関連審決 |
無効2019-800006 無効2019-800007 |
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事件 |
令和
3年
(ネ)
10081号
債務不存在確認請求控訴事件
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令和4年3月28日判決言渡 令和3年(ネ)第10081号債務不存在確認請求控訴事件(原審・東京地方裁判 所平成31年(ワ)第647号) 口頭弁論終結日 令和4年1月31日 5判決 控訴人 ファーストフェイスカンパ ニー リミテッド 10 同訴訟代理人弁護士 城山康文 同 後藤未来 同訴訟代理人弁理士 金山賢教 15 同市川祐輔 被控訴人 AppleJapan合同会 社 20 同訴訟代理人弁護士 北原潤一 同 米山朋宏 同 梶並彰一郎 |
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裁判所 | 知的財産高等裁判所 |
判決言渡日 | 2022/03/28 |
権利種別 | 特許権 |
訴訟類型 | 民事訴訟 |
主文 |
25 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は控訴人の負担とする。 13 この判決に対する上告及び上告受理の申立てのための付加期間を30日と定める。 |
事実及び理由 | |
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控訴の趣旨
5 1 原判決を取り消す。 2 被控訴人の請求を棄却する。 |
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事案の概要等
1 事案の概要(以下において略称を用いるときは、別途定めるほか、原判決に 同じ。)10 本件は、被控訴人が、被控訴人による原判決別紙物件目録記載の各製品の譲 渡等は、控訴人が有する特許権(特許第6353363号(本件特許権1)及 び特許第6386646号(本件特許権2))を侵害するものではない旨主張 し、控訴人に対し、不法行為(民法709条)に基づく損害賠償請求権を有し ないことの確認を求める事案である。 15 原判決は、本件各特許には、進歩性欠如の無効理由があり、同無効理由は、 控訴人が無効審判手続(本件特許1につき無効2019-800006号〔本 件無効審判請求1〕、本件特許2につき無効2019-800007号〔本件 無効審判請求2〕)においてした訂正請求による訂正事項によっても解消しな いとして、被控訴人の請求を認容した。これを不服として、控訴人が控訴を提20 起した。 2 「前提事実」、「争点」及び「争点に対する当事者の主張」は、原判決11 頁1行目から2行目の「特願2010-525891」を「特表2010-5 41046号公報」に改め、後記3のとおり、当審における当事者の補充主張 を加えるほか、原判決の「事実及び理由」欄の第2の1ないし3に記載すると25 おりであるから、これを引用する。 3 当審における当事者の補充主張 2 ? 争点2-1(無効理由1(公然実施発明1及び甲5発明に基づく進歩性の 欠如)の有無)について ア 控訴人の主張 (ア) 本件発明1-1について 5 a 甲5文献が、相違点1に係る本件発明1-1の構成を開示しないこ とについて ? 甲5文献において、原判決認定の相違点1に係る「・・・活性化 ボタンに対する操作入力以外の追加の操作なく、指紋認識による使 用者識別機能が実行され」る構成は開示されていない。同構成は、 10 単に@使用者による追加操作なしに使用者の指紋を「検出」するだ けではなく、A使用者による追加操作なしに検出した指紋と登録さ れた指紋を照合して適合・不適合の判定を行う処理をも含み、両者 はデバイスの処理として異なるのであるが、甲5文献には、少なく とも上記Aの構成については開示されていない。 15 ? また、原判決は相違点1に係る「非活性状態から活性状態への切 り替えのための活性化ボタンに対する操作」との構成に対応する甲 5文献の構成として、「デバイスをオンにする、ロック解除する、 または、起動する」等の操作を認定したが、このような甲5文献の 操作は、相違点1に係る上記の構成を開示するものではない。「起20 動」するという処理がスリープ状態(既に「起動」された状態)を 解除することを指すものでないことは明らかである。 b 公然実施発明1と甲5-1発明を組み合わせても本件発明1-1に 想到できないことについて 公然実施発明1のパスコード認証においては、パスコードの入力に25 先立つスライダのドラッグが必須の構成とされている。また、甲5文 献についても、ディスプレイが活性化された後の状態において、更に 3 スライドをドラッグする操作が行われることによって初めてロック解 除するためのユーザ認証を行う構成しか具体的には開示されていない。 そうすると、甲5文献の開示内容を原判決どおりに認定したとしても、 公然実施発明1と甲5-1発明の組み合わせにより想到され得る構成 5 は、別紙1の1図の構成であり、ディスプレイが活性化された後にス ライダのドラッグという追加の操作を要することになるから、本件発 明1-1の構成とはならない。 (イ) 本件発明1-2について 本件発明1-2は、本件発明1-1の構成を含むものであるところ、 10 本件発明1-1の容易想到性についての原判決の判断に誤りがあるから、 本件発明1-2の容易想到性についての原判決の判断にも誤りがある。 (ウ) 小括 以上によれば、無効理由1の有無に関する原判決の判断は誤りである。 イ 被控訴人の主張15 (ア) 本件発明1-1について a 甲5文献に相違点1に係る構成が開示されていないとする点につい て ? 控訴人は、前記ア(ア)a?のとおり、甲5文献には、原判決認定の 相違点1に係る構成のうち、少なくとも、使用者による追加操作な20 しに検出した指紋と登録された指紋を照合して適合・不適合の判定 を行う処理が開示されていないと主張する。しかし、甲5文献の【0 004】には「電子デバイスは、検出した識別情報を、デバイスの ライブラリに格納されている識別情報と比較することによって、ユ ーザを認証してよい。」との記載があり、また、甲5文献の請求項25 15の記載に鑑みても、控訴人の主張は失当である。 ? また、控訴人は、前記ア(ア)a?のとおり、「起動」は「スリープ 4 状態を解除すること」とは異なるから、甲5文献における「デバイ スをオンにする、ロック解除する、または、起動する」等の構成は、 相違点1に係る「非活性状態から活性状態への切り替えのための活 性化ボタンに対する操作」に対応するものではないと主張する。し 5 かし、甲5文献の【0003】は、「デバイスをオンにする」、「(デ バイスを)ロック解除する」及び「(デバイスを)起動する」を並 列的に記載していることから、スリープ状態からスリープ解除状態 に移行するという意味を含むものであると当業者は理解する。 b 公然実施発明1と甲5-1発明を組み合わせても本件発明1-1に10 想到できないとする点について 控訴人は、前記ア(ア)bのとおり、甲5文献の開示内容を原判決どお りに認定したとしても、公然実施発明1と甲5-1発明の組み合わせ により想到され得る構成は、別紙1の1図にとどまると主張する。 しかし、甲5文献には、電子デバイスに組み込まれた認証システム15 に関し、控訴人が指摘するスライダをドラッグする部分にセンサを備 えた構成以外にも、「ホームボタンにセンサを備えた構成」等、様々 な構成が開示されているから、控訴人の主張は前提を誤っている。 (イ) 本件発明1-2について 本件発明1-1の容易想到性についての原判決の判断に誤りはないか20 ら、本件発明1-2の容易想到性についての原判決の判断にも誤りはな い。 (ウ) 小括 以上によれば、無効理由1の有無に関する原判決の判断に誤りはない。 ? 争点2-2(無効理由2(公然実施発明2及び甲5発明に基づく進歩性の25 欠如)の有無)について ア 控訴人の主張 5 (ア) 本件発明2-1について a 甲5文献に相違点3に係る構成が開示されていないことについて 甲5文献には、原判決認定の相違点3に係る「・・・活性化ボタン に対する操作入力以外の追加の操作なく、指紋認識による使用者識別 5 機能が実行され」る構成、「非活性状態から活性状態への切り替えの ための活性化ボタンに対する操作入力」が開示されていないことは、 本件発明1-1に関して前記?ア(ア)aで主張したのと同様である。 b 公然実施発明2と甲5-1発明を組み合わせても本件発明2-1に 想到できないことについて10 公然実施発明2と甲5-1発明を組み合わせることができたとし ても、当業者が本件発明2-1には容易に想到しないことは、本件発 明1-1に関して前記?ア(ア)bで主張したのと同様である。 (イ) 本件発明2-2ないし本件発明2-5について 本件発明2-2ないし本件発明2-5は、本件発明2-1の構成を含15 むものであるところ、本件発明2-1の容易想到性についての原判決の 判断に誤りがあるから、本件発明2-2ないし本件発明2-5の容易想 到性についての原判決の判断にも誤りがある。 (ウ) 本件発明2-6について a 本件発明2-6は、本件発明2-1の構成を含むものであるところ、 20 本件発明2-1の容易想到性の判断に誤りがあるから、同様の点にお いて、本件発明2-6のうち、本件発明2-1と共通する構成につい ての容易想到性に関する原判決の判断にも誤りがある。 b 甲5文献の記載において、顔の特徴を検出するのは、「ユーザの顔 がセンサと向かい合うように配置された時」のみであり 【0056】 、 ( )25 検出した顔の特徴を用いた使用者識別機能を実行するタイミング(特 に、本件発明2-6のように、非活性状態の際になされた前記活性化 6 ボタンに対する使用者の操作に基づいて、追加の操作なしに、顔認識 による使用者識別機能を実行すること)については、一切開示されて いない。 したがって、甲5文献は、相違点2-6に係る本件発明2-6の構 5 成を開示しない。 (エ) 小括 以上によれば、無効理由2の有無に関する原判決の判断には誤りがあ る。 イ 被控訴人の主張10 (ア) 本件発明2-1ないし本件発明2-5について 控訴人の主張が失当であることは、本件発明1-1に関して前記?イ (ア)で主張したのと同様である。 (イ) 本件発明2-6について a 本件発明2-6のうち、本件発明2-1と共通する構成についての15 控訴人の主張が失当であることは、本件発明1-1に関して前記?イ (ア)で主張したのと同様である。 b 控訴人は、甲5文献には、検出した顔の特徴を用いた使用者識別機 能を実行するタイミングについて開示されていないと主張する。 しかし、甲5文献の請求項15には、「ユーザから入力を受信する20 入力メカニズムと、前記入力が受信される時に、前記ユーザの識別特 徴を検出する検知素子」を備える「ユーザをシームレスに認証するた めの電子デバイス」が記載されており、甲5文献の請求項18、【0 020】、【0049】及び【0050】の記載も参酌すれば、請求 項15における「入力メカニズム」が、「ホームボタン」を含むもの25 であり、入力メカニズムにおいて、ユーザからの「入力が受信される 時」が、ユーザがホームボタンを押下したことを受信する時を含むも 7 のと理解することができる 。また、甲5文献の請求項15にいう「前 記ユーザの識別特徴を検出する検知素子」は、請求項17、【005 8】及び【0078】の記載を参酌すると、ユーザの顔の特徴を検出 するセンサを含むものである。したがって、甲5文献の記載に触れた 5 当業者は、ユーザがホームボタンを押下したことを受信した時に、シ ームレスにユーザの顔の特徴を検出して認証を行う電子デバイスを含 むものと理解することができる。 よって、甲5-2発明について、「デバイスの機能を有効にすると きに、電子デバイスに備えられた検知素子(センサ)によって顔の特10 徴を検出」する構成を認定した原判決の判断に誤りはない。 (ウ) 小括 以上によれば、無効理由2の有無に関する原判決の判断に誤りはない。 ? 争点3-2(無効理由1の解消の有無) ア 控訴人の主張15 (ア) 本件訂正発明1-1について a 本件訂正発明1-1は、「前記非活性状態にあるときに使用者によ る前記操作入力を受け付けると、前記ディスプレイ部にロック画面が 表示された前記活性状態へ切り替え、前記使用者による追加の操作な しに、指紋認識による使用者識別機能が、前記非活性状態から前記ロ20 ック画面が表示された前記活性状態への前記切り替えのための前記操 作入力により行われ、」との構成を有し、公然実施発明1とは、本件 発明1-1との相違点のほか、ロック画面が表示されるという点でも 相違する。 b? 仮に、公然実施発明1に甲5-1発明を組み合わせる際、公然実25 施発明1の使用者識別機能に係る手順のうち、ロック状態の画面上 でのスライダをドラッグする処理を排除することができたと仮定 8 しても、想到され得るものは、別紙1の2図の構成であり、そこで は、本件訂正発明1-1とは異なり、非活性状態から活性状態に切 り替えるための操作入力によりロック画面が表示されることはな い。 5 また、公然実施発明1と甲5-1発明を組み合わせて、仮に、「ス ライダのドラッグ」を経ずに「指紋認証」を実行する構成を想定す るのだとしても、公然実施発明1においても、甲5文献においても、 ロック画面は、あくまでも、当該画面上で「スライダのドラッグ」 を行う構成としてのみ開示されており、「スライダのドラッグ」を10 行わないロック画面は開示されていないから、「指紋認証」と併せ て「ロック画面」を残す構成を容易に想到できたとはいえない。 ? 被控訴人は、後記イ(ア)bのとおり、公然実施発明1に甲5-1 発明を組み合わせることで、公然実施発明1のホームボタンの背後 にセンサを設け、ホームボタンを押下すると、ロック画面が表示さ15 れるとともに、指紋認証を行うという構成を得ることができ(別紙 2のA図)、この構成において、指紋認証に成功した場合には、認 証成功後に直ちにホーム画面に遷移する構成(別紙2のB図1)又 は認証成功後にスライダのドラッグ操作を経て、ホーム画面に遷移 する構成(別紙2のB図2)を得ることができる旨主張する。 20 しかし、被控訴人が主張する認証成功後の構成である別紙2のB 図1については、スライダが表示されているところ、指紋認証に成 功した場合に「当該成功後に直ちにホーム画面に遷移する構成」で あるとされる以上、スライダをドラッグすることによって次の画面 に遷移するという、スライダの機能は利用されない。公然実施発明25 1や甲5文献において、そのように「利用されないスライダを表示 する」という技術思想は何ら開示されておらず、当業者がそのよう 9 に何ら機能を発揮しないスライダをあえて表示させる構成に容易 に想到し得たとはいえない。それを考え付くとすれば、本件訂正発 明1-1を見た上での後知恵である。 また、別紙2のB図2のような、 「認証の成功後に、さらにスライ 5 ダのドラッグ操作を経て、ホーム画面に遷移する」という構成は、 公然実施発明1にも、甲5文献にも何ら開示がない。 (イ) 本件訂正発明1-2について 本件訂正発明1-2は、本件訂正発明1-1の構成を含むものである ところ、本件訂正発明1-1の容易想到性についての原判決の判断に誤10 りがあるから、本件訂正発明1-2の容易想到性についての原判決の判 断にも誤りがある。 (ウ) 小括 以上によれば、原判決の無効理由1の解消の有無についての判断には 誤りがある。 15 イ 被控訴人の主張 (ア) 本件訂正発明1-1について a 控訴人は、前記ア(ア)b?のとおり、公然実施発明1に甲5-1発 明を組み合わせたとしても、本件訂正発明1-1とは異なり、非活性 状態から活性状態に切り替えるための操作入力によりロック画面が表20 示されることはない旨主張する。 b しかし、仮に、「スライダのドラッグ操作を排除」したとしても、 当該排除によって「ロック画面の表示」を残してはならないというこ とにはならない。公然実施発明1における「ロック画面の表示」には、 控訴人が主張する誤操作防止の技術的意義・機能以外にも、例えば、 25 ホーム画面に入らないで日時や電波状態、電池残量を確認することが できるといった技術的意義・機能がある。 10 また、公然実施発明1においては、パスコード認証の設定がされな い場合があり、その場合でも、ホームボタンの押下により、スリープ 状態からスリープ解除状態に切り替わった時に、ロック画面は表示さ れ、スライダのドラッグ操作により、ホーム画面に遷移する。したが 5 って、公然実施発明1に甲5-1発明を組み合わせることで、公然実 施発明1のホームボタンの背後にセンサを設け、ホームボタンを押下 すると、スライダを備えたロック画面が表示されるとともに、指紋認 証を行うという構成を得ることができる(別紙2のA図)。そして、 この構成において、指紋認証に成功した場合には、認証成功後に直ち10 にホーム画面に遷移する構成(別紙2のB図1)及び認証成功後にス ライダのドラッグ操作を経て、ホーム画面に遷移する構成(別紙2の B図2)を得ることができる。控訴人の主張は失当である。 (イ) 本件訂正発明1-2について 本件訂正発明1-1の容易想到性についての原判決の判断に誤りはな15 いから、本件訂正発明1-2の容易想到性についての原判決の判断にも 誤りはない。 (ウ) 小括 以上によれば、原判決の無効理由1の解消の有無に関する判断に誤り はない。 20 ? 争点3-3(無効理由2の解消の有無) ア 控訴人の主張 (ア) 本件訂正発明2-1について 本件訂正発明2-1は、「前記非活性状態の際になされた前記活性化 ボタンに対する使用者の操作に基づいて前記非活性状態から前記ロック25 画面が表示された前記活性状態に切り替えるとともに、」との構成を有 しており、公然実施発明2とは、本件発明2-1との相違点のほか、ロ 11 ック画面が表示されるという点でも相違する。 公然実施発明2に甲5-1発明を組み合わせたとしても、ロック画面 が表示される構成に至ることがないことは、公然実施発明1に甲5-1 発明を組み合わせた場合に関して前記?ア(ア)に主張した通りである。 5 (イ) 本件訂正発明2-2ないし本件訂正発明2-6について 本件訂正発明2-2ないし本件訂正発明2-6は、本件訂正発明2- 1の構成を含むものであるところ、ロック画面の表示に関する本件訂正 発明2-1の容易想到性についての原判決の判断に誤りがあるから、本 件訂正発明2-2ないし本件訂正発明2-6の容易想到性についての原10 判決の判断にも誤りがある。 (ウ) 小括 以上によれば、無効理由2の解消の有無に関する原判決の判断には誤 りがある。 イ 被控訴人の主張15 ロック画面を表示するものである本件訂正発明2-1ないし本件訂正 発明2-6の容易想到性に関する控訴人の主張は、本件訂正発明1-1の 容易想到性に関する控訴人の主張と同様のものであり、失当である。 |
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当裁判所の判断
本件の事案に鑑み、争点2-1(無効理由1(公然実施発明1及び甲5発明20 に基づく進歩性の欠如)の有無)、争点3-2(無効理由1の解消の有無)、争 点2-2(無効理由2(公然実施発明2及び甲5発明に基づく進歩性の欠如) の有無)、争点3-3(無効理由2の解消の有無)の順で判断する。 1 争点2-1(無効理由1(公然実施発明1及び甲5発明に基づく進歩性の欠 如)の有無)について25 ?のとおり原判決の補正をし、?のとおり当審における控訴人の補充主張に 対する判断を加えるほか、原判決の第3の4の説示のとおりであるから、これ 12 を引用する。 ? 原判決の補正 ア 原判決58頁22行目の「…」を、 「例えば、電子デバイスは、デバイス のホームスクリーン(例えば、スプリングボード)またはメニューを表示 5 する前に、4つの数字または4つの文字のPINを入力するよう、ユーザ に要求してよい。別の例として、ユーザの指紋を検出するためまたはユー ザの網膜を走査するための付属デバイスをデバイスに接続することによっ て、ユーザが、デバイスへのアクセス権を受ける前に、承認された指紋ま たは網膜を最初に示さなければいけないようにしてもよい。」に改める。 10 イ 原判決58頁24行目の「…」から同ページ26行目の「…」までを、 「これらの方法は両方とも有効でありうるが、パスワードまたはパスコー ドに基づくアクセス制限は、パスワードまたはパスコードを知っている他 のユーザがいない限りは、効果的である。パスワードまたはパスコードが 知られると、制限メカニズムは、効果がなくなりうる。また、パスワード15 またはパスコードを忘れて、許可ユーザがデバイスにアクセスできなくな る場合もある。さらに、ユーザに指紋を提供するまたは網膜スキャンを受 けるよう要求することは、ユーザがデバイスにアクセスできるまでに求め るステップを増やすため、時間がかかり、ユーザにとって煩わしい場合が ある。この方法は、パスワードまたはパスコードの入力よりも安全である20 が、ハードウェア(例えば、必要なスキャナ、検出器、または、リーダ) のコストと時間がかかる。したがって、例えば、ユーザがデバイスをオン にする、ロック解除する、または、起動する時に、デバイスが迅速かつシ ームレスにユーザを認証するように、生体認証および他の認証メカニズム を実装した電子デバイスを提供することが望ましい。」に改める。 25 ウ 原判決60頁6行目末尾に改行して次のように加える。 「リソースへの安全なアクセスを提供するために、電子デバイス700 13 は、ユーザを特定するためにユーザの指紋の特徴を検出する少なくとも1 つのセンサ720を備えてよい。シームレスなユーザ体験を提供するため に、センサ720は、入力メカニズム710および712の少なくとも一 方の中または下に組み込まれてよい。一部の実施形態において、入力メカ 5 ニズム710は、ユーザが電子デバイス700に入力を提供するために押 下しうる複数の別個のキーを備えうるため、1または複数のキーに内蔵さ れたセンサ720を備えてよい。例えば、光学または容量センサは、ユー ザが指をキーに置いた(例えば、ユーザの人差し指を「F」または「J」 キーに置いた)時に、センサがユーザを認証するためにユーザの指先の特10 徴を検出できるように、キーの上面に配置されてよい。ユーザの指がキー の上に置かれている間にユーザを認証するために、二次元すなわち移動セ ンサが、用いられ得る。 ( 」 【0049】) エ 原判決63頁20行目末尾に改行して次のように加える。 「また、甲5文献に接した当業者は、公然実施発明1には、スリープ状15 態においてホームボタンを押してから認証を経てデバイスにアクセスでき るまでの一連の動作に関して、甲5-1発明と共通の技術課題(デバイス のホームスクリーン又はメニューを表示する前に、本人認証のためにパス コードの入力を要求することは、パスコードが知られたり、パスワードを 忘れたりする。)が存在することを認識するものということができる。」20 オ 原判決63頁21行目の「技術分野の」から22行目の「共通性」まで を「技術分野の関連性、作用機能の共通性及び課題の共通性」に改める。 ? 当審における控訴人の補充主張に対する判断 ア 本件発明1-1について (ア) 甲5文献に相違点1に係る構成が開示されていないとする点につい25 て a 控訴人は、前記第2の3?ア(ア)a?のとおり、甲5文献には、相違 14 点1に係る構成のうち、使用者による追加操作なしに検出した指紋と 登録された指紋を照合して適合・不適合の判定を行う処理は含まれて いないと主張する。 しかし、甲5-1発明は、指紋による認証を行う上で「ユーザがデ 5 バイスにアクセスできるまでに求めるステップを増やすため、時間が かかり、ユーザにとって煩わしい場合があ」ることを課題とするもの であり(【0003】 、この点からすれば、ホームボタンへの操作入力 ) が、指紋の特徴を検出するための使用者識別機能を兼ねることは当然 に想定され、その場合には、ホームボタンの背後に配置されたセンサ10 により検出した指紋を、登録された指紋と照合して適合・不適合を判 定する処理を使用者による追加操作なしに行うことになる。これに加 え、甲5文献の請求項1の「前記入力メカニズムに隣接したセンサを 用いて、前記入力を受信する時に前記ユーザの識別情報を検出する工 程と、前記検出した情報に基づいて前記ユーザを認証する工程」との15 記載と、請求項7の「請求項1に記載の方法であって、前記識別情報 は、指紋、掌紋、・・・の内の少なくとも1つを含む、方法。」との記 載を併せ読めば、ホームボタンの操作入力による指紋を検出する工程 と認証工程との間に操作は不要であるから、甲5文献には、ホームボ タンへの操作入力以外の追加の操作なしで、ユーザが認証されること20 が開示されているということができる。 b 控訴人は、前記第2の3?ア(ア)a?のとおり、甲5文献のいう「起 動」には、本件発明1が規定する、非活性状態から活性状態に切り替 える操作は含まれないから、指紋認識による使用者識別機能が、非活 性状態から活性状態に切り替えるための操作入力に応じて行われる点25 についても、甲5文献には開示されていない旨主張する。 しかし、一般的に「起動する」の意味としては、「コンピューター 15 などの機器の電源を入れて、操作できる状態にすること」と解されて いる(乙7)ものの、甲5文献は、「例えば、ユーザがデバイスをオ ンにする、ロック解除する、または、起動する時に、」として、デバ イスをオンにすること、デバイスをロック解除すること、デバイスを 5 起動することを並列して記載している。そして、この記載に対応する 原文(甲33)には、「for example as the use r turns on, unlocks or wakes the d evice.」との記載があり([0004])、「turns on」と 「wakes」とが別に例示されているところ、wakeがslee10 pの対義語であることに鑑みると、甲5文献における「起動する(w akes)」がスリープ状態であったものを操作できる状態にするこ とを意味することは明らかであり、甲5文献の「(デバイスを)起動 する」との記載は、本件発明1-1の「非活性状態」から「活性状態」 への切り替えを意味するものである。 15 また、公然実施発明1に係る、iPhoneユーザガイド(甲10) の12頁「iPhoneのロックを解除する」の「ホームボタン、ま たはスリープ/スリープ解除のオン/オフボタンを押して、スライダ をドラッグします。」との記載や、iPhoneパーフェクトガイド (甲14)の22頁「スリープとロックの解除」の「スリープ時に電20 源ボタンかホームボタンを押すと、スリープから復帰してロックを解 除できるようなる」との記載によれば、甲5文献の図8Bに示される 一般的なスマートフォンである「携帯電話のホームボタン(図8Bの ボタン812)」も、スリープ時の操作入力によりスリープ状態を解 除する機能を有することは明らかである。そして、甲5文献には、ス25 リープ時のホームボタンに対する操作入力に基づく指紋によるユーザ 認証を排除する記載はない。 16 以上によれば、控訴人の主張は採用できない。 (イ) 公然実施発明1と甲5-1発明を組み合わせても本件発明1-1に 想到できないとする点について 控訴人は、前記第2の3?ア(ア)bのとおり、公然実施発明1におい 5 ても、甲5-1発明においても、スライダのドラッグが必須とされてお り、公然実施発明と甲5-1発明を組み合わせても、本件発明1-1の 構成には至らない旨主張する。しかし、甲5文献からは、ホームボタン の背後に指紋検出センサを配置し、ユーザが当該ホームボタンを押下し てデバイスを起動した時に、ユーザからの明示的な入力を要求すること10 なく、指紋による認証を行う構成も、甲5-1発明として認定すること ができることは、引用に係る原判決の第3の4(4)イにおいて説示すると おりであり、控訴人の主張は採用できない。 イ 本件発明1-2について 前記アにおいて判示したとおり、相違点1-1の容易想到性に関する原15 判決の判断に誤りはないところ、控訴人はこれ以外の相違点の容易想到性 について主張しておらず、また、原判決の判断に誤りがあるとは認められ ないから、本件発明1-2についての容易想到性に関する原判決の判断に 誤りはない。 ? 小括20 以上のとおりであって、無効理由1を認めた原判決の判断に誤りはない。 2 争点3-2(無効理由1の解消の有無)について ?のとおり原判決の補正をし、?のとおり当審における控訴人の補充主張に 対する判断を加えるほか、原判決の第3の6の説示のとおりであるから、これ を引用する。 25 ? 原判決の補正 原判決78頁7行目冒頭から11行目末尾までを次のように改める。 17 「甲5-1発明において、指紋による認証の結果を得るには一定の時間を 要することは、明らかである。また、公然実施発明1に甲5-1発明を適用 することで、ホームボタンを押下すると、起動によりディスプレイがオンに なり、それと同時に指紋認証を行うことが可能である(別紙2のA図右及び 5 B図1左)。 そして、本件訂正発明1-1で特定されるロック画面は、本件訂正事項1 -1により加えられたものであるが、「前記非活性状態にあるときに使用者 による前記操作入力を受け付けると,前記ディスプレイに」 「表示され」るも のであって、ロックが解除されていない状態を表示する機能以外は特定され10 てない。そうすると、公然実施発明1に甲5-1発明を適用したものにおい て、ホームボタンの押下後、オンになったディスプレイに、ホーム画面に移 行する前に表示される画面も、客観的にロックが解除されていない状態を表 示するものであり、これを「ロック画面」に当たるということができる。 したがって、公然実施発明1に甲5-1発明を適用した場合に、使用者に15 よる追加の操作なしに、指紋認識による使用者識別機能が、非活性状態から ロック画面が表示された活性状態への切り替えのための操作入力により行わ れるという、本件訂正発明1の構成に容易に想到するということができる。」 ? 当審における控訴人の補充主張に対する判断 ア 本件訂正発明1-1について20 (ア) 控訴人は、前記第2の3?ア(ア)b?のとおり、公然実施発明1に甲 5-1発明を組み合わせる際、ロック状態の画面上でのスライダをドラ ッグする処理を排除することができたと仮定しても、想到され得るもの は、別紙1の2図のとおりであり、そこでは、本件訂正発明1-1とは 異なり、非活性状態から活性状態に切り替えるための操作入力によりロ25 ック画面が表示されることはない旨、また、公然実施発明1においても、 甲5文献においても、ロック画面は、当該画面上で「スライダのドラッ 18 グ」を行う構成としてのみ開示されており、 「スライダのドラッグ」を行 わないロック画面は開示されていないから、 「指紋認証」と併せて「ロッ ク画面」を残す構成を容易に想到できたとはいえない旨主張する。 しかし、引用に係る原判決の第3の6?アのとおり、 「ロック画面」自 5 体は、ロックが解除されていない状態を示す画面であり、スライダのド ラッグ操作とロック画面の表示を不可分一体のものとして捉えなければ ならない理由はないから、控訴人の主張は採用できない。 (イ) 控訴人は、前記第2の3?ア(ア)b?のとおり、別紙2のB図1左に はスライダが表示されているところ、指紋認証に成功した場合に「当該10 成功後に直ちにホーム画面に遷移する構成」であるとされる以上、スラ イダの機能は利用されず、当業者がそのように何ら機能を発揮しないス ライダをあえて表示させる構成を考え付くとすれば、本件発訂正明1- 1を見た上での後知恵であると主張する。 控訴人の主張の真意は判然としないが、そもそも本件訂正発明1-115 においては、ロック画面からホーム画面への移行の仕方については何ら 規定しておらず(したがって、この場面におけるスライダの表示の有無 やその利用の有無等についても何も限定はない)、被控訴人の主張如何 にかかわらず、公然実施発明1に甲5-1発明を組み合わせた場合に、 正当な使用者と認証されたときに、スライダを利用しようとしなかろう20 と、どちらにしてもロック画面からホーム画面へ移行させることが可能 であること自体は明らかであるから、控訴人の主張は失当というほかな い。 イ 本件訂正発明1-2について 本件訂正事項1-1によって無効理由1を解消できないことは前記ア25 のとおりである。また、控訴人は、本件訂正事項1-2に係る訂正による 無効理由の解消を主張しておらず、原判決の判断に誤りがあるとも認めら 19 れない。 ? 小括 以上によれば、本件訂正によっても無効理由1は解消しないとした原判決 の判断に誤りはない。 5 3 争点2-2(無効理由2(公然実施発明2及び甲5発明に基づく進歩性の欠 如)の有無)について ?のとおり原判決の補正をし、?のとおり当審における控訴人の補充主張に 対する判断を加えるほか、原判決の第3の5の説示のとおりであるから、これ を引用する。 10 ?ア 原判決76頁4行目の「甲5文献には、」の次に「ユーザがデバイスをオ ンにする、ロック解除する、または、起動する時に、デバイスが迅速かつ シームレスにユーザを認証するように、生体認証および他の認証メカニズ ムを実装した電子デバイスを提供することが望ましいこと(【0003】、 )」 を加える。 15 イ 原判決76頁6行目の「当該センサは、」から8行目の「【0058】 」 ) までを「当該センサとして、ユーザの顔がセンサと向かい合うように配置 された時に、ユーザの顔の特徴を検出するものを採用することができるこ と(【0056】 」と改める。 ) ウ 原判決76頁15行目の「そして、」から19行目末尾までを、「甲5文20 献の特許請求の範囲の請求項11には、「電子デバイスのユーザを認証す るための方法であって、前記デバイスの検知素子に対して位置合わせする よう前記ユーザに案内することなく、前記ユーザが前記検知素子に対して 位置合わせされていることを決定する工程と、前記決定工程に応答して、 前記検知素子を用いて前記ユーザの生体属性を検出する工程と、前記検出25 工程に応答して、前記ユーザを認証する工程と、を備える、方法。」との記 載が、請求項13には、 「請求項11に記載の方法であって、前記検出工程 20 は、さらに、前記ユーザの顔の特徴および前記ユーザの眼の特徴の内の少 なくとも1つを検出する工程を備える、方法。」との記載がある。」と改め る。 エ 原判決76頁22行目から23行目の「デバイスの機能を有効にすると 5 きに、」を、「デバイスを起動する時に、」と改める。 ? 当審における控訴人の主張に対する判断 ア 本件発明2-1について 控訴人は、前記第2の3?ア(ア)aのとおり、甲5文献には、原判決認定 の相違点3に係る「・・・活性化ボタンに対する操作入力以外の追加の操10 作なく、指紋認識による使用者識別機能が実行され」る構成、 「非活性状態 から活性状態への切り替えのための活性化ボタンに対する操作入力」が開 示されていないと主張するが、同主張が採用できないことは前記1?アに おいて説示したとおりである。 控訴人は、前記第2の3?ア(ア)bのとおり、公然実施発明2と甲5-15 1発明を組み合わせることができたとしても、当業者が本件発明2-1に は容易に想到しないと主張するが、同主張が採用できないことは、本件発 明1-1に関して前記1?アで説示したとおりである。 イ 本件発明2-2ないし本件発明2-5について 引用に係る原判決の第3の5?における説示のとおり、相違点3につい20 て容易想到性が認められるところ、控訴人はこれ以外の相違点の容易想到 性について主張しておらず、また、原判決の判断に誤りがあるとは認めら れないから、本件発明2-2ないし本件発明2-5についての容易想到性 に関する原判決の判断に誤りはない。 ウ 本件発明2-6について25 控訴人は、前記第2の3?ア(ウ)のとおり、甲5文献は、検出した顔の特 徴を用いた使用者識別機能を実行するタイミングについて何ら開示して 21 いないから、相違点2-6に係る本件発明2-6の構成を開示しないと主 張する。 しかし、甲5文献には「例えば、認証システムは、ユーザの顔がセンサ と向かい合うように配置された時に、ユーザの顔の1または複数の顕著な 5 特徴によって放射または反射される放射線を検出するセンサを備えてよ い。 ( 」 【0056】)と記載されているところ、引用に係る原判決第3の5 ?イ(補正後のもの)のとおり、同文献には、 「ユーザがデバイスをオンに する、ロック解除する、または、起動する時に、デバイスが迅速かつシー ムレスにユーザを認証するように、生体認証および他の認証メカニズムを10 実装した電子デバイスを提供することが望ましい」との記載があることか らすれば、迅速かつシームレスなユーザ認証のため、顔認証のシステムの 機能が、ユーザがホームボタンを押下してデバイスを起動する際に、ユー ザの顔がセンサと向かい合うように配置された時に作用することも開示 されているものということができる。したがって、控訴人の主張は採用で15 きない。 ? 小括 以上のとおりであって、無効理由2を認めた原判決の判断に誤りはない。 4 争点3-3(無効理由2の解消の有無)について ?のとおり当審における控訴人の補充主張に対する判断を加えるほか、原判20 決の第3の7の説示のとおりであるから、これを引用する。 ? 当審における控訴人の補充主張に対する判断 ア 本件訂正発明2-1について 控訴人は、前記第2の3?ア(ア)のとおり、公然実施発明2に甲5-1 発明を組み合わせたとしても、ロック画面が表示される構成に至ることが25 ないことは、公然実施発明1に甲5-1発明を組み合わせた場合と同様で あると主張する。 22 しかし、本件訂正発明2-1におけるロック画面は、 「前記非活性状態の 際になされた前記活性化ボタンに対する使用者の操作に基づいて」「表示 され」るものであって、ロックが解除されていない状態を表示する機能以 外は特定されていないから、公然実施発明2に甲5-1発明を適用したも 5 のにおいて、ホームボタンの押下後、オンになったディスプレイに、ホー ム画面に移行する前に表示される画面も、 「ロック画面」に当たるというこ とができるのであり、その他、前記2?アにおいて公然実施発明1に甲5 -1発明を組み合わせた場合について説示したところに鑑みても、控訴人 の主張は採用できない。 10 イ 本件訂正発明2-2ないし本件訂正発明2-6について 本件訂正事項2-1に係る訂正によって無効理由2を解消できないこ とは引用に係る原判決第3の7?イ及び前記アのとおりである。また、控 訴人は、本件訂正事項2-2ないし本件訂正事項2-4に係る訂正による 無効理由の解消を主張しておらず、原判決の判断に誤りがあるとも認めら15 れない。 ? 小括 以上のとおりであって、本件訂正によっても無効理由2は解消しないとし た原判決の判断に誤りはない。 |
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結論
20 以上によれば、被控訴人の請求はいずれも理由があるから、これを認容した 原判決は相当である。したがって、本件控訴は理由がないから棄却することと し、主文のとおり判決する。 |