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関連審決 訂正2020-390072
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事件 令和 1年 (ネ) 10074号 特許権侵害差止等請求控訴事件

控訴人株式会社ヘリオス
同訴訟代理人弁護士 山田威一郎
同 柴田和彦
同補佐人弁理士 立花顕治
同 山下未知子
被控訴人 CinarraSystems Japan 株式会社
同訴訟代理人弁護士 武智克典
同 清水将博
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2021/02/10
権利種別 特許権
訴訟類型 民事訴訟
主文 1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。
事実及び理由
控訴の趣旨
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人は,原判決別紙「被告サービス目録」記載の広告配信サービスを提 供してはならない。
3 被控訴人は,控訴人に対し,1100万円及びこれに対する平成30年9月 1 1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
事案の概要等(略語は原判決のそれに従う。ただし,「被告サービス」は「被
控訴人サービス」,「被告システム」は「被控訴人システム」,「被告方法」 は「被控訴人方法」とする。) 1 事案の要旨 控訴人は,発明の名称を「無線通信サービス提供システム及び無線通信サー ビス提供方法」とする特許(本件特許)の特許権(特許第3245836号。
本件特許権)を有しており,本件特許は,物(システム)の発明である本件発 明1及び2,方法の発明である本件発明26に係るものである。他方,被控訴 人は,原判決別紙「被控訴人サービス目録」記載のインターネット上の広告配 信サービス(被控訴人サービス)を提供するためのシステム(被控訴人システ ム)を生産し,それを使用する広告データの配信方法(被控訴人方法)により 被控訴人サービスを提供している。
本件は,控訴人が,被控訴人に対し,被控訴人システムの生産及び使用が本 件発明1及び2に係るシステムの生産,使用(直接侵害)に当たり,被控訴人 システムを構成する広告情報管理サーバ(DSP サーバ及び広告サーバ)の製造 が,本件発明1及び2に係るシステムの生産にのみ用いる物の生産をする行為 (特許法101条1号)又は本件発明1及び2に係るシステムの生産に用いる 物であって課題の解決に不可欠なものを生産する行為(同条2号) (間接侵害) に当たるとし,また,被控訴人方法の使用が本件発明26に係る方法の使用(直 接侵害)に当たると主張して,本件特許権に基づき被控訴人サービスの提供の 差止めを求めるとともに,本件特許権侵害不法行為に基づき,損害1100 万円及びこれに対する不法行為の日以後である平成30年9月1日(訴状送達 日の翌日)から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前)所 定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
原判決が控訴人の請求をいずれも棄却したため,これを不服とする控訴人が 2 控訴した。
なお,本件発明1,2,26の特許請求の範囲の記載を,構成要件に分説した結果は,次のとおりである。
本件発明1A 無線通信装置の利用者が,無線通信ネットワークを経由して,通信事業者 から無線通信サービスの提供を受けることにより,所定の利用料金を支払う 無線通信サービス提供システムにおいて,B 前記無線通信装置の現在位置を測定する位置測定手段と,C 配信すべき広告情報および配信先情報を入手するとともに,前記広告情報 を前記無線通信装置に送信する広告情報管理サーバとを具備し,D 前記広告情報管理サーバは,前記位置測定手段が測定した前記無線通信装 置の現在位置と前記配信先情報に含まれる位置情報に基づいて,指定地域内 の前記無線通信装置に対して前記広告情報を送信し,前記無線通信装置は, 前記広告情報管理サーバが送信した前記広告情報の配信を受ける一方,E 前記広告情報管理サーバは,前記無線通信装置が一旦前記指定地域の外に 出た後,再び前記指定地域内に戻っても,同じ前記広告情報を前記無線通信 装置に送信しないこと,を特徴とする無線通信サービス提供システム。
本件発明2F 請求項1に記載の無線通信サービス提供システムにおいて,G 前記広告情報管理サーバは,前記配信先情報に含まれる配信数に達するま で,無線通信装置に対して前記広告情報を送信すること,を特徴とする無線 通信サービス提供システム。
本件発明26H 無線通信装置の利用者が,無線通信ネットワークを経由して,通信事業者 から無線通信サービスの提供を受けることにより,所定の利用料金を支払う とともに, 3 I 前記無線通信装置の現在位置を測定する位置測定手段と, J 配信すべき広告情報および配信先情報を入手して,前記広告情報を前記無 線通信装置に送信する広告情報管理サーバとを具備する無線通信サービス提 供システムで使用される無線通信サービス提供方法において, K 前記位置測定手段が測定した前記無線通信装置の現在位置と前記配信先 情報に含まれる位置情報に基づいて,前記広告情報管理サーバが指定地域内 の前記無線通信装置に対して前記広告情報を配信するステップと, L 前記送信ステップで送信した広告情報の配信を,前記無線通信装置が受け る受信ステップと, M その一方,前記無線通信装置が一旦前記指定地域の外に出た後,再び前記 指定地域内に戻っても,前記広告情報管理サーバは同じ前記広告情報を前記 無線通信装置に送信しない非送信ステップと,を含むことを特徴とする無線 通信サービス提供方法。
2 前提事実 前提事実は,次のとおり補正するほかは,原判決「事実及び理由」(以下「事 実及び理由」の記載は省略する。)第2の1(原判決2頁11行目〜6頁8行 目)に記載のとおりであるから,これを引用する。
原判決6頁8行目の後に行を改めて次のとおり加える。
「? 控訴人は,令和2年8月17日付けで,本件特許の請求項1を訂正し, 請求項1の記載を引用する請求項2も同様に訂正する旨の訂正審判を請求 した(訂正2020-390072,甲10の1〜3)。上記訂正後の請 求項1を構成要件に分説すると次のとおりである(下線部が訂正により変 更された部分である。以下,上記訂正後の請求項1に記載された発明を「本 件訂正発明1」といい,上記訂正後の請求項2に記載された発明を「本件 訂正発明2」という。)。
A-1 無線通信装置の利用者が,無線通信ネットワークを経由して,通 4 信事業者から無線通信サービスの提供を受けることにより,所定の 利用料金を支払う無線通信サービス提供システムであって, A-2 広告主が広告情報の送信回数又は送信データ量に応じて徴収さ れる広告情報配信料を支払うことにより,前記広告情報が前記無線 通信装置に送信される無線通信サービス提供システムにおいて, B 前記無線通信装置の現在位置を測定する位置測定手段と, C’ 前記広告情報の配信条件,配信すべき前記広告情報および配信先 情報を入手するとともに,前記広告情報を前記無線通信装置に送信 する広告情報管理サーバとを具備し, D’ 前記広告情報管理サーバは,前記位置測定手段が測定した前記無 線通信装置の現在位置と前記配信先情報に含まれる位置情報と前 記配信条件に含まれる前記広告情報の送信時間に基づいて,指定地 域内の前記無線通信装置に対して前記送信時間内に前記広告情報 を送信し,前記無線通信装置は,前記広告情報管理サーバが送信し た前記広告情報の配信を受ける一方, E-1 前記広告情報管理サーバは,前記無線通信装置が一旦前記指定地 域の外に出た後,再び前記指定地域内に戻っても,同じ前記広告情 報を前記無線通信装置に送信せず, E-2 前記広告情報管理サーバは,前記広告情報の送信回数を含む送信 結果情報を前記広告主の端末に送信すること,を特徴とする無線通 信サービス提供システム。」3 争点 本件における争点は,次のとおり補正するほかは,原判決第2の2(原判決 6頁10〜12行目)に記載のとおりであるから,これを引用する。
原判決6頁12行目の後に行を改めて次のとおり加える。
「? 被控訴人システムは本件訂正発明1及び2の技術的範囲に属するか(争 5 点4) ? 本件発明1の進歩性(争点5) ? 本件発明2の進歩性(争点6) ? 本件発明26の進歩性(争点7) ? 本件訂正発明1の進歩性(争点8) ? 本件訂正発明2の進歩性(争点9)」 なお,本件発明1,2は,訂正審判申立てにより訂正請求されているので, 念のために,本件訂正発明1及び2の技術的範囲への属否,本件訂正発明1, 2の進歩性について検討する。
4 争点に関する当事者の主張 ? 本件における争点に関する当事者の主張は,後記?のとおり補正し,後記 第3のとおり当審における補充主張及び新たな主張を付加するほかは,原判 決第3(原判決6頁14行目〜21頁5行目)に記載のとおりであるから, これを引用する。
? 原判決16頁17行目から20行目までを次のとおり改める。
構成要件Gにおいては,広告主が配信数を指定し,広告情報の送信は当該 指定配信数に達するまで行われることとされている。他方,被控訴人システ ムにおいては,広告主は,配信条件として,1日当たり同一のスマートフォ ンに同一の広告を配信する最大数を指定することはできるが,広告の配信数 (条件を充たす複数のスマートフォンに配信する広告の総数)を指定するこ とはできず,配信数は,広告主が設定した予算と落札の結果により定まる。
そのため,予算により事実上配信数が制限されるのであり,広告主が予算を 設定する際に示される広告の回数は,予算に応じた推定回数に過ぎない。」
当審における補充主張及び新たな主張
1 争点1(被控訴人システムは本件発明1及び2の技術的範囲に属するか等) の補充主張 6 ? 控訴人の主張 ア 構成要件Eの解釈 (ア) 構成要件Eの「前記広告情報管理サーバは,前記無線通信装置が一 旦前記指定地域の外に出た後,再び前記指定地域内に戻っても,同じ前 記広告情報を前記無線通信装置に送信しないこと」は,「広告情報管理 サーバが,無線通信装置が一旦指定地域の外に出た後再び指定地域内に 戻った場合であっても,指定地域内にとどまり続けた場合であっても, 同じ広告情報を無線通信装置に送信しないこと」を意味する。その理由 は,次の(イ)のとおりである。
(イ)a 特許請求の範囲の記載 構成要件Eは,無線通信装置が一旦指定地域の外に出た後,再び指 定地域内に戻っても,広告情報管理サーバが同じ広告情報を無線通信 装置に送信しないということが記載されているにとどまり,広告情報 管理サーバが,無線通信装置が一旦指定地域の外に出た後再び指定地 域内に戻ったことを把握することは記載されていないし,無線通信装 置が指定地域内にとどまり続けている場合に同じ広告情報を無線通信 装置に送信しないようにすることを排除することも記載されていない。
特許法36条5項70条1項の規定を考慮しても,構成要件Eの 文言から,無線通信装置が指定地域内に存在し続けている場合に同じ 広告情報を無線通信装置に再送信しないものを排除すると解すること はできない。
b 明細書の記載 本件明細書の【0070】の「またこの際,個人情報データベース に項目として本広告メッセージに対応する広告IDを追加し,送信済 フラグを立てる。これにより,同じユーザに対して同一の広告メッセ ージを重複して送信することがなくなる。即ち,携帯端末1Aが一旦 7 指定地域の外に出た後,再び指定地域内に戻っても,この送信済フラ グが立っていれば,同じ広告メッセージを送信しない。」の「即ち」 の前後は,「即ち」という言葉の意味からして,同内容と解される。
本件明細書の【0070】の記載によれば,構成要件Eは,広告情報 管理サーバが,無線通信装置への広告の配信回数が0であるか1であ るかを表す送信済フラグに基づいて,広告を再送信するか否かを決め るものであり,無線通信装置が一旦配信エリアの外に出た後,再び配 信エリア内に戻ったときに,広告情報を再送しないようにする態様の みならず,無線通信装置が配信エリアにとどまり続けるときにも広告 情報を再送しないようにする態様を含む。
本件明細書の【0069】は,広告情報管理サーバがユーザの携帯 端末の位置情報を把握していることを述べるのみであり,構成要件E の解釈に影響しない。
c 出願経過 広告の配信回数を制限する技術が記載された乙3の1の1〜4,乙 3の2,乙4の1,2は,審査段階で引用された文献ではないから, 出願経過において,それらに記載された公知技術を除外するという解 釈がとられたと解することはできず,構成要件Eが,無線通信装置が 指定地域内に存在し続ける場合に同じ広告情報を送信しないものを除 外していると解することはできない。
イ 被控訴人システムによる充足性 (ア) 被控訴人システムでは,広告主が配信期間を1日以内とし,1人の スマートフォンのユーザーに対して1日に配信する回数を1回に制限す る設定をすると,当該スマートフォンが一旦配信エリアの外に出た後, 再び配信エリア内に戻っても,配信エリアの中にとどまり続けても,同 じ広告データは当該スマートフォンに送信されないから,構成要件Eを 8 充足する。
(イ) また,仮に,構成要件Eが,被控訴人の主張するように,広告情報 管理サーバが,無線通信装置が一旦指定地域外に出た後再び指定地域内 に戻ったことを把握して,無線通信装置に同じ広告情報を再送信しない ようにすることを意味するとしても,被控訴人システムは構成要件Eを 充足する。その理由は,以下のとおりである。
すなわち,被控訴人が提供するモバイルちらしのウェブサイトの「よ くある質問」の頁の記載(甲6),モバイルちらし媒体資料(甲3の2) の4頁及び7頁の記載を素直に読むと,被控訴人が通信業者(キャリア) から無線通信装置の位置情報の提供を受けていると解釈するのが自然で ある。仮に被控訴人がマッチング事業者を利用してスマートフォンの現 在位置の情報を取得させている場合であっても,被控訴人は,マッチン グ事業者がスマートフォンの位置情報を把握してマッチングをした結果 を踏まえて広告配信しているから,システム全体としてみれば,被控訴 人システムがスマートフォンの位置情報を把握し,スマートフォンが一 旦指定地域の外に出た後再び指定地域の中に戻ったことを把握している といえる。そのため,被控訴人システムは,無線通信装置が指定地域内 にとどまり続けるときに広告情報管理サーバが無線通信装置に再度同じ 広告情報を再送信しないようにすることもできるし,広告情報管理サー バが,無線通信装置が一旦指定地域の外に出た後再び指定地域に戻った ことを把握して広告情報を無線通信装置に再送信しないようにする構成 をも備える。
? 被控訴人の主張 ア 構成要件Eの解釈 (ア) 構成要件Eの「前記広告情報管理サーバは,前記無線通信装置が一 旦前記指定地域の外に出た後,再び前記指定地域内に戻っても,同じ前 9 記広告情報を前記無線通信装置に送信しないこと」は,「広告情報管理 サーバが,無線通信装置が一旦指定地域外に出た後再び指定地域内に戻 ったことを把握して無線通信装置に同じ広告情報を再送信しないように すること」のみを意味し,広告情報管理サーバが,無線通信装置が一旦 指定地域外に出た後再び指定地域内に戻ったことを把握せずに,無線通 信装置が指定地域内にとどまり続ける場合にも同じ広告情報を無線通信 装置に再送信しないようにすることは含まない。その理由は,次の(イ) のとおりである。
(イ)a 特許請求の範囲の記載 特許法70条1項等を踏まえると,特許請求の範囲に記載された文 言は,単に,本件発明の効果を例示するだけであるような無意味なも のと解されてはならず,特許請求の範囲を画するものとして解釈され なければならない。特許請求の範囲の用語の意味を解釈するため,発 明の詳細な説明に記載されている内容を斟酌することは許されるが, 特許請求の範囲において,解釈の余地がない明確な文言で特許請求の 範囲が特定されている場合において,その実施例の記載を以て特許発 明の技術的範囲を拡大するような解釈は許されることがあってはなら ない。
そして,構成要件Eは,その文言からすると,無線通信装置の所在 (指定地域の外にあるか中にあるか)によって違いが生じることを前 提としていると解されるから,広告情報管理サーバが,一旦広告情報 を受信した無線通信装置が,広告配信条件とされている指定地域の外 に出た後に再び当該指定地域に戻ったことを把握して,再度同じ広告 情報をその無線通信装置に配信しないことを意味するものと解さざる を得ない。
b 明細書の記載 10 本件明細書の【0069】によれば,広告情報管理サーバは時々刻々 と常に無線通信装置の位置を把握しているとされているから,携帯端 末1Aが一旦指定地域の外に出た後,再び指定地域内に戻ったことを 把握していたはずであり,その上で,【0070】の『即ち』の前で は,送信済みフラグを参照して広告メッセージを送信しないとしてい るから,構成要件Eを充足するためには,広告情報管理サーバは,単 に,同じ広告情報を無線通信装置に配信しないようにする構成を備え ているだけは足りず,一旦指定地域の外に出た後,再び指定地域内に 戻ったことを把握して,当該無線通信装置に,同じ広告情報を再送信 しないようにするという構成を備えていなければならない。
c 出願経過 無線通信装置に広告情報を配信した回数をカウントし,同一の無線 通信装置に同一の広告情報を配信しないという技術は,本件特許の出 願当時,DART(Dynamic Advertising Reporting&Targeting)と いう名称の広告配信サービス等(乙3の1の1〜4)で用いられ,特 許文献においても「従来技術」として紹介されていた(乙4の1)。
そのため,構成要件Eが,広告情報管理サーバが一旦指定地域外に出 た後再び指定地域内に戻ったことを把握せずに単に同じ広告情報を無 線通信装置に再送信しないようにする構成を含むとすれば,構成要件 Eは本件発明の進歩性を特徴付けるものたり得なくなる。
控訴人は,本件特許の出願審査の過程において,構成要件Eの「前 記無線通信装置が一旦前記指定地域の外に出た後,再び前記指定地域 内に戻っても,同じ前記広告情報を前記無線通信装置に送信しない」 という文言は,本件発明の技術的範囲を特定する重要な構成要素であ ると説明して,その特許性を主張するとともに,その特有の作用・効 果がある旨主張していたから,構成要件Eが本件発明の進歩性を特徴 11 付けるものたり得なくなるような控訴人の主張は,いわゆる包袋禁反 言の法理に照らしても,到底許されるものではない。
イ 被控訴人システムによる充足性 被控訴人システムにおいては,スマートフォンのブラウザに広告データ をダウンロードさせる被控訴人の広告サーバも DSP サーバも,スマートフ ォンの位置情報を保有しておらず,スマートフォンが,一旦配信エリアの 外に出た後,再び配信エリア内に戻ったか否かの確認をすることはできな い。被控訴人が確認できるのは,当該スマートフォンのブラウザが,同日 に同一の広告データを何回配信したことがあるスマートフォンのブラウ ザであるかという点のみであり,この確認は,当該スマートフォンの位置 情報とは無関係に行われる。
そのため,広告主が,配信期間を1日以内とし,1台のスマートフォン のブラウザに対して1日に同一の広告を配信する上限回数を1回に制限 する設定をしたとしても,被控訴人システムは,広告情報管理サーバが, 無線通信装置が一旦指定地域外に出た後再び指定地域内に戻ったことを 把握して同じ広告情報を再送信しないようにする構成を備えるものでは ないから,構成要件Eに該当する処理を行っていない。
以上より,被控訴人システムは構成要件Eを充足しない。
2 争点2(被控訴人方法は本件発明26の技術的範囲に属するか等)の補充主 張 ? 控訴人の主張 ア 構成要件Mの解釈 構成要件Mの「前記無線通信装置が一旦前記指定地域の外に出た後,再 び前記指定地域内に戻っても,前記広告情報管理サーバは同じ前記広告情 報を前記無線通信装置に送信しない非送信ステップ」は,構成要件Eと同 様に,「広告情報管理サーバが,無線通信装置が一旦指定地域の外に出た 12 後再び指定地域内に戻った場合であっても,指定地域内にとどまり続けた 場合であっても,同じ広告情報を無線通信装置に送信しない非送信ステッ プ」を意味する。その理由は,構成要件Eについて述べたのと同じである。
イ 被控訴人方法による充足性 (ア) 被控訴人方法では,広告主が配信期間を1日以内とし,1人のスマ ートフォンのユーザーに対して1日に配信する回数を1回に制限する設 定をすると,当該スマートフォンが一旦配信エリアの外に出た後,再び 配信エリア内に戻っても,配信エリアの中にとどまり続けても,同じ広 告データは当該スマートフォンに送信されないから,被控訴人方法は構 成要件Mを充足する。
(イ) 仮に,構成要件Mが,被控訴人の主張するように,広告情報管理サ ーバが,無線通信装置が一旦指定地域外に出た後再び指定地域内に戻っ たことを把握して,無線通信装置に同じ広告情報を再送信しないように することを意味するとしても,構成要件Eについて述べたのと同様の理 由により,被控訴人方法は構成要件Mを充足する。
? 被控訴人の主張 ア 構成要件Mの解釈 構成要件Mの「前記無線通信装置が一旦前記指定地域の外に出た後,再 び前記指定地域内に戻っても,前記広告情報管理サーバは同じ前記広告情 報を前記無線通信装置に送信しない非送信ステップ」は,広告情報管理サ ーバが,無線通信装置が一旦指定地域外に出た後再び指定地域内に戻った ことを把握して無線通信装置に同じ広告情報を再送信しないようにする ことのみを意味し,そのようなことを把握せずに単に同じ広告情報を無線 通信装置に再送信しないようにする場合は含まない。その理由は,構成要 件Eについて述べたのと同じである。
イ 被控訴人方法による充足性 13 被控訴人システムについて述べたのと同様に,広告主が,配信期間を1 日以内とし,1台のスマートフォンのブラウザに対して1日に同一の広告 を配信する上限回数を1回に制限する設定をしたとしても,被控訴人方法 は,広告情報管理サーバが,無線通信装置が一旦指定地域外に出た後再び 指定地域内に戻ったことを把握して同じ広告情報を再送信しないように する構成を備えるものではないから,構成要件Mに該当する処理を行って いない。
したがって,被控訴人方法は構成要件Mを充足しない。
3 争点4(被控訴人システムは本件訂正発明1及び2の技術的範囲に属するか) ? 被控訴人システムによる本件訂正発明1の充足性 ア 控訴人の主張 (ア) 構成要件A-1 被控訴人システムは構成aを備え,本件訂正発明1の構成要件A-1 を充足する。
(イ) 構成要件A-2 被控訴人システムは,広告の配信回数について,予算に合わせて指定 できるものであり(甲3の2,24頁),広告情報の送信回数に応じて 広告情報配信料を支払うシステムである。したがって,被控訴人システ ムは,構成要件A-2を充足する。
(ウ) 構成要件B 被控訴人システムの構成bの Wi-Fi 電波検知手段は,構成要件Bの「位 置測定手段」に当たるから,被控訴人システムは構成要件Bを充足する。
(エ) 構成要件C’ 被控訴人システムにおいては,広告情報を管理するサーバが,広告主 が作成した広告データ及び配信エリア等の配信先情報を入手し,管理す る DSP サーバ(被控訴人が保有)と,広告データをスマートフォンのユ 14 ーザーのスマートフォンに送信する SSP サーバ(スーパーシップが保有) とに分かれているが,DSP サーバと SSP サーバとの間では,瞬時にデー タのやり取り及び制御が行われ,スマートフォンのユーザーへの広告デ ータの配信が行われており,2つのサーバが一体となって広告情報管理 サーバとして機能している。そして,被控訴人システムにおいては,広 告配信条件(i)及び(ii)が DSP サーバに送信され(原判決別紙「被控訴人 システム及び被控訴人サービスの提供方法の構成」@),広告情報管理 サーバを構成する DSP サーバが広告情報の配信条件を入手している。し たがって,被控訴人システムは構成要件C’を充足する。
(オ) 構成要件D’ 被控訴人システムは構成dを備える。そして,被控訴人システムは, 広告の配信期間を指定できるものであるから(甲3の2,24頁),配 信条件には広告情報の送信時間が含まれる。したがって,被控訴人シス テムが本件訂正発明1の構成要件D’を充足する。
(カ) 構成要件E-1 前記1?イ(ア)〔本判決8頁〕と同様の理由により,被控訴人システ ムは,本件訂正発明1の構成要件E-1を充足する。
(キ) 構成要件E-2 被控訴人システムは,広告主に対し,広告情報の配達回数をいつでも 表示することができるから(甲3の1,5頁),広告情報の送信回数を 含む送信結果情報を広告主の端末に送信している。したがって,被控訴 人システムは,本件訂正発明1の構成要件E-2を充足する。
イ 被控訴人の主張 控訴人の主張は争う。
? 被控訴人システムによる本件訂正発明2の充足性 ア 控訴人の主張 15 前記?ア〔本判決14頁〕のとおり,被控訴人システムは本件訂正発明 1の構成要件を充足する。また,被控訴人システムは,広告主が設定した 配信数に達するまで,配信エリア内のスマ-トフォンに対して広告デ-タ を送信するとの構成を備えているから,被控訴人システムは本件訂正発明 2の構成要件Gを充足する。
イ 被控訴人の主張 控訴人の主張は争う。
本件訂正発明2の構成要件Gにおいては,広告情報の送信は配信先情報 に含まれる配信数に達するまで行われることとされているが,前記第2の 4?〔本判決6頁〕による補正後の原判決のとおり,被控訴人システムに おいては,広告主は,広告の配信数(条件を充たす複数のスマ-トフォン に配信する広告の総数)を指定することはできず,配信数は,広告主が設 定した予算と落札の結果により定まり,予算により事実上配信数が制限さ れるのであり,広告主に示されるのは,予算に応じた推定回数に過ぎない。
したがって,被控訴人システムは構成要件Gを充足しない。
4 争点5(本件発明1の進歩性) ? 被控訴人の主張 ア 控訴人の構成要件解釈を前提とする場合の無効主張 本件発明1の構成要件E,本件発明26の構成要件M及び本件訂正発明 1の構成要件E-1の「無線通信装置が一旦指定地域の外に出た後,再び 指定地域内に戻っても,広告情報管理サ-バが同じ広告情報を無線通信装 置に送信しない」という構成の意味について,控訴人の主張するように, 「広告情報管理サ-バが,無線通信装置が一旦指定地域の外に出た後再び 指定地域内に戻った場合であっても,指定地域内にとどまり続けた場合で あっても,同じ広告情報を無線通信装置に送信しないこと」を意味するも のと解する場合には,本件発明1,本件発明26,本件発明2,本件訂正 16 発明1及び本件訂正発明2は,いずれも公知技術又は周知技術に基づいて 当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法29条2項の 規定により特許を受けることができないものである。
イ 本件発明1の進歩性 (ア) 乙5を主引用例とし,乙4の2を副引用例とする本件発明1の容易 想到性 a 乙5記載の発明 乙5には,次のような発明が記載されている(以下,次の発明を「乙 5発明」という。)。
@ モバイル・ウェブ・クライアントのユ-ザにおいて,ウェブ・サ -バとモバイル・ウェブ・クライアントとをインタ-ネットにより 接続をしているシステムである。
A 当該システムにおいては,モバイル・ウェブ・クライアントの位 置情報を取得する手段を備えている。
B ウェブ・サ-バは,ユ-ザに供給すべきオブジェクト(広告情報。
なお,このオブジェクトには,オブジェクトを提供すべきユ-ザの 位置情報及び時刻等の配信先情報が含まれている。)をあらかじめ 入手しており,また,このオブジェクトをユ-ザのモバイル・ウェ ブ・クライアントに供給する機能を有している。
C ユ-ザは,モバイル・ウェブ・クライアントにより,ウェブ・サ -バに対し,ウェブ・ペ-ジを要求するとともに,当該モバイル・ ウェブ・クライアントの位置情報をウェブ・サ-バに伝送する。ウ ェブ・サ-バは,受信したモバイル・ウェブ・クライアントの位置 情報及びウェブ・ペ-ジ要求を受信した時刻と,オブジェクトに含 まれる配信先情報としての位置情報及び時刻とが一致するオブジェ クトを選択する。
17 D ウェブ・サ-バは,当該モバイル・ウェブ・クライアントから要 求されたウェブ・ペ-ジを生成するに当たり,選択したオブジェク トを含めて生成し,生成したウェブ・ペ-ジをモバイル・ウェブ・ クライアントに供給する。
b 乙5発明と本件発明1の対比 (a) 一致点 乙5発明は,本件発明1と,本件発明1の構成要件AないしDに 係る構成を備える点で一致する。
(b) 相違点 乙5発明は,本件発明1の構成要件Eに係る構成を備えない点で 本件発明1と相違する。
c 相違点に係る本件発明1の構成の容易想到性 (a) 乙4の2に記載された発明の構成 乙4の2に記載された発明においては,情報提供装置は,端末装 置にメッセ-ジを提供するに際し,個別制限回数の設定が可能であ り,メッセ-ジ送信条件に応じ,同一のユ-ザ1人当たりにメッセ -ジを提供する回数を1回とすることが可能である(乙4の2, (22)頁23行目〜(23)頁2行目)。この個別制限回数が設定された 場合には,ウェブ・サ-バにおいて個別制限回数未満であるか否か を判断するが,このことは,個別制限回数を1回と設定した場合に は,まさに送信済みフラグを利用して同じ端末装置に 1 回しかメッ セ-ジを送信しないのと同じことを意味するものである。したがっ て,乙4の2に記載された発明は,本件発明1の構成要件Eに係る 構成(「広告情報管理サ-バが,無線通信装置が一旦指定地域の外 に出た後再び指定地域内に戻った場合であっても,指定地域内にと どまり続けた場合であっても,同じ広告情報を無線通信装置に送信 18 しないこと」,前記ア〔本判決16頁〕)を備える。
(b) 乙4の2に記載された発明の構成を乙5発明に組み合わせるこ との容易性 乙4の2に記載された発明と乙5発明は,いずれもインタ-ネッ トによる広告配信に関する技術分野に属し,ユ-ザに所望の広告を 配信するという課題も共通する。作用・機能について見ると,乙5 発明は,ユ-ザ位置情報と,広告オブジェクトに関連付けされたユ -ザ位置との対比に基づいて,ユ-ザに表示すべき広告オブジェク トを選択する技術であり,他方,乙4の2に記載された発明は,端 末装置の利用者の種別情報(年齢・性別・所在地など)と,付加的 情報(広告)を表示させるべき利用者の種別(年齢・性別・所在地 など)との対比に基づいて,端末装置に送信する付加的情報を選択 する技術である。このように,乙5発明も乙4の2に記載された発 明も,ユ-ザの属性等に関する情報と,どのようなユ-ザにその広 告を見せたいかという広告に関連付けされた情報(送信先条件)と を対比することにより,ユ-ザに配信する広告を選択するという点 で,作用・機能が共通している。そうすると,広告情報の配信を業 とする当業者であれば,乙4の2に記載された発明の構成を乙5発 明に組み合わせることは容易であった。そのため,乙4の2に記載 された発明の構成を乙5発明に組み合わせることにより,本件発明 1の構成要件Eに係る構成を容易に想到することができた。
したがって,乙5を主引用例とし,乙4の2を副引用例として本 件発明1を容易に想到することができた。
(イ) 乙5を主引用例とし,配信回数を制限する周知技術を副引用例とす る本件発明1の容易想到性 a 乙5発明と本件発明1の対比 19 乙5発明と本件発明1の一致点,相違点は,前記(ア)b〔本判決1 8頁〕のとおりである。
b 相違点に係る本件発明1の構成の容易想到性 (a) 配信回数を制限する周知技術 本件特許出願前の雑誌の記事等(乙3の1の1〜4)には,ダブ ルクリック社のDARTというインタ-ネットの広告配信サ-ビ スにおいて,配信回数を管理し,配信回数を所定の回数に制限して いたことが記載されており,そのような技術は,本件特許の出願前 に公開された公開特許公報(乙4の1)に「従来の技術」として紹 介されていた。そして,本件特許出願前には既に無線通信装置に対 する広告配信サ-ビスが開始されていた(乙3の2)。また,本件 特許の出願前に公開された公開特許公報(乙7)には,広告の配信 回数を制限することが記載されていた。
そのため,インタ-ネットで無線通信装置に広告情報を配信する に当たり,配信回数を管理し,所定の回数に制限することは,本件 特許の出願当時周知技術であった。
(b) 配信回数を制限する周知技術を乙5発明に組み合わせることの 容易性 配信回数を制限する周知技術と乙5発明は,いずれもインタ-ネ ットによる広告配信に関する技術分野に属し,ユ-ザに所望の広告 を配信するという課題を共通にするから,広告情報の配信を業とす る当業者であれば,配信回数を制限する周知技術を乙5発明に組み 合わせることは容易であった。そのため,配信回数を制限する周知 技術を乙5発明に組み合わせることにより,本件発明1の構成要件 Eに係る構成を容易に想到することができた。
したがって,乙5を主引用例とし,配信回数を制限する周知技術 20 を副引用例として本件発明1を容易に想到することができた。
(ウ) 乙4の2を主引用例とし,乙5を副引用例とする本件発明1の容易 想到性 a 乙4の2記載の発明 乙4の2には,次のような発明が記載されている(以下,次の発明 を「乙4の2発明」という。)。
@ 利用者の端末装置は,公衆回線網を介して情報提供装置と接続を し,インタ-ネットを利用することができるシステムである。
A 情報提供装置においては,利用者デ-タベ-スにより,利用者の 所在地その他の属性を管理している。
B 情報提供装置は,メッセ-ジの描画デ-タ,メッセ-ジ送信条件 (ユ-ザの性別,年齢,職業及び住所等のユ-ザの属性,同一のユ -ザ1人当たりにメッセ-ジを提供する回数,各メッセ-ジを提供 する総上限表示回数等をメッセ-ジ送信条件として設定することが 可能である。)等を保持するメッセ-ジデ-タベ-スを有している ほか,このメッセ-ジを利用者の端末装置に提供する機能を有して いる。
C 利用者は,端末装置から情報提供装置にアクセスをし,インタ- ネットの情報を取得しようとするが,その際,情報提供装置は,メ ッセ-ジデ-タベ-スのメッセ-ジ送信条件と利用者デ-タベ-ス における利用者の属性とが一致するメッセ-ジを端末装置に送信す る。
D 情報提供装置は,Cのメッセ-ジの提供に際し,メッセ-ジ送信 条件に応じ,同一の利用者1人当たりにメッセ-ジを提供する回数 を1回とすることが可能である。
E 情報提供装置は,Cのメッセ-ジの提供に際し,各メッセ-ジの 21 総提供回数の上限を設定し,当該メッセ-ジについて利用者に提供 する総提供回数を制限することが可能である。
b 乙4の2発明と本件発明1の対比 (a) 一致点 乙4の2発明は,本件発明1と,本件発明1の構成要件A,C及 びEに係る構成を備える点で一致する。
(b) 相違点 乙4の2発明は,本件発明1の構成要件B及びDに係る構成を備 えない点で本件発明1と相違する。
c 相違点に係る本件発明1の構成の容易想到性 (a) 乙5発明の構成 乙5発明は,本件発明1の構成要件B及びDに係る構成を備える。
(b) 乙5発明の構成を乙4の2発明に組み合わせることの容易性 乙5発明と乙4の2発明は,いずれもインタ-ネットによる広告 配信に関する技術分野に属し,ユ-ザに所望の広告を配信するとい う課題が共通し,作用・機能も共通する。そうすると,広告情報の 配信を業とする当業者であれば,乙5発明の構成を乙4の2発明に 組み合わせることは容易であった。そのため,乙5発明の構成を乙 4の2発明に組み合わせることにより,本件発明1の構成要件Bに 係る構成(「前記無線通信装置の現在位置を測定する位置測定手段 と,」),構成要件Dに係る構成(「前記広告情報管理サ-バは, 前記位置測定手段が測定した前記無線通信装置の現在位置と前記 配信先情報に含まれる位置情報に基づいて,指定地域内の前記無線 通信装置に対して前記広告情報を送信し,前記無線通信装置は,前 記広告情報管理サ-バが送信した前記広告情報の配信を受ける一 方,」)を容易に想到することができた。
22 したがって,乙4の2を主引用例とし,乙5を副引用例として本 件発明1を容易に想到することができた。
(エ) 本件発明1の進歩性 以上によれば,本件発明1は,公知技術又は周知技術に基づいて当業 者が容易に発明をすることができたものであり,特許法29条2項の規 定により特許を受けることができないものである。
? 控訴人の主張 ア 控訴人の構成要件解釈を前提とする場合の無効主張 被控訴人の主張は争う。
本件発明1の構成要件E,本件発明26の構成要件M及び本件訂正発明 1のE-1については,「広告情報管理サ-バが,無線通信装置が一旦指 定地域の外に出た後再び指定地域内に戻った場合であっても,指定地域内 にとどまり続けた場合であっても,同じ広告情報を無線通信装置に送信し ないこと」を意味するものと解すべきであるが,そのように解したとして も,本件発明1,本件発明2,本件発明26,本件訂正発明1及び本件訂 正発明2は,公知技術又は周知技術に基づいて当業者が容易に発明をする ことができたものではなく,特許法29条2項には該当しない。
イ 本件発明1の進歩性 (ア) 乙5を主引用例とし,乙4の2を副引用例とする本件発明1の容易 想到性 a 乙5記載の発明 被控訴人の主張は争う。
b 乙5発明と本件発明1の対比 (a) 一致点 被控訴人の主張は争う。
(b) 相違点 23 乙5発明が,本件発明1の構成要件Eに係る構成を備えない点で 本件発明1と相違することは認める。
c 相違点に係る本件発明1の構成の容易想到性 (a) 乙4の2発明の構成 被控訴人の主張は争う。
(b) 乙4の2発明の構成を乙5発明に組み合わせることの容易性 被控訴人の主張は争う。
乙4の2発明と乙5発明は,技術分野,課題,作用・機能が異な るから,乙4の2発明の構成を乙5発明に組み合わせる動機付けは ない。また,一般的に,広告は目に触れる回数が多ければ多いほど 効果があるので,乙5発明は,広告情報が関連付けられた位置情報 及び時刻と一致する位置情報及び時刻を有するモバイル・ウェブ・ クライアントに対し,可能な限り長い時間,繰り返し広告を表示す ることを目的としており,回数は無制限で広告情報を配信する発明 である。これに対し,乙4の2発明は,広告の配信回数を制限する ものであるから,乙4の2発明の構成を乙5発明に組み合わせるこ とには阻害事由がある。
したがって,乙5を主引用例とし,乙4の2を副引用例として本 件発明1を容易に想到することはできなかった。
(イ) 乙5を主引用例とし,配信回数を制限する周知技術を副引用例とす る本件発明1の容易想到性 a 乙5発明と本件発明1の対比 乙5発明と本件発明1の対比については,前記(ア)b〔本判決23 頁〕のとおりである。
b 相違点に係る本件発明1の構成の容易想到性 (a) 配信回数を制限する周知技術 24 被控訴人の主張は争う。
(b) 配信回数を制限する周知技術を乙5発明に組み合わせることの 容易性 被控訴人の主張は争う。
乙5発明は,一般的に,広告は目に触れる回数が多ければ多いほ ど効果があるので,広告情報が関連付けられた位置情報及び時刻と 一致する位置情報及び時刻を有するモバイル・ウェブ・クライアン トに対し,可能な限り長い時間,繰り返し広告を表示することを目 的としており,回数は無制限で広告情報を配信する発明である。こ れに対し,配信回数を制限する周知技術は,広告の配信回数を制限 するものであるから,このような周知技術を乙5発明に適用するこ とには阻害事由がある。
したがって,乙5を主引用例とし,配信回数を制限する周知技術 を副引用例として本件発明1を容易に想到することはできなかっ た。
(ウ) 乙4の2を主引用例とし,乙5を副引用例とする本件発明1の容易 想到性 a 乙4の2記載の発明 被控訴人の主張は争う。
b 乙4の2発明と本件発明1の対比 (a) 一致点 被控訴人の主張は争う。
(b) 相違点 被控訴人の主張は争う。
c 相違点に係る本件発明1の構成の容易想到性 (a) 乙5発明の構成 25 被控訴人の主張は争う。
(b) 乙5発明の構成を乙4の2発明に組み合わせることの容易性 被控訴人の主張は争う。
乙5発明と乙4の2発明は,技術分野,課題,作用・機能が異な るから,乙5発明の構成を乙4の2発明に組み合わせる動機付けは ない。
したがって,乙4の2を主引用例とし,乙5を副引用例として本 件発明1を容易に想到することはできなかった。
(エ) 本件発明1の進歩性 以上によれば,本件発明1は,公知技術又は周知技術に基づいて当業 者が容易に発明をすることができたものではなく,特許法29条2項に は該当しない。
5 争点6(本件発明2の進歩性) ? 被控訴人の主張 ア 乙5を主引用例とし,乙4の2を副引用例とする本件発明2の容易想到 性 (ア) 乙5発明と本件発明2の対比 a 一致点 乙5発明は,本件発明2と,本件発明2に含まれる本件発明1の構 成要件AないしDに係る構成を備える点で一致する。
b 相違点 乙5発明は,本件発明2に含まれる本件発明1の構成要件Eに係る 構成を備えない点,及び構成要件Gに係る構成を備えない点で本件発 明2と相違する。
(イ) 相違点に係る本件発明2の構成の容易想到性 a 乙4の2発明の構成 26 前記4?イ(ア)c(a) 〔本判決18頁〕のとおり,乙4の2発明は, 本件発明1の構成要件Eに係る構成を備える。
また,乙4の2発明においては,情報提供装置は,各メッセ-ジの 総提供回数の上限を設定し,当該メッセ-ジについてユ-ザに提供す る総提供回数を制限することができるとされている(乙4の2(23)頁 3〜9 行目)。これは,同じメッセ-ジ,即ち広告情報を端末装置に提 供する総提供回数を制限できることを意味する。そのため,乙4の2 発明は,本件発明2の構成要件Gに係る構成(「広告情報管理サ-バ が配信先情報に含まれる配信数に達するまで,無線通信装置に対して 広告情報を送信すること」)を備える。
b 乙4の2発明の構成を乙5発明に組み合わせることの容易性 前記4?イ(ア)c(b) 〔本判決19頁〕のとおり,乙4の2発明と 乙5発明は,技術分野,課題,作用・機能を共通にしていたから,当 業者であれば,乙4の2発明の構成を乙5発明に組み合わせることは 容易であった。そのため,乙4の2発明の構成を乙5発明に組み合わ せることにより,構成要件Eに係る構成,構成要件Gに係る構成は, 容易に想到することができた。
したがって,乙5を主引用例とし,乙4の2を副引用例として本件 発明2を容易に想到することができた。
イ 乙4の2を主引用例とし,乙5を副引用例とする本件発明2の容易想到 性 (ア) 乙4の2発明と本件発明2の対比 a 一致点 乙4の2発明は,本件発明2と,本件発明2に含まれる本件発明1 の構成要件A,C及びE,構成要件Gに係る構成を備える点で一致す る。
27 b 相違点 乙4の2発明は,本件発明2に含まれる本件発明1の構成要件B及 びDに係る構成を備えない点で本件発明2と相違する。
(イ) 相違点に係る本件発明2の構成の容易想到性 a 乙5発明の構成 乙5発明は,本件発明1の構成要件B及びDに係る構成を備える。
b 乙5発明の構成を乙4の2発明に組み合わせることの容易性 前記4?イ(ウ)c(b) 〔本判決22頁〕のとおり,乙5発明と乙4 の2発明は,技術分野,課題,作用・機能を共通にしていたから,当 業者であれば,乙5発明の構成を乙4の2発明に組み合わせることは 容易であった。そのため,乙5発明の構成を乙4の2発明に組み合わ せることにより,構成要件Bに係る構成(「無線通信装置の現在位置 を測定する位置測定手段を備えるようにすること」),構成要件Dに 係る構成(「広告情報管理サ-バは,位置測定手段が測定した無線通 信装置の現在位置と配信先情報に含まれる位置情報に基づいて,指定 地域内の無線通信装置に対して広告情報を送信し,無線通信装置は, 広告情報管理サ-バが送信した広告情報の配信を受けるようにする こと」)は,容易に想到することができた。
したがって,乙4の2を主引用例とし,乙5を副引用例として本件 発明2を容易に想到することができた。
ウ 本件発明2の進歩性 以上によれば,本件発明2は,公知技術又は周知技術に基づいて当業者 が容易に発明をすることができたものであり,特許法29条2項の規定に より特許を受けることができないものである。
? 控訴人の主張 ア 乙5を主引用例とし,乙4の2を副引用例とする本件発明2の容易想到 28 性 (ア) 乙5発明と本件発明2の対比 a 一致点 被控訴人の主張は争う。
b 相違点 乙5発明が,本件発明2に含まれる本件発明1の構成要件Eを備え ない点で本件発明1と相違することは認め,その余は争う。
(イ) 相違点に係る本件発明2の構成の容易想到性 a 乙4の2発明の構成 被控訴人の主張は争う。
b 乙4の2発明の構成を乙5発明に組み合わせることの容易性 被控訴人の主張は争う。
前記4?イ(ア)c(b) 〔本判決24頁〕のとおり,乙4の2発明の 構成を乙5発明に組み合わせる動機付けはないし,乙4の2発明の構 成を乙5発明に適用することには阻害事由がある。
したがって,乙5を主引用例とし,乙4の2を副引用例として本件 発明2を容易に想到することはできなかった。
イ 乙4の2を主引用例とし,乙5を副引用例とする本件発明2の容易想到 性 (ア) 乙4の2発明と本件発明2の対比 a 一致点 被控訴人の主張は争う。
b 相違点 被控訴人の主張は争う。
(イ) 相違点に係る本件発明2の構成の容易想到性 a 乙5発明の構成 29 被控訴人の主張は争う。
b 乙5発明の構成を乙4の2発明に組み合わせることの容易性 被控訴人の主張は争う。
前記4?イ(ウ)c(b) 〔本判決26頁〕のとおり,乙5発明と乙4 の2発明は,技術分野,課題,作用・機能が異なるから,乙5発明の 構成を乙4の2発明に組み合わせる動機付けはない。
したがって,乙4の2を主引用例とし,乙5を副引用例として本件 発明2を容易に想到することはできなかった。
ウ 本件発明2の進歩性 以上によれば,本件発明2は,公知技術又は周知技術に基づいて当業者 が容易に発明をすることができたものではなく,特許法29条2項には該 当しない。
6 争点7(本件発明26の進歩性) ? 被控訴人の主張 ア 乙5を主引用例とし,乙4の2を副引用例とする本件発明26の容易想 到性 (ア) 乙5発明と本件発明26の対比 a 一致点 乙5発明は,本件発明26と,本件発明26の構成要件HないしL に係る構成を備える点で一致する。
b 相違点 乙5発明は,本件発明26の構成要件Mに係る構成を備えない点で 本件発明26と相違する。
(イ) 相違点に係る本件発明26の構成の容易想到性 a 乙4の2発明の構成 前記4?イ(ア)c(a) 〔本判決18頁〕と同様の理由により,乙4 30 の2発明は,本件発明26の構成要件Mに係る構成(「広告情報管理 サ-バが,無線通信装置が一旦指定地域の外に出た後再び指定地域内 に戻った場合であっても,指定地域内にとどまり続けた場合であって も,同じ広告情報を無線通信装置に送信しないこと」 前記4?ア , 〔本 判決16頁〕)を備える。
b 乙4の2発明の構成を乙5発明に組み合わせることの容易性 前記4?イ(ア)c(b) 〔本判決19頁〕のとおり,乙4の2発明と 乙5発明は,技術分野,課題,作用・機能を共通にしていたから,当 業者であれば,乙4の2発明の構成を乙5発明に組み合わせることは 容易であった。そのため,乙4の2発明の構成を乙5発明に組み合わ せることにより,構成要件Mに係る構成を容易に想到することができ た。
したがって,乙5を主引用例とし,乙4の2を副引用例として本件 発明26を容易に想到することができた。
イ 乙5を主引用例とし,配信回数を制限する周知技術を副引用例とする本 件発明26の容易想到性 (ア) 乙5発明と本件発明26の対比 乙5発明と本件発明26の一致点,相違点は,前記ア(ア)〔本判決3 0頁〕のとおりである。
(イ) 相違点に係る本件発明26の構成の容易想到性 a 配信回数を制限する周知技術 前記4?イ(イ)b(a) 〔本判決20頁〕のとおり,インタ-ネット で無線通信装置に広告情報を配信するに当たり,配信回数を管理し, 所定の回数に制限することは,本件特許の出願当時周知技術であった。
b 配信回数を制限する周知技術を乙5発明に組み合わせることの容易 性 31 前記4?イ(イ)b(b) 〔本判決20頁〕のとおり,配信回数を制限 する周知技術と乙5発明は,技術分野,課題,作用・機能を共通にし ていたから,当業者であれば,配信回数を制限する周知技術を乙5発 明に組み合わせることは容易であった。そのため,配信回数を制限す る周知技術を乙5発明に組み合わせることにより,構成要件Mに係る 構成を容易に想到することができた。
したがって,乙5を主引用例とし,配信回数を制限する周知技術を 副引用例として本件発明26を容易に想到することができた。
ウ 乙4の2を主引用例とし,乙5を副引用例とする本件発明26の容易想 到性 (ア) 乙4の2発明と本件発明26の対比 a 一致点 乙4の2発明は,本件発明26と,本件発明26の構成要件H,J 及びMに係る構成を備える点で一致する。
b 相違点 乙4の2発明は,本件発明26の構成要件I,K及びLに係る構成 を備えない点で本件発明26と相違する。
(イ) 相違点に係る本件発明26の構成の容易想到性 a 乙5発明の構成 乙5発明は,本件発明26の構成要件I,K及びLに係る構成を備 える。
b 乙5発明の構成を乙4の2発明に組み合わせることの容易性 前記4?イ(ウ)c(b) 〔本判決22頁〕のとおり,乙5発明と乙4 の2発明は,技術分野,課題及び作用・機能を共通にしていたから, 当業者であれば,乙5発明の構成を乙4の2発明に組み合わせること は容易であった。そのため,乙5発明の構成を乙4の2発明に組み合 32 わせることにより,構成要件Iに係る構成(「無線通信装置の現在位 置を測定する位置測定手段を備えるようにすること」),構成要件K に係る構成(「位置測定手段が測定した無線通信装置の現在位置と配 信先情報に含まれる位置情報に基づいて,広告情報管理サ-バが指定 地域内の無線通信装置に対して広告情報を送信する送信ステップを 備えるようにすること」),構成要件Lに係る構成(「広告情報管理 サ-バが送信ステップで送信した広告情報の配信を無線通信装置が 受ける受信ステップを備えるようにすること」)を容易に想到するこ とができた。
したがって,乙4の2を主引用例とし,乙5を副引用例として本件 発明26を容易に想到することができた。
エ 本件発明26の進歩性 以上によれば,本件発明26は,公知技術又は周知技術に基づいて当業 者が容易に発明をすることができたものであり,特許法29条2項の規定 により特許を受けることができないものである。
? 控訴人の主張 ア 乙5を主引用例とし,乙4の2を副引用例とする本件発明26の容易想 到性 (ア) 乙5発明と本件発明26の対比 a 一致点 被控訴人の主張は争う。
b 相違点 乙5発明が,本件発明26の構成要件Mに係る構成を備えない点で 本件発明26と相違することは認める。
(イ) 相違点に係る本件発明26の構成の容易想到性 a 乙4の2発明の構成 33 被控訴人の主張は争う。
b 乙4の2発明の構成を乙5発明に組み合わせることの容易性 被控訴人の主張は争う。
前記4?イ(ア)c(b) 〔本判決24頁〕のとおり,乙4の2発明の 構成を乙5発明に組み合わせる動機付けはないし,乙4の2発明の構 成を乙5発明に適用することには阻害事由がある。
したがって,乙5を主引用例とし,乙4の2を副引用例として本件 発明26を容易に想到することはできなかった。
イ 乙5を主引用例とし,配信回数を制限する周知技術を副引用例とする本 件発明26の容易想到性 (ア) 乙5発明と本件発明26の対比 乙5発明と本件発明26の対比については,前記ア(ア)〔本判決33 頁〕のとおりである。
(イ) 相違点に係る本件発明26の構成の容易想到性 a 配信回数を制限する周知技術 被控訴人の主張は争う。
b 配信回数を制限する周知技術を乙5発明に組み合わせることの容易 性 被控訴人の主張は争う。
前記4?イ(イ)b(b) 〔本判決25頁〕のとおり,配信回数を制限 する周知技術を乙5発明に適用することには阻害事由がある。
したがって,乙5を主引用例とし,配信回数を制限する周知技術を 副引用例として本件発明26を容易に想到することはできなかった。
ウ 乙4の2を主引用例とし,乙5を副引用例とする本件発明26の容易想 到性 (ア) 乙4の2発明と本件発明26の対比 34 a 一致点 被控訴人の主張は争う。
b 相違点 被控訴人の主張は争う。
(イ) 相違点に係る本件発明26の構成の容易想到性 a 乙5発明の構成 被控訴人の主張は争う。
b 乙5発明の構成を乙4の2発明に組み合わせることの容易性 被控訴人の主張は争う。
前記4?イ(ウ)c(b) 〔本判決26頁〕のとおり,乙5発明と乙4 の2発明は,技術分野,課題,作用・機能が異なるから,乙5発明の 構成を乙4の2発明に組み合わせる動機付けはない。
したがって,乙4の2を主引用例とし,乙5を副引用例として本件 発明26を容易に想到することはできなかった。
エ 本件発明26の進歩性 以上によれば,本件発明26は,公知技術又は周知技術に基づいて当業 者が容易に発明をすることができたものではなく,特許法29条2項には 該当しない。
7 争点8(本件訂正発明1の進歩性) ? 被控訴人の主張 ア 乙5を主引用例とし,乙4の2,乙6,乙3の1の1を副引用例とする 本件訂正発明1の容易想到性 (ア) 乙5発明と本件訂正発明1の対比 a 一致点 乙5発明と本件訂正発明1は,乙5発明が,本件訂正発明1の構成 要件A-1,B,C’,D’に係る構成を備える点で一致する。
35 b 相違点 乙5発明は,本件訂正発明1の構成要件A-2,E-1及びE-2 に係る構成を備えない点で本件訂正発明1と相違する。
(イ) 相違点に係る本件訂正発明1の構成の容易想到性 a 構成要件A-2に係る容易想到性 (a) 乙6,乙3の1の1に記載された構成 乙6,乙3の1の1には,広告情報の送信回数に応じて広告配信 料が決定されることが記載されており,本件訂正発明1の構成要件 A-2に係る構成(「広告主が広告情報の送信回数又は送信デ-タ 量に応じて徴収される広告情報配信料を支払うことにより,前記広 告情報が前記無線通信装置に送信される無線通信サ-ビス提供シ ステム」)が記載されていた。
(b) 乙6,乙3の1の1に記載された構成を乙5発明に組み合わせ ることの容易性 乙6,乙3の1の1と乙5発明は,いずれもインタ-ネットによ る広告配信に関する技術分野に属し,ユ-ザに効果的な広告を配信 するという課題,目的が共通しているから,乙6,乙3の1の1に 記載された構成を乙5発明に組み合わせることは容易であった。
そのため,乙6,乙3の1の1に記載された構成を乙5発明に組み 合わせることにより,本件訂正発明1の構成要件A-2に係る構成 を容易に想到することができた。
b 構成要件E-1に係る容易想到性 (a) 乙4の2発明の構成 前記4?イ(ア)c(a) 〔本判決18頁〕と同様の理由により,乙 4の2発明は,本件訂正発明1の構成要件E-1の構成(「広告情 報管理サ-バが,無線通信装置が一旦指定地域の外に出た後再び指 36 定地域内に戻った場合であっても,指定地域内にとどまり続けた場 合であっても,同じ広告情報を前記無線通信装置に送信しないこ と」,前記4?ア〔本判決16頁〕)を備える。
(b) 乙4の2発明の構成を乙5発明に組み合わせることの容易性 前記4?イ(ア)c(b) 〔本判決19頁〕と同様の理由により,乙 4の2発明と乙5発明は,技術分野,課題及び作用・機能を共通に するから,当業者であれば,乙4の2発明の構成を乙5に組み合わ せることは容易であり,乙4の2発明の構成を乙5発明に組み合わ せることにより,構成要件E-1に係る構成を容易に想到すること ができた。
c 構成要件E-2に係る容易想到性 (a) 乙3の1の1に記載された構成 乙3の1の1には,広告配信サ-ビスにおいて広告情報の送信回 数を広告主に報告することが記載されており,本件訂正発明1の構 成要件E-2に係る構成(「前記広告情報管理サ-バは,前記広告 情報の送信回数を含む送信結果情報を前記広告主の端末に送信す ること,を特徴とする無線通信サ-ビス提供システム。」)が記載 されていた。
(b) 乙3の1の1に記載された構成を乙5発明に組み合わせること の容易性 乙3の1の1と乙5発明は,いずれもインタ-ネットによる広告 配信に関する技術分野に属し,ユ-ザに効果的な広告を配信すると いう課題,目的が共通しているから,乙3の1の1に記載された構 成を乙5発明に組み合わせることは容易であった。そのため,乙3 の1の1に記載された構成を乙5発明に組み合わせることにより, 本件訂正発明1の構成要件E-2にかかる構成を容易に想到する 37 ことができた。
(ウ) 本件訂正発明1の容易想到性 したがって,乙5を主引用例とし,乙4の2,乙6,乙3の1の1を 副引用例として本件訂正発明1を容易に想到することができた。
イ 乙5を主引用例とし,配信回数を制限する周知技術,乙6,乙3の1の 1を副引用例とする本件訂正発明1の容易想到性 (ア) 乙5発明と本件訂正発明1の対比 乙5発明と本件訂正発明1の一致点,相違点は,前記ア(ア)〔本判決 35頁〕のとおりである。
(イ) 相違点に係る本件訂正発明1の構成の容易想到性 a 構成要件A-2に係る容易想到性 (a) 乙6,乙3の1の1に記載された構成 前記ア(イ)a(a) 〔本判決36頁〕のとおり,乙6,乙3の1の 1には,本件訂正発明1の構成要件A-2に係る構成が記載されて いた。
(b) 乙6,乙3の1の1に記載された構成を乙5発明に組み合わせ ることの容易性 前記ア(イ)a(b) 〔本判決36頁〕のとおり,乙6,乙3の1の 1に記載された構成を乙5発明に組み合わせることにより,本件訂 正発明1の構成要件A-2に係る構成を容易に想到することがで きた。
b 構成要件E-1に係る容易想到性 (a) 配信回数を制限する周知技術 前記4?イ(イ)b(a) 〔本判決20頁〕のとおり,インタ-ネッ トで無線通信装置に広告情報を配信するに当たり,配信回数を管理 し,所定の回数に制限することは,本件特許の出願当時周知技術で 38 あった。
(b) 配信回数を制限する周知技術を乙5発明に組み合わせることの 容易性 前記4?イ(イ)b(b) 〔本判決20頁〕のとおり,配信回数を制 限する周知技術と乙5発明は,技術分野,課題,作用・機能を共通 にしていたから,当業者であれば,配信回数を制限する周知技術を 乙5発明に組み合わせることは容易であった。そのため,配信回数 を制限する周知技術を乙5発明に組み合わせることにより,構成要 件E-1に係る構成を容易に想到することができた。
c 構成要件E-2に係る容易想到性 (a) 乙3の1の1に記載された構成 前記ア(イ)c(a) 〔本判決37頁〕のとおり,乙3の1の1には, 本件訂正発明1の構成要件E-2に係る構成が記載されていた。
(b) 乙3の1の1に記載された構成を乙5発明に組み合わせること の容易性 前記ア(イ)c(b) 〔本判決37頁〕のとおり,乙3の1の1に記 載された構成を乙5発明に組み合わせることにより,本件訂正発明 1の構成要件E-2にかかる構成を容易に想到することができた。
(ウ) 本件訂正発明1の容易想到性 したがって,乙5を主引用例とし,配信回数を制限する周知技術,乙 6,乙3の1の1を副引用例として本件訂正発明1を容易に想到するこ とができた。
ウ 乙4の2を主引用例とし,乙5,乙6,乙3の1の1を副引用例とする 本件訂正発明1の容易想到性 (ア) 乙4の2発明と本件訂正発明1の対比 a 一致点 39 乙4の2発明は,本件訂正発明1と本件訂正発明1の構成要件A- 1,C’E-1に係る構成を備える点で一致する。
b 相違点 乙4の2発明は,本件訂正発明1の構成要件A-2,B,D’E- 2に係る構成を備えない点で本件訂正発明1と相違する。
(イ) 相違点に係る本件訂正発明1の構成の容易想到性 a 構成要件A-2に係る容易想到性 (a) 乙6,乙3の1の1に記載された構成 前記ア(イ)a(a) 〔本判決36頁〕のとおり,乙6,乙3の1の 1には,広告情報の送信回数に応じて広告配信料が決定されること が記載されており,本件訂正発明1の構成要件A-2に係る構成が 記載されていた。
(b) 乙6,乙3の1の1に記載された構成を乙4の2発明に組み合 わせることの容易性 乙6,乙3の1の1と乙4の2発明は,いずれもインタ-ネット による広告配信に関する技術分野に属し,ユ-ザに効果的な広告を 配信するという課題,目的が共通しているから,乙6,乙3の1の 1に記載された構成を乙4の2発明に組み合わせることは容易で あった。そのため,乙6,乙3の1の1に記載された構成を乙4の 2発明に組み合わせることにより,本件訂正発明1の構成要件A- 2に係る構成を容易に想到することができた。
b 構成要件B,D’に係る容易想到性 (a) 乙5発明の構成 乙5発明は,本件訂正発明1の構成要件B,D’に係る構成を備 えていた。
(b) 乙5発明の構成を乙4の2発明に組み合わせることの容易性 40 前記4?イ(ウ)c(b) 〔本判決22頁〕のとおり,乙5発明と乙 4の2発明は,技術分野,課題及び作用・機能を共通にし,当業者 であれば,乙5発明の構成を乙4の2発明に組み合わせることは容 易であった。そのため,乙5発明の構成を乙4の2発明に組み合わ せることにより,本件訂正発明1の構成要件Bに係る構成(「前記 無線通信装置の現在位置を測定する位置測定手段と,」),構成要 件D’に係る構成(「前記広告情報管理サ-バは,前記位置測定手 段が測定した前記無線通信装置の現在位置と前記配信先情報に含 まれる位置情報と前記配信条件に含まれる前記広告情報の送信時 間に基づいて,指定地域内の前記無線通信装置に対して前記送信時 間内に前記広告情報を送信し,前記無線通信装置は,前記広告情報 管理サ-バが送信した前記広告情報の配信を受ける一方,」)を容 易に想到することができた。
c 構成要件E-2に係る容易想到性 (a) 乙3の1の1に記載された構成 前記ア(イ)c(a) 〔本判決37頁〕のとおり,乙3の1の1には, 本件訂正発明1の構成要件E-2に係る構成が記載されていた。
(b) 乙3の1の1に記載された構成を乙4の2発明に組み合わせる ことの容易性 乙3の1の1と乙4の2発明は,いずれもインタ-ネットによる 広告配信に関する技術分野に属し,ユ-ザに効果的な広告を配信す るという課題,目的が共通しているから,乙3の1の1に記載され た構成を乙4の2発明に組み合わせることは容易であった。そのた め,乙3の1の1に記載された構成を乙4の2発明に組み合わせる ことにより,本件訂正発明1の構成要件E-2にかかる構成を容易 に想到することができた。
41 (ウ) 本件訂正発明1の容易想到性 したがって,乙4の2を主引用例とし,乙5,乙6,乙3の1の1を 副引用例として本件訂正発明1を容易に想到することができた。
エ 本件訂正発明1の進歩性 以上によれば,本件訂正発明1は,公知技術又は周知技術に基づいて当 業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法29条2項の規 定により特許を受けることができないものである。
? 控訴人の主張 ア 乙5を主引用例とし,乙4の2,乙6,乙3の1の1を副引用例とする 本件訂正発明1の容易想到性 (ア) 乙5発明と本件訂正発明1の対比 a 一致点 被控訴人の主張は争う。
b 相違点 乙5発明は,本件訂正発明1の構成要件E-1に係る構成を備えな い点で本件訂正発明1と相違することは認め,その余は争う。
(イ) 相違点に係る本件訂正発明1の構成の容易想到性 a 構成要件A-2に係る容易想到性 (a) 乙6,乙3の1の1に記載された構成 被控訴人の主張は争う。
(b) 乙6,乙3の1の1に記載された構成を乙5発明に組み合わせ ることの容易性 被控訴人の主張は争う。
b 構成要件E-1に係る容易想到性 (a) 乙4の2発明の構成 被控訴人の主張は争う。
42 (b) 乙4の2発明の構成を乙5発明に組み合わせることの容易性 被控訴人の主張は争う。
前記4?イ(ア)c(b) 〔本判決24頁〕のとおり,乙4の2発明 の構成を乙5発明に組み合わせる動機付けはないし,乙5発明に乙 4の2発明を適用することには阻害事由がある。
c 構成要件E-2に係る容易想到性 (a) 乙3の1の1に記載された構成 被控訴人の主張は争う。
(b) 乙3の1の1に記載された構成を乙5発明に組み合わせること の容易性 被控訴人の主張は争う。
(ウ) 本件訂正発明1の容易想到性 被控訴人の主張は争う。
乙5を主引用例とし,乙4の2,乙6,乙3の1の1を副引用例と して本件訂正発明1を容易に想到することはできなかった。
イ 乙5を主引用例とし,配信回数を制限する周知技術,乙6,乙3の1の 1を副引用例とする本件訂正発明1の容易想到性 (ア) 乙5発明と本件訂正発明1の対比 乙5発明と本件訂正発明1の対比については,前記ア(ア)〔本判決4 2頁〕のとおりである。
(イ) 相違点に係る本件訂正発明1の構成の容易想到性 a 構成要件A-2に係る容易想到性 (a) 乙6,乙3の1の1に記載された構成 被控訴人の主張は争う。
(b) 乙6,乙3の1の1に記載された構成を乙5発明に組み合わせる ことの容易性 43 被控訴人の主張は争う。
b 構成要件E-1に係る容易想到性 (a) 配信回数を制限する周知技術 被控訴人の主張は争う。
(b) 配信回数を制限する周知技術を乙5発明に組み合わせることの 容易性 被控訴人の主張は争う。
前記4?イ(イ)b(b) 〔本判決25頁〕のとおり,配信回数を制 限する周知技術を乙5発明に適用することには阻害事由がある。
c 構成要件E-2に係る容易想到性 (a) 乙3の1の1に記載された構成 被控訴人の主張は争う。
(b) 乙3の1の1に記載された構成を乙5発明に組み合わせること の容易性 被控訴人の主張は争う。
(ウ) 本件訂正発明1の容易想到性 被控訴人の主張は争う。
乙5を主引用例とし,配信回数を制限する周知技術,乙6,乙3の1 の1を副引用例として本件訂正発明1を容易に想到することはできなか った。
ウ 乙4の2を主引用例とし,乙5,乙6,乙3の1の1を副引用例とする 本件訂正発明1の容易想到性 (ア) 乙4の2発明と本件訂正発明1の対比 a 一致点 被控訴人の主張は争う。
b 相違点 44 被控訴人の主張は争う。
(イ) 相違点に係る本件訂正発明1の構成の容易想到性 a 構成要件A-2に係る容易想到性 (a) 乙6,乙3の1の1に記載された構成 被控訴人の主張は争う。
(b) 乙6,乙3の1の1に記載された構成を乙4の2発明に組み合わ せることの容易性 被控訴人の主張は争う。
b 構成要件B,D’に係る容易想到性 (a) 乙5発明の構成 被控訴人の主張は争う。
(b) 乙5発明の構成を乙4の2発明に組み合わせることの容易性 被控訴人の主張は争う。
前記4?イ(ウ)c(b) 〔本判決26頁〕のとおり,乙4の2発明 と乙5発明は,技術分野,課題,作用・機能が異なるから,乙5発 明の構成を乙4の2発明に組み合わせる動機付けはない。
c 構成要件E-2に係る容易想到性 (a) 乙3の1の1に記載された構成 被控訴人の主張は争う。
(b) 乙3の1の1に記載された構成を乙4の2発明に組み合わせる ことの容易性 被控訴人の主張は争う。
(ウ) 本件訂正発明1の容易想到性 被控訴人の主張は争う。
乙4の2を主引用例とし,乙5,乙6,乙3の1の1を副引用例とし て本件訂正発明1を容易に想到することはできなかった。
45 エ 本件訂正発明1の進歩性 被控訴人の主張は争う。
本件訂正発明1は,公知技術又は周知技術に基づいて当業者が容易に発 明をすることができたものではなく,特許法29条2項には該当しない。
8 争点9(本件訂正発明2の進歩性) ? 被控訴人の主張 ア 本件訂正発明2が含む本件訂正発明1の容易想到性 本件訂正発明2は本件訂正発明1を含むところ,本件訂正発明1が,公 知技術又は周知技術に基づいて容易想到であることは,前記7?〔本判決 35頁〕のとおりである。
イ 本件訂正発明2の構成要件Gに係る構成の容易想到性 乙4の2発明は,本件発明2の構成要件Gに係る構成(「広告情報管理 サ-バが配信先情報に含まれる配信数に達するまで,無線通信装置に対し て広告情報を送信すること」)を備えるから(前記5?ア(イ)a〔本判決 26頁〕 , ) 本件訂正発明2の構成要件Gに係る構成をも備えるといえる。
本件訂正発明1は,乙5を主引用例とし,乙4の2,乙6,乙3の1の1 を副引用例として容易想到であり(前記7?ア〔本判決35頁〕)又は乙 4の2を主引用例とし,乙5,乙6,乙3の1の1を副引用例として容易 想到である(前記7?ウ〔本判決39頁〕)ところ,上記のとおり,乙4 の2発明は,本件訂正発明2の構成要件Gに係る構成を備えるから,乙4 の2が主引用例又は副引用例とされているこれらの場合には,本件訂正発 明2も容易想到である。
また,本件訂正発明1は,乙5を主引用例とし,配信回数を制限する周 知技術,乙6,乙3の1の1を副引用例として容易想到であるところ(前 記7?イ〔本判決38頁〕),これに,本件訂正発明2の構成要件Gに係 る構成を備える乙4の2を副引用例として加えれば,本件訂正発明2は容 46 易想到である。
したがって,本件訂正発明2は,乙5を主引用例とし,乙4の2,乙6, 乙3の1の1を副引用例として容易想到であり,乙4の2を主引用例とし, 乙5,乙6,乙3の1の1を副引用例として容易想到であり,また,乙5 を主引用例とし,配信回数を制限する周知技術,乙6,乙3の1の1,乙 4の2を副引用例として容易想到である。
ウ 本件訂正発明2の進歩性 以上によれば,本件訂正発明2は,公知技術又は周知技術に基づいて当 業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法29条2項の規 定により特許を受けることができないものである。
? 控訴人の主張 ア 本件訂正発明2が含む本件訂正発明1の容易想到性 被控訴人の主張は争う。
本件訂正発明2は本件訂正発明1を含むところ,本件訂正発明1は,公 知技術又は周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたも のではない。
イ 本件訂正発明2の構成要件Gに係る構成の容易想到性 被控訴人の主張は争う。
ウ 本件訂正発明2の進歩性 被控訴人の主張は争う。
本件訂正発明2は,公知技術又は周知技術に基づいて当業者が容易に発 明をすることができたものではなく,特許法29条2項には該当しない。
当裁判所の判断
1 判断の要旨 当裁判所は,被控訴人システムは本件発明1の構成要件E及び本件訂正発明 1の構成要件E-1を充足し(後記2?イ〔本判決55頁〕,後記4?〔本判 47 決59頁〕),被控訴人方法は本件発明26の構成要件Mを充足するが(後記 3?〔本判決59頁〕),本件発明1,本件発明26及び本件訂正発明1は, 当業者が公知技術及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたも のであるから特許を受けることができず(特許法29条2項),それらの発明 に係る特許は,特許無効審判により無効にされるべきものと認められるから (特許法123条1項2号),控訴人は被控訴人に対してそれらの発明に係る 特許の特許権を行使することができないものと判断する(特許法104条の3 第1項)(後記6?〔本判決85頁〕,後記7?〔本判決89頁〕,後記8? 〔本判決98頁〕)。また,被控訴人システムは本件発明2及び本件訂正発明 2の構成要件Gを充足しないので,被控訴人システムは本件発明2及び本件訂 正発明2の技術的範囲に属さず,控訴人は被控訴人に対して本件発明2及び本 件訂正発明2に係る特許の特許権を行使することができないものと判断する (後記2?〔本判決57頁〕,4?〔本判決60頁〕)。以下,詳述する。
2 争点1(被控訴人システムは本件発明1及び2の技術的範囲に属するか等) について ? 被控訴人システムによる本件発明1の構成要件Eの充足性 ア 構成要件Eの解釈 (ア) 解釈 構成要件Eの「前記広告情報管理サ-バは,前記無線通信装置が一旦 前記指定地域の外に出た後,再び前記指定地域内に戻っても,同じ前記 広告情報を前記無線通信装置に送信しないこと」は,「広告情報管理サ -バが,無線通信装置が一旦指定地域の外に出た後再び指定地域内に戻 った場合であっても,指定地域内にとどまり続けた場合であっても,同 じ広告情報を無線通信装置に送信しないこと」を意味するものと認めら れる。その理由は,次の(イ)のとおりである。
(イ) 理由 48 a 特許請求の範囲の記載 構成要件Eには「前記無線通信装置が一旦前記指定地域の外に出た 後,再び前記指定地域内に戻っても,同じ前記広告情報を前記無線通 信装置に送信しないこと」と記載されている。このうち「戻っても」 の「ても」の意味は,国語辞典によれば,?「仮定の条件をあげて, 後に述べる事がそれに拘束されない意を表す。たとい ・ ようとも。 ・ ・・ ・・ とも。(中略)『転んでもただは起きぬ』」,?「事実をあげて。そ れから当然予想されることと逆の事柄を述べるのに用いる。・・・た けれども。(中略)『これだけ言っ-わからない』」(広辞苑第7版) であるものと認められる。そして,構成要件Eの「ても」の後に記載 されている「同じ前記広告情報を前記無線通信装置に送信しないこと」 は,「ても」の前の「前記無線通信装置が一旦前記指定地域の外に出 た後,再び前記指定地域内に戻る」ことから当然予想されることと逆 の事柄であるとは認められず(予想の余地があるというにとどまらず 当然予想されること,と逆の事柄であるとは認められない。),「て も」の前後は,「ても」の代わりに「・・・たけれども」で接続でき る関係にあるとは認められないから,構成要件Eの「ても」は,上記 の?の意味と解することはできず,上記の?の意味であると認められ る。そうすると,構成要件Eは,「無線通信装置が一旦指定地域の外 に出た後,再び前記指定地域内に戻る」という仮定の条件に,「同じ 広告情報を無線通信装置に送信しない」ことが拘束されないことを意 味しており,「無線通信装置が一旦指定地域の外に出た後,再び前記 指定地域内に戻る」場合だけでなく,それ以外の場合でも,「同じ広 告情報を無線通信装置に送信しない」ことを意味しているものと認め られる。「無線通信装置が一旦指定地域の外に出た後,再び前記指定 地域内に戻る」場合(原判決24頁でいう「A-2の場合」)以外の 49 場合としては,指定地域内に存在し続ける場合(原判決24頁でいう 「@の場合」)があるところ,構成要件Eは,そのような場合でも「同 じ広告情報を無線通信装置に送信しない」ことを意味しているものと 認められる。
b 明細書の記載 (a) 本件明細書の【0070】には,実施例について, 「またこの際, 個人情報デ-タベ-スに項目として本広告メッセ-ジに対応する広 告IDを追加し,送信済フラグを立てる。これにより,同じユ-ザ に対して同一の広告メッセ-ジを重複して送信することがなくなる。
即ち,携帯端末1Aが一旦指定地域の外に出た後,再び指定地域内 に戻っても,この送信済フラグが立っていれば,同じ広告メッセ- ジを送信しない。」と記載されている。ここでいう「即ち」という 語は,国語辞典によれば「(上をうけてさらにその意を再び明らか にする語)いいかえれば,とりもなおさず。」(広辞苑第7版)の 意味であると認められる。そうすると,上記の「即ち」の前の「ま たこの際,個人情報デ-タベ-スに項目として本広告メッセ-ジに 対応する広告IDを追加し,送信済フラグを立てる。これにより, 同じユ-ザに対して同一の広告メッセ-ジを重複して送信すること がなくなる。」という文言は,ユ-ザが指定地域外に一旦出たか否 かを問わず,そのユ-ザには,送信済フラグが立てられた広告ID に対応する広告メッセ-ジを送信しないことを意味するものと解さ れ,無線通信装置が一旦指定地域の外に出た後,再び指定地域内に 戻った場合でも,指定地域内に存在し続けた場合でも,同じ広告情 報を無線通信装置に送信しないことを意味するものと認められる。
上記の【0070】記載は,構成要件Eの「前記無線通信装置が 一旦前記指定地域の外に出た後,再び前記指定地域内に戻っても, 50 同じ前記広告情報を前記無線通信装置に送信しないこと」を充足す る実施例の説明であると認められる。そうすると,構成要件Eにつ いても,【0070】の「即ち」の前後と同じように,無線通信装 置が一旦指定地域の外に出た後,再び指定地域内に戻った場合でも, 指定地域内に存在し続けた場合でも,同じ広告情報を無線通信装置 に送信しないことを意味するものと解するのが,本件明細書の発明 の詳細な説明の記載と整合的な解釈であると認められる。
(b) 広告情報管理サ-バは,本件明細書の【0069】によれば,時々 刻々と常に携帯端末1Aの位置を把握しているとされているから, 携帯端末1Aが一旦指定地域の外に出た後,再び指定地域内に戻っ たことを把握していると考えられるが,そのことを,携帯端末1A に広告情報を再度送信するか否かの決定に当たって利用しているか どうかは,【0069】には,記載されていない。したがって,本 件明細書の【0069】に基づいて,構成要件Eを充足するために, 広告情報管理サ-バは,「無線装置が一旦指定地域の外に出た後, 再び指定地域内に戻ったことを把握して,当該無線通信装置に同じ 広告情報を再送信しないようにする」という構成を備えていなけれ ばならないとはいえない。
c 出願経過 (a) 本件特許の出願経過においては,次の事実が認められる。
(i) 控訴人は平成12年9月5日,本件特許を出願した。これに対 し,特許庁審査官は,平成13年5月7日付けで拒絶理由通知を 発し,その理由として,請求項1を含む本願発明の請求項の一部 に係る発明は,引用文献1ないし8に記載された発明に基づいて 容易に発明をすることができたから特許法29条2項の規定によ り特許を受けることができないこと,特許請求の範囲の記載が特 51 許法36条6項1号に規定する要件を満たしていないことを示し た(甲7)。
(ii) これに対し,控訴人は,平成13年6月11日,特許庁長官 に対し,本件特許の明細書を補正する手続補正書(甲8)を提出 した。この補正では,特許請求の範囲の請求項1,2が本件特許 の設定登録時のもの(原判決第2の1?ア及びイ,原判決3頁) と同じ内容に変更され,この際に,特許請求の範囲構成要件E に係る構成が含まれるに至ったほか,請求項26が次のとおり変 更された。また,発明の名称が本件特許の設定登録時のものに変 更された(甲8)。
【請求項26】無線通信装置の利用者が,無線通信ネットワ-ク を経由して,通信事業者から無線通信サ-ビスの提供を受けるこ とにより,所定の利用料金を支払う無線通信サ-ビス提供方法に おいて,前記無線通信装置の現在位置を測定する位置測定ステッ プと,配信すべき広告情報および配信先情報を入手するとともに, 前記広告情報を前記無線通信装置に送信する広告情報管理ステッ プとを含み,前記広告情報管理ステップは,前記位置測定ステッ プが測定した前記無線通信装置の現在位置と前記配信先情報に含 まれる位置情報に基づいて,指定地域内の前記無線通信装置に対 して前記広告情報を送信し,前記無線通信装置は,前記広告情報 管理サ-バが送信した前記広告情報の配信を受ける一方,前記無 線通信装置が一旦前記指定地域の外に出た後,再び前記指定地域 内に戻っても,同じ前記広告情報を前記無線通信装置に送信しな いこと,を特徴とする無線通信サ-ビス提供方法。
(iii) 控訴人は,平成13年6月11日,特許庁審査官に対し,意 見書(乙1)を提出し,前記(ii)の補正後の特許請求の範囲の請 52 求項1について,その内容を記載した上で,「特に,『前記広告 情報管理サ-バは,前記無線通信装置が一旦前記指定地域の外に 出た後,再び前記指定地域内に戻っても,同じ前記広告情報を前 記無線通信装置に送信しないこと』に特徴付けられるものであり ます。」(乙1,3/7 頁13〜16行目),「本願発明は,かかる 特徴的な構成を有機的に関連付けて具備することにより,明細書 の段落0070に記載した通り,『これにより,同じユ-ザに対 して同一の広告メッセ-ジを重複して送信することがなくなる。
即ち,携帯端末1Aが一旦指定地域の外に出た後,再び指定地域 内に戻っても,この送信済フラグが立っていれば,同じ広告メッ セ-ジを送信しない。』という特有の作用・効果を奏するもので あります。」(乙1,3/7 頁17〜22行目)などと説明した。ま た,控訴人は,同意見書(乙1)において,請求項1に係る発明 と拒絶理由通知で示された引用文献との対比の項目(乙1, 頁 6/7 25行目〜7/7 頁19行目)でも,構成要件D,Eに係る構成を 示した上で,引用文献1(特開平11-065434号公報)(乙 6)には,広告情報を無線端末で受信し,表示する技術が記載さ れているが,本願発明の最大の特徴である上記構成についての記 載や示唆は一切なく,引用文献2ないし8にも引用文献1と同様 に,本願発明の特徴についての記載や示唆は一切ないとし,引用 文献1に本願発明特有の構成に関する記載や示唆及び課題意識が 一切ない以上,他の引用例を組み合わせても,本願発明特有の構 成とすることはできない旨述べ,本願の請求項1ないし50に係 る発明は,引用文献1ないし8に記載された発明から当業者が容 易に発明することができたものではない旨述べた。
(iv) その後,前記(ii)の請求項26を本件特許の設定登録時のも 53 の(原判決第2の1?ウ,原判決4頁)と同じ内容に変更する補 正がされるなどした後,本件特許について特許査定がされた。
(b) 前記(a)の出願経過に照らすと,控訴人は,平成13年6月11 日提出の意見書(乙1)において,構成要件D,Eに係る構成は, 本願発明の特徴であるところ,その構成は,同年5月7日付け拒絶 理由通知(甲7)で示された引用文献1ないし8に記載や示唆がな いから,本願発明は引用文献1ないし8に基づいて容易に発明をす ることができたものではない旨主張したものと認められる。そして, 控訴人の上記意見書(乙1)には,構成要件Eの「前記広告情報管 理サ-バは,前記無線通信装置が一旦前記指定地域の外に出た後, 再び前記指定地域内に戻っても,同じ前記広告情報を前記無線通信 装置に送信しないこと」が本件発明の特徴である旨が記載されてい たものの,それが,広告情報管理サ-バが,単に同じ広告情報を無 線通信装置に再送信しないようにする構成を備えているだけで足り るのか,それでは足りず,一旦指定地域外に出た後再び指定地域内 に戻ったことを把握して無線通信装置に同じ広告情報を再送信しな いようにする構成を備えていなければならないのかについては,何 ら言及がされておらず,控訴人がこれらのうち後者の解釈をとって いたことを窺わせる記載はない。また,控訴人は,上記意見書(乙 1)において,拒絶理由通知(甲7)で示された引用文献1ないし 8との関係で本願発明に進歩性があることを述べていたものと認め られるところ,被控訴人が,利用者ひとりひとりに対する広告配信 の回数を制限することは周知技術と主張する際に,その根拠として いる乙3の1の1〜4,乙4の1は,上記拒絶理由通知(甲7)そ の他の出願経過では示されていなかったものであり,上記意見書(乙 1)にも,広告配信の回数を制限することが周知技術であることを 54 窺わせる記載はない。そうすると,控訴人が上記意見書(乙1)に おいて,構成要件Eの「前記広告情報管理サ-バは,前記無線通信 装置が一旦前記指定地域の外に出た後,再び前記指定地域内に戻っ ても,同じ前記広告情報を前記無線通信装置に送信しないこと」と いう構成を,広告配信の回数を制限するという周知技術による機能 や作用効果を除くように解釈した上で,進歩性を主張していたと認 めることはできない。そのため,控訴人の主張がいわゆる包袋禁反 言の法理に照らして許されないという被控訴人の主張は,採用する ことはできない。
また,特許請求の範囲記載の発明に周知技術が含まれ,又は周知 技術に基づいて容易に発明をすることができた発明が含まれるな らば(特許法29条1項,2項),その発明に係る特許は,特許無 効審判により無効にされるべきものであり(特許法123条1項2 号),特許権者は相手方に対してその権利を行使することができな いのであり(特許法104条の3第1項),特許請求の範囲記載の 発明に周知技術周知技術に基づいて容易に発明をすることがで きた発明が含まれないように,殊更特許請求の範囲の文言を狭く解 釈することは,特許法104条の3第1項の規定の趣旨に照らして 許されないものである。
したがって,出願経過から,構成要件Eが,無線通信装置が指定 地域内に存在し続ける場合でも同じ広告情報を無線通信装置に送 信しないものを除外していると解することはできない。
構成要件Eの充足性 (ア) 被控訴人システムの構成 控訴人は,被控訴人システムについて,広告主が配信期間を1日以内 とし,1人のスマ-トフォンのユ-ザ-に対して1日に配信する回数を 55 1回に制限する設定をすると,当該スマ-トフォンが一旦配信エリアの 外に出た後,再び配信エリア内に戻っても,同じ広告デ-タは当該スマ -トフォンに送信されないから,被控訴人システムの構成e「SSP サ- バは,当該スマ-トフォンが一旦配信エリアの外に出た後,再び配信エ リア内に戻っても,同じ広告デ-タを当該スマ-トフォンに送信しない こと,を特徴とする無線通信サ-ビス提供システム」を備えることにな り,構成要件Eを充足すると主張する(原判決第3の1【原告の主張】 ?オ(ウ),原判決10頁)。
他方,被控訴人は,被控訴人システムについて,被控訴人が保有する DSP サ-バは,スマ-トフォンの位置情報を保有しておらず,スマ-ト フォンが,一旦配信エリアの外に出た後,再び配信エリア内に戻ったか 否かの確認をすることはできないとし,DSP サ-バは,同日に同一の広 告が同一のスマ-トフォンに何回表示されたかを管理しているに過ぎな いと主張する。そして,被控訴人サ-ビスにおいては,配信期間を1日 以内とし,同一のスマ-トフォンに同一の広告を表示する回数を1日に 1回と設定することができるが,そのような設定がされることはまれで あると主張する(原判決第3の1【被告の主張】?ウ,原判決12頁)。
このような控訴人と被控訴人の主張に照らすと,被控訴人システムに ついて,広告主が配信期間を1日以内とし,1人のスマ-トフォンのユ -ザ-に対して1日に配信する回数を1回に制限する設定をすると,SSP サ-バは,スマ-トフォンが,一旦配信エリアの外に出た後再び配信エ リア内に戻っても,配信エリアの中にとどまり続けても,同じ広告デ- タを当該スマ-トフォンに送信しないという構成を備えることは,当事 者間に争いがないものと認められる。
(イ) 充足性 前記ア〔本判決48頁〕のとおり,構成要件Eの「前記広告情報管理 56 サ-バは,前記無線通信装置が一旦前記指定地域の外に出た後,再び前 記指定地域内に戻っても,同じ前記広告情報を前記無線通信装置に送信 しないこと」は,「広告情報管理サ-バが,無線通信装置が一旦指定地 域の外に出た後再び指定地域内に戻った場合であっても,指定地域内に とどまり続けた場合であっても,同じ広告情報を無線通信装置に送信し ないこと」を意味するものと認められる。そして,前記(ア)のとおり, 被控訴人システムは,広告主が配信期間を1日以内とし,1人のスマ- トフォンのユ-ザ-に対して1日に配信する回数を1回に制限する設定 をした場合は,SSP サ-バは,スマ-トフォンが,一旦配信エリアの外 に出た後再び配信エリア内に戻っても,配信エリアの中にとどまり続け ても,同じ広告デ-タを当該スマ-トフォンに送信しないという構成を 備える。そうすると,被控訴人システムについて,広告主が配信期間を 1日以内とし,1人のスマ-トフォンのユ-ザ-に対して1日に配信す る回数を1回に制限する設定をした場合の構成は,上記の構成要件Eを 充足するものと認められる。被控訴人は,上記のような設定をすること はまれであると主張するが,たとえそうであるとしても,上記のような 設定をすることができる以上,構成要件充足性を否定することはできな い。
したがって,被控訴人システムは構成要件Eを充足するものと認めら れる。
? 被控訴人システムによる本件発明2の構成要件Gの充足性 ア 構成要件Gの解釈 構成要件Gは,「前記広告情報管理サ-バは,前記配信先情報に含まれ る配信数に達するまで,無線通信装置に対して前記広告情報を送信するこ と,を特徴とする無線通信サ-ビス提供システム。」であり,構成要件G を充足するためには,広告主は,広告情報管理サ-バについて,広告情報 57 を送信する数の上限である配信数を,配信先情報として設定することがで きる必要がある。
構成要件Gの充足性 被控訴人システムにおいて,広告主は,広告配信条件(i)(例えば「東京 駅から半径3km 以内の30代女性」に広告配信するという条件)及び広告 配信条件(ii)(例えば「総予算1000円,かつ,一日当たり同一のスマ -トフォンに同一の広告を配信する最大数を10回に制限」という条件) を設定し,それらは被控訴人が管理する DSP サ-バに送信され記録される (原判決別紙「被控訴人システム及び被控訴人サ-ビスの提供方法の構成」 @,A,F,G)。しかし,広告主は,広告配信条件(i)の条件,及び広告 配信条件(ii)のうちの1日当たり同一のスマ-トフォンに同一の広告を 配信する最大数の条件をいずれも充たす広告配信を行う総数である配信 数については,これを設定することはできない。被控訴人システムにおい ては,SSP サ-バは,被控訴人を含む複数の DSP 業者から受信したビッド レスポンス(同別紙G)について入札手続を実施し,被控訴人によるビッ ドレスポンスに係る入札金額が一番高く,被控訴人が落札に成功した場合 のみ,DSP サ-バに対し,被控訴人が落札した旨を送信し(同別紙H),そ の後広告デ-タが表示される(同別紙I,J)。そのため,配信数は,広 告主が設定した予算と落札の結果により定まる。
被控訴人システムの説明資料(甲3の2)においても,広告主が予算を 設定することにより,広告枠を落札することができる推定回数(推定配達 回数)(原判決第2の1?ウ,原判決5〜6頁)が示されることや(甲3 の2,24頁),予算をすべて費やして配信を行った後に実際に行った配 達数が示されることは(甲3の2,26頁)記載されているが,配信数を 予め定めることについての説明はない。
そうすると,被控訴人システムは,広告情報を送信する数の上限である 58 配信数を,配信先情報として設定することができず,構成要件Gを充足す るとは認められない。
3 争点2(被控訴人方法は本件発明26の技術的範囲に属するか等)について ? 構成要件Mの解釈 前記2?ア(イ)〔本判決48頁〕と同様の理由により,本件発明26の構 成要件Mの「前記無線通信装置が一旦前記指定地域の外に出た後,再び前記 指定地域内に戻っても,前記広告情報管理サ-バは同じ前記広告情報を前記 無線通信装置に送信しない非送信ステップ」は,「広告情報管理サ-バが, 無線通信装置が一旦指定地域の外に出た後再び指定地域内に戻った場合であ っても,指定地域内にとどまり続けた場合であっても,同じ広告情報を無線 通信装置に送信しない非送信ステップ」を意味するものと認められる。
? 被控訴人方法による本件発明26の構成要件Mの充足性 前記2?イ(ア)〔本判決55頁〕のとおり,被控訴人システムについて, 広告主が配信期間を1日以内とし,1人のスマ-トフォンのユ-ザ-に対し て1日に配信する回数を1回に制限する設定をすると,SSP サ-バは,スマ -トフォンが,一旦配信エリアの外に出た後再び配信エリア内に戻っても, 配信エリアの中にとどまり続けても,同じ広告デ-タを当該スマ-トフォン に送信しないという構成を備えるから(当事者間に争いがない。),被控訴 人方法も同様の構成を備えるものと認められる。
そうすると,被控訴人方法について,広告主が配信期間を1日以内とし, 1人のスマ-トフォンのユ-ザ-に対して1日に配信する回数を1回に制限 する設定をした場合の構成は,構成要件Mを充足するものと認められる。
したがって,被控訴人方法は構成要件Mを充足する。
4 争点4(被控訴人システムは本件訂正発明1及び2の技術的範囲に属するか) について ? 被控訴人システムによる本件訂正発明1の構成要件E-1の充足性 59 前記2?ア〔本判決48頁〕のとおり,本件発明1の構成要件Eの「前記 広告情報管理サ-バは,前記無線通信装置が一旦前記指定地域の外に出た後, 再び前記指定地域内に戻っても,同じ前記広告情報を前記無線通信装置に送 信しないこと」は,「広告情報管理サ-バが,無線通信装置が一旦指定地域 の外に出た後再び指定地域内に戻った場合であっても,指定地域内にとどま り続けた場合であっても,同じ広告情報を無線通信装置に送信しないこと」 を意味するものと認められることから,本件訂正発明1の構成要件E-1も 同じ意味であるものと認められる。
そして,前記2?イ〔本判決55頁〕のとおり,被控訴人システムが本件 発明1の構成要件Eを充足することから,被控訴人システムは本件訂正発明 1の構成要件E-1をも充足するものと認められる。
? 被控訴人システムによる本件訂正発明2の構成要件Gの充足性 本件訂正発明2は構成要件Gを含むところ,前記2?〔本判決57頁〕の とおり,被控訴人システムは構成要件Gを充足しない。
5 無効判断の前提となる本件発明1の構成要件E,本件発明26の構成要件M, 本件訂正発明1のE-1の解釈 前記2?ア〔本判決48頁〕,3?〔本判決59頁〕,4?〔本判決59頁〕 のとおり,本件発明1の構成要件E,本件発明26の構成要件M,本件訂正発 明1のE-1は,「広告情報管理サ-バが,無線通信装置が一旦指定地域の外 に出た後再び指定地域内に戻った場合であっても,指定地域内にとどまり続け た場合であっても,同じ広告情報を無線通信装置に送信しないこと」を意味す るものと解すべきであり,以下では,このような解釈を前提に,本件発明1, 本件発明26,本件訂正発明1の進歩性について検討する。
6 争点5(本件発明1の進歩性)について ? 乙5を主引用例とし,配信回数を制限する周知技術を副引用例とする本件 発明1の容易想到性 60 乙5を主引用例とし,配信回数を制限する周知技術を副引用例とする本件発明1の容易想到性について検討する。
ア 乙5記載の発明 (ア) 乙5の記載 乙5には,次の記載がある。
a 「【請求項9】ウェブ・サ-バからユ-ザが要求したウェブ・ペ- ジ内に表示すべきオブジェクトを選択するための方法であって,前記 ユ-ザは前記ウェブ・サ-バと通信しているモバイル・ウェブ・クラ イアントによりウェブ・ペ-ジ要求を行い, ユ-ザ位置情報を獲得するステップと, 前記ウェブ・ペ-ジを求めるユ-ザ要求を前記ウェブ・サ-バに伝送 するステップと, 前記獲得したユ-ザ位置情報とともに,前記ウェブ・ペ-ジを求める 前記ユ-ザ要求を受信するステップと, それに関連するそれぞれの位置および時刻情報を有する複数のオブ ジェクトから,前記獲得したユ-ザ位置情報および前記ウェブ・サ- バが前記ウェブ・ペ-ジ要求を受信した時刻と一致する位置および時 刻情報を有するオブジェクトを選択するステップと, 前記要求されたウェブ・ペ-ジを生成するステップであって,前記生 成したウェブ・ペ-ジが前記選択されたオブジェクトを含むステップ と, 前記生成したウェブ・ペ-ジを前記モバイル・ウェブ・クライアント に供するステップとを含む方法。」 b 「【請求項55】ウェブ・サ-バからユ-ザが要求したウェブ・ペ -ジ内に表示すべきオブジェクトを選択するためのシステムであって, 前記ユ-ザは前記ウェブ・サ-バと通信しているモバイル・ウェブ・ 61 クライアントによりウェブ・ペ-ジ要求を行い,ユ-ザ位置情報を獲 得する手段と, 前記ウェブ・ペ-ジを求めるユ-ザ要求を前記ウェブ・サ-バに伝送 する手段と, 前記獲得したユ-ザ位置情報とともに,前記ウェブ・ペ-ジを求める 前記ユ-ザ要求を受信する手段と, それに関連するそれぞれの位置および時刻情報を有する複数のオブ ジェクトから,前記獲得したユ-ザ位置情報および前記ウェブ・サ- バが前記ウェブ・ペ-ジ要求を受信した時刻と一致する位置および時 刻情報を有するオブジェクトを選択する手段と, 前記要求されたウェブ・ペ-ジを生成する手段であって,前記生成し たウェブ・ペ-ジが前記選択されたオブジェクトを含む手段と, 前記生成したウェブ・ペ-ジを前記モバイル・ウェブ・クライアント に供する手段とを含むシステム。」c 「【0011】本発明の他の目的は,モバイル・ウェブ・クライア ントによりウェブにアクセスしているユ-ザに対する広告の効力を高 めることにある。」d 「【0020】次に図2を参照すると,その中で本発明を実現可能 なシステム20の概略が示されている。モバイル・ウェブ・クライア ント21は,インタ-ネット25などのコンピュ-タ・ネットワ-ク によりウェブ サ-バ24と通信している。
・ 以下の説明全体を通して, 所与の状況では,実際にモバイル・ウェブ・クライアント上に同じ場 所に配置されるプロセスとしてウェブ・サ-バを実現することができ ることを理解されたい。このようないわゆるマイクロサ-バまたは埋 込みウェブ・サ-バは通常,必要とする設置面積が従来のウェブ・サ -バより小さい。
62 【0021】モバイル・ウェブ・クライアント21は,全地球測位システム(GPS)22から位置情報を獲得するように構成されている。
以下に詳述するように,モバイル・ウェブ・クライアント21(および,その結果,ユ-ザ)に関する位置情報は,モバイル・ウェブ・クライアント21の位置に基づいてウェブ・ペ-ジ内に含めるための広告オブジェクト(ならびに他のコンテンツ・オブジェクト)を選択できるようにウェブ・ペ-ジ要求23内に含めることができる。また,位置情報はモバイル・ウェブ・クライアント21と通信しているセルラ-基地局または衛星ビ-ムのIDに基づいて獲得できることを理解されたい。セルラ-基地局または衛星ビ-ムのIDはGPSほど精密な位置を示すことはできないが,その位置は本発明による広告オブジェクトの選択を可能にするのに十分な精密さである可能性がある。
【0022】ウェブ・サ-バ24は,動的実行エンジン(DEE)28および1つまたは複数のウェブ・ペ-ジ ・コンテンツ・オブジェクトを使用して要求されたウェブ・ペ-ジ26を動的に生成するように構成されている。DEE28は,ウェブ・クライアント(すなわち,ウェブ・ブラウザ)内に表示するときのウェブ・ペ-ジ内のコンテンツ・オブジェクトの選択およびウェブ・ペ-ジ26内のこのようなコンテンツ・オブジェクトのレイアウトを定義するものである。従来通り,区分,セクション,見出し,パラグラフ,イメ-ジ,リスト,表,ハイパ-リンクを含むがこれらに限定されないウェブ ペ-ジの各要 ・素は,1つのコンテンツ・オブジェクトによって表すことができる。
さらに,コンテンツ・オブジェクトは,オ-ディオ・ファイルおよびビデオ・ファイルを含むことができる。ただし,単一のコンテンツ・オブジェクトはこのようなウェブ・ペ-ジ要素のうちの1つまたは複数を表すことができることを理解されたい。 ウェブ・ペ-ジの動的生 63 成については,当業者には十分理解されており,ここではさらに詳細に説明する必要はない。
【0023】図示の実施の形態では,広告オブジェクトなどのコンテンツ・オブジェクトは,DEE28によってアクセス可能なデ-タベ-ス30内に記憶されている。しかし,コンテンツ・オブジェクトはファイル・システムにも記憶できることを理解されたい。ウェブ・ペ-ジ26に関するユ-ザ要求を受信すると,DEE28は,デ-タベ-ス30内に記憶されたオブジェクトを使用してウェブ・ペ-ジ26を生成する。
【0024】広告オブジェクト32は,図示の通り,生成されたウェブ・ペ-ジ26内に含まれる。本発明の一実施の形態によれば,参照テ-ブル27を使用して,時刻およびユ-ザ位置をデ-タベ-ス30内に記憶された複数のそれぞれの広告オブジェクトに関連づける。したがって,後述するように,ユ-ザ位置または時刻あるいはその両方に基づいて,要求されたウェブ・ペ-ジ内に表示するための広告オブジェクトを選択することができる。例示的な広告オブジェクトとしては,テキスト・ファイル,オ-ディオ・ファイル,ビデオ・ファイル,イメ-ジ・ファイルなどを含むことができる。
【0025】本発明の動作を実行するためのコンピュ-タ・プログラム・コ-ドは好ましいことに,JAVA(R),Smalltalk,C++などのオブジェクト指向プログラミング言語で作成される。しかし,本発明の動作を実行するためのコンピュ-タ・プログラム・コ-ドは,「C」プログラミング言語などの従来の手続き型プログラミング言語,Perlなどの解釈スクリプト言語,Lisp,SML,Forthなどの関数型(または第4世代)プログラミング言語でも作成することができる。
64 【0026】本発明の諸態様を実現するために特に好ましいプログラミング言語はJAVA(R)である。(以下略)」e 「【0029】本発明を実現するためのプログラム・コ-ドは,全 部がウェブ・サ-バ上で実行される場合もあれば,一部がウェブ・サ -バ上で実行され,一部がリモ-ト・コンピュ-タ(すなわち,ユ- ザのモバイル・ウェブ・クライアント)上で実行される場合もある。
後者のシナリオでは,リモ-ト・コンピュ-タがLANまたは WAN によってウェブ・サ-バに接続される場合もあれば,(たとえば,イ ンタ-ネット・サ-ビス・プロバイダを使用してインタ-ネットによ り)外部コンピュ-タに対して接続が行われる場合もある。
【0030】本発明の一実施の形態による方法,装置(システム),コンピュ-タ・プログラム製品の流れ図に関連して,本発明について以下に説明する。流れ図の各ブロックおよび流れ図内のブロックの組合せはコンピュ-タ・プログラム命令によって実現できることを理解されたい。汎用コンピュ-タ,専用コンピュ-タ,その他のプログラム可能デ-タ処理装置のプロセッサにこのようなコンピュ-タ・プログラム命令を提供し,そのコンピュ-タまたはその他のプログラム可能デ-タ処理装置のプロセッサにより実行される命令が単数または複数の流れ図ブロック内に指定された機能を実現するための手段を作成するようなマシンを生成することができる。
【0031】このようなコンピュ-タ・プログラム命令は,コンピュ-タ可読メモリに記憶された命令が単数または複数の流れ図ブロック内に指定された機能を実現する命令手段を含む製品を生成するように,特定の方法で機能するようコンピュ-タまたはその他のプログラム可能デ-タ処理装置に指示することができるコンピュ-タ可読メモリに記憶することもできる。
65 【0032】また,このコンピュ-タ・プログラム命令は,コンピュ-タまたはその他のプログラム可能デ-タ処理装置上にロ-ドして,そのコンピュ-タまたはその他のプログラム可能デ-タ処理装置上で一連の動作ステップを実行させ,そのコンピュ-タまたはその他のプログラム可能デ-タ処理装置上で実行される命令が単数または複数の流れ図ブロック内に指定された機能を実現するためのステップを提供するようなコンピュ-タ実現プロセスを生成することもできる。
【0033】時刻ベ-スおよび位置ベ-スの広告生成次に図3を参照すると,本発明によりユ-ザが要求したウェブ・ペ-ジ内に表示すべき広告オブジェクトを選択するための動作が示されている。ウェブ・サ-バと通信しているモバイル・ウェブ・クライアントによりウェブ ・ペ-ジを求めるユ-ザの要求に応答して,モバイル・ウェブ クライアントはユ-ザの現行位置に関する情報を検索する ・ (ブロック100)。ユ-ザ位置情報は,モバイル・ウェブ・クライアント(21,図2)と通信しているGPS(22,図2)により獲得することができる。GPSは,地球の周囲を軌道を描いて回り,地上受信機を備えた人が自分の地理的位置を正確に特定することを可能にする,間隔をあけた衛星群である。GPSについては,当業者には十分理解されており,ここではさらに詳細に説明する必要はない。
【0034】GPS通信は,モバイル・ウェブ・クライアントのウェブ・ブラウザと統合することができる。あるいは,ウェブ・クライアントによって行われるユ-ザ要求は,GPSによりユ-ザ位置情報を取り出すように構成されたウェブ・クライアント・オペレ-ティング・システムによって遮断することもできる。さらに,本発明はユ-ザ位置情報を検索するためにGPSを使用することに限定されないことを理解されたい。電話システムによりウェブ・サ-バにアクセスするモ 66 バイル・ウェブ・クライアントの場合,ウェブ・サ-バは,発呼側の電話番号を追跡して,モバイル・ウェブ・クライアントが現在位置している市内交換局を決定することができる。次にその市内交換局を使用して,ユ-ザの現行位置を大まかに決定することができるだろう。
【0035】あるいは,位置情報は,モバイル・ウェブ・クライアント(21,図2)と通信しているセルラ-基地局または衛星ビ-ムのIDに基づいて獲得することもできる。セルラ-基地局または衛星ビ-ムのIDはGPSほど精密な位置を示すことはできないが,その位置は本発明による広告オブジェクトの選択を可能にするのに十分な精密さである可能性がある。
【0036】次にウェブ・クライアントは,ウェブ・ペ-ジ要求とともに検索したユ-ザ位置情報をウェブ・サ-バに伝送する(ブロック102)。ただし,上記のようにサ-バが電話交換局に照会するかまたはセルラ-基地局によって位置が決定される場合には,この情報はその要求内でクライアントによって正確に伝送されないことに留意されたい。ユ-ザ位置情報は,ウェブ・ペ-ジ要求(23,図2)の一部としてHTTPヘッダでウェブ・サ-バに伝達することができる。
次にウェブ・サ-バは,検索したユ-ザ位置情報に基づいて,要求されたウェブ・ペ-ジに含めるための広告オブジェクト(複数も可)を選択する(ブロック104)。さらに,ウェブ・サ-バは,ユ-ザ要求を受信した時刻のみに基づいてまたは検索したユ-ザ位置情報と組み合わせて,広告オブジェクト(複数も可)を選択することができる。
好ましいことに,動的実行エンジン(28,図2)は,それぞれがそれに関連する位置情報および時刻情報を有する複数の広告オブジェクトを含む参照テ-ブル(27,図2)を探索する。
【0037】ウェブ・サ-バは,選択された広告オブジェクト(複数 67 も可)がそこに含まれている,要求されたウェブ・ペ-ジを生成する (ブロック106)。次に生成されたウェブ・ペ-ジはモバイル・ウ ェブ・クライアントに供される(ブロック108)。
【0038】本発明のこの態様の一例として,ユ-ザは モバイル・ウ ェブ・クライアントによりウェブ・サ-バからウェブ・ペ-ジを要求 する。ウェブ・サ-バは,ウェブ・ペ-ジ要求とともに伝送されたユ -ザ位置情報を使用して,ユ-ザの現在の位置に物理的に近い何かに 関する情報を提示する広告オブジェクトを選択する。たとえば,ウェ ブ・ペ-ジ内に表示される広告オブジェクト内で,全国的な店舗チェ -ンのうち最も近い店舗に関する情報を提示することができる。
【0039】本発明のこの態様の他の例として,ウェブ・サ-バがユ -ザ要求を受信した時刻に基づいて広告オブジェクト(複数も可)を 選択することができる。たとえば,午前6時から午前9時の間にウェ ブ・ペ-ジ要求を受信したときに,ベ-グルに関する広告オブジェク トを選択し,要求されたウェブ・ペ-ジ内に表示することができる。
対照的に,午後6時から午後8時の間にユ-ザ要求を受信したときに, 居酒屋の「サ-ビス・タイム」に関する広告オブジェクトを選択し, 要求されたウェブ・ペ-ジ内に表示することができる。」f 「【0046】位置および時刻に基づくアクティブ広告 本発明の他の態様によれば,ウェブ・ペ-ジ・コンテンツ・オブジェ クトは,時刻とユ-ザの位置の両方に基づいて満了し,「リフレッシ ュ」することができる。たとえば,ユ-ザが特定の時間の間に特定の 位置から特定のウェブ・ペ-ジを要求する場合,ユ-ザの位置および ウェブ・ペ-ジ要求の時刻に関連する広告オブジェクトを要求された ウェブ・ペ-ジに含めることができる。
【0047】図6を参照すると,モバイル・ウェブ・クライアント2 68 1内で動作するJAVA(R)アプレット40は,あるGPS地域から別の地域へモバイル・ウェブ・クライアントとともにユ-ザが移動する時期を判定するためにGPS22と通信するように構成されている。
ウェブ クライアントが別のGPS地域に移動したとJAVA(R)アプ ・レット40が判定すると,アプレット表示をリフレッシュするためにウェブ・サ-バ24に対してHTTP要求が行われる。
【0048】あるいは,JAVA(R)アプレット40は,参照テ-ブル27内に複数の広告オブジェクトを含むことができ,各広告オブジェクトはGPS地域または時刻に関連付けられている。ユ-ザがモバイル・ウェブ・クライアント21とともに特定の広告オブジェクトに関連する地域外に移動すると,JAVA(R)アプレット40は,表示されている広告オブジェクトを他の広告オブジェクトで置き換える。同様に,その中に特定の広告オブジェクトが表示される時刻ウィンドウが満了した場合,JAVA(R)アプレット40は,表示されている広告オブジェクトを他の広告オブジェクトで置き換える。
【0049】図6に示すように,ユ-ザが「ノ-スカロライナ」というGPS地域内におり,時刻が午後である場合,コンテンツ「A」を備えた広告オブジェクトが表示される。コンテンツ「B」は,ユ-ザが「ヴァ-ジニア」というGPS地域内におり,時刻が午前である場合に広告オブジェクト内に表示される。
【0050】次に図7を参照すると,本発明によりユ-ザ位置および時刻の変化に基づいてウェブ・ペ-ジ内に表示されたオブジェクト内のコンテンツを変更するための動作の概略が示されている。オブジェクトは,GPSからユ-ザ位置情報を検索するように構成されている(ブロック300)。そのオブジェクトは,ユ-ザ位置の変化に応答してその表示コンテンツを変更することができる(ブロック302)。
69 さらに,そのオブジェクトは,時刻の変化に応答してその表示コンテ ンツを変更することができる(ブロック304)。
【0051】たとえば,モバイル・ウェブ・クライアント内に表示さ れたウェブ・ペ-ジは,全国的なレストラン・チェ-ンのうちユ-ザ に最も近いレストランに関するコンテンツを伴う広告オブジェクト を含む。ユ-ザが移動すると,JAVA(R)アプレット(40,図6) がユ-ザの位置を監視する。ユ-ザが表示された広告オブジェクトに 関連する特定のGPS地域外に移動すると,JAVA(R)アプレット は,ユ-ザの現在のGPS地域内に存在する全国的チェ-ン内のレス トランを反映するようにリフレッシュする。JAVA(R)アプレット は,ウェブ・サ-バに対してHTTP要求を行うかまたはウェブ・ク ライアント内のJAVA(R)アプレット内に含まれるロ-カル・キャ ッシュから表示されたウェブ・ペ-ジ内に新しい広告オブジェクトを ロ-ドすることによりリフレッシュすることができる。」g 【図2】 70 h 【図3】 71 i 【図6】j 【図7】 72 (イ) 乙5発明の認定 a(a) 乙5の【0020】と図2によれば,乙5には,「ウェブ・サ- バとモバイル・ウェブ・クライアントとをインタ-ネットにより接 続をしているシステム」が記載されていることが認められる。
(b) 請求項9,請求項55,【0021】,【0024】,【003 3】〜【0036】,【0038】によれば,乙5のシステム(前 記(a))は,モバイル・ウェブ・クライアントの位置情報を取得する 手段を備えていることが認められる。
(c) 請求項9,請求項55,【0021】〜【0025】,【003 3】,【0035】〜【0038】によれば,乙5のウェブ・サ- バ(前記(a)) ユ-ザに供給すべき広告オブジェクト は, (広告情報。
なお,この広告オブジェクトには,広告オブジェクトを提供すべき ユ-ザの位置情報及び時刻を含む配信先情報が関連付けられている (【0024】)。)をあらかじめ入手しており,また,この広告 オブジェクトをユ-ザのモバイル・ウェブ・クライアントに供給す る機能を有していることが認められる。
(d) 請求項9,請求項55,【0036】,【0038】,【003 9】によれば,モバイル・ウェブ・クライアントは,ウェブ・サ- バに対し,ウェブ・ペ-ジ要求とともに,当該モバイル・ウェブ・ 73 クライアントの位置情報をウェブ・サ-バに伝送すること,ウェブ・ サ-バは,受信したモバイル・ウェブ・クライアントの位置情報及 びウェブ・ペ-ジ要求を受信した時刻と,広告オブジェクトに関連 付けられている配信先情報としての位置情報及び時刻とが一致する オブジェクトを選択することが認められる。
(e) 請求項9,請求項55,【0037】によれば,乙5のウェブ・ サ-バ(前記(a))は,当該モバイル・ウェブ・クライアントから要 求されたウェブ・ペ-ジを,選択した広告オブジェクトを含めて生 成し,生成したウェブ・ペ-ジをモバイル・ウェブ・クライアント に供給(送信)することが認められる。
b 前記aで認定したところによれば,乙5には,次のとおりの乙5発 明が記載されているものと認められる。
@ ウェブ・サ-バとモバイル・ウェブ・クライアントとをインタ- ネットにより接続をしているシステムである。
A 当該システムにおいては,モバイル・ウェブ・クライアントの位 置情報を取得する手段を備えている。
B ウェブ・サ-バは,ユ-ザに供給すべき広告オブジェクト(広告 情報。なお,この広告オブジェクトには,広告オブジェクトを提供 すべきユ-ザの位置情報及び時刻を含む配信先情報が関連付けられ ている。)をあらかじめ入手しており,また,この広告オブジェク トをユ-ザのモバイル・ウェブ・クライアントに供給する機能を有 している。
C モバイル・ウェブ・クライアントは,ウェブ・サ-バに対し,ウ ェブ・ペ-ジ要求とともに,当該モバイル・ウェブ・クライアント の位置情報をウェブ・サ-バに伝送する。ウェブ・サ-バは,受信 したモバイル・ウェブ・クライアントの位置情報及びウェブ・ペ- 74 ジ要求を受信した時刻と,広告オブジェクトに関連付けられている 配信先情報としての位置情報及び時刻とが一致するオブジェクトを 選択する。
D ウェブ・サ-バは,当該モバイル・ウェブ・クライアントから要 求されたウェブ・ペ-ジを,選択した広告オブジェクトを含めて生 成し,生成したウェブ・ペ-ジをモバイル・ウェブ・クライアント に供給する。
イ 乙5発明と本件発明1の対比 (ア) 一致点 a 乙5発明においては,ウェブ・サ-バとモバイル・ウェブ・クライ アントとをインタ-ネットにより接続しており(前記ア(イ)b@〔本 判決74頁〕),その通信に当たっては,セルラ-基地局を介して接 続されることとされている(乙5【0020】【0021】)。セル ラ-基地局は無線の基地局を意味するから,モバイル・ウェブ・クラ イアントは,無線通信装置を含み,モバイル・ウェブ・クライアント とウェブ・サ-バは,無線通信サ-ビス提供システムを利用して接続 されている。そして,セルラ-通信サ-ビスが,モバイル・ウェブ・ クライアントのユ-ザが所定の利用料金を支払うシステムであること は顕著な事実であるから,乙5発明は,本件発明1の構成要件A「無 線通信装置の利用者が,無線通信ネットワ-クを経由して,通信事業 者から無線通信サ-ビスの提供を受けることにより,所定の利用料金 を支払う無線通信サ-ビス提供システムにおいて,」に係る構成を備 える。
b 乙5発明は,モバイル・ウェブ・クライアントの位置情報を取得す る手段を備えている(前記ア(イ)bA〔本判決74頁〕)から,本件 発明1の構成要件B「前記無線通信装置の現在位置を測定する位置測 75 定手段と,」に係る構成を備える。
c 乙5発明において,ウェブ・サ-バは,ユ-ザに供給すべき広告オ ブジェクト(広告情報。なお,この広告オブジェクトには,広告オブ ジェクトを提供すべきユ-ザの位置情報及び時刻を含む配信先情報が 関連付けられている。)をあらかじめ入手しており,また,この広告 オブジェクトをユ-ザのモバイル・ウェブ・クライアントに供給する 機能を有している(前記ア(イ)bB〔本判決74頁〕)から,乙5発 明は,本件発明1の構成要件C「配信すべき広告情報および配信先情 報を入手するとともに,前記広告情報を前記無線通信装置に送信する 広告情報管理サ-バとを具備し,」に係る構成を備える。
d 乙5発明においては,モバイル・ウェブ・クライアントが,ウェブ・ サ-バに対し,ウェブ・ペ-ジ要求とともに,当該モバイル・ウェブ・ クライアントの位置情報を伝送する。ウェブ・サ-バは,受信したモ バイル・ウェブ・クライアントの位置情報及びウェブ・ペ-ジ要求を 受信した時刻と,広告オブジェクトに関連付けられている配信先情報 としての位置情報及び時刻とが一致する広告オブジェクトを選択する ものであり(前記ア(イ)bC〔本判決74頁〕),ウェブ・サ-バは, 当該モバイル・ウェブ・クライアントから要求されたウェブ・ペ-ジ を,選択した広告オブジェクトを含めて生成し,生成したウェブ・ペ -ジをモバイル・ウェブ・クライアントに供給する(前記ア(イ)bD 〔本判決75頁〕)。そのため,乙5発明は,本件発明1の構成要件 D「前記広告情報管理サ-バは,前記位置測定手段が測定した前記無 線通信装置の現在位置と前記配信先情報に含まれる位置情報に基づい て,指定地域内の前記無線通信装置に対して前記広告情報を送信し, 前記無線通信装置は,前記広告情報管理サ-バが送信した前記広告情 報の配信を受ける一方,」に係る構成を備える。
76 (イ) 相違点 乙5発明と本件発明1を対比すると,本件発明1は構成要件E「前記 広告情報管理サ-バは,前記無線通信装置が一旦前記指定地域の外に出 た後,再び前記指定地域内に戻っても,同じ前記広告情報を前記無線通 信装置に送信しないこと」を備えるのに対し,乙5発明は,送信先情報 に含まれる位置情報及び時刻に基づいて広告情報を送信するものの,同 一の広告情報を同一のモバイル・ウェブ・クライアントに送信しないよ うにする構成を含まないから,乙5発明は,本件発明1の構成要件Eに 係る構成を備えない点で本件発明1と異なるものと認められる。
ウ 相違点に係る本件発明1の構成の容易想到性 (ア) 配信回数を制限する周知技術 a 文献の記載 (a) 雑誌等の記載(乙3の1の1〜乙3の1の4) @ 乙3の1の1の記載 乙3の1の1(「高度なタ-ゲティングを可能にしたインタ- ネットの広告配信サ-ビス ダブルクリック株式会社」宣伝会議 No.578,平成10年3月発行)には次の記載がある。
(i) 「ダブルクリック(以下:DC)は,ネットワ-ク型インタ -ネット広告サ-ビスの最大手,米ダブルクリックと日本のト ランスコスモス,NTT,NTTアドが97年9月に設立した インタ-ネット広告の配信会社。ユ-ザ-サイドの情報を基に した効率的なインタ-ネット広告の配信システム(DART) で話題を呼んでいる。」(80頁1段22〜30行目) (ii) 「具体的なタ-ゲティングの方法は,複数のメンバ-サイ トの中からユ-ザ-に合ったサイトを選び出して指定する「カ テゴリ-指定」と,さまざまなタ-ゲティング設定でフォ-カ 77 スする「タ-ゲティング設定」の2種類。カテゴリ-指定は「テ クノロジ-&インタ-ネット」「ニュ-ス&カルチャ-」「エ ンタ-テイメント」「レジャ-&スポ-ツ」など大きく6つに 分類されたメンバ-サイトから特定の分類やサイト名を指定。
一方,「タ-ゲティング指定」は,ユ-ザ-のアクセスしてい る国,ドメイン・タイプ,使用OS,利用ブラウザ,曜日・時 間,フリ-クエンシ-・コントロ-ル(掲載頻度の上限設定) などの設定基準から指定する。2つの方向から同時にアプロ- チすることで,よりきめ細かなタ-ゲットの絞り込みが可能と なった。」(80頁3段2行目〜81頁2段4行目) (iii) 「ひとりのユ-ザ-の広告接触頻度を制限し,その分を他 のユ-ザ-に振り分けて配信することで,高リスポンスとリ- チの広がりが期待できる(※注)。」(82頁1段12〜16 行目) (iv) 「※注 一般にバナ-広告におけるクリックスル-レ-ト の最も高い値は,初めてその広告を見た時に記録される。ユ- ザ-が広告を見る頻度が高くなる程,その値は下がってくるが, ダブルクリックでは個々のユ-ザ-に対して広告の到達頻度を 自由設定できるため,同じ広告を必要以上に見せることにより 起きる「バナ-バ-ンアウト」(広告に反応がなくなる状態) を防ぐことが出来る。」(82頁2段8〜17行目)A 乙3の1の2の記載 乙3の1の2(「急拡大する日本のネットビジネス 世界的な 規模の広告配信サ-ビス」Forbes Oct.1999,平成11年10月1 日発行)には次の記載がある。
「これまでの媒体以上にタ-ゲットを絞った広告配信ができると 78 A氏が強調するのが,DART(ダイナミック・アドバタイジン グ・リポ-ティング・アンド・タ-ゲティング)というシステム の存在だ。
例えば,一人の人が何度も同じ広告を見ると,その効果は低下 していくと見られている。インタ-ネット上でも,同じことだ。
このため,DARTを使ったインタ-ネット広告では,利用者一 人ひとりに対する広告配信の回数をコントロ-ルするような工夫 がなされている。「インタ-ネットに接続中のユ-ザ-に配信す る回数を,コントロ-ルしている。まさに一人ひとりのユ-ザ- に対応できる広告配信になっている」(A氏)」(59頁1段4 行目〜2段11行目)B 乙3の1の3記載 乙3の1の3(「インタ-ネット広告会社でトップに躍り出た B氏[米ダブルクリック会長兼CEO]」NIKKEI BUSINESS,平成 12年7月10日発行)には次の記載がある。
(i) 「共同創業者のCとともにBが1996年1月に起こしたダ ブルクリックは,今年3月までの4年強で売上高3億1600 万ドル(約332億円,99年12月期)を稼ぎ出し,世界2 3カ国でサ-ビスを展開するまでに急成長した。」(140頁 左欄11〜17行目) (ii) 「ダブルクリックを短期間で成長させた原動力の1つは, BとCが開発したDART(ダ-ト)と呼ばれるインタ-ネッ ト広告配信技術である。Bは,同じ内容の広告をできるだけ多 くの人に何度も見せる,という従来のマス広告の手法を否定し, 利用者のニ-ズに合わせた広告を送ることを考えた。DART の具体的な仕組みを紹介しよう。
79 DARTを採用しているウェブサイトに利用者がアクセス すると,ダブルクリックの管理センタ-は,利用者のアドレス から所属している団体の種類(企業か,自治体か,大学かなど) を推定し,利用者が使うインタ-ネット接続事業者から接続し てきた地域を判別。さらにアクセスしてきた時間帯やアクセス している時間の長さなどから利用者の特徴まで推測する。
そのうえで,利用者の趣味や嗜好に合ったバナ-広告(ホ- ムペ-ジに掲載する広告)を,利用者が見ているウェブサイト の広告スペ-スに配信するのだ。つまりDART技術を使った ネット広告は,アクセスしてきた利用者に最も適合した広告を その都度,選択して送るのである。」(140頁中欄20行目 〜右欄26行目)C 乙3の1の4の記載 乙3の1の4(「インタ-ネット広告ネットワ-ク--バナ- 革命を起こした:DoubleClick」平成11年3月5日)には次の記 載がある。
「同氏は「DoubleClick の広告配信サ-ビスを支えているのが当 社 技 術 の 『 D A R T (Dynamic Advertising Reporting & Targeting)』だ。DARTは DoubleClick が行なうビジネスすべ てのバックボ-ンである」と語る。DARTは,12種類のカテ ゴリ-指定の他,IPアドレス,ドメインタイプ,ブラウザ-や OSの種類,曜日・時間,ユ-ザ-ビヘイビアなどの組み合わせ でユ-ザ-の興味に合ったバナ-広告を配信する技術。
同氏は「たとえば Altavista で車の保険を検索したとすると, あなたは車の保険に興味を持っている人だということがわかる。
アクティブに何かを探すビヘイビアを,広告配信技術に組み込む 80 ことで,ユ-ザ-の興味に合わせた広告配信が行なえる。また, 同じユ-ザ-が何度も同じバナ-を見ないようなバナ-配信数制 限(フリ-クエンシ-コントロ-ル)も行っている」と語る。ま た,ユ-ザ-のクリック率などの情報は同社デ-タベ-スに蓄積 され,どの広告が最も効果的かの測定も行なえる。」(2頁4〜 14行目)(b) 公開特許公報(乙4の1)の記載 公開特許公報(特開2000-148675)(平成12年5月 30日出願公開)には,次の記載がある。
「【0002】 【従来の技術】今日,インタ-ネットは大衆消費者に非常に人気が あり,インタ-ネット上のWWW(ワ-ルド・ワイド・ウェブ)ペ -ジは広告のための強力な媒体であると考えられている。最も簡単 な形でのウェブ広告は,ウェブペ-ジ内に固定されたインライン画 像として直接リンクされている。より柔軟性の高いシステムは,広 告の選択及び配置の分離ができるものであるが,ランダムな選択機 構のみを提供するものである。これは,ウェブドキュメントが画像 を直接含むものではなく,画像自体に対する参照(レファレンス) のみを有することから可能である。この参照が実際の画像ではなく 自動選択プロセスを指定するようにすることで,そのような参照イ ンライン画像を,ユ-ザ-のブラウザ-ウィンドウでペ-ジの実際 のレイアウトが形成されつつある時にまで遅らせて,選択すること ができる。さらに,その選択プロセスは各ユ-ザ-について個々に 呼び出されるものであることから,そのペ-ジを表示するように要 求を出している各ユ-ザ-が,異なるインライン画像を見るように することが可能である。
81 【0003】この基本的機構を拡大するものとして,今日使用されている多くのシステム(AdForce, Inc.(アドフォ-ス社)によるAdForce,または AdKnowledge, Inc.(アドノ-レッジ社)によるAdKnowledge など)によって,広告者は,使用しているブラウザ-ソフトの種類または1日の時刻など,広告バナ-の表示を一定の条件に制限するタ-ゲティング制約を指定することができる。そのようなシステムは最初に,バナ-に関する現在の要求の条件を考慮して,全ての適用外広告を除去(フィルタリング)する。次に,残った広告を無作為に選択する。代表的な特徴としては,ブラウザソフトウェアの種類およびバ-ジョン,オペレ-ティングシステム(OS),要求を発するサイト,国,1日の時刻,曜日などがある。一部のシステムは,徐々に,そのような接続に固有な情報を年齢,性別,収入,居住地などのユ-ザ-固有のデ-タにリンクさせる試みを行うようになっている。
【0004】最新バ-ジョンの広告選択システム(DoubleClick, Inc.(ダブルクリック社)による DART など)は,上記の特徴フィルタ-機構に加えて,現在の条件下で各広告がどの程度よく行われているかについての統計デ-タを維持する簡単なクリック-ブ-スト機構を提供する。利用可能な広告の蓄積をフィルタ-処理したら,最も高いクリックスル-(click-through)を有する広告が選択される。他のものは,「クッキ-(cookie)」(Kristol, D.と Montulli,L., RFC2109: HTTP state management mechanism, Network WorkingGroup, IETF, February 1997 参照)(RFC=Request for Comments,IETF=Internet Engineering Task Force)を使用して各ユ-ザ-を確認し,同じ広告が表示される回数を制限して,「バナ-飽き(wearout)」を防止するものである。クッキ-とは,要求されたペ- 82 ジまたは画像とともに,サ-バ-が送信する短い情報,代表的には ユ-ザ-IDである。ユ-ザ-のブラウザは,この情報を保存し, ユ-ザ-が同一サ-バ-からのペ-ジまたは画像を要求する都度, それを再送信する。」 b 周知技術の認定 前記aによると,本件特許の出願時(平成12年9月5日)に,ダ ブルクリック社が広く提供するインタ-ネット広告配信サ-ビスにお けるDART(Dynamic Advertising Reporting & Targeting,ダイナ ミック・アドバタイジング・リポ-ティング・アンド・タ-ゲティン グ)という配信技術においては,同じ広告を必要以上に見せることに より起きる「バナ-バ-ンアウト」(広告に反応がなくなる状態)を 防ぐために,利用者一人一人に対する広告配信の回数をコントロ-ル することが行われており,それは当業者によく知られていたものと認 められるから,配信回数制限の一形態である特定の広告を各利用者に 配信する回数を1回に制限することも周知技術であったものと認めら れる。
(イ) 配信回数を制限する周知技術を乙5発明に組み合わせることの容 易性 前記(ア)bのとおり,インタ-ネット広告配信の技術分野において, 同じ広告を必要以上に見せることにより起きる「バナ-バ-ンアウト」 (広告に反応がなくなる状態)を防ぐために,利用者一人一人に対する 広告配信の回数をコントロ-ルすることは周知技術であった。
乙5発明は,インタ-ネットにおける広告配信という,上記技術と共 通する技術分野に属する。そして,乙5発明は,「モバイル・ウェブ・ クライアントによりウェブにアクセスしているユ-ザ-に対する広告の 効力を高めること」(乙5【0011】)を目的としており,広告の効 83 力を高めるという課題は,上記周知技術の課題と共通する。そのため, 乙5発明に,技術分野及び課題が共通する上記周知技術を組み合わせる ことには動機付けがあるものと認められる。
そして,乙5発明において,特定の広告オブジェクトについて各ユ- ザ-に配信する回数を1回に制限するためには,ウェブ・サ-バが,受 信したモバイル・ウェブ・クライアントの位置情報と広告オブジェクト (広告情報)に関連付けられた位置情報が一致したことにより(前記ア (イ)bC〔本判決74頁〕 一度供給した広告オブジェクト ) (前記ア(イ) bD〔本判決75頁〕)を,その後,上記モバイル・ウェブ・クライア ントの位置情報と広告オブジェクト(広告情報)に関連付けられた位置 情報が再度一致しても,上記モバイル・ウェブ・クライアントに送信し ないようにすればよいことは,明らかである。
したがって,乙5発明に,特定の広告を各利用者に配信する回数を1 回に制限するという周知技術を適用することができたものと認められる。
そうすると,乙5発明に,特定の広告を各利用者に配信する回数を1 回に制限するという周知技術を適用し,構成要件E(「広告情報管理サ -バが,無線通信装置が一旦指定地域の外に出た後再び指定地域内に戻 った場合であっても,指定地域内にとどまり続けた場合であっても,同 じ広告情報を無線通信装置に送信しないこと」を特徴とする無線通信サ -ビス提供システム,前記2?ア(ア)〔本判決48頁〕)を容易に想到 することができたものと認められる。
エ 控訴人の反論について 控訴人は,一般的に,広告は目に触れる回数が多ければ多いほど効果が あるので,乙5発明は,広告情報が関連付けられた位置情報及び時刻と一 致する位置情報及び時刻を有するモバイル・ウェブ・クライアントに対し, 可能な限り長い時間,繰り返し広告を表示することを目的としており,回 84 数は無制限で広告情報を配信する発明であるとし,広告の配信回数を制限 するという公知技術又は周知技術を乙5発明に適用することには阻害事 由があると主張する(前記第3の4?イ(イ)b(b)〔本判決25頁〕)。
しかしながら,前記ウ(ア)b〔本判決83頁〕のとおり,インタ-ネッ ト広告配信の技術分野において,本件特許の出願時(平成12年9月5日) には,同じ広告を必要以上に見せることにより起きる「バナ-バ-ンアウ ト」(広告に反応がなくなる状態)を防ぐために,利用者一人一人に対す る広告配信の回数をコントロ-ルすることは周知技術であったから,本件 特許の出願時において,一般的に,広告は目に触れる回数が多ければ多い ほど効果があると認識されていたとは認められない。そして乙5発明は, 広告オブジェクト(広告情報)が関連付けられた位置情報及び時刻と一致 する位置情報及び時刻を有するモバイル・ウェブ・クライアントに対して 広告オブジェクト(広告情報)を配信することにより広告の効果を高める ものであると認めることはできるが(乙5【0011】,【0012】【0 017】),乙5には,広告オブジェクト(広告情報)が関連付けられた 位置情報及び時刻と一致する位置情報及び時刻を有するモバイル・ウェ ブ・クライアントに対し,可能な限り長い時間,繰り返し広告を表示する ことが広告の効力を高めることである旨の記載はなく,かえって,広告の 繰り返しは,その効果を減ずるという認識を前提とする上記周知技術が存 在したことからすると,広告の繰り返しによって,その効力を高めること が乙5発明の唯一の目的であったということはできない。したがって,広 告の配信数を制限することにより広告の効果を高めることを乙5発明が 排斥するものであったと認めることはできないから,広告の配信回数を制 限するという公知技術又は周知技術を乙5発明に適用することに阻害事 由があるとは認められず,控訴人の上記主張は,採用することができない。
? 本件発明1の進歩性 85 以上によれば,本件発明1は,乙5発明及び周知技術に基づいて当業者が 容易に発明をすることができたものであり,特許法29条2項の規定により 特許を受けることができないものである。したがって,本件発明1に係る特 許は特許無効審判により無効にされるべきものと認められるから(特許法1 23条1項2号),控訴人は被控訴人に対し,本件発明1に係る特許の特許 権に基づく権利を行使することができない(特許法104条の3第1項)。
7 争点7(本件発明26の進歩性)について ? 乙5を主引用例とし,配信回数を制限する周知技術を副引用例とする本件 発明26の容易想到性 乙5を主引用例とし,配信回数を制限する周知技術を副引用例とする本件 発明26の容易想到性について検討する。
ア 乙5発明と本件発明26の対比 (ア) 一致点 a 乙5発明においては,ウェブ・サ-バとモバイル・ウェブ・クライ アントとをインタ-ネットにより接続しており(前記6?ア(イ)b@ 〔本判決74頁〕),その通信に当たっては,セルラ-基地局を介し て接続されることとされている(乙5【0020】【0021】)。
セルラ-基地局は無線の基地局を意味するから,モバイル・ウェブ・ クライアントは,無線通信装置を含み,モバイル・ウェブ・クライア ントとウェブ・サ-バは,無線通信サ-ビス提供システムを利用して 接続されている。そして,セルラ-通信サ-ビスが,モバイル・ウェ ブ・クライアントのユ-ザが所定の利用料金を支払うシステムである ことは顕著な事実であるから,乙5発明は,本件発明26の構成要件 H「無線通信装置の利用者が,無線通信ネットワ-クを経由して,通 信事業者から無線通信サ-ビスの提供を受けることにより,所定の利 用料金を支払うとともに,」に係る構成を備える。
86 b 乙5発明は,モバイル・ウェブ・クライアントの位置情報を取得す る手段を備えている(前記6?ア(イ)bA〔本判決74頁〕)から, 本件発明26の構成要件I「前記無線通信装置の現在位置を測定する 位置測定手段と,」に係る構成を備える。
c 乙5発明において,ウェブ・サ-バは,ユ-ザに供給すべき広告オ ブジェクト(広告情報。なお,この広告オブジェクトには,広告オブ ジェクトを提供すべきユ-ザの位置情報及び時刻を含む配信先情報 が関連付けられている。)をあらかじめ入手しており,また,この広 告オブジェクトをユ-ザのモバイル・ウェブ・クライアントに供給す る機能を有している(前記6?ア(イ)bB〔本判決74頁〕)から, 乙5発明は,本件発明26の構成要件J「配信すべき広告情報および 配信先情報を入手して,前記広告情報を前記無線通信装置に送信する 広告情報管理サ-バとを具備する無線通信サ-ビス提供システムで 使用される無線通信サ-ビス提供方法において,」に係る構成を備え る。
d 乙5発明においては,モバイル・ウェブ・クライアントが,ウェブ・ サ-バに対し,ウェブ・ペ-ジ要求とともに,当該モバイル・ウェブ・ クライアントの位置情報を伝送する。ウェブ・サ-バは,受信したモ バイル・ウェブ・クライアントの位置情報及びウェブ・ペ-ジ要求を 受信した時刻と,広告オブジェクトに関連付けられている配信先情報 としての位置情報及び時刻とが一致する広告オブジェクトを選択する ものであり(前記6?ア(イ)bC〔本判決74頁〕),ウェブ・サ- バは,当該モバイル・ウェブ・クライアントから要求されたウェブ・ ペ-ジを,選択した広告オブジェクトを含めて生成し,生成したウェ ブ・ペ-ジをモバイル・ウェブ・クライアントに供給する(前記6? ア(イ)bD〔本判決75頁〕)。そのため,乙5発明は,本件発明2 87 6の構成要件K「前記位置測定手段が測定した前記無線通信装置の現 在位置と前記配信先情報に含まれる位置情報に基づいて,前記広告情 報管理サ-バが指定地域内の前記無線通信装置に対して前記広告情報 を送信する送信ステップと,」,構成要件L「前記送信ステップで送 信した広告情報の配信を,前記無線通信装置が受ける受信ステップと,」 に係る構成を備える。
(イ) 相違点 乙5発明と本件発明26を対比すると,本件発明26は構成要件M 「その一方,前記無線通信装置が一旦前記指定地域の外に出た後,再び 前記指定地域内に戻っても,前記広告情報管理サ-バは同じ前記広告情 報を前記無線通信装置に送信しない非送信ステップと,を含むことを特 徴とする無線通信サ-ビス提供方法。 を備えるのに対し, 」 乙5発明は, 送信先情報に含まれる位置情報及び時刻に基づいて広告情報を送信す るものの,同一の広告情報を同一のモバイル・ウェブ・クライアントに 送信しないようにする構成を含まないから,乙5発明は,本件発明26 の構成要件Mに係る構成を備えない点で本件発明26と異なるものと 認められる。
イ 相違点に係る本件発明26の構成の容易想到性 前記6?ウ(イ)〔本判決83頁〕と同様の理由により,乙5発明に,特 定の広告を各利用者に配信する回数を1回に制限するという周知技術を 適用し,構成要件Mの「広告情報管理サ-バが,無線通信装置が一旦指定 地域の外に出た後再び指定地域内に戻った場合であっても,指定地域内に とどまり続けた場合であっても,同じ広告情報を無線通信装置に送信しな い非送信ステップ」(前記3?〔本判決59頁〕)という構成を備えるよ うにすることは,容易に想到することができたものと認められ,上記非送 信ステップを含むことを特徴とする無線サ-ビス提供方法という構成要 88 件Mを容易に想到することができたものと認められる。
? 本件発明26の進歩性 そうすると,本件発明26は,乙5発明及び周知技術に基づいて当業者が 容易に発明をすることができたものであり,特許法29条2項の規定により 特許を受けることができないものである。したがって,本件発明26に係る 特許は特許無効審判により無効にされるべきものと認められ(特許法123 条1項2号),控訴人は被控訴人に対し,本件発明26に係る特許の特許権 に基づく権利を行使することができない(特許法104条の3第1項)。
8 争点8(本件訂正発明1の進歩性)について ? 乙5を主引用例とし,配信回数を制限する周知技術,乙6,乙3の1の1 を副引用例とする本件訂正発明1の容易想到性 乙5を主引用例とし,配信回数を制限する周知技術,乙6,乙3の1の1 を副引用例とする本件訂正発明1の容易想到性について検討する。
ア 乙5発明と本件訂正発明1の対比 (ア) 一致点 a 本件訂正発明1の構成要件A-1は「無線通信装置の利用者が,無 線通信ネットワ-クを経由して,通信事業者から無線通信サ-ビスの 提供を受けることにより,所定の利用料金を支払う無線通信サ-ビス 提供システムであって,」であり(下線部は本件発明1の構成要件A と異なる点),乙5発明は,本件発明1の構成要件Aに係る構成を備 えるのと同様の理由により(前記6?イ(ア)a〔本判決75頁〕), 本件訂正発明1の構成要件A-1の構成を備える。
b 本件訂正発明1の構成要件Bは本件発明1の構成要件Bと同じであ るから,乙5発明は,本件発明1の構成要件Bに係る構成を備えるの と同様の理由により(前記6?イ(ア)b〔本判決75頁〕),本件訂 正発明1の構成要件Bの構成を備える。
89 c 乙5発明において,ウェブ・サ-バは,ユ-ザに供給すべき広告オ ブジェクト(広告情報)をあらかじめ入手しており,この広告オブジ ェクトには,広告オブジェクトを提供すべきユ-ザの位置情報及び時 刻を含む配信先情報が関連付けられており(前記6?ア(イ)bB〔本 判決74頁〕),このうち少なくとも時刻は,広告情報の配信条件に 当たる。また,ウェブ・サ-バは,この広告オブジェクトをユ-ザの モバイル・ウェブ・クライアントに供給する機能を有している(前記 6?ア(イ)bB〔本判決74頁〕)。したがって,乙5発明は,本件 訂正発明1の構成要件C’「前記広告情報の配信条件,配信すべき前 記広告情報および配信先情報を入手するとともに,前記広告情報を前 記無線通信装置に送信する広告情報管理サ-バとを具備し,」(下線 部は本件発明1の構成要件Cと異なる点)に係る構成を備える。
d 乙5発明においては,モバイル・ウェブ・クライアントが,ウェブ・ サ-バに対し,ウェブ・ペ-ジ要求とともに,当該モバイル・ウェブ・ クライアントの位置情報を伝送する。ウェブ・サ-バは,受信したモ バイル・ウェブ・クライアントの位置情報及びウェブ・ペ-ジ要求を 受信した時刻と,広告オブジェクトに関連付けられている配信先情報 としての位置情報及び時刻とが一致するオブジェクトを選択するもの であり(前記6?ア(イ)bC〔本判決74頁〕),また,当該モバイ ル・ウェブ・クライアントから要求されたウェブ・ペ-ジを,選択し た広告オブジェクトを含めて生成し,生成したウェブ・ペ-ジをモバ イル・ウェブ・クライアントに供給する(前記6?ア(イ)bD〔本判 決75頁〕)。そのため,乙5発明は,本件訂正発明1の構成要件D’ 「前記広告情報管理サ-バは,前記位置測定手段が測定した前記無線 通信装置の現在位置と前記配信先情報に含まれる位置情報と前記配信 条件に含まれる前記広告情報の送信時間に基づいて,指定地域内の前 90 記無線通信装置に対して前記送信時間内に前記広告情報を送信し,前 記無線通信装置は,前記広告情報管理サ-バが送信した前記広告情報 の配信を受ける一方,」(下線部は本件発明1の構成要件Dと異なる 点)に係る構成を備える。
(イ) 相違点 a 構成要件A-2に係る相違点 乙5発明と本件訂正発明1を対比すると,本件訂正発明1は構成要 件A-2「広告主が広告情報の送信回数又は送信デ-タ量に応じて徴 収される広告情報配信料を支払うことにより,前記広告情報が前記無 線通信装置に送信される無線通信サ-ビス提供システムにおいて,」 (下線部は本件発明1の構成要件Aと異なる点)を備えるのに対し, 乙5発明は,送信料が広告オブジェクト(広告情報)の送信回数又は 送信デ-タ量に応じて徴収されるという構成を備えていないから,乙 5発明は,本件訂正発明1の構成要件A-2を備えない点で本件訂正 発明1と相違するものと認められる。
b 構成要件E-1に係る相違点 乙5発明と本件訂正発明1を対比すると,本件訂正発明1は構成要 件E-1「前記広告情報管理サ-バは,前記無線通信装置が一旦前記 指定地域の外に出た後,再び前記指定地域内に戻っても,同じ前記広 告情報を前記無線通信装置に送信せず,」(下線部は本件発明1の構 成要件Eと異なる点)を備えるのに対し,乙5発明は,送信先情報に 含まれる位置情報及び時刻に基づいて広告情報を送信するものの,同 一の広告情報を同一のモバイル・ウェブ・クライアントに送信しない ようにする構成を含まないから,乙5発明は,本件訂正発明1の構成 要件E-1に係る構成を備えない点で本件訂正発明1と異なるもの と認められる。
91 c 構成要件E-2に係る相違点 乙5発明と本件訂正発明1を対比すると,本件訂正発明1は構成要 件E-2「前記広告情報管理サ-バは,前記広告情報の送信回数を含 む送信結果情報を前記広告主の端末に送信すること,を特徴とする無 線通信サ-ビス提供システム。」(下線部は本件発明1の構成要件E と異なる点)を備えるのに対し,乙5発明においては,ウェブ・サ- バは,広告オブジェクト(広告情報)の送信回数を含む送信結果情報 をモバイル・ウェブ・クライアントに送信するという構成を備えない から,乙5発明は,本件訂正発明1の構成要件E-2に係る構成を備 えない点で本件訂正発明1と異なるものと認められる。
イ 相違点に係る本件訂正発明1の構成の容易想到性 (ア) 構成要件A-2に係る構成の容易想到性 a 乙6,乙3の1の1に記載された構成 (a) 乙6の記載 (i) 乙6(特開平11-65434,平成11年3月5日公開)は, 発明の名称を「情報提供システム,端末における情報の出力方法, 移動情報端末及び情報提供装置」とする特許の公開公報であり, 移動中のユ-ザが利便性の高い情報を得られるよう,ユ-ザが特 に指定した情報に加え,ユ-ザがその場で欲する利用価値の高い 広告情報を選択的に提供することを課題とし 【要約】 ( 【課題】 , ) 解決手段を,「気象情報,交通情報といったサ-ビス情報を提供 するサ-バ2と,サ-バ2から提供されたサ-ビス情報をユ-ザ に対して出力する移動体端末1とを備える。移動体端末1は,現 在位置情報を含む個人情報を通信回線3を介してサ-バ2に送信 する。サ-バ2は,移動体端末1から送信された個人情報を受信 し,当該現在地情報によって特定される地点から所定範囲内に関 92 連づけて,前記サ-バ2に記憶された広告情報を検出する。そし て,当該検出した広告情報を,通信回線3を介して移動体端末3 に送信する。」(【要約】【解決手段】)とするものである。
(ii) 乙6には,次の記載がある。
@ 「図1は本発明の第一実施形態の情報提供システムを説明す るための概略構成図である。」(【0039】) A 図1 B 「図4は図1に示すサ-バ2の概略ブロック図である。 【0 」 ( 105】) C 図4 93 D 「図5に広告リンク情報記憶部215に格納された特性情報 の一例を示す。」(【0119】) 図5には,送信回数が808として示されている。
E 「送信回数808は,後述する送信回数カウンタ221で測 定された,各広告情報の送信回数を示すものである。この情報 は,広告主への課金料金を求める際などに使用される。」(【0 128】)F 「送信回数カウンタ221は,通信部201から移動体端末 94 1 に送信を行った広告情報に対してその送信回数を数える。」 (【0152】) G 「広告料金演算部222は,送信回数カウンタ219で測定 された広告情報毎の送信回数に基づいて,広告主への課金,す なわち広告料金を演算する。この課金情報は,通信手段 7 を介 して,広告主等に送信することができる。」(【0153】) (iii) 前記(i),(ii)によれば,乙6には,広告情報の送信回数に 応じて広告配信料が決定されることが記載されている。
(b) 乙3の1の1の記載 (i) 乙3の1の1 「高度なタ-ゲティングを可能にしたインタ- ( ネットの広告配信サ-ビス ダブルクリック株式会社」宣伝会議 No.578,平成10年3月発行)には次の記載がある。
@ 「ダブルクリック(以下:DC)は,ネットワ-ク型インタ -ネット広告サ-ビスの最大手,米ダブルクリックと日本のト ランスコスモス,NTT,NTTアドが97年9月に設立した インタ-ネット広告の配信会社。ユ-ザ-サイドの情報を基に した効率的なインタ-ネット広告の配信システム(DART) で話題を呼んでいる。」(80頁1段22〜30行目) A 「一方,広告主の立場から考えると,広告戦略上必要なタ- ゲットだけに絞った広告出稿が可能となることで,広告予算の 無駄を削減できるメリットがある。」(82頁1段6〜10行 目) B 82頁3段左の「ネットワ-ク料金表」には,「料金はCP M(バナ-配信1,000回のコストで表示):円」と記載さ れている。
(ii) 前記(i)によれば,乙3の1の1には,広告情報の送信回数に 95 応じて広告配信料が決定されることが記載されているものと認め られる。
(c) 乙6,乙3の1の1に記載された構成 前記(a),(b)によれば,乙6,乙3の1の1には,広告情報の送 信回数に応じて広告配信料が決定されることが記載されており,本 件特許の出願当時,広告情報の送信回数に応じて広告配信料が決定 される広告配信サ-ビスは公知であったと認められる。
b 乙6,乙3の1の1に記載された構成を乙5発明に組み合わせるこ との容易性 乙6,乙3の1の1と乙5発明は,いずれもインタ-ネットによる 広告配信に関する技術分野に属し,ユ-ザに効果的な広告を配信する という課題,目的が共通しているから,乙6,乙3の1の1に記載さ れた構成を乙5発明に組み合わせることは容易であったと認められ る。
c 容易想到性 以上によれば,乙6,乙3の1の1に記載された構成を乙5発明に 組み合わせることにより,本件訂正発明1の構成要件A-2「広告主 が広告情報の送信回数又は送信デ-タ量に応じて徴収される広告情報 配信料を支払うことにより,前記広告情報が前記無線通信装置に送信 される無線通信サ-ビス提供システム」に係る構成を容易に想到する ことができたものと認められる。
(イ) 構成要件E-1に係る構成の容易想到性 前記6?ウ(イ)〔本判決83頁〕と同様の理由により,乙5発明に, 特定の広告を各利用者に配信する回数を1回に制限するという周知技術 を適用し,構成要件E-1の「広告情報管理サ-バは,無線通信装置が 一旦指定地域の外に出た後再び指定地域内に戻った場合であっても,指 96 定地域内にとどまり続けた場合であっても,同じ広告情報を無線通信装 置に送信しない」(前記4?〔本判決59頁〕)という構成を容易に想 到することができたものと認められる。
(ウ) 構成要件E-2に係る構成の容易想到性 a 乙3の1の1に記載された構成 (a) 乙3の1の1の記載 乙3の1の1(「高度なタ-ゲティングを可能にしたインタ-ネ ットの広告配信サ-ビス ダブルクリック株式会社」宣伝会議 No.578,平成10年3月発行)には,次の記載がある。
(i) 「ダブルクリック(以下:DC)は,ネットワ-ク型インタ- ネット広告サ-ビスの最大手,米ダブルクリックと日本のトラン スコスモス,NTT,NTTアドが97年9月に設立したインタ -ネット広告の配信会社。ユ-ザ-サイドの情報を基にした効率 的なインタ-ネット広告の配信システム(DART)で話題を呼 んでいる。」(80頁1段22〜30行目) (ii) 「また,マ-ケティングにとって,タ-ゲティングと同様に 大切なのがリポ-ティングの機能。正確な広告の効果測定は,次 の広告展開を図る意味でも重要だ。購買につながるユ-ザ-の 『クリック行動』や,掲載された広告とリンク先サイトのコンテ ンツとの兼ね合いが掌握できれば,広告主にとっても貴重なマ- ケティング資料となるにちがいない。
DCのリポ-ト機能はクリック率などのデ-タを,地域,ドメ インタイプ,OS,ブラウザ,日時,フリ-クエンシ-,国など のカテゴリ-ごとに瞬時に計算。欲しい情報を必要に応じて取り 出せるほか,オンラインでのリアルタイムリポ-トが可能。キャ ンペ-ンがどのように進行しているかをオンタイムでチェックで 97 き,また修正・変更にも迅速に対応可能となっている。」(81 頁2段5行目〜3段12行目) (iii) 82頁の右側の囲みには,「ダブルクリックの活用事例」が 記載されており,「結果」として,「4ヵ月の実施で 750,966 イ ンプレッションの広告が配信された。」という記載があり,広告 情報の送信回数を報告することが示されている。
(b) 乙3の1の1に記載された構成 前記(a)によれば,乙3の1の1には,広告配信サ-ビスにおいて 広告情報の送信回数を広告主に報告することが記載されているもの と認められる。
b 乙3の1の1に記載された構成を乙5発明に組み合わせることの容 易性 前記aによれば,本件特許の出願当時,広告配信サ-ビスにおいて 広告情報の送信回数を広告主に報告することは公知であったと認め られる。そして,乙3の1の1と乙5発明は,いずれもインタ-ネッ トによる広告配信に関する技術分野に属し,ユ-ザに効果的な広告を 配信するという課題,目的が共通しているから,乙3の1の1に記載 された構成を乙5発明に組み合わせることは容易であったと認めら れる。
c 容易想到性 以上によれば,乙3の1の1に記載された構成を乙5発明に組み合 わせることにより,本件訂正発明1の構成要件E-2「前記広告情報 管理サ-バは,前記広告情報の送信回数を含む送信結果情報を前記広 告主の端末に送信すること,を特徴とする無線通信サ-ビス提供シス テム。」を容易に想到することができたものと認められる。
? 本件訂正発明1の進歩性 98 そうすると,本件訂正発明1は,乙5発明並びに周知技術及び公知技術に 基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法29条 2項の規定により特許を受けることができないものであると認められ,本件 訂正発明1に係る特許は,特許無効審判により無効にされるべきものと認め られるから(特許法123条1項2号),控訴人は被控訴人に対し,本件訂 正発明1に係る特許の特許権に基づく権利を行使することができない(特許 法104条の3第1項)。
9 結論 以上によれば,本件発明1,26,本件訂正発明1は,いずれも無効にされ るべきものと認められ,また,被控訴人システムは,本件発明2,本件訂正発 明2の技術的範囲に属しないから,その余の点について判断するまでもなく控 訴人の請求は理由がなく,控訴人の請求をいずれも棄却した原判決は,その結 論において相当である。
よって,本件控訴は理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決す る。
裁判長裁判官 鶴岡稔彦
裁判官 上田卓哉
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