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事件 令和 4年 (ネ) 10078号 不当利得返還請求控訴事件
裁判所のデータが存在しません。
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2023/02/21
権利種別 特許権
訴訟類型 民事訴訟
判例全文
判例全文
令和5年2月21日判決言渡

令和4年(ネ)第10078号 不当利得返還請求控訴事件

(原審・東京地方裁判所令和元年(ワ)第20286号(第1事件)
・同第2083

5号(第2事件))

5 口頭弁論終結日 令和4年12月5日

判 決



控 訴 人 有限会社コロンブスの卵たち



10


被 控 訴 人 任 天 堂 株 式 会 社



同訴訟代理人弁護士 塩 月 秀 平

同 岡 田 誠

15 同 松 本 陸

同補佐人弁理士 大 石 幸 雄

同 村 和 宗

同 佐 藤 宏 樹

主 文

20 1 本件控訴を棄却する。

2 控訴費用は控訴人の負担とする。

事 実 及 び 理 由

第1 控訴の趣旨

1 原判決を取り消す。

25 2 被控訴人は、控訴人に対し、110万円及びこれに対する令和元年8月2日

から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。


1
3 被控訴人は、控訴人に対し、2000万円及びこれに対する令和元年8月2

0日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第2 事案の概要(略称は原判決に従う。)

1 本件は、発明の名称を「片手支持可能な表示装置」とする特許第33829

5 36号の特許(本件特許)に係る特許権(本件特許権)の特許権者であった控

訴人において、被控訴人が製造及び販売する原判決別紙1被告製品目録記載の

各製品(被告各製品)は本件特許権の技術的範囲に属するものであり、被控訴

人は法律上の原因なくして本件特許の実施料相当額の利得を得ている旨主張し

て、被控訴人に対し、不当利得返還請求権に基づいて、@平成21年8月5日

10 から平成23年8月30日までの期間における実施料相当額100億円及び消

費税相当額10億円の合計110億円の一部請求として110万円及びこれに

対する令和元年8月2日(第1事件の訴状送達の日の翌日)から支払済みまで

改正前民法所定の年5分の割合による遅延損害金、A平成21年2月4日から

同年8月4日までの期間における実施料相当額25億2000万円の一部請求

15 として1億円及び令和元年8月20日(第2事件の訴状送達の日の翌日)から

支払済みまで同割合による遅延損害金の各支払を求める事案である。

2 原判決は、@第1次訂正後の特許請求の範囲の請求項1及び2に係る発明は、

国際公開91/05327号(乙1文献)に記載された発明(乙1発明’)に周

知技術を適用すれば容易に想到し得たものであるから、進歩性を有するもので

20 はなく、また、第1次訂正後の請求項3ないし6及び請求項10に係る発明は、

乙1発明’と相違点はなく、乙1発明’であるから新規性を欠くものである、

A請求項1、2及び10に係る第2次訂正はいずれも訂正要件に適合するもの

ではなく、請求項1ないし10は一群の請求項を構成するから、請求項1ない

し10に係る訂正はいずれも不適法であり、また、請求項1ないし6に係る第

25 3次訂正もいずれも訂正要件に適合するものではないから、訂正の再抗弁はい

ずれも理由がない、Bしたがって、本件各発明に係る特許は特許無効審判にお


2
いて無効とされるべきものであって、控訴人は、被控訴人に対し、本件特許権

を行使することはできない旨判断して、控訴人の請求をいずれも棄却したとこ

ろ、控訴人は、これを不服として、本件控訴をした(なお、控訴人は、前記の

とおり、原審においては、第2事件については、1億円及びこれに対する遅延

5 損害金の支払を求めていたが、控訴の趣旨第1の3の限度で控訴をした。 。


3 「前提事実」 「争点」及び「争点に関する当事者の主張」は、次のとおり補


正し、後記4及び5のとおり、当審における当事者の補充主張等を付加するほ

かは、原判決の「事実及び理由」欄の第2の2、3及び第3に記載のとおりで

あるから、これを引用する。

10 (原判決の補正)

11頁9行目冒頭から同11行目末尾までを次のとおり改める。

「 控訴人は、上記審決のうち請求項1ないし10までに係る部分の取消し

を求める審決取消訴訟を提起した(知的財産高等裁判所令和3年(行ケ)

第10037号)が、知的財産高等裁判所は、令和4年2月2日、控訴人

15 の請求を棄却する旨の判決をした。控訴人は、同判決を不服として、上告

及び上告受理申立てをしたが、最高裁判所は、同年9月14日、上告棄却

及び上告不受理決定をし、同判決は確定した。
(以上、当裁判所において顕

著な事実) 」


17頁21行目冒頭から末尾までを次のとおり改める。

20 「 特許庁は、令和4年4月21日付けで、
「請求項7ないし10を削除する

訂正を認める。請求項1ないし6を無効とする。 旨の審決の予告をした。


控訴人は、この審決の予告を受けて、同年6月27日付け訂正請求書によ

って、本件特許の特許請求の範囲及び明細書を訂正することを求める訂正

請求(以下、この訂正請求に係る訂正を「第4次訂正」という。 をした
) (甲

25 104)。

特許庁は、同年9月29日付けで、控訴人に対し、第4次訂正に係る訂


3
正拒絶理由を通知した(乙33)ところ、控訴人は、同年11月4日付け

で、特許庁に対し、上記訂正請求書の補正書を提出した(甲107) 」


4 当審における控訴人の補充主張等

本件発明の進歩性欠如に関する原判決の判断の誤り

5 ア 本件周知技術の認定の誤り

原判決は、乙4文献及び乙26文献から、
「折り畳み式の小型電子機器に

おいて、表示板を含む2つの部材のなす角度が、ユーザーが行う表示板の

回動により約120度から約170度までの範囲内の予め決められた1

つの角度に変化させられたとき、前記回動をストップさせて、前記2つの

10 部材の間を前記予め決められた1つの角度で固定する中間ストッパであ

って、前記2つの部材のなす角度が折り畳まれた状態から広げられていく

動作をストップする機能と、広げられた状態から角度を狭めていく動作を

ストップする機能を有する中間ストッパを設けること」を周知技術として

認定した。

15 しかし、乙4文献と乙26文献の2つの文献のみで「周知技術」を認定

することが許されるかについては疑問があるが、その点を措くとしても、

乙4文献には、ポップアップ機構を備えたチルト機構が、キーボードであ

る操作板1、操作板に対し回動する表示板2、複数条のストップ用溝(a

〜e)を有する回転軸8、回転軸止め用シャフト10を回転軸8の溝に圧

20 接させる弾性部材(圧接部9A) 弾性部材9Aによる弾性的な圧接力をも


って回転軸8の溝に嵌合する回転軸止め用シャフト10、回転軸8を表示

板2(可動部)側に取り付ける可動部固定用ブラケット11、及び弾性部

材9A、回転軸止め用シャフト10等を操作板1側に固定する回転軸受け

ベース9という複数の部品が必須の構成として互いに有機的に組み合わ

25 せられて構成されていることが開示され、乙26文献には、ポップアップ

チルト機構を備えたヒンジ機構が、キーボードである本体ケース1、本体


4
ケース1に対し回動する表示体ケース2、凸凹部10を有する回転軸6、

クリックツメ12を回転軸6の凸凹10に押圧させるクリックバネ11、

クリックバネ11により回転軸6の凸凹10に押圧されるクリックツメ

12、及び回転軸6を表示板ケース2、可動部側に取り付けるレバー14

5 という複数の部品が必須の構成として互いに有機的に組み合わせられて

いることが開示されている。ところが、原判決は、乙4文献の表示板2又

は乙26文献の表示体ケース2、乙4文献の溝aないしeを備えた回転軸

8又は乙26文献の凸凹10を備えた回転軸、乙4文献の回転軸止め用シ

ャフト10又は乙26文献のクリックツメ12だけを組み合わせて周知

10 技術を認定したものであって、こうした周知技術の認定は、必須の構成の

一部を捨象し、上位概念化した構成又は技術思想を抽出して認定するもの

であり、誤りである。

容易想到性の判断の誤り

原判決は、乙1発明’は、第1のパネル12と第2のパネル14が蝶番

15 手段16によって接続され、ユーザーが座ったり、立ったり、又は歩いた

りする位置にあるときに、片手でコンピュータを保持し、もう片方の手で

データを入力することを許容するコンピュータノートブック10の発明

であり、これは折り畳み式の小型電子機器に関する技術であるという点で、

本件周知技術と共通するものであり、したがって、乙1発明’において「第

20 1のパネル12及び第2のパネル14の両方が蝶番手段16を中心とし

た多数の角度において配向する」場合に、本件周知技術の中間ストッパを

採用することにより、本件相違点に係る本件発明1及び2の構成とするこ

とは、当業者において容易に想到し得た旨判断したが、以下のとおり、上

記判断には誤りがある。

25 動機付けの欠如

a 乙1発明’が属する技術分野は、
「第1の操作板とこれに対し折り畳


5
み可能な第2の表示板とを必須の構成要素として成る、操作板(キー

ボード・本体ケース)のない、折り畳み式の小型電子機器」である。

これに対して、乙4文献及び乙26文献に共通に記載された発明が属

する技術分野は、操作板(キーボード・本体ケース)とこれに対し折

5 り畳み可能な表示板とを必須の構成とする小型電子機器であり、特に、

操作板(キーボード・本体ケース)を必須とするものであるから、技

術分野が共通しているとはいえない。折り畳み式の小型電子機器とい

上位概念化した広い技術分野が一致するのみで、乙1発明’の「ロ

ッキング機構」を乙4文献及び乙26文献の「ポップアップ型チルト

10 機構」に置き換えることが容易に想到する旨の原判決の判断は誤りで

ある。

b 乙1発明’の課題又は目的は、片手でコンピュータを保持し、もう

片方の手でデータを入力することを許容するものであり、こうした課

題を解決するために、@2つのパネル12、14が互いに360度の

15 弧内のいかなる位置においても回動・配向できるようにすること、A

2つの各軸36、38に記載された締着つまみ42を回すことにより、

セラミックジャケット40又は硬質ゴム座金46側に摩擦力を生じさ

せて、2つのパネル12、14を互いに背中合わせを含む複数の位置

で保持、固定できるようにする作用又は機能を有する。

20 これに対し、乙4文献及び乙26文献の課題又は目的は、摩擦力に

よりフリーストップ型チルト機構において生じていた停止位置がずれ

てしまうなどの不都合を解消し、表示板を任意の位置で停止させるこ

とであり、こうした課題に対応するために、操作板とそれに対して回

動する表示板が所定の角度に変化させられたとき、回転軸止め用シャ

25 フト10(クリックツメ12)が回転軸8の溝(回転軸6の凸凹10)

に対して弾性的に圧入されて固定する作用又は機能を有する。


6
このように、乙1発明’と乙4文献又は乙26文献に記載された技

術的事項は、課題又は目的、作用又は機能において異なっているから、

乙1発明’に乙4文献又は乙26文献に記載された事項を採用する動

機付けはない。

5 c 乙1発明’は、@第1のロッキング機構として、第1の軸36のシ

ャフト37、同シャフト37の一端部に装着される締着つまみ42、

同シャフトの両端部に取り付けられるセラミックジャケット40、セ

ラミックジャケット40が接触する第1及び第4の蝶番ブラケット2

8、34という複数の部品、A第2のロッキング機構として、第2の

10 軸38のシャフト、同シャフトの一端部に装着される締着つまみ42、

同シャフトが挿通する第2及び第3の蝶番ブラケット30、32、同

各蝶番ブラケット30、32と第2のパネル14との間に摩擦力を生

じさせるゴム座金46という複数の部品が、それぞれ必須の構成とし

て有機的に組み合わせられている。

15 これに対し、乙4文献及び乙26文献に記載のポップアップチルト

機構は、外周側に複数の溝(又は凸凹)が備えられた比較的大径の回

転軸、回転軸を表示板(又は表示体ケース)側に固定する可動部固定

用ブラケット(又はレバー)、溝(又は凸凹)に係合(嵌合)する回転

軸止め用シャフト(又はクリックツメ) これらを軸又は凸凹側に押圧


20 する弾性部材(又はクリックバネ)、並びに回転軸止め用シャフト(又

はクリックツメ)、弾性部材(又はクリックバネ)を操作板(又は本体

ケース)側に固定するベース(回転軸受けベース)という複数の部品

が必須の構成として有機的に組み合わせられている。

このように、乙1発明’のロッキング機構と、乙4文献又は乙26

25 文献のポップアップチルト機構は、それぞれがひとかたまりの技術で

あり、互いに大きく異なる構成であるから、両者を共存させることは


7
困難であり、乙1発明’に対して乙4文献又は乙26文献に記載の機

構を採用するときは、乙1発明’のロッキング機構を除外する必要が

あるところ、乙1発明’は、独自のロッキング機構を採用することで

前記bの発明の課題を解決しており、そうした独自の構成を他の構成

5 (ポップアップチルト機構)にあえて置き換える動機付けはない。

阻害要因があること

a 乙4文献及び乙26文献に記載のあるポップアップチルト機構の必

須の構成要素である「外周側に複数の溝(又は凸凹)が備えられた比

較的大径の回転軸、回転軸を表示板(又は表示体ケース)側に固定す

10 る可動部固定用ブラケット(又はレバー)、溝(又は凸凹)に係合(嵌

合)する回転軸止め用シャフト(又はクリックツメ)、これらを溝又は

凸凹側に押圧する弾性部材(又はクリックバネ) 並びに回転軸止め用


シャフト(又はクリックツメ)又は弾性部材(又はクリックバネ)を

操作板(又は本体ケース)側に固定する部材(回転軸受けベース)と

15 いう複数の部品を配置するためのスペースを、表示用の2つのパネル

12、14を蝶番で接続して成り、ユーザーが片手だけで保持するキ

ーボードなしの携帯用コンピュータである乙1発明’における蝶番1

6内に確保することが極めて困難であることは、乙1文献の図1ない

し図3から明らかであるから、乙1発明’の第1のロッキング機構及

20 び第2のロッキング機構からポップアップ型チルト機構への置換には

阻害要因がある。

b 乙1発明’の目的は、ユーザーが座ったり、立ったり、又は歩いた

りする位置にあるときに、片手でコンピュータを保持し、もう片方の

手でデータを入力することを許容するシステムを提供することであり、

25 こうした目的を達成するため、乙1発明’は、第1のパネル12及び

第2のパネル14を互いに360度弧内で回動でき、かつ、互いに背


8
中合わせに並置することができるように、第1のパネル12及び第2

のパネル14が第1の軸36及び第2の軸38によりそれぞれ回動す

る2軸構造の蝶番を採用している。そして、乙1発明’の蝶番は、2

軸でありながら、比較的小径の第1の軸36及び第2の軸38の各端

5 部にそれぞれ締着つまみ42を装着して回すことによりセラミックジ

ャケット40側又はゴム座金46側に摩擦力を生じさせ、この摩擦力

で第1のパネル12及び第2のパネル14を互いに背中合わせを含む

複数の位置に保持、固定できるようにした第1及び第2のロッキング

機構を備えることで、蝶番を含む装置全体を片手で保持できるような

10 薄型にできるようにしている。

ところで、乙4文献及び乙26文献に記載された技術的事項は、外

周側に複数の溝aないしe(又は凸凹10)が備えられた比較的大径

の回転軸8(乙26文献では回転軸6)、回転軸8(又は回転軸6)を

表示板2(又は表示体ケース2)側に固定する可動部固定用ブラケッ

15 ト11(又はレバー6) 溝aないしe
、 (又は凸凹10)に係合(嵌合)

する回転軸止め用シャフト10(又はクリックツメ12) 回転軸止め


用シャフト10(又はクリックツメ12)を溝aないしe又は凸凹1

0側に押圧する弾性部材9A(又はクリックバネ11) 並びに回転軸


止め用シャフト10(又はクリックツメ12)及び弾性部材9A又は

20 クリックバネ119を操作板(又は本体ケース1)側に固定する部材

(乙4文献では回転軸受けベース9)を必須の構成としており、それ

ぞれ比較的大型の部品である。特に、外周側に複数の溝aないしe(又

は凸凹)が備えられた回転軸8(乙26文献では回転軸6)は、必然

的に大径の軸とせざるを得ない。そして、乙1発明’の蝶番の2つの

25 軸36、38にそれぞれ乙4文献及び乙26文献に記載された技術的

事項を適用すると、必然的に蝶番は厚形化(大型化)することになり


9
(下図参照) 装置全体を片手で保持できることが困難となってしまう


ため、乙1発明’の目的に反することになる。

したがって、乙1発明’に乙4文献又は乙26文献に記載された技

術的事項を適用することには阻害要因がある。




5


訂正の再抗弁(第4次訂正)

ア 控訴人は、令和4年4月21日付けで審決の予告を受けて、同年6月

27日付け訂正請求書によって、本件特許の特許請求の範囲及び明細書

を訂正することを求める訂正請求(第4次訂正)をした。

10 なお、特許庁に第4次訂正に係る訂正請求書を提出したことにより、

原判決の第3次訂正は、取り下げられたものとみなされた。

第4次訂正請求に係る特許請求の範囲の請求項1ないし6(以下、こ

れらの請求項に係る発明を順に「第4次訂正発明1」ないし「第4次訂

正発明6」といい、これらを併せて「第4次各訂正発明」という。)の記

15 載は、別紙1の「第4次訂正対比表」に記載のとおりであり、別紙2の

とおり、訂正要件を満たすものである。

イ 第4次訂正により無効理由が解消すること

第4次訂正発明1と乙1発明’の相違点と容易想到性


10
第4次訂正発明1と乙1発明’は、以下の点で相違するが、相違点1

の構成は、乙1発明’ 乙4文献及び乙26文献に記載された技術的事項


から当業者が容易に想到し得たものではないことは、前記 のとおりで

ある。

5 a 第4次訂正発明1は、互いに約180度で見開き可能に接続されて

いる2つの表示板が互いに折り畳まれた状態か互いに約180度で見

開きにされた状態へと変化するように(すなわち、2つの表示板間が

広げられていくように)2つの表示板中の少なくとも一方をユーザー

が回動させている場合において、2つの表示板間が所定の角度になっ

10 たとき、当該ユーザーが行っている回動をストップさせて2つの表示

板を固定する、見開き固定手段(又はストッパ)を備えているが、乙

1発明’はそのような構成を備えていない点(以下「相違点1」とい

う。 。


b 第4次訂正発明1は、2つの表示板を、その少なくとも一方の表示

15 板をユーザーが回動させるとき各表示板がそれらが互いに接続されて

いる部分を回動中心として相対的に回動するように接続する構成を備

えているが、乙1発明’はそのような構成を備えていない点(以下「相

違点2」という。 。


第4次訂正発明2ないし5と乙1発明’の相違点と容易想到性

20 第4次訂正発明2及び4は、乙1発明’と相違点1及び2で相違し、

第4次訂正発明3及び5は、乙1発明’と相違点1で相違し、前記 の

とおり、相違点1の構成は、乙1発明’、乙4文献及び乙26文献に記載

された技術的事項から当業者が容易に想到し得たものではないことは、

前記 のとおりである。

25 第4次訂正発明6と乙1発明’の相違点と容易想到性

第4次訂正発明6と乙1発明’は、相違点1及び相違点2に加え、以


11
下の相違点(以下「相違点3」という。)があるが、相違点1の構成は、

乙1発明’ 乙4文献及び乙26文献に記載された技術的事項から当業者


容易に想到し得たものではないことは、前記 のとおりである。

また、乙1発明’に乙4文献及び乙26文献に記載の技術的事項であ

5 る「ポップアップ型チルト機構」を適用すると、乙1発明’の第1及び

第2のロッキング機構を除外することになり、乙1発明’は相違点3の

摩擦力によるチルト機構(フリーストップ型チルト機構)としての第1

及び第2のロッキング機構を備えないことになるから、相違点3は、乙

1発明’ 乙4文献及び乙26文献に記載の技術的事項からは容易に想到


10 し得ない。

(相違点3)

第4次訂正発明6は、相違点1に係る構成(ストッパ)と、2つの表

示板の少なくとも一方をユーザーが回動させている場合において、ユー

ザーが行っている回動をユーザーが自分で止めたとき、そのときの角度

15 でそのまま2つの表示板間が摩擦力により保持されるようにチルト機構

(フリーストップ機構)とを並存させる構成を備えているが、乙1発明’

はそのような構成を備えていない点。

ウ 被告各製品が第4次各訂正発明の技術的範囲に属すること

被告各製品は、@小型サイズの2つの表示板を共通の1つの軸を中心

20 として相対的回動が可能なように接続する構成を備えていること、A2

つの表示板間が約180度見開きにされた状態で固定する完全見開き固

定手段を備えていること、B各表示板の一方をユーザーが回動させてい

る場合において、2つの表示板の各画面が表示される側の間の角度が約

160度になったとき、当該ユーザーが行っている回動をストップさせ

25 て2つの表示板間を当該角度で固定する構成(中間ストッパ)を備えて

いることから、第4次訂正発明1ないし5の各構成要件を充足し、また、


12
第4次訂正発明6の構成要件6A’ないしE’を充足する。

被告各製品は、各表示板の一方をユーザーが回動させている場合にお

いて、2つの表示板の各画面が表示される側の角度が約160度になっ

たとき、当該ユーザーが行っている回動をストップさせて2つの表示板

5 間を当該角度で固定する構成(摩擦力を利用したフリーストップ型チル

ト機構)を備えているから、第4次訂正発明6の構成要件6F’を充足

する。

以上によれば、被告各製品は、第4次各訂正発明の技術的範囲に属す

る。

10 5 当審における被控訴人の補充主張等

本件発明は無効であること

ア 本件発明は新規性を欠くこと

本件発明1

原判決は、本件明細書において「半固定」と「一時的に固定」が区別

15 されていることから、本件発明1の「中間左右見開き固定手段」を「ス

トッパ」
(例えば、2つの表示板を接続する蝶番の回動を所定の角度でス

トップさせるもの)などを使用して「一時的に固定」するための手段で

あると解した上で、本件相違点を相違点として認定したが、このような

認定を前提にするとしても、ヒンジ構造を有する電子機器においてヒン

20 ジに「ストッパ」
(回動を阻止する機構)を備えることは、特開平2−2

75108号公報(乙2)、実開平3−67714号公報(乙3)、実開

平2−91874号公報(乙4) 特開平2−268311号公報
、 (乙5)、

実願昭59−104166号(実開昭61−19832号)のマイクロ

フィルム(乙26)に開示されているように、本件遡及日時点における

25 周知の技術であり、乙1発明’の「ロッキング機構」に係る記載に接し

た当業者にとって当然に想起できる事項であるから、このような「中間


13
左右見開き固定手段」は、乙1文献に開示されているに等しい事項であ

って、当業者にとって自明な事項である。

本件発明2等

本件発明2の構成要件2Dの「中間左右見開き固定手段」には、本件

5 発明1とは異なり、
「ストッパ」という文言はなく、
「ストップする機能」

という文言があるにすぎないから、この「中間左右見開き固定手段」を

「ストッパ」を使用して「一時的に固定」するための手段と解すべき理

由はない。そして、乙1発明’の「ロッキング機構」は「ストップする

機能」を有するから、本件発明2の「中間左右見開き固定手段」に相当

10 する。

仮に、本件発明2の構成要件2Dの「ストップする機能」を有する「中

間左右見開き固定手段」を「ストッパ」
(例えば、2つの表示板を接続す

る蝶番の回動を所定の角度でストップさせるもの)などを使用して「一

時的に固定」するための手段であると解したとしても、このような「中

15 間左右見開き固定手段」は、乙1文献に開示されているに等しい事項で

あって、当業者にとって自明な事項であることは、前記 のとおりであ

る。

なお、本件発明3ないし6、10が新規性を欠くことは、原判決が説

示するとおりであり、控訴人も、控訴理由書で、原判決の認定判断につ

20 いて特に言及していない。

イ 本件発明1及び2は進歩性を欠くこと

本件発明は、
「LCDパネル(表示板)5及び7」 「蝶番9及び10」


で接続した「携帯用のコンパクト・サイズの表示装置」ということの他

に具体的構造がどのようなものであるか全く不明であって、従来周知の

25 ものを組み合わせた際に生じるであろう様々な技術的課題や問題点すら

認識したものではなく、
「LCDパネル(表示板)5及び7」を「蝶番9


14
及び10」で接続した「携帯用のコンパクト・サイズの表示装置」に従

来周知の手段を用いるという発想自体を主題としたものであって、単に

抽象的・観念的レベルで創作したものにすぎない。こうした発想自体を

主題とする本件発明に係る進歩性の判断においては、引用発明に2つの

5 パネルを半固定する手段又は一時的に固定する手段を設けるという発想

自体を当業者が容易に想到するかという観点から検討すべきである。

控訴人は、乙1発明’ 乙4発明及び乙26発明並びにこれらの組み合


わせについて縷々主張するが、本件発明は、結局のところ、固定手段に

かかる周知技術を用いて達成すべき課題をそのまま構成要素としただけ

10 のものであり、それ以上に具体的な要素を何ら有するものではなく、各

発明の具体的な構造に関する個々の点を取り上げて論じることは適当で

はないから、控訴人の主張は失当である。

原判決は、乙4文献及び乙26文献に基づいて本件周知技術を認定し

た上で、乙1発明’に本件周知技術の中間ストッパを採用することによ

15 り本件相違点に係る本件発明1の構成とすることは、当業者において容

易に想到し得たとして、本件発明1の進歩性を否定したが、乙4文献に

記載された発明を副引用発明として乙1発明’と組み合わせることでも、

本件相違点に係る本件発明1の構成に容易に想到し得る。

すなわち、乙4文献に開示されている発明は、小型電子機器に係るも

20 のであり、乙1発明’のコンピュータノートブック10と同様に折り畳

み可能な電子機器であるから、乙4文献に記載された発明と乙1発明’

は技術分野が共通する。そして、乙1発明’におけるロッキング機構は、

乙4文献の図6に示される従来の折り畳み式小型電子機器と同様にフリ

ーストップ型の機構であり、パネルを「ある傾斜角度で開いた状態」に

25 おいて「小さな衝撃、振動」等があると「停止位置がずれる」という技

術的課題は当然発生し得る。乙4文献に記載された発明は、こうした技


15
術的課題を解決するためのものであり、乙1発明’のフリーストップ型

のロッキング機構を上記の技術的課題を解決するために、乙4文献に記

載された発明を適用することは何ら困難なことではない。また、乙1発

明’のコンピュータノートブック10は2つの回動軸を有するものであ

5 り、
「ロッキング機構」も2つ存在するところ、これら2つの「ロッキン

グ機構」のそれぞれに乙4文献のポップアップ機構を追加することは当

業者であれば容易になし得ることである。

したがって、乙4文献に記載された発明を乙1発明’に適用すること

により、本件相違点に係る本件発明1の構成とすることは当業者におい

10 て容易に想到し得たことであり、本件発明2も、乙4文献に記載された

発明を乙1発明’に適用することにより容易に想到することができるも

のである。

また、乙26文献に記載された発明を副引用発明として乙1発明’に

組み合わせることでも、本件相違点に係る本件発明1の構成に容易に想

15 到し得る。

すなわち、乙26文献に開示されている発明は、小型の電子機器に係

るものであり、乙1発明’のコンピュータノートブック10と同様に折

り畳み可能な電子機器に係るものであるから、乙26文献に記載された

発明と乙1発明’は技術分野が共通する。そして、乙1発明’における

20 ロッキング機構は、乙26文献の図5に示される従来の折り畳み式小型

電子機器と同様にフリーストップ型の機構であり、任意の角度で停止が


出来たり、クリック感を与える」という技術的課題は当然発生し得る。

乙26文献に記載された発明は、こうした技術的課題を解決するための

ものであり、乙1発明’のフリーストップ型のロッキング機構を上記の

25 技術的課題を解決するために、乙26文献に記載された発明を適用する

ことは何ら困難なことではない。また、乙1発明’のコンピュータノー


16
トブック10は2つの回動軸を有するものであり、
「ロッキング機構」も

2つ存在するところ、これら2つの「ロッキング機構」のそれぞれに乙

26文献の「凸凹」及び「クリックツメ」の機構を追加することは当業

者であれば容易になし得ることである。

5 したがって、乙26文献に記載された発明を乙1発明’に適用するこ

とにより、本件相違点に係る本件発明1の構成とすることは当業者にお

いて容易に想到し得たことであり、本件発明2も、乙26文献に記載さ

れた発明を乙1発明’に適用することにより容易に想到することができ

るものである。

10 訂正の再抗弁(第4次訂正)について

ア 第4次訂正について

第4次訂正に基づく訂正の再抗弁は時機に後れた攻撃防御方法に当た

るものとして却下されるべきである。

すなわち、特許権侵害訴訟における特許無効の抗弁とこれに対する再

15 抗弁(対抗主張)は、あくまで民事訴訟の手続であって、特許庁で行わ

れる無効審判請求とその手続内でされる訂正請求とは別であり、必ずし

もその手続に並行してされるものではない。訂正の再抗弁は、特許権侵

害訴訟の請求原因事実である構成要件変更するものであるから対抗主

張とも称されるように、訂正の主張によって訴訟の進行に重要な変容を

20 加えることになるので、その主張を取り上げると更なる審理が必要とな

るから、訂正主張については慎重に対応されるべきである。

原判決は、第2次訂正及び第3次訂正に基づく訂正の再抗弁ついて訂

正要件の有無を審理して判断したが、第4次訂正に基づく訂正の再抗弁

は、原審口頭弁論終結後の審決の予告に対応するものとはいえ、民事訴

25 訟手続の進行の観点からみれば、原審での長期にわたる審理において、

訂正要件を充足しない旨の被控訴人による主張を踏まえ、第3次訂正に


17
ついて吟味を加える時間的余裕があったにもかかわらず、控訴人は、控

訴理由書で、第4次訂正に係る訂正の再抗弁を追加したものであるから、

こうした主張が時機に後れたものであることは明らかであり、また、原

審における控訴人の不誠実な訴訟態度によって審理が長期化した経緯に

5 鑑みれば、控訴理由書で訂正の再抗弁を主張する合理的理由はなく、控

訴人には重過失があって、この主張を許せば、本件訴訟の完結が著しく

遅れることは明らかである。

なお、念のため、以下のとおり、第4次訂正は、訂正要件に適合する

ものではなく、不適法なものであることについて主張する。

10 a 請求項1について

訂正事項1−3は、訂正前の請求項1の「を備えたことを特徴とす

る」を、
「を備え、前記中間左右見開き固定手段は、前記「広げられて

行く動作」又は前記「狭められて行く動作」が為されるように前記2

つの表示板の少なくとも一方の表示板をユーザーが回動させている場

15 合において、前記2つの表示板のそれぞれ画面が表示される側の間の

角度が約150度から約170度までの範囲内の所定の角度となった

とき、前記のユーザーが行っている回動を、前記のストッパによりス

トップさせる、ものである、ことを特徴とする」(下線部が訂正箇所。

以下同じ。)に訂正するものであるところ、まず、ストッパによりスト

20 ップさせる角度を「約120度から約170度までの範囲内のいずれ

かの角度」から「約150度から約170度までの範囲内の所定の角

度」に限定することは、訂正事項1−2の訂正内容であるから、訂正

事項1−3の訂正の目的を検討するときは、他の訂正事項に係る訂正

内容の他にどのような訂正内容が含まれているかを検討する必要があ

25 る。

そして、第4次訂正前の請求項1の「中間左右見開き固定手段」は、


18
「ユーザーから見て左右方向に見開きにされたときの前記「2つの表

示板」 、ストッパにより固定するための中間左右見開き固定手段」
を」「

であって、「前記「2つの表示板」の、「前記各表示板のそれぞれ画面

が表示される側の間の角度」が「前記各表示板が互いに折り畳まれた

5 状態」から広げられて行く動作、をストップする機能と、前記「2つ

の表示板」 「前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の間の角
の、

度」が「ユーザーから見て左右方向に約180度の角度で見開きにさ

れた状態」から狭められて行く動作、をストップする機能と、を有す

る」ものである。

10 したがって、訂正事項1−3の「前記中間左右見開き固定手段は、

前記「広げられて行く動作」又は前記「狭められて行く動作」が為さ

れるように前記2つの表示板の少なくとも一方の表示板をユーザーが

回動させている場合において、前記2つの表示板のそれぞれ画面が表

示される側の間の角度が所定の角度となったとき、前記ユーザーが行

15 っている回動を、前記のストッパによりストップさせる、ものである」

という構成は、第4次訂正前の請求項1の「中間左右見開き固定手段」

の内容を単に言い換えたものにすぎないから、訂正事項1−3に係る

訂正は、訂正前の構成を限定したり、下位概念で特定したりするもの

ではなく、この訂正の目的が「特許請求の範囲減縮」に該当すると

20 はいえない。

また、第4次訂正前の請求項1の「中間左右見開き固定手段」に誤

記や明瞭でない記載があるとは認められないから、この訂正が「誤記

の訂正」や「明瞭でない記載釈明」を目的とするものではなく、
「他

の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引

25 用しないものとすること」にも該当しない。

以上によれば、訂正事項1−3の訂正は、特許法126条1項ただ


19
し書の要件に適合しない。

b 請求項2及び3について

訂正事項2−3及び3−2は、前記aのとおり、第4次訂正前の請

求項2及び3の「中間左右見開き固定手段」の内容を単に言い換えた

5 ものにすぎないから、この訂正の目的が「特許請求の範囲減縮」に

該当するとはいえない。また、第4次訂正前の請求項2及び3の「中

間左右見開き固定手段」に誤記や明瞭でない記載があるとは認められ

ないから、この訂正が「誤記の訂正」や「明瞭でない記載釈明」を

目的とするものではなく、 他の請求項の記載を引用する請求項の記載


10 を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」にも該当しな

い。

以上によれば、訂正事項2−3及び3−2の訂正は、特許法126

条1項ただし書の要件に適合しない。

c 請求項6について

15 新規事項の追加に当たること

訂正事項6−1及び6−7は、
「次の(a)〜(d)の内容を含む

ことを特徴とする片手支持可能な表示装置。 を、
」 「次の(a) (e)


の内容を含むことを特徴とする片手支持可能な表示装置。」に訂正

するともに、「左右見開き固定手段、を備えている。」の次に、改行

20 して、(e)前記2つの表示板の少なくとも一方の表示板を前記2


つの表示板が互いに折り畳まれた状態から互いに約180度で見

開きにされた状態へと変化するようにユーザーが回動させている

場合において、前記のユーザーが行っている回動をユーザーが自分

で止めたとき、前記2つの表示板間が「前記ユーザーが行っている

25 回動をユーザーが自分で止めたときの角度」でそのまま摩擦力によ

り保持されるように、前記回動が為されるようにする、チルト機構


20
を備えている。」を挿入するものであるところ、控訴人は、この訂正

は訂正前の明細書の記載等から当業者に自明の事項であるから、新

規事項を追加するものではない旨主張する。

しかし、
「ストッパにより固定するための左右見開き固定手段」と

5 「チルト機構」を併用することは、訂正前の明細書及び図面に記載

されておらず、「ストッパにより固定するための左右見開き固定手

段」と「チルト機構」の両方を実現させるための具体的構成は一切

開示されていないし、訂正前の明細書等の記載から自明な事項でも

ないから、訂正事項6−1及び6−7は、特許法126条5項の要

10 件に適合しない。

控訴人は、訂正事項6−1には、
「蝶番にチルト機構とストッパを

併用的に備えること(ストッパとチルト機構を併用すること)それ

自体しか記載されておらず、「蝶番にチルト機構とストッパを併用

的に備えるための具体的構成は含まれていないから、少なくとも上

15 記具体的構成に関する限り、新規事項の追加は問題とならない旨主

張するが、第4次訂正後の請求項6は、
「ストッパ」及び「チルト機

構」の機能をそれぞれ具体的に規定しているのであるから、訂正事

項6−1は、ストッパとチルト機構を併用することそれ自体しか記

載されていないとはいえず、当該各機能が並存しながら実現できる

20 ための具体的構成が第4次訂正前の明細書及び図面において開示

されていなければならないのであって、訂正事項6−1の訂正につ

いて新規事項の追加の有無を判断する際に、「ストッパにより固定

するための左右見開き固定手段」と「チルト機構」の両方を実現さ

せるための具体的構成が第4次訂正前の明細書及び図面に記載さ

25 れているかを検討すべきことは当然である。なお、訂正前の明細書

の【0018】には、
「また本実施例においては、蝶番9及び10の


21
構造を従来周知の方法で工夫すること(例えば、ストッパを設ける

こと等)により、2つの枠体1と枠体2の間が、例えば約105度

から約170度まで(又は、約110度から約170度まで)の間

の5段階の角度のいずれかの角度で、ストッパがかかって固定でき

5 るように構成するようにしてもよい。 と記載されているが、
」 この記

載は、蝶番にストッパを設けることにより5段階のいずれかの角度

でストップさせることを開示するのみであって、蝶番にストッパと

チルト機構を並存させたことを開示するものではない。

? 特許請求の範囲を実質上拡張し、又は変更するものであること

10 で述べたところによれば、訂正事項6−1及び6−7にかかる訂

正は、第4次訂正前の特許発明技術的範囲外のものも含むことにな

ることは明らかである。

また、第4次訂正前の請求項6においては、 (d)ユーザーから見


て縦方向の線の右側部分と左側部分とを、ユーザーから見て縦方向の


15 線を境とした、前記右側部分と左側部分との間の見開き角度」が「約

105度から約170度までの範囲内のいずれかの角度」となるよう

に、摩擦力やストッパやチルト機構やその他の手段により固定するた

めの左右見開き固定手段」として、
「チルト機構」も含め固定時の角度

範囲は、「約105度から約170度までの範囲内のいずれかの角度」

20 とされていた。これに対し、訂正事項6−1及び6−7にかかる訂正

は、 (e)前記2つの表示板の少なくとも一方の表示板を前記2つの


表示板が互いに折り畳まれた状態から互いに約180度で見開きにさ

れた状態へと変化するようにユーザーが回動させている場合において、

前記のユーザーが行っている回動をユーザーが自分で止めたとき、前

25 記2つの表示板間が「前記ユーザーが行っている回動をユーザーが自

分で止めたときの角度」でそのまま摩擦力により保持されるように、


22
前記回動が為されるようにする、チルト機構を備えている。 を挿入す


るものであるから、「チルト機構」の固定時の角度範囲を、「約105

度から約170度」から「0度(折りたたまれた状態)から約180

度」まで広げるものであって、この点からしても、訂正事項6−1及

5 び6−7にかかる訂正が、第4次訂正前の特許発明技術的範囲外の

ものも含むことになることは明らかである。

以上によれば、訂正事項6−1及び6−7の訂正は、実質上特許請

求の範囲を拡張し、又は変更するものであって、特許法126条6項

の要件に適合しない。

10 イ 第4次訂正後の請求項に係る発明は新規性及び進歩性を有するものでは

なく、第4次訂正によって無効理由が解消されるものではないこと

前記アのとおり、第4次訂正は、時機に後れた攻撃防御方法に当たるも

のであり、また、訂正要件を満たすものではないが、念のために更に主張

すると、以下のとおり、第4次各訂正発明は、新規性及び進歩性を欠くも

15 のであって、本件発明の無効理由を解消するものではないから、いずれに

しても第4次訂正に係る訂正の再抗弁は失当である。

ヒンジ構造を有する電子機器においてヒンジに「ストッパ」
(回動を阻

止する機構)を備えることは、本件遡及日時点における周知の技術であ

ることは、前記 ア のとおりであり、乙1発明’ 「ロッキング機構」


20 に係る記載に接した当業者にとって当然に想起できる事項であるから、

第4次訂正発明1の構成要件1Dないし1F及び1Hの「ストッパ」に

より固定するための「中間左右見開き固定手段」は乙1発明’の「ロッ

キング機構」から自明な事項であり、乙1文献に記載されているに等し

い事項であるといえる。したがって、第4次訂正発明1と乙1発明’と

25 の間には相違点はなく、第4次訂正発明2ないし5も同様に乙1発明’

と相違点はない。


23
なお、第4次訂正発明6は、
「ストッパにより固定するための左右見開

き固定手段」と「チルト機構」を併用するものであり、訂正要件を満た

さないことは前記ア cのとおりであるが、仮に新規事項の追加に当た

らないとしても、上記の第4次訂正発明1ないし5の場合と同様の理由

5 により、第4次訂正発明6と乙1発明’との間には相違点はない。

第4次各訂正発明と乙1発明’との間に原判決が認定した本件相違点

と同様の相違点(第4次訂正発明1は、
「2つの表示板」の「各表示板の

それぞれ画面が表示される側の間の角度」が「前記各表示板が互いに折

り畳まれた状態」から広げられて行く動作をストップする機能と、前記

10 「2つの表示板」の「前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の間

の角度」が「ユーザーから見て左右方向に約180度の角度で見開きに

された状態」から狭められて行く動作をストップする機能を有する、
「ス

トッパ」により固定するための「中間左右見開き固定手段」を備えるが、

乙1発明’は当該構成を備えない点)があるとしても、乙1発明’に原

15 判決が認定した本件周知技術の「中間ストッパ」を採用することにより、

当該相違点に係る第4次各訂正発明の構成とすることは当業者において

容易に想到し得たものである。

また、前記 ア 及び のとおり、@乙1発明’のフリーストップ型

の「ロッキング機構」において、パネルを「ある傾斜角度で開いた状態」

20 において「小さな衝撃、振動」等があると「停止位置がずれる」という

技術的課題を解決するために、乙4文献に記載された発明を適用するこ

と、A乙1発明’のフリーストップ型の「ロッキング機構」において、

「任意の角度で停止が出来たり、クリック感を与える」という技術的課

題を解決するために乙26文献記載された発明を適用することは、当業

25 者であれば何ら困難なことではなく、上記相違点の構成に想到するもの

である。そして、第4次訂正発明1と同様に、第4次訂正発明2ないし


24
6も、乙4文献に記載された発明又は乙26文献に記載された発明を乙

1発明’に適用することにより容易に想到し得る。

ウ 被告各製品は第4次訂正発明を充足しないこと

仮に、第4次訂正が訂正要件を満たすものであり、無効理由を解消する

5 ものであるとしても、被告各製品は、第4次訂正発明を充足するものでは

ない。

すなわち、第4次訂正に係る訂正請求項1、3及び5においては、
「2つ

の表示板」の「それぞれ画面が表示される側の間の角度」に係る構成が規

定されているところ、被告各製品は、少なくとも「2つの表示板」の「そ

10 れぞれ画面が表示される側の角度」を備えないから、第4次訂正に係る訂

正請求項1、3及び5の技術的範囲に属さない。また、第4次訂正に係る

訂正請求項2、4及び6においては、
「2つの表示板の間の見開き角度」に

係る構成が規定されているところ、被告各製品は、少なくとも「2つの表

示板の間の見開き角度」に係る構成を備えないから、第4次訂正に係る訂

15 正請求項2、4及び6の技術的範囲に属さない。

加えて、第4次訂正に係る訂正請求項6においては、
「前記のユーザーが

行っている回動をユーザーが自分で止めたとき、前記2つの表示板間が

「前記ユーザーが行っている回動をユーザーが自分で止めたときの角度」

でそのまま摩擦力により保持」する構成が規定されているところ、被告各

20 製品においては、下パネルを置いた地面に対する上パネルの角度によって

は、摩擦力によって上パネルと下パネルを任意の相対的位置関係に固定し

ておくことができない場合があるため、被告各製品は「前記2つの表示板

間」 「
を 「前記ユーザーが行っている回動をユーザーが自分で止めたときの

角度」でそのまま摩擦力により保持」することができないから、第4次訂

25 正に係る請求項6の技術的範囲に属さない。

したがって、被告各製品は、第4次訂正後の特許請求の範囲に記載の発


25
明の技術的範囲に属さない。

第3 当裁判所の判断

1 当裁判所も控訴人の請求は理由がないものと判断する。

その理由は、次のとおり補正し、当審における控訴人の補充主張等に対する

5 判断を、後記2のとおり付加するほかは、原判決の第4の1ないし4に記載の

とおりであるから、これを引用する。

(原判決の補正)

183頁23行目冒頭から184頁10行目末尾までを次のとおり改める。

「 3頁12ないし28行

10 Most importantly, there is no keyboardless portable computer

that allows the use of two separate digitizers in tandem that

allows a user to input data on one digitizer, view it on a second

digitizer that doubles as a display, and to make changes to the

displayed material on the second digitizer as necessary.

15 Therefore, it is one objective of the present invention to

provide a computer aided notebook that utilizes two or more

separate digitizers combined in the form of a notebook. Another

objective of the present invention is to provide a system that

allows one digitizer to be rotated with respect to the second so

20 that the computer aided notebook can be opened to a variety of

selected positions and where one of such positions allows a user

to hold the computer in one hand while data is entered with the

other while the user is in a sitting, standing or walking

position.」

25 (日本語訳)

「 最も重要なことは、ユーザに、データを1つのデジタイザに入力し、


26
ディスプレイとしても兼務する第2のデジタイザ上でそれを見て、かつ

必要に応じて第2のデジタイザ上に表示された資料に変化を与えるこ

とを許容する連携した2つの別個のデジタイザの使用を許容するキー

ボードのない携帯用コンピュータがないことである。

5 したがって、この発明の目的は、ノートの形状に組み合わされた2つ

以上の別個のデジタイザを利用するコンピュータ援助ノートを提供する

ことである。この発明の別の目的は、コンピュータ援助ノートブックが

様々な選択された位置に開かれ得るように1つのデジタイザが第2のデ

ジタイザを基準にして回転することを許容し、かつこのような位置の1

10 つは、ユーザが座ったり、立ったり、または、歩いたりする位置にある

ときに、片手でコンピュータを保持し、もう片方の手でデータを入力す

ることを許容するシステムを提供することである。」

195頁21行目冒頭から196頁2行目末尾までを次のとおり改める。

「 本件発明1は、ユーザーから見て左右方向に見開きにされたときの「2

15 つの表示板」を、
「前記「2つの表示板」のそれぞれ画面が表示される側の

間の角度」 「約120度から約170度までの範囲内のいずれかの角度」


となるように、ストッパにより固定するための中間左右見開き手段固定手

段であって、前記「2つの表示板」の「前記各表示板のそれぞれ画面が表

示される側の間の角度」が「前記各表示板が互いに折り畳まれた状態」か

20 ら広げられて行く動作をストップする機能と、前記「2つの表示板」 「前


記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」が「ユーザーから

見て左右方向に約180度の角度で見開きにされた状態」から狭められて

行く動作をストップする機能を有する、
「ストッパ」により固定するための

「中間左右見開き固定手段」を備えるが、乙1発明’は当該構成を備えな

25 いこと。」

196頁4行目の冒頭から末尾まで、197頁3行目の冒頭から23行目


27
末尾までを削る。

209頁21行目の「特許法126条1項ただし書き」を「特許法134

条の2第1項ただし書きないし126条1項ただし書き(以下、第4の4に

おいて同じ。 」と改める。


5 2 当審における控訴人の補充主張等について

本件発明の進歩性の欠如について

ア 本件周知技術の認定の誤り

控訴人は、前記第2の4 アのとおり、原判決が認定した周知技術は、

乙4文献及び乙26文献に記載された事項のうち必須の構成の一部を上

10 位概念化した構成又は技術的思想を抽出して認定するものであり、誤りで

ある旨主張する。

しかし、本件発明と乙1発明’の相違点に係る本件発明1の「中間見開

き固定手段」は、
「2つの表示板」が互いに折り畳まれた状態から広げられ

ていく動作をストップする機能と、ユーザーから見て左右方向に約180

15 度の角度で見開きにされた状態から狭められていく動作をストップする

機能を備えるものであるが、その具体的な構成は何ら特定されていない。

周知技術は、各文献に記載された技術的事項から共通の技術的思想を抽出

して認定するものであるところ、具体的な構成を開示するものではない本

件相違点に係る構成に対応する周知技術を認定するに当たって、乙4文献

20 又は乙26文献における表示板又は表示体ケースの動作をストップする

具体的な構成を含める必要はない。

したがって、控訴人の上記主張は理由がない。

イ 動機付けの欠如

控訴人は、前記第2の4 イ のとおり、@乙1発明’は「操作板(キ

25 ーボード・本体ケース)のない、折り畳み式の小型電子機器」であるの

に対し、乙4文献又は乙26文献に記載された発明が属する技術分野は


28
「操作板(キーボード・本体ケース)と表示板とを必須の構成要素とす

る、折り畳み式の小型電子機器」であるから、技術分野が一致している

とはいえない、A乙1発明’と乙4文献又は乙26文献に記載された技

術的事項は、課題又は目的、作用又は機能において異なっているから、

5 乙1発明’に乙4文献又は乙26文献に記載された技術的事項を適用す

る動機付けはない、B乙1発明’に他の構成を採用するときは、乙1発

明’のロッキング機構を除外する必要があるところ、乙1発明’は、ロ

ッキング機構で「片手でコンピュータを保持し、もう片方の手でデータ

を入力することを許容する」という課題を解決しており、そうした独自

10 の構成を他の構成(ポップアップチルト機構)にあえて置き換える動機

付けはない旨主張する。

しかし、折り畳み式の小型電子機器がキーボードや本体ケースの有無

によって異なる技術分野に属するとは認め難いから、@については理由

がない。また、A及びBの点は、つまるところ、乙4文献及び乙26文

15 献の共通の技術的思想ではなく、それぞれの構成や作用効果等を前提と

して、乙1発明’に適用する動機付けがないと主張しているにすぎず、

その点を措くとしても、乙1発明’における「ロッキング機構」は、フ

リーストップ型の機構であり、パネルをある傾斜角度で開いた状態にお


いて、小さな衝撃、振動等があると・・・停止位置がずれる」
(乙4。3

20 頁4〜7行) 「任意の角度で停止が出来たり、クリック感を与えるもの


ではない」
(乙26。2頁16〜18行)といったフリーストップ型の技

術的課題を解決するために、乙1発明’のロッキング機構に代えて本件

周知技術を適用する動機付けがあるといえるから、いずれにせよ、控訴

人の上記主張は理由がない。

25 また、控訴人は、前記第2の4 イ のとおり、@乙1発明’の第1

のロッキング機構及び第2のロッキング機構から乙4文献及び乙26文


29
献に記載されている「ポップアップ型チルト機構」に置換することは、

乙1発明’の蝶番16内にチルト機構の部品を配置するスペースを確保

することが困難となるため、阻害要因がある、A乙1発明’は、片手で

コンピュータを保持し、もう片方の手でデータを入力することを許容す

5 るシステムを提供するものであるため、2軸構造の蝶番を採用し、2つ

のパネルを背中割合わせに並置することができるようにしているところ、

乙1発明’の2軸のそれぞれに乙4文献及び乙26文献に記載されてい

るチルト機構を適用すると、蝶番が厚型化してしまい、片手だけで保持

することが困難となって乙1発明’の目的に反するから、乙1発明’に

10 乙4文献及び乙26文献に記載された技術的事項を適用することは阻害

要因がある旨主張する。

前記アのとおり、本件発明1の「中間見開き固定手段」は、
「2つの表

示板」が互いに折り畳まれた状態から広げられていく動作をストップす

る機能と、ユーザーから見て左右方向に約180度の角度で見開きにさ

15 れた状態から狭められていく動作をストップする機能を備えるものであ

り、その具体的な構成は特定されておらず、本件周知技術もこうした構

成に対応して具体的な構成を問題とするものではないところ、控訴人の

上記主張は、乙4文献及び乙26文献の「チルト機構」の具体的な構成

を前提として乙1発明’にこのような構成を適用することに阻害要因が

20 あるというものであるから、前提を異にするものというべきであるし、

その点を措くとしても、乙1発明’の蝶番の2軸のそれぞれにチルト機

構の部品を配置することは技術的に不可能なことではなく(前記第2の

4 イ bの図参照) 蝶番がどの程度厚型化するかは設計次第であると


いえる。また、2軸構造の蝶番のそれぞれにチルト機構の中間ストッパ

25 を採用したとしても必然的に片手で保持することができなくなるともい

えないし、もとより、乙1発明’の第1の目的は、
「ノートの形状に組み


30
合わされた2つ以上の別個のデジタイザを使用するコンピュータ援助ノ

ートを提供する」ことであって、片手だけで保持することは乙1発明’

の必須の目的ではない。

したがって、控訴人の上記主張は、いずれにしても理由がない。

5 第4次訂正に係る訂正の再抗弁の成否について

ア 時機に後れた攻撃防御方法に当たるかについて

控訴人は、第4次訂正に係る訂正の再抗弁は、特許庁による令和4年4

月21日付けの審決の予告を受けてした第4次訂正請求に係るものであ

って、本件特許に係る特許権侵害訴訟における手続においても当然に主張

10 できるものと考えるようである(同主張によって第3次訂正に係る訂正の

再抗弁が取下げ擬制されたとも主張している。 が、
) 特許権侵害訴訟におい

て無効の抗弁とその対抗主張ともいうべき訂正の再抗弁は、特許権の侵害

に係る紛争をできる限り特許権侵害訴訟の手続内で迅速に解決するため、

特許無効審判手続による無効審決の確定を待つことなく主張することが

15 できるものとされたにすぎず、特許無効審判とは別の手続である民事訴訟

手続内でのものであるから、審理の経過に鑑みて、審理を不当に遅延させ

るものであるときは、時機に後れた攻撃防御方法に当たるものとして却下

されるべきである。

そこで、原審における審理経過についてみると、控訴人は、原審におい

20 て、第1回弁論準備手続期日(令和元年11月18日)における本件特許

新規性及び進歩性を欠く旨の無効の抗弁の主張(被告第1準備書面)を

受けて、第3回弁論準備手続期日(令和2年7月27日)までに、第2次

訂正に係る訂正の再抗弁に係る原告第2準備書面を提出したが、本件無効

審判の手続における訂正請求に合わせて、第3次訂正に係る訂正の再抗弁

25 を記載した令和3年3月3日付け原告第5準備書面及び同年5月27日

付け原告第6準備書面を提出した(これらの準備書面は、第4回弁論準備


31
手続期日(令和3年12月16日)において、訂正書面を含めて陳述され

た。 。原判決は、第2次訂正及び第3次訂正に係る訂正の再抗弁はいずれ


訂正要件を充足せず、本件特許は特許無効審判により無効とすべきもの

と判断したところ、控訴人は、控訴理由書で、第4次訂正に係る訂正の再

5 抗弁の主張を追加したものである。

こうした原審での審理経過に鑑みると、第4次訂正は、時機に後れて提

出された攻撃防御方法に当たり、その提出が後れたことについて控訴人に

は重過失があるから、本来であれば却下は免れないが、被控訴人から第4

次訂正については訂正要件を充足しないこと等を含め、第4次訂正に係る

10 訂正の再抗弁についての反論がされており、この限度では訴訟の完結を遅

延させることになるとまではいえないため、以下、判断を加えることとす

る。

なお、控訴人は、特許庁による第4次訂正に係る訂正拒絶理由通知を受

けて、第4次訂正に係る手続補正書を提出したとして、弁論終結予定の口

15 頭弁論期日(令和4年12月5日)の直前になって、更に補正した内容に

係る第4次訂正の再抗弁も主張する(令和4年11月29日付け控訴人第

1準備書面)が、これについては、明らかに時機に後れているため、却下

する。

イ 第4次訂正の訂正要件適合性

20 請求項1について

訂正事項1−3は、請求項1に「前記中間左右見開き固定手段は、前

記「広げられて行く動作」又は前記「狭められて行く動作」が為される

ように前記2つの表示板の少なくとも一方の表示板をユーザーが回動さ

せている場合において、前記2つの表示板のそれぞれ画面が表示される

25 側の間の角度が約150度から約170度までの範囲内の所定の角度と

なったとき、前記のユーザーが行っている回動を、前記のストッパによ


32
りストップさせる、ものである」との発明特定事項を加えるものである

ところ、控訴人は、同訂正の目的は特許請求の範囲減縮に当たる旨主

張する。

そこで検討するに、第1次訂正後の請求項1に係る中間左右見開き固

5 定手段は、ユーザーから見て左右方向に見開きされたときの2つの表示

板をストッパにより固定するための中間左右見開き固定手段であり(1

D)、2つの表示板の各表示板のそれぞれの画面が表示される側の間の

角度が各表示板が互いに折り畳まれた状態から広げられていく動作を

ストップする機能と(1E) 2つの表示板の各表示板のそれぞれの画面


10 が表示される側の間の角度がユーザーから見て左右方向に約180度

の角度で見開きされた状態から狭められていく動作をストップする機

能を有する(1F)ものと特定されている。訂正事項1−3は、訂正事

項1−2の 「2つの表示板」
「 のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」

が「約150度から約170度までの範囲内の所定の角度」という訂正

15 事項を除くと、第1次訂正後の請求項1に係る中間左右見開き固定手段

に係る上記の発明特定事項を単に言い換えたものであるにすぎないか

ら、訂正事項1−3は、特許請求の範囲減縮に当たるものとはいえず、

その他、誤記や明瞭でない記載釈明を目的とするものともいえない。

したがって、訂正事項1−3は、特許法134条の2第1項ただし書

20 ないし126条1項ただし書の規定に適合しない。

請求項2ないし5について

訂正事項2−3、3−2、4−3、5−3は、訂正事項1−3と同様

に、それぞれ訂正事項2−2、3−1、4−2、5−2の訂正事項を除

くと、第1次訂正後の請求項2ないし5に係る中間左右見開き固定手段

25 又は左右見開き固定手段に係る発明特定事項を単に言い換えたものであ

るにすぎないから、これらの訂正事項は、特許請求の範囲減縮に当た


33
るものとはいえず、その他、誤記や明瞭でない記載釈明を目的とする

ものともいえない。

したがって、訂正事項2−3、3−2、4−3、5−3は、特許法1

34条の2第1項ただし書ないし126条1項ただし書の規定に適合し

5 ない。

請求項6について

第4次訂正前の請求項6の「左右見開き固定手段」は、
「約105度か

ら約170度までの範囲内のいずれかの角度」となるように、摩擦力や

ストッパやチルト機構やその他の手段により固定するための左右見開き

10 固定手段を備えるものであった(構成要件6D)であったところ、第4

次訂正は、 「約150度から約170度までの範囲内の所定の角度」と


なるように、ストッパにより固定するための左右見開き固定手段」
(訂正

事項6−5)と、
「前記2つの表示板の少なくとも一方の表示板を・・・

「前記ユーザーが行っている回動をユーザーが自分で止めたときの角度」

15 でそのまま摩擦力により保持されるように、前記回動が為されるように

する、チルト機構を備えている」(訂正事項6−7) 「内容を含む」
、 (訂

正事項6−1)に訂正するものであり、これらの訂正事項によれば、第

4次訂正後の請求項6に係る発明は、
「ストッパ」と「チルト機構」の両

方を備えたものとなったといえる。

20 しかし、第4次訂正前の本件明細書には、本件発明の固定手段として、

「(a)摩擦力やチルト機構などにより「半固定」する場合・ ・や、
・ (b)

ストッパ・ ・などを使用して
・ 「一時的に固定」する場合」
(【0010】)

が挙げられ、固定手段の一例であるチルト機構(【0011】 、摩擦力に


よる固定(【0017】 、ストッパによる固定(
) 【0018】)についての

25 説明はあるが、
「ストッパ」と「チルト機構」を併用した固定手段につい

ては記載も示唆もなく、また、
「ストッパ」と「チルト機構」を併用する


34
ことが折り畳み式の小型電子機器の分野でごく普通に行われており、当

業者にとって自明な事項であると認めるに足りる証拠はない。

そうすると、訂正事項6−1、6−5及び6−7は、第4次訂正前の

明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関

5 係において新たな技術的事項を追加するものであるといえる。

したがって、訂正事項6−1、6−5及び6−7は、特許法134条

の2第9項において準用する126条5項の規定に適合しない。

ウ 本件第4次訂正による無効理由の解消について

特許請求の範囲の訂正は、その制度趣旨に照らしても、その要件を厳守

10 することが求められているというべきであるから、前記ア のとおり、本

件のような経緯の下で、発明特定事項を単に言い換えたにすぎないような

訂正をことさら含めた請求は、その趣旨を正解しないものとして、厳格な

認定になじむものと解するが、訂正事項1−3は、訂正事項1−2の「前

記2つの表示板のそれぞれ画面が表示される側の間の角度が約150度

15 から約170度までの範囲内の所定の角度となったとき」との訂正事項を

含むものであり、訂正事項1−2と1−3を一体として捉え、訂正として

不要な事項をあえて除けば、これらにより、訂正前の請求項1の「前記『2

つの表示板』のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」が「約120度

から約170度までの範囲内のいずれかの角度」という発明特定事項に係

20 る特許請求の範囲減縮されたと解する余地が全くないではない(したが

って、訂正事項1−3と同様の訂正事項2−3、3−2、4−3、5−3

についても、同様に、訂正要件違反に当たらないと解する余地が全くない

ではない。 。そこで、念のために、訂正要件違反に当たらないと解した場


合についても検討するが、この場合も、以下のとおり、第4次訂正によっ

25 て訂正後の請求項1ないし5の無効理由が解消するものではない。

第4次訂正後の請求項1


35
a 第4次訂正発明1と乙1発明’との対比

訂正事項1−1は、左右見開き接続手段として、
「2つの表示板の

少なくとも一方の表示板をユーザーが回動させるとき当該一方の

表示板と他方の表示板とが「それらが互いに接続されている部分」

5 を回動中心として相対的に回動するように、接続する」との発明特

定事項を加えるものであるところ、第4次訂正発明1と乙1発明’

とを対比すると、以下のとおりである。

すなわち、乙1発明’の「第1のパネル12」及び「第2のパネ

ル14」は、第4次訂正発明1における「一方の表示板」及び「他

10 方の表示板」にそれぞれ相当する。また、乙1発明’の「第1のパ

ネル12」と「第2のパネル14」は、
「蝶番手段16」の「第1の

軸36」と「第2の軸38」により保持されており、当該「蝶番手

段16」は、
「第1のパネル12」と「第2のパネル14」を接続す

る部分であるといえるから、乙1発明’の「蝶番16」は、第4次

15 訂正発明1における「それらが互いに接続されている部分」に相当

する。

そして、乙1発明’の「第1の軸36」と「第2の軸38」は、

「第1のパネル12」及び「第2のパネル14」をそれぞれ回転す

る軸を提供するものであるから、乙1発明’ 「第1のパネル12」
も、

20 及び「第2のパネル14」の少なくとも一方を回動させるとき、
「第

1のパネル12」と「第2のパネル14」とが「第1の軸36」及

び「第2の軸38」を備えた「蝶番手段16」を回動中心として相

対的に回動するといえるから、第4次訂正発明1と乙1発明’は、

「2つの表示板の少なくとも一方の表示板をユーザーが回動させ

25 るとき、当該一方の表示板と他方の表示板とが『それらが互いに接

続されている部分』を回動中心として相対的に回動する」点で一致


36
する。

したがって、訂正事項1−1に係る発明特定事項は、第4次訂正

発明1と乙1発明’との対比において新たな相違点となるものでは

ない。

5 ? 訂正事項1−2及び同1−3は、中間左右見開き固定手段につき、

第4次訂正前の請求項1の「2つの表示板」のそれぞれの画面が表

示される側の間の角度が「約120度から約170度までの範囲内

のいずれかの角度」でストッパにより固定するものを「約150度

から約170度までの範囲内の所定の角度」でストッパにより固定

10 するものに減縮するものである。

第4次訂正前の請求項1(本件発明1)と乙1発明’との相違点

(本件相違点)は、
「本件発明1は、ユーザーから見て左右方向に見

開 きにされたときの「2つの表示板」を、
「前記「2つの表示板」

のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」が「約120度から約

15 170度までの範囲内のいずれかの角度」となるように、ストッパ

により固定するための中間左右見開き手段固定手段であって、前記

「「2つの表示板」 「前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側


の間の角度」が「前記各表示板が互いに折り畳まれた状態」から広

げられて行く動作をストップする機能と、前記「2つの表示板」の

20 「前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」が「ユ

ーザーから見て左右方向に約180度の角度で見開きにされた状

態」から狭められて行く動作をストップする機能を有する、
「ストッ

パ」により固定するための「中間左右見開き固定手段」を備えるが、

乙1発明’は当該構成を備えないこと。」であることは、補正して引

25 用する原判決の説示のとおりである(第4の2 ア )ところ、同

下線部分が訂正事項1−2、1−3により「約150度から約17


37
0度まで範囲内の所定の角度」に訂正されたことから、第4次訂正

発明1と乙1発明’の相違点は、以下のとおりである。

(本件相違点’)

第4次訂正発明1は、ユーザーから見て左右方向に見開きにされ

5 たときの「2つの表示板」を、
「前記「2つの表示板」のそれぞれ画

面が表示される側の間の角度」が「約150度から約170度まで

の範囲内の所定の角度」となるように、ストッパにより固定するた

めの中間左右見開き手段固定手段であって、前記「2つの表示板」

の「前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」 「前


10 記各表示板が互いに折り畳まれた状態」から広げられて行く動作を

ストップする機能と、前記「2つの表示板」の「前記各表示板のそ

れぞれ画面が表示される側の間の角度」が「ユーザーから見て左右

方向に約180度の角度で見開きにされた状態」から狭められて行

く動作をストップする機能を有する、
「ストッパ」により固定するた

15 めの「中間左右見開き固定手段」を備えるが、乙1発明’は当該構

成を備えないこと。

b 本件相違点’の容易想到性について

乙1発明’と本件周知技術は、いずれも折り畳み式の小型電子機器

の技術分野に関するものであり、技術分野が共通するから、乙1発明’

20 において本件周知技術の中間ストッパを採用し、本件相違点に係る構

成とすることは、当業者が容易に想到し得たことは、補正して引用す

る原判決が説示するとおりであり(第4の2 イ )、その際、2つの

表示板を固定する角度は、当業者の設計的事項であって、
「約150度

から約170度までの範囲内の所定の角度」になるように調整するこ

25 とも、当業者が適宜なし得たことである。

そうすると、第4次訂正発明1は、乙1発明’及び周知技術に基づ


38
き当業者が容易に想到し得たものであるから、進歩性を欠くというべ

きである。

第4次訂正後の請求項2

第4次訂正後の請求項2は、第4次訂正請求項1の各表示板がユーザ

5 ーから見て左右方向に見開きされているときの表示板の角度(1C、1

D)を「ユーザーから見て縦方向の線を境とした」見開き角度に特定す

る(2C’、2D’)ものであって、その他の構成要件は、第4次訂正発

明1に同じであるから、第4次訂正発明2と乙1発明’との相違点は、

本件相違点’に実質的に同じである。

10 したがって、第4次訂正発明2は、乙1発明’及び周知技術に基づき

当業者が容易に想到し得たものであるから、進歩性を欠くというべきで

ある。

第4次訂正後の請求項3

第4次訂正後の請求項3は、@訂正事項1−1に相当する発明特定事

15 項はなく、また、A中間左右見開き固定手段に関し、
「ユーザーから見て

左右方向に約180度の角度で見開きにされた状態」から狭められて行

く動作、をストップする機能を備えない点以外は、第4次訂正後の請求

項1と同様の発明特定事項を含むものであるから、第4次訂正発明3と

乙1発明’は、本件相違点’からAの点以外を除いた点で相違するにす

20 ぎない。

したがって、第4次訂正発明3は、乙1発明’及び周知技術に基づき

当業者が容易に想到し得たものであるから、進歩性を欠くというべきで

ある。

第4次訂正後の請求項4

25 第4次訂正後の請求項4は、同請求項1の「中間左右見開き固定手段」

ではなく「左右見開き固定手段」と特定するが、第4次訂正発明は、こ


39
の「左右見開き固定手段」に関し、 「ユーザーから見て縦方向の線を境


とした、前記『2つの表示板』の間の見開き角度」が「それらが互いに

折り畳まれた状態とユーザーから見て左右方向に約180度の角度で見

開きにされた状態との間の角度であって、約150度から約170度ま

5 での範囲内の所定の角度」となるように、ストッパにより固定するため

の左右見開き固定手段であって、前記ストッパは、
(a)前記2つの表示

板の少なくとも一方の表示板を前記2つの表示板が互いに折り畳まれた

状態から互いに約180度で見開きにされた状態へと変化するようにユ

ーザーが回動させている場合において、前記2つの表示板の間の見開き

10 角度が約150度から約170度までの範囲内の所定の角度となったと

き、前記のユーザーが行っている回動をストップさせて前記2つの表示

板間を固定するものであり、且つ、
(b)ユーザーが、前記少なくとも一

方の表示板を、前記2つの表示板が前記所定の角度で固定された状態か

ら互いに約180度で見開きにされる状態へと変化するようにさらに回

15 動させるとき、前記少なくとも一方の表示板が、前記2つの表示板が互

いに約180度で見開きにされる状態となるように、さらに回動できる

ようにするものである」との構成を備えるのに対して、乙1発明’はこ

れらの構成を備えない点で相違するが、この相違点は、下線部の(b)

の点を除き、本件相違点’と実質的に同じである。

20 そして、下線部の(b)の点については、前記 のとおり、2つの表

示板を固定する角度の調整は当業者の設計的事項であって、所定の角度

でストッパにより固定された表示板と180度見開きにされる状態にな

るようにさらに回動できるように構成することは、乙1発明’において

も格別の困難を要することなく容易になし得たものであるといえる。

25 したがって、第4次訂正発明4は、乙1発明’及び周知技術に基づき

当業者が容易に想到し得たものであるから、進歩性を欠くというべきで


40
ある。

第4次訂正後の請求項5

第4次訂正後の請求項5は、
「複数の表示板」が画面を出力できること

以外には、実質的には第4次訂正後の請求項3に同じ発明特定事項を有

5 するものである。

したがって、第4次訂正発明5は、乙1発明’及び周知技術に基づき

当業者が容易に想到し得たものであるから、進歩性を欠くというべきで

ある。

エ 小括

10 以上によれば、第4次訂正に係る訂正の再抗弁は、訂正要件に適合する

ものではなく、仮に、請求項1ないし5についての訂正が訂正要件に適合

するものであるとしても、第4次訂正発明1ないし5は進歩性を欠くもの

であって、無効理由を解消するものではないから、その他の点について判

断するまでもなく、第4次訂正に係る訂正の再抗弁は理由がない。

15 その他

その他にも、控訴人は縷々主張するが、いずれも本件結論を左右し得ない。

3 結論

以上によれば、控訴人の請求は、その他の点について判断するまでもなく、

理由がないからいずれも棄却されるべきである。

20 よって、これと同旨の原判決は相当であり、本件控訴は理由がないからこれ

を棄却することとして、主文のとおり判決する。



知的財産高等裁判所第4部



25 裁判長裁判官

菅 野 雅 之


41
裁判官

中 村 恭

5




裁判官

岡 山 忠 広




42
(別紙1)
第4次訂正対比表



下線は訂正箇所を示す。訂正前の分説は原審により、訂正後の分説は控訴理由書170〜1

5 82頁による。



訂正前 訂正後

請求項1(本件発明1) 【請求項1】

1A 略長方形の画面をそれぞれ表示できる 1A’略長方形の画面をそれぞれ表示でき

「2つの表示板」を含んでおり、ユーザーが る「2つの表示板」を含んでおり、ユーザ

その片手だけでも支持することができるよ ーがその片手だけでも支持することがで

うな片手支持可能な表示装置であって、 きるような片手支持可能な表示装置であ

って、

1B 前記「2つの表示板」を、それらが互い 1B’前記「2つの表示板」を、それらが互

に折り畳まれた状態にも、それらがユーザー いに折り畳まれた状態にも、それらがユー

から見て左右方向に見開きにされた状態に ザーから見て左右方向に見開きにされた

もできるように、接続するための左右見開き 状態にもできるように、且つ前記2つの表

接続手段と、 示板の少なくとも一方の表示板をユーザ

ーが回動させるとき当該一方の表示板と

他方の表示板とが「それらが互いに接続さ

れている部分」を回動中心として相対的に

回動するように(訂正事項1−1、図2、

段落0016)、接続するための左右見開

き接続手段と、

1C 前記「2つの表示板」を、「前記各表示 1C’前記「2つの表示板」を、
「前記各表示




43
板がユーザーから見て左右方向に見開きに 板がユーザーから見て左右方向に見開き

されているときの前記各表示板のそれぞれ にされているときの前記各表示板のそれ

画面が表示される側の間の角度」が約180 ぞれ画面が表示される側の間の角度」が約

度となるように、固定するための完全左右見 180度となるように、固定するための完

開き固定手段と、 全左右見開き固定手段と、

1D ユーザーから見て左右方向に見開きに 1D’ユーザーから見て左右方向に見開き

されたときの前記「2つの表示板」を、「前 にされたときの前記「2つの表示板」を、

記『2つの表示板』のそれぞれ画面が表示さ 「前記『2つの表示板』のそれぞれ画面が

れる側の間の角度」が「約120度から約1 表示される側の間の角度」が「約150度

70度までの範囲内のいずれかの角度」とな から約170度までの範囲内の所定の角

るように、ストッパにより固定するための中 度」
(訂正事項1−2、段落0010、00

間左右見開き固定手段であって、 26)となるように、ストッパにより固定

するための中間左右見開き固定手段であ

って、

1E 前記「2つの表示板」の、「前記各表示 1E’前記「2つの表示板」の、
「前記各表示

板のそれぞれ画面が表示される側の間の角 板のそれぞれ画面が表示される側の間の

度」が「前記各表示板が互いに折り畳まれた 角度」が「前記各表示板が互いに折り畳ま

状態」から広げられて行く動作、をストップ れた状態」から広げられて行く動作、をス

する機能と、 トップする機能と、

1F 前記「2つの表示板」の、「前記各表示 1F’前記「2つの表示板」の、
「前記各表示

板のそれぞれ画面が表示される側の間の角 板のそれぞれ画面が表示される側の間の

度」が「ユーザーから見て左右方向に約18 角度」が「ユーザーから見て左右方向に約

0度の角度で見開きにされた状態」から狭め 180度の角度で見開きにされた状態」か

られて行く動作、をストップする機能と、を ら狭められて行く動作、をストップする機

有する中間左右見開き固定手段と、 能と、を有する中間左右見開き固定手段




44
と、を備え、

1H’前記中間左右見開き固定手段は、前記

「広げられて行く動作」又は前記「狭めら

れて行く動作」が為されるように前記2つ

の表示板の少なくとも一方の表示板をユ

ーザーが回動させている場合において、前

記2つの表示板のそれぞれ画面が表示さ

れる側の間の角度が約150度から約1

70度までの範囲内の所定の角度となっ

たとき、前記のユーザーが行っている回動

を、前記のストッパによりストップさせ

る、ものである(訂正事項1−3、段落0

010、0018)、



1G を備えたことを特徴とする片手支持可 1G’ことを特徴とする片手支持可能な表

能な表示装置。 示装置。



請求項2(本件発明2) 【請求項2】

2A 略長方形の画面をそれぞれ表示できる 2A’略長方形の画面をそれぞれ表示でき

「2つの表示板」を含んでおり、ユーザーが る「2つの表示板」を含んでおり、ユーザ

その片手だけでも支持することができるよ ーがその片手だけでも支持することがで

うな片手支持可能な表示装置であって、 きるような片手支持可能な表示装置であ

って、

2B 前記「2つの表示板」を、それらが互い 2B’前記「2つの表示板」を、それらが互

に折り畳まれた状態にも、それらがユーザー いに折り畳まれた状態にも、それらがユー




45
から見て左右方向に見開きにされた状態に ザーから見て左右方向に見開きにされた

もできるように、接続するための左右見開き 状態にもできるように、且つ前記2つの表

接続手段と、 示板の少なくとも一方の表示板をユーザ

ーが回動させるとき当該一方の表示板と

他方の表示板とが「それらが互いに接続さ

れている部分」を回動中心として相対的に

回動するように(訂正事項2−1) 接続す


るための左右見開き接続手段と、

2C 前記「2つの表示板」を、「ユーザーか 2C’前記「2つの表示板」を、
「ユーザーか

ら見て縦方向の線を境とした、前記『2つの ら見て縦方向の線を境とした、前記『2つ

表示板』の間の見開き角度」が約180度と の表示板』の間の見開き角度」が約180

なるように、固定するための完全左右見開き 度となるように、固定するための完全左右

固定手段と、 見開き固定手段と、

2D 前記「2つの表示板」を、「ユーザーか 2D’前記「2つの表示板」を、
「ユーザーか

ら見て縦方向の線を境とした、前記『2つの ら見て縦方向の線を境とした、前記『2つ

表示板』の間の見開き角度」が「それらが互 の表示板』の間の見開き角度」が「それら

いに折り畳まれた状態とユーザーから見て が互いに折り畳まれた状態とユーザーか

左右方向に約180度の角度で見開きにさ ら見て左右方向に約180度の角度で見

れた状態との間の角度であって、約120度 開きにされた状態との間の角度であって、

から約170度までの範囲内のいずれかの 約150度から約170度までの範囲内

角度」となるように、固定するための中間左 の所定の角度」となるように、ストッパに

右見開き固定手段であって、 より固定する(訂正事項2−2)ための中

間左右見開き固定手段であって、前記スト

ッパは、後記「広げられて行く動作」が為

されるように前記2つの表示板の少なく




46
とも一方の表示板をユーザーが回動させ

ている場合において、前記2つの表示板の

間の見開き角度が約150度から約17

0度までの範囲内の所定の角度となった

とき、前記のユーザーが行っている回動を

ストップさせて前記2つの表示板間を固

定するものである、中間左右見開き固定手

段であって、(訂正事項2−3)

2E 前記「2つの表示板」の、「ユーザーか 2E’前記「2つの表示板」の、
「ユーザーか

ら見て縦方向の線を境とした、前記『2つの ら見て縦方向の線を境とした、前記『2つ

表示板』の間の見開き角度」が「前記各表示 の表示板』の間の見開き角度」が「前記各

板が互いに折り畳まれた状態」から広げられ 表示板が互いに折り畳まれた状態」から広

て行く動作、をストップする機能を有する中 げられて行く動作、をストップする機能を

間左右見開き固定手段と、 有する中間左右見開き固定手段と、

2F を備えたことを特徴とする片手支持可 2F’を備えたことを特徴とする片手支持

能な表示装置。 可能な表示装置。



請求項3(本件発明3) 【請求項3】

3A 略長方形の画面をそれぞれ表示できる 3A’略長方形の画面をそれぞれ表示でき

「2つの表示板」を含んでおり、ユーザーが る「2つの表示板」を含んでおり、ユーザ

その片手だけでも支持することができるよ ーがその片手だけでも支持することがで

うな片手支持可能な表示装置であって、 きるような片手支持可能な表示装置であ

って、

3B 前記「2つの表示板」を、それらが互い 3B’前記「2つの表示板」を、それらが互

に折り畳まれた状態にも、それらがユーザー いに折り畳まれた状態にも、それらがユー




47
から見て左右方向に見開きにされた状態に ザーから見て左右方向に見開きにされた

もできるように、接続するための左右見開き 状態にもできるように、接続するための左

接続手段と、 右見開き接続手段と、

3C 前記「2つの表示板」を、「前記各表示 3C’前記「2つの表示板」を、
「前記各表示

板がユーザーから見て左右方向に見開きに 板がユーザーから見て左右方向に見開き

されているときの前記各表示板のそれぞれ にされているときの前記各表示板のそれ

画面が表示される側の間の角度」が約180 ぞれ画面が表示される側の間の角度」が約

度となるように、固定するための完全左右見 180度となるように、固定するための完

開き固定手段と、 全左右見開き固定手段と、

3D 前記「2つの表示板」がユーザーから見 3D’前記「2つの表示板」がユーザーから

て左右方向に見開きにされたとき、前記「2 見て左右方向に見開きにされたとき、前記

つの表示板」を、「前記『2つの表示板』の 「2つの表示板」 「前記
を、 『2つの表示板』

それぞれ画面が表示される側の間の角度」が のそれぞれ画面が表示される側の間の角

「約120度から約170度までの範囲内 度」が「約150度から約170度までの

のいずれかの角度」となるように、固定する 範囲内の所定の角度」となるように、スト

ための中間左右見開き固定手段と、 ッパにより固定する(訂正事項3−1)た

めの中間左右見開き固定手段であって、前

記ストッパは、前記2つの表示板の少なく

とも一方の表示板を前記2つの表示板が

互いに折り畳まれた状態から互いに約1

80度で見開きにされた状態へと変化す

るようにユーザーが回動させている場合

において、前記2つの表示板のそれぞれ画

面が表示される側の間の角度が約150

度から約170度までの範囲内の所定の




48
角度となったとき、前記のユーザーが行っ

ている回動をストップさせて前記2つの

表示板間を固定するものである、中間左右

見開き固定手段と、(訂正事項3−2)

3E を備えたことを特徴とする片手支持可 3E’を備えたことを特徴とする片手支持

能な表示装置。 可能な表示装置。

請求項4(本件発明4) 【請求項4】

4A 画面をそれぞれ表示できる「2つ以上の 4A’画面をそれぞれ表示できる「2つ以上

表示板」を含んでおり、ユーザーがその片手 の表示板」を含んでおり、ユーザーがその

だけでも支持することができるような片手 片手だけでも支持することができるよう

支持可能な表示装置であって、 な片手支持可能な表示装置であって、

4B 前記「2つ以上の表示板」の全部又は一 4B’前記「2つ以上の表示板」の全部又は

部である「2つの表示板」を、それらが互い 一部である「2つの表示板」を、それらが

に折り畳まれた状態にも、それらがユーザー 互いに折り畳まれた状態にも、それらがユ

から見て左右方向に見開きにされた状態に ーザーから見て左右方向に見開きにされ

もできるように、接続するための左右見開き た状態にもできるように、且つ前記2つの

接続手段と、 表示板の少なくともいずれか一方の表示

板をユーザーが回動させるとき当該一方

の表示板と他方の表示板とが「それらが互

いに接続されている部分」を回動中心とし

て相対的に回動するように、(訂正事項4

−1)接続するための左右見開き接続手段

と、

4C 前記「2つ以上の表示板」の全部又は一 4C’前記「2つ以上の表示板」の全部又は

部である「2つの表示板」を、「ユーザーか 一部である「2つの表示板」を、
「ユーザー




49
ら見て縦方向の線を境とした、前記『2つの から見て縦方向の線を境とした、前記『2

表示板』の間の見開き角度」が「それらが互 つの表示板』の間の見開き角度」が「それ

いに折り畳まれた状態とユーザーから見て らが互いに折り畳まれた状態とユーザー

左右方向に約180度の角度で見開きにさ から見て左右方向に約180度の角度で

れた状態との間の角度であって、約105度 見開きにされた状態との間の角度であっ

から約170度までの範囲内のいずれかの て、約150度から約170度までの範囲

角度」となるように、摩擦力やストッパやチ 内の所定の角度」となるように、ストッパ

ルト機構やその他の手段により固定するた により固定する(訂正事項4−2)ための

めの左右見開き固定手段と、 左右見開き固定手段であって、前記ストッ

パは、
(a)前記2つの表示板の少なくとも

一方の表示板を前記2つの表示板が互い

に折り畳まれた状態から互いに約180

度で見開きにされた状態へと変化するよ

うにユーザーが回動させている場合にお

いて、前記2つの表示板の間の見開き角度

が約150度から約170度までの範囲

内の所定の角度となったとき、前記のユー

ザーが行っている回動をストップさせて

前記2つの表示板間を固定するものであ

り、且つ(b)ユーザーが、前記少なくと

も一方の表示板を、前記2つの表示板が前

記所定の角度で固定された状態から互い

に約180度で見開きにされる状態へと

変化するようにさらに回動させるとき、前

記少なくとも一方の表示板が、前記2つの




50
表示板が互いに約180度で見開きにさ

れる状態となるように、さらに回動できる

ようにするものである、左右見開き固定手

段と、(訂正事項4−3)

4D を備えたことを特徴とする片手支持可 4D’を備えたことを特徴とする片手支持

能な表示装置。 可能な表示装置。

請求項5(本件発明5) 【請求項5】

5E 次の(a)〜(d)の内容を含むことを 5E’次の(a)〜(d)の内容を含むこと

特徴とする片手支持可能な表示装置。 を特徴とする片手支持可能な表示装置。

5A (a)画面をそれぞれ出力する「複数の 5A’(a)画面をそれぞれ出力する「複数

表示板」が、それぞれが表示する各画面がユ の表示板」が、それぞれが表示する各画面

ーザーに対向することができるように、接続 がユーザーに対向することができるよう

されている、 に、接続されている、

5B (b)表示装置の使用時の全体の大きさ 5B’(b)表示装置の使用時の全体の大き

は、それをユーザーがその片手のみでも支持 さは、それをユーザーがその片手のみでも

することができるような小型のサイズに構 支持することができるような小型のサイ

成されている、 ズに構成されている、

5C (c)前記「複数の表示板」の全部又は 5C’(c)前記「複数の表示板」の全部又

一部である「2つの表示板」を、それらが互 は一部である「2つの表示板」を、それら

いに折り畳まれた状態にも、それらがユーザ が互いに折り畳まれた状態にも、それらが

ーから見て左右方向に見開きにされた状態 ユーザーから見て左右方向に約180度

にもできるように、接続するための左右見開 で(訂正事項5−1、段落0016)見開

き接続手段を備えている、 きにされた状態にもできるように、接続す

るための左右見開き接続手段を備えてい

る、




51
5D (d)前記「複数の表示板」の全部又は 5D’(d)前記「複数の表示板」の全部又

一部である「2つの表示板」がユーザーから は一部である「2つの表示板」がユーザー

見て左右方向に見開きにされているとき、前 から見て左右方向に見開きにされている

記「2つの表示板」を、「前記『2つの表示 とき、前記「2つの表示板」を、
「前記『2

板』のそれぞれ画面が表示される側の間の角 つの表示板』のそれぞれ画面が表示される

度」が「約105度から約170度までの範 側の間の角度」が「約150度から約17

囲内のいずれかの角度」となるように、摩擦 0度までの範囲内の所定の角度」となるよ

力やストッパやチルト機構やその他の手段 うに、ストッパにより固定する(訂正事項

により固定するための左右見開き固定手段、 5−2)ための左右見開き固定手段であっ

を備えている。 て、前記ストッパは、前記2つの表示板の

少なくとも一方の表示板を前記2つの表

示板が互いに折り畳まれた状態から互い

に約180度で見開きにされた状態へと

変化するようにユーザーが回動させてい

る場合において、前記2つの表示板のそれ

ぞれ画面が表示される側の間の角度が約

150度から約170度までの範囲内の

所定の角度となったとき、前記のユーザー

が行っている回動をストップさせて前記

2つの表示板間を固定するものである、左

右見開き固定手段を備えている。(訂正事

項5−3)

請求項6(本件発明6) 【請求項6】

6E 次の(a)〜(d)の内容を含むことを 6E’次の(a)〜(e)
(訂正事項6−1)

特徴とする片手支持可能な表示装置。 の内容を含むことを特徴とする片手支持




52
可能な表示装置。

6A (a)画面をそれぞれ出力する複数個の 6A’(a)画面をそれぞれ出力する2つの

表示板が、それぞれが表示する各画面がユー 表示板(訂正事項6−2、段落0012)

ザーに対向することができるように、接続さ が、それぞれが表示する各画面がユーザー

れている、 に対向することができるように、接続され

ている、

6B (b)表示装置の使用時の全体の大きさ 6B’(b)表示装置の使用時の全体の大き

は、それをユーザーがその片手のみでも支持 さは、それをユーザーがその片手のみでも

することができるような小型のサイズに構 支持することができるような小型のサイ

成されている、 ズに構成されている、

6C (c)ユーザーから見て縦方向の線を境 6C’(c)ユーザーから見て縦方向の線を

にして、その右側部分と左側部分とを、互い 境にして、その右側部分と左側部分とを、

に折り畳み可能で且つユーザーから見て左 互いに折り畳み可能で且つユーザーから

右方向に見開き可能に接続するための左右 見て左右方向に約180度で(訂正事項6

見開き接続手段を備えている、 −3)見開き可能に、且つ前記2つの表示

板の少なくとも一方の表示板をユーザー

が回動させるとき当該一方の表示板と他

方の表示板とが「それらが互いに接続され

ている部分」を回動中心として相対的に回

動するように、
(訂正事項6−4)接続する

ための左右見開き接続手段を備えている、

6D (d)ユーザーから見て縦方向の線の右 6D’(d)ユーザーから見て縦方向の線の

側部分と左側部分とを、「ユーザーから見て 右側部分と左側部分とを、「ユーザーから

縦方向の線を境とした、前記右側部分と左側 見て縦方向の線を境とした、前記右側部分

部分との間の見開き角度」が「約105度か と左側部分との間の見開き角度」が「約1




53
ら約170度までの範囲内のいずれかの角 50度から約170度までの範囲内の所

度」となるように、摩擦力やストッパやチル 定の角度」となるように、ストッパにより

ト機構やその他の手段により固定するため 固定する(訂正事項6−5)ための左右見

の左右見開き固定手段、を備えている。 開き固定手段であって、前記ストッパは、

前記2つの表示板の少なくとも一方の表

示板を前記2つの表示板が互いに折り畳

まれた状態から互いに約180度で見開

きにされた状態へと変化するようにユー

ザーが回動させている場合において、前記

右側部分と左側部分との間の見開き角度

が約150度から約170度までの範囲

内の所定の角度となったとき、前記のユー

ザーが行っている回動をストップさせて

前記2つの表示板間を固定するものであ

る、左右見開き固定手段を備えている、
(訂

正事項6−6)

6F’(e)前記2つの表示板の少なくとも

一方の表示板を前記2つの表示板が互い

に折り畳まれた状態から互いに約180

度で見開きにされた状態へと変化するよ

うにユーザーが回動させている場合にお

いて、前記のユーザーが行っている回動を

ユーザーが自分で止めたとき、前記2つの

表示板間が「前記ユーザーが行っている回

動をユーザーが自分で止めたときの角度」




54
でそのまま摩擦力により保持されるよう

に、前記回動が為されるようにする、チル

ト機構を備えている。
(訂正事項6−7、段

落0010〜0012、0017〜001

8)

(請求項7〜10)(省略) (請求項7〜10は削除)




55
(別紙2)

(注) 訂正事項1ないし7の各事項は、別紙1を参照。

1 訂正事項1−1

訂正前の請求項1の「前記「2つの表示板」を、それらが互いに折り畳まれ

5 た状態にも、それらがユーザーから見て左右方向に見開きにされた状態にもで

きるように、接続するための左右見開き接続手段と」に、
「且つ前記2つの表示

板の少なくとも一方の表示板をユーザーが回動させるとき当該一方の表示板と

他方の表示板とが「それらが互いに接続されている部分」を回動中心として相

対的に回動するように」との発明特定事項を直列的に付加するものであるから、

10 特許請求の範囲減縮に該当する。また、訂正事項1−1は、訂正前の【00

07】に記載された「ユーザーが、例えば外出先(戸外)などで、例えば立っ

たままでも、その一方の片手だけを使って表示装置全体を極めて容易且つ安定

的に支持することができる、片手支持可能な表示装置」を提供するという本件

発明の課題及び作用効果に影響を与えるものではないから、実質上、特許請求

15 の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

また、訂正前の明細書の図2及び【0016】から、
「前記2つの表示板の少

なくとも一方の表示板をユーザーが回動させるとき当該一方の表示板と他方の

表示板とが「それらが互いに接続されている部分」を回動中心として相対的に

回動する」ことは、当業者にとって自明の事項であるから、訂正事項1−1は、

20 新規事項の追加に当たらない。

2 訂正事項1−2

訂正前の請求項4、
【0010】【0011】【0016】【0017】【0
、 、 、 、

026】の明細書の各記載によると、訂正前の明細書では、
「摩擦力やストッパ

やチルト機構やその他の手段により固定する」という複数の択一的な固定手段

25 の選択肢が存在するときの角度については「いずれかの角度」という用語が、

「摩擦力又はチルト機構により固定する」ときの角度については「任意の角度」


56
(又は任意の回転角度)の用語が、
「ストッパによる固定する」という1つの固

定手段のみが存在するときの角度については「所定の角度」という用語が、そ

れぞれ使用されている。また、
「約120度から約170度までの範囲内」 「約


150度から約170度までの範囲内」に訂正することは、角度範囲の数値限

5 定に該当する。したがって、
「約120度から約170度までの範囲内のいずれ

かの角度」を「約150度から約170度までの範囲内の所定の角度」に訂正

することは、用語の限定及び減縮に該当するから、特許請求の範囲減縮に該

当し、しからざるとも、明細書における上記の用語の使用からして、訂正後の

請求項1における「ストッパにより固定する」という用語と整合させるために、

10 「約120度から約170度までの範囲内のいずれかの角度」を「約150度

から約170度までの範囲内の所定の角度」に訂正することは、不明瞭な記載

釈明に該当する。

また、訂正事項1−2は、訂正前の明細書の【0007】に記載された、前

記1 に記載の本件発明の課題及び作用効果に影響を与えるものではないから、

15 実質上特許請求の範囲拡張し、又は変更するものではない。

訂正後の「所定の角度」は、訂正前の【0010】及び【0026】の記載

に基づくものである。また、訂正後の「約150度から約170度まで」は、

訂正前の【0026】の「約105度から約170度まで」を数値限定するも

のであり、そのように限定された数値は、臨界的意義を有するものではなく、

20 前記1 記載の本件発明の課題及び作用効果には影響を与えるものではないか

ら、訂正事項1−2は、新規事項の追加に当たらない。

3 訂正事項1−3

訂正事項1−3は、訂正前の請求項1に対して発明特定事項を直列的に付加

するものであるから、特許請求の範囲減縮に該当する。

25 また、訂正事項1−3は、訂正前の【0007】に記載された前記1 に記

載の本件発明の課題及び作用効果に影響を与えるものではないから、実質上特


57
請求の範囲拡張し、又は変更するものではない。

ア 訂正前の請求項1及び訂正前の明細書の【0012】には、
「前記「2つの

表示板」 「前記各表示板のそれぞれ画面が表示される側の間の角度」 「前
の、 が

記各表示板が互いに折り畳まれた状態」から広げられていく動作、をストッ

5 プする機能と、前記「2つの表示板」の、
「前記各表示板のそれぞれ画面が表

示される側の間の角度」が「ユーザーから見て左右方向に約180度の角度

で見開きにされた状態」から狭められていく動作、をストップする機能とを、

を有する」との記載があるから、
「広げられていく動作」及び「狭められてい

く動作」は、上記各記載から当業者に自明の事項である。

10 イ 図2及び図2に関する訂正前の明細書の【0016】の記載から、
「前記2

つの表示板が少なくとも一方の表示板をユーザーが回動させる」ことは、当

業者に自明の事項である。また、訂正前の請求項1及び訂正前の【0012】

には、「前記「2つの表示板」のそれぞれの画面が表示される側の間の角度」

という記載があることから、
「前記2つの表示板」のそれぞれの画面が表示さ

15 れる側の間の角度は、これらの記載から当業者に自明な事項である。

ウ 訂正前の明細書の【0010】の「ストッパ(例えば、2つの表示板を接

続する蝶番の回動を所定の角度でストップさせるもの)」との記載、同【00

18】の「ストッパがかかって固定できる(上記「ストッパがかかって」と

は、一般的には、「ストッパがかかって動作(回動等)がストップすること」

20 を意味している)との記載に接した当業者であれば、
「ストッパ」が「2つの

表示板の少なくとも一方の表示板をユーザーが回動させているときの当該ユ

ーザーが行っている回動を、ストップさせる」ものであることを理解するも

のであり、「ストッパ」という用語の一般的な意味からしても、「ストッパ」

が「ユーザーが行っている回動をストップさせる」ことは当業者に自明な事

25 項である。

エ 以上によれば、訂正事項1−3は、訂正前の明細書の記載から当業者にと


58
って自明な事項であるから、新規事項の追加に当たらない。

4 訂正事項2−1

訂正事項1−1と同じ理由により、訂正事項2−1は、特許請求の範囲減縮

するものであり、また、実質上特許請求の範囲拡張し、又は変更するものでは

5 ないこと、新規事項の追加には当たらない。

5 訂正事項2−2

訂正事項2−2のうち、訂正前の「約120度から約170度までの範囲内

のいずれかの角度」 「約150度から約170度までの範囲内の所定の角度」


に訂正する部分については訂正事項1−1と同じ理由で、特許請求の範囲の減

10 縮又は不明瞭な記載の釈明に当たらず、また、訂正事項2−2のうち「固定す

る」を「ストッパにより固定する」と訂正する部分については、
「ストッパによ

り」という発明特定事項を直列的に追加するものであるから、特許請求の範囲

減縮に当たる。また、訂正事項2−2は、訂正事項1−2と同様の理由によ

り、実質上特許請求の範囲拡張し、又は変更するものではない。

15 訂正事項1−2と同様の理由により、訂正事項2−2は、新規事項の追加

当たらない。

6 訂正事項2−3

訂正事項2−3は、訂正前の請求項3に対して発明特定事項を直列的に付加

するものであるから、特許請求の範囲減縮に該当し、また、訂正事項1−3

20 と同じ理由により、実質上特許請求の範囲拡張し、又は変更するものではな

い。

訂正事項2−3のうち「広げられて行く動作」については、訂正前の請求項

2及び訂正前の明細書の【0012】に記載があるから、新規事項の追加に当

たらず、また、訂正事項2−3のうち「前記ストッパは、
・・・前記2つの表示

25 板の少なくとも一方の表示板をユーザーが回動させている場合において、前記

2つの表示板の間の見開き角度が約150度から約170度までの範囲内の所


59
定の角度となったとき、前記のユーザーが行っている回動をストップさせて前

記2つの表示板間を固定するものである」という部分については、訂正事項1

−3が新規事項の追加に当たらないことで主張したとおりである。

7 訂正事項3−1

5 訂正事項2−2と同じ理由により、訂正事項3−1は、特許請求の範囲の減

縮又は不明瞭な記載の釈明に当たり、また、特許請求の範囲拡張し、又は変

更するものではない。

訂正事項2−2と同じ理由により、訂正事項3−1は、新規事項の追加に当

たらない。

10 8 訂正事項3−2

訂正事項3−2は、訂正前の請求項3に対して発明特定事項を直列的に付加

するものであるから、特許請求の範囲減縮に該当する。また、訂正事項3−

2は、訂正事項1−3と同じ理由により、実質上特許請求の範囲拡張し、又

変更するものではない。

15 訂正事項3−2のうち「前記2つの表示板の少なくとも一方の表示板を前記

2つの表示板が互いに折り畳まれた状態から互いに約180度で見開きにされ

た状態へと変化するようにユーザーが回動させている場合」の部分については、

図2及び【0016】から当業者にとって自明な事項である。また、訂正事項

3−2のうち「前記2つの表示板のそれぞれの画面が表示される側の間の角度

20 や約150度から約170度までの範囲内の所定の角度となったとき、前記の

ユーザーが行っている回動をストップさせて前記2つの表示板間を固定するも

のである」との部分については、訂正事項2−3と同様の理由により新規事項

の追加に当たらない。

9 訂正事項4−1

25 訂正事項1−1と同じ理由により、訂正事項4−1は、特許請求の範囲の記載

減縮するものであり、実質上特許請求の範囲拡張し、又は変更するものでは


60
なく、また、新規事項の追加に当たらない。

10 訂正事項4−2

訂正事項4−2のうち、訂正前の「約105度から約170度までの範囲内

のいずれかの角度」 「約150度から約170度までの範囲内の所定の角度」


5 に訂正する部分については、訂正事項1−1のうち「約150度から約170

度までの範囲内の所定の角度」が特許請求の範囲減縮又は不明瞭な記載の釈

明に該当する理由に同じである。また、訂正事項4−2のうち、訂正前の「摩

擦力やストッパやチルト機構やその他の手段により固定する」を「ストッパに

より固定する」に訂正する部分については、訂正前の請求項4の「摩擦力やス

10 トッパやチルト機構やその他の手段」という択一的要素から「ストッパ」以外

を削除して「ストッパ」に限定するものであるから、特許請求の範囲減縮

該当する。

訂正事項1−2と同様の理由により、訂正事項4−2は、実質上特許請求の

範囲を拡張し、又は変更するものではない。

15 訂正事項1−2と同様の理由により、訂正事項4−2は、新規事項の追加

該当しない。

11 訂正事項4−3

訂正事項4−3は、訂正前の請求項4に対し発明特定事項を直列的に付加す

るものであるから、特許請求の範囲減縮に該当する。また、訂正事項1−3

20 と同様の理由により、訂正事項4−3は、実質上特許請求の範囲拡張又は変

更するものではない。

訂正事項4−3のうち、「前記2つの表示板の少なくとも一方の表示板を前

記2つの表示板が互いに折り畳まれた状態から互いに約180度で見開きにさ

れた状態へと変化するようにユーザーが回動させている場合において、前記2

25 つの表示板の間の見開き角度が約150度から約170度までの範囲内の所定

の角度となったとき、前記のユーザーが行っている回動をストップさせて前記


61
2つの表示板間を固定するものであり」の部分については、訂正事項1−3と

同様の理由により、新規事項追加に該当しない。

また、訂正事項4−3のうち、 ユーザーが、
「 前記少なくとも一方の表示板を、

前記2つの表示板が前記所定の角度で固定された状態から互いに約180度で

5 見開きにされる状態へと変化するようにさらに回動させるとき、前記少なくと

も一方の表示板が、前記2つの表示板が互いに約180度で見開きにされる状

態となるように、さらに回動できるようにするものである」については、訂正

前の図2a及び訂正前の明細書の【0016】の記載に接した当業者であれば、

自明の事項である。

10 12 訂正事項5−1

訂正事項5−1は、訂正前の請求項5に「約180度で」という発明特定事

項を直列的に付加するものであるから、特許請求の範囲減縮に該当する。ま

た、訂正事項5−1は、訂正前の【0007】に記載された前記1 に記載の

本件発明の課題及び作用効果に影響を与えるものではないから、実質上特許請

15 求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

訂正前の明細書の【0016】中には、訂正前の【図2(c)】等に関して、

「・・・これにより、枠体1と枠体2とは、本実施例の平面図である図2に示

すように、図2の(a)に示す約180度に見開かれた「左右完全見開き状態」

から、図2(b)のような「左右半見開き状態」
(図2(a)のように約180

20 度に見開きにされた状態と、図2(c)のように各枠体1、2がそれぞれ画面

が表示される側が互いに向き合うように折り畳まれた状態との間の状態)を経

て、さらに図2(c)の「折り畳み状態」へと、自在に折り曲げることができ

るようになっている。また本実施例では、
「上記と逆に、図2(c)の状態から

図2(b)の状態を経て図2(a)の状態にすることもできる。」という記載が

25 あるから、こうした記載によれば、訂正事項5−1は当業者に自明の事項であ

るから、新規事項追加に該当しない。


62
13 訂正事項5−2

訂正事項5−2は、訂正事項2−2と同様の理由により、特許請求の範囲

減縮又は不明瞭な記載の釈明に当たり、また、実質上特許請求の範囲拡張し、

又は変更するものではない。

5 訂正事項5−2は、訂正事項2−2と同様の理由により、新規事項の追加

当たらない。

14 訂正事項5−3

訂正事項5−3は、訂正前の請求項5に対し発明特定事項を直列的に付加す

るものであるから、特許請求の範囲減縮に該当する。また、訂正事項3−2

10 と同様の理由により、実質上特許請求の範囲拡張し、又は変更するものでは

ない。

訂正事項5−3は、訂正事項3−2と同様の理由により、新規事項の追加

当たらない。

15 訂正事項6−1

15 訂正事項6−1は、訂正前の請求項6中の構成要件が(a)〜(d)であっ

たところ、訂正後の請求項6中の構成要件が(a)〜(e)に訂正されるため、

そのこととの整合性を図るための訂正であるから、不明瞭な記載の釈明に該当

する。また、訂正事項6−1は、本件発明の内容に関わる技術的事項ではない

から、実質上特許請求の範囲拡張又は変更するものではない。

20 訂正事項6−1は、本件発明の内容に関わる技術的事項ではないから、新規

事項追加には該当しない。

16 訂正事項6−2

訂正事項6−2は、訂正前の「複数個の表示板」を「2つの表示板」に訂正

するものであり、用語の限定・
下位概念化)であるから、特許請求の範囲の減

25 縮に該当する。また、訂正事項6−2がは、訂正前の【0007】に記載され

た前記1 に記載の本件発明の課題及び作用効果に影響を与えるものではない


63
から、実質上特許請求の範囲拡張し、又は変更するものではない。

訂正後の「2つの表示板」は、訂正前の請求項1、訂正前の明細書の【00

12】中等に記載があるから、訂正事項6−2は、新規事項追加に該当しない。

17 訂正事項6−3

5 訂正事項6−3は、訂正事項5−1と同様の理由により、特許請求の範囲

減縮に該当し、また、実質上特許請求の範囲拡張し、又は変更するものでは

ない。

訂正事項6−3は、訂正事項5−1と同様の理由により、新規事項の追加

当たらない。

10 18 訂正事項6−4

訂正事項6−4は、訂正事項1−1と同様の理由により、特許請求の範囲

減縮に当たるものであり、また、実質上特許請求の範囲拡張し、又は変更

るものではない。

訂正事項6−4は、訂正事項1−1と同様の理由により、新規事項の追加

15 当たらない。

19 訂正事項6−5

訂正事項6−5は、訂正事項5−2と同様の理由により、特許請求の範囲

減縮に当たるものであり、また、実質上特許請求の範囲拡張し、又は変更

るものではない。

20 訂正事項6−5は、訂正事項5−2と同様の理由により、新規事項の追加

当たらない。

20 訂正事項6−6

訂正事項6−6は、訂正前の請求項6に対し発明特定事項を直列的に付加す

るものであるから、特許請求の範囲減縮に当たるものであり、また、訂正事

25 項3−2と同様の理由により、実質上特許請求の範囲拡張し、又は変更する

ものではない。


64
訂正事項6−6は、訂正事項3−2と同様の理由により、新規事項の追加

当たらない。

21 訂正事項6−7

訂正事項6−7は、訂正前の請求項6に対し発明特定事項を直列的に付加す

5 るものであるから、特許請求の範囲減縮に当たるものであり、また、訂正事

項6−7は、訂正前の【0007】に記載された前記1 に記載の本件発明の

課題及び作用効果に影響を与えるものではないから、実質上特許請求の範囲

拡張し、又は変更するものではない。

ア 訂正前の明細書の【0010】 【0011】の各記載からみて、訂正事項


10 6−7のうち「チルト機構」は、当業者にとって自明な事項であるから、新

規事項の追加に当たらない。

イ 次に、訂正前の明細書の【0017】には、
「また本実施例では、枠体1と

枠体2との間は、蝶番9及び10を構成する部材間の摩擦力により、任意の

角度で一時的に固定(半固定)でき・・・」という記載があり、この「部材

15 間の摩擦力により、任意の角度で一時的に固定(半固定)でき・・・」に接

した当業者は、コイルスプリング等を利用して摩擦力により2つの表示板間

を任意の角度で保持するチルト機構を備えることを理解する。

また、訂正前の明細書においては、
【0017】 「部材間の摩擦力により、


任意の角度で一時的に固定(半固定)でき・・・」という記載に続けて、
【0

20 018】に「また本実施例では、蝶番9および10の構造を従来周知の方法

で工夫すること(ストッパを設ける等)により、2つの枠体1および2の間

の角度が180度から90度までの間の例えば5段階の角度でストッパがか

かって固定できるように、構成するようにしてもよい。」という記載があり、

この記載に接した当業者は、少なくとも、
【0017】中の「摩擦力により固

25 定できる」という構成に続けて、
【0018】中の「固定できる(ストッパに

より)」という構成を添加(累加・付加)すること、すなわち、ストッパとチ


65
ルト機構との「併用・組み合わせ」(それらを併用すること)」それ自体につ

いては、容易に理解するはずである。したがって、少なくとも、ストッパと

チルト機構との「併用・組み合わせ」
(それらを併用すること) それ自体は、


訂正前の明細書の記載から、当業者に自明の事項であったから、新規事項の

5 追加には該当しない。

なお、訂正事項6−7の訂正事項中には、
「蝶番にストッパとチルト機構を

併用的に備えるための具体的構成(ストッパとチルト機構との『併用・組み

合わせ』のための具体的構成) は、
」 訂正事項として含まれていないから、
「蝶

番にストッパとチルト機構を併用的に備えるための具体的構成(ストッパと

10 チルト機構との『併用・組み合わせ』のための具体的構成)」が新規事項追加

に該当するか否かは問題とならない(少なくとも上記具体的構成に関する限

り、新規事項の追加は問題とならず、実施可能要件が問題となるにすぎない。 。


22 訂正事項7

訂正前請求項7ないし10を削除する。

15 23 訂正事項8

訂正事項8−1

ア 訂正前の明細書の【0012】中の一部(「4−(2) 、
」「4−(3)」の部

分)である次に引用する部分を、削除する。

「4−(2).上記3の発明は、「次の(e)(f)(g)のいずれか1つ、い

20 ずれか2つ、又は、全て」を含むことが望ましい。

(e)表示装置の使用時の表示画面は、ユーザーから見て縦方向の線から右

側部分の画面の形状(又は、画面の面積及び形状)と、同左側部分の画面の

形状(又は、画面の面積及び形状)とが、ユーザーから見たときにほぼ左右

均等で且つほぼ左右対称となるように、構成されている。

25 (f)表示装置の使用時の全体の形状は、ユーザーから見て縦方向の線の右

側部分の平面の面積と同左側部分の平面の面積とが、ハードウェアとしてほ


66
ぼ左右均等となるように、構成されている。

(g)表示装置を構成する表示板は偶数個であり、表示装置の使用時の全体

の形状は、ユーザーから見て縦方向の線の右側部分の厚さ(又は、厚さ及び

平面の面積)と同左側部分の厚さ(又は、厚さ及び平面の面積)とが、ハー

5 ドウェアとしてほぼ左右均等となるように、構成されている。

4−(3) 上記1、
. 2又は3の発明の表示装置であって、
「偶数個の表示板」

から構成されており、この「偶数個の表示板」の全部である偶数個の表示板

又はその一部である偶数個の表示板が左右見開き状態で使用される場合にお

ける表示装置の全体は、その全体のほぼ中央部の「ユーザーから見て縦方向

10 の線」を境として、ユーザーから見たときの前記線の右側部分の平面の面積

及び厚さ寸法と、同左側部分の平面の面積及び厚さ寸法とが、ハードウェア

としてほぼ左右均等となるように構成されている、ことを特徴とする片手支

持可能な表示装置。」

イ 訂正前の請求項7ないし9が削除されることに伴い、訂正前の明細書の記

15 載を整合させるための訂正であるから、不明瞭な記載の釈明である。また、

訂正前の明細書中の一部の記載の削除であるから、新規事項追加には当たる

ものではなく、訂正前の明細書中の一部の記載の削除であり、これにより本

特許発明の作用効果、技術的意義変更はないから、実質上特許請求の範

囲を拡張又は変更することもない。

20 訂正事項8−2

ア 訂正前の明細書の【0046】を、削除する。

イ 訂正前の請求項7及び8を削除することに伴い、訂正前の明細書の記載を

整合させるための訂正あるから、不明瞭な記載の釈明である。また、訂正前

の明細書中の一部の記載の削除であるから、新規事項追加には当たるもので

25 はなく、訂正前の明細書中の一部の記載の削除であり、これにより本件特許

発明の作用効果、技術的意義変更はないから、実質上特許請求の範囲を拡


67
張又は変更することもない。

訂正事項8−3

ア 訂正前の明細書の【0047】を、削除する。

イ イに同じ。

5 訂正事項8−4

ア 訂正前の明細書の【0065】中の「この場合も、図8(c)で前述した

のと同様に、ユーザーは、片手のみでも極めて容易且つ安定的に表示装置を

支持することができる。」よりも後の部分、すなわち「さらに、特に、この例

では、前記各表示板91と92は、それらの各平面の面積と各厚さ寸法とが

10 互いにハードウェアとしてほぼ左右均等となっているので、図8(d)に示

すように、ユーザーが片手の親指を前記表面側の「断面略V字状の凹状部分

=”谷”状部分=デルタ状部分(図の矢印Aで指示する部分)」に当てて、親指

以外の指又は掌を各表示板91、92の裏面側の「断面略V字状に突出した”

山”状部分」に当てたとき、表示装置全体が、前記の”谷”状部分と”山”状部分

15 とを支点として、その左右の均衡(バランス)が保たれた「ヤジロベエ」の

ような状態になり、その結果、片手だけでも極めて「左右に安定した状態」

で支持できるようになる。」という部分を、削除する。

イ イに同じ。

訂正事項8−5

20 ア 訂正前の明細書の【0066】を、削除する。

イ イに同じ。

訂正事項8−6

ア 訂正前の明細書の【0080】を、削除する。

イ 訂正前の請求項7が削除されることに伴い、訂正前の明細書の記載と整合

25 させるための訂正であるから、不明瞭な記載の釈明である。

また、訂正前の明細書中の一部の記載の削除であるから、新規事項追加


68
は当たらない。




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