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関連ワード 技術的範囲 /  発明の詳細な説明 /  援用権(援用) /  特許発明 /  構成要件 /  侵害 /  請求の範囲 / 
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事件 平成 15年 (ネ) 797号 損害賠償請求控訴事件

控訴人(1審原告) サソーグラインドスポーツ株式会社
同訴訟代理人弁護士 水田博敏
同 廣井正則
同訴訟復代理人弁護士 太田尚成
同 坂下宗生
同補佐人弁理士 手島孝美
被控訴人(1審被告) 住友ゴム工業株式会社
同訴訟代理人弁護士 小松 陽一郎
同 福田 あやこ
同 宇田浩康
同 井崎康孝
同 辻村和彦
同補佐人弁理士 深見久郎
同 仲村義平
同 苗村正
同 住友 慎太郎
裁判所 大阪高等裁判所
判決言渡日 2003/12/18
権利種別 特許権
訴訟類型 民事訴訟
主文 1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は、控訴人の負担とする。
事実及び理由
控訴の趣旨
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人は、控訴人に対し、3億円及びこれに対する平成13年10月12日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3 訴訟費用は、第1、2審とも被控訴人の負担とする。
事案の概要
1 本件は、「メタルウッドクラブ」の特許発明の特許権者である控訴人が、被控訴人に対し、被控訴人の製造、販売するメタルウッドクラブは上記特許発明技術的範囲に属すると主張して、特許権侵害に基づく損害賠償を請求した事案である。
原判決は、被控訴人の製造、販売するメタルウッドクラブは上記特許発明技術的範囲に属するとは認められないとして、控訴人の請求を棄却したため、控訴人が本件控訴を提起した。
(以下、控訴人を「原告」、被控訴人を「被告」という。) 2 当事者間に争いのない事実等及び争点は、次のとおり付加、訂正等するほかは、原判決2頁5行目から3頁11行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。
(1) 2頁13行目の「範囲」の後に「のうち請求項1」を加え、同行目の「別紙」を「原判決別紙」と改め、同17行目の「@」、同18行目の「、」及び同19行目の「A」を各削る。
(2) 2頁20行目の次に改行して、次のとおり加える。
「 なお、構成要件Bを、次のとおりさらに構成要件B@と構成要件BAに分説することが相当であるか否かについては、後記のとおり当事者間に争いがある。
B@ ヘッド背面はヘッド投影平面においてその最後方点とトウ側との間の曲率半径を上記最後方点とヒール側との間の曲率半径に比して大きくして、
BA 全体として上記最後方点とヒール側との間が膨出した輪郭形状を含む」
争点に関する当事者の主張
次のとおり付加、訂正するほかは、原判決3頁13行目から26頁17行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。
1 3頁14行目の次に改行して、次のとおり加える。
「(1) 構成要件Bの分説方法について ア 構成要件Bのうち、「ヘッド背面はヘッド投影平面においてその最後方点とトウ側との間の曲率半径を上記最後方点とヒール側との間の曲率半径に比して大きくして」の部分(以下「前半部分」という。)と、「全体として上記最後方点とヒール側との間が膨出した輪郭形状を含む」の部分(以下「後半部分」という。)は、相互に密接不可分の関係にあるから、構成要件Bをさらに分説することは相当ではない。その理由は、次のイ及びウのとおりである。
イ 文理解釈上の不合理性 「大きくして」の「て」という接続助詞は、同接続助詞により接続される二つの文章が前文と後文とで異なる動作や内容を表す場合は、推移及び原因の意味で、前文と後文が同じ動作や内容を表す場合は、手段方法の意味で用いられる。
構成要件Bの前半部分と後半部分は、いずれもヘッド背面の一つの輪郭形状について説明している文章であるから、上記「て」という接続助詞は、前半部分が後半部分の手段方法を表していると読むのが文法上自然である。
さらに「全体として」という部分は、ある事柄を全般的、概括的に考え、又は結論づける意味で用いられると考えられるから(甲27の1・2、28)、構成要件Bは、「ヘッド背面はヘッド投影平面においてその最後方点とトウ側との間の曲率半径を上記最後方点とヒール側との間の曲率半径に比して大きくして(という手段方法により)全体として(把握したときには)上記最後方点とヒール側との間が膨出した輪郭形状を含む」という一連の文章として判断されるべきである。
ウ 本件明細書の発明の詳細な説明及び図面の記載との整合性 (ア) 特許発明技術的範囲は、願書に添付した明細書の特許請求の範囲に基づいて定められるが、特許請求の範囲の用語の意義が一義的に解釈できない場合には、発明の詳細な説明及び図面を考慮することができる。
当該特許発明の内容を正確に理解するためには、発明の詳細な説明及び図面との整合性を検討する必要がある。
(イ) 本件明細書の発明の詳細な説明及び図面によると、本件特許の本質的な内容は、従来のメタルウッドクラブは、ヘッド投影平面の最後方点とトウ側との間を、最後方点とヒール側(シャフト側)との間に比して大きな曲がりでもって膨出した形状にし、ヘッド重心をトウ側に位置させインパクト時のヘッド速度の向上を図っていたところ、このような従来の方法ではヘッド重心がトウ側にあるために、インパクト直前にトウ側のかぶり現象とその反作用としてのヒール側のひけ現象が生じて、ヘッド速度が減退するという欠点があったため、逆に最後方点とヒール側との間の輪郭形状を大きな曲がりでもって膨出させたところにあることが理解される。
(ウ) 「膨出」という用語及び「容量配分としてほぼ対称形状からシャフト域側に偏在」(【0006】)という文だけからは、従来のメタルウッドクラブの背面形状のように丸く膨出している場合だけでなく、多角形状に膨出している場合や一部がこぶ状に膨出している場合も含む可能性がある。
しかし、本件発明は、前記(イ)のとおり、従来のメタルウッドクラブを改良することを目的としているものであるから、多角形状やこぶ状は本来的に含んでおらず、従来のメタルウッドクラブのように丸く膨出している形状に限定されているというべきである。
(エ) 以上のように、従来のメタルウッドクラブを改良するという本件発明の目的を達成する上で、「曲率半径」及び「膨出」は、相互に関連した技術的事項であり、密接不可分の関係で用いられているから、構成要件Bにおける「曲率半径」は、構成要件Bにおける「膨出」の形状を、丸く膨出した形状に特定しているとの解釈を採らなければ、本件明細書の発明の詳細な説明及び図面との間の整合性を保つことができない。
したがって、構成要件Bをさらに構成要件B@と構成要件BAに分説することは相当ではない。」 2 3頁15行目冒頭の「(1)」を「(2)」と改める。
3 4頁1行目から2行目にかけての「規定がある。」の後に「なお、「トー」は「トウ」と、「フェース」は「フェイス」と同義である(以下同じ)。」を、同6行目の「設置する状態」の後に「、すなわちヘッドが自然に置かれて重心によって決まる状態」を各加え、同7行目の「田中」を「市村」と改め、同9行目の「Royal」の前に「The 」を加え、同10行目の「略称「R&A」」を「以下「R&A」という。」と改め、同11行目の次に改行して、次のとおり加える。
「 なお、ライ角とは、マスターモデル(製品ヘッドを製造するための原型モデル)を「通常のアドレスポジション」に置いたときに、ホーゼル部の中心軸線、すなわちシャフト軸線が、水平面となす角度として定義される。実際の製品ヘッドには製造誤差があるから、ライ角を基準にしてインパクト時の理想的な状態を再現しヘッド投影平面を定めることはできない。」 4 4頁14行目の「上記」を「前記」と、5頁3行目及び同25行目の各「別紙」をいずれも「原判決別紙」と、同11行目の「トー」を「トウ」と各改める。
5 6頁14行目冒頭の「(2)」を「(3)」と、同15行目の「上記」を「前記」と各改める。
6 7頁7行目、同11行目及び同19行目の各「上記」をいずれも「前記」と改め、同10行目の次に改行して、次のとおり加える。
「 ヘッド背面の輪郭形状のうち、トウ部分については、インパクト時の衝撃に耐えられるようにフェイス面の外縁よりも外側方に張り出した形状にする必要があり、ヒール部分についても、シャフト取付けのための十分な強度を確保できる形状にする必要がある。また、ヘッド背面は凹凸のない滑らかな形状にしなければならないから、ヘッド背面の最後方点付近にも、本件発明の意図する輪郭形状をつなぐ形状部分を設ける必要がある。
したがって、最後方点とトウ側との間のほぼ全部と、最後方点とヒール側との間のほぼ全部について曲率半径及び膨出の有無を比較することは、上記のとおり他の条件により決定されるトウ部分、ヒール部分及び最後方点付近の部分をも比較対象とすることになり、不当である。
特に、最後方点をヒール側に移動させて、最後方点とヒール側との間が膨出した輪郭形状を得ようとする場合には、膨出の範囲が最後方点付近の狭い範囲でしか現われず、しかも膨出の範囲が小さいこともある。
膨出の範囲が狭いことを理由に、被告製品が本件発明の技術的範囲に属しないということはできない。」 7 7頁25行目冒頭の「(3)」を「(4)」と改める。
8 8頁15行目の「Choice」を「ゴルフダイジェストチョイス」と改め、同18行目の次に改行して、次のとおり加える。
「(1) 構成要件Bの分説方法について 構成要件の分説は、特許請求の範囲の記載を理解しやすくするとともに被告製品の構成との対比の便宜のためにされるものにすぎない。侵害物件が特許発明技術的範囲に属するというためには、侵害物件が原則として特許発明の技術的構成の全てを充足していることが必要なのであって、本件においては、被告製品が構成要件Bの内容をなす技術的構成を全て充足している必要がある。このことは、構成要件Bをさらに構成要件B@と構成要件BAに分説するか否かによって異なるものではない。」 9 8頁19行目冒頭の「(1)」を「(2)」と改める。
10 9頁3行目の「平面上に」を「水平面上に」と改め、同4行目の「解すべきではない。」の後に「市販のメタルウッドクラブのヘッドのソールは、全てがフラットではなく、湾曲面や傾斜面が含まれ、中には傾斜面の組み合わせからなるものもある。そのようなヘッドを水平面上に自然に置くと、ヘッドが大きく傾いた状態で水平面上に設置される場合や、複数の異なる状態で水平面上に設置される場合も生じる。」を、同7行目の「解すべきである。」の後に「原告は、メタルウッドクラブのヘッドには製造誤差があることを根拠に、ライ角を基準にしてヘッド投影平面を定めることはできない旨主張するが、メタルウッドクラブは工業的に確立した製法により量産されるものであるから、製造誤差を考慮する必要はない。」を各加え、同12行目の「上記」を「前記」と、同18行目の「フェース」を「フェイス」と各改める。
11 10頁17行目冒頭の「(2)」を「(3)」と、同20行目の「別紙」を「原判決別紙」と、同25行目の「上記(1)ウ」を「前記(2)ウ」と各改める。
12 11頁1行目の「別紙」を「原判決別紙」と、同6行目の「上記(1)ウ」を「前記(2)ウ」と各改め、同12行目の次に改行して、次のとおり加える。
「ウ また、下記のTYPE5の測定方法によった場合にも、被告製品が構成要件B@及び構成要件BAを充足しないことは、SRIスポーツ株式会社技術部C作成に係る平成15年7月18日付け「ドライバーヘッドの形状測定方法の追加(TYPE5)について」と題する報告書(乙32。以下「SRI報告書」という。)によれば、被告製品のトウ側の曲率半径がヒール側の曲率半径よりも大きくなるのは最後方点から15度の範囲のみであり、ヒール側の各点のy値がそれぞれに対応するトウ側の各点のy値より大きくなるのは最後方点から60度のポイントのみであることから明らかである。
記 TYPE5 投影平面 ヘッドをライ角どおりにテーブルに設置し真上から見た投影平面 x 軸 y軸に直交する方向 y 軸 被測定物の重心からクラブフェイス面上の重心点を結ぶ線が投影平面上に投影される線 最後方点 y軸と平行な線がヘッドの背面側でその輪郭線と交わる場合に、
そのyの値が最大となる点」 13 11頁13行目冒頭の「(3)」を「(4)」と、同22行目の「Choice」を「ゴルフダイジェストチョイス」と各改める。
14 12頁16行目の「できる」の後に「(さらに、インパクト時のヘッドの理想的な状態を基準とする方法も想定できる。)」を加える。
15 15頁7行目の「別紙」を「原判決別紙」と、同8行目の「TYPE4の4通り」を「TYPE4及び前記TYPE5の5通り」と、同9行目の「その」を「このうちTYPE1〜TYPE4の」と、同13行目の「異なる。」を「異なった。」と各改める。
16 16頁7行目の「別紙」を「原判決別紙」と改める。
17 17頁15行目の「(1)ア〜エ」を「(2)ア〜エ」と改める。
18 26頁11行目から12行目にかけて及び同14行目の各「上記」をいずれも「前記」と改める。
当裁判所の判断
1 当裁判所も、被告製品は本件発明の構成要件Bを充足しないから、本件発明の技術的範囲に属さないものと判断する。その理由は、次のとおり付加、訂正等するほかは、原判決26頁19行目から42頁2行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。
(1) 26頁19行目の次に改行して、次のとおり加える。
「(1) 構成要件Bの分説方法について 構成要件Bの文章の主語は「ヘッド背面は」、述語は「含む」、目的語は「輪郭形状を」であり、その余は、全て、目的語である「輪郭形状」を修飾する語句である。「全体として上記最後方点とヒール側との間が膨出した」の部分は、輪郭形状を表現した部分であるのに対し、「ヘッド投影平面においてその最後方点とトウ側との間の曲率半径を上記最後方点とヒール側との間の曲率半径に比して大きくして」の部分は、上記の輪郭形状を実現するための方法を表現した部分であるということができる。
そうであるとすると、構成要件Bの文章は、輪郭形状を直接表現した部分(後半部分。構成要件BA)と、上記輪郭形状を実現するための方法を表現した部分(前半部分。構成要件B@)に分けることが可能であり、かつ、このように分けることによって、構成要件Bの理解が容易になる。
なお、後記(2)の構成要件Bの解釈は、構成要件Bをさらに構成要件B@と構成要件BAに分説するか否かにより左右されるものではない。」 (2) 26頁20行目冒頭の「(1)」を「(2)」と、27頁4行目から5行目にかけての「平面上に」を「水平面上に」と、28頁21行目の「上記」を「前記」と、29頁6行目の「被告は、」を「原告は、投影平面に対しヘッドをどのように置くかについては、」と各改める。
(3) 30頁14行目の「解することはできない」の後に次のとおり加える。
「(なお、原告の主張によっても、ライ角とは、マスターモデル(製品ヘッドを製造するための原型モデル)を「通常のアドレスポジション」に置いたときに、
ホーゼル部の中心軸線、すなわちシャフト軸線が、水平面となす角度として定義されるのであるから、ヘッドを「通常のアドレスポジション」をとって置いた状態とライ角どおりに地面に設置した状態とは等しくなると解することができる。ライ角の製造誤差により、上記認定判断が左右されることがないことは、後記(ウ)aのとおりである。)」 (4) 31頁1行目の「水平な面上に」を「水平面上に」と改め、同9行目の次に改行して、次のとおり加える。
「c しかも、証拠(乙34)によれば、ヘッドを水平面上に自然に置いた状態は、ヘッドの重心の位置のみならずソールの構造によっても影響されること、市販のメタルウッドクラブには、ソールが傾斜面の組み合わせから構成されており、
ヘッドを水平面上に自然に置くと、ヘッドが大きく傾いた状態で水平面上に設置されたり、複数の異なる状態で水平面上に設置されることもあることが認められる。
してみると、ヘッドを水平面上に自然に置いた状態で、垂直上から当該水平面上にヘッドの輪郭形状を投影することによって、ヘッド投影平面を決定するとした場合には、上記のようなクラブは、「通常のアドレスポジション」が、プレイヤーが実際のプレイの際にクラブを構えたときとは著しく異なる状態になったり、又はヘッド投影平面が一義的に定まらないという事態が生じる。
したがって、ゴルフ規則にいう「通常のアドレスポジション」が、ヘッドを水平面上に自然に置いた状態であると解することはできない。」 (5) 31頁11行目冒頭の「a」を削り、同23行目の「シャフト」を「ホーゼル部の中心軸線(なお、シャフト自体は、スイングにより、しなり、たわみが生じるため、インパクト時には必ずしも直線になっていないものと考えられる。)」と改め、同末行の次に改行して、次のとおり加える。
「 原告は、実際の製品ヘッドには製造誤差があるから、ライ角を基準にしてインパクト時の理想的な状態を再現し、「ヘッド投影平面」を定めることはできないと主張する。
しかしながら、メタルウッドクラブのヘッドに、前記認定判断を左右するほどの製造誤差が存在することを認めるに足りる証拠はなく、かえって、証拠(乙34、35)によれば、メタルウッドクラブのヘッドは、工業的に確立された鋳造法又は鍛造法により生産されるものであり、製造誤差が存在するとしても、それはわずかなものにすぎないことが認められる。
原告の上記主張は採用することができない。」 (6) 32頁1行目冒頭の「ウ」を「イ」と、同10行目、同11行目及び同14行目の各「フェース角」をいずれも「フェイス角」と、同13行目の「フェース面」を「フェイス面」と各改める。
(7) 33頁1行目、同3行目及び同8行目から9行目にかけての各「フェース面」をいずれも「フェイス面」と、同2行目の「フェース角」を「フェイス角」と、同3行目の「撓み」を「たわみ」と各改め、同20行目の「背面」を削り、同行目の「投影平面」の後に「(ヘッド投影平面)」を加え、同末行冒頭の「エ」を「ウ」と改める。
(8) 34頁1行目の「上記」を「前記」と改め、同12行目の「ヒール側に向かう」の後に「領域の」を加える。
(9) 34頁末行の次に改行して、次のとおり加える。
「(ウ) これに対して、原告は、トウ部分、ヒール部分及び最後方点付近の部分は、ヘッドの強度等の他の条件により形状が決定されることを根拠に、最後方点からトウ側に向かう領域と、最後方点からヒール側に向かう領域のほぼ全部について、曲率半径及び膨出の有無を比較するべきではないと主張し、フェイス面上の重心をヘッド投影平面に投影した点を中心にして、最後方点から±30度程度の範囲の輪郭形状についてのみ比較すべきであるという趣旨の三菱重工業株式会社特別顧問(工学博士)D作成の平成15年9月24日付けの「ゴルフクラブヘッド形状の設計に関する考察」と題する書面(甲50)を提出する。
しかし、本件明細書には、曲率半径及び膨出の有無の比較をすべき領域が上記の一定部分に限定されることをうかがわせる記載ないし示唆は全くないから、原告の上記主張は採用することができない。
なお、証拠(乙33)によれば、最後方点からトウ側に向かう領域の曲率半径を、最後方点からヒール側に向かう領域の曲率半径に比べて、ほぼ全領域において大きくし、かつ、最後方点とヒール側との間が膨出した輪郭形状を含む、すなわち、ヒール側の各点のy値(フェイス面上の重心とヘッド重心とを通る直線を「ヘッド投影平面」に投影した直線をy軸として求めたもの)が、大部分の範囲において、トウ側のそれぞれ対応する各点のy値よりも大きいという要件を充足し、
ヘッド背面の輪郭形状が、トウ及びヒール側の両端部まで到達しているヘッド形状を想定することは可能である。」 (10) 35頁1行目冒頭の「(ウ)」を「(エ)」と、同行目の「上記」を「前記」と、同5行目の「上記(ア)、(イ)記載の解釈に従って、」を「前記(ア)、(イ)記載の解釈に従い、TYPE5の測定方法に基づいて」と、同19行目の「上記」を「前記」と各改める。
(11) 38頁12行目の次に改行して、次のとおり加える。
「(エ) また、原告は、被告製品(ロフト角11度のもの)のヘッド投影平面における輪郭形状に関して、ヘッドの輪郭形状を、最後方点を通り、フェイス面上の重心とヘッドの重心とを結ぶ線を投影平面に落とした直線に平行な直線で折り曲げた図(甲43)を提出している。
確かに、上記折り曲げ図(甲43)は、最後方点から±42度ないし±43度の範囲内においてヒール側が膨出し、トウ側の曲率半径がヒール側の曲率半径に比して大きくなっているという測定結果が示されているけれども、弁論の全趣旨によれば、上記折り曲げ図は、前記の「ヘッド投影平面」の解釈に従った測定方法ではなく、原告の主張に係る測定方法(原判決別紙「最後方点の測定方法」記載のTYPE2に相当する方法)に基づいて作成されたものであると認められるから、
やはり構成要件Bの充足性を基礎づける証拠としては採用できない。」 (12) 38頁14行目から41頁17行目までを次のとおり改める。
「 SRI報告書(乙32)によれば、被告製品のヘッド投影平面における輪郭形状を前記TYPE5の測定方法に基づいて測定すると、被告製品のトウ側の曲率半径がヒール側の曲率半径よりも大きくなるのは、原点(TYPE5の測定方法により決定された最後方点を通り、y軸と平行な直線とフェイス面の輪郭線との交点)を中心にして最後方点から±約15度の範囲のみであり、ヒール側の各点のy値がトウ側のそれぞれ対応する各点のy値より大きくなるのは、同様に最後方点から±60度の点付近のみであることが認められる。
そして、本件全証拠によっても、上記SRI報告書の測定結果が信用できないというべき事情は見当たらない。」 (13) 41頁19行目の「±15度ないし±20度」を「前記原点を中心にして最後方点から±約15度」と、同24行目の「少なくとも±50度の範囲」を「±60度の点付近を除くほぼ全領域」と各改める。
2 その他、原審及び当審における当事者提出の各準備書面記載の主張に照らし、原審及び当審で提出、援用された全証拠を改めて精査しても、当審及び当審の引用する原審の認定、判断を覆すほどのものはない。
3 結論 以上によれば、その余の点について判断するまでもなく、原告の請求は理由がないから、これを棄却した原判決は相当であり、本件控訴は棄却を免れない。
よって、主文のとおり判決する。
(口頭弁論終結の日 平成15年10月2日)
裁判長裁判官 竹原俊一
裁判官 小野洋一
裁判官 中村心
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