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関連審決 無効2018-800031
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事件 令和 1年 (行ケ) 10068号 審決取消請求事件

原告株式会社遠藤照明
同訴訟代理人弁護士 小池眞一
同訴訟代理人弁理士 小倉啓七
同補佐人弁理士 渡邉昌規
被告 パナソニック株式会社
同訴訟代理人弁護士 小松陽一郎 山崎道雄 原悠介
同訴訟代理人弁理士 西川惠清 坂口武 水尻勝久 竹尾由重 仲石晴樹 北出英敏 谷水慎 佐藤剛洋
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2020/07/15
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
主文 1 原告の請求を棄却する。
-1-2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
請求
特許庁が無効2018-800031号事件について平成31年4月8日にした審決を取り消す。
事案の概要
本件は,特許無効審判請求に対する不成立審決の取消訴訟である。争点は,進歩性の認定判断の誤りの有無である。
1 手続の経緯 被告は,発明の名称を「光源ユニット及び照明器具」とする発明につき,平成24年10月11日(以下「本件出願日」という。)に特許出願し(特願2012-225954号),平成26年1月10日に設定登録(特許第5453503号)を受けた(請求項の数4。以下「本件特許」といい,本件特許に係る明細書及び図面を「本件明細書」という。。
) 原告は,平成30年3月12日,本件特許の無効審判請求をした(無効2018-800031号)ところ,特許庁は,平成31年4月8日,「本件審判の請求は成り立たない。」との審決をし,その謄本は,同月18日,原告に送達された。
2 本件発明の要旨(甲8) 本件特許の特許請求の範囲の記載は,次のとおりである(以下,各請求項に係る発明を,請求項の番号に応じて, 「本件発明1」などといい,これらを併せて「本件発明」という。。
) 【請求項1】 長尺状に形成され吊ボルトを用いて天井材に取り付けられる器具本体と,前記器具本体に取り付けられる光源ユニットとを備え, 前記器具本体における前記天井材と反対側には,前記器具本体の長手方向に沿って収容凹部が設けられ,前記収容凹部の底面部には前記吊ボルトを通すための孔が 設けられており, 前記光源ユニットは,複数のLEDが実装されたLED基板と,前記複数のLEDが前記収容凹部の外側を向くようにして前記LED基板を前記器具本体に取り付けるための取付部材と,前記複数のLEDに点灯電力を供給する電源装置とを有し, 前記取付部材は,前記器具本体の前記収容凹部と対向する部位に前記吊ボルトの少なくとも一部及び前記電源装置が配置される収容部を有し, 前記電源装置は,前記光源ユニットを前記器具本体に取り付けた状態で前記収容部内における前記吊ボルトと干渉しない位置に配置されることを特徴とする照明器具。
【請求項2】 前記取付部材は,長尺且つ矩形板状に形成された底面部と,前記底面部の幅方向における両側から前記底面部と交差する方向に突出する一対の側面部とで形成されており,前記底面部と一対の前記側面部とで囲まれる空間により前記収容部が構成されていることを特徴とする請求項1記載の照明器具。
【請求項3】 吊ボルトを通すための孔を有し,前記孔に通された前記吊ボルトによって天井材に取り付けられる器具本体に取り付けられる光源ユニットであって, 複数のLEDが実装されたLED基板と,前記複数のLEDに点灯電力を供給する電源装置と,一面側に前記LED基板,他面側に前記電源装置がそれぞれ配置される板状の取付部材とを備え, 前記取付部材は,前記器具本体と対向する部位に前記吊ボルトの少なくとも一部及び前記電源装置が配置される収容部を有し, 前記電源装置は,前記光源ユニットを前記器具本体に取り付けた状態で前記収容部内における前記吊ボルトと干渉しない位置に配置されることを特徴とする光源ユニット。
【請求項4】 前記取付部材は,長尺且つ矩形板状に形成された底面部と,前記底面部の幅方向における両側から前記底面部と交差する方向に突出する一対の側面部とで形成されており,前記底面部と一対の前記側面部とで囲まれる空間により前記収容部が構成されていることを特徴とする請求項1記載の光源ユニット。
3 審決の理由の要点 (1) 無効理由1(NNF41100[品番NNF41100LE9]の照明器具[以下「本件照明器具」という。]の公然実施発明[以下「NNF41100発明」という。]と甲2[特開2012-3993号公報]に記載された発明[以下「甲2発明」という。]に基づく本件発明1の進歩性の欠如)について ア NNF41100発明 NNF41100発明は,本件出願日以前に公然実施されていたもので,その内容は以下のとおりである(甲19)。
「器具本体側面に貼付されたラベルには『LED照明器具』『品番NNF411 ,00LE9』『09年製』と記載され, , 前記器具本体とLEDユニットから構成される照明器具であり, 前記器具本体は,縦940mm,横196mm,平面視長方形の形状に形成され,前記LEDユニットが取り付けられた状態で,前記LEDユニットの長手方向の両端からそれぞれ146〜148mmの位置(中心位置)に20mmの取付ボルト穴が形成され, 前記取付ボルト穴に,天井に見立てた板材に取り付けた取付ボルトを挿通させ,前記取付ボルトにナットを螺合させて,器具本体は天井に見立てた板材に取り付けられ, 前記器具本体は,前記天井に見立てた板材に取り付けられる面と反対側に,前記器具本体の長手方向に沿って凹所(器具本体の凹所)が設けられ, 前記器具本体の前記凹所の底面に,前記取付ボルト穴が設けられており, 前記LEDユニットは,6個のパネル,各パネルの下に9個のLEDが実装され たLED基板及び2台の電源ユニットを取り付ける枠体を有し, 前記LED基板は,LEDが器具本体の凹所の外側を向くように前記枠体に取り付けられ, 前記LEDユニットは,前記器具本体の凹所と向かい合う,前記枠体の側壁と底面で囲まれた空間(枠体の凹所)を有し,この枠体の凹所に2台の前記電源ユニットが配置されており,2台の前記電源ユニットの一部は前記枠体の凹所内に位置し, 2台の前記電源ユニットの前記枠体に対する長手方向の位置は,枠体の両端からそれぞれ約365mmであり,前記取付ボルト穴の位置とは干渉しない位置に設定され, 前記器具本体と前記LEDユニットとを取り付け,天井に見立てた板材に前記照明器具を取り付けた状態で,当該板材から前記LEDユニットの前記枠体の一対の前記側壁の各頂面までの寸法は,約40mmであり,前記器具本体をテーブルに載置した状態で,前記器具本体における天井に見立てた板材に取り付けられる面の突部(ボス)の頂面から枠体の一対の前記側壁の各頂面までの寸法は,約39mmであり, 測定時の前記取付ボルトの当該板材からの出しろは35mmであり, 前記枠体は,縦1096mm,横200mmの平面視長方形の形状に形成され,底面の鋼板と,底面の鋼板の幅方向における両側から,底面の鋼板と交差する方向にそれぞれ突出する一対の側壁を含む構成であり, 前記枠体には,その底面の鋼板と前記一対の側壁とで囲まれる空間により,前記枠体の凹所が構成されている 器具本体とLEDユニットから構成される照明器具。」 イ 本件発明1とNNF41100発明との対比 (ア) 一致点 「長尺状に形成され吊ボルトを用いて板材に取り付けられる器具本体と,前記器具本体に取り付けられる光源ユニットとを備え, 前記器具本体における前記板材と反対側には,前記器具本体の長手方向に沿って収容凹部が設けられ,前記収容凹部の底面部には前記吊ボルトを通すための孔が設けられており, 前記光源ユニットは,複数のLEDが実装されたLED基板と,前記複数のLEDが前記収容凹部の外側を向くようにして前記LED基板を前記器具本体に取り付けるための取付部材と,前記複数のLEDに点灯電力を供給する電源装置とを有し, 前記取付部材は,前記器具本体の前記収容凹部と対向する部位に収容部を有し, 前記電源装置は,前記光源ユニットを前記器具本体に取り付けた状態で前記吊ボルトと干渉しない位置に配置される照明器具。」 なお,NNF41100発明の「枠体の側壁と底面で囲まれた空間(枠体の凹所)」は, 「この枠体の凹所に2台の前記電源ユニットが配置されており,2台の前記電源ユニットの一部は前記枠体の凹所内に位置」するものであるから, 「電源ユニットの一部」を「収容」しているといえ,「収容部」に当たる。
(イ) 相違点 a 相違点1 「板材」に関し,本件発明1は「天井材」であるのに対し,NNF41100発明は「天井に見立てた板材」である点。
b 相違点2「収容部」と「吊ボルト」の配置に関し,本件発明1は, 「吊ボルトの少なくとも一部」が配置される「収容部」であるのに対し,NNF41100発明は, 「枠体の凹所」は有するものの,「取付ボルト」が収容されていない点。
c 相違点3 「収容部」と「電源装置」の配置に関し,本件発明1は, 「電源装置が配置される収容部」であるのに対し,NNF41100発明は, 「電源ユニット」の一部が配置される「枠体の凹所」である点。
ウ 相違点2についての判断 本件照明器具の施工説明書・取扱説明書(甲1の7。以下,併せて「本件説明書」という。で, ) ボルトの出しろを35mmより大きくすることが施工の不備に当たり,落下・感電・火災の原因となることが警告されているから,NNF41100発明において,35mmを超えてボルトの出しろを長くすることには,阻害要因がある。
NNF41100発明において, 「前記器具本体をテーブルに載置した状態で,前記器具本体における天井に見立てた板材に取り付けられる面の突部(ボス)の頂面から枠体の一対の前記側壁の各頂面までの寸法は,約39mm」であることからすると,NNF41100発明において,取付ボルトの出しろを35mmとしても,枠体の凹所(「収容部」)に,取付ボルト(「吊ボルト」)の少なくとも一部が配置される構成には至らないし,上記阻害要因を考慮すると,NNF41100発明において,枠体の凹所(「収容部」)に,取付ボルト(「吊ボルト」)の一部を配置する構成を採用する動機付けは認められない。
したがって,相違点1及び3について検討するまでもなく,本件発明1は,当業者がNNF41100発明及び甲2発明に基づいて容易に発明できたものであるとはいえず,『吊ボルトの少なくとも一部』が配置される『収容部』 「 」という本件発明1の構成と同じ又は実質的に同じ構成を含んで発明を特定している本件発明2〜4についても同様である。
よって,本件発明1〜4は,無効理由1により無効となるべきものではない。
(2) 無効理由2(甲2発明及び甲3[特開2011-142063号公報]に記載された発明[以下「甲3発明」という。]又は「光源ユニット側に電源装置を配置する」という周知慣用技術に基づく本件発明1の進歩性欠如)について ア 甲2発明 「長手方向に沿って略中央部に収容凹部11を有し,この収容凹部11に沿い,かつ幅方向の両側に一体的に形成された側板部11cを備えた器具本体1と; 複数のLEDを光源とし,前記収容凹部11に収容スペースを確保して開口部側を覆うように配設された光源部2と; 前記収容スペースに配置された前記複数のLEDを点灯制御する点灯装置3と; を具備する照明器具であって, 前記収容凹部11は,天板部11aと,この天板部11aの両側から前面側に直角に垂下するように折曲されて形成された側壁11bとから構成され, 前記収容凹部11の開口部側であって幅方向の両側,すなわち,前記側壁11bの前面側の両側は,側面視,略V字状に折曲されて前記収容凹部11に沿って前記側板部11cが形成され, 前記器具本体1の背面側,すなわち,前記天板部11aの両端側には,一対の取付穴11fが形成され, この取付穴11fには,天井の構造体に設けられた一対の取付ボルトBtが外面側から貫通し,前記器具本体1が天井面に設置され, 係止部材4の両端には,係止爪4aが内側に折曲して形成され, 前記係止部材4は,前記器具本体1の前記収容凹部11の両端部側に外側から重合するように一対取付けられ, 前記光源部2は,取付部材21と,前記複数のLEDが実装された基板23と,カバー部材24とを備え, 前記取付部材21は,前記器具本体1と同様に,横長であって長尺状に形成されており,長手方向に沿って平坦な取付面21aと,この取付面21aの両側から背面方向へ直角に立ち上がった第1の側壁21bと,この第1の側壁21bから水平方向に延出し,さらに背面方向に向かって内側に傾斜状に立ち上がった第2の側壁21cとを有しており, 前記基板23は,前記取付部材21の前記取付面21aにねじ止め等によって,その裏面側が前記取付面21aに密着するように取付けられ, 前記取付部材21が前記係止爪4aによって所定位置に係合保持され, 前記点灯装置3が前記器具本体1の前記収容凹部11における前記天板部11aの内側に取付けられている 照明器具。」 イ 本件発明1と甲2発明との対比 (ア) 一致点 「長尺状に形成され吊ボルトを用いて天井材に取り付けられる器具本体と,前記器具本体に取り付けられる光源ユニットとを備え, 前記器具本体における前記天井材と反対側には,前記器具本体の長手方向に沿って収容凹部が設けられ,前記収容凹部の底面部には前記吊ボルトを通すための孔が設けられており, 前記光源ユニットは,複数のLEDが実装されたLED基板と,前記複数のLEDが前記収容凹部の外側を向くようにして前記LED基板を前記器具本体に取り付けるための取付部材とを有する照明器具。」 (イ) 相違点A 本件発明1は,光源ユニット」「複数のLEDに点灯電力を供給する電源装置」 「 がを「有し」ており, 「前記取付部材は,前記器具本体の前記収容凹部と対向する部位に前記吊ボルトの少なくとも一部及び前記電源装置が配置される収容部を有し,前記電源装置は,前記光源ユニットを前記器具本体に取り付けた状態で前記収容部内における前記吊ボルトと干渉しない位置に配置され」ているのに対し,甲2発明は,「器具本体1」の「収容凹部11」に確保された「収容スペース」に「複数のLEDを点灯制御する点灯装置」が配置され, 「前記点灯装置3が前記器具本体1の前記収容凹部11における前記天板部11aの内側に取付けられ」るとともに, 「取付部材21」が, 「取付面21a」「第1の側壁21b」及び「第2の側壁21c」で囲 ,まれる空間を有しているものの,かかる「取付部材21」の空間に対する「取付ボルト」及び「点灯装置」の配置関係について特定されていない点。
ウ 相違点Aについての判断 (ア) 甲3には,「マウント1及びLEDユニット2からなり,マウント1はLEDユニット2を収容する凹部10aを備えるLED照明装置A1において, LEDユニット2が複数のLEDモジュール20,支持部材3及び電力変換部5を備え,コの字状とされた支持部材3に電力変換部5を収容する技術」(以下「甲3技術」という。)が記載されていると認められ,甲1の12(特開2011-60718号公報),甲1の13(特開2011-60716号公報)及び甲3,甲4(特開2012-54126号公報),甲5(特開2012-28173号公報)の記載からすると,「光源としてLEDを用いた照明器具において,光源ユニット側に電源装置を配置する」ことは周知慣用技術(以下「周知慣用技術1」という。)であると認められる。
(イ) 甲2発明に甲3技術又は周知慣用技術1を適用することの容易性 a 甲2発明の「施工作業の省力化を図ることができるとともに,収容スペースを確保して点灯装置を効率的に配置することができる照明器具を提供すること」という課題(甲2の段落【0006】 及びその解決手段 ) (段落【0036】)の記載並びに甲2の【請求項1】で「前記収容スペースに配置された前記複数の発光素子を点灯制御する点灯装置」が必要な構成として特定されている一方で,甲2において「器具本体1」以外の構成が「点灯装置3」を有することが記載も示唆もされていないことを踏まえると,甲2発明は,「器具本体1」が「点灯装置3」を有するものを前提として,上記課題を認識・解決したものであるといえる。
さらに,甲2発明は,「点灯装置3」を,「収容凹部11に隙間なく配置」し,「器具本体1の補強を図る」(段落【0036】)ために,「器具本体1」の「収容凹部11」に確保された「収容スペース」に「複数のLEDを点灯制御する点灯装置」が配置され,「前記点灯装置3が前記器具本体1の前記収容凹部11における前記天板部11aの内側に取付けられ」るものである。
そうすると,甲2発明においては,「器具本体1」が「点灯装置3」を有していることは前提となる必須の構成であるといえ,この「点灯装置3」 「器具本体1」 をから「光源部2」に取付位置を変更することには阻害要因があるから,甲2発明に甲3技術又は周知慣用技術1を適用し,上記相違点Aに係る本件発明1の「光源ユ ニット」が「複数のLEDに点灯電力を供給する電源装置」を「有し」ている構成を採用することを,当業者が容易に想到することはできない。
b 甲2発明は,「両端」に「係止爪4aが内側に折曲して形成され」た「係止部材4」を「器具本体1」の「収容凹部11の両端部側に外側から重合するように一対取付け」,「光源部2」の「取付部材21」が「係止爪4aによって所定位置に係合保持され」る簡易な取付構造を採用することによって,「施工作業の省力化を図ることができる」「照明器具を提供する」という課題を解決するものであるが,仮に,甲2発明において,「点灯装置3」の取付位置を変更し,「光源部2」が「点灯装置3」を有する構成を採用する場合には,単に「点灯装置3」の取付位置を変更するだけでなく,「点灯装置3」の寸法・重量等を考慮しつつ,十分な取付強度を保つことができるか否かという観点から,「係止部材4」による簡易な取付構造の適否から再検討が必要となるとともに,「点灯装置3」を有さずとも十分な強度を維持できる「器具本体1」の構造,さらには,「点灯装置3」を取り付けるための「光源部2」の構造等も含めて,照明器具の全体構造の再検討が必要となるといえる。
そうすると,甲2発明において,「施工作業の省力化を図ることができる」「照明器具を提供する」という課題を解決する「係止部材4」による簡易な取付構造を見直して,甲3技術又は周知慣用技術1を適用し,上記相違点Aに係る本件発明1の「光源ユニット」が「複数のLEDに点灯電力を供給する電源装置」を「有し」ている構成を採用することにも,阻害要因があるといえるし,「光源部2」の取付構造や,「器具本体1」の構造等も含めて,照明器具の全体構造の再検討の必要性も考慮すると,仮に,甲2発明に甲3技術又は周知慣用技術1を適用したとしても,上記相違点Aに係る本件発明1の「光源ユニット」が「複数のLEDに点灯電力を供給する電源装置」を「有し」ている構成を採用することが,当業者にとって容易に想到し得るとはいえない。
c したがって,本件発明1は,当業者が甲2発明及び甲3技術又は周 知慣用技術1に基づいて容易に発明できたものであるとはいえないから,本件発明1は,無効理由2により,無効となるべきものでない。
本件発明2〜4は,相違点Aに係る本件発明1と同一の構成を有しているから,本件発明2〜4も同様に無効理由2により無効となるべきものではない。
(3) 無効理由3(甲2発明及び甲4に記載された発明[以下「甲4発明」という。]又は「器具本体と光源ユニットとを分離するタイプのLED照明器具において,光源ユニットが複数のLEDに固有の電源装置を有する」という周知慣用技術に基づく本件発明1の進歩性欠如)について ア 甲4には,「蛍光灯用に使用した既設電源9が取り付けられている既設シャーシ1に,LED又はOLED用に転用する際の新規電源装置11が,電源取付金具及び光源取付金具を介して取り付けられた反射板2を取り付ける技術」(以下「甲4技術」という。)が記載されていると認められる。
また,LED照明器具の技術分野において,光源ユニットごとに固有の電源装置を必要とすることが技術常識であることやNNF41100発明の構成などからすると, 「器具本体と光源ユニットとを分離するタイプのLED照明器具において,光源ユニットが複数のLEDに固有の電源装置を有する」技術は周知慣用技術(以下「周知慣用技術2」という)であると認められる。
イ 前記(2)イ(イ)の相違点Aに関して,甲2発明に甲4技術又は周知慣用技術2を適用することの容易性について検討するに,甲4技術の適用については,甲2発明が,LEDを光源とする照明装置であって, 「器具本体1」が「点灯装置3」を有するものを前提として, 「施工作業の省力化を図ることができるとともに,収容スペースを確保して点灯装置を効率的に配置することができる照明器具を提供すること」 (甲2の段落【0006】 を課題とする発明であり, ) 甲2の記載を勘案しても,「器具本体1」 「点灯装置3」 が を有したまま, 「光源部2」が新規の「点灯装置3」を有するものを取り付けることは記載も示唆もされていないし,甲4技術も,あくまで「蛍光灯用に使用した既設電源9が取り付けられた既設シャーシ1」を「既設 シャーシ1や反射板2をLED又はOLED用に転用する際」の技術であるから,甲2発明とはその前提を異とする技術である。そうすると,甲2発明に甲4技術を適用する動機付けが存在するとはいえない。
周知慣用技術2の適用についても,同様の理由から,甲2発明に周知慣用技術2を適用し,相違点Aに係る本件発明1の「光源ユニット」が「複数のLEDに点灯電力を供給する電源装置」を「有し」ている構成を採用することは,当業者が容易に想到することはできない。
したがって,本件発明1は,当業者が甲2発明及び甲4技術又は周知慣用技術2に基いて容易に発明できたものであるとはいえないから,本件発明1は,無効理由3により,無効となるべきものでない。
本件発明2〜4は,相違点Aに係る本件発明1と同一の構成を有しているから,本件発明2〜4も同様に無効理由3により無効となるべきものではない。
原告主張の審決取消事由
1 取消事由1(NNF41100発明と甲2発明に基づく本件発明1の容易想到性判断の誤り) (1) NNF41100発明に「収容部」が存在すること ア 本件発明1にいう「収容部」の意義について (ア) 日本語の読点及び用語の語法並びに本件発明の技術的機序からすると,本件特許の【請求項1】の「前記収容凹部と対向する部位に」との語は,「前記吊ボルトの少なくとも一部及び前記電源装置が配置される」を修飾するもので,「収容部を有し」を修飾するものではなく,「収容部」の位置関係を特定する記載ではない。
(イ) 仮に「前記収容凹部と対向する部位に」が「収容部」の位置関係を特定しているとしても,「天井からの突出量を低く抑えた光源ユニット及び照明器具を提供すること」(本件明細書の段落【0005】)という本件発明1の課題の解決との関係では,「収容凹部」と「収容部」との配置関係について,「互いに向き 合う」以上の特定は必要ではない。被告が主張するような「収容凹部」と「収容部」という水平方向での広狭は,課題解決に関係のない事項であり,「前記収容凹部と対向する部位に」という語がそのような特定をしているものではない。
(ウ) 被告は,「収容部」の空間の全領域に吊ボルトの少なくとも一部及び電源装置が配置できないと,「別個独立の構成」である「収容部」の意義に反するとしているが,本件特許の【請求項1】の記載からすると,「収容部」の空間において,「吊ボルトの少なくとも一部及び前記電源装置が配置される」部位は,「前記器具本体の前記収容凹部と対向する部位」であればよいのであって,その余の部位に「吊ボルトの少なくとも一部及び前記電源装置が配置」できなくては「収容部」の意義に反すると解することはできない。
仮に, 「前記吊ボルトの少なくとも一部及び電源装置が配置される収容部」の日本語だけを分断して取り上げて解釈する場合であっても,当該文言からは,「収容部」の空間の全領域が吊ボルトの少なくとも一部及び電源装置が配置できる空間でなければならないといった解釈は導かれない。
イ NNF41100発明の「収容部」について (ア) 下図において,本件照明器具の水色で着色した部分(枠体の凹所)が本件発明1の「収容部」に当たるから,NNF41100発明は,本件発明にいう「収容部」を有する。
(イ) 被告が主張するような「収容凹部」の開口と「収容部」の幅の大小は,上記(ア)のような本件発明1の課題解決とは無関係であり,被告の主張は,本件発明1の実施例とNNF41100発明の相違点を主張するものでしかない。
本件出願日当時, 「器具本体」と「光源ユニット」とで構成される「照明器具」にあって,何らかの部品を収容する「収容部」を有する「光源ユニット」を回動させて取り付ける構成は,極めてありふれた構成であった。本件発明1の実施例や甲2の第4の実施形態のように,何らかの部品を収容する「収容部」を有する「光源ユニット」を内側から回動させて取り付けるのか,NNF41100発明のように外側から回動させて取り付けるのかについては,当業者の技術常識で選択される設計事項にすぎず(甲1の12・13,甲38〜41),被告が主張するような内側から回動させ取り付ける場合には「取付部材」で,外側から回動させ取り付ける場合には「蓋」になるというような区別はあり得ない。
(ウ) 「収容」についての辞書的意味及び本件明細書の段落【0017】の記載によると,照明器具の技術分野において,「収容部」とは,照明器具内部における何らかの部品を「おさめ入れる」「収容スペース」の空間を意味する用語であると解されるところ,NNF41100発明において,前記(ア)で示した部分は,「取付部材」が「電源ユニット」及び「銀色の取付台」を「収容」している以上,「収容部」として把握される構成を有している。
(エ) 被告は,以下の図で,ピンクで着色された空間が「収容凹部」であり,NNF41100発明には別個独立の構成であるはずの「収容部」が存在しないと主張するが,以下の図でも「収容凹部」と「収容部」が重なる部分において,「収容部」に相当する空間が把握できるし,現に,本件発明1の実施例【図1】?では,「別個独立の構成」である「収容凹部」と「収容部」とが重なり合う構成が開示されている。
本件明細書の【図1】? 「収容凹部」と「収容部」が「別個独立の構成」であるのは, 「収容凹部」が「器具本体の長尺方向に設けられて」いる一方で, 「収容部」が「光源ユニット」の「取付部材」に「有」するとされているからであって,これを超えて「収容凹部」と「収容部」とが重なり合う空間がいずれか一方の空間でなければならないといった理解は,本件発明1の実施例にも存在しない。
(オ) 被告は,NNF41100発明の「取付部材」(パネル枠)が「蓋」であると主張するが,以下の図のとおり,NNF41100発明において,「器具本体」の「収容凹部」と「取付部材」との間に隙間(空間)があるから,NNF41100発明の「取付部材」は「収容凹部」に当接しておらず「蓋」ではないし,NNF41100発明においても,別個独立の構成としての「収容部」の空間を把握できる。
(2) 仮に,被告の主張する相違点2’が存在するとしても,同相違点が容易想到であること 仮に,NNF4110発明に「収容部」が存在せず,被告が主張する相違点2’ が存在するとしても,前記LED照明器具における内側回動の構成を開示する刊行物(甲38〜41)の周知技術からすると,NNF41100発明の外側回動の構成を内側回動の構成に変更して「収容部」が存在するようにすることは機構的にも容易であり,その想定図の一例として,下のような構成が想定できる。
(3) NNF41100発明の認定 NNF41100発明において, 「2台の電源ユニット」並びに「端子台」 「銀 及び色の取付台」が一体として構成される「電源ブロック」は,本件発明1の「電源装置」に相当するものである。
そして,NNF41100発明は,以下のとおり認定されるべきである。
「平面視長方形の形状に形成され取付ボルトを用いて天井材に取り付けられる『器具本体』と,前記『器具本体』に取付けられる『LEDユニット』とを備え,前記器具本体における前記天井材と反対側には,前記器具本体の長手方向に沿って『器具本体の凹所』が設けられ,前記器具本体の前記凹所の底面に, 『2つの取付ボ ルト穴が設けられ』ており, 前記LEDユニットは, 『6個のパネル,各パネルの下に9個のLEDが実装されたLED基板』と,前記LEDが前記器具本体の凹所の外側を向くようにして前記LED基板を前記器具本体に取付けるための『枠体』と,前記LEDに点灯電力を供給する『2台の電源ユニット』 (又は,2台の電源ユニット,端子台及び銀色の取付台が一体として構成される『電源ブロック』)とを有し, 前記枠体は,前記器具本体の前記凹所と対向する部位に前記2台の電源ユニット及び電源ブロックが配置される『枠体の側壁と底面で囲まれた空間(枠体の凹所)』を有し, 前記2台の電源ユニット及び電源ブロックは,『2台の電源ユニットの前記枠体に対する長手方向の位置』と『前記取付ボルト穴の位置とは干渉しない位置に設定される』構成により,前記LEDユニットを前記器具本体に取り付けた状態で前記取付ボルトと干渉しない位置に配置されることを特徴とする照明器具。」 (4) 審決が相違点3を認定したのは誤りであること 本件明細書の段落【0017】において,「電源装置」の収容状況について,「電源装置24は,取付部材21の底面部211と両側面部212,212で囲まれる空間からなる収容部213に少なくとも一部が収容された状態で,例えばねじなどを用いて取付部材21に取り付けられる」と明記されていて,段落【0020】にも「少なくとも電源装置24及び端子台ブロック25が収容凹部11に収容されるようにして」「収容凹部」に「光源ユニット2を器具本体1に取り付ける」ことが示されていること及び【図1】からすると,本件発明1の「光源ユニット」における「取付部材」の「収容部」は,「電源装置」の一部を収容し,「収容部」の空間内に「電源装置」を「配置」していれば足り,それにより「天井からの突出量を低く抑えた光源ユニット及び照明器具を提供すること」(【0005】)になる。
これに対し,NNF41100発明の「収容部」(枠体の凹所)は,「2台の電源ユニット」及び「電源ブロック」の一部を収容するものであり,本件発明1のよ うに「天井からの突出量を低く抑えた光源ユニット及び照明器具を提供すること」という技術的意義を有する。
したがって,本件発明1とNNF41100発明との間に相違点3は存在せず,審決が相違点3を認定したのは誤りである。
(5) 審決の相違点2の容易想到性の認定判断の誤り ア 以下のとおり,NNF41100発明に甲2発明を組み合わせる動機付けが存在するから,相違点2は容易想到である。
(ア) 本件発明1とNNF41100発明との間には,「照明器具」として構造上の相違点が存在せず,相違点2の本質は,施工現場で直面する様々な吊ボルトの出しろ長さに対する適合性における用途の違いでしかない。
(イ) NNF41100発明が,構造上,「ボルト出しろ長さ」が約40mmを超える施工例に使用できるものであることが客観的に明らかである以上,そのような同種の用途に使用することに想到することは極めて容易である。
(ウ) 本件発明1の技術分野における当業者である照明器具の設計者は,他社の実機を分析して設計思想を読み取るのが通常であり,施工業者向けの本件説明書に拘束される理由もなく,NNF41100発明の構成から明確に「出しろ長さが約40mmを超える用途にも使用できる照明器具」という設計思想を読み取るのが通常であり,少なくとも,容易である。
(エ) 実機である本件照明器具とその施工説明書である本件説明書は,常に一体となるものではなく,施工現場においては,本件説明書を常に念頭に置いて施工されるものではない。
(オ) 製造物責任法及び電気製品安全法の観点から,具体的な危険と結び付け記載されていない,本件説明書の「取付ボルトの出しろ\15〜35mm」の記載は,「部品の名称」と標準施工例を示す内容と理解されるのがせいぜいの内容であり,実際に落下や感電や火災の結果に繋がらない使用方法を禁止する内容とまで読む必要性は全くない。
(カ) NNF41100発明は,既設の蛍光灯照明器具からのリニューアル製品として予定されたものである(甲1の1,甲26の10)。施工業者は,既設の蛍光灯の照明器具を本件照明器具に付け替えてリニューアルしようとすると,施工標準として,吊ボルトの出しろが「35mm」を超えるものが数多く施工されていたから,日常的に,本件説明書の施工標準例として指定されている「ボルトの出しろ\15〜35mm」以上に長い,約40mmを超えるものに遭遇していた(甲26の1〜8[被告の照明器具の取扱説明書]・甲26の10[被告の照明器具のカタログ],甲27の1〜4[日立の照明器具の取扱説明書],甲28の6・7[NECの照明器具の取扱説明書],甲29[特開平10-152935号公報])。
このような場合,施工業者には,問題のない範囲であると,吊ボルトをそのまま使用して施工してしまいたいという動機付けが生ずる。ボルトの出しろ長さをそのままにしてLED照明器具へのリニューアルをしたいという課題が日常的な施工現場に内在する課題である事実は,本件出願日後の文献(甲30[被告のウェブページの一体型LEDベースライト「iDシリーズ」リニューアル専用器具本体の説明])によっても裏付けられている。
イ(ア) 現に,阪急電鉄摂津市駅(以下「摂津市駅」という。)の平成12年3月の施工例(甲1の2〜5)において,天井面からの取付ボルトの出しろの長さが明らかに「41mm」を超える施工例が少なくとも3台存在していたことが確認されており(甲24),本件出願日より前に本件照明器具の「LEDユニット」の「凹所」に取付ボルトの一部が収容され,施工されていたものと理解される。なお,吊ボルトの出しろの長さが施工後に長くなるということはあり得ない。
(イ) 摂津市駅に設置された本件照明器具は,審決の容易想到性の判断の誤りを裏付けるための証拠であり,このような証拠を参酌することは,最高裁昭和42年(行ツ)第28号同51年3月10日大法廷判決(以下「大法廷判決」という。)の射程外であって許容される。
ウ 被告は,本件説明書(甲1の7)をもって阻害事由があると主張するが, 特許発明としての価値判断にとって本質的反論ではないし,摂津市駅に設置された本件照明器具の施工例として,施工業者においてすら,実際に本件発明1の用途に想到している事実が示されている以上,失当である。
(6) 甲2の第5実施形態に係る発明の適用の判断の欠缺 甲2には,その第5実施形態として,以下の【図25】にあるとおり,取付部材の直近位置まで吊ボルトが設置される図が明記されており,これに触れた当業者は,「取付部材21」の「取付面21a(底面部に相当)」と「第1の側壁21b」及び「第2の側壁21c」で囲まれる空間を利用し,吊ボルトの出しろ長さぎりぎりの位置まで,「光源部2」を「器具本体1」に押し込む構成が理解できる上,「取付ボルトBt」の出しろ長さが器具本体の天井面からの突出量を小さくする限界値を定める技術的意義も,「取付部材21」にぶつからない範囲まで「光源部2」を器具本体に押し込んでよいことの技術的意義も理解できる。
また,甲2発明には,第1の実施形態(【図4】)に係る発明(以下「甲2の1発明」という。)と第5の実施形態(【図25】)に係る発明(以下「甲2の2発明」という。)の2種類があるところ,甲2発明(以下,甲2発明という場合には「甲2の1発明」と「甲2の2発明」を併せたものを指す。)の課題は,照明器具でかさばる部品である「点灯装置3」を効率的に配置することにあり,【図25】からも分かるとおり,その課題を解決するために,「取付ボルトBt」と「点灯装置3」との干渉を避ける位置に「取付ボルトBt」の取付孔を設置している。他方,NNF41100発明も「取付ボルト」と「電源ユニット」又は「電源ブロック」とが相互に干渉し合わない配置関係に立っていて,甲2発明とNNF41100発明は,課題及びその解決手段が共通である。
したがって,当業者である照明器具の設計者は,NNF41100発明に甲2の2発明の「取付ボルトBt」を「取付部材21」の直近までその出しろを長くし,「取付ボルトBt」の少なくとも一部をNNF41100発明の枠体の凹所に収容させるという構成を適用することを強く動機付けられるものであり,その適用の容 易想到性は明らかである。
しかし,審決は,NNF41100発明と甲2の2発明との組合せに係る容易想到性の判断を欠落させたまま結論を導いており,引用発明の組合せを検討しないその判断は違法である。
【図25】2 取消事由2(甲2の1発明と甲3発明からの本件発明1の容易想到性の判断の誤り) (1) 甲2発明の認定について 審決が認定しているのは甲2の1発明であるが,甲2の1発明の特定事項として, 「平坦な取付面21a」「この取付面21aの両側から背面方向に直角に立ち上が ,った第1の側壁部21b」及び「この第1の側壁21bから水平方向に延出し,さらに背面方向に向かって内側に傾斜状に立ち上がった第2の側壁21c」により形成される空間(以下「取付部材21の凹所」という。)に,取付ボルトBtの一部が収容されていること」及び「取付ボルトBtと点灯装置3とが干渉しない位置に配置されていること」を追加すべきである。
(2) 本件発明1と甲2の1発明との相違点について ア 審決は,甲2発明について,「『取付面21a』,『第1の側壁21b』及び『第2の側壁21c』で囲まれる空間を有しているものの,かかる『取付部材21』の空間に対する『取付ボルト』及び『点灯装置』の配置関係について特定されていない」点が,本件発明1と相違している(相違点A)と認定している。
しかし,「取付部材21」の空間に「取付ボルト」の先端部及び「点灯装置」の一部が配置されていることは,甲2の【図4】に明確に開示されている。また,同空間内において,「点灯装置3」と「取付ボルトBt」とが相互に干渉し合わない位置に配置されている事実も明らかであり,審決が指摘する上記の点は一致点と認定すべき事項である。
イ 審決は,「甲2発明は,『器具本体1』の『収容凹部11』に確保された『収容スペース』に『複数のLEDを点灯制御する点灯装置』が配置され,『前記点灯装置3が前記器具本体1の前記収容凹部11における前記天板部11aの内側に取付けられ』るとともに,『取付部材21』が,『取付面21a』,『第1の側壁21b』及び『第2の側壁21c』で囲まれる空間を有している」と認定しているが,甲2の【図4】,【図8】及び【図9】によると,上記空間に取付ボルトBtや点灯装置3の一部が位置するから,同空間が本件発明1の「収容部」に相当する。
甲2の【図8】及び【図9】甲2の【図4】 (3) 相違点の容易想到性の判断の誤り ア(ア) 前記(1),(2)を前提にすると,本件発明1と甲2の1発明との間の相 違点は,電源装置を有するのが光源ユニットであるか,器具本体であるかの違いだけであるところ,この相違点については,甲3発明のLEDユニット2が電力変換部5を有する構成を甲2の1発明に適用することにより容易に想到し得る。
甲3発明は,支持部材3のブラケット32で構成される収容スペース(収容部)内に,かさばる電源装置を収容し,これを器具本体のコの字状の凹部10aで構成される収容スペース(収容凹部)に収容し,かさばる電力変換部5の収容スペース内の配置を効率的なものとすることによって,被取付け面Roの天井材からのLED照明装置Aの高さを低く抑えるという発明の目的を達成したもの(甲3の段落【0041】【0069】 , )で,電力変換部5の高さd1が,実質,LED照明装置A3の高さh1を決定するとの技術常識を前提とし,本件発明1の取付部材の「収容部」に相当するブラケット32に電力変換部5を収納し,これを器具本体の「収容凹部」に相当する凹部10aに収納することで,LED照明装置の高さを抑える発明といえる。これは, 「収容凹部」に収容スペースを確保して,かさばる部材である点灯装置を効率的に配置することを発明の目的としている(甲2の段落【0008】)という甲2発明と課題を共通にするものである。
したがって,主引用発明である甲2の1発明と副引用発明である甲3発明とは,その課題を共通にし,かつ, 「収容凹部」 「収容部」 と とで形成する「収容スペース」を利用して,電源装置の効率的な配置を行うという課題解決手段の共通性から,その適用に明確な動機付けが認められる。
(イ) 被告は,甲2発明は, 「施工作業の省力化」と「点灯装置の効率的な配置」という二つの具体的課題を前提とした上で, 「点灯装置3」を「器具本体の収容スペース」に配置するという具体的な課題解決方法を提示していると主張するが,甲2発明において, 「点灯装置を器具本体の収容スペースに配置する」という課題解決方法は, 「点灯装置の効率的な配置」という課題にのみ関連するものであって,当業者は,当該課題解決方法の技術的意義が, 「天井から突出量を低く抑制」するとの効果を果たすものであると理解できる。
そして,甲2発明において, 「点灯装置を効率的に配置」する課題を解決する手段としては,器具本体の収容凹部に収容スペースを確保するだけでなく,光源部がその開口部側を覆うように配設され,かつ,器具本体の「収容凹部」と光源部の「収容部」とにより構成される「収容スペース」に点灯装置が配置されることが必要であるが,審決はこのことを見逃している。
容易想到性の判断に当たっては,上記のような「収容スペース」内に「点灯装置3」を効率的に配置していることを前提とすべきである。
(ウ) 被告は,甲2には,本件発明1における「天井面からの突出量の低減」という具体的課題は存在しないと主張するが,甲2の【図4】に見られるように,甲2発明は,「取付部材21」に,「取付面21a」「第1の側壁21b」及び「第 ,2の側壁21c」で囲まれる空間である「収容部」が存在し,これにより, 「収容凹部」と「収容部」とで形成する「収容スペース」を確保して,点灯装置3を効率的に配置するという課題を解決しており, 「収容部」によって「天井面からの突出量の低減」という作用効果が生じるものである。
公然実施発明であるNNF41100発明,甲3発明,甲4発明及び甲5に記載された発明や本件特許と同日に被告によって出願された甲36(特開2014-78425号公報)の段落【0004】に表れているように,器具本体と光源ユニットとが分離されるLED照明器具にあっては,光源ユニット(LEDユニット,灯具を備える反射板)に,その特有の電源装置(電源ブロック)を配置することが周知慣用技術として既に知られていた。
他方,甲2の1発明の「収容凹部」において,電源装置を光源ユニット側に取付配置した場合でも,電源装置を器具本体側に取付配置した場合でも,発明の目的とした照明器具全体での高さ寸法,天井からの突出量は変わらない。
また,甲3発明は,光源ユニット側に電力変換部5(点灯装置)を有するものであるが,以下のとおり,その係止機構は甲2発明の係止機構と同等に簡易なものであり,点灯装置3の取付位置を器具本体側から光源ユニット側に変更することを想 定した場合でも,甲2発明の係止機構の構造を大きく変更しなければならないものではなく,少なくとも,当業者にとって通常の創作力の範囲内の設計事項である。
本件発明1でも,光源ユニットを器具本体に取り付ける構成については,具体的な開示がなく,当業者の技術常識に委ねられていることからすると,審決が技術的困難性を強調して,進歩性を認めたことは誤りである。
(4) 阻害事由の不存在 ア 審決は,甲2では,点灯装置3を器具本体1に配置することにつき,器具本体1を補強する役目があることを明記している(甲2の段落【0025】【0 ,030】及び【0036】)ことから,器具本体1に配置した点灯装置3を光源部2に配置することに阻害要因があるとしている。
しかし,上記の点灯装置3によって器具本体1を補強するといった効果について,@「点灯装置3」について,甲2の【図14】及び【図15】によると, 「器具本体1」の全長約3分の1程度を占めるだけで,それも「収容凹部11」の側板との間で隙間があってよいとされること,A甲2にいう補強効果は,実機におけるテストでは確認できなかった効果であり(甲34) 甲2を特許文献として引用している甲 , 36でも, 「点灯装置」による補強効果を重視して「点灯装置3」を光源部の「取付部材に取り付ける場合」を想定し得ないものとは理解していないこと(甲36の段落【0004】 からすると, ) この効果は,あくまでも甲2発明の副次的目的であり,主たる目的が「点灯装置3」を収容スペースに効率的に配置する点にあることを勘案すると, 「点灯装置3」を「光源部2」に配置すべき強い動機付けを否定する程の阻害要因になるものとはいえない。
技術常識からしても,「器具本体1」に「点灯装置3」を配置しなくても,「器具本体1」の鋼板厚みや形状を適宜なものとすることでよいのであり,実際,甲3発明には,ベースプレート部110とウィング部120とを一体化させた【図99】(第20実施形態)のように,適宜に器具本体の剛性を高める技術常識が示されている。
したがって,甲2が「点灯装置3」を「器具本体1」に配置することにより「器具本体1」の剛性を補強する効果を謳っていることは, 「点灯装置3」 「光源部2」 をに配置することの動機付けを阻害しない。
【図99】 イ 前記(3)ア(イ)のとおり,甲2発明の「点灯装置を効率的に配置」との課題 は,光源部における「収容部」が,器具本体の「収容凹部」と共に形成する「収容スペース」を確保し,器具本体の開口部側を覆うように配設されることにより解決されるものであるから,審決が前提とするように「器具本体1」が「点灯装置3」を有するものを前提としなければならないという制約はない。
甲2発明において, 「点灯装置3」が「器具本体1」の「収容凹部11」の側壁との間に隙間なく配置されることは,甲2の請求項1に係る発明の構成要件ではなく,審決のように「器具本体1」に「点灯装置3」を配置することを必須の構成とみるべき合理的理由はない。
3 取消事由3(甲2の1発明と甲4発明からの本件発明1の容易想到性判断の誤り) (1) 相違点の容易想到性の判断の誤り ア 前記2(3)のとおり,本件発明1と甲2の1発明との間の相違点は,電源装置を有するのが光源ユニットであるか,器具本体であるかのみであるが,甲2の1発明を主引用発明とし,甲4発明を副引用発明として適用することは,当事者にとって容易想到であり,本件発明1は,甲2発明及び甲4発明並びに周知慣用技術に基づき,当業者が容易に想到することができる発明である。
甲2発明も甲4発明も共に照明器具に関するものであるが,甲2発明では,現場での施工作業の省力化を図るとともに,点灯装置(電源装置)の収容スペースを確保して電源装置を効率的に配置することを目的としている(甲2の段落【0006】)のに対して,甲4発明は,新規の光源ユニット(LEDユニット)などを取り付ける際に,既設シャーシを用いて新規のLEDユニットを取り付けることにより,省資源化,器具取替えコストの低減,現場施工作業者の負担軽減を図る効果を有するものである(甲4の段落【0023】)。
甲4発明では,LEDユニット側には採用するLEDの電源仕様に合う「新規電源装置11」が取り付けられる(甲4の段落【0013】及び【図3】。通常,蛍 )光灯照明器具の既設シャーシは,吊ボルトなどが使用されるケースが多いため, 「既 設シャーシ1」に取り付けるLEDユニット側は, 「新規電源装置11」が「既設電源9」及び「吊ボルト」に干渉しないように「新規電源11」の収容スペースを確保できる位置に配置されることになる。
一方,甲2発明で, 「光源部2」を新規の光源ユニットに置き換える際に,既設の「点灯装置3」(電源装置)がそのまま利用できない場合には,甲4発明のように,新規の光源ユニット側に新規電源装置を設け,既設の「器具本体1」 (既設シャーシに相当)の既設「点灯装置3」及び「取付ボルトBt」に干渉しないように新規電源装置の位置を考慮して配置されることになる。
省資源化,器具取替えコストの低減,現場施工作業者の負担軽減を図るため,天井材に設置した器具本体を利用して,新たな光源ユニットを設置したいとの要望は,器具本体とLEDユニットとを分離する照明器具にあっては,広く一般に認められる課題(甲1の1・12・13,甲31[特開2012-104324号公報],甲32[特開2012-9400号公報],甲33[特開2009-123686号公報])であり,甲3の段落【0177】やその実施品(甲45)にも示されていて,メンテナンス(甲2の段落【0034】)を念頭に置く甲2発明にも当然に当該課題が内在している。
したがって,器具本体とLEDユニットとを分離する照明器具において,電源装置を備えた光源ユニットをもって,その交換を行うとの技術常識のある中で,甲2の1発明に甲4発明を適用することは明確に動機付けられている。
イ また,前記2(3)で述べたとおり,甲2発明において,具体的に電源装置を光源部に配置する程度の事項は単なる設計事項にすぎない。
ウ 被告は,LED照明の場合には,電源装置を共通にしていることが一般的であることから,敢えて電源装置の配置が異なるものに置き換えることは,通常,考え難いと主張するが,リニューアルの際に,経年劣化に伴う故障のリスクが大きい電源装置を光源ユニットごと取り換えることは,むしろ,積極的に行われるものである。
(2) 阻害事由の不存在 ア 甲2発明において,「点灯装置3」が「器具本体1」の補強を担っているとしても,甲4発明の【図3】及び【図4】の構成を適用した場合,甲4発明と同様,甲2発明の既存「点灯装置3」は,既設「器具本体1」の長尺軸線方向において,約3分の1以下の長さを占めるだけであり,従前の「点灯装置3」を残したまま,新規の「点灯装置3」を設けた「光源部2」とすることができることから,その組合せに何らの阻害要因はない。
また,前記2(4)のとおり,審決は,副次的効果と位置付けられ,かつ,技術的にみて実際の補強効果があると理解し難い甲2発明の「器具本体1」 「点灯装置3」 のによる補強効果の記載に依拠して,阻害事由があると判断しており,その点で失当である。
イ 甲2発明において,甲2の段落【0020】をみても,光源ユニットと器具本体との取付方法について, 「係止爪」の構成及び特徴を特定する記載は無く,被告がその前提とするような「係止爪」は,実施形態の説明において,「器具本体1」 「光源部2」 と の取付方法の例として説明されているだけである。取付方法は,当業者が技術常識に従って適宜の選択を行えば足りるものと解され,甲2の1発明に甲4発明を適用する際に「係止爪」の構成を維持する必要はない。
「係止爪」の構造にしても, 「点灯装置3」を光源部の収容部内に配置すること自体,適宜の幅の「点灯装置3」を利用することで済むから,被告が主張するように,「点灯装置3」の位置を変更することは全く予定されていないということはできず,「係止爪」の構成を維持できず阻害要因があるということはできない。
甲2発明と甲4発明とに触れた当業者は,既設の「点灯装置3」が補強材として利用できることから,これを残し,リニューアルの新規電源を器具本体の収容凹部の空きスペースを利用して,効率的に配置するとの発想に至ると考えるのが自然である。この場合,既設の「点灯装置3」が補強材として利用できることから,当業者は,新規電源をより小さくして取付部材に設置するという発想に至ると考えられ るものであって,その組合せには,何らの阻害要因も認められない。
4 取消事由4(本件発明2〜4の容易想到性の判断の誤り) 審決は,本件発明2〜4に関して,本件発明1に関する判断をそのまま適用して,容易想到性を否定しているが,取消事由1〜3のとおり,審決には判断の誤りがあるから,本件発明2〜4の容易想到性の判断についても誤りがある。
被告の主張
1 取消事由1(NNF41100発明と甲2の2発明に基づく本件発明1の容易想到性判断の誤り)について (1) NNF41100発明には「収容部」が存在しないこと ア 本件発明における「収容部」とは, 「収容凹部」とは別個独立の空間であり,器具本体の「収容凹部」の内側において, 「取付部材の底面部と両側面部とで囲まれる空間」であること (ア) 本件特許の【請求項1】において,「収容部」は,取付部材の構成として,「前記取付部材は,前記器具本体の前記収容凹部と対向する部位に前記吊ボルトの少なくとも一部及び前記電源装置が配置される収容部を有し,」として特定されている。
「収容」とは,その辞書的意味(乙1,2)からすると,何かを収める場所と特定されるところ,上記の【請求項1】の記載からすると,「収容部」とは,「吊ボルトの少なくとも一部」 「電源装置」 及び を収め入れるだけの一定の空間を意味する。
しかも,本件発明1において, 「収容部」と「収容凹部」とは,別個独立の構成として規定されているから,「収容部」は,「収容凹部」の「内側」にあって,取付部材によって構成される独立した空間として存在していることを意味する。
また,上記の【請求項1】の記載からすると,「収容部」は,「収容凹部」と「対向」する「部位」に存在するものとされており, 「対向」及び「部位」の辞書的意味からすると,「収容凹部」と「対向する部位」とは,「収容凹部」と正面に位置する取付部材の全体を指すものではなく,取付部材の中でも, 「収容凹部」の開口面に対 応した一部の部位を指すものである。そして,上記のとおり, 「収容部」が,吊ボルト及び電源装置を配置し得る取付部材によって構成される一定の空間を指すものである以上,そのような「空間」が「収容凹部」の「対向した部位」に存在し得るのは, 「収容凹部」の「内側」に独立の空間として存在する場合以外に合理的に想定が不可能である。
(イ) 本件明細書の段落【0017】によると,本件発明1における「収容部」は,器具本体に「対向」する部位に存在し,その具体的構成は,「取付部材21の底面部211と両側面部212,212とで囲まれる空間」として特定されており,本件明細書における発明の詳細な説明においても,以下の図のとおり,「収容部」は,器具本体の「収用凹部」とは別個独立の「空間」として特定されている。
本件明細書では,そのような「収容部」の構成によって, 「収容部」を設けない場合に比べて器具全体の高さ寸法を小さくすることができ,その結果,天井からの突出量を低く抑えた照明器具を提供することができる(段落【0008】)という作用効果を奏することが明確に説明されている。
(ウ) 以上からすると,本件発明1における「収容部」は,器具本体の「収容凹部」の「内側」において,「収容凹部」とは独立して,「取付部材の底面部及び両側面部とで構成された空間」を意味するもので,同空間に吊ボルトの一部及び 電源装置を配置するものである。
イ NNF41100発明に「収容部」が存在しないこと NNF41100発明では,枠体を取り付けることによって,「器具本体の上面」及び「器具本体の側面」に加え,枠体の下面で特定される空間(下図のピンクで着色された空間)が生じているが,これは,器具本体における「収容凹部」の構成の開口部を塞いだものであり,実質的には「収容凹部」そのものにすぎない。
(ア) 原告は,下図の水色で囲まれた部分(枠体の凹所)が「収容部」に当たる旨を主張する。
しかし,原告の主張を前提とすると, 「収容部」に「収容凹部」そのものが含まれ る空間が生じてしまい,これは, 「収容部」と「収容凹部」を別個独立の構成とする特許請求の範囲の文言に反するものとなる。
また,器具本体の両側面と取付部材の両側面とで囲まれる空間(上図の○で囲われた空間)は, 「収容凹部」とは異なる空間で,枠体を取り付けることを目的とした取付箇所であり, 「吊ボルトの少なくとも一部及び電源装置」をはじめとして何らかの部材を配置することは不可能であるから,取付部材の両側面で構成される空間ではなく,吊ボルト及び電源装置を「収容」し得る空間でもなく,本件発明1にいう「収容部」に当たらない。
(イ) NNF41100発明では,取付部材(パネル枠)の方が器具本体よりも全体として一回り大きい部材とされているが,これは,器具本体に取付部材(パネル枠)を固定するために,取付部材(パネル枠)の外側から「ツマミネジ」を回し入れる必要があることに起因するものであり,枠体の凹所の存在は,「天井面からの突出量の低減」という,本件発明1の課題とは無関係な構成である。枠体の凹所は,吊ボルトや電源装置といった部材の収容を目的とするものではなく,単に,器具本体の開口部に対し,「蓋」の役割を果たすものにすぎないのであって,収容凹部の内側に何ら独立した空間を構成せず,本件発明1の具体的課題や技術的思想とは関係を有しない。
このことは,下図のとおり,本件発明1と本件照明器具の断面図の比較をみても,一見して,その構成に類似点を見いだし難いことからも明らかである。
(本件発明1) (NNF41100発明) (2) 甲2発明の構成について ア 甲2発明に「収容部」が存在しないこと (ア) 本件明細書によると,本件発明にいう「収容部」とは,取付部材の「底面部」及び両側側面部とで囲まれる空間であって,かつ,同空間に,吊ボルトの少なくとも一部及び電源装置を干渉することなく配置するものである。
これに対し,甲2発明は,従来技術の具体的課題として,照明器具の設置における「施工作業の省力化」及び「収容スペースの確保」という課題を挙げ,これらの課題を解決するため,器具本体に「収容凹部」を設けるという構成を採用したものである。
甲2発明では,器具本体に一体形成された側板部及び器具本体に設けられた「収容凹部」という構成によって,「施工作業の省力化」という主たる課題等(甲2の段落【0005】)を解決するものであって,器具本体の「収容凹部」の存在以上に,取付部材の構成について何らかの課題を見いだしたり,解決方法を提示したりするものではない。
そして,甲2発明における取付部材は,カバー部材と器具本体を取り付けるための部材であるところ,取付面の両側から背面方向へ直角に立ち上がった「第1の側壁21b」が設けられているのは,その取付面側に「切起し片21d」を設けることによって,「切起し片21d」にカバー部材を嵌合できるようにし,カバー部材を取り付けるためにすぎない(甲2の段落【0016】,【0023】)。
また,「第1の側壁21bから水平方向に延出し,さらに背面方向に向って内側に傾斜状に立ち上がった第2の側壁21cとを有」するとの構成についても,器具本体への取付けの際,収容凹部内に設けられた「係止爪4a」の弾性に抗して「収容凹部11」に押し込むようにすることにより,「係止爪4a」が「第2の側壁21c」によって外側に弾性変形することから,「光源部2の取付けを円滑に行う」というために設けられているものであって,いわば,取付けのための「バネ」のような役割を果たしている部材にすぎない。
以上のとおり,甲2発明の取付部材は,「第1の側壁21b」及び「第2の側壁 21c」を有しているが,これらはいずれも吊ボルトの一部及び電源装置を収容するためのものではなく,単に@切起し片を備えるためのもの(側壁21b)又はA器具本体の収容凹部に取付けを可能にするためのもの(側壁21c)にすぎず,吊ボルトの一部及び電源装置を「収容」するものではなく,本件発明の「収容部」に相当するものを有しない。
(イ) 甲2では,【図24】及び【図25】において,光源部を多段階で調整し得る旨の開示があるが,これも,単に「照明器具の設置環境に応じて遮光角の調整」をするためのものにすぎず(段落【0050】),取付部材の構成や取付ボルトBtや点灯装置の「収容部」への「配置」に言及するものではなく,甲2は,取付部材の「収容部」を用いて「取付ボルトBt」や「点灯装置3」を同収容部に配置させる構成については何ら言及しておらず,甲2には「収容部」に関連する技術的思想は何ら開示されていない。
イ 甲2発明において「収容部」が存在するとしても,電源装置を配置する構成は開示されていないこと(予備的主張) 仮に,甲2発明において「収容部」に相当する部分が存在するとしても,それは,「取付面21aと,この取付面21aの両側から背面方向に直角に立ち上がった第1の側壁部21bとにより構成される収容空間」のみである(以下,甲2発明の同部分を「凹所」という。)が,凹所には電源装置が配置されていることは甲2からは読み取れない。
(3) 本件発明1とNNF41100発明の相違点 前記(1)を前提とすると,本件発明1とNNF41100発明との相違点は,次のとおりとなる。
ア 相違点1 「板材」に関し,本件発明1は「天井材」であるのに対し,NNF41100発明は「天井に見立てた板材」である点。
イ 相違点2’ 「収容部」に関し,本件発明1は,取付部材の底面と両側面とで囲まれた空間であり,吊ボルトの一部及び電源装置を干渉することなく配置する「収容部」を有するところ,NNF41100発明は,そのような「収容部」を有しない点。
ウ 相違点3’ 「吊ボルト」の配置に関し,本件発明1の「収容部」は, 「吊ボルトの少なくとも一部」が配置されるのに対し,NNF41100発明の「枠体の凹所」は, 「取付ボルト」が収容されていない点。
エ 相違点4 「収容部」と「電源装置」の配置に関し,本件発明1は,「電源装置が配置される収容部」であるのに対し,NNF41100発明は, 「電源ユニットの一部」が配置される「枠体の凹所」である点。
(4) 相違点2’,3’の容易想到性について ア NNF41100発明には「収容部」が存在せず,副引用発明である甲2発明も,同様に「収容部」の構成を有していないから,仮に,NNF41100発明に甲2発明を適用したとしても,当業者は, 「吊ボルトの少なくとも一部及び電源装置」を「収容部」に配置するという,相違点2’及び相違点3’に関する本件発明1の技術的思想及び構成に至らない。したがって,本件発明1の容易想到性は否定されない。
イ 仮に,甲2発明の「凹所」が「収容部」に相当するとしても,甲2発明は, 「収容部」に電源装置を配置するものではないから,NNF41100発明に甲2発明を適用したとしても,本件発明1の「収容部」のように, 「前記吊ボルトの少なくとも一部及び前記電源装置が配置される」ものではなく,本件発明1の構成を充足することはない。
また,NNF41100発明と甲2発明とでは,以下のとおり,課題及び解決手段に共通性がないから,相違点2’及び相違点3’に関して,NNF41100発明に甲2発明を適用する動機付けは存在しない。
(ア) 主引用発明であるNNF41100発明は,公然実施されている照明器具の製品そのものであり,NNF41100発明自体には,何ら具体的課題は明示されておらず,カタログ(甲1の1)から器具消費電力の削減や光源寿命の長寿化といった課題又は解決手段が見いだせるにすぎない。
また,本件説明書(甲1の7)の記載からしても,NNF41100発明は,LED照明器具としての設置方法(パネル枠の引っ掛け方法)といった点に特色があるにすぎず, 「収容部」に「吊ボルトの少なくとも一部及び電源装置」を配置することによって, 「天井面からの突出量を低減する」という本件発明1の課題解決手段やその前提となる具体的課題とは無関係である。
(イ) 他方,甲2発明における具体的課題や解決手段を見ても,甲2発明の第5実施形態(甲2の2発明)の課題は,「施工作業の省力化を図ることができるとともに,収容スペースを確保して点灯装置を効率的に配置すること」にあって,本件発明1と具体的課題を共通にするものではない。
ウ 原告は,NNF41100発明に「収容部」が存在しないとしても,内側回動の構成に変更することは容易想到であるとも主張するが,本件発明1は,@「収容部」を「収容凹部」の内側に収容できるようにした上,A「収容部」に吊ボルトの一部及び電源装置を収容するという配置への配慮という二つの構成がもたらす相乗効果によって,天井面からの突出量を低減するという作用効果を奏するものであるところ,原告が主張する内側回動及び外側回動は,いずれも光源ユニットを閉じた状態では,器具本体全体の高さ寸法が変わるものではなく,「天井からの突出量を低く抑えた照明器具を提供する」(本件明細書の段落【0008】)という作用効果と何ら関係がないから,NNF41100発明を内側回動の構成に変更することについて動機付けがあるとはいえない。
エ 相違点2’及び相違点3’には,以下のとおり,阻害事由がある。
(ア) 本件説明書(甲1の7)において,ボルトの出しろの長さが限定されており,これに反する施工は落下や感電等の恐れがあるとして明確に禁じられてい るところ,仮にそのような警告に反して甲2発明を適用し,39mmを超えた出しろの長さとすることで,吊ボルトの一部及び電源装置が「収容部」に配置されることになると,落下や感電等の恐れが生じ,照明器具としての機能を果たさなくなってしまう。このような場合,NNF41100発明に甲2発明を適用することは,「主引用発明に適用されると,主引用発明が機能しなくなる副引用発明」又は「主引用発明がその適用を排除しており,採用されることが有り得ないと考えられる副引用発明」に当たり,阻害要因が存在することになる。
(イ) 吊ボルトが長く,何らかの事情でLED基板の取り付けられる取付部材の背面に到達してしまった場合,取付部材が吊ボルトに押圧されることでLED基板に応力がかかり,LEDの故障・破壊などの不具合が発生することが考えられる。この他にも,吊ボルトの長短により器具本体への取付部材の取付不備によるLEDユニットの落下やその他の危険性も考慮して本件説明書(甲1の7)が作成されている。
なお,吊ボルトの出しろに関しては,通常は器具の不具合との関係で,一定のマージンを考慮し,ある程度の余裕をもって設計され,それを前提に警告表示などをするものであるため,出しろ長さが35mmを超えている場合の全てにおいて落下等の不具合が必ず発生するわけではないが,これら落下等の不具合の発生を防止するために,安全性を考慮して,ある程度の余裕をもって設計することは,照明器具メーカーとして当然のことである。
そうすると,当業者は,実機を分析するとともに本件説明書を参照し, 「取扱説明書によると,この照明器具のボルトの出しろ長さは15〜35mmにするよう警告してある。と認識するのが共通理解であり, 」 本件照明器具を分析して, 「(ボルトの)出しろ長さが約40mmを超える用途にも使用できる照明器具」という設計思想まで読み取ることが通常であるとはいえない。
(ウ) 原告は,施工現場においては,本件説明書を常に念頭において施工されるものではないと主張するが,本件照明器具が,施設,店舗向けの製品であるこ とからすると,施工業者は,落下や感電等の事故が発生し,顧客等に被害が及ばないよう,一般家庭用製品よりも,本件説明書(甲1の7)の記載に注意を払って設置をする。
また,原告は,本件説明書(甲1の7)の警告表示が標準施工例であるかのような主張をするが,そのように解すべき根拠はなく, 「ボルトの出しろ 15〜35mm」との記載は,同表示に反するような取付けが, 「警告」において「落下・感電・火災の原因」となるとされる「施工に不備がある」場合に該当することを示すものである。
そして,原告は,蛍光灯の照明器具からのリニューアルを考えた場合,施工業者が問題のない範囲で,適宜,吊ボルトの長さを調整するかのような主張をし,吊ボルトの出しろが35mmを超えるものも存在すると主張するが,蛍光灯照明器具からのリニューアル製品であろうがなかろうが,吊ボルトの出しろをどの程度に限定するかは各製品の構造等を踏まえ決定されるものであり,製品ごとに異なるものである。NNF41100発明では,本件説明書(甲1の7)において,出しろが「15mm〜35mm」の範囲に明確に限定されているのであって,施工業者は,それに従って施工することが義務付けられる以上,施工業者の感覚により任意に出しろを決定し得るようなものではない。
(エ) 甲29には,吊ボルトの出しろ長さに関する記載は存在せず,甲29からは,原告が主張するところの「吊ボルトの出しろ長さに施工業者が直面する技術常識」なるものの存在は何ら明らかにされていない。
また,原告が提出する甲26の1〜8・10,甲27の1〜4,甲28の6・7に記載された照明器具は,すべて蛍光灯用の照明器具であって,本件照明器具のようなLED照明用の照明器具とは異なる製品に関するものである。これらの蛍光灯の照明器具では,吊ボルトの出しろ長さが約40mm程度のものが存在するようであるが,単に,それぞれの照明器具の取扱説明書に記載された吊ボルトの出しろ長さの最大値が40mmや50mmと規定されており,それに従って施工されている こと,すなわち,当業者においては,取扱説明書等に従って施工を行うことが技術常識であるという当たり前のことを示しているにすぎない。
甲30は,蛍光灯からのリニューアル施工を考慮した寸法設定で吊ボルトをそのまま使用可能にしたことを示すもののようであるが,その公開日は,平成31年6月21日であり,本件出願日である平成24年10月11日から6年8か月以上も経過した後に公開されたものである。蛍光灯からのリニューアルに際し,吊ボルトの調整に困難を来すという課題が顕在化したのは,甲30が示すように,つい最近のことであり,本件出願日や出願前の本件照明器具の施工時において,リニューアル施工時の吊ボルトの調整が困難であるという課題が顕在化していたとはいえない。
むしろ,甲30は,蛍光灯からLED照明器具へのリニューアルに際し,従来は,ボルトカット又はボルトの継ぎ足し・交換が行われている旨が記載されており,リニューアルをする際には,新たに設置されるLED照明器具の施工規則等に従ったボルト出しろの長さに調節されることが前提とされていたことが分かる。
(5) 摂津市駅において設置されていたとする本件照明器具に基づく主張が許されないこと ア 摂津市駅において設置されていたとする本件照明器具に関して原告が立証しようとする事項は,本件照明器具の「枠体の凹所」に「ボルトの少なくとも一部」及び「点灯装置」が配置されている公然実施品の存在であり,実質的には,本件訴訟において,新たに新規性欠如の無効理由を主張するものであり,これは大法廷判決に照らして許されない。
イ 摂津市駅の本件照明器具(甲24)は,設置後9年以上経過しているものであり,定期点検やメンテナンスの際に設置状況が変化している可能性も高く,本件出願日における設置状況が維持されているのか不明である。
また,摂津市駅に設置された本件照明器具の一部は,同製品において落下や感電等が生ずるとされた本件説明書(甲1の7)の警告の範囲を逸脱した特異な一事例にすぎず,原告が主張するような「本件発明1に想到することが容易であることを 明らかになる」といった関係にはない。
(6) その他原告の主張に対する反論 原告は,審決がNNF41100発明に甲2の2発明を適用する容易想到性について判断してない旨主張するが,甲2の第5実施形態は,光源部の遮光角の調整に関する実施例であって,本件発明1に関連した技術的思想を開示したものではない。
また,審決は,原告の主張を踏まえても,NNF41100発明において,本件説明書の警告に反して,ボルトの出しろを長くすることができない以上,甲2発明を適用する動機付けに欠けると判断しているから,審決の判断には欠けるところはない。
2 取消事由2(甲2の1発明と甲3発明からの本件発明1の容易想到性の判断の誤り)について (1) 本件発明1と甲2発明との相違点 前記1(2)からすると,本件発明1と甲2発明との相違点は,以下のとおりである。
ア 相違点1’’(主位的主張) 「収容部」に関し,本件発明1は,「収容部」を有するのに対し,甲2発明は「収容部」を有しない点。
イ 相違点2’’(予備的主張) 仮に,甲2発明の「凹所」が「収容部」に相当するとしても,「電源装置」に関し,本件発明1の「収容部」は,「収容部」内に吊ボルトの少なくとも一部及び電源装置が干渉しない位置に配置されるのに対し,甲2発明は,電源装置を配置しない点。
ウ 相違点3’’ 「電源装置」に関し,本件発明1は,光源ユニットにおいて電源装置を有するのに対し,甲2発明は器具本体において点灯装置を有する点。
(2) 甲2の1発明に甲3発明を適用する動機付けが存在しないこと 本件発明1は,光源ユニット側の「収容部」内に電源装置を配置するものである が,甲2の1発明は,「施工作業の省力化」を図り,また,「収容凹部11には,所定の収容スペースが確保されるようになっていることによって(甲2の段落【0036】,この収容スペース内に「点灯装置3」を効率的に配置する技術であり,本 )件発明1と甲2の1発明は,電源装置(点灯装置)に関する位置付けが異なる。
また,甲2には,収容スペースに関して, 「点灯装置3」を器具本体1以外に配置する旨の記載も示唆もなく,「点灯装置3」が,「収容凹部11に隙間なく配置」され, 「器具本体1の補強を図る」 (甲2の段落【0036】)とされていることからすると,甲2の1発明では,点灯装置を器具本体以外の場所に設置することは全く想定されていない。
仮に,甲2の1発明において,周知慣用技術1を適用し, 「点灯装置3」の取付位置を,器具本体から光源ユニット側に変更した場合には,器具本体は補強材を失うことから, 「点灯装置3」の寸法や重量等を考慮しつつ,甲2の1発明において採用されている「係止部材4」による簡易な取付構造の見直しを含めた器具全体の再構成が必要となるのであって,全体構造の再検討が必要となる。
このような事情に照らすと,光源ユニット側に電源装置が存在するという周知慣用技術1が存在したとしても,甲2の1発明に触れた当業者にとって,甲2の1発明の「点灯装置3」の位置を変更する動機付けは存在しないのであって,甲2の1発明から,本件発明1の構成に至ることが容易に想到できたものとはいえない。
(3) 阻害要因の存在 甲2の1発明は, 「点灯装置3」を器具本体の「収容凹部11に隙間無く配置」することで,器具本体1の「補強を図る」ものであり(甲2の段落【0036】,甲 )2の1発明は,光源ユニット側に点灯装置を配置することを明示的に排除している。
これは,原告の主張する周知慣用技術1の適用が, 「主引用発明がその適用を排除しており,採用されることが有り得ないと考えられる副引用発明」に当たるものであって,このような事実が阻害要因となることは,審決が正当に認定しているとおりである。
(4) 原告の主張について ア 原告は,甲2の1発明と甲3発明とは,その課題を共通にし,かつ,収容凹部と収容部とで形成する収容スペースを利用して,電源装置の効率的な配置を行うという課題解決手段の共通性があると主張する。
しかし,前記(2)のとおり,甲2発明は,「施工作業の省力化」と「点灯装置の効率的な配置」という二つの課題を前提とした上で,「点灯装置3」を「器具本体の収容スペース」に配置するという具体的な課題解決方法を提示しているのであり,そこには,本件発明1における「天井面からの突出量の低減」という具体的課題はなく,「取付部材の収容部」という構成に関する開示や示唆も存在しておらず,具体的な課題や解決手段の共通性を見いだすことは不可能である。
イ 原告は,甲2発明に甲3発明を適用するに当たっての変更は,設計事項にすぎないと主張するが,仮に,甲2発明において点灯装置を光源部に有するとした場合には,器具本体の強度を維持できるかといった観点から,全体構造の再検討が必要となる。また,光源ユニットに点灯装置を配置した場合には,重量等の影響から,甲2発明の課題解決手段であるところの係止部材による簡易な取付構造がそのまま採用できるかも問題となり,「施工作業の省力化」という甲2発明の課題とその解決手段が根底から覆ることになって,適宜の設計変更とはいえない。
ウ 原告は,「点灯装置3」によって「器具本体1」を補強するといった効果は,あくまでも甲2発明の副次的目的であり,「点灯装置3」を「光源部2」に配置すべき強い動機付けを否定する程の阻害要因とはいえないと主張し,甲36を提出する。
しかし,仮に原告が主張するとおり,点灯装置による器具本体の補強効果が副次的なものであったとしても, 「施工作業の省力化」及び「収容スペースを確保して点灯装置を効率的に配置する」という甲2発明の課題は, 「器具本体1」が「点灯装置3」を有していることを前提としたものである以上,甲2発明において,点灯装置3を器具本体1以外の部位に設置することに阻害要因が認められることに変わりは ない。
甲36は,別の出願に関するものであって,そのような証拠のみをもって当業者の技術水準を裏付けることはできない。また,甲36の段落【0004】は,甲36の従来技術として引用された甲2の図面等を参考に「点灯装置を取付部材に取り付ける場合」を仮定として想定したとすると,その取付位置は, 「取付部材21」の左右の側面でも下面でもなく,上面に取り付けるのが普通であるという意味で,このことを「一般的である」と表現しているにすぎず,甲2を前提に点灯装置の配置を変更することが通常であると認めているものではないし,甲36の段落【0004】は,先行技術として甲2を挙げているものの,単に,取付部材側に点灯装置を配置したときに生ずる甲36の課題を説明するためだけに,甲2を「器具本体側に電源装置がある照明器具」という抽象的な構成と捉えているのであって,甲2発明の具体的構成を前提として,点灯装置の位置変更が可能であると言及したものではない。
仮に,甲2発明における点灯装置の補強部材としての意義や係止爪という簡易な構成を捨象した上,点灯装置の位置を取付部材側に変更したとしても,電線や電気機能部品の大きさによって点灯装置を取付部材側に配置ができないという新たな課題を生ずることになる。
3 取消事由3(甲2の1発明と甲4発明からの本件発明1の容易想到性判断の誤り) (1) 相違点3’’が容易想到ではないこと 甲4発明は,蛍光灯用に使用した既設電源が取り付けられたシャーシ等をLEDに転用する際の技術であり,LED照明である甲2発明とは前提技術を異にする。
また,甲2には,「点灯装置3」以外に,新たな光源部(点灯装置を備えたもの)を取り付けることの記載も示唆もされていない。
さらに,甲2の1発明は, 「点灯装置3」等の部品の配置が効率的ではないという課題の存在を前提として,その課題解決手段として,器具本体の収容凹部に収容ス ペースを確保して点灯装置を効率的に配置することを目的としているのであるから,この目的に反して,「点灯装置3」(電源装置)を光源ユニットに配置するという発想に至ることはないと考えるのが自然であるし,甲2の図面を見る限り,点灯装置は,横幅がちょうど器具本体の収容凹部に嵌まる大きさを有しており,当業者は,この図面の記載から,このような大きさの点灯装置をより小さな取付部材に設置しようとする発想に至ることもない。
以上のとおり,当業者は,甲2の1発明に甲4発明を適用して,光源ユニット側に新たな光源部を設置しようと動機付けられることはなく,むしろ,阻害事由が存在するというべきである。
(2) 原告の主張について ア 原告が提出する甲31,32は,いずれも,「蛍光ランプの点灯装置などの交流出力を・・・」(甲31の段落【0004】),「直管蛍光灯ランプを使用する既設の照明器具構造の器具本体13・・・をそのまま使用し,直管形LEDランプ・・・を使用する(甲32の段落【0011】)などと,蛍光ランプからの変更を目的とした技術である。また,甲33についても,「本発明の・・・ユニット部は,コネクタ付きコード部を備えたインバータ安定器及び電源端子台と・・・」などと,蛍光ランプからの変更の際に使用される「安定器」に関する言及が存在し(甲33の段落【0011】),リニューアル後も既設の安定器を用いることが前提とされていること(甲33の段落【0026】〜【0029】)からすると,蛍光ランプを新たな蛍光ランプに変更する場合の技術であって,LEDに置き換える場合の技術に関するものではない。このように,甲31〜33は,LEDランプの光源ユニットを新たに設置する技術に関するものではなく,甲2の1発明に甲4発明を適用する動機付けの根拠となり得るものではない。
仮に,何らかの事例において,既設の電源装置を残しつつ,新たな電源装置を有する光源ユニットが増設されたことがあったとしても,甲2発明は器具本体の収容 凹部及び取付部材に「係止爪」を設け,これにより取付部材を器具本体に固定する手段を採用することで, 「施工作業の省力化」という甲2発明の課題解決手段を提供するものであり,この点において,甲31〜33とは前提が異なるものである。
原告の主張が,@甲2の1発明に甲4発明を適用した上,同適用により器具本体と光源ユニットの取付方法に関する新たな課題を見いだし,これに対して,さらに,A甲2発明の構成を変更(器具本体の材質や強度の変更)すべきというものであるとすると,いわゆる「容易の容易」の主張にすぎず,これにより本件発明1の容易想到性が否定されるものではない。
イ 原告は,甲2発明における既存「点灯装置3」は,既存「器具本体1」の長尺軸線方向において,約3分の1の長さを占めるだけであり,従前の点灯装置3を残したまま,新規の点灯装置を設けた光源部2とすることができ,甲2発明に甲4発明を組み合わせることについて阻害要因がないと主張する。
しかし,原告が主張する「省資源化,器具取替えコストの低減,現場施工作業者の負担軽減を図るため,天井材に設置した器具本体を利用して,新たな光源ユニットを設置したいとの要望」については,何の裏付けも存在しない。
また,甲4発明は,あくまで蛍光灯ランプに使用した既設電源が取り付けられた既設シャーシについて,既設シャーシや反射板をLED等に転用する際の技術を示すものである。蛍光ランプをLEDランプに置き換える場合には,蛍光ランプとLEDランプとでは用いる電源装置の構成が異なるため,そもそも既設電源をそのまま利用することができない。他方,LEDランプを他のLEDランプに置き換える場合には,電源装置を共通にしていることが一般的であることから,電源装置の配置が異なるものに置き換えることも,一般的に考え難いものである。
4 取消事由4(本件発明2〜4の容易想到性の判断の誤り)について 本件発明2〜4については,本件発明1に関する容易想到性の議論が当てはまり,いずれの発明についても,容易想到性を否定した審決の判断は結論として正当である。
当裁判所の判断
1 本件発明について (1) 本件特許に係る特許請求の範囲の記載は,前記第2の2のとおりであるところ,本件明細書の記載は,以下のとおりである(甲8)。
【技術分野】【0001】 本発明は,光源ユニット及び照明器具に関するものである。
【背景技術】【0002】 従来より,取付ねじを用いて天井に取り付けられる天井直付け型の照明器具が提供されている(例えば特許文献1参照)。この照明器具は,横長且つ長尺状に形成されたベースプレートと,ベースプレートに対して天井と反対側に配置されるウィング部と,複数のホルダを用いてウィング部に取り付けられるLEDユニットとを備える。ベースプレートの略中央部には,取付ねじを通すためのねじ穴が長手方向に沿って複数設けられている。またLEDユニットは,複数のLEDモジュールと,複数のLEDモジュールを支持する支持部材と,複数のLEDモジュールを覆うようにして支持部材に取り付けられるカバーと,複数のLEDに電力を供給するための電力変換部とを有する。そして,一体に組み付けられたLEDユニットは,その一部がウィング部に設けられた凹部に収容された状態で複数のホルダを用いてウィング部に取り付けられる。
先行技術文献】【特許文献】【0003】【特許文献1】特開2011-142063号公報【発明の概要】【発明が解決しようとする課題】 【0004】 上述の特許文献1に示した照明器具では,天井に取り付けた状態で取付ねじがウィング部の凹部内に進入できるようになっておらず,取付ねじのねじ頭を配置するためのスペースがベースプレートとウィング部の間に設けられているため,器具全体の高さ寸法が大きくなってしまい,その結果天井からの突出量が大きくなっていた。
【0005】 本発明は上記問題点に鑑みて為されたものであり,その目的とするところは,天井からの突出量を低く抑えた光源ユニット及び照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】【0006】 本発明の照明器具は,長尺状に形成され吊ボルトを用いて天井材に取り付けられる器具本体と,前記器具本体に取り付けられる光源ユニットとを備え,前記器具本体における前記天井材と反対側には,前記器具本体の長手方向に沿って収容凹部が設けられ,前記収容凹部の底面部には前記吊ボルトを通すための孔が設けられており,前記光源ユニットは,複数のLEDが実装されたLED基板と,前記複数のLEDが前記収容凹部の外側を向くようにして前記LED基板を前記器具本体に取り付けるための取付部材と,前記複数のLEDに点灯電力を供給する電源装置とを有し,前記取付部材は,前記器具本体の前記収容凹部と対向する部位に前記吊ボルトの少なくとも一部及び前記電源装置が配置される収容部を有し,前記電源装置は,前記光源ユニットを前記器具本体に取り付けた状態で前記収容部内における前記吊ボルトと干渉しない位置に配置されることを特徴とする。
【0007】 この照明器具において,前記取付部材は,長尺且つ矩形板状に形成された底面部と,前記底面部の幅方向における両側から前記底面部と交差する方向に突出する一対の側面部とで形成されており,前記底面部と一対の前記側面部とで囲まれる空間 により前記収容部が構成されているのが好ましい。
本発明の光源ユニットは,吊ボルトを通すための孔を有し,前記孔に通された前記吊ボルトによって天井材に取り付けられる器具本体に取り付けられる光源ユニットであって,複数のLEDが実装されたLED基板と,前記複数のLEDに点灯電力を供給する電源装置と,一面側に前記LED基板,他面側に前記電源装置がそれぞれ配置される板状の取付部材とを備え,前記取付部材は,前記器具本体と対向する部位に前記吊ボルトの少なくとも一部及び前記電源装置が配置される収容部を有し,前記電源装置は,前記光源ユニットを前記器具本体に取り付けた状態で前記収容部内における前記吊ボルトと干渉しない位置に配置されることを特徴とする。
この光源ユニットにおいて,前記取付部材は,長尺且つ矩形板状に形成された底面部と,前記底面部の幅方向における両側から前記底面部と交差する方向に突出する一対の側面部とで形成されており,前記底面部と一対の前記側面部とで囲まれる空間により前記収容部が構成されているのが好ましい。
【発明の効果】【0008】 光源ユニットを器具本体に取り付けた状態では,吊ボルトの少なくとも一部が取付部材の収容部に配置されるので,収容部を設けない場合に比べて器具全体の高さ寸法を小さくすることができ,その結果天井からの突出量を低く抑えた照明器具を提供することができるという効果がある。
【発明を実施するための形態】【0011】 本実施形態の照明器具Aは,図1〜図4に示すように,天井直付け型の照明器具であり,吊ボルト200(図1(b)参照)を用いて天井材100に取り付けられる器具本体1と,器具本体1に対して着脱自在に取り付けられる光源ユニット2とを備える。なお本実施形態では,図1(a)に示すように,天井裏に設けた梁400に吊ボルト200が取り付けられており,天井材100に設けた孔を通して吊ボ ルト200が室内側(下側)に露出している。
【0012】 器具本体1は,板金に曲げ加工を施すことで長尺且つ上面(天井材100との対向面)が開口する扁平な箱状に形成され,天井材100と反対側(つまり下側)には光源ユニット2を収容するための矩形の収容凹部11が器具本体1の全長に亘って設けられている。また,器具本体1の左右方向(幅方向)において収容凹部11の両側には,収容凹部11の開口端縁から延出し且つ外側に行くほど上側(天井材100側)に傾斜する傾斜面12,12がそれぞれ設けられている。また,収容凹部11の底面部111には,電線を通すための孔111aが前後方向(長手方向)に沿って複数(図2では5個)設けられており,さらに吊ボルト200を通すための孔111bが前後方向における両端寄りの位置にそれぞれ2個ずつ設けられている。さらに,器具本体1の前後方向における両端部には,図2〜図4に示すように,エンドキャップ3がそれぞれ取り付けられている。
【0013】 光源ユニット2は,図2に示すように,複数(図2では2個)のLED基板22と,LED基板22が取り付けられる取付部材21と,LED基板22を覆うようにして取付部材21に取り付けられるカバー部材23と,LED基板22に所定の点灯電力を供給する電源装置24と,端子台ブロック25とを有する。
【0014】 LED基板22は,前後方向に長い矩形板状に形成されたプリント基板221からなり,プリント基板221の下面には複数のLED(発光ダイオード)222が前後方向(長手方向)に沿って実装されている。また,一方(図2中の右側)のLED基板22の一端部(右端部)には,電源装置24との間を電気的に接続するためのコネクタ223が実装されている。このコネクタ223には電線(図示せず)が接続されており,この電線の端部を電源装置24に接続することでLED基板22と電源装置24とが電気的に接続される。また,各LED基板22において隣接 するLED基板22と対向する端部には,電源供給用のコネクタ224がそれぞれ実装されている。そして,両LED基板22,22のコネクタ224,224を接続することで,一方(図2中の右側)のLED基板22から他方(図2中の左側)のLED基板22に電源を供給することができる。
【0015】 取付部材21は,板金に曲げ加工を施すことでU字状に形成され,長尺且つ矩形板状に形成された底面部211と,底面部211の左右方向(幅方向)における両端から上下方向(底面部211と直交する方向)に延出する一対の側面部212とで構成される。各側面部212の先端には,図1(b)に示すように,互いに離れる方向に傾斜する傾斜部212aがそれぞれ全長に亘って設けられている。底面部211の前後方向(長手方向)における一端部(図2中の右端部)には,LED基板22と電源装置24とを電気的に接続する上記電線を通すための孔211aが設けられている。また,底面部211の前後方向における略中央には,底面部211の一部を上向きに突出させることで形成された矩形の凹部211bが設けられている。この凹部211bは,両LED基板22,22を取付部材21に取り付けた状態で,コネクタ224と取付部材21の底面部211との間の絶縁距離を確保するためのものである。なお,上述したLED基板22は,例えば取付部材21の底面部211の一部を切り起こすことで形成された係止爪(図示せず)により取付部材21に固定される。
【0016】 カバー部材23は,拡散性を有する材料(例えば乳白色のアクリル樹脂)により上面(取付部材21側の面)が開口する長尺状に形成され,左右方向(幅方向)において両端側から中央側に行くほど下側への突出量が大きくなるような凸レンズ形状の拡散面231を有している。また,カバー部材23の左右方向における両端部には,図1(b)に示すように,光源ユニット2を器具本体1に取り付けた状態で,上下方向において器具本体1の収容凹部11の開口端縁と重なる延出部232がそ れぞれ設けられている。また,カバー部材23の左右方向において各延出部232の内側には,上側(取付部材21側)に突出する突壁部233がそれぞれ全長に亘って設けられており,各突壁部233の先端には内向きに突出する突起部233aがそれぞれ設けられている。
【0017】 電源装置24は,電源基板241と,電源基板241を収納するための収納ケース242とを有する。電源基板241は,前後方向に長い矩形板状に形成されたプリント基板241aからなり,このプリント基板241aには,少なくともLED222の点灯電力を生成するために必要な回路部品(例えばトランスやダイオード,コンデンサなど)241bが実装されている。収納ケース242は,図1(b)に示すように,一面(取付部材21の底面部211との対向面)が開口し且つ前後方向に長い矩形箱状の収納部242aと,収納部242aの開口端縁から側方(図1(b)中の左側)に延出する第1延出部242b,第1延出部242bの先端から上側(器具本体1側)に延出する第2延出部242c,及び第2延出部242cと対向する収納部242aの側面部242dで囲まれる空間からなる溝部242eとを有する。この溝部242eは,端子台ブロック25から電源装置24への電線や,電源装置24からLED基板22への電線,隣接する照明器具Aへの送り電線などを通すための配線スペースとして利用される。そして,この電源装置24は,取付部材21の底面部211と両側面部212,212とで囲まれる空間からなる収容部213に少なくとも一部が収容された状態で,例えばねじなどを用いて取付部材21に取り付けられる。
【0018】 端子台ブロック25は,矩形箱状に形成された端子台251と,端子台251を取付部材21に取り付けるための取付金具252とを有する。端子台251には,天井材100を通して室内側(下側)に露出する電源線(図示せず)が接続されるとともに,電源装置24との間を電気的に接続する電線(図示せず)が接続される。
そして,この端子台ブロック25は,少なくとも一部が収容部213に収容された状態で,例えばねじなどを用いて取付部材21に取り付けられる。
【0019】 次に,光源ユニット2の組立手順について説明する。まず最初に,作業者は,電源装置24及び端子台ブロック25をそれぞれ取付部材21の上面側に取り付け,さらに電源装置24と端子台ブロック25の間を電線により接続する。その後,作業者は,上記係止爪によりLED基板22を取付部材21の底面部211に固定し,さらにLED基板22のコネクタ223から導出する電線を取付部材21の底面部211に設けた孔211aに通した後,その端部を電源装置24に接続する。そして最後に,作業者は,開口側を上向きにした状態でカバー部材23を取付部材21に組み付ける。このとき,カバー部材23の各突壁部233にそれぞれ設けた突起部233aが,取付部材21の各側面部212にそれぞれ設けた傾斜部212aと係合し,カバー部材23が取付部材21に取り付けられる。以上のような手順に従って,光源ユニット2が組み立てられる。なお,カバー部材23を取付部材21に取り付ける上記方法は一例であり,他の方法であってもよい。
【0020】 続けて,照明器具Aの施工手順について説明する。まず最初に,作業者は,室内側に露出する上記電源線を器具本体1に設けた孔111aに通し,さらに天井材100を通して室内側に露出する吊ボルト200を孔111bに通した後,吊ボルト200にナット300をねじ込んで器具本体1を天井材100に固定する。その後,作業者は,上記電源線を端子台251に接続し,少なくとも電源装置24及び端子台ブロック25が収容凹部11に収容されるようにして,例えば器具本体1及び取付部材21にそれぞれ設けた嵌合構造(図示せず)により光源ユニット2を器具本体1に取り付ける。以上のような手順に従って,照明器具Aが天井に施工される。
【0021】 ここで,図1(a)及び図1(b)は照明器具Aを天井材100に取り付けた状 態の断面図であり,図1(b)に示すように,吊ボルト200の一部及び電源装置24の一部が取付部材21の収容部213に配置される。また,図1(a)に示すように,電源装置24の長手寸法L1(前後方向に沿った寸法)が吊ボルト200の取付ピッチ寸法P1よりも小さく設定されているため,前後方向(図1(a)中の左右方向)において吊ボルト200と干渉しないように電源装置24を配置することができる。
【0022】 而して本実施形態によれば,光源ユニット2を器具本体1に取り付けた状態では,吊ボルト200の少なくとも一部が取付部材21の収容部213に配置されるので,収容部を設けない場合に比べて器具全体の高さ寸法を小さくすることができ,その結果天井からの突出量を低く抑えた照明器具Aを提供することができる。また,端子台ブロック25から電源装置24への電線や,電源装置24からLED基板22への電線,隣接する照明器具Aへの送り電線などを通すための配線スペースとして収容部213を利用することもできる。さらに,取付部材21の形状をU字状とすることで成形が容易になり,その結果製作工数を削減できてコストダウンを図ることができる。
実施形態の照明器具Aは,長尺状に形成され吊ボルト200を用いて天井材100に取り付けられる器具本体1と,器具本体1に取り付けられる光源ユニット2とを備える。器具本体1における天井材100と反対側には,器具本体1の長手方向に沿って収容凹部11が設けられ,収容凹部11の底面部111には吊ボルト200を通すための孔111bが設けられている。光源ユニット2は,複数のLED222が実装されたLED基板22と,複数のLED222が収容凹部11の外側を向くようにしてLED基板22を器具本体1に取り付けるための取付部材21と,複数のLED222に点灯電力を供給する電源装置24を有する。取付部材21は,器具本体1の収容凹部11と対向する部位に吊ボルト200の少なくとも一部及び電源装置24が配置される収容部213を有する。電源装置24は,光源ユニット 2を器具本体1に取り付けた状態で収容部213内における吊ボルト200と干渉しない位置に配置される。
また,本実施形態の照明器具Aのように,取付部材21は,長尺且つ矩形板状に形成された底面部211と,底面部211の幅方向における両側から底面部211と交差する方向に突出する一対の側面部212とで形成されているのが好ましい。
この場合,底面部211と一対の側面部212とで囲まれる空間により収容部213が構成されている。
実施形態の光源ユニット2は,吊ボルト200を通すための孔111bを有し,孔111bに通された吊ボルト200によって天井材100に取り付けられる器具本体1に取り付けられる。光源ユニット2は,LED基板22と,電源装置24と,取付部材21とを備える。LED基板22は,複数のLED222が実装される。
電源装置24は,複数のLED222に点灯電力を供給する。取付部材21は,板状であって,一面側にLED基板22,他面側に電源装置24がそれぞれ配置される。取付部材21は,器具本体1と対向する部位に吊ボルト200の少なくとも一部及び電源装置24が配置される収容部213を有する。電源装置24は,光源ユニット2を器具本体1に取り付けた状態で収容部213内における吊ボルト200と干渉しない位置に配置される。
また,本実施形態の光源ユニット2のように,取付部材21は,長尺且つ矩形板状に形成された底面部211と,底面部211の幅方向における両側から底面部211と交差する方向に突出する一対の側面部212とで形成されているのが好ましい。この場合,底面部211と一対の側面部212とで囲まれる空間により収容部213が構成されている。
【図1】 【図2】 【図3】【図4】 (2) 前記(1)の記載からすると,本件発明は,以下のとおりのものであると認められる。
ア 技術分野・背景技術・発明が解決しようとする課題 本件発明は,光源ユニット及び照明器具に関するものである(段落【0001】。
)従来からある取付ねじを用いて天井に取り付けられる天井直付け型の照明器具においては,天井に取り付けた状態で,取付ねじのねじ頭を配置するためのスペースが必要となり,そのために,器具全体の高さ寸法が大きくなってしまい,その結果,天井からの突出量が大きくなってしまうという課題があった(段落【0002】〜【0004】。
) 上記課題を解決するため,本件発明は,天井からの突出量を低く抑えた光源ユニット及び照明器具を提供することを目的としている(段落【0005】。
) イ 課題を解決するための手段 本件発明の照明器具は,長尺状に形成され吊ボルトを用いて天井材に取り付けられる器具本体及びそれに取り付けられる光源ユニットであって,器具本体には,天井材と反対側に,器具本体の長手方向に沿って収容凹部が設けられ,収容凹部の底面部には吊ボルトを通すための孔が設けられている。本件発明の光源ユニットは,複数のLEDが実装されたLED基板と,複数のLEDが収容凹部の外側を向くようにしてLED基板を器具本体に取り付けるための取付部材と,複数のLEDに点灯電力を供給する電源装置とを有するものであり,取付部材は,器具本体の収容凹部と対向する部位に前記吊ボルトの少なくとも一部及び電源装置が配置される収容部を有し,電源装置は,光源ユニットを器具本体に取り付けた状態で収容部内における吊ボルトと干渉しない位置に配置されている(段落【0006】, 【0007】。
) ウ 発明の効果 光源ユニットを器具本体に取り付けた状態では,吊ボルトの少なくとも一部が取付部材の収容部に配置されるので,収容部を設けない場合に比べて器具全体の高さ寸法を小さくすることができ,その結果天井からの突出量を低く抑えた照明器具を 提供することができる(段落【0008】。
) 2 取消事由1(NNF41100発明と甲2の2発明に基づく本件発明1の容易想到性判断の誤り)について (1) NNF41100発明の認定 ア 本件照明器具は,本件出願日以前に一般に販売されていたものである(甲1の1)ところ,証拠(甲1の1・2・7〜10,甲19)及び弁論の全趣旨によると,NNF41100発明の構成は,以下のとおりであると認められる。
「器具本体側面に貼付されたラベルには『LED照明器具』『品番NNF411 ,00LE9』『09年製』と記載され,前記器具本体とLEDユニットから構成さ ,れる照明器具であり,前記器具本体は,縦940mm,横196mm,平面視長方形の形状に形成され,前記LEDユニットが取り付けられた状態で,前記LEDユニットの長手方向の両端からそれぞれ146〜148mmの位置(中心位置)に20mmの取付ボルト穴が形成され, 前記取付ボルト穴に,天井材に取り付けた取付ボルトを挿通させ,前記取付ボルトにナットを螺合させて,前記器具本体は前記天井材に取り付けられ, 前記器具本体は,前記天井材に取り付けられる面と反対側に,前記器具本体の長手方向に沿って凹所(器具本体の凹所)が設けられ, 前記器具本体の前記凹所の底面に,前記取付ボルト穴が設けられており, 前記LEDユニットは,6個のパネル,各パネルの下に9個のLEDが実装されたLED基板及び2台の電源ユニットを取り付ける枠体を有し, 前記LED基板は,LEDが前記器具本体の凹所の外側を向くように前記枠体に取り付けられ, 前記LEDユニットは,前記器具本体の凹所と向かい合う,前記枠体の側壁と底面で囲まれた空間(枠体の凹所)を有し,この枠体の凹所に2台の前記電源ユニットが配置されており,2台の前記電源ユニットの一部は前記枠体の凹所内に位置し, 2台の前記電源ユニットの前記枠体に対する長手方向の位置は,前記枠体の両端 からそれぞれ約365mmであり,前記取付ボルト穴の位置とは干渉しない位置に設定され, 前記器具本体と前記LEDユニットとを取り付け,天井に前記照明器具を取り付けた状態で,天井材から前記LEDユニットの前記枠体の一対の前記側壁の各頂面までの寸法は,約40mmであり, 前記枠体は,縦1096mm,横200mmの平面視長方形の形状に形成され,底面の鋼板と,底面の鋼板の幅方向における両側から,底面の鋼板と交差する方向にそれぞれ突出する一対の側壁を含む構成であり, 前記枠体には,その底面の鋼板と前記一対の側壁とで囲まれる空間により,前記枠体の凹所が構成されている照明器具。」 イ (ア) 審決は,前記アとは異なり,NNF41100発明の照明器具が,天井に見立てた板材に取り付られるものであると認定した。しかし,本件照明器具が,天井材に取り付けて使用される照明器具であることはその外観から明らかであるから,審決の上記認定は相当ではなく,NNF41100発明については,前記アのとおり,天井材に取り付けられて使用されるものであるとしてこれを認定するのが相当である。
(イ) 原告は,NNF41100発明においては,「電源ユニット」及び「電源ブロック」が,本件発明1の「電源装置」に相当するものであるとして,前記アの「2台の前記電源ユニットの一部は前記枠体の凹所内に位置し,」という点について,「前記枠体は,前記器具本体の前記凹所と対向する部位に前記2台の電源ユニット及び電源ブロックが配置される」と認定されるべきであるなどと主張する。
しかし,本件発明の「電源装置」とは「複数のLEDに点灯電力を供給する」もの(本件特許の【請求項1】)であり,本件明細書の実施例では, 「電源基板241」及び「収納ケース242」からなるものが「電源装置」とされている(段落【0017】)ことからすると,本件発明の「電源装置」とは,上記のような電源基板と収 納ケースからなるものであると解される。
他方,本件照明器具の「電源ユニット」も,回路基板とそれを納めるカバーを備えているもの(甲19の写真[045])であり,本件発明にいう「電源装置」に当たるものといえる。
したがって,本件照明器具において,本件発明の「電源装置」に相当するものは「電源ユニット」であり, 「電源ブロック」も本件発明の「電源装置」に当たるとする原告の主張を採用することはできない。
(2) 本件発明1とNNF41100発明との対比 ア 本件発明1の「収容部」とNNF41100発明の枠体の側壁と底面で囲まれた空間(枠体の凹所)との関係について (ア) 本件発明1における「収容部」の意義について a 本件発明1における「収容部」について,本件特許の【請求項1】では,「取付部材は,前記器具本体の前記収容凹部と対向する部位に前記吊ボルトの少なくとも一部及び前記電源装置が配置される収容部を有し,」,「前記電源装置は,前記光源ユニットを前記器具本体に取り付けた状態で前記収容部内における前記吊ボルトと干渉しない位置に配置される」とされている。
また,本件明細書では,発明の効果について記載した段落【0008】に「光源ユニットを器具本体に取り付けた状態では,吊ボルトの少なくとも一部が取付部材の収容部に配置されるので,収容部を設けない場合に比べて器具全体の高さ寸法を小さくすることができ,その結果天井からの突出量を低く抑えた照明器具を提供することができる・・・」と記載され,さらに,実施例について記載した段落【0017】に「・・・この電源装置24は,取付部材21の底面部211と両側面部212,212とで囲まれる空間からなる収容部213に少なくとも一部が収容された状態で,例えばねじなどを用いて取付部材21に取り付けられる。
・・・」と記載され,【図1】の(b)が掲げられている。
そして,本件発明1において「収容部」と対向するとされる「収容凹部」につい ては,本件特許の【請求項1】には, 「前記器具本体の長手方向に沿って収容凹部が設けられ,前記収容凹部の底面部には前記吊ボルトを通すための孔が設けられており, とされており, 」 実施例について記載した本件明細書の段落【0020】 「・ ・ に ・少なくとも電源装置24及び端子台ブロック25が収容凹部11に収容されるようにして,・・・」と記載されている。
以上のような請求項及び本件明細書の記載並びに「収容」の辞書的な意味が「人や物品を一定の場所に納めたり,入れたりすること」とされていて(乙1,2),同じく「対向」の辞書的な意味が「互いに向き合うこと」であること(広辞苑第七版)を考え併せると,本件発明1における「収容部」とは, 「取付部材に設けられた空間であり,器具本体に設けられた空間である『収容凹部』と互いに向き合う部位に存在していて, 『電源装置』及び『吊ボルト』の少なくとも一部を収容し,かつ高さ方向で『電源装置』及び『吊ボルト』が互いに干渉しないように水平方向に『電源装置』及び『吊ボルト』を配置するもの」と解することができる。
「収容部」の意義について,上記で述べたところを超えて更に限定的に解すべき理由はない。
なお,本件特許の【請求項1】には, 「吊ボルト」は少なくとも一部が「収容部」に配置されているのに対し,「電源装置」については,「収容部」に配置されるとされているのみで, 「吊ボルト」のような限定はないが,そうであるからといって, 【請求項1】の文言上, 「電源装置」の全部が「収容部」に配置されなければならないとは解されない上,上記のとおり,本件明細書には,電源装置24の一部が「収容部213」に収容された実施例が記載されているから, 「収容部」の意義としては, 「電源装置」についても,少なくとも一部が配置されるものと解することができる。
b 原告は,本件特許の【請求項1】の「取付部材は,前記器具本体の前記収容凹部と対向する部位に」との語は, 「前記吊ボルトの少なくとも一部及び前記電源装置が配置される」を修飾するものであって,収容部の位置関係を特定するものではないと主張する。しかし,原告の主張するように解したとしても, 「吊ボルト」や「電源装置」を収容するのが「収容部」である以上, 「収容凹部」と「収容部」 が対向する位置関係にあるといえるから,上記aの判断は左右されない。
c 被告は,本件発明1における「収容部」の意義について, 【請求項1】の記載,「収容」の辞書的意味及び本件明細書の記載からすると,「器具本体の『収容凹部』の@『内側』において,A『収容凹部』とは別個独立して, 『取付部材の底面部及び両側面部とで構成された空間』」を意味するものであると主張する。
(a) 上記@について 本件特許の【請求項1】にも本件明細書にも, 「収容部」が「収容凹部」の内側にあるとは記載されていない。
また,「収容部」が「収容凹部」の「内側」にない場合であっても,「収容部」が「収容凹部」に対向する部位に存在し, 「電源装置」及び「吊ボルト」の少なくとも一部を収容することに何ら支障はないものと解される。
さらに,効果についても, 「収容部」が設けられ,その中で「電源装置」及び「吊ボルト」が互いに高さ方向で干渉しないような配置で収容される限りにおいて,天井からの突出量の低減という本件発明1の効果が生じるといえる。
そうすると,被告が主張するように本件発明1の「収容部」の位置関係について,「収容凹部」の内側にあると限定的に解釈することはできないというべきである。
? 上記Aについて 「収容部」は取付部材に設けられた空間であり,器具本体に設けられた空間である「収容凹部」とは別の空間であるという意味において,「収容部」と「収容凹部」が概念上別個独立の空間であるということはできる。
しかし,そうであるからといって, 「収容部」と「収容凹部」が照明器具を天井に取り付けた場合に位置的に異なる空間でなければならない,すなわち,ある一つの空間が「収容部」でも「収容凹部」でもあるということがないと解することはできない。本件発明1においては, 「収容部」は「収容凹部」に対向する部位に存在するが, 「収容部」と「収容凹部」が位置的に重なっていても, 「収容部」である空間が,「収容凹部」である空間の一部であり,その一部が「収容凹部」と対向する部位に 存在すれば, 「収容部」が「収容凹部」に対向する部位に存在するということができるからである。
また,ある一つの空間が「収容部」でも「収容凹部」でもあるからといって, 「収容部」が「電源装置」及び「吊ボルト」の少なくとも一部を収容することができないということはないし, 「収容部」が設けられ,その中で「電源装置」及び「吊ボルト」が,高さ方向において干渉しないように配置される限り,天井からの突出量の低減という本件発明の効果を奏するということができる。本件明細書の【図1】b) (には, 「収容部」の空間と「収容凹部」の空間が重なり合った実施例が記載されている。
したがって,本件発明1において,光源ユニットが器具本体に取り付けられた状態で, 「収容部」と「収容凹部」が位置的に異なる空間でなければならないと解することはできない。
(イ) NNF41100発明の枠体の凹所について a (イ) NNF41100発明において,以下の図の水色で示した部分(枠体の凹所)は,枠体に設けられた空間であり,器具本体に設けられた空間である「器具本体の凹所」に対向する部位に存在しており,電源ユニットの一部を収容しており,かつ高さ方向で「電源ユニット」及び「取付ボルト」が互いに干渉しないように水平方向に「電源ユニット」及び「取付ボルト」が配置されているから,「取付ボルト」の少なくとも一部を収容するという点を除いては,本件発明1の「収容部」の構成を備えているということができる。
b 被告は,@枠体の凹所は,器具本体の凹所を塞いだものにすぎず,器具本体の凹所と独立して対向する空間としては存在していないこと,A枠体の凹所を本件発明1の「収容部」に相当すると考えると, 「収容部」に吊ボルト等の部材を配置することはできない空間が生じてしまい,本件発明1の「収容部」の意義に反することになること,B枠体の凹所が, 「天井面からの突出量の低減」という本件発明1の課題や技術思想と無関係であることからすると,NNF41100発明の枠体の凹所は,本件発明1の「収容部」に相当するものではないと主張する。
(a) 上記@について 本件照明器具において,枠体の凹所は,本件発明1の「取付部材」に当たる枠体に存しており,器具本体と合体する前は,本件発明1の「収容凹部」に当たる器具本体の凹所とは別個独立した空間として存在しており,それらが合体して天井に取り付けられた場合は,上記の各凹所の空間は,一部重なることになるが,そうであるとしても,枠体の凹所は,器具本体の凹所に対向する部位に存在するということができる。上記の各凹所の空間が一部重なることによって本件発明1の「収容部」 ということが妨げられないことは,前記(ア)c(b)で判断したとおりである。
? 上記Aについて 本件特許の【請求項1】にも本件明細書にも,本件発明1の「収容部」に吊ボルト等の部材を配置することはできない空間が含まれてはならないことを示す記載は存在せず, 「収容部」に吊ボルト等の部材を配置することができない空間が含まれたとしても,それが「収容部」の意義と反するわけではない。
? 上記Bについて NNF41100発明の枠体の凹所は,取付ボルトの一部を収容していないという点以外では,本件発明1の「収容部」と同じ構成を備えているものであり,取付ボルトと電源ユニットが高さ方向で干渉し合わない位置に配置されているため,そのような構成を持たない照明器具に比して,天井からの突出量は低減されていると認められるから,本件発明1の課題や技術思想と無関係であるということはできない。
(d) 以上からすると,被告の上記@〜Bの主張は,前記aの認定を左右するものとはいえない。
(ウ) 小括 以上の検討のとおり,NNF41100発明の枠体の凹所は,取付ボルトを収容すること以外の点では,本件発明1の「収容部」に相当する構成を備えているものである。
イ 「収容部」と「電源装置」の配置(審決の相違点3)について 審決は,本件発明1とNNF41100発明との間の相違点3として, 「『収容部』と『電源装置』の配置に関し,本件発明1は, 『電源装置が配置される収容部』であるのに対し,NNF41100発明は, 『電源ユニット』の一部が配置される「枠体の凹所」である点。」が存在すると認定している。
確かに,本件特許の【請求項1】において, 「少なくとも一部」が配置されると明示されている吊ボルトとは異なり,文言上,本件発明1では電源装置が収容部に配 置されているとしか記載されていない。しかし,前記ア(ア)aのとおり,本件発明1の「収容部」は, 「電源装置」の少なくとも一部を収容していることで足りるものであると解される。そして,前記(1)のとおり,NNF41100発明の枠体の凹所は,「電源ユニット」の一部を収容しているから, 「電源装置の収容」という点で本件発明1とNNF41100発明との間に違いはない。
そうすると, 「電源装置の配置」に関して,本件発明1とNNF41100発明との間に違いはなく,相違点3は相違点ではないか又は実質的な相違点とはいえない。
ウ 本件発明1とNNF41100発明との一致点及び相違点 前記ア,イで検討したところに証拠(甲1の1・2・7〜10,甲8,19)及び弁論の全趣旨を総合すると,本件発明1とNNF41100発明との一致点及び相違点は,以下のとおり認定される。
(一致点) 「長尺状に形成され吊ボルトを用いて天井材に取り付けられる器具本体と,前記器具本体に取り付けられる光源ユニットとを備え, 前記器具本体における前記天井材と反対側には,前記器具本体の長手方向に沿って収容凹部が設けられ,前記収容凹部の底面部には前記吊ボルトを通すための孔が設けられており, 前記光源ユニットは,複数のLEDが実装されたLED基板と,前記複数のLEDが前記収容凹部の外側を向くようにして前記LED基板を前記器具本体に取り付けるための取付部材と,前記複数のLEDに点灯電力を供給する電源装置とを有し, 前記取付部材は,前記収容凹部と対向する部位に前記電源装置の少なくとも一部が収容される空間を有し, 前記電源装置は,前記光源ユニットを前記器具本体に取り付けた状態で,前記吊ボルトと干渉しない位置に配置される照明器具。」(相違点) 本件発明1の「電源装置の少なくとも一部が収容される空間」は, 「吊ボルトの少 なくとも一部」についても併せて収容するのに対し,NNF41100発明の同空間は,「吊ボルト」を収容しない点。
(3) 相違点の容易想到性 前記(1)のNNF41100発明の構成及び前記(2)で認定した相違点からすると,NNF41100発明において,ボルトの出しろの長さを約40mm超とすると,枠体の凹所にボルトの一部が収容されるようになり,相違点は解消されるから,NNF41100発明において,後に認定する甲2発明を適用して,ボルトの出しろの長さを約40mmを超えるものとすることについての動機付けがあるかどうかについて検討する。
ア 本件説明書(甲1の7)に, 「各部のなまえと取付けかた」という箇所に「警告」という表題の下に, 「施工は,取扱説明書にしたがい確実に行なう。施工に不備があると落下・感電・火災の原因となります。」と記載された上,ボルトの出しろの長さを15〜35mmとすることが記載されている。本件説明書は,本件照明器具の施工及び取扱いについて説明しているもので,冒頭に, 「工事店様へ,この説明書は保守のためお客様に必ずお渡し下さい。」と記載されていることからも明らかなように,当初の取付けのみならず,その後の保守に当たっても本件照明器具の施工及び取扱いについて説明しているものである。そうすると,当業者が,上記記載に反してボルトの出しろの長さを約40mmを超えるものとすることを容易に想到するとはいえない。
そして,このことは,@施工現場ではさまざまなボルトの出しろが存在する,A本件照明器具が構造上,ボルトの出しろが40mmを超えるものを使用できる,B本件説明書では,ボルトの出しろの長さが具体的な危険と結び付けて記載されていないとしても,左右されるものではない。
また,原告は,本件照明器具が,既存の照明器具からのリニューアル製品として予定されたものであり,リニューアルの施工現場においては,既存の照明器具の既設のボルトの出しろが約35mm以上のものが数多く存在していたところ,施工時 には,ボルトの出しろの長さをそのままにしてリニューアルしたいという動機付けが生じると主張するが,施工の実情がそうであるからといって,当業者が本件説明書の記載に反してボルトの出しろの長さを約40mmを超えるものとすることを容易に想到するということはできない。
さらに,摂津市駅の施工事例(甲24,甲25の1・2)についても,単に施工業者がボルトの出しろの長さを本件説明書の記載に反して長くした一事例があったということを示すだけであって,上記判断を左右するものではない。
なお,被告は,摂津市駅の施工事例を主張立証することが,大法廷判決に照らして許されないと主張するが,原告は,上記施工事例を引用例として主張するものではなく,あくまでもNNF41100発明に基づく容易想到性の立証のために提出しているのであるから,そのような趣旨で主張立証することが許されないということはない。
イ 前記1(2)のとおり,本件発明は,天井からの突出量を低く抑えた光源ユニット及び照明器具を提供することであり,吊ボルトの一部を収容部に配置するという構成も,そのような課題の解決手段として採用されているものである。
後記3(1)イのとおり,甲2発明は,施工作業の省力化や点灯装置を効率的に配置することを課題とするものであって,天井からの突出量の低減をその課題とするものではない。また,その他の証拠からしても,天井からの突出量の低減という課題が,照明器具一般に共通する周知のものとして存在していたと認めるに足りる証拠はない。
そうすると,天井からの突出量を低減するために,NNF41100発明に,後記の甲2発明を適用する動機付けがあるとはいえないし,まして,本件説明書の記載に反して,甲2発明を適用する動機付けがあるとはいえない。
この点について,原告は,甲2の【図25】から,当業者は,吊ボルトの出しろ長さぎりぎりの位置まで, 「光源部2」を「器具本体1」に押し込む構成が理解できる上, 「取付ボルトBt」の出しろ長さが器具本体の天井面からの突出量を小さくす る限界値を定める技術的意義も, 「取付部材21」にぶつからない範囲まで「光源部2」を器具本体に押し込んでよいことの技術的意義も理解できると主張するが,甲2には, 【図25】の上記記載について,天井からの突出量を低減するとの技術的意義があるとの記載はなく,その他,これをNNF41100発明に適用することを動機付ける記載があるとも認められないから,上記の【図25】に係る甲2発明をNNF41100発明に適用することが動機付けられるということはできない。
ウ 以上の検討によると,NNF41100発明に甲2発明を適用して,ボルトの出しろの長さを約40mmを超えるものとすることについての動機付けがあるとはいえないから,前記(2)ウで認定した相違点は容易想到ではない。
(4) 小括 以上のとおり,本件発明1とNNF41100発明との間の相違点は容易想到なものとはいえないから,無効理由1についての審決の判断は結論において相当であり,原告が主張する取消事由1は理由がない。
3 取消事由2(甲2の1発明と甲3発明からの本件発明1の容易想到性の判断の誤り)について (1) 甲2発明の認定 ア 甲2の記載内容【特許請求の範囲】【請求項1】 長手方向に沿って略中央部に収容凹部を有し,この収容凹部に沿い,かつ幅方向の両側に一体的に形成された側板部を備えた本体と; 複数の発光素子を光源とし,前記収容凹部に収容スペースを確保して開口部側を覆うように配設された光源部と; 前記収容スペースに配置された前記複数の発光素子を点灯制御する点灯装置と; を具備することを特徴とする照明器具。
発明の詳細な説明】 【技術分野】【0001】 本発明の実施形態は,LED等の発光素子を光源として用いる照明器具に関する。
【背景技術】【0002】 従来,蛍光ランプを光源とする照明器具にあっては,通常,器具本体と反射板とをそれぞれ別個に設け,器具本体に点灯装置等の部品が配設されるようになっている。
【0003】 また,近時,LEDの高出力化,高効率化及び普及化に伴い,光源としてLEDを用いた屋内又は屋外で使用される長寿命化が期待できる照明器具が開発されている。この照明器具は,LEDを基板に複数実装して所定の光量を得るようにしたもので,例えば,天井面等に直接的に取付けられる,いわゆる直付タイプのベース照明として用いられている。
【発明が解決しようとする課題】【0005】 しかしながら,上記のような照明器具においては,器具本体と反射板等とがそれぞれ別個に設けられており,照明器具の設置に際し,施工作業の省力化が困難であり,また,点灯装置等の部品の配置が効率的ではないという課題が存在する。
【0006】 本発明は,上記課題に鑑みなされたもので,施工作業の省力化を図ることができるとともに,収容スペースを確保して点灯装置を効率的に配置することができる照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】【0007】 本発明の照明器具は,長手方向に沿って略中央部に収容凹部を有し,この収容凹 部に沿い,かつ幅方向の両側に一体的に形成された側板部を備えた本体を有する。
複数の発光素子を光源とする光源部は,前記収容凹部に収容スペースを確保して開口部側を覆うように配設される。前記収容スペースには,前記複数の発光素子を点灯制御する点灯装置が配置される。
【発明の効果】【0008】 本発明によれば,部品点数を少なくでき,施工作業の省力化を図ることができる。
また,収容凹部には,収容スペースが確保されるので点灯装置を効率的に配置することが可能な照明器具を提供することができる。
【発明を実施するための形態】【0011】 図1乃至図4において,天井面へ設置される天井直付けタイプの照明器具が示されており,この照明器具は,逆富士型をなしていて,横長であって長尺状をなす器具本体1と,この器具本体1に配設された光源部2及び点灯装置3と,光源部2を器具本体1に取付けて保持する係止部材4とを備えている。
【0012】 図6及び図7の参照を加えて示すように,器具本体1は,亜鉛めっき鋼板を折曲して形成され,長手方向に沿って略中央部に収容凹部11が形成されている。収容凹部11は,天板部11aと,この天板部11aの両側から前面側に直角に垂下するように折曲されて形成された側壁11bとから構成されている。また,収容凹部11の開口部側であって幅方向の両側,すなわち,側壁11bの前面側の両側は,側面視,略V字状に折曲されて収容凹部11に沿って側板部11cが形成されている。したがって,側板部11cは,側面形状が背面方向へ拡がる傾斜面を備えている。
【0013】 この収容凹部11及び側板部11cは板材を折曲して一体的に形成されており, 少なくともこれらの前面側の表面は,光の反射率が高くなるように白色の塗装が施されている。したがって,側板部11cの傾斜面における表面は,反射面をなしていて,側板部11cは,反射板として機能するようになっている。
【0014】 収容凹部11の側板部11cにおける長手方向の両端部には,一対の係止爪通過孔11dが形成されている。この係止爪通過孔11dには,後述する係止部材4の係止爪4aが配置されるようになっている。また,この一対の係止爪通過孔11dと対向するように側板部11cには,解除孔11eが形成されている。この解除孔11eは,後述するように係止部材4の係止爪4aを解除操作するために用いられる。
【0015】 また,主として図2及び図6に示すように,器具本体1の背面側,すなわち,天板部11aの両端側には,一対の取付穴11fが形成されている。この取付穴11fには,天井の構造体に設けられた一対の取付ボルトBtが外面側から貫通し,器具本体1が天井面に設置されるようになっている。なお,取付穴11fの周囲には,取付穴11fを補強するために,背面側へドーム状に突出する補強部11gが形成されている。さらに,器具本体1の長手方向の両端には,略逆台形状の端板12が取付けられている。
光源部2は,取付部材21と,複数の発光素子22が実装された基板23と,カバー部材24とを備えている。
【0016】 図8及び図9の参照を加えて示すように,取付部材21は,器具本体1と同様に,横長であって長尺状に形成されており,長手方向に沿って平坦な取付面21aと,この取付面21aの両側から背面方向へ直角に立ち上がった第1の側壁21bと,この第1の側壁21bから水平方向に延出し,さらに背面方向に向かって内側に傾斜状に立ち上がった第2の側壁21cとを有している。また,第1の側壁21bに おける取付面21a側には,複数の切起し片21dが略等間隔に幅方向の外側に突出して形成されている。
取付部材21には,亜鉛めっき鋼板やアルミニウムの板材等の熱伝導が良好な材料が用いられている。
【0017】 基板23は,略長方形状に形成されており,複数,すなわち,4枚の基板23が直線状に並べられて取付部材21の取付面21aにねじ止め等によって,その裏面側が取付面21aに密着するように取付けられている。この基板23の表面側には,複数の発光素子22が実装されている。
【0019】 発光素子22は,LEDであり,表面実装型のLEDパッケージである。概略的にはセラミックスで形成された本体に配設されたLEDチップと,このLEDチップを封止するエポキシ系樹脂やシリコーン樹脂等のモールド用の透光性樹脂とから構成されている。
【0023】 このように構成されたカバー部材24は,複数の発光素子22が実装された基板23を 覆うように取付部材21に取付けられている。具体的には,図4に示すように,カバー部材24の一対の嵌合溝24aに取付部材21の切起し片21dがスライドして嵌合し,取付けられるようになっている。
以上のように,光源部2は,取付部材21と,複数の発光素子22が実装された基板23と,カバー部材24とが組合わされて一体化されて構成されている。
【0024】 また,点灯装置3が器具本体1の収容凹部11における天板部11aの内側に取付けられている。点灯装置3は,箱状のケース内に回路基板及びこの基板に実装された回路部品を収容して構成されており,商用交流電源ACに接続されていて,この交流電源ACを受けて直流出力を生成するものである。点灯装置3は,例えば, 全波整流回路の出力端子間に平滑コンデンサを接続し,この平滑コンデンサに直流電圧変換回路及び電流検出手段を接続して構成されている。したがって,点灯装置3は,基板23を介して発光素子22に接続されており,その直流出力を発光素子22に供給し,発光素子22を点灯制御するようになっている。
【0025】 点灯装置3は,図4及び図14に示すように,そのケースの両側壁が収容凹部11の側壁11bに隙間なく接触するように配置されている。このため,点灯装置3は器具本体1を補強する役目を果たしている。なお,ここで,隙間なくとは,点灯装置3の側壁と収容凹部11の側壁11bとが全面的に接触している必要はなく,補強効果との関係で把握されるものであり,僅かな隙間の存在は許容されるものである。さらに,点灯装置3は,前記一方の取付穴11fの近傍に配置されている。
【0027】 係止部材4は,図12及び図13の参照を加えて示すように,ステンレス材料等のばね材によって略コ字状に折曲して形成されている。また,係止部材4の両端には,係止爪4aが内側に折曲して形成されている。この係止部材4は,図2乃至図4に示すように,器具本体1の収容凹部11の両端部側に外側から重合するように一対取付けられる。より詳しくは,図4に示すように,係止爪4aが収容凹部11の係止爪通過孔11dを通って配置され,収容凹部11の外側にねじ等の固定手段(図3参照)によって取付けられるようになっている。
このように構成された係止部材4には,図5に示すように,光源部2が取付けられる。つまり,収容凹部11の開口部側を覆うように光源部2が配設される。
【0028】 光源部2を器具本体1に対して図示矢印方向に移動すると,取付部材21の傾斜状の第2の側壁21cが係止部材4の係止爪4aに当接する。この状態からさらに光源部2の移動を進め,係止爪4aの弾性に抗して収容凹部11に押し込むようにすることにより,係止爪4aが第2の側壁21cによって外側に弾性変形し,光源 部2が収容凹部11内へ移動する。そして,第2の側壁21cが所定量収容凹部11内へ入ると,係止爪4aの弾性変形が解かれ,取付部材21が係止爪4aによって所定位置に係合保持される(図4参照)。
この場合,第2の側壁21cは,傾斜状に形成されているので,係止爪4aとの関係において,光源部2の取付けを円滑に行うことができる。
【0030】 まず,設置にあたっては,図5に示すように,天井の構造体に設けられた一対の取付ボルトBtを外面側から器具本体1の天板部11aの取付穴11fに通し,この取付ボルトBtに天板部11aの内面側からワッシャを介してナットNtを締め付ける。これにより,天板部11aの外面側の補強部11g及び側板部11cの背面側一端部が天井面Cに密着して器具本体1は,天井面Cに設置される。この場合,図15に示すように,取付ボルトBtが通り,ナットNtによって締め付けられる取付穴11f(図示上,左側)は,点灯装置3が配置される部位の近傍に形成されているので,上述の補強効果でその締め付け力によって器具本体1が変形するのを抑制することができる。
【0031】 続いて,光源部2を器具本体1に取付ける。この場合,図4に示すように,収容凹部11には,所定の収容スペースが確保されるようになっている。このため,収容凹部11に 点灯装置3や端子台5等を配置することが可能となり,また,光源部2を器具本体1に取付けることによって,点灯装置3,端子台5や配線関係部材が光源部2でカバーされ,外観上見え難くなるので,格別な部材を設けることなく外観性を良好なものとすることが可能となる。
【0034】 次に,図18に示すように,メンテナンス等により器具本体1から光源部2を取外すため,係止部材4を解除する動作について説明する。例えば,ドライバー等の工具用い(判決注: 「工具を用い」の誤記と認める。,ドライバーの先端を側板部1 ) 1cに形成された解除孔11eに挿入する。次いで,係止部材4の係止爪4aをドライバーによって図示矢印方向に変形させて係止爪通過孔11dから外す。すると,係止爪4aの係合が解かれるので(他方の係止部材4の係止爪4aの係合も解除する) 光源部2を下方に引っ張ることにより光源部2を取外すことができる。
, このように解除孔11eが形成されているので光源部2の取外しを容易に行うことができる。
【0036】 以上のように本実施形態によれば,収容凹部11を有する器具本体1には,側板部11cが一体的に形成されているので,部品点数を少なくでき,施工作業の省力化を図ることができる。また,収容凹部11には,所定の収容スペースが確保されるようになっているので点灯装置3を効率的に配置することが可能となり,さらに,光源部2を器具本体1に取付けることによって,点灯装置3等の部品が光源部2でカバーされ,外観性を良好なものとすることができる。
また,点灯装置3は,収容凹部11に隙間なく配置されているため,器具本体1の補強を図ることができる。
【0047】 次に,本発明の第5の実施形態に係る照明器具について図24及び図25を参照して説明する。なお,第1の実施形態と同一又は相当部分には同一符号を付し重複した説明は省略する。
【0048】 本実施形態は,器具本体1に対し,光源部2の前面側,背面側方向への突出量を変更できるようにしたものである。これによって,遮光角を調整することができる。
【0049】 係止部材4には,前面側,背面側方向に位置の異なる2段階の係止爪4a1,4a2が設けられている。光源部2は,前面背面方向に可動でき,取付部材21が係止爪4a1,4a2によって所定位置に係合保持されるようになっている。
【0050】 図24に示す状態は,前面側の係止爪4a1に取付部材21が係合されている状態であり,遮光角は小さく設定される。この状態から光源部2を背面側へ移動して背面側の係止爪4a2に取付部材21を係合することにより遮光角を大きく設定することができる。
【0051】 したがって,本実施形態によれば,照明器具の設置環境に応じて遮光角の調整が可能となる。なお,光源部2の突出量の変更は,2段階のみならず多段的に変更できるようにしてもよく,さらには,任意に変更できるようにしてもよい。これによって,遮光角の調整範囲を広げることができる。
【図1】 【図2】【図3】 【図4】【図5】 【図6】【図7】 【図8】【図9】 【図12】【図13】 【図14】【図15】 【図18】【図24】 【図25】 イ 甲2発明の概要 前記アからすると,甲2発明は,LED照明器具に関するものであり,従来の照明器具においては,器具本体と反射板等とがそれぞれ別個に設けられており,照明器具の設置に際し,施工作業の省力化が困難であり,また,点灯装置等の部品の配置が効率的ではないという課題があったのに対し,照明器具の本体の長手方向に沿って略中央部に収容凹部を有し,この収容凹部に沿い,かつ幅方向の両側に一体的に形成された側板部を備えたものとし,複数の発光素子を光源とする光源部を,収容凹部に収容スペースを確保して開口部側を覆うように配設し,収容スペースには,上記複数の発光素子を点灯制御する点灯装置を配置することによって,部品点数を少なくして施工作業の省力化を図るとともに,収容凹部に収容スペースを確保して点灯装置を効率的に配置し,同課題を解決したものであると認められる。
また,甲2の第5の実施形態については,上記に加え,光源部2の前面側,背面側方向への突出量を複数段階又は任意に変更できるようにすることによって,遮光角を調整するという技術的意義も有するものである。
ウ 甲2発明の認定 (ア) 前記ア,イからすると,甲2発明を以下のとおり認定することができ る。
「長手方向に沿って略中央部に収容凹部11を有し,この収容凹部11に沿い,かつ幅方向の両側に一体的に形成された側板部11cを備えた器具本体1と; 複数のLEDを光源とし,前記収容凹部11に収容スペースを確保して開口部側を覆うように配設された光源部2と; 前記収容スペースに配置された前記複数のLEDを点灯制御する点灯装置3と; を具備する照明器具であって, 前記収容凹部11は,天板部11aと,この天板部11aの両側から前面側に直角に垂下するように折曲されて形成された側壁11bとから構成され, 前記収容凹部11の開口部側であって幅方向の両側,すなわち,前記側壁11bの前面側の両側は,側面視,略V字状に折曲されて前記収容凹部11に沿って前記側板部11cが形成され, 前記器具本体1の背面側,すなわち,前記天板部11aの両端側には,一対の取付穴11fが形成され, この取付穴11fには,天井の構造体に設けられた一対の取付ボルトBtが外面側から貫通し,前記器具本体1が天井面に設置され, 係止部材4の両端には,係止爪4aが内側に折曲して形成され, 前記係止部材4は,前記器具本体1の前記収容凹部11の両端部側に外側から重合するように一対取り付けられ, 前記光源部2は,取付部材21と,前記複数のLEDが実装された基板23と,カバー部材24とを備え, 前記取付部材21は,前記器具本体1と同様に,横長であって長尺状に形成されており,長手方向に沿って平坦な取付面21aと,この取付面21aの両側から背面方向へ直角に立ち上がった第1の側壁21bと,この第1の側壁21bから水平方向に延出し,さらに背面方向に向かって内側に傾斜状に立ち上がった第2の側壁21cからなる空間(取付部材21の凹所)を有しており, 前記空間内に前記取付ボルトBtと前記点灯装置3の一部が収容されるとともに,前記取付ボルトBtと前記点灯装置3とが高さ方向で干渉しない位置に前記収容凹部内に前記点灯装置3が配置され, 前記空間は,前記収容凹部11と向かい合っており, 前記基板23は,前記取付部材21の前記取付面21aにねじ止め等によって,その裏面側が前記取付面21aに密着するように取り付けられ, 前記取付部材21が前記係止爪4aによって所定位置に係合保持され, 前記点灯装置3が前記器具本体1の前記収容凹部11における前記天板部11aの内側に取り付けられている照明器具。」 (イ) 審決は,甲2発明について,「取付部材21の凹所」に対する「取付ボルト」及び「点灯装置」の配置関係について特定されていないと認定している。
しかし,甲2の【図4】,【図24】,【図25】からすると,「取付部材21の凹所」に「点灯装置3」と「取付ボルトBt」が高さ方向において相互に干渉し合わない位置に配置されていることが認められるから,甲2発明として,この点も認定すべきである。
(ウ) 審決は,甲2発明について,「収容凹部」と「取付部材21の凹所」の位置関係について認定していないが,甲2の段落【0028】に「・・・光源部2が収容凹部11内へ移動する。そして,第2の側壁21cが所定量収容凹部11内へ入ると,係止爪4aの弾性変形が解かれ,取付部材21が係止爪4aによって所定位置に係合保持される(図4参照)・・・」とあり,当該所定位置について記載した【図4】に収容凹部と取付部材21の凹所が対向している様子が描かれていることからすると,甲2発明について,取付部材21の凹所が,収容凹部と対向していることが分かるから,甲2発明について,その点も認定すべきである。
(エ) 原告は,甲2発明を第1の実施形態に係る甲2の1発明と第5の実施形態に係る甲2の2発明に分けて認定すべきであると主張するが,第5実施形態は,光源部2の前面側,背面側方向への突出量を複数段階又は任意に変更できるように することによって,遮光角を調整することができるようにしたものにすぎず,前記(ア)のとおり認定できる甲2発明を甲2の1発明と甲2の2発明に分けて記載する必要があるとは認められない。
(オ) 被告は,甲2発明には本件発明1の「収容部」が存在しないと主張する。
しかし,本件発明1における「収容部」の意義は,前記2(2)ア(ア)aのとおり,「取付部材に設けられた空間であり,器具本体に設けられた空間である『収容凹部』と互いに向き合う部位に存在していて,『電源装置』及び『吊ボルト』の少なくとも一部を収容し,かつ高さ方向で『電源装置』及び『吊ボルト』が互いに干渉しないように水平方向に『電源装置』及び『吊ボルト』を配置するもの」であるところ,甲2発明の「取付部材21の凹所」は,このような構成を有するから,本件発明1の「収容部」に当たるということができる。
この点について,被告は,甲2発明の取付部材は,第1の側壁21b及び第2の側壁21cを有しているが,これらはいずれも吊ボルトの一部及び電源装置を収容するためのものではないと主張するが,上記のとおり,甲2発明において,「取付部材21」の第1の側壁21b及び第2の側壁21cからなる「取付部材21の凹所」には,吊ボルト及び電源装置の一部が配置されているから,「収容」されているということができ,第1の側壁21b及び第2の側壁21cが,切起し片を備える又は器具本体の収容凹部に取付けを可能にするといった他の機能を有しているとしても,この認定が左右されることはない。
(2) 本件発明1と甲2発明との対比 前記(1)で認定した甲2発明からすると,本件発明1と甲2発明の一致点及び相違点は,以下のとおりであると認められる。
(一致点) 「長尺状に形成され吊ボルトを用いて天井材に取り付けられる器具本体と,前記器具本体に取り付けられる光源ユニットとを備え, 前記器具本体における前記天井材と反対側には,前記器具本体の長手方向に沿って収容凹部が設けられ,前記収容凹部の底面部には前記吊ボルトを通すための孔が設けられており, 前記光源ユニットは,複数のLEDが実装されたLED基板と,前記複数のLEDが前記収容凹部の外側を向くようにして前記LED基板を前記器具本体に取り付けるための取付部材を有し, 前記取付部材は,前記収容凹部と対向する部位に空間を有し, 同空間に吊ボルトと電源装置(点灯装置)の一部が収容され 前記光源ユニットを前記器具本体に取り付けた状態で前記空間内における吊ボルトと干渉し合わない位置に前記電源装置(点灯装置)が配置される照明器具。」(相違点) 本件発明1は,光源ユニットが電源装置を有するのに対し,甲2発明は,器具本体が点灯装置を有する点。
(3) 相違点の容易想到性について ア 甲3発明について (ア) 甲3の記載事項【背景技術】【0003】 しかしながら,従来の蛍光ランプが用いられた照明器具は,その両端に端子94が存在し,全周方向に光を発することが前提として構成されている。このため,たとえば,複数の蛍光ランプを直列に配した照明器具に複数のLED照明装置Xを取り付けると,隣り合うLED照明装置Xどうしの間に発光しない暗部が生じてしまう。これを見る者は,見栄えがよくないと感じてしまうことがある。あるいは,壁面の一部を照らしたい場合であっても,LED照明装置Xを用いると照らしたい箇所以外にも光が照射されてしまう。このため,たとえばLED照明装置Xの半周分を覆う遮光カバーを設けるといったことが強いられてしまう。
【0004】 さらに,LED照明装置Xでは,複数のLEDチップ92を光源として用いている。LDチップ92は点光源であるため,LED照明装置Xからの光は輝度むらを生じやすい。この輝度むらが顕著であると,見る方向によっては,個々のLEDチップ92が視認できてしまう場合がある。このようなことでは,見る者が見栄えがよくないと感じてしまうことがあった。
【0005】 また,LED照明装置を,一般用蛍光灯照明器具を用いずに天井等に設置する場合,長時間に渡る使用により部品が劣化し,傾いたり向きがずれたりして,見栄えが悪くなることが懸念されている。
【0006】 また,たとえば部屋の隅や柱などに沿うように,複数のLED照明装置を異なる向きに取り付ける場合に,狭い範囲内に複数のLED照明装置の端部が異なる向きに配置されることが想定される。このような場合,見る者に煩雑な印象を与えてしまい,見栄えが悪くなることが懸念されている。
【0007】 また,LED照明装置Xを天井に取り付ける場合に,この天井に固定された一般用蛍光灯照明器具に取り付けられる。このため,LED照明装置Xは,天井から若干下方に離れた位置で発光する。すると,天井を見る者は,LED照明装置Xおよび上記一般用蛍光灯照明器具が天井からかなり飛び出た印象を受ける。この天井からの飛び出しが,屋内の様子をスマートな印象に統一することを阻害するといった問題があった。
【0008】 また,天井に設置された照明器具にLED照明装置Xを取り付けると,LED照明装置Xは,天井から相当飛び出た格好となる。このような飛び出たLED照明装置Xは,室内が煩雑であるという印象を与えてしまうことがあった。
【発明が解決しようとする課題】【0010】 本発明は,上記した事情のもとで考え出されたものであって,室内がスマートであるとの印象を与えうるLED照明装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】【0011】 本発明によって提供されるLED照明装置は,被取付け面に取り付けるLED照明装置であって,複数のLEDチップが搭載されており,第1の方向に沿って延びる細長状のLEDユニットと,少なくとも一部が上記被取付け面に設けられた開口よりも上記被取付け面奥方に位置し,かつ上記LEDユニットの少なくとも一部を収容する箱部を有する支持体と,を備えることを特徴としている。
【0020】 このような構成によれば,上記LED照明装置は,上記被取付け面の奥方に位置する部分を有する。このため,上記被取付け面から飛び出している部分をより小さくすることが可能である。これにより,上記被取付け面全体をフラットな面に近い状態とすることが可能であり,室内がスマートであるという印象を与えることができる。
【0023】 以下,本発明の好ましい実施の形態につき,図面を参照して具体的に説明する。
【0024】 図1および図2は,本発明の第1実施形態に基づくLED照明装置を示している。
実施形態のLED照明装置A1は,マウント1およびLEDユニット2によって構成されており,たとえば屋内の天井面に取り付けられた状態で,床面を照らす用途に用いられものであり,長さが1227mm程度,幅が120mm程度,高さが38mm程度とされている。
【0025】 マウント1は,本体10および複数のホルダ11を備えている。本体10は,x方向に延びる細長状であり,たとえばアルミ製である。本体10には,凹部10aが設けられている。凹部10aは,LEDユニット2を収容するためのものである。
本体10は,凹部10aを挟んで連続するような曲率とされた曲面を有している。
【0026】 ホルダ11は,たとえば金属製のプレートに対して折り曲げ加工を施すことによって形成されており,1対の係止片11aおよび1対の可撓部11bを有している。
図9に示すように,可撓部11bは,係止片11aを支える格好となっている。1対の可撓部11bは外力が与えられると,1対の係止片11aを互いに接近離間させる方向に弾性変形可能とされている。1対の係止片11aは,LEDユニット2に係合する部分であり,図9(a)において図中上方に向かうほど互いに距離が小となるように傾いている。本実施形態においては,複数のホルダ11が凹部10a内に設けられている。
【0027】 図3および図4に示すように,LEDユニット2は,複数のLEDモジュール20,支持部材3,カバー4,および電力変換部5を備えている。LEDユニット2は,マウント1のx方向両端にいたる長さ(1220mm程度)とされている。
【0028】 LEDモジュール20は,図5に示すように1対のリード21,LEDチップ22,封止樹脂23,およびリフレクタ24を備えている。1対のリード21は,たとえばCu合金からなり,その一方にLEDチップ22が搭載されている。リード21のうちLEDチップ22が搭載された面と反対側の面は,LEDモジュール20を面実装するために用いられる実装端子21aとされている。LEDチップ22は,LEDモジュール20の光源であり,たとえば青色光を発光可能とされている。
封止樹脂23は,LEDチップ22を保護するためのものである。封止樹脂23は,LEDチップ22からの光によって励起されることにより黄色光を発する蛍光物質 を含む透光樹脂を用いて形成されている。これにより,LEDモジュール20は,白色を照射することができる。上記蛍光物質としては,黄色光を発するものに代えて,赤色光を発するものと緑色光を発するものとを混合して用いてもよい。リフレクタ24はたとえば白色樹脂からなり,LEDチップ22から側方に発された光を上方に反射するためのものである。
【0029】 図3および図4に示すように,支持部材3は,複数のLEDモジュール20を支持しつつ,これに電力を供給するためのものであり,基板31およびブラケット32からなる。
【0037】 電力変換部5は,たとえば商用AC100V電力をDC36Vに変換する機能を果たすものであり,支持部材3に収容されている。電力変換部5は,ケース51,電源基板52および複数の電子部品53からなる。ケース51は,断面コの字状であり,たとえば金属製である。図6に示すように,ケース51の端部には,複数の切り欠き部51aが形成されている。切り欠き部51aは,図4に示すネジ33のうちベース部321から内方に突出した部分と係合することにより,電力変換部5を固定するために用いられる。電源基板52は,ケース51に固定されており,複数の電子部品53が実装されている。複数の電子部品53は,たとえばトランスや整流器,さらには定電流制御のためのトランジスタなどである。電力変換部5からは,図3に示すように,コネクタ34が延びている。このコネクタ34は,マウント1に取り付けられたコネクタ(図示略)と接続される。
【0041】 コの字状とされた支持部材3に電力変換部5を収容することにより,LED照明装置A1の高さを比較的低くすることができる。・・・【0055】 図18および図19は,本発明の第3実施形態に基づくLED照明装置を示して いる。 本実施形態のLED照明装置A3は,主にマウント1の構成が上述したLED照明装置A1と異なっているが,それ以外の構成はLED照明装置A1と同様であり,適宜説明を省略する。
【0063】 また,LED照明装置A3のマウント1の高さh3は,30mmとされている。
これにより,高さh3は,全高htの約0.75倍となっている。高さh3は,全高htの0.7倍以上であることが望ましい。
【0066】 このような実施形態によれば,全高htが40.3mmと非常に低いものであることにより,LED照明装置A3が天井から突出する量を,従来のLEDランプを用いた構成よりも顕著に小さくすることができる。これにより,天井を見る者が煩雑な印象を持つことを抑制するとともに,配光特性をより均一なものとすることができる。特に,天井に取り付けられて用いられること意図した場合,全高htが45mm未満であれば,煩雑な印象を抑制し,配光特性を均一にするという効果が期待できる。
【0069】 比d1/h1が0.65であることは,比較的かさばる電源変換部5(判決注:「電力変換部5」の誤記と認める。)を備えるにも関わらず,LEDモジュール20の下面(LEDチップ22の発光面)までの高さが低く抑えられていることを意味する。この比d1/h1が1/2以下であると,結果的にLED照明装置A3の全高htが不当に高くなってしまう。
【0113】 図37〜図39は,本発明の第6実施形態に基づくLED照明装置を示している。
実施形態のLED照明装置A6は,主にホルダ11の形状および設置位置が上述したLED照明装置A3と異なっているが,それ以外の構成はLED照明装置A3と同様であり,適宜説明を省略する。なお,図39では,簡略化のためにベースプ レート110およびウイング部120を省略している。また,本実施形態におけるホルダ11についての構成は,上述したLED照明装置A1,A5に対しても適用可能である。
【0177】 このように,LEDユニット2の交換が必要な程度にLEDチップ22の特性が変化すると,報知用LEDチップ20bが点灯する。これにより,使用者はLEDユニット2の交換が必要になったことを容易に知ることができる。したがって,LED照明装置A11では,適切な時期にLEDユニット2を交換可能となっており,常時見栄えのよい照明を提供することができる。
【図1】【図2】 【図3】【図4】 【図5】【図6】 【図9】【図18】 【図19】【図37】 【図38】【図39】 (イ) 甲3発明の認定 前記(ア)からすると,甲3発明は,「マウント1及びLEDユニット2からなり,マウント1はLEDユニット2を収容する凹部10aを備えるLED照明装置A1において,LEDユニット2が複数のLEDモジュール20,支持部材3及び電力 変換部5を備え,コの字状とされた支持部材3に電力変換部5を収容する照明器具」というもので,天井からの突出量を低減することによって室内がスマートであるとの印象を与え得るLED照明装置を提供するものであると認められる。
イ 甲2発明に甲3発明を適用して,点灯装置を器具本体側ではなく,光源ユニット側へと配置するように変更する動機付けがあるかどうかについて判断する。
前記(1)イのとおり,甲2発明は,器具本体に設けられた収容凹部に点灯装置を配置することで,点灯装置を効率的に配置するという課題を解決したことに技術的意義がある発明であるが,点灯装置を光源ユニット側に配置することは,配置可能な点灯装置のサイズ(幅方向の長さ)が取付部材21の取付面21a の長さ程度のものとなってしまい,収容凹部の収容スペースを有効に活用できなくなるから,甲2発明の課題解決手段と相容れないものである。
また,甲2の段落【0024】の「・・・点灯装置3は,箱状のケース内に回路基板及びこの基板に実装された回路部品を収容して構成されており,商用交流電源ACに接続されていて,この交流電源ACを受けて直流出力を生成するものである。
点灯装置3は,例えば,全波整流回路の出力端子間に平滑コンデンサを接続し,この平滑コンデンサに直流電圧変換回路及び電流検出手段を接続して構成されている。
・・・」との記載からすると,甲2発明の点灯装置は,複数の部品から構成される一定の重量のある部材であると認められ,甲2発明では,器具本体側にそのような重量のある点灯装置を配置することを前提として,光源ユニットは,簡易な係止部材で取り付けられているが,仮に点灯装置を光源ユニット側に配置するとした場合,器具本体と光源ユニットの係止機構を中心として甲2発明全体の構造を再検討する必要がある。
したがって,甲3発明を甲2発明に適用する動機付けがあるとは認められない。
ウ 原告は,@甲2発明と甲3発明が課題や課題解決手段を共通にしている,A器具本体と光源ユニットが分離されるLED照明器具にあって,光源ユニット側に甲2発明の点灯装置のような電源装置を配置することは周知慣用技術であり,点 灯装置を光源ユニットに配置することに伴う設計変更は当業者にとって通常の創作力の範囲内の設計事項であると主張する。
(ア) 上記@について 前記ア(ア)のとおり,甲3発明は,本件発明1と同様に天井からの突出量の低減を課題としているものと認められる。他方,甲2発明の課題は,前記(1)イのとおり,施工作業の省力化と点灯装置等の部品の効率的な配置である上,甲2からは甲3発明にあるような天井からの突出量の低減という技術思想を読み取ることはできず,甲2発明と甲3発明とが課題を共通にしているとはいえず,原告の主張はその前提を欠くものである。
この点について,原告は,かさばる部材である点灯装置(甲3発明の電力変換部)の効率的な配置という限度で甲2発明と甲3発明が課題を共通にしている旨主張するが,発明の課題をあまりに抽象化して捉えており,相当ではないので,採用することができない。
(イ) 上記Aについて 証拠(甲1の12・13,甲3〜5)によると,審決が認定したとおり,「光源としてLEDを用いた照明器具において,光源ユニット側に電源装置を配置する」ことは本件出願日当時,周知慣用技術(周知慣用技術1)であったと認められる。
しかし,前記イのとおり,甲2発明において,点灯装置を光源ユニット側に配置することは甲2発明の技術的意義を没却するものである上,甲2発明の構造を大きく変える必要があるから,当業者の通常の創作力の範囲内の設計事項であるということはできない。
この点について,原告は,甲2発明の「収容凹部」において,電源装置を光源ユニット側に取付配置した場合でも,器具本体側に取付配置した場合でも,発明の目的とした照明器具全体での高さ寸法,天井からの突出量は変わらないと主張するが,直ちにそのように認めることはできないのみならず,仮にそうであるとしても,上記で述べた理由により,甲2発明において,点灯装置を光源ユニット側に配置する ことが当業者の通常の創作力の範囲内の設計事項であるとはいえない。
また,原告は甲2発明の係止部材の構造等は特定されておらず,甲3発明の係止機構は,甲2発明の係止部材と同様に簡易なものであると主張するが,甲2発明において, 「係止部材4」は, 「取付部材21」「発光素子22」「基板23」及び「カ , ,バー部材24」からなる光源部を係合保持するものである(甲2の段落【0023】,【0027】【0028】【図3】【図4】 , , , )が,甲3発明の係止機構であるホルダ11は,LEDモジュール20,支持部材3,カバー4及び重量のある電力変換部5からなるLEDユニット2を保持するもの(甲3の段落【0026】 0027】 【 , ,【図2】【図4】 , )であり,甲2発明の係止部材の方が,甲4発明のホルダより簡易なものであれば足りることはその役割から明らかであるから,甲2発明において,点灯装置を光源ユニット側に配置することが当業者の通常の創作力の範囲内の設計事項であるとはいえない。
(4) 小括 以上のとおり,相違点について,甲2発明に甲3発明を適用する動機付けがあるとは認められないから,阻害事由の点について判断するまでもなく,本件発明1は,甲2発明及び甲3発明又は周知慣用技術1から容易想到なものとはいえない。そうすると,無効理由2についての審決の判断は結論において相当であるから,原告主張の取消事由2は理由がない。
4 取消事由3(甲2の1発明と甲4発明からの本件発明1の容易想到性判断の誤り)について (1) 甲4発明の認定 ア 甲4の記載【発明の詳細な説明】【背景技術】【0002】 従来技術では,特許文献1のように既設のシャーシを転用して,新規の蛍光灯用 反射板を取り付けできる照明器具がある。
【発明が解決しようとする課題】【0004】 この発明は,電源装置からの熱を効率的に放熱する照明器具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】【0005】 この発明の照明器具は,長手方向に延び,かつ,内部に空間を有する蛍光灯用の逆富士形の反射板であって,反射面として機能する一方の斜面と,反射面として機能する他方の斜面とを有する逆富士形の反射板の形状をなす金属製の器具本体と, 前記器具本体の前記内部の空間に配置され,前記長手方向に延びる長尺形状であり,前記長手方向にわたって前記器具本体の前記一方の斜面の裏側の面に対向する第1の斜面と,前記長手方向にわたって前記他方の斜面の裏側の面に対向する第2の斜面とが,それぞれ前記一方の斜面の裏側の面と前記他方の斜面の裏側の面とに熱的に接続し,前記器具本体の外部に向けて光を放つ光源ユニットが取り付けられた金属製の光源取付部と, 前記光源取付部に取り付けられて前記光源取付部と熱的に接続し,前記長手方向に延びる長尺形状であり,前記光源を点灯させる電源装置が取り付けられた電源取付部とを備えたことを特徴とする。
【発明を実施するための形態】【0009】(照明器具の構成) 図3,図4等に示すように,照明器具100は,反射板2(器具本体)と,反射板2に収納される光源取付金具3(光源取付部)と,光源取付金具3に取り付けられる電源取付金具4(電源取付部)とを備えている。光源取付金具3と電源取付金具4とは,反射板2に収納される。既設シャーシ1は,蛍光灯用の照明器具の転用品である。照明器具100は,蛍光灯用の照明器具をLED用に転用した器具であ る。図3において透光カバー8を取り外すと,LEDユニット350a,350b ・ ・・350n(光源ユニットという場合もある)が配置されている。なお,LEDを発光体として用いるのは一例であり,OLEDや他の発光体を用いてユニット化してもよい。
【0010】(照明器具100の組付関係) 既設シャーシ1は既に天井に配置されている。電源取付金具4は,図1,図2に示すように,光源取付金具3にネジ6a,6bで取り付けられる。光源取付金具3は,図3,図4に示すように,反射板2に,ねじ10a,10bで取り付けられる。
そして,反射板2は,図3,図4に示すように金具5a,5bで既設シャーシ1に取り付けられる。金具5a,5bがねじ7で締め付けられることによって,反射板2が既設シャーシ1に取り付く。なお,本実施の形態では,既設シャーシ1を転用品と想定しているが,新規のものであっても構わない。
【0012】(光源取付金具3) 図6も参照して説明する。光源取付金具3は金属製である。光源取付金具3は,反射板2の内部の空間に配置され,反射板2の長手方向に延びる長尺形状である。
光源取付金具3は,反射板2の長手方向にわたって反射板2の一方の斜面201の裏側の面に対向する第1の斜面301と,反射板2の長手方向にわたって他方の斜面202の裏側の面に対向する第2の斜面302とが,それぞれ一方の斜面201の裏側の面と他方の斜面202の裏側の面とに熱的に接続(範囲51,52)している。
「熱的に接続する」とは,この場合,光源取付金具3と反射板2とが面接触することで,熱が伝導することを意味する。光源取付金具3は,反射板2の外部に向けて光を放つ光源ユニット350が取り付けられる。
【0013】(電源取付金具4) 電源取付金具4は金属製である。電源取付金具4は,光源取付金具3に取り付けられて光源取付金具3と熱的に接続する。ここで「熱的に接続する」とは,上記のとおりである。電源取付金具4は,反射板2の長手方向に延びる長尺形状であり,光源ユニット350を点灯させる新規電源装置11(電源装置)が取り付けられている。なお,図3に示すように,既設シャーシ1には既設電源9が取り付けられている。既設電源9は既設シャーシ1や反射板2を蛍光灯用に使用した際の電源装置であり,新規電源装置11は,既設シャーシ1や反射板2をLED又はOLED用に転用する際の電源装置である。
【0014】(空気層) 図6,図4に示すように,光源取付金具3は,平板を折り曲げた折曲形状である。
光源取付金具3は,第1の斜面301に対応する第1の側板310と,第2の斜面302に対応する第2の側板320と,第1の側板310と第2の側板320とに対して底面に相当する底板330とを含む折曲形状である。電源取付金具4は,底板330の上面との間に空間401を保って底板330の上面を覆いながら反射板2の長手方向に延びることで空間401を形成している。すなわち,光源取付金具3と電源取付金具4との間には空間401による空気層が存在するので,光源取付金具3が電源取付金具4からもらう「もらい熱」が減少する効果がある。
【0018】 以上のように,既設の照明器具の既設シャーシ1を利用して,LED又はOLEDを光源とした灯具を取り付けることができる。
【0019】 灯具の形状は,直管蛍光灯器具の逆富士1灯用又は,逆富士2灯用のソケットがある面にLED又はOLEDの光源を配置する。
【0023】 以上の実施の形態で説明した照明器具100により,以下の効果が得られる。
(1)器具取替えのコストを下げることができる。又,作業者の負荷を下げることができる。
(2)既設の部材を用いるため,省資源化を図ることができる。
(3)電源からの熱を放熱するため,器具の寿命を延ばすことができる。
(4)LEDやOLEDを照明器具に用いた際,発光面の角度により天井面に光が当たらないため,空間の印象が暗くなる傾向があるが,カバー形状を変更することにより,天井面や器具自体に光を当てることや,光源との距離を調節することにより,グレア感を抑えることができる。
【図1】 【図2】【図3】 【図4】【図6】 イ 甲4発明の認定 前記アの甲4の記載からすると,甲4発明は, 「蛍光灯用に使用した既設電源9が取り付けられている既設シャーシ1に,LED又はOLED用に転用する際の新規電源装置11が,電源取付金具及び光源取付金具を介して取り付けられた反射板2を取り付けられた照明装置」というものであると認められる。
(2) 相違点の容易想到性 ア 本件発明1と甲2発明との間には,前記3(2)で検討したとおりの相違点が存在するので,甲2発明に甲4発明を適用して,点灯装置を器具本体側ではなく,光源ユニット側へと配置するように変更する動機付けがあるかどうかについて判断する。
前記3(1)イのとおり,甲2発明は,器具本体に設けられた収容凹部に点灯装置を配置することで,点灯装置を効率的に配置するという課題を解決したことに技術的意義がある発明であるところ,光源ユニット側に新たな点灯装置を配置することはそのような甲2発明の課題解決手段と相容れないものである。
また,前記(1)のとおり,甲4発明は,蛍光灯用に使用した既設電源9が取り付けられている既設シャーシ1を転用することを前提としたものであって,そのようなことが想定されてない甲2には,器具本体1に点灯装置3を残したまま,光源ユニット側に点灯装置を新たに取り付けることについては何の記載や示唆もない。また,甲4発明は,既設電源9が器具本体の収容凹部内に配置されたものではなく,甲2発明とは照明器具の構造も大きく異なっている。さらにいうと,甲2発明において,器具本体1に点灯装置3を残したまま,光源ユニット側に点灯装置を新たに取り付ける場合,前記3(3)イでみたように,器具本体と光源ユニットの係止機構を中心として甲2発明全体の構造を再検討する必要がある上,さらに,器具本体1の収容凹部に残された点灯装置3と新たに光源ユニット側に取り付けられる点灯装置との配置関係にも配慮して甲2発明を再設計する必要があり,前記3(3)イで述べた点を超えて甲2発明の構造を大きく変更する必要がある。
したがって,甲2発明に甲4発明を適用する動機付けがあるとは認められない。
イ 原告は,@天井材に設置した器具本体1を利用して,電源装置を備えた新たな光源ユニットをもってその交換を行うという課題は甲2発明にも内在している,A光源ユニット側に点灯装置を配置する程度の事項は,設計事項にすぎないと主張する。
(ア) 上記@について 甲2の段落【0034】に記載されているメンテナンスは,点灯装置3を器具本体側に残したまま,新たな点灯装置を光源ユニット側に配置するというものではなく,甲2には他にこの点についての記載があるとは認められないから,甲2発明に天井材に設置した器具本体1を利用して,電源装置を備えた新たな光源ユニットをもってその交換を行うという課題があるとは認められない。
原告が引用して主張する甲1の1・12・13及び甲3の段落【0177】や甲3の出願人であるローム株式会社のウェブページの説明(甲45)には,点灯装置3を器具本体側に残したまま,新たな点灯装置を光源ユニット側に配置することについての記載はなく,甲31〜33も,蛍光ランプをLEDや有機EL等に置き換えたり(甲31の段落【0005】〜【0008】,甲32の段落【0004】,【0011】),蛍光ランプを新たな蛍光ランプに置き換えたり(甲33の段落【0011】,【0026】〜【0029】)することについての発明であって,LED照明をもってLED照明を置き換えるものではない。したがって,これらは,いずれもLED照明である甲2発明において,点灯装置3を器具本体1側に残したまま,新たな点灯装置を光源ユニット側に配置する課題が内在することを示すものとはいえない。
したがって,上記@の主張を採用することはできない。
(イ) 上記Aについて 光源ユニット側に点灯装置を配置することが当業者の通常の創作力の範囲内の設計事項であるといえないことは,前記3(3)ウ(イ)及び前記アで検討したところから 明らかである。
(3) 小括 以上のとおり,相違点について,甲2発明に甲4発明を適用する動機付けがあるとは認められない。
なお,証拠(甲1の12・13,甲3〜5)によると, 「器具本体と光源ユニットとを分離するタイプのLED照明器具において,光源ユニットが複数のLEDに固有の電源装置を有する」という周知慣用技術2が本件出願日当時に存在していたことは認められるが,これまで検討してきたとおり,甲2発明について,点灯装置3を器具本体1側に残したまま,新たな点灯装置を光源ユニット側に配置することについて,動機付けがあるといえないのであって,そのことは周知慣用技術2が存在するとしても左右されることはない。
したがって,阻害事由の点について判断するまでもなく,本件発明1は,甲2発明及び甲4発明又は周知慣用技術2から容易想到なものとはいえない。したがって,無効理由3についての審決の判断は,結論において相当であり,原告主張の取消事由3は理由がない。
5 取消事由4(本件発明2〜4の容易想到性の判断の誤り)について 前記2〜4で検討してきたとおり,本件発明1は,NNF41100発明,甲2〜4発明及び周知慣用技術1,2から容易想到なものとはいえない。
本件発明2は,本件発明1の構成を全て含んで発明を特定するものであるから,本件発明1と同様に,NNF41100発明,甲2〜4発明,周知慣用技術1,2から容易想到なものとはいえない。
本件発明3,4は,光源ユニットの発明である点で本件発明1,2とは異なるが,前記2(2)ウ及び前記3(2)で認定した本件発明1とNNF41100発明,本件発明1と甲2の発明との間の相違点に係る構成を含んでいる点では,本件発明1,2と同様であるから,本件発明1,2と同様に容易想到なものとはいえない。
したがって,原告主張の取消事由4は理由がない。
結論
よって,原告の請求には理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 森義之
裁判官 眞鍋美穂子
裁判官 熊谷大輔
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