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関連審決 不服2021-170
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事件 令和 4年 (行ケ) 10039号 審決取消請求事件

原告株式会社ぐるなび
同訴訟代理人弁理士 種村一幸
被告特許庁長官
同 指定代理人相崎裕恒 高瀬勤 宮下誠 後藤亮治 山田啓之
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2022/12/21
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
主文 1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
請求
特許庁が不服2021-170号事件について令和4年3月24日にした審決を取り消す。
事案の概要
本件は、特許出願の拒絶査定に対する不服審判請求を不成立とした審決の取消訴訟であり、争点は、独立特許要件(進歩性)についての認定判断の誤りの有無である。
1 手続の経緯 原告は、発明の名称を「予約支援方法、予約支援プログラム、及び予約支援装置」とする発明につき、平成28年7月28日特許出願(特願2016-148644号。以下「本願」といい、本願に添付した明細書及び図面を「本願明細書」という。)をし、令和2年5月18日に特許請求の範囲を補正したが(甲5。同補正後の請求項の数14)、同年9月30日付けで拒絶査定を受けた(甲6)。
原告は、令和3年1月6日、拒絶査定に対する不服審判請求をするとともに、同日付けで、特許請求の範囲について手続補正(以下「本件補正」という。 をした ) (甲4。本件補正後の請求項の数14)。特許庁は、上記請求を不服2021-170号事件として審理し、令和4年3月24日、本件補正を却下した上で、
「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決(以下「本件審決」という。)をし、本件審決の謄本は、同年4月12日、原告に送達された。
2 発明の要旨 (1) 本件補正前の本願の特許請求の範囲請求項1の記載は、次のとおりである(以下、この請求項1に係る発明を「本願発明」という。。
)(甲3、5) 「一又は複数のプロセッサーが、
予約対象となる第1施設と一又は複数の予約内容とを含む初期予約条件の入力をユーザー端末から受け付け、
前記第1施設に対応する施設端末に前記予約内容を通知し、
前記施設端末からの返信を受け付けた場合に予約を成立させ又は返信内容を前記ユーザー端末に通知し、
前記予約内容が前記施設端末に通知された後、予め設定された待機期間内に前記施設端末からの返信がない場合に、前記施設端末からの返信受付を終了して、前記初期予約条件に基づいて前記第1施設を除く一又は複数の第2施設を抽出し、
前記抽出された一又は複数の前記第2施設の情報を前記ユーザー端末に通知する、
予約支援方法。」 (2) 本件補正後の特許請求の範囲請求項1の記載は、次のとおりである(以下、
本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明を「本願補正発明」という。補正部分に下線を付した。甲4)。
「一又は複数のプロセッサーが、
予約対象となる第1施設と一又は複数の予約内容とを含む初期予約条件の入力をユーザー端末から受け付け、
前記第1施設に対応する施設端末に前記予約内容を通知し、
前記施設端末からの返信を受け付けた場合に予約を成立させ又は返信内容を前記ユーザー端末に通知し、
前記予約内容が前記施設端末に通知された後、前記施設端末からの返信を有効に受け付ける期間として予め設定された待機期間内に前記施設端末からの返信がない場合に、前記施設端末からの返信受付を終了して、前記初期予約条件に基づいて前記第1施設を除く一又は複数の第2施設を抽出し、
前記抽出された一又は複数の前記第2施設の情報を前記ユーザー端末に通知する、
予約支援方法。」 3 本件審決の理由の要点 (1) 本件補正について 本件補正は、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「待機期間」について、
「予め設定された待機期間」が「前記施設端末からの返信を有効に受け付ける期間として」予め設定されたものであるという限定事項を付加するものであって、本願の願書に最初に添付した明細書(以下「当初明細書」という。)の段落【0030】に記載された事項であり、新規事項を追加するものではなく、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲減縮を目的とするものに該当する。
(2) 次に、本願補正発明が、特許法17条の2第6項の引用する126条7項の 要件を満たすか検討する。
ア 引用文献1(特開2002-197329号公報。本件の甲1)には次のとおりの発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「ユーザ端末10と、地図情報サーバ20と、各施設に設けられる施設予約情報サーバ30とがネットワーク100を介して相互に接続されている施設予約システムにおける地図情報サーバ20による施設予約の方法であって、 ユーザ端末10からのホームページに対するアクセスに応答して、ユーザ端末10に地図情報を含む検索画面情報を送信するものであって、当該検索画面情報は、ユーザが利用したい施設名、住所、あるいは地域名等を入力する各種の検索画面をユーザ端末10に表示するためのものであり、
利用者が、ユーザ端末10の検索画面上で、宿泊したい施設名を検索条件として直接入力するか、目的地周辺の宿泊施設を探したい場合は目的地の住所や地域を検索条件として入力することにより、ユーザ端末10の画面上で指定する施設の検索を実行すると、地図情報データベース21から検索条件に該当する施設周辺の地図を検索し、地図画面情報をユーザ端末10に送信し、
ユーザ端末10において、検索条件に該当する施設を示すマークと、当該施設の最寄りの交通手段を同時に表示された地図が表示された画面において、地図上にある「施設」ボタン、あるいは地図上の施設のマークの利用者によるクリックを受け、
施設情報データベース22から該当施設の、施設名や住所、周辺の地図、部屋の空き状況、宿泊料金、サービス内容等の施設情報を検索し、ユーザ端末10に送信し、
ユーザ端末10の入力フォーマットにおいて入力された、施設予約に必要な情報、
例えば氏名、住所、電話番号、宿泊人数、宿泊日、到着時間等の情報含む予約要求情報を受信すると、利用者を識別するための利用者識別情報と予約内容を含む予約情報を生成して、施設予約情報サーバ30に送信し、施設予約情報サーバ30から、
当該予約情報に基づく、自動的、あるいは宿泊施設の予約担当者により判断される予約登録可否(OKかNG)の予約結果情報を受信し、当該予約登録可否の結果を 電子メール等によりユーザ端末10に通知し、
受信した予約結果情報の予約登録可否の結果がNGであった場合、施設情報データベース22から予約要求情報の条件に該当するもの、あるいはそれに関連するものを自動的に再検索し、別候補の地図情報や施設情報をユーザ端末10に送信し、
ユーザ端末10から、利用者により選択され、作成された別候補の再度予約要求情報を受信することができる、
方法。」 イ 本願補正発明と引用発明を対比すると、次の一致点と相違点がある。
(ア) 一致点 「一又は複数のプロセッサーが、
予約対象となる第1施設と一又は複数の予約内容の入力をユーザー端末から受け付け、
前記第1施設に対応する情報処理装置に前記予約内容を通知し、
前記情報処理装置からの返信を受け付けた場合に予約を成立させ又は返信内容を前記ユーザー端末に通知し、
予約内容に基づいて前記第1施設を除く一又は複数の第2施設を抽出し、前記抽出された一又は複数の前記第2施設の情報を前記ユーザー端末に通知する、
予約支援方法」である点。
(イ) 相違点 [相違点1] 本願補正発明では、ユーザー端末から第1施設と一又は複数の予約内容とを含む初期予約条件の入力を受け付けるのに対し、引用発明では、第1施設と一又は複数の予約内容の入力を受け付けるものの、これらを初期予約条件と称していない点。
[相違点2] 予約内容の通知先であって、返信の送信元でもある、第1施設に対応する情報処理装置が、本願補正発明では施設端末であるのに対し、引用発明では施設予約情報 サーバである点。
[相違点3] 予約内容に基づいて第1施設を除く一又は複数の第2施設を抽出し、前記抽出された一又は複数の前記第2施設の情報を前記ユーザー端末に通知する処理を、本願補正発明では、予約内容が施設端末に通知された後、前記施設端末からの返信を有効に受け付ける期間として予め設定された待機期間内に前記施設端末からの返信がない場合に行い、併せて、施設端末からの返信受付を終了するのに対し、引用発明では、予約結果情報の予約登録可否の結果がNGであった場合に行う点。
ウ 上記相違点について (ア)[相違点1]について 引用発明においても、ユーザー端末から第1施設と一又は複数の予約内容を受け付け、予約結果情報の予約登録可否の結果がNGであった場合、同じ予約内容で別候補を再検索するから、予約内容を初期予約条件と称することは、当業者が適宜なし得たことである。
(イ) [相違点2]について 甲1(引用文献1)の段落【0022】において「施設予約情報サーバ30は、
ワークステーションサーバ等の情報処理装置であり、各施設に設けられる。 と記載 」されていることから、引用発明の施設予約情報サーバに代えて、情報処理装置の一種である施設端末を用いる構成とすることは、当業者であれば適宜なし得たことである。
(ウ) [相違点3]について a 引用発明は、施設予約情報サーバ30から、当該予約情報に基づく、自動的、
あるいは宿泊施設の予約担当者により判断される予約登録可否(OKかNG)の予約結果情報を受信するものであり、予約担当者により予約登録の可否が判断される場合も想定している。そして、予約担当者により予約登録の可否が判断される場合には予約結果情報が長時間送信されてこないことが生じ得ることは明らかである。
ユーザーにとって、予約を早く行いたいというニーズがあることは自明であり、
宿泊施設の予約担当者により予約登録の可否が判断される場合、少なくとも予約結果情報が送信されてくるまでの間は第1施設の予約はできておらず、さらに、予約結果情報が送信されてくるのを待っている間に、第1施設に類似する他の施設(第2施設)が他者により予約されてしまい予約枠が埋まってしまうことがあり得るから、予約結果情報が送信されてくるのを単に待ち続けることは、第1施設に類似する他の施設(第2施設)の予約ができなくなるリスクがあることは明らかである。
b ところで、引用文献2(特開2002-312654号公報。本件の甲2)には、次の技術(以下「引用文献2記載技術」という。)が記載されている。
「宿泊施設の仮予約において、
仮予約センタ端末102は、ホテル端末103に対して空き問い合わせ情報を送信し(【0043】、
) ホテル端末103は、仮予約センタ端末102からの空き問い合わせ情報を受信すると、宿泊可否の結果を一定時間内に仮予約センタ端末へ連絡し(【0057】、
) 仮予約センタ端末102は、宿泊可否の結果を受信し、宿泊が不可ならば、次のホテル端末103に対して空き問い合わせ情報の送信を行い(【0058】、
) 宿泊の許可がもらえた場合は、そのホテル端末103にホテル側で必要とするユーザ(仮予約成立者)の連絡先等を含んだユーザ情報を通知して仮予約を行い(【0061】、
) 仮予約センタ端末102は、ホテル端末103が宿泊可否の通知を一定時間経過(タイムアウト)しても行わなかった場合、ホテル端末103に対して、キャンセルの通知を送信し、次のホテルへ空き問い合わせ情報を送信する(【0058】【0 、
060】、図2)、こと」 c 引用発明と引用文献2記載技術とは、施設側に問い合わせて返信を受けることにより施設の予約を行うという共通の機能を有する。
よって、当業者であれば、前記aの引用発明におけるリスクを勘案して、施設端 末から予約結果情報が送信されてこない場合であっても予約の処理を進めるために、
引用発明に引用文献2記載技術を適用し、予約内容が施設端末に通知された後、前記施設端末からの返信を有効に受け付ける期間として予め設定された待機期間内に前記施設端末からの返信がない場合にも、予約がNGの場合と同様に、次の施設に問い合わせるために、初期予約条件に基づいて第1施設を除く一又は複数の第2施設を抽出し、前記抽出された一又は複数の前記第2施設の情報を前記ユーザー端末に通知するようにすること、及び、次の施設の予約のための処理を開始することから、第1施設に対応する施設端末にキャンセルの通知をする等の返信受付を終了することは当業者が容易になし得たことである。
d 本願補正発明の効果は、ユーザーの要求に対する施設側の早期の返信を促す」 「ことであるが、甲2(引用文献2)の段落【0060】及び【0065】の記載によれば、引用文献2記載技術は、宿泊不可の連絡を一定時間が経過する前に行うことを促す構成といえるから、本願補正発明の作用効果は、引用発明及び引用文献2記載技術の奏する作用効果から予測される範囲のものであり、本願補正発明の効果は、格別のものでない。
エ したがって、本願補正発明は、引用発明及び引用文献2記載技術に基づいて、
当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
よって、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
(3) 本願発明について ア 原査定の拒絶の理由は、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明できたというものである。
イ 本願発明と引用発明を対比すると、前記(2)イ(ア)と同じ一致点と、同(イ)の[相違点1]及び[相違点2]と同じ相違点並びに次の相違点がある。
[相違点3′] 予約内容に基づいて第1施設を除く一又は複数の第2施設を抽出し、前記抽出された一又は複数の前記第2施設の情報を前記ユーザー端末に通知する処理を、本願発明では、予約内容が施設端末に通知された後、予め設定された待機期間内に前記施設端末からの返信がない場合に行い、併せて、施設端末からの返信受付を終了するのに対し、引用発明では、予約結果情報の予約登録可否の結果がNGであった場合に行う点。
ウ 相違点1、2は、引用発明と本願補正発明の相違点と同じである。相違点3′の「予め設定された待機期間」は「前記施設端末からの返信を有効に受け付ける期間として」予め設定されたものである場合を含むものである点で、引用発明と本願補正発明の相違点3と共通する。そうすると、本願発明と引用発明の相違点1、2及び3′についての検討の内容は、前記(2)ウに示したとおりのものとなる。
エ したがって、本願発明は、当業者が引用発明及び引用文献2記載技術に基いて容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
(4) 以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
原告が主張する審決取消事由
1 取消事由1(相違点3の容易想到性についての判断の誤り)について 本件審決は、相違点3について検討するに当たり、引用発明に引用文献2記載技術を適用したが、次のとおり、そのような動機付けはなく、阻害要因があるから、
本件審決が、引用発明に引用文献2記載技術を適用して、相違点3が容易想到であると判断したことは誤りである。
(1) 引用発明の作用効果 甲1の段落【0031】 【0032】の記載によれば、引用発明では、受信した予 約結果情報の予約登録可否の結果がNGであった場合に、別候補の地図情報や施設情報がユーザ端末10に送信されるが、その後に別候補を選択する操作は利用者によって行われる。すなわち、引用発明では、受信した予約結果情報の予約登録可否の結果がNGであった場合に、別候補の選択(予約)が自動的に行われず、別候補の選択が利用者に委ねられており、飽くまで利用者の意思が優先されている。また、
甲1には、一定時間経過によって予約登録可否の結果がNGであると判断されることについての記載や示唆がないことからも、引用発明では利用者の意思が優先されているといえる。
そうすると、引用発明は、利用者による別候補の再検索の手間を軽減しつつ利用者が所望する施設を予約することができるという作用効果を奏する。
(2) 引用文献2記載技術の作用効果 甲2の段落【0058】【0060】及び【0061】の記載によれば、引用文 、
献2記載技術では、宿泊が不可である場合や一定時間が経過した場合に、次のホテルが自動的に選択され、かつ、仮予約が行われることになる。すなわち、引用文献2記載技術では、宿泊が不可である場合に、利用者の意思に関係なく別候補の仮予約が自動的に行われ、飽くまで早期の予約及び利用者の操作の手間の軽減が優先されており、利用者は別候補の選択を行うことができない。
そうすると、引用文献2記載技術は、早期の予約及び利用者の操作の手間の軽減を図ることができるという作用効果を奏するが、利用者が意図していない別候補が仮予約されてしまうことがある。
(3) 引用発明に引用文献2記載技術を適用する動機付けについて 本件審決は、引用発明について、予約結果情報が送信されてくるのを単に待ち続けることで第1施設に類似する他の施設(第2施設)の予約ができなくなるリスクがあることが明らかであり、上記リスクを勘案して引用発明に引用文献2記載技術を適用して、あらかじめ設定された待機期間内に施設端末からの返信がない場合に、
第2施設の情報をユーザー端末に通知し、第1施設に対応する施設端末にキャンセ ルの通知をする等の返信受付を終了することについては、当業者が容易になし得たことであると判断している。
しかしながら、甲1には、一定時間経過によって予約登録可否の結果がNGであると判断されることの記載や示唆はなく、そのように構成する動機付けもない。
引用発明のように第1施設から予約結果情報が送信されてくるのを単に待ち続ければ、利用者が所望していた第1施設を予約することができる可能性があるにもかかわらず、本件審決のいう第2施設の予約ができなくなるというリスクを回避するために、予約結果情報が送信されてくるのを待たず、一定時間経過によって第1施設からの返信受付を終了して第2施設の情報をユーザー端末に通知する構成にするとなると、利用者が所望していた施設を予約することができた機会を逃してしまうというリスクが生じることになる。そして、利用者が所望していた第1施設を予約することができた機会を逃してしまうというリスクは、引用発明における「利用者による別候補の再検索の手間を軽減しつつ利用者が所望する施設を予約することができる」という作用効果に反するものである。このことは、当業者である施設予約システム提供者からみると、施設への送客の機会を勝手に喪失させるものであって、
送客の機会をできるだけ喪失させないように仕様設計を行うという本願の出願当時の技術常識に反するものでもある。
したがって、引用発明において利用者が所望していた第1施設を予約することができた機会を逃してしまうというリスクを勘案し、引用発明に引用文献2記載技術を適用することについての動機付けは存在しない。また、引用発明において第1施設の予約登録可否の結果がNGであると判断された場合、利用者は、利用者の意思によって再度所望する第2施設を予約することができるため、利用者の意思を考慮せずに引用発明に引用文献2記載技術を適用することについての動機付けは存在しない。さらに、引用文献2記載技術は、引用発明のように利用者が所望の施設を選択して予約を試みることを前提としておらず、技術的な前提が全く異なるのであるから、この点からも、引用発明に引用文献2記載技術を適用する動機付けはない。
仮に、引用発明に施設予約情報サーバ30からの予約結果情報が長時間送信されてこないことが生じ得るとの課題が内在するとしても、その解決手段としては、利用者が施設に問合せを行うことが一般的であり、上記課題は引用文献2記載技術を適用することについての動機付けとはならない。
(4) 引用発明に引用文献2記載技術を適用することの阻害要因があること 前記(1)及び(2)のとおり、引用発明と引用文献2記載技術は作用効果が全く異なるものであり、引用発明に引用文献2記載技術を適用し、予約結果情報が送信されてくるのを待たず、一定時間経過によって第1施設からの返信受付を終了して第2施設の情報をユーザー端末に通知する構成にすれば、利用者の意思を優先して予約を行うことができないことがあり、引用発明の「利用者による別候補の再検索の手間を軽減しつつ利用者が所望する施設を予約することができる」という作用効果が阻害されるから、阻害要因がある。なお、引用文献2記載技術の一部である「利用者が長時間放置されたままとなっている場合に、自動的に予約登録可否の結果がNGであると判断する」という技術のみを都合よく抜き出して技術的前提が全く異なる引用発明に適用することはできない。
(5) 小括 以上によれば、引用発明に引用文献2記載技術を適用する動機付けは存在せず、むしろ阻害要因が存在することから、本件審決が、引用発明に引用文献2記載技術を適用して本願補正発明のように構成することは当業者が容易になし得たことであると判断したことは誤りである。
2 取消事由2(引用文献2記載技術の構成の誤り)について 本件審決は、甲2の段落【0065】における「宿泊不可連絡回数が多い順(ホテル側は、宿泊不可の連絡を仮予約センタ端末102に通知する可能性が高くなる)」との記載を引用し、
「引用文献2記載技術は、宿泊不可の通知を行うと仮予約候補一覧の作成に用いられる優先度情報を高くすることによって、宿泊不可の連絡を一定時間が経過する前に行うことを促す構成といえるから、本願補正発明の作用効果は、
引用発明及び引用文献2記載技術の奏する作用効果から予測される範囲のものである」と判断した。
しかしながら、上記記載は、
「宿泊不可連絡回数が多い順」が、そのホテルを候補として選択しても、結局は宿泊不可連絡が来て宿泊不可となる可能性が高い順であるということを説明しているにすぎないとも考えられるから、本件審決が、上記記載をもって、引用文献2記載技術を「宿泊不可の連絡を一定時間が経過する前に行うことを促す構成」であると特定したことは誤りである。
3 取消事由3(独立特許要件違反の判断(進歩性判断)の誤り)について 本願補正発明の作用効果は、@あえて施設端末からの返信を有効に受け付ける期間として待機期間があらかじめ設定されており、その待機期間内に施設端末からの返信がない場合に、施設端末からの返信受付を終了するため、ユーザーの要求に対する施設側の早期の返信を促すことができる(第1の作用効果) A待機期間内に施 、
設端末からの返信がない場合に、第2施設の情報がユーザー端末に通知されるため、
ユーザーが再検索操作などの手間を要することなく有益な情報を容易に得ることができる(第2の作用効果) B待機期間内に施設端末からの返信がない場合に第2施 、
設の情報がユーザー端末に通知されるが、第2施設の予約が自動的に実行されないため、ユーザーが意図しない施設の予約は行われない(第3の作用効果)というものであるところ、引用発明は、少なくとも上記第1及び第3の作用効果を奏さない。
そして、前記2のとおり、引用発明に引用文献2記載技術を適用する動機付けはなく、阻害要因がある。
また、本願補正発明における「待機期間」は、前記施設端末からの返信を有効に受け付ける期間としてあらかじめ設定されたものであるところ、甲2の段落【0060】等には、一定時間経過した場合にキャンセル通知FAXが送信されることが記載されているが、一定時間経過後にホテルからの返信が有効に受け付けられなくなることについての具体的な記載はなく、
「一定時間」がホテルからの返信を有効に受け付ける期間として予め設定されたものであることについての記載や示唆もなさ れていない。
したがって、本願補正発明は、引用発明及び引用文献2記載技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではないため、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないとする審決の判断には誤りがある。
被告の主張
1 取消事由1(相違点3の容易想到性についての判断の誤り)について (1) 引用発明について 原告は、甲1に、一定時間経過によって予約登録可否の結果がNGであると判断されることの記載や示唆がないことからも、引用発明では、利用者の意思が優先されていると考えられると主張しているが、以下のとおり、理由のないものである。
ア 本件審決は、甲1に、一定時間経過によって予約登録可否の結果がNGであると判断されることの記載がないことを前提としている。
イ 甲1は、一定時間経過によって予約登録可否の結果がNGであると判断されることを否定するものではなく、甲1に接した当業者は、予約登録可否の結果が長時間送信されないことが生じ得ることを内在する課題として有することを理解できる。引用発明が施設予約の方法である以上、長時間、予約登録可否の結果が不明である場合に何らかの対応を取らなければならないことは当然のことである。
ウ 施設予約システムの利用者の意思を尊重しその利用者に配慮することは、施設予約システムにおける施設予約方法においては当然のことであるが、利用者の最終的な目的は、希望の日時に希望の目的地周辺の宿泊施設に宿泊することであり、
そのための予約をすることであるから、甲1に、一定時間経過によって予約登録可否の結果がNGであると判断されることの記載がないことが、利用者の意思が優先されていることを意味しない。
また、甲1における検索は、
「宿泊したい施設名を検索条件として直接入力」することによる検索に限定されておらず、目的地周辺の宿泊施設を探したい場合は目的 「 地の住所や地域を検索条件として入力」する検索を含んでおり(甲1の段落【0025】、この「目的地周辺の宿泊施設を探したい」利用者は、希望の日時に希望の )目的地周辺の宿泊施設に宿泊することを目的としている。一定時間経過によって予約登録可否の結果がNGであると判断することは、このような利用者の目的に反するものではない。
(2) 引用文献2記載技術について 本件審決の「引用文献2記載技術」における「宿泊施設の仮予約において、仮予約センタ端末102は、ホテル端末103に対して空き問い合わせ情報を送信し【0 (043】」との記載は、甲2の段落【0043】の「仮予約センタ端末102は、
)生成された検索結果一覧の上位のホテルから順に宿泊の仮予約が取れるまで、各ホテルのホテル端末103に空き情報の問い合わせを送信し、かつ送信確認する機能を備えている。」との記載を基にしたものであり、この記載における「生成された検索結果一覧」というのは、段落【0041】の「仮予約センタ端末102は、ユーザの操作によりユーザ端末101から送出されたホテル検索条件等を受け付け、それに基づいた検索結果一覧を生成する機能を備えている。 との記載における 」 「検索結果一覧」のことであるから、仮予約センタ端末102が空き問合せ情報を送信する「ホテル端末103」は、ユーザによるホテル検索の結果に含まれるホテルのものに限定されている。
このことを踏まえれば、引用文献2記載技術において、利用者の意思に関係なく別候補の仮予約が自動的に行われたり、利用者が意図していない別候補が仮予約されてしまうことなど考えられない。
(3) 引用発明に引用文献2記載技術を適用する動機付けについて 本件審決は、甲1に、一定時間経過によって予約登録可否の結果がNGであると判断されることの記載がないことを前提として、引用発明である地図情報サーバ20が施設予約情報サーバ30から予約結果情報を受信してその予約結果情報が「予約がNGの場合」に「他の施設を抽出してユーザーへ通知する処理」を行うもので あり、施設予約情報サーバ30からの予約結果情報が長時間送信されてこないこと(OKであるにしてもNGであるにしても先の処理に進めない状態が長時間続くこと)が生じ得るとの引用発明に内在する課題を説示することによって、その課題の解決手段となる「予約内容が施設端末に通知された後」の「待機期間内」に「前記施設端末からの返信がない場合」の処理として「予約がNGの場合」と同様の処理を行う技術を当業者が適用することについての動機付けが引用発明において存在する旨を示しているものである。
原告の主張は、本件審決が認定した上記動機付けが妥当でない旨を主張することなく、この動機付けの補足にすぎない「第1施設に類似する他の施設(第2施設)の予約ができなくなるリスク」を勘案する旨の説示の妥当性を問題にしているものであり、本件審決の動機付けの妥当性を否定する主張になっていない。
また、引用発明における地図情報サーバ20は、施設予約情報サーバ30から予約結果情報を受信してその予約結果情報が「予約がNGの場合」に「他の施設を抽出してユーザーへ通知する処理」を行うものであり、施設予約情報サーバ30からの予約結果情報が長時間送信されてこなければ、利用者が希望の日時に希望の目的地周辺の宿泊施設に宿泊するという最終的な目的(前記(1)参照)に向けた「他の施設を抽出してユーザーへ通知する処理」を行うことはできない。そして、本件審決の「第1施設に類似する他の施設(第2施設)の予約ができなくなるリスク」は、
利用者が希望の日時に希望の目的地周辺の宿泊施設に宿泊するという最終的な目的を踏まえたものである。
したがって、引用発明に引用文献2記載技術を適用する動機付けがあるとした本件審決に誤りはない。
(4) 阻害要因について 引用発明と引用文献2記載技術は、いずれも利用者の意思への配慮を踏まえたものであって、この点で両者の間に作用効果の違いはない。そうすると、引用発明も引用文献2も、利用者への配慮がなされる点では共通しているのであって、原告が 主張するような作用効果の違いはなく、容易想到の判断が阻害されることもない。
2 取消事由2(引用文献2記載技術の構成の誤り)について 原告は、本件審決が、引用文献2記載技術を「宿泊不可の連絡を一定時間が経過する前に行うことを促す構成」であると特定したことは誤りであると主張するが、
この主張は甲2の記載に即したものではない。
甲2の段落【0065】には、
「優先度情報とは、図3に示すように、ホテル情報内の空き情報問い合わせ総回数、仮予約成立総回数、宿泊不可連絡回数、最新仮予約日時等項目から成る。これにより、例えば、検索条件による順位が同等のホテルが複数存在した場合は、空き情報問い合わせ総回数が少ない順、それも同じであれば仮予約成立総回数が少ない順、それも同じであれば宿泊不可連絡回数が多い順(ホテル側は、宿泊不可の連絡を仮予約センタ端末102に通知する可能性が高くなる)、
それも同じであれば最新仮予約日時が古い順、それも同じであれば登録ホテルコード順に列べることによって仮予約の問い合わせを行うホテルに偏りが生じないようにすることができる。つまり、検索条件において全く同じホテルA、B、Cが存在していた場合、1回目の仮予約候補一覧ではA→B→Cの順に並んでいたとしても、
Aのホテルに関して仮予約が行われた後、同じ条件で仮予約候補一覧を作成したときは、ホテルの優先度情報により今度はB→C→Aの順となる。と記載されている。
」 そして、上記記載における「(ホテル側は、宿泊不可の連絡を仮予約センタ端末102に通知する可能性が高くなる)」は、
「宿泊不可」の「連絡」に着目して、
「ホテル側」にこの「宿泊不可」の「連絡」を促すことで「宿泊不可の連絡を仮予約センタ端末102に通知する可能性が高くなる」ことを目的とし、
「宿泊不可連絡回数が多い順」という基準が導入されていることを記載したものと解するのが自然であり、
それ以外の解釈の余地はない。
また、甲2には、
「宿泊不可連絡回数」のカウントに当たって、
「一定時間経過(タイムアウト)」によるホテル端末への「キャンセルの通知を送信」した後にそのホテル端末から「宿泊不可の連絡」がなされた場合を「宿泊不可連絡」があったものと するかなかったものとするかについての明示はないものの、
「キャンセルの通知」の送信後に送信されたキャンセル通知を見たホテルからの「宿泊不可連絡」がきても意味がなく、このような場合を「宿泊不可連絡」があったものとしてカウントすることも考えられない。
そうすると、本件審決が、引用文献2記載技術が「宿泊不可の連絡を一定時間が経過する前に行うことを促す構成」であるとして、本願補正発明の作用効果について予測の範囲内であるとした判断に誤りはない。
3 取消事由3(独立特許要件違反の判断(進歩性判断)の誤り)について 原告のいう「第1の作用効果」、つまり本願明細書の段落【0005】に示された「早期の返信を促す」という作用効果は、抽象的に様々な内容を含み得るものであるものの、引用発明及び引用文献2記載技術も奏するものであり、かつ、これらから予測される範囲を超える作用効果とはいえないものである。
また、ユーザーが再検索操作などの手間を要することなく有益な情報を容易に得 「ることができるという第2の作用効果」について、本件審決における検討内容に誤りはない。
「ユーザーが意図しない施設の予約は行われないという第3の作用効果」については、引用発明は、
「目的地周辺の宿泊施設を探したい場合」に「目的地の住所や地域を検索条件として入力」する利用者により「検索条件に該当する施設」から選択(「地図上にある「施設」ボタン」や「施設のマーク」の「クリック」)された施設の「予約要求情報」を受信するものであり、また、
「受信した予約結果情報の予約登録可否の結果がNGであった場合、施設情報データベース22から予約要求情報の条件に該当するもの、あるいはそれに関連するものを自動的に再検索し、別候補の地図情報や施設情報をユーザ端末10に送信」するものであり、利用者が入力した検索条件に該当する施設や当該施設以外の利用者が入力した検索条件に該当する別候補の施設が予約のために選択されるものであることから、ユーザが意図しない施設の予約が行われないという効果を奏することが明らかである。
以上を踏まえれば、原告が主張する本願補正発明の3つの効果は、いずれも引用発明及び引用文献2記載技術の奏する作用効果から予測される範囲のものであり、
本件審決の判断に誤りはない。
当裁判所の判断
1 本願補正発明について (1) 本願明細書には次の記載がある(甲3)。なお、本件補正は特許請求の範囲のみを補正するものであり、本願明細書の記載は、本件補正後も同じである。
【技術分野】 【0001】 本発明は、予約支援方法、予約支援プログラム、及び予約支援装置に関する。
【背景技術】 【0002】 一般に、ユーザー端末の操作に応じて、予約可能な店舗をユーザー端末に表示させ、ユーザー端末で選択された店舗について予約を即時に成立させることが可能なシステム(例えば特許文献1参照)が知られている。
発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 ところで、この種のシステムでは、特定の施設への予約要求をユーザー端末から受け付けた後、その特定の施設からの返信に応じて予約を成立させる予約手法が採用されることがある。このような予約手法では、施設からの返信が遅ければユーザーの待ち時間が長くなるため、施設からの返信は迅速に行われることが望ましい。
【0005】 本発明の目的は、ユーザーの要求に対する施設側の早期の返信を促すことが可能な予約支援方法、予約支援プログラム、及び予約支援装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】 【0006】 本発明に係る予約支援方法では、予約対象となる第1施設と一又は複数の予約内容とを含む初期予約条件の入力がユーザー端末から受け付けられる。前記第1施設に対応する施設端末に前記予約内容が通知される。前記施設端末からの返信を受け付けた場合に予約を成立させ又は返信内容が前記ユーザー端末に通知される。前記予約内容が前記施設端末に通知された後、予め設定された待機期間内に前記施設端末からの返信がない場合に、前記施設端末からの返信受付が終了し、前記初期予約条件に基づいて前記第1施設を除く一又は複数の第2施設が抽出される。前記抽出された一又は複数の前記第2施設の情報が前記ユーザー端末に通知される。
【発明の効果】 【0009】 本発明によれば、ユーザーの要求に対する施設側の早期の返信を促すことが可能な予約支援方法、予約支援プログラム、及び予約支援装置が提供される。
【発明を実施するための形態】 【0012】 [予約支援システム1] 図1に示すように、本発明の実施形態に係る予約支援システム1は、予約支援装置2と一又は複数のユーザー端末3と、複数の施設端末4とを含む。予約支援装置2、ユーザー端末3、及び施設端末4は、インターネット、LAN、WAN、又は公衆電話回線などの通信網N1を介して通信可能である。
【0013】 そして、予約支援システム1では、予約支援装置2が、ユーザー端末3各々と施設端末4各々との間を中継し、ユーザーによる各種の施設の予約作業を支援する。
実施形態に係る施設は、例えば新年会、忘年会、バーベキュー、宴会、懇親会、
同窓会、社員旅行、及びゴルフコンペ等の各種のイベントで使用される飲食店舗、
イベント会場、ホテル、又はゴルフ場などの施設である。
【0048】 ところで、この種の予約支援システム1では、特定の施設への予約要求をユーザー端末3から受け付けた後、施設からの返信が遅ければ、予約ユーザーの待ち時間が長くなるため、施設からの返信は迅速に行われることが望ましい。これに対し、
実施形態に係る予約支援装置2で実行される予約支援方法によれば、予約ユーザーの要求に対する施設側の早期の返信を促すことが可能である。
【0049】 [特定予約支援処理] 以下、図3を参照しつつ、予約支援装置2の制御部21によって実行される特定予約支援処理について説明する。なお、制御部21は、ユーザー端末3から即時予約が可能でない施設の予約を行うための表示開始要求を受信した場合に、ユーザー端末3ごとに対応する当該特定予約支援処理を個別に実行する。即ち、制御部21は、複数のユーザー端末3に対応する前記特定予約支援処理を時分割によって略並行して実行することがある。また、当該特定予約支援処理は、ユーザー端末3の所定の操作によって途中で終了されることがある。
【0050】 また、本発明は、当該特定予約支援処理に含まれる一又は複数のステップを制御部21のようなプロセッサーで実行する予約支援方法の発明として捉えることができるが、ここで説明する当該特定予約支援処理に含まれる一又は複数のステップが適宜省略されてもよい。なお、前記特定予約支援処理における各ステップは同様の作用効果を生じる範囲で実行順序が異なってもよい。さらに、ここでは制御部21によって当該特定予約支援処理における各ステップが実行される場合を例に挙げて説明するが、複数のプロセッサーによって当該特定予約支援処理における各ステップが分散して実行される予約支援方法も他の実施形態として考えられる。
【0051】 <ステップS1> ステップS1において、制御部21は、前記施設情報D2に登録されている施設のうち予約対象となる特定の第1施設の選択をユーザー端末3から受け付けるための処理を実行する。具体的に、制御部21は、前記第1施設を選択するための施設検索ページP11をユーザー端末3に表示させる。ここに、図5は、施設検索ページP11の一例を示す図である。
【0052】 図5に示されるように、施設検索ページP11では、施設情報D2に登録されている施設のうち予約対象となる第1施設を絞り込むための検索条件の入力が可能である。具体的に、前記検索条件には、予約日時、人数、予算、利用目的、エリア、
料理ジャンルなどの項目が含まれる。また、前記検索条件には、店舗名、個室有無、
飲み放題有無、又は食べ放題有無などが含まれていてもよい。そして、制御部21は、ユーザー端末3によって施設検索ページP11で前記検索条件として一又は複数の項目の内容が設定された後、検索キーK11が操作されると、前記検索条件に合致する施設を抽出してユーザー端末3に一覧表示させる。その後、制御部21は、
ユーザー端末3に表示された施設から任意に第1施設を選択する操作を受け付ける。
【0053】 <ステップS2> ステップS2において、制御部21は、前記ステップS1で選択された前記第1施設に対する一又は複数の予約内容の入力を受け付けるための処理を実行する。具体的に、制御部21は、前記第1施設に対して一又は複数の予約内容を設定して予約を依頼するための予約依頼ページP11をユーザー端末3に表示させる。即ち、
ステップS1〜S2では、前記第1施設及び前記予約内容を含む初期予約条件の入力が受け付けられる。なお、これらの受付処理は、制御部21の受付処理部211によって実行される。ここに、図6は、予約依頼ページP12の一例を示す図である。
【0054】 図6に示されるように、予約依頼ページP12では、予約対象の前記第1施設の名称が表示されており、当該第1施設についての予約内容として予約日時及び人数の入力が可能である。なお、予約依頼ページP12では、前記予約内容として、施設で提供されるサービスの種類(コースなど)、予算、利用目的、座席の種類(個室又はテーブルなど) 飲み放題有無、
、 又は食べ放題有無などが設定可能であってもよい。そして、制御部21は、ユーザー端末3によって予約依頼ページP12で前記予約内容が設定された後、予約キーK12が操作されると、処理をステップS3に移行させる。
【0055】 <ステップS3> ステップS3において、制御部21は、前記ステップS1で選択された前記第1施設に対応する施設端末4に、前記ステップS2で設定された前記予約内容を通知する。なお、当該ステップS3の通知処理は、制御部21の第1通知処理部212によって実行される。
【0056】 具体的に、制御部21は、前記ステップS1で選択された前記第1施設に対応する連絡先を施設情報D2に基づいて特定し、その連絡先に、前記予約内容を含むメッセージをメールで送信する。また、前記メッセージには、前記予約内容について予約の可否を入力可能な返信ページにアクセスさせるためのリンク情報が含まれる。
これにより、前記第1施設の施設側ユーザーは、施設端末4を用いて前記メールを受信し、前記返信ページにアクセスすることが可能である。ここで、制御部21は、
前記初期予約条件に含まれる前記予約内容の全てを施設端末4に通知してもよいが、
前記予約内容のうち予め設定された一部の情報を施設端末4に通知してもよい。なお、ステップS3は、制御部21の第1通知処理部212によって実行される。
【0057】 <ステップS4> ステップS4において、制御部21は、前記ステップS3で前記予約内容の通知を受けた前記第1施設から予約の可否の返信があったか否かを判断する。具体的に、
制御部21は、前記第1施設の施設側ユーザーがログイン中の施設端末4において前記返信ページを用いて入力された返信内容を受信した場合に返信があったと判断する。ここで、前記返信があったと判断されると(S4:Yes)、処理がステップS401に移行し、前記返信がなければ(S4:No)、処理がステップS5に移行する。
【0058】 <ステップS401> ステップS401において、制御部21は、施設端末4からの返信内容が予約可能又は予約不可のいずれであるかを判断し、予約可能である場合には(S401:Yes) 処理をステップS402に移行させ、
、 予約不可である場合には(S401:No)、処理をステップS403に移行させる。
【0059】 <ステップS402> ステップS402において、制御部21は、ユーザー端末3でログイン中の予約ユーザーによる前記第1施設の予約を成立させる。なお、このように前記第1施設からの返信を受け付けた場合に予約を成立させるための処理は、制御部21の予約処理部213によって実行される。
【0060】 より具体的に、制御部21は、ユーザー端末3でログイン中の予約ユーザーに対応するユーザーID、ユーザー名、連絡先などの情報をユーザー情報D1から抽出し、前記第1施設の情報及び前記予約内容と対応付けて予約情報として記憶部22に記憶させる。また、制御部21は、前記予約情報を、前記予約ユーザーに対応する連絡先、及び前記第1施設に対応する連絡先に送信する。これにより、予約ユーザー及び施設側ユーザーは、前記予約情報を把握することが可能である。
【0061】 なお、本実施形態では、前記ステップS401において、予約を成立させるための処理が実行される場合を例に挙げて説明するが、前記ステップS401において、
制御部21がユーザー端末3に施設端末4からの予約の可否などの返信内容を通知することも考えられる。この場合、制御部21は、例えば前記返信内容を受信したユーザー端末3から予約確認操作を受け付けた場合に、予約を成立させるための処理を実行してもよい。
【0062】 <ステップS403> ステップS403において、制御部21は、前記予約ユーザーに予約不可である旨のメッセージを通知する。なお、他の実施形態として、前記第1施設の予約不可である場合に、処理が後述のステップS7に移行して前記第1施設とは異なる他の第2施設が前記予約ユーザーに提示されることも考えられる。
【0063】 <ステップS5> ステップS5において、制御部21は、前記予約内容を施設端末4に通知してから、予め設定された待機期間が経過したか否かを判断する。そのため、制御部21は、前記ステップS3において前記予約内容を施設端末4に通知してからの経過時間を計時している。前記待機期間は、前記第1施設からの返信を有効に受け付ける期間として予め設定された期間である。例えば、前記待機期間は3時間、24時間、
又は3日などである。なお、予約支援装置2で設定されている前記待機期間は、施設側ユーザーが既知の情報であって、例えば前記施設側ユーザーによる予約支援装置2への施設情報の登録時などの事前のタイミングで前記第1施設の施設側ユーザーにも通知される。
【0064】 <ステップS6> ステップS6において、制御部21は、前記第1施設に対応する施設端末4からの返信受付を終了する。即ち、制御部21の予約処理部213は、前記待機期間内に前記第1施設に対応する施設端末4からの返信が無い場合に前記第1施設に対応する施設端末4からの返信受付を終了する。
【0065】 具体的に、制御部21は、これ以後に前記第1施設に対応する施設端末4から返信があった場合でも、前記ステップS41の第1施設の予約を成立するための処理を実行しない。また、制御部21は、ユーザー端末3に施設端末4からの返信内容も通知しない。即ち、前記第1施設に対応する施設端末4は、前記待機期間が経過した後は、予約ユーザーから当該第1施設への予約要求に応えて予約を成立させることができなくなる。もちろん、前記ステップS1及び前記ステップS2で前記初期予約条件を入力した前記予約ユーザーとは異なる他の予約ユーザーからの予約要求がある場合にそれに応えることは可能である。
【0066】 <ステップS7> ステップS7において、制御部21は、前記初期予約条件に含まれる前記第1施設の情報及び前記予約内容に基づいて、施設情報D2に登録されている施設のうち前記第1施設を除く一又は複数の第2施設を抽出する。具体的には、施設情報D2に登録されている施設から前記初期予約条件に含まれる第1施設のエリア及び前記予約内容と同一の条件で予約が可能な第2施設が特定される。なお、このように前記待機期間内に前記第1施設に対応する施設端末4からの返信がない場合に、前記第2施設を抽出する処理は、制御部21の抽出処理部214によって実行される。
【0067】 具体的に、制御部21は、前記施設情報に登録されている前記第1施設のエリアと同一のエリアに属する施設であって、且つ前記初期予約条件で即時予約の受付が可能な施設を前記第2施設として抽出する。なお、他の実施形態として、前記ステ ップS7で抽出される第2施設に即時予約ができない施設が含まれていてもよい。
【0068】 ここで、前記第2施設の抽出手法の一例について説明する。例えば、施設情報D2に登録されている前記第1施設のエリアが「銀座」である場合、制御部21は、
施設情報D2に登録されている施設のうち、エリアが「銀座」であり、前記予約内容に含まれる予約日時及び人数の条件で予約が可能な第2施設を前記予約可能状況に基づいて抽出する。なお、制御部21は、前記第1施設の予約内容としてサービスの種類(コース)が選択されている場合には、平均予算が前記サービスの種類に対応する金額内である第2施設を抽出することも考えられる。
【0069】 なお、制御部21が、施設検索ページP11で入力された検索条件を前記予約ユーザーに対応付けて記憶部22に記憶しており、前記ステップS7において前記検索条件を考慮して前記第2施設を抽出することが考えられる。具体的に、制御部21は、施設情報D2に登録されている施設のうち、前記検索条件と前記初期予約条件における予約内容との両方の条件を満たし、且つ前記第1施設を除く施設を前記第2施設として抽出することが考えられる。これにより、予約ユーザーの当初の施設検索時の意図に沿った前記第2施設が抽出されることになる。
【0070】 また、前述したように、制御部21の抽出処理部214は、前記ステップS7で前記第2施設を抽出する際に、前記初期予約条件を緩和した初期緩和条件を設定し、
前記初期予約条件及び前記初期緩和条件に基づいて第2施設を抽出することも考えられる。例えば、制御部21は、ステップS7において抽出された前記第2施設の数が予め設定された閾値未満である場合、前記第2施設の数が前記閾値以上になるまで、後述のステップS13と同様に前記初期予約条件を徐々に緩和して再度抽出処理を実行してもよい。なお、前記閾値は、予約依頼ページP12において設定可能であってもよい。
【0071】 <ステップS8> ステップS8において、制御部21は、前記ステップS7で抽出された前記第2施設の情報をユーザー端末3に通知する。なお、当該ステップS8の通知処理は、
制御部21の第2通知処理部215によって実行される。
【0072】 具体的に、制御部21は、前記ステップS7で抽出された前記第2施設各々について施設名及び代表画像(商品画像)などの一覧を含む予約候補提案ページP13にアクセスするためのリンク情報を、前記予約ユーザーに対応する連絡先に通知する。これにより、前記予約ユーザーは、ユーザー端末3にログインした状態で予約候補提案ページP13を参照することが可能であり、前記第1施設の代りに予約対象となる施設を選定することが可能である。また、ここで通知される前記第2施設の情報には、最初に予約ユーザーが選択した前記第1施設の情報が含まれていないため、予約ユーザーへの無駄な情報の提示が防止され、データ通信量も抑制される。
なお、本発明に係る予約支援方法は、当該ステップS8における前記第2の情報の通知で終了する方法として捉えてもよい。
【0073】 ここに、図7は、予約候補提案ページP13の一例を示す図である。図7に示されるように、予約候補提案ページP13には、前記初期予約条件における予約内容に対応する条件と、前記第2施設の一覧とが表示される。また、予約候補提案ページP13には、前記初期予約条件で再検索した第2施設を提案する旨のメッセージも表示されている。なお、前記検索条件を考慮して検索が行われる場合には前記検索条件も予約候補提案ページP13に表示される。また、他の実施形態として、予約候補提案ページP13に、今後の他の施設の提案の要否を選択するための操作部が表示されており、制御部21は、当該操作部の操作によって提案が必要である旨が選択されなかった場合は、後述の第3施設の情報の通知を実行しないことが考え られる。
【0074】 このように、前記予約内容が施設端末4に通知された後、当該施設端末4からの返信がないまま前記待機期間が経過すると、前記第1施設の施設側ユーザーが予約を成約させる権利を失うことになると共に、他の前記第2施設の情報が予約ユーザーに提示される。したがって、施設側ユーザーは、早期に返信しなければ予約を成約させることができなくなるため、結果的に施設側ユーザーは早期の返事を促されることになり、予約ユーザーの待ち時間を短縮することができる。
【図1】 【図3】 【図5】 【図6】 【図7】 【図7】 (2) 本願補正発明の概要 前記(1)の記載によると、本願補正発明は、予約支援方法、予約支援プログラム、
及び予約支援装置に関するものであるところ(段落【0001】)、この種のシステムにおいて、特定の施設への予約要求をユーザー端末から受け付けた後、その特定の施設からの返信に応じて予約を成立させる予約手法を採用した場合、施設からの返信が遅ければユーザーの待ち時間が長くなるため、施設からの返信は迅速に行われるようにすることが望ましいことから、本願補正発明は、ユーザーの要求に対する施設側の早期の返信を促すことが可能な予約支援方法、予約支援プログラム及び予約支援装置を提供することを目的とするものである(段落【0004】、【0005】)。
そして、上記目的のために、本願補正発明においては、ユーザー端末から予約対象となる第1施設と一又は複数の予約内容とを含む初期予約条件の入力を受け、第1施設に対応する施設端末に予約内容を通知し、施設端末からの返信を受けた場合に予約を成立させ又は返信内容がユーザー端末に通知されるというシステムにおいて、あらかじめ設定された待機時間内に前記施設端末からの返信がない場合に、前記施設端末からの返信受付が終了し、前記初期予約条件に基づいて前記第1施設を除く一又は複数の第2施設を抽出し、抽出された一又は複数の前記第2施設の情報が前記ユーザー端末に通知されるものとし(段落【0006】)、これにより、ユーザーの要求に対する施設側の早期の返信を促すことが可能な予約支援方法、予約支援プログラム及び予約支援装置を提供するというものである(段落【0009】。
) 2 引用発明及び引用文献2記載技術について (1) 引用発明について ア 平成14年7月12日に公開された甲1(本件審決の引用文献1)は、発明の名称を「施設予約システム及び方法」とする特許出願の公開特許公報で、次の記載がある。
【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、施設予約システム及び方法に関し、特に、
インターネット等のネットワークを介してオンラインで地図上から施設を指定して予約を行うことができる施設予約システム及び方法に関する。
【0002】 【従来の技術】インターネット等のネットワークを用いてホテル等の施設の予約を行う従来の予約システムにおいては、利用者が施設の提供するホームページ上で予約手続きを行うようにしている。より具体的には、まず利用者がサーチエンジンなどにより施設のホームページを検索し、自分の目的に適合する施設のホームページを自分の端末画面上に表示する。次いで、そのホームページ上で、種々の情報を入力することにより予約手続きを行う。
【0003】 【発明が解決しようとする課題】従来の予約方法は、利用者がサーチエンジンなどを利用して各施設が独自に提供するホームページを検索する必要があった。例えば、宿泊施設の予約を入れる場合、目的地に最寄りの宿泊施設を検索し、そのホームページをたどることになる。しかしながら、施設の場所、地図、施設までの交通手段などの情報は、各施設のホームページの内容に限定されてしまい、また各ホームページの内容によって表現がまちまちであることが多く、どの施設が自分の目的に合っているのか判断に困ることがあった。また、利用者の希望する施設の予約がとれなかった場合、利用者は改めて別の施設の再検索からやり直す必要があり、面倒な作業を強いられていた。
【0004】本発明は上記課題を解決すべくなされたものであり、希望する施設の検索から予約申し込みまでを同じホームページ上で容易に行うことができ、また予約がNGであった場合でも別候補の施設の検索・予約を容易に行うことができる施設予約システム及び方法を提供することを目的とする。
【0017】 【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を添付の図面を参照して説明す る。図1は、本発明に係る施設予約システムの構成を示すブロック図である。図1に示すように、本発明の施設予約システムは、ユーザ端末10と、地図情報サーバ20と、施設予約情報サーバ30とがネットワーク100を介して相互に接続されている。ネットワーク100は、インターネット、WAN、LAN等のネットワークをいうが、本実施形態ではインターネットとして説明する。また、説明を簡単にするためにユーザ端末10は1つしか示していないが、実際には複数のユーザ端末がネットワーク100に接続されているものとする。
【0018】ユーザ端末10は、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置である。ユーザ端末10は、地図情報サーバ20がネットワーク100上に提供しているホームページにアクセスし、地図情報や施設情報を画面に表示する機能を備えている。表示情報としては、例えば該当施設が表示された地図、施設の名称、住所等による検索画面や施設予約用の入力画面である。また地図情報としては、該当施設、
交通手段を表示した地図を含み、施設情報としては施設名、住所、連絡先、利用価格、空き状況、サービス内容等の情報を含む。またユーザ端末10は、利用者が利用を希望する施設の予約要求情報をネットワーク100を介して地図情報サーバ20に送信する機能を有する。
【0019】地図情報サーバ20は、本システムの運用者が使用し、ワークステーションサーバ等の情報処理装置から構成され、地図情報を格納する地図情報データベース21と、各施設の管理情報を格納する施設情報データベース22とを備える。この地図情報サーバ20は、利用者の操作によりユーザ端末10が送信した施設検索情報を受け取り、該当施設周辺、あるいは該当地域の地図情報を生成してユーザ端末10に送信する機能を備えている。ここで、施設検索情報は、施設名、住所等を識別するための情報であり、この情報に基づいて地図情報データベース21を検索して地図情報を生成する。
【0020】また地図情報サーバ20は、利用者が地図上の施設を選択した場合、
該当する施設の施設情報を施設情報データベース22から検索して、予約要求情報 入力用のフォーマットと共にユーザ端末10に送信する。更に地図情報サーバ20は、利用者の操作によりユーザ端末10が送信した予約要求情報を受け取り、予約情報を生成して施設予約情報サーバ30に送信する機能を備えている。この予約情報は、該当する施設の予約処理を行うのに必要な情報であり、利用者を識別するための情報を含んでいる。
【0021】また地図情報サーバ20は、後述する予約結果情報を施設予約情報サーバ30から受信し、ユーザ端末10に電子メール等の手段により通知する。更に、予約結果情報が予約NGを示す情報である場合、施設情報データベース22から別候補の施設を検索し、当該施設の地図情報、施設情報をユーザ端末10に送信する機能を備えている。
【0022】施設予約情報サーバ30は、ワークステーションサーバ等の情報処理装置であり、各施設に設けられる。この施設予約情報サーバ30は、地図情報サーバ20から予約情報を受信する。また施設予約情報サーバ30は、予約処理を実施した後、予約がOKかNGであるかの予約結果情報を地図情報サーバ20に送信する機能を備える。
【0023】次に、本発明に係る施設予約システムの処理の流れを図1〜図4を用いて説明する。図2は本発明に係る施設予約システムの動作を説明するためのフローチャートであり、図3はユーザ端末10の検索条件入力画面を示す図であり、
図4はユーザ端末10の地図表示画面を示す図である。 本実施形態における 尚、 「施設」は、例えばホテルや旅館などの宿泊施設として説明する。
【0024】まず、利用者は自分のユーザ端末10を介して、ネットワーク100上に開設されている地図情報サーバ20のホームページにアクセスする(ステップA1) 地図情報サーバ20はユーザ端末10からのアクセスに応答して、
。 地図情報を含む検索画面情報をユーザ端末10に送信する(ステップA2)。例えば、図3に示すようにユーザ端末10の画面上には、ユーザが利用したい施設名、住所、あるいは地域名等を入力する各種の検索画面が表示される。
【0025】利用者は端末10の検索画面上で、宿泊したい施設名を検索条件として直接入力するか、目的地周辺の宿泊施設を探したい場合は目的地の住所や地域を検索条件として入力する。利用者が、ユーザ端末10の画面上で指定する施設の検索を実行すると、地図情報サーバ20は地図情報データベース21から検索条件に該当する施設周辺の地図を検索し、地図画面情報をユーザ端末10に送信する(ステップA3)。
【0026】一方、検索画面上で「地図」ボタン(図3参照)をクリックすることにより広範囲の地図画面に飛ぶようにし、その地図上から利用者自身が目的地となる詳細な地域を選択するようにしてもよい(図示せず)。この場合、利用者が「地図」ボタンをクリックすることにより、地図情報サーバ20は、ユーザ端末10に該当する地図情報を送信するようにすればよい。
【0027】図4に示すように、ユーザ端末10の画面上には、利用者が指定した施設とその周辺の地図が表示される。ここで、この地図情報には検索条件に該当する施設を表示するマークと、当該施設の最寄りの交通手段を同時に表示するのが好ましい。利用者がユーザ端末10画面の地図上にある「施設」ボタン、あるいは地図上の施設のマークを直接クリックすると、地図情報サーバ20は、施設情報データベース22から該当施設の施設情報を検索し、ユーザ端末10に送信する。尚、
「施設」ボタンをクリックすると、地図上に表示された施設の施設情報が一覧で表示されるようにするのが好ましい。
【0028】ユーザ端末10には、施設情報として、施設名や住所、周辺の地図、
部屋の空き状況、宿泊料金、サービス内容等の情報と共に、予約要求情報の入力フォーマットが表示される(ステップA4)。すなわち、ホームページの地図上にマッピングされた施設をクリックすることにより、あるいは施設情報一覧画面から希望の施設を選択することにより、施設予約用のホームページにジャンプすることができる。
【0029】利用者はユーザ端末10画面上の入力フォーマットにより(図示せ ず)、施設予約に必要な情報、例えば氏名、住所、電話番号、宿泊人数、宿泊日、到着時間等の情報含む予約要求情報を入力して送信ボタンをクリックすると、地図情報サーバ20にネットワーク100を介して送信される(ステップA5) 地図情報 。
サーバ20は、この予約要求情報を受信すると、利用者を識別するための利用者識別情報と予約内容を含む予約情報を生成して、施設予約情報サーバ30に送信する(ステップA6) 尚、
。 この予約要求情報は施設予約情報サーバ30に直接送信する形態でも構わない。
【0030】施設予約情報サーバ30は予約情報を受信すると、当該予約情報に基づいて予約登録処理を行う (ステップA7)施設予約情報サーバ30は自動的に、

あるいは宿泊施設の予約担当者が予約登録の可否を判断して、予約がOKかNGか否かの予約結果情報を地図情報サーバ20に送信する(ステップA8)。
【0031】予約結果情報を受信した地図情報サーバ20は、予約登録可否の結果を電子メール等によりユーザ端末10に通知する。または、利用者自身が地図情報サーバ20の提供するホームページ上で予約登録可否の結果を確認できるようにしてもよい(ステップA9)。ここで、予約結果情報の予約登録可否の結果がNGであった場合(ステップA8)、地図情報サーバ20は、施設情報データベース22から予約要求情報の条件に該当するもの、あるいはそれに関連するものを自動的に再検索し、別候補の地図情報や施設情報をユーザ端末10に送信する(ステップA10)。
【0032】利用者は、ユーザ端末10に表示された別候補に関する地図情報、
施設情報から別の宿泊施設を選択することによって、再度予約要求情報を作成し送信すればよい。また別候補が気に入らない場合などは、施設の検索(ステップA2)から再度やり直すようにしてもよい。
【0033】尚、上述の実施形態において、利用者が一旦予約要求等を行った場合に、利用者を識別するIDやパスワードを設けるようにして、利用者を登録しておき、2回目の検索要求や予約要求に対しては利用者を識別できるようにしておく のが好ましい。
【0034】上述した実施形態における施設予約は、主にホテルや旅館などの宿泊施設を例にとって説明したが、本発明はこの例に限定されるものではない。例えば、イベント会場、レンタル会議場、球技場、宴会場など、その目的に応じて様々な用途に用いることができる。施設予約の方法は上述の実施形態の場合と同様である。尚、この場合、地図情報サーバ10は、施設利用の目的に合わせて複数のデータベースを有するようにして用途毎に施設検索をできるようにするのが好ましい。
【0035】 【発明の効果】上述したように、本発明の施設予約システムによれば、以下の効果を奏する。第1に、利用者は視覚的に施設の検索を行うことができる点である。
その理由は、利用者の希望する施設を地図上に表示することにより、利用者の目的地に最寄りの施設もしくは交通の便がよい施設を選択することができる。また、地図をベースに施設を選択することができるので、住所のみの案内に比べて交通手段を明確に把握することができる。
【0036】第2の効果は、地図情報サーバにアクセス可能であれば、いつでもどこでも予約を取ることができる点である。その理由は、インターネット上のサーバに地図情報が格納されているため、利用者自身が地図ソフト等を別途用意する必要がなく、モバイル端末もしくはiモード等の携帯電話でも該当ホームページにアクセス可能となるからである。
【0037】第3の効果として、予約要求の結果がNGであった場合でも、自動で別候補を検索して提供できる点である。その理由は、地図情報サーバ上で地図情報及び施設情報を一元管理することにより、利用者の検索条件に近い別候補を検索することができるからである。更に、情報の一元管理により、施設同士の対比を容易に行うことができるので、利用者は自分の選択基準に合致した施設を選択可能である。
【図1】【図2】【図3】 【図4】 イ 引用発明の概要 (ア) 前記アによると、引用発明は、施設予約システム及び方法に関し、特に、インターネット等のネットワークを介してオンラインで地図上から施設を指定して予約を行うことができる施設予約システム及び方法に関するものであり(甲1の段落【0001】、従来の予約システムは、施設がそれぞれ提供するホームページによ )り、予約手続を行うものであって(同【0002】、利用者がサーチエンジンなど )を利用して各施設独自のホームページを検索する必要があり、その情報内容や表現方法がまちまちで判断に困ることがある上、予約ができなかった場合には再検索からやり直す必要があり、面倒な作業を強いられていたという課題があり(同【0003】、これを解決するために、希望する施設の検索から予約申込みまでを同じホ )ームページ上で容易に行うことができ、また予約がNGであった場合でも別候補の施設の検索・予約を容易に行うことができる施設予約システム及び方法を提供することを目的とするもの(同【0004】)と認められる。そして、引用発明は、@利用者は視覚的に施設の検索を行うことができる、A地図情報サーバにアクセス可能であれば、いつでもどこでも予約を取ることができる、B予約要求の結果がNGであった場合でも、自動で別候補を検索して提供できるという効果を奏するものと認められる(同【0035】〜【0037】。
) (イ) 前記アによると、前記第2の3(2)アで本件審決が認定したとおり、甲1には、
次のとおりの引用発明が記載されているものと認められる。
「ユーザ端末10と、地図情報サーバ20と、各施設に設けられる施設予約情報サーバ30とがネットワーク100を介して相互に接続されている施設予約システムにおける地図情報サーバ20による施設予約の方法であって、ユーザ端末10からのホームページに対するアクセスに応答して、ユーザ端末10に地図情報を含む検索画面情報を送信するものであって、当該検索画面情報は、ユーザが利用したい施設名、住所、あるいは地域名等を入力する各種の検索画面をユーザ端末10に表示するためのものであり、利用者が、ユーザ端末10の検索画面上で、宿泊したい 施設名を検索条件として直接入力するか、目的地周辺の宿泊施設を探したい場合は目的地の住所や地域を検索条件として入力することにより、ユーザ端末10の画面上で指定する施設の検索を実行すると、地図情報データベース21から検索条件に該当する施設周辺の地図を検索し、地図画面情報をユーザ端末10に送信し、ユーザ端末10において、検索条件に該当する施設を示すマークと、当該施設の最寄りの交通手段を同時に表示された地図が表示された画面において、地図上にある「施設」ボタン、あるいは地図上の施設のマークの利用者によるクリックを受け、施設情報データベース22から該当施設の、施設名や住所、周辺の地図、部屋の空き状況、宿泊料金、サービス内容等の施設情報を検索し、ユーザ端末10に送信し、ユーザ端末10の入力フォーマットにおいて入力された、施設予約に必要な情報、例えば氏名、住所、電話番号、宿泊人数、宿泊日、到着時間等の情報含む予約要求情報を受信すると、利用者を識別するための利用者識別情報と予約内容を含む予約情報を生成して、施設予約情報サーバ30に送信し、施設予約情報サーバ30から、
当該予約情報に基づく、自動的、あるいは宿泊施設の予約担当者により判断される予約登録可否(OKかNG)の予約結果情報を受信し、当該予約登録可否の結果を電子メール等によりユーザ端末10に通知し、受信した予約結果情報の予約登録可否の結果がNGであった場合、施設情報データベース22から予約要求情報の条件に該当するもの、あるいはそれに関連するものを自動的に再検索し、別候補の地図情報や施設情報をユーザ端末10に送信し、ユーザ端末10から、利用者により選択され、作成された別候補の再度予約要求情報を受信することができる、方法。」 (2) 引用文献2記載技術について ア 平成14年10月25日に公開された甲2(本件審決の引用文献2)は、発明の名称を「宿泊施設検索システム、その仮予約方法及びそのプログラム」とする特許出願の公開特許公報で、次の記載がある。
【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、宿泊施設検索システム、その仮予約方法及 びそのプログラムに関する。
【0002】 【従来の技術】従来の宿泊施設の予約方法は、電話やインターネットを用いてホテルあるいは旅館等の空き情報を直接検索して予約を入れるといった宿泊希望者であるユーザが施設に対して個別に問い合わせるものであった。
【0008】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来の予約方法においては、
以下のような問題点があった。利用者側から見た場合、空き室のあるホテルや旅館を見つけるのに手間がかかるという問題点があった。
【0009】すなわち、電話にて検索する場合もホームページから検索する場合も、一部のグループホテルについては情報を共有してホームページ上で提供している場合もあるが、大多数のホテルは個別に情報を提供しているため、電話番号やURLを調べたり検索した上で、空き室を見つけるまで1軒1軒個別に探さなければならないといった不具合があった。
【0014】本発明は、上記問題点に鑑みて成されたものであり、宿泊希望するユーザからの依頼を受けて、空きのある宿泊施設を検索して仮予約を行い、その結果をユーザに通知するまでを自動的に行う宿泊施設検索システム、その仮予約方法及びそのプログラムを提供することを第1の目的とする。
【0037】 【発明の実施の形態】次に、添付図面を参照しながら本発明の実施形態である宿泊施設検索システム、その仮予約方法及びそのプログラムを詳細に説明する。図1から図16に、本発明に係る宿泊施設検索システム、その仮予約方法及びそのプログラムの実施の形態を示す。
【0038】 〈第1の実施形態〉図1は、本発明の第1の実施形態である宿泊施設検索システムの概略構成を示すブロック図である。図1において、本発明の第1の実施形態である宿泊施設検索システムは、通信ネットワークとしてのインターネッ ト100を介して、宿泊希望者が保有するユーザ端末101と、本システムの運営を担う仮予約センタにより管理される仮予約センタ端末102と、宿泊施設側で管理するホテル端末(宿泊施設端末)103と、が相互に接続されて構成される。
【0039】ユーザ端末101は、webと電子メールが使用できるコンピュータあるいはインターネット100への接続可能な移動通信端末、例えば、携帯電話機(iモードやLモード等)である。ユーザ端末101は、仮予約センタによりインターネット100上で提供されているホテル検索情報等にアクセスし、検索情報を画面に表示し、選択結果を返す機能を備えている。
【0040】検索情報としては、例えば、ホテルの種別、場所、部屋タイプ、料金等に関する情報であり、検索の優先順位等の選択も行え、同時に仮予約の結果を返す連絡先(メールアドレスや電話番号)を指定できる。ユーザ端末101は、さらに、仮予約確定結果をインターネット100を介して仮予約センタ端末102から受け取る機能を有する。
【0041】仮予約センタ端末102は、ホテルの仮予約を代行する者により管理され、ワークステーション・サーバ等の情報処理装置によって構成される。仮予約センタ端末102は、ユーザの操作によりユーザ端末101から送出されたホテル検索条件等を受け付け、それに基づいた検索結果一覧を生成する機能を備えている。
【0042】特に、ホテルの場所に関しては、住所や最寄り駅等からの距離による判断の他に、電話番号(市外局番や地域局番)もしくは郵便番号(地域番号を始めとして指定したい地区の桁まで)を指定することにより、その範囲内にあるホテルを抽出できる機能を有する。
【0043】仮予約センタ端末102は、生成された検索結果一覧の上位のホテルから順に宿泊の仮予約が取れるまで、各ホテルのホテル端末103に空き情報の問い合わせを送信し、かつ送信確認する機能を備えている。この問い合わせ情報とは、ユーザと要求内容を識別するための情報であり、ユーザ端末101からの1回 の要求毎に固有の情報として生成され、要求受付番号、要求者の人数、宿泊日程、
部屋タイプ等の情報を含む。
【0044】なお、仮予約センタ端末102は、インターネット100を介してホテル端末103から、仮予約の可否を受け取り、宿泊不可であれば、検索結果一覧の次のホテル端末103へ同様の処理を行い、宿泊可であればインターネット100を介して、当該ホテル端末103に宿泊者の連絡先等の情報を送信する機能を有する。連絡先等情報には仮予約受付番号と共に要求者の氏名、連絡先電話番号等を含む。
【0045】さらに、仮予約センタ端末102は、インターネット100を介してユーザ端末101に、宿泊可のホテルが見つかった場合、または見つからなかった場合とも結果情報を送信する機能を備えている。結果情報は、要求受付番号と共に、宿泊可の場合はそのホテルの名前、連絡先等が、宿泊不可の場合はその旨がメッセージとなった情報である。最終的に仮予約が取れた場合、仮予約センタ端末102は、仮予約したホテルの優先度情報(最終仮予約日時等)を更新し、同レベルの条件のホテルにおいて、仮予約の偏りが生じないような優先順位決定の判断機能も有する。
【0046】ホテル端末103は、登録ホテルに設置されているwebと電子メールが使用できるコンピュータである。ホテル端末103は、仮予約センタ端末102から仮予約の問い合わせ情報および宿泊者の連絡先情報をインターネット100を介して受け取る機能を備えている。また、ホテル端末103は、インターネット100を介して仮予約センタ端末102へ仮予約の可否結果情報を送信する機能も有する。
【0047】さらに、ホテル端末103は、仮予約センタ端末102内にあるホテル情報の変更作業を、web上で行う機能並びにこの変更作業を仮予約センタ端末102に依頼する機能も有する。
【0048】図2は、本発明の第1の実施形態である宿泊施設検索システムの処 理例を示すフローチャートである。まず、システムへの登録を希望するホテルは、
事前に仮予約センタへ必要情報を送信することにより、登録済みの状態とする。登録以降、ホテル情報に変更(料金や利用可能施設等の変更)が生じた場合、登録後に発行されるホテルコードと、パスワードとをweb上で入力することにより、更新処理を行うことも可能であるが、急でない場合は、この更新処理を電子メールやFAX等で変更届として仮予約センタ端末に依頼することもできる。仮予約センタ端末102がアクセスするホテル情報としては、例えば、図3に示すようなホテル情報が登録される。なお、このホテル情報は、ホテル種別により分けて、登録情報の項目を変えてもよい。
【0049】仮予約を希望する要求者の情報も要求者情報に登録されるが、これは最初に仮予約の要求を行ったときに自動的に行われる。それ以降、特に更新のない限りは生年月日と連絡先のみの入力で仮予約が行える。ユーザ情報としては、例えば、図4に示すような情報が登録される。
【0050】図2を参照すると、ユーザは、自分のユーザ端末101を介して、
仮予約センタ端末102がインターネット100上に開設しているホテル仮予約ホームページにアクセスする(ステップS1)。仮予約センタ端末102は、これに応答するようにして、ホテルの検索情報をユーザ端末101に送信する(ステップS2)。
【0051】ステップS2において、仮予約センタ端末102から送信された検索情報は、例えば、図5に示すような画面としてユーザ端末101に各種検索条件が表示される。ユーザは、この検索情報を確認し、宿泊希望するホテルの検索条件、
優先度の高い選択項目、ユーザの情報等の必要事項を画面上で選択・指定し(ステップS4)、仮予約センタ端末102へ送信する(ステップS5)。
【0052】ここでユーザの情報に関しては、最低限、生年月日と連絡先とするが、その他の情報も登録しておけば、より満足できる仮予約が行える。また生年月日と連絡先以外のユーザ情報に関しては、一度登録しておけば、以降変更がない限 り登録する必要はない。
【0053】仮予約センタ端末102は、ステップS5において、ユーザ端末101から送出された検索条件や連絡先等の情報を受信すると (ステップS6)まず、

受付番号の有無を確認し、受付番号が無い(新規要求の)場合は受付番号を発行し、
ユーザ端末101へ通知する(ステップS7)。ユーザ端末101は、仮予約センタ端末102から通知された受付番号を受信し(ステップS8) 当該受付番号を以降 、
の連絡確認および再検索時に使用する。
【0054】仮予約センタ端末102は、ユーザ端末101から送出された検索条件と優先順位情報等を含むホテル情報とに基づいて仮予約を行うホテル(宿泊施設)の仮予約順の一覧を作成する(ステップS9)。なお、ホテルの位置判断は、住所や最寄駅等からの距離の他に、電話番号の市外局番や地域局番または郵便番号の地区コード等の番号によっても可能である。
【0055】ステップS9において、仮予約候補のホテル順序の一覧作成後、一覧の最上位のホテル端末103に対して空き問い合わせ情報を送信する(ステップS10)。
【0056】この空き問い合わせ情報に関しては、例えば、図6に示すような情報が送信される。これらの問い合わせと同時に、ホテルの電話に対して自動コールし、問い合わせ情報の送信連絡も行う。
【0057】ホテル端末103は、仮予約センタ端末102からの空き問い合わせ情報を受信すると(ステップS11) 図7に示すような宿泊可否の結果を一定時 、
間内に仮予約センタ端末102へ連絡する(ステップS12)。
【0058】仮予約センタ端末102は、宿泊可否の結果を受信し(ステップS13) 宿泊が不可ならば再度ホテル順序の一覧の次のホテルを一覧から検索し 、 (ステップS14)検索された次のホテル端末103に対して空き問い合わせ情報の送 、
信を行う(ステップS10)。
【0059】上述する処理をホテル順序の一覧に候補のホテルが無くなるまで繰 り返すが、最後まで宿泊可のホテルが無かった場合は、その旨を、例えば、図8に示すようなメッセージとしてユーザ端末101に通知する(ステップS17) ユー 。
ザ端末101は、仮予約ができなかった旨の情報(メッセージ)を受信すると(ステップS18) 再度検索条件を変更して検索することも可能である 、 (ステップS1からの処理を繰り返す)。
【0060】仮予約センタ端末102は、ホテル端末103が宿泊可否の通知を一定時間経過(タイムアウト)しても行わなかった場合(ステップS20)、ホテル端末103に対して、例えば、図9に示すようなキャンセルの通知を送信し(ステップS21)、ホテルの優先度情報を更新する(ステップS22)。ホテル端末103は、このキャンセル通知を受信する(ステップS23)。
【0061】ステップS13において、宿泊の許可がもらえた場合は、そのホテル端末103にホテル側で必要とするユーザ(仮予約成立者)の連絡先等を含んだ情報、例えば、図10に示すようなユーザ情報を通知して仮予約を行う(ステップS15)。
【0062】また、仮予約センタ端末102は、ユーザ端末101に対して、仮予約の取れたホテルの情報を最終仮予約結果として、例えば、図11に示すような情報を通知し(ステップS17)、ユーザ端末101は、その内容を受信する(ステップS18)。
【0063】ホテル端末103は、仮予約センタ端末102からユーザの仮予約情報を受け付け(ステップS16)、その後、必要に応じて仮予約の成立したユーザに電話連絡をし、正式な予約手続を行う。特に、観光ホテルタイプ等では、夕食の選択や利用施設の予約等の細かな打ち合わせに関して、電話連絡によって取り決められることとなる。
【0064】仮予約センタ端末102は、仮予約の締結により、当該仮予約の成立したホテルの優先度情報を更新し(ステップS19) 次回以降の優先順位付けに 、
反映させる。
【0065】優先度情報とは、図3に示すように、ホテル情報内の空き情報問い合わせ総回数、仮予約成立総回数、宿泊不可連絡回数、最新仮予約日時等項目から成る。これにより、例えば、検索条件による順位が同等のホテルが複数存在した場合は、空き情報問い合わせ総回数が少ない順、それも同じであれば仮予約成立総回数が少ない順、それも同じであれば宿泊不可連絡回数が多い順(ホテル側は、宿泊不可の連絡を仮予約センタ端末102に通知する可能性が高くなる) それも同じで 、
あれば最新仮予約日時が古い順、それも同じであれば登録ホテルコード順に列べることによって仮予約の問い合わせを行うホテルに偏りが生じないようにすることができる。つまり、検索条件において全く同じホテルA、B、Cが存在していた場合、
1回目の仮予約候補一覧ではA→B→Cの順に並んでいたとしても、Aのホテルに関して仮予約が行われた後、同じ条件で仮予約候補一覧を作成したときは、ホテルの優先度情報により今度はB→C→Aの順となる。
【0066】仮予約センタ端末102は、仮予約の可否情報をユーザに対して通知した後、仮予約の再要求が行われる場合を考慮し、仮予約の可否に係わらず、その受付番号、宿泊希望初日を仮予約センタ端末102内にユーザ情報とリンクさせて保存しておく。この受付番号は、仮予約候補のホテル一覧表ともリンクしており、
宿泊希望初日を過ぎた時点で、その受付番号と、宿泊希望初日と、対応する仮予約候補一覧表とが仮予約センタ端末102内から削除される。
【0067】なお、仮予約が不可だった場合、ユーザ端末101から前回の受付番号と前回より検索条件を緩めた条件での仮予約の要求を行うことで、仮予約センタ端末102は、前回問い合わせを行ったホテルへの問い合わせを避けることができ、効率よい仮予約の問い合わせを行うことができる。
【0068】また、仮予約が成立した場合、その後のホテルとの電話連絡で正式予約に至らず、再度仮予約の要求を行う際にも、ユーザ端末101から前回の受付番号で仮予約の再要求を行うことで、仮予約センタ端末102は、仮予約候補のホテル一覧表の前回問い合わせを行ったホテルの続きから問い合わせ行うことができ、
効率よい仮予約の問い合わせを行うことができる。その際、未問い合わせホテルの優先度情報が前回と変わっていた場合は、その部分の並べ替えを行う。
【図1】 【図2】 【図3】 【図5】【図6】 【図9】【図10】 【図11】 イ 引用文献2記載技術の概要 前記アによると、前記第2の3(2)ウ(ウ)bで本件審決が認定したとおり、甲2には、次のとおりの引用文献2記載技術が記載されているものと認められる。
「宿泊施設の仮予約において、仮予約センタ端末102は、ホテル端末103に対して空き問い合わせ情報を送信し、ホテル端末103は、仮予約センタ端末102からの空き問い合わせ情報を受信すると、宿泊可否の結果を一定時間内に仮予約センタ端末102へ連絡し、仮予約センタ端末102は、宿泊可否の結果を受信し、
宿泊が不可ならば、次のホテル端末に対して空き問い合わせ情報の送信を行い、宿泊の許可がもらえた場合は、ホテル端末103にホテル側で必要とするユーザ(仮予約成立者)の連絡先等を含んだユーザ情報を通知して仮予約を行い、仮予約センタ端末102は、ホテル端末103が宿泊可否の通知を一定時間経過(タイムアウト)しても行わなかった場合、ホテル端末103に対して、キャンセルの通知を送信し、次のホテルへ空き問い合わせ情報を送信する技術。」 3 取消事由について 原告の主張する取消事由1及び2は、独立特許要件違反の判断の誤り、具体的には、本願補正発明が引用発明に基づき進歩性を欠くとの判断の誤りの根拠となるものであって取消事由3に包含されるものであるから、以下、取消事由1〜3として主張された事項を併せて、本願補正発明が引用発明に基づき進歩性を欠くとの本件審決の判断に誤りがあるといえるか検討する。
(1) 一致点及び相違点 本願補正発明と前記2(1)イの引用発明を比較すると、本件審決が認定したとおり、
次の一致点及び相違点があることが認められる。
[一致点] 一又は複数のプロセッサーが、予約対象となる第1施設と一又は複数の予約内容の入力をユーザー端末から受け付け、前記第1施設に対応する情報処理装置に前記予約内容を通知し、前記情報処理装置からの返信を受け付けた場合に予約を成立さ せ又は返信内容を前記ユーザー端末に通知し、予約内容に基づいて前記第1施設を除く一又は複数の第2施設を抽出し、前記抽出された一又は複数の前記第2施設の情報を前記ユーザー端末に通知する、予約支援方法である点。
[相違点1] 本願補正発明では、ユーザー端末から第1施設と一又は複数の予約内容とを含む初期予約条件の入力を受け付けるのに対し、引用発明では、第1施設と一又は複数の予約内容の入力を受け付けるものの、これらを初期予約条件と称していない点。
[相違点2] 予約内容の通知先であって、返信の送信元でもある、第1施設に対応する情報処理装置が、本願補正発明では施設端末であるのに対し、引用発明では施設予約情報サーバである点。
[相違点3] 予約内容に基づいて第1施設を除く一又は複数の第2施設を抽出し、前記抽出された一又は複数の前記第2施設の情報を前記ユーザー端末に通知する処理を、本願補正発明では、予約内容が施設端末に通知された後、前記施設端末からの返信を有効に受け付ける期間として予め設定された待機期間内に前記施設端末からの返信がない場合に行い、併せて、施設端末からの返信受付を終了するのに対し、引用発明では、予約結果情報の予約登録可否の結果がNGであった場合に行う点。
なお、原告は、相違点1及び2に係る各構成について容易想到性があるとの本件審決の判断につき、争っていない。
(2) 相違点3について ア 前記(1)のとおり、相違点3は、施設端末に予約内容を通知した後、ユーザー端末に第2施設の情報を通知する処理を行うことにつき、本願補正発明では、前記施設端末からの返信を有効に受け付ける期間として予め設定された待機期間内に前記施設端末からの返信がない場合であるのに対し、引用発明では、施設端末から受信する予約結果情報の予約登録可否の結果がNGであった場合である点で相違する というものである。
イ ところで、施設の予約は、利用日又は利用日時を指定して行うものであり、
予定される利用日又は利用日時よりも前に予約を完了するという本来的な要請がある。そして、引用発明は、ある特定の施設の予約を目的とするものではなく、利用者の希望する条件に合致した複数の施設を対象とし、一つの施設の予約ができなかった場合に、別の施設の予約をすることが可能であるような施設予約システムにおける予約方法であるところ、前記2(1)イのとおり、引用発明における施設予約システムは、
「施設予約情報サーバ30から、当該予約情報に基づく、自動的、あるいは宿泊施設の予約担当者により判断される予約登録可否(OKかNG)の予約結果情報を受信し、「受信した予約結果情報の予約登録可否の結果がNGであった場合」 」に、次の候補となる施設の検索をしてユーザーに送信して、ユーザーが別の施設の予約を行うものとされているから、施設端末に当たる「施設予約情報サーバ」からの予約結果情報の受信は、宿泊施設の予約担当者による判断の時期によっては、相当程度に遅くなる場合も想定され、その間に、当初の検索条件に合致する別候補の施設の予約枠が埋まってしまうこともある。
そうすると、引用発明には、予定される利用日又は利用日時よりも前に、利用者の希望する条件に合致した施設を予約するという本来的な要請を満たすことができないおそれがあるといえる。
ウ 次に、前記2(2)イの引用文献2記載技術をみると、宿泊施設の仮予約において、
「ホテル端末103が宿泊可否の通知を一定時間経過(タイムアウト)しても行わなかった場合、ホテル端末103に対して、キャンセルの通知を送信し、次のホテルへ空き問い合わせ情報を送信する」ものであるから、甲2には、施設端末が、
一定時間を経過しても予約可否の回答をしなかった場合には、キャンセルとして扱い(以下「タイムアウト処理」という。、次の施設に問い合わせるという技術が開 )示されているといえる。そして、予定される利用日又は利用時間よりも前に、タイムアウト処理をして、次の施設に問合せをすることで、最初に問合せをした施設か らの回答を待っていたために、予定される利用日又は利用日時よりも前に、利用者の希望する条件に合致した施設を予約するという本来的な要請を満たすことができなくなるという事態を回避するのに、一定の効果があると認められる。
エ ところで、引用発明と引用文献2記載技術とは、複数の施設を対象とした施設予約システムにおける施設予約方法という共通の技術分野に属するものであって、
第1施設に対して予約可否の問合せを行い、第1施設から予約不可の返信を受けた場合には第1施設に類似する他の施設を抽出するという手法も共通するところ、前記イのとおり、引用発明において、第1施設から予約可否の返信が長時間送信されない場合には、予定される利用日又は利用日時よりも前に、利用者の希望する条件に合致した施設を予約するという本来的な要請を満たすことができないおそれがあるところ、上記本来的な要請を満たすために、第1施設からの予約可否の返信を長時間待ち続けるという事態を回避しようとすることは、当業者であれば当然に着想するものと認められるから、引用発明に引用文献2記載技術のタイムアウト処理を適用する動機付けがあるといえる。
そして、引用発明に引用文献2記載技術のタイムアウト処理を適用すると、引用発明は、施設端末からの返信を有効に受け付ける期間としてあらかじめ設定された待機期間内に前記施設端末からの返信がない場合には、予約結果情報の予約登録可否の結果がNGであった場合と同様に、予約内容に基づいて第1施設を除く一又は複数の第2施設を抽出し、前記抽出された一又は複数の前記第2施設の情報を前記ユーザー端末に通知する処理を行うことになる。
そうすると、相違点3に係る構成は、引用発明に引用文献2記載技術を適用することより、当業者であれば容易に想到し得るものと認められる。
オ 原告の主張について (ア) 引用発明に引用文献2記載技術を適用することについての動機付けについて 原告は、甲1には、一定時間経過によって予約登録可否の結果がNGであると判断されることの記載や示唆はなく、そのように構成する動機付けもないし、引用発 明において、予約結果情報が送信されてくるのを待たず、一定時間経過によって第1施設からの返信受付を終了して第2施設の情報をユーザー端末に通知する構成にすれば、利用者が所望していた施設を予約することができた機会を逃してしまうというリスクが生じることになるが、これは、引用発明における「利用者による別候補の再検索の手間を軽減しつつ利用者が所望する施設を予約することができる」という作用効果に反するものであるから、引用発明に引用文献2記載技術を適用することについての動機付けは存在しないと主張する。
しかしながら、甲1に一定時間経過によって予約登録可否の結果がNGであると判断されることの記載や示唆がないとしても、前記イのとおり、引用発明のような施設予約システムにおける施設予約方法については、予定される利用日又は利用日時よりも前に予約を完了するという本来的な要請があることは当業者にとって自明である。そして、引用発明において、第1施設からの予約結果情報を待ち続けるか、
タイムアウト処理をするかは、待ち続けることにより第1施設を予約できるかもしれないというメリットと、待ち続けた結果、上記本来的な要請を満たすことができなくなるかもしれないというリスクを勘案して当業者が適宜選択し得る事項であるということができる。
ところで、前記2(1)イ(ア)のとおり、引用発明は、@利用者は視覚的に施設の検索を行うことができる、A地図情報サーバにアクセス可能であれば、いつでもどこでも予約を取ることができる、B予約要求の結果がNGであった場合でも、自動で別候補を検索して提供できるという効果を奏するものであるところ、一定時間経過によって第1施設からの返信受付を終了することが、これらの作用効果に反するものとはいえない。加えて、一定時間経過によって第1施設からの返信受付を終了したとしても、第2施設の情報は、利用者が入力した予約内容に基づいて抽出された情報であって利用者の希望に沿うものであるし、引用発明においては、抽出された第2施設の情報はユーザー端末に送信され、利用者が第2施設を予約するか否かを決めるのであるから、原告の主張する引用発明の「利用者が所望する施設を予約する ことができる」という作用効果に反するともいえない。
原告は、引用発明にタイムアウト処理の構成を採用することは、送客(予約を完成させ、利用者が予約した施設を利用することを指すものと推認される。 の機会を )できるだけ喪失させないように仕様設計を行うという本願の出願当時の技術常識に反するなどとも主張するが、引用発明において、第1施設からの予約結果情報を待ち続けたために、予定される利用日又は利用日時よりも前に予約を完了することができなくなるような場合には、結局のところ上記送客の機会は喪失されるところ、
タイムアウト処理を採用することで、第2の施設への送客の機会が確保できるのであるから、上記原告の主張する技術常識が認められたとしても、引用発明にタイムアウト処理の構成を採用することが、当該技術常識に反するとはいえない。
原告は、引用発明に施設予約情報サーバ30からの予約結果情報が長時間送信されてこないことが生じ得るとの課題が内在するとしても、その解決手段としては、
利用者が施設に問合せを行うことが一般的であるなどと主張するが、単に他の手段があることをもって引用文献2記載技術を適用する動機付けがないということはできない。
そうすると、原告の主張にはいずれも理由がない。
(イ) 引用発明に引用文献2記載技術を適用する阻害要因について 原告は、引用発明は利用者の意思が優先されているのに対し、引用文献2記載技術では利用者が意図していない施設が仮予約されてしまうことがあるものであって、
作用効果が全く異なるから、引用発明に引用文献2記載技術を適用する阻害要因があると主張する。
しかしながら、本件においては、引用発明に引用文献2記載技術のタイムアウト処理を適用することで本願補正発明に容易に想到できるのであって、引用発明に引用文献2記載技術の全部を適用しようとするものではないから、引用文献2記載技術による予約結果如何は、本願補正発明の容易想到性の判断に影響しない。引用文献2記載技術の一部である「利用者が長時間放置されたままとなっている場合 に、自動的に予約登録可否の結果がNGであると判断する」という技術のみを引用発明に適用することができないとする原告の主張は独自の主張であるというほかない。
なお、甲2には、仮予約の申込みをするに当たり、ユーザー端末が、ホテルの種別、場所、部屋タイプ、料金等に関する情報を検索情報として検索し、検索の優先順位等の選択も行えること、これらの検索条件に基づいて仮予約するホテルが抽出されることが開示されており(甲2の段落【0040】〜【0042】、引用文献 )2記載技術が、利用者が意図していない施設が仮予約されてしまう技術であるとはいえない。
そうすると、上記原告の主張は採用できない。
(ウ) その他の主張について 原告は、本願補正発明の作用効果と引用発明の作用効果が異なると指摘するが、
仮にそうであるとしても、本願補正発明と引用発明は、いずれも複数の施設を対象とした施設予約システムによる予約方法であって、その技術分野を共通にするのであるから、作用効果に異なる点があることのみをもって、本願補正発明の容易想到性の判断において、引用発明を参照することが相当ではないということはできない。
また、原告は、本願補正発明における「待機期間」は、前記施設端末からの返信を有効に受け付ける期間として予め設定されたものであるところ、甲2の段落【0060】等には、一定時間経過した場合にキャンセル通知FAXが送信されることが記載されているが、一定時間経過後にホテルからの返信が有効に受け付けられなくなることについての具体的な記載はなく、
「一定時間」がホテルからの返信を有効に受け付ける期間としてあらかじめ設定されたものであることについての記載や示唆もなされていないと主張する。しかしながら、甲2をみると、
「仮予約センタ端末102は、ホテル端末103が宿泊可否の通知を一定時間経過(タイムアウト)しても行わなかった場合(ステップS20)、ホテル端末103に対して、例えば、図9に示すようなキャンセルの通知を送信し(ステップS21) ホテルの優先度情報 、
を更新する(ステップS22)。ホテル端末103は、このキャンセル通知を受信する(ステップS23)」 。(甲2の段落【0060】)との記載があり、ここでいうキャンセルの通知は「残念ながらこの仮予約に関しましては、問い合わせをキャンセルします。(甲2の【図9】 」 )といった内容であることからして、引用文献2記載技術において、キャンセルの通知をした後に、当該ホテルから返信を受け付けることを想定していないことが明らかである。そうすると、引用文献2記載技術における「一定時間」は、ホテルからの返信を有効に受け付ける期間としてあらかじめ設定されたものであると認めるのが相当であり、上記原告の主張は採用できない。
(3) 取消事由3についての結論 よって、本願補正発明について、引用発明に基づき進歩性を欠くことを理由として、独立特許要件違反があるとした本件審決の判断に誤りはなく、原告が主張する取消事由3は理由がない。
4 取消事由1(相違点3の容易想到性についての判断の誤り)及び取消事由2(引用文献2記載技術の構成の誤り)について (1) 取消事由1について 前記3のとおり、本件審決が、相違点3について、引用発明に引用文献2記載技術を適用して容易想到であると判断したことは相当であり、原告が主張する取消事由1は理由がない。
(2) 取消事由2について 原告は、本件審決が、甲2の段落【0065】における「宿泊不可連絡回数が多い順(ホテル側は、宿泊不可の連絡を仮予約センタ端末102に通知する可能性が高くなる)」の記載を引用し、「引用文献2記載技術は、宿泊不可の通知を行うと仮予約候補一覧の作成に用いられる優先度情報を高くすることによって、宿泊不可の連絡を一定時間が経過する前に行うことを促す構成といえるから、本願補正発明の作用効果は、引用発明及び引用文献2記載技術の奏する作用効果から予測される範囲のものである」と判断した点に誤りがあると主張する。
しかしながら、候補施設を示す優先順位付けにおいて、他の条件が同じであるときには宿泊不可の連絡回数が多い施設を優先させるとすれば、ホテル側にとっては、
宿泊不可の連絡を仮予約センタ端末に通知することの促しとなることは事実であって、甲2の段落【0065】の記載をそのように読むことが可能である上に、仮に、
同段落の記載については、原告が主張するように、宿泊不可連絡回数が多い順」 「 が、
そのホテルを候補として選択しても、結局は宿泊不可連絡が来て宿泊不可となる可能性が高い順であるということを説明していることをいうものにすぎないとしても、
前記3の相違点3に係る構成について容易想到であるとした判断に影響するものではなく、引用発明に基づき進歩性を欠くことを理由として、独立特許要件違反があるとした本件審決の判断に誤りはないから、原告が指摘する点は、本件審決の取消事由とはならない。
結論
以上の次第であるから、原告の請求には理由がないからこれを棄却することとして、主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 本多知成
裁判官 浅井憲
裁判官 勝又来未子