関連審決 |
不服2023-5269 |
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事件 |
令和
5年
(行ケ)
10139号
審決取消請求事件
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5 原告 株式会社サンセイアールアンドディ 同訴訟代理人弁理士 福嶋亨 同 冬木郁代 10 同吉田元治 被告 特許庁長官 同指定代理人 田邉英治 同 高橋祐介 15 同長井真一 同 太田恒明 |
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裁判所 | 知的財産高等裁判所 |
判決言渡日 | 2024/10/09 |
権利種別 | 特許権 |
訴訟類型 | 行政訴訟 |
主文 |
1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 20 事 実 及 び 理 由第1 請求特許庁が不服2023−5269号事件について令和5年10月16日にした審決を取り消す。 第2 事案の概要25 1 事案の要旨本件は、特許出願の拒絶査定に対する不服審判請求を不成立とした審決の取1消訴訟である。争点は、本件審決における、補正の適否、新規性・進歩性についての各認定判断の誤りの有無、手続違背の有無である。 2 特許庁における手続の経緯等? 原告は、発明の名称を「遊技機」とする発明について、令和2年12月15 日に特許出願(特願2020−199726号。甲2。以下「本件出願」という。なお、本願願書に添付した明細書及び図面を併せて「本願明細書」という。)をしたが、令和4年11月9日付けで拒絶理由通知(甲3)がされ、 同年12月26日付けで意見書(甲4)及び手続補正書(甲5)を提出したが、令和5年3月16日付けで拒絶査定(甲6)を受けた。 10 ? 原告は、令和5年4月3日、拒絶査定不服審判請求(甲7。以下「本件審判請求」という。)をするとともに同日付け手続補正書(甲8。以下、本件審判請求と同時にされた同手続補正書による補正を「本件補正」という。)を提出し、同年6月1日付け前置報告書(甲9)に対する同月15日付け上申書(甲10)を提出するなどした。 15 特許庁は、本件審判請求を不服2023−5269号として審理し、令和5年10月16日付けで、本件補正を却下するとともに、本件審判請求は成り立たないとの審決(以下「本件審決」という。)をし、その謄本は、同月31日に原告に送達された。 ? 原告は、令和5年11月24日、本件審決の取消しを求めて本件訴訟を提20 起した。 3 特許請求の範囲の記載? 本件補正前(本件補正の却下後も同じ。)における本件出願に係る特許請求の範囲の記載(請求項の数5)は、別紙「本件補正前の特許請求の範囲の記載」のとおりである。 25 このうち請求項1の記載は、次のとおりである(分説は、本件審決による。 以下、同請求項に係る発明を「本願発明」という。)。 2【請求項1】「A 遊技者が操作可能な操作手段と、 B 遊技者に対し操作有効期間中に前記操作手段の操作を促す操作要求演出を実行する演出実行手段と、 5 C 対象となる前記操作要求演出について、前記操作有効期間中に前記操作手段が実際に操作されていなくても演出に反映される自動操作を実行する自動操作実行手段と、 を備え、 D 前記自動操作が実行されることがある自動操作モードとして、前記操作10 要求演出のうちの第一操作要求演出については前記自動操作の対象となる一方、前記操作要求演出のうちの第二操作要求演出については前記自動操作の対象とならない一部自動操作モードが設定されており、 E′前記第二操作要求演出には、前記操作有効期間中に前記操作手段の操作がなされることを契機として当否抽選結果に応じた当否報知結末に至るもの15 が含まれるG ことを特徴とする遊技機。」? 本件補正を認めた場合の本件出願に係る特許請求の範囲の記載(請求項の数5)は、別紙「本件補正後の特許請求の範囲の記載」のとおりである。 このうち請求項1の記載は、次のとおりである(分説は、本件審決による。 20 下線部が補正部分である。以下、同請求項に係る本件補正後の発明を「本願補正発明」という。)。 【請求項1】「A 遊技者が操作可能な操作手段と、 B 遊技者に対し操作有効期間中に前記操作手段の操作を促す操作要求演出25 を実行する演出実行手段と、 C 対象となる前記操作要求演出について、前記操作有効期間中に前記操作3手段が実際に操作されていなくても演出に反映される自動操作を実行する自動操作実行手段と、 を備え、 D 前記自動操作が実行されることがある自動操作モードとして、前記操作5 要求演出のうちの第一操作要求演出については前記自動操作の対象となる一方、前記操作要求演出のうちの第二操作要求演出については前記自動操作の対象とならない一部自動操作モードが設定されており、 E 前記操作要求演出として、前記操作有効期間中に前記操作手段の操作がなされることを契機として当否抽選結果が当たりである場合とはずれである10 場合とでは異なる結末に至ることで当否抽選結果を報知する当落分岐操作要求演出が実行可能であり、 F 前記当落分岐操作要求演出は、前記第二操作要求演出であるG ことを特徴とする遊技機。」4 本件審決の理由の要旨15 ? 本件補正の適否ア 本件補正は、実質的に、「第二操作要求演出」に含まれる「操作有効期間中に前記操作手段の操作がなされることを契機として」行われる演出に関して、「当否抽選結果が当たりである場合とはずれである場合とでは異なる結末に至ることで当否抽選結果を報知する」限定を付加したものであ20 る。 そして、本願発明と本願補正発明とは、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正は、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする。 イ 本件補正は、本願願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図25 面における記載に基づくものであり、新たな技術事項を導入するものではないから、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たす。 4? 本願補正発明の独立特許要件の有無(進歩性の有無)ア 拒絶査定で引用され、本件出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献(甲1。特開2015−157046号公報。以下「引用文献1」という。)には、別紙「引用発明1」記載の発明(以下「引用発5 明1」という。)及び別紙「引用文献1記載事項」記載の事項(以下「引用文献1記載事項」という。)が記載されている。 イ 本願補正発明と引用発明1の一致点及び相違点(一致点)A 遊技者が操作可能な操作手段と、 10 B 遊技者に対し操作有効期間中に前記操作手段の操作を促す操作要求演出を実行する演出実行手段と、 E 前記操作要求演出として、前記操作有効期間中に前記操作手段の操作がなされることを契機として当否抽選結果が当たりである場合とはずれである場合とでは異なる結末に至ることで当否抽選結果を報知する当落15 分岐操作要求演出が実行可能であるG 遊技機。 (相違点)(特定事項C、D及びFに関して)操作要求演出に関して、本願補正発明は、対象となる操作要求演出について、操作有効期間中に操作手段が実際に操作されていなくても演出に反20 映される自動操作を実行する自動操作実行手段を備え、前記自動操作が実行されることがある自動操作モードとして、前記操作要求演出のうちの第一操作要求演出については前記自動操作の対象となる一方、前記操作要求演出のうちの第二操作要求演出については前記自動操作の対象とならない一部自動操作モードが設定されており、当落分岐操作要求演出は、前記第25 二操作要求演出であるのに対して、引用発明1は、チャンスボタン136が押下されていなくても演出に反映されるような構成が設定されているか5否かが特定されていない点。 ウ 本願補正発明と引用発明1の相違点についての判断引用文献1記載事項は、相違点に係る本願補正発明の構成のうち「操作要求演出について、操作有効期間中に操作手段が実際に操作されていなく5 ても演出に反映される自動操作を実行する自動操作実行手段を備え、前記自動操作が実行されることがある自動操作モードとして、前記操作要求演出のうちの第一操作要求演出については前記自動操作の対象となる一方、 前記操作要求演出のうちの第二操作要求演出については前記自動操作の対象とならない一部自動操作モードが設定されており」の点を充足する。 10 また、引用発明1における「チャンスボタン136が押下されて、SPリーチ演出が次のシーンに進」む演出は、チャンスボタン136の押下により演出が進行し、その結果「大当たりであること」又は「はずれであること」が「報知され」るものであり「遊技者に操作させたい」演出であるといえるところ、引用発明1と引用文献1記載事項は、いずれも、遊技者15 の操作によって演出装置206の演出態様に変化を与えるチャンスボタン136を有する遊技機という点で技術分野が共通し、チャンスボタン136を用いることにより遊技の興趣性を向上させるという課題を有する点でも共通することから、引用発明1の「チャンスボタン136が押下されて、 SPリーチ演出が次のシーンに進」む演出に対して、引用文献1記載事項20 を適用し、「チャンスボタン136が押下されて、SPリーチ演出が次のシーンに進」む演出を「遊技者に操作させたい」演出として「非オート」にすることによって、相違点に係る本願補正発明の構成である「当落分岐操作要求演出」を「操作要求演出のうちの」「自動操作の対象とならない」「第二操作要求演出」とすることは、当業者が容易に想到し得ることであ25 り、本願補正発明の奏する効果も、引用発明1及び引用文献1記載事項の奏する効果から当業者が予測することができた程度のものである。 6したがって、本願補正発明は、特許法29条2項により特許出願の際に独立して特許を受けることができないものであり、本願補正発明は、同法17条の2第6項、126条7項に違反するから、本件補正は、同法159条1項、53条1項により却下すべきものである。 5 ? 本願発明の新規性・進歩性の有無ア 引用文献1には、別紙「引用発明2」記載の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されている。 イ 本願発明と引用発明2の一致点及び相違点(一致点)10 A 遊技者が操作可能な操作手段と、 B 遊技者に対し操作有効期間中に前記操作手段の操作を促す操作要求演出を実行する演出実行手段と、 C 対象となる前記操作要求演出について、前記操作有効期間中に前記操作手段が実際に操作されていなくても演出に反映される自動操作を実行15 する自動操作実行手段と、 を備え、 D 前記自動操作が実行されることがある自動操作モードとして、前記操作要求演出のうちの第一操作要求演出については前記自動操作の対象となる一方、前記操作要求演出のうちの第二操作要求演出については前記20 自動操作の対象とならない一部自動操作モードが設定されており、 E′′前記第二操作要求演出には、前記操作有効期間中に前記操作手段の操作がなされることを契機として進行する演出が含まれるG 遊技機。 (相違点)(特定事項E′に関して)25 第二操作要求演出に含まれる操作有効期間中に前記操作手段の操作がなされることを契機として進行する演出に関して、本願発明は、当該演出が、 7「当否抽選結果に応じた当否報知結末に至るもの」であるのに対して、引用発明2は「激熱演出」である点。 ウ 本願発明と引用発明2の相違点についての判断「激熱演出」の「激熱」の用語は、ぱちんこ遊技機の演出に関する用語5 として普通に使われており、図柄変動演出において、当否抽選の結果が「大当たり」となることを期待させる演出や示唆表示のことを示すものである。引用発明2においても、ボタン操作が行われ、激熱演出が行われ、 当否抽選の結果が表示されることになるが、激熱演出が行われた場合の一部は、「大当たり」になると認められ、「激熱演出」から「大当たり」に10 至る演出は、ボタン操作が契機として行われるから、本願発明における「操作有効期間中に前記操作手段の操作がなされることを契機として当否抽選結果に応じた当否報知結末に至る」演出ということができる。 したがって、相違点に係る本願発明の構成は、実質的な相違点とは認められず、本願発明は、実質的に引用発明2であるから、特許法29条1項15 3号により特許を受けることができない。また、仮に、本願発明が、引用発明2と相違するとしても、引用発明2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、同条2項により特許を受けることができない。よって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本件出願は拒絶すべきものである。 20 第3 原告の主張する審決取消事由とこれに対する被告の反論1 取消事由1(本件補正の適否〔本件補正の目的の認定〕の判断の誤り)? 原告の主張本件補正(甲8)を特許請求の範囲の減縮を目的とするものとし、本願補正発明に独立特許要件を課した本件審決の判断には誤りがある。すなわち、 25 本件補正前からの特許請求の範囲に記載された「当否抽選結果」とは、「当たり」及び「はずれ」の各抽選結果をいうものであるから、本件補正が、 8「当否抽選結果」「当否抽選結果に応じた当否報知結末」について「当たり」と「はずれ」がある点で限定する補正に当たるとするのは誤りである。また、 本件補正前には、当落分岐操作要求演出が第二操作要求演出であることが必須でなかったのが、本件補正後には、必須のものとされたから、減縮補正に5 当たるという判断は、本件審決ではされていない。 本件補正のように、発明の内容を実質的に変更しない補正は、補正後も既に行われた審査結果をそのまま活用することができるから、特許法17条の2第5項各号の趣旨に合致する。 ? 被告の主張10 遊技機における「当落抽選結果」は「当たり」と「はずれ」からなるものに限られない。本件補正前は「当否抽選結果」が「当たりである場合とはずれである場合」であることが必須でなかったが、本件補正後は「当否抽選結果」として必須のものとされた上、「当否抽選結果」を報知する態様を「当否抽選結果が当たりである場合とはずれである場合とでは異なる結末に至る15 こと」によるものに限定された。また、本件補正前は「当落分岐操作要求演出」が「第二操作要求演出」であることが必須でなかったが、本件補正後は必須なものとされて限定された。 仮に、本件補正が補正前後の発明を比較して、内容に実質的に相違するところがないとすると、本件補正は、特許法17条の2第5項各号に掲げる事20 項のいずれを目的とするものでもないから、認められない。 2 取消事由2(本願補正発明の独立特許要件〔進歩性の有無〕の判断の誤り)? 原告の主張引用発明1は、本願補正発明とは、技術分野においてありふれた構成しか一致しておらず、これを除いた本願補正発明の特定事項C,D及びFのいず25 れも有していないから、自動操作機能すら有していない引用発明1から本願補正発明の構成とすることは容易想到でない。 9引用文献1の「激熱演出」に関する記載(引用文献1の段落【4453】)を参照しても、具体的態様は不明であり、何をもって「遊技者に操作させたい演出」としたのかも分からない以上、引用発明1の「チャンスボタン136が押下されて、SPリーチ演出が次のシーンに進む演出」が「遊技者に操5 作させたい」演出とすることが容易想到とはいえない。 ? 被告の主張引用発明1と引用文献1記載事項は、いずれも遊技者の操作によって演出装置206の演出態様に変化を与えるチャンスボタン136を有する遊技機という点で技術分野が共通し、チャンスボタン136を用いることで遊技の10 興趣性を向上させるという課題を有する点で共通するから、引用発明1に引用文献1記載事項を適用する動機付けはある。そして、この適用に際しては、 遊技者は、大当たりに当選して多くの賞球を得ることを目的に遊技するものであり、大当たりかはずれかは、図柄変動演出中の最大の関心事であるところ、遊技者の関心が極めて高い当否結果が確定的に報知される演出の契機と15 して遊技者にチャンスボタンを押下させることは、遊技者の参加意識を高めて遊技の趣向性を向上させるから、「一部オート」に設定可能とする引用文献1の記載(引用文献1の段落【4453】)に照らすまでもなく、「遊技者に操作させたい」演出であることは自明である。よって、引用発明1の「チャンスボタン136が押下されて、SPリーチ演出が次のシーンに進」20 む演出を「演技者に操作させたい」演出として「非オート」にすることで本願補正発明とすることは、容易想到である。本願補正発明の効果も、実際の操作により対応当否結果が判明すれば、遊技者自らが大当たりを獲得した印象となるから、引用発明1における期待度の高いSPリーチ演出につき「遊技者に操作させたい」演出として「非オート」とすることで当然に奏される25 効果と同様である。 よって、本願補正発明は、当業者が、引用発明1及び引用文献1記載事項10に基づき容易に発明することができたものである。 3 取消事由3(本願発明の新規性・進歩性の有無の判断の誤り)? 原告の主張ア 本願発明が引用発明2と実質的に同一であるとした(新規性・進歩性を5 否定した)本件審決の判断には誤りがある。 イ 「激熱」演出が、「大当たり」となることを期待させる演出や示唆表示のことを示すのであれば、それは「期待」にとどまり「当否抽選結果を報知する演出」ではない。引用文献1の段落【4453】を参照しても「激熱演出」の具体的態様は不明であり、本件の技術分野で「激熱」が必ず10 「大当たり」になるという実情もない。 「大当たりに至る」ことが「大当たりが報知された状態に至る」ことを意味するのであれば、それは「激熱演出」終了後であるから、「激熱演出」が「操作有効期間中に前記操作手段の操作がされることを契機として当否抽選結果に応じた当否報知結末に至る」ものとはいえない。 15 「激熱演出」の「開始」の具体的態様も不明であり、「遊技者によるチャンスボタンの操作により開始される」のであれば、操作前の操作要求演出は「激熱演出」の開始前となり、本願発明の「遊技者に対し操作有効期間中に前記操作手段の操作を促す」ものに該当しない。 本願発明では「前記操作有効期間中に前記操作手段の操作がなされるこ20 とを契機」とするところ、「激熱演出」が図柄変動演出において実行された場合に、図柄変動演出が大当たりになる場合があるとしても、その具体的態様が不明な「激熱演出」での操作が当否を報知する結末に移行する契機になるとはいえない。 ? 被告の主張25 ア 引用発明2と本願発明は実質的に同じであり、少なくとも当業者が容易に発明をすることができたものである。 11イ 「激熱」は、ぱちんこ遊技機の演出に関する用語として普通に使われており、「激熱演出」は、当否抽選の結果が「大当たり」となる期待度が高い演出を意味する。本願発明は「前記第二操作要求演出」に「当否抽選結果に応じた当否報知結末に至るものが含まれる」と特定するのみで、「そ5 の時点で」「大当たりか否かが報知されて」いることを要するとの特定はない。したがって、引用発明2は、本願発明における「操作有効期間中に前記操作手段の操作がされることを契機として、当否抽選結果に応じた当否報知結末に至る演出」に相当する。 ウ 仮に、本願発明の「当否抽選結果に応じた当否報知結末」について、当10 否抽選結果が「当たり」か「はずれ」かが判明することを前提とすると解したとしても、特開2020−99786号公報(乙2、段落【0454】、図63)や特開2017−64214号公報(乙3、段落【0436】、図39)のように、ボタン操作に応じて「大当たり」又は「はずれ」の各結果確定停止表示の前に、「勝利」「激熱」又は「敗北」「残念」の15 画像を表示することは周知である。 「激熱演出」は、当否抽選の結果が「大当たり」となる期待度が高い演出であり「演技者に操作させたい」演出であるから(引用文献1の段落【4453】)、引用発明2の「激熱演出」に係る演出には、操作手段の操作を契機として当否抽選結果を報知するようにした演出(引用文献1の20 図413、図414の実施例2、図422の実施例9、図424の実施例11等の「勝ち」の文字を表示する演出)が含まれ、このような演出は、 ボタンの操作が絡む激熱演出として極めて周知であるから、そのような演出は、当業者には、引用文献1に記載されているに等しいものとして理解される。 25 ぱちんこ遊技機の技術常識では、「大当たり」か「はずれ」かの結果を示す確定図柄の停止を行って終了することを踏まえれば、引用発明2の12「激熱演出」も、確定図柄の停止表示により結果が確定的に報知されて終了する。そして、本願発明の「第二操作要求演出」に「当否報知結末」が含まれるとの理解に基づけば、引用発明2の「遊技者に操作させたい激熱演出時」に「非オート」とされる遊技者に対して操作手段の操作を促す演5 出と、操作手段への操作を契機として実行される当否抽選結果を報知する演出を含んだものを「第二操作要求演出」と認定することに妨げはない。 4 取消事由4(本件審判請求手続の手続違背の有無)? 原告の主張本件審判請求の手続には、拒絶理由通知欠缺による手続違背がある。すな10 わち、本件審決に記載された引用発明1と引用発明2は、異なる発明であり、 審査では、引用発明2の存在に基づく拒絶理由通知がされており、審決に至るまで引用発明1の存在に基づく拒絶理由通知はされず、引用発明1の存在に基づく拒絶理由に対しての防御機会(特許法159条2項、50条本文)は与えられなかった。引用発明1の存在に基づく拒絶理由通知がされずに審15 決されたことは不意打ちであり、特許法159条2項、50条本文の手続違背である(知財高裁平成29年(行ケ)第10213号、審判便覧〔甲11〕参照)。 特許法159条1項、53条1項による限定的減縮補正等を却下する決定をするときに拒絶理由通知を要しない旨定められたのは、平成5年法改正に20 よるものであるが、審査結果を有効に活用することができる範囲の補正がされたことを前提にするものであり、本件のように主引用発明を変更するような場合にまで拒絶理由通知が不要というわけではない。 ? 被告の主張ア 引用発明1と引用発明2は、前者が本件補正発明の「当落分岐操作要求25 演出」に係る構成を備えるのに対し、後者は、当該構成を備えない代わりに、本願発明の「一部自動操作モード」に係る構成を備えるものである点13で異なるが、その余の点で一致する。そして、両者の共通の構成は遊技機が普通に有するありふれた構成であり、「当落分岐操作要求演出」もありふれた構成(乙2,3)である。そうすると、引用発明1は、拒絶査定時に引用した引用発明2と共通して有する遊技機が普通に備える構成に「当5 落分岐操作要求演出」というありふれた構成を付加しただけの発明であり、 このような発明が引用文献1に記載されているに等しいことは、引用文献1の段落【4648】〜【4650】の記載、【図424】を見なくても、 拒絶査定時に引用された引用発明2に基づき、当業者は当然に理解し得る。 そして、原告は、本件審判請求時に本件補正をし、審判請求書等(甲7,10 10)により本願補正発明が引用文献1に記載されるものと区別されるべきものと反論し、審判合議体は、本件補正を受け入れた上で独立特許要件の判断をしたから、出願人の防御の機会は実質的に保障されている。また、 令和4年11月9日付け拒絶理由通知書(甲3)においても、引用発明1の根拠(引用文献1の段落【4648】〜【4650】、【図424】)15 を含む引用文献1の範囲(引用文献1の特許請求の範囲、段落【0010】〜【5423】、【図1】〜【図471】)が引用されている。 したがって、特許出願に対する審査・審判手続の具体的経過に照らせば、 審判合議体において引用発明1に基づく拒絶理由通知をせずに、審決で引用発明1に基づいて独立特許要件を満たさないとして補正を却下したこと20 は、原告への不意打ちとはいえず、出願人の防御の機会は実質的に保障されていた。 イ 引用発明1と引用発明2は、適用法条も引用文献も同じものであり、拒絶査定時と審決時のいずれにおいても進歩性欠如を理由としているから、 原告の指摘する裁判例や便覧とは異なる。 25 第4 当裁裁判所の判断1 当裁判所は、本件審決に認定判断の誤りはなく、原告の請求は理由がないも14のと判断する。その理由は、次のとおりである。 2 本願発明・本願補正発明について? 本願明細書には、別紙「本願明細書の記載(抜粋)」(特開2022−87664号公報。甲2)の記載がある。 5 ? 本願発明及び本願補正発明(以下「本願発明等」ともいう。)の概要本願明細書の記載によれば、本願発明等は、その技術分野が、遊技機に関するものであり(本願明細書の段落【0001】。以下特に断らない限り【 】内の番号は本願明細書の段落番号を指し、図面の番号も本願明細書中の図の番号を指す。)、遊技機においては、操作手段が実際に操作されてい10 なくても演出に反映される自動操作機能が搭載された遊技機が公知であるが(段落【0002】)、本願発明等は、自動操作機能が搭載された遊技機の趣向性を向上させるという課題(段落【0004】)を解決するため、特許請求の範囲記載の構成を有する遊技機とするものである。 そして、本願発明等の実施形態に係る遊技機では、遊技者が操作可能な操15 作手段として、操作ユニット20以外に、操作要求演出が発生したときに遊技者に操作を促す演出用の操作手段である演出ボタン25(いわゆるチャンスボタン)が設けられている(段落【0025】)。同遊技機では、遊技者に対し、操作手段の一種である演出ボタン25の操作を促す操作要求演出(変動中演出の一部を構成する)を実行することが可能である。操作要求演20 出においては、操作有効期間が設定され、当該操作有効期間中の操作が演出に反映されることになる(段落【0094】)。一方、自動操作機能(オートボタン機能)は、操作要求演出(操作有効期間)にて、演出ボタン25が実際に操作されていなくても演出に反映されるようにするものである。すなわち、「仮想的な操作」がなされたものとして演出に反映される機能であり、 25 本実施形態では、当該自動操作機能のモードとして「OFFモード」(自動操作OFFモード)、「一部オートモード」(一部自動操作モード)、「全15オートモード」(全自動操作モード)の三種類が設定されている(図12参照)(段落【0095】)。 「一部オートモード」は、操作要求演出に係る操作手段の操作のうち一部が自動操作の対象となる(第一操作要求演出)ものの、他の一部は自動操作5 の対象とはならない(第二操作要求演出)モードである(図12参照)(段落【0097】)。「一部オートモード」が設定されている状態にて自動操作が実行されるかどうかは、その操作手段の操作を要求する演出が、第一操作要求演出であるか第二操作要求演出であるかに応じて異なる。第二操作要求演出(図13(b)参照)は、操作有効期間中に演出ボタン25の操作が10 なされることを契機として当否抽選結果(操作要求演出を含む変動中演出に対応する当否抽選結果)に応じた当否抽選結末に至るものであり(段落【0100】)、当該リーチ演出(第二操作要求演出)は、操作有効期間中に演出ボタン25の操作がなされることを契機として、対応当否抽選結果が大当たりであるときは当たり用結末(図13(b−2)参照)に至り、はずれで15 あるときにははずれ用結末(図13(b−3)参照)に至るものとされる(段落【0101】)。このように構成されているため、「一部オートモード」が設定されている状態においては、対応当否抽選結果が判明する直前の「分岐」として発生する第二操作要求演出については演出ボタン25の実際の操作がなされることを契機として対応当否抽選結果が判明することになる。 20 つまり、遊技者にとって「重要な操作」(当否が判明する契機になるという遊技者が重要視する操作)は、「一部オートモード」が設定されている状態であっても実際の操作が必要になり、それ以外の第一操作要求演出(第二操作要求演出よりも重要度で劣る演出)については「一部オートモード」が設定されていれば演出ボタン25の実際の操作が必要ではない(仮想的な操作25 が発生する)という構成となる。本実施形態の第二操作要求演出のように、 実際の操作がなされた結果、対応当否抽選結果が判明するようにすれば、 16「一部オートモード」が設定されている状態においても、(演出ボタン25の操作により)遊技者自らが大当たりを獲得した、というような印5 象を与えることが可能となる(段落【0102】)。なお、上記実施形態では、第二操作要求演出は、操作有効期間の操作を契機として対象当否抽選が判明する結末に移行するものである10 ことを説明したが、このような観点で第一操作要求演出と第二操作要求演出が区別されるものでなくてもよい。すなわち、「重要度」に応じて第一操作要求演出と第二操作要求演出とが区分15 けされるものでなくてもよい (段落【0107】)。 以上のように、一部自動操作モードを設定することで、操作負担を低減しつつも、時には自らが操作するという20 面白みのある遊技を行うことができるようになり、一部自動操作モードが設定されている際にも、当否抽選結果が判明する遊技者にとって重要な操作については遊技者自らが操作することになる(自動操作がなされない)という遊技性が実現される(段落【0278】【0279】)。 3 取消事由1(本件補正の適否〔本件補正の目的の認定〕の判断の誤り)につ25 いて? 原告は、本件補正(甲8)を特許請求の範囲の減縮を目的とするものとし17た本件審決の判断には誤りがあるとし、本件補正により、「当否抽選結果」及びその報知態様を「当たり」と「はずれ」がある点で限定し、当落分岐操作要求演出が第二操作要求演出であることが必須のものとされた点で限定されたとするのは誤りであるなどと主張する。 5 そこで検討すると、本件補正は、本願発明の特定事項E′の「前記第二操作要求演出には、」「当否抽選結果に応じた当否報知結末に至るものが含まれる」とあるのを、本願補正発明の特定事項E、Fの「前記操作要求演出として、」「当否抽選結果が当たりである場合とはずれである場合とでは異なる結末に至ることで当否抽選結果を報知する当落分岐操作要求演出が実行可10 能」(特定事項E)であり「前記当落分岐操作要求演出は、前記第二操作要求演出である」(特定事項F)と補正するものである。 本件補正は、「当否抽選結果」とあるのを「当否抽選結果が当たりである場合とはずれである場合」に補正するものではあるが、遊技機の技術分野において「当否抽選結果」の文言は、「当たり」又は「はずれ」のいずれかを15 意味し、「大当たり」「小当たり」も「当たり」に含まれるものと解されるものであり、本願明細書においても、当否抽選等につき、「なお、「当たり」の態様として、「大当たり」以外に「小当たり」が設定された構成であってもよい」(段落【0013】)として、同様に解されていることが認められる。したがって、補正前の「演出には」「当否抽選結果に応じた当否報知結20 末に至るものが含まれる」と、補正後の「当否抽選結果が当たりである場合とはずれである場合とでは異なる結末に至ることで当否抽選結果を報知する当落分岐操作要求演出」とは、実質的に同じ技術事項に関する演出(当否抽選結果を報知するという演出。以下「本願結果報知演出」という。)を特定するものであって、「当否抽選結果」を「当否抽選結果が当たりである場合25 とはずれである場合」に補正することにより特許請求の範囲が減縮されるものとは認められない。 18他方、本件補正は、「前記第二操作要求演出には、」「当否抽選結果に応じた当否報知結末に至るものが含まれる」とあるのを、「前記当落分岐操作要求演出は、前記第二操作要求演出である」に補正するものである。本件補正の前後を通じ、本願結果報知演出が第二操作要求演出に含まれることに変5 わりはないが、補正前は、第二操作要求演出には、本願結果報知演出が含まれるとするのみで、本願結果報知演出が第一操作要求演出にも含まれ得ることは否定されていない。そして、本願明細書においても、「上記実施形態では、第二操作要求演出は、操作有効期間の操作を契機として対象当否抽選が判明する結末に移行するものであることを説明したが、このような観点で第10 一操作要求演出と第二操作要求演出が区別されるものでなくてもよい。すなわち、「重要度」に応じて第一操作要求演出と第二操作要求演出とが区分けされるものでなくてもよい。」(段落【0107】)と記載されていたから、 本願結果報知演出は、第二操作要求演出だけでなく、第一操作要求演出にも含まれ得るものとされていたことが認められる。しかるところ、補正後にお15 いては、本願結果報知演出は、第二操作要求演出であると特許請求の範囲に明示されているから、本件補正は、本願結果報知演出を第二操作要求演出のみに限定するものと解される。したがって、本件補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認めるのが相当である(特許法17条の2第5項2号)。 20 ? 原告は、本件補正は、発明の内容を実質的に変更しない補正であると主張するが、前記のとおり、本件補正は、本願結果報知演出を第二操作要求演出に限定するものであると認められるから、原告の主張を採用することはできない。 ? 以上によれば、本件補正について、特許請求の範囲の減縮を目的とする25 ものとした本件審決の判断は、結論において誤りはない。 4 取消事由2(本願補正発明の独立特許要件〔進歩性の有無〕の判断の誤り)19? 本願補正発明は、前記第2の3?のとおり、本件補正後における本件出願に係る特許請求の範囲の請求項1に記載された発明である。 ? 本件出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1(特開2015−157046号公報。平成27年9月3日公開。甲1)に5 は、別紙「引用文献1の記載(抜粋)」の記載があり、これによれば、引用文献1には、別紙「引用発明1」記載の発明及び別紙「引用文献1記載事項」記載の事項が記載されているものと認められる。 ? 本願補正発明と引用発明1の対比本願補正発明と引用発明1を比較すると、前記第2の4?イのとおり、本10 件審決が認定したとおりの一致点及び相違点があることが認められる。すなわち、一致点は「A 遊技者が操作可能な操作手段と、」「B 遊技者に対し操作有効期間中に前記操作手段の操作を促す操作要求演出を実行する演出実行手段と、」「E 前記操作要求演出として、前記操作有効期間中に前記操作手段の操作がなされることを契機として当否抽選結果が当たりである場15 合とはずれである場合とでは異なる結末に至ることで当否抽選結果を報知する当落分岐操作要求演出が実行可能である」「G 遊技機。」であり、相違点は、次のとおりである。 (相違点)(特定事項C、D及びFに関して)「操作要求演出に関して、本願補正発明は、対象となる操作要求演出につ20 いて、操作有効期間中に操作手段が実際に操作されていなくても演出に反映される自動操作を実行する自動操作実行手段を備え、前記自動操作が実行されることがある自動操作モードとして、前記操作要求演出のうちの第一操作要求演出については前記自動操作の対象となる一方、前記操作要求演出のうちの第二操作要求演出については前記自動操作の対象とならない一部自動操25 作モードが設定されており、当落分岐操作要求演出は、前記第二操作要求演出であるのに対して、引用発明1は、チャンスボタン136が押下されてい20なくても演出に反映されるような構成が設定されているか否かが特定されていない点。」? 相違点についての容易想到性ア 引用発明1及び引用文献1記載事項は、「遊技者の操作によって各種演5 出装置206の演出態様に変化を与えるチャンスボタン136」(段落【0014】)を備える遊技機という技術分野、及び「演出手段による演出に特徴を持った遊技台を提供」(段落【0005】)し興趣性を向上させるという課題において共通しており、引用発明1に引用文献1記載事項を適用する動機付けがある一方、これを阻害するような要因は見当たらな10 い。 そして、引用文献1記載事項によれば、「チャンスボタン136のボタン操作については、遊技者がボタン操作の有効期間中にボタンを操作しない場合であっても、ボタン操作が行われた場合と同等の演出を実行可能に構成」した「オートボタン」が設定可能であり(段落【4448】【4415 49】)、「オートボタンが設定されている場合には、すべてのボタン演出でオートとしてもよいし、一部のボタン演出をオートにしてもよい」(段落【4453】)のであるから、引用文献1記載事項は、相違点に係る本願補正発明の構成のうち操作要求演出について「操作有効期間中に操作手段が実際に操作されていなくても演出に反映される自動操作を実行す20 る自動操作実行手段を備え、前記自動操作が実行されることがある自動操作モードとして、前記操作要求演出のうちの第一操作要求演出については前記自動操作の対象となる一方、前記操作要求演出のうちの第二操作要求演出については前記自動操作の対象とならない一部自動操作モードが設定されており」の構成を含むものといえる。 25 また、引用文献1記載事項に係る引用文献1の記載では「一部オートの例としては、例えば、リーチ前予告はオート、リーチ後は非オートにして21もよいし、激熱演出時のみ非オート(遊技者に操作させたい)にしてもよい」(段落【4453】)とされている。「激熱演出」とは、「当たり」で多くの賞球を獲得することを目的として遊技する遊技者にとって当否の結果が「大当たり」となる期待度の高い演出を意味するものとして、ぱち5 んこ遊技機の演出に関し、普通に使われている用語であると解されるから、 引用文献1記載事項には、そのような期待度の高い演出について、これを遊技者に操作させたい演出として非オートのものとすることが開示されているものと認められる。 しかるところ、引用発明1のSPリーチ演出においては、「…リーチ演10 出がSP(スーパー)リーチに発展する場合において…」「…SPリーチ演出中にデカボタン表示がされてチャンスボタン136の押下が促され、 続いて、チャンスボタン136が押下されて、SPリーチ演出が次のシーンに進み、」とされた上、その後の演出においては、「武士が「勝負じゃ!」と叫ぶ画像が表示され、大当たりの場合は、続いて、当該武士が戦15 いに勝った状態となり、画面上部には「勝ち」の文字列が表示され、続いて、」「…装飾図柄表示装置208の左中右図柄表示領域208a、208b、208cには「装飾3−装飾3−装飾3」が停止表示され、大当たりであることが報知され、はずれの場合は、はずれに対応した演出が行われ、はずれであることが報知される」(段落【4648】〜【4650】20 等)などとされている。SPリーチ演出は、リーチ演出を発展させ、勝負のチャンスが到来したことを遊技者に告知するとともに、「大当たり」を含む当否抽選結果に応じた本願結果報知演出に進行していく演出であるから、遊技者にとって、当否の結果が「大当たり」となる期待度の高い演出であり、前記の意味における「激熱演出」に含まれるものである。そうす25 ると、引用発明1における「SPリーチ演出中にデカボタン表示がされてチャンスボタン136の押下が促され、続いて、チャンスボタン136が22押下されて、SPリーチ演出が次のシーンに進」む場面(構成e)に、前記の引用文献1記載事項に開示された事項を適用し、当該期待度の高いSPリーチ演出を遊技者に操作させたい演出として非オートのもの(遊技者によるチャンスボタンの押下を要するもの)とし、それを契機として、当5 否抽選結果が「当たり」である場合と「はずれ」である場合とで異なる当否抽選結果の報知に至る演出などに進行していくようにすることは、当業者にとって容易想到であったというべきである。 したがって、相違点に係る本願補正発明の構成のうち「当落分岐操作要求演出は、前記第二操作要求演出である」ことについては、引用発明1及10 び引用文献1記載事項から容易に想到し得たものと認めるのが相当である。 イ 原告は、引用発明1は自動操作機能すら有していないから、相違点に係る本願補正発明の構成は容易想到でないなどと主張する。しかしながら、 前記のとおり、「オートボタン」及びその設定に係る引用文献1記載事項に照らすと、自動操作機能については容易想到であったというべきであり、 15 原告の主張を採用することはできない。 原告は、引用文献1の「激熱演出」の具体的態様は不明であり、何をもって「遊技者に操作させたい演出」としたのかも分からないから、相違点に係る本願補正発明の構成は容易想到でないなどと主張する。しかしながら、前記のとおり、「激熱演出」とは、「当たり」で多くの賞球を獲得す20 ることを目的として遊技する遊技者にとって当否の結果が「大当たり」となる期待度の高い演出を意味するものと解され、引用発明1においても、 SPリーチ演出がより遊技者にとって期待度の高い演出であることが認められることからすると、引用文献1記載事項に開示された事項を適用し、 当該期待度の高いSPリーチ演出を遊技者に操作させたい演出として非オ25 ートの演出とするなどにより、相違点に係る本願補正発明の構成とすることは容易想到であったというべきである。よって、原告の主張を採用する23ことはできない。 ? 以上によれば、本願補正発明は、特許法29条2項により特許出願の際に独立して特許を受けることができないものであり、本願補正発明は、同法17条の2第6項、126条7項に違反するから、本件補正は、同法159条5 1項、53条1項により却下すべきものとした本件審決の判断に誤りはない。 5 取消事由3(本願発明の新規性・進歩性の有無の判断の誤り)? 本願発明は、前記第2の3?のとおり、本件補正前及び本件補正の却下後における本件出願に係る特許請求の範囲の請求項1に記載された発明である。 ? 本件出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に10 は、別紙「引用文献1の記載(抜粋)」の記載があり、これによれば、引用文献1には、別紙「引用発明2」記載の発明が記載されているものと認められる。 ? 本願発明と引用発明2の対比本願補正発明と引用発明2を比較すると、前記第2の4?イのとおり、本15 件審決が認定したとおりの一致点及び相違点があることが認められる。すなわち、一致点は「A 遊技者が操作可能な操作手段と、」「B 遊技者に対し操作有効期間中に前記操作手段の操作を促す操作要求演出を実行する演出実行手段と、」「C 対象となる前記操作要求演出について、前記操作有効期間中に前記操作手段が実際に操作されていなくても演出に反映される自動20 操作を実行する自動操作実行手段と、を備え、」「D 前記自動操作が実行されることがある自動操作モードとして、前記操作要求演出のうちの第一操作要求演出については前記自動操作の対象となる一方、前記操作要求演出のうちの第二操作要求演出については前記自動操作の対象とならない一部自動操作モードが設定されており、」「E′′前記第二操作要求演出には、前記25 操作有効期間中に前記操作手段の操作がなされることを契機として進行する演出が含まれる」「G 遊技機。」であり、相違点は、次のとおりである。 24(相違点)(特定事項E′に関して)第二操作要求演出に含まれる操作有効期間中に前記操作手段の操作がなされることを契機として進行する演出に関して、本願発明は、当該演出が、 「当否抽選結果に応じた当否報知結末に至るもの」であるのに対して、引用5 発明2は「激熱演出」である点。 ? 相違点についての容易想到性等ア 遊技機の演出では、いずれの演出においても当否抽選結果に応じて「当たり」又は「はずれ」の結果を報知する結末に至ることは、技術常識というべきであるから、引用発明2の「激熱演出」においても、当否抽選結果10 に応じた「当たり」又は「はずれ」を報知する結末に至るものと認められる。そうすると、引用発明2の「激熱演出」は、相違点に係る本願発明の構成である、操作手段の操作がなされることを契機として進行する演出において、「当否抽選結果に応じた当否報知結末に至るもの」に相当するものと認められる。したがって、引用発明2と本願発明との間には実質的な15 相違点はないというべきである。仮に相違点があるとしても、引用発明2の「激熱演出」の内容につき前記技術常識を適用して本願結果報知演出を含めることは当業者にとって容易想到であったというべきである(課題・技術分野は共通であり、阻害要因は見当たらない。)。 イ 原告は、「激熱演出」の具体的態様が「開始」を含め不明であり、「期20 待」にとどまり、「当否抽選結果に応じた当否報知結末に至る」ものとはいえないなどと主張する。しかしながら、前記のとおり「激熱演出」とは、 ぱちんこ遊技機において、遊技者にとって当否の結果が「大当たり」となる期待度の高い演出を指すところ、「大当たり」の結果の告知を演出する部分は、これに先行する当否抽選の演出部分と不可分に結びついて期待度25 の高い演出を構成していると考えられるから、「激熱演出」の中から本願結果報知演出だけを特に除外すべき理由はない。仮に、除外したとしても、 25相違点に係る本願発明において操作手段の操作を契機として進行し、「当否抽選結果に応じた当否報知結末に至る」までの演出は、当然、当否報知結末までの時間的に先行する演出部分も含むことになるから、当該演出部分と本願結果報知演出を除いた「激熱演出」との間に実質的な相違点はな5 いというべきである。 原告は、具体的態様が不明な「激熱演出」での操作が「当否抽選結果に応じた当否報知結末」に移行する契機となるとはいえないなどとも主張するが、「激熱演出」は、遊技者にとって当否の結果が「大当たり」となる期待度の高い演出を指すのであり、遊技機の演出では、遊技者は当否抽選10 結果に関心があり、当否抽選結果に応じて「当たり」又は「はずれ」の結果を報知する結末に至ることは、技術常識であるから、「激熱演出」において、「当否抽選結果に応じた当否報知結末」に移行する契機がないと解することは困難である。 ? よって、本願発明は、実質的に引用発明2であるから、特許法29条1項15 3号により特許を受けることができず、仮に、相違するとしても、引用発明2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、同条2項により特許を受けることができず、拒絶すべきものとした本件審決の判断に誤りはない。 6 取消事由4(本件審判請求手続の手続違背の有無)20 原告は、本件審決に記載された引用発明1と引用発明2は、異なる発明であり、審査では、引用発明2の存在に基づく拒絶理由通知がされ、審決に至るまで引用発明1の存在に基づく拒絶理由通知はされず、引用発明1の存在に基づく拒絶理由に対しての防御機会は与えられなかったから、特許法159条2項、 50条本文違反の手続違背があると主張する。 25 確かに、特許庁における手続の経緯等によれば、本願発明についてされた令和4年11月9日付け拒絶理由通知(甲3)では、引用文献1に記載された引26用発明2に基づく拒絶理由が通知され、同年12月26日付けで意見書及び手続補正書(甲4、5)を提出した後、令和5年3月16日付けで拒絶査定(甲6)がされ、他方、本件審判請求手続では、同年10月16日付けで、引用文献1に記載された引用発明1に基づき本件補正を却下するとともに、引用発明5 2に基づき本願発明を拒絶すべきものとして、本件審判請求不成立との本件審決をしたことが認められる。 しかしながら、法文上、本件補正のように、拒絶査定不服審判請求と同時に特許請求の範囲を減縮することを目的とした補正がされた場合において、当該補正が特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違10 反すること(独立特許要件違反)を理由に同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により補正を却下するときは、拒絶の理由を通知することは要求されていない(同法159条2項において読み替えて準用する同法50条ただし書。なお、同条本文によれば、拒絶査定不服審判において査定の理由と異なる拒絶の理由を発見した場合には、拒絶の理由を通知する15 必要があるが、本件において本願発明の拒絶の理由となったのは、拒絶査定の理由と同じ引用発明2であるから、改めて拒絶の理由を通知すべき場合には該当しない。)。同法159条2項において読み替えて準用する同法50条ただし書は、同法17条の2第1項1号、3号又は4号に掲げるいずれの場合であるかによって、拒絶の理由の通知義務の有無を区別しておらず、いずれの場合20 においても審査の遅延を防ぐ必要があることに変わりはない。拒絶査定不服審判の請求と同時にされた補正について独立特許要件違反があることを理由に却下しようとする場合にのみ、拒絶の理由を通知すべき義務があると解すべき条文上の根拠は見当たらない。したがって、独立特許要件違反を理由に本件補正を却下するに当たり、拒絶査定の際に提示しなかった引用発明1を根拠にし、 25 その拒絶の理由の通知をしなかったとしても、原則として、特許法に違反するということはできないというべきである。仮に当事者の手続保障の観点から例27外を認める場合でも、本件の具体的経過に照らすと、引用発明1及び引用発明2は、同じ引用文献(甲1)に基づくものであって、その内容には共通の部分がある上、甲1は、拒絶査定に先立つ令和4年11月9日付け拒絶理由通知書(甲3)にも引用されていたから、原告には、甲1の記載内容を検討する機会5 が十分に与えられていたというべきであるから、引用発明1に基づく拒絶理由通知をすることなく、独立特許要件を欠く補正を却下したとしても、原告に対する不意打ちに当たるとはいえず、出願人の防御の機会を保障すべき違法があったということはできない。 7 小括10 以上によれば、原告の主張する取消事由はいずれも認められないから、本件審決に判断の誤りはない。 第5 結論よって、原告の請求は理由がないから、これを棄却することとして、主文のとおり判決する。 15 知的財産高等裁判所第2部裁判長裁判官20 清 水 響裁判官25 菊 池 絵 理28裁判官5 頼 晋 一29(別紙)本件補正前の特許請求の範囲の記載【請求項1】「A 遊技者が操作可能な操作手段と、 5 B 遊技者に対し操作有効期間中に前記操作手段の操作を促す操作要求演出を実行する演出実行手段と、 C 対象となる前記操作要求演出について、前記操作有効期間中に前記操作手段が実際に操作されていなくても演出に反映される自動操作を実行する自動操作実行手段と、 を備え、 10 D 前記自動操作が実行されることがある自動操作モードとして、前記操作要求演出のうちの第一操作要求演出については前記自動操作の対象となる一方、前記操作要求演出のうちの第二操作要求演出については前記自動操作の対象とならない一部自動操作モードが設定されており、 E′前記第二操作要求演出には、前記操作有効期間中に前記操作手段の操作がなされる15 ことを契機として当否抽選結果に応じた当否報知結末に至るものが含まれるG ことを特徴とする遊技機。」【請求項2】前記一部自動操作モードとして、前記操作要求演出のうち前記第二操作要求演出となるものの数が異なる二以上のモードが設定されていることを特徴とする請求項1に記載の20 遊技機。 【請求項3】前記自動操作モードとして、全ての前記操作要求演出が前記自動操作の対象となる全自動操作モードが設定されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の遊技機。 25 【請求項4】前記自動操作の対象とならない前記操作要求演出と、前記自動操作の対象となる前記操作要求演出とでは、前記操作要求演出が発生していることを示す操作画像の態様が異なることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の遊技機。 【請求項5】30 前記自動操作の対象とならない前記操作要求演出では、前記操作画像として前記操作手段を表す操作対象表示および当該操作手段の操作態様を表す操作態様表示を含む画像が表示される一方、 前記自動操作の対象となる前記操作要求演出では、前記操作画像として前記操作対象表示および前記操作態様表示の一方を含み他方を含まない画像が表示される35 ことを特徴とする請求項4に記載の遊技機。 30(別紙)本件補正後の特許請求の範囲の記載【請求項1】「A 遊技者が操作可能な操作手段と、 5 B 遊技者に対し操作有効期間中に前記操作手段の操作を促す操作要求演出を実行する演出実行手段と、 C 対象となる前記操作要求演出について、前記操作有効期間中に前記操作手段が実際に操作されていなくても演出に反映される自動操作を実行する自動操作実行手段と、 を備え、 10 D 前記自動操作が実行されることがある自動操作モードとして、前記操作要求演出のうちの第一操作要求演出については前記自動操作の対象となる一方、前記操作要求演出のうちの第二操作要求演出については前記自動操作の対象とならない一部自動操作モードが設定されており、 E 前記操作要求演出として、前記操作有効期間中に前記操作手段の操作がなされるこ15 とを契機として当否抽選結果が当たりである場合とはずれである場合とでは異なる結末に至ることで当否抽選結果を報知する当落分岐操作要求演出が実行可能であり、 F 前記当落分岐操作要求演出は、前記第二操作要求演出であるG ことを特徴とする遊技機。」【請求項2】20 前記一部自動操作モードとして、前記操作要求演出のうち前記第二操作要求演出となるものの数が異なる二以上のモードが設定されていることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。 【請求項3】前記自動操作モードとして、全ての前記操作要求演出が前記自動操作の対象となる全自25 動操作モードが設定されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の遊技機。 【請求項4】前記自動操作の対象とならない前記操作要求演出と、前記自動操作の対象となる前記操作要求演出とでは、前記操作要求演出が発生していることを示す操作画像の態様が異な30 ることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の遊技機。 【請求項5】前記自動操作の対象とならない前記操作要求演出では、前記操作画像として前記操作手段を表す操作対象表示および当該操作手段の操作態様を表す操作態様表示を含む画像が表示される一方、 35 前記自動操作の対象となる前記操作要求演出では、前記操作画像として前記操作対象表示および前記操作態様表示の一方を含み他方を含まない画像が表示されることを特徴とする請求項4に記載の遊技機。 31(別紙)引 用 発 明 1a 外部的構造として、外枠102と、本体104と、前面枠扉106と、球貯留皿付扉108と、発射装置110と、遊技盤200と、をその前面 に備え(段落【0015 2】)、背面側には(段落【0018】)、遊技全般の制御処理を行う主制御部300を構成する主基板156を収納する主基板ケース158、主制御部300が生成した処理情報に基づいて演出に関する制御処理を行う第1副制御部400を構成する第1副基板160を収納する第1副基板ケース162が配設された(段落【0021】)ぱちんこ機100であって(段落【0012】、【0018】)、遊技盤200には、遊技球10 が転動可能な遊技領域124が区画形成され(段落【0022】)、遊技領域124には、演出装置206が配設され、この演出装置206には、装飾図柄表示装置208が配設され、演出装置206は、演出を行うものであり(段落【0023】)、装飾図柄表示装置208は、装飾図柄ならびに演出に用いる様々な表示を行うための表示装置であり、この装飾図柄表示装置208は、左図柄表示領域208a、中図柄表示領域2015 8b、右図柄表示領域208cおよび演出表示領域208dの4つの表示領域に分割し、 左図柄表示領域208a、中図柄表示領域208bおよび右図柄表示領域208cはそれぞれ異なった装飾図柄を表示し、演出表示領域208dは演出に用いる画像を表示し(段落【0024】)、球貯留皿付扉108は、遊技者の操作によって各種演出装置206の演出態様に変化を与えるチャンスボタン136と、チャンスボタン136を発光20 させるチャンスボタンランプ138と、を備え(段落【0014】)、 b 第1副制御部400は、主に主制御部300が送信したコマンド等に基づいて第1副制御部400の全体を制御する基本回路402を備え、この基本回路402には、CPU404と、制御プログラムや各種演出データを記憶するためのROM406と、一時的にデータを記憶するためのRAM408と、各種デバイスの入出力を制御するための25 I/O410と、時間や回数等を計測するためのカウンタタイマ412が搭載され(段落【0048】)、基本回路402には、チャンスボタン136の押下を検出するチャンスボタン検出センサ426が接続され(段落【0049】)、第1副制御部400のCPU404が実行するメイン処理(段落【0152】)において、チャンスボタン136の受付期間の開始タイミングが到来したか否かが判定され、該当する場合には(段30 落【0172】)、第1副制御部400は、チャンスボタン136を模した画像を装飾図柄表示装置208に表示し(段落【0174】)、遊技者に操作手段の操作を促し(段落【0204】)、操作手段の受付期間には、操作手段の操作を検出した場合に当該操作を有効と判断し、当該操作に対応する処理を実行し(段落【0172】)、 e リーチ演出が開始され、このリーチ演出がSP(スーパー)リーチに発展する場合に35 おいて、SPリーチ演出が開始されると、演出表示領域208dの左上角に縮小表示された左右図柄表示領域208a、208cに「装飾3」が仮停止表示され、演出表示領域208dの上部には「討伐リーチ」の文字列が表示され、演出表示領域208dの中央には二人の武士が向き合っている画像が表示され、続いて、SPリーチ演出中にデカボタン表示がされてチャンスボタン136の押下が促され、続いて、チャンスボタン140 36が押下されて、SPリーチ演出が次のシーンに進み、武士が「勝負じゃ!」と叫ぶ32画像が表示され、大当りの場合は、続いて、当該武士が戦いに勝った状態となり、画面上部には「勝ち」の文字列が表示され、続いて、左中右図柄表示領域208a〜208cが縮小表示から装飾図柄表示装置208の画像表示領域の中央部に拡大されて表示された状態とされ、続いて、装飾図柄表示装置208の左中右図柄表示領域208a、25 08b、208cには「装飾3−装飾3−装飾3」が停止表示され、大当りであることが報知され、はずれの場合は、はずれに対応した演出が行われ、はずれであることが報知される(段落【4648】〜【4650】、認定事項ア)g ぱちんこ機100(段落【0012】)。 33(別紙)引用文献1記載事項チャンスボタン136のボタン操作については、遊技者がボタン操作の有効期間中にボタンを操作しない場合であっても、ボタン操作が行われた場合と同等の演出を実行可能に5 構成したオートボタンを設定可能であり(段落【4448】、【4449】)、オートボタンが設定されている場合には、すべてのボタン演出でオートとしてもよいし、一部のボタン演出をオートにしてもよく、一部オートとして、遊技者に操作させたい激熱演出時のみ非オートにしてもよい(段落【4453】)点。 1034(別紙)引 用 発 明 2a 外部的構造として、外枠102と、本体104と、前面枠扉106と、球貯留皿付扉108と、発射装置110と、遊技盤200と、をその前面に備え (段落【0015 2】)、背面側には(段落【0018】)、遊技全般の制御処理を行う主制御部300を構成する主基板156を収納する主基板ケース158、主制御部300が生成した処理情報に基づいて演出に関する制御処理を行う第1副制御部400を構成する第1副基板160を収納する第1副基板ケース162が配設された(段落【0021】)ぱちんこ機100であって(段落【0012】、【0018】)、遊技盤200には、遊技球10 が転動可能な遊技領域124が区画形成され(段落【0022】)、遊技領域124には、演出装置206を配設され、この演出装置206には、装飾図柄表示装置208が配設され、演出装置206は、演出を行うものであり(段落【0023】)、装飾図柄表示装置208は、装飾図柄ならびに演出に用いる様々な表示を行うための表示装置であり、この装飾図柄表示装置208は、左図柄表示領域208a、中図柄表示領域2015 8b、右図柄表示領域208cおよび演出表示領域208dの4つの表示領域に分割し、 左図柄表示領域208a、中図柄表示領域208bおよび右図柄表示領域208cはそれぞれ異なった装飾図柄を表示し、演出表示領域208dは演出に用いる画像を表示し(段落【0024】)、球貯留皿付扉108は、遊技者の操作によって各種演出装置206の演出態様に変化を与えるチャンスボタン136と、チャンスボタン136を発光20 させるチャンスボタンランプ138と、を備え(段落【0014】)、 b 第1副制御部400は、主に主制御部300が送信したコマンド等に基づいて第1副制御部400の全体を制御する基本回路402を備え、この基本回路402には、CPU404と、制御プログラムや各種演出データを記憶するためのROM406と、一時的にデータを記憶するためのRAM408と、各種デバイスの入出力を制御するための25 I/O410と、時間や回数等を計測するためのカウンタタイマ412が搭載され(段落【0048】)、基本回路402には、チャンスボタン136の押下を検出するチャンスボタン検出センサ426が接続され(段落【0049】)、第1副制御部400のCPU404が実行するメイン処理(段落【0152】)において、チャンスボタン136の受付期間の開始タイミングが到来したか否かが判定され(段落【0172】)、 30 該当する場合には、第1副制御部400は、チャンスボタン136を模した画像を装飾図柄表示装置208に表示し(段落【0174】)、遊技者に操作手段の操作を促し(段落【0204】)、操作手段の受付期間には、操作手段の操作を検出した場合に当該操作を有効と判断し、当該操作に対応する処理を実行し(段落【0172】)、 c チャンスボタン136のボタン操作については、遊技者がボタン操作の有効期間中に35 ボタンを操作しない場合であっても、ボタン操作が行われた場合と同等の演出を実行可能に構成したオートボタンを設定可能であり(段落【4448】、【4449】)、 de オートボタンが設定されている場合には、すべてのボタン演出でオートとしてもよいし、一部のボタン演出をオートにしてもよく、一部オートとして、遊技者に操作させたい激熱演出時のみ非オートにしてもよい(段落【4453】)40 g ぱちんこ機100(段落【0012】)。 35(別紙)本願明細書の記載(抜粋)【技術分野】【0001】5 本発明は、遊技機に関する。 【背景技術】【0002】操作手段が実際に操作されていなくても演出に反映される自動操作機能が搭載された遊技機が公知である(例えば、下記特許文献1参照)。 10 【発明の概要】【発明が解決しようとする課題】【0004】本発明が解決しようとする課題は、自動操作機能が搭載された遊技機の趣向性を向上させることにある。 15 【課題を解決するための手段】【0005】上記課題を解決するためになされた本発明にかかる遊技機は、遊技者が操作可能な操作ユニットの操作により複数種の遊技仕様を変更することが可能な遊技機であって、前記操作ユニットは、変更対象となる前記遊技仕様である対象遊技仕様を選択する選択操作を行う20 ための選択操作部と、前記対象遊技仕様を好みの状態に変更する変更操作を行うための変更操作部と、を有するものであり、前記遊技仕様を変更することが可能な変更可能状態にて、前記選択操作部の操作によっては前記変更操作が行えず、前記変更操作部の操作によっては前記選択操作が行えないように設定されていることを特徴とする。 【発明の効果】25 【0006】本発明によれば、自動操作機能が搭載された遊技機の趣向性を向上させることが可能である。 【図面の簡単な説明】【0007】30 【図1】本実施形態にかかる遊技機の正面図である。 【図12】OFFモード、一部オートモード、全オートモードを説明するための図である。 【図13】第一操作要求演出(a)、第二操作要求演出(b)を説明するための図である。 【発明を実施するための形態】【0008】35 1)遊技機の基本構成以下、本発明にかかる遊技機1(ぱちんこ遊技機)の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。なお、以下の説明において画像というときは、静止画だけでなく、動画を含むものとする。 【0009】40 遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、 36発射装置908(発射ハンドル)の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する通路を構成するガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。 【0010】遊技領域902には、表示装置91、始動領域904、大入賞領域906、アウト口など5 が設けられている。表示装置91の表示領域911は、遊技盤90に形成された開口901を通じて視認可能な部分である。また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。 10 【0011】このような遊技機1では、発射装置908を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、始動領域904や大入賞領域906等の入賞領域に入賞すると、所定数の賞球が払出装置により払い出される。 【0012】15 なお、遊技機1の枠体、遊技球を貯留する下皿や上皿などは公知の遊技機と同様の構造のものが適用できるから説明を省略する。 【0013】2)当否抽選等大当たりの抽選は、図示されない制御基板(主制御基板)に構築された回路である当否抽20 選手段が始動領域904への遊技球の進入を契機として実行される。本実施形態では、始動領域904として、第一始動領域904a(いわゆる「特図1」の始動領域)と第二始動領域904b(いわゆる「特図2」の始動領域)が設けられている。始動領域904への遊技球の進入を契機として乱数源から数値(当否抽選情報)が取得され、当該数値が予め定められた大当たりの数値と同じである場合には大当たりとなり、異なる場合にははず25 れとなる。なお、「当たり」の態様として、「大当たり」以外に「小当たり」が設定された構成であってもよい。 【0014】本実施形態では、公知の遊技機と同様に、表示装置91の表示領域911に表示される装飾図柄80(図2参照)の組み合わせによって当否抽選結果を遊技者に報知する。具体的30 には、複数種の装飾図柄80を含む装飾図柄群80g(左装飾図柄群80gL、中装飾図柄群80gC、右装飾図柄群80gR)が変動を開始し、最終的に各装飾図柄群80gから一の装飾図柄80が選択されて停止する。大当たりに当選している場合には各装飾図柄群80gから選択されて停止した装飾図柄80の組み合わせは所定の組み合わせ(例えば、 同じ装飾図柄80の三つ揃い)となる。はずれである場合にはそれ以外(大当たりとなる35 組み合わせ以外)の組み合わせとなる。装飾図柄80は、数字とキャラクタ等が組み合わされたものとしてもよい。以下の説明においては、装飾図柄80(装飾図柄群80gが変動を開始し、当否抽選結果を示す組み合わせで停止するまでの演出を変動中演出と称する(単に「変動」と称することもある)ものとする。 【0015】40 本実施形態では、上記当否抽選情報が取得された順に対応する当否抽選結果についての変37動中演出が開始される(変動が開始される)こととなるが、未だ当否抽選結果の報知が完了していない当否抽選情報が存在する場合には、新たに取得された当否抽選情報は図示されない制御基板に設けられた記憶手段に記憶される。 【0016】5 記憶手段に記憶可能な変動前保留情報の数(保留限度数)は、適宜設定することができる。 本実施形態では、第一始動領域904aに遊技球が進入することを契機として取得された第一変動前保留情報、第二始動領域904bに遊技球が進入することを契機として取得された第二変動前保留情報のそれぞれについて最大四つである。また、本実施形態では、ある変動中保留情報についての当否抽選結果の報知が完了したとき(いわゆる「当該変動保10 留」が消化されたとき)、記憶手段に第一変動前保留情報と第二変動前保留情報の両方が記憶されている場合には、第二変動前保留情報に対応する変動中演出(当否抽選結果の報知)が優先して実行される。すなわち、いわゆる「特図2優先消化」である。 【0017】記憶手段に保留情報が記憶されていることは、保留図柄10として表示される。つまり、 15 保留図柄10は、対応する当否抽選結果の報知が完了していない当否抽選情報の存在を示すものである。本実施形態では、保留図柄10として、変動中保留情報の存在を示す変動中保留図柄11と、変動前保留情報の存在を示す変動前保留図柄12が表示領域911に表示される。変動中保留図柄11は一つのみ表示され、変動前保留図柄12は最大四つ表示される(なお、変動前保留図柄12の「消化順」は、変動中保留図柄11に近いものほ20 ど早い)。変動前保留図柄12は、第一始動領域904aを狙って遊技球を発射すべき状態(後述する通常遊技状態)であれば第一変動前保留情報(特図1保留)が変動前保留図柄12として表示され、第二始動領域904bを狙って遊技球を発射すべき状態(後述する特別遊技状態)であれば第二変動前保留情報(特図2保留)が変動前保留図柄12として表示されるように設定されている。遊技状態によらず、記憶手段に記憶されている第一25 変動前保留情報および第二変動前保留情報のいずれにも対応する変動前保留図柄12が表示される(最大八つの変動前保留図柄12が表示される)構成としてもよい。 【0018】本実施形態では、当否抽選に関わる遊技状態として、通常遊技状態と特別遊技状態が設定されている。特別遊技状態は、通常遊技状態に比して遊技者に有利な遊技状態である。通30 常遊技状態は、大当たりに当選する確率が低い低確率遊技状態であり、かつ、始動領域904に遊技球が入賞しにくい低ベース状態(低確率・時短無)である。特別遊技状態としては、第一特別遊技状態と第二特別遊技状態が設定されている。第一特別遊技状態は大当たりに当選する確率が高い高確率遊技状態であり、かつ、始動領域904に遊技球が入賞しやすい高ベース状態(高確率・時短有)である。第二特別遊技状態は、大当たりに当選35 する確率が低い低確率遊技状態であり、かつ、始動領域904に遊技球が入賞しやすい高ベース状態(低確率・時短有)である。通常遊技状態においては、遊技者は、第一始動領域904aを狙って遊技球を発射させる。本実施形態では、いわゆる「左打ち」を行う。 特別遊技状態は、第二始動領域904bを狙って遊技球を発射させる。本実施形態では、 いわゆる「右打ち」を行う。特別遊技状態は、普通始動領域905に遊技球が進入するこ40 とを契機とした第二始動領域904bの開放抽選に当選しやすい状態であるため、比較的38容易に第二始動領域904bに遊技球が入賞する。なお、遊技状態の移行に関する設定はどのようなものであってもよいから説明を省略する。また、上記のような遊技状態が設定されていること(スペック)はあくまで一例である。 【0019】5 3)仕様変更機能3−1)遊技仕様本実施形態にかかる遊技機は、遊技者が遊技仕様を変更することが可能な仕様変更機能を備える。変更可能な遊技仕様は複数種設定されている。本実施形態では、「音量」、「光量」、「楽曲」、「プレミア(演出)」、「オートボタン」に関する遊技仕様(図3(a)10 参照)を変更することが可能である。これ以外の遊技仕様が変更可能であってもよいし、 一部の遊技仕様が変更不能であってもよい。 【0023】「オートボタン」は、自動操作機能に関する仕様である。詳細については後述するが、自動操作機能は、遊技者に対して演出ボタン25(後述する操作ユニット20とは異なる操15 作手段の一種である)の操作が促される操作要求演出にて、実際の操作がなくても、仮想的な操作がなされたものとして演出に反映される機能である。本実施形態では当該自動操作機能についてのモードとして「OFFモード」(自動操作OFFモード)、「一部オートモード」(一部自動操作モード)、「全オートモード」(全自動操作モード)の三種類が設定されている。各モードの詳細については後述する。 20 【0025】3−2)操作ユニット遊技機の筐体前方(「上皿」の上面)には、遊技者が操作可能な操作手段の一種である操作ユニット20(図1、図3(b)参照)が設けられている。なお、本実施形態にかかる遊技機は、操作手段として、操作ユニット20以外に、操作要求演出が発生したときに遊25 技者に操作を促す演出用の操作手段として演出ボタン25(いわゆるチャンスボタン)が設けられている。この種の演出用の操作手段として演出ボタン25以外のものが設けられていてもよい。また、操作ユニット20が演出用の操作手段として用いられることがあってもよい。 【0094】30 4)自動操作機能4−1)自動操作モード上述した自動操作機能(「オートボタン」の遊技仕様)について以下説明する。本実施形態にかかる遊技機は、遊技者に対し、操作手段の一種である演出ボタン25の操作を促す操作要求演出(変動中演出の一部を構成する)を実行することが可能である。なお、操作35 要求がなされる演出ボタン25以外の操作手段が設けられた構成(二種以上の演出用の操作手段が設けられた構成)としてもよい。操作要求演出においては、操作有効期間が設定され、当該操作有効期間中の操作が演出に反映されることになる。遊技者に促される操作態様としては、演出ボタン25を一回だけ操作することを促す「単発操作」(「押せ」「PUSH」といった指示が出される)、連続的に操作する「連続操作」(「連打」とい40 った指示が出される)、操作された(「ボタン」であれば押圧された)状態を維持する39「維持操作」(「長押し」といった指示が出される)等が考えられる。 【0095】自動操作機能(オートボタン機能)は、操作要求演出(操作有効期間)にて、演出ボタン25が実際に操作されていなくても演出に反映されるようにするものである。すなわち、 5 「仮想的な操作」がなされたものとして演出に反映される機能である。当該自動操作機能自体は公知であるから詳細な説明を省略する。上述した通り、本実施形態では、当該自動操作機能のモードとして「OFFモード」(自動操作OFFモード)、「一部オートモード」(一部自動操作モード)、「全オートモード」(全自動操作モード)の三種類が設定されている(図12参照)。 10 【0096】OFFモード」は、全ての操作要求演出が自動操作の対象とはならないモードである(図12参照)。すなわち操作有効期間中に「仮想的な操作」が発生することはなく、実際に演出ボタン25が操作されなければ演出への反映は生じない。「自動操作」の遊技仕様に関し、当該「OFFモード」はデフォルトのモードであるといえる。 15 【0097】「一部オートモード」は、操作要求演出のうちの一部は自動操作の対象となるものの、他の一部は自動操作の対象とはならないモードである。以下、「一部オートモード」が設定されている状態にて自動操作の対象となる操作要求演出を第一操作要求演出と、自動操作の対象とならない操作要求演出を第二操作要求演出と称することもある(図12参照)。 20 「一部オートモード」が設定されている状態で第一操作要求演出が発生したときには「仮想的な操作」が発生するものの、「一部オートモード」が設定されている状態で第二操作要求演出が発生したときには「仮想的な操作」は発生しない。 【0098】「全オートモード」は、操作要求演出の全てが自動操作の対象となるものである(図1225 参照)。すなわち、第一操作要求演出であるか第二操作要求演出であるかにかかわらず、 「全オートモード」が設定されている際には「仮想的な操作」が発生する。 【0099】なお、「一部オートモード」や「全オートモード」が設定されている状態にて、自動操作の対象となる操作要求演出が発生した場合、「仮想的な操作」が実行されるタイミングは30 適宜設定することができる。例えば、単発操作が要求される演出においては、操作有効期間の中間地点にて仮想的な操作が発生する、といった構成とすることができる。また、単発操作が要求される演出において、仮想的な操作が発生するタイミングよりも前に実際の操作がなされたときには、当該実際の操作が有効になる設定としてもよいし、有効にはならない設定としてもよい。つまり、自動操作の対象となる操作要求演出が発生した場合で35 あっても、実際の操作が反映される構成としてもよいし、実際の操作が反映されない構成としてもよい。前者の場合には、単発操作が要求される演出にて仮想的な操作が発生するタイミングよりも前に実際の操作がなされた場合には仮想的な操作が発生しないことになる。後者の場合には、必ず仮想的な操作が発生するという設定となる。 【0100】40 4−2)第二操作要求演出40上述した通り、「一部オートモード」が設定されている状態にて自動操作が実行されるかどうかは、第一操作要求演出であるか第二操作要求演出であるかに応じて異なる。第二操作要求演出(図13(b)参照)は、操作有効期間中に演出ボタン25の操作がなされることを契機として当否抽選結果(操作要求演出を含む変動中演出に対応する当否抽選結果。 5 以下、対応当否抽選結果と称することもある)に応じた当否抽選結末に至るものである。 すなわち、第二操作要求演出はその結末により当否が示される(スーパー)リーチ演出の一部として実行されるものである。具体的には、リーチ演出の結末に至る直前にて演出ボタン25の操作が要求され(図13(b−1)参照)、その操作がなされた結果として対応当否抽選結果に応じた結末に至るということである。換言すれば、第二操作要求演出に10 おける操作は、当否が判明する直前の「分岐」として設定されているということである。 【0101】当該リーチ演出(第二操作要求演出)は、操作有効期間中に演出ボタン25の操作がなされることを契機として、対応当否抽選結果が大当たりであるときは当たり用結末(図13(b−2)参照)に至り、はずれであるときにははずれ用結末(図13(b−3)参照)15 に至るものとされる。このような構成であれば、当該リーチ演出の具体的態様はどのようなものであってもよい(上述したいわゆる「バトル演出」等を例示することができる)。 なお、対応当否抽選結果が大当たりであるときに、一旦ははずれ用結末に至ったかのように見せかけた上で、実は大当たりであったことを示す逆転(復活)が発生するような態様も(このような逆転が発生する場合に一旦はずれ用結末に移行することも)、対応当否抽20 選結果に応じた結末に至るものに含まれるものとする。 【0102】このように構成されているため、「一部オートモード」が設定されている状態においては、 対応当否抽選結果が判明する直前の「分岐」として発生する第二操作要求演出については演出ボタン25の実際の操作がなされることを契機として対応当否抽選結果が判明するこ25 とになる。つまり、遊技者にとって「重要な操作」(当否が判明する契機になるという遊技者が重要視する操作)は、「一部オートモード」が設定されている状態であっても実際の操作が必要になり、それ以外の第一操作要求演出(第二操作要求演出よりも重要度で劣る演出)については「一部オートモード」が設定されていれば演出ボタン25の実際の操作が必要ではない(仮想的な操作が発生する)という構成となる。つまり、「一部オート30 モード」は、操作要求演出のうち、「重要度」が低いものについては自動操作機能が発現されるものの、「重要度」が高いものについては自動操作機能が発現されず、実際の操作が必要になるというものである。本実施形態の第二操作要求演出のように、実際の操作がなされた結果、対応当否抽選結果が判明するようにすれば、「一部オートモード」が設定されている状態においても、(演出ボタン25の操作により)遊技者自らが大当たり35 を獲得した、というような印象を与えることが可能となる。 【0103】ただ、遊技者によっては、操作要求演出にて演出ボタン25を操作するか否かは実質的な利益(出玉)の大小に関係がないことを知っており、操作要求演出の重要度等にかかわらず、操作することを面倒だと考える可能性もある。これを踏まえ、本実施形態では、第一40 操作要求演出であるか第二操作要求演出であるかにかかわらず、自動操作機能が発現され41る「全オートモード」を用意している。ただし、当該「全オートモード」に相当するモードが存在しない構成とすることを否定するわけではない。 【0104】なお、第一操作要求演出は、第二操作要求演出に比して「重要度」が低い演出であるとい5 えるところ、第二操作要求演出としては演出ボタン25の操作を契機として演出上のキャラクタのセリフが表示(または音声として出力)される「セリフ演出」(図13(a)参照)等が例示できる。 【0106】〇具体例2−110 上記実施形態では、第二操作要求演出は、操作有効期間の操作を契機として対象当否抽選が判明する結末に移行するものであることを説明したが、このような態様以外の操作要求演出も第二操作要求演出に含まれる設定としてもよい。すなわち、当否が判明する前の「分岐」としての操作が要求される演出だけでなく、それ以外の演出も「重要度」が高い演出であるとして第二操作要求演出に含まれるものとしてもよい。 15 【0107】〇具体例2−2上記実施形態では、第二操作要求演出は、操作有効期間の操作を契機として対象当否抽選が判明する結末に移行するものであることを説明したが、このような観点で第一操作要求演出と第二操作要求演出が区別されるものでなくてもよい。すなわち、「重要度」に応じ20 て第一操作要求演出と第二操作要求演出とが区分けされるものでなくてもよい。 【0278】・手段3−1遊技者が操作可能な操作手段と、遊技者に対し操作有効期間中に前記操作手段の操作を促す操作要求演出を実行する演出実行手段と、対象となる前記操作要求演出について、前記25 操作有効期間中に前記操作手段が実際に操作されていなくても演出に反映される自動操作を実行する自動操作実行手段と、を備え、前記自動操作が実行されることがある自動操作モードとして、前記操作要求演出のうちの第一操作要求演出については前記自動操作の対象となる一方、前記操作要求演出のうちの第二操作要求演出については前記自動操作の対象とならない一部自動操作モードが設定されていることを特徴とする遊技機。 30 上記遊技機によれば、一部自動操作モードを設定することで、操作負担を低減しつつも、 時には自らが操作するという面白みのある遊技を行うことができるようになる。 【0279】・手段3−2前記第二操作要求演出には、前記操作有効期間中に前記操作手段の操作がなされることを35 契機として当否抽選結果に応じた当否報知結末に至るものが含まれることを特徴とする手段3−1に記載の遊技機。 このようにすることで、一部自動操作モードが設定されている際にも、当否抽選結果が判明する遊技者にとって重要な操作については遊技者自らが操作することになる(自動操作がなされない)という遊技性が実現される。 40 【符号の説明】42【0308】1 遊技機、20 操作ユニット、25 演出ボタン、904 始動領域(904a 第一始動領域 904b 第二始動領域)、905 普通始動領域(特定領域)906 大入賞領域、91 表示装置、911 表示領域5435101544(別紙)引用文献1の記載(抜粋)【発明の詳細な説明】【技術分野】5 【0001】本発明は、回胴遊技機(スロットマシン)、弾球遊技機(ぱちんこ機)または封入式遊技機(ぱちんこ機)などに代表される遊技台に関する。 【背景技術】【0002】10 従来のぱちんこ機等の遊技台では、演出手段により様々な演出が行われている(例えば、 特許文献1参照)。 【先行技術文献】【特許文献】【0003】15 【特許文献1】特開2008−200302号公報【発明の概要】【発明が解決しようとする課題】【0004】しかしながら、従来の遊技台は、演出手段による演出について改良の余地がある。 20 【0005】本発明の目的は、演出手段による演出に特徴を持った遊技台を提供することにある。 【課題を解決するための手段】【0006】上記目的は、 25 演出手段と、 操作手段と、 を備えた遊技台であって、 前記演出手段は、第一の種類の演出を少なくとも実行可能な手段であり、 前記第一の種類の演出とは、前記操作手段に関する演出のことであり、 30 前記第一の種類の演出は、複数の選択演出を含む演出であり、 前記複数の選択演出とは、遊技者により少なくとも選択可能な演出のことであり、 前記演出手段は、遊技者により少なくとも選択された前記複数の選択演出のうちの一の演出(以下、「第一の演出」という)を少なくとも実行可能な手段であり、 前記演出手段は、前記第一の種類の演出のうちの一の演出(以下、「第二の演出」という)35 を実行可能な手段であり、 前記演出手段は、第一の場合に、前記第一の演出を少なくとも実行可能な手段であり、 前記演出手段は、第二の場合に、前記第二の演出を少なくとも実行可能な手段であり、 前記第一の場合とは、第一の期間である場合のことであり、 前記第二の場合とは、第二の期間である場合のことである、 40 ことを特徴とする遊技台45によって達成される。 【発明の効果】【0007】本発明によれば、表示に特徴を持った遊技台を提供することができる。 5 【図面の簡単な説明】【0008】【図424】本発明の第8の実施の形態の実施例11によるパチンコ機100での遊技演出を説明する図である。 【発明を実施するための形態】10 【0009】<第1実施形態>【0010】以下、図面を用いて、本発明の第1実施形態に係る遊技台(例えば、ぱちんこ機100等の弾球遊技機やスロット機等の回胴遊技機)について詳細に説明する。なお、図1〜図415 3に示す符号は、原則として本実施形態の説明にのみ用いることとし、重複する符号が他の図面に示されている場合であっても、本実施形態の説明では図1〜図43に示す符号を優先する。また、本実施形態の実施例の番号も、原則として本実施形態の説明のみに用いることとするが、本実施形態の各実施例および他の実施形態の各実施例は互いに組み合わせて適用することができる。また、複数の図面において同様のタイミングを示している図20 面がある場合には、重複する説明を省略する場合がある。 <全体構成>【0011】まず、図1を用いて、本発明の第1実施形態に係るぱちんこ機100の全体構成について説明する。なお、同図はぱちんこ機100を正面側(遊技者側)から見た外観斜視図であ25 る。 【0012】ぱちんこ機100は、外部的構造として、外枠102と、本体104と、前面枠扉106と、球貯留皿付扉108と、発射装置110と、遊技盤200と、をその前面に備える。 外枠102は、遊技機設置営業店に設けられた設置場所(島設備等)へと固定させるため30 の縦長方形状から成る木製の枠部材である。本体104は、内枠と呼ばれ、外枠102の内部に備えられ、ヒンジ部112を介して外枠102に回動自在に装着された縦長方形状の遊技機基軸体となる部材である。また、本体104は、枠状に形成され、内側に空間部114を有している。また、本体104が開放された場合、本体104の開放を検出する不図示の内枠開放センサを備える。 35 【0013】前面枠扉106は、ロック機能付きで且つ開閉自在となるようにぱちんこ機100の前面側となる本体104の前面に対しヒンジ部112を介して装着され、枠状に構成されることでその内側を開口部とした扉部材である。なお、この前面枠扉106には、開口部にガラス製又は樹脂製の透明板部材118が設けられ、前面側には、スピーカ120や枠ラン40 プ122が取り付けられている。前面枠扉106の後面と遊技盤200の前面とで遊技領46域124を区画形成する。また、前面枠扉106が開放された場合、前面枠扉106の開放を検出する前面枠扉開放センサ109を備える。 【0014】球貯留皿付扉108は、ぱちんこ機100の前面において本体104の下側に対して、ロ5 ック機能付きで且つ開閉自在となるように装着された扉部材である。球貯留皿付扉108は、複数の遊技球(以下、単に「球」と称する場合がある)が貯留可能で、且つ発射装置へと遊技球を案内する扉側球通路ユニットが設けられている上皿126と、上皿126に貯留しきれない遊技球を貯留する下皿128と、遊技者の操作によって上皿126に貯留された遊技球を下皿128へと排出させる球抜ボタン130と、遊技者の操作によって下10 皿128に貯留された遊技球を遊技球収集容器(俗称、ドル箱)へと排出させる球排出レバー132と、遊技者の操作によって発射装置110へと案内された遊技球を遊技盤200の遊技領域124へと打ち出す球発射ハンドル134と、遊技者の操作によって各種演出装置206の演出態様に変化を与えるチャンスボタン136と、チャンスボタン136を発光させるチャンスボタンランプ138と、を備える。また、下皿128が満タンであ15 ることを検出する不図示の下皿満タンセンサを備える。 【0015】設定操作部137は、設定者(例えば、遊技者など)による押下操作が可能な押ボタン式のスイッチとして、確定(OK)ボタンと、確定ボタンの上方に位置する上ボタンと、確定ボタンの下方に位置する下ボタンと、確定ボタンの右方に位置する右ボタンと、確定ボ20 タンの左方に位置する左ボタンと、右ボタンのさらに右方に位置するキャンセル(C)ボタンと、を備えている。また、設定操作部137は、各ボタンのそれぞれの押下操作を検出する操作部センサ427(図4参照)を備えている。本実施形態の設定操作部137は、 各ボタンおよび操作部センサが一体化したユニット構造を有している。なお、設定操作部137の各ボタンのうち少なくとも1つは、上述のチャンスボタン136と同様の機能を25 有するように構成してもよい。 【0016】遊技盤200は、前面に遊技領域124を有し、本体104の空間部114に臨むように、 所定の固定部材を用いて本体104に着脱自在に装着されている。なお、遊技領域124は、遊技盤200を本体104に装着した後、開口部から観察することができる。 30 【0017】発射装置110は、本体104の下方に取り付けられ、球発射ハンドル134が遊技者に操作されることによって回動する発射杆146と、遊技球を発射杆146の先端で打突する発射槌148と、を備える。遊技盤200は、前面に遊技領域124を有し、本体104の空間部114に臨むように、所定の固定部材を用いて本体104に着脱自在に装着さ35 れている。なお、遊技領域124は、遊技盤200を本体104に装着した後、開口部から観察することができる。 <ぱちんこ機の背面>【0018】図2は、図1のぱちんこ機100を背面側から見た外観図である。ぱちんこ機100の背40 面上部には、上方に開口した開口部を有し、遊技球を一時的に貯留するための球タンク14750と、この球タンク150の下方に位置し、球タンク150の底部に形成した連通孔を通過して落下する球を背面右側に位置する払出装置152に導くためのタンクレール154とを配設している。 【0019】5 払出装置152は、筒状の部材からなり、その内部には、不図示の払出モータとスプロケットと払出センサとを備えている。スプロケットは、払出モータによって回転可能に構成されており、タンクレール154を通過して払出装置152内に流下した遊技球を一時的に滞留させると共に、払出モータを駆動して所定角度だけ回転することにより、一時的に滞留した遊技球を払出装置152の下方へ1個ずつ送り出すように構成している。 10 【0020】払出センサは、スプロケットが送り出した遊技球の通過を検知するためのセンサであり、 遊技球が通過しているときにハイまたはローの何れか一方の信号を、遊技球が通過していないときはハイまたはローの何れか他方の信号を払出制御部600へ出力する。なお、この払出センサを通過した遊技球は、不図示の球レールを通過してぱちんこ機100の表側15 に配設した上皿126に到達するように構成しており、ぱちんこ機100は、この構成により遊技者に対して球の払い出しを行う。 【0021】払出装置152の図中左側には、遊技全般の制御処理を行う主制御部300を構成する主基板156を収納する主基板ケース158、主制御部300が生成した処理情報に基づい20 て演出に関する制御処理を行う第1副制御部400を構成する第1副基板160を収納する第1副基板ケース162、第1副制御部400が生成した処理情報に基づいて演出に関する制御処理を行う第2副制御部500を構成する第2副基板164を収納する第2副基板ケース166、遊技球の払出に関する制御処理を行う払出制御部600を構成するとともに遊技店員の操作によってエラーを解除するエラー解除スイッチ168を備える払出基25 板170を収納する払出基板ケース172、遊技球の発射に関する制御処理を行う発射制御部630を構成する発射基板174を収納する発射基板ケース176、各種電気的遊技機器に電源を供給する電源制御部660を構成するとともに遊技店員の操作によって電源をオンオフする電源スイッチ178と電源投入時に操作されることによってRWMクリア信号を主制御部300に出力するRWMクリアスイッチ180とを備える電源基板18230 を収納する電源基板ケース184、および払出制御部600とカードユニットとの信号の送受信を行うCRインターフェース部186を配設している。 <遊技盤の正面>【0022】図3は、遊技盤200を正面から見た略示正面図である。遊技盤200には、外レール235 02と内レール204とを配設し、遊技球が転動可能な遊技領域124を区画形成している。 【0023】遊技領域124の略中央には、演出装置206を配設している。この演出装置206には、 略中央に装飾図柄表示装置208を配設し、その周囲に、普通図柄表示装置210と、第40 1特別図柄表示装置212と、第2特別図柄表示装置214と、普通図柄保留ランプ21486と、第1特別図柄保留ランプ218と、第2特別図柄保留ランプ220と、高確中ランプ222を配設している。なお、以下、普通図柄を「普図」、特別図柄を「特図」と称する場合がある。演出装置206は、演出可動体224を動作して演出を行うものであり、 詳細については後述する。 5 【0024】装飾図柄表示装置208は、装飾図柄ならびに演出に用いる様々な表示を行うための表示装置であり、本実施例では液晶表示装置(Liquid Crystal Display)によって構成する。この装飾図柄表示装置208は、左図柄表示領域208a、中図柄表示領域208b、右図柄表示領域208cおよび演出表示領域208dの4つの表示10 領域に分割し、左図柄表示領域208a、中図柄表示領域208bおよび右図柄表示領域208cはそれぞれ異なった装飾図柄を表示し、演出表示領域208dは演出に用いる画像を表示する。さらに、各表示領域208a、208b、208c、208dの位置や大きさは、装飾図柄表示装置208の表示画面内で自由に変更することを可能としている。 なお、装飾図柄表示装置208として液晶表示装置を採用しているが、液晶表示装置でな15 くとも、種々の演出や種々の遊技情報を表示可能に構成されていればよく、例えば、ドットマトリクス表示装置、7セグメント表示装置、有機EL(ElectroLuminescence)表示装置、リール(ドラム)式表示装置、リーフ式表示装置、プラズマディスプレイ、プロジェクタを含む他の表示デバイスを採用してもよい。 <副制御部>20 【0048】次に、ぱちんこ機100の第1副制御部400について説明する。第1副制御部400は、 主に主制御部300が送信したコマンド等に基づいて第1副制御部400の全体を制御する基本回路402を備えており、この基本回路402には、CPU404と、制御プログラムや各種演出データを記憶するためのROM406と、一時的にデータを記憶するため25 のRAM408と、各種デバイスの入出力を制御するためのI/O410と、時間や回数等を計測するためのカウンタタイマ412を搭載している。この基本回路402のCPU404は、水晶発信器414が出力する所定周期のクロック信号をシステムクロックとして入力して動作する。なお、ROM406は、制御プログラムと各種演出データとを別々のROMに記憶させてもよい。 30 【0049】また、基本回路402には、スピーカ120(およびアンプ)の制御を行うための音源IC416と、各種ランプ418(例えば、チャンスボタンランプ138)の制御を行うための駆動回路420と、遮蔽装置246の駆動制御を行うための駆動回路432と、遮蔽装置246の現在位置を検出する遮蔽装置センサ430と、チャンスボタン136の押下35 を検出するチャンスボタン検出センサ426と、設定操作部137の各ボタンの押下操作を検出する操作部センサ427と、遮蔽装置センサ430・チャンスボタン検出センサ426・操作部センサ427からの検出信号を基本回路402に出力するセンサ回路428と、CPU404からの信号に基づいてROM406に記憶された画像データ等を読み出してVRAM436のワークエリアを使用して表示画像を生成して装飾図柄表示装置2040 8に画像を表示するVDP434(ビデオ・ディスプレイ・プロセッサー)と、を接続し49ている。 <第1副制御部400の処理>【0152】次に、図15を用いて、第1副制御部400の処理について説明する。なお、同図(a)5 は、第1副制御部400のCPU404が実行するメイン処理のフローチャートである。 同図(b)は、第1副制御部400のコマンド受信割込処理のフローチャートである。同図(c)は、第1副制御部400のタイマ割込処理のフローチャートである。同図(d)は、第1副制御部400の画像制御処理のフローチャートである。 <操作手段画像表示処理>10 【0171】次に、図17を用いて、上述の第1副制御部メイン処理の画像制御処理(ステップS313)で実行される操作手段画像表示処理について詳細に説明する。なお、同図は、操作手段画像表示処理の流れを示すフローチャートである。 【0172】15 ステップS1001では、操作手段(例えば、チャンスボタン136や設定操作部137)の受付期間の開始タイミングが到来したか否かを判定し、該当する場合にはステップS1002に進み、該当しない場合にはステップS1004に進む。なお、本発明に係る操作手段は、チャンスボタン136や設定操作部137に限定されるものではなく、例えば、 球発射ハンドル134なども含まれ、遊技者が操作可能なものであればよい。また、「操20 作手段の受付期間」とは、操作手段の操作を検出した場合に当該操作を有効と判断し、当該操作に対応する処理を実行することが可能な期間のことである。 【0173】また、「操作手段の受付期間の開始タイミングが到来した」と判定する条件は特に限定されないが、例えば、特図先読み処理において特図変動遊技の大当りまたは小当りに当選し25 た場合、所定個数の遊技球の払い出しが行われた場合、遊技状態が第一の遊技状態から遊技者にとって有利な第二の遊技状態(または、遊技者にとって不利な第三の遊技状態)に移行した場合、大当り遊技後に特図変動遊技が所定回数行われた場合、所定の抽選に当選した場合、などが挙げられる。 【0174】30 ステップS1002では、操作手段画像(詳細は後述するが、例えば、チャンスボタン136を模した画像)を装飾図柄表示装置208に表示を行うために、当該操作手段画像に対応する演出データをROM406から読み出す等の処理を行い、ステップS1003に進む。ステップS1003では、操作手段の受付期間の経過時間を報知するための経過時間報知画像(後述する操作手段画像を兼ねる経過時間報知画像や、操作手段画像の表示を35 伴う経過時間報知画像を含む。以下同様)を装飾図柄表示装置208に表示を行うために、 当該経過時間報知画像に対応する演出データをROM406から読み出す等の処理を行い、 演出データの更新が必要な場合には演出データの更新処理を行って処理を終了する。 【0204】実施例1に係る操作手段画像表示によれば、遊技者に操作手段の操作を強く促すことがで40 きる場合がある。また、遊技者が操作手段の操作タイミングを逃すのを防ぎ、遊技の興趣50を向上させることができる場合がある。また、遊技者の選択肢が増えることにより、遊技の興趣を向上させることができる場合がある。 【4448】また、上記実施の形態の各実施例におけるチャンスボタン136のボタン操作については、 5 遊技者がボタン操作の有効期間中にボタンを操作しない場合であっても、ボタン操作が行われた場合と同等の演出を実行可能に構成してもよい。以下、これをオートボタンと称し、 以下に詳細に説明する。 【4449】まず、オートボタンの設定方法であるが、遊技者が任意に設定可能な構成であってもよい10 し、遊技状態等に応じて設定される構成であってもよい。遊技者が、任意に設定可能な例としては、デモ演出中などにチャンスボタン136もしくは方向キー137、あるいはその他の十字キー等の他の操作手段の操作によりすべての遊技者が設定することが可能な構成、遊技者がパスワード等の固有の情報を入力すること等を条件として、遊技台のカスタマイズや遊技履歴を遊技者ごとに蓄積可能なオリジナルモードのように、所定条件下で遊15 技者が設定可能な構成が挙げられる。遊技状態に応じて設定される構成とは、例えば、電サポ状態の有無や同一の遊技状態および演出モードが所定期間や所定回数継続する場合にオートボタンにすることで、同一種類のボタン演出が連続することに対する操作の煩わしさを低減できる場合がある。 【4450】20 オートボタンであることに報知については、装飾図柄表示装置208やサブ液晶表示装置209等で常時報知してもよいし、オートボタンの設定時にのみ報知するようにしてもよい。また、オートボタンの設定が解除される場合に報知する構成であっても、全く報知しない構成であってもよい。 【4451】25 また、オートボタン中の表示については、非オートボタン中と同等にボタンの画像、有効期間表示を行うようにしてもよいし、一部の画像を表示しないように構成してもよい。一部の画像を表示しないこと自体が上述のオートボタン中であることの報知になり得る場合がある。また、一部の画像を表示しない構成の例として、ボタン表示のみ表示して有効期間表示を行わない構成とすれば、本来はボタン演出があることは報知しつつ、極度に煩わ30 しい表示演出とならない場合がある。また、まったく表示を行わない構成であってもよい。 【4452】オートボタンの操作タイミングについては、有効期間中のいずれのタイミングであってもよい。例えば、有効期間の最初であれば遊技者に対して、オートボタンの演出が行われないかもしれないという不安を与えることなくボタン操作に伴う演出を行うことができる。 35 有効期間の途中であれば、ボタン操作に伴う演出の前後の間延びがなくバランスを取ることができる場合がある。有効期間の最後については、遊技者をじらすことでの興趣の向上につながる場合がある。しかしながら、有効期間の最後にボタン操作に伴う演出を出現させる場合は、非オートボタン時の有効期間切れで演出を強制的に出す場合と見た目が一緒になってしまう危険性がある。この場合例えば、オートボタン時は信頼度に応じた演出を40 出願させ、非オートボタン時の有効期間切れの場合には当否に関係なく一番信頼度の低い51演出を強制的に出現させて差を出すことも可能である。 【4453】オートボタンの遊技例としては、上述のようにオートボタンが設定されている場合には、 すべてのボタン演出でオートとしてもよいし、一部のボタン演出をオートにしてもよい。 5 一部オートの例としては、例えば、リーチ前予告はオート、リーチ後は非オートにしてもよいし、激熱演出時のみ非オート(遊技者に操作させたい)にしてもよい。また、オートと非オートを組み合わせることにより演出に多様性を持たせることができる場合がある。 例えば、先読み保留予告でボタン演出を行いボタン操作に伴い、保留アイコンが変化する演出は複数の図柄変動表示に亘って有効期間が設定される場合がある。この間、図柄変動10 表示でボタン演出を出すと、ボタン演出が重複する場合があり、遊技者が混乱をきたす可能性がある。そのため、一方のボタン演出をオートにすることで問題を解消しつつ、演出に多様性を持たせることができる場合がある。また、サブ液晶のボタン演出のみオートにするなど、デバイスごとに個別設定も可能である。 【4454】15 複数回のボタン操作を要するボタン演出のオートについては、演出ごとに決定される所定回数、非オートボタン時の遊技者の操作回数に応じて設置される回数等が想定される。一般的に複数回のボタン操作を要する演出の有効期間は、少し長めに確保されている。そのため、ボタン演出に伴うパラメータ表示などは、当否判定に応じた場合に限界(これ以上パラメータが進まない)がある。そのような場合にオートの回数を多くしてしまうと有効20 期間が残っているのにパラメータ表示が進まなく、遊技者を落胆させてしまう危険性がある。よって、有効期間を考慮した所定回数のオート操作を行うようにするのが好ましい場合がある。また、複数回の操作のうちの1回のみなど、一部のみオートにしてもよい。ボタン操作を促す構成としてオートボタン機能を使用することができる場合がある。 【4455】25 また、オートボタンを設定した時に、第一副制御部400から装飾図柄表示装置208の制御系等にコマンドを送り、後は装飾図柄表示装置208側での表示制御で対処してもよいし、非オートボタン時と同じタイミングでコマンドを送るようにしてもよい。 【4456】また、偶発的な条件が成立した場合に、オートボタンにしてもよい。例えば、大当り中の30 下皿満タンエラーなどのエラー時には遊技球の排出動作と遊技球の発射により両手を使用している場合がある。このような場合に自動的にオートボタンとする構成であってもよい。 また、オートボタン中であっても、(オートの)ボタン操作前に遊技者がボタン操作した場合は演出を行うようにしてもよい。また、オートボタン中に遊技者がボタン操作することでオートボタンが解除(非オート)される構成であってもよい。 35 【4633】(実施例11)次に、図424を用いて本実施の形態の実施例11によるパチンコ機100における特図変動遊技について説明する。図424(a)〜図424(r)はこの順に特図変動遊技を時系列で示している。なお、特図変動遊技を時系列で示す図において、ある図と次の図と40 の間の時間経過は各図間において必ずしも一致していない。 52【4634】図424(a)は、特図変動遊技が終了した状態を示している。特図1表示装置212および特図2表示装置214には第1はずれ図柄の「特図I」がそれぞれ停止表示されている。特図1および特図2用第四図柄表示領域t1、t2には特図変動遊技の結果がはずれ5 であることを示す「×」画像が表示されている。装飾図柄表示装置208の左中右図柄表示領域208a、208b、208cには「装飾3−装飾2−装飾8」が停止表示され、 当該特図変動遊技がはずれであることが報知されている。 【4635】また、特図1保留ランプ218には左側の2個のLEDが点灯して特図1の保留が2個あ10 ることが報知されている。特図2保留ランプ220は全て消灯しており特図2の保留がないことが報知されている。特図1保留アイコン表示領域には、保留順位が1位の保留に対応した特図1保留アイコンa1が表示され、その右側に保留順位が2位の保留に対応した特図1保留アイコンa2が表示されている。特図1保留アイコンa1、a2はいずれも図380(a)に示す通常保留の表示態様である。 15 【4636】図424(b)は、次の特図1変動遊技が開始されて当該特図1変動遊技が実行されている状態を示している。特図1表示装置212では特図変動表示が実行中であり、特図1用第四図柄表示領域t1では特図1変動遊技が実行中であることが報知されている。左中右図柄表示領域208a、208b、208cでは装飾図柄の変動表示が実行中である。 20 【4637】また、特図1変動遊技の開始に伴い保留順位が1位の保留が1つ消化されて、特図1保留ランプ218には左端の1個のLEDだけが点灯して特図1の保留が1個であることが報知されている。特図1保留アイコン表示領域では、保留の消化に対応して左側の特図1保留アイコンが消滅し、右隣りにあった特図1保留アイコンが左に移動して特図1保留アイ25 コンa1として表示される。 【4638】図424(c)は、左中右図柄表示領域208a〜208cが当初の表示領域中央から表示領域の左上角に縮小表示されて、演出表示領域208dが表示領域中央に拡大している状態を示している。 30 【4639】図424(d)は、ボタン演出を開始する状態を示している。本例では、リーチ演出が開始される前にボタン演出が開始される。本例のボタン演出では、まず始めにボタン演出の説明表示(チュートリアル表示)が行われる。ボタン演出の説明表示では、演出表示領域208dのほぼ中央にチャンスボタン136を模した画像が横一列に2つ整列し、さらに35 その右側に方向キー137が並んで表示されている。一列に並ぶ2つのチャンスボタン136と1つの方向キー137を模した画像のそれぞれの上部には「PUSH」の文字列が表示され、それらの上部には「ボタン操作で図柄を停止させろ」の文字列が表示され、その上部に「Ready」の文字列が表示されている。 【4640】40 図424(e)は、ボタン演出が開始された状態を示している。本実施例でのボタン演出53は、演出表示領域208dのほぼ中央に、チャンスボタン136を模した表示態様の操作要求画像(ボタン画像)が横一列に2つ整列して表示され、その右隣りに方向キー137を模した表示態様の操作要求画像(以下、「方向キー画像」または「ボタン画像」と称する場合がある)が表示されている。2つのボタン画像と1つの方向キー画像の各上部には5 「PUSH」の文字列が表示され、それらの上部には、2つのボタン画像と1つの方向キー画像に対して共通の1つの有効期間画像が表示されている。本例の有効期間画像は横に長い長方形枠形状を有しており、当初は当該枠形状内で有効期間の全期間を所定色の棒状で示し、期間の経過とともに所定色の棒状の部分が徐々に左方向に短くなるように表示される。より具体的には、有効期間画像はゲージ画像であり、ゲージ画像の表示は、ゲージ10 の長さが減るアニメーションが行われることで、操作有効期間の残り期間を示唆可能な表示である。ゲージ画像の表示は、ゲージの長さが0となることで操作有効期間が終了することを報知可能な表示である。ゲージ画像の上部に「Go」の文字列が表示されている。 【4641】図424(f)は、ボタン演出の実行中に遊技者が方向キー137ではなくチャンスボタ15 ン136を最初に押下した状態を示している。遊技者によるチャンスボタン136の押下は図中のチャンスボタン136に遊技者の指が載せられた状態で示している。有効期間画像は、棒状部分が左方向に幾分短くなって、操作有効期間が少し短くなった状態を報知している。 【4642】20 図424(g)は、ボタン演出の実行中にボタン画像消去アニメーション(ボタン消去アニメ)が実行されている状態を示している。チャンスボタン136が最初に押下されて受付があると左側のボタン画像がボタン消去アニメにより消去される。ボタン消去アニメの途中ではボタン画像に代えてエフェクト画像が表示される。また、消去されるボタン画像の上部の「PUSH」の文字列もボタン消去アニメの途中でエフェクト画像に変わりその25 後消滅する。これにより、必要な操作回数が一回減ったことを分かり易く報知している。 また、ボタン画像に代わるエフェクト画像により保留アイコンa1が一部隠されている。 有効期間画像は、棒状部分が左方向にさらに短くなって、操作有効期間がさらに短くなった状態を報知している。 【4643】30 図424(h)は、ボタン演出の実行中でボタン消去アニメの次に実行される第二の演出を示している。縮小表示されている装飾図柄の変動表示では、チャンスボタン136の押下を契機として左図柄表示領域208aで「装飾3」が仮停止されている。第二の演出では、演出表示領域208dの左側のボタン画像が表示されていた領域に「装飾3」を模した画像が表示される。有効期間画像は、棒状部分が左方向にさらに短くなって、操作有効35 期間がさらに短くなった状態を報知している。 【4644】図424(i)は、ボタン演出の実行中の操作有効期間が半分程度にまで少なくなってきていることが、有効期間画像の棒状部分が左方向にさらに短くなって報知している状態を示している。 40 【4645】54図424(j)は、操作有効期間が切れてゲージ表示の残期間が0であることをゲージ部分の無い空枠画像で表示している状態を示している。 【4646】図424(k)は、最初のチャンスボタン136の押下が行われた後の操作有効期間内に5 次のボタン操作が行われず、操作有効期間が切れてしまったことを契機としてボタン消去アニメが開始された状態を示している。ボタン消去アニメでは、演出表示領域208dの中央に表示されていたボタン画像とその右側に表示されていた方向キー画像が消去される。 ボタン消去アニメの途中ではボタン画像に代えてエフェクト画像が表示される。また、消去されるボタン画像の上部の「PUSH」の文字列もボタン消去アニメの途中でエフェク10 ト画像に変わりその後消滅する。このように、操作有効期間中のボタン操作の有無でボタン消去アニメの表示態様を変更してもよい。 【4647】図424(l)は、ボタン演出の実行中で第二の演出の後に実行される第三の演出(例えば、実施例2−1の第一の演出に相当する)を示している。本例の第三の演出では装飾図15 柄の強制表示が行われる。第三の演出として、演出表示領域208dの左上隅に表示されている左中右図柄表示領域208a〜208cのうち右図柄表示領域208cに「装飾3」係停止表示される。すでに左図柄表示領域208aには「装飾3」が仮停止表示されているので、この時点からリーチ演出が開始される。また、演出表示領域208dの左側のボタン画像が表示されていた領域に「装飾3」を模した画像が表示され、右側の方向キー画20 像が表示されていた領域に「装飾3」を模した画像が表示され、中央のボタン画像が表示されていた領域には装飾図柄の変動表示を模した画像がアニメーション表示される。本例では、操作有効期間内でのボタン操作の回数が、演出表示領域208dに表示されたボタン画像の数より少ない場合に、演出表示領域208dに第三の演出として装飾図柄の変動表示を模した画像が表示される。これにより、リーチ演出がSP(スーパー)リーチ25 に発展することが遊技者に報知される。 【4648】図424(m)〜図424(p)はSPリーチ演出を示している。図424(m)はSPリーチ演出が開始された状態を示しており、演出表示領域208dの左上角に縮小表示された左右図柄表示領域208a、208cに「装飾3」が仮停止表示されている。演出表30 示領域208dの上部には「討伐リーチ」の文字列が表示されている。演出表示領域208dの中央には二人の武士が向き合っている画像が表示されている。図424(n)はSPリーチ演出中にデカボタン表示がされてチャンスボタン136の押下が促されている状態を示している。図424(o)ではチャンスボタン136が押下されて、SPリーチ演出が次のシーンに進み、武士が「勝負じゃ!」と叫ぶ画像が表示されている。図42435 (p)は、当該武士が戦いに勝った状態を示している。画面中央に「装飾3」が表示され、 その右に勝った武士の姿とその左に負けた武士の姿が表示されている。画面上部には「勝ち」の文字列が表示されている。 【4649】図424(q)は、左中右図柄表示領域208a〜208cが縮小表示から装飾図柄表示40 装置208の画像表示領域の中央部に拡大されて表示された状態を示している。左図柄表55示領域208aに「装飾3」が仮停止し、中図柄表示領域208bに「装飾3」が仮停止し、右図柄表示領域208cに「装飾3」が仮停止している。 【4650】図424(r)は、特図1変動遊技が終了した状態を示している。特図1表示装置2125 には大当り図柄の「特図A」が停止表示している。特図1用第四図柄表示領域t1には特図1変動遊技の結果が当りであることを示す「A」画像が表示されている。装飾図柄表示装置208の左中右図柄表示領域208a、208b、208cには「装飾3−装飾3−装飾3」が停止表示され、当該特図1変動遊技が大当りであることが報知されている。 5657 |
事実及び理由 | |
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全容
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