関連審決 |
無効2019-800006 |
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事件 |
令和
3年
(行ケ)
10054号
審決取消請求事件
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5 原告 ファーストフェイスカンパ ニー リミテッド 10 同訴訟代理人弁護士 城山康文 同 後藤未来 同訴訟代理人弁理士 金山賢教 同 市川祐輔 15 被告 AppleJapan合同 会社 20 同訴訟代理人弁護士 北原潤一 同 米山朋宏 同 梶並彰一郎 |
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裁判所 | 知的財産高等裁判所 |
判決言渡日 | 2022/03/28 |
権利種別 | 特許権 |
訴訟類型 | 行政訴訟 |
主文 |
1 原告の請求を棄却する。 25 2 訴訟費用は原告の負担とする。 3 この判決に対する上告及び上告受理の申立てのための付加期1間を30日と定める。 |
事実及び理由 | |
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請求
特許庁が無効2019-800006号事件について令和2年12月24 5 日にした審決中、「特許第6353363号の請求項1、4に記載された発明 についての特許を無効とする。」との部分を取り消す。 |
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事案の概要
1 特許庁における手続の経緯等(当事者間に争いがない。) (1) 原告は、2012年(平成24年)10月17日を国際出願日とし、発明10 の名称を「移動通信端末機の活性化時に、特定動作が行われるようにするた めの方法、及び移動通信端末機」とする特許出願(特願2014-5369 82号)をし(パリ条約による優先権主張外国庁受理2011年10月19 日、韓国。以下、この日付を「本件優先日」という。)、平成30年6月1 5日、特許権の設定登録(特許第6353363号。請求項の数10。)を15 受けた(以下、この特許を「本件特許」という。)。 (2) 被告は、平成31年1月30日、特許庁に対し、本件特許の請求項1及び 4について特許無効審判(無効2019-800006号)を請求した。 原告は、令和2年5月20日、請求項1ないし4、9について訂正する旨 の訂正請求(以下「本件訂正請求」という。)をした。 20 特許庁は、令和2年12月24日、本件訂正請求を認めた上で、「特許第 6353363号の請求項1、4に記載された発明についての特許を無効と する。」との審決(以下「本件審決」という。)をし、その謄本は同年12 月28日原告に送達された。 ? 原告は、令和3年4月26日、本件審決の取消しを求める本件訴訟を提起25 した。 2 特許請求の範囲の記載 2 訂正後の請求項1及び4の特許請求の範囲の記載は、次のとおりである(下 線部が本件訂正請求による訂正〔以下「本件訂正」という。〕がされた部分。 以下、請求項1に係る発明を「本件発明1」、請求項4に係る発明を「本件発 明2」といい、包括して「本件各発明」という。)。 5 【特許請求の範囲】 【請求項1】 ディスプレイ部と、メモリ手段と通信部とを備えた移動通信端末機であって、 前記移動通信端末機は、前記移動通信端末機の非活性状態から前記移動通信 端末機の活性状態への切り替えのために、前記非活性状態にあるときに使用者10 による操作入力を受け付ける活性化ボタンを備え、 前記非活性状態とは、前記移動通信端末機が通信可能な状態で、かつ、前記 ディスプレイ部がオフの状態と定義し、前記活性状態とは、前記移動通信端末 機が通信可能で、かつ、前記ディスプレイ部がオンの状態であると定義され、 前記非活性状態にあるときに使用者による前記操作入力を受け付けると、前15 記ディスプレイ部にロック画面が表示された前記活性状態へ切り替え、 前記使用者による追加の操作なしに、指紋認識による使用者識別機能が、前 記非活性状態から前記ロック画面が表示された前記活性状態への前記切り替え のための前記操作入力により行われ、 前記活性化ボタンにおいて前記非活性状態にあるときに前記操作入力を受け20 付けると、前記使用者識別機能による認証の結果に関わらず、前記ディスプレ イ部をオンにし前記活性状態へ切り替え、 前記使用者識別機能による認証の結果、前記使用者が正当な使用者と認証さ れなければ、前記移動通信端末機のロック状態を維持するとともに、前記ディ スプレイ部にメッセージを表示するよう構成されることを特徴とする移動通信25 端末機。 【請求項4】 3 前記ロック画面には、現在の時間を表示することができ、 前記活性化ボタンにより得た指紋と、既に保存された使用者の指紋情報と比 較して前記指紋認識を行うこと、 を特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の移動通信端末機。 5 3 本件審決の理由の要旨 ? 本件審決の理由の要旨は、本件各発明は、本件特許出願の優先日前に公然 実施されていたiOS4.2又は4.3を搭載したiPhone4である発 明(以下「公然実施発明」という。)及び特表2010-541046号公 報(甲3。以下「甲3文献」という。)に記載された発明(以下「甲3発明」10 という。 に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、 ) 被告主張の進歩性欠如(特許法29条2項違反)の無効理由は理由があると いうものである。 各論点に関する理由の要旨は、以下のとおりである。 ? 本件発明1の進歩性について15 ア(ア) 公然実施発明の内容について ディスプレイと、メモリと通信部とを備えたスマートフォンであって、 前記スマートフォンには、スリープ状態とスリープ解除状態とがあり、 スリープ状態とは、スマートフォンが通信可能な状態で、かつ、ロック してディスプレイをオフにした状態のことであり、スリープ解除状態と20 は、スマートフォンが通信可能な状態で、かつ、ディスプレイをオンに した状態のことであり、 さらに、前記スマートフォンは、ホームボタンを備え、スリープ状態 にあるときに、ユーザがホームボタンを押すと、ディスプレイがオンと なり、スリープ状態からスリープ解除状態へ切り替えるとともに、ロッ25 ク画面が表示され、 加えて、前記スマートフォンには、パスコードを入力することによる 4 使用者識別機能として、スリープ状態においてホームボタンを押して、 ロック画面においてスライダをドラッグした後、4ケタのパスコードを 入力したときに、認証を行う構成が備えられている、 スマートフォン。 5 (イ) 本件発明1と公然実施発明の一致点及び相違点について <一致点> ディスプレイ部と、メモリ手段と通信部とを備えた移動通信端末 機であって、 前記移動通信端末機は、前記移動通信端末機の非活性状態から前記10 移動通信端末機の活性状態への切り替えのために、前記非活性状態に あるときに使用者による操作入力を受け付ける活性化ボタンを備え、 前記非活性状態とは、前記移動通信端末機が通信可能な状態で、か つ、前記ディスプレイ部がオフの状態と定義し、前記活性状態とは、 前記移動通信端末機が通信可能で、かつ、前記ディスプレイ部がオン15 の状態であると定義され、 前記非活性状態にあるときに使用者による前記操作入力を受け付け ると、前記ディスプレイ部にロック画面が表示された前記活性状態へ 切り替え、 使用者識別機能を備え、 20 前記活性化ボタンにおいて前記非活性状態にあるときに前記操作入 力を受け付けると、前記使用者識別機能による認証の結果に関わらず、 前記ディスプレイ部をオンにし前記活性状態へ切り替える、 移動通信端末機。 <相違点1>25 「使用者識別機能」に関して、本件発明1では、「前記使用者によ る追加の操作なしに、指紋認識による使用者識別機能が、前記非活性 5 状態から前記ロック画面が表示された前記活性状態への前記切り替え のための前記操作入力により行われ」るのに対し、公然実施発明では、 「パスコードを入力することによる使用者識別機能」が「スリープ状 態においてホームボタンを押して、ロック画面においてスライダをド 5 ラッグした後、4ケタのパスコードを入力したときに、認証を行う」 ものである点。 この点に伴い、本件発明1では、「前記使用者識別機能による認証 の結果、前記使用者が正当な使用者と認証されなければ、前記移動通 信端末機のロック状態を維持するとともに、前記ディスプレイ部にメ10 ッセージを表示するよう構成される」のに対し、公然実施発明では、 この点が特定されていない点。 イ 相違点1の容易想到性について (ア) 甲3発明の内容について ユーザをシームレスに認証するための、ユーザに可視表示を提供する15 ディスプレイ回路とホームボタンとを備える携帯電話であって、 ユーザが押下したことを受信する前記ホームボタンと、 前記ホームボタンの背後に配置されたセンサであって、ユーザが前記 ホームボタンを押下したことを受信した時、ユーザからの明示的な入力 を要求することなく、ユーザの指紋の特徴を検出するセンサと、 20 ライブラリに格納された指紋の情報と検出した前記ユーザの指紋の特 徴とを比較することで、前記ユーザの指紋の特徴がライブラリに格納さ れた指紋の情報に適合するか、適合しないかが判定され、適合する、す なわち、ユーザが許可されていると判定した場合は、ユーザに制限され たリソースへのアクセスを提供し、適合しない、すなわち、ユーザが許25 可されていないと判定した場合は、認証を行うようユーザに指示するプ ロセッサと、 6 を備えること。 (イ) 公然実施発明のスマートフォンも甲3発明の携帯電話も携帯通信 端末機であるといえる。そして、公然実施発明は、「スリープ状態にお いてホームボタンを押して、ロック画面においてスライダをドラッグし 5 た後、4ケタのパスコードを入力したときに、認証を行う」ものである ところ、公然実施発明の「スリープ状態においてホームボタンを押」す ことは、スリープ状態にあるスマートフォンのホームボタンを押して 「デバイス機能を有効にする前、または、デバイスリソースにアクセス する前」に「起動する」ことといえ、公然実施発明の「4ケタのパスコ10 ードを入力したときに、認証を行う」ことは、甲3発明が技術課題の前 提として例示する「デバイスのホームスクリーンまたはメニューを表示 する前に、4つの数字または4つの文字のPINを入力するよう、ユー ザに要求すること」に該当する。 そうすると、甲3文献に接した当業者であれば、公然実施発明には、 15 スリープ状態においてホームボタンを押してから認証を経てデバイスに アクセスできるまでの一連の動作に関して、甲3発明と共通の技術課題 (デバイスのホームスクリーンまたはメニューを表示する前に、4つの 数字または4つの文字のPINを入力するよう、ユーザに要求すること は、パスコードが知られると、制限メカニズムの効果がなくなりなり、 20 パスワードまたはパスコードを忘れて、許可ユーザがデバイスにアクセ スできなくなる場合もある。)が存在することを想起するものといえ、 公然実施発明には、許可されていない人物がユーザの個人情報にアクセ スし閲覧することを防ぐため、デバイス機能を有効にする前またはデバ イスリソースにアクセスする前の起動する時に、デバイスが迅速かつシ25 ームレスにユーザを認証することを目的とした甲3発明を適用する動機 付けがある。 7 (ウ) 甲3発明は、ユーザがホームボタンを押下したことを受信した時、 ユーザによる追加の操作なしに、指紋認識による使用者識別機能が行わ れ、前記使用者識別機能による認証の結果、前記ユーザが正当なユーザ と認証されなければ、認証を行うようにユーザに指示し、前記ユーザに 5 制限されたリソースへのアクセスを提供しない構成を有し、これは、本 件発明1の指紋認識による使用者識別機能が行われ、前記使用者識別機 能による認証の結果、前記使用者が正当な使用者と認証されなければ、 前記移動通信端末機のロック状態を維持することに相当する。 甲3文献の【0032】によれば、甲3発明においても、ユーザへの10 指示を、通知を表示することによって行うことが想定されており、移動 通信端末機において、ロック解除時に誤った認証情報を入力するとエラ ーメッセージが表示されることは、本件優先日時点において、周知慣用 技術であった。 公然実施発明に甲3発明を適用する動機付けはあること、甲3発明で15 通知を表示することによってユーザに指示することは想定の範囲であり、 周知慣用技術を採用して適宜なし得る設計事項であることから、ユーザ がホームボタンを押下したことを受信した時、ユーザによる追加の操作 なしに、指紋認識による使用者識別機能が行われるために、公然実施発 明において、スリープ状態においてホームボタンを押したことを受信し20 た時、「スライダをドラッグした後、4ケタのパスコードを入力する」 ことなしに、指紋認識による使用者識別機能が行われ、前記ユーザが正 当なユーザと認証されなければ、通知を表示することによって認証を行 うようにユーザに指示し、前記ユーザに制限されたリソースへのアクセ スを提供しないように構成することは、当業者であれば容易に想到し得25 る。 (エ) 被請求人(本件原告)は、本件発明1におけるロック画面に関する 8 構成が甲3文献に開示されていないから、公然実施発明に甲3発明を組 み合わせても、相違点1に係る本件発明1の構成を容易に想到すること ができない旨主張するが、ロック画面について本件各発明の明細書は明 確に定義しておらず、本件発明1で特定されるロック画面は、「前記非 5 活性状態にあるときに使用者による前記操作入力を受け付けると,前記 ディスプレイに」「表示され」る画面のことであり、「起動する時に、 デバイスが迅速かつシームレスにユーザを認証する」ために「ユーザが ホームボタンを押下したことを受信した時、ユーザによる追加の操作な しに、指紋認識による使用者識別機能」を行う甲3発明は、「ユーザが10 ホームボタンを押下したことを受信した時」に「ロック画面」が表示さ れているか否かにかかわらず適用できるものである。 ? 本件発明2の進歩性について ア 本件発明2と公然実施発明の相違点について 相違点1に加えて、以下の相違点がある。 15 <相違点2> 本件発明2では、「前記活性化ボタンにより得た指紋と、既に保存され た使用者の指紋情報と比較して前記指紋認識を行う」のに対し、公然実施 発明ではこの特定がない点。 <相違点3>20 本件発明2では、「前記ロック画面には、現在の時間を表示することが でき」るのに対し、公然実施発明ではこの点が特定されていない点。 イ 相違点1ないし相違点3の容易想到性について (ア) 甲3発明は本件発明2の「前記活性化ボタンにより得た指紋と、既 に保存された使用者の指紋情報と比較して前記指紋認識を行う」構成も25 有する。 よって、相違点1及び2に係る本件発明2の発明特定事項は、公然実 9 施発明に対して甲3発明を適用することで当業者が容易に想到し得る。 (イ) 相違点3については、スマートフォンにおいて、スリープ時にホー ムボタンが押された際、使用者が設定した背景画面に、現在時間等の非 常に簡単な情報だけが表示されている画面は「ロック画面」であるから、 5 公然実施発明のスリープ状態にあるときに、ユーザがホームボタンを押 すと、表示されるロック画面に現在の時間が表示できるようにすること は、当業者が適宜になし得る。 |
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当事者の主張
1 取消事由1(本件発明1の進歩性の判断の誤り)10 ? 原告の主張 ア 相違点の認定に誤りがあることについて (ア) 本件発明1と公然実施発明の相違点は、以下のとおりに認定される べきである。 【相違点1´】15 「前記非活性状態にあるときに使用者による前記操作入力を受け付け ると、前記ディスプレイ部にロック画面が表示された前記活性状態へ 切り替え、前記使用者による追加の操作なしに、指紋認識による使用者 識別機能が、前記非活性状態から前記ロック画面が表示された前記活 性状態への前記切り替えのための前記操作入力により行われ、 との構 」20 成 【相違点2´】 「前記使用者識別機能による認証の結果、前記使用者が正当な使用者 と認証されなければ、前記移動通信端末機のロック状態を維持するとと もに、前記ディスプレイ部にメッセージを表示するよう構成されること25 を特徴とする」との構成 【相違点3´】 10 「前記活性化ボタンにおいて前記非活性状態にあるときに前記操作入 力を受け付けると、前記使用者識別機能による認証の結果に関わらず、 前記ディスプレイ部をオンにし前記活性状態へ切り替え、」との構成 (イ) 公然実施発明の「ロック画面」は、使用者識別機能(認証)を行う 5 のに先立ち、使用者識別機能を行うのに必要となる「スライダに対する ドラッグの操作」を受け付けるという特徴を有する。これによって、公 然実施発明では、ユーザ認証におけるユーザの誤操作(意図せざる操作 等)による誤動作を防止するという技術的意義がある。 これに対し、本件発明1では、そのようなスライダのドラッグ操作な10 しに、非活性状態から活性状態に切り替えるための操作入力により使用 者識別機能が行われる。 また、本件発明1においては、単なる指紋認識による使用者識別機能 ではなく、「前記使用者による追加の操作なしに、・・・前記非活性状 態から前記ロック画面が表示された前記活性状態への前記切り替えのた15 めの前記操作入力により」「指紋認識による使用者識別機能」が「行わ れ」るものであるから、このような技術要素を含む形で、相違点1´が 認定されるべきである。 (ウ) 本件審決による相違点1の認定は、相違点2´及び3´については 相違点として認定せずに、あたかも相違点1に解消ないし吸収されてし20 まうかのように取り扱う点で誤りである。 相違点2´に係る本件発明1の構成は、相違点1´に係る本件発明1 の構成が規定する「使用者識別機能」が行われることを前提に、さらに、 当該使用者識別機能による認証の結果、使用者が正当な使用者と認証さ れなければ、ロック状態を維持するとともに、ディスプレイ部にメッセ25 ージを表示することを規定するものであり、相違点3´に係る本件発明 1の構成は、相違点1´に係る本件発明1の構成が規定する「使用者識 11 別機能」が行われることを前提に、さらに、当該使用者識別機能による 認証の結果に関わらず、ディスプレイ部をオンにして活性状態へ切り替 えることを規定するものである。このような有機的な結びつきがある以 上、相違点2´及び3´が相違点1に解消ないし吸収されるものではな 5 い。 イ 相違点の容易想到性の判断に誤りがあることについて (ア) 甲3文献が、相違点1´ないし3´に係る本件発明1の構成を開示 しないことについて a 相違点1´10 ? 甲3文献において、検出した指紋を登録された指紋と照合して適 合・不適合を判定する処理について記載しているのは、 【0065】 であるが、そこにおいては、当該判定処理を「ユーザからの明示的 な入力を要求することなく」行うことについては、開示されていな い。 15 本件審決は、甲3文献の請求項15に「ユーザをシームレスに認 証するための電子デバイス」と記載されていることに依拠して、あ たかも相違点1に係る本件発明1の構成が開示されているかのよ うに判断するが、同項の当該記載は具体的な認証処理の方法や手段 を開示するものではない。 20 ? 指紋認識による使用者識別機能が非活性状態から活性状態に切り 替えるための操作入力に応じて行われる点についても、甲3文献に は開示されていない。 この点、本件審決は、一般にスマートフォンを「起動する時」に は、スリープ状態からスリープ解除状態に移行する時も含まれると25 認定している。しかし、甲3文献には、移動通信端末を「起動する」 ことが何を意味するのかについて、具体的な記載はない。一般的な 12 用語における「起動」とは、「コンピューターなどの機器の電源を 入れて、操作できる状態にすること」を意味するものであり、相違 点1´に係る本件発明1が規定する、非活性状態(移動通信端末機 が通信可能な状態ではあるが、ディスプレイ画面がオフの状態)か 5 ら、活性状態(移動通信端末機のディスプレイ画面がオンの状態) に切り替える操作とは異なるものである。 b 相違点2´ 本件審決は、甲3発明においてもユーザへの指示を通知の表示によ って行うことが想定されているとし、また、移動通信端末機において、 10 ロック解除時に誤った認証情報を入力するとエラーメッセージが表示 されることは、本件優先日時点の周知慣用技術であったと判断する。 しかし、相違点2に係る本件発明1の構成は、前記使用者識別機能 による認証という技術事項と、認証失敗の場合のメッセージの表示と いう技術事項とが有機的に結合されている点に特徴があるのであり、 15 仮に、認証に失敗するとエラーメッセージを表示するという技術が周 知慣用であったとしても、それによって、相違点1に係る本件発明1 の「前記使用者識別機能による認証」の結果としてなされるエラーメ ッセージ表示までもが開示されていることにはならない。 c 相違点3´20 相違点3´に係る本件発明1の構成は、ディスプレイが非活性の状 態から活性状態へと切り替える操作によって(使用者による追加操作 なしに)使用者識別機能による認証を実行した場合に、その結果にか かわらず、非活性状態を維持するのではなく活性状態に切り替えるこ とを特徴とするが、このような特徴は、甲3文献には何ら開示されて25 いない。 (イ) 公然実施発明を改変して本件発明1に想到する動機付けがないこ 13 とについて 公然実施発明では、使用者識別機能の実行は、ディスプレイが活性化 された後、更にディスプレイ上のスライダをドラッグする操作が行われ た場合に、パスコードを入力することによって初めて行われるもので、 5 相違点1´に係る本件発明1のように「前記使用者による追加の操作な しに、指紋認識による使用者識別機能が、前記非活性状態から前記ロッ ク画面が表示された前記活性状態への前記切り替えのための前記操作 入力により行われ」るという技術思想は全くない。 また、公然実施発明において、ディスプレイがオンにされた後に、更10 にディスプレイ上のスライダをドラッグすることで初めて認証を実行す ることには、ユーザの誤操作(意図せざる操作等)による誤動作を防止 するという意義があることは前記ア(イ)のとおりである。これをあえて 改変して、本件発明1のように構成しようとすることは、公然実施発明 の技術的意義・機能を損なうものといえ、当業者がそのような改変を試15 みるよう動機付けられることはない。 (ウ) 公然実施発明に甲3発明を適用したとしても、本件発明1の構成に 容易に想到しないことについて a 甲3文献の【0045】や図6の画面においても、ロックを解除す るために画面上のスライダのドラッグ操作を受け付ける構成となって20 いる。したがって、公然実施発明に甲3発明を組み合わせた場合には、 当業者は、公然実施発明と甲3発明の共通の技術思想をなす上記構成 を残しつつ甲3発明の指紋認証を行うことを想到するものである(別 紙3の1図)。そうすると、上記の組み合わせによって得られる構成 は、ディスプレイが活性化された後にスライダのドラッグという追加25 の操作がなされて初めて、使用者識別機能が行われるものであり、こ れは、使用者による追加の操作なしに指紋認識による使用者識別機能 14 を行う本件発明1の構成とは異なる。 b 仮に、公然実施発明の使用者識別機能に係る手順のうち前記aのス ライダのドラッグ操作を排除することができたと仮定しても、ロック 状態の画面の表示だけは残す、という組み合わせを想到することはあ 5 り得ない。なぜなら、公然実施発明の構成においては、ロック状態の 画面を表示させ、その画面上に表示されるスライダがドラッグされた ときに初めて、次のパスコードの入力画面に移行し、パスコードを入 力させて認証を行う、という一連の認証操作を行わせるものであるか ら、認証に先立って表示されるロック画面は、認証画面に移行する前10 のスライダのドラッグを受け付けるための技術的意義を有するもので あり、ロック画面のみが単体で意義を持つものではないからである。 さらに、公然実施発明における上記のような一連の認証操作におい て、スライダのドラッグ操作は、認証処理の開始のためにユーザの意 図した入力を受け付けるインターフェースを提供するという意義・機15 能をも有するものである。そして、甲3文献においても、その図6に 示されるように、ロック状態の画面について開示された構成は、ロッ ク状態の画面上でスライダのドラッグを受け付けて認証を開始すると いう構成のみである。したがって、仮に、公然実施発明に甲3発明を 組み合わせることができたとして、公然実施発明のスライダのドラッ20 グ操作を排除する場合においては、公然実施発明のホームボタンの押 下というユーザの操作が既に行われた上で認証が開始されているので あるから、更に重ねて認証を開始するためにユーザの意図した入力を 受け付ける必要はなく、公然実施発明のロック状態の画面がその意義・ 機能を発揮する場面は想定され得ないことになり、当業者としては、 25 スライダのドラッグを受け付けるためのロック画面も用いない構成 (別紙3の2図)しか容易には想到できないものである。これは、本 15 件発明1の構成(「前記非活性状態にあるときに使用者による前記操 作入力を受け付けると、前記ディスプレイ部にロック画面が表示され た前記活性化状態へ切り替え、」)とは異なる。 c 甲3発明における「シームレス」な認証が、使用者の追加操作なし 5 に使用者識別機能を行うものだと解し得たとしても、公然実施発明の ロック画面はパスコードの入力における意図せぬ誤操作を防止する意 義・機能及び認証手続のためのユーザの意図した入力を受け付けるイ ンターフェースを提供し、このようなユーザの意図した入力を保証す る意義・機能を有するものであるから、甲3発明の「シームレス」に10 使用者識別機能を行う構成とは両立しない。 d 被告は、後記?イ(ウ)bのとおり、公然実施発明に甲3発明を組み 合わせることで、公然実施発明のホームボタンの背後にセンサを設け、 ホームボタンを押下すると、ロック画面が表示されるとともに、指紋 認証を行うという構成を得ることができ(別紙4のA図)、この構成15 において、指紋認証に成功した場合には、認証成功後に直ちにホーム 画面に遷移する構成(別紙4のB図1)及び認証成功後にスライダの ドラッグ操作を経て、ホーム画面に遷移する構成(別紙4のB図2) を得ることができる旨主張する。 しかし、被告が主張する認証成功後の構成である別紙4のB図1左20 にはスライダが表示されているところ、指紋認証に成功した場合に「当 該成功後に直ちにホーム画面に遷移する構成」であるとされる以上、 スライダをドラッグすることによって次の画面に遷移するという、ス ライダの機能は利用されない。公然実施発明や甲3発明において、そ のように「利用されないスライダを表示する」という技術思想は何ら25 開示されておらず、当業者がそのように何ら機能を発揮しないスライ ダをあえて表示させる構成に容易に想到し得たとはいえない。それを 16 考え付くとすれば、本件発明1を見た上での後知恵である。 また、別紙4のB図2のような、「認証の成功後に、更にスライダ のドラッグ操作を経て、ホーム画面に遷移する」という構成は、公然 実施発明にも、甲3文献にも何ら開示がない。 5 ウ 小括 以上によれば、本件発明1についての容易想到性に関する本件審決の判 断には誤りがある。 ? 被告の主張 ア 相違点の認定に誤りがあるとの主張について10 本件審決は、原告が前記?ア(ア)で主張する相違点1´及び相違点2´ に対応する構成を相違点1として認定しており、原告のいうように「いず れか一方の相違点に吸収」するような形で認定しているものではない。 原告が前記?ア(ア)で主張する相違点3´に係る構成について、本件審 決は、相違点ではなく、一致点として認定している。原告が主張する相違15 点3´に係る構成における「切り替え」は、「前記使用者識別機能による 認証の結果」とは無関係に実行されるものと解するのが自然であるから、 この点は一致点とみるべきである 。 イ 相違点の容易想到性の判断に誤りがあるとの主張について (ア) 甲3発明が、原告主張の相違点1´ないし3´に係る本件発明1の20 構成を開示しないとすることについて a 原告は、前記?イ(ア)a?のとおり、甲3文献には、検出された指 紋を記録された指紋と照合して適合・不適合を判定する処理について まで、ユーザからの明示的な入力を要求することなく行われることは 開示されていない旨主張する。 25 しかし、甲3文献の請求項15には、ユーザによってホームボタン が押下された時に(ユーザからの入力を受信した時に)、当該ユーザ 17 の識別特徴を検出し、当該識別特徴に基づいて、当該ユーザを認証す る電子デバイス、つまり、ユーザをシームレスに認証する電子デバイ スが開示され、当該検出及び認証は、ホームボタンの押下により、ユ ーザからの明示的な入力を要求することなく、行われている。 5 b 原告は、前記?イ(ア)a?のとおり、本件発明1における非活性状 態から活性状態に切り替える操作は、甲3文献のいう「起動」には含 まれない旨主張する。 しかし、甲3文献の【0003】は、「デバイスをオンにする」、 「(デバイスを)ロック解除する」及び「(デバイスを)起動する」10 を並列的に記載していることから、当業者は、 「デバイスを起動する」 は、「デバイスをオンにする」及び「デバイスをロック解除する」と は異なる意味を含むものであると理解する。そして、スリープ状態に あるスマートフォンをスリープ解除状態に移行する意味で「起動する」 という用語を用いている例は、多数存在する(乙5の1ないし10)。 15 c 原告は、前記?イ(ア)bのとおり、単なる「使用者識別機能による 認証」ではなく、「非活性状態から活性状態に切り替えるための操作 入力に応じて、使用者の追加操作なしに行われる指紋認証による使用 者識別機能による認証」の結果、エラーメッセージを表示するという 構成は、甲3文献に開示されていない旨主張する。 20 しかし、移動通信端末機において、ロック解除時に誤った認証情報 を入力するとエラーメッセージが表示されることは、本件優先日時点 において、周知慣用技術であったし、公然実施発明や甲3発明にも備 えられている。 d 原告は、前記?イ(ア)cのとおり、ディスプレイが非活性の状態か25 ら活性状態へと切り替える操作によって(使用者による追加操作なし に)使用者識別機能による認証を実行した場合に、その結果にかかわ 18 らず(特に、認証に失敗した場合であっても)非活性状態を維持する のではなく活性状態に切り替えるという相違点3´に係る本件発明1 の構成は、甲3文献には開示されていない旨主張する。 しかし、エラーメッセージを表示するということは、活性状態に切 5 り替えるということであるところ、前記cのとおり、認証失敗時にエ ラーメッセージを表示する(活性状態に切り替える)という構成は、 特定の認証方法のみにしか適用できないというものではなく、原告の 主張は失当である。 (イ) 動機付けについて10 原告は、前記?イ(イ)のとおり、公然実施発明の技術思想は本件発明 1とは大きく異なり、公然実施発明を改変して本件発明1に想到する動 機付けがない旨主張する。 しかし、公然実施発明と甲3発明に基づく本件発明1の容易想到性は、 公然実施発明と甲3発明を組み合わせることができるかの問題であって、 15 当該容易想到性をいうために、本件発明1の技術思想と公然実施発明の 技術思想が共通である必要はない。 (ウ) 公然実施発明に甲3発明を適用したとしても、本件発明1の構成に 容易に想到しないとする主張について a 原告が前記?イ(ウ)aで甲3発明と主張するのは、ディスプレイ内20 にセンサを設け、スライダのドラッグをすることで指紋認証を行う構 成であるのに対し、本件審決が公然実施発明に組み合わせる構成とし て認定している構成(甲3発明)は、ホームボタンの背後にセンサを 配置し、ユーザが当該ホームボタンを押下した時に、ユーザからの明 示的な入力を要求することなく、指紋による認証を行う構成で、これ25 についても甲3文献に開示されたものであり、原告の主張は前提を誤 るものである。 19 b 原告は、前記?イ(ウ)bのとおり、公然実施発明に甲3発明を組み 合わせた場合に、公然実施発明のロック画面上でのスライダのドラッ グ操作を排除しておきながら、ロック画面の表示だけは残す、という 組み合わせを想到することはあり得ない旨主張する。 5 仮に、「スライダのドラッグ操作を排除」したとしても、当該排除 によって「ロック画面の表示」を残してはならないということにはな らない。公然実施発明における「ロック画面の表示」には、原告が主 張する誤操作防止の技術的意義・機能以外にも、例えば、ホーム画面 に入らないで日時や電波状態、電池残量を確認することができるとい10 った技術的意義・機能がある。 また、公然実施発明においては、パスコード認証の設定がされない 場合があり、その場合でも、ホームボタンの押下により、スリープ状 態からスリープ解除状態に切り替わった時に、ロック画面は表示され、 スライダのドラッグ操作により、ホーム画面に遷移する。そうすると、 15 公然実施発明に甲3発明を組み合わせることで、公然実施発明のホー ムボタンの背後にセンサを設け、ホームボタンを押下すると、ロック 画面が表示されるとともに、指紋認証を行うという構成を得ることが できる(別紙4のA図)。そして、この構成において、指紋認証に成 功した場合には、認証成功後に直ちにホーム画面に遷移する構成(別20 紙4のB図1)及び認証成功後にスライダのドラッグ操作を経て、ホ ーム画面に遷移する構成(別紙4のB図2)を得ることができる。 c 原告は、前記?イ(ウ)cのとおり、公然実施発明のロック画面はパ スコードの入力における意図せぬ誤操作を防止する意義・機能がある とした上で、公然実施発明のロック画面の表示と、甲3発明の「シー25 ムレス」に使用者識別機能を行う構成とは両立しない旨主張する。 しかし、公然実施発明への甲3発明の組み合わせは、原告が主張す 20 る公然実施発明のロック画面の技術的意義・機能(パスコード認証に おける誤操作の防止)を損なうものではない。 ウ 小括 以上のとおりであって、本件発明1についての容易想到性に関する本件 5 審決の判断に誤りはない。 2 取消事由2(本件発明2の進歩性の判断の誤り) ? 原告の主張 本件発明2は、本件発明1の構成を含むものであるところ、前記1?で論 じたとおり、本件発明1についての容易想到性に関する審決の判断には誤り10 があるから、同様の点において、本件発明2についての容易想到性に関する 審決の判断にも誤りがある。 ? 被告の主張 前記1?のとおり、本件発明1についての容易想到性に関する審決の判断 には誤りはないから、同様に、本件発明2についての容易想到性に関する審15 決の判断にも誤りはない。 |
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当裁判所の判断
1 明細書の記載事項について ? 本件各発明の明細書(甲49。以下「本件明細書」という。)の発明の詳 細な説明には、別紙1の記載がある。 20 ? 前記?の記載事項によれば、本件明細書には、本件発明に関し、次のよう な開示があることが認められる。 ア 本件各発明は、移動通信端末機の活性化時に、特定動作が行われるよう にするための移動通信端末機に関する(【0001】)。 イ 最近、スマートフォン等、通信機能だけでなく、他の多様な機能を有す25 る各種端末機が普及しているが、これらの端末機には、ディスプレイがオ フの状態の非活性化状態からディスプレイがオン状態の活性化状態に切 21 り替えるボタンが備えられているのが一般的であり、使用者は活性化切り 替えボタンを意識的または無意識的に数回押す動作を行うことになるが、 通常的な端末機では、活性化切り替えボタンが押された際、使用者が設定 した背景画面に、現在時間などの非常に簡単な情報だけが表示されるのが 5 一般的であり、使用者は端末機の活性化ボタンを押した場合、いかなる情 報及び興味も得ることができずに、端末機は再び非活性化状態に切り替わ ることとなるという問題があった(【0002】、【0005】)。 ウ 本件各発明は、端末機に備えられた活性化ボタンに多様な動作を組み合 わせ、習慣的に押していた活性化ボタンを、単純に押す操作だけで有益な10 機能を活用することとし、簡単な手続だけで保安が強化された使用者認証 プロセスを動作させることを目的とする(【0006】、【0008】)。 エ 本件各発明の構成を採ることにより、端末機が非活性状態の際に、活性 化ボタンを押すだけで、簡単に保安が強化された使用者認証プロセスを動 作することができるという効果を奏する(【0016】)。 15 2 取消事由1(本件発明1の容易想到性の判断の誤り)について ? 公然実施発明について 証拠(甲6ないし9、18)によれば、被告は、本件特許の優先日前にお いて、iOS4.2又はiOS4.3を搭載したスマートフォンを販売して いたものであるところ、同スマートフォンに係る発明は、日本国内において20 公然実施をされた発明(特許法29条1項2号)に当たり、その構成は、本 件審決が公然実施発明として認定したとおりのものであると認められる。 ? 相違点1の認定に誤りがあるとの主張について ア 本件発明1の構成及び前記?認定の公然実施発明の構成によれば、使用 者識別機能について、本件発明1においては、使用者識別機能は、「前記25 使用者による追加の操作なしに、指紋認識による使用者識別機能が、前記 非活性状態から前記ロック画面が表示された前記活性状態への前記切り 22 替えのための前記操作入力により行われ、」とされ、また、「前記使用者 識別機能による認証の結果、前記使用者が正当な使用者と認証されなけれ ば、前記移動通信端末機のロック状態を維持するとともに、前記ディスプ レイ部にメッセージを表示するよう構成される」のに対し、公然実施発明 5 では、使用者識別機能は、パスコードを入力することによるものであって、 スリープ状態においてホームボタンを押して、ロック画面においてスライ ダをドラッグした後、4ケタのパスコードを入力したときに、認証を行う ものであり、また、公然実施発明において、使用者が正当な使用者と認証 されない場合の動作が特定されていない点で異なるのであるから、本件審10 決における相違点1の認定に誤りはない。 イ 原告が前記第3の1?ア(ア)で相違点1´と主張するもののうち、「前 記非活性状態にあるときに使用者による前記操作入力を受け付けると、前 記ディスプレイ部にロック画面が表示された前記活性状態へ切り替え、」 については、本件発明1と公然実施発明とでは、ロック画面の技術的意義15 を異にするという趣旨と解される。しかし、本件発明1のロック画面につ いては、ロックが解除されていない状態を表示する機能以外の特定がなく、 この機能において、公然実施発明のロック画面は本件発明1のロック画面 と共通するから、上記の点は一致点というべきである。 また、本件審決は、原告が主張する相違点1´のうち「前記使用者によ20 る追加の操作なしに、指紋認識による使用者識別機能が、前記非活性状態 から前記ロック画面が表示された前記活性状態への前記切り替えのため の前記操作入力により行われ、」の部分及び相違点2´に対応する構成を 相違点1として認定している。 そして、原告が前記第3の1?ア(ア)で主張する相違点3´「前記活性25 化ボタンにおいて前記非活性状態にあるときに前記操作入力を受け付け ると、前記使用者識別機能による認証の結果に関わらず、前記ディスプレ 23 イ部をオンにし前記活性状態へ切り替え、」については、本件発明1にお ける相違点3に対応する構成は、「前記使用者識別機能による認証の結果 に関わらず、」ディスプレイをオンにするものであるところ、公然実施発 明においても、パスワードの入力によって行われる使用者識別機能におけ 5 る認証の結果にかかわらず、ディスプレイはオンとなるから、この点は、 本件発明1と公然実施発明の一致点であって相違点とはいえない。 ? 相違点の判断に誤りがあるとの主張について 以下、本件審決認定の相違点1を基準として判断する。 ア 甲3発明について10 (ア) 甲3文献には、別紙2の記載がある。 (イ) (ア)によれば、甲3文献には、以下の開示があることが認められる。 a 電子デバイス、特に携帯型電子デバイスにおいて、許可されていな い人物がユーザの個人情報にアクセスし閲覧することを防ぐため、パ スワードまたはパスコードを提供する方法、付属デバイスをデバイス15 に接続することによって、承認された指紋又は網膜を最初に示す方法 があるが、前者は、パスワードまたはパスコードを知っている他のユ ーザがいない限りは、効果的であるが、パスワードまたはパスコード を忘れると許可ユーザがデバイスにアクセスできなくなり、後者は、 ユーザがデバイスにアクセスできるまでに求めるステップを増やすた20 め時間がかかり、ユーザにとって煩わしい場合があるという課題があ った(【0002】、【0003】)。 b そこで、甲3発明は、携帯電話のホームボタン812の背後に、ユ ーザの指紋の特徴を検出する少なくとも1つのセンサ720を配置し、 ロック解除する、または、起動する時に指紋によるユーザ認証を行う25 使用者識別機能を採用した(【0003】、【0049】、【005 0】)。 24 イ 甲3文献が、相違点1に係る本件発明1の構成を開示するかについて (ア) 指紋認識による使用者識別機能が、非活性状態から活性状態に切り 替えるための操作入力に応じて、ユーザからの明示的な入力を要求する ことなく行われる点について 5 a 甲3発明は、指紋による認証を行う上で「ユーザがデバイスにアク セスできるまでに求めるステップを増やすため、時間がかかり、ユー ザにとって煩わしい場合があ」ることを課題とするものであり(【0 003】)、この点からすれば、ホームボタンへの操作入力が、指紋 の特徴を検出するための使用者識別機能を兼ねることは当然に想定さ10 れ、その場合には、ホームボタンの背後に配置されたセンサにより検 出した指紋を、登録された指紋と照合して適合・不適合を判定する処 理を使用者による追加の操作なしに行うことになる。 原告は、前記第3の1?イ(ア)a?のとおり、甲3文献には、検出 した指紋を登録された指紋と照合して適合・不適合を判定する処理を15 「ユーザからの明示的な入力を要求することなく」行うことについて は、開示されていない旨主張するが、上記に説示したところに加え、 甲3文献の請求項1の「前記入力メカニズムに隣接したセンサを用い て、前記入力を受信する時に前記ユーザの識別情報を検出する工程と、 前記検出した情報に基づいて前記ユーザを認証する工程」との記載と、 20 請求項7の「請求項1に記載の方法であって、前記識別情報は、指紋、 掌紋、・・・の内の少なくとも1つを含む、方法。」との記載を併せ 読めば、ホームボタンの操作入力による指紋を検出する工程と認証工 程との間に操作は不要であるから、甲3文献には、ホームボタンへの 操作入力以外の追加の操作なしで、ユーザが認証されることが開示さ25 れているということができる。 b 原告は、前記第3の1?イ(ア)a?のとおり、甲3文献のいう「起 25 動」には、本件発明1が規定する、非活性状態から活性状態に切り替 える操作は含まれないから、指紋認識による使用者識別機能が、非活 性状態から活性状態に切り替えるための操作入力に応じて行われる点 についても、甲3文献には開示されていない旨主張する。 5 しかし、一般的に「起動する」の意味としては、「コンピューター などの機器の電源を入れて、操作できる状態にすること」と解されて いる(甲41)ものの、甲3文献は、「例えば、ユーザがデバイスを オンにする、ロック解除する、または、起動する時に、」として、デ バイスをオンにすること、デバイスをロック解除すること、デバイス10 を起動することを並列して記載している。そして、この記載に対応す る原文(甲13)には、「for example as the us er turns on, unlocks or wakes the d evice.」との記載があり([0004])、「turns on」と 「wakes」とが別に例示されているところ、wakeがslee15 pの対義語であることに鑑みると、甲3文献における「起動する(w akes)」がスリープ状態であったものを操作できる状態にするこ とを意味することは明らかであり、甲3文献の「(デバイスを)起動 する」との記載は、本件発明1の「非活性状態」から「活性状態」へ の切り替えを意味するものである。 20 また、公然実施発明に係る、iPhoneユーザガイド(甲1)の 12頁「iPhoneのロックを解除する」の「ホームボタン、また はスリープ/スリープ解除のオン/オフボタンを押して、スライダを ドラッグします。 との記載や、 」 iPhoneパーフェクトガイド(甲 2)の22頁「スリープとロックの解除」の「スリープ時に電源ボタ25 ンかホームボタンを押すと、スリープから復帰してロックを解除でき るようなる」との記載によれば、甲3文献の図8Bに示される一般的 26 なスマートフォンである「携帯電話のホームボタン(図8Bのボタン 812)」も、スリープ時の操作入力によりスリープ状態を解除する 機能を有することは明らかである。そして、甲3文献には、スリープ 時のホームボタンに対する操作入力に基づく指紋によるユーザ認証を 5 排除する記載はない。 c 以上によれば、原告の主張はいずれも採用できない。 (イ) 使用者識別機能による認証の結果、使用者が正当な使用者と認証さ れなければ、移動通信端末機のロック状態を維持するとともに、ディス プレイ部にメッセージを表示するように構成されることについて10 公然実施発明においては、パスワードによるユーザ認証が失敗した場 合にはエラーメッセージが表示される(甲17)。また、認証に失敗す るとエラーメッセージを表示するという技術は、当該技術の性質や内容 に照らし、本件優先日当時、周知慣用技術であったといえるし、甲3発 明においても、【0032】等の記載も併せて考えれば、ユーザ認証が15 失敗した場合に、エラーメッセージを表示することを含むと理解するこ とができる。 原告は、前記第3の1?イ(ア)bのとおり、本件発明1の構成は、「前 記使用者識別機能による認証」という技術事項と、認証失敗の場合のメ ッセージの表示という技術事項とが有機的に結合されている点に特徴20 があるところ、この点の開示がされていない旨主張するが、そもそも認 証に失敗するとエラーメッセージを表示するという技術は、特定の認証 方法と有機的に結びつく性質のものではないというべきであるから、上 記主張は、その前提を誤るものというべきである。 (ウ) まとめ25 よって、甲3文献は、相違点1に係る本件発明1の構成を開示するも のといえる。 27 ウ 動機付けについて (ア) 公然実施発明と甲3発明は、技術分野及び作用機能を共通にし、甲 3文献に接した当業者であれば、公然実施発明には、スリープ状態にお いてホームボタンを押してから認証を経てデバイスにアクセスできるま 5 での一連の動作に関して、甲3発明と共通の技術課題(デバイスのホー ムスクリーン又はメニューを表示する前に、本人認証のためにパスコー ドの入力を要求することは、パスコードが知られたり、パスワードを忘 れたりする。)が存在することを想起するものといえ、公然実施発明に おいて、許可されていない人物がユーザの個人情報にアクセスし、閲覧10 することを防ぐため、デバイス機能を有効にする前又はデバイスリソー スにアクセスする前の起動時に、デバイスが迅速にユーザを認証するこ とを目的とした甲3発明を適用する動機付けがあるといえる。 (イ) 原告は、前記第3の1?イ(イ)のとおり、公然実施発明では、本件 発明1のように「前記使用者による追加の操作なしに、指紋認識による15 使用者識別機能が、前記非活性状態から前記ロック画面が表示された前 記活性状態への前記切り替えのための前記操作入力により行われ」ると いう技術思想は全くない旨主張するが、前記(ア)のとおり、甲3文献に 接した当業者であれば、公然実施発明が有する技術課題及び甲3発明の 適用を想起するものといえ、原告の主張する当初の技術思想の相違は、 20 その後の技術適用の動機付けの有無と直接関係するものとはいえない から、原告の上記主張は当を得ないというべきである。 また、原告は、公然実施発明において、ディスプレイがオンにされた 後に、更にディスプレイ上のスライダをドラッグすることで初めて認証 を実行することには、ユーザの誤操作(意図せざる操作等)による誤作25 動を防止するという意義があるから、これを改変して本件発明1のよう に構成することは、公然実施発明の技術的意義・機能を損なう旨の主張 28 もするが、甲3発明の使用者識別機能を採用し、指紋によるユーザ認証 をしても、認証に係る誤操作は防止できるから、公然実施発明の技術的 意義・機能を損なうことにはならない。なお、仮に、原告がホーム画面 の誤作動防止に係る機能をも指摘しているとしても、そもそも本件発明 5 1においては、ロック画面からホーム画面への移行の仕方については何 ら規定していないから、操作入力を行った使用者が正当な使用者と認証 された場合に、ディスプレイ上のスライダをドラッグすることで初めて ホーム画面に移行する構成も本件発明1の構成に含まれることになり (現に本件明細書の図1等においてもスライダが表示されているとこ10 ろである。)、スライダを取り除く改変をしなければ本件発明 1 の構成 に至らないわけではないから、原告の主張は前提を誤るものといえる。 したがって、原告の主張は、いずれにしても採用できない。 エ 公然実施発明に甲3発明を適用した場合に、本件発明1の構成に容易に 想到するかについて15 (ア) 甲3発明において、指紋による認証の結果を得るには一定の時間を 要することは、明らかである。また、公然実施発明に甲3発明を適用す ることで、ホームボタンを押下すると、起動によりディスプレイがオン になり、それと同時に指紋認証を行うことが可能である(別紙4のA図 右及びB図1左)。 20 そして、本件発明1で特定されるロック画面は、本件訂正請求により 請求項1に加えられたものであるが、前記非活性状態にあるときに使用 「 者による前記操作入力を受け付けると,前記ディスプレイ部に」 「表示さ れ」るものであって、ロックが解除されていない状態を表示する機能以 外は特定されていない。そうすると、公然実施発明に甲3発明を適用し25 たものにおいて、ホームボタンの押下後、オンになったディスプレイに ホーム画面に移行する前に表示される画面も、客観的にロックが解除さ 29 れていない状態を表示するものであり、これを「ロック画面」というこ とができる。 したがって、公然実施発明に甲3発明を適用した場合、使用者による 追加の操作なしに、指紋認識による使用者識別機能が、非活性状態から 5 ロック画面が表示された活性状態への切り替えのための操作入力により 行われるという、本件発明1の構成に容易に想到するということができ る。 (イ) 原告は、前記第3の1?イ(ウ)aのとおり、甲3発明においても、 ロックを解除するために画面上のスライダのドラッグ操作を受け付け10 る構成となっているから、公然実施発明に甲3発明を組み合わせた場合 には、当業者は、公然実施発明と甲3発明の共通の技術思想をなす上記 構成を残しつつ甲3発明の指紋認証を行うことを当業者は想到するこ とになり、ディスプレイが活性化された後にスライダのドラッグという 追加の操作を要することになるから、本件発明1の構成とはならない旨15 主張する。 しかし、前記イ(ア)のとおり、甲3文献からは、ホームボタンの背後 にセンサを配置し、ユーザが当該ホームボタンを押下した時に、ユーザ からの明示的な入力を要求することなく、指紋による認証を行う構成も、 甲3発明として認定することができるのであるから、原告の主張は採用20 できない。 (ウ) 原告は、前記第3の1?イ(ウ)bのとおり、公然実施発明の構成に おいては、ロック状態の画面を表示させ、その画面上に表示されるスラ イダがドラッグされたときに初めて、次のパスコードの入力画面に移行 し、パスコードを入力させて認証を行う、という一連の認証操作を行わ25 せるものであるから、公然実施発明の使用者識別機能に係る手順のうち ロック状態の画面上でのスライダをドラッグする処理を排除 するので 30 あれば、ロック画面も用いない構成しか想到できない旨主張する。 しかし、前記(ア)のとおり、「ロック画面」自体は、ロックが解除され ていない状態を示す画面であり、スライダのドラッグ操作とロック画面 の表示を不可分一体のものとして捉えなければならない理由はないか 5 ら、原告の主張は採用できない。 (エ) 原告は、前記第3の1?イ(ウ)cのとおり、公然実施発明のロック 画面は、パスコードの入力における意図せぬ誤操作を防止する意義・機 能があるとした上で、甲3発明の「シームレス」に使用者識別機能を行 う構成とは両立しない旨主張する。しかし、公然実施発明において、甲10 3発明の使用者識別機能を採用し、ロック解除する時に指紋によるユー ザ認証をしても、偶発的な誤操作等は防止できることは前記ウ(イ)のと おりであって、原告の主張は採用できない。 (オ) 原告は、前記第3の1?イ(ウ)dのとおり、別紙4のB図1左には スライダが表示されているところ、指紋認証に成功した場合に「当該成15 功後に直ちにホーム画面に遷移する構成」であるとされる以上、スライ ダの機能は利用されず、当業者がそのように何ら機能を発揮しないスラ イダをあえて表示させる構成を考え付くとすれば、本件発明1を見た上 での後知恵である旨主張する。 原告の主張の真意は判然としないが、そもそも本件発明1においては、 20 ロック画面からホーム画面への移行の仕方については何ら規定してい ない(したがって、この場面におけるスライダの表示の有無やその利用 の有無等についても何も限定はない)ことは前記ウ(イ)において説示し たとおりであるところ、被告の主張如何にかかわらず、公然実施発明に 甲3発明を組み合わせた場合に、正当な使用者と認証されたときに、ス25 ライダを利用しようとしなかろうと、どちらにしてもロック画面からホ ーム画面へ移行させることが可能であること自体は明らかであるから、 31 原告の主張は失当というほかない。 ? 小括 その他原告がるる主張する点は、いずれもその前提に誤りがある、あるい は理由がないものであり、採用できない。 5 以上によれば、相違点1についての容易想到性を認めた本件審決の判断に 誤りはないから、原告主張の取消事由1は理由がない。 3 取消事由2(本件発明2の進歩性の判断の誤り)について 前記2において判示したとおり、相違点1についての容易想到性に関する本 件審決の判断には誤りはないところ、原告は、この点以外の点について審決取10 消事由を主張しておらず、また、その判断に誤りがあるとは認められないから、 本件発明2についての容易想到性に関する本件審決の判断についても誤りはな い。 4 結論 以上のとおり、原告主張の取消事由はいずれも理由がないから、本件審決を15 取り消すべき違法は認められない。 したがって、原告の請求を棄却することとして、主文のとおり判決する。 |
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20裁判長裁判官菅野雅之2532裁判官本吉弘行5裁判官岡山忠広33(別紙1)【技術分野】【0001】本発明は、移動通信端末機の活性化時に、特定動作が行われるようにするための5方法、システム及び移動通信端末機に関し、より詳細には、非活性化状態から活性化状態に切り替えるボタンの押す回数及び時間に応じて多様な機能が実行されるようにするための方法、システム及び移動通信端末機に関する。 【背景技術】【0002】10最近、通信機能だけでなく、他の多様な機能を有する各種端末機、例えば、スマートフォン、携帯電話、PDA、及びウェブパッドなどの端末機が多く普及されている。このような端末機は、いつどこでもデスクトップパソコンと同一または類似の環境を実現させるだけでなく電話機能も有していて、急速に普遍化される実情である。 15【0005】具体的に、端末機には、ディスプレイがオフの状態の非活性化状態からディスプレイがオン状態の活性化状態に切り替えるボタンが備えられているのが一般的であるが、現在多くの使用者はこのような活性化切り替えボタンを意識的または無意識的に数回押す動作を行う。通常的な端末機では、活性化切り替えボタンが押された20際、使用者が設定した背景画面に、現在時間などの非常に簡単な情報だけが表示されるのが一般的であった。よって、使用者は端末機の活性化ボタンを押した場合、 いかなる情報及び興味も得ることができずに、端末機は再び非活性化状態に切り替わることとなる。 【発明の概要】25【発明が解決しようとする課題】【0006】34本発明の目的は、端末機に備えられた活性化ボタンに多様な動作を組み合わせ、 習慣的に押していた活性化ボタンを、単純に押す操作だけで有益な機能を活用することにある。 【0008】5本発明のさらに他の目的は、簡単な手続きだけで保安が強化された使用者認証プロセスを動作させることにある。 【課題を解決するための手段】【0011】本発明の一実施形態によれば、ディスプレイ部と、前記ディスプレイ部がオフ状10態の非活性化状態から前記ディスプレイ部がオン状態の活性化状態に切り替える活性化ボタンとを含み、前記活性化ボタンが押されることで、前記活性化状態に切り替えるとともに、所定の動作が行われる移動通信端末機が提供される。 【0012】本発明の他の実施形態によれば、移動通信端末機の活性化時に、特定動作が行わ15れるようにするための方法であって、ディスプレイ部がオフ状態の非活性化状態から前記ディスプレイ部がオン状態の活性化状態に切り替える活性化ボタンが押されることを感知する段階と、前記非活性化状態において前記活性化ボタンが押されたことが感知されると、前記活性化状態に切り替えるとともに前記移動通信端末機内で所定の動作が行われるようにする段階とを含む方法が提供される。 20【発明の効果】【0016】本発明によれば、簡単な手続きだけで保安が強化された使用者認証プロセスを動作することができる。 【発明を実施するための形態】25【0023】本明細書において、「非活性状態」とは、移動通信端末機が通信可能な状態では35あるが、ディスプレイ画面がオフ(off)の状態を意味する。ディスプレイ画面がオフの状態であっても、所定の機能(例えば、音楽再生機能など)は動作し得る。 このように、本明細書において「非活性状態」という用語は移動通信端末機が所定の動作をしているか否かを問わず、ディスプレイ画面がオフの状態を包括する概念5である。しかし、移動通信端末機が完全にオフされた状態を除く。 【0024】本明細書において、「活性状態」とは、移動通信端末機のディスプレイ画面がオン(on)状態の場合を意味する。「非活性状態」から「活性状態」への転換とは、 ディスプレイ画面がオフの状態からディスプレイ画面をオン状態に切り替えること10を意味することであって、オン状態のディスプレイ画面にどのような情報が表示されるかは問わない。例えば、単にロック画面だけが表示される場合であっても、これは移動通信端末機の「活性状態」といえる。 【0029】活性化ボタン120は移動通信端末機100の非活性状態を活性状態に切り替え15るようにする手段である。すなわち、移動通信端末機100が非活性状態の際に、 使用者が活性化ボタン120を押すと活性状態に切り替わる。図1は、移動通信端末機100が非活性状態の際に、活性化ボタン120を押すことで、ディスプレイ部110にロック画面が表示された状態を例示する。しかし、活性化ボタン120は、これとは異なる動作のための手段(例えば、ディスプレイ部110にある動作20状態が表示される間に待機画面に移動するための手段、現在動作中のプログラムリストを表示する手段)として機能することができる。 3.使用者識別機能移動通信端末機100が非活性状態の際に活性化ボタン120を押すことで保安のための使用者認証プロセスが進行される。 25【0049】図4A及び図4Bは、このような機能を説明するための移動通信端末機100の36ブロック図を示す。図4Aを参照すると、活性化感知部410、使用者識別部420を含むことができる。 【0050】活性化感知部410は、移動通信端末機100が非活性状態の際に、活性化ボタ5ン120が使用者によって押されたか否かを感知する。 【0051】使用者識別部420は活性化感知部410によって活性化ボタン120が押されたものと感知した場合に動作を行い、多様な方法で使用者を識別する機能を実行する。 10【0052】図4Bは、使用者識別部420の一例を示すブロック図である。図4Bを参照すると、使用者識別部420は、カメラ活性部421、虹彩検出部422、使用者識別部423を含むことができる。 【0053】15カメラ活性部421は、移動通信端末機100に備えられたカメラ130を活性化させる。カメラ130の活性化によってディスプレイ部110にはカメラ130によって現在照らされた映像が表示される。使用者が自分の目または顔をカメラ130に照らすと、虹彩検出部422は使用者の眼球のうちの虹彩を認識し、これを抽出する機能を実行する。虹彩を認識するためには通常的な虹彩検出アルゴリズム20を用いることができる。使用者識別部423は、虹彩検出部422を介して検出された虹彩と既に保存されている使用者の虹彩情報を比較して、マッチングされた場合に現在使用者を正当な使用者として認証する機能を実行する。そのために、使用者識別部423はデータベース(図示せず)に保存されている使用者の虹彩情報を利用することができる。使用者の虹彩情報は、最初にカメラ130を用いて撮影し25た正当な使用者の映像を利用して虹彩検出部422により検出される虹彩に対する情報登録によって保存されることができる。登録された本当な使用者の虹彩情報変37更のためには所定の識別情報(例えば、ID、パスワード、住民登録番号など)が入力されないとならない。使用者識別部423により本当な使用者であると認証されると、移動通信端末機100のロック状態が解除されてすべての機能を使用することができる状態となり、本当な使用者であると認証されないと、警告メッセージ5表示とともにロック状態が持続される。 【0054】上記説明した動作、すなわち、虹彩検出及び使用者識別、認証などの機能は所定のアプリケーションのインストールによって可能となる。すなわち、該当のアプリケーションには、虹彩検出アルゴリズム、虹彩比較を介する認証アルゴリズムなど10が含まれていて、移動通信端末機100にインストールされることで、上記のような動作を行うことができる。このようなアプリケーションは、使用者によってダウンロードされた後に移動通信端末機100にインストールされることができる。使用者は、設定メニューを介して活性化ボタン120が移動通信端末機100の非活性状態で押された場合、該当のアプリケーションが直ちに動作されるように設定す15ることで、上記のような機能を利用することができる。 【0055】これによれば、保安に脆弱な地域において、移動通信端末機100を使用する際には、別途の設定、すなわち、活性化ボタン120を押し、前記使用者認証プロセスが進行されるようにする設定をすることで、効率的に保安危険性を低減させるこ20とができる。 【0056】上記説明では虹彩認識を介する認証方法について例として説明したが、これとは異なる方式の認証方法、例えば、認識キーマッチング方法、パスワードマッチング方法、顔面認識方法、指紋認識方法などが用いられる。すなわち、活性化ボタン12520を押すことで、多様な使用者認証方法のうちのいずれか1つ、または複数の認証方法のうちの任意の方法が行われる。 38【図1】【図4A】5【図4B】39(別紙2)【特許請求の範囲】【請求項1】電子デバイスのユーザをシームレスに認証するための方法であって、 5前記電子デバイスの入力メカニズムを用いて、ユーザからの入力を受信する工程と、 前記入力メカニズムに隣接したセンサを用いて、前記入力を受信する時に前記ユーザの識別情報を検出する工程と、 前記検出した情報に基づいて前記ユーザを認証する工程と、 10を備える、方法。 【請求項7】請求項1に記載の方法であって、前記識別情報は、 指紋、掌紋、手紋、指関節紋、血管パターン、網膜パターン、虹彩パターン、外耳道パターン、および、DNA配列の内の少なくとも1つを含む、方法。 15【請求項15】ユーザをシームレスに認証するための電子デバイスであって、 ユーザから入力を受信する入力メカニズムと、 前記入力が受信される時に、前記ユーザの識別特徴を検出する検知素子と、 前記検出された識別特徴に基づいて、前記ユーザを認証するプロセッサと、 20を備える、電子デバイス。 【請求項16】請求項15に記載の電子デバイスであって、前記検知素子は、前記入力メカニズムに内蔵されている、電子デバイス。 【請求項17】25請求項15に記載の電子デバイスであって、前記検知素子は、前記検知素子の視野が、前記入力メカニズムに入力を提供するユーザの少なくとも1つの識別特徴を40捉えるよう配置される、電子デバイス。 【請求項18】請求項15に記載の電子デバイスであって、前記入力メカニズムは、キーボードと、ボタンと、マウスと、タッチパッドと、タッチスクリーンと、スクロールホイ5ールと、の内の少なくとも1つを備える、電子デバイス。 【請求項19】請求項15に記載の電子デバイスであって、前記検知素子は、前記ユーザの皮膚の特徴およびユーザの皮下の特徴の少なくとも一方を検出する、電子デバイス。 【発明の詳細な説明】10【技術分野】【0001】本発明は、内蔵認証システムを備えた電子デバイスに関する。 【背景技術】【0002】15電子デバイス、特に携帯型電子デバイスは、個人情報を格納するために用いられる。例えば、ユーザは、ユーザが用いる連絡先、電子メール、カレンダー情報、文書、および、その他の情報を格納するために、携帯電話、PDA、スマートフォン、 または、その他の電子デバイスを用いてよい。この情報は、必ずしも秘密にしなくてもよいが、ユーザは、情報の少なくとも一部を他人に利用できなくするよう望ん20でもよい。許可されていない人物がユーザの個人情報にアクセスし閲覧することを防ぐ方法の1つとして、デバイス機能を有効にする前、または、デバイスリソースにアクセスする前に、パスワードまたはパスコードの提供を電子デバイスのユーザに要求する方法が挙げられる。例えば、電子デバイスは、デバイスのホームスクリーン(例えば、スプリングボード)またはメニューを表示する前に、4つの数字ま25たは4つの文字のPINを入力するよう、ユーザに要求してよい。別の例として、 ユーザの指紋を検出するためまたはユーザの網膜を走査するための付属デバイスを41デバイスに接続することによって、ユーザが、デバイスへのアクセス権を受ける前に、承認された指紋または網膜を最初に示さなければいけないようにしてもよい。 【0003】これらの方法は両方とも有効でありうるが、パスワードまたはパスコードに基づ5くアクセス制限は、パスワードまたはパスコードを知っている他のユーザがいない限りは、効果的である。パスワードまたはパスコードが知られると、制限メカニズムは、効果がなくなりうる。また、パスワードまたはパスコードを忘れて、許可ユーザがデバイスにアクセスできなくなる場合もある。さらに、ユーザに指紋を提供するまたは網膜スキャンを受けるよう要求することは、ユーザがデバイスにアクセ10スできるまでに求めるステップを増やすため、時間がかかり、ユーザにとって煩わしい場合がある。この方法は、パスワードまたはパスコードの入力よりも安全であるが、ハードウェア(例えば、必要なスキャナ、検出器、または、リーダ)のコストと時間がかかる。したがって、例えば、ユーザがデバイスをオンにする、ロック解除する、または、起動する時に、デバイスが迅速かつシームレスにユーザを認証15するように、生体認証および他の認証メカニズムを実装した電子デバイスを提供することが望ましい。 【発明の概要】【0004】電子デバイスのユーザを認証するための方法、電子デバイス、および、コンピュ20ータ読み取り可能な媒体が提供されている。一部の実施形態において、電子デバイスは、ユーザをシームレスに認証しうる。電子デバイスは、ユーザから入力を受信してよく、その入力は、電子デバイスの入力メカニズムによって提供される。電子デバイスは、ユーザが、入力メカニズムの中またはその近傍に組み込まれた1または複数のセンサから入力を提供する時に、識別情報を検出してよい。電子デバイス25は、検出した識別情報を、デバイスのライブラリに格納されている識別情報と比較することによって、ユーザを認証してよい。例えば、センサは、ユーザの皮膚の特42長、または、ユーザの皮下の特長を検出するためのセンサを含んでよい。センサは、 タッチスクリーン、ボタン(例えば、キーボードまたはマウスのボタン)、入力メカニズム近傍のデバイスの筐体(例えば、キーボードの近くのラップトップ筐体)、 または、任意の他の適切な位置の少なくとも一カ所に組み込まれてよい。 5【0005】一部の実施形態において、電子デバイスは、デバイスの検知素子に対して位置合わせするようユーザに指示することなく、ユーザが検知素子に対して位置合わせされていることを決定してよい。例えば、検知素子は、センサの検知領域が、電子デバイスを操作する際に予期されるユーザの位置を含むように配置されてよい。セン10サは、検知素子を用いて、ユーザの1または複数の生体属性(例えば、顔または眼の特長)を検出してよい。例えば、センサは、デバイスのディスプレイに隣接したカメラまたは光学センサを備えてよい。次いで、ユーザは、検出された生体属性を、 電子デバイスに格納された、または、電子デバイスがアクセスできる生体属性のライブラリと比較することによって認証されてよい。 15【発明を実施するための形態】【0032】ディスプレイスクリーン400は、デバイスリソースにアクセスする前に、認証を受けるようユーザに指示する通知420を含んでよい(例えば、情報およびアプリケーションを起動するホームスクリーン)。通知420は、例えば、ポップアッ20プ、オーバーレイ、新たなディスプレイスクリーン、または、ユーザに指示を提供するための任意の他の適切なタイプのディスプレイなど、任意の適切なタイプの通知を含みうる。電子デバイスは、例えば、ユーザがデバイスのスイッチを入れた時(例えば、その後ディスプレイスクリーン400を見る時)、第1の認証なしにユーザがデバイスリソースへのアクセスを試みたことに応じて(例えば、エラーメッ25セージとして)、ユーザによるヘルプの要求に応じて、または、任意のその他の適切な時点など、任意の適切な時に通知420を表示してよい。通知420は、例え43ば、ユーザが認証を行う方法、許可ユーザのリスト、または、任意のその他の適切な情報など、任意の適切な指示を含んでよい。 【0045】センサは、電子デバイス内の任意の適切な位置に配置されてよい。一部の実施形5態において、センサは、ユーザが電子デバイスを操作する時または操作し始める時に、ユーザの皮膚の適切な部分を検出するよう動作できるように配置されてよい。 センサの位置は、検出すべきユーザの皮膚の部分(例えば、指、手、または、掌)によって異なってよい。図6は、本発明の一実施形態に従って、ユーザの指紋を検出するための電子デバイスのディスプレイの一例を示す概略図である。ディスプレ10イ600は、電子デバイスのロックを解除するようユーザに指示するスクリーン602を備えてよい。例えば、スクリーン602は、ブロック610に指を置いてトラック612に沿って指をドラッグすることによって、トラック612に沿ってブロック610をスライドさせて電子デバイスのロックを解除するよう、ユーザに指示する矢印を有するブロック610を備えてよい。 15【0049】リソースへの安全なアクセスを提供するために、電子デバイス700は、ユーザを特定するためにユーザの指紋の特徴を検出する少なくとも1つのセンサ720を備えてよい。シームレスなユーザ体験を提供するために、センサ720は、入力メカニズム710および712の少なくとも一方の中または下に組み込まれてよい。 20一部の実施形態において、入力メカニズム710は、ユーザが電子デバイス700に入力を提供するために押下しうる複数の別個のキーを備えうるため、1または複数のキーに内蔵されたセンサ720を備えてよい。例えば、光学または容量センサは、ユーザが指をキーに置いた(例えば、ユーザの人差し指を「F」または「J」キーに置いた)時に、センサがユーザを認証するためにユーザの指先の特徴を検出25できるように、キーの上面に配置されてよい。ユーザの指がキーの上に置かれている間にユーザを認証するために、二次元すなわち移動センサが、用いられ得る。 44【0050】センサ720は、電子デバイスにおいてユーザが押下しうる任意のボタンまたはその他の物理的入力の中、近傍、または、裏側に配置されてもよい。例えば、センサ720は、携帯型メディアプレーヤまたは携帯電話のホームボタン(例えば、図58Bのボタン812)の背後に配置されてよい。センサ720は、外部のカバーまたは表面(例えば、ガラスまたはプラスチック表面)と、スイッチまたは電子回路に作用する機械的構成要素との間に配置されてよい。例えば、指紋検知メカニズムが、透明な表面の下に組み込まれてよく、そうすれば、検知メカニズムは、その表面を介して、ユーザの指紋の隆線および谷線を検出することができる。一部の実施10形態においては、透明な表面を追加しなくてもよい(例えば、検知メカニズムが、 ユーザが指を置くことのできる表面を備える場合)。 【0065】電子デバイスは、任意の適切な方法を用いて、許可ユーザを反映する生体情報を取得してよい。例えば、ユーザが特定のデバイスリソースに対して用いるよう認証15システムを選択すると、電子デバイスは、ライブラリに格納すべき生体情報(例えば、指紋、眼の走査結果、または、DNA配列)を提供するようユーザに指示してよい。電子デバイスは、例えば、視覚的な合図、聴覚的な合図を用いる方法、および、認証システムのセンサの位置を強調または特定する方法など、任意の適切な方法を用いて、生体情報入力を提供するようユーザに指示してよい。取得されてライ20ブラリに格納された生体情報は、ユーザが認証を試みる時に取り出され、ユーザによって提供された生体情報と比較されてよい。提供された生体認証情報がライブラリに格納された情報(例えば、要求されたリソースに関連づけられた情報)と適合する場合、電子デバイスは、制限されたリソースへのアクセスを提供してよい。一部の実施形態において、同様の方法を用いて、非生体認証情報を受信してもよい。 25【0078】図15は、本発明の一実施形態に従って、ユーザを認証するための方法の一例を45示すフローチャートである。処理1500は工程1502で始まる。工程1504で、電子デバイスは、デバイスのユーザを特定してよい。例えば、電子デバイスは、 ユーザに関連づけられたユーザ名またはパスワードを受信してよい。別の例として、 電子デバイスは、認証システムを用いて認証情報を受信し、受信した認証システム5からユーザを特定してもよい。電子デバイスは、例えば、ユーザがデバイスを操作する時に認証情報をシームレスに取得できるように認証システムのセンサを配置することによって、ユーザからの明示的な入力を要求することなく、認証情報を自動的に受信しうる。別の例として、センサは、ユーザがセンサの視野すなわち検知領域内に入るとすぐに、ユーザの属性の特徴を検出するよう動作してもよい。一部の10実施形態において、処理1500は、工程1502から工程1506に直接移行してもよい。 【0079】工程1506で、電子デバイスは、制限されたリソースへのアクセス要求が受信されたか否かを判定してよい。例えば、電子デバイスは、ユーザが、特定のユーザ15に関連づけられたデータ(例えば、連絡先リストまたは他の個人情報)にアクセスするための命令を提供したか否かを判定してよい。別の例として、電子デバイスは、 ユーザが、制限されたアプリケーション(例えば、管理者などの特定の階層のユーザに制限されたアプリケーション、または、特定のユーザが購入したアプリケーション)にアクセスするための命令を提供したか否かを判定してもよい。制限された20リソースにアクセスするための命令を受信していないと、電子デバイスが判定した場合、処理1500は、工程1506に戻って、ユーザから受ける入力を監視し続けてよい。 【0080】一方、工程1506で、制限されたリソースにアクセスするための命令を受信し25たと、電子デバイスが判定した場合、処理1500は、工程1508に進んでよい。 工程1508で、電子デバイスは、特定されたユーザがリソースへのアクセスを許46可されているか否かを判定してよい。例えば、電子デバイスは、ユーザが、制限されたリソースにアクセスするのに適切な認証情報を提供したか否かを判定してよい。 電子デバイスは、例えば、通常の使用中に認証情報を取得できるように、デバイスに認証センサを内蔵することによって、ユーザの知るところなく、適切な認証情報5を取得してよい。特定されたユーザが許可されていないと、電子デバイスが判定した場合、処理1500は、工程1510に進んでよい。工程1510で、電子デバイスは、認証を行うようユーザに指示してよい。例えば、電子デバイスは、認証システム(例えば、上述の認証システムのいずれか)に認証情報を提供するようユーザに指示してよい。一部の実施形態において、電子デバイスは、ユーザによる複数10の入力を検出し、それらの入力が、許可ユーザに関連づけられたパターンを有しているか否か、または、許可ユーザに関連づけられた属性を共有しているか否かを判定してよい(例えば、ユーザが、許可ユーザの属性またはパターンに対応する適切な入力を提供したか否かを判定する、または、入力の属性またはパターンが、許可ユーザに関連づけられた属性またはパターンと適合するか否かを判定する)。次い15で、処理1500は、ユーザが適切な認証情報を提供したか否かを判定する工程1508に戻ってよい。 【0081】一方、工程1508で、ユーザが許可されていると、電子デバイスが判定した場合、処理1500は、工程1512に進んでよい。工程1512で、電子デバイス20は、要求された制限されたリソースへのアクセスをユーザに提供してよい。例えば、 電子デバイスは、個人データへのアクセスまたはユーザに固有のアプリケーションへのアクセスをユーザに提供してよい。次いで、処理1500は、工程1514で終了してよい。 2547【図6】【図8B】51048【図15】49(別紙3)1図52図1050(別紙4)A図5B図11051B図2552 |