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関連審決 無効2014-800187
再審2019-950001
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事件 令和 3年 (行ケ) 10025号 審決取消請求事件
5
原告 X1
原告 X2 10 被告Y
同訴訟代理人弁護士 福岡秀哉
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2021/07/08
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
主文 1 原告らの請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告らの負担とする。
15 事 実 及 び 理 由第1 請求特許庁が再審2019−950001号事件について令和2年12月25日にした審決を取り消す。
第2 事案の概要20 1 前提事実(争いのない事実は証拠を掲記しない。)(1) 当事者等(甲3,弁論の全趣旨)ア 日本インテグレーテッドワークス株式会社(以下「日本インテグレーテッド」という。)は,平成19年1月23日,工業用機械及び内燃機関の機能維持用品の製造,販売等を目的として設立され,平成25年7月2225 日に解散した会社である。
イ 原告X1は,日本インテグレーテッドの設立から解散に至るまで,同社1の代表取締役を務めていた者,被告は,同社の設立以降は同社の取締役を務め,同社が解散してからは同社の監査役を務めている者,Aは,同社の設立以降は同社の監査役を務め,同社が解散してからは同社の代表清算人を務めている者である。
5 (2) 特許庁における手続等ア 原告X1は,平成23年6月8日,発明の名称を「噴出ノズル管の製造方法並びにその方法により製造される噴出ノズル管」とする発明についての特許出願(特願2011−127906)をし,平成24年3月30日,特許権の設定登録を受けた(特許第4958194号。請求項の数3。以10 下,この登録を受けた特許を「本件特許」という。)。
イ 被告は,平成26年11月14日,本件特許に係る発明は被告が発明したものであるにもかかわらず,原告X1がその名義で出願したものであって,平成23年法律第63号による改正前の特許法123条1項6号に該当すると主張して,本件特許の請求項1ないし3に係る発明(以下,請求15 項1に係る発明を「本件発明1」などといい,本件発明1ないし3を「本件各発明」という。)についての特許を無効とすることを求める特許無効審判(無効2014−800187号)を請求した(甲1。以下「本件無効審判請求」という。)。
特許庁は,平成27年9月25日,「本件審判の請求は,成り立たない。」20 との審決(以下「一次審決」という。)をし,その謄本は,同年10月5日,被告に送達された。
ウ 被告は,平成27年10月29日,一次審決の取消しを求める訴訟(知的財産高等裁判所平成27年(行ケ)第10230号)を提起した。
知的財産高等裁判所は,平成29年1月25日,本件発明2については25 その発明者が原告X1であると認めることができるが,本件発明1及び3についてはその発明者が原告X1であると認めることができず,本件各発2明の発明者をいずれも原告X1であると認定し,本件各発明に係る特許は発明者ではない者の特許出願に対してされたものとはいえないとした一次審決の判断のうち,本件発明1及び3に係る部分は誤りであると判断して,「特許庁が無効2014−800187号事件について平成27年9月25 5日にした審決のうち,特許第4958194号の請求項1及び3に係る部分を取り消す。」旨の判決(以下「一次判決」という。)を言い渡した(甲2)。
原告X1は,上記判決を不服として,平成29年2月9日に上告受理申立てをしたが,最高裁判所は,同年11月16日,「本件を上告審として10 受理しない。」との決定をし,一次判決は確定した。
エ その後,特許庁は,本件無効審判請求について更に審理し,平成30年6月11日,@本件の再度の審理には行政事件訴訟法33条1項の規定により取消判決の拘束力が及び,この拘束力は判決主文が導き出されるのに必要な事実認定及び法律判断にわたるものであるから,再度の審理におい15 て,当事者が,一次判決の拘束力が及ぶ判決理由中の認定判断につきこれを誤りであるとして従前と同様の主張を繰り返し,又はその主張を裏付けるための新たな立証をすることは認められないところ,被請求人(原告X1)の主張立証は,一次判決に係る審判手続及び審決取消訴訟において既に行われたもの,あるいはこれを行うことができたはずのもの,又は従前20 と同様の主張を繰り返すものであって,上記拘束力により採用することができず,一次判決に従い,本件各発明のうち,本件発明2については,その発明者が被請求人(原告X1)であると認めることができるが,本件発明1及び3については,その発明者が被請求人(原告X1)であると認めることはできない,A本件発明1及び3については,その発明について被25 請求人(原告X1)が発明者から特許を受ける権利承継しているとも認められない,Bしたがって,本件発明1及び3に係る特許は,その特許が3発明者でない者であってその発明について特許を受ける権利承継しない者の特許出願に対してされたものであるから,平成23年法律第63号による改正前の特許法123条1項6号に該当し,無効にすべきものであると判断し,「特許第4958194号の請求項1及び3に係る発明につい5 ての特許を無効とする。特許第4958194号の請求項2に係る発明についての審判請求は,成り立たない。」旨の審決(以下「二次審決」という。)をし(甲5),その謄本は,同月22日,原告X1に送達された。
オ 原告X1は,平成30年7月21日,二次審決の取消しを求める訴訟(知的財産高等裁判所平成30年(行ケ)第10099号)を提起した。
10 知的財産高等裁判所は,平成31年3月6日,本件発明1及び3の発明者についての二次審決の判断は,一次判決の拘束力に従ってされた適法なものであるから,関係当事者である原告X1は,当該判断に誤りがあるとして,二次審決の取消しを求めることはできないと判断して,原告X1の請求を棄却する旨の判決(以下「二次判決」という。)を言い渡した(甲15 6)。
原告X1は,上記判決を不服として,上告受理申立てをしたが,最高裁判所は,令和元年8月27日,「本件を上告審として受理しない。」との決定をし,二次判決は確定した。
カ 原告X1は,本件特許に係る特許権の持分権を原告X2に譲渡し,令和20 元年10月3日,その登録を経由した(甲22)。
原告らは,同月4日付けで,特許庁に対し,「二次審決のうち,特許第4958194号の請求項1及び3に係る発明についての特許を無効とするとの部分を取り消す,同部分に係る審判の請求は成り立たない。」旨の審決を求める再審請求(再審2019−950001号)をした。原告X25 2は,同年12月5日,上記請求を取り下げ,令和2年9月2日,上記再審請求について参加申請を行い,同年11月9日付けで参加許可決定を受4けた。
その後,特許庁は,同年12月25日,「本件再審の請求を却下する。」との審決(以下「本件審決」という。)をし,その謄本は,令和3年1月6日,原告らに送達された。
5 キ 原告らは,令和3年2月4日,本件審決の取消しを求める本件訴訟を提起した。
2 本件審決の要旨(ただし,本件審決の取消事由に関する部分に限る。)請求人(原告X1)の主張する民訴法338条1項9号に該当する事由(以下「9号事由」という。)は,確定審決を見れば直ちに認識できるものである10 から,確定審決である二次審決の審決取消訴訟においてこのような事由を主張することができたものである。したがって,当事者が審決取消訴訟の提起又は同訴訟に対する上告によりその事由を知りながら主張しなかったとき(特許法171条2項により準用される民訴法338条1項ただし書参照)に該当することは明らかである。
15 また,判断遺脱に係る主張は,要するに,一次判決における判断の遺脱を主張するものであって,確定審決である二次審決の判断の遺脱をいうものでないから,請求人(原告X1)の主張は,その前提において採用できない。
念のため,9号事由の有無について判断すると,二次審決は,本件各発明のうち,本件発明1及び3については,その発明者が原告X1であると認めるこ20 とはできず,また,その発明について請求人(原告X1)が発明者から特許を受ける権利承継しているとも認められない旨判断しているものであり,また,適法に確定した一次判決の拘束力に従って上記のとおり認定判断したものであるから,判断遺脱の違法はない。
以上によれば,特許法171条2項で準用する民訴法338条1項9号に基25 づく再審請求は,不適法なものであって,特許法174条3項により準用する同法135条により却下すべきである。
5第3 当事者の主張1 原告らの主張別紙原告準備書面(令和3年3月18日付け)の「第2 原告の主張」欄に記載のとおり。
5 2 被告の主張別紙準備書面(1)(令和3年4月26日付け)の「第2 原告らの甲第11号証から明らかとなったとする事実に基づく主張について」欄に記載のとおり。
第4 当裁判所の判断1 本件審決の取消事由は,9号事由該当性の判断の誤りをいうものであるとこ10 ろ,審決における判断の遺脱とは,審決の結論における判断に影響を与える事項について,当事者が主張した攻撃防御方法についての判断を審決の理由中に明記していない場合をいうものと解される。
前記第2の1(2)によれば,@被告がした,本件特許が原告X1による冒認出願によって登録されたことを理由とする無効審判請求について,特許庁が審判15 不成立の審決(一次審決)をしたのに対し,知的財産高等裁判所は,本件特許のうち請求項1及び3に係る部分を取り消す旨の判決(一次判決)を言い渡し,同判決は後に確定したこと,A確定審決である二次審決は,行訴法33条1項により確定判決である一次判決の拘束力があり,被請求人(原告X1)が一次判決の認定判断の誤りであると主張し,これを裏付けるために新たな証拠を提20 出するが,上記拘束力により採用することができず,本件各発明のうち,本件発明1及び3についての発明者が原告X1ではなく,また,その発明について原告X1が発明者から特許を受ける権利承継しているとも認められず,本件発明1及び3に係る特許は,その特許が発明者でない者であってその発明について特許を受ける権利承継しない者の特許出願に対してされたものであるか25 ら,平成23年法律第63号による改正前の特許法123条1項6号に該当する旨判断し,「特許第4958194号の請求項1及び3に係る発明について6の特許を無効とする。特許第4958194号の請求項2に係る発明についての審判請求は,成り立たない。」旨の審決をしたことが認められる。
そうすると,本件無効審判請求は,本件各発明の発明者が誰であり,本件特許の出願が冒認出願であるかが争点であるところ,こうした争点に関して,確5 定審決である二次審決は,一次判決の拘束力があることを前提として上記のとおり判断しているのであるから,当事者が主張した攻撃防御方法についての判断に遺脱はない。
2 特許無効審判事件についての審決の取消訴訟において審決取消しの判決が確定したときは,再度の審理ないし審決には行政事件訴訟法33条1項の規定に10 より,取消判決の拘束力が及び,この拘束力は判決主文が導き出されるのに必要な事実認定及び法律判断にわたるものであるから,審判官は,取消判決の認定判断に抵触する認定判断をすることは許されず,したがって,再度の審判手続において,取消判決の拘束力の及ぶ判決理由中の認定判断につきこれを誤りであるとして従前と同様の主張を繰り返すことや,その主張を裏付けるための15 新たな立証をすることは許されないというべきである(最高裁第三小法廷平成4年4月28日判決・民集46巻4号245頁参照)。
原告らの主張する再審事由は,要するに,確定した一次判決の本件発明1及び3の発明者が原告X1ではないとの認定判断について,一次判決が確定した後の二次審決において,一次判決の認定判断に誤りがあるとの従前の主張と同20 様の主張についての判断の遺脱があり,又はその主張を裏付けるための新たな証拠についての判断の遺脱があることをいうにすぎず,9号事由に当たらないことは明らかであるし,また,確定審決である二次審決は,このような主張立証は,一次判決に係る審判手続及び審決取消訴訟において既に行われたもの,あるいはこれを行うことができたはずのもの,又は従前と同様の主張を繰り返25 すものであって,一次判決の拘束力により採用することができないと判断しており,この点からも,二次審決に判断の遺脱があるとの原告らの主張は理由が7ない。
その他,口頭弁論終結後に提出されたものも含め,原告らは種々主張するが,別件訴訟におけるAの証言から,一次審決の取消訴訟で提出されたAの陳述書の内容が虚偽であるなどとして,本件発明1及び3の発明者が原告X1ではな5 い旨判断した一次判決の証拠評価の誤りを指摘したり,あるいは,別件訴訟におけるAの証言を含めた二次審決後に判明した様々な事情から,Aが被告をいわゆるダミーとして本件無効審判請求をした疑いがあるなどと述べるものにすぎず,こうした事情は,確定審決である二次審決に判断遺脱があるとの事由に該当しない。
10 3 以上によれば,確定審決である二次審決には原告らの主張する再審事由はなく,本件再審請求を不適法なものであると却下した本件審決の判断に誤りはない。
よって,主文のとおり判決する。
15 知的財産高等裁判所第4部裁判長裁判官菅 野 雅 之20裁判官中 村 恭258裁判官岡 山 忠 広9
事実及び理由
全容
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