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事件 |
令和
4年
(ネ)
10008号
特許権侵害差止等請求控訴事件
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令和4年11月29日判決言渡 令和4年(ネ)第10008号 特許権侵害差止等請求控訴事件 (原審・東京地方裁判所令和元年(ワ)第25121号) 口頭弁論終結日 令和4年9月22日 5判決 控訴人株式会社REVO 10 控訴人X 控訴人 株式会社アイピーシー 15 被控訴人SELF株式会社 同訴訟代理人弁護士 萬幸男 同訴訟復代理人弁護士 山内久光 同補佐人弁理士 水野勝文 20 井出真 須澤洋 久松洋輔 冨所剛 |
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裁判所 | 知的財産高等裁判所 |
判決言渡日 | 2022/11/29 |
権利種別 | 特許権 |
訴訟類型 | 民事訴訟 |
主文 |
25 1 本件控訴を棄却する。 2 訴訟費用は控訴人らの負担とする。 1事実及び理由第1 控訴の趣旨1 原判決を取り消す。 2 被控訴人は、原判決別紙製品目録記載のプログラムを生産し、使用し、譲渡5 し、貸し渡し、又は電気通信回線を通じて提供してはならない。 3 被控訴人は、控訴人らに対し、333万3333円及びこれに対する令和元年10月11日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要(略称は、特に断りのない限り、原判決に従う。)本件は、発明の名称を「情報提供装置、システム及びプログラム」とする特10 許(特許第6538097号。以下「本件特許」という。)に係る特許権(以下「本件特許権」という。)を共有する控訴人らが、被控訴人による原判決別紙製品目録記載のプログラム(以下「被告プログラム」という。)の生産、譲渡等が本件特許権の侵害又は間接侵害に当たる旨主張して、被控訴人に対し、特許法100条1項に基づき、被告プログラムの生産、譲渡等の差止めを求めるとと15 もに、特許権侵害の不法行為に基づく損害賠償として333万3333円及びこれに対する不法行為の後である令和元年10月11日(訴状送達日の翌日)から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 原審は、本件特許には特開2015−102994号公報(乙8)を主引用20 例とする新規性欠如(特許法29条1項3号違反)の無効理由があり、特許無効審判により無効とされるべきものであるから、特許法104条の3第1項の規定により、控訴人らは本件特許権を行使することができないと判断して、控訴人らの請求をいずれも棄却した。 そこで、控訴人らは、原判決を不服として、本件控訴を提起した。 25 1 前提事実以下のとおり訂正するほか、原判決の「事実及び理由」の第2の1記載のと2おりであるから、これを引用する。 ? 原判決3頁1行目から4頁7行目までを次のとおり改める。 「? 本件特許ア 控訴人らは、平成28年1月15日にした特許出願(特願20165 −6690号)の一部を分割して、平成29年2月7日、発明の名称を「情報提供装置、システム及びプログラム」とする発明について特許出願(特願2017−20738号。以下「本件出願」という。)をし、令和元年6月14日、本件特許権の設定登録を受けた(甲1)。 イ 本件特許の特許請求の範囲は、請求項1ないし5からなり、請求項10 1及び5の記載は、次のとおりである(以下、請求項1に係る発明を「本件発明1」、請求項5に係る発明を「本件発明5」という。 。 )【請求項1】ユーザから取得したい個人情報のうち幾つかを予め受け付ける第1受付手段と、 15 前記第1受付手段によって受け付けていない個人情報に対応する属性の質問を行う質問手段と、 前記質問手段による質問に対する返答である個人情報を受け付ける第2受付手段と、 前記第1及び第2受付手段によって受け付けられた個人情報と当該20 個人情報に対応する属性とが紐付けた状態で格納される格納媒体と、 前記第1又は第2受付手段によって受け付けられた個人情報に基づいて前記ユーザに対して提案を行う提案手段と、を備え、 前記提案手段は、 前記個人情報に基づいてウェブサイトから前記ユーザに対して提案25 すべき情報を取得する手段と、 前記個人情報に基づいてユーザに注意を促す手段と、を有する情報3提供装置。 【請求項5】ユーザから取得したい個人情報のうち幾つかを予め受け付けるステップと、 5 受け付けていない個人情報に対応する属性の質問を行うステップと、 前記質問に対する返答である個人情報を受け付けるステップと、 前記受け付けられた個人情報と当該個人情報に対応する属性とを紐付けた状態で格納するステップと、 前記受け付けた個人情報に基づいて前記ユーザに対して提案を行う10 ステップと、を含み、 前記個人情報に基づいてウェブサイトから前記ユーザに対して提案すべき情報を取得するステップと、 前記個人情報に基づいてユーザに注意を促すステップと、を更に有する15 を情報提供装置に実行させる情報提供プログラム。」(2) 原判決5頁19行目の「本件スマートフォン」を「被告プログラムをインストールしたスマートフォン(以下「本件スマートフォン」という。 」と改)める。 (3) 原判決6頁5行目の「といい、」から6行目末尾まで、同頁7行目の「とい20 い、」から8行目末尾まで、同頁9行目の「といい、」から10行目末尾までを、それぞれ「という場合がある。 」と改める。 )2 争点? 本件発明1に係る間接侵害(特許法101条2号)の成否(争点1)ア 本件スマートフォンは構成要件1Dを充足するか(争点1−1)25 イ 本件スマートフォンは構成要件1Eないし1Gを充足するか(争点1−2)4ウ 間接侵害の成否(争点1−3)? 本件発明5の技術的範囲の属否(争点2)ア 文言侵害の成否(争点2−1)(ア) 被告プログラムは構成要件5Fを充足するか(争点2−1−1)5 (イ) 被告プログラムは構成要件5Gを充足するか(争点2−1−2)イ 均等侵害の成否(争点2−2)? 本件発明5に係る間接侵害(特許法101条1号)の成否(争点3)? 無効の抗弁(特許法104条の3第1項)の成否(争点4)ア 無効理由1(乙8を主引用例とする新規性の欠如)(争点4−1)10 イ 無効理由2(乙5を主引用例とする新規性の欠如)(争点4−2)ウ 無効理由3(乙8を主引用例とする進歩性の欠如)(争点4−3)エ 無効理由4(乙5を主引用例とする進歩性の欠如)(争点4−4)? 控訴人らの損害額(争点5)3 争点に関する当事者の主張15 ? 争点1−1(本件スマートフォンは構成要件1Dを充足するか)について原判決7頁10行目の「本件明細書」を「本件出願の願書に添付した明細書(以下、図面を含めて「本件明細書」という。甲1)」と改めるほか、原判決の「事実及び理由」の第2の3?記載のとおりであるから、これを引用する。 20 ? 争点1−2(本件スマートフォンは構成要件1Eないし1Gを充足するか)について原判決の「事実及び理由」の第2の3?記載のとおりであるから、これを引用する。 ? 争点1−3(間接侵害の成否)について25 原判決の「事実及び理由」の第2の3?記載のとおりであるから、これを引用する。 5? 争点2−1−1(被告プログラムは構成要件5Fを充足するか)について原判決の「事実及び理由」の第2の3?記載のとおりであるから、これを引用する。 ? 争点2−1−2(被告プログラムは構成要件5Gを充足するか)について5 原判決の「事実及び理由」の第2の3?記載のとおりであるから、これを引用する。 ? 争点2−2(均等侵害の成否)について原判決の「事実及び理由」の第2の3?記載のとおりであるから、これを引用する。 10 ? 争点3(本件発明5に係る間接侵害(特許法101条1号)の成否)について原判決の「事実及び理由」の第2の3?記載のとおりであるから、これを引用する。 ? 争点4−1(無効理由1(乙8を主引用例とする新規性の欠如))について15 原判決18頁13行目の「発明」の次に「(以下「乙8発明」という。 」を)加え、当審における当事者の補充主張を付加するほか、原判決の「事実及び理由」の第2の3?記載のとおりであるから、これを引用する。 【当審における被控訴人の補充主張】ア 本件発明1の新規性の欠如20 (ア) 乙8の記載(【0019】【0021】【0024】ないし【002、 、 7】 【0033】 【0036】ないし【0038】 【0043】 【00、 、 、 、 48】【0049】、 【0119】等)によれば、乙8には、次のとおりの構成(以下、符号に応じて、「構成1a」などという。)を有する学習・生活支援サーバの発明(以下「乙8発明1」という。 が記載されている。 )25 1a ユーザに対してユーザ情報の入力を求めるとともに、入力されたユーザ情報を分類して、記憶する処理を実施する制御部(ユーザ情6報管理部22)1b 1aのユーザ情報の入力後に、ユーザ端末を介して入力されたユーザコメントからユーザに関心のあるキーワードを抽出し、当該キーワードに対応するアバターコメントをユーザ端末に出力する制御5 部(アバター管理部21)1c アバターコメントに対する回答であるユーザの嗜好情報や学習目標を記憶する処理を実施する制御部(ユーザ情報管理部22)1d 学習・生活支援システム1が立ち上げられたときに入力された個人情報であるユーザ情報と、当該入力の後に入力されたアバターコ10 メントに対する回答(ユーザの嗜好情報、学習目標)とを記憶する記憶部1e ユーザによる入力情報から抽出したキーワードに基づき収集したウェブサイトのリンク情報をユーザ端末に出力する制御部(アバター管理部21)15 1f ユーザによる入力情報から抽出されたキーワードに基づいて、ウェブ上からキーワードに関連するウェブページ及びウェブサイトのリンク情報を収集する制御部(情報収集部24)1g スケジュールの修正を依頼するアバターコメントを出力する制御部(アバター管理部21)20 1h 上記1aないし1gを有する学習・生活支援サーバ2(イ) 乙8発明1の構成1aないし1hは、本件発明1の構成要件1Aないし1Hの構成にそれぞれ相当する。 このうち、乙8発明1の構成1aの「ユーザ情報管理部22」、構成1fの「情報収集部24」及び構成1hの「学習・生活支援サーバ2」が、 25 本件発明1の構成要件1A、1F及び1Hの構成にそれぞれ相当することは、以下のとおりである。 7a 構成要件1Aについて乙8記載の学習・生活支援サーバ2の「ユーザ情報管理部22」は、 ユーザの生年月日、性別、職業、ニックネーム、住所、起床・就寝時間、趣味、行きたい場所、習慣等のユーザ情報の入力を求めるととも5 に、入力されたユーザ情報を分類して、記憶する処理を実施する(【0036】等)から、構成1a(「ユーザに対してユーザ情報の入力を求めるとともに、入力されたユーザ情報を分類して、記憶する処理を実施する制御部(ユーザ情報管理部22)」)を有している。 そして、構成1aの「ユーザ情報」は、ユーザの属性や生活情報10 などに関する情報であるから、本件発明1の構成要件1Aの「個人情報」であり、構成1aの「入力されたユーザ情報を分類して、記憶する処理を実施する」との構成は、構成要件1Aの「ユーザから取得したい個人情報のうち幾つかを予め受け付ける」ことであるといえる。 そうすると、乙8発明1の構成1aは、本件発明1の構成要件115 A(「ユーザから取得したい個人情報のうち幾つかを予め受け付ける第1受付手段」)の構成に相当する。 b 構成要件1Fについて(a) 乙8発明1の構成1fの「ユーザによる入力情報から抽出されたキーワード」は、ユーザによる入力情報に基づくものであるから、 20 本件発明1の構成要件1F(「前記個人情報に基づいてウェブサイトから前記ユーザに対して提案すべき情報を取得する手段」 の) 「個人情報」に相当する。 ? 「リンク」とは、 「特定のファイルやフォルダーの分身のように機能するアイコン」を意味するものであり(乙38)、 「ウェブページ」25 の分身のことであるから、 「ウェブページ」と実質的に同一である。 そして、 「リンク」の提供は「ウェブページの閲覧を勧める」とい8う意味で「提案」に当たるから、 「ウェブページ」及び「リンク」は、 構成要件1Fの「ユーザに対して提案すべき情報」に相当する。 しかるところ、乙8発明1の構成1fの「ウェブページ」は、リンクの形態でユーザ端末に提供されること(乙8の【0049】)か5 らすると、構成1fの「ウェブページ」及び「リンク」は、構成要件1Fの「ユーザに対して提案すべき情報」に相当する。 また、構成要件1fの「ウェブ上からキーワードに関連するウェブページ及びウェブサイトのリンク情報を収集する」との構成は、 構成要件1Fの「ウェブサイトから前記ユーザに対して提案すべき10 情報を取得する」との構成に相当する。 ? そうすると、乙8発明1の構成1fは、構成要件1Fの構成に相当する。 c 構成要件1Hについて乙8発明1の「学習・生活支援サーバ2」は、ユーザ端末にリンク15 情報を提供し(構成1e) スケジュールの修正を依頼するアバターコ、 メントをユーザ端末に出力する(構成1g)など、ユーザ端末に対して種々の情報を提供しているから、情報提供装置そのものである。 したがって、乙8発明の構成1hの「学習・生活支援サーバ2」は、 本件発明1の構成要件1Hの「情報提供装置」に相当する。 20 (ウ) 以上によれば、乙8発明1は、本件発明1の構成要件1Aないし1Hの構成を全て有するから、本件発明1は、乙8発明1と同一の発明である。 したがって、本件発明1に係る本件特許には、新規性欠如の無効理由がある(特許法29条1項3号、123条1項2号)。 25 イ 本件発明5の新規性の欠如(ア) 前記ア(ア)の乙8の記載によれば、乙8には、次のとおりの構成(以9下、符号に応じて、「構成5a」などという。)を有するプログラムの発明(以下「乙8発明5」という。)が記載されている。 5a ユーザ端末を介して入力されたユーザ情報を分類して、記憶する処理を制御部(ユーザ情報管理部22)に実行させるステップ5 5b 構成5aの受け付けるステップが行われた後、アバターコメントをユーザ端末に出力する処理を制御部(アバター管理部21)に実行させるステップ5c アバターコメントに対する回答を受け付けて、記憶する処理を制御部(ユーザ情報管理部22)に実行させるステップ10 5d 学習・生活支援システム1が立ち上げられたときに入力された個人情報であるユーザ情報と、当該入力の後に入力されたアバターコメントに対する回答(ユーザの嗜好情報、学習目標)とを記憶部に記憶させる処理を制御部に実行させるステップ5e ユーザによる入力情報から抽出したキーワードに基づき収集した15 ウェブサイトのリンク情報をユーザ端末に出力する処理を制御部(アバター管理部21)に実行させるステップ5f ユーザによる入力情報から抽出されたキーワードに基づいて、ウェブ上からキーワードに関連するウェブページ及びウェブサイトのリンク情報を収集する処理を制御部(情報収集部24)に実行させ20 るステップ5g スケジュールの修正を依頼するアバターコメントを出力する処理を制御部(アバター管理部21)に実行させるステップ5h 上記5aないし5gに係るステップを学習・生活支援サーバ2に実行させるプログラム25 (イ) 乙8発明5の構成5aないし5hは、本件発明5の構成要件5Aないし5Hの構成にそれぞれ相当する。 10乙8発明5の構成1aが本件発明5の構成要件5A 「ユーザから取得(したい個人情報のうち幾つかを予め受け付けるステップ」 の構成に、 ) 構成5fが構成要件5F 「前記個人情報に基づいてウェブサイトから前記(ユーザに対して提案すべき情報を取得するステップ」 の構成に相当する)5 ことは、前記ア(イ)で述べたところと同様である。 そして、乙8発明5の構成5hの「プログラム」は、「情報提供装置」である「学習・生活支援サーバ2」に構成5aないし5gに係るステップを実行させるプログラムであるから、本件発明5の構成要件5G 「情(報提供装置に実行させる情報提供プログラム)の構成に相当する。 10 (ウ) 以上によれば、乙8発明5は、本件発明5の構成要件5Aないし5Hの構成を全て有するから、本件発明5は、乙8発明5と同一の発明である。 したがって、本件発明5に係る本件特許には、新規性欠如の無効理由がある(特許法29条1項3号、123条1項2号)。 15 【当審における控訴人らの補充主張】ア 本件発明1の新規性の欠如の主張に対し(ア) 乙8発明1の構成1bないし1e、1gが、本件発明1の構成要件1Bないし1E、1Gの構成にそれぞれ相当することは争わないが、以下のとおり、構成1a、1f及び1hが構成要件1A、1F及び1Hの20 構成に相当するとはいえない。 a 構成要件1Aについて本件明細書の【0029】の記載から、本件発明1の構成要件1Aの「ユーザから取得したい個人情報のうち幾つかを予め受け付ける第1受付手段」にいう「第1受付手段」 「タッチパネル114」 「制は、 と25 御部101」と「記憶部102」とによって実現できるものであると解釈できる。 11乙8記載の「学習・生活支援サーバ2」は、「タッチパネル114」のようなユーザインタフェースを有しておらず、この点において、 「第1受付手段」に相当する構成を備えていない。 したがって、乙8発明1の構成1aは、構成要件1Aの「第1受付5 手段」に相当するものでない。 b 構成要件1Fについて(a) 「提案」の用語の意義等(甲10、17、18) 本件明細書の、 【0115】 【0017】の記載及び技術常識を踏まえれば、本件発明、 1の構成要件1Fの「提案すべき情報」とは、 「?ウェブサーバに蓄10 積されているウェブサイトを構成するウェブページに記載されており、?情報提供装置のブラウザの機能によって当該ウェブページに割り当てられているURLを用いて当該ウェブサーバにアクセスすることによって取得される、?ユーザに対して意見を提出する上で妥当な情報」と解釈できる。 15 しかるところ、乙8記載の「ウェブページのリンク情報」 【00(27】 、 )「ウェブサイトのリンク」及び「リンク先のウェブサイト」(【0049】)にいう「リンク」の用語は、「ハイパーリンク」(インターネットのウェブページ…において、関連付けられた他の文章や画像を参照できるように、その所在を示した情報または文字列)20 の略語(甲36)を意味するから、 「ウェブページ」 「リンク」と は、 同義ではない。 そして、「ウェブページ」やその「リンク(URL)」は、上記?ないし?のいずれも満たしていないから、 「提案すべき情報」に該当しない。 25 したがって、乙8発明1の構成1fの「ウェブページ及びウェブサイトのリンク情報」は、構成要件1Fの「提案すべき情報」に相12当するものではない。 ? 本件明細書の【0115】 【0017】の記載及び技術常識を踏、 まえれば、本件発明1の構成要件1Fの「提案すべき情報を取得する手段」とは、「食事と健康とに関する情報(提案すべき情報)」が5 記載されているウェブページに割り当てられているURLを用いてウェブサーバにアクセスし、それに応じて当該ウェブサーバがウェブサイトから発信する「提案すべき情報」を取得する手段を意味するものであり、ウェブに「「URL」を送信」して、それに対応するウェブページにある「提案すべき情報」を受信するものであると10 理解できる。 しかるところ、乙8発明1の構成1fは、 「情報収集部」が「ユーザ端末3からの入力情報に基づいて、例えば抽出されたキーワードに基づいて、ウェブ上からキーワードに関連するウェブページを収集し、ウェブページのリンク情報を…記憶する。 (」 【0027】)と15 いうものである。 したがって、乙8発明1の情報収集部は、ウェブに 「キーワード」「を送信」して、それに関連する「「ウェブページやそのURL」を受信」するものであると理解され、検索エンジンを利用して所望のキーワードが記載されているウェブページのURL(リンク)を取得20 するという機能を有するものである。 このように乙8発明1の学習・生活支援サーバが行う、キーワードに基づきURL(リンク)を収集して「出力」するという機能と、 構成要件1Fの「提案すべき情報を取得する手段」が行う、URL(リンク)に基づきウェブページにある情報等を受信し、これをユ25 ーザに対して「提供」するという機能は、全く異なるから、乙8発明1の構成1fは、構成要件1Fの「提案すべき情報を取得する手13段」に相当するものとはいえない。 c 構成要件1Hについて本件発明1の構成要件1Hの「情報提供装置」は、 「ユーザから取得したい個人情報のうち幾つかを予め受け付ける第1受付手段と、」と5 いう構成要件1Aを含む、構成要件1Aないし1Gの各手段等を備えるものである。前記aのとおり、構成要件1Aの「第1受付手段」は、 「タッチパネル114」と「制御部101」と「記憶部102」とが協働して実現することができるものと解釈すべきであり、また、構成要件1B、1C、1Eないし1Gの各手段も、本件明細書の【00210 9】【0119】及び【0127】の記載から、これと同様に解釈す、 べきである。 しかるところ、乙8発明1の構成1hの「学習・生活支援サーバ」は、 「タッチパネル114」のようなユーザインタフェースを有していないことは、前記aのとおりであり、このことは、ユーザに対する種々15 の情報の提供の可否に直結する、本件発明1の構成要件1Hの「情報提供装置」との実質的な相違点である。 したがって、乙8発明1の構成1hの「学習・生活支援サーバ」は、 構成要件1Hの「情報提供装置」に相当するものとはいえない。 (イ) 以上によれば、乙8発明1は、本件発明1の構成要件1A、1F及び20 1Hの構成を有するものとはいえないから、本件発明1は、乙8発明1と同一の発明であるとはえいない。 したがって、本件発明1に係る本件特許に乙8を主引用例とする新規性欠如の無効理由があるとの被控訴人の主張は理由がない。 イ 本件発明5の新規性の欠如の主張に対し25 乙8発明5の構成5bないし5e、5gが本件発明5の構成要件5Bないし5E、5Gの構成にそれぞれ相当することは争わないが、前記アと同14様の理由により、構成5a、5f及び5hが構成要件5A、5F及び5Hの構成に相当するとはいえない。 したがって、本件発明5は、乙8発明5と同一の発明であるとはえいないから、本件発明5に係る本件特許に乙8を主引用例とする新規性欠如の5 無効理由があるとの被控訴人の主張は理由がない。 ? 争点4−2(無効理由2(乙5を主引用例とする新規性の欠如))について原判決20頁25行目の「乙5発明の構成」を削り、同頁末行の「次の発明」の次に「(以下「乙5発明」という。 」を加えるほか、原判決の「事実及)び理由」の第2の3?記載のとおりであるから、これを引用する。 10 ? 争点4−3(無効理由3(乙8を主引用例とする進歩性の欠如))について原判決25頁10行目の「開示されている乙4発明」を「記載された発明(以下「乙4発明」という。 」と改めるほか、原判決の「事実及び理由」の)第2の3?記載のとおりであるから、これを引用する。 ? 争点4−4(無効理由4(乙5を主引用例とする進歩性の欠如))について15 原判決の「事実及び理由」の第2の3?記載のとおりであるから、これを引用する。 ? 争点5(控訴人らの損害額)について原判決33頁9行目の「を下らない。 を」 「を下らないから、上記利益額は、 特許法102条1項により、控訴人らの損害額と推定される。 と改めるほか、 」20 原判決の「事実及び理由」の第2の3?記載のとおりであるから、これを引用する。 第3 当裁判所の判断1 本件明細書の記載事項について? 本件明細書(甲1)には、次のような記載がある(下記記載中に引用する25 図1ないし5、12ないし14、16については別紙1を参照)。 ア 【技術分野】15【0001】本発明は、情報提供装置、システム及びプログラムに関し、特に、ユーザの日常生活に対して適切な情報を提供する情報提供装置、システム及びプログラムに関する。 5 【背景技術】【0002】従来、人間の健康を維持するために、様々な情報が提供されている。特に、近年飛躍的に普及しているスマートフォンなどの携帯端末を利用した健康に関するアプリケーションが注目されている。例えば、特許文献1に10 開示されている発明によれば、ユーザの自宅に、通信機能付又はそれに準じる機能が付与されている各種センサが設置され、脈拍や呼吸等の測定、 血圧、脈拍、体組成計、血糖値計、体重計等による測定を行う構成になっている。これらの測定データは通信機能を介してサーバに蓄えられ、ユーザごとに健康管理が把握できるようになっている。 15 イ 【発明が解決しようとする課題】【0004】しかし、特許文献1に開示されている発明は、ユーザ自身が、脈拍や呼吸等の測定、血圧、脈拍、体組成計、血糖値計、体重計等による測定を少なくとも数日ごとに繰り返し行う必要があるため、その様々な個人情報の20 入力のための煩雑な作業がユーザの負担になってしまう。 【0005】特に、例えば、サラリーマンなど仕事をしている多くの人々は、いくら自分の健康維持のためとはいえ、毎日の多忙な生活の中で面倒な個人情報の入力を持続して行うことは困難であるという課題があった。 25 【0006】そこで、本発明は、特許文献1とは異なるアプローチとして、情報提供16装置との擬似コミュニケーションにより適宜に追加の個人情報を入力することで、情報提供装置から健康に関する情報を含む各種情報を適切なタイミングで提供できるようにすることを課題とする。 ウ 【課題を解決するための手段】5 【0007】上記課題を解決するために、本発明の情報提供装置は、 ユーザから取得したい個人情報のうち幾つかを予め受け付ける第1受付手段と、 前記第1受付手段によって受け付けていない個人情報に対応する属性10 の質問を行う質問手段と、 前記質問手段による質問に対する返答である個人情報を受け付ける第2受付手段と、 前記第1及び第2受付手段によって受け付けられた個人情報と当該個人情報に対応する属性とが紐付けた状態で格納される格納媒体と、 15 を備える。 【0008】また、本発明の情報提供システムは、 上記情報提供装置を複数有しており、 当該情報提供装置が相互にネットワークを介して接続された場合に、最20 新の個人情報が格納されている格納媒体の内容で、他方の格納媒体の内容を更新する。 【0009】また、本発明の情報提供プログラムは、 ユーザから取得したい個人情報のうち幾つかを予め受け付けるステップ25 と、 受け付けていない個人情報に対応する属性の質問を行うステップと、 17前記質問に対する返答である個人情報を受け付けるステップと、 前記受け付けられた個人情報と当該個人情報に対応する属性とを紐付けた状態で格納するステップと、 を情報提供装置に実行させる。 5 エ 【発明の効果】【0010】本発明によれば、ユーザから最初に受け付けた個人情報以外の個人情報を取得することができるので、それらの情報に基づいて健康に関する情報を含む各種情報を提供することができる。 10 オ 【発明の実施の形態】【0013】以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。 【0014】(実施形態1)15 図1は、本発明の実施形態1における情報提供システムの構成例を示す図である。図1の情報提供システムは、以下説明する、ユーザ端末100A〜100E(これらの総称を「ユーザ端末100」と称する。)と、ロボット200と、ウェブサーバ300と、ネットワーク400とを備えている。 20 【0015】ユーザ端末100は、例えば、電話機能及び通信機能を有するスマートフォン100A〜100D、腕時計型のリスト端末100Eなどの情報提供装置の総称である。もっとも、ユーザ端末100は、スマートフォンやリスト端末のみならず、パーソナルコンピュータ、タブレットなどの各種25 の情報提供装置とすることもできる。 【0016】18ロボット200は、例えばユーザ端末100A及びリスト端末100Eを保有するユーザの家屋内に設置された情報提供装置である。ロボット200は、ネットワーク400を介して、ユーザ端末100A及びリスト端末100Eとの間で後述する個人情報を共有することができる。なお、こ5 の実施形態において、ロボット200は、家屋内の部屋においては、ユーザの指示に応じて移動することが可能である。このために、ロボット200は既知の移動手段を備えている。 【0017】ウェブサーバ300は、例えば、健康に関する情報を含む、様々な情報10 が蓄積されているものである。ウェブサーバ300は、ネットワーク400を介してアクセスされたユーザ端末100、ロボット200からの要求に応じた情報を発信する。 【0018】ネットワーク400は、インターネットなどで構成され、ユーザ端末115 00、ロボット200、ウェブサーバ300、及び、他のウェブサーバとの間における通信を実現するものである。 【0019】図2は、図1のユーザ端末100(100A〜100E)の構成を示すブロック図である。図2において、ユーザ端末100は、以下説明する、 20 制御部101と、記憶部102と、通信部103と、時計部104と、温度センサ部105と、加速度センサ部106と、操作部107と、表示部108と、音声入力部109と、音声出力部110と、振動部111と、 位置検出部112と、バス113と、操作部107及び表示部108を含むタッチパネル114とを備えている。 25 【0029】操作部107及び表示部108の一部は、操作入力機能と表示機能とを19併せて備えたタッチパネル114で実現することができる。タッチパネル114は、後述するように、制御部101、記憶部102と協働して、ユーザから取得したい個人情報を予め受け付ける第1受付手段と、第1受付手段によって受け付けていない個人情報に対応する属性の質問を表示に5 よって行う質問手段と、質問手段による質問に対する返答である個人情報を受け付ける第2受付手段とを実現することができる。 カ 【0038】図3は、図2に示すユーザ端末100の初期動作を示すフローチャートである。ここでは、以下説明する動作を実現可能なアプリケーション(以10 下、「コンシェルジュアプリ」と称する。)が、ダウンロードされ、かつ、 インストールされている、ユーザ端末100の動作例を説明する。 【0039】ユーザ端末100の電源がオンされている状態で、ユーザによって選択的に既知のロック画面を通じてパスワードが入力されたことを条件に、メ15 ニュー画面をタッチパネル114に表示するというメニュー画面表示処理を実行する(ステップS102)。メニュー画面には、電話、メール、インターネット、カメラ、目覚まし設定、マナーモード設定などのメニューとともに、コンシェルジュアプリのメニューが表示される。 【0040】20 この状態で、タッチパネル114に表示コンシェルジュアプリのアイコンを、ユーザがタッチするなどして起動を選択すると、制御部101は、 このことを特定して(ステップS103) ユーザの個人情報のうち以下の、 基本情報が、ユーザから入力済みであるか否かを判別する(ステップS104) 基本情報が入力済みでない場合には、 。 基本情報入力画面をタッチパ25 ネル114に表示するという入力画面表示処理を実行する(ステップS105)。 20【0041】なお、ステップS102の実行により表示されるメニュー画面で、ステップS103に示すコンシェルジュアプリが選択されず、他のアプリが選択された場合には、その選択されたメニューの処理が実行される(ステッ5 プS108)。例えば、目覚まし設定のメニューが選択された場合には、設定時刻や目覚まし有効曜日などの設定操作に応じて、その内容を記憶部102の不揮発性メモリにストアされる。 【0042】図5〜図9は、図3に示すステップS105の入力画面表示処理を実行10 することによってユーザ端末100のタッチパネル114に表示される基本情報入力の画面例を示す図である。 【0043】図5に示すように、タッチパネル114には、基本情報として、例えば、 ユーザの氏名、性別、及び、年齢だけといった極めてわずかな情報の入力15 又は選択を促す旨が表示される。なお、ここで重要なのは、当初入力等させる情報が少ないということである。したがって、基本情報を構成する情報は、必ずしも、ユーザの氏名等に限定されるものではないし、これらを必ず用いなければわけではない点に留意されたい。 【0051】20 ユーザ端末100の動作としては、その後に、基本情報の入力が完了すると、制御部101は、入力された基本情報を記憶部102の不揮発性メモリにストアするといったストア処理を実行する(ステップS106)。 【0052】その後、温度センサ部105で検出された現在の温度情報、加速度セン25 サ部106で検出された変位情報、音声入力部109で検出されたユーザの周囲音の情報、位置検出部112で検出されたユーザ端末100の位置21情報などの各種情報(以下、「環境情報」と称する。)を取得するために、 後述するサブルーチンを例えば10分ごとにコールできるようにするセット処理を実行する(ステップS107)。 【0053】5 こうして、図3に示す処理が終了する。以上の処理により、ユーザの氏名・性別・年齢といった基本的な情報が、コンシェルジュアプリと紐づけられることになる。なお、ここで入力される氏名等の情報は、必ずしも真のものでなくてもよく、例えば氏名の情報であれば、ユーザが任意に、架空の人物のもの、ニックネーム或いはハンドルネームなどとすることもで10 きる。 キ 【0058】図4は、図3に示す初期動作が完了した後にコンシェルジュアプリによってなされる制御部101の動作例を示すフローチャートである。制御部101は、ステップS107でセットされた時間が到来すると、各種セン15 サ部105等をオンする。各種センサ部105等は、これによって環境情報を取り込み、それらを記憶部102のRAMに一時的にストアするといった環境情報ストア処理を実行する(ステップS110)。 【0059】この処理は、全てのセンサ部からの情報を同時刻にセンシングして一度20 に取り込んでもよいし、順次、所定時間内に取り込んでもよい。また、例えば、温度センサ部105によって得られる温度情報などは、頻繁に変化しないと考えられるので、この種のセンサ部については、例えば1時間ごとにオンすることとしてもよい。 【0060】25 つぎに、例えば、ユーザ端末100のカレンダーアプリを通じて新たなイベント情報が登録されたか否かを判別する(ステップS111) 判別の。 22結果、新たなイベント情報が登録されていない場合には、図4に示す処理を終了する。一方、新たなイベント情報が登録された場合には、当該情報を抽出して、記憶部102のRAMに一時的にストアするといったイベント情報ストア処理を実行する(ステップS112)。 5 【0061】その後、当該イベント情報に関連する質問の発生要因があるか否かを判別する(ステップS113)。具体的には、例えば、カレンダーアプリを通じて「今週末の18:00から飲み会」といった旨のイベント情報がユーザ端末100に入力された場合には、 「お酒は好きですか?」、 「ビール党で10 すか?」 「週にどのくらいお酒を飲みますか?」などの質問の発生原因が、 あるという判別結果が得られるようにしている。 【0063】判別の結果、発生要因がない場合には、図4に示す処理を終了する。一方、発生要因がある場合には、これらの質問を既に行っていないことを確15 認した場合には、発生要因に基づく質問画面作成して、タッチパネル114に表示といった質問画面表示処理を実行する(ステップS114) こう。 して、質問画面を通じて、ステップS105の実行によって取得する基本情報とは異なるユーザの詳細情報の入力をユーザに促す。 【0071】20 また、予め用意している一又は複数の質問に対する回答がなされ、ユーザからの詳細情報の入力の完了がされると、ユーザから回答された詳細情報を記憶部にストアするといった詳細情報ストア処理を実行して、図4に示す処理を終了する(ステップS115)。 ク 【0094】25 (実施形態2)図16は、本発明の実施形態2における情報提供システムの制御部10231の動作を示すフローチャートであり、図4に示すものに対応する。本実施形態では、ユーザに対する健康管理の提案をする場合の動作について説明する。なお、本実施形態の情報提供システム及びユーザ端末100の構成は、図1及び図2に示したものと同様である。また、図16に示す処理5 を実行するタイミングは、例えば、1週間に1度とすることができ、この場合には図3のステップS107でセットする時間を1週間とすればよい。 【0095】本実施形態では、まず、ユーザの生活パターン(予測によるものを含む)10 を示すパターン情報につき作成済みであるか否かを判別する(ステップS117) パターン情報につき作成済みである場合には、 。 それに従ったアドバイスをすることが考えられ、ステップS120に移行する。 【0096】なお、ここでいうパターン情報が作成済みという状況は、例えば、既述15 の趣味に関する情報、嗜好情報などを含む、予め用意されているユーザに関する質問事項に対する全ての回答をもって情報が作成された状態をいう。もっとも、本システムの管理者は、新たに質問を増やしたり、既存の質問内容を新たな質問内容に更新したりといった、コンシェルジュアプリのバージョンアップをすることも考えられるので、一度、ステップS1120 7からステップS120に移行したからといって、その後にステップS117からステップS118に移行することがないわけではない。 【0097】一方、パターン情報につき作成済みでない場合には、例えば平日及び休日におけるユーザの具体的な生活習慣を、以下に示す経験則から導出され25 る判断指針に基づいて予測する(ステップS118)。 【0114】24ユーザが12:00頃に昼食を、18:30頃に夕食を、それぞれ外食で採る習慣があることを把握していることを把握している場合には、これらの時刻頃に、音声入力部109をアクティブにして、ユーザがどのような料理を注文しているかを音声認識機能によって把握することができる。 5 【0115】仮に、ユーザが同じような料理ばかりを摂取していることを把握した場合には、制御部101は、ネットワーク400を介して、該当するウェブサーバ300にアクセスし、食事と健康とに関する情報を、ユーザがニュース等をチェックするタイミングでアドバイスをすることもできる。 10 【0116】制御部101は、平日におけるユーザの生活習慣を予測した後は、図16のフローチャートにおいて、ユーザの生活パターンを示すパターン情報を作成して、記憶部102の不揮発性メモリにストアする(ステップS119)。例えば、平日におけるユーザの生活習慣に従って、横軸を時間に取15 り、縦軸を行動の内容に取った生活パターンを示すパターン情報を作成してストアする。 【0117】ユーザがこのストアされたパターン情報と対比して、これと大きく異なる行動をした場合、又は、その恐れがある場合には、生活のリズムが崩れ20 たり、不規則な生活となったりしがちなので、それを是正するような表示を行うことができる。係る場合の例としては、例えば、翌日が仕事であろうと予想される前日に、24:00を過ぎてもニュース等をチェックしている、或いは、そうしそうだということを把握したときは、 「夜更かしは良いことではないので早く寝ましょう」といったメッセージを表示すること25 ができる。 【0118】25図16のフローチャートのステップS119においてパターン情報がストアされた場合には、制御部101は、例えば健康のアドバイスといった各種アドバイスが必要かどうかを判別する(ステップS120) 例えば、 。 図3のフローチャートのステップS112において、飲み会の情報を一時5 的にストアした場合において、例えば、昼休みのニュース等のチェックのタイミングを見計らって、健康のアドバイスをすることができる。 【0119】図12は、図2のタッチパネル114に表示されたイベント通知情報の画面例を示す図である。図12に示すように、飲み会のイベント情報を表10 示するとともに、 「飲みすぎないように!」とアドバイスのメッセージを出力してユーザの注意を促す(ステップS121)。 【0120】次に、種々のアドバイスの出力に対して、所定時間内にユーザから了解の応答があるか否かを判別する(ステップS122) 所定時間内に応答が。 15 ない場合には、アドバイスを閲覧していない可能性もあるので、メッセージの表示だけでなく、例えば、音声出力部110による音声でのメッセージを出力することもできる(ステップS121)。 【0127】図13は、図2のタッチパネル114に表示されたアドバイス情報の画20 面例を示す図である。図13に示すように、コーヒーを飲むことを勧めるアドバイスを表示しながら、さりげなくコーヒーが好きかどうかの質問を行う。ここで、ユーザがYESボタン114a又はNOボタン114bをオン操作すると、広く愛好されている一般的な飲み物であるコーヒーについてのユーザの個人情報を把握することができる。 25 【0128】この後は、さらに、ユーザの嗜好情報についての細かい質問を用意する26ことができる。図14は、図2のタッチパネル114に表示された嗜好情報質問の画面例を示す図である。図13の画面において、ユーザがYESボタン114aをオン操作したときは、図14に示すように、ユーザの詳細な個人情報を知るために、さりげなく詳細情報の入力を促す流れにユー5 ザを誘う。 【0129】さらに、この自然な流れの中で、コーヒー、紅茶、酒、タバコなどの嗜好品の種類や頻度といったユーザの嗜好情報に関する質問を表示して、広範で且つ細かい個人情報について取得することができる。 10 【0133】さらに、休日であることから、ユーザが文字入力を煩雑であると感じることも考慮して、音声入力部109をアクティブして、音声での入力ができる旨の音声入力アイコン114gを表示することもできる。 【0134】15 したがって、制御部101は、ユーザとの間で音声による自然な流れの擬似コミュニケーションを行う中で、ユーザの生活情報に関連する詳細な個人情報を取得することができる。 【0135】ユーザから入力される個人情報は、上記した例示以外にも多く存在する20 ので、制御部101は、ストアする個人情報の蓄積に応じて、ユーザのパターン情報をより精度を高める必要がある。 ケ 【0137】以上説明したように、本発明の各実施形態における情報提供装置によれば、タッチパネル114を構成する操作部107若しくは音声入力部1025 9又はその双方は、ユーザから取得したい個人情報のうち幾つかを予め受け付ける第1受付手段を構成する。また、タッチパネル114を構成する27表示部108若しくは音声出力部110又はその双方は、第1受付手段によって受け付けていない個人情報に対応する属性の質問を行う質問手段を構成する。そして、操作部107若しくは音声入力部109又はその双方は、質問手段による質問に対する返答である個人情報を受け付ける第25 受付手段を構成する。さらに、記憶部102の不揮発性メモリは、第1及び第2受付手段によって受け付けられた個人情報と当該個人情報に対応する属性とが紐付けた状態で格納される格納媒体を構成する。 【0138】また、本発明の各実施形態における情報提供システムによれば、上記情10 報提供装置を複数有しており、当該情報提供装置が相互にネットワーク400を介して接続された場合に、最新の個人情報が格納されている格納媒体の内容で、他方の格納媒体の内容を更新する。 【0139】さらに、上記実施形態によれば、ユーザ端末100は、外部メモリ又は15 ネットワーク400を介して、健康情報に関するウェブサーバ300から情報提供プログラムをインストール又はダウンロードすることができる。 【0140】すなわち、情報提供プログラムは、 ユーザから取得したい個人情報のうち幾つかを予め受け付けるステップ20 と、 受け付けていない個人情報に対応する属性の質問を行うステップと、 前記質問に対する返答である個人情報を受け付けるステップと、 前記受け付けられた個人情報と当該個人情報に対応する属性とを紐付けた状態で格納するステップと、 25 を情報提供装置に実行させる。 ? 前記?の記載事項によれば、本件明細書には、本件発明1に関し、次のよ28うな開示があることが認められる。 ア ユーザの自宅に通信機能又はそれに準じる機能が付与されている各種センサが設置され、脈拍や呼吸等の測定、血圧、脈拍、体組成計、血糖値計、 体重計等による測定を行う構成の従来の情報提供装置は、測定データは通5 信機能を介してサーバに蓄えられ、ユーザごとに健康管理が把握できるようになっているが、ユーザ自身が測定を少なくとも数日ごとに繰り返し行う必要があるため、その様々な個人情報の入力のための煩雑な作業がユーザの負担になっており、毎日の多忙な生活の中で面倒な個人情報の入力を持続して行うことは困難であるという課題があった 【0001】( 、 【00010 2】 【0004】 【0005】 。 、 、 )「本発明」は、情報提供装置との擬似コミュニケーションにより適宜に追加の個人情報を入力することで、情報提供装置から健康に関する情報を含む各種情報を適切なタイミングで提供できるようにすることを課題とするものである(【0006】 。 )15 イ 「本発明」の情報提供装置は、前記課題を解決するための手段として、 ユーザから取得したい個人情報のうち幾つかを予め受け付ける第1受付手段と、前記第1受付手段によって受け付けていない個人情報に対応する属性の質問を行う質問手段と、前記質問手段による質問に対する返答である個人情報を受け付ける第2受付手段と、前記第1及び第2受付手段によ20 って受け付けられた個人情報と当該個人情報に対応する属性とが紐付けられた状態で格納される格納媒体とを備える構成を採用したものであり、 「本発明」によれば、ユーザから最初に受け付けた個人情報以外の個人情報を取得することができるので、それらの情報に基づいて、ユーザに対し、 健康に関する情報を含む各種情報を提供することができるという効果を25 奏する(【0007】 【0010】 。 、 )2 争点4−1(無効理由1(乙8を主引用例とする新規性の欠如))について29本件の事案に鑑み、被控訴人主張の無効の抗弁(争点4)の無効理由1から判断する。 ? 乙8の記載事項ア 乙8(特開2015−102994号公報)には、次のような記載があ5 る(下記記載中に引用する図1ないし5については別紙2を参照)。 (ア) 【技術分野】【0001】本発明は、学習・生活支援システムに関する。さらに詳しくは、独自の意欲喚起指導(EMS:Educational Method of Self-motivation)が10 可能な学習・生活支援システムに関する。 【背景技術】【0002】近年、パーソナルコンピュータやタブレットなどを用いて、コンピュータ上で講師による講義を視聴することにより、受講生・生徒が学習し15 たり、講師と受講生・生徒とが、または受講生・生徒同士がコミュニケーションを取る方法が基調となっている(たとえば、特許文献1参照)。 このようなシステムを用いることにより、受講生・生徒は学習に対するモチベーションを高めて、学習効率を上げている。 (イ) 【発明が解決しようとする課題】20 【0004】一方、講師と受講生・生徒とが、または受講生・生徒同士がコミュニケーションを取っている最中のモチベーションの向上だけでなく、受講生・生徒個人が一人だけでコンピュータ上で学習をする場合にも、学習への意欲を高めることが求められている。 25 【0005】そこで、コンピュータ上に本システムのインターフェイスとなるアバ30ター(ユーザを象徴するキャラクタ)を表示し、受講生・生徒、すなわち本システムに加入している一般・社会人等のユーザが、独自(一人)での学習時だけでなく、日常生活時においても役立つ学習・生活支援システムを提供することを目的とする。たとえば、ユーザが学生の場合、 5 アバターから送られたメッセージメール等は、単なるアラーム機能ではなく、目標、行動内容に即したアバターコメントとして送られ、ユーザ本人が、目標達成するための短期長期の設定目標の乖離や進捗具合の管理ツールとしてシステムを活用し、ユーザは、計画、実践、検証、振り返り、動機付けを手軽にでき、ユーザ自身が設定したスケジュールの達10 成に向けての学習意欲を維持向上させることが可能な学習・生活支援システムの提供を目的とする。一方では、各種学校、通信講座等、社内教育等を含む、資格やライセンス取得を目指すために自らが「なりたい自己像」「めざす姿」「プラス思考イメージの形成」を前述と同様の方法を用いて動機付けし、これらを段階的に具現化することにより「自己成長」15 を促進向上させる学習 生活支援システムを提供することを目的とする。 ・(ウ) 【課題を解決するための手段】【0006】本発明の学習・生活支援システムは、ネットワークを介して接続された学習・生活支援サーバとユーザ端末とを備え、アバターとユーザとの20 対話によりユーザの学習を支援する学習・生活支援システムであって、 該学習・生活支援サーバが、前記アバターを管理し、前記ユーザ端末へ前記アバターからのアバターコメントを出力するアバター管理部と、ユーザ端末から入力されたユーザ情報を管理するユーザ情報管理部と、入力された前記ユーザ情報を分析し、ユーザ情報に応じてキーワードを抽25 出するテキスト分析部とを備え、前記アバター管理部により出力されたアバターコメントに対するユーザコメントが、前記ユーザ情報管理部に31より、前記学習・生活支援サーバに設けられたユーザ情報記憶部に記憶され、前記ユーザ情報記憶部に記憶されたユーザコメントが、前記テキスト分析部により分析および抽出され、キーワードとして前記ユーザ情報記憶部に記憶され、記憶された前記キーワードに基づいて、前記アバ5 ター管理部により、前記学習・生活支援サーバのアバターコメント記憶部に予め記憶された複数のアバターコメントのうちの1つのアバターコメントが選択され、前記キーワードに応じたアバターコメントが前記ユーザ端末に出力され、前記ユーザ端末から入力されたユーザ情報、または、アバターコメントに対するユーザコメントに、ユーザのスケジュー10 ルが含まれている場合に、前記アバター管理部が前記ユーザ端末に前記アバターを介してスケジュール確認を行うことを特徴とする。 【0007】また、前記アバター管理部が、前記ユーザ端末に、前記キーワードに関連するウェブサイトのリンクを出力し、前記リンク先のウェブサイト15 が前記ユーザ端末において閲覧された場合には、前記ウェブサイト上のテキストを前記テキスト分析部が分析し、新たなキーワードを抽出し、 該抽出された新たなキーワードが、前記ユーザ情報記憶部に記憶されることが好ましい。 【0011】20 また、前記ユーザ情報記憶部が、前記長期的学習目標および前記短期的学習目標を含むユーザ目標情報記憶部と、前記ユーザコメントおよび前記ユーザコメントから抽出されたキーワードが記憶されるユーザコメント記憶部とを備え、前記ユーザコメント記憶部に記憶される前記ユーザ端末から抽出されたキーワードが、ユーザ端末により入力されたユー25 ザの嗜好情報に関するキーワードを含み、前記ユーザの嗜好情報に関するキーワードに基づいて、前記アバター管理部が嗜好情報に関するアバ32ターコメントを前記ユーザ端末に出力することが好ましい。 【0015】また、前記学習・生活支援システムが複数のユーザ端末を備え、前記ユーザ情報記憶部に複数のユーザ端末のユーザ情報が記憶され、一のユ5 ーザ端末により入力されたユーザ情報と他のユーザ端末により入力されたユーザ情報とが関連する場合、前記アバター管理部が、前記一のユーザ端末に、前記他のユーザ端末に関するアバターコメントを出力することが好ましい。 (エ) 【発明の効果】10 【0016】本発明によれば、学習・生活支援システムにおいて、学習・生活支援システムのユーザに特有のアバターコメントが各ユーザに向かって出されるため、 ・学習 生活支援システムを定期的に利用する動機付けとなる。 さらに、ユーザのスケジュールがユーザから入力された情報に含まれて15 いる場合は、そのスケジュールの内容に基づいて、アバターからスケジュール確認が行われ、単なるアラーム機能ではなく、スケジュールの内容に即してアバターからアバターコメントが送られる。したがって、ユーザは、自己が設定したスケジュールの達成に向けての学習意欲が高まる。 20 (オ) 【発明を実施するための形態】【0019】本発明の学習・生活支援システム1は、図1に示されるように、ネットワークNを介して接続された学習・生活支援サーバ2とユーザ端末3とを備え、図2に示すアバター4とユーザとの対話によりユーザの学習25 を支援するシステムである。アバター4は、図2においては、ユーザ端末3の一部にユーザ端末3のユーザのものだけが示されているが、アバ33ター4は、他のユーザのアバターと同じ仮想空間内に位置するようにしてもよい。また、アバター4は、ユーザを象徴するキャラクタとして他のユーザと仮想空間内で会話できるように構成してもよい。また、アバター4は、ユーザの設定により、服装や髪形などの容姿を変更すること5 ができるようにしても構わない。 【0020】ユーザ端末3は、図2に示した実施形態では、通信が可能なタブレット型端末として示しているが、ユーザ端末3は、ネットワークNを介して学習・生活支援サーバ2と接続することができるものであれば特に限10 定されるものではなく、他の通信端末、たとえば携帯電話、スマートフォン、ノート型パソコンなどの携帯型端末であってもよいし、家庭用パソコンなど携帯型ではない端末を用いてもよい。なお、本発明におけるユーザ端末3は、ユーザが家にいるときには家庭用パソコンを用い、外出時にはタブレット型端末を持ち出して、外出先からログインして使用15 する場合など、使用状態によって端末自体が変更される場合も含む。 【0021】なお、学習・生活支援システム1は、図1においては2つのユーザ端末3がネットワークNを介して学習・生活支援サーバ2に接続されているが、接続されるユーザ端末3の数は特に限定されるものではない。つ20 ぎに、図3に示されるように、学習・生活支援サーバ2は、アバター4を管理し、ユーザ端末3へアバター4からのアバターコメントを出力するアバター管理部21と、ユーザ端末3から入力されたユーザ情報を管理するユーザ情報管理部22と、入力されたユーザ情報を分析し、ユーザ情報に応じてキーワードを抽出するテキスト分析部23とを備えてい25 る。図3に示す実施形態では、さらにネットワークNを介して情報を収集するための情報収集部24と、 ・学習 生活支援システム1の他の機能、 34たとえば、学習にあたって授業等を配信する講師と受講生・生徒との間での双方向の教育システムなど、学習に関するコンテンツを管理するコンテンツ管理部25とを備え、アバター管理部21、ユーザ情報管理部22、テキスト分析部23、情報収集部24、コンテンツ管理部25と5 が制御部として構成されている。制御部は、少なくとも1つのCPU等を備え、ROM等に予め記憶されたプログラムを読み込んで実行することにより、アバター管理部21、ユーザ情報管理部22、テキスト分析部23、情報収集部24、コンテンツ管理部25等の機能を実行することが可能である。なお、制御部としては、ユーザ端末3に他の機能を提10 供することが可能な他の機能を持たせてもよい。また、図3に示した実施形態では、1つの学習・生活支援サーバ2に複数の機能を持たせているが、各機能を別々のサーバに持たせて、サーバの負荷を分散させてもよい。 【0022】15 また、図3に示されるように、学習・生活支援サーバ2は、ユーザ端末3とネットワークNを介して接続するために、通信制御部26を備えている。また、学習・生活支援サーバ2は、1つのユーザ端末3だけでなく、複数のユーザ端末と双方向で通信することができる。また、詳細は後述するが、学習・生活支援サーバ2は、記憶部を備えている。記憶20 部は、たとえばRAMやフラッシュメモリ、ハードディスク等の記憶装置により構成され、各種情報を記憶することができる。図示した実施形態では、学習・生活支援サーバ2内に各種情報が記憶されるように構成されているが、外部メモリ等により、学習・生活支援サーバ2の外部で記憶してもよいし、ユーザ端末3に各種情報を記憶してもよい。本実施25 形態では、図3に示されるように、記憶部は、ユーザ基本情報記憶部U1、ユーザ嗜好情報記憶部U2、ユーザ目標情報記憶部U3、ユーザコ35メント記憶部U4を含むユーザ情報記憶部27aと、アバター情報記憶部27bと、アバターコメント記憶部27c、収集情報記憶部27dと、 コンテンツ記憶部27eとを備えている。これらの記憶部については後述する。 5 【0024】アバター管理部21は、アバター4の動作、容姿、アバター4からユーザに対するコメントであるアバターコメントのユーザ端末3への出力など、アバター4に関する制御部として機能する。ユーザ端末3からアバター4の容姿などの変更の指令があった場合には、アバター管理部210 1により、アバター4の容姿などが変更され、変更後のアバター4の容姿などは、記憶部のアバター情報記憶部27bに記憶される。アバター4は、あるユーザ端末3のユーザの分身として仮想空間上など、ユーザ端末3の表示部上に表示される。アバター4は、アバター管理部21により管理され、アバター4を介して他のユーザ等とのコミュニケーショ15 ンを取ることができるが、本発明では、主にアバター4は分身の元となる自己のユーザ自身にコメントし、会話をすることを主題としている。 なお、コメントおよび会話は、テキストで行ってもよいし、音声により行ってもよい。アバター4とユーザ自身との会話は、アバターコメント記憶部27cに予め記憶された複数のアバターコメントをベースとして20 行われ、アバター管理部21がアバターコメント記憶部27cにアクセスし、後述するようにユーザ端末3に入力された情報に応じてアバター管理部21により選択され、ユーザ端末3に出力される。 【0025】ユーザ情報管理部22は、ユーザ情報記憶部27aに記憶されるユー25 ザの基本情報、ユーザの嗜好情報、ユーザの目標情報、ユーザ端末からのコメントであるユーザコメントなど、ユーザに関する情報を管理する。 36より具体的には、ユーザ情報管理部22は、ユーザ端末3から入力された情報を、ユーザ基本情報、ユーザ嗜好情報、ユーザ目標情報、ユーザコメントのいずれかを判断して分類し、ユーザ基本情報記憶部U1、ユーザ嗜好情報記憶部U2、ユーザ目標情報記憶部U3、ユーザコメント5 記憶部U4に分類して記憶する。分類は、たとえば、ユーザ端末3において行われた操作や、アバター4からのアバターコメントの内容に基づいて分類することができる。この分類は、情報の内容に応じてさらに細分化しても構わない。なお、上記情報の記憶は、ユーザ情報管理部22が情報の内容を判別できる方法で記憶することができれば、特に情報毎10 に分類する必要はない。 【0026】テキスト分析部23は、ユーザ端末3から入力されたテキストまたは音声を分析し、そのテキストまたは音声によるユーザコメントや、ユーザ端末3からの入力情報から、キーワードを抽出する。テキスト分析部15 23により、ユーザ端末3から入力された情報、すなわち、ユーザの学習における目標、ユーザが興味を持っている内容、ユーザが考えている内容などが情報として把握され、キーワードにより把握された内容に基づいて、アバター4からユーザ端末3に出力されるアバターコメントが選択される。なお、テキスト分析部23は、ユーザ端末3により入力さ20 れたテキストや音声などを分析し、その中から単語などのキーワードを抽出することができるものであればよく、公知のテキスト解析アプリケーションまたは音声解析アプリケーションなどを用いることができる。 たとえば、キーワードの抽出は形態素解析により名詞等の品詞を判別して抽出する公知の形態素解析エンジンを用いることができる。テキスト25 分析部23により抽出されたキーワードは、たとえばユーザコメント記憶部U4などに記憶される。なお、ユーザ端末3により入力されたテキ37スト、音声などは、一度ユーザコメント記憶部U4に記憶されてからキーワードが抽出されてもよいし、キーワードが抽出されてからユーザコメント記憶部U4に記憶されてもよい。また、ユーザコメントの全てとキーワードの両方をユーザコメント記憶部U4に記憶してもよい。 5 【0027】情報収集部24は、ユーザへ様々な情報を提供するために、情報を収集し、収集情報記憶部27dに記憶される。収集される情報としては、 ユーザ端末3からの入力情報に基づいて、たとえば抽出されたキーワードに基づいて、ウェブ上からキーワードに関連するウェブページを収集10 し、ウェブページのリンク情報を収集情報記憶部27dに記憶する。なお、情報収集部24により収集情報記憶部27dに記憶される情報は、 通信制御部26、ネットワークNを介してインターネット上のウェブページから収集してもよいし、学習・生活支援システム1のコンテンツ提供者が自ら収集したものであってもよいし、他のユーザから提供された15 情報であってもよい。 【0028】コンテンツ管理部25は、ユーザへ様々なコンテンツを提供するために、コンテンツ記憶部27e等に記憶されたコンテンツを提供する。本実施形態では、コンテンツとしては、各種学校、通信講座等、社内教育20 等、学習システム一般において用いられる双方向通信学習システムに用いられるコンテンツがあげられる。より具体的には、学習の指導側、たとえば講師の端末(図示せず)と、受講生・生徒との端末(ユーザ端末3)がネットワークNを介して接続され、ユーザ端末3の表示部3a(図2参照)に、講師および複数の受講生・生徒の映像またはアバターを表25 示して、双方向でリアルタイムの講義を行うことができるコンテンツなどが提供される。また、そのような双方向でのリアルタイムでの講義以38外に、ユーザが個人で学習するときの学習コンテンツなどがコンテンツ記憶部27eに記憶することもでき、様々な学習コンテンツを記憶して、 コンテンツ管理部25によりユーザが学習することができる。また、学習以外の連絡事項や、情報交換のためのチャットなどのコミュニケーシ5 ョンツールや、ウェブログなどを動作させるアプリケーションをコンテンツ記憶部27eに記憶して、コンテンツ管理部25により動作させても構わない。 【0029】本発明の学習・生活支援システム1は、上述したように、アバター管10 理部21により出力されたアバターコメントに対するユーザコメントが、 ユーザ情報管理部22により、学習・生活支援サーバ2に設けられたユーザ情報記憶部27aに記憶され、ユーザ情報記憶部27aに記憶されたユーザコメントが、テキスト分析部23により分析および抽出され、 キーワードとしてユーザ情報記憶部27aに記憶される。そして、記憶15 されたキーワードに基づいて、アバター管理部21により、学習・生活支援サーバ2のアバターコメント記憶部27cに予め記憶された複数のアバターコメントのうちの1つのアバターコメントが選択され、キーワードに応じたアバターコメントがユーザ端末3に出力され、ユーザ端末3から入力されたユーザ情報、または、アバターコメントに対するユー20 ザコメントに、ユーザのスケジュールが含まれている場合に、アバター管理部21がユーザ端末3にアバター4を介してスケジュール確認を行う。学習・生活支援システム1が、このように構成されていることにより、ユーザにより入力された情報に基づいて、学習・生活支援サーバ2がユーザに関心のあるキーワードを抽出して、その関心のあるキーワー25 ドに応じて、さらにアバター4からユーザ端末3に対して、すなわちユーザに対してさらに質問(アバターコメント)をなげかける。これによ39り、アバター4からのアバターコメントは、ユーザに関心のある事項に対するものとなり、さらにユーザとアバター4との継続した会話(アバターコメントとユーザコメント)を続けるにつれて、アバター4からのアバターコメントは、そのユーザの関心のある事項や、ユーザの目標な5 どに応じて変化する。したがって、単に機械から同じような質問がされるといったことはなくなり、自己の分身であるかのように、ユーザによって特有のアバターコメントが出されるようになり、学習・生活支援システム1を定期的に利用する動機付けとなる。さらに、ユーザのスケジュールがユーザコメントに含まれている場合は、そのスケジュールの内10 容に基づいて、アバター4からスケジュール確認が行われ、単なるアラーム機能ではなく、スケジュールの内容に即したアバターコメントが送られる。したがって、ユーザは、自己が設定したスケジュールの達成に向けての学習意欲も高まる。 【0033】15 また、本実施形態では、ユーザ情報記憶部27aが、長期的学習目標および前記短期的学習目標を含むユーザ目標情報記憶部U3と、ユーザコメントおよびユーザコメントから抽出されたキーワードが記憶されるユーザコメント記憶部U4とを備え、ユーザコメント記憶部U4に記憶されるユーザ端末3から抽出されたキーワードが、ユーザ端末3により20 入力されたユーザの嗜好情報に関するキーワードを含み、ユーザの嗜好情報に関するキーワードに基づいて、アバター管理部21が嗜好情報に関するアバターコメントをユーザ端末3に出力してもよい。すなわち、 本実施形態では、学習のための意欲を喚起するために、学習内容に沿ったアバターコメントだけでなく、趣味や習慣、交友関係などについても25 アバター4からユーザに話しかけることにより、学習・生活支援システム1に飽きることがなく、学習・生活支援システム1を利用する方向へ40の意識付けを行う。これにより、学習への意欲喚起を含め、学習システムを用いることへの意欲喚起も行うことができ、より学習への効果が高まる。なお、本明細書における「嗜好情報」とは、ユーザの趣味、行きたい場所、習慣、家族・友人などの交友関係など、ユーザの日常生活に5 関連する情報をいうが、上述した例に限定されるものではない。なお、 この嗜好情報は、ユーザ嗜好情報記憶部U2に記憶される。 (カ) 【0036】図4は、本発明の学習・生活支援システム1の全体的な動作を示すフローチャートである。まず、学習・生活支援システム1をユーザ端末310 において立ち上げると、学習・生活支援サーバ2のユーザ情報管理部22からユーザ端末3に対してユーザ情報の入力を求められる。具体的には、ユーザの生年月日、性別、職業(学年)、ニックネーム、住所、起床・就寝時間、趣味、行きたい場所、習慣などのユーザ情報の入力が求められる。ユーザ端末3により、ユーザ情報が入力されると(S1)、それぞ15 れの内容に応じて、入力された内容がユーザ基本情報記憶部U1、ユーザ嗜好情報記憶部U2、ユーザ目標情報記憶部U3に分類されて記憶される。また、このユーザ情報の入力(S1)の前または後に、ユーザ端末3によりアバター4が作成され、そのアバター4の容姿等の情報がアバター情報記憶部27bに記憶される。 20 【0037】つぎに、アバター管理部21により、ユーザ端末3へアバター4を介してアバターコメントが出力される(S2)。具体的には、「AAさん、 おはよう」といったようなアバターコメントがユーザ端末3に出力される。このアバターコメントは、一方向のコメントであっても、双方向を25 意図した質問形式のもののいずれであってもよい。また、アバターコメントを出すタイミングとしては、前回のログイン時から所定の時間が経41過した後や、ユーザにより入力されたユーザ情報から把握することができる日時に送るようにすることができる。たとえば、初期状態では、ユーザから入力されるユーザ情報は限られているので、初期に入力された起床・就寝時間や、習慣として入力された「歯を磨く(朝8時)、 」「英語5 の教科書の音読(夜8時) といったようなユーザ基本情報に記載された」時間をもとに、その時間にアバターコメントを出力することができる。 【0038】つぎに、ユーザ端末3からユーザの学習目標についての目標設定が入力される(S3)。ここでは、上述した長期的学習目標が入力された場合10 について説明する。本実施形態では、目標設定の入力は、1)日時、2)場所、3)目標の3項目の入力が求められる。ユーザの長期的学習目標として、1)日時:1ヶ月後、2)場所:学校、3)目標:英語のテストで90点以上とる、と入力されたとする。その場合、これらの長期的学習目標は、ユーザ情報管理部22によりユーザ目標情報記憶部U3に15 記憶される。アバター管理部21は、ユーザ目標情報記憶部U3およびアバターコメント記憶部27cを参照し、ユーザに対して、スケジュールについて質問するアバターコメントをユーザ端末3に出力する(S4)。 具体的には、アバターコメント記憶部27cのうち、長期的学習目標が設定された場合の基本コメントを用いて、長期的学習目標としてユーザ20 目標情報記憶部U3に記憶された情報を抜き出し、 英語のテストで90「点以上とるために、スケジュールを入力してください」というアバターコメントがアバター管理部21によりアバター4を介して出される。なお、この場合、「3)目標」だけが引用されているが、「1)日時」も引用して、 「1ヶ月後に英語のテストで90点以上とるために、スケジュー25 ルを入力してください」というアバターコメントを出すようにしてもよい。 42【0039】このアバターコメントに対して、ユーザ端末3からスケジュールが入力される(S5)。具体的には、長期的学習目標を達成するためのユーザのスケジュールとなる、短期的学習目標がユーザ端末3から入力される。 5 ここでは、1)日時、2)場所、3)学習内容の入力が求められたとし、 ユーザにより、1)日時:毎日夜10時〜10時半、2)場所:家、3)学習内容:教科書1頁分、覚える英単語と英文をノートに書き出すと入力されたとする。この場合、短期的学習目標は、ユーザ情報管理部22によりユーザ目標情報記憶部U3に記憶される。なお、長期的学習目標10 と短期的学習目標は、ユーザ目標情報記憶部U3内でそれぞれ別々の場所に分類して記憶することができる。また、長期的学習目標および短期的学習目標は、それぞれ1つずつの目標であってもよいし、それぞれ複数の目標であってもよい。 【0040】15 つぎに、アバター管理部21は、現在の日時を計時装置などにより把握し、ユーザ情報記憶部27aを参照して、所定期間内にスケジュールがあるか否かを確認する(S6)。ここでは、長期的学習目標、短期的学習目標以外に、日常的なスケジュール(たとえば、「歯を磨く」)を含めてスケジュールを確認することができる。スケジュールがある場合には、 20 S7においてアバター管理部21により、アバターがユーザ端末3においてスケジュール確認のためのアバターコメントを出し(S7) スケジ、 ュールが特にない場合には、何もアバターコメントを出さずに、S6を繰り返すか、またはスケジュールに関連しない他のアバターコメントを出すことができる。スケジュール確認のアバターコメントとしては、 「も25 うすぐ夜10時です。教科書1頁分、覚える英単語と英文をノートに書き出す、を実行しましょう」などのアバターコメントを、アバターコメ43ント記憶部27cと、ユーザ目標情報記憶部U3を参照して作成して、 ユーザ端末3に出力する。 【0041】また、S7においては、スケジュールの予定時間の前には確認をせず5 に、スケジュールの予定時間の経過後に確認をしてもよいし、予定時間の前および後の両方で確認をしてもよい。スケジュールの予定時間の経過後に確認をする場合、たとえば、 「夜10時半になりました。教科書1頁分、覚える英単語と英文をノートに書き出す、は完了しましたか」などのアバターコメントを、アバターコメント記憶部27cと、ユーザ目10 標情報記憶部U3を参照して作成して、ユーザ端末3に出力する。ユーザはユーザ端末3から、「完了したよ」や、「終わった」などスケジュールが完了したことを示すユーザコメントを入力する(S8)。または、ユーザ端末3からのユーザコメントが未入力のままであるか、 「まだ」、 「できてないよ」など、スケジュールが完了していないユーザコメントが入15 力される。 【0042】S8において、ユーザコメントが入力されるか、またはユーザコメントが未入力の場合、アバター管理部21により、スケジュールが実行されたか否かの確認がされる(S9)。具体的には、予めスケジュールが完20 了したことを示す用語についての類語のリストをデータベース内に格納しておき、スケジュールが完了したことを示す用語がユーザ端末3に入力された場合に、スケジュールが完了したことが確認される。一方、予めスケジュールが完了していないことを示す用語についての類語のリストをデータベース内に格納しておいき、スケジュールが完了していない25 ことを示す用語がユーザ端末3に入力された場合に、スケジュールが未完了であることが確認される。また、ユーザ端末3からのユーザコメン44トが未入力の場合も、スケジュールが未完了であると確認するか、再度アバターコメントにより確認する。 【0043】スケジュールの実行が確認された場合には、S10において、 「よくが5 んばったね」とか、「明日もがんばってね」などのアバターコメントが、 アバター4を介してユーザ端末3に出力される。一方、スケジュールが未完了であることが確認されると、アバター4から「スケジュールが未完了だよ。代わりのスケジュールを入力してね」など、スケジュールの修正を依頼するアバターコメントが出される(S11)。これに対して、 10 ユーザは、その日の分の修正したスケジュールを出力する(S12)。たとえば、「じゃあ、今からやるよ」とか、「あと、30分たったらやる」とか出力された場合には、ユーザ目標情報記憶部U3内で短期的学習目標が更新され、更新された短期的学習目標に基づいて、再度アバター管理部21が、所定の時間経過後に再度ユーザにスケジュールの確認を行15 う(S9)。 (キ) 【0046】つぎに、図5のフローチャートを用いて、アバター4からのアバターコメントの選択プロセスについて説明する。アバター4からのアバターコメントは、基本的には予めアバターコメント記憶部27cに記憶され20 たアバターコメントを用いて出されるが、ユーザからのユーザコメントに応じて、制御部により、どの文面のアバターコメントをベースとするかが決定される。これにより、ユーザからのユーザコメントが蓄積されていくに従い、アバターコメントは、ユーザの学習内容や、嗜好に沿った内容となる。なお、図5のフローチャートの各工程についても、図425 と同様に一例を示したものであり、各工程の順序などは変更が可能である。また、図5の工程のうちの一部を省略したり、他の工程を追加する45ことも可能である。 【0047】まず、ユーザの基本情報など、ユーザ情報が入力される(S101)。 S101で入力されたユーザ情報に基づいて、アバターコメントが出さ5 れる(S102)。このアバターコメントに対して、ユーザからユーザコメントが出されると(S103)、出されたユーザコメントは、ユーザコメント記憶部U3に記憶される。記憶されたユーザコメントは、テキスト分析部23により分析され、キーワードが抽出される(S104)。テキスト分析部23による分析は、上述したように、形態素解析により名10 詞等の品詞を判別して抽出する形態素解析エンジンを用いることができ、 キーワードがユーザコメント記憶部U4に、アバターコメントの内容と関連付けて記憶され、蓄積される(S105)。また、そのキーワードを抽出した日時についても記憶される。 【0048】15 抽出されたキーワードに基づいて、さらにアバターコメントを出すこともできるが、ユーザの関心のある内容を正確に把握するために、キーワードが所定数蓄積された後に、キーワードに基づくアバターコメントを出すようにしてもよい(S106、S107)。すなわち、アバターコメントを複数回ユーザ端末3に出力した後、所定数、たとえばキーワー20 ドが10個以上蓄積されたかどうかを判断し(S106) キーワードが、 10個以上蓄積されている場合に、一番数の多いキーワードに関連するアバターコメントを選択するようにすることができる(S107) これ。 により、ユーザがその時点で一番関心のある事項に関連するアバターコメントを出すことができ、ユーザがアバター4との会話を楽しんだり、 25 学習への関心をより高めたりできる。なお、キーワードはユーザの入力の仕方により様々な表現となる可能性があるため、予めデータベース内46に類語として登録された(または手動・自動での更新がされた)分類により、同じ分類に属するキーワードは同じキーワードとして扱うことができる。たとえば、 「スマートフォン」と「スマホ」は同じキーワードとして扱われ、 「PC」 「パソコン」と は同じキーワードで扱うようにする。 5 【0049】また、アバター管理部21により、ユーザ端末3に、キーワードに関連するウェブサイトのリンクを出力することもできる(S107) そし。 て、リンク先のウェブサイトが閲覧されたかを判断し(S108)、リンク先のウェブサイトがユーザ端末3において閲覧された場合には、ウェ10 ブサイト上のテキストをテキスト分析部23が分析し、新たなキーワードを抽出し、抽出された新たなキーワードが、ユーザ情報記憶部27a(ユーザコメント記憶部U4またはユーザ嗜好情報記憶部U2など)に記憶されるようにしてもよい(S109)。同様に、キーワードに基づくアバターコメントにユーザから回答があったか否かを判断し(S108)、 15 回答があった場合に、新たなキーワードの抽出を行うことができる(S109)。新たなキーワードは、ユーザコメント記憶部U4に記憶され、 次のアバターコメント、リンクの表示に用いることができる(S110)。 【0050】なお、ユーザコメント記憶部U4に記憶されるキーワードのうち、現20 在から所定期間内のキーワードを用いるようにキーワードが更新され、 更新後のキーワードに基づいてアバターコメントがユーザ端末3に出力されるようにしても構わない。たとえば、用いるキーワードを現在の日時から3ヶ月以内のものだけを用いるようにすれば、半年以上前のキーワードは用いられないため、既に関心がなくなったキーワードが用いら25 れることがなく、最近のユーザに関心のあるアバターコメントを送るようにすることができる。 47【0051】なお、学習・生活支援システム1は、複数のユーザ端末3を備え、ユーザ情報記憶部27aに複数のユーザ端末3のユーザ情報が記憶され、 一のユーザ端末3により入力されたユーザ情報と他のユーザ端末3によ5 り入力されたユーザ情報とが関連する場合、アバター管理部21が、一のユーザ端末に、他のユーザ端末に関するアバターコメントを出力するように構成してもよい。たとえば、一のユーザ端末3のユーザであるA君が、長期的学習目標として、 「英語のテストで90点以上をとる」と入力しており、他のユーザ端末3のユーザであるB君が、ユーザコメント10 として「英語のテストで94点だったよ」と入力した場合に、A君のユーザ端末3において、アバター4から「B君が英語のテストで94点だったらしいよ」というアバターコメントをだすようにすることもできる。 このようにすることにより、同じ目標を共有したり、ライバル意識により学習意欲の向上を図ることができる。 15 イ 前記アによれば、乙8には、次のような開示があることが認められる。 (ア) 近年、受講生・生徒が、パーソナルコンピュータ、タブレット等を用いて、コンピュータ上で講師による講義を視聴することにより学習したり、講師と受講生・生徒又は受講生・生徒同士がコミュニケーションを取る方法を基調とするシステムを用いることにより、受講生・生徒は、 20 学習に対するモチベーションを高めて、学習効率を上げているが、一方で、そのようなコミュニケーションを取っている最中のモチベーションの向上だけでなく、受講生・生徒個人が一人だけでコンピュータ上で学習する場合にも、学習への意欲を高めることが求められている(【0002】 【0004】 。 、 )25 「本発明」は、インターフェイスとなるアバター(ユーザを象徴するキャラクタ)を表示し、受講生・生徒(システムに加入している一般・48社会人等のユーザ)が、一人で学習する時だけでなく、日常生活時においても役立つ学習 生活支援システムを提供することを目的とし、 ・ また、 ユーザ自身が設定したスケジュールの達成に向けて学習意欲を維持向上させることを可能にしたり、ユーザの「自己成長」を促進向上せる学習・5 生活支援システムを提供することを目的とするものである 【0005】。 ( )(イ) 「本発明」の学習・生活支援システムは、ネットワークを介して接続された学習・生活支援サーバとユーザ端末とを備え、アバターとユーザとの対話によりユーザの学習を支援する学習・生活支援システムであり(【0006】 、ユーザに特有のアバターコメントが各ユーザに向かっ)10 て出されるため、ユーザが定期的に同システムを利用する動機付けとなり、さらに、ユーザから入力された情報にスケジュールが含まれている場合は、アバターから、スケジュールの確認とともにスケジュールの内容に即したアバターコメントが送られることによって、スケジュールの達成に向けてユーザの学習意欲を高めることができるという効果を奏15 する(【0016】 。 )? 乙8を主引用例とする本件発明1の新規性の欠如についてア 乙8発明1について被控訴人は、乙8には、構成1aないし1hを有する乙8発明1(学習・生活支援サーバの発明)の記載がある旨主張する。 20 乙8記載の学習・生活支援サーバ2が構成1bないし1e、1gを有することは、当事者間に争いがない。 そこで、乙8の学習・生活支援サーバ2が、構成1a、1f、1hを有するかについて、以下、検討する。 (ア) 構成1aについて25 乙8の「まず、学習・生活支援システム1をユーザ端末3において立ち上げると、学習・生活支援サーバ2のユーザ情報管理部22からユー49ザ端末3に対してユーザ情報の入力を求められる。具体的には、ユーザの生年月日、性別、職業(学年)、ニックネーム、住所、起床・就寝時間、 趣味、行きたい場所、習慣などのユーザ情報の入力が求められる。ユーザ端末3により、ユーザ情報が入力されると(S1)、それぞれの内容に5 応じて、入力された内容がユーザ基本情報記憶部U1、ユーザ嗜好情報記憶部U2、ユーザ目標情報記憶部U3に分類されて記憶される。(」【0036】)との記載及び図4によれば、乙8記載の学習・生活支援サーバ2は、構成a(ユーザに対してユーザ情報の入力を求めるとともに、入力されたユーザ情報を分類して、記憶する処理を実施する制御部(ユー10 ザ情報管理部22))を有することが認められる。 (イ) 構成1fについて乙8には、学習・生活支援サーバ2に関し、「図3に示されるように、 学習・生活支援サーバ2は、アバター4を管理し、ユーザ端末3へアバター4からのアバターコメントを出力するアバター管理部21と、ユー15 ザ端末3から入力されたユーザ情報を管理するユーザ情報管理部22と、 入力されたユーザ情報を分析し、ユーザ情報に応じてキーワードを抽出するテキスト分析部23とを備えている。図3に示す実施形態では、さらにネットワークNを介して情報を収集するための情報収集部24と、 学習・生活支援システム1の他の機能、たとえば、学習にあたって授業20 等を配信する講師と受講生 生徒との間での双方向の教育システムなど、 ・学習に関するコンテンツを管理するコンテンツ管理部25とを備え、アバター管理部21、ユーザ情報管理部22、テキスト分析部23、情報収集部24、コンテンツ管理部25とが制御部として構成されている。 制御部は、少なくとも1つのCPU等を備え、ROM等に予め記憶され25 たプログラムを読み込んで実行することにより、アバター管理部21、 ユーザ情報管理部22、テキスト分析部23、情報収集部24、コンテ50ンツ管理部25等の機能を実行することが可能である。 (」 【0021】 、 )「テキスト分析部23は、ユーザ端末3から入力されたテキストまたは音声を分析し、そのテキストまたは音声によるユーザコメントや、ユーザ端末3からの入力情報から、キーワードを抽出する。 (」 【0026】 、 )5 「情報収集部24は、ユーザへ様々な情報を提供するために、情報を収集し、収集情報記憶部27dに記憶される。収集される情報としては、 ユーザ端末3からの入力情報に基づいて、たとえば抽出されたキーワードに基づいて、ウェブ上からキーワードに関連するウェブページを収集し、ウェブページのリンク情報を収集情報記憶部27dに記憶する。な10 お、情報収集部24により収集情報記憶部27dに記憶される情報は、 通信制御部26、ネットワークNを介してインターネット上のウェブページから収集してもよい」 【0027】 、 ( ) 「アバター管理部21により、 ユーザ端末3に、キーワードに関連するウェブサイトのリンクを出力することもできる(S107)。そして、リンク先のウェブサイトが閲覧さ15 れたかを判断し(S108) リンク先のウェブサイトがユーザ端末3に、 おいて閲覧された場合には、ウェブサイト上のテキストをテキスト分析部23が分析し、新たなキーワードを抽出し、抽出された新たなキーワードが、ユーザ情報記憶部27a(ユーザコメント記憶部U4またはユーザ嗜好情報記憶部U2など)に記憶されるようにしてもよい(S1020 9) 」 【0049】。( )との記載がある。 上記記載と図3及び5によれば、乙8記載の学習・生活支援サーバ2は、構成1f(ユーザによる入力情報から抽出されたキーワードに基づいて、ウェブ上からキーワードに関連するウェブページ及びウェブサイトのリンク情報を収集する制御部(情報収集部24))を有することが25 認められる。 (ウ) 構成1hについて51以上によれば、乙8記載の学習・生活支援サーバ2は、構成1aないし1gを有するから、構成1hを有することが認められる。 したがって、乙8には、乙8発明1が記載されていることが認められる。 5 イ 本件発明1と乙8発明1の対比乙8発明1の構成1bないし1e、1gが、本件発明1の構成要件1Bないし1E、1Gの構成にそれぞれ相当することは、当事者間に争いがない。 そこで、乙8発明1の構成1a、1f、1hが本件発明1の構成要件110 A、1F、1Hの構成にそれぞれ相当するかについて、以下、検討する。 (ア) 構成要件1Aについてa 乙8発明1の構成1aの「ユーザ情報」は、ユーザの属性や生活情報などに関する情報であるから、本件発明1の構成要件1Aの「個人情報」であり、構成1aの「入力されたユーザ情報を分類して、記憶15 する処理を実施する」との構成は、構成要件1Aの「ユーザから取得したい個人情報のうち幾つかを予め受け付ける」ことであるといえる。 そうすると、乙8発明1の構成1aは、本件発明1の構成要件1A(「ユーザから取得したい個人情報のうち幾つかを予め受け付ける第1受付手段」)の構成に相当することが認められる。 20 b これに対し、控訴人らは、@本件明細書の【0029】の記載から、本件発明1の構成要件1Aの「ユーザから取得したい個人情報のうち幾つかを予め受け付ける第1受付手段」にいう「第1受付手段」は、「タッチパネル114」と「制御部101」と「記憶部102」とによって実現できるものであると解釈できる、A乙8記載の「学25 習・生活支援サーバ2」は、「タッチパネル114」のようなユーザインタフェースを有しておらず、この点において、「第1受付手段」52に相当する構成を備えていない、したがって、乙8発明1の構成1aは、構成要件1Aの「第1受付手段」に相当するものでない旨主張する。 しかしながら、本件特許の特許請求の範囲(請求項1)には、本件5 発明1の「ユーザから取得したい個人情報のうち幾つかを予め受け付ける第1受付手段」を「タッチパネル」のようなユーザインタフェースを有するものに限定する記載はないから、控訴人らの上記主張は、 その前提において採用することができない。 (イ) 構成要件1Fについて10 a 乙8発明1において、ウェブサイトのリンク情報は、ユーザ端末に出力されるもの(構成1e)であり、構成要件1Fの「ユーザに対して提案すべき情報」に該当する。そして、当該リンク情報は、 「個人情報」であるユーザによる入力情報から抽出されたキーワードに基づいて、ウェブ上からキーワードに関連するリンク情報として収集される15 ものであるから、構成要件1Fの「前記個人情報に基づいてウェブサイトから前記ユーザに対して提案すべき情報」に該当する。また、乙8発明1の制御部は、当該リンク情報を収集するものであるから、構成要件1Fの「提案すべき情報を取得する手段」に該当する。 したがって、乙8発明1の構成1fは、構成要件1Fの構成に相当20 する。 b これに対し、控訴人らは、@「提案」の用語の意義等(甲10、17、18)、本件明細書の【0115】【0017】の記載及び技術常、 識を踏まえれば、本件発明1の構成要件1Fの「提案すべき情報」とは、?ウェブサーバに蓄積されているウェブサイトを構成するウェブ「25 ページに記載されており、?情報提供装置のブラウザの機能によって当該ウェブページに割り当てられているURLを用いて当該ウェブサ53ーバにアクセスすることによって取得される、?ユーザに対して意見を提出する上で妥当な情報」と解釈できるところ、構成1fの「ウェブページ」やその「リンク(URL)」は、上記?ないし?のいずれも満たしていないから、構成要件1Fの「提案すべき情報」に該当しな5 い、A本件明細書の【0115】 【0017】の記載及び技術常識を、 踏まえれば、本件発明1の構成要件1Fの「提案すべき情報を取得する手段」とは、「食事と健康とに関する情報(提案すべき情報)」が記載されているウェブページに割り当てられているURLを用いてウェブサーバにアクセスし、それに応じて当該ウェブサーバがウェブサイ10 トから発信する「提案すべき情報」を取得する手段を意味するものであり、ウェブに「「URL」を送信」して、それに対応するウェブページにある「提案すべき情報」を受信するものであると理解できるところ、乙8発明1の学習・生活支援サーバが行う、キーワードに基づきURL(リンク)を収集して「出力」するという機能と、構成要件115 Fの「提案すべき情報を取得する手段」が行う、URL(リンク)に基づきウェブページにある情報等を受信し、これをユーザに対して「提供」するという機能は、全く異なるから、乙8発明1の構成1fは、 構成要件1Fの「提案すべき情報を取得する手段」に相当するものとはいえない旨主張する。 20 しかしながら、@については、本件特許の特許請求の範囲の請求項1の記載によれば、本件発明1の構成要件1Fの「前記ユーザに対して提案すべき情報」は、構成要件1Eの「受け付けられた個人情報に基づいて前記ユーザに対して提案を行う提案手段」を受けて規定されているものであり、ユーザに対して提案される何らかの情報を指すも25 のと理解されるが、請求項1には、その情報の種類や内容を限定する記載はない。 54次に、本件明細書には、上記「提案すべき情報」について定義する記載や、これを限定して解釈する根拠となる記載は見当たらない。なお、控訴人らが指摘する【0017】 【0115】の記載は、ウェブ、 サーバから情報を取得する一実施例を説明したものにすぎず、 「提上記5 案すべき情報」を限定して解釈する根拠となるものではない。 そして、乙8発明1のウェブサイトのリンク情報は、ユーザ端末に出力されることによって提案される(構成1e)情報であるから、上記「提案すべき情報」に該当するものといえる。 次に、Aについては、本件特許の特許請求の範囲の請求項1の記載10 によれば、本件発明1の構成要件1Fの「提案すべき情報を取得する手段」については、上記「提案すべき情報」を取得する手段であること以上の限定はなく、本件明細書の記載を見ても、これを限定して解釈する根拠となる記載は見当たらない。また、控訴人らが指摘する【0017】 【0115】の記載は、上記のとおり、ウェブサーバから情、 15 報を取得する一実施例を説明したものにすぎず、上記「手段」を限定して解釈する根拠となるものではない。 そして、乙8発明1の構成1fの制御部は、上記のとおり「提案すべき情報」に該当するウェブサイトのリンク情報を収集するものであるから、「提案すべき情報」を取得する手段であるといえる。 20 以上によれば 控訴人らの上記主張は、理由がない。 (ウ) 構成要件1Hについてa 乙8発明1の学習・生活支援サーバ2は、本件発明1の構成要件1Hの「情報提供装置」に相当するものである。 b これに対し、控訴人らは、本件発明1の構成要件1Hの「情報提供25 装置」 「ユーザから取得したい個人情報のうち幾つかを予め受け付は、 ける第1受付手段と、 という構成要件1Aを含む各手段等を備えるも」55のであり、本件明細書の【0029】の記載から、構成要件1Aの「第1受付手段」は、 「タッチパネル114」と「制御部101」と「記憶部102」とが協働して実現することができるものと解釈すべきであるところ、乙8発明1の構成1hの「学習・生活支援サーバ」は、 「タ5 ッチパネル114」のようなユーザインタフェースを有していないから、本件発明1の構成要件1Hの「情報提供装置」と、乙8発明1の構成1hの「学習・生活支援サーバ」は、ユーザインタフェースの有無という点で相違すると主張する。 しかるところ、本件発明1の構成要件Hの「情報提供装置」は、構10 成要件1Aの「第1受付手段」を備えるものであるが、前記(ア)bのとおり、本件特許の特許請求の範囲(請求項1)には、本件発明1の「ユーザから取得したい個人情報のうち幾つかを予め受け付ける第1受付手段」を「タッチパネル」のようなユーザインタフェースを有するものに限定する記載はないから、控訴人らの上記主張は、その前提15 において採用することができない。 したがって、控訴人らの上記主張は、理由がない。 ウ まとめ以上によれば、乙8発明1は、本件発明1の構成要件1Aないし1Hの構成を全て有するから、本件発明1は、乙8発明1と同一の発明であるも20 のと認められる。 したがって、本件発明1に係る本件特許には、新規性欠如の無効理由(特許法29条1項3号、123条1項2号)がある。 (3) 乙8を主引用例とする本件発明5の新規性の欠如についてア 乙8発明5について25 被控訴人は、乙8には、構成5aないし5hを有する乙8発明5(プログラムの発明)の記載がある旨主張する。 56乙8記載のプログラムが構成5bないし5e、5gを有することは、当事者間に争いがない。 そこで、乙8記載のプログラムが、構成5a、5f、5hを有するかについて、以下、検討する。 5 (ア) 構成5a及び5fについて乙8の学習・生活支援サーバ2が構成1a及び1fを有することは、 前記(2)ア(ア)及び(イ)のとおりである。 そして、乙8の【0021】の「制御部は、少なくとも1つのCPU等を備え、ROM等に予め記憶されたプログラムを読み込んで実行する10 ことにより、アバター管理部21、ユーザ情報管理部22、テキスト分析部23、情報収集部24、コンテンツ管理部25等の機能を実行することが可能である。」との記載によれば、乙8記載のプログラムは、構成5a(ユーザ端末を介して入力されたユーザ情報を分類して、記憶する処理を制御部(ユーザ情報管理部22)に実行させるステップ)及び構15 成5f(ユーザによる入力情報から抽出されたキーワードに基づいて、 ウェブ上からキーワードに関連するウェブページ及びウェブサイトのリンク情報を収集する処理を制御部(情報収集部24)に実行させるステップ)を有することが認められる。 (イ) 構成5hについて20 以上によれば、乙8記載のプログラムは、構成5aないし5gを有するから、構成5hを有することが認められる。 したがって、乙8には、乙8発明5が記載されていることが認められる。 イ 本件発明5と乙8発明5の対比25 乙8発明5の構成5bないし5e、5gが、本件発明5の構成要件5Bないし5E、5Gの構成にそれぞれ相当することは、当事者間に争いがな57い。 そこで、乙8発明5の構成5a、5f、5hが本件発明5の構成要件5A、5F、5Hの構成にそれぞれ相当するかについて、以下、検討する。 (ア) 構成要件5Aについて5 前記(2)イ(ア)と同様の理由により、乙8発明5の構成5aは、本件発明5の構成要件5Aの構成に相当することが認められる。 これに反する控訴人らの主張は理由がない。 (イ) 構成要件5Fについて乙8発明5において、ウェブサイトのリンク情報は、ユーザ端末に出10 力されるもの(構成5e)であり、構成要件5Fの「ユーザに対して提案すべき情報」に該当する。そして、当該リンク情報は、 「個人情報」であるユーザによる入力情報から抽出されたキーワードに基づいて、ウェブ上からキーワードに関連するリンク情報として収集されるものであるから、構成要件5Fの「前記個人情報に基づいてウェブサイトから前記15 ユーザに対して提案すべき情報」に該当する。また、乙8発明5の構成5fのステップは、当該リンク情報を収集する制御部にその収集する処理を実行させるステップであるから、構成要件5Fの「提案すべき情報を取得するステップ」に該当する。 したがって、乙8発明5の構成5fは、本件発明5の構成要件5Fの20 構成に相当することが認められる。 これに反する控訴人らの主張は理由がない。 (ウ) 構成要件5Hについて乙8発明5の構成5hは、「上記5aないし5gに係るステップを学習・生活支援サーバ2に実行させるプログラム」であるところ、 「学習・25 生活支援サーバ2」は本件発明5の「情報提供装置」に相当するものであり、構成5hのプログラムは、これに実行させるプログラムであるか58ら、本件発明5の構成要件5Hの「情報提供装置に実行させる情報提供プログラム」に相当することが認められる。 これに反する控訴人らの主張は理由がない。 ウ まとめ5 以上によれば、乙8発明5は、本件発明5の構成要件5Aないし5Hの構成を全て有するから、本件発明5は、乙8発明5と同一の発明であるものと認められる。 したがって、本件発明5に係る本件特許には、新規性欠如の無効理由(特許法29条1項3号、123条1項2号)がある。 10 (4) 控訴人らによる訂正の再抗弁の主張について当裁判所は、令和4年9月22日の当審第1回口頭弁論期日において、控訴人らが同月5日付け控訴人ら第4準備書面に基づいて提出した訂正の再抗弁の主張について、被控訴人の申立てにより、時機に後れた攻撃防御方法に当たるものとして却下したが、その理由は、以下のとおりである。 15 ア 一件記録によれば、@被控訴人は、令和元年12月19日の原審第1回弁論準備手続期日において、本件発明5に係る本件特許に乙8を主引用例とする新規性欠如及び進歩性欠如の無効理由(本件の争点4−1及び4−3)等が存在するとして無効の抗弁を主張し、令和3年7月20日の原審第3回弁論準備手続期日において、本件発明1に係る本件特許に乙8を主20 引用例とする新規性欠如及び進歩性欠如の無効理由が存在するとして無効の抗弁を追加して主張したこと、Aその上で、控訴人らが、同年9月29日の原審第4回弁論準備手続期日において、他に主張、立証はない旨陳述した後、同日、原審が、口頭弁論を終結し、同年12月9日、被控訴人が主張する上記無効の抗弁を認めて控訴人らの請求を棄却する原判決を25 言い渡したこと、Bその後、控訴人らは、当審において、令和4年7月21日に書面による準備手続が終結するまで、訂正の再抗弁の主張をしなか59ったことが認められる。 イ 以上を前提に検討するに、本件特許権の侵害論に関する抗弁の主張は、 本来、原審において適時に行うべきものであるところ、控訴人らは、原審において、令和3年9月29日の原審第4回弁論準備手続期日において、 5 他に主張、立証はない旨陳述するまでの間に、当審で主張する訂正の再抗弁の主張をしなかったものである。加えて、控訴人らは、原審が原判決において被控訴人が主張する上記無効の抗弁を認めた判断をしたにもかかわらず、当審における争点整理手続においても、書面による準備手続が終結するまで、訂正の再抗弁の主張をしなかったものであることからすると、 10 当審における上記訂正の再抗弁の主張は、控訴人らの少なくとも重大な過失により時機に後れて提出された攻撃防御方法であるというべきである。 そして、当審において、控訴人らに訂正の再抗弁の主張を許すことは、 被控訴人に対し、上記主張に対する更なる反論の機会を与える必要が生じ、 これに対する控訴人らの再反論等も想定し得ることから、これにより訴訟15 の完結を遅延させることとなることは明らかである。 そこで、当審は、民事訴訟法297条において準用する同法157条1項に基づき、控訴人らの訂正の再抗弁の主張を却下したものである。 (5) 小括よって、被控訴人主張の無効理由1は理由があるから、特許法104条の20 3第1項の規定により、控訴人らは、被控訴人に対し、本件発明1及び5に係る本件特許権に基づいて、権利行使をすることができない。 第4 結論以上によれば、その余の点について判断するまでもなく、控訴人らの請求は、 理由がない。 25 したがって、控訴人らの請求を棄却した原判決は相当であり、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとして、主文のとおり判決する。 60知的財産高等裁判所第1部5 裁判長裁判官 大 鷹 一 郎裁判官 小 川 卓 逸10裁判官 遠 山 敦 士61(別紙1)【図1】 【図2】510【図3】 【図4】15202562【図5】 【図12】510【図13】 【図14】152063【図16】64(別紙2)【図1】 【図2】51015 【図3】65【図4】 【図5】66 |
事実及び理由 | |
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全容
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