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関連審決 不服2019-7933
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事件 令和 2年 (行ケ) 10048号 審決取消請求事件

原告X
被告特許庁長官
同 指定代理人金澤俊郎 北村英隆 西中村健一 関口哲生 小出浩子
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2020/09/23
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
主文 1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
請求
特許庁が不服2019-7933号事件について令和2年3月9日にした審決を取り消す。
事案の概要
本件は,特許出願拒絶査定に対する不服審判請求を不成立とした審決の取消訴訟である。争点は,進歩性の認定判断の誤りの有無である。
1 特許庁における手続の経緯 原告は,名称を「水素エンジン装置」とする発明につき,平成28年7月21日(以下「本件出願日」という。)に特許出願した(特願2016-143401号。
以下「本願」という。)が,平成31年4月22日付けで拒絶査定を受けた。
原告は,令和元年6月13日,拒絶査定不服審判を請求したが(不服2019-7933号),特許庁は,令和2年3月9日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決(以下「本件審決」という。)をし,本件審決の謄本は,同年4月1日,原告に送達された。
2 本願の特許請求の範囲(以下,請求項の番号に従い, 「本願発明1」などといい,本願発明1と本願発明2を併せて「本願発明」という。また,本願の明細書及び図面を併せて「本願明細書」という。
)の記載【請求項1】(請求項目1)水を燃料として,化学物質との反応により,水素などガス発生する手段,ガス制御部,電子制御部,燃焼部などにより構成される水素エンジンで,点火,爆発,噴射により動力を得る事を特徴とする。
【請求項2】(請求項目2)水燃料,化学物質を用い,水素供給部,ガス制御部,燃焼部などにより構成される水素エンジンで,点火,爆発,噴射による複数の動力で垂直,水平などの方向へ推進できる装置とする。また,直接水素を燃料とする手段も選択的に付加出来るものとする。
3 本件審決の理由の要点 (1) 引用文献1(乙1。特開2012-46103号公報)には,以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「水を活性水素水に変換し,アルミ粉と前記活性水素水とを混合するとともに,炭酸水素ナトリウムを添加して水素を発生させる水素発生部25を有し,水素発生量の制御部,水素発生量の制御を行う電子制御部,水素を燃焼する燃焼部により構成される内燃機関で,点火,爆発により動力を得ること。」 (2) 本願発明1と引用発明との対比及び判断 ア 対比 本願発明1と引用発明を対比すると,以下の一致点及び相違点があると認められる。
(一致点) 水を燃料として,化学物質との反応により,水素などガス発生する手段,ガス制御部,電子制御部,燃焼部などにより構成される水素エンジンで,点火,爆発により動力を得る事を特徴とする点。
(相違点) 動力を得る事について,本願発明1は,点火,爆発,「噴射」によるのに対して,引用発明は,点火,爆発による点。
イ 相違点についての判断 (ア) 引用文献2(乙2。特開2009-62215号公報)には,「水素燃料車両において,水素燃料の内燃機関を動力源とすること。」が記載されていると認められ,このような水素燃料の内燃機関が,点火,爆発,噴射により動力を得るものを含むことは自明である。これに加えて,乙3(特開2011-153616号公報)及び乙4(特開2008-63955号公報)によると,水素エンジンにおいて,点火,爆発,噴射により動力を得ることは,本件出願日における周知技術といえる。
そして,引用発明と上記周知技術とは,水素エンジンに関する技術である点で共通し,引用発明に上記周知技術を適用することについての格別な阻害要因はないから,引用発明の内燃機関において,上記周知技術を考慮し, 「点火,爆発,噴射により動力を得る事」として,上記相違点に係る本願発明1の発明特定事項とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。
(イ) 本願発明1は,全体としてみても,引用発明及び周知技術から予測し得ない格別な効果を奏するものではない。
(ウ) 以上からすると,本願発明1は,引用発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法29条2項の規定によ り特許を受けることができないから,本願は拒絶すべきものである。
原告主張の審決取消事由
1 取消事由1 引用文献1にはナトリウムの粒子(以下「Na粒子」という。)について記載がないから,Na粒子の点についても本願発明1と引用発明との間の相違点と認定すべきであるし,同相違点は容易想到なものではない。
水に化学物質を加えるか,化学物質に水を加えるかで反応速度が違うし,本願明細書では,【図1】(a)などでNa粒子を用いることが明確に記載されている。
2 取消事由2 本願発明1は,点火,爆発, 「噴射」で直接的に推進力を得るもので,従来の内燃機関の概念から考えられない新規な手法を採用している。
本願発明は,制御方式が全く異なるものであるが,本願明細書の【図1】 (b)などに記載されている制御方式は,本件審決や被告が指摘する文献には全く記載されていない。
本願発明では,小型化・軽量化が達成されている。
以上からすると,本願発明1は,引用発明及び周知技術に基づいて容易想到なものとはいえない。
被告の主張
1 取消事由1について (1) 本件審決の相違点の認定に誤りはないこと 本願発明1の「化学物質」とは,水を燃料として反応により水素などのガスを発生させるものであるといえるところ,引用文献1には, 「アルミ粉」及び「炭酸水素ナトリウム」が記載されており,これらは水を燃料として反応により水素ガスを発生させるものであるから,引用発明の「アルミ粉」及び「炭酸水素ナトリウム」は,その機能,構成及び技術的意義からみて,本願発明1の「化学物質」に相当する。
したがって,「化学物質」を一致点であるとした本件審決の認定に誤りはない。
(2) 原告の主張について ア 本願の請求項1には「化学物質」との記載はあるものの「Na粒子」についての記載がないから,原告の主張は特許請求の範囲の記載に基づくものではなく,失当である。
イ 仮に,本願の請求項1における「化学物質」が「Na粒子」を意味するものと限定して解釈できたとしても,水とナトリウムが化学的に反応して水素を発生することは,乙5(岩波理化学事典第5版,平成24年)の984ページのナトリウムの項目の記載や乙6(特開2007-145686号公報)の請求項7及び8に示されるように,本件出願日前の技術常識である。
そして,引用発明は, 「水を燃料として,化学物質との反応により,水素などガスを発生する」点で本願発明1と一致するものであるから,上記技術常識参酌して,引用文献1に記載される「アルミ粉」に代えて, 「ナトリウム粉」すなわち「Na粒子」を用いて, 「水を燃料として,化学物質(Na粒子)との反応により,水素などガスを発生する」ようにすることは,当業者が容易になし得たことである。
(3) 小括 以上によると,原告が主張する取消事由1は理由がない。
2 取消事由2について (1) 本件審決の進歩性の判断に誤りはないこと ア 本願発明1は,「水素エンジンで,点火,爆発,噴射により動力を得る事」と特定されているものの,「点火,爆発,噴射で直接的に推進力を得る」ことまでは特許請求の範囲において特定されていないし,「噴射」の対象として,何が「噴射」されるのかも特定されていない。
イ エンジンにおいて,動力を得る際には「噴射」が行われること及び当該「噴射」には,燃焼室への燃料の「噴射」や,燃焼室での燃料の点火や燃焼によって生成される燃焼ガスの燃焼室における「噴射」,エンジンから外部への「噴射」など,様々な「噴射」の態様が存在することがエンジンにおける技術常識である(乙 3,18,19)ところ,本願の請求項1では「点火,爆発,噴射により動力を得る事」とだけ特定されているから,本願発明1は,水素エンジンにおいて「点火,爆発,噴射」により動力を得るものであれば,あらゆる「噴射」の態様のものを含むものといえる。
ウ 引用文献2(乙2)には, 「水素燃料車両において,水素燃料の内燃機関を動力源とすること。(以下「乙2記載事項」という。
」 )が記載されており,上記技術常識を踏まえると,乙2記載事項において「動力源」である「水素燃料の内燃機関」が,「点火,爆発,噴射」により動力を得るものを含むことは自明である。
また,水素エンジンにおいて,点火,爆発,噴射により動力を得ることは,乙2記載事項,乙3の段落【0075】〜【0078】及び【図4】並びに乙4の段落【0006】及び【図1】にあるように,本件出願日前における周知技術(以下「周知技術1」という。)である。
そして,引用発明と周知技術1とは,水素エンジンに関する技術である点で共通し,引用発明に周知技術1を適用することについての格別の阻害要因を見いだすこともできない。
そうすると,引用発明の内燃機関において,周知技術1を考慮し,「点火,爆発,噴射により動力を得る事」として,本件審決が認定した相違点に係る本願発明の発明特定事項とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。
(2) 原告の主張について ア 前記のとおり,本願の請求項1では「噴射」で直接的に推進力を得ることが特定されておらず,原告の主張は特許請求の範囲の記載に基づくものではなく,失当である。
イ 仮に,本願の請求項1の「噴射により動力を得る事」が原告の主張する「噴射により直接的に推進力を得る事」を意味するものと限定して解釈できたとしても,水素エンジンにおいて,水素を燃焼した流体の「噴射により直接的に推進力を得る事」も,乙3の段落【0015】【0047】並びに乙20(特表2013 , -515196号公報)の【請求項1】,段落【0001】〜【0003】【001 ,6】【0042】【0043】及び【図1】にあるように,当業者の周知技術(以 , ,下「周知技術2」という。)である。そして,上記(1)で述べたのと同様に,引用発明において,周知技術2を考慮して,相違点に係る発明の発明特定事項とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。
本願発明1は,全体としてみても,引用発明及び周知技術2から予測し得ない格別な効果を奏するものではない。
したがって,本願発明1は,引用発明及び周知技術2に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。
(3) 以上によると,原告が主張する取消事由2は理由がない。
当裁判所の判断
1 本願発明1について (1) 本願明細書(乙8,9)の記載 本願明細書には,以下の記載がある。
発明の詳細な説明】【技術分野】【0001】水,水素などを燃料として動力を得る水素エンジン装置に関するものである。
【背景技術】【0002】現状の自動車などでは,ガソリンエンジンが主力で電気自動車,ハイブリド車,更に水素,酸素の燃料による燃料電池車が実用化されている。吸気,排気,プラーグなどで構成される水素エンジン車も開発されているが,実用化は十分でない。
発明の概要】【発明が解決しようとする課題】【0004】 従来の装置はエンジン,車体の小型化,軽量化が難しい。また,ガソリン,燃料ガス等を外部より供給するので,外部の供給設備などが必要となる。また,地上を走ることが主力となるが,空中を飛ぶような機能を持たせることが困難である。
【課題を解決するための手段】【0005】本発明では,以上のような欠点を除き,小型軽量化を行い易くする。水を燃料として直接,水から水素を発生する事が出来る。この場合,水に化学物質(Na粒子など)を又は,化学物質に水を加える等の方法がある。本発明の実施例では前者の例で説明する。勿論,水素燃料を直接エンジンに取り込んで燃焼させる手段も選択できる。
更に,簡単なエンジンシステムにより,空中を飛ぶ機能を備える手段など従来にない機能を持つことを特徴とする。基本的には,水を燃料として水素を発生する手段を持ち,水素ガス蓄積部,電子制御部,ガス制御バルブ,動力エンジン部,ガス噴射部などの構成により,エンジンの推進力を得る手段を持つ。
【発明の効果】【0006】水を燃料として水素ガスに変換し,または,直接に水素ガスを使用し点火,爆発力で地上の走行や空中を飛ぶことが容易にできる。これにより,石油,ガソリンの使用,排出によるエネルギー,大気汚染など環境問題の軽減が期待される。
【図面の簡単な説明】【0007】【図1】図1は本発明の基本構成の例を示す。同図の(a)は本発明エンジンの基本図である。同図の(b)は本エンジン動作タイミングチャートの例である。図1(a)において,1は水燃料タンク,2は燃料の水,3は化学物質(Naなど),13は化学物質供給バルブ,4,8は水素ガス管,5は水素ガス蓄積部,7は水素ガス調節バルブ,9は水素混合ガス管,10はガス制御バルブ,10'は空気吸入弁(酸素を含む),11は混合ガス入力部,15は動力エンジン部,16はガス点火部,18はガス噴 射部,20は電子制御部,25は電源部(バッテリー)である。35は水素供給部(水素ボンベイ等),37は水素供給バルブである。図1(b)において,それぞれのタイミングの例を示す。(A)は水素ガス調節バルブ7,(B)は電子制御部20,(C)はガス制御バルブ10,(D)はガス点火部16,(E)はガス噴射部18を示す。
【図2】図2は本発明エンジンの応用例である。図2において,1は水燃料タンク,2は燃料の水,3は化学物質(Naなど),33は化学物質供給バルブ,5はガス蓄積部(空気混合),6はガス制御バルブ(空気吸入バルブ含む),7は混合ガス水平動力バルブ,8は混合ガス垂直動力バルブ,10は水平動力エンジン部(点火部含む),11は水平動力ガス噴射部,20は垂直動力エンジン部(点火部含む),21は垂直動力ガス噴射部,30は電源部(バッテリー),31は電子制御部,35は水素供給部(水素ボンベイ等),37は水素供給バルブ,38は本装置の車体,40は前車輪と軸,41は後車輪と軸,50は車体カバー,51は前進方向カバー,53は上方向カバーである。
【図3】図3は従来開発されているエンジンの構成例である。同図において,1は水素補給口,2は水素タンク,3は水素ガスの電子制御部,4と5は水素パイプ,10はエンジン部,11は吸気室,12は回転部,13は燃焼室,14は吸気口,21は排気パイプ,22は排気の出口,25は車輪の駆動部,30は前輪,31は後輪,32は車体,33は車体カバーである。
【発明を実施するための形態】【0008】図1を基に本発明の基本動作の例について説明する。図 1(a)において,先ず,水燃料タンク1に燃料の水2を入れる。化学物質3(Naなど)は化学物質供給バルブ13を開いて水燃料タンク1に注入する。燃料の水2と化学反応をを起し(判決注:「化学反応を起こし」の誤記と認める。),水素ガスを発生する。そのガスを水素ガス蓄積部5へ蓄えておく。水素供給バルブ37が開いている場合,この水素ガスは水素ガス管4を介して水素ガス調節バルブ7へ送られる。しかし,動作しない時 は閉じられている。動作を開始する時,電子制御部20のコントローラによって水素ガス調節バルブ7が開いて水素ガス管8を介してガス制御バルブ10で電子制御20によりバルブの開閉でガス流量が制御される。この時,同時に空気吸入弁10'より酸素等の空気が流入される。それらの混合ガスは水素混合ガス管9を介して混合ガス入力部11より,動力エンジン部15へ流入する。その混合ガスはガス点火部16において,図1(b)のタイミングチャートに従って動作し点火,爆発する。
その爆発力がガス噴射部18を経て動力源となる。これらは電子制御部20が本エンジンの動作をコントロールする。電源部25(バッテリー)が電気系機能の全ての電源となる。また,必要に応じて発電機と連結して充電することも出来る。更に,図1(a)において水素供給部(水素ボンベイ等)35,水素供給バルブ37とを連動することにより直接水素ガスを使用して本発明の上述のような動作機能を行うこともできる。図1(b)のタイミングチャートでもう少し詳しく説明する。前述の様な状態で水素ガス調節バルブ7を調節設定する。図1(b)のタイミング(A)で水素ガス調節バルブ7が制御される。水素ガス蓄積部5の水素ガスが水素ガス管4を介して水素ガス調節バルブ7へ流入し電子制御部20によるタイミング(B)でコントロールされる。水素ガス管8を経てガス制御バルブ10へ流入する。この時,ガス制御バルブ10のタイミング(C)で水素混合ガスはコントロールされる。この時,ガス制御バルブ10の中で空気吸入弁10'を同じタイミングで空気(酸素)を混入する。
この様にして,それらの水素と空気の混合ガスが混合ガス入力部11を経て動力エンジン部15に導入される。この時,ガス点火部16がタイミング(D)で点火し,爆発する。この爆発ガスがガス噴射部18よりタイミング(E)で放出される。その圧力がエンジン動力源となる。このサイクルは速く,遅く,連続,停止など必要に応じてガス量,点火サイクルで制御できる。従って,馬力,スピード等は自由に調節できる。電子制御部20のコントロールでエンジンの始動,停止,可動,走行などの操作が行える。
実施例】 【0009】次に,図2に基づいて本発明エンジンの応用の実施例について説明する。同図において先ず,化学物質3が化学物質供給バルブ33を介して水燃料タンク1に加えられて燃料の水2と反応して水素を発生する。水素供給バルブ37がガス蓄積部5へ流れるように切り替えられる。ガス制御バルブ6(空気吸入口も含まれる)が開いてガス蓄積部5へ水素が送られる。この時,水素ガスは空気吸入口から空気(酸素)を取り入れて混合ガスとすることが出来る。この状態で電子制御部31の操作により,混合ガス水平動力バルブ7で調節して水平動力エンジン部10へ混合ガスを送る。そこで電子制御部31のタイミングによりガスが点火し,その爆発力で水平動力ガス噴射部11からの圧力が発生する。その時の力で車輪が前進の方向へ走行できる。その後,混合ガス水平動力バルブ7を閉じて前進走行を停止する。また,電子制御部31の操作により混合ガス垂直動力バルブ8を制御するとガス蓄積部5の混合ガスが垂直動力エンジン部20へ流入する。そこで規定のタイミングで点火,爆発が起こり,垂直動力ガス噴射部21により,上方向へ推進の力が得られ,上に飛ぶことが出来る。この時,水平動力エンジン部10が停止していれば,真上に上がり,停止していなければ,斜め方向へ飛ぶことが可能である。また,水素供給部35の水素を直接に使用して水素供給バルブ37を開いて以上の説明と同様のことが出来る。これまでの説明は一例であるが,構造も簡単で軽量化出来るので種々への応用が可能である。本発明の装置は水を燃料として使用でき垂直,水平方向など種々の方向へ推進できる。水,化学物質燃料は得られ易く再生も出来る。小型,軽量化等と共に経済的にも環境的にも従来にない有利な装置となることを特徴とする。
【産業上の利用可能性】【0010】本発明の水素エンジンの使用例として陸上,空中での利用について説明したが,本装置は防水の構造にする事により,水中,水上で走行することが可能である。
【符号の説明】【0011】図1(a)において,1は水燃料タンク,2は燃料の水,3は化学物質(Naなど),13は化学物質供給バルブ,4,8は水素ガス管,5は水素ガス蓄積部,7は水素ガス調節バルブ,9は水素混合ガス管,10はガス制御バルブ,10'は空気吸入弁,11は混合ガス入力部,15は動力エンジン部,16はガス点火部,18はガス噴射部,20は電子制御部,25は電源部。更に,図1(a)において,35は水素供給部(水素ボンベイ等),37は水素供給バルブである。図1(b)は本発明の動作タイミングチャートの例で(A)は水素ガス調節バルブ7のタイミング,(B)は電子制御部20のタイミング,(C)ガス制御バルブ10のタイミング,(D)ガス点火部16のタイミング,(E)ガス噴射部18のタイミングである。図2において1は水燃料タンク,2は燃料の水,3は化学物質(Naなど),33は化学物質供給バルブ,5はガス蓄積部(空気混合),35は水素供給部,37は水素供給バルブ,6はガス制御バルブ(空気吸入バルブを含む),7は混合ガス水平動力バルブ,8は混合ガス垂直動力バルブ,10は水平動力エンジン部,11は水平動力ガス噴射部,20は垂直動力エンジン部,21は垂直動力ガス噴射部,30は電源部(バッテリー),31は電子制御部,38本装置の車体,40は前車輪と車軸,41は後車輪と車軸,50は車体カバー,51は前進方向カバー,53は上方向カバーである。なお,図3の符号の説明は図面の簡単な説明の図3の項に対応する。
【図1】 【図2】 【図3】 (2) 本願発明1の要旨の認定 取消事由1,2の判断に先立ち,本願発明1の要旨について,以下のとおり認定することとする。
ア 前提となる事実関係 乙2,3,18〜20には以下の記載がある。
(ア) 乙2の記載事項【0012】 本発明の実施の形態を詳細に説明する。本発明に係る水素発生材料は,金属水素化物と,加熱によりヒドロキシル基を有する化合物である水を放出する水放出物と を含むことを特徴としている。金属水素化物は,金属をMとすると,次に示す(化1)式の熱分解反応(吸熱反応)により水素を発生する。
【0013】 MH2 → M + H2 …(化1) 水放出物から加熱により放出された水は,金属水素化物と水分解反応(発熱反応)して,(化2)式に示すように,金属酸化物と水素とを発生させる。
【0014】 MH2 +H2O → MO + 2H2 …(化2) この水分解反応は,発熱反応であるので,加熱により水を放出する水放出物は,金属水素化物と共に存在する場合,加熱により発熱を誘発する物質である。
【0015】 また, (化3)に示すように,金属水素化物が分解した金属と水との反応も発熱反応である。MOとしては,金属酸化物だけではなく,金属水酸化物,金属酸化物の水和物が含まれる。Alの場合は,Al2O3 ,Al(OH)3 ,AlOOHが挙げられる。
【0016】 M +H2O → MO + H2 …(化3) 従って,(化2)及び(化3)による水分解反応の熱を,(化1)に示した金属水素化物の熱分解反応(吸熱反応)のために利用することができる。これにより,水素発生材料から水素を発生させる際に,外部から供給すべき熱量を低減することができる。
(イ) 乙3の記載事項【発明の名称】ロケット発電エンジン,ロケット発電ファンエンジン及び運転方法【特許請求の範囲】【0014】 ・・・本発明は液体水素燃料のロケットエンジン(14)を使用しており,・・・ 【0015】 これにより,発電機(18)で発電した電気を主に水の電気分解に使用させることを可能にするとともに,燃焼時の噴流でタービン(15)を作動させながら噴流の反作用で航空機を推進させることが可能となるものである。
【0047】 これに対し本発明は,液体水素燃料のロケットエンジン(14)での燃焼による噴流で作動する前記タービン(15)を配置し,前記タービン(15)につながる前記タービン軸(16)を前記液体水素燃料のロケットエンジン(14)の前記燃焼室(17)に設けた前記穴(33)に貫通させ,前記液体水素燃料のロケットエンジン(14)の前記燃焼室(17)外の前方に延長し,前記発電機(18)を配置している。これにより燃焼時の噴流の一部で前記タービン(15)を回転させ発電しながら,燃焼による噴流の反作用で航空機を推進させることができる優れた効果を発揮でき,特許文献1及び特許文献2ではなし得ない極めて優れた効果である。
【0075】 請求項4の本発明の断面図を図4に示す。
図4に向かって左側が前方で,右側が後方を意味する。
【0076】 本発明では燃料に液体水素を使用し,酸化剤に液体酸素を使用し燃焼させ作動させる。
【0077】 本発明ではタービンポンプ方式の液体水素燃料のロケットエンジンを使用する。
タービンポンプ方式の液体水素燃料のロケットエンジンとは,燃料である液体水素を燃焼させて発生させた燃焼ガスの圧力を利用し前記液体水素燃料のロケットエンジン(14)に装備されている燃料ポンプ(35)のタービン及び酸化剤ポンプ(36)のタービンを駆動させる方式であり,駆動される前記燃料ポンプ(35)で液体水素を燃焼室(17)に圧縮供給し,同時に駆動される前記酸化剤ポンプ(36) で液体酸素を燃焼室(17)に圧縮供給させる方式のものである。
【0078】 請求項4の発明では,前記液体水素燃料のロケットエンジン(14)の前記ノズル(31)の中心・中央部分に液体水素の燃焼による高温・高圧の噴流で作動するように前記タービン(15)を正対させて配置する。前記タービン(16)につながる前記タービン軸(16)を前記液体水素燃料のロケットエンジン(14)の前記燃焼室(17)の前方の壁面の中心・中央に丸く穴あけ加工を施して前記穴(33)を設け,前記穴(33)に貫通させて前記液体水素燃料のロケットエンジン(14)の前記燃焼室(17)外の前方に延長させ,前記タービン(15)及び前記タービン軸(16)の回転で作動する前記発電機(18)を前記液体水素燃料のロケットエンジン(14)の前記燃焼室(17)外の前方に配置する。また,前記発電機(18)で発電した電気を送電用ケーブルで前記水の電気分解装置(19)に接続させ,前記水の電気分解装置(19)内の水を電気分解させて得られた水素及び酸素を管で前記液化装置及び貯蔵タンク(20)に接続させ供給し,前記液化装置及び貯蔵タンク(20)で液化させ貯蔵させながら,前記液体水素燃料のロケットエンジン(14)に管で接続させ,燃料である液体水素及び液体水素の酸化剤である液体酸素を供給させるように配管すればよい。前記液化装置及び貯蔵タンク(20)で冷却して液体水素及び液体酸素を生産し貯蔵させるには,前記発電機(18)で発電した電気を分配して使用させるようにすればよい。前記水の電気分解装置(19)への水の供給は前記貯水タンク(34)より行うよう配管すればよい。
(ウ) 乙18(瀬名智和「クルマの新技術用語 エンジン・動力編」174頁,株式会社グランプリ出版,平成10年)の記載事項「水素エンジン 水素をエネルギーとして使う最大のメリットは燃焼後の酸化物として水を生成し,ガソリンエンジンやディーゼルエンジンのように二酸化炭素を発生しないことである。
水素エンジンは,水素を外部燃料混合方式と内部燃料混合方式の2種類がある。
外部燃料混合方式は水素を水素化物タンク内に蓄積し,水素と空気の混合気をインテークマニホールドを通じてエンジン内に噴射し燃焼させるものである。この外部燃料混合方式は,すでに乗用車のエンジンとして実用可能なもので企業や大学など で研究されている。
内部燃料混合方式は,直噴エンジンのように水素を直接燃料室に噴射して燃焼させる方法で,主としてバス用の水素エンジンで研究が行われている。燃料となる水素は,高圧タンクや水素吸蔵合金に溜められている。現在,水素を燃料とする動力としては,水素を直接内燃機関で燃焼させるよりも燃料電池の方が注目されている。
エネルギー効率的にも,また排気のクリーンさから見ても断然燃料電池を使った電気自動車の方が優れているからである。」 (エ) 乙19(特開2015-94303号公報)の記載事項【発明の名称】 副室付内燃機関【発明の詳細な説明】【技術分野】【0001】 本発明は,主室と副室とを備える副室式内燃機関に関する。
【背景技術】【0002】 従来,圧縮行程において主室から副室に流入する気体に対してスワール流を生成する攪拌生成手段を,副室の内部に設けたものがある(特許文献1参照)。特許文献1に記載のものによれば,主室から副室に流入する気体と副室内に供給される着火用燃料とを均一に混合して,副室内における着火用燃料への着火性を安定させることができる。
【0004】 しかしながら,特許文献1に記載のものでは,副室内における着火用燃料への着火性を安定させることができるものの,副室から主室へ噴射される火炎ジェットを主室において拡散させる上で,未だ改善の余地を残している。
【0005】 本発明は,こうした実情に鑑みてなされたものであり,その主たる目的は,副室 から主室へ噴射される火炎ジェットを,主室において迅速に拡散させることのできる副室式内燃機関を提供することにある。
【発明を実施するための形態】【0010】(第1実施形態) 以下,第1実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態では,ガス燃料を用いる副室式内燃機関として具体化している。図1は,内燃機関10の模式図である。
【0011】 同図に示すように,内燃機関10(副室式内燃機関)は,シリンダブロック12,ピストン14,シリンダヘッド20,吸気バルブ41,排気バルブ42,主燃料噴射弁51,副燃料噴射弁52,点火プラグ54,ECU(Electric Control Unit)50等を備えている。
【0012】 シリンダブロック12,ピストン14,シリンダヘッド20により,主室15が区画形成されている。シリンダヘッド20には,吸気ポート21及び排気ポート22が形成されている。吸気ポート21から吸気バルブ41を介して主室15へ吸気を吸入可能であり,主室15から排気バルブ42を介して排気ポート22へ排気を排出可能である。吸気バルブ41及び排気バルブ42は,図示しないカムシャフトにより駆動される。
【0013】 図示しない燃料ポンプにより加圧された燃料が,主燃料噴射弁51へ供給される。
主燃料噴射弁51は,シリンダヘッド20において主室15の中央に対向する部分の付近に取り付けられており,圧縮行程においてピストン14の頂面に向けてガス燃料(燃料)を噴射する。主燃料噴射弁51の駆動は,ECU50により制御される。
【0014】 シリンダヘッド20において主室15の中央に対向する部分には,主室15よりも容積の小さい副室23が形成されている。主室15と副室23とは,断面円形の噴射孔24により連通している。すなわち,噴射孔24は円柱状に形成されている。
シリンダヘッド20には,副室23に臨むように副燃料噴射弁52及び点火プラグ54が取り付けられている。副燃料噴射弁52(燃料供給弁)は,噴射孔52a(被供給部)から副室23内に燃料を供給する。点火プラグ54は,副室23内の空気と燃料との混合気に点火する。
【0015】 副室23へ供給する燃料は,主室15へ供給するガス燃料と同一でもよいが,主室15へ供給するガス燃料よりも燃焼速度の速い燃料が望ましい。具体的には,芳香族化合物に富む高オクタン価液体燃料や水素に富むガス燃料などが望ましい。
【0024】 次に,内燃機関10の燃焼サイクルについて説明する。
【0025】 まず,図1に示すように,吸気行程において,吸気バルブ41が開かれ,吸気ポート21から主室15へ空気が吸入される。
【0026】 続いて,圧縮行程において,吸気バルブ41が閉じられ,ピストン14により空気が圧縮されるとともに,主燃料噴射弁51からピストン14のキャビティ14aに向けて燃料が噴射される。このとき,図2に矢印で示すように,主室15から噴射孔24を通じて副室23へ空気が流入する。
【0027】 ここで,主室15から副室23へ流入した空気が旋回を伴っていると,ベーン30によって副室23から主室15へ流出する火炎ジェット(気体)を旋回させる際に支障をきたすおそれがある。この点,図3に示すように,ベーン30は,主室1 5から副室23へ流入する空気の流れが副室23の内面から剥離する円錐部分26に設けられている。このため,主室15から副室23へ流入する空気は,ベーン30によって旋回させられない。
【0028】 続いて,副燃料噴射弁52から副室23内に燃料が噴射される。噴射された燃料は,主室15から副室23へ流入する空気と混合される。このとき,図2に矢印で示す空気の流れにより,空気と燃料との混合が促進される。
【0029】 そして,点火プラグ54により,この混合気に点火される。点火された混合気の燃焼により,噴射孔24へ向かう火炎ジェットが生成される。このとき,噴射孔52aから所定部54aまでの距離が最も長くなる向きに点火プラグ54が配置されているため,所定部54aよりも副室23の中心側で混合気を燃焼させることができる。火炎ジェットのうち,副室23の内面に沿って噴射孔24へ向かう部分は,ベーン30により旋回させられるように流れが導かれる。このとき,主室15から副室23へ流入する空気は,ベーン30によって旋回させられていないため,ベーン30により火炎ジェットを旋回させる際に支障をきたすことはない。なお,仮に主室15から副室23へ流入する空気がベーン30により旋回させられるとすると,その旋回させられる方向と,副室23から主室15へ流出する火炎ジェットがベーン30により旋回させられる方向とは逆方向になる。
【0030】 ここで,円錐部分26(副室23)の流路断面積は,主室15に連通する噴射孔24まで滑らかに縮小されている。このため,副室23内で火炎ジェットの流れ方向が急激に変化することはなく,流路断面積が徐々に狭められるため,噴射孔24に近付くほど火炎ジェットの速度が上昇する。したがって,旋回を伴う火炎ジェットは,噴射孔24まで渦崩壊を起こすことなく,旋回を維持したまま噴射孔24から主室15へ噴射される。なお,一般に旋回流は,中心部分の圧力が低いため,速 度が低下すると渦崩壊を起こす。
【0031】 続いて,噴射孔24から噴射された旋回を伴う火炎ジェットは,主室15内で速度が低下することにより渦崩壊を起こし,主室15内において急激に拡散する。ここで,ピストン14において噴射孔24に対向する部分には,キャビティ14aが形成されている。このため,副室23から主室15に噴射された火炎ジェットがピストン14に衝突することを抑制することができる。
【0032】 このように,火炎ジェットの渦崩壊を利用することにより,副室23から主室15へ噴射される火炎ジェットを,主室15において迅速に拡散させることができる。
その結果,火炎伝播に頼らなくても,主燃料噴射弁51により噴射された燃料と空気との混合気を迅速に燃焼させることができ,主室15内での燃料の燃焼改善,及び内燃機関10の熱効率向上を図ることができる。さらに,主燃料噴射弁51により噴射された燃料と空気との予混合が不十分な場合でも,火炎ジェットによる混合気への点火が可能となり,ひいては内燃機関10の燃費性能を向上させたり,窒素酸化物の排出を抑制したりすることができる。
【0033】 以上詳述した本実施形態は,以下の利点を有する。
【0034】 ・ベーン30により,副室23内の気体が旋回させられるため,副室23内で点火される燃料は旋回を伴う火炎ジェットとなる。そして,副室23の流路断面積は,主室15に連通する噴射孔24まで滑らかに縮小されている。このため,旋回を伴う火炎ジェットは,噴射孔24まで渦崩壊を起こすことなく,旋回を維持したまま噴射孔24から主室15へ噴射される。旋回を伴う火炎ジェットは,主室15内で速度が低下することにより渦崩壊を起こし,主室15内において急激に拡散する。
その結果,副室23から主室15へ噴射される火炎ジェットを,主室15において 迅速に拡散させることができ,ひいては主室15内での燃料の燃焼を改善することができる。
【0035】 ・主室15から副室23へ流入する空気は,ベーン30によって旋回させられない。したがって,ベーン30により,副室23から主室15へ流出する火炎ジェットを確実に旋回させることができ,旋回を伴う火炎ジェットを確実に形成することができる。
【0036】 ・ベーン30は,主室15から副室23へ流入する気体の流れが副室23の内面から剥離する円錐部分26に設けられている。このため,主室15から副室23へ流入する空気の流れは,円錐部分26の内面から剥離し,ベーン30によって旋回させられない。一方,副室23の内面に沿って噴射孔24へ向かう火炎ジェットを旋回させるように,ベーン30により火炎ジェットの流れが導かれる。したがって,ベーン30により,副室23から主室15へ流出する火炎ジェットを確実に旋回させることができ,旋回を伴う火炎ジェットを確実に形成することができる。
【0037】 ・内燃機関10のピストン14において噴射孔24に対向する部分には,キャビティ14aが形成されている。このため,副室23から主室15に噴射された火炎ジェットがピストン14に衝突することを抑制することができ,渦崩壊により火炎ジェットが主室15内で拡散することを促進することができる。
- 26 - (オ) 乙20(特表2013-515196号公報)【発明の名称】液体オキシダントと固体化合物とを含む推進方法およびデバイス【特許請求の範囲】【請求項1】 -少なくとも1つの燃焼室(1)に,少なくとも1つの液体酸化剤(OX)と水素(H2)とを注入することと;-燃焼ガスを発生させるために,前記少なくとも1つの液体酸化剤(OX)および水素(H2)を,前記少なくとも1つの燃焼室(1)中で燃焼させることと;-前記燃焼ガスを放出することとを含み,前記注入することよりも前に,-前記水素(H2)の少なくとも一部分,有利には,前記水素(H2)の全てが,少なくとも1つの固体化合物(5’)から発生することを含み,この少なくとも1つの固体化合物(5’)からの発生が,アルカリ金属ボロヒドリド,アルカリ土類金属ボロヒドリド,ボラザン,ポリアミノボランおよびこれらの混合物から選択される前記少なくとも1つの固体化合物(5’)と酸化薬(5”)との燃焼反応を含む,推進方法。
発明の詳細な説明】 【技術分野】【0001】 本発明の主題のひとつは,一般的に推力を調整しつつ実施される推進方法である。
この方法は,燃焼室に液体酸化剤および水素を注入することと,この液体酸化剤および水素を燃焼することとに基づき,この燃焼によって噴射ガスが発生する。
【0002】 本発明の別の主題は,推進デバイスである。このデバイスは,上の方法を実施するのに特に適している。このデバイスは,いくつかの実施形態の実施例中に存在することが可能である。
【0003】 本発明の技術分野は,ロケットおよびミサイルを推進するためのモーターの分野,軌道修正のための推進モジュールの分野,および/またはミサイルまたはロケットの主要な推力を調整する分野である。また,本発明は,無人機および小型無人機の推進にも関する。一般的に,これらのシステムでは,固体噴射剤(過塩素酸アンモニウム/金属薬/バインダー型)の噴射剤装填物が使用される。
【0016】 この新しい推進方法は,通常は,-少なくとも1つの燃焼室に少なくとも1つの液体酸化剤と水素とを注入することと,-燃焼ガスを発生させるために,この少なくとも1つの液体酸化剤と水素とを少なくとも1つの燃焼室の中で燃焼することと,-この燃焼ガスを放出することとを含む。
【0041】 本発明の基本的なデバイスは,燃焼室と,燃焼室と接続している水素発生器および液体酸化剤タンクとを備えている。水素発生器は,第1の実施例では,燃焼室のみに接続している(のみに排出している) 第2の実施例によれば, 。 水素発生器は, 燃焼室と液体酸化剤タンクの両方に接続している(排出している)。
【0042】 このデバイスは,上述の推進方法(自然発火による燃焼)の実施に適しており,したがって,少なくとも1つの燃焼室に取り付ける着火手段を必要としない。しかし,例えば,本発明のデバイスを取り付けた乗り物が離陸する間,非常に短時間で完璧に同調した時間に最大推力を得ることが必要なとき,少なくとも1つの迅速な着火を可能にするように制御するために,少なくとも1つの着火手段が燃焼室に含まれることを除外しない。
【0043】 このデバイスは,少なくとも1つの水素発生器での反応を開始させるために,1つ以上の着火手段を備えている。
イ 本願の請求項1の「水を燃料として,化学物質との反応により,水素などガス発生する手段」の意義について (ア) 本願の請求項1には,「・・・水を燃料として,化学物質との反応により,水素などガス発生する・・・」とだけあり,水と反応して水素などを発生させる化学物質については特定されていない。
また,前記ア(ア)の引用文献2(乙2)の段落【0012】〜【0016】の記載からすると,水と反応して水素を発生させる化学物質は必ずしもナトリウムに限られないものと認められる。
したがって,本願の請求項1にある「化学物質」は,原告の主張するようNa粒子に限られるものではなく,水と反応して水素などを発生させるナトリウム以外の化学物質が広くそこに含まれるものと解される。
(イ) 原告は,本願発明1において,水に化学物質を加えるか,化学物質に水を加えるかで反応速度が違う上,Na粒子を用いることが本願明細書の図1(a)などで明確に記載されているなどと主張する。
しかし,本願の請求項1においては,水と反応して水素を発生する化学物質が,ナトリウムに限定されていないことは上記(ア)のとおりである。また,本願の請求項1では,水と化学物質をどのように反応させるかについても何ら限定が付されていない。
なお,仮に本願明細書の記載を参酌するとしても,本願明細書に, 「水に化学物質(Na 粒子など)を又は,化学物質に水を加える等の方法がある。本発明の実施例では前者の例で説明する。 (段落【0005】, 」 )「3は化学物質(Na など)(段落 」【0007】【0011】, , )「化学物質3(Na など)は・・・」 (段落【0008】)との記載があることに照らすと,本願明細書を参酌しても,本願発明1において,水と反応して水素を発生する化学物質として,Na粒子が特定されておらず,化学物質と水を反応させる方法についても特定がされていないと認められる。
以上からすると,原告の上記主張は上記(ア)の判断を左右するものではない。
ウ 「点火,爆発,噴射により動力を得る事」の意義について 前記アの乙3の段落【0014】【0015】【0047】【0075】〜【0 , , , 078】 【図4】 乙18, 及び , 乙19の段落【0001】, 【0002】, 【0004】,【0005】【0010】〜【0015】【0024】〜【0037】及び【図1】 , , ,乙20の【請求項1】,段落【0001】〜【0003】【0016】【0041】 , ,〜【0043】及び【図1】並びに弁論の全趣旨によると,水素エンジンを含むエンジンの技術分野において,噴射」 「 により動力を得るとは,原告が主張するような,@エンジンから外部へ水素をはじめとする燃料を燃焼したものを「噴射」して直接的に推進力を得ることだけでなく,A副室式エンジンにおいて,副室において水素をはじめとする燃料の点火や燃焼によって生成される燃焼ガスを主室に「噴射」し,ピストンを動かすこと,B水素をはじめとする燃料と空気の混合気又は燃料を自動車のエンジンの燃焼室に噴射することを含むものといえる。
本願の請求項1では,「水素エンジン」において,「点火,爆発,噴射により動力を得る事」とだけしか特定されていないのであるから,本願発明1にいう「噴射」には,上記@〜Bのいずれの「噴射」も含まれるものと解され,原告が主張するように上記@の「噴射」のみがそこに含まれると限定して解釈することはできない。
2 取消事由1について (1) 引用文献1(乙1)の記載【発明の詳細な説明】【技術分野】【0001】 本発明は,水素エネルギーで走行する水素エネルギー車両に関する。
【0003】 特許文献1は,金属水素化物と,加熱により発熱を誘発する物質と,を含むことを特徴とする水素発生材料に関するもので,金属水素化物としてAlH3を使用している。
【0004】 このAlH3は,水と反応させると,AlとH2に分解され,分解で得られたH2 を内燃機関に供給することで,走行する水素燃料車両である。
【0006】 一方,水素をエネルギーとして使用する車両として燃料電池電気自動車が知られており,燃料電池に水素と酸素を取り込んで化学反応を起こし電気を発生し,その電気でモータを回して走行するが,水素の供給や充填用の大型設備などインフレが必要となり,コストが嵩む。
このように,水素をエネルギー源とする車両への水素の供給や水素発生材料を比較的安く供給でき且つ取扱いが容易な水素発生材料が求められる。
【0025】 本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1に示すように,車両10は,前輪11及び後輪12を備える車体13に,前部座席14,後部座席15,荷台16を設けた乗用車である。
車体13の前部,すなわち前部座席14の前方に,動力発生部17が設けられ,この動力発生部17で前輪11が駆動される。
【0026】 動力発生部17は,内燃機関17aと,モータ(電動モータ)17bとを備えるハイブリッド型駆動部である。車両10はハイブリッド型車両である。このような車両10のルーフに,太陽光電池(ソーラーパネル)18を搭載し,この太陽光電池18で得た電力をバッテリ(図5,符号63)に貯えるようにすることが望ましい。太陽光電池18はボンネットにも搭載可能である。
【0027】 図2に示すように,車体13に,水を蓄える水貯留部21と,トルマリンを内蔵し水貯留部21から供給された水をトルマリンの電気的作用で活性水素水(H3O2 )に変換する活性水素水生成部22と,この活性水素水生成部22で生成された活性水素水を蓄える活性水素水貯留部23と,アルミニウム合金の粉末を蓄えるアルミ粉貯留部24と,このアルミ粉貯留部24から供給されるアルミ粉と活性水素水 貯留部23から供給される活性水素水とを混合して水素を発生させる水素発生部25とを備える。
【0031】 水貯留部21へは,キャップ26を開けて,水道水などの水を補給すればよい。
同様に,アルミ粉貯留部24へは,キャップ27を開けて,アルミ粉を補給すればよい。アルミ粉は,純アルミニウムである必要はなく,アルミ缶を粉砕してなるアルミニウム合金の粉末であれば種類は問わない。
【0034】 次に,水素発生部25の一例を説明する。
図3に示すように,水素発生部25は,密閉された円筒容器31と,この円筒容器31の上部開口を塞ぐリッド32と,このリッド32から下げた撹拌機33と,円筒容器31内へ活性水素水を供給する液体供給管34と,円筒容器31内へアルミ粉35を送る粉体移送管36と,円筒容器31上部から水素を取出す水素管37と,からなる。
【0035】 撹拌機33は,例えば,撹拌用モータ33aと,この撹拌用モータ33aで回される軸部材33bと,この軸部材33bから放射状に延ばされる複数の撹拌羽根(インペラー)33cとからなる。
円筒容器31に活性水素水38を満たし,この活性水素水38にアルミ粉35を混ぜ,撹拌機33の撹拌羽根33cで撹拌すると,次に述べる反応により,水素が発生する。
【0036】【化1】【0037】 なお,反応促進剤40として,炭酸水素ナトリウム,酢酸などの,いわゆる食品添加物を添加すること望ましい。この食品添加物の量によって,水素発生量の制御を行うことができる。
【0038】 実験によれば,酢酸と炭酸水素ナトリウムとを反応させ,酢酸ナトリウム(CH3 COONa)を生成させそれが,アルミニウム,活性水素水からの水素発生に効果があることがわかった。酢酸だけでは水素が発生しない。炭酸水素ナトリウムだけでも水素は発生しなかった。クエン酸だけでも水素は発生しなかった。酢酸と炭酸水素ナトリウムとを反応させ,酢酸ナトリウム(CH3COONa)が発生精製され,それがアルミニウム,活性水素水と反応し,水素発生に至ると共に,化学反応による酸化アルミニウムの発生も見られた。
【0039】 実験から,活性水素水からの水素抽出はもちろん。促進効果としては,酢酸ナトリウム,酢酸(酢),炭酸水素ナトリウムの添加が効果的なことが判明した。
【0040】 水素発生プロセスには,活性水素水と,アルミニウムと,酢酸ナトリウムのミキシング反応が有効である。また,ミキシング,回転速度,回転数を制御,及び,温度制御することで,反応速度,水素発生量を制御することができる。
【0041】 また,撹拌機33は,電動モータで撹拌し,この電動モータをインバータ制御により,回転数を変化させることで,水素発生量を調節するようにしても良い。
【0042】 発生した水素(H2)は水素管37を通じて動力発生部へ送られる。水素管37は,水素ガスを運ぶ管であり,水素ガスは大気中の酸素に触れると激しく燃焼する。
そのため,水素管37に漏れ対策を厳重に施し,不図示の水素検知センサも設置される。
【0043】 図2に示すように水素発生部25を動力発生部17にごく近づけて動力発生部17を収納するエンジンルーム内に配置することで水素管37の配管長さを最短化することができ,設備費等を下げることができる。
【0044】 酸化アルミニウム(Al2O3)は,円筒容器31の下部に付設したドレーンパイプ39から排出する。ドレーンパイプ39は弁を有し,メンテナンス時に排出自在に設けている。
【0045】 このように,アルミ粉と水を供給することで,車に積載した活性水素水発生装置22により,水が車上で活性水素水に変換される。生成された活性水素水をアルミニウムと反応させ,水素を発生させることが可能である。この水素を燃料として内燃機関17aやバッテリにより給電されるモータ17bにより駆動力を発生させ車両は走行する。バッテリは内燃機関17a及び太陽光電池(図1,符号18)で充電される。
(2) 引用発明の認定及び本件発明との対比 ア 前記(1)の引用文献の記載からすると,引用文献からは前記第2の3(1) 記載の引用発明が認定できるというべきである。そして,前記1(2)で認定した本願発明1の要旨を踏まえて本願発明1と引用発明を対比すると,本願発明1と引用発明の間には,本件審決が認定した前記第2の3(2)の一致点及び相違点があることが認められる。
イ 原告は,水から水素を発生させる手段として,Na粒子を用いることも本願発明1と引用発明の相違点として認定すべきであり,同相違点は容易想到ではないなどと主張する。
しかし,前記1(2)イで検討したとおり,本願発明1においては,水と反応させて水素を発生させる際に用いられる化学物質として,Na粒子が特定されているわけではないから,原告が主張するような点が本願発明1と引用発明との間の相違点であるとは認められない。
(3) よって,原告が主張する取消事由1は理由がない。
3 取消事由2について (1) 検討 ア 本願の請求項1の「点火,爆発,噴射により動力を得る事」は,前記2(2)ウのように,@エンジンから外部へ水素をはじめとする燃料を燃焼したものを「噴射」して直接的に推進力を得ること,A副室式エンジンにおいて,副室において水素をはじめとする燃料の点火や燃焼によって生成された燃焼ガスを主室に「噴射」し,ピストンを動かすこと,B水素をはじめとする燃料と空気の混合気又は燃料を自動車のエンジンの燃焼室に「噴射」することを含むものであると認められる。
乙3の段落【0015】,【0047】,【0075】〜【0078】及び【図4】並びに乙20の【請求項1】,段落【0001】〜【0003】,【0016】,【0042】,【0043】及び【図1】によると,水素エンジンの技術分野においては,上記@のような意味での「噴射」により動力を得ることは,本件出願日当時における周知技術(被告のいう周知技術2)であったと認められる。
そして,引用発明と上記周知技術は,同じ水素エンジンに関する技術であり,引 用発明に上記周知技術を適用して本願発明1の構成を得ることは容易想到であったと認められる。
したがって,本願発明1は,引用発明及び上記周知技術に基づいて,当業者が容易に発明することができたものである。
イ 原告は,@本願発明は制御方式が全く異なるものである上,A本願発明では,小型・軽量化が達成されていると主張する。
(ア) 上記@について 本願の請求項1では,どのような制御方式を用いるかについて特定されていない。
また,前記1(2)ウで認定したとおり,本願の請求項1の「噴射」には,上記アの@〜Bの意味の「噴射」がいずれも含まれているから,本願発明1における制御方式は,必ずしも本願明細書の【図1】(b)などで開示された制御方式に限られるものではないものと解される。
したがって,本願発明1の制御方式について,その点が,引用発明との関係で新たな相違点となるとか,それによって進歩性が基礎付けられるということはできない。
(イ) 上記Aについて 本願発明1では,請求項1に記載されている以上にエンジンの構成は特定されていないし,上記(ア)のとおり,本願の請求項1の「噴射」には,上記アの@〜Bの意味の「噴射」がいずれも含まれているものであるから,本願発明1の特許請求の範囲には,様々な構成を備えた水素エンジンが含まれるものと解される。
したがって,本願発明1に係るエンジンが,小型化・軽量化を実現したものであると認めることはできず,原告の主張する小型化・軽量化の点から本願発明1の進歩性が基礎付けられるということはできない。
(ウ) 小括 以上からすると,原告の上記主張は,前記アの認定判断を左右するものとはいえない。
ウ なお,被告が,本件訴訟の段階で乙20を新たに提出し,前記第4の2(2)イにあるように周知技術2について主張することは,本件審決が認定した周知技術の内容を補足して主張立証する趣旨でされたものと解されるから,本件訴訟において,被告が乙20を提出して周知技術2について主張することは,審決取消訴訟の審理範囲を逸脱するものではない。
(2) よって,原告が主張する取消事由2は理由がない。
結論
以上の次第で,原告の請求は理由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 森義之
裁判官 眞鍋美穂子
裁判官 熊谷大輔
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