運営:アスタミューゼ株式会社
  • ポートフォリオ機能


追加

関連審決 不服2020-4104
元本PDF 裁判所収録の全文PDFを見る pdf
元本PDF 裁判所収録の別紙1PDFを見る pdf
元本PDF 裁判所収録の別紙2PDFを見る pdf
元本PDF 裁判所収録の別紙3PDFを見る pdf
事件 令和 3年 (行コ) 10004号 手続却下の処分取り消し請求控訴事件

控訴人X
被控訴人国 処分行政庁 特許庁長官 処分行政庁特許庁審査官
同 指定代理人石井広太朗 福井聖二 大江摩弥子 加茂絢弓 尾崎友美
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2022/04/14
権利種別 特許権
訴訟類型 民事訴訟
主文 1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。
事実及び理由
控訴の趣旨
1 原判決を取り消す。
2 特願2019-86601号について、特許庁審査官が令和2年2月20日 付けでした拒絶をすべき旨の査定を取り消す。
3 控訴人の令和2年11月23日付け提出の意見書について、特許庁長官が令 1 和3年3月11日付けでした手続却下の処分を取り消す。
4 特許庁審査官は、控訴人に対し、特願2019-86601号について、特 許をすべき旨の査定をせよ。
事案の概要(略称は、特に断りのない限り、原判決に従う。)
1 事案の要旨 本件は、発明の名称を「ボトルキャップ開けホルダー」とする発明について 特許出願(特願2019-86601号。以下「本件出願」という。)をした控 訴人が、本件出願について拒絶査定(以下「本件拒絶査定」という。)を受けた ため、拒絶査定不服審判(不服2020-4104号事件。以下「本件審判」 という。)を請求するとともに、特許請求の範囲について手続補正(以下「本件 補正」という。)をしたが、特許庁が令和2年10月27日に本件補正を却下す る旨の決定をした上で、本件審判の請求は成り立たないとの審決(以下「本件 審決」という。)をしたため、特許庁長官に対し、本件審決を取り消し、本件出 願について特許査定をすべきである旨の令和2年11月24日付け意見書(以 下「本件意見書」という。)を提出したが、特許庁長官から、令和3年3月11 日付けで本件意見書に係る手続を却下する旨の処分(以下「本件処分」という。) を受けたことから、特許庁審査官の本件拒絶査定の判断に誤りがある旨主張し て、本件拒絶査定の取消し、本件処分の取消し及び本件出願について特許査定 をすることの義務付けを求める事案である。
原審は、本件訴えのうち、本件拒絶査定の取消しを求める部分及び本件出願 について特許査定をすることの義務付けを求める部分はいずれも不適法である としてこれらを却下し、本件処分の取消しを求める部分は理由がないとしてこ れを棄却した。
そこで、控訴人が、原判決を不服として本件控訴を提起した。
なお、控訴人は、原審において、上記各請求と併せて、本件審決の取消しを 求めていたが、原審は、令和3年10月25日の原審第2回口頭弁論期日にお 2 いて、民事訴訟法16条1項に基づき、本件審決の取消しを求める部分の訴え を知的財産高等裁判所に移送する旨の決定をし、その後、同決定は確定した。
2 争点及びこれに関する当事者の主張 以下のとおり当審における控訴人の主張を付加するほか、原判決の「事実及 び理由」の第2の2記載のとおりであるから、これを引用する。
(当審における控訴人の主張) 別紙「控訴状」(写し)の「第3 控訴の理由」、別紙「控訴状訂正申立書」 (写し)及び別紙「答弁書」(写し)記載のとおり
当裁判所の判断
1 当裁判所も、本件訴えのうち、本件拒絶査定の取消しを求める部分及び本件 出願について特許査定をすることの義務付けを求める部分は、いずれも不適法 であり、本件処分の取消しを求める部分は理由がないものと判断する。
その理由は、以下のとおり訂正するほか、原判決の「事実及び理由」の第3 記載のとおりであるから、これを引用する。
(1) 原判決5頁18行目の「請求した」を「請求するとともに、本件補正をし た」と、同頁19行目の「付けで」を「、本件補正を却下した上で」と改め る。
(2) 原判決8頁19行目末尾に行を改めて次のとおり加える。
「(3) 当審における控訴人の主張は、要するに、本件出願に係る「本発明」 (本考案)は、片手でボトルを押さえ又掴み一方の手で使用する従来の 補助具には、片手の不自由な人が難儀していたという問題点があり、
「本 発明」 (本考案)は、かかる問題点を解決するものであるが、特許庁審査 官は、「本発明」(本考案)の上記特徴を見誤り、本件拒絶査定をしたも のであるから、本件拒絶査定は誤りである、本件処分及び原判決は、特 許庁審査官の上記判断が誤りであるとの控訴人の主張に対して無回答の まま、独自の判断で控訴人の主張は理由がないとしたものであるから、
3 不当である旨をいうものと解される。
しかしながら、特許法は、拒絶査定を受けた者がその査定に不服があ るときは、拒絶査定不服審判を請求することができ、特許庁がした上記 請求を不成立とする審決に不服のある者は、その審決の取消しを求める 審決取消訴訟を提起することができる旨定めていること(121条1項
178条1項、2項、6項等)に鑑みると、本件拒絶査定の誤りは、か かる拒絶査定不服審判及び審決取消訴訟の手続において是正されるべき ものであるところ、控訴人の上記主張は、これとは異なる手続で本件拒 絶査定の誤りの是正を求めるものであるから、その前提において採用す ることができない。」2 以上によれば、原判決は相当であり、本件控訴は理由がないから、これを棄 却することとし、主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 大鷹一郎
裁判官 小川卓逸
裁判官 小林康彦