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事件 令和 5年 (ネ) 10079号 損害賠償等請求本訴、特許権移転登録手続請求反訴控訴事件
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裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2024/01/22
権利種別 特許権
訴訟類型 民事訴訟
判例全文
判例全文
令和6年1月22日判決言渡

令和5年(ネ)第10079号 損害賠償等請求本訴、特許権移転登録手続請求反

訴控訴事件

(原審・東京地方裁判所令和2年(ワ)第17784号、令和3年(ワ)第446

5 0号)

口頭弁論終結日 令和5年11月28日

判 決



控訴人兼被控訴人(第1審本訴原告・反訴被告)

10 クリアストリーム株式会社

(以下「第1審原告」という。)



同訴訟代理人弁護士 長 P 佑 志

同 金 子 智 和

15 同 奥 村 直 樹

同 小 林 正 和

同訴訟代理人弁理士 山 本 航 介



控訴人(第1審本訴被告)

20 株式会社フォズ&CO.

(以下「第1審被告会社」という。)




被控訴人兼控訴人(第1審本訴被告・反訴原告)

25 Y?

(以下「第1審被告Y?」という。)


1
被控訴人兼控訴人(第1審本訴被告・反訴原告)

Y?

5 (以下「第1審被告Y?」という。)

主 文

1 第1審原告の控訴に基づき、原判決主文4項及び5項を取り

消す。

2 前項の取消し部分に係る第1審被告Y?及び同Y?の反訴請求

10 をいずれも棄却する。

2 第1審被告らの控訴をいずれも棄却する。

3 訴訟費用は、第1,2審を通じてこれを10分し,その1を

第1審原告の負担とし,その余を第1審被告らの負担とする。

4 原判決中第1審原告が原判決別紙目録記載の発明に係る特許

15 を受ける権利を有することの確認請求に係る部分は、第1審原

告の当審における訴えの取下げにより、失効している。

事 実 及 び 理 由

(略語は原判決の例による。)

第1 当事者の求めた裁判

20 1 第1審原告の原審における本訴請求(請求の法的根拠につき下表参照)

(1) 第1審被告らは、第1審原告に対し、連帯して3240万円及びこれに対

する平成28年4月27日から支払済みまで年6分の割合による金員を支

払え。

(2) 第1審被告らは、第1審原告に対し、連帯して1719万0175円及び

25 これに対する令和2年9月15日から支払済みまで年6分の割合による金

員を支払え。


2
(3) 第1審原告と第1審被告らの間において、第1審原告が本件各発明に係

特許を受ける権利を有することを確認する。

2 第1審被告Y?らの反訴請求

(1) 第1審原告は、第1審被告Y?に対し、原判決別紙目録記載の特許権につ

5 き、特許法74条1項を原因として、第1審原告の持分2分の1の移転登録

手続をせよ。

(2) 第1審原告は、第1審被告Y?に対し、原判決別紙目録記載の特許権につ

き、特許法74条1項を原因として、第1審原告の持分2分の1の移転登

録手続をせよ。

10 3 原審の判断及び控訴の提起

原審は、下表のとおり、第1審原告の本訴請求のうち、第1審被告会社に対

する請求を一部認容し、第1審被告Y?らに対する請求を全部棄却し、第1審被

告Y?らの反訴請求の一部を認容した。

これに対し、第1審原告は、その敗訴部分のうち本訴請求(3)及び反訴関係部

15 分を不服として控訴し、第1審被告らは、その敗訴部分全部を不服として、そ

れぞれ控訴した。その後、第1審原告は、本訴請求(3)に係る訴えを取り下げた

ことから、最終的な控訴の趣旨は下記のとおりとなっている(以上につき、下

表参照)。

【控訴の趣旨】

20 (1) 第 1 審原告

主文1項及び2項と同旨

(2) 第1審被告会社

ア 原判決主文1項及び2項を取り消す。

イ 前項の取消部分に係る第1審原告の請求をいずれも棄却する。

25 (3) 第1審被告Y?ら

原判決中反訴請求に係る部分を上記2のとおり変更する。


3
第 1 審被告会社関係 第 1 審被告Y?ら関係

本訴請求(1) 本件売買契約の解除に基づく原状 会社法429条に基づく取

回復請求としての代金返還請求 締役に対する損害賠償請求

→全部認容 →全部棄却

→第1審被告会社が控訴 →控訴なし

本訴請求(2) 本件業務委託契約に基づく業務委 会社法429条に基づく取

託料請求 締役に対する損害賠償請求

→1609 万 7297 円の限度で一部認 →全部棄却

容 →控訴なし

→第1審被告会社のみ控訴

上記各請求に 遅延損害金請求(本訴請求(1)の起算日は売買代金支払日、本訴請

係る附帯請求 求(2)の起算日は訴状送達の日の翌日、利率は平成29年法律第4

5号による改正前の商事法定利率)

本訴請求(3) 第1審原告が特許を受ける権利を有することの確認請求

→持分 10 分の1の限度で一部認容

→双方控訴後、当審で訴え取下げ

反訴請求 特許法74条1項に基づく

特許権の移転登録請求

→持分各 20 分の 9 の限度

で一部認容

→双方控訴




第2 事案の概要等

1 前提事実

5 前提事実は、原判決の第2の2(4頁〜)記載のとおりであるから、これを


4
引用する。ただし、原判決第2の2の末尾(10頁22行目)に行を改め次の

とおり加える。

「(12) 第1審被告Y?らは、令和4年5月11日、第1審原告を被請求人とし

て、本件特許に係る特許無効審判を請求したところ、特許庁は、令和5

5 年10月4日、冒認出願(本件発明1〜4、7及び8)及び共同出願

反(本件発明5及び6)を理由に本件特許を無効とする旨の審決をした

(乙63)。同審決は、同月13日に第1審原告に送達されたが、第1

審原告は、これに対して審決取消訴訟を提起せず、上記審決は同年11

月13日の経過により確定した。」

10 2 争点及び争点に対する当事者の主張

(1) 当審における本訴関係の争点は、原判決第3の1(1)〜(3)(10頁〜)の

争点1〜3のとおりであり、これに対する当事者の主張は、原判決第4の1

〜3(11頁〜)のとおりである。

(2) 反訴については、本件特許を無効とする審決の確定により、本件各発明の

15 発明者は誰かという実体的な争い(原審の争点6)は、当審における争点か

ら脱落している(後記第3の3参照)。

第3 当裁判所の判断

1 本件の事実経過及びその認定についての補足説明は、以下のとおり補正する

ほか、原判決第5の2(35頁〜)及び3(43頁〜)のとおりであるから、

20 これを引用する。

(1) 原判決第5の2(3) の見出し(38頁22行目)を「(3) 本件業務委託契

約の締結及びその後の経緯」に改める。

(2) 原判決第5の2(5)の項(40頁17行目〜20行目)を次のとおり改め

る。

25 「(5) 第1審原告は、第1審被告会社に対し、平成30年5月頃までに、

相当の期間を定めて本件売買契約の目的物である植毛量産機2台の引


5
渡しを催告したが、その引渡しがされなかったため、同年6月19日、

本件売買契約を解除する旨の意思表示をした。」

2 本訴について

本訴に係る争点1(一部弁済の有無)、争点2(本件キャンセル合意により

5 第1審被告会社に生じた損害の有無及びその額)及び争点3(未払業務委託料

等の有無及びその額)についての判断は、原判決第5の4〜6(44頁〜)の

説示のとおりであるから、これを引用する。

これによれば、原判決が判断するとおり、第1審原告の第1審被告会社に対

する金銭請求のうち、本件売買代金の請求は全部理由があり、業務委託料の請

10 求は1609万7297円及び遅延損害金の限度で理由がある。

3 反訴について

前述のとおり、本件特許を無効とする審決が確定したから、本件特許権は初

めから存在しなかったものとみなされる(特許法125条)。そうすると、第

1審被告Y?らの反訴請求は、移転を請求すべき本件特許権が失われている以

15 上、その余の点について判断するまでもなく、既に理由がないといわざるを得

ない。

なお、第1審被告Y?らは、反訴提起に際し予告登録の嘱託(特許登録令25

条)がされなかったことを問題とするようであるが、予告登録は特許権の消長

には何ら影響するものではなく、特許権の消滅の登録は特許庁長官が職権です

20 べきものである(特許登録令16条1号)。

第4 結論

以上によれば、第1審被告Y?らの反訴請求は全部理由がないから、原審反訴

認容部分を不服とする第1審原告の控訴は理由があり、原審反訴棄却部分を不

服とする第1審被告Y?らの控訴は理由がない。また、本訴金銭請求は、原審が

25 認容した限度で理由があるから、同認容部分を不服とする第1審被告会社の控

訴は理由がない。なお、原判決中、第1審原告が特許を受ける権利を有するこ


6
との確認請求に係る部分は、第1審原告の当審における訴えの取下げにより失

効しているから、その旨を明らかにすることとして、主文のとおり判決する。

知的財産高等裁判所第4部



5 裁判長裁判官

宮 坂 昌 利



裁判官

本 吉 弘 行

10


裁判官

岩 井 直 幸




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