンドルを直接連結する構成」とすることは技術常識でもないと主張する。
しかしながら,引用例には,スピンドル33がベアリング39を介してボディ37に接続されている穴あけ機において,ハンマ部材60のヘッド64が記載ケのように位置決めされていれば,バイブレータ50の振動を棒46,フランジ38及びベアリング39を介してスピンドル33へ伝達し,その往復振動によって穴あけ工具を土層に十分に貫挿させることができる穴あけ機として当業者が認識,把握し得る構成が開示されていること,引用例発明が,スピンドル33をハンマ部材60により打撃をする穴あけと,スピンドル33の往復振動による穴あけの二つの機能を同一の機構で両立させることを前提とする発明であると解すべき根拠がないことは,前示のとおりである。そして,引用例の記載ケにおいては,「バイブレータのすべての振動は,棒46,フランジ38及びベアリング39を介してスピンドル33へ伝達されることになる」が,バイブレータ50の振動をスピンドル33へ伝達して穴あけする場合に,バイブレータの往復振動を,なるべく振動が減衰しないように,効率よく確実に伝達することが望ましいことは,自明の技術課題である。また,一般的に,振動を振動源から目的物に有効に伝えるには,なるべく伝達途中の介在物を減らして直接伝える方が有利なことは,技術常識に照らして明らかである。そうすると,審決の「記載ケのように,バイブレータ50のすべての振動をスピンドル33へ伝達しようとする場合,バイブレータ50の振動をスピンドル33に確実に伝えるため,バイブレータとスピンドルを直接連結するよう構成することは当業者であれば当然想到し得るものであって,格別なものではない」(審決謄本4頁最終段落)とした判断に誤りはなく,原告の上記主張は,採用することができない。
(2) 原告は,また,審決でいう「当業者であれば当然想到し得る」機構にすると,引用例発明は,バイブレータ50の振動をハンマ部材60の打撃に変えて掘削する機能と,バイブレータ50の往復振動力を棒46,フランジ38に伝達して掘削する機能を同時に実現することはできないので,引用例発明を本件発明1のように改造することは技術的に可能でない旨主張するが,引用例発明の要旨を,「ハンマ部材」で打撃をする機構と機能を有し,同時に,記載ケで説明された使用法を実現できるものであることを要すると解すべきものではないことは,前示のとおりであるから,原告の上記主張は,失当である。
(3) 原告は,引用例発明の「ボディ37およびフランジ38はケーシングの一部とみなせる」ことを前提に「前述したような構成と本件発明の構成とには実質的な差異がない」(審決謄本5頁第1段落)とした審決の判断は誤りである旨主張する。しかしながら,審決の相違点に係る構成についての容易想到性の判断に誤りがないことは,前示のとおりであるから,原告の指摘に係る上記の点は,審決の結論に影響を及ぼすものではない。
(4) なお,原告は,引用例に記載された「ボディ37」を「ケーシング52」の一部とみなすことができず,また,仮に,ケーシング52,棒46,フランジ38とそれに連なるボディ37を一体的な構造物としても,引用例発明は可動しない旨主張するが,これらの主張によっても,引用例発明の「ベアリング39」がその機能に照らし本件発明1の「軸受」に相当するとした審決の上記認定を覆すべき根拠は見いだせない。さらに,原告は,審決の「ボディ37はケーシング52の一部とみなすことができ」るとの判断及びこれを前提とする「引用例における『ベアリング39』もそれを介してケーシング(ロータハウジングに相当)とスピンドル(主軸に相当)を連結するものといえるから,本件発明の『軸受』に相当する」との認定は誤りである旨主張するが,原告が指摘する審決の上記箇所は,引用例発明の「ベアリング39」が本件発明1の「軸受」に相当しない旨の請求人(注,原告)の主張に対する付加的な説示である上,上記1において判示したとおり,引用例発明の「『ベアリング39』がその機能に照らし本件発明1における・・・『軸受』に,それぞれ相当する」(審決謄本4頁第1段落)とした審決の認定に誤りはないから,原告の上記指摘箇所における「ボディ37はケーシング52の一部とみなすことができ」るとの部分は,審決の結論に影響を及ぼすものではない。
(5) 原告は,さらに,本件発明1と引用例発明の連結手段に係る構成の相違に基づく作用効果の相違をも主張するが,その主張に係る,横振れが少なく,往復振動を効率的に伝えることができるとの本件発明1の作用効果は,引用例発明において,バイブレータ50とスピンドル33を直接連結することに伴い,当業者が当然予測し得る範囲内のものであって,格別に顕著なものということはできないから,引用例発明に基づく容易想到性の判断を左右するものではない。これと同旨をいうものと解される審決の判断に誤りはない。
(6) 以上のとおり,原告の取消事由3の主張は,いずれも採用の限りではない。
4 取消事由4(本件発明2の進歩性の判断の誤り)について 本件発明1が進歩性を欠くことは,以上のとおりであるから,その進歩性のあることを前提とする本件発明2に係る原告の取消事由4の主張は,理由がない。
5 以上のとおりであるから,原告主張の審決取消事由はいずれも理由がなく,他に審決を取り消すべき瑕疵は見当たらない。
よって,原告の請求は理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 篠原勝美
裁判官 岡本岳
裁判官 早田尚貴