関連審決 | 異議2001-73532 訂正2003-39124 |
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関連ワード | 進歩性(29条2項) / 容易に発明 / 設定登録 / 請求の範囲 / 減縮 / 取消決定 / |
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事件 |
平成
15年
(行ケ)
258号
特許取消決定取消請求事件
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原告 株式会社イシダ 訴訟代理人弁理士 福岡正明 被告 特許庁長官今井康夫 指定代理人 砂川克 同 番場得造 同 大野克人 同 涌井幸一 |
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裁判所 | 東京高等裁判所 |
判決言渡日 | 2003/09/25 |
権利種別 | 特許権 |
訴訟類型 | 行政訴訟 |
主文 |
1 特許庁が異議2001−73532号事件について平成15年5月6日にした決定を取り消す。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 |
事実及び理由 | |
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全容
1 原告の請求 (1) 主文第1項と同旨 (2) 訴訟費用は被告の負担とする。 2 当事者間に争いのない事実 (1) 特許庁における手続の経緯 原告は,発明の名称を「ラベルプリンタ」とする特許第3183621号(平成8年2月15日出願。平成13年4月27日設定登録。以下「本件特許」という。請求項の数は1である。)の特許権者である。 本件特許の請求項1に関し,平成13年12月27日,特許異議の申立てがあり,特許庁は,これを異議2001-73532号事件として審理した。原告は,この審理の過程で,本件出願の願書に添付した明細書の訂正を請求した(以下「本件訂正請求」という。)。特許庁は,審理の結果,平成15年5月6日,「訂正を認める。特許第3183621号の請求項1に係る特許を取り消す。」との決定(以下「本件取消決定」という。)をし,平成15年5月19日に,その謄本を原告に送達した。 (2) 審決の理由 本件審決の理由は,要するに,本件訂正請求を認めた上で,本件訂正請求に係る発明は,引用各刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法29条2項に該当し,特許を受けることができない,というものである。 (3) 訂正審決の確定 原告は,本訴係属中,平成15年6月17日付けで,本件特許出願の願書に添付した明細書につき,特許請求の範囲に係るものを含む訂正の審判を請求した。 特許庁は,これを訂正2003-39124号事件として審理し,その結果,平成15年8月27日に上記訂正を認める審決(以下「本件訂正審決」という。)をし,これが確定した。 (4) 本件訂正審決による特許請求の範囲に係る訂正の内容 (ア) 本件訂正請求による訂正前の特許請求の範囲 「【請求項1】 所定の通常データが印字された通常ラベルを発行する通常ラベル印字部と,上記通常データとは異なる所定の臨時データが印字された臨時ラベルを発行する臨時ラベル印字部とが備えられたラベルプリンタであって,ラベルを貼付する商品を指定する商品指定手段と,ラベルに印字するデータを通常データと臨時データとに分類して商品毎に記憶する印字データ記憶手段と,上記指定手段で指定された商品に関する上記記憶手段で記憶された印字データ中に,臨時データが含まれていないときは通常データのみが印字された通常ラベルを通常ラベル印字部に発行させ,臨時データが含まれているときには該臨時データと通常データとが合わせて印字された臨時ラベルを臨時ラベル印字部に発行させる印字制御部とが備えられていることを特徴とするラベルプリンタ。」 (イ) 本件訂正請求による訂正後の特許請求の範囲(下線部が訂正個所である。) 「【請求項1】 所定の通常データが印字された通常ラベルを発行する通常ラベル印字部と,上記通常データとは異なる所定の臨時データと 上記通常 データ とが印字された臨時ラベルを発行する臨時ラベル印字部とが備えられたラベルプリンタであって,ラベルを貼付する商品を指定する商品指定手段と,ラベルに印字するデータを通常データと臨時データとに分類して商品毎に記憶する印字データ記憶手段と,上記指定手段で指定された商品に関する上記記憶手段で記憶された印字データ中に,臨時データが含まれていないときは通常データのみが印字された通常ラベルを通常ラベル印字部に発行させ,臨時データが含まれているときには該臨時データと通常データとが合わせて印字された臨時ラベルを臨時ラベル印字部に発行させる印字制御部とが備えられていることを特徴とするラベルプリンタ。」 (ウ) 本件訂正審決による訂正後の特許請求の範囲(下線部が訂正個所である。) 「【請求項1】 所定の通常データが印字された通常ラベルを発行する通常ラベル印字部と,上記通常データとは異なる少なくとも 値引価格 を含む臨時 データ と上記通常 データ とが 印字された臨時ラベルを発行する臨時ラベル印字部とが備えられたラベルプリンタであって,ラベルを貼付する商品を指定する商品指定手段と,ラベルに印字するデータとして通常 データ と臨時 データ としての 値引価格 とを 商品毎に記憶する印字データ記憶手段と,上記指定手段で指定された商品に関する上記記憶手段で記憶された印字データ中に,上記値引価格が含まれていないときは通常データのみが印字された通常ラベルを通常ラベル印字部に発行させ,値引価格が含まれているときには,上記通常 ラベル 印字部 を作動 させることなく ,その 値引価格 と通常データとが合わせて印字された臨時ラベルを臨時ラベル印字部に発行させる印字制御部とが備えられていることを特徴とするラベルプリンタ。」3 当裁判所の判断 前記当事者間に争いのない事実の下では,本件特許請求の範囲請求項1について,特許法29条2項に違反して登録された特許であることを理由にこれを取り消した本件取消決定の取消しを求める訴訟の係属中に,特許請求の範囲の減縮を含む訂正の審判の請求がなされ,特許庁は,同請求を認めるとの本件訂正審決をし,これが確定した,ということができる。本件取消決定は,これにより,結果として,判断の対象となるべき発明の認定を誤ったことになる。この誤りが本件取消決定の結論に影響を及ぼすことは明らかである。したがって,本件特許請求の範囲請求項1に係る特許を取り消した本件取消決定は,取消しを免れない。 4 以上によれば,本訴請求は理由がある。そこで,これを認容し,訴訟費用の負担については,原告に負担させるのを相当と認め,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法62条を適用して,主文のとおり判決する。 |
裁判長裁判官 | 山下和明 |
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裁判官 | 阿部正幸 |
裁判官 | 高瀬順久 |