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関連審決 審判1999-14693
関連ワード 特許を受ける権利 /  承継 /  進歩性(29条2項) /  容易に発明 /  一致点の認定 /  名義変更 /  容易に想到(容易想到性) /  実施 /  加工 /  拒絶査定 /  請求の範囲 /  変更 / 
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事件 平成 14年 (行ケ) 467号 審決取消請求参加事件
参加人 株式会社ヨシダキネン
訴訟代理人弁理士 鈴木正次
同 涌井謙一被参加事件原告(脱退)A
被告 特許庁長官今井康夫
指定代理人 大橋賢一
同 影山秀一
同 高木進
同 宮川久成
同 伊藤三男
裁判所 東京高等裁判所
判決言渡日 2003/08/20
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
主文 参加人の請求を棄却する。
訴訟費用は参加人の負担とする。
事実及び理由
請求
特許庁が平成11年審判第14693号事件について平成14年4月9日にした審決を取り消す。
当事者間に争いのない事実
1 特許庁における手続の経緯 Bは,平成9年5月26日,発明の名称を「チタン線の伸線方法及び装置」とする特許出願(特願平9-134940号,以下「本件出願」といい,その発明を「本願発明」という。)をしたが,平成11年8月31日,拒絶査定を受けたので,同年9月10日,これに対する不服の審判の請求をした。
Bは,平成13年2月25日に死亡し,被参加事件原告が本件出願に係る特許を受ける権利を相続により承継した。
特許庁は,同請求を平成11年審判第14693号事件として審理した上,平成14年4月9日に「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決をし,その謄本は,同月30日,被参加事件原告に送達された。
参加人は,被参加事件原告から本件出願に係る特許を受ける権利を譲り受け,同年5月31日その旨の出願人名義変更届がされ,被参加事件原告は訴訟から脱退した。
2 平成14年1月18日付け手続補正書により補正された願書に添付した明細書(以下「本件明細書」という。)の特許請求の範囲の記載 【請求項1】チタン線素材をローラダイスにより伸線する方法において,ローラダイスの軸線の角度を90度以下の角度にしたローラダイスの数対を1ブロックローラダイスとし,複数ブロックローラダイスを直列に配列し,各ブロック間又は複数ブロック間にチタン線素材の引張り手段を介装させると共に,前記各1対のローラダイスの減面率を3%未満とすることを特徴としたチタン線の伸線方法。
【請求項2】チタン線素材の材質は,チタン及びチタン合金としたことを特徴とする請求項1記載のチタン線の伸線方法。
(以下,【請求項1】,【請求項2】に係る発明を「本願発明1」,「本願発明2」という。) 3 審決の理由 審決は,別添審決謄本写し記載のとおり,本願発明1,2は,いずれも特開昭62-228336号公報(甲3,以下「刊行物1」という。)及び特開昭58-61994号公報(甲4,以下「刊行物2」という。)に記載された発明(以下「刊行物1発明」,「刊行物2発明」という。)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであるとした。
参加人主張の審決取消事由
審決は,本願発明1と刊行物1発明との一致点の認定を誤り(取消事由1),本願発明1と刊行物1発明との相違点についての判断を誤り(取消事由2),本願発明2の進歩性の判断を誤った(取消事由3)ものであるから,違法として取り消されるべきである。
1 取消事由1(本願発明1と刊行物1発明との一致点の認定の誤り) 審決は,本願発明1と刊行物1発明との一致点として,「チタン線素材をローラダイスにより伸線する方法において,ローラダイスの軸線の角度を90度の角度にしたローラダイスの数対を1ブロックローラダイスとすることを特徴としたチタン線の伸線方法」(審決謄本4頁第2段落)と認定したが,誤りである。本願発明1のローラダイスの軸線の角度は,「90度以下の角度」であるから,「90度の角度」に限定されない。また,本願発明1は,ローラダイスの数対を1ブロックローラダイスとしているが,刊行物1発明では,3対を1ブロックローラダイスとし,数対ではない。
2 取消事由2(本願発明1と刊行物1発明との相違点についての判断の誤り) 審決は,本願発明1と刊行物1発明との相違点として認定した,「本願発明1が『複数ブロックローラダイスを直列に配列し,各ブロック間又は複数ブロック間にチタン線素材の引張り手段を介装させると共に,前記各1対のローラダイスの減面率を3%未満とする』のに対し,引用発明(注,刊行物1発明)は,1ブロックローラーダイスであって,1組のカセットローラダイスの減面率を明記していない点」(審決謄本4頁第3段落)について,「個々のローラダイスの減面率に関し,引用発明(注,刊行物1発明)のような1ブロックローラダイスの場合の設定方法を,刊行物2(注,甲4)に前記記載されるような複数ブロックローラダイスの場合に適用することに,格別の困難性があるとは認められない」(同頁第5段落)と判断したが,誤りである。ローラダイスが3対の場合と6対の場合は,減面率が当然異なる。また,チタン線の場合には,チタン線の直径によっても異なり,例えば,直径5mmのチタン線では減面率5%で伸線できても,直径3mmのチタン線では減面率を5%にすると焼付けを生ずるため,本願発明1においては,直径2mmでも焼付けを生じない減面率3%未満を選定したものである。さらに,カセットローラダイス3対のブロックの場合と,6対のブロックの場合とでは,同一減面率で運転した場合に,6対のブロックの場合の方が,高速,連続,近接の伸線においては,材料の変形抵抗が小さくなるから,焼付けを生じ難い。このように,素材の直径,加工速度,カセットローラの対数により,焼付けの難易が異なるので,一概に多数ブロックに適用することはできない。刊行物2(甲4)は,「溶接ワイヤの伸線方法」に関する発明であって,材質が「ワイヤ」であり,「伸線時の潤滑剤を使用しないこと」(2頁右上欄)及び「ワイヤの合わせ目間隙を極めて僅少にし得る」(同)ことを目的としたものであり,同目的を達成する効果があった(3頁右上欄〜左下欄)とされている。すなわち,刊行物2には,カセットローラダイスの複数ブロックを使用したところ,フラックスワイヤの伸線方法(用途)に関し,伸線時の潤滑剤が不要になり,その合わせ目間隙を極めて僅少にした(効果)と記載されているが,極めて焼き付けし易いチタン及びチタン合金の伸線加工について,減面率,伸線速度及びブロック数は,何ら示唆されていない。さらに,本願発明1で減面率を3%未満とするのは,焼付けを防止するためだけではなく,肌荒れなどの問題もあり,伸線スピード及び素材の直径にも関係があるので,これらを勘案することは容易でないから,1ブロックローラダイスの場合の設定手法を複数ブロックの場合に適用することは容易でない。
3 取消事由3(本願発明2の進歩性の判断の誤り) 本願発明2は,本願発明1の「チタン線素材」の材質を「チタン及びチタン合金」に特定したものであるところ,上記のとおり,審決の本願発明1についての判断は誤りであるから,本願発明2の進歩性について,「本願発明1と同様の理由により,刊行物1,2(注,甲3,4)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができた」(審決謄本5頁第3段落)とした審決の判断も誤りである。
被告の反論
審決の認定判断は正当であり,参加人主張の取消事由はいずれも理由がない。
1 取消事由1(本願発明1と刊行物1発明との一致点の認定の誤り)について 「90度以下」との表現は,通常,「90度」を含むものであるところ,本件明細書(甲2-1)には,「実施に際しては,ローラ直径,伸線製品の径などを勘案して定めるが,90度は多種の材質の加工に実績があり・・・特別の加工条件がない限り,隣接ローラダイスの軸の中心線の角度は90度と45度が最も多く用いられる」(段落【0011】)と記載され,本願発明1の「90度以下」には,その表現どおり「90度」が含まれるから,その場合に,刊行物1発明と一致するとした審決に誤りはない。また,本件明細書には,「ブロックローラダイスを構成するローラダイスの数を数対例えば(5〜6対)以下にすると,加工能率を低下させるので,線素材の抗張力の耐え得る範囲内で,ローラダイスの対数を増加させる」(段落【0009】)と記載されているが,同記載は,数対」の一例として「5〜6対以下」の場合の加工能率について言及するものであって,本願発明1の「数対」が,2対,3対の場合が加工能率の低い実施態様であるということはできても,2対,3対の場合を除外する趣旨であると解することはできない。一方,本件明細書には,「この発明(注,本願発明)におけるローラダイスは,例えばカセットローラダイス・・・であって」(段落【0005】)と記載されているところ,刊行物1(甲3)には,「互いに隣接するローラー軸が垂直になるよう配置された2以上のカセットローラダイスを設け」(2頁右上欄)と,刊行物2(甲4)には,「1ブロック(1スタンド)の単位カセットローラダイスの数は少なくとも2個必要であり」(3頁左上欄)と記載されていることから,カセットローラダイスにおける伸線では,1ブロック最低2対のローラダイスを用いていると解される。そうすると,本願発明1の「ローラダイスの数対を1ブロックローラダイスとする」の「数対」は,2以上の対の意味であり,刊行物1発明の「3対」を含むというべきであるから,この点についても,審決の一致点の認定に誤りはない。
2 取消事由2(本願発明1と刊行物1発明との相違点についての判断の誤り)について 刊行物1(甲3)には,「このようなカセットローラーダイス5は通常,互いに隣接するローラー軸が垂直になるよう複数組,好ましくは3組もしくはそれ以上接合されて使用されるものである。・・・さらにカセットローラーダイス5は摩擦抵抗の向きが中立点で逆転するので摩擦抵抗は穴ダイスに比べて小さく,引抜力が大幅に低下し,穴ダイスで生ずる焼付けが生じない利点を有する。・・・このカセットローラーダイス5による伸線はカセットのセット数に応じて線材1の減面率を上記の如き利点をもちながら適宜に変えることができ」(2頁左下欄〜右下欄)と記載され,同記載は,カセットローラダイスでは,摩擦が小さいために焼付けがないこと,すなわち,焼付けは,ダイスと伸線素材との摩擦発熱により生ずること,カセットローラダイスでは,焼付けが生じないように,セット数(対数)により全体の減面率を変更すること,すなわち,個々のカセットローラダイスの減面率は,焼付けが生じない値に設定されていることを開示するものである。そうすると,この記載から,ダイスと伸線素材との摩擦発熱やその放熱に影響を与える加工条件である素材直径,加工速度(伸線スピード),ローラダイス対数,ローラダイス間隔等を,1対のローラダイスの減面率の設定に当たり考慮することは,当業者にとって自明のことであり,しかも,これらの加工条件は,1ブロックローラダイスと複数ブロックローラダイスに共通のものであるから,この設定手法は,どちらの場合にも容易に適用可能なものである。参加人は,減面率には肌荒れ等の問題も関係するとして,適用の困難性を主張するが,本願発明1で減面率は,焼付け防止の観点で設定されているのであって,肌荒れは,焼付けから派生しているにすぎず,また,伸線スピードや素材直径が関係するとしても,それは,焼付けに影響を与える加工条件であることによると解されるから,本願発明1の減面率の設定手法は,刊行物1記載の減面率の設定手法と実質的に差異がないものと解される。また,審決は,刊行物2から,複数ブロックローラダイス構造を引用しているのであって,チタン及びチタン合金の伸線加工について引用しているものではない。
3 取消事由3(本願発明2の進歩性の判断の誤り)について 審決の本願発明1についての判断に誤りはないから,参加人の取消事由3の主張は,前提において失当である。
当裁判所の判断
1 取消事由1(本願発明1と刊行物1発明との一致点の認定の誤り)について (1) 参加人は,本願発明1と刊行物1発明との一致点として,「チタン線素材をローラダイスにより伸線する方法において,ローラダイスの軸線の角度を90度の角度にしたローラダイスの数対を1ブロックローラダイスとすることを特徴としたチタン線の伸線方法」(審決謄本4頁第2段落)とした審決の認定について,本願発明1のローラダイスの軸線の角度は,「90度以下の角度」であり,「90度の角度」に限定されないから,誤りであると主張する。
しかしながら,「90度以下」は,通常,「90度」を含むものであるところ,本件明細書(甲2-1)においても,「実施に際しては,ローラ直径,伸線製品の径などを勘案して定めるが,90度は多種の材質の加工に実績があり・・・特別の加工条件がない限り,隣接ローラダイスの軸の中心線の角度は90度と45度が最も多く用いられる」(段落【0011】)と記載され,本願発明1に係る請求項1の「90度以下」が「90度」を含むものとして使用されていることが明らかであるから,参加人の上記主張は失当というほかない。
(2) また,参加人は,本願発明1は,ローラダイスの数対を1ブロックローラダイスとしているが,刊行物1発明では,3対を1ブロックローラダイスとし,数対ではないとも主張する。
「数」の語は,通常,「二〜三あるいは五〜六の少ない数を漠然と示す語」(広辞苑第5版)として理解されているところ,本件明細書(甲2-1)の「またブロックローラダイスを構成するローラダイスの数を数対例えば(5〜6対)以下にすると,加工能率を低下させるので,線素材の抗張力の耐え得る範囲内で,ローラダイスの対数を増加させる」(段落【0009】)との記載は,「5〜6対」を「数対」の例とし,「数対例えば(5〜6対)」以下にすると加工能率が低下することについて言及していることが認められるが,「数対」自体の意味が定義されているものではない。また,「数対例えば(5〜6対)以下にすると,加工能率を低下させる」との記載の意味について見ると,「A以下」との語がAもその範囲として含むものと理解されている通常の用法に従えば,「5〜6対」自体も加工能率が低下するものとなるが,そのように解することはできず,上記記載の「数対(5〜6対)以下」は,「2〜4」の趣旨と認められ,2〜4対の場合には加工能率が低下することが示唆されているものと解することはできるものの,更に進んで,「数対」が「2〜4対」を除外している趣旨まで含むものと解することはできない。したがって,参加人の上記主張も採用することができない。
(3) 以上によれば,参加人の取消事由1の主張は理由がない。
2 取消事由2(本願発明1と刊行物1発明との相違点についての判断の誤り)について (1) 参加人は,素材の直径,加工速度,カセットローラの対数により,焼付けの難易が異なるので,一概に多数ブロックに適用することはできないから,「個々のローラダイスの減面率に関し,引用発明(注,刊行物1発明)のような1ブロックローラダイスの場合の設定方法を,刊行物2(注,甲4)に前記記載されるような複数ブロックローラダイスの場合に適用することに,格別の困難性があるとは認められない」(審決謄本4頁第6段落)とした審決の判断は誤りであると主張する。
しかしながら,本件明細書(甲2-1)には,「前記発明において,隣接ローラダイスの一対のリダクション(注,減面率)を3%以上にすると,ローラ面と,チタン線外壁との間の辷り量が大きくなって焼付を生じる(特に常温伸線の場合)おそれがあり,焼付を生じると,加工済細線の肌荒れを生じ,或いは細傷の原因となり,或いは局部的ストレスの残留原因になるなど,製品の表面精度及び品質の均一性を損するおそれがあった」(段落【0008】),「この発明によれば,各ローラダイスの減面率を,チタン線素材が加圧成形に際して焼付を生じない程度(例えば3%未満)としたので,高速加圧成形した場合であっても,常時光沢のある表面無傷のチタン細線を得ることができる効果がある」(段落【0018】)との記載があり,これらの記載によれば,本願発明1に係る請求項1においてローラダイスの減面率を3%未満と規定する趣旨は,チタン線素材の焼付けを防止することにあると認められる。刊行物1(甲3)には,「カセットローラーダイス5は摩擦抵抗の向きが中立点で逆転するので摩擦抵抗は穴ダイスに比べて小さく,引抜力が大幅に低下し,穴ダイスで生ずる焼付けが生じない利点を有する。
・・・このカセットローラーダイス5による伸線はカセットのセット数に応じて線材の減面率を上記の如き利点をもちながら適宜に変えることができ」(2頁左下欄〜右下欄)と記載され,摩擦による焼付けが生じないこと,カセット(ローラダイス)のセット数に応じて減面率を変更することができることが開示されている。また,刊行物2(甲4)には,「第1図は本発明(注,刊行物2発明)の伸線工程の一実施例で,1は供給リール,2は該リール1から巻戻し供給されるワイヤ素線,3は該素線2を通すカセットローラダイス(図ではローラダイスを3個組合わせている),4は該カセットローラダイス3の出側に配置した線材引張り用キャプスタンであり,図示の例ではこれらカセットローラーダイス3およびキャプスタン4の組を合計8組連続して配列し,線材を段階的に伸線している」(2頁左下欄)と記載され,ローラダイス(刊行物1発明の「カセットローラダイス」に相当する。)を3個組み合わせたカセットローラダイス(本願発明1の「ブロックローラダイス」に相当する。)と引っ張り手段であるキャプスタンの組を複数連続して配列して伸線する方法が開示されている。
そうすると,1ブロックのローラダイスを複数ブロックのローラダイスとする際,すなわち,刊行物1発明に刊行物2発明を適用する際に,全体のローラダイスの数に応じて焼き付き等の問題を勘案して減面率を適宜変更することは,当業者が容易に想到し得ることであると認められる。したがって,審決の上記判断が誤りであるということはできない。
(2) 参加人は,本願発明1で減面率を3%未満とするのは,焼付けを防止するためだけではなく,肌荒れなどの問題もあり,伸線スピード及び素材の直径にも関係があるので,これらを勘案することは容易でないから,1ブロックローラダイスの場合の設定手法を複数ブロックの場合に適用することは容易でないと主張するが,本願発明1に係る請求項1において規定する減面率が,チタン線素材の焼付け防止の観点から設定されているものであることは,上記のとおりである。また,肌荒れの点は,焼付けから派生する問題にすぎないし,伸線スピードや素材の直径が関係するとしても,焼付けに影響を与える加工条件であると解されるから,参加人の上記主張は,容易想到性の判断を左右するものではない。
参加人は,また,刊行物2には,極めて焼付けし易いチタン及びチタン合金の伸線加工について,減面率,伸線速度及びブロック数は,何ら示唆されていないと主張するが,審決は,刊行物2から,複数ブロックローラダイス構造を引用しているのであって,チタン及びチタン合金の伸線加工について引用しているものではないから,参加人の上記主張は,審決を正解しないものであり,失当である。
(3) 以上によれば,参加人の取消事由2の主張は理由がない。
3 取消事由3(本願発明2の進歩性の判断の誤り)について 参加人は,審決の本願発明1についての判断は誤りであるから,本願発明2の進歩性について,「本願発明1と同様の理由により,刊行物1,2(注,甲3,4)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができた」(審決謄本5頁第3段落)とした審決の判断も誤りであると主張するが,上記のとおり,審決の本願発明1についての判断に誤りはないから,参加人の取消事由3の主張は,前提において失当であり,採用することができない。
4 以上のとおり,参加人主張の取消事由はいずれも理由がなく,他に審決を取り消すべき瑕疵は見当たらない。
よって,参加人の請求は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 篠原勝美
裁判官 岡本岳
裁判官 早田尚貴