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関連審決 再審2024-950001
再審2016-950001 再審2016-950
不服2005-9 不服2005-9621
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事件 令和 6年 (行ケ) 10109号 審決取消請求事件
5
原告X
被告特許庁長官
同指定代理人 中屋裕一郎 10 石井孝明 小川恭司 後藤亮治 冨澤武志
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2025/04/16
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
主文 15 1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
請求
特許庁が再審2024-950001号事件について令和6年11月11日にし20 た審決を取り消す。
事案の概要
本件は、再審の請求を不成立とした審決の取消訴訟である。
1 特許庁における手続の経緯等 原告は、平成9年8月20日、発明の名称を「介助機」とする発明について特許出25 願をしたところ(甲1。特願平9-260785号)、拒絶査定を受けたため、拒絶 査定不服審判請求をしたが(不服2005-9621号)、平成19年11月12日 にこれを不成立とする審決(甲3。以下「原審決」という。)がされた。原告は、原審 決の取消しを求める訴えを知的財産高等裁判所に提起したが請求棄却の判決がされ、
同判決に対して最高裁判所にした上告は平成21年1月15日に棄却され、原審決が 確定した。
5 原告は、平成28年3月22日、原審決について4回目となる再審の請求をしたが (甲7。再審2016-950001号)、同年7月27日、同請求を却下する審決 (甲5。以下「第4次再審審決」という。)がされた。原告は、第4次再審審決の取消 しを求める訴えを知的財産高等裁判所に提起したが、同年12月22日、請求棄却の 判決がされ、その後、第4次再審審決が確定した。
10 原告は、令和6年5月10日、被告に対し、
「請求の趣旨」欄に「不服2005-9 621不服審判事件についてなされた原審決を取消す。特願平9-260785は特 許すべきものであるとの審決を求める。」と記載し、
請求の理由」欄に「特許法が準 用する民訴法338条1項10号「不服の申立てに係る審決(再審2016-950 001)が前に確定した審決(原審決2005-9621)と抵触すること。」に基15 づき、再審を請求する。」と記載した再審請求書を提出した(甲8)。
特許庁は、これを再審2024-950001号事件として審理し、同年11月1 1日、上記再審の請求を不成立とする審決(甲6。以下「本件審決」という。)をし、
その謄本は、同月28日、原告に送達された。
原告は、同年12月19日、本件審決の取消しを求めて本件訴えを提起した。
20 2 本件審決の理由の要旨 (1) 再審請求書の記載によると、原告は、再審請求の対象を原審決とし、原審決が 第4次再審審決と抵触することを再審事由として主張するものと解される。
しかし、特許法171条2項が準用する民訴法338条1項10号の規定からして、
後にされた審決と抵触することを理由に前に確定した審決の再審を求めることはで25 きないと解されるところ、原審決は、第4次再審審決よりも前に確定しているから、
原審決が第4次再審審決と抵触することは、同号所定の再審事由に当たらない。
(2) 仮に、原告が、再審請求の対象を第4次再審審決とし、第4次再審審決が原審 決と抵触することを再審事由として主張するものと解するとしても、原審決は拒絶査 定不服審判において特許出願に係る発明の進歩性判断が問題となったのに対し、第4 次再審請求再審請求において再審請求の適法性が問題となったものであるから、両5 審決は請求の基礎が異なり、判断の抵触はないから、民訴法338条1項10号の再 審事由は認められない。
原告が主張する審決取消事由
原告が再審請求の対象とするのは第4次再審審決である。
原告が主張する再審事由は、特許法171条2項が準用する民訴法338条1項110 0号であり、不服の申立てに係る審決が第4次再審審決であり、前に確定した審決が 原審決である。第4次再審審決における「(審査官による判断が)事実に反するもの とは解せない」との判断部分が、原審決における「引用発明の作動アームに駆動軸を 設けることを排除する特段の事情は認められない…周知の技術を採用して適宜なし 得た設計事項にすぎない」との事実に反する判断部分と内容において理由の食違いが15 あって抵触している。
したがって、再審事由の判断を誤った本件審決は取り消されるべきである。
当裁判所の判断
再審請求書(甲8)の請求の趣旨欄の記載によると、再審請求の対象は原審決と解 されるところ、第4次再審審決より前に確定した原審決が第4次再審審決と抵触する20 ことをもって、特許法171条2項が準用する民訴法338条1項10号による原審 決の再審事由とならないことは明らかであるから、原告の請求には理由がない。これ と同旨の本件審決の判断は、正当として是認することができる。
仮に、原告が、再審請求の対象を第4次再審審決とし、これが原審決と抵触するこ とを再審事由として主張するものと解するとしても、原審決は拒絶査定不服審判請求25 を不成立とする審決であり、第4次再審審決は再審の請求を不適法なものとして却下 する審決であるから、第4次再審審決は原審決と抵触せず、原告の請求には理由がな い。これと同旨の本件審決の判断は、正当として是認することができる。
その他、原告が主張するところは、いずれも上記結論を左右しない。
以上のとおり、原告の請求には理由がないからこれを棄却することとし、主文のと おり判決する。